サイト内検索|page:485

検索結果 合計:35162件 表示位置:9681 - 9700

9681.

動脈硬化の評価(2)【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q37

動脈硬化の評価(2)Q37初診外来(or救急外来)の対応中に、誤嚥性肺炎を疑う病歴の高齢男性が受診された。胸部レントゲンでははっきりと陰影を指摘できず、両肺の過膨張程度であったため胸部単純CTまで施行した。せっかくCTを撮ったのだから、主目的の肺野評価以外に、一緒に評価できる動脈硬化を疑える所見は?

9682.

ペムブロリズマブのNSCLC術後補助療法、3年後もDFSの改善を持続(PEARLS/KEYNOTE-091)/Lancet Oncol

 ペムブロリズマブによる非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法を評価する第III相PEARLS/KEYNOTE-091試験の2回目の中間解析で、ペムブロリズマブの術後補助療法は3年後も良好な無病生存期間(DFS)の改善を維持していることが明らかとなった。英国・ロイヤル・マーズデン病院のMary O’Brien氏がLancet Oncology誌で発表している。・対象:StageIB(≧4cm)〜IIIA(AJCC7版)の完全切除NSCLC(1,117例)・試験群:外科的切除後にペムブロリズマブ200mg 3週ごと18回まで投与(590例)・対照群:試験群と同様のスケジュールでプラセボを投与(587例)・評価項目[主要評価項目]全集団のDFS、PD-L1(TPS)≧50%のDFS[副次評価項目]PD-L1(TPS)≧1%のDFS、全集団、PD-L1(TPS)≧50%および≧1%の全生存期間、安全性など 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値(データカットオフ:2021年9月20日)は35.6ヵ月であった。・全集団のDFS中央値はペムブロリズマブ群53.6ヵ月、プラセボ群42.0ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.63〜0.91、p=0.0014)。・PD-L1(TPS)≧50%のDFS中央値はペムブロリズマブ群、プラセボ群ともに未到達で、HRは0.82(95%CI:0.57〜1.18)、p値は0.14であった。・Grade3以上の有害事象(AE)はペムブロリズマブ群の34%、プラセボ群の26%で発現した。死亡に至った治療関連AEはペムブロリズマブ群で4例(1%)発現した。 ペムブロリズマブは完全切除後のStageIB(≧4cm)/II/IIIA治療の新たな選択肢となり得る、と筆者は結んでいる。

9683.

コロナ・インフル同時流行時の対応策を発表/厚労省

 厚生労働省は2022年10月13日、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザが同時流行した場合の外来受診の流れを発表した。重症化リスクに応じて受診方法が2つに分かれており、発熱外来の受診は原則として重症化リスクの高い患者(小学生以下の子供、妊婦、基礎疾患を有する人、高齢者など)に限られる。 重症化リスクの高い患者は、発熱外来、かかりつけ医、地域外来・検査センターを速やかに受診する。新型コロナ、インフルエンザの検査を実施し、陽性だった場合は自宅療養や入院となる。 一方、重症化リスクの低い患者は、まず新型コロナ検査キットで自己検査を行い、コロナ陰性だった場合はオンライン診療などでインフルエンザかどうかの診断を受け、インフルエンザと診断された場合は、必要に応じて抗インフルエンザ薬などの処方を受けて自宅療養となる。コロナ陽性だった場合は、健康フォローアップセンターに登録したうえで自宅療養となる。ただし、症状が重い場合や受診を希望する場合は、発熱外来やかかりつけ医の受診も可能とした。

9684.

グラム陰性菌尿路感染症、CFPM/enmetazobactamがPIPC/TAZに優越性/JAMA

 グラム陰性菌が原因の複雑性尿路感染症(UTI)または急性腎盂腎炎の患者において、セフェピム/enmetazobactam(CFPM/enmetazobactam)はピペラシリン/タゾバクタム(PIPC/TAZ)と比較して、臨床的治癒と微生物学的根絶の主要アウトカムに関して非劣性および優越性の基準を満たした。米国・Robert Wood Johnson Medical SchoolのKeith S. Kaye氏らが世界90施設で行った第III相無作為化二重盲検実薬対照非劣性試験の結果を報告した。セフェピム/enmetazobactamは、新規のβラクタム/βラクタマーゼ阻害薬配合剤で、薬剤耐性グラム陰性菌感染症に対して経験的治療となる可能性が示唆されていた。今回の試験の結果を踏まえて著者は、「さらなる検討を行い、セフェピム/enmetazobactamの複雑性UTIおよび腎盂腎炎の治療における位置付けの可能性を確認する必要がある」とまとめている。JAMA誌2022年10月4日号掲載の報告。事前規定の非劣性マージンは-10%とし比較検証 研究グループは、2018年9月24日~2019年11月2日、欧州、北中米、南米、南アフリカの90施設で、18歳以上成人でグラム陰性菌による複雑性UTIまたは急性腎盂腎炎と診断された患者において、セフェピム/enmetazobactamはピペラシリン/タゾバクタムに対して、主要有効性アウトカムについて非劣性か否かを検証した。最終フォローアップは、2019年11月26日。 適格患者は無作為に2群に割り付けられ、セフェピム2g/enmetazobactam 0.5g(520例)またはピペラシリン4g/タゾバクタム0.5g(521例)を、8時間ごと2時間静注で7日間(ベースラインで血液培養陽性患者は最長14日間)投与を受けた。 主要アウトカムは、主要解析対象患者(ベースラインで、グラム陰性菌はいずれの治療に対しても耐性を有しておらず尿培養≧105CFU/mL、または血液・尿培養で同一病原体が認められ試験薬を任意量投与された患者)において、全体的治療成功(感染症の臨床的治癒と微生物学的根絶[尿中<103CFU/mL]が認められた場合として定義)を達成した患者の割合であった。 両側95%信頼区間(CI)は階層化Newcombe法を用いて算出し、事前規定の非劣性マージンは、-10%とした。非劣性が示された場合、優越性の比較を行うことも事前に決められていた。全体的治療成功率は79.1% vs.58.9% 1,041例(平均年齢54.7歳、女性573例[55.0%])が無作為化を受け、1,034例(99.3%)が試験薬を投与され、995例(95.6%)が試験を完遂した。 主要解析対象患者において、主要アウトカムの発生は、セフェピム/enmetazobactam群79.1%(273/345例)、ピペラシリン/タゾバクタム群58.9%(196/333例)であった(群間差:21.2%[95%CI:14.3~27.9])。 治療関連有害事象の発生は、セフェピム/enmetazobactam群50.0%(258/516例)、ピペラシリン/タゾバクタム群44.0%(228/518例)であった。重症度は軽度~中等度がほとんどであった(それぞれ89.9% vs.88.6%)。 有害事象のために治療完遂できなかった患者は、全体でセフェピム/enmetazobactam群1.7%(9/516例)、ピペラシリン/タゾバクタム群0.8%(4/518例)であった。

9685.

育児期の母親の超加工食品摂取で子の肥満リスク増/BMJ

 育児期の母親の超加工食品摂取は、母親および子のライフスタイルリスク因子とは関係なく、子の過体重や肥満のリスク増加と関連するという。米国・マサチューセッツ総合病院・ハーバード大学医学部のYiqing Wang氏らが、3つの前向きコホート試験データを解析して示した。著者は、「さらなる研究を行い、今回示された所見を確認し、根底にある生物学的メカニズムおよび環境決定要因を解明する必要がある」と述べるとともに、「いずれにせよ今回のデータは、子の健康を守るために、妊娠可能年齢の女性の食事に関する推奨事項の重要性と、栄養を改善するためのプログラム開発を支持するものである」とまとめている。BMJ誌2022年10月5日号掲載の報告。母子1万9,958組について母親の超加工食品摂取と子の過体重/肥満の関連を調査 研究グループは、周産期および育児期の母親の超加工食品摂取と、小児期・思春期の子の過体重/肥満の関連を調べるため、米国で行われたNurses' Health Study II(NHS II)と、Growing Up Today Study(GUTS IおよびII)の3つの住民ベースコホート試験のデータを解析した。 対象者は、子供が18歳または過体重/肥満を発症するまで中央値4年間(IQR:2~5)の追跡評価を受けた1万9,958組の母親と子(男子45%、登録時年齢7~17歳)。母子2,925組の周産期の食事に関する情報が、サブサンプルとして入手可能であった。 一般化された推定方程式と交換可能な相関構造を備えた多変数調整対数二項モデルを用いて、きょうだい間の相関関係を評価するとともに、国際肥満タスクフォースによって定義された子の過体重または肥満の相対リスクを推定した。最多摂取グループは最少摂取グループと比べ、子の過体重/肥満リスク1.26倍 完全解析コホートにおいて、過体重/肥満を発症した子は2,471例(12.4%)であった。確定されている母親のリスク因子と子の超加工食品摂取、身体活動度、座位時間、母親の育児期の超加工食品摂取について補正後、母親の超加工食品摂取が最も多いグループ(グループ5)は、最も少ないグループ(グループ1)と比べて、子の過体重/肥満リスクが26%高かった(相対リスク[RR]:1.26、95%信頼区間[CI]:1.08~1.47、傾向のp<0.001)。 周産期の食事に関する情報が得られたサブサンプルでは、同様にグループ5のリスクがグループ1と比べて高かったが、周産期の超加工食品摂取と子の過体重/肥満リスク増大(発症者845例[28.9%])との関連は有意ではなかった(グループ5 vs.グループ1のRR:1.17、95%CI:0.89~1.53、傾向のp=0.07)。 これらの関連には、年齢、性別、出生時体重、妊娠期間または母体体重などによる影響はみられなかった。

9686.

一人暮らしとうつ病リスク~メタ解析

 一人暮らしは、ライフスタイルの管理や健康状態に影響を及ぼす可能性のある最も一般的な心理社会的因子の1つである。これまで、多くの横断研究において一人暮らしがうつ病リスクを上昇させることが示唆されていたが、この関連を縦断研究にて検討した報告はほとんどなかった。中国・Ganzhou People's HospitalのDaolin Wu氏らは、一人暮らしとうつ病リスクとの関連についての縦断研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、一人暮らしの人ではそうでない人と比較し、うつ病リスクが高くなることが明らかとなった。今後これらの因果関係を確認するためにも、さらなる質の高い研究が求められる。Frontiers in Psychiatry誌2022年8月30日号の報告。 2022年5月までに公表された研究をPubMed、Embase、Cochraneデータベースより検索した。調整オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)は、逆分散法を用いたランダム効果モデルによりプールした。 主な結果は以下のとおり。・本メタ解析には、7件の研究(コホート研究:6件、ケースコントロール研究:1件)を含めた。・精神疾患の既往歴のない12万3,859人(女性の割合:65.3%)を分析した。・不均一性を最小限にするため、ランダム効果モデルを用いた。・全体として、プールされたデータより、一人暮らしの人はそうでない人と比較し、うつ病リスクが高いことが示された(OR:1.42、95%CI:1.19~1.70)。

9687.

BA.4/5対応2価ワクチンの第II/III相試験、7日後データ/ファイザー

 米国・Pfizerは10月13日付のプレスリリースで、同社のオミクロン株BA.4/5対応の新型コロナウイルス2価ワクチンについて、18歳以上における臨床試験の初期データを発表した。2価ワクチン追加接種から7日後に被験者から採取した血清で、オミクロン株BA.4/5に対する中和抗体反応が、追加接種前よりも大幅に上昇したことが確認され、若年層と高齢者ともに、同社の起源株に対する1価ワクチンよりも、BA.4/5への予防効果が期待できることが示唆された。 同社が実施したBA.4/5対応2価ワクチンの第II/III相試験では、55歳以上で1価ワクチン3回+2価ワクチン(30μg)で4回目接種して7日後の血清(40例)と、同年齢層で1価ワクチン3回+1価ワクチン(30μg)で4回目接種して7日後の血清(40例)とが比較された。また、18~55歳の1価ワクチン3回+2価ワクチンで4回目接種して7日後の血清(40例)も採取され、若年層と高齢者の2価ワクチンの反応も比較された。2価ワクチン接種群の3回目と4回目の接種間隔は約11ヵ月であったが、1価ワクチン接種群の3回目と4回目の接種間隔は約6ヵ月であった。この差にもかかわらず、中和抗体価のベースラインは各群でおおむね同程度だった。被験者のうち新型コロナの既往・現病歴がある人とない人は、各群で均等に層別化された。免疫原性は、SARS-CoV-2ライブウイルス蛍光焦点還元中和アッセイ(FFRNT)を用いて評価された。 主な結果は以下のとおり。・2価ワクチンの追加接種を受けた被験者は、追加接種前よりもオミクロン株BA.4/5に対する中和抗体反応が大幅に増加し、18~55歳と55歳以上の両群で同等の反応が認められた。・55歳以上の4回目接種で、1価ワクチン群と2価ワクチン群を比べると、2価ワクチン群のBA.4/5に対する中和抗体反応がより増加していた。・2価ワクチンは忍容性が高く、初期データでは1価ワクチンと同等の良好な安全性プロファイルが示された。 同社は、2価ワクチンの追加接種から1ヵ月後の反応を測定した追加データについて、数週間以内に得られる見込みだとしている。

9688.

第130回 手放しに喜べない?新たな認知症治療薬の良好な臨床成績

長らく続くコロナ禍で医療系学会の取材はこの間ご無沙汰していたが、先日久しぶりに学会に参加した。たまたま開催地が実家から近いこともあり、両親と昼食をとる機会に恵まれた。以下、今回はかなり私事を交えることになるが、お付き合いいただきたい。私の場合、地元で開催された学会の取材に赴く際でも実家に宿泊することはほとんどない。あくまで仕事で来ているという線引きが必要だというのが表向きの理由だが、実のところはある種、鬱陶しいからという事情もある。すでに私が50代になっているとはいえ、80代半ばの両親にとっては子供なので、実家でパソコンを開いて仕事をしていても何かと話しかけられるし、食事の時間になると「○○があるから食え」だの、とくに食べたいものでもないのに勧められるのは正直言うならば厄介なことこの上ない。それでも両親を食事に誘ったのは、近年急速に弱ってきている父親が賑やかなところが好きな人だからだ。実家は地元の繁華街から離れた田園地帯にある。父親本人は常に外出したくて仕方ないのだが、すでに足腰も弱り、その牛歩に毎回付き添うのは母親がくたびれるため、週末ぐらいしか外出できない。加えて父親は軽度認知障害(MCI)の診断を受けている。それでも元が几帳面な性格だったことも手伝ってか、現時点でも買い物では小銭から計算して使いたがるので、まだましなほうかもしれない。とはいえ、緩やかに症状は進行しており、先日は銀行に出かけた際にATM前から母親に「使い方がわからなくなった」と連絡があったという。昼時、待ち合わせ場所の寿司屋近くの路上にいると、人混みの向こうから両親がゆっくりと歩いてきた。視界に入ってきた両親はなかなか近づいてこない。父親のゆっくりとした歩みに母親が合わせざるを得ないからである。それでも数年前から介護保険を使って理学療法士のお世話になってからはかなり改善している。一時は「カタツムリか?」と思うほどの歩みだったのだから。私は路上に立ったまま両親が近くに来るのを待った。ようやく顔が良く見える距離になって私を見つけた父親は、「破顔一笑」とも言える表情を見せた。私も微笑んで見せたが、内心はこの上なく複雑だった。幼少期の記憶の中の父親は口下手で喜怒哀楽に乏しく、私に笑顔を向けてきた記憶がほとんどない。常にむすっとしていて、時に激しく叱られることが私の記憶のデフォルトである。母親がよく話題に出すのは、私が2歳ぐらいの時の父親と私のやり取りだ。父親が私を大声で呼びつけた際に登場した私は頭に座布団を乗せていたという。叱られて叩かれると勘違いしたらしい。やや長くなってしまったが、なぜこうつらつらと書いてしまったかというと、今話題のエーザイ・バイオジェン共同開発のアルツハイマー病(AD)治療薬候補lecanemab(以下、レカネマブ)について、こうしたMCI患者を持つ家族と医療ジャーナリストという職業の狭間で揺れ動く自分がいるからだ。ご存じのようにADに関しては、脳内に蓄積するタンパク質「アミロイドβ(Aβ)」が神経細胞を死滅させるというAβ仮説に基づき、過去20年近く新薬開発が進められてきた。Aβ仮説は、Aβ前駆タンパク質から酵素のβセクレターゼ(BACE)の働きで、Aβの一量体(モノマー)が作り出され、そこからモノマーが重合した重合体(オリゴマー)、高分子オリゴマーである可溶性プロトフィブリル、そこから形成されたアミロイド線維である不溶性フィブリルへと進行し、最終的にアミロイド線維から形成されるアミロイドプラークが神経細胞を死滅させADに至るというのが大まかな理論だ。これまでのAβ仮説に基づく新薬開発では、BACE阻害薬と脳内の神経細胞に沈着したAβを排除する抗Aβ抗体が2つの大きな流れだったが、ほとんどが事実上失敗している。唯一飛び抜けていたとも言えるのが、同じエーザイとバイオジェンが共同開発していた抗Aβ抗体のアデュカヌマブ。Aβの生成過程の中でもフィブリルに結合する抗体で第II相試験での成績が良好だったことから期待されたが、2019年3月に独立データモニタリング委員会が主要評価項目を達成できる見通しがないと勧告した結果、進行中の2件の第III相試験が中止された。しかし、勧告後に入手できた症例データを加えて再解析した結果、うち1件では、高用量群でプラセボ群との比較で、臨床的認知症重症度判定尺度(CDR-SB:Clinical Dementia Rating Sum of Boxes)の有意な低下が認められた。このためバイオジェンは一転して米食品医薬品局(FDA)に承認を申請。FDA諮問委員会の評決では、ほぼ否定的な評価を下されていたものの、社会的要請の高さなどを理由に新たな無作為化比較試験の追加実施とそのデータ提出を求める条件付き承認となった。もっともこの承認には専門家の中でも批判が多く、米国ではメディケア・メディケイド サービスセンター(CMS)がアデュカヌマブの保険償還対象を特定の臨床試験参加者のみに限定。さらにヨーロッパと日本では現状の臨床試験結果では効果が十分確認されていないとして承認見送りとなった。まさにジェットコースターのようなアップダウンを繰り返して、ほぼ振出しに戻ったのがAD治療薬開発の現状である。もちろんレカネマブの開発が続いていたことは承知していた。しかし、前述のような開発を巡るドタバタを知っている身としては、必死に開発を行っていた人たちには申し訳ないが、期待はせずに横目で見ていたというのが実状である。そんな最中、エーザイがレカネマブの第III相試験「Clarity AD」の主要評価項目で有意差を認め、記者発表するとのニュースリリースを9月28日早朝に発表した。今回はあの抗寄生虫薬イベルメクチンの時と違って、すでに結果がポジティブだったことはわかっている。要はどの程度のポジティブだったかがカギだ。当日、オンラインで記者会見に参加した私はディスプレイに釘付けになった。ちなみにClarity AD の登録症例は1,795例。脳内Aβ病理が確認され、スクリーニングおよびベースラインの認知症ミニメンタルステート検査(MMSE)が 22~30点、論理的記憶検査(WMS-IV LM II:Wechsler Memory Scale-IV logical memory II)の点数が年齢調整済み平均値を少なくとも1標準偏差を下回り、エピソード記憶障害が客観的に示されることが認められるADによるMCIと軽度ADが対象だ。これを2群に分け、レカネマブ10mg/kgの点滴静注を2週に1回とプラセボ点滴静注を2週に1回行い、主要評価項目は、ベースラインから投与18ヵ月時点でのCDR-SBの変化を比較したものだ。アデュカヌマブとレカネマブの最大の違いは、レカネマブはフィブリル形成直前の可溶性プロトフィブリルが標的となっていることに加え、アデュカヌマブでは漸増投与が必要だったのに対し、レカネマブは初回から有効用量の投与が可能なことである。公表された結果ではプラセボ比でのCDR-SB変化量で見た悪化抑制率は27%、詳細は発表されなかったが副次評価項目すべてでプラセボに対して統計学的有意差が認められたという。また、抗Aβ抗体では付き物の副作用がアミロイド関連画像異常(ARIA)だが、その発現率はARIAのうち脳浮腫をさすARIA-Eが12.5%(症候性2.8%)、脳微小出血をさすARIA-Hが17.0%(同0.7%)。アデュカヌマブが高用量群でプラセボ比でのCDR-SB変化量で見た悪化抑制率は23%(低用量群では14%)で、ARIA発現率がレカネマブの約3倍であることを考えれば、確かに成績は良いと言える。しかも、あくまでエーザイ側の説明に依拠するが、プラセボと比較したCDR-SB変化量の差は治験開始6ヵ月後に発現しているというのだ。私が驚いたのはむしろこの効果発現の早さだ。さてエーザイではこの結果をもって日米欧で2022年度中のフル申請、2023年度中のフル承認を目指すという。「フル」というのはアデュカヌマブの時のような条件付き承認ではないということである。ちなみに米国では、すでにClarity AD以外の試験結果で迅速承認制度の指定を受け、その結果は来年1月上旬までに明らかになる予定だが、この試験結果を追加提出することで、アデュカヌマブのような「失敗」はしないという意味である。CMSはアデュカヌマブの保険償還制限に当たって、同薬のような“条件付きの迅速承認の場合”とこちらも条件を付けている。では、このまま承認に至った際の課題は…やはり投与対象と薬価の問題である。米国でアデュカヌマブが承認された際の年間薬剤費は約600万円となった。前述のCMSの付けた条件が制限となったため、現実にはほとんど売上と言えるほどの数字にはなっていない。抗体医薬品である以上、どんなに頑張ってもレカネマブの年間薬剤費が100万円以下というのは世界のどの国でも考えにくい。たとえば仮に年間100万円としても、現在日本には推定約700万人の認知症患者がいる。日本国内でこのうちの1%強に当たる10万人が処方を受けたとすると、年間薬剤費は1,000億円となる。世界最速とも言える少子高齢化が進み、社会保障費の増大に危機感が募るばかりの昨今の状況を考えれば、簡単に容認できる話ではない。これまでの経緯を考えれば、承認されたあかつきに厚生労働省は最適使用推進ガイドラインなどでかなり投与対象を絞り込んでくるだろう。それに仮に成功しても、その先が相当厄介である。まず、投与開始後にどのような状態を有効・無効と判定するのか。かつて話題になった免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブ(商品名:オプジーボ)の場合ならば、画像診断での腫瘍縮小効果という指標もあった。では、レカネマブでは1回数十万円もするアミロイドPETでAβ量を定量化するのか? それともある程度ばらつきもあるMMSEで判定するのか?有効基準が決まったとして、投与はいつまで続けるのか? そもそもADは高齢者の病気である。期待余命は長くはなく、悪化抑制効果が最大限得られたとしても患者本人の社会的・経済的生産性の向上が見込めるかと言えば、そこには「?」がつく。とはいえ、MCIの父親を持つ自分にとってみれば、たとえ3割弱の遅延抑制効果とはいえ、老老介護となっている母親の肉体的・精神的負担を考えれば、使える物なら使ってみたいという気持ちもある。約束した寿司屋でうまそうに漬け丼をほおばる父親を見ながら、そんなことばかりを考えていた。寿司屋を出て両親と一緒に牛歩で駅に向かった。とくに何時の新幹線に乗るかは決めていなかった。アーケード街を歩きながら、途中でベンチが見えると父親はそこに腰を掛けて休むと言い出した。母親は私に気を遣って、「私たちはゆっくり行くから、あなたは先に帰りなさい」と促した。私は父親に「またね?」と言ってその場を後にした。父親はまた破顔一笑。そのまま後ろを振り返らずにまっすぐ駅へと向かった。医療経済性、社会保障費の増大、患者家族としての思いがぐるぐる頭を巡りながら、今日この時点でも結論は出ていない。たぶんこの先も容易に結論は出ないだろう。正直、メディアの側にいるというだけで私たちは他人から忌み嫌われることは少なくない。とはいえ、それでも自分で自分の仕事を嫌だと思ったことは、こと私自身に関しては数えられるほど少ない。ただ、この日ばかりは「何も知ならきゃ良かった。本当に因果な商売だな」と自分の仕事が嫌になった数少ない日として、生涯忘れられない日になりそうである。

9689.

長く生きるがん患者をどう支えるか――がんサバイバーシップケアの実践【Oncologyインタビュー】第41回

出演安房地域医療センター 総合診療科亀田ファミリークリニック館山 家庭医診療科西 明博 氏がん診療が進化するにつれ、がん罹患後もその先の人生を長く生きる患者が増えています。「がんサバイバー」とは、罹患後の患者はもちろん、その家族・友人・介護者までをも含む幅広い概念です。彼ら彼女らを支える側面を「身体的」「精神的」「社会的」「スピリチュアル的」の4つに整理したうえで、今、医療者が知っておきたいことを包括的に解説します。講師は千葉県の安房地域医療センターの家庭医として多くのがん患者に向き合い、退院後のフォローアップなども積極的に行っている西 明博氏です。

9690.

片頭痛患者のスマホ使用が痛みの強さや治療に及ぼす影響~多施設横断比較研究

 スマートフォンユーザーは、世界中で飛躍的に増加している。スマートフォン使用中または使用後にみられる症状として、頭痛、睡眠障害、物忘れ、めまい、その他の疾患などが挙げられる。また、片頭痛は身体的衰弱を伴う疾患であり、身体障害の原因として世界で2番目に多い疾患といわれている。パキスタン・Jinnah Medical and Dental CollegeのMehwish Butt氏らは、スマートフォンの使い過ぎが片頭痛患者の障害レベル、痛みの強さ、睡眠の質、全体的なQOLにどのような影響を及ぼすかを明らかにするため、本研究を実施した。その結果、スマートフォンの使い過ぎは、片頭痛患者の痛みを増強させ、薬物治療効果を減弱させる可能性が確認された。このことから著者らは、片頭痛患者は症状悪化を避けるために、スマートフォンの使用を制御することが推奨されるとしている。Brain and Behavior誌オンライン版2022年9月20日号の報告。 スマートフォン依存傾向尺度(Mobile Phone Problematic Use Scale)を用いて、片頭痛患者をスマートフォン使用率の高い群(HMPUG)と低い群(LMPUG)に分類した。各尺度等を用いて、両群における患者の障害レベル(片頭痛評価尺度[MIDAS])、痛みの強さ(VAS)、睡眠の質(ピッツバーグ睡眠質問票[PSQI])、日中の眠気(エプワース眠気尺度)、QOL(24時間片頭痛QOLアンケート)の評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象者数は400例(女性:263例[65.8%]、男性:137例[34.3%])。・回答者の平均年齢は、27.59±9.79歳であった。・家族の平均人数は、5.98±2.3251人であった。・HMPUGは、LMPUGと比較し、痛みの強さ、睡眠の質の低下、薬物治療効果の減弱が認められた(p<0.05)。・しかし、LMPUGでは、片頭痛の持続時間および治療薬の投与量の増加が報告された(p<0.05)。

9691.

がん治療による放射線関連心疾患、弁膜症を来しやすい患者の特徴/日本腫瘍循環器学会

 9月17、18日に開催された第5回日本腫瘍循環器学会にて、塩山 渉氏(滋賀医科大学循環器内科)が「放射線治療による冠動脈疾患、弁膜症」と題し、放射線治療後に生じる特異的な弁膜症とその治療での推奨事項について講演した(本シンポジウムは日本放射線腫瘍学会との共催企画)。 がんの放射線治療による放射線関連心疾患(RIHD:radiation-induced heart disease)の頻度は医学の進歩により減少傾向にあるが、それでもなお、食道がんや肺がん、縦隔腫瘍でのRIHD発症には注意を要する。2013年にNEJM誌に掲載された論文1)によると、照射から20年以上経過してもなお、主要心血管イベントリスクが8.2%(95%信頼区間:0.4~26.6)も残っていたという衝撃的な報告がなされた。それ以来、RIHDは注目されるようになり、その1つに弁膜症が存在する。放射線治療時の心臓への影響予測にAMC これら放射線治療時の心臓の予後予測のために見るべき点として、「上記のような弁膜症を発症する症例にはAorto-mitral curtain(AMC、大動脈と僧帽弁前尖の接合部)に進行性の弁の肥厚や石灰化が進行しやすいという特徴がある」と同氏は述べ、「肥厚をきたしている場合は予後が悪いとの報告2)もあることから、放射線治療時の診断マーカーになるのではないかとも言われている」とコメントした。また、心臓手術による死亡率を予測する方法として用いられるEuroSCORE(European System for Cardiac Operative Risk Evaluation)は本来であればスコアが高ければ予後が悪いと判定されるが、「AMCが肥厚している症例ではスコアにかかわらず予後不良である」と汎用される指標から逸脱してしまう点についても触れた。放射線治療における心毒性に対するESCガイドラインでの推奨 先日行われた欧州心臓病学会(ESC)2022学術集会において、初となる腫瘍循環器ガイドラインが発刊された。そこでは放射線治療における心毒性に関してもいくつか推奨事項が触れられており、がん治療患者の急性冠症候群(ASC)に対するPCI施行の可否についてはその1つである。ガイドラインによれば、「STEMIまたは高リスクのNSTE-ACSを呈し、予後6ヵ月以上のがん患者には侵襲的な治療戦略が推奨される(クラスI、レベルB)」とされ、予後6ヵ月未満の方については薬物療法を検討することが記載されているが、「がん治療による血小板減少を伴う患者に対しては、抗血小板薬の使用を慎重にならざるを得ないため、“アスピリンやP2Y12阻害薬の使用は推奨されない”(クラスIII、レベルC)」と薬物療法介入時の注意点を説明した。心臓に直接影響のある放射線量やドキソルビシン投与有無で分類 次に、がんサバイバーの外科治療による予後はどうか。外科的弁置換術(SAVR)において、放射線治療を受けた重度の大動脈弁狭窄症患者では放射線治療歴のない患者と比較して長期死亡率が有意に高いことが明らかになっているため、2020年改訂版『弁膜症治療のガイドライン』(p.69)でも、TAVIを考慮する因子として“胸部への放射線治療の既往 (縦隔内組織の癒着)”と明記されている。さらに、胸部放射線照射後の予後を調査した論文3)によると、胸部放射線照射群におけるTAVIは、対照群と比較して30日死亡率、安全性、有効性が同等であるものの、1年死亡率や慢性心不全の増悪が高いことが示された。ただし、両治療法の転帰について比較した報告4)を踏まえ、TAVI群では完全房室ブロックの発症やペースメーカーの挿入率が多かったことを念頭に置いておく必要がある。 そのほか、放射線治療の平均心臓線量と関連する心毒性を確認する推奨項目としてESCガイドラインに掲載されている「ベースラインCVリスク評価とSCORE2またはSCORE-OPによる10年間の致死的および非致死的CVDリスクの推定が推奨される(クラスI、レベルB)」「心臓を含む領域への放射線治療前に、CVDの既往のある患者にはベースライン心エコー検査を考慮するべきである(クラスIIa、レベルC)」「重症弁膜症を有するがんサバイバーの手術リスクを協議し、その判定を行うために、多職種チームによるアプローチが推奨される(クラスI、レベルC)」「放射線による症候性重度大動脈弁狭窄症で、手術リスクが中程度の患者にTAVI手術を行う(クラスIIa、レベルB)」を紹介。最後に同氏は「MHD(Mean heart dose)による評価が大切であり、心臓に直接影響のある放射線量やドキソルビシン投与有無などで低リスク~超ハイリスクの4つに分類する点などもESCガイドラインに記載されているので参考にして欲しい」と締めくくった。

9692.

1型DMの血糖管理、間歇スキャン式持続血糖測定vs.SMBG/NEJM

 糖化ヘモグロビン(HbA1c)値が高い1型糖尿病患者において、高血糖/低血糖のアラームを設定できる間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM)の使用は、フィンガースティック(指先穿刺)血糖測定による血糖モニタリングと比較して、HbA1c値の有意な低下に結び付くことを、英国・Manchester Academic Health Science CentreのLalantha Leelarathna氏らが同国で実施した多施設共同無作為化非盲検比較試験「FLASH-UK試験」の結果、報告した。持続血糖モニタリングシステム(間歇スキャン式またはリアルタイム)の開発により、フィンガースティック検査なしでの血糖モニタリングが可能となったが、HbA1c値が高い1型糖尿病患者において、高血糖/低血糖のアラームを設定できるisCGMの有益性は不明であった。NEJM誌オンライン版2022年10月5日号掲載の報告。アラーム機能付きisCGM vs.指先穿刺血糖測定、HbA1c値の改善を比較 研究グループは、16歳以上、罹患期間1年以上で、持続皮下インスリン注入療法またはインスリン頻回注射を行ってもHbA1c値が7.5~11.0%の1型糖尿病患者156例を、isCGM群(78例)とフィンガースティック検査による自己血糖モニタリング(対照)群(78例)に1対1の割合で無作為に割り付け追跡評価した。isCGMは、FreeStyle Libre 2(Abbott Diabetes Care製)を用いた。 主要評価項目は、無作為化後24週時のHbA1c値とし、intention-to-treat解析を行った。主要な副次評価項目は、センサーデータ、患者報告アウトカム、安全性などである。isCGM使用により、低血糖が減少し安全にHbA1c値が改善 156例の患者背景は、平均(±SD)年齢44±15歳、平均糖尿病罹患期間21±13年、HbA1c値8.6±0.8%、女性44%であった。 HbA1c値は、isCGM群でベースラインの平均8.7±0.9%から24週時7.9±0.8%に、対照群で8.5±0.8%から8.3±0.9%にそれぞれ低下した(補正後平均群間差:-0.5ポイント、95%信頼区間[CI]:-0.7~-0.3、p<0.001)。 血糖値が目標範囲内にある時間(1日当たり)は、対照群と比較してisCGM群において9.0ポイント(95%CI:4.7~13.3)高く、130分(95%CI:68~192)延長した。また、低血糖(血糖値<70mg/dL)の時間(1日当たり)は、対照群と比較してisCGM群で3.0ポイント(95%CI:1.4~4.5)低く、43分(95%CI:20~65)短かった。 重症低血糖エピソードは対照群2例で報告された。また、isCGM群ではセンサーへの皮膚反応が1例に認められた。 なお、著者は研究の限界として、非盲検試験のため対照群のうちisCGMに移行した後に24週時のHbA1c値を測定した患者が5例いたこと、ほとんどの患者が白人で結果の一般化に限りがあること、アラームの設定と使用に関するデータは提供されていないため観察された有益性がセンサーのみによるものか、使用したisCGMのアラームによるものかは確認できないことなどを挙げている。

9693.

4回目接種後、高齢者の入院予防効果はどれだけ上がるか/BMJ

 中等症~重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチンの有効性は、3回目接種後に経時的に低下したが、4回目接種が推奨されたほとんどのサブグループで追加ブースター接種により改善することが、米国疾病予防管理センター(CDC)のJill M. Ferdinands氏らが実施した検査陰性デザインによる症例対照研究で示された。COVID-19のBNT162b2(ファイザー製)/mRNA-1273(モデルナ製)ワクチンは、有効性が経時的に低下し追加接種で上昇することが臨床研究で示唆されているが、この傾向が年齢、免疫不全状態、ワクチンの種類や接種回数でどのように変化するかは不明であった。今回の結果を受けて著者は、「3回目ワクチン接種の推奨と追加ブースター接種の検討が推奨される」とまとめている。BMJ誌2022年10月3日号掲載の報告。約89万人を対象とした検査陰性デザインによる症例対照研究 研究グループは、2021年1月17日~2022年7月12日の期間に、VISIONネットワークに参加している米国10州の病院261施設、272の救急診療部(ED)または救急診療所(UCC)119施設に入院または受診した、COVID-19様疾患のためSARS-CoV-2検査を受けた18歳以上の成人89万3,461例について解析した。 主要評価項目は、BNT162b2またはmRNA-1273ワクチンの有効性の低下であった。オミクロン変異株流行期、デルタ変異株流行期およびデルタ変異株流行前の期間に分け、暦週と地理的地域を条件とし、年齢、人種、民族、地域のウイルス循環、免疫不全状態、ワクチン接種について調整したロジスティック回帰モデルで推定した。オミクロン株流行期の有効性、3回目接種後<2ヵ月が最も高く4~5ヵ月後には低下 病院に入院したCOVID-19症例4万5,903例とSARS-CoV-2検査陰性のCOVID-19様疾患21万3,103例(対照)を、ED/UCCを受診したCOVID-19症例10万3,287例とSARS-CoV-2検査陰性のCOVID-19様疾患53万1,168例を比較した。 オミクロン株流行期において、病院に入院を要するCOVID-19に対するワクチンの有効性は、3回目接種後<2ヵ月では89%(95%信頼区間[CI]:88~90)であったが、4~5ヵ月後には66%(63~68)に低下した。また、COVID-19によるED/UCC受診に対するワクチンの有効性は、3回目接種後<2ヵ月で83%(82~84)であったが、4~5ヵ月後には46%(44~49)に低下した。 ワクチンの有効性の低下は、若年や免疫不全状態ではない集団などすべてのサブグループで認められたが、免疫不全状態の集団でより顕著であった。 ブースター接種が推奨されるほとんどの集団において、4回目接種後にワクチンの有効性は増加した。65歳以上における入院に対する有効性は、3回目接種後8ヵ月以上で45%であったのが、4回目接種後2ヵ月で76%に増加した。

9694.

塩野義のコロナ治療薬、発症予防検証の第III相試験を12月に開始

 塩野義製薬は、10月11日に行われたR&D Day 2022にて、同社が開発中の新型コロナウイルス(COVID-19)経口治療薬ensitrelvir(S-217622)について、症状の発生抑制効果を検証するため、SARS-CoV-2感染症患者(初発患者)の同居家族を対象とした第III相臨床試験(SCORPIO-PEP試験)を、日本と米国などで2022年12月より開始する予定であることを発表した。また、6~12歳未満の軽症・中等症を対象とした日本での第III相試験や、入院患者を対象とした米国、欧州などでの第III相試験を、ともに2022年11月から実施することなども明らかにした。 説明会資料によると、COVID-19発症予防効果の検証のための第III相試験は、無作為化二重盲検プラセボ対照試験にて、日本と米国、そのほか数ヵ国の2,040例を対象に実施される。SARS-CoV-2に感染した初発患者の同居家族に対して、ensitrelvir投与群とプラセボ群とを比較し、投与開始から10日間後のCOVID-19症状の発症抑制効果を検証する。本試験は、2023年7~9月での症例集積完了を目指している。 なお、ensitrelvirのマウス感染モデルでの予防効果試験では、SARS-CoV-2感染24時間前に用量128mg/kg、64mg/kg、32mg/kgの3パターンで本剤を単回皮下投与して比較した結果、投与量64mg/kg以上(感染時血漿中濃度2.99μg/mL)で致死抑制効果が認められたとし、予防的にensitrelvirを投与することにより、SARS-CoV-2感染マウスの生存率が改善した。 ensitrelvirの小児への臨床試験については、6~12歳未満の軽症・中等症を対象に、錠剤投与による試験を国内で11月に開始するほか、0~6歳未満を対象として、顆粒製剤を使ったグローバル第III相試験を計画している。12~18歳未満については、国内とグローバルで実施中の第II/III相試験結果を基に、日米欧の適応取得を検討している。 また、同社の開発する新型コロナワクチン(S-268019)については、年内に承認申請を行う方針を明らかにした。変異株への対応として、S-268019臨床試験検体における追加免疫時の中和抗体価は、ファイザー製ワクチンによる追加免疫時の中和抗体価と同程度だという。なお、オミクロン株の遺伝子情報を基にした抗原製造プロセスの検討は最終段階にあるとしている。

9695.

英語で発表、盛り上がる!【Dr. 中島の 新・徒然草】(447)

四百四十七の段 英語で発表、盛り上がる!ついこないだまで夏だと思っていたら、急に冬が来てしまいました。日本にはもう夏と冬しかないのでしょうか?同じ二季でも春と秋だったらいいのに、と私は思います。さて、私は先週、秋の熊本に行ってきました。国立病院総合医学会という学会に参加するためです。熊本市は、城と大学と病院が近くに集まっている街でした。天気も良かったので、のんびりと路面電車に乗ります。いつの間にか、熊本城ホールや熊本駅に着くのが便利でした。学会では、毎年行われる若手医師フォーラムに、今年もディスカッサントとして参加。若手医師フォーラムというのは、レジデントや研修医が英語で発表するセッションです。症例報告と研究とに分かれて発表します。しかし、単に発表するだけだと盛り上がらないので、点数を付けて表彰することになっていました。また、あらかじめ指名されたディスカッサントが質問したり、コメントしたりします。で、このディスカッサント役に指名されたわけです。最低2演題に対して質問するように、ということでザッと抄録を読んでいきました。本番では皆さんそれぞれに練習してきたのか、かなり上手な英語での発表です。もし、1つアドバイスするとすれば、ゆっくりしゃべることが重要かと思います。というのも、早口で不明瞭な発音だと、大変聞き取りにくくなるからです。英語の上手下手を競っているわけではなく、発表の内容を競っているわけです。発表を評価してもらうためには、まず聴く人に理解してもらわなくては話になりません。日本語アクセントでもいいので、ゆっくりとわかりやすくしゃべるべきですね。次にディスカッサントとしての心得です。読者の皆さまが今回の私のような立場になった時のために、アドバイスを1つ。その場で質問を考えて英語でしゃべるのは、なかなか難しいのが現実。なので、あらかじめ質問を準備していく必要があります。1つの抄録あたり5つぐらいは考えておいたほうがいいでしょう。というのも、抄録に書いてなくても、発表の中で回答が示されてしまうことがあるからです。たとえば今回の演題では、脳外科の脳深部刺激療法がありました。定位的に視床に電極を刺入するのですが、その手術を全身麻酔でやるのか、局所麻酔でやるのか?私はそれを知らなかったので、質問候補にあげていました。もし演者が発表の中で「電極刺入は局所麻酔で行います」などと言ったら、この質問はボツです。そう考えると、準備する質問は5つくらいあったほうが無難ですね。ちなみに電極刺入は局所麻酔、刺激装置の皮下埋め込みは全身麻酔でやるのだそうです。あと、質問は紙に書いておくべきです。スマホにメモしておくという方法もありますが、電子媒体は必ずしも信用できません。やはり、物理的な手段で残しておいたほうが確実です。さて、発表後の点数集計の間、座長の先生が場つなぎの話をされました。英語の大切さについてです。この先生はある時に、楽天の三木谷社長と直接に話をする機会があったそうです。その時に、社内公用語の英語化の功罪について尋ねたのだとか。三木谷社長の答えは、公用語を英語にしたことによって、世界中から人材を集めることができた英語のコミュニケーションといっても、中学レベルで十分だ他から転職してきた人でも、4ヵ月ほどで慣れるとのことでした。社内公用語の英語化は大成功だ、と三木谷社長は考えているようです。いよいよ集計が完了し、症例発表から1演題、研究から1演題が表彰されました。それぞれ豪華な副賞あり!会場には、それぞれ演者の応援団が来ていたので、大変な盛り上がりでした。というわけで、それぞれに頑張った若手医師フォーラム。久々にハッピーな気分になることができました。最後に1句秋深し 路面電車に 身を任せ

9697.

せん妄は緩和ケアでよく遭遇する徴候なのです【非専門医のための緩和ケアTips】第37回

第37回 せん妄は緩和ケアでよく遭遇する徴候なのです「せん妄」って緩和ケアに限らず、どの分野でも遭遇しますよね。でも、緩和ケアではとくにせん妄の対応って大切なのです。今回は緩和ケアで必ず対応が必要になる、せん妄のお話です。今日の質問看取りにも対応する在宅医療を行っています。先日、終末期の患者さんが興奮した様子となり、家族が驚いてしまいました。「在宅療養の継続は難しい」と判断して緊急入院となりました。もともと家族は「自宅で最後まで過ごさせてあげたい」と言っており、「本当に入院してよかったのか」と感じます。こういった場合、どのように対応しますか?在宅緩和ケアでは、しばしばこういった難しい状況に直面します。ご質問からの推測になりますが、終末期せん妄の状態だったのでは、と感じます。入院や在宅で緩和ケアを実践していると、よく遭遇する徴候です。皆さんは終末期患者さんがどの程度、せん妄を発症するかご存じでしょうか? データにもよるのですが、「がん患者が亡くなる数日前には88%に発症する」と言われています。これ、すごく高頻度ですよね。なので、日単位の予後のがん患者さんに意識の変容が生じた場合は、せん妄である可能性が非常に高いのです。せん妄に対しては重要な点がたくさんあるのですが、その一つが「気付く」ことです。今回のように興奮が強いタイプのせん妄は気付きやすいのですが、活気がないように見えるタイプのせん妄については、気付きにくいことが知られています。せん妄に対しての介入は、まずは「原因となっている身体疾患の中で改善できるものがないか」を考えます。たとえば、高カルシウム血症のような電解質異常がせん妄を助長しているのであれば、補正を検討します。ただ、予後日単位の状況だと、現実的になかなか改善が難しいことが多いですね。薬物療法としては、ハロペリドール(商品名:セレネース)などの抗精神病薬を用います。それでも興奮が強い時には、より鎮静作用の強い薬剤を用いることもあります。さらに、せん妄は家族のつらさも助長します。「大切な家族が、人が変わったようになってしまった…」というのは、せん妄患者の家族からよく聞かれる嘆きです。死別が近いことによる悲嘆の中にある家族にとって、さらにつらさを増す状況であることは想像するに難くありません。そうした意味では、せん妄は在宅療養の継続が難しくなる徴候の一つです。興奮の強いせん妄の場合、私自身も薬物療法をしながら、入院の相談をすることがよくあります。近年、せん妄に対しては書籍やガイドラインが増えました。それだけ医療現場では切実な問題なのでしょう。どれもお薦めなのですが、日本サイコオンコロジー学会の「がん患者におけるせん妄ガイドライン2022年版」(金原出版)が2022年6月に改訂されていますので、まずはこれから読んでみてはいかがでしょうか?今回のTips今回のTipsせん妄への対応は、緩和ケアの分野でも重要なスキルです。

9698.

10月13日 世界血栓症の日【今日は何の日?】

【10月13日 世界血栓症の日】〔由来〕国際血栓止血学会が、血栓症の認識を高め、診断、治療を促進し、最終的に血栓症による障害、死亡を低下させることを目的に制定。わが国では日本血栓止血学会が血栓症の啓発活動に取り組んでいる。関連コンテンツ咳嗽も侮れない!主訴の傾聴だけでは救命に至らない一例【Dr.山中の攻める!問診3step】動脈硬化のナレノハテ【患者説明用スライド】急性期虚血性脳卒中へのtenecteplase、標準治療となる可能性/Lancet脳梗塞の血栓除去術、発症6h以降でも機能障害を改善/Lancet脳卒中治療ガイドラインが6年ぶりに改訂、ポイントは?

9699.

第15回 「全国旅行支援」は感染対策ムードに勝てるか?

「全国旅行支援」が開始10月11日から、旅行代金を一部補助する観光支援策である「全国旅行支援」がスタートしました。ポスト「Go To トラベル」としての位置付けです。さらに、海外からの水際対策としての入国者の上限を撤廃して、外国人の個人旅行を解禁しました。1日当たり5万人の入国者上限を撤廃しています。インバウンドによる観光業勃興の起爆剤となるかどうか、重要な局面になるでしょう。さて、全国旅行支援の割引率は40%となります。上限額は、公共交通機関利用付き宿泊は1泊1人当たり8,000円、宿泊・日帰りは1泊・1日当たり5,000円です。また、飲食店などに使えるクーポンも、平日3,000円・休日1,000円の補助が出ます(表)。クーポンも含めると1日当たり最大1万1,000円分が補助されることになります。これは、デカイです。表. 全国旅行支援(筆者作成)コロナ禍以降、まだ旅行に行っていない医療従事者も多いと思います。もし今回の「全国旅行支援」を検討されるのであれば、急いだほうがよいかもしれません。すでに旅行予約サイトがつながりにくくなったり、業者によっては予算上限に達しており、受付を終了しているところもあります。東京都は、準備が間に合わず10月20日開始となっています。大人数で旅行に行く際、そのうちの1人がワクチン接種証明や検査陰性証明を提示できない場合、自治体によっては全員割引対象外となる「連帯責任」のケースが発生するそうです。地域によっては細かいトラブルが生じるかもしれませんね。感染対策ムードとの綱引きさて、確かに新型コロナの感染は減少していますが、まだ決して低い水準にあるとは言えません。さらに、第8波の懸念も出始めています。人の移動が増える年末から感染者数が増加し始め、1月上旬あたりにピークが到来するのではないか、と予想している専門家も多いです。厚生労働省は、外国人観光客だけでなく、国内旅行においても3密の回避や換気、マスク着用などの対策を呼び掛けています。マスク着用については、国内外で温度感が異なるため、外国人観光客との間でマスク着用を巡ってトラブルにならなければよいですね。感染対策を行いながら、こうした緩和ムードと付き合っていくことになりますが、政府が全国旅行支援をすすめながら、自粛を呼びかけるなどのダブルスタンダードにならないことを祈るばかりです。

9700.

新型コロナワクチン未接種者の特徴とは?

 世界中で新型コロナワクチンの接種やブースター接種が進められる中、まだ1度もワクチンを接種していないコロナワクチン未接種者が存在する。これらのコロナワクチン未接種者の人々には共通の特性があるのだろうか。スコットランドにおいてコロナワクチン未接種者の特性を調べたPublic Health Scotland所属のSafraj Shahul Hameed氏らによる研究結果がLancet誌2022年9月24日号 CORRESPONDENCEに掲載された。コロナワクチン未接種者として49万4,288例を特定 2022年8月10日までに、スコットランドに住む約440万人の成人のうち、349万7,208人がCOVID-19ワクチンの3回接種を完了している。Hameed氏らは、2019年1月1日以降にスコットランドの国民保健サービス(NHS)と少なくとも1回のやりとりがあった、ワクチン接種記録がない人をコロナワクチン未接種者と定義した。 ワクチン接種対象者として記録された471万2,810例のうち、84万2,029例(17.9%)に接種の記録がなかった。このうち8万6,489例(10.3%)に免疫性の禁忌、接種の同意が得られない、体調不良、患者による接種拒否など、コロナワクチン未接種の理由が記録されていた。記録されたコロナワクチン未接種の理由の約5分の1が免疫性の禁忌だった。 研究所の記録から、パンデミック開始以降に少なくとも1回COVID-19のPCR検査を受け、かつ接種記録のない25万4,049例が確認された。病院以外の処方記録から2019年1月1日以降に何らかの薬を処方された、接種記録のない41万6,499例を特定した。28万5,647例のコロナワクチン未接種者が予定外の医療機関受診(NHS 24、家庭医の時間外診察、スコットランド救急サービスのいずれか1つ以上)をしており、13万3,569例のコロナワクチン未接種者が少なくとも1回の入院を経験していた。上記のデータのいずれにもワクチン接種の記録がない26万8,740例が確認された。 スコットランドでCOVID-19ワクチン接種の記録がない57万3,289例の成人が、2019年1月1日以降にNHSと少なくとも1回接触していることが確認された。ワクチン接種プログラムの開始以降に死亡した人、およびコロナワクチン未接種の理由として免疫性の禁忌が記録されている人を除外し、2022年8月10日時点で、COVID-19のワクチン接種の記録がない49万4,288例をコロナワクチン未接種者として特定した。コロナワクチン未接種者の5人に1人に中枢神経系に関連する疾患の薬 このコロナワクチン未接種者コホートは、男女比がほぼ同じ、年齢分布も男女ともほぼ同じで、平均年齢は42.4歳であった。多くは都市部に住んでおり、29.0%がScottish Index of Multiple Deprivation(雇用や所得など7領域の総合指標)のスコアが最も低い地域に居住していた(接種者は18.7%)。 家庭医の記録によると、コロナワクチン未接種者のうち29万8,866/49万4,288例(60.5%)が併存疾患を有していない(接種者は198万8,751/384万7789例[51.7%])一方で、5万5,122/49万4,288例(11.2%)が3つ以上の併存疾患を持っていた(接種者は48万1,019/384万7,789例[12.5%])。コロナワクチン未接種者で最も多く報告された併存疾患は、慢性呼吸器疾患(15.7%)、うつ病(12.8%)、高血圧症(10.6%)であった。 コロナワクチン未接種者の5人に1人(10万3,505例[20.9%])が中枢神経系に関連する疾患の薬を処方されており(接種者は65万5,531例[17.0%])、さらにうち3分の1以上(4万179/10万3,505例[38.8%])が抗うつ薬を処方されていた。 多変量ロジスティック回帰分析により、ワクチン接種動向を予測する可能性が最も高い因子を同定した。男性、貧困度が高い、大都市圏在住、中枢神経系疾患の薬を処方されている、3つ以上の併存疾患があることはコロナワクチン未接種と最も関連していたが、いくつかの併存疾患(高血圧、糖尿病、慢性呼吸器疾患など)を持つ人は、ワクチン接種を受ける可能性が高かった。 英国の過去のデータでは、年齢の上昇と併存疾患はCOVID-19死亡率を上げる最も広く認識されているリスク要因の一つだが、併存疾患を多く持つ人々は、コロナワクチン未接種のリスクが高いままであった。 著者らは「本分析により、人口規模の過大推定の可能性を考慮しても、スコットランドの成人人口のかなりの割合がコロナワクチン未接種であることが明らかになった。また、コロナワクチン未接種状態の予測因子も明らかになり、国のワクチン接種戦略の改訂に役立てることができる」としている。

検索結果 合計:35162件 表示位置:9681 - 9700