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英語で「鼻うがい」は?【1分★医療英語】第75回

第75回 英語で「鼻うがい」は?My hay fever(seasonal allergy)is getting worse…(花粉症が悪化してきています)Nasal irrigation might help with your symptoms.(鼻うがいが良いかもしれません)《例文1》Gargling and nasal irrigation may ease sinus inflammation.([喉の]うがいと鼻うがいは、炎症を和らげる効果があります)《例文2》The idea behind nasal irrigation is that it helps flush out the nasal cavity.(鼻うがいは、鼻腔を洗い流す作業です)《解説》「鼻うがい」は“nasal irrigation”や“nasal rinse”と言いますが、うがいは“gargle”と言うので、“nasal gargle”と表現することもあります。日本では「手洗い・うがい」が習慣化されていますが、海外ではあまりうがいの習慣がないため、私が塩水でガラガラとうがいをしていたら、ルームメイトに注目されたこともありました。小規模な研究ですが、「1日2回の鼻うがいが新型コロナの感染後の入院や死亡率を下げる」という報告1)もあり、このときは米国でも鼻うがいが話題に上がりました。鼻孔のことを“nostril”と言います。鼻うがいのやり方の説明としては、“Pour the saline solution slowly into one nostril and let it drain out of the other nostril.”(片方の鼻孔から液体をゆっくり入れ、反対の鼻孔から流し出します)となります。“hay fever”(花粉症)の季節は毎年やってくるので、“personal hygiene”(清潔習慣)の一つである 鼻うがいの説明を覚えておくと、役に立つかもしれません。<参考>1)Baxter AL, et al. Ear Nose Throat J. 2022 Aug 25. [Epub ahead of print]講師紹介

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第158回 胎児脳のコロナ感染 / コロナ入院患者死亡率は依然として高い

妊婦感染コロナの胎児脳への移行が初めて判明妊婦に感染した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の胎児の脳への移行とその害が、米国・マイアミ大学の研究者いわく初めて認められました1,2,3)。調べられたのはコロナに感染した妊婦から生まれ、生まれてすぐに発作を起こし、出産時には認められなかった小頭症をやがて呈し、発達の大幅な遅れを示した小児2例です。2例の出産時の鼻ぬぐい液のPCR検査ではSARS-CoV-2は検出されませんでした。しかし2例とも抗コロナ抗体を有しており、血液中の炎症指標が有意に上昇していました。母親2例の胎盤を調べたところSARS-CoV-2のタンパク質が認められ、生まれた小児の血液と同様に炎症指標の亢進が認められました。小児の1例は1歳を迎えて間もない生後13ヵ月で不慮の死を遂げました。その脳を免疫染色で調べたところSARS-CoV-2に感染していたことを示すタンパク質が脳全域で認められました。亡くなったその小児が生前そうであったようにもう1例の小児も出生時には認められなかった小頭症をやがて呈し、発達もかなり遅れました。1歳になっても寝返りを打ったり支えなしで座ったりすることができず、報告の時点でホスピスを利用していました。妊娠半ばに感染したSARS-CoV-2は胎児と胎盤、さらには胎児の脳に至って胎盤と胎児の両方に炎症反応を誘発しうることを今回の調査結果は示しています。そうして生じた炎症反応は生後間もないころを過ぎても続く脳損傷や進行性の神経不調とどうやら関連しそうです。今回報告された2例の小児はコロナ流行が始まって間もない2020年のデルタ株優勢のころに妊娠第2期で感染した母親から生まれました。母親の1例は肺炎や多臓器疾患で集中治療室(ICU)に入り、そこでSARS-CoV-2感染が判明します。胎児の経過はその後も正常でしたが、妊娠32週時点で帝王切開による出産を要しました。死後脳に感染の痕跡が認められたのはこの母親の子です。一方、もう1例の母親のコロナ感染は無症状で、妊娠39週に満期出産に至っています。それら2例の母親が感染したころはワクチンが普及した現在と状況が違っていますが、胎児の経過観察の目下の方針は不十分であると著者は言っています。胎児の脳がSARS-CoV-2による影響を受けるのであればなおさら慎重な様子見が必要です。それは今後の課題でもあり、脳の発達へのコロナ感染の長期の影響を検討しなければなりません。コロナ入院患者の死亡率はインフル入院患者より依然として高いコロナ流行最初の年のその入院患者の死亡率はインフルエンザによる入院患者より5倍近く高いことが米国での試験で示唆されています。さてウイルスそのもの、治療、集団免疫が様変わりした今はどうなっているのでしょうか?この秋冬の同国のコロナ入院患者のデータを調べたところ、幸いにも差は縮まっているもののインフルエンザ入院患者の死亡率を依然として上回っていました4,5,6)。調べられたのは2020年10月1日~2023年1月31日にコロナまたはインフルエンザの感染前後(感染判明の2日前~10日後)に入院した退役軍人のデータです。いわずもがな高齢男性を主とするそれら1万1,399例のうちコロナ入院患者8,996例の30日間の死亡率は約6%(5.97%)であり、インフルエンザ入院患者2,403例のその割合である約4%(3.75%)を1.6倍ほど上回りました。他のコロナ転帰の調査がおおむねそうであるようにワクチンの効果がその解析でも認められています。ワクチン非接種者に比べて接種済みのコロナ入院患者の死亡率は低く、追加接種(boosted)も受けていると死亡率はさらに低くて済んでいました。コロナによる死を防ぐワクチンの価値を今回の結果は裏付けています。参考1)Benny M, et al. Pediatrics. 2023 Apr 06. [Epub ahead of print]2)COVID caused brain damage in 2 infants infected during pregnancy -US study / Reuters3)SARS-CoV-2 Crosses Placenta and Infects Brains of Two Infants: 'This Is a First' / MedScape4)Xie Y, et al. JAMA. 2023 Apr 06. [Epub ahead of print]5)COVID-19 patients were more likely to die than flu patients this past flu season: study / NMC6)Covid Is Still Deadlier for Patients Than Flu / Bloomberg

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精神科病棟の認知症患者に対する音楽療法~レトロスペクティブ研究

 音楽療法は、地域および施設でケアされている認知症患者の気分を高め、興奮を軽減し、苦痛を伴う行動の減少が期待できる治療法である。しかし、精神科病棟に入院している認知症患者に対する音楽療法の影響はあまり知られていない。英国・アングリア・ラスキン大学のNaomi Thompson氏らは、2つの精神科病棟において認知症患者に対する音楽療法の影響を調査した。その結果、音楽療法を実施した日は実施しなかった日と比較し、苦痛を伴う行動が有意に減少し、音楽療法が患者の気分および興奮の軽減をサポートする価値ある介入であることが報告された。BJPsych Open誌2023年2月23日号の報告。 本研究には混合研究法を用いた。COVID-19パンデミックにより音楽療法の実施が変化した2020年、「破壊的および攻撃的(disruptive and aggressive)」として報告された行動を含むインシデントについて統計分析を行った。音楽療法士3人、病棟スタッフ8人を対象にオンラインによる半構造化インタビューを実施し、分析には再帰的テーマティック分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・定量的な調査では、対面での音楽療法を実施した日(14日ごと)は、音楽療法を実施しなかった日(3.3日ごと)またはオンラインでの音楽療法を実施した日(3.1日ごと)と比較し、破壊的および攻撃的として報告された行動の頻度の有意な減少が確認された。・定性的な調査においてもこれは裏付けられ、音楽療法士および病棟スタッフは、音楽療法はアクセスが簡便で意義があり、患者の気分を高め興奮を軽減し、1日中持続するベネフィットおよび病棟環境への影響の可能性があることを報告した。・音楽療法の影響と最適な実施方法を調査するためには、介入研究が必要である。

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ピロリ菌による胃がんリスク、病的バリアントが増強/NEJM

 Helicobacter pylori(H. pylori)感染は胃がんのリスク因子だが、遺伝性腫瘍関連遺伝子の生殖細胞系列病的バリアントの、胃がんリスクへの関与や、これらの病的バリアントとH. pylori感染の組み合わせの、胃がんリスクに及ぼす影響は十分に評価されていないという。理化学研究所の碓井喜明氏らは、9つの遺伝性腫瘍関連遺伝子の生殖細胞系列病的バリアントが胃がんリスクと関連していること、そのうち相同組換え修復機能に関わる遺伝子の病的バリアントが、H. pylori感染による胃がんのリスクをさらに増強することを示した。研究結果は、NEJM誌2023年3月30日号に掲載された。2つの独立コホートで、感染、病的バリアント、胃がんの関連を評価 研究グループは、バイオバンク・ジャパン(BBJ)の胃がん患者1万426例(年齢中央値69歳[四分位範囲[IQR]:62~75]、男性74.5%)と、対照群3万8,153例(64歳[54~72]、53.1%)を対象に、27個の遺伝性腫瘍関連遺伝子の生殖細胞系列病的バリアントと胃がんリスクとの関連を評価した。 また、愛知県がんセンター病院疫学研究(HERPACC)の胃がん患者1,433例(年齢中央値62歳[IQR:54~69]、男性74.6%)と、対照群5,997例(55歳[45~64]、51.1%)を対象に、病的バリアントとH. pylori感染状態の組み合わせが、胃がんリスクに及ぼす影響を評価し、累積リスクを算出した。病的バリアント保持率は年齢とともに低下 BBJコホートの解析では、9個の遺伝子(APC、ATM、BRCA1、BRCA2、CDH1、MLH1、MSH2、MSH6、PALB2)の生殖細胞系列の病的バリアントが、胃がんのリスクと関連していた(9遺伝子すべてでp<1.85×10−3)。 これらの病的バリアント保持者の割合は、診断時の年齢が高くなるにつれて低下した(傾向のp=0.001)。9個の遺伝子の病的バリアント非保持者に比べ、APCの病的バリアント保持者は年齢が18.0歳低く(p=0.003)、CDH1の病的バリアント保持者は20.5歳(p<0.001)、MLH1の病的バリアント保持者は11.5歳低かった(p=0.02)。 追跡期間中央値7.5年の時点での全生存期間は、保持者と非保持者で差はなかった(log-rank検定のp=0.58、多変量解析のハザード比:1.27、95%信頼区間[CI]:0.82~1.97、p=0.28)85歳時の累積リスク、感染者で病的バリアント保持者は45.5% HERPACCコホートの解析では、胃がんリスクに関して、H. pylori感染と相同組換え遺伝子(ATM、BRCA1、BRCA2、PALB2)の病的バリアントとの間に交互作用が認められた(交互作用による相対的過剰リスク:16.01、95%CI:2.22~29.81、p=0.02)。 85歳の時点で、H. pyloriの非感染者は、病的バリアントの保持・非保持にかかわらず、胃がんの累積リスクは5%未満であった。これに対し、H. pylori感染者で相同組換え遺伝子の病的バリアント保持者は、同病的バリアント非保持者に比べ、胃がんの累積リスクが高かった(45.5%[95%CI:20.7~62.6]vs.14.4%[12.2~16.6])。 著者は、「これらの結果は、相同組換え遺伝子の病的バリアントの保持者では、H. pylori感染の評価と除菌が、とくに重要となる可能性を示唆する」としている。本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)などの助成を受けて行われた。

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循環器領域における「睡眠呼吸障害の診断・治療ガイドライン」改訂で“睡眠”も心血管リスク因子に/日本循環器学会

 睡眠呼吸障害(sleep disordered breathing:SDB)が循環器疾患の重要なリスク因子であることが明らかになり、2010年に『循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン』が発刊された。あれから13年、3月11日に『循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン』の2023年改訂版が発刊され、第87回日本循環器学会学術集会の「ガイドラインに学ぶ2」において、葛西 隆敏氏(順天堂大学大学院医学研究科 循環器内科 准教授)が改訂ポイントを6つに絞り、改訂の背景や臨床に役立つ点を発表した。『循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン』は“睡眠”を意識 SDBは、さまざまな循環器疾患に合併し、循環器疾患の悪化に関与するだけではなく、循環器疾患の発症そのものに関与することも示唆されている1)。AHAは2010年にCardiovascular Health Promotionとして、7つの修正可能な因子(適正体重の維持、禁煙、運動習慣、健康的な食習慣、血圧・血清脂質・血糖値のコントロール)をLife’s Simple7として示してきたが、「睡眠」の重要性がエビデンスの構築により高まり、2022年の改訂では追加されLife‘s Essential 8になっている。 今回、本邦の『循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン』にもその点が反映され、以下の6項目が改訂された。葛西氏は「とくに診断における定義・スクリーニング、検査時のスコアリングルールがアップデートされており重要」と述べ、「以前から多くの先生に引用されていたであろう“心血管疾患ごとのSDB合併頻度”についても改訂し、HFpEFなどの疾患項目数を増やした」と説明した(本GL図8参照)。また、現状の循環器診療においてSDB診断がなされているかを知るために福島県立医科大学の医師らがJROAD-DPCからその傾向を調査したところ、「入院患者のみのデータではあるが、2012~19年の期間に急性心筋梗塞以外でのSDB診断は若干増加したものの、全体としては未診断が散見され、検査の実施率も心房細動以外では低下傾向」であったことを言及し、「入院中検査は点数が算定できないことも要因の1つだが、循環器医に対して、SDB診断の普及啓発が必要である」とも話した。<『循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン』2023年版の主な改訂点>1)正常睡眠と睡眠障害:より循環器領域の内容に特化する形へ変更2)診断:最近の定義・スコアリングルールに関する内容にupdate3)疫学:有病率などをより近年のデータにupdate4)病態:近年提唱された新たな病因・病態生理について言及5)治療:全体をupdateするとともに、エビデンスが出ている治療(舌下神経電気刺激療法[保険収載]、中枢性睡眠時無呼吸への横隔神経電気刺激療法[保険未収載]など)の可能性に関して言及6)各疾患との関連と治療:項目を拡充し、高血圧以外の循環器疾患リスク因子にも言及。多数のエビデンスが報告された不整脈(とくに心房細動)や心不全に関して、細分化し項目を分けた。 主な変更点は以下のとおり。1)正常睡眠と睡眠障害睡眠呼吸障害以外に循環器医が注意すべき睡眠問題として、睡眠過不足、睡眠関連運動障害(むずむず脚症候群[restless legs syndrome:RLS]、周期性四肢運動[periodic limb movement in sleep:PLMS])にもフォーカスを当てた。2)診断呼吸器学会が発行している「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」同様にSDBの診断基準は国際睡眠障害分類の第3版(ICSD-3)に準じ、成人の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea:OSA)の診断基準の1つに「患者が高血圧、気分障害、認知機能障害、冠動脈疾患、脳卒中、うっ血性心不全、心房細動、あるいは2型糖尿病と診断されている」と書かれている点を踏襲。『循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン』2023年版では、スクリーニングと診断の違いを明記した(表10参照)。なお、OSAの診断基準とCPAP治療の保険適用の基準が異なる点に注意が必要。また、心房細動や粗動、うっ血性心不全、あるいは神経疾患の存在は、中枢性睡眠時無呼吸(central sleep apnea with Cheyne-Stokes respiration:CSA-CSR)を合併しやすい点も重要。3)疫学各心血管疾患でのSDB合併頻度は肺高血圧症(89.0%)が最も高く、治療抵抗性高血圧(83.0%、AHI≧10)、心房細動(81.4%)、HFrEF(76.0%)と続く。これを踏まえ患者を診察してもらうことで、これまで以上にリスク患者をあぶりだせる可能性。4)病態OSAの機序の記載を大幅に変更し、「上気道の解剖学的異常、上気道の神経性調節異常、呼吸調節系の不安定性、覚醒閾値」について、『循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン』2023年版では具体的な説明を加えた。5)治療・OSAに対する舌下神経電気刺激療法(CPAPが受けられない患者に適用)の項が追加。・生活習慣是正については睡眠薬のうち非ベンゾジアゼピン系睡眠薬やオレキシン受容体拮抗薬の処方検討を考慮してもよい。・OSAの薬物療法については上気道解剖学的要因、上気道神経性調節異常などに対しそれぞれ言及。・CSR-CSA治療に対しては心不全治療薬ARNIが追加。・そのほかのSDB治療については弾性ストッキングが追加。6)各疾患との関連と治療これまで「各論」としていた項目の名称を変更し、高血圧をはじめとする13疾患にカテゴライズ。とくにSDBのリスク因子となる高血圧、糖尿病、CKD、高尿酸血症のほか、多数のエビデンスが報告された頻脈性不整脈(上室)などの内容を充実させた(表35~45参照)。

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第142回 サル痘の国内感染が拡大傾向、注意喚起/厚労省

<先週の動き>1.サル痘の国内感染が拡大傾向、注意喚起/厚労省2.セキュリティ対策求め、オンライン診療のガイドラインを改定/厚労省3.医療DXで診療報酬改定の医療機関の負担を軽減を/厚労省4.飲む中絶薬、病院での待機を条件に月内に承認か/厚労省5.再生医療の産業育成、重点化で後押し/経産省6.民間病院グループが民事再生法申請、負債総額132億円/千葉県1.サル痘の国内感染が拡大傾向、注意喚起/厚労省厚生労働省は、去年、欧米を中心に流行した「サル痘」(感染症法上の4類感染症)の感染が、今年に入って国内でも感染者が増加しているため、「発疹など感染が疑われる症状がある人は医療機関に相談してほしい」と呼びかけている。厚生労働省によると、国内では2022年7月に1例目の患者が確認され、その後散発的に発生が報告されていたが、2023年4月4日時点で95例の患者報告が集積している。なお、厚生労働省は、WHOの新たな病名「エムポックス」の推奨を受けて、今後病名を変更するため政令改正の手続きを行っている。(参考)サル痘について(厚労省)サル痘の感染増加、今年87人感染 厚労省「疑う症状は相談を」(朝日新聞)「サル痘」感染 国内でことしに入り増加 “医療機関へ相談を”(NHK)サル痘感染者、100人に迫る 厚労省「疑い症状相談を」(共同通信)2.セキュリティ対策求め、オンライン診療のガイドラインを改定/厚労省厚生労働省は、このほど医療機関を標的とするサイバー攻撃の増加を受けて、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を改訂した。この中で、厚労省は、医療機関側に対して、使用するオンライン診療システムが患者の医療情報が漏洩や改ざんがされないように情報セキュリティ対策を確認するように要請している。また、オンライン診療を計画するときは、患者に対してセキュリティリスクを説明し、同意を得なければならないなど記載が追加されている。(参考)オンライン診療の適切な実施に関する指針(厚労省)「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に関するQ&A(同)オンライン診療、セキュリティーの責任分界点確認を 厚労省が指針改訂(CB news)オンライン診療指針を改訂!「得られる情報が少ない」点を強調するとともに、過重なセキュリティ対策規定を見直し!-厚労省(Gem Med)オンライン診療の適切な実施に関する指針、2023年3月改訂版とQ&A更新(医療経営研究所)3.医療DXで診療報酬改定の医療機関の負担を軽減を/厚労省厚生労働省は、「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームを4月6日に持ち回り開催し、診療報酬改定DX対応方針案を公表した。令和6年度から医療DX工程表に基づいて、デジタル技術を最大限に活用し、共通算定モジュールの開発や共通算定マスタ・コードの整備と電子点数表の改善、標準様式のアプリ化とデータ連携などを行う。また、診療報酬改定の施行時期を後ろ倒しするなどで、中小病院や診療所などで負担となっている電子カルテなどのシステム改修コストを低減することを目的に、段階的に実装を目指す。(参考)第3回「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チーム(厚労省)診療報酬改定DX対応方針(案)(同)診療報酬施行後ろ倒しへ、夏までに時期決定 厚労省が対応方針(CB news)4.飲む中絶薬、病院での待機を条件に月内に承認か/厚労省先月、厚生労働省が審議する予定の妊娠初期の中絶に使用される経口妊娠中絶薬の「メフィーゴパック」(一般名:ミフェプリストン/ミソプロストール)[ラインファーマーズ]について、3月24日にパブリック・コメントが殺到したため、審議が見送りとなっていた。そして、今般、承認条件に新たに中絶が確認できるまで病院での待機を必須とする方向で検討していることが明らかとなった。厚生労働省は、インターネットや個人輸入により入手をしないよう、注意喚起を行っており、4月下旬に開催する薬事分科会で、製造販売の承認可否を審議する見通し。(参考)飲む中絶薬、病院待機を必須に 厚労省、月内にも承認審議(共同通信)ミフェプレックス(MIFEPREX)(わが国で未承認の経口妊娠中絶薬)に関する注意喚起について(厚労省)5.再生医療の産業育成、重点化で後押し/経産省経済産業省は、細胞・遺伝子治療分野が2030年まで年率30%の成長が見込まれるとして、再生医療を開発している研究機関や医療機関について、重要性が高い研究を行う拠点を重点的に補助金で支援する方針で、今年の春に公募を行い数ヵ所を決定する予定。一方、再生医療の安全性について懸念が高まっているため、日本再生医療学会は、再生医療認定医や上級臨床培養士、臨床培養士などの認定資格を持つ人が、医療機関内に一定数いることを要件とする医療機関の認定制度を発足させる方針であることが明らかになった。(参考)再生医療の治療・研究拠点に「お墨付き」、経産省が重点支援へ…3~5か所想定(読売新聞)再生医療「どの病院なら安全?」学会が認定へ 年内にも新たな制度(朝日新聞)2040年には市場が20倍? 注目の再生医療・細胞治療に匹敵する、世界初の発見(財経新聞)6.民間病院グループが民事再生法申請、負債総額132億円/千葉県千葉県で八千代病院や成田リハビリテーション病院を運営する医療法人社団心和会(四街道市)が、4月4日に東京地裁に民事再生法の適用を申請した。健診サービスのほか訪問介護ステーションの開設や積極的な多角経営を展開していたところ、新型コロナウイルスのクラスター発生などが影響したほか、前理事長の不動産トラブルなどで資金繰りが悪化し、経営状況では2021年から赤字となっていた。医療法人側は、診療体制を維持しながら、新たなスポンサーを探して事業譲渡を行う方針。(参考)「八千代病院」の医療法人が民事再生法申請 負債総額132億円 四街道・心和会 コロナ、不動産トラブルで資金繰り悪化(千葉日報)千葉県内で八千代病院など複数の病院を経営する(医)社団心和会が民事再生を申請(東京商工リサーチ)

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第60回 正規確率プロットとは?【統計のそこが知りたい!】

第60回 正規確率プロットとは?今回も正規分布における分布の調査方法について説明します。前回解説した「歪度と尖度」と同様に観測されたデータ(サンプル)の累積相対度数の傾向から度数分布が正規分布であるかを調べる方法を「正規確率プロット(Normal probability plot)」と言います。正規確率プロットは、累積相対度数から「z値」と言う統計量を算出します。図1の度数分布の累積相対度数を、正規確率プロットによって正規分布であるかを調べてみましょう。図1z値とは、第58回で学習した、z分布(標準正規分布)における下側確率が累積相対度数となる横軸の値です。また、z値はExcel関数(図2)で求められます。図2 Excelでのz値の求め方算出したz値を表に書き込むと下記のようになります。表 z値(右端)を追加した一覧表次に、z値を縦軸、階級値を横軸にとり散布図(図3)を描きます。このグラフを「正規確率プロット」と言います。図3 事例の散布図散布点が直線傾向にあると判定できた場合、「度数分布の形状は正規分布である」と言えます。言い換えると直線傾向がみられるので、「正規分布である」と言えます。■判断の着眼点散布点に対する直線の当てはまり具合は決定係数で把握できます。決定係数が0.99以上の場合、度数分布は正規分布と判断します。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第55回 スピアマン順位相関係数の計算方法は?第56回 正規分布とは?第57回 正規分布の面積(確率)の求め方は?第58回 標準正規分布とは?第59回 歪度と尖度とは?

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映画「ドラえもん のび太と空の理想郷」【それでもパーフェクトな子供にさせたい?(自己肯定感)】Part 1

今回のキーワード主流秩序過剰適応排他性独裁国家多様性自己効力感ほど良い(グッド・イナッフ)中学受験みなさんは子供をパーフェクトにさせたいですか? 勉強ができてスポーツができて、親や先生の言うことをよく聞くような? やがて、パーフェクト(有名)な学校に合格させて、パーフェクトな会社に就職させて、パーフェクトな人と結婚させて…。そんな子供を育てる自分はパーフェクトな親になるでしょうか?一方で、そんなパーフェクトであることに危うさはないでしょうか? それに気付かせてくれるのが、映画「ドラえもん のび太と空の理想郷」です。今回の舞台は、誰もがパーフェクトになれる楽園「パラダピア」。そこで、ドラえもんやのび太たちが冒険を繰り広げます。とくに今回は、子供だけでなく、大人も楽しめ考えさせられるストーリーになっています。この記事では、この映画を通して、パーフェクトであると思えること(自己効力感)とパーフェクトでなくてもいいと思えること(自己肯定感)をテーマに、より良い子育てのあり方、そしてより良い社会のあり方を一緒に考えてみましょう。パラダピアとは?のび太は、出木杉くんから教えてもらった空想の国ユートピアを探し求めるなか、ついに未来の世界で、パラダピアを見つけます。そこで出迎えるパーフェクトネコ型ロボットのソーニャから、パラダピアがどんな国かを聞かされます。それでは、まずその特徴を大きく3つ挙げてみましょう。(1)争いがないソーニャは説明します。「人口は400人ほど。みな、穏やかでルールを守り、大人はよく働き、子供はよく勉強をします」「ここは争いも犯罪もない、誰もが幸せに暮らせる世界」と。これは、出木杉くんのセリフ「ユートピアは…争いも戦争もなく、飢えることもない、誰もが幸せに暮らせる国なんだ」に重なります。1つ目は、争いがないことです。(2)みんなパーフェクトになれるソーニャは続けて「パラダピアには不思議な力があるのです。のび太様もここで暮らせば、勉強もスポーツもできるパーフェクト小学生になります」と言います。実際に、パラダピアの学校では、みんな笑顔で親切です。のび太は、何とか算数の問題を解くとみんなから祝福されて幸せそうです。2つ目は、みんなパーフェクトになれることです。(3)偉い人がすべて決めてくれるソーニャはのび太たちを大聖堂に案内し、三賢人を紹介します。そして、「サイ様は科学、ポーリー様は政治、カルチ様は文化芸術をつかさどる賢人。このパラダピアは3人の天才が創り上げた理想の国なのです」と説明します。彼らが、パラダピアで起きるものごとをすべて決めているというわけです。3つ目は、偉い人がすべて決めてくれることです。パラダピアの正体とは?パラダピアとは、争いがなく、みんなパーフェクトになれて、偉い人がすべて決めてくれる、まさにユートピアのようです。しかし、実はパラダピアにはある大きな秘密が隠されていました。これは、パーフェクトであることの危うさにつながります。次のページから、その危うさを3つ挙げてみましょう。なお、ネタバレになりますので、ご注意ください。次のページへ >>

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映画「ドラえもん のび太と空の理想郷」【それでもパーフェクトな子供にさせたい?(自己肯定感)】Part 2

パラダピアの正体とは?ここからがネタバレになりますので、ご注意ください。(1)「パーフェクト」な人の言いなりになるドラえもんとのび太の前に、マリンバが現れます。彼女は、未来の世界でパラダピアに無理やり連れてこられ閉じ込められている住人たちを助け出す任務を負っていたのです。彼女は、2人に「三賢人が研究しているのは人を操る光よ」と明かします。その光とは、実はパラダピアンライト(パラダピアの人工太陽)だったのです。1つ目は、「パーフェクト」な人の言いなりになることです。受け身になり、自分の頭で考えなくなることです。「パーフェクト」とは、実は三賢人にとって都合の良い人間になることだったのです。よって、ここではパーフェクトをカギかっこにしています。そして実は、この「パーフェクト」は私たちの世の中で多数派が望ましいと思う価値観とも言い換えられます。心理学では、これを主流秩序と呼んでいます。そして、それに従わせる力を同調圧力と呼んでいます。パラダピアンライトは、まさにこの象徴と言えるでしょう。なお、主流秩序の詳細については、関連記事1をご覧ください。(2)パーフェクト」であることにとらわれるパラダピアンライトによって、ジャイアン、スネ夫、しずかちゃんが一様に同じ笑顔でおとなしくなり、パラダビアの住人になっていくなか、のび太だけがなぜか変わりません。そんなのび太は「みんな、怒ることも大笑いすることも泣くこともない。ただ毎日、三賢人の決めた通りに生活してるだけ。そんなのパーフェクトなんかじゃない」と言うのです。2つ目は、「パーフェクト」であることにとらわれることです。そのために取りつくろい、やがて染まってしまうことです。これは、パーフェクトであることに無理をしてしまったり、パーフェクトでなければ生きている価値がないと自分を追い詰めてしまうことにもなってしまいます。これは、エリートの自殺が少なからずいることを説明できるでしょう。心理学では、これを過剰適応と呼んでいます。この詳細は、関連記事2をご覧ください。(3)「パーフェクト」でなければ懲らしめられるのび太は夜中にジャイアンたちを起こして逃げだそうと試みます。ところが、ジャイアンから「勝手に外に出るのは規則違反ですよ」と言われ、スネ夫からは「すみませーん、規則を破ろうとする人がいまーす」と誰かを呼ばれそうになります。また、ソーニャは、ドラえもんと仲良くなったことで、三賢人の言うことをすぐに従わなくなります。すると、三賢人から「また、ガラクタに戻すぞ!」と脅されます。パラダピアは、争いのない国なのではなく、自己主張したら罰せられる国だったのです。3つ目は、「パーフェクト」でなければ懲らしめられることです。それ以外は認められず、それ以外の生き方の自由や多様性がないことです。心理学では、これを排他性と呼んでいます。この詳細については、関連記事3をご覧ください。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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映画「ドラえもん のび太と空の理想郷」【それでもパーフェクトな子供にさせたい?(自己肯定感)】Part 3

自己肯定感とは?パーフェクトであることの危うさは、「パーフェクト」な人の言いなりになる、「パーフェクト」であることにとらわれる、「パーフェクト」でなければ懲らしめられることであることがわかりました。つまり、パラダピアという国は、ユートピアとは名ばかりで、その正体は実は独裁国家であったということです。三賢人に追い詰められるなか、ドラえもんは「パーフェクトになんかならなくていい」「これがぼくだからだ!」と訴えます。そして、ドラえもんが何もできない状況で、三賢人から「役に立たないロボットは価値がないでしょう?」と問われた時、のび太は「ドラえもんはぼくのそばにいてくれるよ」「一緒に泣いてくれるよ。一緒に笑ってくれるよ。いらないものなんかじゃない!ぼくの大事な友達だ!」と言い返します。そして、「パーフェクト」洗脳から目が覚めたジャイアン、スネ夫、しずかちゃんも加わり、「いろんな人がいるから面白いんだ。ここはユートピアなんかじゃない!」とはっきり言うのです。最後に、のび太たちがパラダピアでの冒険を終えて無事に帰ってきた時、彼はドラえもんに「ぼく、なんだかこの町が前よりずっと好きになったよ。ユートピアなんていらなかったんだ」「だってこの世界は初めから素晴らしいんだもん!」と言います。パラダピアに来た当初に「ぼくのいた世界はひどい」というのび太のセリフと対照的です。彼の成長を感じさせます。今回の冒険で、彼は、多様性の素晴らしさを学び、そして、自己肯定感を高めたのでした。自己肯定感とは、「パーフェクトでなくてもいい」「どんなことがあっても大丈夫」など、自分を無条件に肯定する感覚です。いわゆる自尊心とも言い換えられます。ただし、のび太は、ラストシーンで0点の答案を見たママから怒られて「そのままのぼくを愛してよ~」と言い返してオチがつきました。このように、「ありのまま」で良いだけだと、努力をしなくなります。これこそがユートピアです。やはり自己肯定感だけ高ければいいわけではありません。自己効力感とは?一方で、自己肯定感とは対照的に、「パーフェクトである」「自分はできる」など、自分には能力があり何かを成し遂げることができる感覚は、自己効力感です。いわゆる自信とも言い換えられます。ドラえもんに登場するキャラクターの中で、この自己効力感が高いのは、出木杉くんです。彼は典型的な優等生で、パラダピアに行かなくてもすでに「パーフェクト小学生」です。ただし、パーフェクトであることの危うさを踏まえると、彼の弱点が見えてきます。それは、のび太たちの大冒険のメンバーには一度も採用されないことです。そのわけは、彼がパーフェクトであるゆえに、たとえ冒険に加わっても知識を披露するだけで、ラストシーンののび太たちのようにワクワクするキャラクターにはならないからです。そもそも彼のキャラクターからすると、誘われても冒険することを辞退するでしょう。だからこそ、彼は、登場するにしても毎回序盤だけなのです。どんな子育てがいいの?のび太と出木杉くんのキャラクターから、自己肯定感と自己効力感はどちらかが高いだけでは危うさがあることがわかりました。このことから、どんな子育てがいいのでしょうか? それは、自己肯定感も自己効力感もバランスよく育むことです。このような子育ては、国家になぞらえると、自己効力感に重きを置く独裁国家でもなく、自己肯定感に重きを置くユートピアでもない、民主主義国家といえるでしょう。つまり、「パーフェクト」でも「ありのまま」でもない、「ほど良い(グッド・イナッフ)」を目指すことです。なお、これらの子育てのタイプの詳細については、関連記事4をご覧ください。この記事のグラフでは、自己肯定感を非認知能力、自己効力感を認知能力と表記しています。本当の「理想郷」とは?昨今、中学受験が過熱しています。ますます多くの家庭が、パラダピアのような独裁国家になっていくことが懸念されます。独裁国家ほど、きれいな言葉などで飾り立てるのを好みます。しかし、その危うさを知った今、実は教育ビジネスに煽られ踊らされ、子供も親も息苦しさを感じている状況が透けて見えてきます。この映画は、私たち大人へのそんな教訓が暗に込められているようにも思えてきます。子育てとは、「ほど良さ」のあり方を育むによって「この世界は素晴らしい」「生きてることは素晴らしい」とまず子供が思えるようになることではないでしょうか? そう思える子供がやがて大人になった社会こそが、本当の「理想郷」と言えるのではないでしょうか?1)「小説 映画ドラえもん のび太と空の理想郷」:福島直浩、小学館、2023<< 前のページへ■関連記事ウエストワールド【あなたは「満足な豚」それとも「不満足なソクラテス」?(哲学セラピー)】Part 1Mother(前編)【過剰適応】マザーゲーム(前編)【ママ友付き合い、なんで息苦しいの?(「女心」の二面性)】Part 1そして父になる(続編・その2)【子育ては厳しく? それとも自由に? その正解は?(科学的根拠に基づく教育(EBE))】Part 1

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事例021 ビソプロロールフマル酸塩錠 0.625mg「後発品」の査定【斬らレセプト シーズン3】

解説事例の患者に、ビソプロロールフマル酸塩錠(以下「同錠」)0.625mgの後発品を1錠処方したところ、C事由(医学的理由による不適当)にて査定になりました。医師に査定があったことを伝え、状況を確認したところ、添付文書の「症状により適宜増減」の記載をみて、同錠2.5mgから始めるより少量から始めて様子をみてみようと判断されていました。また、分割調剤するより、既製品で薬価が同じの同錠0.625mgを使用したほうが患者に手間がかからないだろうとも判断されていました。添付文書をよくみると、同錠0.625mgには、本態性高血圧症、心室性期外収縮の適用がありません。虚血性心疾患などに同剤0.625mgを投与する場合には、「他剤を基礎治療に使用していること」とあります。他剤の併用が無く、薬理効果からみて病名不足ではなく医学的に適当ではない投与と判断されたようです。医師にはこのことを説明し、薬剤システムとレセプトチェックシステムに、同錠0.625mg選択時には適応の傷病名のみを表示させるように改修して査定対策としました。

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1日どのくらいの飲酒量で死亡リスクが増える?

 飲酒と全死亡の関連を調べたこれまでのメタ解析では、組み入れられた研究の数や質、参加者の性別や年代の偏りに影響されている可能性がある。今回、カナダ・ビクトリア大学のJinhui Zhao氏らが関連をより正確に調べるために系統的レビューを行い、107件のコホート研究のメタ解析を行った結果、毎日のアルコール摂取量が少量~中量の場合は全死亡リスクと有意な関連はなかったが、摂取量が増えると明らかなリスク増加が認められた。また、女性のほうがより少ない摂取量から関連がみられたという。JAMA Network Open誌2023年3月31日号に掲載。大量飲酒者で全死亡リスクが有意に増加した 本解析では、非飲酒者と飲酒者の分類に影響するバイアスをある程度調整した研究とそうでない研究の比較を容易にするため、系統的レビューを実施した。PubMedとWeb of Scienceを用いて、1980年1月~2021年7月に発表された飲酒と全死亡率に関する107件の研究を特定。最初にすべての研究をプールし、年齢中央値(56歳)の上下および性別で層別し、混合線形回帰モデルを用いて相対リスクをモデル化した。主要アウトカムは、1日当たりの平均アルコール摂取量(機会飲酒1.30g未満、少量1.30~24g、中量25~44g、大量45g~64g、最大量65g以上に層別)と全死亡率の関連についての相対リスク推定値とした。※アルコール20gの目安:ビール500mL、ワイン200mL、日本酒180mL、ウイスキー60mL、焼酎100mL 飲酒と全死亡率に関する107件の研究のメタ解析を行った主な結果は以下のとおり。・解析対象となった計107件(483万8,825人、うち42万5,564人が死亡)のコホート研究で、飲酒による全死亡のリスク推定値は724であった。・サンプリングのばらつき、元飲酒者のバイアス、事前に指定した研究品質基準による潜在的な交絡因子の影響を調整したモデルでのメタ解析の結果、機会飲酒者(相対リスク[RR]:0.96、95%信頼区間[CI]:0.86~1.06、p=0.41)および少量飲酒者(RR:0.93、p=0.07)では、生涯非飲酒者と比べ全死亡リスクの有意な低下はみられなかった。・完全調整モデルでは、中量飲酒者(RR:1.05、p=0.28)で全死亡リスクの増加がみられたが有意ではなく、大量飲酒者(RR:1.19、p=0.001)および最大量飲酒者(RR:1.35、p=0.0001)では有意に増加した。・女性においては、飲酒者が生涯非飲酒者と比べ全死亡リスクが有意に高く(RR:1.22、p=0.03)、どの摂取量においても男性より全死亡率が高かった。

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テデュグルチドにより短腸症候群の経静脈サポート量が減少

 テデュグルチド(TED)投与により、短腸症候群(SBS-IF)に関連するクローン病(CD)患者では、栄養素または水分の静脈内補給をする経静脈サポート(PS)の量が8週目に大幅に減少し、結腸のない患者では4週目に継続的にPS量が減少したことが兵庫医科大学病院の佐藤 寿行氏らによる研究でわかった。Clinical Nutrition誌オンライン版2023年3月17日号の報告。  CD患者の慢性腸管不全を伴うSBS-IFに対するTEDの短期的効果は、依然として不明である。著者らは、SBS-IFに対するPSを受けているCD患者におけるTEDの効果を調査することを目的としてレトロスペクティブ研究を行った。 2020~21年にTEDを開始したSBS-IFに伴うCD患者のカルテを使用した。主要アウトカムは、8週目のPS量の変化とPS量が20%以上減少した患者の割合とした。副次アウトカムは、連続して結腸がない/あるCD患者におけるPS量の変化と、観察期間中の有害事象とした。本研究では、SBS-IFの在宅PSを受けた18例のCD患者を対象とした。2例の患者は、8週間以内に耐えられない腹痛や嘔吐があったため除外された(11%)。16例の患者は、観察期間中、TEDを継続した。 主な結果は以下のとおり。・PS期間の中央値は10.5年であった。・観察期間の中央値は、TEDを開始してから22週間であった。・TEDはPS量を1万5,825.0mL/週から1万700.0mL/週へと有意に減少させた(p=0.0038)。・8週目には7例(43.8%)でPS量が20%以上減少していた。・PS量は4週目に、結腸が連続していない11例の患者で有意に減少したが(p=0.0078)、結腸が連続している5例の患者では減少しなかった。・重篤な有害事象は発生しなかった。

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統合失調症長期入院患者の半数でみられる非アルコール性脂肪性肝疾患

 長期入院の統合失調症患者は身体的な疾患を呈しやすく、平均余命や治療アウトカムを害することにつながるとされる。しかし、長期入院患者における非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の影響に関する研究はほとんどない。中国・安徽医科大学のXuelong Li氏らは、統合失調症入院患者のNAFLDについて、有病率と影響を及ぼす因子を調査した。その結果、重度の統合失調症による長期入院患者はNAFLDの有病率が高く、糖尿病、抗精神病薬の多剤併用、過体重や肥満、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアポリポ蛋白B(ApoB)の高値などが負の影響を及ぼす因子として特定された。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2023年2月18日号の報告。 長期入院を経験していた統合失調症患者310例を対象に、横断的レトロスペクティブ研究を実施した。NAFLDは腹部超音波検査の結果に基づき診断した。NAFLDに影響を及ぼす因子を特定するため、t検定、マン・ホイットニーのU検定、相関分析、ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・NAFLDの有病率は54.84%であった。・NAFLD群と非NAFLD群で有意差が認められた因子は、抗精神病薬の多剤併用、BMI、高血圧、糖尿病、総コレステロール、ApoB、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、ALT、トリグリセライド(TG)、尿酸、血清グルコース、γ-GTP、HDL、好中球/リンパ球比、血小板/リンパ球比であった(各々、p<0.05)。・NAFLDと正の相関が認められた因子は、高血圧、糖尿病、抗精神病薬の多剤併用、BMI、TG、総コレステロール、AST、ApoB、ALT、γ-GTPであった(各々、p<0.05)。・ロジスティック回帰分析の結果では、統合失調症患者のNAFLDに影響を及ぼす因子は、抗精神病薬の多剤併用、糖尿病、BMI、ALT、ApoBであることが示唆された。・これらの知見は、統合失調症患者のNAFLDの予防および治療の理論的な基礎を提供し、新たな標的治療の開発に役立つ可能性がある。

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進行・再発子宮体がん、ペムブロリズマブ追加でMMRによらずPFS延長(NRG-GY018)/NEJM

 進行または再発子宮体がん患者において、標準化学療法+免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブの併用療法は、標準化学療法単独と比較して無増悪生存期間(PFS)が有意に延長し、有害事象の発現状況は両群とも予想どおりであったことが、米国・カリフォルニア大学のRamez N. Eskander氏らが実施した「NRG-GY018試験」で示された。研究結果は、NEJM誌オンライン版2023年3月27日号に掲載された。dMMRとpMMRで層別化した無作為化プラセボ対照試験 NRG-GY018試験は、4ヵ国(米国、カナダ、日本、韓国)の395施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2019年7月~2022年12月に患者の登録が行われた(米国国立がん研究所[NCI]などの助成を受けた)。 年齢18歳以上で、測定可能なStageIII/IVA、または測定可能病変の有無を問わずStageIVBあるいは再発病変を有し、新規に診断された子宮体がん患者が、標準化学療法であるパクリタキセル+カルボプラチンに加え、ペムブロリズマブまたはプラセボを投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。なお、前回化学療法からの期間が12ヵ月以上の場合は組み入れ可能とした。 ペムブロリズマブとプラセボは、化学療法と併用で3週ごとに6サイクルを静脈内投与したのち、維持療法として単剤で6週ごとに最大14サイクルが投与された。被験者は、ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)とミスマッチ修復機能正常(pMMR)の2つのコホートに層別化された。 主要評価項目は、2つのMMRコホートにおけるPFSとされた。中間解析は、dMMRコホートで少なくとも84件の死亡または進行のイベントが発生、およびpMMRコホートで少なくとも196件のイベントが発生した後に行うことが計画された。dMMRコホートでの無増悪生存率:74% vs.38% 816例が登録され、このうち225例がdMMRコホート、591例がpMMRコホートであり、有効性の解析には、それぞれ225例(ペムブロリズマブ群112例、プラセボ群113例)、588例(293例、295例)が含まれた。年齢中央値はdMMRコホートが66歳、pMMRコホートは65.5歳であり、前治療として化学療法を受けた患者がそれぞれ5.8%、25.3%、放射線治療が42.7%、39.6%、手術が90.2%、86.1%であった。 dMMRコホートでは、追跡期間中央値12ヵ月時点でのPFS中央値は、ペムブロリズマブ群が未到達(95%信頼区間[CI]:30.6~未到達)、プラセボ群は7.6ヵ月(6.4~9.9)であり、ペムブロリズマブ群で有意に長かった。Kaplan-Meier法により推定した無増悪生存率は、それぞれ74%、38%であり、病勢進行または死亡のリスクは、ペムブロリズマブ群がプラセボ群より70%低かった(ハザード比[HR]:0.30、95%CI:0.19~0.48、p<0.001)。 同様に、pMMRコホートの追跡期間中央値7.9ヵ月時点のPFS中央値は、ペムブロリズマブ群が13.1ヵ月(95%CI:10.5~18.8)、プラセボ群は8.7ヵ月(8.4~10.7)と、有意な差が認められた(HR:0.54、95%CI:0.41~0.71、p<0.001)。 有害事象の発現状況は、ペムブロリズマブ群、プラセボ群とも予想どおりであった。dMMRコホートでは、ペムブロリズマブ群98.2%、プラセボ群99.1%で有害事象が発現し、pMMRコホートではそれぞれ93.5%、93.4%で認められた。Grade3以上の有害事象は、dMMRコホートではペムブロリズマブ群63.3%、プラセボ群47.2%、pMMRコホートではそれぞれ55.1%、45.3%で発現した。 注目すべき有害事象(インフュージョンリアクション、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、大腸炎、肺臓炎など)は、dMMRコホートではペムブロリズマブ群38.5%、プラセボ群26.4%、pMMRコホートではそれぞれ33.3%、19.7%で発現し、Grade3以上はdMMRコホートではペムブロリズマブ群8.3%、プラセボ群5.7%、pMMRコホートではそれぞれ3.6%、2.6%でみられた。 著者は、「これらのデータは、進行・再発子宮体がん患者の1次治療への免疫療法の導入が、MMRの状態や組織学的所見にかかわらず、腫瘍学的アウトカムの改善につながることを示唆するものである」としている。

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治療選択のないCLTI、経カテーテル的深部静脈動脈化が肢切断を回避/NEJM

 包括的高度慢性下肢虚血の患者の約20%は、血行再建の選択肢がなく、足関節より近位での肢切断に至るという。カテーテルを用いて深部静脈を動脈化する治療は、動脈と静脈を接続して酸素を含む血液を虚血肢に送ることで、肢切断を予防する経皮的なアプローチである。米国・University Hospitals Harrington Heart and Vascular InstituteのMehdi H. Shishehbor氏らは、従来の外科的血行再建や血管内血行再建による治療の選択肢がない包括的高度慢性下肢虚血の患者において、この経カテーテル的深部静脈動脈化術は安全に施行可能であり、下肢の切断を回避する可能性があることを「PROMISE II試験」において示した。研究の成果は、NEJM誌2023年3月30日号で報告された。米国の前向き単群試験 PROMISE II試験は、米国の20施設が参加した前向き単群試験であり、2019年12月~2022年3月に患者のスクリーニングが行われた(米国・LimFlowの助成を受けた)。 難治性潰瘍を有し、外科的血行再建術または血管内血行再建術の治療選択肢がない包括的高度慢性下肢虚血の患者に対し、経カテーテル的深部静脈動脈化術が施行された。 主要複合エンドポイントは、6ヵ月時の切断回避生存率(足関節より近位での肢切断がない、または全死因死亡がない状態と定義)とされ、事前に規定された目標の54%との比較が行われた。施術成功率99%、下肢救済・創治癒も良好 105例が登録された。年齢中央値は70歳(四分位範囲[IQR]:38~89)で、33例(31.4%)が女性であった。ほとんどの患者は、包括的高度慢性下肢虚血関連の複数の既存疾患(糖尿病77.1%、高血圧91.4%、脂質異常症69.5%)を有し、78例(74.3%)は下肢の治療目標部位への血行再建の既往歴があった。経カテーテル的動脈化術は104例(99.0%)で成功した。 6ヵ月時点の切断回避生存率は66.1%であった。ベイズ解析では、6ヵ月時の切断回避生存率が目標の54%を上回る事後確率は0.993であり、事前に規定された閾値である0.977よりも高かった。 下肢救済(足関節より近位での肢切断の回避)は67例(Kaplan-Meier解析で76.0%)で達成された。6ヵ月時点で、63例中16例(25%)で治療目標の創部が完全に治癒し、86例中24例(28%)ですべての創部が完全治癒した。63例中32例(51%)では、治療目標創部が治癒過程にあると判定された。予期せぬデバイス関連有害事象の報告はなかったが、105例中98例で有害事象が認められた。 著者は、「深部静脈を動脈化することで虚血を解消する方法は新しい概念ではなく、100年以上前に仮説が立てられ、さまざまな手術法の評価が行われてきたが、感染症や深い切開を要するなど、種々の合併症を伴うものであった。経カテーテル的動脈化術は大きな切開を回避し、動脈血を直接的に下肢の遠位部の静脈弓に導くことが可能であり、合併症のリスク低減も期待される」としている。

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Fire and Forget vs.Treat to Target(解説:平山篤志氏)

 これまでの欧米での心血管イベントを低下させるためのガイドラインでは、ハイリスク患者に対してはLDL-コレステロール(LDL-C)を治療するために強力なスタチンの高用量をまず投与するというFire and Forgetの戦略が推奨されてきた。これはスタチンを用いた大規模臨床試験で、高用量と低用量を比較する、あるいはStrongとMildの高用量を比較する試験のメタ解析から得られた結論であった。また、管理目標値を設定するより、初期投与によるLDL-C低下の割合がイベント抑制には必要であるという考えもあった。 ただ、これまでのメタ解析からLDL-C達成値により心血管イベントが低下していること、また冠動脈プラークの退縮が認められることから、LDL-Cの管理目標値を目指す治療が重要であるとされていた(Treat to Target)。さらに、スタチン以外のコレステロール低下薬の有効性が示されると、リスクに応じたLDL-C管理目標値がガイドラインに記載されるようになった。 本試験は、Fire and Forget vs.Treat to Targetを検証するための試験であった。結果としては、両群で達成LDL-C値に差がなく、イベントにも差がなかったという結果であった。これまでのTreat to Targetを検証した試験では、目標値を達成することができず不十分な結果であったが、本試験では十分なコレステロール低下がTreat to Target群で達成できていたことが本試験成功の背景として挙げられる。これは管理目標値を設定しているガイドラインを後押しする結果である。ただ、わが国で通常使用可能なStrongスタチンの高用量は本試験の半量であるため、Treat to Targetで調整するよりはハイリスクの患者では、まずわが国の通常の高用量のStrongスタチンで治療を開始し、管理目標値を達成できない場合に薬剤を追加するFire and Forgetの戦略を選択するほうが実臨床に即していると考えられる。

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メタアナリシスで示される心血管系への緑茶の有効性【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第231回

メタアナリシスで示される心血管系への緑茶の有効性イラストACより使用緑茶が心血管系に対して保護的に働くことは数多くの研究で示されています。昔はペットボトルで飲むものといえば麦茶が主流でしたが、ここ最近、本当に緑茶が広く浸透しているなと思います。伊藤園によると、緑茶飲料の国内市場規模は、20年前と比較して約1.5倍伸長しているそうです(図)。図. 緑茶飲料の国内市場規模(伊藤園ウェブサイトを参考に筆者作成)Zamani M, et al.The effects of green tea supplementation on cardiovascular risk factors: A systematic review and meta-analysis.Front Nutr. 2023 Jan 10;9:1084455.このメタアナリシスは、PubMed、Medline、Scopus、Web of Science、Embaseなどのオンラインデータベースにおいて、緑茶と心血管危険因子の検索語を組み合わせて、心血管リスク因子に対する緑茶摂取の効果を検討したランダム化比較試験のシステマティックレビューによるものです。55件のランダム化比較試験が適格とされました。ランダム効果メタアナリシスの結果、緑茶摂取は、総コレステロール値(加重平均差[WMD]:-7.62、95%信頼区間[CI]:-10.51~-4.73、p≦0.001)、LDL-C(WMD:-5.80、95%CI:-8.30~-3.30、p≦0.001)、空腹時血糖(WMD:-1.67、95%CI:-2.58~-0.75、p≦0.001)、HbA1c(WMD:-0.15、95%CI:-0.26~-0.04、p=0.008)、拡張期血圧(WMD:-0.87、95%CI:-1.45~-0.29、p=0.003)を有意に減少させる効果があり、一方でHDL-Cは有意に上昇させました(WMD:1.85、95%CI:0.87~2.84、p=0.010)。血圧については、健康な個人において、緑茶摂取において収縮期血圧を2.99mmHg、拡張期血圧を0.95mmHg減少させるという別のメタアナリシスもあります1)。また、このほか、摂取量に応じての脳卒中のリスクが低下するというメタアナリシスも報告されています2)。したり顔で緑茶の有効性を書いてきましたが、個人的には緑茶の有無にこだわるよりも、そのほかの食生活や運動のほうが重要ではないかと思っています。1)Yildirim Ayaz E, et al. Effect of Green Tea on Blood Pressure in Healthy Individuals: A Meta-Analysis. Altern Ther Health Med. 2023 Jan 23;AT7623. [Epub ahead of print]2)Wang ZM, et al. Green tea consumption and the risk of stroke: A systematic review and meta-analysis of cohort studies. Nutrition. 2023 Mar;107:111936. [Epub ahead of print]

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