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1等、3本!【Dr. 中島の 新・徒然草】(499)

四百九十九の段 1等、3本!日本晴れの秋、休日の昼。開けっ放しの窓から入ってくる金木犀の香りとともに拡声器の音が……「1等、3本!」今日は住んでいるマンションの親睦会だったのです。私自身は朝から病院での救急対応で疲労困憊。家で昼寝していたので、豪華景品の当たるくじ引き大会には参加できませんでした。それにしても4年振りに開催された親睦会は大盛り上がりです。親睦会が終わっても有志による“パート2”は夜まで続いていました。さて、先日のこと。総診の外来を受診したのは、修学旅行で大阪に来ていた支援学校の男の子。38度台の熱が出たとかで、関東から迎えに来ていたお母さんと一緒でした。医療機関を受診して診断書をもらい家に連れて帰るように、という学校の指示があったそうです。母親「この子、すごくUSJを楽しみにいていたのですけど、結局、行けなかったんですよ」男の子のTシャツの胸には“SHARK”とプリントされています。わかりやすい!中島「そうか、ジョーズを見に行くつもりやったんか?」男の子「うん!」中島「ちょうど先生が高校生の時にな、リアルタイムでジョーズの映画をやっとったんや」母親「そうなんですか」調べてみると、日本での映画「ジョーズ」の公開は1975年12月なので、私が高校2年の時です。ちょうどその頃にあった修学旅行の行先がハチ北スキー場でした。クラス対抗の雪像作りでジョーズを作った記憶があるので、モロに映画の影響があったわけですね。中島「仕方ないからジョーズは諦めて、東京ディズニーランドで我慢しとけ」母親「この子、ディズニーランドが好き過ぎて、これまで何回行ったかわからないくらいです」男の子「うん!」中島「先生もディズニーランドが大好きや。と言ってもYouTubeで見てるだけやけどな」最近になって、なぜかディズニーの「ジャンボリミッキー! レッツ・ダンス!」の動画が頻繁にスマホに表示されるようになりました。3分ほどのダンスですが、中毒性が強いのか、つい最後まで見てしまいます。そうすると、ますます表示されるのでさらに見てしまうという悪の堂々巡り。ただ、1つ言い訳をさせていただくなら……あのダンスのお姉さん、お兄さんがプロ! われわれも見習うべきではないかと思います。まず、あれだけ激しく飛んだり跳ねたりしてもまったく息を切らさずに「こんにちはー!」と声を出していること。一体どんな心肺機能をしているのでしょうか。さらに、突然ヘッドセットが不調になっても動じません。「お姉さん、マイク取りに行ったほうがいいかも」とお兄さんが呼びかける。すると舞台裏に駆け込んだお姉さんが「お待たせ―」と言いながらハンドマイクを持って再登場。そしてお姉さんは右に左にハンドマイクを持ち替えながら、しかも笑顔で観客に呼びかけながらダンスを続けます。「まさかこうなることを見越して練習してたんかい」と突っ込みたくなるほどスムーズな進行でした。まさしくプロ。YouTubeでも称賛のコメントが並んでいました。とはいえ、私みたいなオッサンが診察室で「ジャンボリミッキー!」を熱く語っても似合わないので本来業務に戻ります。中島「幸い熱も下がっているようなので、診断書には『3日間の安静加療を要する』くらいで書いておきましょうか」母親「そうしてもらうと助かります」中島「気を付けてお帰りください」支援学校の修学旅行中に発熱して途中で帰るって「どんな不幸やねん」と思わなくもないですが、お母さんも男の子も終始ニコニコしているのが救いでした。あらためてジョーズに会いに、大阪に来てもらいたいものですね。最後に1句秋晴れの 修学旅行は 途中下車

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第67回 死の嵐が吹くガザ

人道的危機に陥るガザPixabayより使用イスラエル軍による空爆で、ガザ地区に多くの死傷者がいることはご存じかと思います。ガザは過去16年間、イスラエル政府による封鎖で人や物の出入りが制限され、「天井のない監獄」と言われてきました。日常生活でも逃げ場はなく、住民の多くは人道支援を頼りに生活しています。ガザ地区を実効支配する武装組織ハマスは、市民の生活を、資財を用いて今度こそ助けようとしていたわけですが、結果的にそのお金は大量のミサイルや武器に投じられ、ガザ市民は裏切られた形となりました。水や食料の供給がストップし、人道的危機に瀕しています。どちらの立場が正しいとかそういう政治的な見解はともかくとして、ハマスによる市民の虐殺も、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への大規模攻撃も、どちらも痛みを伴うものであり、われわれ医療従事者としては許容できるものではありません。イスラエル軍がガザ北部に対して出した避難命令は、言語道断で無責任です。イスラエル軍はまた、国境なき医師団が支援するアル・アウダ病院から全員退去するように求めています。しかし患者の搬送は困難で、医療施設への攻撃は国際人道法に反します。これらの要求を、最も強い言葉で非難します。 pic.twitter.com/ABFhoiyQuo— 国境なき医師団日本 (@MSFJapan) October 14, 2023 人間の盾となる市民物理的に退避できない市民たちがいます。種子島くらいの大きさの地域に約200万人が生活するガザから、出ていくのは並大抵のことではありません。しかも、人口の約半分は14歳以下の子供というのがガザの現状です。ミサイルを放って誰かが亡くなれば、その約半分は子供なのです。ハマスの活動拠点は、市民が滞在している病院の地下などにあります。武器も学校やモスクの中に隠しています。こんな場所で、そもそもガザ市民を傷付けずに戦うことは不可能です。ガザでは現在、国境なき医師団のスタッフ約300人、赤十字国際委員会の職員70人余りが活動しています。国境なき医師団にも日本人が何人かおられるそうです。イスラエルの空爆が始まってからというもの、医療現場では麻酔薬や鎮痛剤などが極端に不足しています。日本にいるわれわれにできることは、寄付くらいです。国境なき医師団 寄付

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ICIによる心筋炎、現時点でわかっていること/日本腫瘍循環器学会

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は抗PD-1抗体のニボルマブが2014年に本邦で上市されて以来、抗PD-L1抗体や抗CTLA-4抗体も登場し、現在では臓器横断的に幅広いがん種に対し、単独投与のみならず併用投与も行われるようになった。しかし、その一方でさまざまな免疫関連有害事象(irAE)が報告されており、とくに循環器医も腫瘍医も恐れているirAEの1つに心筋炎がある。これは通常の心筋炎とは何が違い、どのように対処するべきなのだろうか―。9月30日~10月1日に開催された第6回日本腫瘍循環器学会学術集会のシンポジウム『免疫チェックポイント阻害薬関連有害事象として心筋炎の最新の理解と対応』において、3名の医師が心筋炎のメカニズムや病態、実臨床での事例やその対応について発表した。irAE心筋炎でわかっていること、わかっていないこと Onco-Cardiology教育に力を入れる田尻 和子氏(国立がん研究センター東病院 循環器科長)によると、あいにく現時点ではこの病態の解明には至っていないが、心筋炎を起こす免疫細胞の種類とその働き、免疫細胞を制御している分子・シグナル・液性因子、心臓のT細胞は何を敵だと思って攻撃しているのか、などの疑問が沸いている状況だという。同氏はこれらの疑問点を詳細に解説したうえで、「なぜICI投与患者の約1%だけが心筋炎を発症するのか、そして従来の心筋炎よりなぜ予後が悪いのか」と2つの疑問を挙げた。 前者については「ICI治療前に存在する患者固有の特徴によるのか、またはICI投与によって生じた何らかの事象に関連するのか」と問題提起。また、「心筋に特異的なタンパクであるαミオシンを免疫細胞が敵だと思いこみ自己免疫性心筋炎が発症することは明らかになっている1-4)ものの、心筋炎にならなかったICI投与患者の心筋にもαミオシン反応性T細胞が存在することから、なんらかのウイルス感染が引き起こしている可能性、根底にある遺伝的感受性や腸内細菌の関与も考えられる」とコメントした。 さらに後者の疑問に対しては「いわゆる一般的な心筋炎というのは治療介入しなくとも自然軽快していくが、irAE心筋炎はステロイド抵抗性であったり、免疫応答がより強力(マクロファージの比率が多い、より高密度のリンパ球浸潤)であったりするのではないか。T細胞がICIにより永久的にリプログラムされて抑制シグナルに耐性を持ち、ICI投与終了後数年にわたる可能性も否めない。さらに、ウイルス感染が原因であればそのウイルスを除去すれば終わりだが、irAE心筋炎のT細胞が認識する抗原が腫瘍や心筋だった場合はそれらが除去されないために炎症が収束しないのではないか」と、仮説を挙げた。心筋炎の発症頻度は1%超、致死率は25~40%の可能性 続いて発表した清田 尚臣氏(神戸大学医学部附属病院 腫瘍センター)はirAEの特徴と実際の発症頻度について解説。「当初の発症頻度は0.09%程度と言われていたが、現在のRCTメタ解析などによると最大で5.8%に上り、近年の報告の多くは1%を超えている。つまり、想定していたよりも頻度や致死率が非常に高く、発症までの期間中央値は30日前後であることが各種論文から明らかになってきた」と述べた。同氏の施設では年間290例(ICI延べ処方件数3,341件)がICI治療を行っているが、「irAEの発症頻度を3%、致死率を30%と想定した場合、当院では年間9人が発症し、約3人が死亡することになる」と、いかに発症を抑えることが重要かを示した。 同氏はオンコロジストとしてできることについて、JAVELIN Renal 101試験5)でのMACEの定義や頻度を示し、「ICIを使用する前には脂質異常症などの既往、ベースライン時点での心電図とトロポニン測定などを実施して評価をしておくことが必要。検査所見のみで無症状の場合もあるが、心筋炎を疑う症状(息切れ、胸痛、浮腫、動悸、ショック症状など)がみられたら躊躇せずに、心電図、トロポニンやBNPの測定、心エコーを実施してほしい」と述べ、「irAE心筋炎はCCU管理が必要になる場合もあるため、疑った時点で早期に循環器医にコンサルテーションすることも必要」と連携の重要性も説明した。心筋炎に遭遇、実臨床での適切な対応策 循環器医の立場で登壇した及川 雅啓氏(福島県立医科大学 循環器内科学講座)は、実際にirAE心筋炎に遭遇しており、その際の対処法としてのステロイドの有用性、irAE後のICI再投与について言及した。 同氏の施設ではICI外来を設置し、患者・医療者の双方に負担がない取り組みを行っている。概要は以下のとおり。<福島県立医科大学附属病院のICI外来>・ICI治療が予定される場合、がん治療を行う各科にてトロポニンI、心電図、心エコーのオーダーを行い、循環器内科ICI外来(カルテ診)へ紹介する。・検査結果をカルテにて確認し、ICI開始後約1ヵ月、3ヵ月、以後3ヵ月ごとにトロポニンI測定ならびに心電図検査を実施する。・問題が生じた場合には、各科主治医に連絡を取り、今後の方針を検討する。 上記のフォローアップを受けた全271例のうち、トロポニンIの上昇(>0.05ng/mL)を認めたのは15例(5.5%)で、そのうちirAE心筋炎と診断されたのは4例(1.4%)だったという。この4例に対しては「ESCガイドライン6)に基づく治療として、ICIを中止し、心電図モニターを行った後、メチルプレドニゾロン500~1,000mg/dayを最低3日間実施した。これで改善すれば経口プレドニゾロン1mg/kg/dayに切り替え、ステロイド抵抗性がみられた場合には2ndラインとして免疫抑制薬の投与に切り替えが必要となる。本症例ではステロイド治療が奏効したが、重篤化前の治療介入が非常に重要であることが明らかであった」。 また、irAE心筋炎を診断する際の検査値について、「トロポニンIの持続上昇は臨床的な心筋炎に至る可能性が高いため、綿密なフォローアップが必要である」と説明し、さらに「肝機能異常やCPK上昇を伴っていることも報告7)されているが、実際に当院の症例でも同様の傾向が見られた。このような検査値にも注意を払うことが診断精度向上につながる」と補足した。 ICI再投与についてはJAMA誌での報告8)を示し、「irAE発症者6,123例のうち452例(7.4%)に行われ、再投与により28.8%でirAEが再発している。irAE心筋炎を発症した3例に再投与が行われ再発は0例であったが、例数が少なく判断が難しい。この結果を見る限りでは、現時点で再投与を積極的に行うことは難しいのではないか」と個人的見解を示した。 なお、本シンポジウムでは発表後に症例検討のパネルディスカッションが行われ、会場からの質問や相談が尽きず、盛況に終わった。■参考文献日本腫瘍循環器学会1)Munz C, et al. Nat Rev Immunol. 2009;9:246-258.2)Tajiri K, et al. Int J Mol Sci. 2021;22:794.3)Won T, et al. Cell Rep. 2022;41:1116114)Axelrod ML, et al. Nature. 2022;611:818-826.5)Rini BI, et al. J Clin Oncol. 2022;40:1929-1938.6)Lyon AR, et al. Eur Heart J. 2022;44:4229-4361.7)Vasbinder A, et al. JACC CardioOncol. 2022;4:689-700.8)Dolladille C, et al. JAMA Oncol. 2020;6:865-871.

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「人生をエンジョイ」する人は認知症発症リスクが低い~JPHC研究

 人生をエンジョイすることは、自身の環境と楽しく関わる能力と関連しており、これは認知症リスクとも関連しているといわれている。順天堂大学の田島 朋知氏らは、日本の地域住民における人生のエンジョイレベルと認知症発症との関連を調査した。The Journals of Gerontology. Series B, Psychological Sciences and Social Sciences誌オンライン版2023年9月18日号の報告。 対象は、Japan Public Health Center-based(JPHC)研究に参加した5年間のフォローアップ調査時点で45~74歳の日本人3万8,660例。心理的状態およびその他の交絡因子の特定には、自己記入式アンケートを用いた。認知症発症は、2006~16年の日本の介護保険(LTCI)制度に基づき評価した。Cox比例ハザードモデルを用いた、ハザード比[HR]および95%信頼区間[CI]を算出した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中央値9.4年の間に認知症を発症した患者は4,462例であった。・人生のエンジョイレベルは、認知症リスクとの反比例が認められた。・多変量HRは、エンジョイレベルが低い人と比較し、中程度の人で0.75(95%CI:0.67~0.84、p<0.001)、高い人で0.68(同:0.59~0.78、p<0.001)であった。・人生のエンジョイレベルの増加と認知症リスク低下との関連性は、低~中程度の精神的ストレスを抱えている人で最も強かった。・精神的ストレスレベルが高い人では、脳卒中後の身体障害性認知症において関連性が明らかであったが、脳卒中歴のない身体障害性認知症では認められなかった。 結果を踏まえ、著者らは「人生のエンジョイレベルが高い人は、とくに低~中程度の精神的ストレスを抱える人において、認知症発症リスクが低いことが示唆された。認知症リスクを軽減するためにも、精神的ストレスをマネジメントし、人生をエンジョイすることが重要である」としている。

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ベジタリアン食で、胃がん罹患リスク6割減

 食事とがん発症リスクとの関連は多数の先行研究があり、果物、野菜、全粒穀物、豆類などの植物性食品の摂取量の増加はがん罹患の予防効果と関連し、赤身肉や加工肉の多量摂取はがん罹患リスク増加と関連している、という報告がある。こうした中、菜食(ベジタリアン食)と消化器がんリスクについて調査した研究結果が発表された。中国・香港中文大学Tongtong Bai氏らによるこのシステマティックレビューは、European Journal of Gastroenterology & Hepatology誌オンライン版2023年9月18日号に掲載された。 研究者らは、PubMed等で、2022年8月までに発表されたベジタリアン食と消化器がん罹患リスクに関する観察研究を検索した。ベジタリアン食は肉または肉製品を含まない食事と定義し、主要アウトカムは消化器がんの罹患率とした。 主な結果は以下のとおり。・8件の研究(コホート研究7件、ケースコントロール研究1件)が組み入れられ、参加者は68万6,691例(成人)だった。全研究がデータ解析で交絡因子を処理しており、交絡因子には性別、年齢、BMI、身体活動、喫煙と飲酒の状態が含まれた。・ベジタリアン食の消化器がん罹患リスクは、非ベジタリアン食と比較して低かった(相対リスク[RR]:0.77、95%信頼区間[CI]:0.65~0.90)。・サブグループ解析では、ベジタリアン食は胃がん(RR:0.41、95%CI:0.28~0.61)および大腸がん(RR:0.85、95%CI:0.76~0.95)のリスク減少と関連を示した。一方、胃を除く上部消化器がん(RR:0.93、95%CI:0.61~1.42)のリスクとは相関しなかった。・ベジタリアン食は、男性では消化器がんリスク減少と関連を示したが(RR:0.57、95%CI:0.36~0.91)、女性では相関しなかった(RR:0.89、95%CI:0.71~1.11)。・ベジタリアン食は、北米の集団(RR:0.76、95%CI:0.61~0.95)およびアジアの集団(RR:0.43、95%CI:0.26~0.72)では消化器がんのリスク減少と関連を示したが、ヨーロッパの集団(RR:0.83、95%CI:0.68~1.01)では相関しなかった。 研究者らは、「ベジタリアン食は消化器がんの罹患リスクを低下させる可能性が高いが、詳細については、きちんとコントロールされたコホート研究、およびそのほかの研究のデータが必要である」としている。

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妊娠糖尿病への早期メトホルミンvs.プラセボ/JAMA

 妊娠糖尿病に対する早期のメトホルミン投与は、プラセボ投与との比較において、インスリン投与開始または32/38週時空腹時血糖値5.1mmol/L以上の複合アウトカム発生について、優位性を示さなかった。アイルランド・ゴールウェイ大学のFidelma Dunne氏らが、プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果を報告した。ただし、副次アウトカムのデータ(母親のインスリン開始までの時間、自己報告の毛細血管血糖コントロール、妊娠中の体重増加の3点)は、大規模試験でさらなるメトホルミンの研究を支持するものであったという。妊娠糖尿病は、妊娠期に多い合併症の1つだが、至適な治療は明らかになっていない。JAMA誌オンライン版2023年10月3日号掲載の報告。妊娠28週までの妊娠糖尿病の妊婦を対象に試験 研究グループは、アイルランドの2ヵ所の医療機関で試験を行った。2017年6月~2022年9月に、世界保健機関(WHO)基準2013で妊娠糖尿病の診断を受けた妊娠28週以前の被験者510人(妊娠535件)を登録し、産後12週間まで追跡した。 被験者は2群に割り付けられ、通常ケアに加え、一方にはメトホルミン(最大用量2,500mg)を、もう一方にはプラセボを投与した。 主要アウトカムは、出産前のインスリン投与開始もしくは妊娠32週または38週時の空腹時血糖値が5.1mmol/L以上だった。メトホルミン群の新生児は小さい傾向 被験者510人(平均年齢34.3歳)における妊娠535件を無作為化した。 主要複合アウトカムの発生率は、メトホルミン群が56.8%(妊娠150件)、プラセボ群が63.7%(妊娠167件)だった(群間差:-6.9%、95%信頼区間[CI]:-15.1~1.4、相対リスク:0.89、95%CI:0.78~1.02、p=0.13)。 事前に規定した母親に関する6つの副次アウトカムのうち、メトホルミン群で優位だったのは、インスリン開始までの時間、自己報告の毛細血管血糖コントロール、妊娠中の体重増加の3つだった。 新生児に関する副次アウトカムは、メトホルミン群で新生児が小さい傾向(平均出生体重が低い、出生体重4kg以上の割合が低い、在胎週数による大きさ分布で90パーセンタイル超の割合が低い、頂踵長が小さい)がみられた。一方で、新生児集中治療を要する割合、呼吸補助を要する呼吸困難、光線療法を要する黄疸、重大な先天奇形、新生児低血糖、5分間Apgarスコア7未満の割合については、両群で有意差はなかった。

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介護施設の入浴時ユニバーサル除菌、感染症入院リスクを低下/NEJM

 ナーシングホームにおいて、全入所者に対するクロルヘキシジンの使用とポビドンヨード経鼻投与による除菌は、通常ケアよりも感染症による入院リスクを有意に低下することが示された。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のLoren G. Miller氏らが、ナーシングホーム28ヵ所の入所者計2万8,956人を対象に行ったクラスター無作為化試験で明らかにした。ナーシングホームの入所者は、感染・入院および多剤耐性菌の保菌率が高いといわれる。NEJM誌オンライン版2023年10月10日号掲載の報告。ベースライン18ヵ月、介入期間18ヵ月を設定 研究グループは、ナーシングホームにおける入浴について、ユニバーサル除菌法と通常ケアを比較した。試験対象のナーシングホーム28ヵ所を無作為に割り付け、それぞれ18ヵ月のベースライン期間と、18ヵ月の介入期間を設定した。除菌群の介入期間にのみ、入浴とシャワーにクロルヘキシジンを使用し、また入所後5日間、1日2回鼻にポビドンヨードを、その後は2週間ごとに5日間、1日2回鼻にポビドンヨードを投与し除菌を行った。 主要アウトカムは、感染症による病院への移送。副次アウトカムは、理由を問わない病院への移送だった。各アウトカムについて一般化線形混合モデルを用い、ITT集団(as-assigned)について差分の差分(difference-in-differences)分析を行い、ベースライン期間と介入期間を比較した。感染症による入院、両群間でリスク比の差は16.6% ナーシングホーム28ヵ所から入所者2万8,956人のデータを入手し解析した。 通常ケア群における病院への移送者のうち、感染症の割合(全施設平均)は、ベースライン期間が62.2%、介入期間が62.6%だった(リスク比:1.00、95%信頼区間[CI]:0.96~1.04)。除菌群では、ベースライン期間の同割合は62.9%、介入期間は52.2%と、介入期間で低く(リスク比:0.83、95%CI:0.79~0.88)、通常ケア群と比較したリスク比の差は16.6%だった(95%CI:11.0~21.8、p<0.001)。 ナーシングホームからの退所者のうち、あらゆる理由で病院へ移送された人の割合は、通常ケア群ではベースライン期間で36.6%、介入期間で39.2%だった(リスク比:1.08、95%CI:1.04~1.12)。除菌群では、ベースライン期間で35.5%、介入期間で32.4%(リスク比:0.92、95%CI:0.88~0.96)で、通常ケア群と比較したリスク比の差は14.6%(95%CI:9.7~19.2)だった。 as-assigned解析からのデータに基づく治療必要数(NNT)は、感染症による入院を1件防ぐのに9.7、理由を問わない入院を1件防ぐのに8.9だった。

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CKDの腎と心血管疾患への悪影響はさらに広い範囲(解説:浦信行氏)

 JAMA誌において、2,750万人余りを対象としたメタ解析の結果、CKDの悪影響は従来報告されている全死因死亡、心血管死、腎代替療法を要する腎不全、脳卒中、心筋梗塞、心不全、急性腎障害にとどまらず、あらゆる入院、心房細動、末梢動脈疾患にまで及ぶことが報告された。結果の詳細はジャーナル四天王のニュース記事をご覧いただきたいが、本研究はそれ以外にもいくつかの重要な成績が示されている。 尿アルブミン/クレアチニン比(UACR)とeGFRをクレアチニンのみで評価したものと、クレアチニンとシスタチンCで評価したものの各々の有害事象のリスクを対比すると、全体の傾向はヒートマップ上では同様であるが、クレアチニンのみで評価したeGFRでの結果は少し感度が悪い印象を受ける。eGFR各階層での有害事象のハザード比を表した図3においても、確かにクレアチニンのみで評価したeGFRでのハザード比の変化の傾きは緩徐であり、各有害事象に対する感度が対比上は低いと考えられる。かつ、各有害事象のハザード比は、クレアチニンでのeGFRは90~105を底値としてU字型を描いている。シスタチンCを加えたものではこのような結果を示していない。これはおそらく高齢者主体のサルコペニア・フレイル症例のリスク上昇を表すものと考えられる。したがって、症例によってはシスタチンCによるeGFRの評価を加えることが必須である。 UACRは30未満が正常範囲であるが、10未満の正常と10~29の正常高値で比較すると、正常高値ですでにリスクが高くなっている。すなわち、正常と考えられる範囲でもすでに有害事象に対する認識を持つ必要があるのかもしれない。わが国では保険診療上、尿アルブミンの評価は糖尿病症例に限られ、それ以外は尿蛋白で評価しなければならない。尿蛋白は尿細管由来のものも含むので同様の評価が可能かは不明であるが、注目すべき結果と考える。

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10月18日 更年期の日(世界メノポーズデー)【今日は何の日?】

【10月18日 更年期の日(世界メノポーズデー)】〔由来〕1999年に開催された国際閉経学会で高齢化社会の到来を受け、今後更年期の健康に関わる情報を全世界へ提供する日として、「世界メノポーズデー」を制定。メノポーズ(menopause)は、(女性)更年期を意味し、日本女性医学学会では、更年期についての情報を社会に広く啓発し、女性の健康増進に貢献することを目的にさまざまな活動を行っている。関連コンテンツ更年期【スーパー服薬指導(1)】患者さんに「更年期障害かも…」と相談されたら【ママに聞いてみよう(6)】むくんでいるときの症状チェック【患者説明用スライド】第104回 女性がキャリア失う「更年期ロス」、防ぐために医師ができること【裏側から木曜日】男性機能の維持にも、テストステロン増加に最適な運動/日本抗加齢医学会

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第183回 アイン、「敷地内薬局」入札妨害事件が問うもの(後編) 近い将来、病院の薬剤部は給食同様に外部委託に向かう?

アインファーマシーズの社長ら3人、公契約関係競売入札妨害の罪で逮捕、起訴こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は、大学時代の山仲間と東北の栗駒山に行ってきました。栗駒山は宮城・岩手・秋田の三県にまたがる1,600m足らずの山で、私の学生時代はそんなに有名でもなく、登山者や観光客もそれほど多くはなかった印象です。ところが今や、北アルプス・穂高の涸沢と並ぶ日本屈指の山岳紅葉の名所と言われるまでになり、この時期は“神が織りなす錦繍の絨毯”を観るために、全国各地から人が訪れます。我々はいつも激混みの宮城県側からの中央コースを避け、秋田県側の須川温泉からのコースを選んだのですが、ここもやはり駐車場は激混みで、登山開始時間が昼近くになってしまいました。それでも、なんとか晴天下、赤と黄色に輝く見事な紅葉を堪能することができました。栗駒山の“錦繍の絨毯”をご覧になりたい方は、平日の登山をお勧めします。あと、熊にも十分注意して下さい。さて、今回も引き続き、敷地内薬局について考えたいと思います。前回は、「アイン薬局」を全国で展開する調剤薬局最大手、アインファーマシーズ(札幌市白石区)の社長ら3人が、KKR(国家公務員共済組合連合会)の病院の敷地内薬局の入札を巡り、公契約関係競売入札妨害の罪で逮捕、起訴された事件の詳細や、日本の医療提供体制における敷地内薬局の位置付けの変遷について書きました。今回の事件が発覚する前に開かれた中央社会保険医療審議会(中医協)でも、敷地内薬局に対しては厳しい意見が出ていました。将来的にはその位置付けが、再び180度転換するかもしれません。敷地内薬局の誘致事例、1年で256件から371件に急増政府の規制改革会議による答申を受け、薬局の経営の独立性確保を前提として、厚労省は2016年10月から「公道をまたがない」敷地内薬局を実質的に認める方針に転じました。その後、調剤薬局チェーンの出店攻勢も手伝って、大学病院や国公立病院を中心に敷地内薬局が激増しました。9月16日に和歌山市で開かれた日本薬剤師会の都道府県会長協議会では、同会が調べた敷地内薬局の実態が報告されています。それによれば、今年6月までの敷地内薬局の誘致事例が昨年6月の42都道府県256件から45都道府県371件に増加していたそうです。内訳としては、国公立病院が36都道府県81件→39都道府県98件、公的病院が25都道府県44件→26都道府県53件、社会保険病院が5都道府県6件→8都道府県10件となっていました。私立や民間のその他病院も26都道府県94件→34都道府県146件と急増していました。また、診療所は昨年6月に比べ、2倍の64件でした。患者の利便性と病院経営の2つの観点から、限りなく点分業に近い体制に変化日本薬剤師会は、敷地内薬局は「適正な医薬分業の推進・定着を阻害する」として、一貫してその拡大に反対してきました。しかし、少なくとも医療機関側、医師側はまったくそう考えていないことが、この急増からもうかがい知ることができます。患者の利便性と病院経営の2つの観点から、それまでの面分業(市中の複数の薬局に処方箋を応需してもらう)から、限りなく点分業(もっぱら特定の薬局に処方箋を応需してもらう)に近い体制に変えてきたわけです。患者や利用者からも敷地内薬局に対して否定的な声はほとんど聞こえてきません。こうした動きは、見方を変えれば、日本薬剤師会が進めてきた医薬分業、面分業に、医療機関や患者は大したメリットを感じていない、ということです。日本薬剤師会は認めたくない事実でしょうが、それが現実です。中医協「中間とりまとめ」でも敷地内薬局の問題点を指摘とは言うものの、敷地内薬局については、中医協で厳しい意見も出ています。2024年度の診療報酬改定に向けた議論を進める中医協では、7月26日に開かれた総会で「特定の保険医療機関と不動産の賃貸借取引がある」「特別調剤基本料を算定している」「処方箋受付回数が年1回以上」という条件に該当する、451の敷地内薬局に関するデータが示されました。それによると、敷地内薬局の処方箋受付回数(年間)は平均1万6,607回で、全薬局の平均1万2,624回を上回りました。しかし一方で、薬局による地域医療への貢献を評価する「地域支援体制加算」の届け出割合は14.9%(67/451ヵ所)で、全薬局の37.3%を下回りました。さらに、敷地内に薬局が出店している18の医療機関のうち、その薬局との「連携あり」と答えたのは、7医療機関(38.9%)に留まっていました。席上、診療側委員で日本薬剤師会副会長の森 昌平委員は、「地域包括ケアシステムを整備する国の方針に敷地内薬局が逆行する」と指摘、支払い側委員で健康保険組合連合会理事の松本 真人委員も診療報酬上の評価の見直しの検討を求めました。こうした議論は、中医協が8月30日に行った「中間とりまとめ」(令和6年度診療報酬改定に向けた議論の概要)にも反映されました。「議論の概要」の中の「現状と課題」の項には、「敷地内薬局は、処方箋受付回数が多いものの、地域支援体制加算の届出割合は低かった。医療機関側からは連携していると認識されていない薬局も半数以上存在している」と記され、「主な意見」では、「敷地内薬局は、薬局開設者の姿勢として、適切な医薬分業と地域包括ケアシステムの構築を進めていく中で国の目指す姿に逆行している。効率的に大量の処方箋が取り扱われているが、医療機関との連携が必ずしも図られていないため、実態をより詳細に把握し、特別調剤基本料以外の部分についても更なる見直しを検討すべき」と記載されました。人口減社会、高齢社会に向け、敷地内薬局は「規制」より「普及・定着」が正解では連携をきちんと行っているかどうかは、敷地内の薬局かどうかの問題ではなく、個々の医療機関や薬局の姿勢の問題であり、中医協の議論は少々ズレているようにも思えます。しかし、それはさておき、こうした記載や、その直後に起こったアインの入札妨害事件を考えると、来年の診療報酬改定でも特別調剤基本料等の引き下げなど、敷地内薬局にさらなる逆風が吹くのは必至とみられます。ただ、少なくとも医療機関や患者は歓迎しているのですから、いたずらに敷地内薬局をイジメるのは得策ではないでしょう。人口減を背景に病院の再編・統合が進み、薬局についても面分業などときれいごとを言っていられない地域が増えています。さらに、後発品をはじめとする医薬品不足も手伝って、薬局も集約化やDX化が避けられない状況です。そう考えると、これからの人口減社会、高齢社会に向けて、敷地内薬局は規制するのではなく、むしろよい具合に普及・定着させていくのが正解ではないでしょうか。「機能として院内薬局と変わらない薬局であるならば、保険指定する必要はない」と日本医師会ところで、アインの事件や、敷地内薬局の議論に、日本医師会がほとんど登場してこないのは不思議だと思いませんか。その理由は、端的に言えば「どうでもいいから」です。医薬分業の進展や調剤チェーンの台頭を背景に調剤報酬が年々莫大になり過ぎたので、そこが”是正”(削減)されることが最重要、というのが日医の基本的なスタンスです。2022年の3月に行われた日本医師会臨時代議員会で、代議員から敷地内薬局に対する日医の見解を問う質問が出ています。これに対し、宮川 政昭常任理事は以下のように答えています。「敷地内薬局は、医療機関において入札公告をして誘致されるために、その時点で経済的・機能的・構造的な独立性が保たれていない。機能として院内薬局と変わらない薬局であるならば、保険指定する必要はない。実質的に院内薬局と同じような機能を担っているのであれば、それに基づいて考え方を今後整理する必要がある。(中略)。敷地内薬局は病院薬剤部の外注形態とみなすこともできる。敷地内薬局は、院内薬局の調剤作業をしているだけにもかかわらず、院内薬局よりも高い点数が調剤報酬として加味されていること自体、貴重な財源の浪費だ」(令和4年5月1日、北海道医報第1244号より)。敷地内薬局の仕組みを突き詰めると病院の薬剤業務の外部委託化につながる「保険指定する必要はない」などと少々乱暴ですが、理に適った主張にも聞こえます。「今後整理する必要がある」の真意はわかりませんが、うがった見方をすれば、敷地内薬局は最終的に、病院の薬剤業務の外部委託化につながっていくとも考えることができます。敷地内薬局は病院の薬剤業務の外部委託ととらえ、保険薬局の指定をするのではなく、病院に院内処方の診療報酬として調剤料などが入るようにし、薬局には病院から調剤の外部委託費などが支払われる、というスキームが考えられます。これは病院給食の外部委託と同様の仕組みです。これだと院内処方になるので、調剤にかかる診療報酬は院外に比べて圧倒的に安くなります。医療費の削減になり、患者負担も減ります。これまで処方箋を受けて、保険薬局として機能してきた薬局にとってはたまったものではない話ですが、調剤薬局チェーンは「実質的に院内薬局と同じような機能を担う」ことを目指し、敷地内薬局の出店を活発化、規模拡大を闇雲に進めてきたわけです。病院の薬剤業務の外部委託化は、そうした敷地内薬局の出店攻勢の先にあるかもしれない、一つの“風景”なのです。「薬剤師の地域における対人業務の強化(対物業務の効率化)」のため「薬剤の一包化」の外部委託が進行中2022年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」では、「薬剤師の地域における対人業務の強化(対物業務の効率化)」が明記され、「薬局における調剤業務のうち、一定の薬剤に関する調製業務を、患者の意向やニーズを尊重しつつ、当該薬局の判断により外部に委託して実施することを可能とする方向」で検討が進んでいます。手始めに「薬剤の一包化」が検討されており、9月6日、大阪府は薬局DX推進コンソーシアム、大阪市と共同で、薬局における調剤業務の一部の他薬局への委託について、内閣府の国家戦略特別区域(特区)制度で提案した、と発表しています。敷地内薬局と処方薬のネット販売が台頭か「薬剤一包化の外部委託」と「病院の薬剤業務全体の外部委託」とでは次元が異なる話ですが、基本的な方向性は同じです。病院薬剤師には病棟や外来での対人業務に注力してもらい、調剤はロボットや外部の企業に任せてしまえ、ということだからです。調剤業務の外部委託については、本連載の「第126回 アマゾン処方薬ネット販売と零売薬局、デジタルとアナログ、その落差と共通点(前編)」でも書きました。やや極端に言えば、近い将来、病院の調剤業務は外部委託した敷地内薬局が担い、処方せんを持ち帰った一部の患者やオンライン診療の患者の薬は、処方薬のネット販売事業者が担う、という形に2分していくのかもしれません。仮にそうなるとすれば、半世紀を経た日本の医薬分業の「成れの果て」と言えるかもしれません。

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膀胱がんリスク、仕事での立位/歩行は座位より5割減~日本人集団

 身体活動と膀胱がんリスクとの関連については、アジア人集団では一貫していない。今回、大阪大学のHang An氏らが日本人の大規模コホートで検討したところ、とくに男性において、レクリエーションスポーツへの参加や仕事での立位/歩行の身体活動が膀胱がんリスクと逆相関していたことが示された。Cancer Research and Treatment誌オンライン版2023年10月6日号に掲載。 本研究は集団ベースの前向きコホート研究で、がん/心血管疾患の既往のない40~79歳の日本人5万374人について自己記入式質問票で身体活動に関する情報を取得し解析した。Cox比例ハザードモデルを用いて、潜在的交絡因子を調整後の膀胱がん発症のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値17.5年で、膀胱がん(男性116例、女性37例)が153例に発症した。・レクリエーションスポーツの参加時間が1週間に1~2時間、3~4時間、5時間以上の人における膀胱がんの多変量調整後のHR(95%CI)は、順に0.67(0.38~1.20)、0.79(0.36~1.74)、0.28(0.09~0.89)であった(傾向のp=0.017)。・仕事での立位/歩行の身体活動は、仕事でほとんど座っている状況と比べて、膀胱がんリスクが低かった(HR:0.53、95%CI:0.32~0.85)。・1日の歩行時間は膀胱がんリスクと関連していなかった。・膀胱がんリスクが顕著に低かったのは、男性におけるレクリエーションスポーツ(HR:0.33、95%CI:0.10~1.00)および仕事での立位/歩行の身体活動(HR:0.57、95%CI:0.33~0.98)であった。

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日本人統合失調症患者の下剤使用開始と関連する要因は

 抗精神病薬の一般的な副作用の1つに便秘がある。しかし、便秘をターゲットとした研究は、これまで行われていなかった。獨協医科大学の川俣 安史氏らは、同じ統合失調症患者を20年間さかのぼり、下剤使用開始と関連する要因を特定しようと試みた。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2023年9月12日号の報告。 2021年4月より各病院に通院する統合失調症患者14例を登録した。対象患者の2016、11、06、01年4月1日時点でのすべての処方箋データをレトロスペクティブに収集した。下剤の使用頻度の違いと傾向を特定するため、Bonferroni補正コクランQ検定およびコクラン・アーミテージ検定を用いた。20年にわたる下剤使用開始と関連する要因を評価するため、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・下剤を使用していた患者の割合は、2001年で25.1%、2021年で34.1%であった。・下剤による治療を受けた患者数は20年で異なり、有意な増加傾向が認められた。・すべての下剤では、酸化マグネシウム、ルビプロストン、エロビキシバットで治療された患者数には差があり、有意な増加傾向が認められた。・20年間の下剤使用開始と関連が認められた要因は、女性、年齢、ジアゼパム換算量、レボメプロマジン、オランザピン、クエチアピン、ゾテピン、リチウム、カルバマゼピンの用量であった。 結果を踏まえ、著者らは「一部の抗精神病薬で治療されている統合失調症患者では、便秘に対する注意深いモニタリングの必要性が示唆された。治療ガイドラインに従い処方の最適化を行うことで、抗精神病薬による便秘を軽減できる可能性がある」としている。

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医師の英語学習、どのくらいお金と時間をかけている?/1,000人アンケート

 英語で学会発表を行ったり、外国人患者を診療したりするために、英語は医師にとって欠かせないスキルとなっている。英語を学ぶ主な目的や学習方法といった医師の英語学習状況を把握するため、会員医師1,021人を対象に『医師の英語学習に関するアンケート』を9月21日に実施した。年代別の傾向をみるため、20~60代以上の各年代を約200人ずつ調査した。その結果、英語学習に最も費用と時間をかけているのは30代であることなどが明らかとなった。海外学会への参加頻度から、おすすめの英語系YouTubeチャンネルや語学学習アプリなど、学習に役立つツールまで、英語学習に関するさまざまな意見が寄せられた。医師全体の18%が海外学会に参加 「Q1. 2022~23年、どれくらい海外学会に参加しましたか?(参加形式は発表・聴講を問わない、オンラインでの参加も含む)」という設問では、年代別に海外学会への参加の実態を聞いた。全体で18%が1回以上参加していた。 年代別で1回以上の参加率が高い順に、30代(24%)、40代(23%)、20代(17%)、50代(14%)、60代以上(12%)であった。一方、20~50代では、期間中1回の参加の割合が最も多くを占めていたが、60代以上は、3回以上参加した割合が最も多かった(7%)。診療科別の海外学会参加率(1回以上)では、参加率が高い順に、皮膚科(39%)、血液内科(36%)、放射線科(30%)、腎臓内科(29%)、リハビリテーション科(27%)であった。医師が英語を学ぶ目的、年代が低いほど研究、高いほど臨床を重視 「Q2. 医療業務やキャリアアップに関わるもので、英語を学ぶ目的は?(当てはまるものを3つ選択)」の設問では9つの選択肢を設け、多い順に「医学論文を投稿するため」(39%)、僅差で「外国人患者を診療するため」(39%)、続いて「英語の学会発表を聴くため」(31%)、「外国人医療者とコミュニケーションを取るため」(26%)、「英語で学会発表を行うため」(26%)であった。 医師が英語を学ぶ目的については、年代別で傾向が分かれた。目的別で最も多い年代は、「医学論文を投稿するため」は20代、「英語で学会発表を行うため」は30代、「外国人患者を診療するため」は60代、「外国人医療者とコミュニケーションを取るため」は50代となり、年代が低いほど研究に関わる目的の割合が高く、年齢が高いほど臨床に関わる目的が高くなった。英語学習に最も時間とコストをかけている医師は30代 「Q3. 現在行っている英語学習法は?(当てはまるものすべて選択)」では、選択肢を12個設け、多い順に「英語論文を読む」(47%)、「YouTube、Podcast」(21%)、「勤務先の抄読会」(14%)、「市販のテキストやラジオ」(13%)、「英語のドラマや映画、小説」(12%)、「英語学習アプリ」(10%)となった。30代と40代では、「YouTube、Podcast」、「英語学習アプリ」の割合が多く、60代以上では、「市販のテキストやラジオ」、「英語の映画やドラマ、小説」が多かった。 「Q4. 英語学習に月間かける費用は?」の設問では、費用をかけていない医師の割合が71%と大半を占め、次いで「1円以上、5,000円未満」が20%であった。「Q5. 英語を学習する頻度は?」の設問では、英語を学習する習慣のある医師が60%であった。学習の頻度は、多い順に「週に1日」(26%)、「週に2、3日」(15%)、「毎日」(10%)、「週に4~6日」(9%)であった。30代が英語学習に費用をかけている割合が最も多く(33%)、学習する習慣のある医師も最も多かった(67%)。医師がおすすめする英語学習法 Q6では、自由回答として、おすすめの英語学習法やサービス名、そのほか英語学習に関する意見を聞いた。回答者から寄せられた意見、おすすめの学習法、英語系YouTubeチャンネル、語学学習アプリなどは以下のとおり。【YouTube】・あいうえおフォニックスは発音や英語表現を簡単にテンポよく解説してくれる。(総合診療科・30代)・英語学習系YouTuberのタロサック。(総合診療科・30代)・もりてつという塾講師のYouTubeが参考になる。(総合診療科・40代)・フレンズ英会話はおすすめです。(腫瘍科・50代)・Kevin's Englishは楽しいです。(産婦人科・60代)【アプリ・オンラインツール】・ChatGPTは活用している。(小児科・40代)・スピーク、ELSA、mikanというアプリがおすすめ。(放射線科・20代)・スタディサプリ。(消化器内科・30代)・NHKの語学講座アプリ。無料で複数回復習ができる。(小児科・40代)・Duolingo。(皮膚科・40代)・HiNative(ネイティブにチャットで質問できるアプリ)。(呼吸器内科・40代)・DMM英会話で毎日外国の人と話し、振り返りをしている。あとはアプリで単語を覚えたり、発音の練習などしている。(循環器内科・30代)【ニュース】・ワシントンポストやニューヨークタイムズの動画ニュースを聞く。(小児科・40代)・CNN English Express。(消化器外科・50代)・BBCのPodcast。(腎臓内科・30代)【論文・学会】・ひたすら論文を書いています。(総合診療科・30代)・英文抄録を読む。(内科・60代)・好きなジャンルの講演を聴く。(血液内科・40代)・NEJMやJAMAのPodcast。(循環器内科・60代)【その他、独自の工夫】・IELTSを受けている。(臨床研修医・20代)・駅で電車を待っている間や、外を歩いているときに英語で独り言を呟いてみる。(消化器内科・40代)・歌詞を覚えて歌う。(消化器外科・50代)・子供用アニメは英語がそれほど難しくなくとっつきやすい。(泌尿器科・50代)・医療系の英語ドラマで、英語の字幕を見ながら英語で聞いて、言葉を復唱する。海外留学の経験からも、これが一番の勉強法だと思います。(内科・50代)【英語が使えてよかったこと】・突然海外からの患者が来た時に、対応できるので信頼度が上がる。(小児科・20代)・英語論文を書く時間がかからない。(整形外科・30代)・外資系の産業医活動ができた。海外出張に参加できた。(精神科・50代)・日々の絶え間ない学習が有効とわかったのが良かった。(その他・60代)アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。医師の英語学習、おすすめの学習ツールは?/医師1,000人アンケート

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術前リスク層別化アルゴリズムで、不必要な卵巣摘出術が低減/JAMA

 米国・Nemours Children's HealthのPeter C. Minneci氏らMidwest Pediatric Surgery Consortiumの研究チームは、卵巣温存術に適した良性病変の可能性が高い病巣を同定するための術前リスク層別化アルゴリズムを使用することで、不必要な卵巣摘出術が減少することを示し、これによって青少年期における不必要な卵巣摘出とその生涯にわたる影響を回避できる可能性があることを明らかにした。研究の成果は、JAMA誌2023年10月3日号に掲載された。アルゴリズムの識別能を評価する米国のコホート研究 研究チームは、良性と悪性の卵巣病変を識別し、不必要な卵巣摘出術を減少させるための、コンセンサスに基づく術前リスク層別化アルゴリズムの性能を評価する目的で、前向きコホート研究を実施した(Thrasher Research FundのE.W. "Al" Thrasherによる助成を受けた)。 対象は、2018年8月~2021年1月に米国内11の小児病院に入院し、卵巣腫瘍の手術を受けた6~21歳の患者であった。 最初の6ヵ月(2018年8月1日~2019年1月31日)は、コンセンサスに基づく術前リスク層別化アルゴリズムを実施する前の評価期間(介入前コホート)、次の6ヵ月(2019年2月1日~7月31日)は介入採用期間であり(介入採用コホート)、その後の18ヵ月(2019年8月1日~2021年1月31日)を介入期間とした(介入コホート)。介入採用コホートは統計解析から除外した。 主要アウトカムは不必要な卵巣摘出術とし、良性の卵巣新生物に対する卵巣摘出術の施行と定義した。介入により不必要な手術がほぼ半減 全体で519例(年齢中央値15.1歳[四分位範囲[IQR]:13.0~16.8])を登録した。このうち介入前コホートが96例(15.4歳[13.4~17.2]、非ヒスパニック系黒人11.5%、非ヒスパニック系白人68.8%)、介入採用コホートが105例、介入コホートが318例(15.0歳、12.9~16.6、13.8%、53.5%)であった。 良性疾患は、介入前コホートの93例(96.9%)、介入コホートの298例(93.7%)で認められた。 良性疾患に対する不必要な卵巣摘出術の施行率は、介入前コホートが16.1%(15/93例)であったのに対し、介入コホートでは8.4%(25/298例)に低下した(絶対低下率:7.7%、95%信頼区間[CI]:0.4~15.9、p=0.03)。 介入コホートにおける良性病変の同定に関するアルゴリズムの検査性能は、感度が91.6%(95%CI:88.5~94.8)、特異度が90.0%(76.9~100)、陽性的中率が99.3%(98.3~100)、陰性的中率は41.9%(27.1~56.6)であった。 また、介入コホートにおける誤分類(卵巣温存術を施行された悪性疾患)の割合は0.7%(2/275例)と低かった。介入コホートにおけるアルゴリズムの順守率は95.0%(302/318例)、厳守(アルゴリズムの全要件の厳格な順守)率は81.8%(260/318例)だった。 著者は、「アルゴリズムの順守率は高かったが、厳守率が低かったことから、その理解と採用にはさらなる改善の余地があることが示唆された。一方、陽性的中率と誤分類率は、アルゴリズムの使用を促進すべきと判定する事前に規定した閾値(陽性的中率>98%、誤分類率<5%)を満たしていた」としている。

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慎重に評価する必要がある論文。さらなるフォローアップが望まれる(解説:野間重孝氏、下地顕一郎氏)

 この論文評は通常は野間単独で記述するものであるが、今回の論文の扱う内容を考慮して、当院の循環器内科診療科長であり、カテ斑チーフの下地君との共同執筆のかたちを取らせていただいた。 本研究(ILUMIEN IV試験)はOCTガイドとアンギオガイドのPCIを比較、2年間追跡したものである。これまでIVUSで証明されてきた優位性をOCT単独で検証した大規模なRCTであり、18ヵ国80施設が参加、2,487症例が組み入れられた。 結果は、OCTガイド群でminimum stent areaが大きく(5.72±2.04mm2 vs.5.36±1.87mm2、95%CI:0.21~0.51、p<0.001)、ステント血栓症が少なかったものの(0.5% vs.1.4%、ハザード比:0.36、95%CI:0.14~0.91、p=0.02)、TVFでは差がみられなかった、というものである(7.4% vs.8.2%、ハザード比:0.90、95%CI:0.67~1.19、p=0.45)。OCTガイドは周術期に良好なステント開大を得たことに加え、アンギオガイドでは同定できない短い未治療病変、解離やステント圧着不良、組織のprotrusionを抑制、またステント血栓症も抑制した。一方、急性期の良好な結果にもかかわらず、TVF(心臓死、標的血管MI、ischemia-driven TVRの複合エンドポイント)では有意差をつけられなかった。慢性期の結果は、これまでIVUSで行われたほとんどの研究の結果から逸脱するものであった。 IVUSガイドとアンギオガイドを比較したメタ解析(Zhang Q, et al. J Interv Cardiol. 2021;2021:6082581.)では、術後30日で、アンギオガイド群で主にMIやステント血栓症が足を引っ張り、全死亡・心臓死で有意差をもってIVUSガイド群が優位、1年以降ではTVRも増加、3年の追跡期間でMACEsのオッズ比0.45(95% CI:0.31~0.65)と、そのままIVUSガイド群の優位性を示している。またLMT病変のサブ解析でも0.42(95%CI:0.26~0.67)と優位性を示している。 本ILUMIEN IV試験の結果と過去のIVUSガイドの研究の結果との相違点を以下に挙げる。●まず、ステント血栓症の頻度である。本研究ではステント血栓症がアンギオ群においても1.4%と、Zhang Qらの報告(2年でIVUS群31/886[3.5%]、アンギオ群75/1,237[6.1%])に比べて著明に改善している。これも原因となってTVFの差につながらなかった可能性はあるが、両群における低い発生率はnew generation DESの使用によるものと考えられる。ただし、計23例のステント血栓症症例のうち実に22例が死亡やMIに至っており、ステント血栓症をOCTガイドで抑制できたことは特筆すべきことである。●次に本ILUMIEN IV試験ではLMT病変やRCAの入口部病変を除外している点を挙げたい。実臨床においてLMT病変こそ、その治療においてはイメージングデバイスのガイドは必須である。再狭窄の多いRCA入口部も然りである。ステントの拡張や側枝ガイドワイヤの通過するストラットの確認、rotablator、OAS、DCAなどのデバルキングなど、その有用性は枚挙にいとまがなく、あくまで憶測ではあるが、これらの病変を組み入れていれば結果が変わっていた可能性がある。●最後にdiscussionにもあるように、本研究の複合エンドポイントのうちischemia-driven TVRが両群ともに非常に低い点であり(5.6% vs.5.6%、ハザード比:0.99、95%CI:0.71~1.40)、これはCOVID-19のパンデミック下で狭心症の再発があっても患者が受診を控えたり、医療者側も医療資源を温存するために待機的PCIを控えたりした影響があるかもしれない。これに関してはPIのZiad Aliが興味深い解析を行っている。これによると、パンデミック前にenrollされた患者のハザード比は0.70と想定された値と合致しており(476例、7.2% vs.10.1%、95%CI:0.37~1.32)、その一方で、パンデミック下にenrollされた患者ではその差がなくなり、ischemia driven-TVRの発生率は半減した(2,020例、7.5% vs.7.7%、ハザード比:0.96、95%CI:0.69~1.32)。これもあくまで憶測であるが、パンデミックがなければ結果が変わっていた可能性は十分にある。 実臨床において、イメージングデバイスの使用がPCIの質を高めることは論を待たないと思われる。本研究でも少なくとも急性期の良好な結果は十分に証明できており、先述した理由から慢性期の優位性を示すことができる可能性は十分にあると考えられる。上述したように、IVUSの研究でもはっきりした差は3年目以降に現れており、今回の2年という追跡期間は十分でなかった可能性も考慮されなければならないだろう。この追跡は今後も続けられると考えるので、5年追跡の結果が発表されることを期待している。逆に言えば、臨床家の方々には、今回の結果のみを見てOCTなど不要だなどと、軽々な判断は慎んでいただきたいと思う。

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レカネマブ承認で現場はどうなる?【外来で役立つ!認知症Topics】第10回

レカネマブの流通が目前となった今、認知症に絡む医師として大いに迷うほど、さまざまな情報や噂が飛んでくる。一番気になるのは、筆者のようなクリニックの医師の多くは、当面この薬を使えそうにないことだ。たとえば自施設にMRIを備えていることが求められると聞く。保険収載を「目指す」?そこでまず公式発表風の情報を述べる。「岸田首相は2023年9月27日、認知症と向き合う『幸齢社会』実現会議の初会合を開いた。首相は、アルツハイマー病治療薬・レケンビ点滴静注(レカネマブ)の薬事承認を報告した。またレカネマブの薬価算定に絡め、国民皆保険の持続性とイノベーション推進を両立させる観点から薬価制度の改革を含めた対応を武見 敬三厚生労働大臣に指示した1)」。事情を知る者にとっても、これではなんだかピンとこない。NHKニュースのほうがもっとわかりやすく伝えていた。「保険収載を目指して薬価の決定をする。市場規模は1,500億円と予想される2)」というのである。筆者はこの短い文章で2つの引っ掛かりを感じる。まず「目指して」である。次に「1,500億円」である。両者からいえるのは、保険収載されないのでは?という懸念である。まず1,500億円は国家予算の0.13%くらいだろうか? 自己負担が1割だろうと3割だろうと、国にとって大変な額である。さらに怖いのは「薬価制度の改革を含めた対応」である。とすると新たな方法による第1号として、レカネマブの自己負担の仕方や薬価が決まるのかもと思えてくる。クリニックにとって検査・通院は現実的ではない?次に適応となるアルツハイマー病(AD)による軽度認知障害(MCI)か初期ADかの診断である。普通にはアミロイドPETによるアミロイド蓄積の確認か、脳脊髄液によるアミロイドβの低値の証明で行われる。高額なことで知られる前者については、厚労省の主導でダンピングが行われており、近い将来に現在の半額程度になるのではと聞く。それでも15万円前後だろうか。一方で価格的には桁違いに廉価な脳脊髄液で診断しようとされる機関もあるようだ。もっとも対象者では、老化現象により簡単には穿刺できないケースが少なくないことは容易に予想される。さらに副作用の問題がある。最大なものがARIA(Amyloid Related Imaging Abnormalities)である。脳内の浮腫や出血が、臨床試験では3人に1人くらいと高率にみられた。これらの多くは、本剤投与を始めてから半年以内にみられる。したがって投与からしばらくは毎月に近い頻度でMRIの撮像をする必要がある。なおARIAが出現しても数ヵ月休薬することによりこの所見が消えることは、自分が担当した本治験の患者さんにおいて経験した。さて本剤の治験を経験した者として、これらとは別に臨床現場の問題も少なくないと考える。まずは2週間に1度、1時間余りの点滴投与をすることは患者・家族にとっても医療者にとっても容易ではない。また点滴をする場所と時間の確保が医療者に求められる。また継続的な薬剤管理(温度、湿度)と投与前の調剤をする必要がある。これらは細々しており、現場では新たな負担をもたらすかもしれない。さて現実問題は、自分が担当する患者さんがレカネマブ投与を希望されたときどうするかが目前の問題である。予想通り自分の施設でできないとなったら、どの施設に紹介するかである。これは認知症に関係が深い学会が中心となって、会員に呼びかけ対応可能な施設を抽出することから始めるのも1つの方法かもしれない。そのホームページにおいて専門性や認定を表示した名簿などを公開している学会は少なくない。こうしたものを利用すれば、希望する個人は全国規模で簡単に実施機関を探せるはずである。とはいえ、もし自施設にそのような希望者が数十人もおられたら、実施機関への紹介や依頼に要する労力は結構なものになるだろう。また医療収益としてコストパフォーマンスがそういいとは思われないだけに、依頼された側も容易には受け入れられないだろう。学会の内部にワーキンググループを作って策を練る必要が出てくるかもしれない。適応外患者に自由診療を希望されたらどうする?終わりに、以上の表玄関の課題からは外れるが、現実には頭を抱え込む問題がある。それはMCIでも初期ADでもない人とそのご家族が、本剤の投与をまさに藁にも縋るように切望されるケースが少なくないことである。「ルール上でダメなのはわかっている、390万円といわれる費用は払うから、自由診療でやってほしい。それならできるだろう?」、また「1年とは言わない、3ヵ月でいいからやってほしい。それでダメなら諦めるから」などの声が続々上がってきている。医療制度上このような自由診療は可能なのか? 認知症領域では未踏の問題だろうが、がんなどの先端医療において先行例があるかもしれないが…。おそらくは「走りながら考える」のスタイルで衆知を集めていくことになるのだろうが、いずれにせよ年末に可能になるかとされる本剤の使用には課題が山積している。参考1)認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議(首相官邸)2)アルツハイマー新薬 レカネマブ 12月下旬までに保険適用目指す(NHK)

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Chrome拡張機能を活用する【医療者のためのAI活用術】第7回

Chrome拡張機能とは?Chromeの拡張機能とはGoogle Chromeのブラウザに機能を追加することができるアドオンツールです。Chromeのウェブストアでさまざまな拡張機能が公開されており、基本的には無料で利用できます。ChatGPTに関連するChromeの拡張機能がいくつかあり、これを駆使することでChatGPTをより便利に使用することができます。今回は、その中で厳選したものを3つご紹介します。(1)ChatGPT Prompt GeniusChatGPT Prompt Geniusは、お気に入りのプロンプトを保存し、1クリックで呼び出せるようになる拡張機能です。これまでの連載でご紹介した英文校正や要約、学会発表で使えるプロンプトなどを保存しておくと、行いたい作業を一瞬で遂行できます。使い方は簡単で、拡張機能を追加した後、図1のように「New Prompt」をクリックし、登録したいプロンプトを入力します。その後、ChatGPTの画面を開くと図2のように登録したプロンプトが表示されるため、ワンクリックで作業ができます。(図1)プロンプトの登録方法画像を拡大する(図2)登録したプロンプトが表示される画像を拡大する(2)UseChatGPT.AIこのChrome拡張機能は、ワンクリックで文章の校正、言い換え、要約、翻訳、説明などをChatGPTが行ってくれる機能です。メールやSNSなどのコメントの返信についても提案してくれます。使い方ですが、たとえば図3の左のように、英語でメールの要件を簡単に打ちます。文章を選択した上で拡張機能をクリックすると、さまざまなコマンドが表示されます(図3右)。たとえばその中で、「Change Tone(文調を変える)」の「Professional」をクリックすると、図4のように丁寧なメールの英文が表示されます。頻繁に英文のメールをやりとりする方にとっては、とても重宝する機能です。(図3)英語のメールを丁寧な形式に書き換える方法画像を拡大する(図4)書き換え結果画像を拡大する(3)YouTube & Article Summary YouTube & Article Summary は、YouTube動画や長文のウェブサイト、ネット記事などをChatGPTが要約してくれるChrome拡張機能です。動画やウェブサイトを全部見る時間がないものの、要点だけ知りたい場合に役立ちます。長文の要約というChatGPTの長所を活かした拡張機能ですね。Chromeの拡張機能を追加した後、YouTubeを開くと、図5のように動画の右上にこの拡張機能のタブが現れます。クリックすると内容が文字起こしされ、「View AI Summary」をクリックすると図6のようにChatGPTの画面が起動して、内容の要約が表示されます。注意点として、20分以上の長尺動画の場合はうまく機能しない場合があります。(図5)動画を要約する方法画像を拡大する(図6)要約結果画像を拡大する

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英語で「任せます」は?【1分★医療英語】第101回

第101回 英語で「任せます」は?《例文1》Please leave it to me.(私に任せてください)《例文2》I’ll leave it to you whether you start the medication today or not.(この薬を今日から飲み始めるかどうかは、あなたにお任せします)《解説》“leave”には「離れる」や「置いておく」といった意味がありますが、これに関連して「任せる」という意味もあります。同じく“leave”の動詞を使って「仕事を託す」といったイメージで、”I'll leave it to you.” または“I’ll leave it in your hands.”(あなたにお任せします)といったように使います。また、何か仕事を進めてもらうような状況では、“Please go ahead.”(どうぞ進めてください)という表現もよく使われます。また、「仕事を引き継いでもらう」といった状況では、“Over to you.”(よろしく)という表現もよく使われますが、目上の人にはやや失礼に当たるので注意しましょう。「任せる」という意味の表現には、“It’s up to you”というものもあります。これは「あなた次第です」と訳されることが多いですが、言い方によっては突き放した表現にも聞こえてしまうため、使う際には注意が必要です。上の表現にも出てきた“hand”を使って「仕事を託す」というイメージで、“It’s in your hands now.”(今からお任せします)という言い方も可能です。講師紹介

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