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英語で「めまいがします」は?【1分★医療英語】第88回

第88回 英語で「めまいがします」は?Could you describe what you mean by feeling dizzy?(めまいがするというのはどのような感じか説明してもらえますか?)It’s like the room is spinning. (部屋が回っているような感じがします)《例文1》I feel dizzy when I move my head. (頭を動かすとめまいがします)《例文2》I have had a spinning sensation since this morning.(今朝からぐるぐる回るような感覚があります)《解説》「めまい」に関する訴えは英語でもさまざまな表現があります。代表的なものは「めまいがする」という意味の“to feel dizzy”ですが、「部屋が回っているような感じがする」という意味になる“I have a spinning sensation”、“ I feel like the room is spinning”などという訴えもよく聞かれます。また、単に「ぐるぐるする感覚がある」という意味で、“to feel giddy”などの表現も使われます。たとえば、“I felt a bit giddy when I got out of bed this morning.”(今朝ベッドから出た時に、少しぐるぐるする感覚がありました)となります。そのほか、同じような状況で使われる表現として、「気が遠くなる感じがする」や「気を失いそうになる感じがする」というのは、“I feel faint”、“ I have a lightheadedness”などと表現します。また、バランスを失いそうになる感覚がある時には“I feel woozy”という言い方があり、めまい感を表現する時にもよく使われます。講師紹介

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第171回 米国でフル承認のアルツハイマー病薬lecanemabの患者負担のほどは?

病状進行を抑制し、認知機能や日常生活機能の低下を遅らせることが第III相試験(Clarity AD)で裏付けられたことを受けて、エーザイとバイオジェンのアルツハイマー病薬lecanemab(商品名:LEQEMBI)が米国で晴れて承認されました1,2,3)。これまでは取り急ぎの承認でしたが、今回フル承認(traditional approval)に至ったことで同国政府の公的保険メディケアの支払対象になる道が開けます4)。メディケアの受給者は65歳以上の高齢者です。ゆえに、高齢者に多いアルツハイマー病の治療のほとんどはメディケアの支払い対象となります。lecanemabの取り急ぎの承認が不動になったら、医師が治療の経過を記録して提出することを条件に同剤の費用を負担するとメディケアは先月発表しています。ただし全額負担ではありません。同剤の薬価は1年当たり2万6,500ドル(約378万円)です。メディケアは同剤の費用の約80%を支払います。残りの20%ほどを患者は自腹か何らかの手段で捻出する必要があります。米国のもう1つの公的保険メディケイドの受給対象でもある一部の低所得の患者は自己負担が一切なく同剤を使えますが、保険がメディケアだけという患者の同剤使用の1年あたりの自腹出費は6,600ドル(約94万円)にも達します5,6,7)。その額はメディケア受給者の所得中央値の5分の1ほどに相当します。日本でlecanemabは今年1月16日に承認申請されて承認審査段階にあります。今回の米国フル承認までのFDAの扱いと同様に国内でも優先審査されており、間もなく9月までには承認される見込みです。いわゆる“太り過ぎ”レベルのBMIのほうがむしろ死亡率が低い話は変わって肥満未満の太り過ぎの人の死亡率は高くなく、どちらかというとむしろ低いことを示した試験結果を紹介します。試験では米国の成人約50万人を体重指標BMIで9つに区切って中央値9年(0~20年)の経過を比較しました。その結果、BMIが30以上で肥満の域の人では適正とされるBMI範囲(22.5~24.9)の人に比べてさすがに死亡率が高かったものの、肥満域未満の太り過ぎの範囲のBMIの人の死亡率は高くありませんでした8)。BMIが肥満の域に達していない範囲で高い人の死亡率はむしろ低く、BMIが25~27.4の人の死亡率はBMIが22.5~24.9の人より5%低いことが示されました9)。BMIが肥満域により近い27.5~29.9の人はなんともっと死亡率が低く、22.5~24.9の人の死亡率を7%下回りました。病気が原因の体重減少の影響を排除することを目的として追跡開始2年以内の死亡例を除外して解析しても同様の結果となりました。目下の分類で太り過ぎの域にあるBMIの人がそれ以下のBMIの人に比べてより健やかと今回の結果をもって結論するのは時期尚早であり、さらなる検討が必要です。今回の結果から言えることは、BMIは死亡率のうってつけの指標というわけではなさそうということであり、脂肪の体内分布などの他の指標の考慮も必要なようです9,10,11)。カロリー制限時の代謝低下を防ぐホルモンを同定太っていることを一概に不健康と決めつけることはできませんが、体重を減らすことは病気治療の有効な手段の1つでもあります。たとえば、食事のカロリーを抑えて体重を減らすことは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)治療の有効な手立ての1つですし、2型糖尿病患者のインスリンの効きを良くする効果もあります。しかし多くの人の体重減少はたいてい長続きしません。エネルギー消費を抑えるように体が順応してしまうことがその一因ですが、その順応の仕組みはこれまでよくわかっていませんでした。GDF15というホルモンを高脂肪食のネズミに与えると肥満が減り、GDF15の受容体であるGFRALを介した摂食(あるいは食欲)抑制のおかげで血糖値推移が改善することが先立つ研究で知られています。エネルギー消費を抑えてしまう順応をそのGDF15が食い止め、カロリー制限中でもエネルギー消費が維持されるようにする働きを担うことがカナダ・マクマスター大学のチームによる研究で示されました12)。GDF15を与えたマウスの体重は摂取カロリーが同じのGDF15非投与マウスに比べて減り続け、その作用は脂肪ではなく筋肉でのエネルギー消費亢進によることが判明しました。人ではどうかを今後の研究で検証する必要があります。人でのGDF15の働きを調べることで食事に気を付けても体重がなかなか減らない人に有益な手立てをやがて生み出せるかもしれません13)。また、肥満治療として注目を集めるGLP-1標的薬との相乗効果も期待できそうです。今回の研究には肥満治療のGLP-1標的薬を他に先駆けて世に送り出したNovo Nordiskが協力しています。参考1)「LEQEMBI®」(レカネマブ)、アルツハイマー病治療薬として、米国FDAよりフル承認を取得 / エーザイ2)FDA Converts Novel Alzheimer's Disease Treatment to Traditional Approval / PRNewswire3)FDA Grants Traditional Approval for LEQEMBI? (lecanemab-irmb) for the Treatment of Alzheimer's Disease / PRNewswire4)US FDA grants standard approval of Eisai/Biogen Alzheimer's drug / Reuters5)Annual Medicare spending could increase by $2 to $5 billion if Medicare expands coverage for dementia drug lecanemab / UCLA Health6)Explainer: Who is eligible for the new FDA-approved Alzheimer's drug? / Reuters7)Arbanas JC, et al. JAMA Intern Med. 2023 2023 May 11. [Epub ahead of print]8)Visaria A, et al. PLoS One. 2023;18:e0287218. 9)Having an 'overweight' BMI may not lead to an earlier death / New Scientist10)‘Overweight’ BMI might be set too low / Nature11)No increase in mortality for most overweight people, study finds / Eurekalert12)Dongdong Wang D, et al. Nature. 2023;619:143-150.13)Having an 'overweight' BMI may not lead to an earlier death / New Scientist

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減量効果が大きいのは?時間制限食vs.カロリー制限食

 摂取カロリーを制限しない時間制限食は、人気のある減量法となっているが、その有効性のエビデンスは限られている。とくに、長期の影響については明らかになっていない。そこで、米国・イリノイ大学シカゴ校のShuhao Lin氏らは無作為化比較試験を実施し、時間制限食の効果について、カロリー制限食や食事制限なしと比較した。その結果、時間制限食とカロリー制限食はいずれも体重を減少させたが、両者に有意差は認められなかった。本研究結果は、Annals of Internal Medicine誌オンライン版2023年6月27日号で報告された。 本研究の対象は肥満(BMI 30~50)の成人90例であった。対象を時間制限食群(摂取カロリー制限なし、食事は12~20時に制限[16時間絶食])、カロリー制限食群(1日の摂取カロリーを25%削減)、制限なし群(絶食時間は14時間未満)の3群に割り付けた。試験は非盲検で実施され、6ヵ月の減量期間と6ヵ月の維持期間で構成された。評価項目は、試験開始から12ヵ月後までの体重変化、摂取カロリーの変化などであった。 主な結果は以下のとおり。・77例が試験を完遂した。・平均年齢は40歳、黒人が33%、ヒスパニック系が46%であった。・カロリー摂取量の平均変化量は、時間制限食群-425kcal/日、カロリー制限食群-405kcal/日であった。・12ヵ月後の制限なし群と比較した体重変化量は、時間制限食群-4.61kg(95%信頼区間[CI]:-7.37~-1.85、p≦0.01)カロリー制限食群-5.42kg(同:-9.13~-1.71、p≦0.01)であり、両群ともに制限なし群と比較して有意に体重が減少したが、両群間には有意差は認められなかった。

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ワクチン別、デルタ/オミクロン期の重症化抑制効果/BMJ

 米国退役軍人の集団において、デルタ株およびオミクロン株の優勢期で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染して30日以内の人を対象に、ワクチン接種の回数や種類と、入院や死亡などの重症アウトカムとの関連性を調べた後ろ向きコホート研究が、米国・Lieutenant Colonel Charles S. Kettles VA Medical CenterのAmy S. B. Bohnert氏らにより実施された。本研究の結果、ワクチンの種類にかかわらず、未接種者よりも接種者のほうが重症化率や死亡率の低下が認められた。また、mRNAワクチンに関しては、ファイザー製よりもモデルナ製のほうが高い効果が得られることが示唆された。BMJ誌2023年5月23日号に掲載の報告。 本研究の対象となったのは、デルタ株流行期(2021年7月1日~11月30日)およびオミクロン株流行期(2022年1月1日~6月30日)において、SARS-CoV-2感染が初めて記録された退役軍人会に所属する18歳以上の27万9,989例で、平均年齢59.4歳(SD 16.3)、男性87%であった。なお、対象者は試験登録以前の18ヵ月以内にプライマリケアを受診していない人に限られた。対象者が接種した新型コロナワクチンは、ファイザー/ビオンテック製(BNT162b2)、モデルナ製(mRNA-1273)、ヤンセンファーマ/ジョンソン・エンド・ジョンソン製(Ad26.COV2.S)のいずれかで、異なる種類のワクチンの組み合わせは除外した。主要評価項目は、SARS-CoV-2陽性判定から30日以内での入院、ICU入室、人工呼吸器の使用、死亡とした。 主な結果は以下のとおり。・デルタ株流行期では、9万5,336例が感染し、47.6%がワクチン接種を1回以上受けていた。2回接種は3万5,994例(37.8%)、3回接種は1,691例(1.8%)。・オミクロン株流行期では18万4,653例が感染し、72.6%がワクチン接種を1回以上受けていた。2回接種は5万6,911例(30.8%)、3回接種は5万6,115例(30.4%)。・デルタ株流行期では、mRNAワクチン2回接種は、ワクチン未接種と比較して、重症アウトカムの発生率低下と関連していた。入院 調整オッズ比(OR):0.41(95%信頼区間[CI]:0.39~0.43)、ICU入室 OR:0.33(95%CI:0.31~0.36)、人工呼吸器 OR:0.27(95%CI:0.24~0.30)、死亡 OR:0.21(95%CI:0.19~0.23)。・オミクロン株流行期では、mRNAワクチン2回接種は、ワクチン未接種と比較して、重症アウトカムの発生率低下と関連していた。入院 OR:0.60(95%CI:0.57~0.63)、ICU入室 OR:0.57(95%CI:0.53~0.62)、人工呼吸器 OR:0.59(95%CI:0.51~0.67)、死亡 OR:0.43(95%CI:0.39~0.48)。・さらに、オミクロン株流行期でmRNAワクチン3回接種は、2回接種と比較して、入院OR:0.65(95%CI:0.63~0.69)、ICU入室 OR:0.65(95%CI:0.59~0.70)、人工呼吸器 OR:0.70(95%CI:0.61~0.80)、死亡 OR:0.51(95%CI:0.46~0.57)となり、すべてのアウトカムの発生率低下と関連していた。・ヤンセン製ワクチンは、ワクチン未接種と比較して転帰が良好であったが(オミクロン期における入院 OR:0.70[95%CI:0.64~0.76]、ICU入室 OR:0.71[95%CI:0.61~0.83])、mRNAワクチン2回投与と比較して、入院およびICU入室の発生率が高かった(オミクロン期における入院 OR:1.16[95%CI:1.06~1.27]、ICU入室 OR:1.25[95%CI:1.07~1.46])。・ファイザー製ワクチンは、モデルナ製ワクチンと比較して、より悪いアウトカムと関連している傾向が示された。オミクロン期で3回接種の場合、入院 OR:1.33(95%CI:1.25~1.42)、ICU入室 OR:1.21(95%CI:1.07~1.36)、人工呼吸器 OR:1.22(95%CI:0.99~1.49)、死亡 OR:0.97(95%CI:0.83~1.14)。・オミクロン株流行期でmRNAワクチン接種を3回受けた人では、最後のワクチン接種からの期間が7~90日よりも91~150日のほうが、より悪いアウトカムと関連していた。入院 OR:1.16(95%CI:1.07~1.25)、死亡 OR:1.31(95%CI:1.09~1.58)。 著者らは、「重症アウトカムを起こした患者の割合は、デルタ期よりもオミクロン期のほうが低かったが、ワクチン接種のステータスと結果については、2つの期間で同様のパターンが観察された。この結果は、治療薬がより普及していても、新型コロナの感染予防だけでなく重症化や死亡リスクを低減するための重要なツールとして、ワクチン接種が引き続き重要であることを裏付けている」とまとめている。

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思春期うつ病と脂質異常症との関連

 小児期および思春期のうつ病患者は、若年性心血管疾患(CVD)リスクが上昇するといわれている。思春期うつ病患者において、CVDの重要なリスクファクターである脂質異常症の兆候が認められているかは、よくわかっていない。カナダ・Sick Kids Research InstituteのAnisa F. Khalfan氏らは、思春期うつ病患者における脂質異常症の有病率を調査した。その結果、思春期うつ病患者の脂質異常症レベルは、健康対照群と同レベルであった。うつ病の経過とともに出現する脂質異常症のタイミングや思春期うつ病患者のCVDリスク増加に関連するメカニズムを明らかにするためには、今後の研究において、うつ症状と脂質関連検査値の軌跡を調査することが求められる。Journal of Affective Disorders誌2023年10月号の報告。うつ病重症度とHDLコレステロールの高さに関連が認められた 精神科クリニック外来および地域社会より募集した若者を、診断後にうつ病群または健康対照群に分類した。HDLコレステロール(HDL-C)、LDLコレステロール(LDL-C)、トリグリセライド(TG)濃度などのCVDリスクファクターに関する情報を収集した。うつ病の重症度評価には、小児のうつ病スケールを用いた。うつ病群およびうつ病重症度と脂質濃度との関連を評価するため、重回帰分析を用いた。年齢、性別、標準化されたBMIでモデルの調整を行った。 思春期うつ病患者における脂質異常症の有病率を調査した主な結果は以下のとおり。・対象は243例(女性の割合:68%、平均年齢:15.04±1.81歳)。・うつ病群および健康対照群における脂質異常症(48% vs.46%、p>0.7)、高TG血症(34% vs.30%、p>0.7)のレベルは同程度であった。・未調整モデルでは、思春期うつ病患者におけるうつ病重症度と総コレステロール濃度の高さとの関連が認められた。・共変量で調整した後、うつ病重症度と高HDL-C、低TG/HDL-C比との関連が認められた。

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低再発リスクN1乳がん、局所リンパ節照射なしでも局所再発率低い

 リンパ節転移1~3個(N1)で再発スコアの低い乳がんでは、手術後に局所リンパ節照射(RNI)を受けなかった患者においても局所再発(LRR)の発生率が低かったことが、第III相SWOG S1007試験の2次解析で示された。米国・エモリー大学のReshma Jagsi氏らが、JAMA Oncology誌オンライン版2023年7月6日号に報告。 SWOG S1007試験は、1~3個のリンパ節転移を有するオンコタイプDX乳がん再発スコア25以下のホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんを対象に、内分泌療法単独群と化学療法後に内分泌療法を行う群に無作為に割り付けた第III相無作為化試験である。この2次解析として、4,871例の放射線治療情報を前向きに収集し、RNI実施割合、LRR発生率および予測因子、局所療法と無浸潤疾患生存(iDFS)との関連(閉経状態、治療、再発リスクスコア、腫瘍の大きさ、転移巣、腋窩手術で調整)を調査した。 主な結果は以下のとおり。・放射線治療情報のある4,871例(年齢中央値:57歳、範囲:18~87歳)中、3,947例(81.0%)が放射線治療を受けていた。放射線治療を受け、標的の完全な情報が得られた3,852例中2,274例(59.0%)がRNIを受けた。・追跡期間中央値6.1年で、LRRの5年累積発生率は、乳房温存手術とRNIを伴う放射線治療を受けた患者では0.85%、乳房温存手術とRNIを伴わない放射線治療を受けた患者では0.55%、乳房切除術後に放射線治療を受けた患者では0.11%、乳房切除術後に放射線治療を受けなかった患者では1.7%であった。化学療法なしの内分泌療法群でも同様にLRR率は低かった。・RNIによるiDFS率の差はみられなかった(閉経前でのハザード比[HR]:1.03、95%信頼区間[CI]:0.74~1.43、p=0.87、閉経後でのHR:0.85、95%CI:0.68~1.07、p=0.16)。

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ホルモン補充療法は認知症の発症と関連するか/BMJ

 更年期のホルモン補充療法の使用経験は、それが55歳以下の時点であっても、あらゆる原因による認知症およびアルツハイマー病の発症と有意な関連があり、投与期間が長くなるほど関連性が増強することが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のNelsan Pourhadi氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年6月28日号で報告された。デンマークのコホート内症例対照研究 研究グループは、デンマークにおける更年期ホルモン療法と認知症との関連を、ホルモン療法の種類、投与期間、年齢別に評価する目的で、全国規模のコホート内症例対照研究を行った(特定の研究助成は受けていない)。 2000年の時点で50~60歳のデンマーク人女性で、認知症の既往歴がなく、更年期ホルモン療法の禁忌もない集団から、2000~18年の期間に認知症を発症した5,589例(年齢中央値70歳[四分位範囲[IQR]:66~73])と、年齢をマッチさせた対照5万5,890例(70歳[66~73])を同定した。 主要アウトカムは、あらゆる原因による認知症の発症(初回診断または認知症治療薬の初回使用で定義)であり、補正後ハザード比(HR)とその95%信頼区間(CI)を算出した。連続投与、周期的投与でも正の相関 ホルモン療法を受けたことがない女性と比較して、エストロゲン-プロゲスチン療法(エストロゲン全身投与、エストロゲン膣内投与、プロゲスチン単独、エストロゲン-プロゲスチン併用療法)を受けた女性は、あらゆる原因による認知症の発症率が高かった(HR:1.24、95%CI:1.17~1.33)。 また、ホルモン療法の期間が長くなるに従ってHRは大きくなり、投与期間が1年以内の場合は1.21(95%CI:1.09~1.35)、12年以上になると1.74(95%CI:1.45~2.10)であった。 連続投与レジメン(HR:1.31、95%CI:1.18~1.46)および周期的投与レジメン(1.24、1.13~1.35)の双方で、エストロゲン-プロゲスチン療法は認知症の発症と正の相関が認められた。 さらに、55歳以下でホルモン療法を受けた女性(HR:1.24、95%CI:1.11~1.40)でも、エストロゲン-プロゲスチン療法と認知症の発症には関連がみられ、65歳以降に発症した遅発型認知症(1.21、1.12~1.30)やアルツハイマー病(1.22、1.07~1.39)に限定しても、同様の知見が得られた。 著者は、「更年期のホルモン療法への曝露は、閉経年齢前後の短期的な使用であっても、すべての原因による認知症およびアルツハイマー病の発症と関連した」とし、「これらの知見が更年期ホルモン療法の認知症リスクへの実際の影響によるものなのか、あるいはホルモン療法を必要とする女性の根本的な素因を反映しているのかを明らかにするには、さらなる研究を要する」と指摘している。

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第155回 史上初の7月に継続するインフルエンザ流行、コロナ禍で免疫低下か/厚労省

<先週の動き>1.史上初の7月に継続するインフルエンザ流行、コロナ禍で免疫低下か/厚労省2.急性期充実体制加算について議論、地域格差や医療体制の影響を懸念/中医協3.2022年度の労災補償状況:精神障害に関する労災、医療・福祉が最多/厚労省4.製薬業界と診療側が対立-薬価と安定供給問題で/中医協5.人件費の高騰やコロナの影響で2022年度の決算は減少、先進医療にも影響/国立大学病院6.返上相次ぐマイナンバー、個人情報保護委員会が立ち入り検査へ/デジタル庁1.史上初の7月に継続するインフルエンザ流行、コロナ禍で免疫低下か/厚労省厚生労働省の発表によると、インフルエンザの流行が史上初めて7月にも続いていることや、コロナ禍による免疫低下が影響している可能性があることが判明した。7月7日に発表された都道府県別のインフルエンザ患者数では、1医療機関当たりの患者数では、鹿児島県が20.07人と最も多く、宮崎県が7.34人、長崎県5.26人、熊本県3.99人と九州で感染が広がっていた。一方、新型コロナウイルスの感染状況では、沖縄県に次いで鹿児島県が全国で2番目に感染者数が多く、数の増加が報告されている。専門家らは、手洗いやうがいなど基本的な対策の徹底を呼びかけている。参考1)2023年7月7日 インフルエンザの発生状況について(厚労省)2)2023年7月7日 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について(同)3)新型コロナ 定点把握で全国2番目 インフルエンザは全国最多(NHK)4)インフルエンザ、史上初めて7月もなお流行…コロナ禍で免疫低下が影響か(読売新聞)2.急性期充実体制加算について議論、地域格差や医療体制の影響を懸念/中医協厚生労働省は、7月6日に中央社会保険医療協議会の入院・外来医療等の調査・評価分科会を開催した。この中で2022年度の診療報酬改定で新設された「急性期充実体制加算」の届け出が42都道府県の病院からあったことを明らかにした。急性期充実体制加算は、急性期一般入院料1の病院が整備する高度で専門的な急性期医療の評価として導入されたもので、急性期一般入院料1の病院の占める割合では、島根県が最も高い割合で取得していた。しかし、5つの県では届け出がなく、地域ごとにばらつきがあると指摘されている。また、総合入院体制加算から急性期充実体制加算への移行に伴って、小児・周産期・精神科入院医療の体制が縮小する可能性が懸念されており、地域医療の影響について、引き続き注視する必要があるとしている。参考1)令和5年度第3回 入院・外来医療等の調査・評価分科会(中医協)2)急性期充実体制加算、42都道府県で届け出 22年9月時点、厚労省集計(CB news)3)総合入院体制加算から急性期充実体制へのシフトで地域医療への影響は?加算取得病院の地域差をどう考えるか-入院・外来医療分科会(Gem Med)3.2022年度の労災補償状況:精神障害に関する労災、医療・福祉が最多/厚労省厚生労働省が公表した2022年度の労災補償状況によると、精神障害に関する労災の請求件数と支給決定件数では「医療、福祉」が最も多かったことが明らかになった。精神障害に関する労災の請求件数は2,683件で、そのうち「医療、福祉」が624件と最も多く、支給決定件数も「医療、福祉」の164件が最多だった。一方で、過労死ライン未満の事案での労災認定が増加していることも報告された。労働時間以外の要因も考慮する改正基準の影響で、過労死ラインを下回る事案でも認定されるケースが増えたと考えられる。脳・心臓疾患や精神障害に関する労災の認定件数は増えており、労働時間以外の要素も総合的に評価されるようになったことも要因。精神障害の労災認定件数は最も多く、2022年度に2,683件の申請があり、そのうち710件が認定されている。参考1)令和4年度「過労死等の労災補償状況」を公表します(厚労省)2)精神障害の労災請求・支給「医療、福祉」が最多 厚労省が22年度の補償状況を公表(CB news)3)過労死ライン未満、労災認定が増加 基準見直し影響か 精神障害での認定は最多(朝日新聞)4.製薬業界と診療側が対立-薬価と安定供給問題で/中医協厚生労働省は、7月5日に薬価について協議する中央社会保険医療協議会(中医協)の薬価専門部会を開催し、来年度の薬価改定に向けて、本格的な議論に着手した。この中で、製薬業界からは医薬品の安定供給に向けた薬価下支えの充実を求めた。一方、診療側の長島委員からは、後発医薬品の安定供給は企業の品質管理やガバナンスの問題であり、薬価維持だけでは解決しないと指摘。また、森委員も安定供給は当たり前のことで評価すべきではないと述べた。支払側の松本委員も、薬価下落の原因は卸の納品価格の低さであり、薬価差は国民に還元すべきであると主張した。業界側は不採算品再算定や基礎的医薬品の対象範囲拡充などを求め、安定供給を重視した制度改革を訴えた。ただし、診療側と支払側はエビデンスに基づく議論を求め、具体的なデータや長期トレンドの分析を要望した。業界や診療側の意見の食い違いや課題の解決に向けた具体的な方策については、さらなる議論が見込まれる。参考1)中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 議事次第(中医協)2)薬価下支えする仕組み「充実を」日薬連 中医協・部会(CB news)3)中医協 薬価下支え求める業界に診療側「安売りが原因」「安定供給は評価するものでない」厳しい声飛ぶ(ミクスオンライン)5.人件費の高騰やコロナの影響で2022年度の決算は減少、先進医療にも影響/国立大学病院国立大学病院が昨年度、全国の医療機関に医師を派遣し、兼業や副業の形態で医療活動を行っていたことを国立大学病院長会議が明らかにした。しかし、医師の時間外労働に関する規制を受けて、国立大学病院は兼業先を含めた時間外労働が上限を超える医師がいると予想し、規制に対応するための申請を行う予定。一方、国立大学病院全体の2022年度の決算は、経常利益は前期比で336億円減の386億円と減少し、経常利益率も低下していることが明らかになった。収益は215億円増加したものの、人件費や診療経費の増加により費用は552億円増え、経常利益率は2.5%に減少していた。コロナ補助金の影響で赤字にはならなかったものの、光熱費の増加や物価上昇の影響で利益の確保が困難となったためと考えられている。2023年度の見通しでは、コロナ補助金や診療報酬の特例の廃止や働き方改革による費用負担の増加が予想され、事業の継続が困難となってきており、医療機器の更新にも影響が出ており、耐用年数を超えて使用されている資産が多く、先進医療の提供にも影を落とす可能性が指摘された。参考1)国立大、計9,628医療機関に医師派遣 22年度、国立大学病院長会議(CB news)2)国立大学病院、2022年度の経常利益は2.2ポイント減(日経ヘルスケア)6.返上相次ぐマイナンバー、個人情報保護委員会が立ち入り検査へ/デジタル庁デジタル庁によれば、マイナンバーカードの本人希望による返納件数は先月1ヵ月間で約2万件だった。これは平成28年1月以降の7年間での累計返納件数のうちの一部とされ、返納の理由には引っ越しに伴う再発行や在留期間の短縮などが含まれている。河野デジタル大臣は、カードの自主返納がリスク軽減につながるわけではないとし、マイナンバー制度の理解を求めている。また、河野氏は、マイナンバーの誤登録問題に関して、デジタル庁が個人情報保護委員会の立ち入り検査を受ける方針であることを認めた。問題は、公的給付金の受取口座に他人のマイナンバーが登録されたことであり、河野氏は「適切に対応する」と述べた。デジタル庁は問題について報告書を提出し、個人情報保護委員会は詳細な把握を目指して検査を行う予定。また、マイナンバーに関するトラブルに対しても行政指導を検討しているという。参考1)マイナカード 先月の本人希望の返納件数 約2万件 デジタル庁(NHK)2)河野デジタル相「適切に対応」 マイナ巡り立ち入り検査(日経新聞)3)河野太郎デジタル相、マイナカード「自主返納せず確認を」(神奈川新聞)

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第63回 t分布の面積(確率)の求め方は?【統計のそこが知りたい!】

第63回 t分布の面積(確率)の求め方は?今回は、引き続き統計的推定や検定で利用される「t分布」をテーマに説明します。はじめにt分布(t distribution)の面積(確率)の求め方を解説します。t分布の区間における面積(確率)は図1のようにExcelの関数を使って求めることができます。図1■t分布の計算 その1試しに自由度f=8のt分布における区間-0.5~0.5の確率を求めてみましょう。TDIST(x、f、1)によって、xの上側確率(図2A)を算出します。図2x=0~0.5の確率(図2イ)x=0~0.5の確率は、x=0の上側確率とx=0.5の上側確率の差分ですので、それぞれの数値を求めます。x=0の上側確率は、0.5000です(Excel関数「=TDIST(0,8,1)」)。x=0.5の上側確率は、0.3153です(Excel関数「=TDIST(0.5,8,1)」)。よって、x=0~0.5の確率は以下の通りになります。0.5000-0.3153=0.1847…(イ)x=-0.5~0の確率(図2ロ)x=−0.5以下の下側確率(図2B)は、t分布がx=0を基準に左右対称であることを利用して、x=0.5以上の上側確率から求めます。x=-0.5の下側確率は、0.3153です(Excel関数「=TDIST(−0.5,8,1)」)。よって、x=−0.5~0の下側確率は、0.5000-0.3153=0.1847…(ロ)ゆえに、自由度f=8のt分布における区間-0.5~0.5の確率は、(イ)+(ロ)=0.1847+0.1847=0.369■t分布の計算 その2次に図3の自由度f=50のt分布において、横軸の値が-2.01~2.01になる確率を求めてみましょう。先述のその1と同じ考え方で求めます。まず、x=2.01の上側確率を求めると、0.025です(Excel関数「=TDIST(2.01,50,1)」)。x=-2.01の下側確率も同様の手順で(t分布がx=0を基準に左右対称であることを利用して、x=2.01の上側確率から求める)、0.025と求められます(Excel関数「=TDIST(2.01,50,1)」)。以上から自由度f=50のt分布における区間-2.01~2.01の確率は、1-0.025-0.025=0.95ということで95%になります。図3■t分布の上側確率における横軸の値t分布の上側確率における確率変数(横軸)の値は図4のExcel関数で求めることができます。図4では、試に図5のグラフの自由度f=8のt分布の上側確率2.5%における横軸の値を求めてみましょう。図5なお、t分布の自由度f=8の上側確率が0.5%、1%、2.5%、5%、f=1,000の上側確率2.5%のそれぞれの場合のxの値は表の通りとなります。表■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第31回 検定の落とし穴とは?「わかる統計教室」第3回 理解しておきたい検定セクション8 信頼区間による仮説検定セクション9 t値による仮説検定

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事例027 アムロジピン錠の査定【斬らレセプト シーズン3】

解説事例ではレザルタス配合錠HD(一般名:オルメサルタンメドキソミル/アゼルニジピン、以下「配合錠HD」)とアムロジピン錠(一般名同じ)を組み合わせて処方をしたところ、アムロジピン錠がB事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)にて査定となりました。査定の理由を調べるために、まずはアムロジピンの添付文書を参照しました。持続性Ca拮抗薬に分類され、通常5mgを1日1回経口投与する。また、「効果不十分な場合は10mgまで増量できる」と記載されています。とくに、問題は見当たりません。次に、配合錠HDの添付文書を参照しました。高親和性ARB(アンジオテンシンII受容体阻害剤)オルメサルタンメドキソミル20mgと持続性Ca拮抗薬アゼルニジピン16mgの配合薬と記載があります。また、1日最大量はそれぞれ40mgと16mgまで増量可能と記載があります。ARBに対しては、1日最大量以内ですが、アゼルニジピンをみると、配合錠HD1錠に最大量が含まれていることがわかります。したがって、配合剤HDでは効果が不十分であったことを理由にアムロジピン5mgを追加したところ、持続性Ca拮抗薬の1日量上限を超えてしまったことが、査定の理由だと推測できます。薬剤処方システムに対して、同一分類の薬剤処方にはアラートを表示させるように改修し、レセプトチェックシステムにも事例のパターンを登録して査定対策としました。

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レンバチニブ+ペムブロリズマブの腎がん1次治療、4年超でも生存改善を維持(CLEAR)/ASCO2023

 進行期腎細胞がんの1次治療における、レンバチニブ・ペムブロリズマブ併用療法の生存期間延長効果は、長期追跡期間を経ても維持されていたというデータが、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)において、米国・Texas OncologyのThomas E. Hutson氏より発表された。 国際共同非盲検第III相CLEAR試験(KEYNOTE-581)試験の追跡期間中央値4年超の最終結果報告である。・対象:全身薬物治療未実施の進行期淡明細胞型腎細胞がん・試験群:レンバチニブ+ペムブロリズマブ(LenPem群:355例)、レンバチニブ+エベロリムス(357例)・対照群:スニチニブ4週投与2週休薬(Suni群:357例)・評価項目:[主要評価項目]独立画像判定(IIR)による無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]全生存期間(OS)、全奏効率(ORR)、安全性など 2021年、LenPem群の良好なPFS、OSの結果が論文発表されている。今回はLenPem群とSuni群のOS最終解析結果の報告である(追跡期間中央値:LenPem群49.8ヵ月、Suni群49.4ヵ月)。 主な結果は以下のとおり。・OS中央値はLenPem群53.7ヵ月、Suni群が54.3ヵ月、ハザード比(HR)は0.79(95%信頼区間[CI]:0.63~0.99、p=0.0424)と両群間の有意な差を保っていた。24ヵ月OS率はLenPem群が80.4%、Suni群が69.6%、36ヵ月OS率はLenPem群66.4%、Suni群60.2%であった。・試験後の治療として、抗VEGF抗体がLenPem群の45.9%に、Suni群の45.4%に投与されていた。また抗PD-1/PD-L1抗体が使用されていたのはLenPem群15.8%、Suni群54.6%であった。・この後治療の影響を調整したOS中央値は、LenPem群は未到達、Suni群が32.0ヵ月で、HRは0.55(95%CI:0.44~0.69)であった。・IMDCリスク分類別にみたOSのHRは、Favorable risk群で0.94(95%CI:0.58~1.52)、Intermediate+Poor risk群で0.74(95%CI:0.57~0.96)であった。・PFS中央値はLenPem群が23.9ヵ月でSuni群9.2ヵ月、HRは0.47(95%CI:0.38~0.57、p<0.0001)であった。24ヵ月PFS率は、それぞれ49.0%と23.4%、36ヵ月PFS率は37.3%と17.6%であった。・IMDCリスク分類別にみたPFSのHRは、Favorable risk群で0.50(95%CI:0.35~0.71)、Intermediate+Poor risk群で0.43(95%CI:0.34~0.55)であった。・奏効期間(DOR)中央値は、LenPem群が26.7ヵ月、Suni群が14.7ヵ月、HRは0.57であった。・LenPem群において完全奏効(CR)を達成した症例のDOR中央値は43.7ヵ月であった。・LenPem群における新たな安全性シグナルは報告されなかった。

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患者からの「心付け」、角が立たない断り方は?/医師1,000人アンケート

 患者さんがお世話になった医師に診療対価のほかに金銭や物品などを渡すという慣習に対して、受け取りたくない/受け取ることができない医師が断り方に苦慮するという話を聞く。そこで、CareNet.comでは、患者さんやそのご家族からの感謝の気持ちとして、診療対価のほかに「お礼(心付け)」を受け取った経験や、申し出を断る言葉や方法に関するアンケートを実施した。その結果、内科系・外科系診療科を問わず80%超の医師がお礼を受け取った経験があるが、もはや過去の慣習と考えている医師が多く、さらに、何とかして渡したい患者vs.受け取りたくない医師のやり取りも明らかになった(2023年6月22日実施)。お礼を受け取ったことがある医師は84.2% Q1では、これまで診療の対価のほかに、患者さんやそのご家族から金銭・物品を問わずお礼(心付け)を受け取ったことがあるかどうかを聞いた。その結果、受け取ったことがある医師は全体で84.2%であった。手術を伴う外科系診療科のほうが多いかと思ったが、内科系83.2%、外科系86.4%で大きな差はみられなかった。年齢別では、受け取ったことがある20代は66.7%、30代は77.8%、40代は82.0%、50代は87.4%、60代は91.8%、70代以上は89.7%と、おおむね年代が上がるにつれ割合が増加した。最も多いのはお菓子などの飲食物 Q2では、上記Q1でお礼を受け取ったことがある場合に、何を受け取ったかを聞いた(複数回答)。最も多かったのはお菓子などの飲食物で、順に現金、商品券などの金券、手紙、似顔絵や小物などの手作りの品、お花と続いた。 自由記入の「その他」ではなぜか靴下が多数寄せられていた。現金は1万円くらいが半数、16万円以上も Q3では、お礼を現金または金券を受け取ったことがある場合、患者さん1人当たりの平均金額について聞いた。「1万円くらい」が49.9%と半数を占め、「2万円くらい」が8%。「3万円くらい」が11.7%、「5万円以上」が1.9%であった。「6万円以上」は0.7%であったが、16万円以上を受け取っていたという回答もあった。渡したい患者vs.受け取りたくない医師 Q4ではフリーコメントとして、お礼に対する考え、患者さんがお礼を申し出た際に断る言葉・方法を聞いたところ、何とかして渡したい患者と受け取りたくない医師のやり取りが興味深かった。「結構ですと断るが、無理やり白衣のポケットに突っ込まれた」「後日郵送される」など強硬手段に出る患者もいて、「断ると角が立つこともあり悩ましい」「断るとご立腹される方もいて難しい」「古い患者さんは断るのが難しい」「お礼を頂かないのは失礼になるのではないかと不安になる」など苦労する医師の声が寄せられた。また、やはり断れないのか、いったん受け取った後、「現金、金券は私からの快気祝いですと言って返す」「退院祝いとしてそのまま返す」などもあった。受け取る、受け取ることがある派のご意見・素直に受け取ります。・常識範囲内での礼節であれば問題ないと考える。・断り続けるのも、ある意味失礼。・お礼は気持ちの問題ですので、無理に断る必要はないと思っています。ただし、患者のキャラクターで後々問題になりそうな人であれば、丁重に断ったほうがよいと思います。・良くない習慣ではあると思うが、感謝の気持ちを示す1つの方法だとは思う。・最近では少なくなりましたが高齢の患者さんが感謝の気持ちで用意されているので持ち帰らせるのも心苦しく積極的に頂いています。・成功報酬としてなら頂く。受け取らない派のご意見・受け取ると気を遣ってしまいそうで、受け取っていない。・平成初期のころはまだ普通にお礼を頂いていましたが、最近は頂くこと自体ほとんどありませんが、申し出があったとしても丁重にお断りしています。・最近は生活に困ってる方が多くなった気がするので、基本お断りしています。・お礼をもらうことで患者の診療に差がつくと思われたくないので極力もらわないようにしている。・受け取ったのはずっと以前です。最近はお礼は古い風習ですのでやめましょうと言って断ります。・お礼がなくとも誠心誠意診療することを伝えてお断りしています。・昔はよくありましたが、最近はお礼がないので気が楽です。申し出を断る言葉・「お気持ちだけで。一番頑張ったのは患者さんご自身ですよ」・「診療はお礼にかかわらず最善を尽くします」・「そのお気持ちだけで私は医師として最高に幸せです」・「礼など結構です。当然のことをしたまでです」・「お気持ちだけで十分です。現金は教室の寄付でお願いします」・「診療に対する報酬は病院から受け取っていますので、今後の治療のために取っておいてください」・「十分に給与をいただいています」アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。患者からの「心付け」は受け取る?断る?/医師1,000人アンケート

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中年のコーヒーや紅茶の摂取と将来の認知症リスク~HUNT研究

 認知症予防に対するコーヒーおよび紅茶の摂取の可能性について調査した研究結果は、現状では一貫性が得られていない。ノルウェー科学技術大学のDenise Abbel氏らは、中年成人を対象に紅茶または各種コーヒーの摂取とその後の認知症リスクとの関連およびこの関連に性別、ApoE4が及ぼす影響を調査するため、本研究を実施した。その結果、コーヒー摂取の習慣とその後の認知症リスクとの関連に対し、摂取するコーヒーの種類が影響を及ぼしている可能性が示唆された。Nutrients誌2023年5月25日号の報告。 対象は、ノルウェーHUNT研究の参加者7,381人。ベースライン時の毎日のコーヒーおよび紅茶の摂取量は、自己報告アンケートにより収集した。22年後、70歳以上の対象者に対し、認知機能検査を実施した。 主な結果は以下のとおり。・コーヒーおよび紅茶の摂取量が一般的な場合、認知症リスクとの関連は認められなかった。・コーヒーの摂取量が0~1cup/日の場合と比較し、煮出しコーヒーを8cup/日以上摂取した女性では認知症リスクの上昇が認められ(オッズ比[OR]、95%信頼区間[CI]:1.10~3.04、p for trend=0.03)、他の種類のコーヒーを4~5cup/日摂取した男性では認知症リスクの低下が認められた(OR:0.48、95%CI:0.32~0.72、p for trend=0.05)。・煮出しコーヒーと認知症リスク上昇との関連性は、ApoE4非キャリアのみで認められた。・性別またはApoE4キャリアの違いは、相互作用に関する強い統計学的エビデンスとはいえなかった。・紅茶の摂取と認知症リスクとの関連は認められなかった。

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トランスジェンダーは自殺死が多いか/JAMA

 トランスジェンダーの人々は自殺企図や死亡のリスクが高い可能性が示唆されている。デンマーク・Mental Health Centre CopenhagenのAnnette Erlangsen氏らは、今回、トランスジェンダーは非トランスジェンダーと比較して、最近42年間における自殺企図、自殺による死亡、自殺と関連のない死亡、あらゆる原因による死亡のいずれもが、有意に高頻度であることを示した。研究の成果は、JAMA誌2023年6月27日号で報告された。デンマークの後ろ向きコホート研究 研究グループは、デンマークにおけるトランスジェンダーの自殺企図、死亡の頻度を評価する目的で、全国規模の登録ベースの後ろ向きコホート研究を行った(Danish Health Foundationの助成を受けた)。 対象は、デンマークで生まれで、1980年1月1日~2021年12月31日に同国に居住していた15歳以上。トランスジェンダーを自認する人々の確認は、全国の病院記録と法的な性別変更の行政記録で行った。 全国入院・死因登録のデータを用いて、1980~2021年の自殺企図、自殺死(自殺既遂)、自殺以外による死亡、全死因死亡を同定した。暦年、出生時に割り当てられた性別、年齢で調整し、トランスジェンダーと非トランスジェンダーにおけるこれらのアウトカムの補正後発生率比(aIRR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 665万7,456人(出生時に割り当てられた性別は男女とも50.0%ずつ)が解析に含まれ、フォローアップ期間は1億7,102万3,873人年であった。このうち3,759人(0.06%)がトランスジェンダーと判定され、判定時の年齢中央値は22歳(四分位範囲[IQR]:18~31)だった。1,975人(52.5%)は出生時に男性、1,784人(47.5%)は女性に割り当てられていた。42年で企図、死亡は低下したが、aIRRは有意に高い 自殺企図は、トランスジェンダー群では92件(初回自殺企図年齢中央値27歳[IQR:19~40])、非トランスジェンダー群では11万9,093件(36歳[23~50])発生した。10万人年当たりの標準化自殺企図率は、トランスジェンダー群が498件、非トランスジェンダー群は71件で、10万人年当たりの標準化発生率の差は428件(95%CI:393~463)であり、aIRRは7.7(95%CI:5.9~10.2)とトランスジェンダー群で自殺企図率が有意に高かった。 また、10万人当たりの標準化自殺死亡率は、トランスジェンダー群が75件、非トランスジェンダー群は21件であり、aIRRは3.5(95%CI:2.0~6.3)とトランスジェンダー群で自殺死亡率が有意に高かった。 10万人年当たりの標準化非自殺性死亡率は、トランスジェンダー群が2,380件、非トランスジェンダー群は1,310件(aIRR:1.9、95%CI:1.6~2.2)、10万人年当たりの標準化全死因死亡率はそれぞれ2,559件、1,331件(2.0、1.7~2.4)であり、いずれもトランスジェンダー群で有意に高率だった。 42年の対象期間中に、自殺企図と死亡の割合は低下したにもかかわらず、いずれのアウトカムも最近のaIRRが有意に高く、2021年のaIRRは自殺企図が6.6(95%CI:4.5~9.5)、自殺死亡が2.8(1.3~5.9)、非自殺性死亡が1.7(1.5~2.1)、全死因死亡が1.7(1.4~2.1)と、いずれもトランスジェンダー群で高かった。これは、トランスジェンダーでは自殺企図と死亡のリスクが継続的に高いことを反映している。 著者は、「トランスジェンダーは、いじめ、差別、排除、偏見といった形で、トランスであることに関する組織的な否定にさらされる可能性があり、少なくとも部分的には、このようなマイノリティストレスの結果として、疎外感や内面化されたスティグマ、精神衛生上の問題、ひいては自殺行動につながる可能性がある」と指摘し、「トランスジェンダーの自殺を減らすための取り組みが求められ、これには個人的な苦悩がある場合に助けを求めるよう促すといった直接的な対策が含まれるほか、医療専門家による研修や最善の診療ガイドラインの実施、性別にとらわれない公衆浴場や更衣室の普及といった、構造的な差別を減らすための一般的な対策も提言されている」としている。

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経口セマグルチド50mg、肥満非2型糖尿病の体重減を確認/Lancet

 2型糖尿病を伴わない過体重または肥満の成人において、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬セマグルチド50mgの68週間の1日1回経口投与は、平均15%の体重減少をもたらし、参加者の85%で臨床的に意義のある体重減少(5%以上)を達成し、安全性プロファイルは同薬2.4mgの皮下投与やGLP-1受容体作動薬クラス全体のデータとほぼ一致することが、デンマーク・コペンハーゲン大学のFilip K. Knop氏らが実施した「OASIS 1試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年6月25日号に掲載された。9ヵ国50施設の無作為化プラセボ対照比較試験 OASIS 1試験は、日本を含む9ヵ国50施設で実施された二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2021年9月13日~11月22日の期間に参加者の登録が行われた(Novo Nordiskの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上(日本では20歳以上)、BMI値が30以上、またはBMI値27以上で少なくとも1つの体重関連の合併症または併存疾患(高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸症、心血管疾患)を有し、2型糖尿病のない患者であった。 被験者は、生活様式への介入に加え、セマグルチド(3mgから開始し、16週で維持用量の50mgまで増量)またはプラセボを、68週間1日1回経口投与する群に無作為に割り付けられた。治療終了後は7週間のフォローアップが行われた。 複合主要エンドポイントは、68週時の体重の変化率と5%以上の体重減少の達成であった。3分の2で10%以上、半数で15%以上、3分の1で20%以上の減量 667例が登録され、セマグルチド群に334例、プラセボ群に333例が割り付けられた。全体の平均年齢は50(SD 13)歳で、485例(73%)が女性であった。平均体重は105.4kg、BMI値37.5、ウエスト周囲長113.6cmであり、494例(74%)が白人だった。 ベースラインから68週までの体重の平均変化率は、プラセボ群が-2.4%(平均変化値[SE]:0.5)であったのに対し、セマグルチド群は-15.1%(SE:0.5)と、減量効果が有意に優れた(推定治療群間差:-12.7ポイント、95%信頼区間[CI]:-14.2~-11.3、p<0.0001)。 また、68週時における5%以上の体重減少の達成割合は、セマグルチド群が85%(269/317例)、プラセボ群は26%(76/295例)であり、セマグルチド群で有意に優れた(オッズ比[OR]:12.6、95%CI:8.5~18.7、p<0.0001)。 同様に、10%以上の体重減少はセマグルチド群が69%(220例)、プラセボ群は12%(35例)(OR:14.7、95%CI:9.6~22.6、p<0.0001)、15%以上はそれぞれ54%(170例)、6%(17例)(17.9、10.4~30.7、p<0.0001)、20%以上は34%(107例)、3%(8例)(18.5、8.8~38.9、p<0.0001)で達成され、いずれもセマグルチド群で良好だった。 有害事象は、セマグルチド群が92%(307/334例)、プラセボ群は86%(285/333例)で発現した。重篤な有害事象は、それぞれ10%(32例)、9%(29例)で、試験薬の投与中止をもたらした有害事象は、6%(19例)、4%(12例)で報告された。消化器系の有害事象(ほとんどが軽度または中等度)は、80%(268例)、46%(154例)で認められた。 著者は、「セマグルチド50mgの経口投与により、多くの参加者で臨床的に意義のある体重減少が誘導され、これに伴い心代謝リスク因子が改善することが示された。したがって、セマグルチド50mgの経口投与は、肥満治療の有効な選択肢となる可能性がある」としている。

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リアルワールドエビデンス、高カリウム血症が心腎疾患患者の転帰におよぼす影響/AZ

 AstraZeneca(英国、CEO:Pascal Soriot氏)は、同社のリアルワールドエビデンス(RWE)に基づくZORA研究(以下、本研究)の解析から、高カリウム血症を発症している患者において、レニン‐アンジオテンシン‐アルドステロン系阻害薬(RAASi)の投与量減量または中止による影響が示されたと発表した。 イタリアのミラノで開催された欧州腎臓学会(ERA)2023総会で発表された本研究の解析の1つより、慢性腎臓病(CKD)および/または心不全(HF)を患う心腎疾患患者におけるRAASi治療の継続を提案する複数のガイドラインがある一方で、米国および日本の臨床現場では、高カリウム血症発症後にRAASi治療の中止が依然行われていることが示された。また、RAASi治療を中止した患者のうち、6ヵ月以内に再開した割合は、米国では10~15%、日本では6~8%で、RAASi治療を再開した少ない患者の中で、米国および日本ともにその17~37%の患者において投与量が25%を超えて減量されていた。 本研究における別の解析では、スウェーデン(6,998例)と日本(2,092例)の心腎疾患患者において、高カリウム血症発症後にRAASi治療を中断した場合、発症から6ヵ月までと発症の6ヵ月前までを比べると、スウェーデンでは18.2日、日本では17.9日、全原因の入院日数が増加することが明らかになった。一方、高カリウム血症発症から6ヵ月後までRAASi治療を維持した患者の入院日数の増加は、スウェーデンと日本でそれぞれ9.4日と8.5日であり、CKDおよびHF関連の原因による入院日数についても同様の傾向が観察された。 今回発表された2つの解析は、BMC Nephrology誌に掲載された本研究結果に基づいており、この論文では米国および日本のCKDまたはHF患者において、高カリウム血症に関連してRAASi治療を中止または漸減した患者では、RAASi治療を維持または漸増した患者と比較して、心腎イベントのリスクが高いことが明らかになった。 UCLA Healthの腎臓内科主任であるAnjay Rastogi氏は、「心腎疾患患者には、心疾患のリスクや入院率の上昇につながる高カリウム血症の管理という深刻なアンメットニーズがある。今回発表されたリアルワールドデータにより、心腎疾患患者においてRAASi治療がガイドラインで推奨されているにもかかわらず、高カリウム血症の発症によって投与量の減量が一般的に行われていることが示された。ガイドラインに基づいてRAASi治療を受けているCKDやHFの患者において、とくに、この慢性病態をよりよく管理できる可能性のあるカリウム吸着薬などの治療選択肢がある場合には、高カリウム血症の発症によってRAASi治療が妨げられるべきではない」と述べた。 また、同社のエグゼクティブバイスプレジデント兼バイオファーマビジネスユニットの責任者であるRuud Dobber氏は、「ガイドラインに沿ったRAASi治療を行わなかった場合、心腎疾患患者の転帰に影響をもたらす可能性がある。しかし、今回の知見は、これらの患者が高カリウム血症の発症によってRAASi治療を中止した場合、RAASi治療を再開することはまれであり、再開を可能にするためには高カリウム血症管理におけるプラクティスチェンジが急務であることを浮き彫りにしている。私たちは、高カリウム血症に対する治療を通じてこの疾患を改善し、よりよく心腎保護の機会を患者に届けられるよう、一層広く医療従事者と協力していく」としている。

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重症度や地域、剤形によって患者の治療選好性が異なる?中等症~重症乾癬

 2023年6月5日、ブリストル マイヤーズ スクイブは、日本における「乾癬」の治療選好に関する、離散選択実験(Discrete choice experiment:以下、DCE)手法を用いた観察研究の結果を発表した。本研究の結果から、乾癬患者が治療を選択するうえで、有効性と同じく治療費や投与方法も重要な要素であることが、自治医科大学医学部 皮膚科学講座 小宮根 真弓氏らによって示された。結果は、2月20日付でJournal of Dermatology誌に掲載された。広がる乾癬の治療選択 皮膚の炎症性疾患である乾癬の治療は、ここ十数年で大きな進展を遂げてきた。その転機は、2010年に生物学的製剤の使用が初めて承認されたことにあり、最も患者数の多い尋常性乾癬では現在11製剤が臨床で使用されている。加えて最近は、経口剤の選択肢も増えている。乾癬治療の基本となる外用剤だけでなく、経口剤や生物学的製剤などのさまざまな選択肢の中から、患者に最適な治療法を選ぶことが重要だ。 しかし、治療効果、費用、投与方法が異なるこれらの治療選択肢に対する中等症~重症乾癬患者の嗜好性は十分に理解されていない。中等症~重症乾癬患者の選好性は? DCE手法は、複数の選択肢の中から最も好ましい選択を繰り返すアンケート調査によって、その選択における回答者の選好度を統計学的に算出する方法である。商品やサービスに対して人々が持つ多様な価値を相対的に評価でき、さまざまな業界で応用される。本研究では、20歳以上の生物学的製剤または経口剤による乾癬の全身療法を受けている中等症から重症の日本人乾癬患者222例(滴状乾癬、逆乾癬、膿胞性乾癬、乾癬性紅皮症、薬剤性乾癬を除く)を対象に、治療薬の有効性、安全性、投与方法、投与頻度、利便性、治療費などの治療因子に対する治療選択時の選好度についてオンラインによる定量調査が行われた。結果は以下のとおり。・乾癬治療を受ける際の重要な要素として、「長期有効性」に対する相対的重要度(RI)が最も高く(42%)、2番目が「費用」(24%)、3番目が「投与方法」(13%)だった。・患者選好度の感度分析において、「投与方法」では皮下注射剤よりも経口剤を好む傾向がみられた。・サブグループ解析により、乾癬患者の重症度や居住地域によって異なる傾向がみられた。すなわち、中等症の乾癬患者(191例)と重症の乾癬患者(31例)では、重症度に関係なくいずれも「長期有効性」のRIが最も高値だった(中等症:48%、重症:42%)が、2番目は、中等症患者では「費用」(21%)、重症患者では「短期有効性」(21%)だった。また、政令指定都市の乾癬患者(106例)と非政令指定都市の乾癬患者(116例)を比較したところ、居住地域に関係なく「長期有効性」のRIが最も高値だった(政令指定都市:56%、非政令指定都市:42%)。一方、2番目に高い値を示した特性は、政令指定都市の患者では「副作用(消化器系関連)」(14%)、非政令指定都市の患者では「費用」(28%)だった。 小宮根氏は結果を振り返り、「乾癬治療の好みは患者特性や臨床的特性によって異なり、実臨床で治療を決定する際には、患者さんの声を考慮した共有意思決定が必要であることが示唆されたことは、乾癬治療を行う医療従事者や患者さんにとって意義があるもの」と述べている。 今回得られた知見が、乾癬の全身療法における治療決定の一助になることが期待される。

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バイアグラと酒の併用が生んだ悲劇【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第237回

バイアグラと酒の併用が生んだ悲劇illust ACより使用シルデナフィル(商品名:バイアグラ)は、海綿体の血管系に存在するホスホジエステラーゼ5を阻害することで陰茎の勃起を助ける働きがあります。シルデナフィルとアルコールを併用しても、ネットでは「とくに相互作用があるわけではないため安全」という見解が主流で、適度の飲酒の内服は可能と書いているウェブサイトのほうが多いと思います。Pandit JN, et al.Rare fatal effect of combined use of sildenafil and alcohol leading to Cerebrovascular Accident.J Forensic Leg Med. 2023;95:102504.これはインドから報告された法医学の症例報告です。インドでは、とくに若年層におけるシルデナフィルの無認可の流通が増えており、不適切な使用が懸念されています。シルデナフィルの副作用として、頭痛、顔面紅潮、鼻づまり、血圧低下などが報告されています。軽度の頭痛であれば心配不要ですが、今回紹介するのは脳出血によって死亡した症例です。とくに既往歴のない41歳男性が、女性とホテルの一室に宿泊していました。夜にシルデナフィル50mgを2錠、そしてアルコールを摂取していました。翌朝、彼は気分不良を訴え病院に搬送されましたが、残念ながら到着時にはもう死亡していました。解剖では、右大脳基底核から両側脳室、大脳皮質にかけて約300gの凝血塊を伴う脳浮腫が観察されました。ミクロでは、心室壁の肥大、肝臓の脂肪変性、急性尿細管壊死、高血圧性変化などが確認されました。40代の男性がシルデナフィルとアルコールを併用して、脳出血を起こし搬送された症例がトルコからも報告されています1)。こちらの症例は一命を取りとめています。シルデナフィルをアルコールと併用することはそもそも推奨されているわけではありませんが、常識的な低量アルコールによる大きな副作用は報告されていません。本当に両者の併用に何らかのリスク上昇はないのか、規模の大きな検討が必要かと思われます。1)Antar V, et al. Subarachnoid and intracerebral hemorrhage after alcohol ingestion and illicit use of sildenafil. Turk Neurosurg. 2015;25(3):485-487.

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