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治療抵抗性うつ病、esketamine点鼻薬vs.クエチアピン/NEJM

 治療抵抗性うつ病に対し、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)またはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)との併用において、esketamine点鼻薬はクエチアピン徐放剤と比較して8週時の寛解率が有意に高かった。ドイツ・Goethe University FrankfurtのAndreas Reif氏らが、24ヵ国171施設で実施された第IIIb相無作為化非盲検評価者盲検実薬対照試験「ESCAPE-TRD試験」の結果を報告した。治療抵抗性うつ病(一般的に、現在のうつ病エピソード中に2つ以上の連続した治療で有効性が得られないことと定義される)は、寛解率が低く再発率が高い。治療抵抗性うつ病患者において、SSRIまたはSNRIとの併用投与下で、クエチアピン増強療法と比較したesketamine点鼻薬の有効性と安全性は明らかになっていなかった。NEJM誌2023年10月5日号掲載の報告。SSRIまたはSNRIへのesketamine点鼻薬併用をクエチアピン増強療法と比較 試験対象者は、30項目の観察者評価によるうつ病症候学評価尺度(IDS-C)(スコア範囲:0~84、高スコアほど重症)のスコアが34以上、現在使用中のSSRIまたはSNRIを含め、少なくとも2つの異なるクラスの抗うつ薬による治療を2~6回連続して受けるも無効(症状の改善が25%未満)の、18~74歳の治療抵抗性うつ病患者であった。 研究グループは、被験者をesketamine群またはクエチアピン群に1対1の割合で割り付け、現在使用中のSSRIまたはSNRIと併用投与した(初期治療期8週間、維持期24週間、計32週間)。esketamine群への点鼻薬投与(鼻腔内噴霧)は可変用量(製品特性の概要に即して)にて、クエチアピン群には徐放剤を投与した。 主要エンドポイントは、無作為化後8週時点における寛解で、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)(範囲:0~60、高スコアほど重症)のスコアが10点以下と定義した。また、重要な副次エンドポイントは、8週時点で寛解後32週時まで再発がないこととした。 有効性解析対象集団は無作為化されたすべての患者(ITT)集団とし、治療を中止した患者は非寛解または再発とみなした。主要エンドポイントおよび重要な副次エンドポイントの解析は、年齢(18~64歳vs.65~74歳)および前治療数(2 vs.3以上)で調整したCochran-Mantel-Haenszelカイ二乗検定を用い治療群間を比較した。8週時点の寛解率、esketamine群27.1%vs.クエチアピン群17.6% 2020年8月26日~2021年11月5日の間に、676例がesketamine群(336例)およびクエチアピン群(340例)に割り付けられた。 8週時の寛解率は、esketamine群27.1%(91/336例)、クエチアピン群17.6%(60/340例)であり、esketamine群が有意に高かった(補正後オッズ比[OR]:1.74、95%信頼区間[CI]:1.20~2.52、p=0.003)。また、8週時に寛解後32週時まで再発が確認されなかった患者も、esketamine群が336例中73例(21.7%)、クエチアピン群が340例中48例(14.1%)で、esketamine群が多かった(補正後OR:1.72、95%CI:1.15~2.57)。 32週間の治療期間において、寛解した患者の割合、奏効(MADRSスコアがベースラインから50%以上の改善、またはMADRSスコアが10点以下)した患者の割合、およびベースラインからのMADRSスコアの変化量も、esketamine群のほうが好ましい結果であった。 有害事象の発現率はesketamine群91.9%、クエチアピン群78.0%、重篤な有害事象の発現率はそれぞれ5.7%および5.1%で、安全性プロファイルは既報と一致していた。

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eGFR低下とアルブミン尿、腎不全や心血管疾患と関連/JAMA

 CKD Prognosis Consortiumの114コホートからの個人データを対象としたメタ解析において、血清クレアチニン(Cr)値に基づく推定糸球体濾過量(eGFRcr)あるいは血清Cr値と血清シスタチンC値に基づくeGFR(eGFRcr-cys)の低下、および尿アルブミン/クレアチニン比(UACR)の上昇は、腎不全や心血管疾患、入院などを含む10の有害アウトカムの発生率上昇と関連していることが示された。米国・ニューヨーク大学のMorgan E. Grams氏らCKD Prognosis Consortiumの執筆グループが報告した。米国では成人の約14%が慢性腎臓病(CKD)(eGFR低下またはアルブミン尿)に罹患しているという。しかしながらeGFRの低さやアルブミン尿の重症度と有害アウトカムとの関連性については不明であった。JAMA誌2023年10月3日号掲載の報告。CKD Prognosis Consortiumのコホートから約2,750万人のデータをメタ解析 解析には、CKD Prognosis Consortiumの参加コホート(1980~2021年)から、2021 CKD Epidemiology Collaboration(CKD-EPI)式を用いたeGFRcrのデータがある114コホート2,750万3,140例、2021 CKD-EPI式によるeGFRcr-cysのデータがある20コホート72万736例、およびUACRのデータがある114コホート906万7,753例の個人データが集められ包含された。 有害アウトカムの発生は、米国の診療報酬請求データベースであるOptumLabs Data Warehouse(OLDW)のデータを用いた。 主要アウトカムは、全死因死亡、心血管死、腎代替療法を要する腎不全(慢性透析または腎移植)、あらゆる入院、脳卒中、心筋梗塞、心不全、急性腎障害、心房細動あるいは末梢動脈疾患とし、Cox比例ハザードモデルを用いて腎臓の測定値と有害アウトカムとの関連を各コホート内で解析し、ランダム効果メタ解析を用いて統合した。eGFRcrまたはeGFRcr-cys低値、UACR高値で、10の有害アウトカムのリスクが上昇 eGFRcr集団(平均[±SD]年齢54±17歳、女性51%、平均追跡期間4.8±3.3年)では、平均(±SD)eGFRは90±22mL/分/1.73m2、UACR中央値は11mg/g(四分位範囲[IQR]:8~16)であった。eGFRcr-cys集団(59±12歳、53%、10.8±4.1年)では、平均eGFRは88±22mL/分/1.73m2、UACR中央値は9mg/g(6~18)であった。 eGFR(eGFRcrまたはeGFRcr-cys)の低さとUACRの高さは、CKDの最も低い重症度分類に属するものを含め、10項目の有害アウトカムの各リスク上昇とそれぞれ有意に関連していた。たとえば、UACR 10mg/g未満の患者では、eGFRcr 45~59mL/分/1.73m2の場合、eGFR 90~104mL/分/1.73m2と比較し入院率が有意に高かった(補正後ハザード比:1.3、95%信頼区間[CI]:1.2~1.3、1,000人年当たりのイベント件数161件vs.79件、過剰絶対リスク:22件/1,000人年[95%CI:19~25])。 著者は研究の限界として、GFRのほかの推定式は包括的にテストされていないこと、組み込まれたコホート試験は異なる試験デザインやプロトコールを使用していることなどを挙げている。

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有病率の高い欧州で小児1型糖尿病発症とコロナ感染の関連を調査(解説:栗原宏氏)

特徴・新規に出現したウイルスと自己抗体の関連を示した・追跡期間が長く、感染と自己抗体の発現の前後関係を区分できている・SARS-CoV-2抗体以外に、その他の呼吸器感染代表としてインフルエンザ抗体も調査・インフルエンザは著減しており、SARS-CoV-2の影響がメインと考えられる限界・対象は遺伝的ハイリスク群。かなり特殊で結果が一般化しづらい・日本国内での発症率は調査地域である欧州よりも格段に低い・因果関係が逆である可能性:自己抗体が発現する子供がコロナに感染しやすい? 本研究で対象となっている小児1型糖尿病は、発症率に人種差があり白人に非常に多い。欧州全般に発症者は多く、とくに多い北欧諸国、カナダ、イタリアのサルディニアでは年間約30/10万人と日本(1.4~2.2/10万人)に比して10倍以上の違いがある。1歳ごろに膵島細胞への自己抗体が発生するピークがあり、10年以内に臨床的な糖尿病を発症する。自己抗体の発生原因は不明ながら、呼吸器系ウイルス感染が関与している可能性があるとされている。 本研究はPrimary Oral Insulin Trial(POINT)のデータが使用されている。2018年2月~2021年3月のCOVID-19拡大前からパンデミック期にかけて、欧州5ヵ国の複数施設で、遺伝的に1型糖尿病リスクが高い乳児(4~7ヵ月)1,050人を対象として、SARS-CoV-2感染と膵島自己抗体の発現の時間的関係を明らかにするために実施されたコホート研究である。このうち、実際に対象となったのは885人である。 本研究は、SARS-CoV-2という新規に出現した疾患と自己抗体の出現との関連を自己抗体発現の可能性が高い乳児を対象として調査した点が特徴である。性別、年齢、国に調整後のSARS-CoV-2抗体陽性例における膵島自己抗体陽性のハザード比は3.5(95%信頼区間[CI]:1.6~7.7、P=0.002)となっており、遺伝子的ハイリスク群ではSARS-CoV-2感染はリスク因子であることが示されたことは意義が大きいと思われる。 SARS-CoV-2抗体出現後に自己抗体が発現する割合が有意に高いことが示された。一方、他のウイルス感染評価目的に実施されたインフルエンザA(H1N1)抗体では自己抗体発現はなかった。少なくともこの対象群においては、呼吸器系ウイルス全般で自己抗体が出現するわけではないことが示唆された。 自己抗体の出現がすぐさま臨床的1型糖尿病発症を意味するわけではない点には留意が必要である。SARS-CoV-2感染と膵島自己抗体出現には関連があるが、感染後の短期間での急激な糖尿病発症率の増加には影響しない可能性が高い。将来的な1型糖尿病発症率については当該地域でフォローが必要である。 前述のとおり、小児1型糖尿病は遺伝子的な問題で人種差が大きい。本研究はその中でもさらに遺伝子的なハイリスク群を対象としており、その結果は広く一般化できるものではない。日本国内では比較的まれな疾患であり、SARS-CoV-2感染の影響は非常に小さいと推測されるが、否定しうるものでもない。今後の本邦での小児1型糖尿病の発症率の推移をみていく必要がある。

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未治療の転移のある膵管腺がん患者におけるNALIRIFOX対nab-パクリタキセルおよびゲムシタビン―無作為化非盲検第III相試験(解説:上村直実氏)

 膵がんは消化器領域で最も予後が悪く、罹患者数と死亡者数が増加している唯一の悪性腫瘍である。治癒可能なStage0/Iの初期段階で早期発見されるのは全体の2〜3%にすぎず、大半は外科的切除不能の進行がんで診断される。さらに、手術可能な段階で発見され治癒切除術が施行された場合であっても、再発が多く術後の5年生存率は20%程度であり、遠隔転移を認める場合はわずか2%以下とされている。したがって、現時点では、根治可能な初期がんの早期発見と切除不能膵がんに対する有効な化学療法の開発が喫緊の課題となっている。 切除不能膵がん(遠隔転移例ないしは切除不能局所進行がん)に対する化学療法について、西欧諸国ではNALIRIFOX療法(ナノリポソーム型イリノテカン+オキサリプラチン+ロイコボリン+5-FU)とゲムシタビン+nab-パクリタキセル併用療法(Gem+nab-P)の両者が、化学療法の第一選択として推奨されつつある。今回、この2つの化学療法レジメンを直接比較した無作為化非盲検第III相試験「NAPOLI 3」の結果が、2023年9月のLANCET誌オンライン版に報告された。 日本を含まない世界18ヵ国で施行された国際共同試験であるNAPOLI 3は、切除不能膵がんの一次治療として2つの併用化学療法レジメンを直接比較するために施行された、無作為化オープンラベルの第III相試験である。試験の結果、NALIRIFOX群がGem+nab-P群よりも全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが示された。この結果、欧米では、遠隔転移例を中心とする切除不能膵がんに対する化学療法の第一選択はNALIRIFOX療法となる可能性が高い。 日本における臨床試験の成績では、欧米と異なり、ゲムシタビン+パクリタキセル併用療法は今回のOSを大きく上回る延命効果を示している。現在もmodified FOLFIRINOX療法とGem+nab-P併用療法の比較試験が行われている最中である。さらに西欧諸国と異なる点として、切除可能膵がんの術前・術後の補助療法に有用性を示しているS-1を組み込んだレジメンやゲノム医療の導入も期待され、今後、日本人を対象とした新たなエビデンスが作られることが待望される。 一方、初期がんの早期発見に関しては、広島県尾道市を中心として一般実地医家と専門施設で膵がん対策チームを作った「尾道方式」が次第に全国へ広まりつつある段階である。さらに、最近、がんの特異的遺伝子発現パターンをターゲットとした診断キットの開発が進んでおり、切除可能な膵がん(Stage0/I/II)を数多く発見できる体制が期待される。 最後に、わが国におけるがん関連臨床試験の対象年齢は18歳から75歳としているものが多かったが、がん患者は75歳以上の高齢者が多いことを反映して、最近は今回の論文と同様に、年齢の上限をなくしたものが見られることは臨床現場にとって喜ばしい変化である。

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婚活カウンセラーの正論【Dr. 中島の 新・徒然草】(498)

四百九十八の段 婚活カウンセラーの正論わが家ではとうとう押し入れからヒーターを引っ張り出してしまいました。つい10日ほど前まで冷房をつけていたというのに。一体、日本の気候はどうなってしまったのでしょうか。さて、外来をしていると「ウチの娘にいい人はいませんか?」という相談をよく受けます。そう言われても、これまでは曖昧なアドバイスでお茶を濁さざるを得ませんでした。が、最近になって参考になるYouTube番組を見たので、その内容について語りたいと思います。それは「現役婚活カウンセラーが婚活女子に本音でアドバイスする」といった類のYouTube企画です。「ちょっと時間があるので、婚活している女性がいたら無料アドバイスしますよ」というものでした。本題に入る前に、まず婚活カウンセラーとはなんぞや、について説明しましょう。婚活カウンセラーとは結婚相談所に所属していて、登録している会員にアドバイスしたり相手を紹介したりする人のことだそうです。男性もいれば女性もいるとのこと。で、登録している会員の条件と相手に対する希望条件に沿って相応しい候補を探してくれるというシステムになっているわけです。YouTubeでの1例はこうでした。最初の相談者。「私は実際の年齢よりも若く見えると言われます。実家暮らしの家事手伝いです。結婚後は専業主婦を考えています」そして相手に対する希望。「私が専業主婦になることを考えると年収が1,000万円以上、将来は両親の介護に備えて体力のある30代前半までの男性を希望します」こんな感じです。対する婚活カウンセラーのアドバイス。「婚活において女性に求められるのは若く見えることより若いことです」それ、身も蓋もないじゃないですか!当然のことながら相談者は怒ります。「私の美貌を見たこともないのに、どうしてそんなことを言えるのですか!」でも婚活カウンセラーは動じません。「じゃあ、あなたは見かけだけ大富豪の男性でも許容できるのですか」と論破してしまいました。さらに婚活カウンセラーは続けます。「実家暮らしの家事手伝いで結婚後は専業主婦希望とありますが」婚活カウンセラーは静かに道理を説きます。「昭和の価値観をいつまでも引きずるのはやめておきましょう。令和の男性は、女性に対しても自立と対等な関係を求めています。実家ではお母さまがほとんどの家事をしているのではありませんか?」そして……「35歳以下で年収1,000万円の男性が世の中にどれだけいると思っておられるのでしょうか?」なんだか相談者が気の毒になってきました。この人には婚活は無理なのでしょうか?「諦める必要はありません。相手に対する希望を広げればいいのです」さすがに婚活カウンセラーはプロ、的確なアドバイスをしてくれます。「相手に対する希望を年齢も年収も幅広く設定しましょう」でも相談者は引き下がりません。「もし低収入の男性と結婚したら、どうやって暮らしていけというのですか!」いつも言われていることなのか、婚活カウンセラーは即答します。「結婚生活は2人で力を合わせて築いていくものです。あなたも働いて稼ぐことができたら、2人合わせて十分に暮らしていけるのではないでしょうか?」まさしく正論。でも、相談者には通じません。「今さら働くのは無理です。こんなところでアドバイスを期待した私が間違っていたわ!」と怒った相談者はそのまま消えてしまいました。なるほど、婚活には婚活の論理があるわけですね。最後に婚活カウンセラーから視聴者への有用なアドバイス。1. 婚活と恋愛はまったく別の世界。結婚相談所に登録するのは男女とも真面目に結婚のことを考える人たちだけ。お互いに相手に求める条件がある。逆に恋愛なら何でもあり。恋は盲目、すべてを超越する。2. 結婚相談所を最後の砦と思っている人が多いが、最初に扉を叩いてほしい。何事も行動は早いほど良い。というわけで、もし次に患者さんに相談されることがあったら、結婚相談所をお薦めするのもいいんじゃないかと、そう思うようになった次第です。最後に1句婚活に 思いを馳せる 秋の風

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自動添削ツールで英文をブラッシュアップしよう【学会発表で伝わる!英語スライド&プレゼン術】第24回

自動添削ツールで英文をブラッシュアップしよう1)「Grammarly」を活用する2)Wordにアドインする3)まずは無料版を試してみる国際学会の発表では英語のハードルが高いと感じる方が多いと思います。前回はそれをサポートしてくれるAI翻訳の「DeepL」を紹介しましたが、今回はその英語をさらにブラッシュアップしてくれるツールを紹介します。それは、「Grammarly」という自動英文添削ツールです。このサービスを使うと、書いた英文の文法の間違いやスペルミスを網羅的に指摘してくれます〈図1〉。〈図1〉画像を拡大するさらに、なぜその英文の表現が間違えているのかの説明や、正しい表現の提案までしてくれて、ワンクリックで訂正することができます〈図2〉。〈図2〉画像を拡大する学会の抄録を投稿する際には、事前に指導医や上司に見てもらうことになると思いますが、英語の文法に自信がない場合、見せる前にGrammarlyにかけておくと、ミスを指摘されることは少なくなります。Grammarlyが指摘してくれるミスの例として、以下が挙げられます。スペルミス時制の間違い単数形・複数形の間違い冠詞や前置詞の間違い同じ表現の多用受動態の多用冗長な表現提案してくれる訂正の表現はあくまで自動校正であり、必ずしも正しいとは限りません。最終的には、提案されている内容とその説明を読んだうえで、修正するかどうかを個々人で判断することになります。Grammarlyはウェブ上でも利用できますが、WordやGoogle Chrome、スマホなどに機能を追加して使用することもできます。Grammarlyの公式サイトでユーザー登録を行ったうえで、「Apps」のタブから必要なアプリをインストールすることで利用できるようになります。論文執筆などのシチュエーションで最も多く使うのは、やはりWordでしょう。WordにGrammarlyをアドインするとWordのタブにGrammarlyが追加され、リボンの「Open Grammarly」をクリックすると表示されている英文の校正を自動で行ってくれます〈図3〉。〈図3〉画像を拡大するGrammarlyは無料版でも利用できますが、有料版にすると使用できる機能が増えます。無料版はベーシックなスペルミス、文法ミスなどの機能がメインで、有料版にはさらに上級の文法チェックや盗用ェックなどの機能が追加されます。有料版は年間プランで契約すると毎月12ドルです(日本円で約1,700円、2023年9月時点)。まずは無料版で試してみて、使い勝手を体験してから有料版へのアップグレードを検討するのがよいと思います。講師紹介

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第66回 10ヵ月流行し続けるインフルエンザ

新型コロナは収まりつつあるが…Unsplashより使用インフルエンザの陽性が増えてきましたよね。「新型コロナかなと思って測定したらインフル陽性」というパターンがまたまたやってきました。新型コロナの定点医療機関当たりの感染者数は全国平均で8人台になっていますので、ひとまず足元の波は越えたかなと思われます1)。さて、現在、昨シーズンから一度も途切れることなくインフルエンザの流行期が続いています(図)2)。「10ヵ月連続流行期」というのは、1999年以降、初めてのことなので、現場としてはもう戸惑うしかありません。一体何が起こっているのか。図. インフルエンザの定点医療機関当たりの報告数(全国)推移(参考2を基に筆者作成)インフルエンザが流行する理由昨シーズンのインフルエンザが春まで継続して流行していたことから、現在発熱者に対しては両方の検査を行っている医療機関が多いかと思います。当院は、同じ検体を使って新型コロナは抗原定量検査、インフルエンザは抗原定性で検査していますが、病院によってはマルチプレックスPCR検査や、同時抗原検査キットなどを適用しているところもあるかもしれません。そのため、検査自体が行われやすいため、見かけの陽性者数が多い可能性があります。とはいえ、例年と比べると流行曲線の立ち上がりが早く、間違いなくインフルエンザの陽性者が増えてきているのは現場でも実感されるところです。多い年では、定点医療機関当たり50~60人というのがインフルエンザの恒例でしたから、定点医療機関当たり10人台だった昨シーズンの波は、ウイルス側としては不完全燃焼だったでしょう。ずっと私たちは感染対策を続けてきたため、「5類感染症」に移行してから、どのウイルス感染症もこれまでの常識が歪められつつあります。いつか落ち着くでしょうが、しばらく流行曲線が乱高下する時代と向き合うのかもしれません。参考文献・参考サイト1)内閣官房:新型コロナウイルス感染症 感染動向などについて2)厚生労働省:インフルエンザの発生状況

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内科系疾患を併発するうつ病患者への抗うつ薬の有用性~メタ解析

 内科的疾患を有する患者の3~6人に1人は、抗うつ薬が使用されているといわれている。しかし、通常の臨床試験では、併発疾患を有する患者は除外されている。抗うつ薬に関するメタ解析では、エフェクトサイズが小~中程度であることが示唆されているが、併発疾患がまん延している臨床現場において、一般化できるかは不明である。デンマーク・オーフス大学のOle Kohler-Forsberg氏らは、内科的疾患と併発するうつ病患者における抗うつ薬の有効性および安全性を明らかにするため、メタ解析エビデンスの包括的なシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、多くの内科的疾患では、大規模かつ質の高いランダム化比較試験(RCT)が少なかったものの、抗うつ薬は、併発疾患を有する患者のうつ病の治療および予防に対し効果的かつ安全に使用できることが示唆された。JAMA Psychiatry誌オンライン版2023年9月6日号の報告。 2023年3月までに公表された、あらゆる医学的疾患に併発したうつ病の治療または予防に対する抗うつ薬の有能性および安全性を評価したRCTのメタ解析または非メタ解析のシステマティックレビューをPubMed、EMBASEより検索した。分析対象には、内科的疾患を有する患者のうつ病に対する抗うつ薬の影響を評価したプラセボ対照または実薬対照RCTのメタ解析を含めた。データ抽出と品質評価には、PRISMAガイドラインに従い、AMSTAR-2およびAMSTAR-Contentを用い、独立したレビューアーのペアにより行った。複数のメタ解析に同じ研究が含まれていた場合には、最も大規模のメタ解析を含めた。ランダム効果メタ解析により、主要アウトカム(有効性)、主な副次的アウトカム(受容性、忍容性)、追加の副次的アウトカム(治療反応、寛解)に関するプールされたデータを分析した。抗うつ薬の有効性は標準化平均差(SMD)、忍容性(副作用による中止)および許容性(すべての原因による中止)はリスク比(RR)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・参考文献6,587件のうち、43種類の医学的疾患に関する176件のシステマティックレビューが特定された。・全体として、27種類の医学的疾患に関する52件のメタ解析がエビデンスの統合に含まれた(AMSTRA-2品質平均スコア:9.3±3.1[最大値:16]、AMSTRA-Content平均スコア:2.4±1.9[最大値:9])。・内科的疾患全体では、抗うつ薬使用はプラセボと比較し、うつ症状の改善が認められた(SMD:0.42、95%信頼区間[CI]:0.30~0.54、I2=76.5%)。疾患別では、心筋梗塞でSMDが最も高く、腰痛および外傷性脳損傷で低かった。【心筋梗塞】SMD:1.38(95%CI:0.82~1.93)【機能性の胸痛】SMD:0.87(95%CI:0.08~1.67)【冠動脈疾患】SMD:0.83(95%CI:0.32~1.33)【外傷性脳損傷】SMD:0.08(95%CI:-0.28~0.45)【腰痛】SMD:0.06(95%CI:0.17~0.39)・抗うつ薬使用は、プラセボと比較し、許容性(24件のメタ解析、RR:1.17、95%CI:1.02~1.32)および忍容性(18件のメタ解析、RR:1.39、95%CI:1.13~1.64)が劣っていた。・抗うつ薬使用は、プラセボと比較し、治療反応率(8件のメタ解析、RR:1.54、95%CI:1.14~1.94)および寛解率(6件のメタ解析、RR:1.43、95%CI:1.25~1.61)が良好であった。・抗うつ薬使用は、プラセボと比較し、うつ病を予防する可能性が高かった(7件のメタ解析、RR:0.43、95%CI:0.33~0.53)。

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身長低下が20代から4cm以上、椎体骨折を疑う/日本整形外科学会

 日本整形外科学会(日整会)は、10月8日の「骨と関節の日」にちなみメディア向けセミナーを都内で開催した。「骨と関節の日」は、ホネのホは十と八に分かれること、「体育の日」に近く、骨の健康にふさわしい季節であることから1994年に日整会が制定し、全国で記念日に関連してさまざまなイベントなどが開催されている。 セミナーでは、日整会の今後の取り組みや骨粗鬆症による椎体骨折についての講演などが行われた。2026年の設立100周年、2027年の総会第100回に向けて はじめに同学会理事長の中島 康晴氏(九州大学整形外科 教授)が、学会活動の概要と今後の展望を説明した。 整形外科は、運動器障害の予防と診療に携わり、加齢による変性疾患、骨折などの外傷、骨・軟部腫瘍、骨粗鬆症、関節リウマチなどを診療領域としている。とくに運動器の障害は、要介護・要支援の原因の約25%を占め、超高齢社会のわが国では喫緊の課題となっている。そこで日整会では、「ロコモティブシンドローム(ロコモ)の概念」を提唱し、運動器障害のリスクを訴えてきた。その結果「健康日本21(第3次)」では「生活機能の維持・向上」に「ロコモの減少」「骨粗鬆症健診受診率の向上」が盛り込まれるようになった。 また、日整会では、2020年4月より「日整会症例レジストリー(JOANR)」という運動器疾患の手術に関する大規模データベースを構築。わが国の運動器疾患手術数、種類などを解析する事業も行っており、2021年の取りまとめとして、97万2,525例の手術のうち、1番多かった手術は「大腿骨近位部骨接合」(10万6,326例)、次に「人工膝関節」(7万7,675例)、次に「人工股関節」(6万6,219例)だったと報告した。 日整会は、2026年に学会創立100年を、27年には第100回総会を迎えることからプロモーション動画と特別のロゴを紹介。中島氏はこれからもさまざまな活動を続けていくと述べた。約5人に1人が椎体骨折の患者 講演では「骨粗鬆症による脆弱性脊椎骨折とロコモ~整形外科医の役割~」をテーマに宮腰 尚久氏(秋田大学大学院整形外科学講座 教授)が、骨粗鬆症による椎体骨折についてレクチャーを行った。 わが国の骨粗鬆症患者は1,590万例とされ、生じやすい部位として上腕骨、脊椎、手首、大腿骨頸部などが知られている。 骨粗鬆症は代謝性骨疾患であり、運動器疾患を招く。同様に運動器疾患を招くものとして「ロコモ」がある。 ロコモは、運動器障害のために移動機能が低下した状態をいう。近年の健康な人と骨減少症・骨粗鬆症における筋量サルコペニアの有病率を調べた研究報告によれば骨粗鬆症とサルコペニアは合併しやすいことが判明し、骨粗鬆症とサルコぺニアを合わせた「オステオサルコペニア」という概念も生まれている1)。 骨粗鬆症と生命予後の関連について調べた研究では、大腿骨の骨折のほかに椎体骨折も生命予後に影響することがわかっている2)。 多くの椎体に骨折が生じると脊柱後弯変形が生じ身長が低下する。これにより、胃食道逆流症、腰背部痛、身体機能の低下、バランス障害による易転倒などが起こり、永続的なQOLの低下を引き起こす。 椎体骨折は男女ともに骨粗鬆症でもっとも頻発する骨折であり、その発生率は80歳の女性で10万人当たり3,000例(年3%程度)といわれている3)。 椎体骨折の有病率について、わが国の男女(40歳以上)で21.8%、欧州の男女(50歳以上)で20%、カナダ・アメリカで20~23%と報告され、わが国では約5人に1人が椎体骨折を有するとされる。身長低下が20代から4cm以上の場合は椎体骨折を疑う 椎体骨折の診断で簡易に推定できる方法として、壁を背に立って壁と後頭部にすき間があれば骨折の可能性があること、肋骨最下端と骨盤の間に2横指以下であれば骨折の可能性があることを紹介。また、若いとき(25歳くらい)からの身長が4cm以上、閉経後3年間の身長低下が2cm以上あった場合も骨折の可能性があることを説明した。 治療では装具療法、外科的手術(例:椎体形成術や後方固定術やその両方など)が行われている。 椎体骨折の予防では2つの療法を示し、はじめに薬物療法として、活性型ビタミンD3薬、ビスホスホネート薬、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、副甲状腺ホルモン薬、副甲状腺ホルモン関連蛋白薬、抗RANKL抗体薬、抗スクレロスチン抗体薬があり、次の骨折へつなげないためにもまず薬物治療を開始することが大切だと指摘した。もう1つの骨折予防としては、運動療法があり、うつぶせ寝による等尺性背筋運動(関節を動かさずに筋肉に力を入れる運動)などが勧められ、その効果はメタアナリスでも改善効果が示されている4)。ただ、脊柱後弯変形やうつ伏せになれない人などには禁忌となるので注意が必要である。 また、高齢者の転倒防止のためにはロコモの予防も重要であり、日整会が勧めている片脚立ちやスクワットなども日々の暮らしの中で取り入れてもらいたいと語った。そのほか、日常生活でも注意が必要であり、椎体は屈曲時に潰される可能性があるので高齢女性では、家事労働や雪国ならば雪かきなどで体の態勢に気を付けることが重要であり、普段から意識して背筋を伸ばし、よい姿勢を保つことが大切だと指摘する。骨粗鬆症健診率の向上が課題 終わりに骨粗鬆症における整形外科の役割にも触れ、女性は40代で1次予防を、50代で2次予防のために検診し、きちんとしたその時々の対応をすることが必要と述べた。しかし、わが国の骨粗鬆症健診率は2020年で4.5%と低く、いかに社会的に周知・啓発をしていくかが今後の課題となっている。日整会では、ポスター掲示などで社会に対して働きかけを行っていくと展望を語り、レクチャーを終えた。

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診察室での会話を基にした対話型AI、BRCA検査への疑問や不安に対応/AZ

 乳がんと診断されてから、患者は治療法選択のほか再建や遺伝子検査を行うかなどたくさんの意思決定を求められる。とくに遺伝子検査については、乳がんと遺伝の関係の理解に加え家族への配慮も必要となるが、外来で説明に十分な時間を設けるのが難しいことも多い。9月27日、アストラゼネカは「乳がんを遺伝子レベルで理解することの重要性~遺伝性乳がん治療における課題とは~」と題したメディアセミナーを開催し、大野 真司氏(相良病院)、乳がん経験者の園田 マイコ氏が登壇。BRCA検査やHBOCについての理解を促す患者向けのサポートツールとして、対話型人工知能WEBアプリ「ブルーカ」が紹介された。 ブルーカは、60例の患者と複数名の医師の診察室での実際の会話を分析して作られている。分析の結果みえてきたのは、・知りたいことの傾向(よくある質問)・患者の感情として恐れや悲しみが強い・「質問を考えること」が患者にとっては大変 という3点だった。これらを踏まえてブルーカには下記の機能が搭載されている。・よくある質問とその回答データを基に、回答を提示する機能・投げかけられた質問に共感を示し、ブルーカというキャラクターが色味や表情を変えて回答する機能・アプリ利用者(患者)の“沈黙”を察知し、集積されているよくある質問を例示する機能 開発に携わった大野氏は、「単純に回答が提示されるのではなく、ブルーカが共感を示しながら対話の中で回答を示すという点が大きいのではないか」と話し、園田氏は「先生に質問できる時間は限られていて、一度聞いただけでは理解できないことも多い。自宅などでゆっくりアプリを使い、繰り返し回答を確認できれば、自分の中で咀嚼しながら正しい情報を理解できるのではないか」と期待を寄せた。 ブルーカは主治医から「血液による遺伝子検査について」という冊子を渡され、表示されている二次元コードを読み込むと、スマートフォンで利用できる。

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ステロイド漸減中再発のリウマチ性多発筋痛症、サリルマブが有効/NEJM

 グルココルチコイド漸減中にリウマチ性多発筋痛症が再発した患者において、サリルマブ+prednisone漸減投与は、プラセボ+prednisone漸減投与に比べ、持続的寛解の達成とグルココルチコイド累積投与量の減少に有意な有効性を示した。米国・コーネル大学のRobert F. Spiera氏らが、合計118例を対象に行った第III相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Sarilumab in Patients with Polymyalgia Rheumatica (SAPHYR)試験」の結果を報告した。リウマチ性多発筋痛症の患者の半数以上が、グルココルチコイド漸減中に再発する。先行研究では、インターロイキン(IL)-6の阻害がリウマチ性多発筋痛症の治療で臨床的に有用である可能性が示されていた。サリルマブは、ヒトモノクローナル抗体薬で、IL-6受容体αに結合しIL-6経路を効果的に阻害することから、研究グループは、グルココルチコイド漸減中にリウマチ性多発筋痛症が再発した患者におけるサリルマブの有効性と安全性を評価する検討を行った。NEJM誌2023年10月5日号掲載の報告。52週時点の持続的寛解率を比較 SAPHYR試験は、リウマチ性多発筋痛症で、12週間以内にグルココルチコイド療法の漸減中1回以上の再発があり、赤血球沈降速度(ESR)が30mm/時以上、またはC反応性蛋白(CRP)値10mg/L以上だった患者を対象とした。 研究グループは被験者を1対1の割合で無作為に2群に分け、一方にはサリルマブ(200mg用量を月2回、52週間皮下投与)+prednisone(14週間漸減投与)(サリルマブ群)を、もう一方にはプラセボ(月2回、52週間皮下投与)+prednisone(52週間漸減投与)(プラセボ群)をそれぞれ投与した。 主要アウトカムは、52週時点の持続的寛解で、12週までにリウマチ性多発筋痛症の徴候や症状が消失、12~52週にCRP値の正常化が持続し、疾患の再発なし、prednisone漸減が遵守されていることと定義した。52週時点の持続的寛解の達成率、サリルマブ群28%、プラセボ群10% 2018年10月~2020年7月に合計118例が無作為化された(サリルマブ群60例、プラセボ群58例)。このうち治療を受けたのは117例で、サリルマブ群の1例が割り付けられた治療薬の投与を受けなかった。また、治療を完了したのは合計78例(サリルマブ群42例、プラセボ群36例)だった。治療中断理由で最も多かったのは、サリルマブ群は有害事象(7例)、プラセボ群は効果がみられない(9例)。ベースラインでの両群の患者特性は概して類似していた。年齢中央値は69歳、70%が女性であり、リウマチ性多発筋痛症と診断されてからの全期間中央値は300日であった。 52週時点での持続的寛解率は、サリルマブ群28%(60例中17例)、プラセボ群10%(58例中6例)だった(群間差:18ポイント、95%信頼区間:4~32、p=0.02)。 52週時点のグルココルチコイド累積投与量中央値は、プラセボ群2,044mgに対しサリルマブ群777mgと、有意に少なかった(p<0.001)。 プラセボ群と比較してサリルマブ群で頻度が高かった有害事象は、好中球減少症(15% vs.0%)、関節痛(15% vs.5%)、下痢(12% vs.2%)だった。治療関連の投与中止は、プラセボ群よりサリルマブ群でより多く観察された(12% vs.7%)。

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急性脳卒中への遠隔虚血コンディショニングは有効か?/JAMA

 急性脳卒中患者において、四肢虚血と再灌流の一過性サイクルによる遠隔虚血コンディショニング(RIC)を、病院到着前から病院到着後に継続して行っても、90日時点での機能的アウトカムは改善しなかった。デンマーク・オーフス大学病院のRolf Ankerlund Blauenfeldt氏らが、1,500例を対象に行った無作為化比較試験の結果を報告した。これまで、いつくかの有望な前臨床および臨床データが示されてはいたが、RICが急性脳卒中に対して有効な治療法かどうかは依然として不明であった。JAMA誌2023年10月3日号掲載の報告。上肢可動式カフ圧力を救急車内で開始、病院でも継続 研究グループは、2018年3月16日~2022年11月11日に、デンマーク4ヵ所の脳卒中センターで、病院前脳卒中症状が4時間未満の1,500例を対象に無作為化比較試験を行った(最終フォローアップは2023年2月3日)。 被験者の上肢に可動式カフを取り付け、RIC群(749例)はカフ圧力200mmHg以下、対照(シャム)群(751例)は同20mmHgに設定し、5分間のカフ膨張とその後の5分間解放を1サイクルとし5回続けた。救急車内で開始し、病院到着後に少なくとも1回行い、一部の被験者にはその後7日間、1日2回行った。 主要エンドポイントは、90日時点の機能的アウトカム改善で、最終的な診断が虚血性・出血性脳卒中であった被験者を標的集団とし、修正Rankinスケール(mRS)スコア(範囲:0[無症状]~6[死亡])の変化で評価した。90日時点のmRSスコア中央値、RIC群2、対照群1 被験者1,500例の年齢中央値は71歳、591例(41%)が女性で、1,433例(96%)が試験を完了した。このうち149例(10%)が一過性脳虚血発作(TIA)、382例(27%)が脳卒中疑い(stroke mimic)と診断された。残りの902例が標的集団の脳卒中発症者(虚血性脳卒中737例[82%]、くも膜下出血165例[18%])で、RIC群436例、対照群466例だった。 90日時点のmRSスコア中央値は、RIC群が2(四分位範囲[IQR]:1~3)、対照群が1(1~3)であり、RIC治療は90日時点の機能的アウトカム改善と有意に関連していなかった(オッズ比[OR]:0.95、95%信頼区間[CI]:0.75~1.20、p=0.67、mRSスコア中央値の絶対群間差:-1、95%CI:-1.7~-0.25)。 無作為化された全患者において、重篤な有害事象の発現件数に有意な差はなかった。1つ以上の重篤な有害事象が認められたのは、RIC群169例(23.7%)、対照群175例(24.3%)だった(オッズ比[OR]:0.97、95%CI:0.85~1.11、p=0.68)。治療中の上肢の痛みまたは皮膚の紫斑が、RIC群54例(7.2%)、対照群11例(1.5%)で報告された。

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北欧の臨床データベースは堅牢?(解説:後藤信哉氏)

 本研究は、デンマークにおける15~49歳の約200万例の女性の約2,100万人年のデータである。観察期間内に、8,710例に退院時の診断として深部静脈血栓または肺塞栓症が起こっていた。症例を集めてバイアスを排除して、しっかり観察しようとの態度は学ぶべきである。 観察データから仮説の検証は基本的にできない。本研究では、いわゆる避妊ピルとNSAIDsが深部静脈血栓または肺塞栓症に及ぼすインパクトの有無を調べようとしている。多数の交絡因子が寄与するので統計学的モデリングが必要になる。NSAIDsの使用が深部静脈血栓または肺塞栓症を増やすと報告しているが、モデリングの結果なので、あくまでも将来検証すべき仮説を提示したと理解する必要がある。とくに避妊ピルを用いている症例でのNSAIDsの使用が、深部静脈血栓または肺塞栓症の発症と関連しているかもしれない。観察研究は科学研究の第一歩であるが、今後さらなる研究が必須である。

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肥満を合併したEFの保たれた心不全に対するGLP-1受容体作動薬の効果―STEP-HFpEF試験(解説:加藤貴雄氏)

 週1回、2.4mgのセマグルチド皮下注射(GLP-1受容体作動薬)は、長期体重管理薬として承認されており、過体重または肥満の患者において大幅な体重減少をもたらし、心代謝リスク因子に良好な影響を及ぼすことがこれまでに示されている(Wilding JPH, et al. N Engl J Med. 2021;384:989-1002., Kosiborod MN, et al. Diabetes Obes Metab. 2023;25:468-478.)。 今回、ESC2023で発表され、NEJM誌に掲載されたSTEP-HFpEF試験は、BMI≧30.0kg/m2で心不全症状(NYHA class II-IV)があり、かつ、左室駆出率(LVEF)≧45%で、糖尿病の既往がない患者を対象に、週1回のセマグルチド(2.4mg)またはプラセボを52週間投与した二重盲検無作為割り付け試験である。主要評価項目は、心不全患者のQOLを評価する指標であるカンザスシティ心筋症質問票(KCCQ)の点数のベースラインからの変化と体重のベースラインからの変化。副次評価項目に、複合心血管イベント、6分間歩行距離やCRPの変化が設定されていた。 結果は、セマグルチド投与群でKCCQの点数の改善を認め、体重はセマグルチド投与群 -13.3%、プラセボ群-2.6%と有意な低下、6分間歩行距離は21.5m改善と1.2m改善、CRPの低下も-43.5%と-7.3%であり、また、探索的に設定されたNT-proBNPも-20.9%と-5.3%(ぞれぞれ、セマグルチド投与群・プラセボ群)であった。以上の結果から、心不全のサロゲートマーカーの改善を伴って、体重減少・自覚症状の改善・6分間歩行距離の延長が得られており、CRPの減少など内臓脂肪の減少を示唆する機序も推測される結果であった。 多彩な表現型を持つHFpEFであるが、1つの表現型(肥満+HFpEF)の患者群に有用性が示唆される結果である。今後の、アウトカム研究の結果が待たれるところである。本研究の平均BMIは37kg/m2であった。WHOの肥満の基準が組み入れ基準のBMI≧30.0kg/m2であるが、日本人の肥満の基準が25kg/m2であり、本試験を日本の臨床に当てはめた場合、どのくらいの肥満のHFpEF患者に有効な可能性があるかについても、研究が待たれるところである。

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交通事故診療における後遺障害診断書の記載法

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。整形外科医の濱口 裕之です。今回は交通事故診療のキモと言える診断書の書き方をお伝えしましょう。交通事故の診断書は本当にうっとうしい…。そのように感じている方が多いと思います。何を隠そう、私もその1人。毎月やって来る自賠責様式の診断書に加えて、最後には後遺障害診断書という大物(?)が控えています。日常診療が忙しいと、思わずやっつけ仕事で診断書を作成してしまいそうですね。しかし、ちょっと待ってください。診断書の記載内容次第では、患者さんの運命を大きく変えてしまう可能性があります。運命を変えるってそんな大袈裟な…。しかし、自賠責保険の後遺障害等級審査は醜状を除くと書類審査のみで、どんなに重い後遺症があっても本人を直接診ることはありません。しかも、参考にするのは以下の資料のみ。いかに医師が作成する診断書の影響が大きいかを理解してもらえることでしょう。診断書後遺障害診断書診療報酬明細書(レセプト)画像検査結果交通事故証明書、車両の修理費用明細などこれらの資料の中でも後遺障害診断書や診断書は、画像検査結果とならんで最も重視される資料です。後遺障害診断書や診断書の記載内容によって、後遺障害等級が審査されます。注意して記載しないと、患者さんにトンデモない不利益を与えてしまうのです。自賠責様式の診断書の記載法毎月提出する自賠責様式の診断書は非常にシンプルな形式です。この診断書で注意するべき点は傷病名(図1赤枠)です。交通事故では、たくさんの傷病名が付けられる症例が多いです。傷病名が4個以上になると記載するのが億劫になりますね。このため、あまり重要そうでない傷病名は記載しなくてもよいかなと思いがちです。しかし、傷病名を省略すると、後々患者さんに大きな不利益を与えてしまう原因になりかねません。自賠責保険は「いつから」「どの部位」の治療を開始しているのかを重要視します。いくら患者さんが痛みを訴えていても、毎月提出する自賠責様式の診断書に傷病名が記載されていないと「なかった」ことにされてしまいます。このため、診察した部位の傷病名はすべて記載する必要があります。もう1つの注意点は「症状の経過・治療の内容および今後の見通し」の欄です。この欄には、身体所見や画像検査結果をシンプルに記載しましょう(図1青枠)。一方「症状は軽快している」などの表現はできるだけ避けるべきです。その理由は、自賠責保険が「症状は軽快している=後遺症はない」と判断するからです。ほとんどの症例は経時的に症状が軽快するので、このように記載しても問題なさそうに思えます。しかし、自賠責保険は言葉尻をとらえて非該当にするため注意が必要です。図1 自賠責様式の診断書画像を拡大する後遺障害診断書の記載法後遺障害診断書記載の注意点も自賠責様式の診断書と同じです。傷病名は1つ残さず記載するようにしましょう。仮に毎月提出する診断書に傷病名を記載していても、肝心の後遺障害診断書に記載されていなければ、後遺障害審査の俎上に載りません。後遺障害診断書では関節機能障害(図2赤枠)の記載も重要です。自賠責保険では関節可動域は他動運動での計測が原則です。自動運動が採用されるのは麻痺や腱断裂のみです。高度の痛みを訴える症例では自動運動が採用されるそうですが、私もほとんど経験がありません。傷害内容の増悪・緩解の見通し欄(図2青枠)の記載にも注意しましょう。この欄は最後に記載する部分ですが、最もトラブルが発生しやすいです。この欄では「症状固定と考える」と記載しましょう。間違っても「改善の見込みあり」などと記載してはいけません。もし改善の見込みありと記載すると、患者さんは後遺障害にほとんど認定されません。自賠責保険は言葉尻をとらえます。症状が改善するのであれば後遺障害ではないと揚げ足を取られてしまうのです。そもそも後遺障害診断書を作成するのは、治療によっても症状の改善が得られなくなった時点です。このため、改善の見込みがあれば症状固定ではありません。まだ後遺障害診断書を作成するべきではないのです。図2 後遺障害診断書画像を拡大する

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第182回 アイン、「敷地内薬局」入札妨害事件が問うもの(前編) 2016年解禁以降、出店攻勢続ける調剤チェーン、規模拡大の先には何が?

調剤薬局最大手、アインファーマシーズの社長ら3人逮捕、起訴こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。MLBはポストシーズン真っ盛りです。ただ、日本人選手には厳しい状況が続いています。地区シリーズに駒を進めたミネソタ・ツインズの前田 健太投手は、ヒューストン・アストロズ戦初戦の2番手で登板するも2回4安打2失点とピリッとしませんでした。もう一人残る、ボルチモア・オリオールズの藤浪 晋太郎投手(最近なぜか顎をケガしていました)は、地区シリーズに向けたロースター(登録選手)から外れてしまいました。しかもオリオールズは2連敗して後がない状況です。今季、もう登板がないまま終わってしまうかもしれません。ポストシーズンで160キロの球を投げる藤浪を観たかったのですが……。さて、今回は最近何かと話題の敷地内薬局について書いてみたいと思います。「アイン薬局」を全国で展開する調剤薬局最大手、アインファーマシーズ(札幌市白石区)の社長ら3人が、KKR(国家公務員共済組合連合会)の病院の敷地内薬局の入札を巡り、公契約関係競売入札妨害の罪で逮捕され、起訴されました。「懸念していたことが起きたのは残念」(日本薬剤師会・山本 信夫会長)というように、敷地内薬局反対論者が勢いづき、来年の診療報酬・調剤報酬改定にも影響が出そうな気配です。しかし、一方で、昔のような“院内”薬局として機能しているならば保険指定は不要では、といった極端な意見も出てきています。今回の事件で敷地内薬局が改めて脚光を浴びたことで、病院の薬局・薬剤師の存在意義にまで目が向けられるかもしれません。KKR札幌医療センターが発注した敷地内薬局設置事業の入札を不正に妨害アインファーマシーズの事件を、各紙報道などを基に簡単におさらいしておきます。札幌市のKKR札幌医療センターが2020年12月に発注した敷地内薬局設置事業の入札を不正に妨害したとして、北海道警は8月31日、調剤薬局を展開するアインホールディングスの子会社でアインファーマシーズ代表取締役社長の酒井 雅人容疑者、同取締役の新山 典義容疑者、KKR札幌医療センター元事務部長の藤井 浩之容疑者を公契約関係競売入札妨害罪の容疑で逮捕しました。その後、9月21日に札幌地検はこの社長ら3人を札幌地裁に起訴しました。3人の認否は明らかになっていません。起訴状などによると、3容疑者は共謀し、2020年12月、病院内に設ける薬局を選定する公募でアインファーマシーズの親会社、アインホールディングスに優先交渉権を得させるために偽計を用いて公正な入札を妨害した疑いがある、とのことです。アインはすでに企画提案書を提出していましたが、同センター元事務部長の藤井容疑者が他社の提案内容を新山容疑者に漏らし、土地賃料を月額400万円としていた企画提案書を、月額750万円に差し替えて再提出させたとのことです。アインファーマシーズ社長の酒井容疑者は当時からアインホールディングスの常務取締役でもあり、意思決定に関わったとみられています。入札の結果、アインは優先交渉権を得て2021年に敷地内薬局を開局しています。なお、報道等によりますと、藤井容疑者と新山容疑者は共に野球の強豪校である北海高校・硬式野球部のOBだそうです(藤井容疑者のほうが先輩)。ちなみに、アインホールディングスの大谷 喜一代表取締役社長も北海高校硬式野球部OBで現在OB会長、大の野球好きだそうです(かつての札幌ドームもそうでしたが、新しいエスコンフィールドでもアインの看板が結構目立つところにあります)。国家公務員共済組合連合会の職員は「みなし公務員」何故KKR、国家公務員共済組合連合会の病院の事務職が逮捕されるのか?と思われた方もいるでしょう。KKRの職員は公務員ではありませんが、職務内容に公益性や公共性があるとして刑法などの適用において公務員としての扱いを受ける「みなし公務員」と規定されているためです。なお、公契約関係競売入札妨害の刑罰は「3年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金」、または「その両方」となっています。仮に情報の見返りに金品の授受等があった場合、3人は贈収賄罪にも問われることになります。業界トップ企業の幹部が逮捕されたことで、敷地内薬局を運営する他の薬局チェーンの関係者は戦々恐々としているのではないでしょうか。今や大学病院や巨大公立・公的病院ではスタンダードとなってきた敷地内薬局ですが、その“出店競争”において、何社かはアイン同様、違法スレスレの手法を取ってきたに違いないからです。位置付けがコロコロ変わってきた敷地内薬局敷地内薬局は、文字通り病院の敷地内に開設した外部事業者の薬局のことです。医薬分業の進展とともに、その位置付けはコロコロ変わってきました。敷地内薬局が認められたのは2016年のことですが、それまで20年近く禁止されていました。ただ、そのまた前は、病院の敷地内や建物に薬局を附設すること自体は禁止されていませんでした。そのあたりの事情は少々複雑です。1970年代半ばころから医薬分業推進が言われるようになると、医療機関のMS法人が作った、いわゆる「第二薬局」が急増。医療機関が処方箋料と調剤報酬を“二重取り”(薬価差も含めれば三重取り)していることなどが問題視され、薬局の医療機関からの独立性に関する通知や省令改正が度々行われてきました。禁止が決定的となったのは、1996年、薬局が病院から「経済的、機能的、構造的」に独立している要件を、厚生省が具体的に規定してからです。「公道をまたぐ必要がある」など厳格なルールが設けられたことでそれまでの敷地内薬局は姿を消し、道を挟んだ敷地外の「門前薬局」が主流となっていきました。患者の利便性を求める政府の規制改革会議による答申を受けて2016年に解禁そうした流れが再び大きく変わったのが、2016年です。患者の利便性を求める政府の規制改革会議による答申を受け、薬局の経営の独立性確保を前提として、厚労省は2016年10月から公道をまたがない敷地内薬局を実質的に認める方針に転じました。処方箋を受け取った患者の囲い込みという点では、それまでの「門前薬局」と比べて圧倒的に有利であったことから、調剤薬局チェーン各社は敷地内薬局開設に力を入れ始め、出店競争も激化していきました。アインホールディングスもその流れに乗り、積極的に敷地内薬局を開設しました。東京大学医学部附属病院をはじめ、大学病院や基幹病院敷地内への積極的に出店を続けており、アインの敷地内薬局は2023年4月時点で約80店、今後も20店以上の出店を予定しているとのことです。一方、国公立大学病院や公的・公立病院も、増改築時や新築移転時などに敷地内薬局の開設を計画するケースが増えました。病院にとっては、敷地内薬局に病院の薬局に準じた役割を担ってもらうことで、病院薬剤師を効率的に配置したり、医薬品の院内在庫や購入費の圧縮などが実現できるからです。また、敷地内薬局から入るテナント料も大きな魅力となっているようです。「医療機関と敷地内薬局との関係性が、結果的に健康保険事業の健全な運営の確保に支障をきたすことに繋がる」と日薬当然ながら、日本薬剤師会は調剤薬局チェーンが幅を利かせる敷地内薬局の隆盛を苦々しく思っていました。薬局の経済的な独立性などに疑義が生じる事例が全国で多数存在している、として2021年には2016年から続く運用ルールを見直す要望書を国へ提出しています。今回の事件を受け、日本薬剤師会は9月14日にコメントを発表。その中で、「日本薬剤師会が医療機関敷地内に薬局の開設もしくは保険指定を認めるべきでないと主張してきた最も大きな理由は、当該医療機関と敷地内薬局との関係性が、結果的に健康保険事業の健全な運営の確保に支障をきたすことに繋がる、または、そのような問題をはらんでいることを懸念していたから(中略)。今回のような事件が起きてしまったという事実は、現場で懸命に働く薬剤師や事務職員はもちろん、関係者に大きな不安や影響を与えるものであり、同時に、患者や関係者の信頼を裏切ることにもなりかねず、誠に遺憾」と、事件を厳しく批判しました。さらに、9月16日に発表した同会の2023年度政策提言では、敷地内薬局は「適正な医薬分業の推進・定着を阻害する」として、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則において明確な基準を設けるとともに、新規・更新申請の際の保険指定の拒否や薬局開設に係る薬事規制等の在り方について検討するなど、適正な措置を講じるべき」としています。敷地内薬局は「適正な医薬分業の推進・定着」を阻害してきたか?従来からの日本薬剤師会の論調ですが、私自身はこの論には少々疑問を感じます。本当に敷地内薬局は「適正な医薬分業の推進・定着」を阻害してきたのでしょうか?医薬分業というと処方箋のダブルチェックや服薬指導などが言われますが、敷地内薬局だからといってそれができないということはありません。少なくとも、利用者からは敷地内になったから「不便になった」、「危険になった」という声は上がっていません。そのあたりに、日本薬剤師会のおごりを少々感じます。一方、2016年の解禁以降、敷地内薬局の出店攻勢続けてきた調剤チェーンですが、彼らは、闇雲に規模拡大を進めた先にあるかもしれない“風景”について想像してみたことはあるのでしょうか。敷地内薬局が算定する調剤報酬(特別調剤基本料)は、診療報酬改定で減点され続けています。そして、2024年度診療報酬改定に向けての中央社会保険医療協議会議論でも、敷地内薬局に対してかなり厳しい意見が診療側、支払側の双方から出されています。今回の事件と敷地内薬局の是非や必要性については切り分けて考える必要があるでしょうが、世の中では敷地内薬局に対する逆風が強まっているのです(この項続く)。

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アトピー性皮膚炎の成人・小児は炎症性腸疾患のリスク高

 アトピー性皮膚炎(AD)の小児および成人は、炎症性腸疾患(IBD)のリスクが高く、そのリスクは年齢、AD重症度、IBDの種類によって異なることが、米国・ペンシルベニア大学医学大学院のZelma C. Chiesa Fuxench氏らによる住民ベースのコホート研究で明らかにされた。これまで、ADとIBDの関連に関するデータは一貫性がなく、ADまたはAD重症度と潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)リスクとの関連を個別に検討した研究はほとんどなかった。著者は、「今回示された所見は、ADとIBDの関連について新たな知見を提供するものである。臨床医は、とくにADと消化器症状が合併する可能性がある患者に対してADの全身治療を行う際に、これらのリスクに留意する必要がある」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年8月30日号掲載の報告。小児アトピー性皮膚炎患者に潰瘍性大腸炎のリスク増大はみられなかった 研究グループは、住民ベースのコホート研究を実施し、小児および成人のアトピー性皮膚炎患者における炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病の新規発症リスクを調べた。AD患者1例に対し、背景因子をマッチングさせた対照を最大5例組み込んだ。AD重症度は治療の内容に基づき判断した。 AD患者および対照の情報は、英国の電子医療記録データベースHealth Improvement Networkの1994年1月1日~2015年2月28日のデータより取得し、2020年1月8日~2023年6月30日にデータ解析を行った。注目したアウトカムは、IBD、UC、CDの発症であった。ロジスティック回帰法を用いて、ADの小児および成人と対照を比較して、それぞれの発症リスクを調べた。 アトピー性皮膚炎患者における炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病の新規発症リスクを調べた主な結果は以下のとおり。・小児コホートは、小児AD患者40万9,431例(軽症93.2%、中等症5.5%、重症1.3%)と、背景因子をマッチングさせた小児対照180万9,029例から構成された。年齢中央値は4~5歳(範囲:1~10歳)であり、男児が多く(対照93万6,750例[51.8%]、軽症ADが19万6,996例[51.6%]、中等症ADが1万1,379例[50.7%]、重症ADが2,985例[56.1%])、社会経済的状況は同様であった。・成人コホートは、成人AD患者62万5,083例(軽症65.7%、中等症31.4%、重症2.9%)と、背景因子をマッチングさせた成人対照267万8,888例から構成された。年齢中央値は45~50歳(範囲:30~68歳)であり、女性が多かった(対照144万5,589例[54.0%]、軽症ADが25万6,071例[62.3%]、中等症ADが10万9,404例[55.8%]、重症ADが1万736例[59.3%])。・完全補正後モデルにおいて、小児AD患者はIBDリスクが44%高く(ハザード比[HR]:1.44、95%信頼区間[CI]:1.31~1.58)、CDのリスクは74%高かった(同:1.74、1.54~1.97)。それらのリスクはADの重症度が高いほど増大した。・一方で、小児AD患者において、UCのリスク増大はみられなかった(HR:1.09、95%CI:0.94~1.27)。ただし、重症AD例ではリスクが高かった(同:1.65、1.02~2.67)。・成人AD患者は、IBDリスクが34%高く(HR:1.34、95%CI:1.27~1.40)、CDリスクは36%高く(同:1.36、1.26~1.47)、UCリスクは32%高かった(同:1.32、1.24~1.41)。それらのリスクはADの重症度が高いほど増大した。

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レビー小体病のバイオマーカーとして期待される「脂肪酸結合タンパク質」

 高齢人口の世界的な増加は、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(DLB)などの認知症や運動機能障害といった、加齢に伴う疾患の増加につながる。これらの障害に関連するリスク因子の正確な予測は、早期診断や予防に非常に重要であり、バイオマーカーは疾患の診断やモニタリングにおいて重要な役割を担う。α-シヌクレイノパチーなどの神経変性疾患では、特定のバイオマーカーが疾患の有無や進行を示す可能性がある。 東北大学の川畑 伊知郎氏らは、これまでの研究でα-シヌクレイノパチーにおける脂肪酸結合タンパク質(FABP)の病原性の影響を実証しており、本試験では、FABPがレビー小体病の潜在的なバイオマーカーとなりうるかを調査した。その結果、FABPは、レビー小体病の潜在的なバイオマーカーとして機能し、疾患の早期発見や鑑別の一助となる可能性が示唆された。International Journal of Molecular Sciences誌2023年8月26日号の報告。 AD、PD、DLB、軽度認知障害(MCI)それぞれの患者群、健康対照(CN)群において、FABPの血漿レベルを測定した。主な結果は以下のとおり。・FABP3の血漿レベルはすべての群で増加が認められたが、FABP5およびFABP7のレベルはAD群で低下傾向が認められた。・FABP2のレベルは、PD群で上昇していた。・相関分析では、高いFABP3レベルは、認知機能低下と関連していることが示唆された。・タウ、GFAP、NF-L、UCHL-1の血漿中濃度は、認知機能低下との相関が認められた。・疾患の鑑別にスコアリング法を適用すると、MCI vs.CN、AD vs.DLB、PD vs.DLB、AD vs.PDの高精度な鑑別が実証された。

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