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第85回 Googleの生成AI「Gemini」、ChatGPTを超えるか?

photoACより使用生成AIのGemini Advancedが公開されましたので、さっそく使ってみました。これ何かと言いますと、Google Bardのことです。名前がBardからGeminiに変わったんです。Geminiのうち、高性能の大規模言語モデルを搭載しているのがGemini Advancedというサービスで、月19.99ドル払えば皆さんも使用可能です。「なんやねん、19.99ドルって!」と思われたかもしれませんが、GPT-4を使えるChatGPT Plusの課金が20ドルなんですよね。0.01ドル安く設定してきたことを考えると、Googleは間違いなくChatGPTのことをめちゃめちゃ意識しています。先にリリースされたGemini Proはちょっとイマイチな感じの生成AIだったのですが、「GPT-4を超える」という大々的なプロモーションでGemini Advancedが爆誕しました。多くのベンチマークでGPT-4を上回ったとされています。■Gemini:https://gemini.google.com拡張機能として、GoogleマップやYouTubeのプラグインがありますが、現時点ではChatGPTのように臨床医にマッチしたサービスは出ていないようです。私たち医師にとって、臨床や医学論文に応用できるかどうかが大事です。Gemini Advancedのデメリット先にデメリットを書きます。大事なポイントとして、英語で質問しないとまともな答えが返ってこないことがあります。これはBard時代からそうでした。なので、一度日本語から英語に翻訳して使う必要があります。また、医学的な質問をすると、途中まで答えてくれようとするのですが、途中で「あーすいません無理っす」とコメントを終了してしまう現象がしばしば起こります。上述したように、ChatGPTのようなプラグイン・GPTsといった拡張機能がまだほとんどなく、臨床医にとっては「Gemini Advancedでないとダメだ」というシーンは、そこまで多くないという現状があります。Gemini Advancedのメリットメリットとして、回答がむちゃくちゃスピーディです。ChatGPTの2倍くらい速いと思います。そして、質問すると3つ回答を準備してくれるのがありがたいです。また、ファクトチェック機能があって、Google検索で正しい内容なのかダブルチェックしてくれる機能もあります。さらに、Googleのストレージが2TB追加になるので、私はこの時点で割と契約アリではないかなと感じました。というのも、私はGoogleフォトで子供の写真と動画がかなり容量を食っていたので、助かったくらいなのです。冒頭で述べたように、月19.99ドルとなっていますが、最初の2ヵ月間は試用期間として無料で利用できます。まだリリースされたばかりですし、これからいろいろな拡張機能が登場すると予想しています。臨床や医学論文にどのように活かせるか、引き続き探っていきたいと思います。

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アルツハイマー病に対する新規疾患修飾薬とリチウムの有用性比較~ネットワークメタ解析

 米国食品医薬品局(FDA)により承認、または審査中の軽度認知障害およびアルツハイマー病に対する疾患修飾薬(donanemab、レカネマブ、aducanumabなど)と潜在的な疾患修飾薬であるリチウムの臨床的有用性の比較は、これまで十分に行われてなかった。iこころクリニック日本橋の寺尾 樹氏らは、アルツハイマー病に対する疾患修飾薬とリチウムの認知機能低下に対する有効性、忍容性、受容性を比較するため、ランダム効果ネットワークメタ解析を実施した。Ageing Research Reviews誌2024年2月号の報告。 2023年11月7日までに公表されたランダム化比較試験(RCT)をMEDLINE、CENTRAL、CINHAL、ClinicalTrials,govよりシステマティックに検索し、ランダム効果ネットワークメタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・8件(6,547例)のRCTをネットワークメタ解析に含めた。・ミニメンタルステート検査(MMSE)では、リチウムは、donanemab、aducanumab、プラセボよりも有意に優れていた。・アルツハイマー病評価尺度の認知サブスケール(ADAS-Cog)では、新規疾患修飾薬およびリチウムのいずれも、プラセボと比較し、有意な有効性が認められた。・臨床認知症評価尺度(CDR)総合得点では、donanemab、レカネマブは、プラセボよりも有意に高かった。・プラセボと比較し、donanemab、レカネマブは、受容性および忍容性が有意に低かった。・aducanumabはプラセボよりも忍容性が劣っていた。・他の比較では、有意な差が認められなかった。 著者らは「リチウムとdonanemabまたはレカネマブは、どちらがより有効であるかは不明であるものの、リチウムはaducanumabよりも有用である可能性が示唆され、3つの新規疾患修飾薬には、認知機能に対する有効性に差がない」ことを報告し、「低用量リチウムは、新規疾患修飾薬よりも安全である可能性がある」としている。

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新規抗体薬物複合体SG、既治療のNSCLCに対する第III相試験の結果(EVOKE-01)/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズは2024年1月22日、既治療の進行または転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)に関するsacituzumab govitecan(SG)の第III相EVOKE-01試験において、主要評価項目である全生存期間(OS)を達成できなかったと発表した。 EVOKE-01試験はプラチナベース化学療法や免疫チェックポイント阻害薬でPDとなった進行または転移のあるNSCLCを対象に、SGとドセタキセルを比較した試験である。 結果、主要評価項目であるOSは、SG群において良好な傾向が認められたものの、統計学的有意には至らなかった。もっとも、試験集団の60%超を占める、抗PD-1/L1抗体に奏効しなかったサブグループでは、対照群に比べてSG群で3ヵ月以上のOS延長が認められたとしている。 今回のデータは今後開催される医学学会で発表される。また、ギリアドは同試験の結果について規制当局との議論を予定している。 SGのNSCLCに関する臨床開発プログラムは、EVOKE-01以外にペムブロリズマブとの併用による第II相EVOKE-02試験、PD-L1高発現例の1次治療に関する第III相EVOKE-03試験が進行中である。

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ダパグリフロジンは低アルブミン尿のCKD進行にも有効か

 わが国では、2021年に慢性腎臓病(CKD)にSGLT2阻害薬ダパグリフロジンが保険適用となり、糖尿病治療と同様に広く使用されている。ダパグリフロジンなどのSGLT2阻害薬は、主に高アルブミン尿患者を対象とした大規模臨床試験で、CKDの進行を遅らせる効果が確認されている。しかし、低アルブミン尿のCKD患者へのダパグリフロジンの実際の使用状況や有効性についてはデータが不足していた。この課題に対し、カナダ・マニトバ大学内科のNavdeep Tangri氏らの研究グループは、ダパグリフロジンがCKDに対して承認された後に投与対象となった患者について検討した結果、アルブミン/クレアチニン比(UACR)<200mg/gのCKD患者にダパグリフロジンが有効であることが示唆された。Advances in Therapy誌オンライン版2024年1月19日号の報告。ダパグリフロジンの使用でeGFR勾配は減弱 本研究では、日本と米国のレセプトデータを用い、CKDに対する承認後にダパグリフロジン10mgの投与対象となった、UACR<200mg/gのCKD患者(投与開始患者と非投与患者)について検討した。推定糸球体濾過量(eGFR)勾配へのダパグリフロジン10mg投与開始と非投与の影響を評価するため、傾向スコアをマッチさせたコホートでprevalent new user designを用いて分位点回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・ダパグリフロジンの投与開始者2万407例のほとんどがステージ3~4のCKDだった(データベース全体の69~81%)。・最も一般的な併存疾患は2型糖尿病、高血圧、心血管疾患だった。・ベースライン時には53〜81%の患者でレニン・アンジオテンシン系阻害薬が処方されていた。・適格であったが非投与だった患者は、投与開始患者より年齢が高く、eGFRが高値、併存疾患の負担が低かった。・ダパグリフロジンの投与開始後、投与開始患者と非投与患者のeGFR勾配の中央値の差は、UACR<200mg/gのすべての患者で1.07mL/分/1.73m2/年(95%信頼区間[CI]:0.40~1.74)、2型糖尿病のないUACR<200mg/gの患者で1.28mL/分/1.73m2/年(95%CI:-1.56~4.12)だった。 以上から研究グループは「UACR<200mg/gの患者では、ダパグリフロジンの投与開始は非投与と比較し、臨床的に意義のあるeGFR勾配の減弱と関連していた。これらの所見は、ダパグリフロジンの利用可能な臨床的有効性エビデンスを補足するものであり、その有効性がUACR<200mg/gのCKD患者にも及ぶ可能性を示唆する」と結論付けている。

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BRCA変異陽性乳がん未発症者の検診と予防治療のために~クラウドファンディング開始

 BRCA変異陽性で乳がん未発症の場合、乳房MRIによる検診や予防的乳房切除には少なくない費用負担が発生し、費用が原因で検診や予防治療をあきらめてしまう患者さんがいる。そこで昭和大学病院ブレストセンターの中村 清吾氏らは、「遺伝性乳がんの“発症前”に寄り添う、検診と予防治療の臨床研究継続へ」と題したクラウドファンディングのプロジェクトを開始した(募集は4月12日午後11時まで)。 同プロジェクトでは、BRCA変異陽性乳がん未発症者の検診や予防治療の保険適用を視野に、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の研究助成のもと立案・開始された臨床研究の継続・完遂を目指す。この臨床研究は、「乳がん未発症のBRCA2変異陽性の女性に対するタモキシフェンの乳がん発症予防効果と安全性を明らかにすること」、「乳房MRIによるサーベイランスおよびリキッドバイオプシーを利用した低侵襲の新規乳がん検出法の有用性の検討」を目的としている。2020年4月~2023年3月末までの研究期間が新型コロナウイルス感染症の流行時期と重なり、未発症者の来院が制限されるなどの影響を受けて目標症例の約3分の1の登録にとどまっていた。【プロジェクトの概要】BRCA2変異陽性が確認された乳がん未発症の女性(20〜70歳)を対象に、タモキシフェンの乳がん発症予防効果と安全性評価を行うため、目標症例数210例に対して、残り150例の登録を目指して研究を継続する。【到達目標】第一目標金額:1,500万円・乳がん未発症の方に対する「乳房MRI」の一部補助費(1回当たり約2万5,000円)・クラウドファンディング手数料 など第二目標金額:3,000万円(第一目標金額+1,500万円)・「乳房MRI」、「リキッドバイオプシー」による早期乳がん発見の有用性の検討に必要な症例数200例登録に向けて必要な血液解析費用・臨床試験実施にかかる諸費用(国内の多施設を研究拠点として継続するための費用を含む)・クラウドファンディング手数料 など第三目標金額:4,500万円(第二目標金額+1,500万円)・遺伝性乳がん関連遺伝子27項目の測定費用・クラウドファンディング手数料 など【研究スケジュール】2024~29年3月までの5年間を想定

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国内初の「飲酒ガイドライン」を公表/厚労省

 2月19日、厚生労働省は飲酒に伴うリスクに関する知識の普及推進を図るために「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表した。本ガイドラインは、アルコール健康障害の発生を防止するため、国民一人ひとりがアルコールに関連する問題への関心と理解を深め、自らの予防に必要な注意を払って不適切な飲酒を減らすために、個人の適切な飲酒量・飲酒行動の判断の一助となるよう作成された。純アルコールに換算して飲酒量を把握することが重要 本ガイドラインの特徴として、「基礎疾患等がない20歳以上の成人を中心に、飲酒による身体等への影響について、年齢・性別・体質などによる違いや、飲酒による疾病・行動に関するリスクなどをわかりやすく伝えるとともに、考慮すべき飲酒量(純アルコール量)や配慮のある飲酒の仕方や避けるべき飲酒方法などについて示している。お酒に含まれる純アルコール量は、「純アルコール量(g)=摂取量(mL)×アルコール濃度(度数/100)×0.8(アルコールの比重)」で表すことができ、食品のエネルギー(kcal)のようにその量を数値化できることから、純アルコール量に着目しながら、自身に合った飲酒量を決めて、健康に配慮した飲酒を心掛けることが必要とも記されている。実際に飲料メーカー各社では2021年頃よりアルコール飲料に含まれる純アルコール量の表示を開始している。 例:ビール500mL(5%)の場合の純アルコール量…500(mL)×0.05×0.8=20(g)純アルコール量で疾病発症リスク示す また、わが国における疾病別の発症リスクと飲酒量(純アルコール量)について、各疾病の発症リスクが上がると考えられる男女別の研究結果と参考(カッコ内)が示されている。・脳卒中(出血性)[男性:150g/週(20g/日)、女性:0g

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心臓移植候補者の順位付け、より有用なリスクスコアモデル開発/JAMA

 米国・シカゴ大学のKevin C. Zhang氏らは、米国の心臓移植候補者約1万7,000例を対象としたレジストリベースの研究を行い、医学的緊急性に基づく心臓移植候補者の順位付けの連続多変数割り当てスコアモデルを開発した。現行の6段階システムに比べ、心臓分配の医学的緊急性の要素に関して、より有用である可能性があるという。米国の心臓分配システムは、移植をしなければ死亡するリスクが高い医学的緊急性がある候補者を優先しているが、現行の治療ベースの6段階システムは操作がされやすく、順位付けに限界があるとされている。JAMA誌2024年2月13日号掲載の報告。事前定義の予測因子セット+仏モデルで開発 研究グループは、2019年1月1日~2022年12月31日に米国心臓分配システムに登録された18歳以上の心臓移植候補者を対象に、レジストリベースの観察試験を行い、医学的緊急性の指標となる新たな米国候補者リスクスコア(US-CRS)モデルを開発した。開発のトレーニング用に97施設(70%)、検証用に41施設(30%)を無作為に割り当てた。 US-CRSモデルは、事前定義した予測因子セットを、現行のフランス候補者リスクスコア(French-CRS)モデルに追加して開発した。感度分析では、短期の機械的循環補助(MCS)に大動脈内バルーンポンプ(IABP)、経皮的心室補助装置(VAD)の使用も含めた。 US-CRSモデル、French-CRSモデル、現行の6段階モデルを、テストデータセットを用いて評価。モデルの予測能は、6週間以内の移植なしの死亡に関する時間依存型ROC曲線下面積(AUC)、全生存一致度(C統計量)で評価した。登録6週間以内の死亡、総C統計量ともに予測能改善 総計1万6,905例の成人心臓移植候補者が対象となった(平均年齢53歳[SD 13]、男性73%、白人58%)。移植を受けずに死亡した患者は796例(4.7%)だった。 最終的なUS-CRSには、短期のMCS(VA-ECMOまたはtemporary VAD)や、ビリルビンの対数値、推算糸球体濾過量(eGFR)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の対数値、アルブミン値、ナトリウム値、植込み型補助人工心臓(LVAD)の情報を盛り込んだ。 テスト用データセットでは、登録後6週間以内の死亡に関するAUCは、US-CRSモデル0.79(95%信頼区間[CI]:0.75~0.83)、French-CRSモデル0.72(0.67~0.76)、現行の6段階モデル0.68(0.62~0.73)だった。 総C統計量は、US-CRSモデル0.76(95%CI:0.73~0.80)、French-CRSモデル0.69(0.65~0.73)、現行6段階モデル0.67(同:0.63~0.71)だった。 IABPと経皮的VADを短期のMCSとして分類すると、効果量は54%減少した。

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冠攣縮性狭心症の特効薬は、ニトロではなく猫です【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第69回

外来の診察室での患者さんとのやり取りです。中川「本当に長い時間お待たせして申し訳ございません」患者「調子が良かったので、待ち時間もまったく気になりませんでした」中川「前回の診察からお身体の具合はいかがでした?」患者「1回もニトロを使いませんでした、調子は良かったです」明るい表情で答えてくれます。冠攣縮性狭心症と診断されている40代の男性です。狭心症は、冠動脈の血流が低下し心筋に十分な血液が供給されなくなる病気です。通常の狭心症の原因は、動脈硬化性のプラークによって冠動脈に狭窄が生じることです。冠攣縮性狭心症では、胸痛のない非発作時には狭窄はありませんが、発作時にだけ冠動脈が痙攣するように縮み上がり狭窄を生じることで誘発されます。冠攣縮性狭心症は、狭心症としての胸痛発作だけでなく、急性冠症候群・突然死・不安定狭心症・心室頻拍/心室細動などの致死的不整脈や原因不明の心不全などにも関与している注意を要する病態です。虚血性心疾患の発症頻度は欧米人に多く、日本人では少ないとされています。しかし、冠攣縮性狭心症は日本人でより発症率が高いことが知られています。冠攣縮性狭心症では自覚症状に特徴があり、胸痛発作は深夜から早朝にかけてピークを有する日内変動がみられます。狭心症発作の特効薬としてニトログリセリンの舌下錠が有名です。ニトログリセリンは、冠動脈の拡張による酸素供給の増加と、静脈拡張による前負荷軽減と動脈拡張による後負荷軽減の両面から酸素消費を抑制し、狭心症の治療効果を発揮します。この患者さんも、2~3日に1回ほどの頻度で深夜から早朝に胸痛発作があり、ニトログリセリンの使用に頼っている状態でした。難治性の冠攣縮性狭心症の患者として対応に苦慮していました。それが、この1ヵ月余り発作が1度もなく、ニトログリセリンの使用もないというのです。中川「発作が起こらなくなって良かったですね」患者「本当にありがたいことです」患者さんも嬉しそうです。中川「調子が良くなったのは何が理由だと思いますか?」患者「普段の内服薬も同じですし、生活もとくに変わったと意識することはないですね」中川「何年間も発作が続いていたのに良かったですね」急に思い当たったことがあったのか、大声で患者さんが話しはじめます。患者「猫を飼いはじめたんです。妻が仕事帰りに寒さに震える子猫を見つけて、連れて帰ってきたんです。手のひらに乗るほど小さかったんです」この時点で私の外来診察は予定よりも相当遅れていました。10時の診察予約時間が、今は11時を過ぎています。調子が良いと言ってくれているのだから、早々に診察を終了する方向にもっていくこともできました。予定よりも遅れるほど、「待たせて申し訳ないので丁寧に診療しなきゃ!」と考えてしまい、さらに診察時間が長時間化して、その後の患者さんたちを一層待たせてしまうということがあります。私は、これを「負のスパイラル現象」と名付けています。ここから、診察とは名ばかりの猫談義を患者さんと私のあいだで続けてしまいました。要約は以下です。保護した子猫は弱々しく、放っておくことはできません。妻と一緒にスマホで対応を調べて頑張ったそうです。猫を温め、猫用ミルクをスポイトで与え、ティッシュでお尻をポンポンと刺激して排泄を促すなど尽くしたのです。毎日毎晩続けた甲斐があって、今では元気に家の中を走り回るまでになったそうです。可愛くてたまらないと語ってくれました。患者「先生、子猫を見てくれませんか」中川「ぜひとも!」スマホに保存された幾枚もの写真や動画を一緒に拝見させていただきました。さらに外来が遅れるのですが、今さらやめられません。閲覧を堪能するに値する美猫ぶりです。診察とうそぶきながら猫動画を楽しみました。さらに待つことになった患者さんにお詫び申し上げます。その日の晩に、家の猫を撫でながら考えました。この患者さんの冠攣縮性狭心症の症状が改善したことと、患者さんが子猫を招き入れたことの因果関係についてです。偶然かもしれませんが、私には偶然とは思えませんでした。もし子猫をレスキューしていなければ同様の発作が持続していたように思われます。精神的な情動ストレスは、冠攣縮性狭心症のリスクを高める要素の1つとなるからです。たとえば、過呼吸、不安や緊張、過労、睡眠不足などは、冠攣縮性狭心症の発作増悪の可能性を高めます。そのため、治療に当たっては、ストレスを避けて規則正しい生活を送ることが重要とされています。セラピーキャットとは、猫たちとの触れ合いを通じて人に癒しを施すことです。この患者さんが子猫と出会い触れ合うことで、猫から「癒し」というお返しをいただいたのです。「小医は病を治し、中医は人を治し、大医は国を治す」これは中国の古い言葉で、優れた医師は病気だけでなく国までも治すことができるという趣旨です。このような大事は私にはできるはずもありません。循環器内科医として心臓血管疾患に立ち向かう小医としての役目だけで精一杯です。しかし、この子猫は、患者さんの心に癒しを与えて「人」を治し、さらに冠攣縮性狭心症の発作を抑えて「病」を治したのです。すでに中医の域に到達しています。世間は空前の猫ブームです。テレビや雑誌、ネットや新聞で猫を見ない日はありません。猫に関連した商品が飛ぶように売れる経済効果から「ネコノミクス」という言葉も使われるほど、猫は注目されています。猫がもたらす幸せは、経済界から医療領域まで波及するようです。猫が大医として「国」を治す日も近いかもしれません。膝の上に乗ったわが家の愛猫レオが、大きなアクビをしました。猫は期待されることを望まないようです。では床に就くことにします。おやすみなさい。

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第200回 脳神経外科の度重なる医療過誤を黙殺してきた京都第一赤十字病院、背後にまたまたあの医大の影(後編)派遣先の医局員の技術向上や医療安全には無頓着だった府立医大

幾度も警鐘が鳴らされていたにもかかわらず、まったく改善策が取られなかった背景こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。2月16日、植村 直己冒険賞の発表がありました。同賞は冒険家・植村 直己氏の功績と精神を後世に継承するために設けられた賞で、自然を相手に創造的な勇気ある行動をした人、または団体に贈呈されてきました。主催は植村氏の出身地、兵庫県豊岡市です。今年は4人が選ばれましたが、そのうち、大西 良治氏と田中 彰氏はネパールのヒマラヤ山中にある人跡未踏の谷「セティ・ゴルジュ」を探検した功績が評価されました。昨年7月に放送された、NHKスペシャル「ヒマラヤ“悪魔の谷”〜人跡未踏の秘境に挑む〜」に登場した2人です。水位が下がる真冬に400メートル以上の谷底にロープで降下、激流を探検する姿はテレビで見ても生きた心地がしませんでした。その大西氏は私の大学時代の山のクラブの後輩です。卒業後、特に沢登りの世界で頭角を現し、北アルプスで前人未踏として知られた称名ゴルジュ(称名滝とその上のゴルジュ帯)の単独遡行がとくに有名です(興味がある方は大西氏の著書『渓谷登攀』《山と溪谷社刊》をどうぞ)。我々のクラブは、宮城・山形県境に位置する二口(ふたくち)山塊の沢で沢登りのトレーニングを積んでいたのですが、その二口での沢の経験が、植村 直己冒険賞にまでつながるとは……。大西氏受賞のニュースを聞いて、感慨深く感じました。さて前回は、京都市保健所が京都第一赤十字病院(京都市東山区、池田 栄人院長)に対して医療法25条による立ち入り調査を行い、改善を求める行政指導を行ったというニュースについて、どのような事案が問題とされ、どういった指導が行われたかについて、新聞報道や「月刊Hanada」(飛鳥新社)の記事などを基に書きました。今回は多発していた医療過誤、医療事故に対して幾度も警鐘が鳴らされていたにもかかわらず、改善策がまったく取られずに事故が続いた背景について、独自に取材した内容も交えながら書きます。脳腫瘍ではない正常脳の一部を摘出、脳圧が高まっている患者では禁忌の腰椎穿刺を研修医が単独で実施京都市保健所が不適切と判断した事例は、いずれも同病院の脳神経外科で確認されたものです。たとえば、2020年に行われた70代女性に対する脳腫瘍摘出手術は、一度目の手術で執刀医は箇所を間違えて開頭、脳腫瘍ではない正常な脳の一部を摘出していました。また、2021年に起きた研修医の医療処置を受けた患者が死亡した事例は、静脈洞血栓症が疑われる20代女性に対し、脳圧が高まっている状態では禁忌とされる腰椎穿刺を、研修医が独断かつ単独で行い、患者を死に至らしめていました。いずれのケースも患者や家族に実際の治療経過は正しくは伝えられず、腰椎穿刺の事例は院内の安全対策委員会でも調査委員会は設置されませんでした。こうした一連の、過誤もみ消しとも取れる対応について、京都市保健所は1月17日、診療録の記載方法、治療法などについての患者への説明方法、患者の遺族に対する診療経過の説明方法、死亡診断書の記載方法、医療安全管理委員会の運用方法などに関する指導を行いました。さらに、医療安全部門での把握や医療事故対応等について12件を再検証し保健所に報告するよう求めました(再検証のみ求められたものも49件)。元第一脳神経外科部長が10月に市に公益通報を行い京都市が動く立ち入り調査のきっかけとなったのが、2023年9月26日発売の「月刊Hanada」の11月号の記事、「告発スクープ!正常脳を切除、禁忌の処置で死亡 医療事故を放置 日本赤十字社の闇」です。この報道を契機として、第一日赤の元第一脳神経外科部長(以下、元部長)が10月に市に公益通報を行い、京都市が動いたのです。公益通報とは、「労働者が、不正の目的でなく、その労務提供先又はその役員・従業員等について一定の法令違反行為が生じ、またはまさに生じようとしていることを、その労務提供先や行政機関、外部機関に対して通報すること」とされています。企業の法令違反行為などを行政機関等に通報する際に活用される仕組みで、通報者は公益通報者保護法によって公益通報をしたことを理由とした解雇や、その他の不利益な取り扱いから保護されます。他大学脳神経外科の傘下となると府立医大脳神経外科傘下とする第二脳神経外科が新設第一日赤の元脳神経外科の部長が脳神経外科で起こっていた事故を公益通報する、とは一体どういうことでしょうか。取材によれば、第一日赤で事故が多発していた2019〜2020年当時、同病院には脳神経外科が2つ存在していました(現在は1つ)。元々、同病院の脳神経外科は1つでした。同科は2016年以降、京都府立医科大学脳神経外科の傘下でした。しかし、医師補充をスムーズにすることを目的に、2019年2月に府立医大から離れ、他大学の脳神経外科の傘下となりました。すると、同年3月、京都府立医科大学脳神経外科傘下の第二脳神経外科が新設されたのです。背景には、「第103回 大津市民病院の医師大量退職事件、『パワハラなし』、理事長引責辞任でひとまず幕引き」などでも書いた、府立医大のジッツ戦略があったとみられます。幾度も注意喚起を行うも事態は是正されず「月刊Hanada」の報道にもあるように、その後、第二脳神経外科で事故が多発しました。第一脳神経外科の元部長は、病院幹部に医療事故が頻発していること等の是正を求める文書を提出するなど、幾度も注意喚起を行いましたが、一向に事態は是正されませんでした。脳腫瘍摘出手術で開頭部位を間違えて正常脳を摘出してしまった事案や、研修医が脳圧が高まっている状態では禁忌とされる腰椎穿刺を行った事案は、注意喚起後に起こっています。同部長は同病院の経営陣だけでなく、日本赤十字社本社、さらには府立医大の脳神経外科などにも注意喚起を行い、改善を求めたものの、事態が改善されることはなかったとのことです。第一脳神経外科は2022年3月に解体、元部長らは第一日赤を自主退職「月刊Hanada」によれば、元部長は府立医大の脳神経外科の教授に医師の再教育や再発防止などへの協力を要請していますが、「別病院のことなので介入できない」と一蹴されています。ただ一方で、2021年夏には、同部長に他病院への異動を要請、同科のもう一人の医師に対しても、府立医大脳神経外科の医局に所属した上での他病院への異動を求めていました。なお、その後、第一脳神経外科は2022年3月に解体され、元部長と同科にもう一人いた医師は第一日赤を自主退職しています。元部長が事故を起こした第二脳神経外科の医師に科を越えて指導したことがパワハラと捉えられたり、注意喚起を目的に実際に起きた医療事故数例を学会発表したことが他科の症例写真の無許可使用とされたことなどが、第一脳神経外科解体と自主退職を余儀なくされた理由とみられます。最終的に、第一日赤の脳神経外科では、医療事故を注意喚起してきた第一脳神経外科の医師たちが放逐され、事故を頻発してきた府立医大脳神経外科系列の第二脳神経外科が「脳神経外科」として残ることになりました。その後も、同科による事故は続き、事態が一向に改まらなかったことを憂いた元部長が、「月刊Hanada」の報道をきっかけに公益通報を敢行、京都市保健所の立ち入り検査に至ったわけです。医療の質・安全学会学術集会で脳圧亢進時の処置による死亡例3例を示し注意喚起も発表取り下げ取材したところ、元部長が注意喚起を目的に学会発表していたのは、2021年11月の第16回医療の質・安全学会学術集会でのことでした。「医学の細分化の果てに忘れ去られつつある医学の常識:恐れを知らない医師と流される看護師-医療安全を阻むものとの戦い-」と題された発表では、「うっかりミスや技能の未熟が原因ではない医療事故は、連続し、防止するのが極めて困難」として、脳ヘルニア時の腰椎ドレナージによる死亡例(処置した医師が禁忌であることを知らなかったと思われる事例)、小脳腫脹時の腰椎穿刺による死亡例(研修医がCT読影ができなかった事例、前述の20代女性の事例)、脳圧亢進時の血液透析による死亡例(脳圧亢進時の透析は呼吸が止まる危険性があることを知らなかった事例)の3例の詳細が発表されていました。いずれも脳圧亢進時の処置による死亡で、3例目は腰椎穿刺は関係なく、透析による不均衡症候群(病院はICU入室中の窒息と診断)でした。「死亡事例から学ぶことが、救命できなかった患者さんに対する医療者としての責務」発表では、医療安全を阻む要素として、「医師の傲慢さ」、「看護師の臆病さ」(知っていても声をあげない点など)、「病院幹部の無関心」を指摘、「まとめ」において「一つの死亡事故の真の原因を解明することは同じ原因で起こる次の事故を未然に防ぐことになる」「表面的には隠された、重大な医療事故が起こっている組織を安全にするためには、その組織の文化にまでメスを入れ、従来の価値観、やり方を大きく変える必要がある」と医療事故調査の重要性や組織体制の見直しの必要性を指摘、「死亡事例から学ぶことが、救命できなかった患者さんに対する医療者としての責務」と結んでいます。なお、この発表のスライドは2週間程度学会のWebサイトで閲覧できましたが、その後、第一日赤の池田 栄人院長より取り下げの依頼があり、取り下げられています。「判断を医療機関のみに委ねるのではなく、明確な指針が必要だ」として遺族などが医療事故調査制度見直しを提言医療事故が起こっても、院内事故調査委員会を設置して原因究明をしようとせず、患者や家族には虚偽の説明を繰り返して来た第一日赤。その悪質さは度を越しており、現行の医療事故調査制度の欠点を改めてあぶり出したと言えるでしょう。医療事故調査制度は、すべての医療機関に対して、医療事故で患者が死亡した場合、第三者機関である医療事故調査・支援センターに報告することや、原因を調査することなどを義務付けています。しかし、報告や調査を行うケースに該当するかどうかは医療機関の院長等の判断に任されています。そうした運用ルールが過誤や事故の隠蔽につながっていることが最近問題視されています。先週の2月12日には、医療事故の遺族などが都内でシンポジウムを開き、医療事故調査制度の課題や改善策について意見を交わしています。NHKなどの報道によれば、「医療過誤原告の会」の宮脇 正和会長は、団体に相談があったおよそ60件について、医療事故として報告されたのは14%に留まり、アンケートでは報告されなかった遺族の9割以上が「納得できなかった」と答えたと紹介、その上で宮脇会長は、「判断を医療機関のみに委ねるのではなく、明確な指針が必要だ」として、医療事故調査制度を見直す必要があると語ったとのことです。ジッツ拡大には注力するも派遣先の医局員の技術向上や医療安全にはまったくもって無頓着だった府立医大それにしても、事故を頻発していた科を温存し、警鐘を鳴らしていた科を閉鎖してしまうとは、普通では考えられない病院運営と言えます。そこまで、府立医大に依存しないと第一日赤はやっていけないということなのでしょうか。加えて、医師を派遣する府立医大が、ジッツ拡大には注力するものの、派遣先の医局員の技術向上や医療安全にはまったくもって無頓着だったことにも驚きます。京都市保健所が、第一日赤に対して再検証し、保健所に報告するよう求めた期限は3月18日です。第一日赤がどこまで事故や過誤の詳細を詳らかにし、患者や家族への説明・謝罪に真摯に対応するかが注目されます。

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病名変更、定着した疾患は?/医師1,000人アンケート

 疾患の機序や病態、患者さんからの要望などで成人病が「生活習慣病」へ、痴呆症が「認知症」へ病名変更された例がある。現在では、糖尿病の呼称を「ダイアベティス」に変更する提案がなされ、「非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)」から「MASLD(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)」、「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)」から「MASH(metabolic dysfunction-associated steatohepatitis)」への病名変更も予定されている。 そこで、会員医師1,000人にこうした疾患の呼称や病名変更についての考えや病名変更の認知度を聞いた。呼称や病名を変更するなら病態をイメージできるものを 質問1で「『糖尿病がダイアベティス』へ呼称変更、『非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)からMASLD』、『非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)からMASH』」への病名変更される動きについて」を聞いたところ、「両方とも知っている」が1番多く512人、「『糖尿病』のみ知っている」が302人、「両方とも知らない」が142人、「『NAFLD・NASH』のみ知っている」が82人の順で多く、半数以上の会員医師は最近の動きを知っていた。 質問2で「疾患の病名や呼称を変更する理由として、どれが重要か」を聞いたところ、「疾患の機序や病態」が453人、「社会的なイメージや要請」が324人、「疾患認知度の向上」が293人の順で多く、病名で病態が理解できるものが望まれていた。 質問3で「9つの疾患を挙げ、病名・呼称の変更で定着したもの」を聞いたところ、「成人病から生活習慣病」が1番多く886人、「痴呆症から認知症」が842人、「精神分裂病から統合失調症」が819人の順で多かった。一方で、「サル痘からエムポックス」が48人、「先端巨人症から成長ホルモン分泌亢進症」が72人と診療科により定着率の低い疾患もあった。 質問4で「9つの疾患を挙げ、病名・呼称変更でまだ定着したと思われないもの」を聞いたところ、「サル痘からエムポックス」が1番多く704人、「先端巨人症から成長ホルモン分泌亢進症」が621人、「妊娠中毒症から妊娠高血圧症候群(HDP)」が490人、「不安障害から不安症」が483人の順で多かった。あまりなじみのない疾患の病名変更は浸透しにくい様子がうかがえた。呼称・病名変更に受容的なのは20・30代の医師 以下は20・30代、40代、50代、60代以上の医師と4つの区分ごとにみたものである。 質問1では、20・30代~50代の会員医師の半数以上が、疾患の名称・病名変更の動きを「両方とも知っていた」と回答していた。60代以上の医師では「糖尿病のみ知っていた」の回答が40%を占めていた。 質問2では、すべての年代の医師で「疾患の機序や病態」を変更理由として1番多く挙げているのに対し、60代以上の医師では「社会的なイメージや要請」を挙げる方もほかの年代の医師よりも多かった。 質問3では、20・30代医師では「妊娠中毒症から妊娠高血圧症候群(HDP)」と「先端巨人症から成長ホルモン分泌亢進症」の認知度が他の年代よりも高かった。また、50代医師では「すべて定着したとは思わない」と回答した数が他の年代の医師よりも多かった。 質問4では、40代医師で「痴呆症から認知症」について「定着していない」の回答数が少なかったことから、この年代では「認知症」という病名が広く浸透していることがうかがえた。また、「すべて定着したと思う」と回答した医師は20・30代で1番多かったことから呼称・病名変更への受容性がうかがえた。誤解されるイメージの病名は変更したほうがよい 質問5で「疾患の呼称や病名について、個別の疾患への思いや考え、疾患名にまつわるエピソード」を募集したところ、以下のようなコメントが寄せられた。・~奇形、~異常などの名称が付く疾患は変更したほうがよい(整形外科・60代)・糖尿病の呼称を「ダイアベティス」に変えるなら、まず尿崩症の名称を変えたほうがよい(糖尿病・代謝・内分泌内科・30代)・フレイルは、わかりにくいので適当な和訳が望ましい(呼吸器内科・50代)・水ぼうそう(水痘)と水いぼ(伝染性軟属腫)は混同される方が多い(皮膚科・50代)アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。疾患の呼称や病名変更に医師はこう考える/医師1,000人アンケート

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薬剤性過敏症症候群、国際的コンセンサスを策定

 薬剤性過敏症症候群(DRESS:Drug Reaction with Eosinophilia and Systemic Symptoms)の重症度評価と治療に関する国際的なコンセンサスを策定する研究結果が、スイス・チューリヒ大学病院のMarie-Charlotte Bruggen氏らにより報告された。DRESSは、発現頻度は低いものの、死に至る可能性もある重症薬疹の1つである。研究グループはRAND/UCLA適切性評価法(デルファイ変法)を用いて100項目について検討を行い、93項目について合意形成に至った。著者は、「DRESSはさまざまな特徴を有する重度の皮膚有害反応を呈する薬疹で、臨床医は診断と治療管理に難渋する。今回のコンセンサスは、DRESS患者の診断、評価、治療を支援するものであり、将来的なガイドライン開発の基礎となるはすだ」と述べている。JAMA Dermatology誌2024年1月1日号掲載の報告。 研究グループは、DRESS患者の診断、重症度評価、治療に関する国際的なコンセンサスを策定することを目的に、デルファイ変法を用いて各国の専門家による検討を行った。DRESSの専門家57人に参加を呼び掛け、54人が2022年7~9月に実施された調査に参加。DRESSのベースライン診断、重症度評価、急性期および亜急性期の治療管理に関する100項目を評価した。合意形成の基準は、デルファイ変法(1点[きわめて不適切]~9点[きわめて適切])による評価の中央値が7点以上かつ見解不一致指数(disagreement index)が1点未満と定義した。 主な結果は以下のとおり。・第1回の適切性評価において、82項目について合意形成が得られた。・第2回評価で13項目が改訂・評価され、最終的に、全体で93項目の合意形成が得られた。・専門家らは、基本的な診断法や重症度評価、臓器固有のさらなる研究について合意した。・また、肝臓、腎臓、血液の関与の程度とその他臓器の損傷に基づく重症度評価(軽症、中等症、重症)について合意した。・DRESSの重症度に応じた治療管理の主な方針に関しても合意した。・DRESS患者の急性期後のフォローアップおよびアレルギー検査に関する一般的推奨事項も策定された。

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日本人統合失調症患者の死亡、入院、退職、病欠と関連する因子

 統合失調症の治療において、早期死亡リスク、入院リスクに影響を及ぼす再発、離職は、重要な課題である。北里大学の稲田 健氏らは、日本人統合失調症患者における重要なアウトカムである死亡、入院、退職、病欠のリスク因子を評価した。BMC Psychiatry誌2024年1月3日号の報告。 日本のレセプトデータベースより特定した統合失調症患者を対象に、ネステッドケースコントロール研究を実施した。各アウトカムは、年齢、性別、インデックス日、雇用状況(従業員または扶養家族)が一致した最大4つのコントロールと比較した。潜在的なリスク因子は、イベント発生前または発生月から3ヵ月以内の処方箋または診断により定義した。潜在的なリスク因子と各アウトカムとの関連性は、ステップワイズ変数選択を伴う多変数条件付きロジスティック回帰分析を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・各アウトカムにおけるケースと対象患者は以下のとおりであった。【死亡】144例、3万8,451例【入院】1,520例、3万5,225例【退職】811例、1万8,770例【病欠】4,590例、1万8,770例・抑うつ症状は、死亡(オッズ比[OR]:1.92、95%信頼区間[CI]:1.12~3.29)、入院(OR:1.22、95%CI:1.05~1.42)、病欠(OR:1.46、95%CI:1.36~1.57)のリスク因子であることが示唆された。・死亡に対するその他のリスク因子は、入院歴、チャールソン併存疾患指数(CCI)スコア、下剤の処方であった。・睡眠薬、下剤の処方、抗コリン薬の処方は、入院のリスク因子であった。・催眠薬と抗コリン薬の処方は退職のリスク因子であった。・CCIスコア、睡眠薬の処方、下剤の処方、糖尿病治療薬の処方は、病欠のリスク因子であった。 著者らは「われわれの知見は、統合失調症患者の重要な臨床アウトカムのリスク因子として、抑うつ症状および便秘、錐体外路症状など、いくつかの身体症状が特定されていることを示唆している。統合失調症の治療では、抑うつ症状と身体症状の両方に注意を払う必要がある」としている。

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痛風再燃の98%はベースライン尿酸値5mg/dL以上/JAMA

 痛風の既往歴のある患者において、ベースラインの血清尿酸値は、その後の痛風再燃および再発による入院のリスクと関連しており、再発リスクの評価の指標として使用可能であることが、米国・マサチューセッツ総合病院のNatalie McCormick氏らの調査で示唆された。研究の成果は、JAMA誌2024年2月6日号で報告された。英国の痛風既往例の後ろ向きコホート研究 本研究は、英国のプライマリケアにおいて、痛風の既往歴を有する患者における1回の血清尿酸値測定と、その後の急性痛風再燃および痛風の再発による入院のリスクとの関連の評価を目的とする住民ベースの後ろ向きコホート研究である(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。 対象は、2006~10年に英国で確認された痛風の既往歴を有する患者3,613例(平均年齢60.2[SD 6.8]歳、男性3,104例[86%])であり、2020年まで追跡調査を行った。 主要アウトカムは急性痛風の再発率とし、負の二項回帰モデルを用いて補正済みの率比を算出した。痛風再燃の98%はベースライン尿酸値5mg/dL以上 平均追跡期間8.3年の時点で、3,613例に1,773件の痛風再燃を認め、患者はプライマリケア医の治療を受けるか入院した。このうち、1,679件(95%)はベースラインの血清尿酸値が6mg/dL以上の患者、1,731件(98%)はベースライン尿酸値5mg/dL以上の患者であった。 1,000人年当たりの急性痛風再燃率は、ベースライン尿酸値6mg/dL未満の患者で10.6、同6.0~6.9mg/dLの患者で40.1、同7.0~7.9mg/dLの患者で82.0、同8.0~8.9mg/dLの患者で101.3、同9.0~9.9mg/dLの患者で125.3、同10mg/dL以上の患者では132.8であった。 また、同様のベースライン尿酸値別の10年間における再燃の補正後率比は、それぞれ1.0(reference)、3.37、6.93、8.67、10.81、11.42だった(血清尿酸値1mg/dL上昇当たりの補正後率比:1.61、95%信頼区間[CI]:1.54~1.68)。ベースライン尿酸値が高いと入院率も上昇 追跡期間中の1,000人年当たりの入院率は、ベースライン尿酸値6mg/dL未満の患者で0.18、同6.0~6.9mg/dLの患者で0.97、同7.0~7.9mg/dLの患者で1.8、同8.0~8.9mg/dLの患者で2.2、同9.0~9.9mg/dLの患者で6.7、同10mg/dL以上の患者では9.7であった。 また、同様のベースライン尿酸値別の、年齢、性別、人種で補正した痛風による入院の補正後率比は、それぞれ1.0(reference)、4.70、8.94、10.37、33.92、45.29だった(血清尿酸値1mg/dL上昇当たりの補正後率比:1.87、95%CI:1.57~2.23)。 著者は、「尿酸降下薬の使用者と非使用者の双方において、血清尿酸値が高い患者では痛風再燃リスクが高かった」としており、「本研究の知見は、追跡期間が約10年までは、痛風の再発リスクの評価におけるベースラインの血清尿酸値の使用を支持するものである」と指摘している。

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CRT後のデュルバルマブ地固めは高齢NSCLCにも有用か?

 切除不能なStageIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する化学放射線療法(CRT)後のデュルバルマブ地固め療法は、PACIFIC試験で有用性が示され、標準治療となっている。しかし、高齢のNSCLC患者における有効性・安全性は明らかになっていない。そこで、韓国・慶北大学校のJi Eun Park氏らの研究グループは、70歳以上の高齢のNSCLC患者におけるCRT後のデュルバルマブ地固め療法の有用性を検討するため、後ろ向き研究を実施した。その結果、70歳以上のNSCLC患者でも有効性は同様であったが、有害事象は多い傾向にあった。本研究結果は、Clinical Lung Cancer誌オンライン版2024年2月16日号で報告された。 本研究は、CRT後のデュルバルマブ地固め療法を受けた切除不能なStageIIIのNSCLC患者286例を対象とした後ろ向き研究で、2017年9月~2022年9月の期間に実施した。対象患者を年齢(70歳未満、70歳以上)で2群に分類し、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性などを評価した。 主な結果は以下のとおり。・70歳未満群は166例(58.0%)、70歳以上群は120例(42.0%)であった。・PFS中央値は、70歳未満群が19.4ヵ月であったのに対し、70歳以上群は17.7ヵ月であり、有意差は認められなかった。・OS中央値は、70歳未満群が未到達であったのに対し、70歳以上群は35.7ヵ月であり、有意差は認められなかった。・70歳以上群において、ECOG PS0/1のサブグループはPFSが良好で、シスプラチンを用いたCRTを実施したサブグループはOSが良好であった。一方、男性はOSが不良であった。・デュルバルマブ地固め療法を完遂した患者の割合は、70歳未満群が39.2%であったのに対し、70歳以上群は27.5%であり、完遂率は70歳以上群が有意に低かった(p=0.040)。・治療関連有害事象、Grade3/4の有害事象、治療の完全中止、治療関連死は、いずれも70歳以上群で多かった。 本研究結果について、著者らは「デュルバルマブ地固め療法は、70歳以上の高齢患者において70歳未満の患者と同様の有効性を示した。しかし、70歳以上の高齢患者では有害事象が多かった。したがって、患者選択や化学療法の選択は慎重に行うべきであり、注意深い有害事象モニタリングが必要である」とまとめた。

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2月20日 アレルギーの日【今日は何の日?】

【2月20日 アレルギーの日】〔由来〕1966(昭和41)年の今日、石坂 公成氏、石坂 照子氏がIgE(免疫グロブリン)を発見したことにちなみ、日本アレルギー協会により制定。同協会では今日を中心とした1週間を「アレルギー週間」と定め、この期間を中心にアレルギーに関する各種啓発活動を行っている。関連コンテンツアトピー性皮膚炎の診療で役立つTIPSどうする?食物アレルギーの「学校生活管理指導表」【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】卵アレルギーが不安…、離乳食開始へのアドバイスは?【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】HRTってなあに?【患者説明スライド】食物アレルギーの小児患者へ安全・有効な経口免疫療法/国立成育医療研究センター

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紛失、徘徊、幻視…認知症あるあるトラブルの上手な解決策は?【外来で役立つ!認知症Topics】第14回

今回は、患者さん・ご家族からの「認知症あるある質問に、どう答える?」というテーマだ。1つは「なくしもの」、次に冷静さを失う状態いわゆる「パニック」、そしてレビー小体型認知症にみられる「幻視」とその対応の3つだ。こうしたものに共通する心理学的な特徴は、認知症者に特有の不安や自信のなさだと考えられる。しまいなくしよく質問される対応法の1つが、紛失だ。私が、「しまいなくし」と呼ぶものがある。認知症の人は、これは大切だと思うと、「いつもの置き場所に置いては、盗まれてしまう」という過剰な心配を抱きやすいものだ。そのために、普段とは違う場所に隠してしまう。この隠し場所がなかなか難しいところ、たとえば、押し入れの布団の一番下。また、積まれた古新聞紙の間など、記憶力が良くても探し出すのはまず無理と思われるところが多い。まして認知症になると、自分がどこに隠したのか、思い出すことはとてもできないだろう。探して出てこないとなると、「私がなくすわけはない」と焦りと不安がこみ上げて、誰かに盗まれたという被害妄想にすぐに変わってしまう。「自分がしまった場所を忘れて、他人のせいにする」が起こるようになったら、ご家族には、「大事なものは1ヵ所に集めて、そこ以外には置かないことをご本人に指導するようにしましょう」とお伝えする。もっとも、そううまくはいかないが…。次にこれまで見つけた思いがけない隠し場所をリストアップしてもらう。なぜなら、ここにまた隠される可能性があるからだ。もう1つ、最近患者さん家族に教えてもらった手がある。たとえば、1万円札を患者さんご本人に渡して、「これを人にわからないように隠すとしたらとしたら、どこにしまうの?」と言い、ご本人がどこを隠し場所にするかを観察する。その時の行動ぶりに、今後の探し方のヒントがあるかもしれない。なくしものは、財布、通帳、通院セット、キーホルダーなど、わりと限られている。そこで「探しもの発見器」と呼ばれる機器が有効だろう。これを、こうしたなくしもの候補に結び付けておけば、それらが見当たらない時にバイブレーションやアラームで居場所を知らせてくれる。これは便利で、しかも比較的廉価だ。パニックそう有名ではないが、認知症の人にみられやすい症状としてパニックに陥りやすいことがある。パニックといっても、 DSM-5でいうような正式なパニック障害ではない。しかし、突然不安がこみ上げてきて、頭の中が真っ白、いてもたっていられず右往左往になるのは同じことだ。周りには「どうしてこの程度のことで?」と感じられる些事で、てんやわんやの混乱状態に陥ってしまう。その具体的な表れが徘徊・行方不明と、家族の携帯への連続呼び出しだろう。前者は、「迷った、大変だ」と焦る気持ちが、ご本人をどんどんあらぬ方向へと歩ませてしまう。なぜか、家族に電話したり、人に尋ねたりして助けてもらおうとする行動をとる人はまずいない。思いもつかない、そこがパニックなのだろう。道に迷うことや徘徊が心配な状態になった人には、GPSの位置確認装置がお勧めだ。なおGPSの問題は身体のどこに付けるか、どうやって身に付けて外出してもらうかということだ。後者の電話攻勢の原因はさまざまながら、上記のなくしものが主たる原因だろう。解決法は、まずは既述の「探しもの発見器」がある。また、電話に出て説明しても、すぐに忘れて繰り返されるのが常。そこで、ショートメールに「今は忙しい。5時になったら連絡します。」などと書いて送る。ただし、電話攻勢の都度、これをやってはいられない。3回の電話呼び出しに1回、同じメールをまた送ればいいだろう。「幻視が怖い!」レビー小体型認知症(DLB)を最初に提案された小阪 憲司先生は、病理学者であっただけでなく、優れた臨床家であったことを端的に示す患者・家族指導の一言指導がある。これは幻視に影響され、恐怖を募らせたり行動化したりするDLB患者さんへのアドバイスだ。多くは人物の幻視なので、「見えたら、その人のところへ行って触ってごらん」というものだ。「そんなあ、怖いから」などと、必ずしも患者さんには実行してもらえないのだが、実際にやってみた人の多くは「行ったら消えるんです」と次の診察でおっしゃる。こうした体験を繰り返すと、「ああそうか、いないのか」と納得されていくことが少なくない。幻視という症状は患者さん本人以外には確認しようがないものだから、ご家族をはじめ第三者には幻視体験がピンとこない。しかし幻視の体験時には、患者さんの大脳視覚野が、いわば不随意に活性化しているようだ。つまり現存する対象を見ている時と同じように、視覚野は活性化しているので、本人には実像と虚像の区別はつかないのである。このあたりのポイントを凝集した見事な指導が、「その人に触ってごらん」だと思う。

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英語で「お決まりの治療」は?【1分★医療英語】第118回

第118回 英語で「お決まりの治療」は?《例文1》MRI is a go-to imaging for stroke.(MRIは脳卒中でお決まりの画像検査です)《例文2》He is my go-to person.(彼は私の頼れる存在です)《解説》“go to~”は動詞として使うと “go to school” (学校に行く)のように「~に行く」という意味になりますが、ハイフンを付けて“go-to”という形容詞として使うと、「行くべき」という意味から転じ、「頼れる」「お決まりの」「定番の」「お気に入りの」といった意味になります。臨床現場でもそれぞれの症状や病気に対してお決まりの検査や治療がある場合には、“go-to imaging”(お決まりの画像検査)、“go-to treatment”(お決まりの治療法)というような表現をします。また、形容詞以外に名詞としても使うことができ、“Pad Thai is my go-to when I order Thai food.”(タイ料理を注文するときは、パッタイが私の定番です)といった言い方もします。簡単な単語の組み合わせですが、日常会話でも臨床業務でも使えて、知っていると差がつく表現です。講師紹介

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Hibを追加した乳幼児の5種混合ワクチン「ゴービック水性懸濁注シリンジ」【最新!DI情報】第9回

Hibを追加した乳幼児の5種混合ワクチン「ゴービック水性懸濁注シリンジ」今回は、沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオヘモフィルスb型混合ワクチン(商品名:ゴービック水性懸濁注シリンジ、製造販売元:阪大微生物病研究会)」を紹介します。本剤は、既存の4種混合ワクチンの抗原成分にインフルエンザ菌b型(Hib)の抗原成分を加えた5種混合ワクチンであり、乳幼児期のワクチン接種回数が減少することで、乳幼児および保護者の負担軽減が期待されています。<効能・効果>百日せき、ジフテリア、破傷風、急性灰白髄炎およびHibによる感染症の予防の適応で、2023年3月27日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>初回免疫として、小児に通常0.5mLずつを3回、いずれも20日以上の間隔をおいて皮下または筋肉内に接種します。追加免疫では、初回免疫後6ヵ月以上の間隔をおいて、通常0.5mLを1回皮下または筋肉内に接種します。<安全性>国内第III相試験(BK1310-J03)において、皮下接種後の副反応は91.7%に認められました。そのうち、接種部位の主な副反応として、紅斑78.9%、硬結46.6%、腫脹30.1%、疼痛13.5%が認められました。全身性の主な副反応は、発熱(37.5℃以上)57.9%、易刺激性27.1%、過眠症24.1%、泣き23.3%、不眠症13.5%、食欲減退13.5%でした。<患者さんへの指導例>1.このワクチンは、5種混合ワクチンです。2.百日せき、ジフテリア、破傷風、急性灰白髄炎およびHibによる感染症の予防の目的で接種されます。3.生後2ヵ月から接種を開始し、計4回の定期接種を行います。4.明らかに発熱(通常37.5℃以上)している場合は接種できません。5.接種後30分間は接種施設で待機するか、ただちに医師と連絡がとれるようにしておいてください。6.接種後は健康状態によく気をつけてください。接種部位の異常な反応や体調の変化、高熱、けいれんなどの異常を感じた場合は、すぐに医師の診察を受けてください。<ここがポイント!>本剤は、既存の4種混合ワクチン(百日せき、ジフテリア、破傷風、不活性化ポリオ混合ワクチン)の成分に加えて、インフルエンザ菌b型ワクチンの成分を混合した5種混合ワクチンです。百日せきは、乳幼児早期から罹患する可能性があり、肺炎や脳症などの合併症を起こし、乳児では死に至る危険性があります。ジフテリアの罹患患者は、1999年以降は日本で確認されていませんが、致死率の高い感染症です。破傷風は、菌が産生する神経毒素によって筋の痙攣・硬直が生じ、治療が遅れると死亡することもあります。急性灰白髄炎(ポリオ)は、脊髄性小児麻痺として知られており、主に手や足に弛緩性麻痺が生じ、永続的な後遺症が残る場合や呼吸困難で死亡することもあります。インフルエンザ菌b型はヒブ(Hib)とも呼ばれ、この菌が何らかのきっかけで進展すると、肺炎、敗血症、髄膜炎、化膿性の関節炎などの重篤な疾患を引き起こすことがあります。これらの感染症はワクチンの接種によって予防が可能で、日本では予防接種法で定期接種のA類疾病に該当します。しかし、乳幼児期には、これら以外の感染症に対するワクチンの接種も必要なため、保護者の負担の大きさや接種スケジュール管理の煩雑さが問題となっています。本剤は、百日せき、ジフテリア、破傷風、ポリオおよびHib感染症に対する基礎免疫を1剤で同時に付与できるため、乳幼児への注射の負担および薬剤の管理を軽減できるメリットがあり、2024年4月から定期接種導入が予定されています。また、本剤は皮下接種だけでなく、筋肉内接種も可能です。生後2ヵ月以上43ヵ月未満の健康乳幼児267例を対象とした国内第III相試験(皮下接種)において、本剤接種後における初回免疫後の各抗体保有率は、ジフテリアが99.2%、その他は100%であり、追加免疫後はすべて100%でした。追加免疫後では、すべての抗原に対して初回免疫後よりも高い免疫原性を示すことが確認されました。

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