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事例023 メトクロプラミド(プリンペラン)注射液の査定【斬らレセプト シーズン3】

解説事例ではメトクロプラミド(商品名:プリンペラン)注射液(以下「同注射液」」の筋注が、A事由(医学的に適応と認められないもの)にて複数件の査定となりました。同注射液は、悪心・嘔吐の改善や内視鏡などの腸管検査時にも日常的によく使用される薬剤です。レセプトをよくみると、傷病名が「めまい症」のみでした。同注射薬の効能・効果に謳われている「悪心・嘔吐」を表す病名がありませんでした。確かに、めまいが昂進すると悪心・嘔吐を伴いますが、「めまい症」のみでは「悪心・嘔吐」が伴っているかどうかは判断できません。したがって、病名不足を理由に査定となったものと推測できます。複数件の査定であったため査定原因を探ってみました。レセプトチェックシステムでは、「悪心・嘔吐が伴う病名がありません」と指摘されていました。カルテには頻回の嘔吐が明記されていました。レセプト担当者に確かめると、「同注射薬の作用機序は知っている。めまい症では『悪心・嘔吐』が伴うもの。今まではよかった」と返答がありました。今はレセプト審査も電子化されており、添付文書通りの審査が基本となっています。レセプト担当者全員に、レセプトチェックシステムの指摘と異なる結果を判断した場合には、必ず上位職に報告して指示を仰ぐことに加えて、チェックシステムの指摘にはしたがって内容修正することを徹底して査定対策としました。

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日本人救急医における不眠症・睡眠薬使用リスク

 救急医は、不眠症の有病率や睡眠薬の使用頻度が高いといわれている。救急医の睡眠薬使用に関するこれまで研究では、回答率の低さから、現状を十分に把握できていなかった。国際医療福祉大学の千葉 拓世氏らは、若手日本人救急医を対象に、不眠症の有病率および睡眠薬使用状況を調査し、不眠症や睡眠薬使用に関連する因子の評価を試みた。その結果、日本における若手救急医は慢性不眠症の有病率および睡眠薬の使用率が高く、慢性不眠症には長時間労働やストレスが、睡眠薬の使用には性別、婚姻状況、ストレスが関連していることが報告された。The Western Journal of Emergency Medicine誌2023年2月20日号の報告。 2019年と2020年に初めて日本救急医学会の専門医試験を受験した救急科専門医を対象に、慢性不眠症および睡眠薬使用に関する調査を実施した。データは、匿名かつ自発的な報告により収集した。不眠症の有病率および睡眠薬使用について調査し、それらに影響を及ぼす人口統計学的および仕事関連の因子を特定するため、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・回答率は、89.71%(732/816人)であった。・慢性不眠症の有病率は24.89%(95%信頼区間[CI]:21.78~28.29)、睡眠薬の使用率は23.77%(95%CI:20.69~27.15)であった。・慢性不眠症に関連する因子は、長時間労働(オッズ比[OR]:1.02、95%CI:1.01~1.03、1週間当たり1時間)、ストレス要因(OR:1.46、95%CI:1.13~1.90)であった。・睡眠薬使用に関連する因子は、男性(OR:1.71、95%CI:1.03~2.86)、未婚(OR:2.38、95%CI:1.39~4.10)、ストレス要因(OR:1.48、95%CI:1.13~1.94)であった。・ストレス要因は主に、患者/家族および同僚への対応、医療過誤に関する懸念、疲労のストレッサーによる影響を受けていた。

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閉経後ホルモン受容体陽性乳がんの術後アナストロゾール、10年vs.5年(AERAS)/JCO

 閉経後ホルモン受容体(HR)陽性乳がん患者に対する術後のアロマターゼ阻害薬の投与期間について、5年から10年に延長すると無病生存(DFS)率が改善することが、日本の多施設共同無作為化非盲検第III相試験(N-SAS BC 05/AERAS)で示された。岩瀬 拓士氏(日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院)らによる論文が、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年4月20日号に掲載された。閉経後ホルモン受容体陽性乳がん治療後にアナストロゾールをさらに5年 本試験は、アナストロゾールを5年投与、もしくはタモキシフェンを2~3年投与後にアナストロゾール2~3年投与した閉経後乳がん患者を対象に、アナストロゾールをさらに5年延長した場合の効果を評価した。患者は、アナストロゾールをさらに5年継続する群(継続群)と、アナストロゾールを中止する群(中止群)に無作為に1:1に割り付けた。主要評価項目はDFS(乳がん再発・2次原発がん発生・あらゆる原因での死亡までの期間)、副次評価項目は全生存(OS)、遠隔無病生存(DDFS)、安全性などであった。 閉経後ホルモン受容体陽性乳がん患者に対する術後のアナストロゾール投与をさらに5年延長した場合の効果を評価した主な結果は以下のとおり。・2007年11月~2012年11月に117施設から1,697例を登録し、追跡情報が得られた1,593例(継続群787例、中止群806例)をFAS(Full Analysis Set)とした(タモキシフェン治療歴のある144例と放射線照射を伴わない乳房温存手術を受けた259例を含む)。・5年DFS率は、アナストロゾール継続群で91%(95%信頼区間[CI]:89~93)、アナストロゾール中止群で86%(同:83~88)であった(ハザード比:0.61、95%CI:0.46~0.82、p<0.0010)。・アナストロゾール延長により、局所再発(継続群10例、中止群27例)および2次原発がん(継続群27例、中止群52例)の発生率が低下した。・OS率およびDDFS率に有意差はなかった。・更年期障害または骨関連の有害事象の発現率は、全Gradeでは中止群よりも継続群で高かったが、Grade3以上では両群とも1%未満であった。 著者らは、「アナストロゾールまたはタモキシフェンによる5年の治療後にアナストロゾールをさらに5年継続する治療は、忍容性が高く、DFSを改善した。OSには差が認められなかったが、閉経後のHR陽性乳がん患者に対するアナストロゾールの投与延長は治療選択の1つとなりうる」としている。

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モルヌピラビル、高リスクコロナ患者の後遺症リスク低減/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染し、重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に進行する危険因子を少なくとも1つ有する患者において、感染後5日以内のモルヌピラビル投与は無治療と比較し、ワクチン接種歴や感染歴にかかわらず、急性期以降の罹患後症状(いわゆる後遺症)(post-acute sequelae of SARS-CoV-2:PASC)のリスク低下と関連していた。米国・VA Saint Louis Health Care SystemのYan Xie氏らが、退役軍人医療データベースを用いたコホート研究で明らかにした。著者は、「COVID-19の重症化リスクが高い患者では、SARS-CoV-2感染後5日以内のモルヌピラビル投与がPASCのリスクを低下する有効なアプローチとなりうる」とまとめている。BMJ誌2023年4月25日号掲載の報告。検査陽性後30日以降の死亡、入院、PASCについて無治療と比較 研究グループは、退役軍人医療データベースを用い、2022年1月5日~2023年1月15日の間にSARS-CoV-2陽性と判定され、重症化リスク(年齢>60歳、BMI>30、がん、心血管疾患、慢性腎疾患、慢性肺疾患、糖尿病、免疫機能障害)を1つ以上有し、陽性判定後30日間生存していた患者のうち、陽性判定後5日以内にモルヌピラビルを投与された患者(モルヌピラビル群)1万1,472例と、陽性判定後30日以内にCOVID-19に対する抗ウイルス薬または抗体治療を受けなかった患者(無治療群)21万7,814例、合計22万9,286例を特定し解析した。 評価項目は、急性期以降の死亡、急性期以降の入院、および急性期以降の死亡または入院の複合である。また、事前に規定した13のPASC(虚血性心疾患発症、不整脈、深部静脈血栓症、肺塞栓症、疲労・倦怠感、肝疾患、急性腎障害、筋肉痛、糖尿病、神経認知障害、自律神経失調症、息切れ、咳)の発症リスクも検討した。すべての急性期以降のアウトカムは、最初のSARS-CoV-2陽性判定後30日から2023年2月15日(追跡調査終了日)まで調査した。 相対スケール(相対リスク[RR]またはハザード比[HR])および絶対スケール(180日後の絶対リスク減少)のリスクが推定された。陽性後5日以内での投与で、急性期以降の死亡、入院、PASCのリスク低下 無治療群と比較してモルヌピラビル群では、PASCのリスク低下(RR:0.86、95%信頼区間[CI]:0.83~0.89、180日後の絶対リスク低下:2.97%、95%CI:2.31~3.60)、急性期以降死亡のリスク低下(HR:0.62、95%CI:0.52~0.74、180日後の絶対リスク低下:0.87%、95%CI:0.62~1.13)、急性期以降入院のリスク低下(HR:0.86、95%CI:0.80~0.93、180日後の絶対リスク低下:1.32%、95%CI:0.72~1.92)が認められた。 モルヌピラビルは、13のPASCのうち、不整脈、肺塞栓症、深部静脈血栓症、疲労・倦怠感、肝疾患、急性腎障害、筋肉痛、神経認知障害の8つのリスク低下と関連していた。また、サブグループ解析の結果、COVID-19ワクチン未接種者、1回または2回のワクチン接種者、ブースター接種者、SARS-CoV-2初感染者および再感染者のいずれにおいても、モルヌピラビル群でPASCのリスク低下が示された。

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大量輸血の外傷患者、4F-PCCの有効性認められず/JAMA

 大量輸血のリスクがある外傷患者において、高比率輸血戦略に4因子含有プロトロンビン複合体濃縮製剤(4F-PCC)を追加しても24時間の血液製剤消費量の有意な減少は認められず、血栓塞栓イベントの発生が有意に増加した。フランス・グルノーブル・アルプ大学のPierre Bouzat氏らが「PROCOAG試験」の結果を報告した。外傷性出血における最適な輸血戦略は不明である。最近の観察研究では、4F-PCCの早期投与と新鮮凍結血漿(FFP)の併用により、血栓塞栓イベントが増加することなく血液製剤の消費量と死亡率が低下することが示されていた。今回の試験を受けて著者は、「大量輸血のリスクを有する患者における4F-PCCの使用は支持されない」とまとめている。JAMA誌2023年4月25日号掲載の報告。24時間血液製剤消費量を4F-PCC群とプラセボ群で比較 「PROCOAG試験」は、フランスのレベルI外傷センター12施設において実施された無作為化二重盲検プラセボ対照優越性試験。 研究グループは、2017年12月29日~2021年8月31日の期間に、大量輸血が予想される外傷患者連続症例を登録し、4F-PCC群(第IX因子25 IU/kg[1mL/kg]静脈内投与)またはプラセボ群(生理食塩水1mL/kg静脈内投与)に無作為に割り付けた。全例、入院時に濃厚赤血球(PRBC)とFFPの比率が1対1から2対1の輸血を早期に受け、欧州外傷性出血ガイドラインの勧告に従って治療された。最終追跡調査日は2021年8月31日であった。 主要アウトカムは、24時間の血液製剤消費量(有効性)、副次アウトカムは動脈または静脈血栓塞栓イベント(安全性)とした。24時間血液製剤消費量に有意差なし、血栓塞栓イベントは4F-PCC群で増加 4,313例がスクリーニングされ、適格基準を満たした350例のうち327例が無作為化され、同意撤回を除く324例が解析対象となった(4F-PCC群164例、プラセボ群160例)。患者背景は、年齢中央値39歳(四分位範囲[IQR]:27~56)、Injury Severity Score中央値36(IQR:26~50[大外傷])、入院時血中乳酸値の中央値4.6mmol/L(IQR:2.8~7.4)。入院前動脈収縮期血圧90mmHg未満の患者割合は59%(179/324例)、233例(73%)が男性、226例(69%)が緊急の出血コントロールを要した。 24時間の血液製剤消費量の中央値は、4F-PCC群12 U(IQR:5~19)、プラセボ群11 U(IQR:6~19)であり、両群間に有意差はなかった(絶対差:0.2 U、95%CI:-2.99~3.33、p=0.72)。 少なくとも1つの血栓塞栓イベントが発現した患者は、4F-PCC群56例(35%)に対し、プラセボ群では37例(24%)で、4F-PCC群のほうが多かった(絶対差:11%[95%CI:1~21]、相対リスク:1.48[95%CI:1.04~2.10]、p=0.03)。

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第158回 アステラス社員のスパイ疑い、考えられる3つの理由(後編)

アステラス製薬の50代社員が中国で「反スパイ法」に抵触したとして身柄を拘束された事件。前回はこれまでの概要、事件の背景情報、私が可能性のある理由として考えている3つのうち1つを提示した。もっとも前編で提示した可能性のある理由は、あくまで広い意味での可能性として提示したもの。私自身は残り2つのいずれかのほうが、より可能性が高いと考えている。それを今回は提示していきたい。―その2:承認審査を中心とした規制情報の収集過程が、反スパイ法に抵触か2つ目の可能性は、社業に関わる情報収集、より具体的には承認審査を中心とした規制情報の収集過程が、中国の理屈では反スパイ法に抵触と扱われたのではないかというものだ。現在、製薬企業の新薬研究開発は年々難航し、開発期間も長期化していることはよく知られている。概況を示すと、基礎研究からの成功確率は約2万2,000分の1、開発期間は10~15年、開発費は約200億円と言われる。現在は人工知能(AI)を利用した創薬も模索され、これにより今後多少なりとも成功確率は上昇するかもしれないが、それでも臨床試験開始後の有効性や安全性の観点で開発中止に至ってしまう事態はほぼ避けられないだろう。その意味では製薬企業が開発過程で期待することの1つが、申請後の承認審査過程がより短縮される点だろう。しかし、この点でかなり難点を抱えていたのが中国だ。2000年代は中国で新薬の承認審査は申請から完了まで2~3年も要することはザラ。これは中国側も問題視していたようで、審査を担当する「医薬品評価センター」の審査担当者増員などにより、ここ数年は300日以下まで短縮している。さらに2020年に改正された薬品登録管理弁法では、原則として承認申請から審査・承認可否決定までの期間を200営業日以内にすることが求められた。さらにここ数年は、治療上の価値や緊急性の高い新薬に対する優先審査制度を新設するなど、日米欧で標準的な審査制度・体制を急速に整えている。事業の多くに規制がかかる製薬企業にとって、中国に限らず、全世界的に当局の規制動向やその先行きに関する情報をいち早く入手できるかは事業遂行上、死活問題である。当然、各社とも各国の当局関係者などに接しながら日常的に情報収集を行っている。中国の場合、前述のように急激な制度変更を行っており、しかも潜在患者も含めると日本の市場規模の約10倍にはなるため、製薬企業各社の中国事業担当者は相当必死のはず。しかし、前述のように「国家の安全」の定義が必ずしも明確ではないことに加え、情報収集や関係者との接触の方法次第では、法に抵触したと言われかねない危険性はあるということだ。-その3:日本企業団体のロビー活動やそれに伴う言動によるものかそして3つ目の可能性は、現地での日本企業団体のロビー活動やそれに伴う言動が何らかの形で反スパイ法抵触と扱われたというもの。前編で触れたように当該社員は中国日本商会の役員も務めており、その中で日中友好事業などの名簿にも名前を連ねていた。さらには、経済産業省の職員などを対象にした研修で、中国でのロビー活動などに関しても講演を行っていたことが明らかになっている。こうなると製薬企業の中国駐在社員という立場を超えるため、社業に関連した活動以上に高官に接触する機会は増えてくる。そこで何気ない程度と思って投げかけた言葉がセンシティブさを増してしまい、当局を刺激する可能性が生まれてしまう。その意味で非常に貴重と思われる情報がある。やはり反スパイ法に抵触したとされ、中国で逮捕拘留された日中青年交流協会元理事長の鈴木 英司氏の事例だ。鈴木氏は6年の実刑判決後に収監されたが、先ごろ刑期満了で帰国し、その経験をメディアに語っている。鈴木氏の場合は、中国高官との会食時、北朝鮮情勢を話題にしたことが反スパイ法に抵触した扱いになったという。この北朝鮮情勢とは、北朝鮮の国家元首である朝鮮労働党総書記の金 正恩氏により、2013年に同国国防委員会副委員長の張 成沢氏が粛清された事件だ。ちなみに張氏は、金 正恩氏の実父で同国国防委員会委員長として2011年まで国家元首の地位にあった故・金 正日氏の義弟で、金 正恩氏の叔父にあたる。この第一報は韓国国家情報院が同年2月3日に発表(後に北朝鮮国営メディアが正式に処刑を発表)し、同日中に韓国メディアをはじめ各国メディアが報じた。鈴木氏の証言によると、この翌日に中国高官との会食の席でこの情報を口にしたところ、高官からは「知りません」との返答が返ってきただけ。しかし、逮捕後にこれが反スパイ法に抵触したと聞かされた。中国の論理によると「国営の新華社が発表していないニュースは国家機密にあたる」と申し渡されたという。事実とすれば、日本人からは何とも理解しがたい論理である。反スパイ法による摘発が「後出しじゃんけん」と言われてしまうのは、この辺も影響しているだろう。つまりは「個人的に興味を持ったニュースを当ててみた」あるいはメディア的な表現で言えば「カマをかけた」ことが反スパイ法抵触と扱われる危険性を示している。その意味では私が挙げた2つ目と3つ目の可能性は、ほかの国では通常業務の範囲内、あるいはたわいもない個人的な興味での会話で終わってしまうだろう。しかし、中国ではこれが違法行為とされてしまう場合があるということだ。今回改めてチャイナ・リスクを再認識させられたが、いずれにせよ拘束された社員の早期の解放を望まずにはいられない。

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統合失調症における睡眠依存性の記憶の定着~メタ解析

 睡眠障害と認知機能障害は、統合失調症でみられる持続的な症状である。これまでのエビデンスにより、統合失調症患者は健康対照者と比較し、睡眠依存性の記憶の定着が損なわれている可能性が示唆されている。トルコ・Dokuz Eylul UniversityのCemal Demirlek氏らは、統合失調症における睡眠依存性の記憶の定着に関するシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、健康成人においては睡眠が記憶の定着を改善するが、統合失調症患者では睡眠依存性の記憶の定着が不足していた。Schizophrenia Research誌2023年4月号の報告。 PRISMAガイドラインに従ってシステマティックレビューを実施した。エフェクトサイズ(Hedge's g)の算出には、変量効果モデルを用いた。定量的レビューでは、健康対照者、統合失調症患者、健康対照者と統合失調症患者の比較における手続き記憶(procedural memory)について、3つの個別のメタ解析を実施した。さらに、最も一般的に使用される指タッピング運動シークエンス課題(finger tapping motor sequence task)について、別のメタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・システマティックレビューには、14研究(統合失調症患者304例、健康対照者209例)を含めた。・睡眠依存性の手続き記憶の定着に関するランダム効果モデル分析では、各エフェクトサイズは、統合失調症患者で小さく(g=0.26)、健康対照者で大きく(g=0.98)、健康対照者と統合失調症患者の比較では中程度(g=0.64)であった。・finger tapping motor sequence taskを用いた研究のメタ解析では、各エフェクトサイズは、統合失調症患者で小さく(g=0.19)、健康対照者で大きく(g=1.07)、健康対照者と統合失調症患者の比較では中程度(g=0.70)であった。・定性的レビューでは、統合失調症患者は健康対照者と比較し、睡眠依存性の陳述記憶(declarative memory)の定着も損なわれていた。・健康成人においては、睡眠が記憶の定着を改善するが、統合失調症患者では睡眠依存性の記憶の定着が損なわれていることが、本結果により支持された。・記憶のサブタイプごとに睡眠依存性の定着を調査するため、精神病性障害のさまざまな段階において睡眠ポリグラフを用いた研究が求められる。

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今後もマスクをする人は約4割/アイスタット

 2023年5月8日より新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置付けが、2類から5類へ移行することで施策が大きく変わる。今後、一般市民は新型コロナウイルス感染症にどのように対応していくのか。マスクの着用は個人の自由になるが、はたしてどのように考えているのか。株式会社アイスタットは4月13日に「今後のマスク着用&コロナワクチン接種」に関するアンケートを行った。 アンケート調査は、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員20~59歳の有職者300人が対象。調査概要形式 Webアンケート形式調査日 2023年4月13日回答者 セルフ型アンケートツールFreeasyに登録している20歳~59歳・有職者の会員300人調査機関 株式会社アイスタットアンケート概要・現在、「脱マスク」の人は1割未満、「マスク依存」の人は4割近く。・気温・湿度が高い季節が到来しても「脱マスク」の人は1割未満。現在と変わらず。 その一方、「マスク依存」の人は約4割から約2割に減少。・他人がマスクをしていなことにイラっとする人は2割近く。・コロナワクチン接種を「受けたことがない人」は、マスクを「常につけている」が最多。・ワクチン接種が有料化になった場合、接種意向率は約2割。・コロナ予防対策率は約7割近く。ただし、同社前回調査(2020年11月)より12%減少。・現在のコロナ予防対策の第1位は「手洗い」、第2位は「マスク着用」、密対策は減少。・コロナ禍で定着した予防対策、今後も継続して欲しいものは「ワクチン無料化」が最多。・コロナに感染することが怖い人は4割、同社前回調査(2020年5月)の8割から半減。約4割の回答者が「マスクをはずせるシーンでもはずさない」と回答 質問1で「政府が示したマスクの着用が必要のない場面で、現在マスクをはずしているか」(単回答)を聞いたところ、「常につけている」「状況に応じて着脱しているが、はずす比率は以前と変わらない」が共に38.0%で最も多く、「状況に応じて着脱しているが、はずす比率の方が高い」が18.7%、「常にはずしている」が5.3%の順で多かった。回答者の属性別で「常につけている」と回答した人は、「20・30代」「女性」「四国・中国・九州地方・沖縄」に多かった。一方、「常にはずしている」と回答した人は、「20・30代」「男性」「関東地方」に多かった。 質問2で「政府が示したマスクの着用が必要のない場面で、今後マスクをはずすか」(単回答)を聞いたところ、「状況に応じて着脱するが、はずす比率は現在と変わらない」が36.3%、「状況に応じて着脱するが、はずす比率は現在より高い」が32.0%、「常につけている」が23.7%、「常にはずす」が8.0%の順で多かった。また、「現在」と「今後」の全体のマスク着用動向では、気温、湿度が高い季節が到来しても脱マスクの人は1割未満で、「現在」と変わらず低く、今後の熱中症のリスクが懸念される結果だった。 質問3で「他人がマスクをしていないことにイラっとするか」(単回答)を聞いたところ、「そう思わない」が49.7%、「どちらでもない」が31.3%、「そう思う」が19.0%の順で多かった。参考までに「そう思う」と回答した人の特徴を調べてみると、「現在、マスクを常につけている」「コロナワクチン4回目・5回目接種完了」「コロナに感染したことがある」を回答した人ほど多かった。 質問4で「コロナワクチン予防接種回数」(単回答)を聞いたところ、「4回目・5回目接種完了」と回答した人は4割、一方、何らかの理由でワクチン接種を途中で見送った「1回目・2回目・3回目接種完了」と回答した人は4割、「受けたことがない」と回答した人は2割だった。参考に「マスク着用状況」との関連で調べてみると、「4回目・5回目接種完了」と回答した人は「状況に応じて着脱」が最も多く、「受けたことがない」を回答した人は「常につけている」が最も多かった。 質問5で「今後のコロナワクチン予防接種意向」(単回答)を聞いたところ、「無料化なら状況をみて接種」が32.0%、「有料化、無料化に関わらず接種しない」が30.3%、「無料化なら必ず接種」が20.3%、「有料化でも状況をみて接種」が14.7%、「有料化でも必ず接種」が2.7%の順で多かった。今後も続けて欲しい施策の最多は「ワクチン接種の無料化」で43% 質問6で「新型コロナウイルス予防対策の実施」(単回答)を聞いたところ、「やや対策を実施している」が44.0%、「きちんと対策を実施している」が23.7%、「どちらでもない」が18.0%の順で多かった。「きちんと対策」「やや対策」を足し合わせた「実施している」の割合をみると67.7%となり、約7割近くの人が何らかの予防対策を実施していることが明らかとなった。 質問7で「現在、日常生活で注意して行っていること」(複数回答)を聞いたところ、「手洗い」が80.0%、「マスク着用」が71.3%、「アルコール・エタノール消毒の利用」「うがい」が共に52.3%と多かった。参考に過去の同社調査(2020年5月)と比較すると、今回はすべての内容で予防対策の実施割合が減少した。減少した対策の第1位は48%減の「不要な外出を控える」、第2位は31%減の「集会・イベントに参加しない」、第3位は29.3%減の「人混みを避ける・時差通勤」だった。 質問8で「コロナ禍予防対策で定着したもので、今後も継続して欲しいと思うもの」(複数回答)を聞いたところ、「ワクチン予防接種の希望者は無料化」が43%、「入店時のアルコール除菌」が32%、「マスク着用の推奨」が23.7%の順で多かった。参考に年代別では、20代で「テレワーク」「黙食」「リモート会議」が多く、40代で「正面・側面にアクリル板」「マスク着用の推奨」「ビュッフェの手袋」が多く、50代で「入店時のアルコール除菌」「コロナワクチン予防接種の希望者は無料化」「注文用のタブレット」「時差出勤」が多かった。 質問9で「(コロナ禍と日常生活で)自身があてはまるもの」(複数回答)を聞いたところ、「コロナに感染することが怖い・不安」が40.3%で最も多かった。過去の同社調査(2020年5月)と比較すると、「怖い」の割合が81%から40.3%と半減していた。

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第43回 重症コロナのステロイドパルス、正しかった?

呼吸不全が多発したアルファ株・デルタ株オミクロン株になってから、めっきり減った重症のCOVID-19。ちらほら当院にもまだ入院が続いていますが、軽症例がほとんどであり、中等症I・IIはおろか、重症例は非常にレアな疾患となってしまいました。新型コロナワクチン接種率が高いだけでなく、既感染率が高いこと、ウイルスが変異したことが病毒性に大きな影響を及ぼしているとされています。さて、私の勤務する大阪府ではアルファ株の第4波のときが最も呼吸不全例が多い状況で、入院してくる症例のほとんどが中等症IIというありさまでした。戦乱のようなコロナ禍では、当院では稼働病床60床のうち30床がARDSという状況で、悪化を待っていられないという症例にステロイドを多用していたのも事実です。酸素不要で入院したのに短期間で呼吸不全になるケースが本当に多く、ほかに有効な手がありませんでした。ステロイドパルス療法は正しかったかそんな重症COVID-19に対して本当にステロイドパルス療法はよかったのかどうか、大阪大学の社会医学講座公衆衛生学を中心としたグループによる、日本全国のCOVID-19入院患者約6万7,000例の医療データの分析結果が報告されました1)。私たちが苦労したアルファ株・デルタ株の時期も含まれています。結果、重症例におけるステロイドパルス療法(1日当たりのメチルプレドニゾロン500mg以上)は、低用量ステロイドやステロイド非使用例と比較すると、院内死亡リスク低下と関連していることが示されました。反面、比較的軽症患者に対するステロイドパルス療法は死亡リスクを増加してしまうということも本研究で明らかにされています。子細なデータをみると、メチルプレドニゾロン40mg/日でさえも死亡リスクの上昇に関連しているので、気管挿管を必要としない症例では全身性ステロイド投与はかなり慎重になったほうがよいということになります。ステロイドパルス療法というのは、諸外国ではメチルプレドニゾロン250mg/日程度を指すことが多いと思いますが2)、日本の場合1,000mg/日とかなり多い量を投与することがあります。ウイルス性肺炎でステロイド受容体を飽和する以上の用量が本当に必要なのかどうか、国内外でもう少し腹を割った議論が必要と考えています。参考文献・参考サイト1)Moromizato T, et al. Intravenous methylprednisolone pulse therapy and the risk of in-hospital mortality among acute COVID-19 patients: Nationwide clinical cohort study. Crit Care. 2023 Feb 8;27(1):53.2)Edalatifard M, et al. Intravenous methylprednisolone pulse as a treatment for hospitalised severe COVID-19 patients: results from a randomised controlled clinical trial. Eur Respir J. 2020 Dec 24;56(6):2002808.

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スタチンでアジア人乳がん患者のがん死亡リスク低下

 スタチン製剤を服用しているアジア人の乳がん患者では、スタチンを服用していない乳がん患者と比べて、がん関連の死亡リスクが有意に低かったことを、台湾・国立成功大学のWei-Ting Chang氏らが明らかにした。なお、心血管疾患による死亡リスクには有意差はなかった。JAMA Network Open誌4月21日号掲載の報告。 スタチンは化学療法と併用することで、がんの進行や微小転移を抑制することが報告されていて、乳がんの再発リスクを低減させる可能性が示唆されている。しかし、欧米の乳がん患者とは異なり、アジアの乳がん患者は診断時の年齢が比較的若く、ほとんどが心血管リスク因子を有していないため、スタチンの服用によって生存率が改善するかどうかは不明である。そこで研究グループは、アジア人の乳がん患者において、スタチン使用とがんおよび心血管疾患による死亡リスクとの関連を後方視的に調査した。 本コホート研究の対象は、台湾の国民健康保険研究データベース(NHIRD)と国民がん登録を用いて、2012年1月~2017年12月までに乳がんと診断された女性患者1万4,902例で、乳がんの診断前6ヵ月以内にスタチンを服用した患者と、スタチンを服用していない患者を比較した。年齢、がんの進行度、抗がん剤治療、併存疾患、社会経済的状況、心血管系薬剤などを傾向スコアマッチング法で適合させ、解析は2022年6月~2023年2月に実施された。主要アウトカムは死亡(全死因、がん、心血管疾患、その他)で、副次的アウトカムは新規発症の急性心不全、急性心筋梗塞や虚血性脳卒中などの動脈イベント、深部静脈血栓症や肺塞栓症などの静脈イベントであった。平均追跡期間は4.10±2.96年であった。 主な結果は以下のとおり。・スタチン使用群7,451例(平均年齢64.3±9.4歳)とスタチン非使用群7,451例(平均年齢65.8±10.8歳)がマッチングされた。・非使用群と比較して、使用群では全死因死亡のリスクが有意に低かった(調整ハザード比[aHR]:0.83、95%信頼区間[CI]:0.77~0.91、p<0.001)。・がん関連死亡のリスクも、非使用群と比較して、使用群では有意に低かった(aHR:0.83、95%CI:0.75~0.92、p<0.001)。・心不全、動脈・静脈イベントなどの心血管疾患の発生は少数であり、使用群と非使用群で死亡リスクに有意差は認められなかった。・時間依存性解析でも、非使用群と比較して、使用群では全死因死亡(aHR:0.32、95%CI:0.28~0.36、p<0.001)およびがん関連死亡(aHR:0.28、95%CI:0.24~0.32、p<0.001)が有意に少なかった。・これらのリスクは、とくに高用量スタチンを服用している群でさらに低かった。 これらの結果より、研究グループは「アジア人の乳がん患者を対象としたこのコホート研究では、スタチンの使用は心血管疾患による死亡ではなく、がん関連の死亡リスクの低減と関連していた。今回の結果は、乳がん患者におけるスタチンの使用を支持するエビデンスとなるが、さらなるランダム化試験が必要である」とまとめた。

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日本の父親・母親の産後うつ病リスクは?

 産後うつ病は、親に悪影響を及ぼすだけでなく、子供の認知機能、社会感情、行動発達などの障害につながる可能性がある。長崎大学の山川 裕子氏らは、出産後1年間の母親および父親の産後うつ病に関連する因子を調査した。その結果、父親と母親の双方にとって、ストレス対処スキルが産後1年間の産後うつ病に影響を及ぼす重要な因子であることが確認された。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2023年3月13日号の報告。 自己記入式アンケートを用いて調査を行った。産後5日、3ヵ月、6ヵ月、1年後にアンケートを郵送した。参加者は、父親および母親107組。産後うつ病の評価には、エジンバラ産後うつ病評価尺度(EPDS)を用いた。首尾一貫感覚(ストレス対処力、SOC)、夫婦関係の満足度(QMI)、ソーシャル・サポート尺度、赤ちゃんへの気持ち質問票(MIBS)、社会人口学的変数に関するデータを収集した。父親と母親それぞれの調査期間ごとに、各変数とEPDSとの関連性の強さを重回帰分析で調査した。 主な結果は以下のとおり。・産後1年目の産後うつ病の有病率は、父親で12.1~23.4%、母親で7.5~8.4%の範囲であった。・SOCは、4つの調査期間すべてにおいて、父親と母親の双方のEPDSスコアに最も強い影響を及ぼす因子であった。・産後1年間の産後うつ病には、父親母親共に、ストレス対処スキルが重要な影響を及ぼすことが示唆された。

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喘息診断で注目、タイプ2炎症バイオマーカーの手引き発刊/日本呼吸器学会

 タイプ2炎症は、主に2型ヘルパーT細胞(Th2細胞)や2型自然リンパ球(ILC2)が産生するIL-4、IL-5、IL-13などの2型サイトカインが作用する炎症である。気道・肺疾患と密接な関係にあり、診断や治療に直結する。とくに、生物学的製剤の治療選択や効果予測に重要な役割を果たすことから、近年注目を集めている。そのような背景から、「タイプ2炎症バイオマーカーの手引き」が2023年4月3日に発刊された1)。第63回日本呼吸器学会学術講演会において、本書の編集委員長を務めた松永 和人氏(山口大学大学院医学系研究科呼吸器・感染症内科学講座 教授)が「タイプ2炎症バイオマーカーが切り拓く未来」と題し、主に「喘息の診断と管理効率の向上」「疾患修飾による喘息寛解の展望」について、解説した。タイプ2気道炎症は喘息の診断、管理に有用 喘息の補助診断には、血中好酸球数、呼気NO濃度(FeNO)、IgEが有用である。そこで「タイプ2炎症バイオマーカーの手引き」では、血中好酸球数とFeNOについて、喘息の補助診断に関するカットオフ値が設定された1)。 血中好酸球数については、タイプ2炎症の有無を鑑別するカットオフ値が220cells/μLであったという報告2)、一般住民における75パーセンタイル値が210cells/μLであり、210cells/μL以上では喘息を有する割合が高かったという報告3)などがある。以上などから、喘息を疑う症状のある患者における、喘息の補助診断のカットオフ値は220cells/μL(喘息診断を支持)に設定された1)。詳細は、手引きを参照されたい。 FeNOについては、タイプ2炎症の有無を鑑別するカットオフ値が20ppbであったという報告2)、本邦で喘息患者と非喘息患者を鑑別する際のカットオフ値が22ppb(感度91%、特異度84%)であったという報告4)などがある。ただし、FeNO値22ppbを適用すると非喘息患者の約15%もこの範囲に当てはまってしまう。そこで、FeNO値37ppbを適用すると特異度は99%となる4)。以上などから、吸入ステロイド薬(ICS)未使用の喘息を疑う症状のある患者における、喘息の補助診断のカットオフ値は22ppb(喘息の可能性が高い)、35ppb(喘息診断の目安)に設定された1)。詳細は、手引きを参照されたい。 なお、血中好酸球数、FeNOを補助診断に用いる場合、いずれも最終的な喘息の診断は、治療による反応性、治療効果の再現性などの臨床経過や症状・呼吸機能の変動を含め総合的に判断する。 また、FeNOと血中好酸球数は喘息管理においても有用である。そこで「タイプ2炎症バイオマーカーの手引き」では、喘息管理における解釈に関するカットオフ値も設定された1)。 ICSによる治療前後のFeNOの変化と気流制限、気道過敏性には相関があり、治療効果予測への有用性が指摘されている5)。ICS/長時間作用性β2刺激薬(LABA)による治療中はFeNOが低下し、治療を中止するとFeNOが上昇することが報告されているため、FeNOによる炎症モニタリングは、アドヒアランスやステロイド抵抗性の評価にも有用とされる6)。また、現在の治療ステップにかかわらず、増悪歴やリスク因子(症状、呼吸機能など)に加えて血中好酸球数とFeNOが高値の患者では将来の増悪リスクが高いことが近年報告されている7)。 以上から、喘息管理におけるFeNOのカットオフ値は20ppb、35ppbに設定され、血中好酸球数のカットオフ値は150cells/μL、300cells/μLに設定された。症状がなく、これらに基づくタイプ2炎症が低レベルであれば、抗炎症治療は適切と考えられ、抗炎症薬の減量が考慮可能である。一方、高レベルであれば症状がなくとも、服薬アドヒアランス・吸入手技の不良や、抗炎症薬の減量で症状が悪化する可能性がある。また、現在の治療でも症状が続いており炎症が高レベルであれば、増悪や呼吸機能低下のリスクが高いため、抗炎症治療の強化が考慮される1)。詳細は、手引きを参照されたい。タイプ2炎症への早期介入で疾患修飾・喘息寛解の達成へ タイプ2炎症と気道機能障害は喘息の治療可能な臨床特性(Treatable Traits)であることが、近年提唱されている8)。とくに、タイプ2炎症型の重症喘息では、タイプ2炎症が強いほど喘息が重症化するという知見も得られている。重症喘息はICS抵抗性であることが多いことから、さまざまな生物学的製剤が開発され、使用可能となっている。 同じく複数の生物学的製剤の適応がある関節リウマチの治療戦略では、Bio-free-remission(生物学的製剤での早期介入によりdeep remission[臨床的寛解、機能的寛解、免疫学的寛解のすべて]を達成し、生物学的製剤なし、もしくは投与間隔を長くする)が目指されており、エビデンスも集積されつつある。しかし、重症喘息では生物学的製剤の中止に関する臨床研究のエビデンスが乏しいのが現状である。したがって、松永氏らの研究グループは、まず生物学的製剤による「疾患活動性の抑制」を達成し、「deep remission」を達成した患者ではBio-free-remissionを目指せる可能性を提唱している9)。 松永氏らの研究グループは1年間の生物学的製剤の使用により、喘息の臨床的寛解が69%、deep remissionが32%で達成できたこと、deep remissionが達成された患者の特徴は、早期かつ呼吸機能が保たれている段階での生物学的製剤の使用であったことを2023年4月に報告している10)。そのため、松永氏は「バイオマーカーを活用しながら、呼吸機能が保たれている患者に対して早期に生物学的製剤を導入し、疾患修飾をかけてほしい」と強調した。タイプ2炎症バイオマーカーの手引きはバイオマーカーと疾患を網羅 「タイプ2炎症バイオマーカーの手引き」は、タイプ2炎症のバイオマーカーとそれに関連する疾患を網羅した1冊となっている。松永氏は「さまざまな気道・肺疾患の診断や治療方針の決定に直結するため、タイプ2炎症が注目されている。本書は、実臨床の具体的な状況において簡便に活用できる臨床指針を提供することで、タイプ2炎症評価の適正な普及につなげ、気道・肺疾患のさらなる管理効率の向上を目指して作成したため、ぜひ活用いただきたい」とまとめた。タイプ2炎症バイオマーカーの手引き編集:タイプ2炎症バイオマーカーの手引き作成委員会/日本呼吸器学会肺生理専門委員会定価:3,190円(税込)発行日:2023年4月20日A4変型判・120頁■参考文献1)タイプ2炎症バイオマーカーの手引き作成委員会/日本呼吸器学会肺生理専門委員会編集. タイプ2炎症バイオマーカーの手引き. 南江堂;20232)McGrath KW, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2012;185:612-619.3)Hartl S, et al. Eur Respir J 2020;55:1901874.4)Matsunaga K, et al. Allergol Int. 2011;60:331-337.5)Ichinose M, et al. Eur Respir J. 2000;15:248-253.6)Bardsley G, et al. Respir Res. 2018;19:133.7)Couillard S, et al. Thorax. 2022;77:199-202.8)Shaw DE, et al. Lancet Respir Med. 2021;9:786-794.9)Hamada K, et al. J Asthma Allergy. 2021;14:1463-1471.10)Oishi K, et al. J Clin Med. 2023;12:2900.

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第159回 働き方改革まであと1年、大学病院の医師約3割が年960時間超の残業見込み。危惧される派遣先からの医師引き揚げ

全国医学部長病院長会議が全国の81大学病院の医師の勤務実態を調査こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。ゴールデンウィークに突入しましたが、皆さんお休みは取れていますか?私は連休前半、所用があって久しぶりに渋谷に出たのですが、人の多さ、中でも外国人観光客の多さに驚きました。渋谷のスクランブル交差点は、外国人にとってはもはや日本の名所らしく、携帯やカメラで撮影しながら歩く外国人だらけ。2年前、3年前の同時期との違いに、感動すら覚えました。それにしても、長い休暇を取って日本にわざわざやって来て、お金を落としていってくれる外国人はとても有り難い存在です。しかし、心持ち繁華街の飲食店の料金も高めにシフトしているようです。もちろん物価高の影響もあるとは思いますが、観光客増はいいことばかりではないようです。さて、今回は医師の働き方改革について書いてみたいと思います。全国医学部長病院長会議は4月17日、全国の81大学病院の医師の勤務実態を調査した結果を公表しました1)。現状では、約3割が医師の働き方改革がスタートする来年度(2024年度)、時間外労働の上限となる年間960時間を超える見込みであることがわかりました。原則年960時間まで、1,860時間のB水準は2035年度末まで一般の労働者から4〜5年遅れて、来年2024年4月から始まる医師の働き方改革では、医師の休日・時間外労働が原則年960時間までとなります。地域医療に貢献する病院などは年1,860時間までとする特例が設けられます。細かくは、年間の時間外労働が960時間以下の医師は「A水準」、960~1,860時間の医師については、地域医療確保暫定特例水準として「B水準」と「連携B水準(兼業等により960時間を超える医師)」、集中的技能向上のための水準として「C-1水準(臨床研修医や専攻医)」と「C-2水準(医籍登録後の臨床従事6年目以降の者の特定高度技能水準)」に区分けされます。特例の「B水準」と「連携B水準」は2035年度末(2036年3月末)には廃止される予定です。「助教」の15%が研究に割く時間が週0時間、約半数が1~5時間程度今回の調査は、文部科学省の委託事業として昨年7月11日~8月31日、全国の大学が運営する81病院と医師個人を対象にそれぞれ調査を行いました。病院調査では、対象となる医師4万4,183人の時間外労働の実態を聞いたところ、24.6%にあたる1万852人が「連携B水準」、7.0%にあたる3,088人が「B水準」、2.5%にあたる1,099人が「C-1水準」、0.1%にあたる31人が「C-2水準」でした。つまり、全体の34%にあたる約1万5,000人が、2024年度の時間外労働が年960時間を上回る見込みとなっていたのです。結果として、すべての大学病院が特例の適用を求める申請を予定しており、内訳は「B水準」が33大学(40.7%)、「連携B水準」が69大学(85.2%)、「C-1水準」が22大学(27.2%)、「C-2水準」が3大学(3.7%)でした。大学病院の医師の多くは、大学病院以外の医療機関でも週に数日勤務するのが一般的です。一方、こうしたケースでの労働時間の実態把握は十分ではなく、それが長時間勤務の常態化にもつながっているとの指摘もありました。また、981人から回答があった医師個人調査では、「今後、我が国の教育、研究の主力を担う」とされる「助教」の15%が研究に割く時間が週0時間、約半数が1~5時間程度に留まっていました。以上を踏まえ、同会議は「医師の労働時間の短縮が教育・研究に与える影響は大きい。日本の研究力低下が深刻視される中、医師の時間外・休日労働時間の上限規制に伴い研究にさらなる打撃が加わることは、我が国の医学・医療と日本の将来に重大な影響を及ぼしかねない。このために医師の増員はもとより、教育・研究の効率化を図るためのICT化の推進が必要」と提言しています。また、NHKの報道によれば、全国医学部長病院長会議の横手 幸太郎会長は記者会見で、調査結果に関して「働き方改革を進めるうえで医療機関だけで解決できない問題も多く、大学病院の機能を維持するため、医師も行政も国民も一緒になって取り組む必要がある」と語ったとのことです。「宿日直許可」の取得、3割で許可得られずもう何年も前から準備が進んでいるはずなのに、制度のスタートまで1年を切った段階でのこの状況は、いろいろな意味で厳しいと言わざるを得ません。この調査では、大学病院による「宿日直許可」の取得状況も集計しています。それによると、希望通りの宿日直許可を受けているのは81病院のうち54病院(66.7%)で、残り27病院(33.3%)では希望通りの許可を得られていませんでした。宿日直許可とは、一般の労働者と働き方が著しく異なる業種を対象に設けられた例外措置です。たとえば、夜間の勤務について病院が「断続的宿直又は日直勤務許可申請書」を労働基準監督署に提出し、審査を受けて「断続的宿直又は日直勤務許可書」を交付されれば、宿日直として当該夜間勤務は労働時間にはカウントされません。しかし、この許可を得ていなければ、夜間の勤務は労働時間にカウントされます。夜間勤務が労働時間にカウントされれば、当然時間外労働が長くなり、960時間を超えてしまいます。夜間や休日の診療業務が当たり前となっている救急病院などでは、ほとんど許可が下りない状況のようです。再び大学の医師引き揚げが起こる可能性も今後、大学病院は、自院のみならず、医師をアルバイトなどで派遣している病院についても、しっかりと労働時間のマネジメントを行わないと、それこそ大学病院自体の診療や研究に大きな影響が出るでしょう。一方で、大学からのアルバイト医を受け入れている医療機関は、宿日直許可を受けないと医師を派遣してもらえなくなるかもしれません。昨年暮れに会った九州地方のある民間病院の院長は、「うちは1次・2次救急に力を入れているので、夜は寝当直というわけにいかず、宿日直許可を受けるのは難しい。2004年に臨床研修制度が始まったとき大学の医師引き揚げが問題となったが、同じようなことが全国で起きる可能性はある」と浮かない顔でした。個々の医療機関の働き方改革に対する取り組み遅れだけではなく、実際に現場で働く医師の間でも働き方改革に対する認知や理解が進んでいないようです。ただ、幸いなことにまだ時間はあります。働き方改革を優先した結果、地域医療が崩壊してしまった、とならないような“現実解”(働き盛りの中堅医師が該当するC-2水準の新解釈や活用などが最近議論されているようです)を導き出してほしいと思います。参考1)大学病院における医師の働き方に関する調査研究報告書について/全国医学部長病院長会議

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夢で記憶が定着、レム睡眠とノンレム睡眠はどちらが重要?

 脳は睡眠中に記憶の整理などを行っていることが、近年明らかになっている。また、睡眠中には起床時の記憶が夢に登場することがあるため、夢が記憶の定着に関連しているのではないかといわれている。そこで、米国・ファーマン大学のLauren Hudachek氏らは、学習課題に関連する夢と睡眠後の記憶との関連について、システマティックレビューおよび16試験のメタ解析を実施し、夢と記憶の間には関連があることが明らかになった。また、記憶はレム睡眠よりもノンレム睡眠との関連が大きいことも示唆された。Sleep誌オンライン版2023年4月14日号の報告。 Pubmed、PsycInfo、Google Scholarより、「睡眠前に学習課題を実施し、睡眠後の記憶を検討した研究」「睡眠後の記憶向上と、夢に学習課題の内容がどの程度組み込まれているかを関連付けた研究」を検索した。その結果、16試験(効果数:45)が抽出された。これらについてメタ解析を実施し、学習課題に関係する夢と記憶の向上との関連を検討した。また、睡眠の種類(レム睡眠、ノンレム睡眠)、記憶の種類(陳述記憶[イメージや言語として想起でき、内容を陳述できる記憶]、手続き記憶[技能・習慣などの記憶]、空間記憶[空間や場所に関する認知記憶])別のサブグループ解析を実施した。関連の強さは標準化平均差(SMD)および95%信頼区間(CI)を推定して評価した。 主な結果は以下のとおり。・学習課題に関連する夢と記憶について、有意かつ強い関連が認められた(SMD=0.51、95%CI:0.28~0.74、p<0.001)。・睡眠ポリグラフ検査を用いてレム睡眠中の夢(効果数:12)、ノンレム睡眠中の夢(効果数:10)と記憶の関連を検討した研究について解析した結果、ノンレム睡眠中の夢は記憶と有意な関連が認められたが(SMD=0.75、95%CI:0.23~1.28、p=0.010)、レム睡眠中の夢は記憶と有意な関連は認められなかった(SMD=0.32、95%CI:-0.09~0.74、p=0.116)。・記憶の種類(陳述記憶、手続き記憶、空間記憶)にかかわらず、学習課題に関連する夢と記憶について、有意な関連が認められた(いずれもp<0.05)。 著者らは「本研究により、学習課題に関する夢を見ることが記憶の増強と関連することが示され、夢の内容が記憶の定着の指標となる可能性が示唆された。さらに、夢と記憶の関係は、ノンレム睡眠のほうがレム睡眠と比較して強い可能性も示唆された」とまとめた。

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若年乳がん患者、出産は予後に影響するのか~日本の傾向スコアマッチング研究

 若年乳がん患者の出産に関するこれまでの研究は潜在的なバイアスがあり不明な点が多い。今回、聖路加国際病院の越智 友洋氏らが傾向スコアマッチングを用いて、乳がん診断後の出産が予後に及ぼす影響を検討した結果、出産により再発や死亡リスクは増加しないことが示唆された。Breast Cancer誌2023年5月号に掲載。 本研究は、単施設での後ろ向きコホート研究で、2005~14年に乳がんと診断された45歳以下の患者を対象とし、診断後に出産した患者(出産コホート)104例と出産していない患者(非出産コホート)2,250例で無再発生存率(RFS)および全生存率(OS)を比較した。傾向スコアモデルの共変量は、年齢、腫瘍の大きさ、リンパ節転移の有無、乳がん診断前の分娩回数、エストロゲン受容体およびHER2の発現状態とした。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値82ヵ月で、出産コホートは非出産コホートよりRFSが有意に長かった(ハザード比[HR]:0.469[0.221~0.992]、p=0.047)が、OSには有意差はなかった(HR:0.208[0.029~1.494]、p=0.119)。・傾向スコアマッチング後、乳がん診断後の出産はRFS(HR:0.436[0.163~1.164]、p=0.098)およびOS(HR:0.372[0.033~4.134]、p=0.402)と有意な関連はなかった。

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コロナワクチン接種スケジュールを簡略化、初回接種に2価を承認/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は4月18日付のリリースにて、モデルナおよびファイザーの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)2価mRNAワクチンの緊急使用許可(EUA)を修正し、より簡略化した接種スケジュールを発表した。これにより、ワクチン未接種者や生後6ヵ月以上の小児に対し、オミクロン株BA.4/BA.5対応2価ワクチンの初回接種の使用許可などが決定された。また、今回の修正に伴い、モデルナおよびファイザーの従来型の1価ワクチンは、米国での使用許可が取り消された。 発表の主な内容は以下のとおり。・1価ワクチンを接種済みで、まだ2価ワクチンを接種したことがない人のほとんどは、2価ワクチンを1回追加接種することができる。・すでに2価ワクチンを接種した人のほとんどが、次の接種を受ける資格がなくなる。今後の接種については、FDAが6月に開催する諮問会議にて2023年秋以降の接種方針を決定する予定。・2価ワクチンを1回接種した65歳以上の人は、最初の2価ワクチン接種から少なくとも4ヵ月後に1回の追加接種を受けることができる。・2価ワクチンを接種済みの特定の免疫不全者のほとんどは、2価ワクチンを接種してから少なくとも2ヵ月後に、2価ワクチンを1回追加接種できる。医療者の判断で、さらに追加接種することも可能。ただし、生後6ヵ月~4歳までの免疫不全者の場合、追加接種の適応は以前に接種したワクチンの種類によって異なる。・現在までワクチン未接種の人は、従来型の1価ワクチンを複数回接種するのではなく、2価ワクチンを1回接種することができる。・ワクチン未接種の生後6ヵ月~5歳の小児は、モデルナの2価ワクチン(生後6ヵ月~5歳用)を2回接種するか、ファイザーの2価ワクチン(生後6ヵ月~4歳用)を3回接種できる。5歳の小児は、モデルナの2価ワクチンを2回接種するか、ファイザーの2価ワクチンを1回接種できる。・1価ワクチンを1回、2回、または3回接種した生後6ヵ月~5歳の小児は、2価ワクチンを接種できるが、接種する回数はワクチンの種類や接種歴により異なる。

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CGRPモノクローナル抗体に反応しやすい日本人片頭痛患者の特徴

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチドモノクローナル抗体(CGRPmAb)は、頭痛障害が従来の予防的治療オプションに奏効しない片頭痛患者にとって有用な薬剤であると考えられる。しかし、日本国内におけるCGRPmAbの使用実績は2年と短く、治療反応が得られやすい患者とそうでない患者を治療前に判別することは困難である。慶應義塾大学の井原 慶子氏らは、CGRPmAbに奏効した日本人片頭痛患者の臨床的特徴を明らかにするため、リアルワールドデータに基づいた検討を行った。その結果、年齢が高く、過去の予防薬治療失敗の合計回数が少なく、免疫リウマチ性疾患の病歴のない片頭痛患者は、CGRPmAbに対する良好な治療反応が期待できることが示唆された。The Journal of Headache and Pain誌2023年3月9日号の報告。 対象は、2021年8月12日~2022年8月31日に慶應義塾大学病院を受診し、3種類のCGRPmAb(エレヌマブ、ガルカネズマブ、フレマネズマブ)のいずれかを3ヵ月以上処方された日本人片頭痛患者。痛みの質、1ヵ月当たりの片頭痛日数(MMD)、1ヵ月当たりの頭痛日数(MHD)、過去の予防薬治療失敗の回数など、対象患者の基本的な片頭痛の特徴を収集した。治療反応者の定義は、治療3ヵ月後にMMDが50%以上低下した患者とした。治療反応者と非反応者におけるベースライン時の片頭痛の特徴を比較し、ロジスティック回帰分析を用いて、統計学的な有意差を検証した。 主な結果は以下のとおり。・分析対象の患者数は、合計101例(ガルカネズマブ:57例、フレマネズマブ:31例、エレヌマブ:13例)であった。・治療3ヵ月後の治療反応者は55例(54%)であった。・治療反応者と非反応者を比較すると、治療反応者は非反応者よりも年齢が有意に高く(p=0.003)、MHD(p=0.027)および過去の予防薬治療失敗の合計回数(p=0.040)が有意に少なかった。・日本人片頭痛患者におけるCGRPmAb治療反応の正の予測因子は年齢であり、負の予測因子は過去の予防薬治療失敗の合計回数、免疫リウマチ性疾患の病歴であった。

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日本におけるオミクロン対応2価ワクチンの有効性~多施設共同研究/感染症学会・化学療法学会

 2021年7月より新型コロナワクチンの有効性を長期的に評価するために開始された多施設共同サーベイランス研究「VERSUS study [Vaccine Effectiveness Real-time Surveillance for SARS-CoV-2]」1)の最新の結果について、4月28~30日に開催された第97回日本感染症学会総会・学術講演会/第71回日本化学療法学会学術集会合同学会にて、長崎大学の前田 遥氏が発表した。本結果により、国内の高齢者に対するオミクロン対応2価ワクチンの発症予防および入院予防の有効性が、国内の若年者および欧米のデータよりも高いことが示唆された。 本発表では、2022年9月末に国内で接種開始されたBA.1対応、および10月中旬に開始されたBA.4/5対応のモデルナ製またはファイザー製のオミクロン対応2価ワクチンの有効性について、2022年10月1日~2023年2月28日の期間における研究結果が報告された。オミクロン対応2価ワクチンの発症予防と入院予防に対する有効性をtest-negative designを用いた症例対照研究で評価した。発症予防の有効性については、全国10都府県15施設にて、新型コロナウイルス感染症を疑う症状で受診し、新型コロナウイルス検査を受けた16歳以上が対象となった。入院予防の有効性については、9都府県11施設にて、呼吸器感染症を疑う症状が2つ以上、または肺炎像を認め入院し、新型コロナウイルス検査を受けた16歳以上が対象となった。 主な結果は以下のとおり。【発症予防における有効性】・解析対象者は7,347例で、検査陽性3,304例、検査陰性4,043例。年齢中央値43歳(四分位範囲[IQR]:29~61)、男性3,410例(46.4%)、基礎疾患を有する人が1,969例(26.8%)であった。・対象者のワクチン接種歴は、ワクチン未接種10.0%、従来型ワクチンのみ接種(2回以上)46.2%、オミクロン対応2価ワクチン接種(14日以上経過)9.8%であった。・発症予防における未接種者と比較した場合のオミクロン対応2価ワクチンの有効性は、16~64歳では54.7%(95%信頼区間[CI]:40.3~65.6)、65歳以上では75.2%(54.4~86.5)であった。・発症予防におけるオミクロン対応2価ワクチンの相対的な有効性は、16~64歳において、従来型ワクチンのみ接種者(接種後4~6ヵ月経過)と比較した場合は27.2%(95%CI:3.1~45.3)、従来型ワクチンのみ接種者(接種後7ヵ月以上経過)と比較した場合は36.1%(18.6~49.9)、65歳以上において従来型ワクチンのみ接種者と比較した場合は34.0%(0.3~56.3)であった。【入院予防における有効性】・解析対象者は1,017例で、検査陽性306例、検査陰性711例。年齢中央値82歳(IQR:73~89)、男性617例(60.7%)、基礎疾患を有する人が753例(74.0%)であった。解析対象者の約90%が65歳以上であった。・対象者のワクチン接種歴は、ワクチン未接種11.9%、従来型ワクチンのみ接種(2回以上)30.1%、オミクロン対応2価ワクチン接種(14日以上経過)10.7%であった。・入院予防における未接種者と比較した場合のオミクロン対応2価ワクチン有効性は84.9%(95%CI:65.7~93.3)であった。・入院予防におけるオミクロン対応2価ワクチンの相対的な有効性は、従来型ワクチンのみ接種者(接種後4~6ヵ月経過)と比較した場合は50.4%(95%CI:-18.4~79.2)、従来型ワクチンのみ接種者(接種後7ヵ月以上経過)と比較した場合は57.4%(-3.3~82.4)であった。 前田氏は、本結果は米国や英国の報告と比較して、未接種者と比較したオミクロン対応2価ワクチンの有効性に関して、16~64歳の発症予防の有効性はほぼ同等であるが、高齢者の発症予防および入院予防の有効性はより高値であったとし、その要因として、国内の高齢者は、若者や欧米人よりも感染による抗体保有率が低いことが影響している可能性を指摘した。国内のデータは欧米と異なる可能性が示唆されるため、引き続き国内での検証が重要だとしている。

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ワクワクが止まらない!【Dr. 中島の 新・徒然草】(475)

四百七十五の段 ワクワクが止まらない!ゴールデンウィーク真っ只中、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?今回は少し前に脳外科外来で耳にした、驚くべき話を紹介したいと思います。私を驚かせたのは40代の男性。頭部外傷のほかに、いろいろな疾患を持っています。この男性、刑務所に出たり入ったりして、なかなかワイルドな人生を送ってきました。時々、診察に付き添ってくる弟さんのことは「実弟」と呼んでいます。病院外ではいろいろありますが、院内で誰かに迷惑を掛けることはありませんでした。そんな彼がある日のこと。いつになく輝いた表情で開口一番、私に言いました。患者「先生、びっくりせんといてや。俺、大学に受かってん!」そりゃあ受かることもあれば落ちることもあるでしょう。でも、そんな当たり前のことを口にしたら身も蓋もありません。中島「それはすごいですね!」そう驚いてみせました。患者「周りの連中に驚かれたり、うらやましがられたり、もう大変なんですわ!」ここで私は思ったわけです。この人を含めてお仲間たちは、ほとんど教育を受ける機会がなかったのではないか、と。だから大学に行くなどというのは夢のまた夢。この患者さんは大学に受かったことで、驚くほどの自己肯定感が芽生えたようです。何年もの通院の間で、こんなに前向きな顔を見たのは初めてでした。刑務所にも何度も行ったし、違法薬物にも手を出した。でも、そんな自分が変わることのできる大きなチャンス!そんなふうに思っているみたいで、ワクワクが止まらないようです。患者「20代の若い奴らの中にオッサンが一人やけど、頑張ってきます!」彼の期待は無限ともいえるようなものでした。数学や歴史なんか社会では役にも立たない、という人がよくいます。でも案外、勉強を通じて人格というのは磨かれるのかもしれません。この人の経過、機会があったらまた報告したいと思います。最後に1句深緑の 季節に燃やす 向学心

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