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模試は何回くらい受ければいいのでしょうか?【医学生お悩み相談ラヂオ】第1回

動画解説第1回は、医学部6年の男性からのお悩み。成績は割と良いけど、受けなかった模試で大きなヒントを見逃してしまうのではないかと心配でつい受験予定をたくさん入れてしまうとのこと。模試はたくさん受けた方がいいのか?医学生のお悩み解決のエキスパートDrえどの回答は?

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心肺持久力が大腸がん・肺がん・前立腺がんの発症と死亡リスクに関連

 約18万人のスウェーデン人男性を平均9.6年間追跡調査したコホート研究の結果、心肺持久力(CRF)が高いと大腸がん罹患リスクが低く、また肺がんおよび前立腺がんによる死亡リスクが低いことが示された。この結果から、これらのがんの罹患リスクおよび死亡リスクの低減に、CRFが潜在的に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。スウェーデン・The Swedish School of Sport and Health SciencesのElin Ekblom-Bak氏らが、JAMA Network Open誌2023年6月29日号に報告。 本研究は、スウェーデンにおいて1982年10月~2019年12月に労働衛生健康プロファイル評価を完了した男性を対象とした前向きコホート研究。CRFは最大下サイクルエルゴメーター試験を用いて推定した最大酸素消費量(mL/分/kg)として評価した。また、がんの罹患率および死亡率のデータは全国登録から取得した。ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)はCox比例ハザード回帰を用いて算出した。さらにCRFを4群(非常に低い:25以下、低:25~35、中等度:35~45、高:45超)に層別化し、非常に低い群を基準としてHRと95%CIを算出した。 主な結果は以下のとおり。・男性17万7,709人(年齢:平均42歳[範囲:18~75歳]、BMI:平均26、平均追跡期間:9.6年)のデータを解析した。・罹患リスクは、CRFが高いほど、大腸がん(HR:0.98、95%CI:0.96~0.98)および肺がん(HR:0.98、95%CI:0.96~0.99)では有意に低く、前立腺がん(HR:1.01、95%CI:1.00~1.01)では高かった。・死亡リスクは、CRFが高いほど、大腸がん(HR:0.98、95%CI:0.96~1.00)、肺がん(HR:0.97、95%CI:0.95~0.99)、前立腺がん(HR:0.95、95%CI:0.93~0.97)ともに低かった。・4群に層別化し完全調整した場合、大腸がん罹患率については、非常に低いCRFに比べ、中等度CRFでのHRが0.72(95%CI:0.53~0.96)、高CRFでのHRが0.63(95%CI:0.41~0.98)と関連が残った。前立腺がん死亡率については、低CRF(HR:0.67、95%CI:0.45~1.00)、中等度CRF(HR:0.57、95%CI:0.34~0.97)、高CRF(HR:0.29、95%CI:0.10~0.86)で関連が残った。肺がん死亡率では、高CRF(HR:0.41、95%CI:0.17~0.99)で有意であった。

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食習慣と片頭痛リスクとの関係

 片頭痛発症に対する食事の影響は知られているものの、大規模サンプルにおける片頭痛リスクと食習慣との潜在的な因果関係については、よくわかっていない。中国・山東大学のXinhui Liu氏らは、食習慣と片頭痛発症リスクとの潜在的な因果関係および片頭痛リスク因子のメディエーターの役割を明らかにするため、本研究を行った。その結果、食習慣と片頭痛リスクとの関連が認められ、一部の食物は不眠症やうつ病にも影響している可能性が示唆された。Frontiers in Nutrition誌2023年6月7日号の報告。 大規模ゲノムワイド研究のサマリー統計に基づき、83の食習慣と片頭痛およびそのサブタイプとの潜在的な因果関係を調査するため、2サンプルのメンデルランダム化(MR)および双方向MRを実施した。また、ネットワークMRを用いて、片頭痛リスク因子のメディエーターの役割を調査した。 主な結果は以下のとおり。・複数のテストを補正後、遺伝的に予測された片頭痛リスク低下と関連する食物は、コーヒー、チーズ、脂っこい魚、アルコール(赤ワイン)、生野菜、ミューズリー、全粒粉/全粒パンであり、これらのオッズ比の範囲は0.78(チーズ、95%信頼区間[CI]:0.63~0.95)から0.61(飲酒者が通常の食事と一緒に飲む、95%CI:0.47~0.80)であった。・片頭痛リスクと正の相関が認められた食物は、白パン、コーンフレーク/フロスティ、鶏肉であった。・白パン、全粒粉/全粒パン、ミューズリー、アルコール(赤ワイン)、チーズ、脂っこい魚の摂取に対する遺伝的傾向は、不眠症および/またはうつ病のリスク上昇と関連しており、これらの食習慣が片頭痛発症のメディエーターである可能性が示唆された。・遺伝的に予測された片頭痛と飲酒の種類との間には負の相関があり、片頭痛と1日当たりの紅茶の摂取との間に正の相関が認められた。

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コロナ禍において、5歳児に4ヵ月の発達遅れ/京大ほか

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにより、学校や保育施設が閉鎖され、多くの乳幼児・子供が影響を受けた。これまで手薄だった未就学児を対象として、コロナ禍の影響を調査した京都大学医学研究科助教・佐藤 豪竜氏らによる研究結果が、JAMA Pediatrics誌オンライン版2023年7月10日号に掲載された。 研究者らは新型コロナ流行前から行っていた研究対象を再調査することで、コロナの影響を調べた。首都圏のある自治体の全認可保育所(小規模含む)に通う1歳または3歳の乳幼児887例に対し、2017~19年に1回目の調査、2年後に2回目の調査を行った。データは2022年12月8日~2023年5月6日に解析された。 追跡期間中にコロナ禍を経験した群とそうでない群の間で、3歳または5歳時(各年4月1日時点の年齢)の発達を比較した。乳幼児の発達は「KIDS乳幼児発達スケール」1)を用いて保育士が評価した。分析では、子供の月齢、性別、1回目調査時の発達、保育園の保育の質、保護者の精神状態、出生時体重、家族構成、世帯所得、登園日数などの影響が考慮された。 主な結果は以下のとおり。・5歳時点でコロナ禍を経験した群は、そうでない群と比べて平均4.39ヵ月の発達の遅れが確認された。一方、3歳時点で経験した群では明確な発達の遅れはみられず、むしろ運動、手指の操作、抽象的な概念理解、対子供社会性、対成人社会性の領域では発達が進んでいた。また、コロナ禍で、3歳、5歳ともに発達における個人差・施設差が拡大していることも明らかになった。・質の高い保育を提供する保育園に通っていた子供は、コロナ禍においても3歳時点の発達が良い傾向にあった。一方、保護者が精神的な不調を抱える家庭の子供は、コロナ禍における5歳時点の発達の遅れが顕著だった。 研究者らは、本研究で3歳と5歳で対照的な結果が示された点について、コロナ禍で保護者の在宅勤務が増え、より幼い年齢の子供は大人とのやり取りを通してさまざまなことを学ぶため、大人との1対1のコミュニケーションが発達において重要であり、在宅勤務によって保護者が子供と密に接する時間が増えたことで、コロナ禍が3歳児の発達にポジティブな影響を与えた可能性がある。一方、5歳児は発達段階において社会性を身に付ける時期で他者との交流が重要であり、コロナ禍によって保護者以外の大人やほかの子供と触れ合う機会が制限されたことが発達に負の影響を与えた可能性がある、とコメントしている。 また研究の限界として、一自治体のみのデータであること、観察できていない違いがあった場合には結果にバイアスが生じている可能性があることを挙げている。さらに、今回の研究でみられた発達の遅れはあくまで一時的なものであり、長期的な影響に関してはさらなる調査が必要だ、とまとめている。

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標準治療に不応・不耐の若年性特発性関節炎、バリシチニブが有効/Lancet

 標準治療で効果不十分または不耐の若年性特発性関節炎患者の治療において、JAK1/2阻害薬バリシチニブはプラセボと比較して、再燃までの期間が有意に延長し、安全性プロファイルは成人のほかのバリシチニブ適応症で確立されたものと一致することが、英国・ブリストル大学のAthimalaipet V. Ramanan氏らが実施した「JUVE-BASIS試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年7月6日号で報告された。20ヵ国の無作為化プラセボ対照第III相試験 JUVE-BASISは、日本を含む20ヵ国75施設で実施された二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2018年12月~2021年3月に患者の登録が行われた(Incyteのライセンス下にEli Lilly and Companyの助成を受けた)。 対象は、年齢2~<18歳で、若年性特発性関節炎(リウマトイド因子陽性の多関節型、リウマトイド因子陰性の多関節型、進展型少関節炎型、付着部炎関連関節炎型、乾癬性関節炎型)と診断され、1剤以上の従来型合成疾患修飾性抗リウマチ薬(csDMARD)または生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARD)による少なくとも12週間の治療で効果不十分、または不耐の患者であった。 安全性/薬物動態の評価を行う期間(2週間)に年齢に基づくバリシチニブの用量(1日1回)が確定され、非盲検下の導入期間(12週間)として全例に成人(4mg)との等価用量のバリシチニブ(錠剤、懸濁剤)の投与が行われた。 導入期間の終了時に、若年性特発性関節炎-米国リウマチ学会(JIA-ACR)の30基準を満たした患者(JIA-ACR30レスポンダー)が、二重盲検下に同一用量のバリシチニブを継続投与する群またはプラセボに切り換える群に、1対1の割合で無作為に割り付けられ、疾患が再燃するか、二重盲検期間(最長32週[バリシチニブは導入期間と合わせて44週])が終了するまで投与した。 主要エンドポイントは、二重盲検期間中の疾患再燃までの期間であった。また、二重盲検期間中の有害事象の曝露補正発生率を算出した。健康関連QOLも良好 220例(年齢中央値14.0歳[四分位範囲[IQR]:12.0~16.0]、女児152例[69%]、診断時年齢中央値10.0歳[IQR:6.0~13.0]、診断後の経過期間中央値2.7年[IQR:1.0~6.0])が登録された。このうち219例が非盲検下の導入期間にバリシチニブの投与を受け、12週時に163例(74%)がJIA-ACR30基準を満たした。二重盲検期間に、81例がプラセボ群、82例がバリシチニブ群に割り付けられた。 二重盲検期間中の疾患再燃例(最小二乗平均)は、プラセボ群が41例(51%)、バリシチニブ群は14例(17%)であった(p<0.0001)。また、再燃までの期間は、バリシチニブ群に比べプラセボ群で短く(補正後ハザード比[HR]:0.241、95%信頼区間[CI]:0.128~0.453、p<0.0001)、再燃までの期間中央値はプラセボ群が27.14週(95%CI:15.29~評価不能[NE])、バリシチニブ群はNE(95%CI:NE~NE)(再燃例が50%未満のため)だった。 疾患活動性(JADAS-27など)や健康関連QOL(CHQ-PF50、CHAQ疼痛重症度スコア[視覚アナログ尺度])に関する有効性の副次エンドポイントも、プラセボ群に比べバリシチニブ群で良好であった。 バリシチニブの安全性/薬物動態評価期間または非盲検導入期間中に、220例中6例(3%)で重篤な有害事象が発現した。二重盲検期間中には、重篤な有害事象はバリシチニブ群の82例中4例(5%)(100人年当たりの発生率:9.7件、95%CI:2.7~24.9)、プラセボ群の81例中3例(4%)(10.2件、2.1~29.7)で報告された。 治療関連の感染症が、安全性/薬物動態評価期間または非盲検導入期間中に220例中55例(25%)で発現し、二重盲検期間中にはバリシチニブ群の31例(38%)(100人年当たりの発生率:102.1件、95%CI:69.3~144.9)、プラセボ群の15例(19%)(59.0件、33.0~97.3)で報告された。また、重篤な有害事象として二重盲検期間中にバリシチニブ群の1例で肺塞栓症が報告され、試験治療関連と判定された。 著者は、「バリシチニブによるJAKシグナルの阻害は、若年性特発性関節炎に関連する複数のサイトカイン経路を標的とし、既存の治療法に代わる1日1回投与の経口治療薬となる可能性がある」としている。

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第156回 新型コロナ感染、全国で徐々に増加 43都道府県で前週を上回る/厚労省

<先週の動き>1.新型コロナ感染、全国で徐々に増加 43都道府県で前週を上回る/厚労省2.オンライン診療の実績、4割が「不眠症」偏りを懸念/厚労省3.日本の病院の4割が洪水浸水想定区域内に立地/日本病院会4.電子処方箋システムの導入進捗率わずか2%/厚労省5.病院でレジオネラ症集団感染2人死亡、空調設備が感染源か/宮城県6.カテーテル治療後の患者死亡問題、外部機関による調査を開始/神戸徳洲会病院1.新型コロナ感染、全国で徐々に増加 43都道府県で前週を上回る/厚労省厚生労働省によると、全国約5,000の定点医療機関から10日~16日までの新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は計5万4,150人で、1ヵ所当たりの平均は11.04人だった。前週比では20.8%増加し、43都道府県で前週を上回った。とくに西日本を中心に感染が広がっている傾向がみられる。新たな入院患者数は6,952人で前週から増加しており、感染の広がりに警戒が必要とされている。夏場の人の移動やイベントの増加により、さらなる感染拡大が懸念されている。専門家は亜型ウイルスの広がりに注意し、高齢者や基礎疾患を持つ人への感染リスクを低減する対策が重要だと指摘している。参考1)コロナ定点、前週比1.20倍=43都道府県で増加-厚労省(時事通信)2)新型コロナ、全国でじわじわ増加 専門家に聞く夏場の注意点は?(朝日新聞)3)コロナ感染、定点で拡大 1機関あたり10人超、5類移行後で初(日経新聞)2.オンライン診療の実績、4割が「不眠症」偏りを懸念/厚労省厚生労働省は、7月20日に中央社会保険医療協議会(中医協)「入院・外来医療等の調査・評価分科会」を開き、オンライン診療について検討した。この中で、オンライン診療の実績において再診料や外来診療料の傷病名の約4割が「不眠症」であり、初診料でも2割超を占めることが明らかとなり、オンライン診療の使い方が偏っている可能性を指摘する声も上がった。また、患者の近くに看護師がいる場合(D to P with N)のオンライン診療を推進する意見が相次いだ。D to P with Nのケースでは看護師の介在により予測範囲内の治療や新たな症状への検査が可能で、とくに離島や地方でのオンライン診療に有効とされている。厚労省では、オンライン診療について適切な評価を検討し、看護師の活用方法についても具体的に検討を行いたいとしている。参考1)オンラインでの再診の約4割が「不眠症」 対面診療が5割未満の医療機関で(CB news)2)患者の近くに看護師がいるオンライン診療推進「検討」中医協・分科会で厚労省(同)3)令和5年度 第4回 入院・外来医療等の調査・評価分科会(厚労省)3.日本の病院の4割が洪水浸水想定区域内に立地/日本病院会日本病院会によると、全国の主な病院の約40%が河川氾濫による洪水浸水想定区域内に立地していることが判明した。近年の豪雨災害では、浸水被害を受けた病院の医療体制が継続できないケースが増えている。そのうち、5メートル以上の深さを想定した浸水区域内に立地している病院は11施設存在していた。厚生労働省では、浸水対策に取り組む医療機関に補助制度を設け、病院を守る取り組みを支援している。災害拠点病院の中には、止水板を設置して浸水を防ぐなど、独自の対策を講じる病院もある。厚労省は補助制度の周知を広め、多くの医療機関で浸水対策が進むよう促している。参考1)病院の4割が洪水浸水想定区域内に、11施設は5m以上…豪雨で被災するケース相次ぐ(読売新聞)2)浸水被害も含めた、新たな医療機関の事業継続計画(BCP)策定に資する研究(厚労省)4.電子処方箋システムの導入進捗率わずか2%/厚労省今年の1月から全国で本格的に導入が始まった電子処方箋システムについて、導入している医療機関や薬局がわずか2%に止まり、目標達成は厳しい状況となっていることが判明した。厚生労働省の資料によると、全国の医療機関・薬局のうち約2万3千ヵ所に対して、導入済みはわずか4,690ヵ所で、そのほとんどが薬局となっていた。医療機関で電子処方箋の導入が進まない理由として、医療従事者の資格証明書「HPKIカード」の発行に時間がかかっているほかに、医療機関側の導入費用の負担が大きいため導入を見送っていることや、利点が周知されていない状況がある。その一方で、利用申請を完了させた医療機関や薬局は計5万5,999ヵ所であり、そのうち実際に運用開始しているのは計4,870ヵ所。運用は「マイナ保険証」への対応に必要なオンラインの資格確認システムを活用しており、患者本人の同意を得られれば複数の医療機関や薬局で直近に処方・調剤された医薬品の情報が参照できる。政府は2025年3月までに電子処方箋の普及を目指しており、第2フェーズで普及を加速する計画だが、オンライン資格確認システムの運用には問題も相次いでいる。参考1)電子処方せん対応の医療機関・薬局についてのお知らせ(厚労省)2)電子処方箋、導入わずか2%=運用半年、実績伸び悩む-厚労省「目標達成、厳しい」(時事通信)3)電子処方箋システム、計5.6万ヵ所が利用申請 厚労省集計、運用開始は計4,870ヵ所(CB news)5.病院でレジオネラ症集団感染2人死亡、空調設備が感染源か/宮城県宮城県大崎市の永仁会病院でレジオネラ症に感染した患者6人が集団発生し、そのうち80代の男性患者と40代の女性患者の2人が死亡した。感染の原因は空調設備にみつかったレジオネラ属菌で、2基の冷却塔からは通常の目安よりも最大97万倍の濃度の菌が検出された。宮城県で初の集団感染として、感染に注意するよう専門家は呼びかけている。レジオネラ菌は湿気の多い場所に多く生息しており、今年になって2月に老舗の温泉旅館でも検出され全国で報道されており、医療機関や介護施設でも設備機器の適切なメンテナンスが必要となる。参考1)レジオネラ菌による感染症の発生について(永仁会病院)2)病院でレジオネラ菌に空気感染か、2人目の死者…大崎市の永仁会病院(読売新聞)3)宮城の病院でレジオネラ菌、2人死亡1人重症 目安値の68万~97万倍(産経新聞)4)病院の患者6人がレジオネラ菌に感染 大崎(NHK)6.カテーテル治療後の患者死亡問題、外部機関による調査を開始/神戸徳洲会病院兵庫県神戸市の神戸徳洲会病院にて、特定の男性医師が行ったカテーテル治療の後に複数の患者が死亡したとされる問題で、病院は内部調査委員会を立ち上げ、さらに外部の専門家による調査を依頼することを発表した。カルテの記載不備や患者の死亡後の報告体制に問題があったことが判明しており、治療を受けた患者数は約100人に上るとされている。病院では医療事故による過失を含めて調査を進めるとしている。参考1)今回の一連の報道につきまして(神戸徳洲会病院)2)「カテーテル治療後に死亡」告発、神戸徳洲会病院が外部調査へ(読売新聞)3)カテーテル後に複数患者死亡 病院 第三者機関の検証を依頼へ(NHK)4)「カテーテル治療後に複数死亡」外部に検証依頼へ 神戸徳洲会病院の調査委「妥当性を検討していく」(神戸新聞)

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アジア系研究者をもっと雑誌の編集委員に抜てきすべきだろう(解説:折笠秀樹氏)

 論文査読の招待メールはたまに来ますが、「agree受諾」か「decline辞退」で答えます。どういった基準で答えているかというと、忙しさよりは、内容への興味かなと思います。この論文ですが、査読招待に関わる調査結果です。 本研究の研究デザインは後ろ向きコホート研究です。査読招待メールをどなたに送り、受諾か辞退だったかというデータベースが保存されているのでしょう。BMJグループの21誌が対象でした。編集者を地域別で見ると、欧米が88%を占めており、アジアはわずか6%でした。論文の筆頭著者はというと、欧州42.1%、アジア28.2%、北米19.8%でした。アジアが結構多いのです。 査読招待メールは同業研究者へ送りますが、査読者の内訳をみると欧米が74%であり、アジアはわずか8.8%でした。編集者の大半が欧米の方なので、査読者も欧米に偏るのは当然です。招待メールの受諾率を見ると、アジア系研究者のほうが欧州より2.89倍(調整解析)高かったのです。アジア系研究者による査読が少ないのは、決して査読を辞退しているのではなく、そもそも招待メールが届いていないのです。これを是正するには、招待メールを出す編集委員の構成比を変えるしかありません。欧米主体からアジアをもっと増やすべきでしょう。多様性がいろいろなところで重視されますが、論文査読においても多様性が求められています。 もうひとつ興味深かったのは、インパクトファクター(IF)が高い雑誌ほど受諾率が高いことです。IF>10の雑誌は、IF

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患者・市民のための膵がん診療ガイド 2023年版

膵がん診療のやさしい解説書、3年ぶりの改訂!膵がん患者さんとそのご家族に常に寄り添い、強力にサポートできる書籍となるよう、膵がん診療に携わる先生方、患者団体・市民の代表の方々によって全面的に改訂されました。遺伝子・バイオマーカーなど、膵がん診療における最新情報、便利な用語集・薬剤一覧を盛り込んで全体の構成を一新。診断直後や治療中など、さまざまな場面で生じる疑問にお答えしています。膵がんを正しく知る・理解するのに最適の1冊です!画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    患者・市民のための膵がん診療ガイド 2023年版 第4版定価2,640円(税込)判型B5判頁数264頁・カラー図数:48枚発行2023年5月編集日本膵臓学会 膵診療ガイドライン改訂委員会電子版でご購入の場合はこちら

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論文発表と映画製作の共通点から猫談義を楽しむ【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第62回

第62回 論文発表と映画製作の共通点から猫談義を楽しむ自分は映画が大好きです。映画監督ほどすばらしい仕事はないと思います。映画は、文学、音楽、演技、美術、デザイン、映像技術などの要素が組み合わさって作り上げられます。複数の芸術形式の融合を指揮する映画監督には総合力が求められます。いつかは映画監督としてメガホンを握ってみたいと夢見ております。論文発表と映画製作にはいくつか共通点があるように思います。論文発表も映画製作にも明確な構成が必要です。論文は導入、方法、結果、考察などのセクションで構成され、映画はプロローグ、展開、クライマックス、エピローグなどのセクションで構成されます。論文発表と映画製作には、訴えたいテーマがあることも共通です。論文は特定の研究問題を解決すること、映画はストーリーを通してメッセージを伝えることがテーマです。論文発表と映画製作は共に、創造性が求められる活動です。論文では新しい知見やアイデアを提案し、映画ではストーリーや映像表現を通じて観客を魅了する創造的なアプローチが必要です。完成までのプロセスにも共通点があります。論文では研究計画、データ収集、解析、執筆などのステップがあります。映画では脚本の執筆、撮影、編集、音楽の追加などの工程を経て完成します。医療の現場は人間の生と死をあつかう場所なのでドラマに満ちています。ですから映画の題材に病気や医療が使われることが多いのも当然です。医学領域の研究活動と映画製作には共通項が多いことも影響しているかもしれません。そこで医療関係者に観てもらいたい傑作映画を紹介しましょう。『だれもが愛しいチャンピオン』(原題:Campeones)、監督:ハビエル・フェセル、2018年製作、スペイン映画主人公は短気な性格のプロバスケットボールのコーチです。問題を起こしチームを解雇され、社会奉仕活動として障がい者バスケットボールのチーム「アミーゴス」のコーチを命じられます。選手たちの自由過ぎる言動に困惑しながら、純粋さや情熱、優しさに触れて一念発起します。コーチと選手が互いに支え合い成長していきます。チームは全国大会で快進撃します。実際の障がい者600人の中からオーディションで選ばれた10名の「俳優」が出演します。主演のひとり、ダウン症のヘスス・ビダルがスペインの映画賞であるゴヤ賞の新人賞を受賞したそうですが、その演技力を引き出した監督の手腕は賞賛に値します。この映画の日本公開には、日本障がい者バスケットボール連盟、日本自閉症協会、日本ダウン症協会などが後援しています。知的障がい者というタブー視される内容を描きながらネガティブな面がなく、爽やかな作品に仕上がっています。さすがラテンの国スペインです。説教くさいメッセージはないので気軽にご覧ください。自然に笑いながら、自然に胸が熱くなる、そんな作品です。医療と映画の相性は良いのですが、それよりも映画に欠かせない存在が猫です。美しい外観を持ち、しなやかで優雅な動きをする猫は、画面上で目を引く存在となります。猫の予測不能な行動や愛らしいしぐさは観客の関心を引きます。身近で親しみやすい猫は、映画に頻繁に登場するキャラクターです。では、画面を横切る猫が絶妙な映画を紹介しましょう。『ゴッドファーザー』(原題:The Godfather)、監督:フランシス・フォード・コッポラ、出演:マーロン・ブランド、アル・パチーノ、1972年製作イタリア系組織犯罪集団マフィアの内情を世に知らしめた名作です。マーロン・ブランドが演じるマフィアのボス、ドン・コルレオーネは、相手が貧しく微力な者でも、助けを求めてくれば親身になってどんな困難な問題でも解決します。映画の冒頭に、相談を聞くためのオフィスで、ドン・コルレオーネが手の中で猫をもてあそんでいます。コルレオーネ役のマーロン・ブランドに、猫は手を伸ばしたり、体の向きをくねくね変えたり、甘えきっています。マーロン・ブランドも猫が喜ぶポイントをまさぐり、猫好きの本性は明らかです。しかし、ドンとしての仏頂面を崩しません。リラックスした猫が、厳しいマフィアの行動原理を際立たせるシーンです。ここで猫を登場させるコッポラ監督は流石です。『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』(原題:A Street Cat Named Bob)、監督:ロジャー・スポティスウッド、出演:ルーク・トレッダウェイ、ルタ・ゲドミンタス、2016年製作ホームレス同然の貧しいストリートミュージシャンが1匹の野良猫との出会いによって再生していく姿を描く作品です。これは本当にオススメの映画なので、ネタバレしないように詳しく述べません。ボブが実話に基づく猫であることが驚きです。日本やハリウッドの映画は、動物が登場するとメロメロの甘い展開になることが常ですが、辛口な展開はイギリス映画を感じさせます。監督のロジャー・スポティスウッドは、『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』のメガホンも取っている実力派です。『猫が教えてくれたこと』(原題:Nine Lives: Cats in Istanbul/Kedi)、2016年製作これはドキュメンタリー映画で、上映時間も79分と手頃です。猫と人間たちの幸せな関係をとらえたドキュメンタリーです。ヨーロッパとアジアの文化をつなぐイスタンブールの街で暮らす野良猫が主人公です。生まれも育ちも異なる7匹の猫たちと人間たちが紡ぎ出す触れ合いは感動を与えてくれます。あなたの心が乾燥し、癒しが必要ならばご覧ください。必ずや効能を発揮します。論文発表と映画製作という情報発信の共通性を論じるつもりが、結局は猫好き談義になってしまいました。お許しください。

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事例028 関節腔内注射の査定【斬らレセプト シーズン3】

解説事例では、関節腔内注射の算定をしたところ、C事由(医学的理由による不適当)にて複数件が査定となりました。傷病名に「腱鞘炎」とあるために手技料の選択誤りとして査定になったものと推測ができます。複数件の査定であったために、原因を探ってみました。カルテを確認してみると、「拇指CM関節付近から腱鞘内注射」と記載されていました。この記載をみて会計担当者は「関節腔内注射が行われたもの」と誤認して、会計操作が行われたようです。レセプトチェックシステムのログをみると関節腔内注射に対して病名不足の指摘がありました。指摘があったことを医師に伝えて病名追加を口頭で依頼したところ、「そのままで良い」との返答があったため、「修正せずに提出した」と返答がありました。医師は適切に治療をされており、その記録を残していますので、口頭の受け答えではそのままで良いと返答されて当然です。複数の誤認と不充分な確認が重なり、複数件の査定が発生してしまいました。外来会計において処理件数が集中する時間帯には、個別の病名確認が不充分となり、このような誤認が発生しやすくなります。会計担当者には、腱鞘炎には腱鞘内注射、関節炎には関節内注射の適応と、それぞれの病名と手技の違いを説明しました。レセプトチェックシステムには、手技料誤りの可能性を表示させるように追加登録して査定対策としました。

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ASCO2023 レポート 泌尿器科腫瘍

レポーター紹介2023 ASCO Annual Meeting2023年の米国臨床腫瘍学会(ASCO 2023)は6月2日から6日にかけてシカゴを舞台に開催されました。今年の泌尿器がん領域のScientific Programは、前立腺がん領域においてmCRPCの1次治療としての新規ARシグナル阻害薬とPARP阻害薬の併用に関する試験結果が多く発表されていたのが印象的でした。そのほか、尿路上皮がん領域では周術期化学療法としてのdd-MVAC、FGFR変異陽性例におけるerdafitinib、膀胱全摘における拡大リンパ節郭清の意義に関する重要なデータが発表されました。腎がんでも免疫チェックポイント阻害薬(ICI)のリチャレンジに焦点を当てた、他に類を見ない試験の結果が発表され注目を集めました。そのうちのいくつかを紹介いたします。CAPTURE試験(Abstract # 5003)mCRPC患者の最大30%でDNA損傷修復(DDR)遺伝子の病的変異が観察されます。BRCA2の変異はmCRPCを含むさまざまな前立腺がんの段階において一貫して不良な生存転帰と関連しているだけでなく、PARP阻害薬の効果予測因子となることも知られています。一方で、ほかの生殖細胞系列DDR変異の予後因子としての意義は未解明の部分も多く残されています。本試験は、mCRPCの1次治療としてドセタキセル、カバジタキセル、酢酸アビラテロン/プレドニゾン、またはエンザルタミドの投与を受けた患者の前向き観察研究PROCUREに登録されているmCRPC患者を対象として行われました。ATM、BRCA1/2、BRIP1、CDK12、CHECK2、FANCA、HDAC2、PALB2、RAD51B、およびRAD54Lを含むDDR遺伝子の生殖細胞系列変異および体細胞変異(腫瘍FFPE検体を使用)を解析し、画像上無増悪生存期間(rPFS)、2次治療を含めた無増悪生存期間(PFS2)、および全生存期間(OS)との関連が検証されました。遺伝子変異は、変異遺伝子のカテゴリー(BRCA1/2>HRR non-BRCA>non-HRR)、生殖細胞系列・体細胞変異の別(Germline>Somatic>None)、片アレル・両アレルの別(Bi-allelic>Mono-allelic>None)に基づき階層的に分類されました。解析の結果、BRCA1/2変異患者はHRR non-BRCA変異患者およびnon-HRR変異患者と比較して、2次治療を受けた割合が高いということがわかりました(92%、79%、79%)。にもかかわらず、BRCA1/2変異患者はHRR non-BRCA変異患者およびnon-HRR変異患者と比較してrPFS、PFS2、OSが不良でした。BRCA1/2変異患者に限定した探索的サブグループ解析では、BRCA1/2変異のタイプ(生殖細胞系列変異か体細胞変異か、片アレルか両アレルか)と腫瘍学的転帰(rPFS、PFS2、およびOS)の間に有意な関連は見られませんでした。1次治療として新規ARシグナル阻害薬またはタキサンのいずれかを投与されたmCRPC患者では、ほかのDDR遺伝子と比較してBRCA1/2変異がrPFS、PFS2、OSの短縮と関連していました。BRCA1/2変異陽性患者の不良な転帰は、変異のタイプにかかわらず観察され、また治療への曝露が低いことが原因ではないことが示唆されました。これらの結果は進行前立腺がんの治療において、とくにBRCA1/2の生殖細胞系列および体細胞変異をスクリーニングすることの重要性を示しています。TALAPRO-2試験(Abstract # 5004)TALAPRO-2試験(NCT03395197)は、mCRPC患者の1次治療としてtalazoparib+エンザルタミドとプラセボ+エンザルタミドの併用を評価した第III相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験で、患者はtalazoparib 0.5mgを1日1回(標準の1.0mgから減量)+エンザルタミド160mgを1日1回投与する群と、プラセボ+エンザルタミドを投与する群に1:1で無作為に割り付けられました。TALAPRO-2は、PROpelと同様に「オールカマー」のバイオマーカー未選択コホート(HRR遺伝子の変異ステータスにかかわらず組み入れ)を対象とした試験として注目を集めました。バイオマーカー未選択コホート(コホート1、805例)の主解析の結果はすでに報告されており(Agarwal N, et al. Lancet. 2023 Jun 2. [Epub ahead of print])、talazoparib+エンザルタミド併用群のrPFSは、プラセボ+エンザルタミド群と比較して有意に良好でした(中央値:未到達vs.22ヵ月、HR:0.63、95%CI:0.51~0.78、p<0.001)。今回は、コホート1におけるHRR遺伝子変異陽性患者(169例)に、新たにリクルートしたHRR遺伝子変異陽性患者(230例)を加えたコホート2(399例)のデータが公表されました。コホート2もコホート1と同様、talazoparib+エンザルタミド群とプラセボ+エンザルタミド群とに1:1で無作為に割り付けられました。変異HRR遺伝子の内訳は、BRCA2(34%)が最多で、ATM(20~24%)、CDK12(18~20%)がこれに続きました。観察期間中央値16.8~17.5ヵ月の時点で、talazoparib+エンザルタミドの併用はrPFSの有意な改善と関連しており、rPFS中央値は介入群では未達だったのに対し、プラセボ+エンザルタミド群では13.8ヵ月でした(HR:0.45、95%CI:0.33~0.81、p<0.0001)。変異HRR遺伝子に基づくサブグループ解析では、rPFSの有意な延長は BRCA(とくにBRCA2)変異患者に限定されており、PALB2、CDK12、ATM、およびそのほかのHRR遺伝子変異患者ではrPFSの有意な改善は見られないことが本試験でも示されました。PROpel試験のPROデータ(Abstract # 5012)PROpel試験(NCT03732820)はmCRPCに対する1次治療としての、アビラテロン+オラパリブとアビラテロン+プラセボを比較した第III相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験で、患者はHRR遺伝子の変異ステータスに関係なく登録され、アビラテロン(1,000mgを1日1回、プレドニゾン/プレドニゾロンを併用)に加えて、オラパリブ(300mgを1日2回)またはプラセボのいずれかを投与する群に無作為(1:1)に割り付けられました。主要評価項目であるrPFSに関しては、オラパリブ+アビラテロン群がプラセボ+アビラテロン群と比べて有意に良好でした(中央値:24.8ヵ月vs.16.6ヵ月、HR:0.66、95%CI:0.54~0.81、p<0.001)。rPFSの延長はHRR遺伝子の変異ステータスに関係なく観察されましたが、効果の大きさはHRR変異陽性患者(HR:0.50、95%CI:0.34~0.73)では、HRR変異陰性患者(HR:0.76、95%CI:0.60~0.97)と比べて高いことが示されました。OSに関しては現在のところ有意差を認めていません。初回の報告ではFACT-Pで評価された健康関連QOL(HRQOL)に有意差はありませんでしたが、今回最終解析時点におけるHRQOLデータが報告されました。本報告でもFACT-Pで評価されたHRQOLに有意差は認められませんでした。また、BPI-SFで評価された疼痛スコアの平均、悪化までの期間も両群間に有意差を認めませんでした。さらに、初回の骨関連有害事象までの期間や麻薬系鎮痛薬使用までの期間にも有意差を認めませんでした。結論として、アビラテロン単独と比較して、アビラテロン+オラパリブの併用はHRQ OL転帰の悪化とは関連していないことが示唆されました。TALAPRO-2試験のPROデータ(Abstract # 5013)上述のTALAPRO-2試験(NCT03395197)のコホート2の腫瘍学的アウトカムの報告に続いて、Patient Reported Outcome(PRO)の結果も発表されました。PROはEORTC QLQ-C30とその前立腺がんモジュールQLQ-PR25を用いて、ベースラインからrPFSに到達するまで4週間ごと(54週以降は8週ごと)に評価されました(BPI-SFおよびEQ-5D-5Lも使用されたようですが、今回は報告されませんでした)。個々のドメインスコアのベースラインからの平均変化および臨床的に意味のある(10ポイント以上) 悪化までの時間(TTD)が解析されました。その結果、EORTC QLQ-C30における全般的なQOLを示すGHS/QOLスコアのTTDはプラセボ+エンザルタミド群と比較して、talazoparib+エンザルタミド群で有意に長くなりました(HR:0.78、95%CI:0.62~0.99、p=0.038)。ベースラインからのGHS/QOLスコアの推定平均変化も同様にtalazoparib+エンザルタミド群で有意に良好でしたが、その差は臨床的に意味のあるものではありませんでした。さらに、両群間で身体面、役割面、感情面、認知面、社会面の各機能スケールに有意な差は観察されませんでした。また、個々の症状スケールにも臨床的に意味のある差異は認められませんでした。プラセボ+エンザルタミドと比較して、talazoparib+エンザルタミドの併用は、全体的な健康状態とQOLの改善に関連している可能性がありますが、その差は臨床的に意味のあるものではないことが示されました。ここ数年で、mCRPCにおける1st-line治療としての新規ARシグナル阻害薬とPARP阻害薬の併用に関する試験に関する報告が相次いでいます。今回紹介したPROpel(アビラテロン+オラパリブ)、TALAPRO-2(talazoparib+エンザルタミド)のほかに、MAGNITUDE試験(ニラパリブ+アビラテロン)の中間解析結果も公表されています(Chi KN, et al. J Clin Oncol. 2023;41:3339-3351.、Chi KN, et al. Ann Oncol. 2023 Jun 1. [Epub ahead of print])。これらの新規ARシグナル阻害薬とPARP阻害薬の併用療法が、mCRPCにおいてHRR遺伝子の変異ステータスにかかわらずベネフィットをもたらすのかどうかが最大の焦点と言えますが、現在のところ共通して言えるのは、(1)いずれの併用療法においても効果の大きさは、BRCA2-associated mCRPC>all HRR-deficient mCRPC>unselected mCRPC>non-HRR-altered mCRPCの順に大きいこと。(2)現在のところベネフィットが示されているのはrPFSまでで、OSではベネフィットが示されていないこと。(3)新規ARシグナル阻害薬とPARP阻害薬の併用は新規ARシグナル阻害薬単剤と比べて、QOL悪化までの期間を延長すること。(4)新規ARシグナル阻害薬+PARP阻害薬と新規ARシグナル阻害薬+プラセボの各群間のQOLスコアに、有意差あるいは臨床的に意味のある差は報告されていないこと。などです。(1)からは、併用療法をHRR遺伝子の変異ステータスにかかわらず(つまり「オールカマー」に)適応した場合、その効果はその集団に占めるHRR遺伝子(とくにBRCA2)変異陽性症例の占める割合によって影響を受けることを意味します。このことはHRR遺伝子(あるいはBRCA2)変異の頻度が低いといわれている日本人集団への適応を考える際に重要です。(2)と併せて、本治療が本邦で承認される場合、どのような条件が付くことになるのか注視したいと思います。(3)はrPFSの延長と無関係ではないと思われますが、OSのベネフィットが示されない状況で、rPFS延長の意義を高めるデータではあります。少なくとも(4)からは、mCRPC患者が同様のHRQOLを維持しながら、新規ARシグナル阻害薬とPARP阻害薬の併用療法を継続可能であることを示していると言えるでしょう。GETUG/AFU V05 VESPER試験(Abstract # LBA4507)GETUG/AFU V05 VESPER試験(NCT01812369)は筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)に対する周術期化学療法として、dd-MVACとGCを比較する試験で、すでにdd-MVACがGCと比較して3年のPFSを改善することが報告されています。2013年2月から2018年2月まで、フランスの28施設で500例が無作為に割り付けられ、3週間ごとに4サイクルのGC、または2週間ごとに6サイクルのdd-MVACのいずれかを手術前(術前補助療法群)または手術後(補助療法群)に受けました。今回は5年のOSを含む最終解析の結果が報告されました。OSはdd-MVAC群で改善され(64% vs.56%、HR:0.77、95%CI:0.58~1.03、p=0.078)、疾患特異的生存期間(DSS)も改善しました(72% vs.59%、HR:0.63、95%CI:0.46~0.86、p=0.004)。とくにネオアジュバント群においてdd-MVACはGCよりも有意に優れていました(OS:66% vs.57%、HR:0.71、95% CI:0.52~0.97、p=0.032、DSS:75% vs.60%、HR:0.56、95%CI:0.39~0.80、p=0.001)。MIBCの周術期化学療法において、dd-MVACはGCに比べてOS、DSSを有意に改善することが示されました。今後、本邦でも標準治療となっていくかどうか動向が注目されます。THOR試験(Abstract # LBA4619)FGFR変異は転移性尿路上皮がん患者の約20%で観察され、ドライバー変異として機能していると考えられています。THOR試験(NCT03390504)は、プラチナ含有化学療法および抗PD-(L)1治療後に進行した、FGFR3/2変異を有する局所進行性または転移性尿路上皮がん患者を対象とし、erdafitinibと化学療法を比較するランダム化第III相試験でした。266例の患者が無作為化され、そのうち136例がerdafitinib、130例が化学療法を受けました。今回は、追跡期間の中央値15.9ヵ月時点での主要評価項目のOSのデータが発表されました。erdafitinibは化学療法と比較してOSを有意に延長し、死亡リスクを減少させました(12.1ヵ月vs.7.8ヵ月、HR:0.64、95%CI:0.47~0.88)。さらに、erdafitinibと化学療法によるOSのベネフィットは、サブグループ全体で一貫して観察されました。さらに、客観的奏効率(ORR)はerdafitinibのほうが有意に良好でした(45.6% vs.11.5%、相対リスク:3.94、95%CI:2.37~6.57、p<0.001)。安全性に関しても新たな懸念は見いだされませんでした。erdafitinibはプラチナ含有化学療法および抗PD-(L)1治療後に進行した、FGFR3/2 変異を有する局所進行性または転移性尿路上皮がん患者における標準治療になりうると考えられます。SWOG S1011試験(Abstract # 4508)MIBCに対する膀胱全摘除術(RC)におけるリンパ節郭清の範囲に関する前向き試験であるSWOG S1011(NCT01224665)の結果が報告されました。詳細は別項に譲りますが、主要評価項目であるDFS、副次評価項目であるOSともに両群間に有意差を認めませんでした。この結果は数年前に報告された同様の試験であるLEA AUO AB 25/02試験(NCT01215071、Gschwend JE, et al. Eur Urol. 2019;75:604-611.)と同様でしたが、サンプルサイズ、観察期間などの不足から検出力が不足しているとの指摘(Lerner SP, et al. Eur Urol. 2019;75:612-614.)もあり、今後より大規模なデータベース研究や長期フォローアップの結果が待たれます。いずれにせよ、RCにおける拡大郭清がDFS、OSに与える影響はそれほど大きくはないということが示唆されました。CONTACT-03試験(Abstract # LBA4500)CONTACT-03試験(NCT04338269)は、ICI治療中または治療後に進行した、切除不能または転移性の淡明細胞型または非淡明細胞型RCC患者を対象とし、アテゾリズマブ(1,200mg IV q3w)とカボザンチニブ(60mg 経口 qd)の併用またはカボザンチニブ単独の治療に1:1に無作為に割り付けました。RECIST 1.1に基づくPFSおよびOSが主要評価項目でした。552例が無作為化され、263例がアテゾリズマブ+カボザンチニブ群に、259例がカボザンチニブ単独群に割り付けられました。観察期間の中央値15.2ヵ月の時点で、アテゾリズマブ+カボザンチニブ群にOS、PFSに関するベネフィットは認められませんでした。Grade3/4の有害事象は、アテゾリズマブ+カボザンチニブ群の68%(177/262)およびカボザンチニブ単独群の62%(158/256)で報告されました。Grade5のAEは6%と4%で発生しました。治療中止につながる有害事象は、アテゾリズマブ+カボザンチニブ群で16%、カボザンチニブ単独群では4%で発生しました。本試験は、ICI治療中あるいは治療後に進行した腎がん患者に対してカボザンチニブにアテゾリズマブを追加しても臨床転帰は改善されず、毒性が増加するという残念な結果に終わりましたが、ICIのリチャレンジを検証する初のランダム化第III相試験として注目度も高く、論文はLancet誌に掲載されています(Pal SK, et al. Lancet. 2023;402:185-195.)。おわりに本年のASCO Annual Meetingでは、泌尿器腫瘍各領域で今後の治療の在り方に重要な示唆を与える報告が多数見られました。前立腺がん領域では、mCRPCの1次治療としての新規ARシグナル阻害薬とPARP阻害薬の併用に関する試験以外にも、mCRPCの1次治療としての新規ARシグナル阻害薬と放射線治療および化学療法の併用に関するPEACE-1試験の放射線治療のベネフィットに関するデータも公表されました。総じて、ここ10年で開発されてきた治療法の併用による治療強度の増強に関する研究が多かったように思います。これらの治療は、対象患者、治療レジメンともに、さらなる最適化が必要と考えられます。今後の動向にも注目していきたいと思います。

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TTP診療ガイドライン2023改訂のポイント~Minds方式の診療ガイドラインを視野に

「血液凝固異常症等に関する研究班」TTPグループの専門家によるコンセンサスとして2017年に作成され、2020年に部分改訂された、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の診療ガイドライン、『血栓性血小板減少性紫斑病診療ガイド2023』が7月に公開された。2023年版では、Minds方式の診療ガイドラインを視野に、リツキシマブに対してclinical question(CQ)が設定され、エビデンスや推奨が掲載された。TTP診療ガイドライン、主な改訂ポイントは・リツキシマブの推奨内容の追加・変更とCQの掲載・カプラシズマブが後天性TTP治療の第一選択に・抗血小板薬、FFP輸注に関する記述を追加・FrenchスコアとPLASMICスコアに関する記述を追加・増悪因子に関する記述を追加リツキシマブを後天性TTPの急性期、寛解期にも推奨 難治例を中心に広く使用されているリツキシマブであるが、TTP診療ガイドライン2023年版では、後天性TTPの急性期に投与を考慮しても良い(保険適用外、推奨度2B)としている。ただし、とくに初回投与時のインフュージョンリアクションに注意が必要としている。また、難治例、早期再発例(推奨度1B)や寛解期(保険適用外)でのリツキシマブ使用についての記載も追加された。再発・難治例では、治療の効果と安全性が確認されており、国内で保険適用もあることから推奨するとし、後天性TTPの寛解期では、ADAMTS13活性が10%未満に著減した場合、再発予防にリツキシマブの投与を検討しても良いとした。TTP診療ガイドライン、リツキシマブの使用に関する記載が大幅追加 上述のとおり、TTP診療ガイドライン2023年版ではリツキシマブの使用に関する記載が大幅に追加されたが、さらに巻末には、リツキシマブの急性期、難治例・早期再発例、寛解期における使用に関するCQも掲載されている。これらのCQに対するAnswerおよび解説を作成するに当たり、エビデンス収集のため、2022年1月7日時点で過去10年間にPubMedに登録されたTTPに関するリツキシマブの英語論文の精査が行われた。各CQに対する解説では、国際血栓止血学会TTPガイドライン2020などのガイドラインや臨床試験、システマティックレビュー、症例報告の有効性に関する報告を詳細に紹介したうえで、各CQに対し以下のAnswerを記載している。・後天性TTPの急性期に、リツキシマブ投与を考慮しても良い(推奨度2B)(保険適用外)・後天性TTPの再発・難治例にリツキシマブ投与を推奨する(推奨度1B)・後天性TTPの寛解期にADAMTS13活性が10%未満に著減した場合、再発予防にリツキシマブの投与を検討しても良い(推奨度2B)(保険適用外)カプラシズマブが後天性TTP治療の第一選択として記載 TTP診療ガイドライン2023年版では、カプラシズマブが2022年9月に日本でも販売承認されたことが報告された。本ガイドでは、カプラシズマブを推奨度1Aの後天性TTP急性期の治療としている。投与30日以降もADAMTS13活性が10%を超えない場合は、追加で28日間継続可能であること、ADAMTS13活性著減を確認する前に開始可能であるが、活性が10%以上でTTPが否定された場合は速やかに中止すべきであることが述べられている。TTP診療ガイドラインでの治療に関する改訂ポイント 急性期の治療として用いられる抗血小板薬(推奨度2B)については、血小板とvon Willebrand因子(VWF)を中心とした血小板血栓によってTTPが発症することからTTP治療に有効である可能性があるとしたが、急性期での使用により出血症状が認められたとの報告、チクロピジンやクロピドグレルの使用はTTP患者では避けられていること、アスピリンとカプラシズマブの併用は出血症状を助長する可能性があり避けるべきである等の内容がTTP診療ガイドライン2023年版では加えられた。先天性TTPの治療へのFFP輸注の使用(推奨度1B)の記載についても追加がなされた。国際血栓止血学会のTTPガイドラィンで推奨する用量(10~15mL/kg、1~3週ごと)は日本人には量が多く困難な場合があることや、長期的な臓器障害の予防に必要なFFPの量は現状では明らかではない等の内容が加えられた。TTP診療ガイドラインでの診断に関する改訂ポイント ADAMTS13検査やインヒビター検査は結果が得られるまで時間がかかり、TTP治療の早期開始の妨げになっている。そこで、TTP診療ガイドライン2023年版では、ADAMTS13活性著減の予想に用いられる、FrenchスコアとPLASMICスコアに関する記述が追加された。これら2つのスコアリングシステムについて、ADAMTS13活性著減を予測するが、血栓性微小血管症(TMA)が疑われる症例においてのみ用いられるべきことを明示した。増悪因子に関する記述をTTP診療ガイドラインに追加 TTP診療ガイドライン2023年版では、TTP発作を誘発する因子についての項目が加えられた。増悪因子として、出生直後の動脈管の開存、ウイルス/細菌感染症、妊娠およびアルコール多飲などが知られており、妊娠期にはFFP定期輸注を行うことが、妊娠管理に不可欠と考えられるとした。

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サプリメント摂取の最大目的は「健康増進」/アイスタット

 サプリメントは私たちの生活に欠かせないアイテムとなっている。ちょっとした栄養補給や健康の増進、体質改善などに摂取されているが、一般的なサプリメントの摂取について、摂取する目的やその理由、効果や安全面などで何か傾向はあるのであろうか。株式会社アイスタットは6月22日に「サプリメント」に関するアンケートを行った。 アンケート調査は、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の会員20~69歳の300人が対象。調査概要形式:Webアンケート形式調査期間:2023年6月22日回答者:セルフ型アンケートツールFreeasyに登録している300人(20~69歳)アンケート概要・サプリメントを毎日摂取している人は2割。今まで一度も摂取したことがない人は4割。・サプリメントを摂取しない理由の第1位は「お金」。・サプリメントを摂取するきっかけ・理由の第1位は「健康維持・促進のため」。・摂取したサプリメントの効能は「健康維持・促進」が最多、次に「特定の栄養素の補給」。・8割近くの人が症状の改善は「病医院」ではなく、「サプリメント」で。・サプリメントは「効果がある」と回答した人は3割。・サプリメントで健康被害にあったことがある人は約2割。・サプリメントで重視する点の第1位は「効き目・有効性」、第2位は「価格」。・負の生活習慣に該当していない人は、サプリメントを一度も摂取していない。毎日サプリメントを摂取する人は約2割 質問1で「健康食品のサプリメントを摂取しているか」(単回答)を聞いたところ、「今まで一度も摂取したことはない」が41.7%、「毎日」が23.0%、「以前は摂取、今は摂取していない」が21.3%の順で多かった。また、摂取経験の有無の分類では、「あり(58.3%)」が「なし(41.7%)」を上回り、6割近くの人に摂取経験がみられ、年代別では「毎日摂取している」を回答した人は「60代」で最も多かった。 質問2で摂取経験のない189人に「現在、健康食品のサプリメントを摂取しない理由」(複数回答)を聞いたところ、「お金がかかる」が42.9%、「特に理由はない」が38.1%、「効果が期待できない」が32.3%の順で回答が多かった。 質問3でサプリメントの摂取経験がある175人に「健康食品のサプリメントを摂取するきっかけ・理由」(複数回答)を聞いたところ、「健康維持・促進のため」が34.9%、「テレビ番組、CM、広告、新聞・雑誌をみて」が24.6%、「日ごろの栄養不足を補うため」が23.4%の順で多かった。明確な動機なく摂取される人も多い割合だった。 質問4でサプリメントの摂取経験がある175人に「摂取したことがある健康食品のサプリメント」(複数回答)を聞いたところ、「健康維持・促進」が51.4%、「特定の栄養素の補給」が32.6%、「疲労回復」が25.1%の順で多かった。また、1人当たりの摂取種類数を回答した個数から調べてみると「1種類」が44.6%、「2種類」が20.0%、「3種類」が19.4%と続いた。 質問5でサプリメントの摂取経験がある175人に「症状などを改善するために、病医院で診察を受けた経験があるか」(単回答)を聞いたところ、「診察を受けたことは一度もない」が78.9%、「ある」が21.1%の結果だった。回答者の8割近くが「病医院」ではなく、「サプリメント」で症状を改善していることが判明した。 質問6でサプリメントの摂取経験がある175人に「摂取したことがある健康食品のサプリメントの効果について」(単回答)として、最も印象に残るサプリメントの効果の有無について聞いたところ、「どちらでもない」が39.4%、「効果がある」が31.4%、「効果がない」が29.1%の順で多かった。 質問7でサプリメントの摂取経験がある175人に「サプリメントで健康被害にあったことがあるか」(複数回答)を聞いたところ、「なし」が78.3%で、8割近くの回答者が健康被害に遭っていなかった。一方、健康被害に遭った人で最も多かった症状は、「消化器症状(食欲不振や悪心など)」が8.6%、「神経症状(めまい、頭痛など)」が8.0%と多かった。 質問8で「サプリメントを摂取する・しないに関わらず、健康食品のサプリメントについて、重視する点」(複数回答)を聞いたところ、「効き目・有効性」が61.3%、「価格」が55.7%、「安全性」が48.3%、「成分」が23.7%の順で多かった。また、摂取状況別では、「毎日摂取している人」ほど「安全性」「効き目・有効性」「価格」「味の飲みやすさ」「認知度」の回答が多く、「毎日ではないが摂取の人」ほど「成分」「ネームバリューがあり、どこでも購入できる」の回答が多かった。 質問9で「生活習慣について」(複数回答)を聞いたところ、「ストレスがある」「適度な運動はしていない」「体調を崩しやすい」「肥満体型・ぽっちゃり体型である」「身体をゆっくりと休む時間(家でごろごろ)が週1回ない」「更年期障害に悩まされている」「持病がある」「規則正しい生活を送っていない」と回答した人は、サプリメントを「毎日摂取」している人が多かった。一方、マイナスイメージの生活習慣に該当しない人(上記に当てはまるものはない人)は、サプリメントを「一度も摂取したことがない」割合が最も多かった。

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双極性障害女性患者における抗精神病薬使用後の乳がんリスク

 統合失調症女性患者における抗精神病薬使用と乳がんリスクとの関連は、さまざまな疫学データより報告されている。しかし、双極性障害女性患者を対象とした研究は、これまであまり行われていなかった。香港大学のRachel Yui Ki Chu氏らは、双極性障害女性患者における抗精神病薬使用と乳がんリスクとの関連を調査し、統合失調症との比較を行った。その結果、統合失調症女性患者では、第1世代抗精神病薬と乳がんリスクとの関連が認められ、双極性障害女性患者では、第1世代および第2世代抗精神病薬のいずれにおいても、乳がんリスクとの関連が認められた。Psychiatry Research誌8月号の報告。 香港の公的医療データベースを用いて、双極性障害または統合失調症の18歳以上の女性患者を対象に、ネステッドケースコントロール研究を実施した。incidence density samplingを使用して、乳がんと診断された女性を対照群(最大10例)としてマッチした。 主な結果は以下のとおり。・症例群672例(双極性障害:109例)、対照群6,450例(双極性障害:931例)を分析対象に含めた。・第1世代抗精神病薬と乳がんリスクとの関連は、統合失調症(調整オッズ比[aOR]:1.49、95%信頼区間[CI]:1.17~1.90)または双極性障害(aOR:1.80、95%CI:1.11~2.93)の女性患者のいずれにおいても認められた。・第2世代抗精神病薬は、双極性障害女性患者のみで乳がんリスクと関連しており(aOR:2.49、95%CI:1.29~4.79)、統合失調症女性患者では有意な関連が認められなかった(aOR:1.10、95%CI:0.88~1.36)。・抗精神病薬を使用中の双極性障害女性患者の乳がんリスクについては、さらなる研究が必要とされる。

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乳児の遺伝子検査、迅速全ゲノムvs.標的遺伝子/JAMA

 遺伝的疾患が疑われる乳幼児の遺伝子検査として、迅速全ゲノムシークエンスと標的乳幼児遺伝子パネルの分子診断率および結果が得られるまでの時間は同等なのか。米国・Women and Infants Hospital of Rhode IslandのJill L. Maron氏らは、400例を対象に多施設共同前向き比較試験「Genomic Medicine for Ill Neonates and Infants(GEMINI)試験」を行い、ゲノムシークエンスの分子診断率は高率だが、臨床に有用な結果が得られるまでの時間は標的乳幼児遺伝子シーケンス検査よりも遅かったことを示した。乳幼児への遺伝子検査は医療上の決定を導き健康アウトカムの改善を可能とするが、分子診断率や結果が得られるまでの時間が同等なのかについて明らかになっていなかった。JAMA誌2023年7月11日号掲載の報告。1歳未満児400例に両検査を行い、分子診断率と結果発表までの時間を評価 研究グループは2019年6月~2021年11月に米国の6病院で、入院中の1歳未満児とその保護者400例を対象に、ゲノムシークエンスと標的乳幼児遺伝子シーケンス検査のアウトカムを比較した。 試験登録された患児に、ゲノムシークエンスと標的乳幼児遺伝子シーケンス検査を同時に実施。それぞれの検査室で、患児の表現型に関する知識に基づく解釈が行われ、臨床ケアチームに結果が伝えられた。家族には、両検査からの遺伝学的所見に基づき、臨床管理と提供する治療の変更、ケアの方向性の転換が伝えられた。 主要エンドポイントは、分子診断率(病的バリアントが1つ以上または臨床的意義が不明[VUS]のバリアントを有する患児数と関連する割合で定義)と結果が返ってくるまでの時間(患児の検体を受け取ってから最初の所見が発表されるまでの時間と定義)、臨床的有用性とした。臨床的有用性は、患者への医学的、外科的および/または栄養学的管理の変化や治療目標の変化と定義し、記録担当医(集中治療担当医または遺伝学者)が5ポイントのリッカート尺度(1[まったく無用]~5[非常に有用])で測定評価した。検査室間のバリアント解釈の違いに留意が必要 分子診断上の変異は、51%の患児(204例)で同定された。297個のバリアントが同定され、そのうち134個は新規バリアントであった。 分子診断率は、ゲノムシークエンス49%(95%信頼区間[CI]:44~54)vs.標的乳幼児遺伝子シーケンス検査27%(23~32)であった。標的乳幼児遺伝子シーケンス検査で検出されたがゲノムシークエンスで報告されなかったバリアントは19個であった。一方で、ゲノムシークエンスで診断されたが標的乳幼児遺伝子シーケンス検査で報告されなかったバリアントは164個であった。標的乳幼児遺伝子シーケンス検査で同定されなかったバリアントには、構造的に1kb超のもの(25.1%)や、検査から除外された遺伝子(24.6%)が含まれていた(McNemarオッズ比[OR]:8.6[95%CI:5.4~14.7])。 検査室間のバリアントの解釈は、43%で違いがみられた。 結果が返ってくるまでの時間中央値は、ゲノムシークエンスは6.1日、標的乳幼児遺伝子シーケンス検査は4.2日であった。なお緊急症例(107例)では、それぞれ3.3日、4.0日だった。 臨床ケア変更への影響は、患児の19%でみられた。 76%の臨床担当医が、診断にかかわらず、臨床上の意思決定に遺伝子検査は有用またはとても有用と見なしていた。 これらの検討結果を踏まえて著者は、「研究室でのバリアント解釈が、分子診断率の違いに寄与し、臨床管理に関する重要なコンセンサスに関係する可能性があるようだ」と指摘。また、「今回の検討では、分子診断率の違いが臨床アウトカムの改善につながるかどうかの正式な評価を行っていないことを含め、いくつかの限界がある。分子診断率の統計学的優越性の検討は行っておらず、将来の研究で良性であることが明らかになる可能性のあるVUSバリアントも含まれたことが分子診断率の上昇に寄与した可能性もある」と述べている。

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プラチナ不適NSCLCの1次治療、アテゾリズマブがOS改善(IPSOS)/Lancet

 StageIIIB/IVの非小細胞肺がん(NSCLC)でプラチナダブレット化学療法を受ける患者の1次治療として、アテゾリズマブは単剤化学療法と比較し、全生存期間(OS)を改善し、2年生存率を倍増させ、QOLの維持および良好な安全性プロファイルと関連したことが示された。英国・University College London Hospitals NHS Foundation TrustのSiow Ming Lee氏らが、第III相国際多施設共同非盲検無作為化対照試験「IPSOS試験」の結果を報告した。進行または転移のあるNSCLC患者に対する免疫療法の進展にもかかわらず、主な1次治療試験では、対象患者がECOS PS 0~1で年齢中央値65歳以下に限定されていた。IPSOS試験ではプラチナ製剤を含むレジメン不適の患者が対象とされ、アテゾリズマブの有効性と安全性が検討された。著者は、「今回示されたデータは、プラチナをベースとした化学療法が不適の進行NSCLC患者に対して、アテゾリズマブ単剤療法が潜在的な1次治療の選択肢であることを支持するものである」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年7月6日号掲載の報告。23ヵ国91施設で試験、単剤化学療法と比較しOSを評価 IPSOS試験は、アジア、欧州、北米および南米の23ヵ国91施設で行われた。StageIIIB/IVのNSCLCでプラチナダブレット化学療法が試験担当医によって不適と判断された患者を、本試験の適格とした。不適の判断理由は、ECOG PSが2または3であること、あるいは、ECOG PSは0~1だが重大な併存疾患を有するかプラチナダブレット化学療法が禁忌で70歳以上であることであった。 被験者は、2対1の割合で置換ブロック法により無作為化され(ブロックサイズ6)、アテゾリズマブ1,200mg 3週ごと静脈内投与または単剤化学療法(ビノレルビン[経口または静脈内投与]またはゲムシタビン[静脈内投与]、試験地の規定用量に準じる)を3週または4週サイクルでそれぞれ受けた。 主要評価項目はOS(intention-to-treat集団で評価)。安全性解析は、アテゾリズマブまたは化学療法のあらゆる任意投与を受けたすべての無作為化された被験者を含む安全性評価集団を対象に行われた。OSは有意に延長、2年生存率は24% vs.12% 2017年9月11日~2019年9月23日に453例が登録・無作為化された(アテゾリズマブ群302例、化学療法群151例)。 アテゾリズマブは化学療法と比べてOSを有意に延長した(OS中央値10.3ヵ月[95%信頼区間[CI]:9.4~11.9]vs.9.2ヵ月[5.9~11.2]、層別ハザード比[HR]:0.78[95%CI:0.63~0.97]、p=0.028)。2年生存率は、アテゾリズマブ群24%(95%CI:19.3~29.4)、化学療法群12%(6.7~18.0)であった。 化学療法と比較してアテゾリズマブは、患者報告の健康関連QOL機能尺度および症状の安定化や改善、Grade3~4の治療関連有害事象(49/300例[16%]vs.49/147例[33%])および治療関連死(3例[1%]vs.4例[3%])の減少と関連していた。

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スタチン、ゾコーバなど、重大な副作用追加で添付文書改訂/厚労省

 厚生労働省は7月20日、HMG-CoA還元酵素阻害薬を含有する医薬品(スタチン)、エンシトレルビルなどの添付文書について、使用上の注意改訂指示を発出した。HMG-CoA還元酵素阻害薬を含有する医薬品 国内副作用症例において、スタチンと重症筋無力症との因果関係が否定できない症例が認められた。また、公表文献において、スタチンの再投与で重症筋無力症の症状が再発した症例、スタチンの中止で重症筋無力症の症状が消失した症例など、スタチンと重症筋無力症との因果関係が否定できない症例が報告されていることを踏まえ、改訂が適切と判断された。<改訂点>1.「特定の背景を有する患者に関する注意」(新記載要領)または「慎重投与」(旧記載要領)の項に「重症筋無力症又はその既往歴のある患者」を追記2.「重大な副作用」の項に「重症筋無力症」を追記<該当医薬品>(1)アトルバスタチンカルシウム水和物(商品名:リピトール錠 ほか)(2)シンバスタチン(リポバス錠 ほか)(3)ピタバスタチンカルシウム水和物(リバロ錠 ほか)(4)プラバスタチンナトリウム(メバロチン錠 ほか)(5)フルバスタチンナトリウム(ローコール錠 ほか)(6)ロスバスタチンカルシウム(クレストール錠 ほか)(7)アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチンカルシウム水和物(カデュエット配合錠1~4番 ほか)(8)エゼチミブ・アトルバスタチンカルシウム水和物(アトーゼット配合錠LD/HD ほか)(9)エゼチミブ・ロスバスタチンカルシウム(ロスーゼット配合錠LD/HD)(10)ピタバスタチンカルシウム水和物・エゼチミブ(リバゼブ配合錠LD/HD)エンシトレルビル フマル酸(ゾコーバ錠) アナフィラキシー関連の国内症例として3例が報告されており、うち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は1例(死亡0例)であった。しかし、異物である本剤に対するアナフィラキシーの発現は潜在的リスクとして自明であり、緊急承認品目として遅滞ない安全対策措置が重要と、さらなる症例集積を待たずに改訂が判断された。<改訂点>「重大な副作用」の項に「アナフィラキシー」を追記 このほか、チルゼパチド(マンジャロ皮下注)の重大な副作用の項に「アナフィラキシー、血管性浮腫」が追加。ミノサイクリン(ミノマイシンカプセル ほか)の重大な副作用の項「全身性紅斑性狼瘡(SLE)様症状の増悪」を「ループス様症候群」へ変更し、長期投与例における当該事象の発現に関する注意喚起が追加された。

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