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コロナによる医療中断で回避可能な入院リスク増/BMJ

  英国・リバプール大学のMark A. Green氏らは、同国7つの住民ベース縦断研究のコホートデータを解析し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行中に医療へのアクセスが中断された人は、回避可能な入院をより多く経験していたとみられることを報告した。COVID-19流行中に医療サービスや治療へのアクセスがどの程度中断したかは、幅広い研究によって明らかとなっているが、この中断と健康への悪影響との関連を評価する研究が求められていた。著者は、「今回の調査結果は、パンデミックの短期的・長期的影響への対応や、将来のパンデミック時の治療・処置体制確保のために、医療投資を増やす必要性を浮き彫りにしている」と述べている。BMJ誌2023年7月19日号掲載の報告。英国の7つの縦断研究からコホートデータを解析 研究グループは、UK Longitudinal Linkage Collaborationを利用して、イングランドのNHS Digitalの電子健康記録とリンクした住民ベースの縦断研究コホートデータを、2020年3月1日~2022年8月25日の期間について入手した。 主要アウトカムは回避可能な入院で、適切なプライマリケア診療で入院を防ぐことができる状態(ambulatory care sensitive condition:ACSC)や急性増悪で入院の可能性はあるが入院を最小限にするためにプライマリケアで治療を試みるべき状態(emergency urgent care sensitive condition)での緊急入院と定義し、医療へのアクセスとの関連を解析した。新型コロナ流行で医療中断を経験した人は、回避可能な入院のリスクが高い 計9,742例(縦断コホートのサンプル構造で調整した加重割合35%)が、COVID-19流行中に何らかの形で医療へのアクセスが中断されたと自己報告した。 アクセスが中断された人は、あらゆるACSC(オッズ比[OR]:1.80、95%CI:1.39~2.34)、急性のACSC(2.01、1.39~2.92)、慢性のACSC(1.80、1.31~2.48)による入院のリスクが高かった。プライマリケア医または外来受診(予約済み)および手術、がん治療などの処置へのアクセスが中断された経験のある人は、回避可能な入院の指標と正の関連が認められた。 なお、著者は、観察研究であり因果関係は説明できないこと、COVID-19流行前の医療へのアクセスの困難さに関するデータがないことなどを研究の限界として挙げている。

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トランスジェンダーの自殺に関する疫学研究(解説:岡村毅氏)

 トランスジェンダーはいまや政治の最前線になってしまった。プーチン大統領はウクライナ侵略を西側の悪魔主義(ここにはトランスジェンダーも含まれる)との戦いだと規定しようとしている1)。米国では、民主党・都市部がトランスジェンダーに寛容、共和党・非都市部が非寛容と分断してしまった2)。英国でも、スコットランドが性別変更を容易にする方向に動いたが、イングランドが止めようとしている3)。日本では反共産主義と奇妙に融合した一教団が政界に隠れた影響力を保ち続け、トランスジェンダー等に反対してきたとされている4)。 このコラムでは特定の政治的な立場はとらず、精神科医として、トランスジェンダーの人の自殺と死亡率の論文を解説する。なおトランスジェンダーとは、生下時の生物学的性と、性自認が一致しない(トランス)人を指し、反対語はシスジェンダーである。高校の科学でトランスとかシスとか習ったのを覚えている人もいるだろう。 国民全員の医療データを解析できるデンマークからの報告である。トランスジェンダーの人をどうやって同定したのかというと、国民番号の下1桁の偶数奇数で性別がわかるのだ。これを「変更している人」がトランスジェンダーなのだ。逆に法的に性別を変更していない人は、この解析からは漏れている。加えて、精神科医療の登録データ、国内患者の登録データも国民番号とつながっている。したがってICD-10でF64 性同一性障害等と診断された人もすべて含まれている。 自殺企図は病院のデータベースからもってきている(したがって病院に搬送されていないものは漏れている)。自殺による死亡は死因統計からもってきている。 まずトランスジェンダーの人は時代とともに増加している。そしてトランスジェンダーの人の自殺企図は非トランスジェンダーの人より高い(全体では7.7倍)。しかし80年代、90年代、00年代、10年代でみると11.2、7.2、8.1、6.6倍と低下傾向ではある。死亡率は、自殺による死亡が3.5倍、それ以外は1.9倍である。両者合わせた死亡率は2.0倍だが、これも時代とともに2.2、2.4、2.1、1.7倍と低下傾向である。 以下は、あくまで私の個人的意見だ。 本人の世界を尊重し、希望を持って生きることを支援する、というのが精神科の本質的な仕事であるならば、トランスジェンダーの人の自殺企図や死亡率が高いことは精神科的には看過できない。政治的なことは置いておいて、合理的に守られるべきであろう。 また精神科の臨床においては、究極の内面世界が語られるので、社会的には開示していないがトランスジェンダーであるという人にも巡り合う。この論文では、性別変更、自殺企図での病院受診などに関与した人だけが同定されているが、社会の中でひそかに生きている人を含めると自殺リスクはもっと低いかもしれない(これは印象であり検証はできない)。 最後に精神科医としては「私たちが何者であるかは、私たちにもわからない」「私たちの人生は、私たちが何者であるかを探す旅である」「それは不安と隣り合わせだ」ともいえるので、トランスジェンダー反対が政治的な課題になっていることは、斜に構えた精神科医としては『不安な時代に、不安を減らすことを叫ぶことは政治活動戦略としては効果的だ』とみえる。なお本コラムでは、政府の使用や、ガイドラインも参考にして自死ではなく自殺を用いた。

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研修医、学んだことは少なくて【Dr. 中島の 新・徒然草】(487)

四百八十七の段 研修医、学んだことは少なくて梅雨が明けました。近畿地方の梅雨明けは7月20日で平年より1日遅いそうです。また、梅雨期間の降雨量は平年の122%と、多めの雨が降りました。で、毎日が猛暑。今日の午後に車に乗ろうとしたら温度が37度を表示しており、車内はサウナ風呂状態でした。外来通院の患者さんたちも「暑い、暑い」と、そればかりです。いよいよ熱中症の季節ですね。さて、先日は医師会の集まりがあり、昭和の思い出話に花が咲きました。とくに研修医時代のこと。ずっと病院に泊まっていたとか、医局に積み上げられていた弁当を勝手に食べていたとか。当時は昼夜問わず働いていましたが、不思議に楽しかったような気がします。研修医の裁量が大きかったのと、勤務時間やアルバイトのことをうるさく言われなかったからでしょう。3食とも病院で食べていると、必然的に排泄のほうも病院ですることになります。今でも覚えているのは男子トイレの個室。当時の若者のエネルギーを反映してか、大量の落書きがされていました。とくに記憶に刻み込まれているのが、壁に書いてあった短歌です。研修医 学んだことは少なくて 流したクソのみ 多かりき誰がひねったかわかりませんが、上手い!程よい下品さがいいですね。もし「あれはオレが作ったんだ」という人がいたら、ぜひ名乗り出てください。でも、この短歌。よく見ると文字数がちょっとおかしいですね。本当は「五七五七七」になるべきところ、「五七五七五」となっています。後者でもリズムはいいので、つい騙されてしまいました。「ただの字足らずだ」とも言えますが、2文字も足りないので説得力がありません。そこで生成AIのChatGPTに、この句を「五七五七七」に変えさせてみました。すると、出てきたのは期待外れのもの。研修医と 学び少なくても 流したクソ 多かりき身にし 成長の道歩む何を言ってるんですかね、こいつは。外し方が意味不明。これだと文字数は「六九六八十」になってしまいます。リズムが悪過ぎて、読み上げることすらできません。いつもながら使えん奴でした。今度は別の生成AIであるBingにやらせてみます。研修医 学ぶこと少なく 流したクソ 多かりきこっちも呆れるほど駄目ですね。文字数が「五九六五」で、もう無茶苦茶です。結局、最後は自分でやることになりました。研修医 学んだことは少ないが流したクソの 多さは負けぬ研修医 学んだことは少ないが流したクソの多さは負けぬもう1丁!研修医 流したものは 冷や汗と悔し涙と 大量の便研修医 流したものは 冷や汗と悔し涙と 大量の便私も大したことありませんでした、すみません。

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップーP(対象)設定の要点と実際 その1【「実践的」臨床研究入門】第34回

今回からは、Research Question(RQ)を構成する、P(対象)、E(曝露要因)、C(比較対照)、O(アウトカム)、それぞれの要素をより具体的かつ明確なカタチに設定するための要点と実際について解説していきます。下記に、これまでにブラッシュアップしてきた、われわれのClinical Question(CQ)とRQ、PECOを再掲します。CQ:食事療法を遵守すると非ネフローゼ症候群の慢性腎臓病患者の腎予後は改善するのだろうかP(対象):非ネフローゼ症候群の慢性腎臓病(CKD)患者E(曝露要因):食事療法(低たんぱく食 0.5g/kg標準体重/日)の遵守C(比較対照):食事療法(低たんぱく食 0.5g/kg標準体重/日)の非遵守O(アウトカム):1)末期腎不全(透析導入)、2)糸球体濾過量(GFR)低下速度「標的母集団」と「研究対象集団」、「解析対象集団」まず、Pを設定するうえでの最初のポイントとして、「標的母集団」と「研究対象集団」、「解析対象集団」の違いについて解説します。われわれのRQのPとなるCKDは、日本腎臓学会の診療ガイドライン1)で以下のように定義(抜粋)されています。(1)尿検査、画像診断、血液検査、病理などで腎障害の存在が明らかで、とくに蛋白尿の存在が重要(2)GFR<60mL/分/1.73m2(1)、(2)のいずれか、または両方が3ヵ月以上持続する「標的母集団」とは自身のRQが対象とし、その研究結果を一般化しようとする集団全体です。上記の定義を用いることにより、このRQの「標的母集団」の概念を明確にし、Pの具体的な「組み入れ基準」をはっきり示すことができそうです。ただ、実際の「研究対象集団」というのは、「標的母集団」の一部をサンプリングして代用したものにすぎません。たとえば、われわれが行ったCKD患者の腎予後予測モデルの研究2)では、日本全国の腎臓内科のある17ヵ所の大規模病院から患者登録を行いました。その結果、この研究の「研究対象集団」は、腎臓内科に紹介されていないCKD患者を含んでいません。このような偏りを「選択バイアス」と言い、研究の「外的妥当性」を損なう原因になりえます。「外的妥当性」とは、得られた研究結果を行われた「研究対象集団」とは異なるサンプルや「セッティング」(「研究対象集団」のサンプリングが行われた場)にも当てはめることができるか、ということです(「一般化可能性」とも言います)。われわれは、本研究の結果は腎臓内科医がいない小規模病院やクリニックで診療されているCKD患者には適用することが難しい可能性を、研究の限界の1つとしてこの論文1)のディスカッションの項で述べました。「外的妥当性」に対し、「内的妥当性」という用語もありますが、こちらは研究の結論(研究結果からの推論)の「研究対象集団」での当てはまりのよさ、を表します。研究対象には「除外基準」を設定することが多くあります。前述の研究2)では、予後が大きく異なるであろう治療中の悪性腫瘍を併発している患者などは除外しました。本稿のRQでも関連研究レビューの結果から、ネフローゼ症候群はPから除外するとにしました(連載第11回参照)。また、研究参加への同意が撤回されたり、追跡が不能になった患者も除外されます。このように「研究対象集団」から除外基準に合致する患者だけでなく、種々の事由で除かれて、実際の解析に用いられたサンプルを「解析対象集団」と言います。ただ、「除外基準」をあまり多く設けすぎると、「標的母集団」、「研究対象集団」と「解析対象集団」の乖離が大きくなり、「外的妥当性」が低くなってしまいます。論文ではフローチャートなども用いて、これらを明確に区別して記述することが、観察研究の報告ガイドラインであるSTROBE声明3)でも推奨されています。フローチャートの具体例については引用文献2のFigure 1.もご参照ください。1)日本腎臓学会編集. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018. 東京医学社;2018.2)Hasegawa T, et al. Clin Exp Nephrol. 2019;23:189-198.3)von Elm E, et al. Lancet. 2007;370:1453-1457.

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7月27日 ニキビケアの日【今日は何の日?】

【7月27日 ニキビケアの日】〔由来〕夏はとくにニキビのできやすい季節であることから「7(しっかりと)2(ニキビを)7(なくそう)」と読む語呂合わせからニキビケアを見直し、肌トラブルを無くす正しい手入れ方法の啓発を目的に株式会社ディーエイチシーが制定。関連コンテンツ尋常性ざ瘡女性の尋常性ざ瘡、スピロノラクトンが有効/BMJトランスジェンダー、ホルモン療法でにきび有病率が大きく上昇自撮り写真でのにきびの遠隔診断、対面診断とほぼ一致医療従事者、PPE着用時の皮膚病リスクと低減戦略

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第55回 コロナ後遺症、どんな子供に多い?

スウェーデンの大規模研究Unsplashより使用小児におけるCOVID-19は、多系統炎症性症候群(MIS-C/PIMS)を除くと、成人ほど医学的な影響は大きくないため、感染症としては比較的軽視されています。そのため、新型コロナワクチン接種率は非常に低いところでプラトーに達しています。最新のデータによると、2回目まで接種した児は23.4%、3回目の接種を受けている児はわずか9.8%です1)。さて、スウェーデンの集団ベース研究において、小児におけるCOVID-19罹患後症状(後遺症)が評価されました2)。この研究は、スウェーデンの2つの地域に居住する6~17歳の小児を対象とし、2020年1月31日~2022年2月9日のCOVID-19の症例を組み入れました。後遺症は、感染後28日以上経過してから発生したものとしました。合計16万2,383人の小児(男児8万1,789人、女児8万594人)が感染を経験し、本コホートに登録されました。平均年齢は12.0±3.5歳で、入院に至った症例はわずか529例(0.3%)でした。日本においても小児のCOVID-19入院のみならず、後遺症で入院に至ることは非常にまれですよね。性別・年齢・親の教育水準などで差結果、後遺症と診断されたのは、326例(0.2%)だけでした。女児における後遺症の発生率は男児よりも高いことが示されました(100人年あたり0.19[95%信頼区間[CI]:0.16~0.22]vs.0.12[95%CI:0.10~0.14])。また、6~11歳より12~17歳のほうが後遺症の発生率は高いという結果でした(12~17歳:100人年あたり0.19[95%CI:0.17~0.22]vs.6~11歳:0.11[95%CI:0.09~0.14])。さらに、当然ではありますが、入院COVID-19例のほうが非入院例よりも後遺症は多かったようです(100人年あたり1.25[95%CI:0.62~2.23]vs.0.15[95%CI:0.13~0.17])。興味深いことに後遺症の発生は親の教育水準によって異なっていました。初等教育卒業水準と比べて高等教育卒業水準のほうが、後遺症が多かったのです(高等教育卒業水準:100人年あたり0.15[95%CI:0.13~0.18]vs.初等教育卒業水準:0.10[95%CI:0.04~0.19])。そして、両親のいずれかが後遺症と診断された場合、児の後遺症発生が5倍多いことが示されました(100人年あたり0.70[95%CI:0.49~0.97]vs.0.14[95%CI:0.13~0.16])。教育水準が高い集団は医療アクセスが速やかなので、後遺症の診断につながりやすいという側面もあります。また、自身の後遺症の経験から子供の長引く症状に対して懸念を抱く両親が多いためと考えられます。考察では遺伝的影響もありうると書かれています。参考文献・参考サイト1)新型コロナワクチンについて(首相官邸)2)Bygdell M, et al. Incidence and Characteristics in Children with Post-COVID-19 Condition in Sweden. JAMA Netw Open. 2023 Jul 3;6(7):e2324246.

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コロナ再感染、高齢者よりも若年層で増加

 新型コロナウイルス感染症の流行が長期にわたり、再感染者も増えている。コロナ再感染は基礎体力が劣り、基礎疾患を持つ人が多い高齢者に多いのではと考えられるが、実際には若年・中年層の増加率が高齢者よりも高いことが明らかになった。米国疾病管理予防センター(CDC)が実施した研究結果は、Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)誌2023年6月23日号に掲載された。コロナ再感染の割合の絶対的増加は18〜49歳で最も高い CDCは2021年9月5日~2022年12月31日に、米国の18の管轄区域から報告された18歳以上の成人のCOVID-19全症例、入院、死亡に占めるコロナ再感染の割合を調査し、5つの期間(デルタおよびオミクロン[BA.1、BA.2、BA.4/BA.5、BQ.1/BQ.1.1]がそれぞれ優勢だった期間)と年齢層別に解析した。 コロナ再感染の割合を調査した主な結果は以下のとおり。・期間中に278万4,548例のコロナ再感染が報告され、同集団および期間に報告された全症例(2,194万3,686例)の12.7%を占めた。・18~49歳が人口に占める割合は54%だが、この期間のコロナ再感染者の66.8%を占めた。50~64歳は21.2%、65歳以上は11.9%であった。・全症例に占めるコロナ再感染の割合は、2.7%(デルタ期)から28.8%(オミクロンBQ.1/BQ.1.1期、以後期間はすべてデルタ期→オミクロンBQ.1/BQ.1.1期)に大幅に増加した。COVID-19関連入院(1.9%→17.0%)および死亡(1.2%→12.3%)に占めるコロナ再感染の割合も大幅に増加した。・コロナ再感染の割合の絶対的増加は18〜49歳で最も高く(3.0%→34.4%)、50~64歳は2.1%→29.0%、65歳以上は2.0%→18.9%だった。・COVID-19の全症例、入院、および死亡のうちコロナ再感染の割合は、50歳以上と比較して、18~49歳では期間を通じて一貫して高かった。・コロナ感染間隔の中央値は269~411日であり、BA.4/BA.5期間の開始時に急減した。 レポートはこの期間のコロナ再感染およびそれに伴う入院と死亡の割合が若年層で高い理由として、初感染の累積発生率が高いこと、ワクチン接種開始の時期が遅いこと、ワクチン接種率が低いこと、曝露リスクが高いこと、初感染の重症度が低いために生存バイアスがかかっている可能性、など複数の要因が考えられるとしている。

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抗精神病薬誘発性メタボリックシンドローム~ナラティブレビュー

 重篤な精神疾患である統合失調症は、世界の障害の主な原因トップ10の1つであり、人口の約1%に影響を及ぼす。統合失調症に対する最良の治療選択肢として、抗精神病薬治療が挙げられるが、抗精神病薬治療では脂質異常症を含むメタボリックシンドロームリスクが増加する。実際に、統合失調症患者は、一般集団と比較し、メタボリックシンドロームリスクが高いといわれている。カナダ・マニトバ大学のPelumi Samuel Akinola氏らは、抗精神病薬誘発性メタボリックシンドロームの有病率、メカニズムおよび対処法について、まとめて報告した。Metabolic Syndrome and Related Disorders誌オンライン版2023年6月22日号の報告。 本研究は、ナラティブレビューとして実施した。PubMedを用いて電子データベースMedlineを検索し、抗精神病薬を使用した成人集団におけるメタボリックシンドロームの有病率および対処法を調査した研究を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬で治療されている患者におけるメタボリックシンドロームの有病率は、37~63%の範囲であった。・抗精神病薬の影響には、体重増加、腹囲の増加、脂質異常症、インスリン抵抗性2型糖尿病、高血圧などが含まれた。・メタボリックシンドローム発症を促進する薬剤として、クロザピン、オランザピンが報告されている。・メタボリックシンドローム患者では、代謝系副作用リスクの低い抗精神病薬(ルラシドン、lumateperone、ziprasidone、アリピプラゾールなど)を優先して用いる必要がある。・抗精神病薬誘発性メタボリックシンドロームに対する非薬物療法として、有酸素運動、食事カウンセリングが有効であることが確認されている。・このような患者の体重増加に対して有効性が確認された薬物療法は、ほとんどなかった。・抗精神病薬誘発性メタボリックシンドロームは、リスクを早期に認識し、注意深くモニタリングすることが求められる。・メタボリックシンドロームまたは関連症状に対する1次および2次予防は、抗精神病薬使用患者の死亡リスクの減少に役立つ可能性がある。

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乳がんへのパルボシクリブの効果、PPI併用で損なわれる

 抗がん剤による消化器症状を緩和するためにプロトンポンプ阻害薬(PPI)が使用されているが、PPIの酸分泌抑制作用は経口抗がん剤のバイオアベイラビリティや臨床効果に悪影響を及ぼす。今回、韓国・Sungkyunkwan UniversityのJu-Eun Lee氏らによる進行乳がん患者を対象としたコホート研究の結果、パルボシクリブにPPIを併用した群では非併用群よりも無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が短いことが示された。この結果から、パルボシクリブにPPIを併用するとパルボシクリブの治療効果が損なわれる可能性が示唆された。JAMA Network Open誌2023年7月21日号に掲載。 本研究は、韓国の2016年11月1日~2021年7月31日の全国請求データを用いた後ろ向きコホート研究で、2017年11月1日~2020年7月31日にパルボシクリブを投与された乳がん女性を調べた。パルボシクリブとPPIの処方が33%以上重複した患者をPPI併用群、パルボシクリブ治療期間中に一度もPPIを投与されなかった患者を非併用群とし、1:3の傾向スコアマッチングにより患者を選択した。主要評価項目は臨床的PFSとOSで、Cox比例ハザード回帰を用いてPPI併用のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・マッチングされた1,310例(PPI併用群:344例、非併用群:966例)のうち、1,108例(84.6%)が50歳以上で、1,111例(84.8%)がレトロゾールとアナストロゾールによる治療(ホルモン感受性)、199例(15.2%)がフルベストラントによる治療(ホルモン抵抗性)を受けていた。・臨床的PFS中央値は、PPI併用群(25.3ヵ月、95%CI:19.6~33.0)が非併用群(39.8ヵ月、95%CI:34.9~NA)より短く(p<0.001)、HRは1.76(95%CI:1.46~2.13)であった。・OSについてもPPI併用群のほうが短かった(HR:2.71、95%CI:2.07~3.53)。・ホルモン感受性および抵抗性治療を受けている患者のどちらにおいても、PPI併用群の臨床的PFSおよびOSは不良であった。

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患者が作成に本格的に参画、『患者・市民のための膵がん診療ガイド』

 膵がんは年間の新規罹患者数4万4,500人(2022年予測)、20年間で約2倍と大きく増加しており、とくにアジア・日本での増加率が高い。がん種別にみた罹患者数は6位ながら死亡者数では4位、罹患者数と死亡者数の差が小さい、いわゆる「難治性がん」の代表とされる。 現在、乳がん、胃がん、大腸がんなどで患者向けガイドラインが刊行・改訂されているが、2023年5月には膵がんの『患者・市民のための膵がん診療ガイド 2023年版』(編集:日本膵臓学会)が刊行された。改訂は2019年以来4年ぶり、本版は第4版となる。7月には作成委員長である奥坂 拓志氏(国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科 科長)と、患者代表として作成に参画した眞島 喜幸氏(NPO法人 パンキャンジャパン 理事長)を講師に招いたメディアセミナーが開催された。 奥坂氏は「これまでの患者向けガイドラインは『医療者向けガイドラインを底本として、患者向けにわかりやすく解説し直す』という作成方法だった。2022年刊行の医療者向け『膵診療ガイドライン』と患者向けの本書は、双方の作成に患者・市民が参画しており、これまでとはまったく異なる方法で作成されたものだ」と解説。診療ガイドラインの評価・選定、作成支援を行うMinds(日本医療機能評価機構)は、ガイドライン作成への患者・市民参画を推奨しているが、日本では患者会活動が欧米ほど活発でないことなどが理由となって、本格的に患者・市民が作成に関わった診療ガイドラインはまだ数少ないという。 続けて登壇した眞島氏は「今回のガイドライン作成にあたっては、パンキャンジャパンが膵がんの患者会にアンケートを行い、必要とする情報を聞いた。すると、医療者が重視するカテゴリーと、患者が必要だと考える情報に差異があることがわかった」と説明した。たとえば「手術に関連した合併症」のカテゴリーは医療者の評価が高い一方で患者の評価は低く、反対に「ゲノム医療」は医療者の評価が低い一方で患者の評価が高い、といった差が出た。「支持療法」など、両者が一致して重視したカテゴリーもあった。 患者・市民4名で構成するガイドライングループで、アンケートの分析結果を踏まえた重み付けをしたうえで、医療者の評価と照らし合わせ、ガイドラインで取り上げるべきテーマを抽出していった。 結果として、治療の流れや最新治療の解説のほか、精神面の不安や医療者とのコミュニケーションに対するアドバイス、医療費や仕事との両立など、患者目線のトピックスが多く盛り込まれた。さらに患者・市民グループが執筆したコラム、用語集、薬剤名一覧なども付いた、情報を盛り込みながらも読みやすい1冊となっている。 奥坂氏は、医療者向けのメッセージとして「時間の限られた臨床の場では、患者さんへの説明やコミュニケーションが限定的になってしまうこともある。患者さん・ご家族に本書を薦めて理解の一助にしてもらうほか、診療に携わるほかの医療者にもぜひ推薦してほしい」とした。

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donanemab、早期アルツハイマー病の進行を抑制/JAMA

 早期症候性アルツハイマー病でアミロイドおよびタウ沈着の病理学的所見が認められる患者に対し、donanemabはプラセボと比較して、76週時点で評価した臨床的進行を有意に遅延させたことが示された。所見は、低・中タウ病理集団と低・中+高タウ病理集団で認められたという。米国・Eli Lilly and CompanyのJohn R. Sims氏らが、1,736例を対象に行われた国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III試験「TRAILBLAZER-ALZ 2試験」の結果を報告した。donanemabは、脳アミロイド斑を除去するよう設計された抗体医薬。JAMA誌オンライン版2023年7月17日号掲載の報告。4週ごとにdonanemabを72週間投与 TRAILBLAZER-ALZ 2試験は、8ヵ国277ヵ所の医療研究センター/病院で18ヵ月間にわたって行われた。早期症候性アルツハイマー病(軽度認知障害/軽度認知症)で、PET画像診断でアミロイドおよび低/中程度~高度のタウ病理学的所見が認められる1,736例を対象に、donanemabの有効性と有害事象を評価した。被験者は、2020年6月~2021年11月に登録された(最後の被験者がプライマリケアを受診したのは2023年4月)。 研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方にはdonanemabを(860例)、もう一方にはプラセボを(876例)、4週ごとに72週間静脈内投与した。donanemab群に割り付けられた患者は、推奨用量の基準を満たした場合は、盲検下のままプラセボ投与に切り替えられた。 主要アウトカムは、ベースラインから76週までの統合アルツハイマー病評価尺度(iADRS)スコア(範囲:0~144、スコアが低いほど認知障害が大きいことを示す)の変化。アウトカム(主要・副次・探索的)は、ゲート付き24項目で、副次アウトカムには、臨床的認知症重症度判定尺度(CDR-SB)スコア(範囲:0~18、高スコアほど認知障害が大きいことを示す)の各項目スコアの合計の変化も含まれた。統計学的検定は、多重比較のためのstudy-wise type I error rateを用い、有意水準α=0.05とし、低/中タウ病理集団のアウトカムについてはα=0.04を、高タウ病理集団を含めた統合集団については、α=0.01を割り当てた。iADRSスコア、CDR-SBスコアで進行遅延を確認 被験者1,736例(平均年齢73.0歳、女性996例[57.4%]、低/中タウ病理集団1,182例[68.1%]、高タウ病理集団552例[31.8%])が無作為化され、このうち1,320例(76%)が試験を完了した。 ゲート付き24項目アウトカムのうち、23項目でdonanemab群とプラセボ群に統計的有意差があった。76週時点のiADRSスコアの最小二乗平均(LSM)変化は、低/中タウ集団では、donanemab群-6.02(95%信頼区間[CI]:-7.01~-5.03)、プラセボ群-9.27(-10.23~-8.31)だった(群間差:3.25、95%CI:1.88~4.62、p<0.001)。低/中+高タウ集団(全体)では、donanemab群-10.2(95%CI:-11.22~-9.16)、プラセボ群-13.1(-14.10~-12.13)だった(群間差:2.92、95%CI:1.51~4.33、p<0.001)。 76週時点のCDR-SBスコアのLSM変化は、低/中タウ集団ではdonanemab群1.20(95%CI:1.00~1.41)、プラセボ群1.88(1.68~2.08)だった(群間差:-0.67、95%CI:-0.95~-0.40、p<0.001)。全体では、donanemab群1.72(95%CI:1.53~1.91)、プラセボ群2.42(95%CI:2.24~2.60)だった(群間差:-0.7、95%CI:-0.95~-0.45、p<0.001)。 画像所見で確認されたアミロイド関連の脳浮腫・滲出液の異常はdonanemab群205例(24.0%、症候性52例)、プラセボ群18例(2.1%、症候性0例)だった。注入関連反応は、donanemab群74例(8.7%)、プラセボ群4例(0.5%)で認められた。治療関連と考えられる死亡は、donanemab群の3例とプラセボ群の1例だった。

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RNA干渉薬zilebesiran、単回投与で24週間降圧持続/NEJM

 高血圧症患者に対する長時間作用型RNA干渉治療薬zilebesiranは、200mg以上の投与で、血清アンジオテンシノーゲン値と24時間自由行動下血圧の用量依存的な低下を24週まで持続したことが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のAkshay S. Desai氏らが、107例を対象とした第I相試験の結果を報告した。アンジオテンシノーゲンは、アンジオテンシンペプチドの唯一の前駆体で、高血圧の発症機序に重要な役割を果たしている。zilebesiranは、肝臓でのアンジオテンシノーゲンの合成を阻害する長時間作用型RNA干渉治療薬として治験が進められている。NEJM誌2023年7月20日号掲載の報告。低塩食、高塩食での効果やイルベサルタンとの併用も検証 英国の4医療機関で行われた第I相試験で、高血圧症の成人患者を2対1の割合で無作為化し、一方の群にzilebesiranを用量漸増法で(10、25、50、100、200、400、800mg)、もう一方の群にはプラセボを、いずれも単回皮下投与し24週間追跡した(パートA試験)。また、低塩食(0.23g/日)または高塩食(5.75g/日)の状態下で、zilebesiran 800mgの有効性を評価した(パートB試験)。さらに、zilebesiran 800mgをイルベサルタンと同時に投与した場合の有効性も評価した(パートE試験)。 エンドポイントは、安全性、薬物動態・薬力学的特性、24時間自由行動下血圧モニタリングで測定した収縮期・拡張期血圧のベースラインからの変化などだった。高塩食の血圧への影響を弱め、イルベサルタンとの併用で効果増強 被験者107例のうち5例に、軽度や一過性の注射部位反応が認められた。医療的介入を要した低血圧、高カリウム血症、腎機能悪化の報告はなかった。 パートA試験では、zilebesiran投与群で血清アンジオテンシノーゲン値が低下し、その程度について投与量との相関関係が認められた(8週時点のr=-0.56、95%信頼区間[CI]:-0.69~-0.39)。 zilebesiran 200mg以上の単回投与は、8週までの収縮期血圧の低下(>10mmHg)および拡張期血圧の低下(>5mmHg)と関連し、これらの変化は日内変動の中で一貫しており、24週時点でも持続していた。 パートBの結果からはzilebesiranが高塩食の血圧への影響を弱めることが示唆され、パートEの結果ではzilebesiranのイルベサルタンとの併用による効果の増強が示唆された。

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医療系YouTuberが認定制に!【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第114回

皆さんの周りで医療系のYouTube配信をしている人はいますか? YouTuberとはどのくらいの登録者数がいる人を指すのかは不明ですが、医療者で医療系情報を発信する人は少なくないようです。YouTubeで配信をしてもなかなか収益につながることは難しいらしく、収益を得ながら継続して発信を行っている人は多くないのかもしれませんが、自分が思うことや世の中が求めていることを発信し、広めるには効果的なツールの1つであることには間違いないでしょう。今回、YouTubeを運営するGoogleが、医療情報の発信に関して、一定の規制を設けることを発表しました。グーグルが動画投稿サイト「YouTube」で、医療関連コンテンツの信頼性を高めるため、医師や看護師などの医療系ユーチューバーに「認定制度」を年内に導入する。申請して基準を満たせば、配信者は「信頼できる情報源」であることを表示できるようになる。一方で、信頼性が低い情報源の配信者に関しては、削除や表示されにくくする措置をとる。「GLP-1ダイエット」を宣伝する自由診療クリニックの医師は資格制度の対象外となる見通し。GLP-1ダイエットに関しては、学会や製薬企業が警告しているが、グーグルも不適切情報の氾濫に歯止めをかける方針だ。(2023年7月24日付 RISFAX)現在のところ、上記の認定制度の対象資格は「医師」「看護師」「心理カウンセラー」の3職種とされており、薬剤師は対象外となっています。認定を得るための申請条件は、全米医学アカデミー(NAM)や世界保健機関(WHO)の健康に関する情報共有の原則に従っていることの証明のほか、直近12ヵ月間の総再生数が2,000時間以上あるなどの厳しい基準をクリアする必要があります。認定にはその情報の正確さや信頼だけでなくチャンネルの人気も必要なようです。この取り組みにより、医療者がYouTubeからお墨付きをもらうことで、「信頼できる情報源」として情報を発信できるというメリットは大きいでしょう。健康や医療関連の情報を求めてYouTubeで検索するユーザーに対して、より信頼できる情報を届けやすくなるのではないでしょうか。今回、GLP-1受容体作動薬をダイエット目的で自費診療として用いる、いわゆる「GLP-1ダイエット」についてはGoogleも問題視していると明言していて、おそらくこの発表の要因の1つになったのでしょう。GLP-1受容体作動薬の適応外使用を促す医師については、ガイドラインやポリシーに則り、動画削除や表示を下位にする措置を取るとしています。全体をみると、この対策は医療分野だけというわけではありません。情報の正確性がとくに重要な政治、医療、科学情報などのトピックに関しては、信頼できる情報源から情報を検索しやすく、お勧めの動画として優先的に表示し、誤情報・フェイクニュースなどに対しては取り締まる対策を行うという大きな流れの1つであるようです。医療や健康関連の情報で疑問を持っている人や悩んでいる人が、インターネットで情報を検索するというケースは増加していると言われていますが、その情報は玉石混交です。また、医療情報はどんどん変わっていきます。患者さんがタイムリーかつ正確な情報を得られやすくなり、健康の向上や不安の解消に役立てばいいなと思います。

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静脈血栓塞栓症の治療に難渋した肺がんの一例(前編)【見落とさない!がんの心毒性】第23回

※本症例は、患者さんのプライバシーに配慮し一部改変を加えております。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。《今回の症例》年齢・性別30代・男性既往歴なし併存症健康診断で高血圧症、脂質異常症を指摘され経過観察喫煙歴なし現病歴発熱と咳嗽が出現し、かかりつけ医で吸入薬や経口ステロイド剤が処方されたが改善せず。腹痛が出現し、総合病院を紹介され受診した。胸部~骨盤部造影CTで右下葉に結節影と縦隔リンパ節腫大、肝臓に腫瘤影を認めた。肝生検の結果、原発性肺腺がんcT1cN3M1c(肝転移) stage IVB、ALK融合遺伝子陽性と診断した。右下肢の疼痛と浮腫があり下肢静脈エコーを実施したところ両側深部静脈血栓塞栓症(deep vein thrombosis:DVT)を認めた。肺がんに伴う咳嗽以外に呼吸器症状なし、胸部造影CTでも肺塞栓症(pulmonary embolism:PE)は認めなかった。体重65kg、肝・腎機能問題なし、血圧132/84 mmHg、脈拍数82回/min。肺がんに対する一次治療としてアレクチニブの投与を開始した。画像所見を図1に、採血データを表1に示す。(図1)中枢性DVT診断時の画像所見画像を拡大する(表1)診断時の血液検査所見画像を拡大する【問題1】DVTに対し、どのような治療が考えられるか?【問題2】筆者が本症例でがん関連血栓塞栓症のリスクとして注目した患者背景は何か?第24回(VTEの治療継続で生じた問題点とその対応)に続く。1)Dou F, et al. Thromb Res. 2020;186:36-41.2)Al-Samkari H, et al. J Thorac Oncol. 2020;15:1497-1506.3)Wang HY, et al. ESMO Open. 2022;7:100742.4)Qian X, et al. Front Oncol. 2021;11:680191.講師紹介

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楽な手術記録の管理【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第27回

手術は医療行為ですので、当然、行った手術に対して公式の記録を残す必要があります。電子カルテもかなり普及しているので、電子カルテ上で管理することが一般的だと思います。ファイルメーカーで一括管理、プリントアウトしたものを電子カルテに取り込んでいる、なんて施設も多いと思います。しかし、手術の際は公式記録以外にも気付いたことや、次に手術で改善しておきたいことなどの公式記録には載せられないメモ書きのようなものも残しておきたいところです。ノートに書いている先生もおられますが、私はコピー用紙に殴り書きすることが多かったです。コピー用紙の束が増えていくのは頑張っている感が出て、悪い気はしないのですが、どこに何を書いたのかわからなくなって、見返すことが非常に困難になってしまいます。こういったメモは「読み返すことよりも、書くことで手術をもう1度振り返る機会として重要だ」と言われたこともありますが…「『そういえば、以前やった症例と似てるな』というときに、すぐに検索できれば便利なのにな」とつねづね思っておりました。そこで、私はノートアプリ“Goodnotes”を使用して手術メモを管理することにしました。Goodnotesでできる自分だけの手術記録の管理Goodnotes、使ってみるとメチャクチャ便利。手書きのスケッチを記録できるだけじゃなく、手術に関連して調べた内容をスクリーンショット(画面撮り)して貼り付けたり、術前検査の結果を写真に撮って貼り付けたりできるんです。書いたメモをPDFファイルに書き出してgoogleカレンダーに貼り付けておけば、「夏頃に同じような症例があったよな…」というシチュエーションの際にも即座に対応できます。また、スマホと同期させておけば、それこそ緊急手術時の隙間時間に、類似症例の復習ができるわけです。もうちょっと言えば、このGoodnotesは作成したノートのリンクを作ることができるので、手作りのカレンダーにリンクをバチバチ貼り付けて、タップしたらそのページに飛ぶようにしてみました。しかし、これはいったんネットを経由しないとリンク先に飛ぶことができず、逆に時間がかかるので断念しましたが…。そのほかGoodnotesは、PDFの取り込みができて、「投げ縄ツール」という機能を使えば、PDF書類の一部を切り取ってコピーすることができます。私はドイツにいく際に、所持していた教科書をすべてPDFファイルにしてありましたので、教科書の挿絵をバンバン切り取って貼り付けて、さらにそこへ書き込みをすることだってできてしまいます。普段の診療で使用しているメモの代用に、Goodnotesの使用を検討してみてはいかがでしょうか。

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第171回 新たな医療崩壊の兆しか?新潟・糸魚川総合病院の産科休止問題で浮かび上がる“医師の働き方改革”の暗黒面

産科医不足で糸魚川総合病院が出産取り扱いを休止こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。MLBのトレード期限である8月1日(現地時間)を前に、大谷 翔平選手のトレードに関する報道が過熱しています。そんな中、7月19日、MLBの藤浪 晋太郎投手の電撃トレードが発表されました。オークランド・アスレチックスからボルチモア・オリオールズへ、アメリカンリーグ西地区最下位から同リーグ東地区首位のチームへ……。藤浪投手は開幕当初、暴投と四球続きで、早々のマイナー降格なども噂されていただけに、日本の多くの野球ファンも驚いたことでしょう。先発から中継ぎに転向してからは制球力も付いて、四球の数も格段に減っていました。大谷選手もまだ実現していないポストシーズン出場、そしてワールドシリーズの可能性も出てきました。日本でもNHK BSが生で放送した4月のデビュー戦では、祈るように観戦していたお母様の姿が印象的でしたが、ワールドシリーズでもその姿を見ることになるかもしれません。悪球に懲りずに使い続けてきたアスレチックスの投手コーチのお陰ですね。いやあ、世の中何があるかわからない、と感じた藤浪のトレードでした。さて今回は、7月16日付の朝日新聞が報じた、新潟県糸魚川市にあるJA新潟厚生連・糸魚川総合病院の出産取り扱い休止について書いてみたいと思います。同病院には市内で唯一の産婦人科がありますが、常勤の産婦人科医が1人になってしまったため休止を余儀なくされています。市内の妊婦は、健診や出産のために約50キロ離れた富山県黒部市か、新潟県上越市の病院まで行かなければならなくなりました。「産婦人科の態勢確保に苦労している」富山大病院が医師派遣を取りやめいったい、なぜそのような事態となってしまったのか。朝日新聞は、「大学病院『働き方改革』余波」と書いています。糸魚川総合病院は富山大病院の関連病院で、約30人の医師のうち約20人が同大病院からの派遣だそうです。同紙によれば、「3月末、産婦人科にいた常勤医2人のうち1人が定年退職し、もう1人が富山大病院に戻り、派遣は中止された。糸魚川総合病院と市が再考を求めても、富山大の方針は変わらなかった。独自に手を尽くしたが、産婦人科の常勤医は1人しか確保できなかった」とのことです。同紙は引き上げた当の富山大病院も、産婦人科の態勢確保に苦労していると書いています。富山大は朝日新聞の取材に対し、「地域医療の安全性、働き方改革など、多方面から検討した苦渋の決断です」と文書で回答したとのことです。臨床研修制度スタート時と同じように医師引き上げが加速の予感本連載でも、「第159回 働き方改革まであと1年、大学病院の医師約3割が年960時間超の残業見込み。危惧される派遣先からの医師引き揚げ」で、全国医学部長病院長会議が全国の81大学病院の医師の勤務実態を調査した結果を紹介、医師の労働時間の短縮が教育・研究に与える影響の大きさについて書きました。さらに、「宿日直許可」の取得が3割で得られず、今後、大学病院は自院のみならず、医師をアルバイトなどで派遣している病院についても、しっかりと労働時間のマネジメントを行わないとそれこそ大学病院自体の診療や研究に大きな影響が出る、と指摘しました。そして、「臨床研修制度が始まったとき大学の医師引き揚げが問題となったが、同じようなことが全国で起きる可能性はある」というある民間病院院長の言葉を紹介しました。糸魚川総合病院のケースは、大学病院の態勢維持のため、医師引き上げが現実のものとなり始め、地域の病院において医療崩壊が既に始まっていることの表れと言えます。マイナ保険証と同様、国民に周知されず進められる医師の働き方改革来年2024年4月から始まる医師の働き方改革では、医師の休日・時間外労働が原則年960時間までとなります。地域医療に貢献する病院などは年1,860時間までとする特例が設けられます(2035年度末まで)。こうした激変緩和措置に加え、労働基準監督署による宿日直許可の緩和要請など、表向きはさまざまな対策が取られていることになっています。しかし、制度実施まで8カ月あまりとなってのこのドタバタ振りは、なにやら現在の“マイナ保険証騒動”と同じような、大混乱を予感させます。長年に渡って準備をしてきたはずの大学病院ですら切羽詰まった状況にあり、さらに「医師の働き方改革」の存在など何も知らない(知らされてこなかった)地域住民の医療アクセスが突然悪くなって不便になるという事態は、一度国民が騒ぎだしたら、大きな政治問題となりそうです。「コロナでも大変だったのに、なんでコロナが収まったのに医療が受けづらくなっているんだ」というわけです。三位一体どころか三すくみの改革に厚生労働省は現在、2040年の医療提供体制の構築に向けて、地域医療構想、医師・医療従事者の働き方改革、医師偏在対策を「三位一体」で推進していこうと、さまざまな改革を進めています。この三位一体改革は、2019年4月の社会保障審議会医療部会で厚労省が示したもので、その後、厚労省の官僚はことあるごとに講演等で、三位一体改革の重要性を説いてきました。ちなみに2040年は高齢化人口がピークを迎えるとともに、生産年齢人口(働き手)が急減していく年です。この三位一体改革をぶち上げてから4年が経ちました。コロナ禍があったとはいえ、働き方改革の準備を進めることで逆に医師偏在が進み、地域医療構想どころではなくなってきている現状は、三位一体どころか、三すくみの状態と言えそうです。混乱、混迷はこれからもっと深まっていくことでしょう。

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アルコール摂取、大腸がんリスクが上がる量・頻度は?

 過度なアルコール摂取は大腸がん発症のリスクを増加させる可能性があることが示唆されているが、摂取量や腫瘍部位による差を検討した韓国の試験結果がJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年6月14日号に掲載された。 この研究では、若年で発症する大腸がん(50歳未満で診断)のリスク要因を特定するため、1日のアルコール摂取量と早期発症大腸がんの関連性を調査した。2009年1月1日~2019年12月31日の韓国の国民健康保険サービスのデータを使用し、20~49歳の566万6,576例を対象に分析を行った。 1日の飲酒量を下記のように定義し、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて調整ハザード比(aHR)と95%信頼区間(CI)を推定した。・非飲酒者:男性0g、女性0g・軽度飲酒者(基準):男性10g未満、女性10g未満・中程度飲酒者:男性10~30g未満、女性10~20g未満・多量飲酒者:男性30g以上、女性20g以上 主な結果は以下のとおり。・566万6,576例中、非飲酒者が41.6%、軽度飲酒者が28.0%、中程度飲酒者が20.4%、多量飲酒者が9.9%だった。・追跡期間中に8,314例の早期大腸がんの発症があった。中程度飲酒者および多量飲酒者は、軽度飲酒者と比較して早期大腸がんのリスクが高いことが示された(中程度のaHR:1.09、95%CI:1.02~1.16、多量のaHR:1.20、95%CI:1.11~1.29)。・腫瘍部位別のサブグループ解析では、遠位大腸がんではアルコール用量と正の相関関係が認められたが、近位結腸がんでは認められなかった。・飲酒頻度と早期大腸がんリスクにも有意な関連があり、非飲酒者と比較して1~2日/週で7%、3~4日/週で14%、5日/週以上で27%リスクが増加した。・ 研究者らは「過度のアルコール摂取が50歳未満での大腸がん発症のリスク増加に関連していることが示された。このことは効果的な介入を通じて若年者の過度の飲酒に対処することの重要性と、高リスク者に合わせたがん検診の必要性を強調している。アルコール摂取量など修正可能な危険因子を特定することで、若年層における大腸がん発症の予防戦略を開発できるだろう」としている。

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ポジティブ思考トレーニングでうつ病リスクは軽減するか

 過去の記憶、未来の想像、今の状態と違う状態を考えるマインドワンダリング。とくにその頻度は、心理的ウェルビーイングに重要な役割を果たすといわれている。また、反復的なネガティブ思考は、うつ病の発症や持続のリスクと関連している。オランダ・フローニンゲン大学のMarlijn E. Besten氏らは、認知科学および実験臨床心理学の手法を組み合わせたマインドワンダリングによる反復的なネガティブ思考に対する影響を調査した。その結果、うつ病に対する脆弱性の根底にあるストレス誘発性のネガティブ思考は、ポジティブ空想により部分的に改善できる可能性があり、うつ病だけでなく不適応思考の特徴を有する疾患の治療に役立つ可能性があることを報告した。Journal of Behavior Therapy and Experimental Psychiatry誌オンライン版2023年6月16日号の報告。 対象は、ネガティブ思考およびうつ病に対する脆弱性が高い群42例、低い群40例。クロスオーバーデザインにて、ポジティブ空想1セッション、ストレス誘発1セッションの後、持続的注意課題(SART)を行った。介入前後の感情状態を測定した。 主な結果は以下のとおり。・ストレス誘発セッション後は、ネガティブ思考が増加したが、ポジティブ空想セッション後は、ポジティブ思考が増加し、ネガティブ思考が減少した。・ポジティブ空想セッション後は、ストレス誘発セッション後と比較し、仕事以外の思考、過去に関連した思考、ネガティブ思考が減少した。・ネガティブ思考を受け入れやすい人は、ストレスが少ない人と比較し、ポジティブ空想セッション後よりもストレス誘発セッション後に、タスク外の思考をより多く示した。・本研究の限界として、ベースライン測定が含まれていない点、SARTに自身の懸念事項を含めるとネガティブ要素につながる可能性がある点が挙げられる。

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XBB/XBB.1.5、ほかの変異株より再感染リスク高い

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の多様な変異の出現は、ワクチンと感染の両方による集団免疫を回避する能力の向上と関連している。米国・カリフォルニア大学バークレー校のJoseph A. Lewnard氏らの研究によると、現在主流となっているオミクロン株XBB/XBB.1.5系統は、ワクチン由来の免疫と感染由来の免疫とで回避傾向が異なり、同時期に流行しているほかの変異体と比較して、ワクチン接種回数が多い人ほど感染リスクや感染時の入院リスクが低減する一方で、過去に感染既往がある人はXBB/XBB.1.5への感染リスクが高いことが示された。Nature Communications誌2023年6月29日号に掲載の報告。 XBB/XBB.1.5系統は2023年1月下旬までに、ほかの変異体を追い抜き米国内で主流となった。本研究では、南カリフォルニアにおいて2022年12月1日~2023年2月23日の期間に、外来でSARS-CoV-2陽性と判定された3万1,739例のデータを解析した。これらの被験者において、XBB/XBB.1.5に感染した人と、ほかのBA.4/BA.5などに感染した人について、ワクチン接種歴と過去のSARS-CoV-2感染既往、および臨床転帰を比較した。 主な結果は以下のとおり。・XBB/XBB.1.5系統に感染していると推定された外来患者の割合は、2022年12月1日の時点で21.1%(45/213例)であったのが、2023年2月23日の時点で77.8%(49/63例)に増加した。全被験者3万1,739例のうち、XBB/XBB.1.5症例は9,869例、それ以外のBA.4/BA.5などの非XBB/XBB.1.5症例は2万1,870例だった。・COVID-19ワクチン接種回数と感染リスクの関連は、XBB/XBB.1.5症例は、非XBB/XBB.1.5症例と比較した調整オッズ比(OR)が、接種2回で10%(95%信頼区間[CI]:1~18)、3回で11%(3~19)、4回で13%(3~21)、5回以上で25%(15~34)低かった。・過去のSARS-CoV-2感染既往と感染リスクの関連は、XBB/XBB.1.5症例は、非XBB/XBB.1.5症例と比較した調整ORが、過去1回の感染既往で17%(95%CI:11~24)、過去2回以上の感染既往で40%(19~65)高かった。・COVID-19ワクチン接種回数と感染時の入院リスクとの関連は、XBB/XBB.1.5症例における検査陽性後30日間の入院予防効果の推定値が、接種2回で41%(95%CI:-44~76)、3回で54%(0~79)、4回で70%(30~87)であった。一方、非XBB/XBB.1.5症例では、接種2回で6%(-65~46)、3回で46%(7~69)、4回で48%(7~71)であり、XBB/XBB.1.5症例のほうが有意に予防効果が高かった。・過去のSARS-CoV-2感染既往と入院リスクの関連は、XBB/XBB.1.5症例および非XBB/XBB.1.5症例において同等であった。2回以上の感染既往の入院の調整ハザード比は、XBB/XBB.1.5症例で0.73(95%CI:0.17~3.15)、非XBB/XBB.1.5症例で0.72(0.26~2.01)。 著者らは本結果について、XBB/XBB.1.5系統は、オミクロン株以前の変異株を含む過去の感染によって引き起こされた免疫応答に対する回避能が、同時期に流行しているBA.5系統より優れているものの、ワクチン接種によって引き起こされる免疫応答に対してはより感受性が高く、過去の変異株とは異なる特徴を持っていると述べている。

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