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第141回 神対応の大規模接種会場!モデルナBA.4-5対応ワクチン求め行ってきた

無事2023年に入ったが、世はいまだ新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の第8波の真っ最中である。そうした中で一つの重要な対策であるオミクロン株対応ワクチンの国内接種率は1月4日現在、35.8%。65歳以上の高齢者に限定すると60.2%。全人口で見ると、やや心もとない接種率に見えなくもない。もっとも接種対象者のうち第7波、第8波で感染した人たちが接種保留状態にあることを考えると、まずまずの数字なのではないかと個人的には考えている。そのような中で年の瀬の12月27日、私はようやく新型コロナ・オミクロン株対応ワクチンによる4回目接種を完了した。「ワクチンマニア」を自認する人間としては遅過ぎるとのご批判も受けそうだが、その理由は何よりもオミクロン株BA.4-5対応のモデルナ製ワクチンの承認を待ったためである。従来の研究からファイザー製ワクチン接種者より、モデルナ製ワクチン接種者のほうが抗体価は高めであるとの研究報告は多いからだ。年明けから受験を控える子供を持つ親にとっては、こうしたちょっとした差も気になってしまうのだ。ご存じのようにモデルナ製のBA.4-5対応ワクチンは、ファイザー製から約1ヵ月遅れて承認され、現場での流通は11月下旬から始まった。それ以降、私はいつ自分の居住区で使用されるかと逐次情報をチェックしていたが、12月中旬になってからもその兆しは皆無だった。各方面に問い合わせると、どうやら東京都に関しては、当面、モデルナ製BA.4-5対応ワクチンは、ほぼ都の大規模接種会場での使用一択と判明した。ならば大規模接種会場ですぐに受ければ良いと思われそうだが、自分の場合、接種した場所で、保有する世界保健機関(WHO)版と米国疾患予防管理センター(CDC)版のイエローカード(国際予防接種証明書)への記録記載もお願いしたいため、個別医療機関での接種のほうが何かと都合が良い。しかし、当面居住区の個別医療機関に回ってこないとなると、もはや大規模接種会場で接種するしかなかった。しかし、問題は大規模接種会場で“イエローカード記入”という手間を取ってもらえるか否かである。やむなく12月の第4週に東京都庁に電話し、イエローカードへの記載を行ってもらえるかを問い合わせた。最初に対応してくれた福祉保健局感染症対策部防疫・情報管理課の担当者からは「イエローカード? はあ、そういうのがあるんですね」と言われ、大規模接種会場担当者に電話を回された。こちらでもほぼ同様の反応だったが、希望する接種会場に問い合わせて折り返しするとのこと。最終的に会場から記入対応可能との回答をいただいた。大規模接種会場の担当者からは「イエローカードへの記入要望があることをあらかじめ会場側に伝えたいので、予約が完了したら予約日時と予約番号を教えて欲しい」と言われた。そこで、接種予約を入れてその日時を担当者に再度電話。また、同時接種可能なインフルエンザワクチンも打ちたかったので、同じ日に馴染みのK先生のところでの接種を予約した。当日の午前11時、都内のK先生のクリニックでインフルエンザワクチンの接種を完了。同時に新型コロナのスパイクタンパク抗体検査用の採血もしてもらった。そこから新宿に移動。昼食を終えてから都庁近くのカフェで仕事をして午後3時の接種時間を待つ。接種予定時間10分前に都庁に行き、1F受付で接種予約確認後、検温。接種の予診票には、接種予約をしたワクチンの種類が大書されたカードが張り付けられた。アナログとはいえ、ワクチン選択ミスを防ぐ手段としてはそこそこ以上に有効だろう。会場となる北展望室接種センターがある45階へエレベーターで昇った。ちなみに会場は撮影禁止である。エレベーターを降りると、目の前の空間はファイザー(BA.1、BA.4-5)、モデルナ(BA.1、BA.4-5)、ノババックスと接種ワクチンの種類ごとにラインがパーテーションポールで仕切られていた。迷わずモデルナのラインに入り、それに従って進むと、そのまま予診室BOXへ案内された。一通り予診票を確認した予診担当医師から「体調が悪いとかはありませんか?」と尋ねられたので、「とくにありません」と答えると、そのまま医師の背後を通過して予診室入口と反対側に通り抜けするよう指示され、その先にある接種室BOXへ。今度は、接種担当医師による再度の予診票確認後、「どちらの腕にします?」と聞かれたので、インフルエンザワクチンを打ったのと反対側の左腕への接種を依頼した。指示通り手をだらんとぶら下げて、「チクッとしますね」と言われるやいなや「はい、終了です」。今までで一番短時間だった気がする。医師にアレルギー体質なのでアナフィラキシーチェックは30分でお願いしたいと伝えたところ、予診票をじっと見つめて「じゃあ、ここ修正してもらえます」と指で示された。ああ、確かに「アレルギーなし」に丸をしていた。実はここで気付いたのだが、これまでの個別医療機関での接種時はアレルギーの有無で無に印をつけていた。何となく文面が直接的な薬物や食物へのアレルギーを尋ねているようにしか読めなかったからだが、こういう場合、気になるところは念のため書いておくべきだったと反省。ということで修正した。私が修正を提出すると、接種担当医師が予診BOXのほうに予診票を持って行き、予診担当医師と二言三言。こうやってきちんと細かに情報共有や確認を行うのだと、改めて感服した。接種BOXを出て、順路に沿って進むと、パイプ椅子が並ぶアナフィラキシーチェック待機場へと到着する。その中でやはりパーテーションポールで区切られた30分待機者用区画に案内された。職員の指示で「こちらの席にどうぞ」と言われて座るも西日がきつい。職員もそれに気づいて、椅子を動かし、「こちらでどうでしょう?」と日陰に誘導してくれた。着席直後、看護師から「ちょっとでも具合が悪いと思ったら遠慮なく仰ってください」と伝えられる。愛知県愛西市の接種会場での死亡事例もあって、この辺は厳格化したのかもしれないが、行き届いた対応である。とりあえずスマホで仕事の資料をチェックしていると、あっという間に30分が経過。職員の誘導に従って最終コーナーの接種済み証交付窓口に。ここで例のイエローカードの記入を申し出る。WHO版、米・CDC版の2種類のイエローカードを提出したのだが、どうやらロット番号シールが1枚で済むと思っていたらしく、職員があたふたし始めた。もともと一覧性に優れている米・CDC版を使い始めたのだが、反米国家に行く頻度が多く、イエローカード内の「U.S」が時に厄介なことになりかねないので2種類を運用している。職員2人で「うん、こっち(WHO)は見たことがあるけど、こっち(CDC)は初めて見た。どこの?」とゴニョゴニョ。私が「それは米・CDC版です」と伝えると、「ほー」と言いながら2人とも穴が開くかと思うほど凝視している。記入を待っている間、出口に山積みされた『免疫』のキャッチフレーズが付いたドリンクを勧められる。接種者は1人1本いただけるらしい。まあ、本音で言うと「免疫」を名乗る商品は胡散臭いとしか思わないが、さすがに害はないだろうと思い、ありがたく1本いただき、粗野な私はその場で一気飲みする。最終的に2枚のカードにロット番号シールが貼られ、無事終了。ついにCDC版イエローカードは3枚目となった。今回、初めて経験した大規模接種会場だが、驚くほどシステマティックかつ行き届いた運営がなされていた。これも約2年に及ぶワクチン接種事業の賜物なのだろう。さて、この翌日にはK医師のところで受けた新型コロナのスパイクタンパク抗体の検査(試薬はロシュ・ダイアグノスティックス)結果が届いた。3回目接種から10カ月を経過した時点の私の抗体価は4,521 U/mL。以前、2回目接種から4ヵ月後に測定した際にK医師から「僕の10倍はある」と言われた時と、数値はほぼ同じ。3回目接種から10ヵ月も経っているのにもかかわらずだ。思うに1~2回目はファイザーで、3回目をモデルナという抗体価が上がりやすい交差接種にして、その直後に抗体価が爆上がりしたのだろうか。ちなみに同時に新型コロナウイルスへの感染履歴がわかるヌクレオカプシド(N)タンパク質抗体の検査も行っており、その結果ではここ最近、無症候も含む感染歴はないことも判明し、ややほっとした。が、それもつかの間。その後、やや怒涛とも思える事態に遭遇することになるが、それは機会があれば次回以降で。また、本年も宜しくお願い致します。

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第57回 正規分布の面積(確率)の求め方は?【統計のそこが知りたい!】

第57回 正規分布の面積(確率)の求め方は?今回は、前回の学習からさらに進んで正規分布(Normal distribution)の面積(確率)の求め方を解説します。■正規分布の性質正規分布の形状はデータの平均値(m)、標準偏差(σ)によって決まります。図1は平均値m=60点、標準偏差σ=10点の正規分布です。図を見ながら正規分布の性質を考えてみましょう。図1図1から読み取れることは、以下のとおりです。平均値(60点)を中心に、左右対称である。曲線は平均値で最も高くなり、左右に広がるにつれて低くなる。曲線と横軸で囲まれた面積を100%とすると、曲線の中の区間の面積は表のようになる。表(面積を「確率」と表現することがあります)横軸m-1σ(図では 50 点)とm+1σ(図では70点)に対応する曲線上の点を「変曲点」と言い、変曲点に囲まれた部分の曲線は上に凸、変曲点の外側は下に凸となる。正規分布のデータは、平均点と中央値が一致する■正規分布の面積(確率)の求め方正規分布の面積(確率)は Excel の関数を使って図2や図3のように求めることができます。図2画像を拡大する図3画像を拡大する■正規分布の活用次の事例で、Excel 関数を使って正規分布の面積(確率)を求めてみましょう。進学塾10,000人の数学の偏差値は正規分布に近いことがわかっています。250番以内に入るには偏差値を何点以上とればよいかを求めてみます。10,000人中、250 番以内となる割合をAとするとA=250÷10,000=0.025よって累積割合=1-0.025=0.975 ←図4の下側の面積p値のこと図4割合が0.975となる横軸の値をxとします。xが求める得点です。偏差値の平均値は50点、標準偏差は10点です。平均値50点、標準偏差10点の正規分布におけるxの値は次のExcel関数によって求められます。図5以上から、点数を70点以上とれば250番以内に入れることがわかります。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第41回 外れ値とは?第54回 スピアマン順位相関係数とは?第55回 スピアマン順位相関係数の計算方法は?

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早くも選考の時期!1年半後のフェローシッププログラムに応募【臨床留学通信 from NY】第42回

第42回:早くも選考の時期!1年半後のフェローシッププログラムに応募さて、3年間の循環器フェローシッププログラムも、この12月でようやく折り返し地点に来ました。次の所属先を決めるにはまだかなり早い気もしますが、1年半後の循環器カテーテル治療フェロー(Interventional Cardiology Fellowship)の選考があったことを報告します。通常はERAS(electronic residency application system)というウェブサイトを通じて応募し、プログラム側が均一化されたフォーマットをもとに応募者を選定し、面接に呼び、最終的にマッチングシステムのNRMP(national ranking matching program)を通して作成されたランキングを基にマッチングするという仕組みになっています。その点は、日本の研修病院選びと大差はないでしょう。通常だと、7月のプログラム開始に合わせて、フェローの場合は、前年の7月に申請が始まり、11月まで面接があり12月にマッチングの発表が行われます。レジデントの場合は、9月より申請が始まり、プログラム開始の5ヵ月前の3月に結果が出るため、ビザ申請などを含めるとあまり余裕がない日程になっています。しかしながら、循環器カテーテル治療フェローの選考はERASを経由して候補者が申請し、プログラム側がそれを審査するところまでは同じなのですが、申請開始時期が前々年の12月からと非常に早く、さらに不公平なことに現時点ではマッチングシステムを採用していません。プログラム側が選定した候補者と面接をした後に随時オファーを送り、候補者側は48時間以内にそれを受けるか判断しなければいけないという仕組みになっています。たとえば、より良い病院の面接を控えている状況で、少しランクの落ちる病院からのオファーが来た時に、候補者側が大変悩ましい選択を強いられるような仕組みです。あまり魅力的でないオファーを蹴って、ランクの高い病院に勝負をかけてもいいのですが、逆にオファーを蹴ったことで、よりランクの落ちる病院になる可能性もあります。はたまた、循環器のサブスペシャリティの中でInterventional Cardiologyは最も競争が激しいため、アンマッチになることもありえます。この仕組みはプログラム側が有利だと言えます。また、ある程度上位のプログラムは内部生で固まってしまうため、外部から有名な病院のプログラムには入りにくくなっています。このような不公平さへの批判から、この仕組みはわれわれの学年までで終了し、1学年下からはNRMPを通じたマッチングシステムに変わります。病院がNRMPのシステムを採用すると、マッチング外からの採用は禁止されるため、さらに多くの病院が参加することとなります。さて、システムの逆境の中ではありましたが、私はなんとか2024年7月から、ハーバード・メディカルスクール マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital, Harvard Medical School)のカテーテルフェローのポジションを獲得できました。そのプロセスについて、次回お伝えしたいと思います。Column先日、JAMA Pediatricsにコロナワクチンと若年者の心筋炎に関する論文を掲載したので、ここに報告させていただきます。筆頭著者は大学テニス部の時のダブルスパートナーで、まさに二人三脚で挑んだ2本目のダブルス論文です。また、共同筆頭著者の先生は臨床留学を目指しているとのことで、今後もアカデミックに頑張ってほしいと思います。Yasuhara, J, Masuda K, Kuno T, et al. Myopericarditis After COVID-19 mRNA Vaccination Among Adolescents and Young Adults: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Pediatr. 2022 Dec 5. [Epub ahead of print]

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事例015 オキサロールローション25μg/gの査定【斬らレセプト シーズン3】

解説事例では尋常性乾癬の患者に対してマキサカルシトール液(商品名:オキサロールローション)(以下「同剤」)を処方したところ、 C事由(医学的理由による不適当)として査定となりました。査定理由を調べるため添付文書をみてみました。傷病名欄の病名に適用があり、病名に対しての部位も記入されています。1日当たりの限度量も添付文書記載内に収まっています。用法・用量に関連する注意に、「本剤は、通常、使用後6週目までに効果が認められているので、治療にあたっては経過を十分に観察し、症状の改善がみられない場合には、(副作用発現軽減のため)漫然と使用を継続しない」とあり、基本的注意には「血中カルシウム値および腎機能(血中クレアチニン、BUNなど)の検査を定期的(開始2~4週後に1回、その後は適宜)」と記載されています。カルテをみてみると、診療開始日から同剤が投与されており、6週間を経過していました。レセプトには、症状の改善がみられることへのコメントがありません。前月も当月も検査が実施されていませんでした。したがって、漫然投与とみなされて査定になったものと推測されます。コンピュータ審査が充実するにしたがい、このような数ヵ月間を遡って比較する査定が増えています。医師には同剤処方時には添付文書通りに使用開始から6週間での適用判断と適宜の検査をお願いしました。薬剤処方システムならびにレセプトチェックシステムにも6週間を超えて処方が続いている場合に注意が表示されるよう設定を行い査定対策としました。

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1月9日 風邪の日【今日は何の日?】

【1月9日 風邪の日】〔由来〕寛政7(1795)年の旧暦の今日、第4代横綱で63連勝の記録を持つ谷風 梶之助が風邪で亡くなったことに由来して制定。インフルエンザや風邪が流行する季節でもあることから、医療機関や教育機関で風邪などへの予防啓発で周知されている。関連コンテンツ「迷わない発熱の診方」【診療よろず相談TV】咳嗽も侮れない!主訴の傾聴だけでは救命に至らない一例【Dr.山中の攻める!問診3step】第10回鼻が詰まったときの症状チェック咳・痰が続くときの症状チェック喉が痛いときの症状チェック

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オミクロン株の新系統に対するワクチンの有効性/東京大学・国立国際医療研究センター

 第8波の主体となっている新型コロナウイルス・オミクロン株。現在では、欧米諸国でBA.5系統から派生したBQ.1.1系統が、インドやシンガポールなどのアジア諸国ではBA.2系統から派生したXBB系統の感染例が急激に増加している。これら現在流行中の系統に対する新型コロナワクチンの有効性は、どの程度あるのだろうか。 東京大学医科学研究所ウイルス感染部門の河岡 義裕氏らの研究グループは国立国際医療研究センターと共同で、オミクロン株BQ.1.1系統とXBB系統に対するmRNAワクチン(パンデミック初期株をもとに作られたワクチン)の有効性を検証するため、患者から分離したBQ.1.1系統とXBB系統に対するmRNAワクチン被接種者血漿*の中和活性を調べた。その結果、BQ.1.1系統とXBB系統に対する中和活性は、従来株、BA.2系統、あるいはBA.5系統に対する活性よりも顕著に低かったことが判明した。Lancet Infectious Diseases誌2023年1月号に公表された。*3回目接種から半年経過または、4回目接種から1~2ヵ月経過したもの。ワクチン4回接種でも中和活性は低い 本研究の目的として、2022年12月現在、わが国を含む多くの国々では、BA.5系統に属する株が主流となっている。しかし、米国をはじめとする欧米諸国では、BA.5系統から派生したBQ.1.1系統が主流となりつつあり、インドやシンガポールなどのアジア諸国では、BA.2系統から派生したXBB系統の感染例が急激に増加している。さらには、BQ.1.1系統とXBB系統が、国内を含む多くの国々で検出されている。こうした環境下で、国民のおよそ65%あるいは40%がmRNAワクチンの3回目あるいは4回目接種を終えているなか、現在流行中の系統に対するワクチンの有効性に関する情報が求められている。そのため、河岡氏らの研究グループは、オミクロン株BQ.1.1系統とXBB系統に対するmRNAワクチン(パンデミック初期株をもとに作られたワクチン)の有効性を検証するため、患者から分離したBQ.1.1系統とXBB系統に対するmRNAワクチン被接種者血漿の中和活性を調べた。 mRNAワクチン被接種者から採取された血漿のBQ.1.1株とXBB株に対する感染阻害効果(中和活性)を調べた結果、mRNAワクチン3回目の被接種者の血漿(3回目接種から半年経過したもの)または4回目の被接種者血漿(4回目接種から1~2ヵ月経過したもの)の、BQ.1.1系統とXBB系統に対する中和活性は、いずれも、従来株、BA.2系統、あるいはBA.5系統に対する活性より著しく低く、多くの検体で中和活性が検出限界以下だった。 続いてmRNAワクチンを3回目接種後にBA.2系統に感染した患者(BA.2系統ブレークスルー感染者)の血漿を用いて、BQ.1.1株とXBB株に対する中和活性を調べたところ、これらの血漿のBQ.1.1系統とXBB系統に対する中和活性は、従来株、BA.2系統、あるいはBA.5系統に対する活性よりも顕著に低いことがわかった。一方で、ほとんどの血漿は低いながらも中和活性を有していることが判明した。 同グループは、本研究を通して得られた成果は、「医療現場における適切なCOVID-19治療薬の選択に役立つだけでなく、オミクロン株各系統のリスク評価など、行政機関が今後の新型コロナウイルス感染症対策計画を策定・実施する上で、重要な情報となる」と期待を寄せている。

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デュルバルマブ+化学療法が胆道がんに、トレメリムマブ+デュルバルマブが肝がんに承認/AZ

 アストラゼネカは、2022年12月23日、デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)が「治癒切除不能な胆道」および「切除不能な肝細胞」を適応症として承認されたと発表。また、新たな抗CTLA-4抗体トレメリムマブ(同:イジュド)はデュルバルマブとの併用療法が、「切除不能な肝細胞」を適応症として承認されたと発表した。胆道がん(BTC)におけるデュルバルマブ 今回の承認は第III相TOPAZ-1試験の中間解析に基づいたもの。デュルバルマブと化学療法の併用療法が承認されたことにより、限られた治療法しかなかった治癒切除不能なBTCに免疫治療が可能となる。 TOPAZ-1試験は、切除不能な進行または転移のあるBTCを対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照国際多施設共同試験。BTCの1次療法として、デュルバルマブと化学療法の併用療法と、プラセボと化学療法の併用療法を比較している。肝細胞がん(HCC)におけるデュルバルマブとトレメリムマブ 今回の承認は第III相HIMALAYA試験の結果に基づくもの。デュルバルマブとトレメリムマブの併用療法が承認されたことにより、切除不能なHCCに対して2剤の免疫治療薬による治療が可能になる。 HIMALAYA試験は、未治療の切除不能進行HCCを対象とし、デュルバルマブ単剤療法群、デュルバルマブにトレメリムマブを初回単回追加投与し、その後デュルバルマブを投与する群と標準治療薬のソラフェニブを比較した第III相無作為化非盲検国際多施設共同試験である。

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「新型コロナ感染症対策の情報提供サイト」開設/モデルナ

 モデルナは2022年12月22日、一人ひとりにあった感染予防対策や最新情報の提供を目指した、新型コロナウイルス感染症情報サイト『コロナ対策ステーション』(以下、当サイト)を開設した。当サイトは4つのメニューから構成されており、各コンテンツを通して新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する正しい知識を得られる場となることが期待される。『コロナ対策ステーション』について SARS-CoV-2感染によるCOVID-19は、日本の公衆衛生にとっていまだ脅威であり、今後さらなる感染再拡大も懸念されている。当サイトは、「一人ひとりの年齢やこれまでのワクチン接種状況などに応じて、感染対策情報の提供と新型コロナウイルス感染症に関する疑問を解決する」というコンセプトのもと、「あなたのための新型コロナウイルス対策(FAQ)」「知っておきたいコロナ対策(動画5本掲載)」「コロナウイルス流行株インフォ」「ワクチン接種会場を調べる」の4つのメニューで構成され、「一人ひとりにあった感染予防対策や最新情報」を提供している。 当サイトのナビゲーターを務めるのは俳優の椎名 桔平氏である。椎名氏は、一般生活者の代表としてサイト内の随所に登場する。また、矢野 晴美氏(国際医療福祉大学医学部 医学教育統括センター 副センター長/感染症学教授)が監修する「知っておきたいコロナ対策」では、新型コロナウイルス対策やワクチンについて、矢野氏による丁寧な解説を動画で視聴することができる。 当サイトの開設について、モデルナ・ジャパン代表取締役社長の鈴木 蘭美氏は、「新型コロナウイルスは、日本の公衆衛生にとって引き続き脅威となっております。モデルナはワクチン提供にとどまらず、当サイトを通してCOVID-19に関する正しい情報を提供することで、皆さんのお役に立てることを願っています」と述べている。【コロナ対策ステーションのコンテンツ内容】・あなたのための新型コロナウイルス対策(FAQ) 年齢、性別、ワクチン接種回数、家庭内の小さな子どもの有無、健康状態を選択すると、その条件にあった内容の情報が抽出され閲覧できる。・知っておきたいコロナ対策(動画5本掲載、1本当たり4~5分) 矢野氏監修のコンテンツ。椎名氏が聞き手として5本の動画内に登場し、COVID-19対策の各テーマについて矢野氏による解説を聞く内容となっている。1. 接種対象者案内「接種対象者はどんな人?」2. 追加接種の意義「追加接種は必要?」3. コロナワクチンの種類「新型コロナウイルスのワクチンにはどんな種類があるの?」4. 変異株とは「ウイルスの変異って何?」5. 副反応対策「追加接種の副反応、大丈夫?対策は?」・コロナウイルス流行株インフォ国立感染症研究所の変異株情報をわかりやすく解説している。・ワクチン接種会場を調べる厚生労働省のコロナワクチンナビ「接種会場を探す」へリンクし全国の接種会場を調べることができる。

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治療抵抗性統合失調症に対する新規抗精神病薬および薬理学的戦略の最新情報

 適切な用量および投与期間による2種類以上の抗精神病薬治療で反応が得られない治療抵抗性統合失調症は、精神医学の中で最も治療困難な病状の1つであるといえる。疫学的には、治療抵抗性統合失調症は統合失調症患者の3分の1に影響するとされ、全体的な機能の観点からも患者に深刻な結果をもたらす。しかし、50年間で治療抵抗性統合失調症の適応で承認された治療薬はクロザピンのみであり、クロザピンでも反応の得られない耐性患者も少なくない。イタリア・ナポリ大学のAndrea de Bartolomeis氏らは、現在報告されている文献を批判的に評価し、治療抵抗性統合失調症の治療における新旧薬剤の役割についてレビューを行った。Expert Opinion on Pharmacotherapy誌2022年12月号の報告。 主なレビューは以下のとおり。・治療抵抗性統合失調症に対する治療は、クロザピンに匹敵または併用する治療法がいくつか報告されており、主に次の3つの戦略が挙げられる。 1)第2世代抗精神病薬(amisulprideなど)の併用 2)従来の抗精神病薬と異なる受容体プロファイルを有する第2世代抗精神病薬(アリピプラゾール、cariprazineなど)の併用 3)ドパミンD2/D3受容体占有を超える新規アプローチ(xanomeline+trospium、TAAR1アゴニスト、安息香酸ナトリウム、D-アミノ酸など)・代替治療や併用療法の有効性を評価するためには、治療抵抗性統合失調症やクロザピン耐性の現行の基準を適用した、より質の高い臨床試験が求められる。

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ソトラシブ、KRAS p.G12C変異陽性進行膵がんに有望/NEJM

 ソトラシブは、治療歴のあるKRAS p.G12C変異陽性進行膵がん患者に対して抗腫瘍活性を示し、安全性プロファイルは良好であることを、米国・デューク大学医療センターのJohn H. Strickler氏らが、国際共同第I/II相単群非盲検試験「CodeBreaK 100試験」の結果、報告した。ソトラシブは、KRAS G12Cを特異的かつ不可逆的に阻害する低分子化合物で、米国において、少なくとも1回の全身性の治療歴があるKRAS p.G12C変異陽性で局所進行または転移を有する非小細胞肺がんの治療薬として2021年5月に迅速承認された。KRAS p.G12C変異は膵がんの約1~2%に認められるが、治療歴があるKRAS p.G12C変異陽性膵がん患者におけるソトラシブの安全性と有効性はこれまで明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2022年12月21日号掲載の報告。既治療患者を対象にソトラシブの安全性と有効性を検討 研究グループは、少なくとも1回の全身治療歴があるKRAS p.G12C変異陽性の局所進行または転移を有する膵がん成人患者(18歳以上)を対象に、安全性および副作用プロファイルを評価するとともに推奨用量を決定し(第I相試験)、第I相試験で推奨された用法用量(1日1回960mg経口投与)の有効性を評価した(第II相試験)。両試験相とも、増悪、許容できない副作用の発現または同意撤回等までソトラシブの投与を継続した。 本論では、第I相および第II相を併合したソトラシブの安全性および有効性の解析結果が報告されている。 有効性の主要評価項目は、RECIST 1.1に基づく盲検下独立中央画像判定機関(BICR)判定による客観的奏効率(ORR、完全奏効+部分奏効)であった。そのほか、奏効期間、客観的奏効までの期間、病勢コントロール率(客観的奏効+病勢安定)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性について評価された。ORR 21%、PFS 4ヵ月、OS 6.9ヵ月、治療関連有害事象発現率は42% 2019年7月3日~2021年1月25日の間に、7ヵ国25施設において計38例(第I相12例、第II相26例)が登録され、全例にソトラシブ960mgの1日1回経口投与が行われた。患者背景は、男性29例(76%)、年齢中央値65.5歳(範囲:45~81)、21例(55%)が初診時にIV期で、登録時、全例が転移性病変を有しており、治療歴は中央値で2ライン(範囲:1~8)であった。 38例中8例(21%、95%信頼区間[CI]:10~37)で、BICR判定による客観的奏効が確認された。8例全例ともに部分奏効で、完全奏効例はなかった。 PFS中央値は4.0ヵ月(95%CI:2.8~5.6)、追跡期間中央値16.8ヵ月(95%CI:9.5~評価不能)におけるOS中央値は6.9ヵ月(95%CI:5.0~9.1)であった。 治療関連有害事象は、全Gradeで16例(42%)に認められ、6例(16%)はGrade3であった。主なGrade3の治療関連有害事象は、下痢および疲労(各2例[5%])であった。Grade4以上、死亡または投与中止に至る治療関連有害事象は認められなかった。

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M4受容体選択的PAMのemraclidine、統合失調症に有望/Lancet

 新規開発中のemraclidineは、統合失調症に対し漸増レジメンなしで1日1回経口投与が可能な治療薬として有効であり、安全性および副作用プロファイルも良好であることが示された。米国・イェール大学のJohn H. Krystal氏らが、第Ib相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。emraclidineは、統合失調症治療薬として新規開発中の脳浸透性ムスカリンM4受容体選択的ポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)である。今回の結果を踏まえて著者は、「統合失調症に対するemraclidineの有効性、安全性および忍容性を確認するため、さらなる研究が必要である」とまとめている。Lancet誌2022年12月17日号掲載の報告。2つのパートでemraclidineの安全性と忍容性を検証 試験は2つのパートで構成され、精神疾患簡易構造化面接法(M.I.N.I.)でDSM-5診断基準により統合失調症と診断され、スクリーニング時に錐体外路症状が正常から軽度と判定された18~50歳(パートA)または18~55歳(パートB)の患者を適格とした。 パートAは、米国の1施設にて症状が安定している統合失調症患者を5つのコホートに分け、emraclidineの5mg、10mg、20mgまたは30mgを1日1回投与、20mgを1日2回投与(40mg/日)、およびプラセボを段階的に投与して、emraclidineの安全性と忍容性を評価した。 パートBは、米国5施設にて無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施し、急性期の患者を、emraclidine 30mgを1日1回投与、または20mgを1日2回投与(パートAにおいて設定された用量)、またはプラセボ投与に1対1対1の割合で無作為に割り付け、6週間経口投与した。 主要評価項目は、安全性解析対象集団(emraclidineまたはプラセボを少なくとも1回投与された患者)における安全性および忍容性であった。30mgの1日1回投与、安全性および副作用プロファイルが良好 パートAでは、2019年9月23日〜2020年9月17日の期間に118例が適格性を評価され、49例が5つのコホートに無作為に割り付けられた。44例が試験を完遂し、36例がemraclidine、8例がプラセボの投与を受けた。emraclidineの投与により収縮期血圧および拡張期血圧がわずかながら上昇したが、いずれも臨床的な意義はなく、有害事象との関連もなかったことから、2つの高用量(30mg 1日1回投与および20mg 1日2回投与)がパートBの用量として選択された。 パートBでは、2020年10月12日〜2021年5月7日の期間に、148例が適格性を評価され、81例がemraclidine 30mg 1日1回群(27例)、20mg 1日2回群(27例)、またはプラセボ群(27例)に無作為化された。有害事象の発現率は、emraclidine 30mg 1日1回群52%(14/27例)、20mg 1日2回群56%(15/27例)、プラセボ群52%(14/27例)であり、臨床評価および体重変化も各群で類似していた。 主な有害事象は頭痛であった(emraclidine群28%[15/54例]、プラセボ群26%[7/27例])。emraclidine群で投与開始初期に、軽度で一過性の血圧および心拍数上昇が認められたが、経時的に低下し、6週時には臨床的に意義はないものと見なされた。

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2023年になりました!【Dr. 中島の 新・徒然草】(458)

四百五十八の段 2023年になりました!この新・徒然草でも毎年のように今年の目標、といったことを書いています。振り返ってみると、2017年や2018年には「とくに目標なし」と書いていました。2023年の今年は「積極的に目標なし」ということにしたいと思います。というのも、中田敦彦のYouTube大学に感化されたからです。実は、2022年12月10日と11日の動画の中で面白い本が紹介されていました。『限りある時間の使い方』(オリバー・バークマン著)です。この動画の中で中田は、オリバー・バークマンの言葉を引用しています。つまり、「目標を立てるな、やりたい事はすぐにやれ」ということです。そもそも現代に生きるわれわれは、2つの呪縛に囚われているのだとか。目標達成マインドと生産性マインドです。目標達成マインドというのは、どうしても目標を立てずにはいられない心のこと。たとえば、TOEICの点数とか体重とか。中田の場合だと、YouTubeの登録人数がそれにあたるそうです。300万人を達成したら次は400万人。400万人の次は500万人、とキリがありません。われわれだと仕事を片付けたり貯金をしたりすることなどでしょうか。今は忙しいしお金もない。でも、目標を達成したらビーチでのんびりしたいなあ。そういうのが典型的ですね。中田に言わせれば、それは駄目な発想。「今すぐビーチでのんびりしろ!」というのが正しいそうです。実際、定年になり、お金も出来たとしても、ビーチに行くには年を取り過ぎです。それに高齢者は町内会やら自らの病院受診で案外忙しい。であれば、今すぐビーチ!今……はちょっと寒そうなので、現実には今年の夏ですね。目標達成マインドのほかに、もう1つ解放されるべき呪縛があります。それが生産性マインドです。人間、無理に何か生産する必要はありません。楽しい事はすべて生産性が無い、趣味がお金を生んではならない!このように中田は言っています。たとえば鉄道模型を集める事。これは純粋に楽しい。その模型が何個になるまで楽しくない、ということはありません。鉄道模型を触っている今が楽しいわけです。つまり、目標も要らないし、生産性も考えなくてもいい。こういった何の意味もない事を直ちに始める。それが大切なわけです。とはいえ、「生産性のない楽しい事を今すぐやれ!」と急に言われても困りますよね。私もこれまで考えてこなかったので、すぐに思い付きません。せめて、生産性のない事に罪悪感を持つ必要もない、と考えるくらいでしょうか。というわけで、2023年は「生産性のない楽しい事」を探してみたいと思います。最後に1句年明けて 無駄で楽しい 事さがせ!

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褐色細胞腫・パラガングリオーマ〔PPGL:pheochro mocytoma/paraganglioma〕

1 疾患概要褐色細胞腫・パラガングリオーマ(PPGL)は副腎髄質または傍神経節のクロム親和性細胞から発生するカテコールアミン産生腫瘍で、前者を褐色細胞腫、後者をパラガングリオーマ、総称して「褐色細胞腫・パラガングリオーマ」と呼ぶ。カテコールアミン過剰分泌による症状と腫瘍性病変による症状がある。カテコラミン過剰により、動悸、頭痛などの症状、高血圧、糖代謝異常などの種々の代謝異常、心血管系合併症、さらには各種の緊急症(高血圧クリーゼ、たこつぼ型心筋症による心不全、腫瘍破裂によるショックなど)を呈することがある。すべてのPPGLは潜在的に悪性腫瘍の性格を有し、実際、約10〜15%は悪性・転移性を示す。それ故、早期の適切な診断と治療が極めて重要である。原則として日本内分泌学会「褐色細胞腫・パラガングリオーマ診療ガイドライン2018」1)(図)に基づき、診断と治療を行う。図 褐色細胞腫・パラガングリオーマの診療アルゴリズム画像を拡大する2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ PPGLを疑う所見カテコラミン過剰による頭痛、動悸、発汗、顔面蒼白、体重減少、悪心・嘔吐、心筋梗塞類似の胸痛、不整脈などの多彩な症状を示す。肥満はまれである。高血圧を約85%に認め、持続型、発作型、混合型があるが、特に発作性高血圧が特徴的である。持続型では治療抵抗性高血圧の原因となる。発作型では各種刺激(運動、ストレス、過食、排便、飲酒、腹部触診、メトクロプラミド[商品名:プリンペラン]静注など)で高血圧発作が誘発される(高血圧クリーゼ)。さらに、急性心不全、肺水腫、ショックなどを合併することもある。発作型の非発作時には、まったくの「無症候性」であることも少なくない。また、高血圧をまったく呈さない無症候性や、逆に起立性低血圧を示すこともある。副腎や後腹膜の偶発腫瘍として発見される例も多い。■ スクリーニングの対象PPGLは二次性高血圧の中でも頻度が少なく、希少疾患に位置付けられるため、全高血圧でのスクリーニングは、費用対効果の観点から現実的ではない。PPGLガイドラインでは、特に疑いの強いPPGL高リスク群(表)での積極的なスクリーニングを推奨している。表 PPGL高リスク群1)PPGLの家族歴ないし既往歴(MEN、Von Hippel-Lindau病など)のある例2)特定の条件下の高血圧(発作性、治療抵抗性、糖尿病合併、高血圧クリーゼなど)3)多彩な臨床症状(動悸、発汗、頭痛、胸痛など)4)副腎偶発腫特に近年、副腎偶発腫瘍、無症候例の頻度が増加しているため、慎重な鑑別診断が必須である。スクリーニング方法カテコールアミン過剰の評価に際しては、運動、ストレス、体位、食品、薬剤などの測定値に影響する要因を考慮する必要がある。まず、外来でも実施可能な血中カテコールアミン(CA)分画(正常上限の3倍以上)、随時尿中メタネフリン分画(メタネフリン、ノルメタネフリン)(正常上限の3倍以上または500ng/mg・Cr以上)の増加を確認する。メタネフリン、ノルメタネフリンはカテコールアミンの代謝産物であり、随時尿でも安定であるため、スクリーニングや発作型の診断に有用である。近年、海外で第1選択である血中遊離メタネフリン分画も実施可能となったが、海外とは測定法が異なるため注意を要する。機能診断法上記のスクリーニングが陽性の場合、24時間尿中カテコールアミン分画(≧正常上限の2倍以上)、24時間尿中総メタネフリン分画(正常上限の3倍以上)の増加を確認する。従来実施された誘発試験は著明な高血圧を来すため推奨されない。アドレナリン優位の腫瘍は褐色細胞腫、ノルアドレナリン優位の腫瘍はパラガングリオーマが多い。画像診断臨床的にPPGLが疑われる場合は腫瘍の局在、広がり、転移の有無に関する画像診断(CT、MRI)を行う。約90%は副腎原発で局在診断が容易であり、副腎偶発腫瘍としての発見も多い。約10%はPGLで時に局在診断が困難なため、CT、 MRI、123I-MIBGシンチグラフィなどの複数のモダリティーを組み合わせる。(1)CT副腎腫瘍確認の第1選択。造影剤使用はクリーゼ誘発の可能性があるため、わが国では原則禁忌であり、実施時には患者への説明・同意とフェントラミンの準備が必須となる。(2)MRI副腎皮質腫瘍との鑑別診断、頭頸部病変、転移性病変の診断に有用である。(3)123I-MIBGシンチグラフィ疾患特異性が高いが偽陰性、偽陽性がある。PGLや転移巣の診断にも有用である。ヨウ化カリウムによる甲状腺ブロックを行う。(4)18F-FDG PET多発性病変や転移巣検索に有用である。病理学的診断(1)良・悪性を鑑別する病理組織マーカーは未確立である。組織所見とカテコールアミン分泌パターンを組み合わせたスコアリング(GAPP)が悪性度と予後判定に有用とされる。(2)コハク酸脱水素酵素サブユニットB(SDHB)の免疫染色の欠如はSDHx遺伝子変異の存在を示唆する。遺伝子解析(1)PPGLの30~40%が遺伝性で、19種類の原因遺伝子が報告されている2)。(2)若年発症(35歳未満)、PGL、多発性、両側性、悪性では生殖細胞系列の遺伝子変異が示唆される2)。(3)SDHB遺伝子変異は遠隔転移が多いため悪性度評価の指標となる。(4)全患者において遺伝子変異の頻度と臨床的意義、遺伝子解析の利益と不利益の説明を行うことが推奨されるが、必須ではなく、[1]遺伝カウンセリング、[2]患者の自由意思による判断、[3]質の担保された解析施設での実施が重要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)過剰カテコールアミンを阻害する薬物治療と手術による腫瘍摘除が治療原則である。1)薬物治療α1遮断薬が第1選択で、効果不十分な場合、Ca拮抗薬を併用する。頻脈・頻脈性不整脈ではβ遮断薬を併用するが、α1遮断薬に先行しての単独投与は禁忌である。循環血漿量減少に対して、術前に高食塩食あるいは生理食塩水点滴を行う。α1遮断薬でのコントロール不十分な場合はカテコールアミン合成阻害薬メチロシン(商品名:デムサー)を使用する。2)外科的治療小さな褐色細胞腫では腹腔鏡下副腎摘除術、悪性度が高い例では開腹手術を施行する。潜在的に悪性であることを考慮して、腫瘍被膜の損傷に注意が必要である。家族性PPGLや対側副腎摘除後の症例では副腎部分切除術を検討する。悪性の可能性があるため、全例で少なくとも術後10年間、悪性度が高いと判断される高リスク群では生涯にわたる経過観察が推奨される。3)悪性PPGL131I-MIBG内照射、CVD化学療法、骨転移に対する外照射などの集学的治療を行う。治癒切除が困難でも、原発巣切除術による予後改善が期待される。■ 診断と治療のアルゴリズム上述の日本内分泌学会診療ガイドラインの診療アルゴリズム(図)を参照されたい。PPGL高リスク群で積極的にスクリーニングを行う。外来にて血中カテコラミン、随時尿中メタネフリン分画などを測定、疑いが強ければ、蓄尿でのCA分画と画像診断を行う。内分泌異常と画像所見が合理的に一致していれば、典型例での診断は容易である。無症候性、カテコールアミン産生能が低い例、腫瘍の局在を確認できない場合の診断は困難で、内分泌検査の反復、異なるモダリティーの画像診断の組み合わせが必要である。単発性病変であれば、α1ブロッカーによる適切な事前治療後、腫瘍摘出術を行う。術後、長期にわたり定期的に経過観察を要する。悪性・転移性の場合は、ガイドラインに準拠して集学的な治療を行う。診断と治療は専門医療施設での実施が推奨される。4 今後の展望今後解決すべき課題は以下の通りである。PPGL疾患概念の変遷:分類、神経内分泌腫瘍との関連診療アルゴリズムの改変診断基準の精緻化機能検査:遊離メタネフリン分画の位置付け画像検査:オクトレオチドスキャンの位置付け、68Ga-DOTATEシンチの応用遺伝子検査の臨床的適応頸部パラガングリオーマの診断と治療内科的治療:デムサの適応と治療効果核医学治療:123I-MIBG、ルテチウムオキソドトレオチド(商品名:ルタテラ)の適応と実態5 主たる診療科初回受診診療科は一般的に代謝・内分泌科、循環器内科、泌尿器科、腎臓内科など多岐にわたるが、以下の場合には専門医療施設への紹介が望ましい。(1)PPGLの家族歴・既往歴のある患者(2)高血圧クリーゼ、治療抵抗性高血圧、発作性高血圧などの患者(3)副腎偶発腫瘍で基礎疾患が不明な場合(4)PPGLの局所再発や遠隔転移のある悪性PPGL(5)遺伝子解析の実施を考慮する場合6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難治性副腎疾患プロジェクト(医療従事者向けのまとまった情報)1)成瀬光栄、他. 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「褐色細胞腫の実態調査と診療指針の作成」研究班 平成22年度報告書.2010.2)Lenders JW、 et al. J Clin Endocrinol Metab. 2014;99:1915-1942.3)日本内分泌学会「悪性褐色細胞腫の実態調査と診療指針の作成」委員会(編).褐色細胞腫・パラガングリオーマ診療ガイドライン2018.診断と治療社;2018.公開履歴初回2023年1月5日

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ARNi【心不全診療Up to Date】第4回

第4回 ARNiKey PointsARNi誕生までの長い歴史をプレイバック!ARNiの心不全患者に対するエビデンス総まとめ!ARNiの認知機能への影響は?はじめに第4回となる今回は、第1回で説明した“Fantastic Four”の1人に当たる、ARNiを取り上げる。第3回でSGLT2阻害薬の歴史を振り返ったが、実はこのARNiも彗星のごとく現れたのではなく、レニンの発見(1898年)から110年以上にわたる輝かしい一連の研究があってこその興味深い歴史がある。その歴史を簡単に振り返りつつ、この薬剤の作用機序、エビデンス、使用上の懸念点をまとめていきたい。ARNi開発の歴史:なぜ2つの薬剤の複合体である必要があるのか?ARNiとは、Angiotensin Receptor-Neprilysin inhibitorの略であり、アンジオテンシンII受容体とネプリライシンを阻害する新しいクラスの薬剤である。この薬剤を理解するには、心不全の病態において重要なシステムであるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)とナトリウム利尿ペプチド系(NPS)を理解することが重要である(図1)。アンジオテンシンII受容体は説明するまでもないと思われるが、ネプリライシン(NEP)はあまり馴染みのない先生もおられるのではないだろうか。画像を拡大するネプリライシンとは、さまざまな心保護作用のあるナトリウム利尿ペプチド(ANP、BNP、 CNP)をはじめ、ブラジキニン、アドレノメデュリン、サブスタンスP、アンジオテンシンIおよびII、エンドセリンなどのさまざまな血管作動性ペプチドを分解するエンドペプチダーゼ(酵素)のことである。その血管作動性ペプチドにはそれぞれに多様な作用があり、ネプリライシンを阻害することによるリスクとベネフィットがある(図2)。つまり、このNEP阻害によるリスクの部分(アンジオテンシンIIの上昇など)を補うために、アンジオテンシン受容体も合わせて阻害する必要があるというわけである。画像を拡大するそこでまずはACEとNEPの両方を阻害する薬剤が開発され1)、このクラスの薬剤の中で最も大規模な臨床試験が行われた薬剤がomapatrilatである。この薬剤の心不全への効果を比較検証した第III相試験OVERTURE(Omapatrilat Versus Enalapril Randomized Trial of Utility in Reducing Events)、高血圧への効果を比較検証したOCTAVE(Omapatrilat Cardiovascular Treatment Versus Enalapril)にて、それぞれ心血管死または入院(副次評価項目)、血圧をエナラプリルと比較して有意に減少させたが、血管性浮腫の発生率が有意に多いことが報告され、市場に出回ることはなかった。これはomapatrilatが複数のブラジキニンの分解に関与する酵素(ACE、アミノペプチダーゼP、NEP)を同時に阻害し、ブラジキニン濃度が上昇することが原因と考えられた。このような背景を受けて誕生したのが、血管性浮腫のリスクが低いARB(バルサルタン)とNEP阻害薬(サクビトリル)との複合体であるARNi(サクビトリルバルサルタン)である。この薬剤の慢性心不全(HFrEF)への効果をエナラプリル(慢性心不全治療薬のGold Standard)と比較検証した第III相試験がPARADIGM-HF (Prospective Comparison of ARNi With ACE Inhibitors to Determine Impact on Global Mortality and Morbidity in HF)2)である(図3、表1)。この試験は、明確な有効性と主要評価項目が達成されたことに基づき、早期終了となった。つまり、ARNiは、長らく新薬の登場がなかったHFrEF治療に大きな”PARADIGM SHIFT”を起こすきっかけとなった薬剤なのである。画像を拡大する画像を拡大するARNiの心不全患者に対するエビデンス総まとめARNiの心不全患者を対象とした主な臨床試験は表1のとおりで、実に多くの無作為化比較試験(RCT)が実施されてきた。2010年、まずARNiの心血管系疾患に対する有効性と安全性を検証する試験(proof-of-concept trial)が1,328例の高血圧患者を対象に行われた3)。その結果、バルサルタンと比較してARNiが有意に血圧を低下させ、咳や血管浮腫増加もなく、ARNiは安全かつ良好な忍容性を示した。その後301人のHFpEF患者を対象にARNiとバルサルタンを比較するRCTであるPARAMOUNT試験が実施された(表1)4)。主要評価項目である投与開始12週後のNT-proBNP低下量は、ARNi群で有意に大きかった。36週後の左室充満圧を反映する左房容積もARNiでより低下し、NYHA機能分類もARNiでより改善された。そして満を持してHFrEF患者を対象に実施された大規模RCTが、上記で述べたPARADIGM-HF試験である2)。この試験は、8,442例の症候性HFrEF患者が参加し、エナラプリルと比較して利尿薬やβ遮断薬、MR拮抗薬などの従来治療に追加したARNi群で主要評価項目である心血管死または心不全による入院だけでなく、全死亡、突然死(とくに非虚血性心筋症)も有意に減少させた(ハザード比:主要評価項目 0.80、全死亡 0.84、突然死 0.80)。本試験の結果を受け、2015年にARNiは米国および欧州で慢性心不全患者の死亡と入院リスクを低下させる薬剤として承認された。このPARADIGM-HF試験のサブ解析は50本以上論文化されており、ARNiのHFrEFへの有効性がさまざまな角度から証明されているが、1つ注意すべき点がある。それは、サブグループ解析にてNYHA機能分類 III~IV症状の患者で主要評価項目に対する有効性が認められなかった点である(交互作用に対するp値=0.03)。その後、NYHA機能分類IVの症状を有する進行性HFrEF患者を対象としたLIFE(LCZ696 in Advanced Heart Failure)試験において、統計的有意性は認められなかったものの、ARNi群では心不全イベント率が数値的に高く、進行性HF患者ではARNiが有効でない可能性をさらに高めることになった5)。この結果を受けて、米国心不全診療ガイドラインではARNiの使用がNYHA機能分類II~IIIの心不全患者にのみClass Iで推奨されている(文献6の [7.3.1. Renin-Angiotensin System Inhibition With ACEi or ARB or ARNi])。つまり、早期診断、早期治療がきわめて重要であり、too lateとなる前にARNiを心不全患者へ投与すべきということを示唆しているように思う。ではHFpEFに対するARNiの予後改善効果はどうか。そのことを検証した第III相試験が、PARAGON-HF(Prospective Comparison of ARNi With ARB Global Outcomes in HF With Preserved Ejection Fraction)である7)。本試験では、日本人を含む4,822例の症候性HFpEF患者を対象に、ARNiとバルサルタンとのHFpEFに対する有効性が比較検討された。その結果、ARNiはバルサルタンと比較して主要評価項目(心血管死または心不全による入院)を有意に減少させなかった(ハザード比:0.87、p値=0.06)。ただ、サブグループ解析において、女性とEF57%(中央値)以下の患者群については、ARNiの有効性が期待できる結果(交互作用に有意差あり)が報告され、大変話題となった。性差については、循環器領域でも大変重要なテーマとして現在もさまざまな研究が進行中である8,9)。EFについては、その後PARADIGM-HF試験と統合したプール解析によりさらに検証され、LVEFが正常値(約55%)以下の心不全症例でARNiが有用であることが報告された10)。これらの知見に基づき、FDA(米国食品医薬品局)は、ARNiのHFpEF(とくにEFが正常値以下の症例)を含めた慢性心不全患者への適応拡大を承認した(わが国でも承認済)。このPARAGON-HF試験のサブ解析も多数論文化されており、それらから自分自身の診療での経験も交えてHFpEFにおけるARNiの”Sweet Spot”をまとめてみた(図4)。とくに自分自身がHFpEF患者にARNiを処方していて一番喜ばれることの1つが息切れ改善効果である11)。最近労作時息切れの原因として、HFpEFを鑑別疾患にあげる重要性が叫ばれているが、BNP(NT-proBNP)がまだ上昇していない段階であっても、労作時には左室充満圧が上がり、息切れを発症することもあり、運動負荷検査をしないと診断が難しい症例も多く経験する。そのような症例は、だいたい高血圧を合併しており、もちろんすぐに運動負荷検査が施行できる施設が近くにある環境であればよいが、そうでなければ、ARNiは高血圧症にも使用できることもあり、今まで使用している降圧薬をARNiに変更もしくは追加するという選択肢もぜひご活用いただきたい。なお、ACE阻害薬から変更する場合は、上記で述べた血管浮腫のリスクがあることから、36時間以上間隔を空けるということには注意が必要である。それ以外にも興味深いRCTは多数あり、表1を参照されたい。画像を拡大するARNi使用上の懸念点ARNiは血管拡張作用が強く、それが心保護作用をもたらす理由の1つであるわけだが、その分血圧が下がりすぎることがあり、その点には注意が必要である。実際、PARADIGM-HF試験でも、スクリーニング時点で収縮期血圧が100未満の症例は除外されており、なおかつ試験開始後も血圧低下でARNiの減量が必要と判断された患者の割合が22%であったと報告されている12)。ただ、そのうち、36%は再度増量に成功したとのことであった。実臨床でも、少量(ARNi 50mg 2錠分2)から投与を開始し、その結果リバースリモデリングが得られ、心拍出量が増加し、血圧が上昇、そのおかげでさらにARNiが増量でき、さらにリバースリモデリングを得ることができたということも経験されるので、いったん減量しても、さらに増量できるタイミングを常に探るという姿勢はきわめて重要である。その他、腎機能障害、高カリウム血症もACE阻害薬より起こりにくいとはいえ13,14)、注意は必要であり、リスクのある症例では初回投与開始2~3週間後には腎機能や電解質、血圧等を確認した方が安全と考える。最後に、時々話題にあがるARNiの認知機能への懸念に関する最新の話題を提供して終わりたい。改めて図2を見ていただくと、アミロイドβの記載があるが、NEPは、アルツハイマー病の初期病因因子であるアミロイドβペプチド(Aβ)の責任分解酵素でもある。そのため、NEPを持続的に阻害する間にそれらが脳に蓄積し、認知障害を引き起こす、あるいは悪化させることが懸念されていた。その懸念を詳細に検証したPERSPECTIVE試験15)の初期結果が、昨年のヨーロッパ心臓病学会(ESC2022)にて発表された16)。本試験は、592例のEF40%以上の心不全患者を対象に、バルサルタン単独投与と比較してARNi長期投与の認知機能への影響を検証した最初のRCTである(平均年齢72歳)。主要評価項目であるベースラインから36ヵ月後までの認知機能(global cognitive composite score)の変化は両群間に差はなく(Diff. -0.0180、95%信頼区間[CI]:-0.1230~0.0870、p=0.74)、3年間のフォローアップ期間中、各時点で両群は互いに類似していた。主要な副次評価項目は、PETおよびMRIを用いて測定した脳内アミロイドβの沈着量の18ヵ月時および36ヵ月時のベースラインからの変化で、有意差はないものの、ARNi群の方がアミロイドβの沈着が少ない傾向があった(Diff. -0.0292、95%CI:0.0593~0.0010、p=0.058)。これは単なる偶然の産物かもしれない。ただ、全体としてNEP阻害がHFpEF患者の脳内のβアミロイド蓄積による認知障害リスクを高めるという証拠はなかったというのは間違いない。よって、認知機能障害を理由に心不全患者へのARNi投与を躊躇する必要はないと言えるであろう。1)Fournie-Zaluski MC, et.al. J Med Chem. 1994;37:1070-83.2)McMurray JJ, et.al. N Engl J Med. 2014;371:993-1004.3)Ruilope LM, et.al. Lancet. 2010;375:1255-66.4)Solomon SD, et.al. Lancet. 2012;380:1387-95.5)Mann DL, et.al. JAMA Cardiol. 2022;7:17-25.6)Heidenreich PA, et.al. Circulation. 2022;145:e895-e1032.7)Solomon SD, et.al. N Engl J Med. 2019;381:1609-1620.8)McMurray JJ, et.al. Circulation. 2020;141:338-351.9)Beale AL, et.al. Circulation. 2018;138:198-205.10)Solomon SD, et.al. Circulation. 2020;141:352-361.11)Jering K, et.al. JACC Heart Fail. 2021;9:386-397.12)Vardeny O, et.al. Eur J Heart Fail. 2016;18:1228-1234.13)Damman K, et.al. JACC Heart Fail. 2018;6:489-498.14)Desai AS, et.al. JAMA Cardiol. 2017 Jan 1;2:79-85.15)PERSPECTIVE試験(ClinicalTrials.gov)16)McMurray JJV, et al. PERSPECTIVE - Sacubitril/valsartan and cognitive function in HFmrEF and HFpEF. Hot Line Session 1, ESC Congress 2022, Barcelona, Spain, 26–29 August.

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第26回 「5類」にして本当に皆さん診ますか?

高まる「5類」論何人か救急隊員の知り合いがいて、年末年始が大変だったという話で盛り上がっていたのですが、皆さん「5類」については懐疑的でした。「どこの医療機関でも診療可能」というのが「5類感染症」に変更するための主要な理由の1つになっていますが、病院にお勤めの皆さん、「5類だからどんどん診ます」と思うようになるでしょうか?そもそも総合病院クラスの医療機関は、ほとんどがすでに新型コロナを診療しています。院内クラスターが出ても、自院で診ています。ですから、大々的に「5類感染症」に変更したところで、入院を請け負う医療機関のキャパシティが増えるわけではないという懸念があります。過去のインフルエンザシーズンで、これほど高齢者施設クラスターが出ていたわけではありません。ワンフロアで何人かインフルエンザにかかったということはよくありましたが、施設全体で壊滅的な状況に陥る高齢者施設を見るのは、それだけ感染性が高いからだと理解しています。この感染症を、「5類になったことだし、じゃあどんどん入院させましょう」となると、診療する側としてはかなり躊躇してしまうのではないでしょうか。じゃんじゃん受け入れていたら、あっという間に院内クラスターが広まりそうです。非コロナで入院している人からすれば、勘弁してほしいところですよね。勘違いされている「応召義務」医師には応召義務があるので、新型コロナの診療を断れないという言説がありますが、誤りです。「正当な事由なく」という前提がある話であって、「新型コロナ疑い患者を隔離できる個室がない」というのは正当な事由に該当します。そのため、インフルエンザシーズンにおいても、大部屋しか空いていないときには発熱患者の搬送を断らざるを得ないこともありました。重症化率と致死率の誤謬そもそも重症化率や致死率の算出方法が異なるので、インフルエンザと新型コロナの比較が単純化できないことは、過去の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードでも述べられていることです。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けに関して、アドバイザリーボードにおいて出された意見では以下のような見解もありました。「今の検査体制では、コロナは軽症者や無症状者も検査に誘導しているため、分母にごく軽症者が乗っているという問題もある。インフルは発熱し、かつ医療機関にアクセスしてきた患者数が分母となるため、無症状や軽症の人は受診せず、本来はコロナの分母とは乖離するはず。今回数字が寄ったのは偶然だろう。この数字を前提として話すこと自体が問題になるのではないか1)。」これは至極同感です。重症化率と致死率だけではなくて、医療リソースや社会的なインパクトも考慮しなければいけません。「5類感染症」になったとしても、私たちはそれを「5類」として診るのではなく、もはや「新型コロナ」として診ます。そのため、国民のマインドみたいなものが多少変わるかもしれませんが、医療機関として講じるべき対策はそう変わらないと思っていますし、キャパが何倍にも増えるというイメージは持っていません。「5類感染症」になることで、外来医療全体のキャパシティ底上げにはつながるかもしれませんが、入院を要する患者さんの数は、ほぼ感染者数で決まりますので、救急医療が逼迫している大きな病院にとっては、たいした影響はないように思われます。参考文献・参考サイト1)第112回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年12月28日). 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけに関してアドバイザリーボードにおいて出された意見

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コロナ死亡例、脳を含む広範囲に長期ウイルスが存在/Nature

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡者の体内には、呼吸器をはじめ非呼吸器、脳に至るまで広く長期に渡ってSARS-CoV-2が存在していることが、新たな研究で判明した。米国国立衛生研究所(NIH)のSydney R. Stein氏らによる本研究結果は、Nature誌オンライン版2022年12月14日号に掲載された。 COVID-19は、重症の感染時に多臓器不全を引き起こすことが知られており、一部の患者には罹患後症状と呼ばれる症状が長く続く。しかし、呼吸器以外の感染負荷やウイルスが消失するまでの時間、とくに脳においては十分に解明されていない。 研究者らは、COVID-19の感染後に死亡した44例の患者の完全剖検を行い、うち11例の患者の中枢神経系を広範囲に採取し、感染から症状発現後7ヵ月以上までの、脳を含む人体全体のSARS-CoV-2の分布、複製、細胞型特異性のマッピングと定量分析を行った。組織および症例間のSARS-CoV-2 RNAレベルを定量的、統計的に比較するために、呼吸器系および非呼吸器系組織の観点から結果を分析した。 死亡時の病日により剖検例を早期(14日以内:n=17)、中期(15~30日:n=13)、後期(31日以上:n=14)に分類し、後期の症例においてSARS-CoV-2 RNAが存在する場合を持続と定義した。 主な結果は以下のとおり。・2020年4月26日~2021年3月2日に44例の剖検を行った。検体はすべてCOVID-19に感染して死亡したワクチン未接種者のものだった。女性が30%、年齢中央値は62.5歳(四分位範囲[IQR]:47.3~71.0)、61.4%が3つ以上の併存疾患を有していた。PCR陽性は42例で死前、2例で死後に確認された。11例で脳のサンプリングが行われた。・発症から最終的な入院、その後の死亡までの中央値はそれぞれ6日(IQR:3~10)、18.5日(IQR:11.25~37.5)であった。死亡から剖検までの中央値は22.2時間(IQR:18.2~33.9)であった。・SARS-CoV-2 RNAは84の異なる解剖学的部位と体液で検出され、早期~後期のいずれも非呼吸器組織と比較して呼吸器組織で有意(p<0.0001)に高い値が検出された。 ・脳のサンプリングを受けた全症例において、中枢神経系組織からSARS-CoV-2 RNAが検出された(10/11例、検出不能を除く)。ここには、230日目の死亡例を含んだ後期症例のすべてが含まれ(5/6例、検出不能を除く)、脳におけるウイルスの持続性が確認された。高いウイルス負荷にもかかわらず、脳における病理組織学的変化はほとんど認められなかった。・SARS-CoV-2 RNAの持続性は、血漿では検出されなかったものの、すべての後期症例で複数の組織にわたって確認された。 研究者らは以下のように結果の要点をまとめている。・SARS-CoV-2は、重症のCOVID-19で死亡した患者を中心に体内に広く分布しており、感染初期には脳を含む複数の呼吸器・非呼吸器組織でウイルス複製が存在することが明らかになった。・SARS-CoV-2 RNAが全身に広く分布しているにもかかわらず、気道以外では炎症や直接的なウイルスの細胞病理はほとんど観察されなかった。・SARS-CoV-2は、一部の患者では感染初期に播種し、非呼吸器組織よりも呼吸器組織で有意に高いウイルス量を示した。他の研究により、心臓、リンパ節、小腸および副腎内のSARS-CoV-2 RNAの存在が報告されており、SARS-CoV-2がこれらの組織や脳を含む他の多くの組織に感染し複製する能力があることを決定的に証明するものである。・SARS-CoV-2 RNAが残存する場所としては呼吸器が最も一般的であったが、後期症例の50%以上は、心筋、頭頸部および胸部のリンパ節、坐骨神経、眼組織、そして硬膜を除く中枢神経系組織のすべての採取部位にもRNAが残存していた。注目すべきは、早期症例では呼吸器系組織と非呼吸器系組織でSARS-CoV-2 RNA量が100倍以上高かったにもかかわらず、後期症例ではこの差が非常に小さくなっていることである。非呼吸器組織におけるウイルス排除の効率悪化は、SARS-CoV-2によるウイルス性mRNAの細胞検出を変化させる能力、インターフェロンシグナルの妨害、ウイルスの抗原提示の妨害における組織特異的な差異に関係していると思われる。SARS-CoV-2が免疫を回避するメカニズムを理解することは、ウイルス排除を促進する将来の治療アプローチの指針に不可欠である。 さらに、本研究の限界として、対象が重度のCOVID-19で死亡した既往症を持つ中高年のワクチン未接種者であること、実施時期から現在および将来の変異株に一般化できない可能性があること、研究デザインが臨床所見をウイルスの持続性に帰するためのものではないことを挙げている。

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各抗うつ薬中断後の離脱症候群~WHO自発報告データベース

 各抗うつ薬中断に関連する離脱症候群や重度の副反応の危険因子に関する情報は、不足している。イタリア・ベローナ大学のChiara Gastaldon氏らは、抗うつ薬が他の薬剤と比較し、離脱症候群の報告増加と関連しているかを評価し、重度の副反応の危険因子について調査を行った。その結果、抗うつ薬は、他の薬剤よりも離脱症候群の報告が多かった。著者らは、各抗うつ薬により離脱症候群の傾向が異なることや重篤な離脱症候群を引き起こす可能性のある患者の特徴を理解したうえで、抗うつ薬の使用および中止を検討する必要があるとしている。Drug Safety誌2022年12月号の報告。 個別症例安全性報告を集めたWHOグローバルデータベースであるVigiBaseを用いて、症例/非症例ファーマコビジランス研究を実施した。抗うつ薬に関連する離脱症候群の報告について、不均衡分析(報告オッズ比[ROR]、ベイジアン情報コンポーネント[IC]の算出)を行った。ブプレノルフィンを対照薬とし、抗うつ薬の各クラス内(選択的セロトニン再取り込み阻害薬[SSRI]、三環系抗うつ薬、その他の抗うつ薬)で相互に比較した。有意な不均衡が報告された抗うつ薬は、臨床的優先度の観点よりランク付けした。重度の副反応と重度でない副反応を比較した。 主な結果は以下のとおり。・抗うつ薬関連の離脱症候群の報告は、3万1,688件であった。・23種類の抗うつ薬について、不均衡な報告が検出された。・すべての他の薬剤と比較した抗うつ薬の推定RORは、以下のとおりであった。 ●抗うつ薬全体:14.26(95%信頼区間[CI]:14.08~14.45) ●SSRI:13.65(95%CI:13.41~13.90) ●三環系抗うつ薬:2.8(95%CI:2.59~3.02) ●その他の抗うつ薬:17.01(95%CI:16.73~17.29)・臨床的優先度ランキングに基づくと、パロキセチン、デュロキセチン、ベンラファキシン、desvenlafaxineで最も強い不均衡な報告が認められ、これらはブプレノルフィンと同程度であった。・離脱症候群の頻度および重症度と関連していた因子は、男性、思春期、多剤併用、抗うつ薬治療期間の長さであった(p<0.05)。

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若年発症2型DMは世界的な健康問題-30年で1.5倍超に/BMJ

 1990年以降、若年発症2型糖尿病は、世界的に増大している青少年・若年成人(15~39歳)の健康問題であり、とくに社会人口統計学的指標(SDI)低中・中の国で疾病負担は大きく、また30歳未満の女性で疾病負担が大きいことを、中国・ハルピン医科大学のJinchi Xie氏らが世界疾病負担研究2019(Global Burden of Disease Study 2019)のデータを解析し報告した。これまで若年発症2型糖尿病の世界的疾病負担や長期傾向、および性別やSDI分類別にみた違い、さらに国別の若年発症2型糖尿病寄与リスク因子の違いなどは調査されていなかった。BMJ誌2022年12月7日号掲載の報告。1990~2019年の204ヵ国15~39歳のデータを解析 研究グループは、青少年・若年成人(15~39歳)の2型糖尿病の世界的負担を推計するため、1990~2019年に204ヵ国の15~39歳が参加した世界疾病負担研究2019のデータを用いてシステマティックな解析を行った。 主要評価項目は、1990~2019年の15~39歳2型糖尿病者の年齢標準化罹患率、年齢標準化障害調整生存年(DALY)率、年齢標準化死亡率、および各リスク因子の寄与率(因子別寄与DALY÷総計DALYで算出)であった。罹患率、DALY率、死亡率とも有意に増加 1990~2019年に、青少年・若年成人の2型糖尿病の年齢標準化罹患率、年齢標準化DALY率は、有意に増加していた(p<0.001)。年齢標準化罹患率(10万人当たり)は、1990年の117.22(95%信頼区間[CI]:117.07~117.36)から2019年は183.36(183.21~183.51)に、年齢標準化DALY率は同106.34(106.20~106.48)から149.61(149.47~149.75)へとそれぞれ増加していた。年齢標準化死亡率は、同0.74(95%CI:0.72~0.75)から0.77(0.76~0.78)へとわずかだが有意に増加していた(p<0.001)。 SDIでグループ化した国別では、2019年では、SDI低中・中の国で年齢標準化罹患率、年齢標準化DALY率が最も高く、SDI低の国は年齢標準化罹患率が最も低い一方で年齢標準化死亡率が最も高かった。 性別では、30歳未満では女性が男性よりも概して死亡率とDALY率が高かった。30歳以上では、SDI低の国以外は男女差が逆転していた。 若年発症2型糖尿病DALYの主な寄与リスク因子は、すべてのSDI分類地域でBMI高値であった。その他のリスク因子の寄与率は地域によって異なっており、SDI高の国では、室外環境中の粒子状物質による大気汚染および喫煙の割合が高く、SDI低の国では、室内の固形燃料による大気汚染や果物が不足気味の食事の割合が高かった。 これらの結果を踏まえて著者は、「若年発症2型糖尿病の負担の軽減には体重管理が欠かせないが、この問題へのより効果的な対応には、各国で個別に政策を確立する必要がある」と述べている。

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