サイト内検索|page:405

検索結果 合計:35667件 表示位置:8081 - 8100

8081.

子宮頸管20mm以下の妊婦、ペッサリーで胎児死亡増/JAMA

 単胎妊娠で子宮頸管長が20mm以下の妊婦に対する子宮頸管ペッサリーは、早産リスクを低下せず、胎児または新生児/乳児の死亡率が増加したことが、米国・コロンビア大学のMatthew K. Hoffman氏らによる多施設共同無作為化非盲検試験「The randomized Trial of Pessary in Singleton Pregnancies With a Short Cervix:TOPS試験」で示された。経腟超音波検査で評価した子宮頸管短縮は早産のリスク因子として確立されているが、その単胎妊娠における早産予防のための子宮頸管ペッサリーに関する研究では、これまで相反する結果が示されていた。JAMA誌2023年7月25日号掲載報告。子宮頸管ペッサリー群vs.通常ケア群に無作為化 研究グループは、2017年2月~2021年11月5日に米国の12施設において、単胎妊娠で妊娠週数16週0日~23週6日の経腟超音波検査で子宮頸管長が20mm以下であった陣痛のない妊婦を登録し、訓練を受けた医師による子宮頸管ペッサリー留置群、または通常ケア群のいずれかに1対1の割合で無作為に割り付けた。自然早産歴のある妊婦は除外した。 プロゲステロン膣剤の使用、子宮頸管縫縮術を含むその後の産科ケアは、担当医の裁量に任された。 主要アウトカムは、妊娠37週0日より前の早産または胎児死亡とした。子宮頸管ペッサリー群で、胎児または新生児/乳児の死亡率が上昇 2,105例がスクリーニングを受け、適格であった1,019例のうち544例(予定症例数の64%)が、ペッサリー群(280例)または通常ケア群(264例)に無作為化された。平均年齢(±SD)は29.5±6歳、98.9%の症例がプロゲステロン膣剤の投与を受けており、ベースラインの患者背景はペッサリー群と通常ケア群で類似していた。 3回目の中間解析において、胎児または新生児/乳児死亡が高頻度にみられ、安全性の懸念と無益性のため試験は中止された。 解析対象集団(各群追跡不能の1例を除く無作為化されたすべての参加者)において、主要アウトカムのイベントは、ペッサリー群で127例(45.5%)、通常ケア群で127例(45.6%)発生した(相対リスク:1.00、95%信頼区間[CI]:0.83~1.20)。 胎児または新生児/乳児の死亡は、ペッサリー群37例(13.3%)、通常ケア群18例(6.8%)であった(相対リスク:1.94、95%CI:1.13~3.32)。

8082.

HIV感染者の心血管イベント、ピタバスタチンで35%減/NEJM

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者において、ピタバスタチンはプラセボと比較し、追跡期間中央値5.1年で主要有害心血管イベントのリスクを低下することが示された。米国・マサチューセッツ総合病院のSteven K. Grinspoon氏らが12ヵ国145施設で実施した無作為化二重盲検第III相試験「Randomized Trial to Prevent Vascular Events in HIV:REPRIEVE試験」の結果を報告した。HIV感染者は、一般集団と比較して心血管疾患のリスクが最大2倍高いことが知られており、HIV感染者における1次予防戦略に関するデータが求められていた。NEJM誌オンライン版2023年7月23日号掲載の報告。HIV感染者約7,800例において、主要有害心血管イベントの発生を評価 研究グループは2015年3月26日~2019年7月31日に、抗レトロウイルス療法を受けている心血管疾患リスクが低~中等度の40~75歳のHIV感染者7,769例を登録し、ピタバスタチン群(ピタバスタチンカルシウム1日4mgを1日1回経口投与)またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。過去90日以内のスタチン使用歴があり、アテローム性動脈硬化症が認められた患者は除外した。 主要アウトカムは、主要有害心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、不安定狭心症による入院、脳卒中、一過性脳虚血発作、末梢動脈虚血、冠動脈・頸動脈・末梢動脈の血行再建術、原因不明の死亡の複合と定義)とし、出生時の性別およびスクリーニング時のCD4数で層別化したCox比例ハザードモデルを用いたtime-to-event解析を行った。ピタバスタチンで心血管イベントが35%低下 7,769例(ピタバスタチン群3,888例、プラセボ群3,881例)の年齢中央値は50歳(四分位範囲[IQR]:45~55)、CD4数の中央値は621個/mm3(IQR:448~827)であった。また、HIV RNA量は、利用可能なデータを有する5,997例中5,250例(87.5%)で定量未満であった。 本試験は、追跡期間中央値5.1年(IQR:4.3~5.9)時点の2回目の中間解析の結果、有効性が認められ安全性の懸念はなかったことから早期に打ち切りとなった。 主要有害心血管イベントの発生頻度は、ピタバスタチン群が1,000人年当たり4.81、プラセボ群は1,000人年当たり7.32で、ハザード比(HR)は0.65(95%信頼区間[CI]:0.48~0.90、p=0.002)であった。 有害事象については、Grade3以上または治療変更を要した筋肉痛またはミオパチーがピタバスタチン群で91例(2.3%)、プラセボ群で53例(1.4%)、糖尿病がそれぞれ206例(5.3%)、155例(4.0%)に認められ、いずれもピタバスタチン群では発現率が高かった。 なお、著者は、「今回はピタバスタチンを用いた結果ではあるが、LDLコレステロールを低下させる他の戦略も同様に有用である可能性があり、さらなる大規模臨床試験においてスタチン療法単独で得られた結果と比較検証する必要がある」とまとめている。

8083.

近畿直撃! 台風7号【Dr. 中島の 新・徒然草】(490)

四百九十の段 近畿直撃! 台風7号私が子供の頃の台風というのは、9月にまとめてやって来るものでした。でも、最近は8月とか、場合によっては7月に来たりしています。で、今回の台風7号(ラン)は2023年のお盆の近畿地方を直撃!前日の8月14日の天気図を見ていると、巨大な円が紀伊半島の南に迫っていました。この後、台風がどういう進路をとっても大阪は円の中に入ってしまいます。飛行機は当然のこと、電車も早々に運休を宣言しました。また、多くの医療機関も翌日の外来診療中止を告知しています。が、大阪医療センターはとくに外来診療中止ということはしていません。8月14日はなるべく早く帰るように、と全職員にお達しがあった程度です。そこで、私も早めに帰ったのですが……耳に入って来るニュースでは「8月15日に予想される風速は○○メートルで、これはトラックが横転する強さです」などと言っています。これでは出勤できないんじゃないか、と心配になってきました。女房も同じことを考えていたのか「あんた、晩御飯を食べたら病院に行ったら?」と言います。確かに、そのほうが無難かもしれません。出勤の時に暴風雨だったら大変だし。ということで、夕食の後に風呂に入ってから家を出ました。2日分の下着と非常食を持っての再出勤です。病院に着いたのは午後9時頃でしょうか?翌日に備えて、作業服姿の職員たちがバタバタしていました。幸いロッカーには自分用のスクラブがあったので、それを着て寝ました。8月14日の夜は、時おり雨や風が強くなる程度で何ともありませんでした。そして翌朝午前5時前に、台風7号が潮岬に上陸。この時点では、病院の窓から見える範囲では雨は降っておらず。その代わり、ものすごい勢いで雲が東から西に流されていました。いよいよ雨風が強くなってきたのは、外来が始まる午前9時頃。こりゃあ、外来患者さんはゼロか、それに近いな、と思っていました。そんな天候の中でも、外来にやって来る人は来ます。「無茶苦茶雨が降っていました」とか「傘をさす必要もなかった」とか、患者さんの言うことはさまざまでした。時間帯でも大きな違いがあったようです。でも、公共交通機関が止まっていたせいか、病院の駐車場が満車だったのだとか。台風は13時頃に明石市に再上陸して、20時頃に日本海に抜けました。所によっては大変な豪雨だったみたいです。私自身は午後から休みだったので、雨の降り具合を見ながら車で病院を出ました。道路はどこもガラガラ。ニュースで見るような倒木とか落ちた看板とかも見当たりません。すでに片付けられていたのでしょうか。で、自宅に戻ってから女房から聞いた話。8月14日から15日にかけては、目の前の木が倒れそうな風が一晩中吹いていたとか。15日になっても暴風雨がやまず、出勤なんかできたものじゃなかったそうです。でも、外来診察のある先生方は、暴風雨の中を車で出勤してきたとのこと。偉いとも言えますが、無謀でもあります。そうやって無理に出勤しても、外来患者さんは1人いるかどうか。同じ大阪府でも、大阪市内中心部と北摂ではずいぶん様子が違っていたようです。私自身は前夜から出勤していて良かったと思います。15日朝だったら、出勤できなかったかもしれません。むしろ前夜から病院にいたせいか、いろいろな書類仕事が一気に片付きました。ということで、2023年のお盆に近畿地方を襲った台風7号。大型過ぎるせいか、翌8月16日になっても台風一過の青空とはならず、相変わらず曇り空です。昭和時代は台風に備えて、前日から大勢で会社に泊まり込むのがニュースになっていました。でも令和の現在、仕事のために無理しなくなったのも、一種の働き方改革かもしれません。それだけ時代が進んだのでしょうね。最後に1句台風に 対抗するな 無理するな

8084.

患者へのわかりやすい説明のためにChatGPTを使う【医療者のためのAI活用術】第3回

(1)ChatGPTはわかりやすい説明に向いている患者さんに病気について十分説明したにもかかわらず、理解してもらえなかったという経験をしたことはないでしょうか。私自身、とくに研修医の頃は、病状説明の際につい専門用語を多用してしまい、患者さんが混乱してしまうという苦い経験を何度もしました。ChatGPTの強みは、目的にあった文章を効率的に生成することです。そのため、病気について専門用語を避けてわかりやすく説明することにも向いており、とくに研修医の先生や若手の医療者が重宝する活用法です。実際に、「ChatGPTを患者へのわかりやすい説明のために利用している医師は多い」と、ChatGPTに出資しているマイクロソフト社の担当者が語っています1)。注意点としては、ChatGPTは正確な情報を得るのには不向きなツールであり、説明する内容は自身の医学知識や教科書の内容と照らし合わせて調整する必要があります。また、当然ですがプロンプトを入力する際に、患者の個人情報を含まないように注意しましょう。ここでは、前回説明した「深津式プロンプト」を使用して具体例を紹介していきます。(2)箇条書きで説明するたとえば、検査の結果、甲状腺機能亢進症の診断をした患者さんに病状説明をしたいという場合、以下のようなプロンプトを使用できます。#役割あなたは、優秀な内分泌内科の医師です#命令書甲状腺機能亢進症について、患者さん向けにわかりやすく説明してください#制約条件疾患の概要、症状、検査、治療に分けて箇条書きで説明してください専門の医学用語をなるべく避け、簡単な言葉を使ってくださいすると、以下のような回答が返ってきます。ChatGPTの回答(GPT-4を使用)疾患の概要甲状腺機能亢進症は、甲状腺という首の前部にある小さな器官が、普通よりも多くの甲状腺ホルモンを作り出す状態を指します。甲状腺ホルモンは、体のエネルギーの使い方や心の働きをコントロールします。症状心臓がドキドキと早く打つ、体重が減る、神経が高ぶりやすい、イライラする、夜なかなか眠れない、手が震える、汗をよくかく、筋肉が弱くなる、便が通常より多くなる、体が常に暑く感じる検査血液検査甲状腺ホルモンの量をチェックします。甲状腺機能亢進症の場合、一般的には甲状腺ホルモンが多い状態となります。甲状腺スキャン放射性物質を使って甲状腺の大きさや形、そしてどの程度活発に働いているかをチェックします。治療薬甲状腺ホルモンの生成を抑える薬を使用します。放射線ヨード治療放射性ヨウ素を用いて甲状腺組織を破壊し、甲状腺ホルモンの生成を抑えます。手術一部または全ての甲状腺を取り除く手術を行うこともあります。手術後は、生涯にわたって甲状腺ホルモンの補充治療が必要となります。いかがでしょうか。不正確・不十分な点はありますが、的外れな回答ではないと思います。「この説明の仕方はわかりやすい」と感じた部分を実際に患者さんに説明する際に採用すると良いでしょう。(3)医師と患者の対話形式で説明するほかにも、医師と患者の対話形式で示してもらうことで、実際の場面に近い形式で参考にすることができます。以下、心房細動について説明する状況を想定して、プロンプトを作成しています。#役割あなたは、循環器内科の医師です#命令書心房細動についてわかりやすく説明してください#制約条件医師と患者の会話形式で説明してください医学用語をなるべく避け、簡単な言葉を使ってくださいすると、以下のような回答がChatGPTから得られます。ChatGPTの回答(GPT-4を使用)患者先生、心房細動って何ですか?医師心房細動は、心臓が正常に働かない状態の1つで、とくに心房と呼ばれる心臓の部分が、通常より速く、または不規則に拍動する状況を指します。心房は心臓の4つの部屋のうちの2つで、心臓の血液を送り出すためのポンプのような役割を果たしています。心房細動が起こると、このポンプがうまく機能しなくなり、心臓全体の働きが乱れます。患者それはどういう影響があるのですか?医師うまく機能しない心房は、血液が心臓内で滞りやすくなります。その結果、血液が固まり、血栓と呼ばれる塊を作る可能性があります。この血栓が血管を通って体の他の部分、とくに脳に到達すると、脳卒中のリスクが高まります。また、心房細動は体全体への血液の供給が不足することで、息切れや疲れやすさなどの症状を引き起こすことがあります。患者どうやって治療するのですか?医師心房細動の治療は主に3つの目的があります。まず、症状を改善し、生活の質を向上させること。次に、心房細動が引き起こす可能性のある合併症を防ぐこと。そして最後に、心臓のリズムを正常に戻すことです。治療法は個々の患者の状態やリスクによりますが、薬物療法、カテーテルアブレーションという手術、あるいは生活習慣の変更などが含まれます。こちらも、完璧な回答とはいえませんが、説明する際のヒントになるかもしれません。また、さらに回答を求めたい場合は、「発作性心房細動についても説明して」「続けて」などと追加で入力することが可能です。1)The New York Times. 「When Doctors Use a Chatbot to Improve Their Bedside Manner」. (2023年7月6日参照)

8085.

第58回 「主治医が逮捕されたんです」

すすきの首切断事件Unsplashより使用札幌すすきののホテルで、首が切断された男性の遺体が見つかった事件について、逮捕されたのが現役の勤務医であったことは、結構衝撃的でした。病院のホームぺージにはアクセスが集中し、野次馬ページビューが増えてしまうことを懸念し、特設サイトが作られるなどの対応に追われました。初回、死体損壊などの容疑で逮捕の後、拘留に至っています。殺人容疑をかけていなかった理由は、もし黙秘を続けて処分保留となった場合、殺人容疑による再逮捕で拘留期間を延長することが可能だからです。刑事事件の被疑者として逮捕された場合、逮捕期間といわれる警察での48時間、検察での24時間の合計3日間に加えて、勾留の場合10日間、勾留延長の申請でさらに10日間、全部合算して最長23日間が身柄拘束となります。しかしながら、この期間で十分な証拠を集められなかった場合や、被疑者の供述・自白が得られなかった場合、再逮捕を申請してさらに身柄を拘束するという手法があります。主治医が逮捕すすきののこの事件の話を耳にしたとき、「主治医が逮捕されちゃって――」と言っていた患者さんのことを思い出しました。逮捕されたのは別の病院の医師で、もちろん当院ではありません。患者さんがその病院に不信感を持ってしまい、当院に流れてきたのです。どうやら病院内の盗撮の容疑だったようですが、逮捕された医師は、その後しばらくして病院に戻ってきたそうです。「逮捕されたが前科が付かなかったため、規定上は働ける」というものでした。はて、これはどういうことでしょう。前科というのは、起訴され刑事裁判で有罪が確定することを指します。起訴された場合の有罪率はほぼ100%なので、前科を回避するためには刑事裁判が開かれないよう、不起訴処分を狙う必要があります。検察官が起訴の適否を判断するまでの間に、示談を締結することができれば、たとえ逮捕されても前科が付くことはないのです。この主治医は、何らかの理由で起訴されなかったため、前科が付かなかったというワケです。――ただ、人の噂というのはあっという間に広まるもので、その医師は不起訴処分になったものの、盗撮の容疑で逮捕されたということが知れ渡ってしまい、退職せざるを得なかったそうです。皆さんも、くれぐれも逮捕されるようなことはないように!

8086.

NSCLCに対するICI+化学療法、日本人の血栓リスクは?

 がん患者は血栓塞栓症のリスクが高く、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)やプラチナ製剤などの抗がん剤が、血栓塞栓症のリスクを高めるとされている。そこで、祝 千佳子氏(東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻)らの研究グループは、日本の非小細胞肺がん(NSCLC)患者におけるプラチナ製剤を含む化学療法とICIの併用療法の血栓塞栓症リスクについて、プラチナ製剤を含む化学療法と比較した。その結果、プラチナ製剤を含む化学療法とICIの併用療法は、静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクを上昇させたが、動脈血栓塞栓症(ATE)のリスクは上昇させなかった。本研究結果は、Cancer Immunology, Immunotherapy誌オンライン版2023年8月4日号で報告された。 DPCデータを用いて、2010年7月~2021年3月にプラチナ製剤を含む化学療法を開始した進行NSCLC患者7万5,807例を抽出した。対象患者をICI使用の有無で2群に分類し(ICI併用群7,177例、単独療法群6万8,630例)、プラチナ製剤を含む化学療法開始後6ヵ月以内のVTE、ATE、院内死亡の発生率を検討した。背景因子を調整するため、生存時間分析には傾向スコアオーバーラップ重み付け法を用いた。 主な結果は以下のとおり。・VTEの発生率はICI併用群1.3%(96例)、単独療法群0.97%(665例)であった。ATEの発生率はそれぞれ0.52%(38例)、0.51%(351例)であった。院内死亡率はそれぞれ8.7%(626例)、12%(8,211例)であった。・傾向スコアオーバーラップ重み付け法による解析の結果、ICI併用群は単独療法群と比較してVTEリスクが有意に高かったが(部分分布ハザード比[SHR]:1.27、95%信頼区間[CI]:1.01~1.60)、ATEリスクに有意差はみられなかった(同:0.96、0.67~1.36)。・使用したICI別に同様の解析を行った結果、ペムブロリズマブを使用した場合にVTEリスクが有意に高かったが(SHR:1.29、95%CI:1.01~1.64)、アテゾリズマブを使用した場合にはVTEリスクに有意差はみられなかった(同:0.91、0.49~1.66)。・院内死亡リスクはICI併用群が有意に低かった(ハザード比:0.67、95%CI:0.62~0.74)。

8087.

2型DM患者は超加工食品摂取で食事の質と無関係に死亡リスク増

 2型糖尿病患者では、食事の質とは無関係に、カップ麺やスナック菓子、加工肉などの超加工食品の摂取量の増加は全死因死亡率と心血管疾患(CVD)死亡率の上昇と関連していることが、イタリア・IRCCS NEUROMEDのMarialaura Bonaccio氏らの前向き観察コホート研究の結果、明らかになった。The American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2023年7月26日号掲載の報告。 研究グループは、ベースライン時に2型糖尿病を発症している1,065例を対象として、11.6年間(中央値)を前向きに追跡した。食物摂取量は、188項目の食事アンケートによって評価された。超加工食品はNova分類に従って定義され、超加工食品と総摂取食物の重量比として計算された。食事の質は、地中海食スコアによって評価された。Cox比例ハザードモデルを用いて、死亡率の多変量調整ハザード比(aHR)と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・超加工食品の摂取量は平均7.4%(±5.0%)であった。・超加工食品摂取量が最も多かった群(女性10.5%以上、男性9%以上)では、摂取量が最も少なかった群(女性4.7%未満、男性3.7%未満)よりも、全死因死亡(aHR:1.70、95%CI:1.25)およびCVD死亡(aHR:2.64、95%CI:1.59)のリスクが高かった。・地中海食スコアによる食事の質を加味しても、これらの関連性は変化しなかった。・超加工食品摂取量と全死因死亡およびCVD死亡リスクの間には線形の用量反応関係が観察された。 これらの結果より、研究グループは「ベースライン時に2型糖尿病を発症していた参加者では、食事の質とは無関係に、超加工食品摂取量の増加は生存率の低下とCVD死亡率の上昇と関連していた。2型糖尿病管理の食事ガイドラインでは、必要栄養量に基づいた食事の導入に加えて、超加工食品を制限することも推奨する必要がある」とまとめた。

8088.

鼻をほじる医療者は、コロナ感染リスク増

 医療従事者はCOVID-19の感染リスクが高く、マスク、ガウン、ゴーグル/フェイスシールド、手袋などの個人防護具(PPE)装着をはじめとした感染対策を取るケースが多い。にもかかわらず医療従事者の感染者が多い理由を探るため、PPE装着や飛沫を受けることに関連する可能性のある、鼻をほじるなどの特定の行動・身体的特徴を調査する研究が行われた。オランダ・アムステルダム大学のA H Ayesha Lavell氏らによる本研究の結果は、PLOS ONE誌オンライン版2023年8月2日号に掲載された。鼻をほじることが病院内のコロナ感染拡大につながる可能性 研究者らは、オランダの2つの大学医療センターに勤務する医療従事者404例を対象としたコホート研究において、特定の行動・身体的特徴が感染リスクと関連しているかどうかを調査した。感染との関連を調査した具体的な行動は以下のものだった。・鼻をほじる・爪をかむ・眼鏡を掛ける・ひげを生やす 医療従事者のコロナ感染者が多い理由を探るため、鼻をほじるなどの特定の行動・身体的特徴を調査する研究の主な結果は以下のとおり。・404例にコロナ感染率に影響を及ぼす可能性のある習慣に関するオンライン調査を行い、計219例(回答率52%)が回答した。・以前の研究から「COVID-19患者のケアに従事している」「COVID-19に感染した同僚または地域住民と接触した」ことが感染リスク増と関連があると示されていたため、これらの因子で分類し、結果を調整した。期間中2つの病院は院内のPPE着用ルールをはじめ、同一の感染制御対策を実施した。・参加者の大多数(185例、85%)が偶発的に鼻をほじると回答し、その頻度は月1回、週1回、毎日とさまざまであった。鼻をほじる群はほじらない群よりも若く(年齢中央値44歳vs.53歳)、男性のほうがより頻繁に鼻をほじる(90% vs.83%)と報告した。鼻をほじる頻度が最も高かったのは医師(研修医:100%、専門家:91%)、次いでサポートスタッフ(86%)、看護師(80%)であった。 ・2020年3~10月の追跡期間中に34例(15.5%)がCOVID-19の陽性判定を受けた。COVID-19発症率は、鼻をほじる群がほじらない群と比較して高かった(32/185例:17.3% vs.2/34例:5.9%、オッズ比:3.80、95%信頼区間:1.05~24.52)。・爪をかむ、眼鏡を掛ける、ひげを生やすこととCOVID-19感染率との有意な関連は認められなかった。 研究者らは「鼻をほじることが病院内の感染拡大につながる可能性があり、そのリスクは過小評価されている。今後の研究結果次第では、教育セッションや感染予防ガイドラインの推奨に加えるなど、より意識を高める必要があるだろう」としている。

8089.

加糖飲料を毎日摂取、肝がんリスク・肝疾患による死亡を増大/JAMA

 閉経後女性において、砂糖入り飲料の1日1杯以上摂取者は1ヵ月3杯以下の摂取者と比べ、肝がん罹患率および慢性肝疾患死亡率が高率であることが示された。一方で人工甘味料入り飲料の摂取量については、両リスク共に増大はみられなかったという。米国・サウスカロライナ大学のLonggang Zhao氏らが、約10万人規模の50~79歳の閉経後女性からなる前向きコホートを追跡し明らかにした。米国では成人の約65%が砂糖入り飲料を毎日摂取しているという。今回の結果を踏まえて著者は、「さらなる研究で今回示された所見を確認し、その関連性について生物学的経路を明らかにする必要がある」と述べている。JAMA誌2023年8月8日号掲載の報告。肝がんと慢性肝疾患死亡の発生率を比較 研究グループは米国40ヵ所の臨床施設で、1993~98年にWomen's Health Initiativeに登録された50~79歳の閉経後女性9万8,786例からなる前向きコホートを、2020年3月1日まで追跡した。砂糖入り飲料、人工甘味料入り飲料の摂取と、肝がん罹患率および慢性肝疾患死亡率との関連を調べた。 砂糖入り飲料摂取は、ベースラインで行った食品摂取頻度質問票で評価し、通常のソフトドリンクとフルーツドリンク(フルーツジュースは含まない)の合計で定義した。人工甘味料入り飲料摂取は、3年フォローアップ時に測定が行われた。 主要アウトカムは、(1)肝がん罹患率、(2)慢性肝疾(非アルコール性脂肪性肝疾患[NAFLD]、肝線維症、肝硬変、アルコール性肝疾患、慢性肝炎で定義)による死亡だった。多変量Cox比例ハザードモデルを用いて、肝がん罹患率と慢性肝疾患死亡率に関するハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出。人口統計学的因子およびライフスタイル因子などの潜在的な交絡因子は補正した。追跡期間中央値20.9年、6.8%が1日1杯以上の砂糖入り飲料を摂取 追跡期間中央値20.9年間において、207例が肝がんを呈し、148例が慢性肝疾患で死亡した。ベースラインでは被験者の6.8%が1日に1杯以上の砂糖入り飲料を摂取しており、3年フォローアップ時では13.1%が1日1杯以上の人工甘味料入り飲料を摂取していた。 砂糖入り飲料摂取量が1日1杯以上の人は同摂取量が1ヵ月3杯以下の人と比べて、肝がんリスク(18.0 vs.10.3/10万人年[傾向のp=0.02]、補正後HR:1.85[95%CI:1.16~2.96]、p=0.01)、慢性肝疾患死リスク(17.7 vs7.1/10万人年[p<0.001]、1.68[1.03~2.75]、p=0.04)がいずれも有意に高かった。 一方で人工甘味料入り飲料摂取については、1日1杯以上の人は1ヵ月3杯以下の人と比べて、肝がんリスク(11.8 vs.10.2/10万人年[p=0.70]、補正後HR:1.17[95%CI:0.70~1.94]、p=0.55)、慢性肝疾患死亡リスク(7.1 vs.5.3/10万人年[p=0.32]、0.95[0.49~1.84]、p=0.88)のいずれも有意な増加がみられなかった。

8090.

コロナ2価ワクチンのブースター接種、安全性が示される/BMJ

 50歳以上の成人において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する4回目ブースター接種ワクチンとしてのオミクロン株対応2価mRNAワクチンは、事前規定の27種の有害事象に関するリスク増大との関連は認められなかったことが、デンマーク・Statens Serum InstitutのNiklas Worm Andersson氏らによる同国の50歳以上の接種者を対象に行った試験で示された。BMJ誌2023年7月25日号掲載の報告。接種後28日間の27種の有害事象による病院受診率を評価 研究グループは2021年1月1日~2022年12月10日に、COVID-19ワクチンを3回接種した50歳以上の成人222万5,567人を対象とするコホート試験を行った。 主要アウトカムは、オミクロン株対応2価mRNAワクチンの4回目ブースター接種後28日間(主要リスク期間)の27種の有害事象による病院受診率で、同ワクチン3回目あるいは4回目接種後29日以降(参照期間)の同受診率と比較した。27種の有害アウトカムいずれも増大せず 2価mRNAワクチンの4回目接種者は、174万417人(平均年齢67.8[SD 10.7]歳)だった。 2価mRNAワクチンの4回目接種は、参照期間と比較して、主要リスク期間の全27種の有害アウトカムの統計学的に有意な増大と関連していなかった。たとえば、虚血性心イベントの発生件数は、主要リスク期間で672件、参照期間では9,992件で、発生率比は0.95(95%信頼区間[CI]:0.87~1.04)だった。 年齢や性別、ワクチンタイプに基づく解析や、別の解析手法を用いた場合でも、同様の結果が得られた。 ただし事後分析で、心筋炎のリスクが検出されたが(女性被験者では統計学的に有意に関連)、発現はまれで少数の症例に基づく所見だった。また、脳梗塞リスクの増大はみられなかった(主要リスク期間644件vs.参照期間9,687件、発生率比:0.95、95%CI:0.87~1.05)。

8091.

統合失調症薬物治療ガイドラインの順守と治療成績との関係~EGUIDEプロジェクト

 臨床医が統合失調症薬物治療ガイドラインの推奨事項を順守することは、患者の良好なアウトカムにとって重要である。しかし、ガイドラインの順守が患者の治療アウトカムと関連しているかどうかは明らかではない。東京慈恵会医科大学の小高 文聰氏らは、統合失調症薬物療法ガイドラインへの適合度を可視化するツールindividual fitness score(IFS)計算式を開発し、統合失調症患者におけるIFS値と精神症状との関連を調査した。その結果、IFS計算式で評価した統合失調症薬物治療ガイドラインの推奨事項を順守する取り組みは、統合失調症患者の臨床アウトカム改善につながる可能性が示唆された。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2023年6月29日号の報告。 治療抵抗性統合失調症(TRS)患者47例と非TRS患者353例を対象に、IFS計算式を用いて、現在の処方がガイドラインの推奨事項に準拠しているかを評価した。IFS値と陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の合計スコアおよび5つの下位尺度のスコア(陽性症状、陰性症状、思考解体/認知、敵意/興奮、不安/抑うつ)との関連を調査した。さらに、一部の患者(77例)については、2年にわたる長期的なIFS値と精神症状それぞれの変化の関連も調査した。 主な結果は以下のとおり。・全体の統合失調症患者(400例)において、IFS値とPANSS合計スコアとの間に有意な負の相関が認められた(β=-0.18、p=0.000098)。・非TRS患者(Spearman's rho=-0.15、p=0.0044)およびTRS患者(rho=-0.37、p=0.011)のいずれにおいても、IFS値とPANSS合計スコアとの有意な負の相関が確認された。・また、非TRS患者およびTRS患者のいずれにおいても、IFS値と陰性症状、抑うつスコアなどのいくつかの因子との間に、負の相関が確認された(各々、p<0.05)。・IFS値の変化は、PANSS合計スコアおよび陽性症状、抑うつスコアの変化と負の相関が認められた(p<0.05)。

8092.

臨床試験の結果が非有意のときは尤度比を活用してみましょう(解説:折笠秀樹氏)

 結果の信ぴょう性はよく統計学的有意性で判定します。つまり、結果のP値が0.05(5%)より小さければ統計学的有意と判定します。これはネイマン・ピアソン流の方法です。もう1つの流派にベイズ流というのがあります。ベイズ流ではP値の代わりに、尤度比(ベイズ流ではベイズ因子と呼ぶ)を用います。本論文は、この尤度比を使えば、とりわけ非有意の結果の程度がつかめることを示しました。 差がないという仮説(帰無仮説HN)と、差があるという仮説(対立仮説HA)があるとします。HNの可能性をHAの可能性で割った値、それが尤度比(LR)です。LR=1であれば、どちらも五分五分、LR<1ならHAの可能性のほうが高く、LR>1ならHNの可能性が高いわけです。臨床試験の結果数字から、このLRは算出できます。Web上に電卓も用意されています(https://medresearch.shinyapps.io/Bayesian_re-analysis/)。結果指標は、比(ハザード比など)でも差(平均差など)でも大丈夫です。 169件の非有意だった臨床試験で計算してみたようです。その結果、LR<1が15件(8.9%)もありました。結果は非有意なのに、LR値からは差があると思われたのです。それはなぜかというと、結果は差ありの方向だが、症例数不足で非有意になったと想像されます。 P=0.5とP=0.1の結果がどれだけ違うのか、正直よくわかりません。この尤度比を使うと、差はないのか、それとも差はあるのか、どちらがもっともらしいかがわかります。尤度比LRは(差なし÷差あり)の可能性の比なので、LR=1,000だと差なしの可能性が1,000倍も高く、まったく見込みなしとわかります。LR=10であれば、わずか10倍高いだけなので、惜しい結果だとわかります。先験研究なども加味すると、差があるというのが正しいかもしれないとも考えられるのです。この先験情報(事前情報ともいいます)を加味できるのも、ベイズ流の特徴です。ちなみに、先験情報では90%の差はあるだろうということなら、LR=10でも結果は五分五分という計算になります。まだ見捨てるのは早いわけです。 この尤度比ですが、通常のP値とはほとんど関係ないことも示されました。解釈が難しいP値に代わるこの尤度比ですが、とくに非有意の結果のとき、活用の余地があると思います。先験情報を加味してもこの結果では先に進めそうもないのか、それとも先へ進めてよいか、これを判断する一助となるのです。

8094.

第174回 兵庫で起こった2つの“事件”を考察する(後編) 300床・三田市民病院と268床・済生会兵庫県病院の再編・統合計画の“白紙撤回”は撤回するのが正解か?

三田市民病院の神戸移転を“白紙撤回”と訴えた候補が新市長にこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は、大学時代の山仲間と、久しぶりに北アルプスに行って来ました。百名山ハンターの仲間が、まだ立山(雄山)を登っていないというので付き合ったのです。普通に室堂バスターミナルから日帰りで登ったのでは芸がないので、黒部ダム湖畔から御山谷を遡行することにしました。沢中テント一泊の沢登りです。滝がないのはラッキーでしたが、激しい夕立の中での源流部の沢遡行は、コロナで足腰が弱ってしまった中高年には相当堪えました。2日目、一の越山荘に到着すると雄山はすごい人でした。日本人だけではなく、外国人の登山者も結構いました。室堂バスターミナルや雷鳥沢キャンプ場から眺める雄大な風景(氷河の跡も見られる)は、個人的には世界に誇れるものだと思います。日本の山を登りたいという外国人には、激混みかつ単調でつまらない富士山登山よりも、雷鳥沢をベースに、雄山から別山(剱岳が間近に見えます)までをぐるっと縦走するコースを私なら薦めます。さて、先週に引き続き、今回も7月に兵庫県で起こったある“事件”を取り上げます。前回は神戸市垂水区にある医療法人徳洲会・神戸徳洲会病院で起こったカテーテル事故について書きました。今回は神戸市の北に隣接する、三田市で起こったもう一つの“事件”、三田市民病院と済生会兵庫県病院の再編・統合計画が白紙撤回になるかもしれない、という問題について書いてみたいと思います。「病院は三田市内に」という時代遅れとも言える市民のこだわりが勝つ7月23日に行われた兵庫県の三田市長選で、政党や団体の支援を受けなかった元銀行員の田村 克也氏(57)が、対立候補の無所属現職、無所属新人を破って初当選しました。市長選の最大の争点は三田市民病院の再編・統合問題でした。経営状態の悪化や施設の老朽化などから、三田市民病院と神戸市北区にある済生会兵庫県病院を統合して、神戸市側に新しい病院を建設する計画が進んでいたのですが、「市民病院の神戸移転は白紙撤回」と訴えた田村氏が当選したことで、計画の全面見直しの可能性が出てきました。交付税をしこたま使い、済生会のお金も使い、しかも今よりも充実した体制、設備の病院ができるはずだったのに、「病院は三田市内に」という時代遅れとも言える市民のこだわりが勝ってしまいました。果たしてこれは正しい選択だったのでしょうか…。選挙後、「再編・統合は必要」と話した神戸市長に対し三田市民が激怒と、ここまでは先週書いた話ですが、早速“場外乱闘”が始まっていました。8月8日付のNHKの報道では、同日に田村市長が初登庁し、争点となった三田市民病院と済生会兵庫県病院の再編・統合計画について、「複数の関係者と協定を結んでいる関係上、三田市単体でできることとできないことがある。白紙撤回に至る前に、まずは関係者に会い、どの部分を白紙撤回するのか含めて改めて報告する」と述べたとのことです。記者団から「白紙撤回」という公約から後退したのではないか、との質問が出ましたが、「公約がトーンダウンしたということはない。公約は変わらない」と述べたとのことです。関係する予算については今後執行するものは凍結する考えも示しました。一方、8月9日付のサンテレビニュースは、田村市長が当選したことを受けて、神戸市の久元 喜造市長が、7月28日の定例記者会見で「再編・統合は必要」と改めて指摘したことについて、三田市民が激怒したというニュースを報じています。三田市民病院の存続を求める「三田市民病院をまもる会」など3つの市民団体は9日、「三田市政への介入的発言を撤回するよう」申し入れ書を神戸市に提出したとのことです。申し入れ書は「神戸市長が三田市の地域医療の基本政策に関わる内容に介入する発言は許されない」などとし、久元市長に発言の撤回と市民への謝罪を要求しています。「単独では将来に渡って急性期医療の提供が困難であると考え」た済生会兵庫県病院三田市民病院と済生会兵庫県病院の再編統合が“決定”するまでの経緯については、三田市、神戸市、済生会兵庫県病院、それぞれのWebサイトに詳しく書かれています。三田市立の三田市民病院(300床)は毎年度10億円前後の医業収支赤字が続いており、老朽化に加え医師確保難など、さまざまな経営課題を抱えていました。三田市は2017年12月に「市民病院の継続的な経営に関する審議会」を設置、経営の現状と課題の整理に取り掛かりました。再編・統合に向けての議論の実質的なスタートです。一方、済生会兵庫県病院(268床)で再編・統合の検討が開始されたのは、今から3年前の2020年8月でした。背景には、三田市民病院と同様、病院の老朽化や経営状況(入院・外来患者減)がありました。同病院での検討の結果、「人口減少、少子高齢化の進展、医師の継続的な確保への懸念、築30年を経過した現病院の建て替えなど様々な課題について整理し、将来の方向性を院内で検討しました。結果、当院単独では将来に渡って急性期医療の提供が困難であると考え、地域医療を守るため、神戸市の協力を得ながら、三田市民病院との統合を目指すことを決定」(同病院Webサイトより)したとのことです。「北神・三田地域の急性期医療の確保に関する検討委員会」は「統合が最善の方策である」と結論その後、神戸市と三田市は、2021年6月に「北神・三田地域の急性期医療の確保に関する検討委員会」を設置、再編統合に向けての議論を本格化させました。2022年3月には、「将来的にこの地域の急性期医療を確保するためには、済生会兵庫県病院と三田市民病院の統合が最善の方策である」という趣旨の最終報告書が取りまとめられました。報告書には、新病院の場所について「その際には、現在の利用者にとって交通アクセスの利便性が生じるため、両病院の中間地点が望ましい」と書かれていました。2022年6月には神戸市、三田市、済生会の三者合意に至りました。その主な内容は、新病院設置者:三田市新病院運営者:済生会兵庫県病院(指定管理方式)病床規模:400床~450床建設場所:両病院の中間地点付近(神戸市域)整備費・運営費の負担スキーム今後の想定スケジュールというものでした。整備費については、三田市が再編統合新病院の整備費の3分の2を、社会福祉法人恩賜財団済生会支部兵庫県済生会が3分の1を負担することになりました。ただ、三田市については総務省の公立病院の再編・ネットワーク化に関する病院事業債(特別分)の措置に該当するため、整備費全体の約40%について普通交付税措置となる予定とされました。再編・統合後の新病院の用地確保は神戸市が行い、運営費については運営者が済生会兵庫県病院となるため、概ね済生会が負担することとなりました。その後、選挙約4ヵ月前の2023年3月には済生会兵庫県病院、神戸市、三田市、三田市民病院の四者で基本協定書の締結が行われています。三田市は整備費全体の約4割を負担するだけ、運営管理も委託する計画元々経営状態の悪い300床と268床の急性期病院が統合し、病床を減らして400床~450床クラスになる、というのはとても理に適った選択だと言えます。整備費も割安です。三田市の立場に立てば、済生会が3分の1を出してくれることに加え、公立病院の再編・ネットワーク化に該当するため、三田市が負担する整備費全体の約40%については普通交付税措置となります。つまり、三田市は整備費全体の約4割を負担するだけで新しい病院を持つことができるのです。さらに、済生会兵庫県病院が指定管理者になり、管理運営も担当してくれるのですからこんなうまい話はありません。医師確保や病院経営は丸投げで、市民の健康を守れるからです。気になるのは病院が神戸市にできることぐらいでしょうか。しかし、今どきの病院の再編・統合では、少々の距離的不便には目をつぶるのが当たり前です。三田市民にとって少し遠くはなりますが、それでもドクターヘリを飛ばすほどの遠さではありません(三田市民病院と済生会兵庫県病院は直線距離で9.4km、新病院はその中間あたりに建てる計画だそうです)。市の財政についてきちんと理解しようとしない地域住民のエゴ?三田市としては、赤字垂れ流しの病院経営から脱却できる、まさに渡りに船の計画だと言えるのではないでしょうか。しかし、病院経営の実情にはまだ疎い、再編・統合に反対する新市長の登場で、時代は逆戻りしそうな気配です。 「病院をおらが町に!」。そんな公約を掲げ、幾多の自治体で首長や議員が当選を果たし、多くの公立病院が作られて来ました。しかし、人口減、患者減、医師不足などによってその多くが赤字に陥っている状況です。公立病院を管轄する総務省は、公立病院の経営改革や、再編・統合を長年に渡って推し進めてきましたが、なかなか思うようには進んでいません。そこには政治家や行政のエゴもありますが、町や市の財政についてきちんと理解しようとしない地域住民のエゴも少なからず影響しているようです。仮に田村市長が白紙撤回を断行したところで、三田市に今の病院を再建し、医師を集め、そこそこの急性期医療を提供し続けていくだけの余力はあるのでしょうか。また、300床という今の中途半端な病床規模のままだとするなら、前回(第173回 兵庫で起こった2つの“事件”を考察する(前編) 神戸徳洲会病院カテーテル事故と「脳外科医 竹田くん」)も書いたように、慢性期、回復期の病院への転換を早晩余儀なくされるかもしれません。300床規模の急性期病院は、医師集めの面でも医業経営の面でも効率が悪過ぎます。“白紙撤回”を掲げて当選した田村市長は、1年以内には“白紙撤回”のさらなる撤回を余儀なくされる公算が大きいと思います。私は三田市、神戸市、済生会とはまったく利害関係はありませんが、統合こそが、三田市民や神戸市の北神地域の住民にとってベストの選択に思われます。

8095.

ネモリズマブ、6~12歳のアトピー性皮膚炎にも有用

 ネモリズマブは、アトピー性皮膚炎(AD)に伴うそう痒を有し、外用薬や経口抗ヒスタミン薬で効果不十分な6~12歳の小児患者にとって、新たな治療選択肢となる可能性が示された。いがらし皮膚科東五反田院長(前NTT東日本関東病院 皮膚科部長)の五十嵐 敦之氏らが、6~12歳の日本人AD患者を対象に行った第III相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。ヒト化抗IL-31受容体Aモノクローナル抗体ネモリズマブは、13歳以上のAD患者において外用薬との併用でそう痒を軽減し、QOLを改善することが示されていたが、13歳未満のAD患者における有効性および安全性に関するデータは不足していた。British Journal of Dermatology誌オンライン版2023年7月31日号掲載の報告。ネモリズマブによるそう痒の改善は投与2日目から観察された 研究グループは、ADに伴う中等度~重度のそう痒を有し、外用薬や経口抗ヒスタミン薬で効果不十分な6~12歳の日本人小児患者を対象とした試験を2020年9月より実施し、外用薬との併用投与によるネモリズマブの有効性と安全性を評価した。 被験者を1対1の割合で無作為にネモリズマブ30mgを投与する群(ネモリズマブ群)またはプラセボを投与する群(プラセボ群)に割り付け、4週ごとに投与し、16週間追跡比較した。 ネモリズマブの有効性の主要エンドポイントは、かゆみスコア(範囲:0~4、点数が高いほどそう痒が重度、3点以上を効果不十分と定義)の週平均値のベースライン時から16週時までの変化とした。ネモリズマブの有効性の副次エンドポイントは、そう痒(かゆみスコアのベースライン時から2週時までの変化、16週時における1点以下の達成率など)、AD指標(Eczema area and severity index[EASI]のベースライン時から16週時までの変化など)およびQOLであった。安全性は、有害事象および臨床検査値によって評価した。 ネモリズマブの有効性と安全性を評価した主な結果は以下のとおり。・合計で89例が無作為化され試験を完了した(ネモリズマブ群45例、プラセボ群44例)。・ベースライン時のネモリズマブ群とプラセボ群の患者特性は類似していた。被験者の平均年齢(標準偏差[SD])は9.1歳(1.9)、AD平均罹病期間(SD)は8.5年(2.7)であった。・かゆみスコアのベースライン時から16週時までの変化は、ネモリズマブ群-1.3点、プラセボ群-0.5点であり、ネモリズマブ群がプラセボ群と比較して有意に改善した(最小二乗平均差:-0.8、95%信頼区間[CI]:-1.1~-0.5、p<0.0001)。・ネモリズマブによるそう痒の改善は、投与2日目から観察された。・副次エンドポイントについても、ネモリズマブ群が良好であった。・投与中止に至った有害事象は報告されなかった。また、6~12歳のAD患者における安全性プロファイルは、13歳以上のAD患者におけるものと一貫していた。

8096.

アルツハイマー病、早発型と遅発型の臨床的特徴の違い~メタ解析

 認知症で最も一般的な病態であるアルツハイマー病は、発症年齢による比較検討が多くの研究で行われているが、その違いは明らかになっていない。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのPaige Seath氏らは、アルツハイマー病の早発型(65歳未満、early-onset:EO-AD)と遅発型(65歳以上、late-onset:LO-AD)の臨床的特徴を比較するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、EO-AD患者はベースライン時の認知機能、認知機能低下速度、生存期間においてLO-AD患者と異なる特徴を有しているが、それ以外の臨床的特徴は同様であることが示唆された。International Psychogeriatrics誌オンライン版2023年7月11日号の報告。 Medline、Embase、PsycINFO、CINAHLのデータベースをシステマティックに検索し、EO-AD患者とLO-AD患者における診断までの時間、認知機能スコア、1年当たりの認知機能低下、ADL、神経精神症状、QOL、生存期間を比較した研究を抽出した。変量効果モデルを用いた逆分散法により、各アウトカムへの全体的な影響の推定値を算出した。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析には42研究(EO-AD:5,544例、LO-AD:1万6,042例)を含めた。・EO-AD患者は、LO-AD患者と比較し、ベースライン時の認知機能が著しく低く、認知機能低下の速度が速かったが、生存期間は長かった。・EO-AD患者は、発症から診断までの期間、ADL、神経精神症状について、LO-AD患者との違いは認められなかった。・EO-AD患者とLO-AD患者のQOLの違いへの全体的な影響の推定には、データが不十分であった。 結果を踏まえて著者は、「アルツハイマー病における発症年齢の影響をより理解するため、臨床症状に焦点を当てた標準化された質問票を用いた大規模研究が必要である」としている。

8097.

成人の胸腺摘出、全死亡・がんリスクが増加/NEJM

 胸腺摘出を受けた患者は摘出を受けなかった対照群よりも、全死因死亡およびがんリスクが高いことが、米国・マサチューセッツ総合病院のKameron A. Kooshesh氏らによる検討で示された。また、術前感染症、がん、自己免疫疾患を有する患者を除外した解析では、胸腺摘出は自己免疫疾患のリスクを増大すると思われる関連性もみられたという。成人における胸腺の機能は明らかになっていないが、さまざまな外科手術でルーチンに摘出が行われている。研究グループは、成人の胸腺は、免疫機能と全般的な健康の維持に必要であるとの仮説を立て、疫学的・臨床的・免疫学的解析評価で検証した。NEJM誌2023年8月3日号掲載の報告。胸腺摘出vs.非摘出の死亡・がん・自己免疫疾患のリスクを評価 研究グループは、胸腺摘出術を受けた成人患者と人口統計学的にマッチさせた胸腺摘出術を受けずに類似の心臓胸部手術を受けた成人患者を比較し、死亡・がん・自己免疫疾患のリスクを評価した。患者サブグループで、T細胞産生量と血漿中サイトカイン濃度も比較した。 Mass General Brigham(MGB)Research Patient Data Registryを用いて、1993年1月1日~2020年3月1日にマサチューセッツ総合病院で胸腺摘出術を受けた全成人患者を特定。術後90日以内に死亡した患者、また術後5年以内に非腹腔鏡下心臓手術を受けた患者は除外した(胸腺摘出群)。同様に2000年1月1日~2019年12月31日に非腹腔鏡下で心臓手術を受けた胸腺摘出術歴のない全成人患者を特定。術後90日以内に死亡した患者、術前心不全を呈した患者、術後5年以内に2度目の心臓手術を受けた患者は除外した(対照群)。 データは2022年3月1日まで収集された。死亡の相対リスク2.9倍、がん相対リスク2.0倍 レジストリの探索で、胸腺摘出群1,470例、対照群1万6,679例が特定され、除外後にそれぞれ1,420例と6,021例が試験に包含された。このうち主要コホートは、対照とのマッチが少なくとも1つ以上あった胸腺摘出群1,146例(81%)と、その年齢・人種・性別でマッチさせた対照群1,146例で構成された。 術後5年時点で、全死因死亡率は胸腺摘出群(8.1%)が対照群(2.8%)より2倍超高く(相対リスク:2.9[95%信頼区間[CI]:1.7~4.8]、p<0.001)、がんリスクも同様に胸腺摘出群(7.4%)が対照群(3.7%)より高かった(2.0[1.3~3.2])。自己免疫疾患リスクは、主要コホート全体では実質的な群間差は認められなかったが(1.1[0.8~1.4])、術前感染症、がん、自己免疫疾患を有する患者を解析から除外すると、群間差が認められた(12.3% vs.7.9%、相対リスク:1.5[95%CI:1.02~2.2])。 追跡期間5年超の全患者(マッチした対象の有無を問わず)の解析では、全死因死亡率は、胸腺摘出群(9.0%)が米国一般集団(5.2%)よりも高く、がん死亡率も同様であった(2.3% vs.1.5%)。 T細胞産生量と血漿中サイトカイン濃度が測定された患者のサブグループ(胸腺摘出群22例、対照群19例、平均追跡期間14.2術後年[範囲:8~26])では、胸腺摘出群のほうが対照群よりもCD4+、CD8+リンパ球の新生量が少なかった。signal joint T-cell receptor excision circle(sjTREC)解析で測定した平均CD4+リンパ球数は、胸腺摘出群1,451/μg DNA vs.対照群526/μg DNAであり(p=0.009)、同平均CD8+リンパ球数はそれぞれ1,466/μg DNA vs.447/μg DNAであった(p<0.001)。血中の炎症性サイトカイン濃度も胸腺摘出群で高かった。

8098.

双極I型障害のうつ再発予防の抗うつ薬、52週vs.8週/NEJM

 うつ病エピソードの寛解から間もない双極I型障害患者に、エスシタロプラムまたはbupropionの徐放性製剤(bupropion XL)による抗うつ薬の補助的投与を52週間継続しても、8週間の投与と比べて、あらゆる気分エピソードの再発予防について有意な有益性は得られなかった。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のLakshmi N. Yatham氏らが、多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。双極I型障害患者の急性うつ病の治療には抗うつ薬が用いられるが、寛解後の維持療法としての抗うつ薬の効果については十分に検討されていなかった。NEJM誌2023年8月3日号掲載の報告。エスシタロプラムまたはbupropion XLの補助的投与の継続戦略を評価 本試験では、カナダ、韓国、インドで、うつ病エピソードから寛解して間もない双極I型障害患者を対象に、気分安定薬または第2世代抗精神病薬(あるいは両薬)に加え、エスシタロプラムまたはbupropion XLを補助的に投与する継続戦略が評価された。 研究グループは被験者を、寛解後52週間抗うつ薬治療を継続する群(52週群)または寛解後抗うつ薬の使用を漸減して8週時点でプラセボに切り替える群(8週群)に、1対1の割合で無作為に割り付け追跡評価した。 主要アウトカムはtime-to-event解析で評価したあらゆる気分エピソードで、軽躁(YMRSスコア16以上)、中等度うつ病(MADRSスコア20以上)、躁/うつ病(CGI-S-BDスコア4以上)、気分症状での入院、出現した気分症状に対する追加の薬物療法、MADRS自殺項目スコア4以上(スコア範囲:0~6、高スコアほど自殺リスクが高いことを示す)、自殺企図または自殺既遂で定義した。主要アウトカムイベントは、CGI-BD、YMRS、MADRSの各スコアと試験施設の研究者の評価に基づき、躁/軽躁、うつ病、混合型(躁/うつ)に分類された。 主な副次アウトカムは、躁/軽躁あるいはうつ病エピソードまでの期間などであった。 本試験は、2019年のCOVID-19パンデミックで被験者募集が低調となる中、研究費が使用期限を迎え、募集人員に達する前に打ち切りとなった。あらゆる気分エピソード、両群で有意差なし 2009~19年に計238例が適格性についての評価を受け、209例が非盲検治療フェーズに登録され、うつ病エピソードの治療としてエスシタロプラムまたはbupropion XLの補助的投与を受けた。このうちうつ病が寛解した150例と、追加で登録された27例の計177例が二重盲検フェーズに登録され、52週群に90例が、8週群に87例が割り付けられた。 52週時点で主要アウトカムイベントを有したのは、52週群28例(31%)、8週群40例(46%)で、52週群の8週群に対するあらゆる気分エピソードまでの期間に関するハザード比(HR)は0.68(95%信頼区間[CI]:0.43~1.10、log-rank検定のp=0.12)であった。 躁/軽躁のイベントは8週群の5例(6%)に対して52週群では11例(12%)が有し(HR:2.28、95%CI:0.86~6.08)、うつ病の再発は8週群35例(40%)に対して52週群は15例(17%)であった(0.43、0.25~0.75)。 有害事象の発現は、両群で同程度であった。 なお、著者は、被験者の募集が計画された規模となる前に終了したことや、被験者の大半がインドの施設で募集され、文化的・人種的および医療ケアシステムの違いから一般化可能性が低いことなどを挙げ、得られた所見は限定的だと述べている。

8099.

機能性ディスペプシア、食物を見るだけで脳の負担に/川崎医大

 全人口の約10%が、機能性ディスペプシア(FD)や過敏性腸症候群(IBS)の症状に悩まされているとされ、不登校や休職など日常生活に支障を来すケースも多い。また、血液検査や内視鏡検査、CT検査などで異常が見つからず、病気であることが客観的に示されないために、周囲の人に苦しみが理解されにくいといった問題がある。精神的ストレスや脂肪分の多い食事が原因とされるものの、メカニズムの解明は進んでおらず、客観的診断法は確立されていない。そこで、川崎医科大学健康管理学教室の勝又 諒氏らは、FD患者、IBS患者に40枚の食物の画像を見せ、食物の嗜好性や脳血流の変化を調べた。その結果、FD患者は健康成人やIBS患者と比較して、脂肪分の多い食物を好まなかった。また、FD患者は、食物を見たときに左背側前頭前野の活動が亢進していた。本研究結果は、Journal of Gastroenterology誌オンライン版2023年8月12日号で報告された。 FD患者(13例)、IBS患者(12例)、健康成人(16例)に、脂肪分の多い(こってりした)食物、脂肪分の少ない(あっさりした)食物、その中間の食物の画像を計40枚、7秒ずつ見せ、表示された食物に対する嗜好性を0~100点で評価させた。また、測定場所を選ばず容易に脳活動が測定でき、導入コストもMRIに比べて低い機能的近赤外分光法(fNIRS)を用いて、脳血流測定も実施した。 主な結果は以下のとおり。・全体の食物に対する嗜好性(平均値±標準偏差[SD])は、健康成人群69.1±3.3点であったのに対し、FD群54.8±3.8点、IBS群62.8±3.7点であり、FD群は健康成人群と比較して有意に嗜好性が低かった(p<0.05)。・脂肪分の多い(こってりした)食物に対する嗜好性(平均値±SD)は、健康成人群78.1±5.4点であったのに対し、FD群43.4±6.3点、IBS群64.7±6.1点であり、FD群は健康成人群と比較して有意に嗜好性が低かった(p<0.05)。脂肪分の少ない(あっさりした)食物、中間の食物については、3群間に有意差は認められなかった。・FD群は健康成人群およびIBS群と比較して、食物の画像を見たときに左背側前頭前野の脳活動が有意に亢進していた(平均Zスコア:健康成人群-0.077点、FD群0.125点、IBS群-0.002点、p<0.001)。 著者らは、本研究結果について「FD患者は脂肪分の多い食物を食べるとすぐに症状が誘発されることから、脂肪分の多い食物に対する苦手意識が生じていると考えられる。また、とくに左背側前頭前野で血流量が増加したことから、特定の食事後に腹痛を何度も経験したことで、どの食物の画像を見てもストレスを感じるようになったことが推定される」と考察している。また、今後の展望として「FD患者の脳には負担がかかっていることが広く認知されることで、これまで客観的な指標がなく、その苦しみが周囲に理解されにくかったFD患者が生きやすい環境作りに役立つことが期待される。さらに、食物の画像を見せ、脳血流を測定する客観的かつ簡便な方法は、臨床現場でFD患者を見分ける新たな診断法の開発につながることも期待される」とまとめた。

8100.

オズウイルス感染症に気をつけろッ! その2【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さん、こんにちは。大阪大学の忽那です。この連載では、本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気を付けろッ」は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。さて、前回その1では、世界初のオズウイルス感染症の事例についてご紹介しました。症例を簡単に説明しますと、「茨城県在住の70代女性が、マダニ刺咬後に発熱を呈し、血小板減少、肝障害、腎障害、CK上昇、フェリチン高値、凝固障害などがみられ、最終的には心筋炎によると思われる心室細動で亡くなられてしまった」という事例でした。オズウイルスはどこにいるか?このオズウイルスですが、すでにヒトと動物について血清疫学調査が行われています1)。まず、2013~2019年にかけて山口県の猟師24人と野生動物240頭(ニホンザル40頭、イノシシ124頭、ニホンジカ76頭)から血清サンプルを採取し、猟師2人、そしてサル47.5%、イノシシ60.5%、ニホンジカ73.7%に中和抗体が確認されました。動物における陽性率の高さは驚きですね。そして、ヒトでも抗体陽性例がみつかっていることから、他にも診断されずに感染している事例が潜在しているものと推測されます。さらにこの研究では、確立したELISA法を用いて、他の都道府県のニホンザル、イノシシ、ニホンジカのオズウイルス感染も調査しています。2007~2019年に山口県、和歌山県、三重県、大分県、岐阜県、富山県、岐阜県、千葉県で捕獲された動物の血清陽性率は以下の通りでした。ニホンザル山口県47.5%、和歌山県33.3%、三重県6.3%イノシシ山口県55.8%、和歌山県34.8%、岐阜県10.5%、大分県10.3%、富山県・栃木県ともに0%ニホンジカ山口県37.8%、千葉県30%、和歌山県11.1%、岐阜県8.3%富山県、栃木県からはオズウイルスの抗体陽性の動物はみつかっていませんが、それ以外の山口県、和歌山県、三重県、岐阜県、大分県、千葉県からは割合の違いはあれど抗体陽性の動物がみつかっています。このことからは、オズウイルスは世界初の症例が報告された茨城県、そしてマダニからウイルスがみつかった愛媛県だけでなく、より広範囲に分布していると考えられます。また、元々ウイルスがみつかったマダニがタカサゴキララマダニというマダニであったことから、このタカサゴキララマダニの分布と同じく関東以南にオズウイルスも分布している可能性があります(基本的にマダニ媒介感染症の流行地域は、媒介するマダニの分布する地域に規定されます)。ということで、今後新たなオズウイルス感染症の症例がみつかる可能性は高いと考えられます。オズウイルスの検査に困ったらでは、「どのようなときにオズウイルス感染症を疑うか」について、アプローチとしては2つあると考えられます。1つはマダニ媒介感染症が疑われるけれども原因不明の場合、もう1つは原因不明の心筋炎を診た場合です。マダニ媒介感染症が疑われる場合(たとえばマダニ刺咬歴がある、フォーカス不明で肝障害を伴う発熱があるなど)は、その地域で流行しているマダニ媒介感染症、たとえばツツガムシ病、日本紅斑熱、SFTSなど保健所を介して地方衛生研究所で検査をしてもらいます。それでも診断がつかない場合は、オズウイルス感染症が鑑別に挙がってくるかもしれません。オズウイルスの検査は国立感染症研究所で行えるはずですが、お願いすれば全例検査をしてもらえるかはわかりません。参考までに、私忽那は、日本医療研究開発機構(AMED)の海老原班「新興ダニ媒介性ウイルス重症熱に対する総合的な対策スキームの構築」の分担研究において、ダニ媒介感染症が疑われるものの診断が不明な発熱患者の症例を集積し、新興ウイルスの検査や未知の病原体の探索をするためのレジストリを構築するプロジェクトを実施しています。研究班は国立感染症研究所の先生方と行っているものですので、このレジストリに登録していただき、オズウイルスの検査に回すというフローは可能ですので、疑わしい症例があればぜひ忽那までお問い合わせください。(お問い合わせ先アドレス:kutsuna@hp-infect.med.osaka-u.ac.jp)基本的には「地方衛生研究所で検査できるマダニ媒介感染症が除外されている症例」が対象になります。時はマダニ戦国時代ッ!図2 日本国内のマダニからみつかっている新興ウイルス画像を拡大する(筆者作成)さて、オズウイルスが注目を集めていますが、実はオズウイルスだけでなく、他にもわが国にはマダニ媒介性ウイルス感染症が潜在しています。オズウイルスが、ヒトでの感染例が報告される前から存在が知られていたように、わが国のマダニから、まだヒトでの感染例が報告されていないウイルスがたくさんみつかっているのです。その1でも触れましたがSFTSの発見以降、ヒトでの感染例がみつかる前からマダニの持っているウイルスを先に調べるという手法が行われるようになりました。オズウイルス以外にも、日本国内のマダニからは、Tarumizu tick virus2)、Muko virus3)、Kabuto Mountain virus4)、Okutama tick virus5)、Mukawa virus6)などさまざまなウイルスがみつかっています。垂水…奥多摩…甲山(かぶとやま)…そう、これらはすべて日本の地名です。日本のいろんなところに、まだヒトでの感染例が報告されていないマダニ媒介ウイルス感染症が存在しているのです…ちなみにヒトでの病原性があるのかどうかについても現時点では不明です。もちろん、これ以外にも未知のマダニ媒介ウイルスも存在しているでしょう。原因不明の発熱疾患をみた場合に、こうしたマダニ媒介感染症の可能性についてもぜひ頭の片隅に置いておいていただけましたら幸いです。1)Tran NTB, et al. Emerg Infect Dis. 2022;28:436-439.2)Fujita R, et al. Virus Res. 2017;242:131-140.3)Ejiri H, et al. Arch Virol. 2015;160:2965-2977.4)Ejiri H, et al. Virus Res. 2018;244:252-261.5)Matsumoto N, et al. J Vet Med Sci. 2018;80:638-641.6)Matsuno K, et al. mSphere. 2018;3.

検索結果 合計:35667件 表示位置:8081 - 8100