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8月21日 治療アプリの日【今日は何の日?】

【8月21日 治療アプリの日】〔由来〕株式会社CureAppが製造・販売する「CureApp SC ニコチン依存症治療アプリ」が厚生労働省から薬事承認を取得した2020年8月21日を記念して制定。治療アプリは、従来の医薬品やハードウェア医療機器では治療効果が不十分だった病気を治すためのもので、アプリを第3の治療法として多くに人に知ってもらい、活用してもらうことが目的。関連コンテンツ禁煙を助ける道具を上手に使おう【患者説明用スライド】ニコチン依存症治療用アプリが人間味を帯びたら医者いらず?【バズった金曜日】世界初「NASH治療用アプリ」の効果を臨床試験で確認/東大世界初の高血圧治療補助アプリが保険適用/CureAppうつ病治療アプリに対する医師や患者の期待

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ハイパーサーミア診療ガイドラインで各がん種の治療推奨度を明確に

 『ハイパーサーミア診療ガイドライン』の初版が発刊された。今回、ガイドライン作成委員会委員長の高橋 健夫氏(埼玉医科大学総合医療センター放射線腫瘍科)に実臨床におけるハイパーサーミアの使用経験や推奨されるがん種などについて話を聞いた。ハイパーサーミアのガイドラインでエビデンスを示す必要があった ハイパーサーミアとは39~45℃の熱を用いた温熱療法のことで、主に放射線治療や化学療法の治療効果を高める目的で用いられている。その歴史は意外にも古く、1980年代に放射線治療の補助療法として導入、1990年代には電磁波温熱療法として保険収載され、その臨床実績は30年以上に及ぶ。本治療は、生体では腫瘍のほうが正常組織よりも温度上昇しやすい点を応用した“43℃以上での直接的な殺細胞効果”が報告されているほか、抗がん剤の細胞膜の透過性亢進、熱ショックタンパク質を介した免疫賦活などの生物学的なメリットなどが示されている。しかし、どのような患者に優先的に勧めるべきか明確に示した指針は認められない、実施可能施設の少なさ、専門的な知識や経験を有するハイパーサーミア治療医が限れているなどの点から認知度がまだまだ低い治療法である。そこで日本ハイパーサーミア学会では2017年にガイドライン作成委員会が発足し、約7年の時を経てガイドラインの発刊に至った。これに対し高橋氏は「治療内容、適応などに関して認知度が低く、時に民間療法との区別がつきにくいイメージがあり、ハイパーサーミアの定義ならびに各がん種に対するエビデンスをガイドラインで示す必要があった。欧州では標準治療として組み込まれているものの、2000年代をピークに臨床研究の数がなかなか増えず、最新のエビデンスが少ない点は本書でも難点になっている」とコメントした。 ハイパーサーミアは“電子レンジ”のような原理を用いてラジオ波で細胞内部を温めることが重要となるため、温度上昇の得やすい臓器・部位かどうかが判断材料の1つになり、これは直腸・膀胱・子宮などの消化管や生殖器で効果が得られやすい理由の1つである。今回のハイパーサーミア診療ガイドライン作成にあたり、各学会のガイドラインと整合性を取るためにさまざまな学会と調整したと同氏は話す。たとえば、昨年発刊された『膵診療ガイドライン2022年版 第6版』のCQでは、現時点では推奨なし(エビデンスの強さ:非常に弱い)の記載ではあるが、導入化学療法を施行した後に行われる化学放射線療法にハイパーサーミアを加えるか否かのランダム化比較試験が施行されており、その報告1)が今注目されている。また、頭頸部がんや放射線治療に抵抗性である肉腫などでもハイパーサーミアの効果が期待できる。一方、「肺は空気を含み他臓器に比べ温まりにくい問題がある」とハイパーサーミア治療が効果的な臓器、効果が得にくい臓器があることを示した。ハイパーサーミア診療ガイドラインに腹膜播種に対する抗腫瘍効果 また、今回の注目すべき点として、同氏は「これまでは再発治療への対応が多く、初回治療から用いることができる選択肢を示した点は大きい」とし、「予後不良の腹膜播種の術中に行う腹腔内化学療法において、ハイパーサーミアは灌流液を41~43℃に加温して抗腫瘍効果を高める。腹膜播種は化学療法の感受性が低かったが、加温により長期予後が改善されている」と話した。 ハイパーサーミア診療ガイドラインのクリニカルクエスチョン(CQ)は以下のとおり。―――CQ1 頭頸部がんに対してハイパーサーミアは推奨されるか?CQ2 乳がん局所・領域リンパ節再発に対する放射線治療にハイパーサーミアの併用は勧められるか?CQ3 食道がんに対してハイパーサーミアは推奨されるか?CQ4 非小細胞がんに対してハイパーサーミアは推奨されるか?CQ5 膵がんに対してハイパーサーミアは推奨されるか?CQ6 直腸がんに対してハイパーサーミアは推奨されるか?CQ7 膀胱がんに対してハイパーサーミアは推奨されるか?CQ8 子宮頸がんに対してハイパーサーミアは推奨されるか?CQ9 悪性黒色腫に対して放射線治療とハイパーサーミアの併用療法は推奨されるか?CQ10 軟部肉腫に対してハイパーサーミアは推奨されるか?CQ11 腹膜播種に対してハイパーサーミアは推奨されるか?――― 患者さんへのメリット・デメリットについては、「全身影響が少ないので副作用も少なく済む。ただし、本治療は温熱抵抗性が生じるために1回/週のペースで実施する。放射線の照射前後などのタイミングは問わず、治療になるべく近い日程で加温することが推奨される。そして、保険適用のしばりがない点などは患者さんへのメリットになる。デメリットには、認定施設数が少ない点」を挙げ、「本書の発刊を好機とし、国内での導入施設数を増やし国内の多施設共同研究を進めていきたい」と述べた。 最後に、「ハイパーサーミアの効果はさまざまな治療に味付けをする、いわば引き立て役である。将来的には本治療の免疫賦活効果が免疫チェックポイント阻害薬などとの併用によって好影響をもたらすのではないか」と将来性を語った。 なお、9月8~9日に神奈川県の伊勢原市民文化会館にて日本ハイパーサーミア学会第40回大会が開催され、シンポジウムでも本書に関する話題を取り上げる予定だ。

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HER2陰性の切除不能/転移乳がん、3分の2がHER2低発現/ESMO Open

 現在、乳がん患者の約8割はHER2陰性(IHC 0、1+、もしくはIHC 2+かつISH-)に分類される。これまでの研究ではその約6割がHER2低発現(IHC 1+、もしくはIHC 2+かつISH-)と報告されている。最近、HER2低発現の切除不能/転移乳がんの治療にトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)が承認され、HER2低発現とIHC 0の識別が重要になっている。今回、イタリア・European Institute of OncologyのGiuseppe Viale氏らの国際多施設共同後ろ向き研究で、過去にHER2陰性の切除不能/転移乳がんと診断された患者のサンプルを、HER2検査のトレーニングを受けた病理医が再検査したところ、約3分の2がHER2低発現と判定された。ESMO Open誌2023年8月9日号に掲載。HER2陰性の切除不能/転移乳がんのHER2ステータス、再検査での一致率は 本研究は、2014~17年にHER2陰性の切除不能/転移乳がんと診断された患者のサンプルを使用した。ベンタナ4B5およびその他アッセイを用いたHER2検査のトレーニングを受けた病理医が、IHC染色スライドについて再検査し、HER2低発現の割合、および当初のIHCスコアと再検査によるIHCスコアの一致率を調べた。さらに人口動態、患者特性、治療、臨床アウトカムとの関連を評価した。 HER2陰性の切除不能/転移乳がんと診断された患者のサンプルを再検査した主な結果は以下のとおり。・HER2陰性の切除不能/転移乳がん789例のサンプルを再検査した結果、HER2低発現例は67.2%であった(HR陽性例では71.1%、HR陰性例では52.8%)。・当初のHER2ステータスと再検査したHER2ステータスの一致率は81.3%(κ=0.583)で、低発現(87.5%)がIHC 0(69.9%)より高かった。・当初のIHC 0症例の30%以上が、全体(全アッセイ)およびベンタナ4B5による再検査で低発現であった。・患者特性、治療、臨床アウトカムに関して、HER2低発現とIHC 0で顕著な差異はなかった。 著者らは「本データは、IHC 0だった患者でのHER2再評価が、治療における患者選択の最適化に役立つ可能性を示唆している」とし、さらに「標準化されたトレーニングにより病理医がHER2低発現を正確に識別できる可能性がある」と考察している。

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うつ病に対する運動療法が有効な日本人の性格特性

 産業医科大学の池ノ内 篤子氏らは、健康な日本人労働者における抑うつ症状や社会適応への性格特性の影響、運動療法前後の抑うつ症状や社会適応の変化、うつ病予防を目的とした運動療法の完遂率に対する介入前の性格特性の影響を調査した。その結果、抑うつ症状と社会適応は、運動療法前後の性格特性や同療法の完遂率と関連していることが明らかとなった。また、男性において運動療法前の誠実性は、運動療法の完遂率の高さを予測する因子であることが報告された。Frontiers in Psychology誌2023年6月21日号の報告。 対象は健康な日本人労働者250人。運動療法として8週間のウォーキングプログラムを実施した。情報が不十分または不完全であった参加者35人を除く215人のデータを分析対象に含めた。運動療法前後の性格特性の評価には5因子(神経症傾向、外向性、開放性、調和性、誠実性)からなる人格検査NEO-FFI、抑うつ症状の評価にはうつ性自己評価尺度日本語版(SDS-J)、社会適応の評価には自記式社会適応度評価尺度日本語版(SASS-J)をそれぞれ用いた。 主な結果は以下のとおり。・SDS-Jスコアは、運動療法前の神経症傾向と相関がみられ、外向性、調和性、誠実性と負の相関が認められた。・SDS-Jスコアは、女性において開放性と負の相関が認められたが、男性では認められなかった。・SASS-Jスコアは、外向性、開放性、調和性、誠実性と関連しており、神経症傾向と負の相関が認められた。・運動療法前後で、うつ病レベルに有意な変化は認められなかったが、男性では社会適応の有意な上昇が認められた。・運動療法前のSDS-JおよびSASS-Jスコアと、運動療法の完遂率との間に関連は認められなかった。・女性では、運動療法の完遂率と運動療法後のSDS-JまたはSASS-Jスコアとの間に負の相関が認められた。・運動療法後のSDS-Jスコアは、男性において神経症傾向と相関し、女性では外向性と負の相関が認められた。・男性では、運動療法後のSASS-Jスコアと神経症傾向に負の相関がみられ、外向性、開放性との相関が認められた。・対照的に女性では、運動療法後のSASS-Jスコアは、開放性、調和性との相関が認められた。・男性では、運動療法の完遂率と誠実性との相関が認められたが、女性では運動療法の完遂率と関連する性格特性は見当たらなかった。

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産後受診時の心血管健康カウンセリング、減少傾向に/JAMA

 出産をした成人女性において、妊娠前の心血管健康(cardiovascular health、CVH)の不良と有害な妊娠アウトカム(APO)は、その後の心血管疾患(CVD)の重大なリスク因子となる。産後受診は、リスクを有する人のCVHに関する診療の機会となるが、CVHカウンセリングを受けていたのは約60%であったことが、米国・ノースウェスタン大学のNatalie A. Cameron氏らによる調査で明らかにされた。また、5年の調査対象期間(2016~20年)に、わずかだが減少していたという。JAMA誌2023年7月25日号掲載の報告。2016~20年にカウンセリングを受けた割合と予測因子、傾向を調査 研究グループは、米国疾病予防管理センター(CDC)が行う住民ベースのサーベイ(全国から代表者を抽出して実施)のPregnancy Risk Assessment Monitoring System(PRAMS)から、2016~20年のデータを連続断面解析し、自己申告による産後受診時のCVHカウンセリングを受けた割合と予測因子および傾向を調べた。 主要解析には、出産後4~6週に受診し、CVHカウンセリングを受けた、自己申告による妊娠前のCVDリスク因子(肥満症、糖尿病、高血圧)およびAPO(妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、早産)に関するデータが入手できた16万7,705人(重み付け調整計871万4,459人)を包含した。 自己申告による産後CVHカウンセリング(健康的な食事、運動、妊娠中に増加した体重を減らすためのカウンセリングと定義)を受けた割合(/100人、年間年齢補正後)を全体およびCVDリスク因子数別(妊娠前リスク因子またはAPOが0、1、2以上で定義)で算出。2016~20年のCVHカウンセリングの傾向を、年平均変化率(APC)で評価した。 データをプールし、年齢、教育、加入保険(産後)、出産年で補正後、CVDリスク因子の有無で比較するため、カウンセリングの率比(RR)を算出して評価した。リスクなし群とあり群との差はわずかで、いずれも年々減少 2016~20年に自己申告に基づく産後CVHカウンセリングを受けた割合は、CVDリスク因子なし群で56.2/100人から52.8/100人に減少していた(APC:-1.4%[95%信頼区間[CI]:-1.8~-1.0/年])。リスク因子が1つあり群では58.5/100人から57.3/100人に減少(-0.7%[-1.3~-0.1/年])、リスク因子が2つ以上群では61.9/100人から59.8/100人に減少していた(-0.8%[-1.3~-0.3/年])。 カウンセリングを受けたとの報告はリスク因子なし群と比べて、リスク因子1つの群(RR:1.05[95%CI:1.04~1.07])、リスク因子2つ以上の群(1.11[1.09~1.13])いずれもわずかな増大にとどまった。

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高齢コロナ感染者の退院後死亡率、インフルより高い/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院後に生存退院した米国の65歳以上の高齢者(メディケア受給者)88万3,394人を含む後ろ向きコホート研究で、インフルエンザで入院後に生存退院した高齢者と比較した結果、COVID-19で入院した高齢者の生存退院後の死亡リスクが高率であったことが、米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのAndrew S. Oseran氏らにより明らかにされた。ただし、両者の差は退院後の早期においてみられるものであり、同死亡リスクはパンデミックの経過と共に漸減していたという。BMJ誌2023年8月9日号掲載の報告。インフルエンザ生存退院の対照と比較、退院180日以内の全死因死亡などを評価 研究グループは後ろ向きコホート研究にて、高齢者におけるCOVID-19入院後の長期にわたる死亡および再入院のリスクを調査した。 2020年3月1日~2022年8月31日にCOVID-19で入院後に生存退院した65歳以上のメディケア出来高払い制プランの加入者88万3,394人(COVID-19コホート)を、2018年3月1日~2019年8月31日にインフルエンザで入院後に生存退院した対照5万6,409人(インフルエンザコホート)と比較した。観察された特性の違いは、重み付け法(weighting methods)を用いて解釈した。 主要アウトカムは、退院180日以内の全死因死亡とし、副次アウトカムは、180日以内のあらゆる原因による初回再入院、死亡または再入院の複合などとした。180日間にわたり死亡リスクはCOVID-19コホートが高率 COVID-19コホートはインフルエンザコホートと比較して、平均年齢が若く(77.9 vs.78.9歳、標準化平均差:-0.12)、女性の割合が低かった(51.7% vs.57.3%、-0.11)。両群の黒人加入者(10.3% vs.8.1%、0.07)、メディケイドとメディケア両方の適格者(20.1% vs.19.2%、0.02)の割合は類似していた。なお、COVID-19コホートのほうが次の併存疾患による負荷が低かった。心房細動(24.3% vs.29.5%、-0.12)、心不全(43.4% vs.49.9%、-0.13)、慢性閉塞性肺疾患(39.2% vs.52.9%、-0.27)。 重み付けで調整後、COVID-19コホートはインフルエンザコホートと比較して、退院後の全死因死亡リスク(累積発生率)が、30日時点(10.9% vs.3.9%、標準化リスク差:7.0%[95%信頼区間[CI]:6.8~7.2])、90日時点(15.5% vs.7.1%、8.4%[8.2~8.7])、180日時点(19.1% vs.10.5%、8.6%[8.3~8.9])のいずれの評価時点でも高率であった。 再入院リスクもCOVID-19コホートが、30日時点(16.0% vs.11.2%、標準化リスク差:4.9%[95%CI:4.6~5.1])と90日時点(24.1% vs.21.3%、2.8%[2.5~3.2])では高率であったが、180日時点では同等であった(30.6% vs.30.6%、-0.1%[-0.5~0.3])。 なお試験期間中に、COVID-19コホートの30日死亡リスクは17.9%から7.2%に低下していた。

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経口GLP-1受容体作動薬の肥満症に対する効果(解説:小川大輔氏)

 2023年8月現在、欧米で肥満症の治療薬として使用されているGLP-1受容体作動薬は、リラグルチドとセマグルチドの2製剤であり、いずれも注射薬である。一方、GLP-1受容体作動薬の経口薬(経口セマグルチドの最大用量は14mg)は、2型糖尿病の治療薬として承認されており、その減量効果は注射薬と比べて低い。今回、2型糖尿病を伴わない肥満症の成人を対象とした、経口GLP-1受容体作動薬であるセマグルチド50mgの1日1回投与の試験結果が、第83回米国糖尿病学会年次学術総会で発表され、Lancet誌に掲載された1)。 この第III相試験は北米や欧州など9ヵ国、50医療機関において実施された。2型糖尿病のないBMI値30以上、もしくは27以上で体重関連の合併症あるいは併存疾患がある患者667例を無作為に1対1の2群に割り付け、セマグルチド50mgあるいはプラセボを投与し、68週間後の体重の変化率と、ベースラインより体重が5%以上減少した症例の割合を評価した。 その結果、ベースラインから68週までの体重の平均変化率は、セマグルチド群では15.1%の体重減少を達成し(プラセボ投与群では2.4%)、マイナス12.7パーセントポイントの有意な減量効果が示された。また、68週間後に5%以上の体重減少を達成した割合は、プラセボ群が26%に対しセマグルチド群が85%と有意差を認めた。さらに、10%以上の体重減少はセマグルチド群69%対プラセボ群12%、20%以上の体重減少はセマグルチド群34%対プラセボ群3%であった。有害事象については消化器系有害事象が最も多く、セマグルチド群で80%、プラセボ群で46%と報告された。 食事療法と運動療法で十分な減量効果が得られない肥満症患者に対し、欧米ではGLP-1受容体作動薬の注射薬が処方可能である。そして今回の試験により、経口投与可能なGLP-1受容体作動薬が肥満症治療の選択肢に加わったことになる。実は今年の米国糖尿病学会で、別の経口GLP-1受容体作動薬の試験結果も発表されている2)。GLP-1受容体作動薬の注射薬すら使用できない日本においては、肥満症の治療は従来通り食事療法と運動療法を継続する、あるいは減量手術を考慮することになる。

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飲酒時のウコンの効果は?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第240回

飲酒時のウコンの効果は? Unsplashより使用コロナ禍も落ち着き、飲み会が増えてきたかもしれません。学会でも懇親会が催されることが増えました。さて、久しぶりにアルコールを飲むと「大丈夫だろうか」と健康が気になるところです。医学的にエビデンスがあるのかないのかよくわからないけど、ウコンを飲んでいるという人もいるかもしれません。Zhao HL, et al.Negative effects of curcumin on liver injury induced by alcohol.Phytother Res. 2012 Dec;26(12):1857-1863.この研究は、クルクミンがアルコールを摂取したマウスの肝臓にどのような影響を与えるか調べたものです。クルクミンは、ウコンに含まれるポリフェノールの一種で、これが肝臓によいとされています。マウスに対してクルクミンとエタノール(アルコール)を注射し、肝臓の組織を顕微鏡で観察したところ、クルクミンがエタノールによる肝障害を保護するどころか、むしろ悪化させている可能性が指摘されました。あれ? 真逆の結果です。ウコンはCMで放送されるくらいですから、その効果を支持する報告はもちろんたくさんあります。飲酒前のウコンの有効性を検証した研究では、クルクミンを摂取した場合にアセトアルデヒド濃度の上昇が抑制され、もともとγ-GTPが高い人に対しても肝臓の逸脱酵素の数値を改善させる効果があると報告されています1)。相反する結果もありますから、もしかすると、ヒトを1,000人ずつくらい集めてウコンの効果を比較しても、統計学的な差を生むほどの効果はないのかもしれません。何かしらのサプリメントでアルコール性肝障害を予防するくらいなら、飲み会の席で、目の前にある1杯のアルコールを減らしたほうが効果的かもしれません。まあ、それを言ってしまうとこの話はおしまいなのですが。世の中に「効果がある」と謳われている健康食品の多くは、大規模な臨床試験を行われていないことが問題で、日常的に密接に関わるものなので、もう少し検討してほしいなあと思っています。マウスに対する10の効果がヒトに対しても10であると捉えられていて、1つ1つの事象が飛躍の積み重ねになっている健康食品もあります。1)Shimatsu A, et al. Clinical application of “Curcumin”, a multi-functional substance. Anti-Aging Med. 2012;9:75-83.

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第173回 マイナ保険証で再炎上、今度は“マイナポイント付与も情報の紐付けナシ”

「またか」と思ってしまう。マイナンバーカードの健康保険証としての利用(以下、マイナ保険証)の問題である。この件で報道各社の中で一歩抜きん出ているのは、テレビ朝日だが、今回報じられたのは全国健康保険協会(協会けんぽ)の加入者のうち1%、約40万人でマイナンバーと保険情報が紐付いておらず、マイナ保険証、マイナポータル共に利用できないという問題だ。このようなことが起きる最大の原因は、加入者が協会けんぽに対してマイナンバーを提出していないためだ。マイナ保険証の仕組みでは、各健保組合に対して加入者がマイナンバーを提出。それを基に組合側は加入者情報とマイナンバーを紐付ける。同時に加入者がマイナ保険証の利用登録をし、初めてマイナンバーカードが保険証として使えるようになる。つまり、今回のケースは協会けんぽ加入の事業者自身が協会けんぽに対し、あるいは従業員が事業者に対し、マイナンバーを提出していないことで起きている。これがなくとも健保組合側は、氏名、生年月日、性別、住所の基本4情報で紐付けもできるが、表記のゆれなどがあれば、それ以上、健保組合側に打てる手はない。ざっくり言ってしまえば、今回のテレビ朝日が報じた問題の原因は、マイナンバーを提出していない一般人や事業者にあるわけだが、果たしてそう簡単に言い切ってしまっていいものかと個人的には思っている。そもそもマイナンバー法では、事業者はマイナンバーの収集義務はあるが、個々人に提出義務はない。また、マイナンバーカード取得も義務ではない。その一方で2020年からマイナンバーカード普及と消費税引き上げに伴う消費喚起を目的に、マイナンバーカード取得者にキャッシュレスポイント(以下、マイナポイント)を付与する事業を2度にわたって展開。この効果も手伝って、ポイント取得のためのマイナンバーカード申請期限の直前には各自治体の窓口に申し込みが殺到し、大混乱に陥ったのはよく知られている通りだ。総務省発表による今年7月末時点のマイナンバーカード保有数(交付枚数から死亡などによる廃止分などを省いた数)は8,903万9,559枚に達し、日本の人口の約71%をカバーするに至っている。この中でマイナ保険証に関しては、2021年3月に試行運用、同年10月より本格運用を開始し、2022年10月には2024年秋に紙の健康保険証を廃止すること、それに伴うマイナ保険証への一本化が発表されている。この概論をやや乱暴な言葉で表現すると、“任意”という位置付けのまま、大盤振る舞いのマイナポイントを追加し、自治体現場を混乱させながらマイナンバーカードの取得をデファクトスタンダード化させ、そのまま試行運用から短期間でマイナ保険証一本化の期限を区切った結果が今の大混乱となる。経済誘導でデファクトスタンダートを作り、最後ははしごを外すという診療報酬の動きに似ているとも言えるかもしれない。以前から表明しているように、私自身は医療DX推進に向けたマイナ保険証への1本化自体は反対ではない。むしろこの観点では賛成の立場である。また、何らかの事業を行うにあたって期限を区切らねば、何事も動かないとの考えである。もっともこの期限の問題は、そこに向けて計画的に動く人と最後に駆け込み状態の一夜漬けで動く人の2種類がいるため、弊害もある。同時に問題が発生した際には、ある程度こうした期限も柔軟に対応すべきとも思っている。しかし、このマイナ保険証に関する政府の動きはあまりにも頑な過ぎる。もちろん国側もまったく説明なしにやってきたわけではないのは十分承知しているものの、個人情報が関わるこれだけ大規模な事業を、法律条文とそれに基づく関連政策の運用実態が乖離したまま突っ走るのはいかがなものか? 最終的に国全体としての医療DXへの信用を毀損するだけという結果は避けてほしいものだ。

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双極性障害に対する薬物療法のパターン~メタ解析

 米国・メイヨークリニックのBalwinder Singh氏らは、双極性障害の治療実態を明らかにするため、Global Bipolar Cohortの共同ネットワークを活用して、北米、欧州、オーストラリアの双極性障害患者を対象とした複数のコホート研究における薬物療法のパターンを調査した。その結果、双極性障害患者に対しては、気分安定薬である抗けいれん薬、第2世代抗精神病薬、抗うつ薬の使用頻度が高く、必ずしもガイドラインと一致する治療パターンではなかった。また、地域ごとに治療パターンの大きな違いがあり、北米ではリチウムの使用頻度が低く、欧州では第1世代抗精神病薬の使用頻度が高かった。著者らは、これらの違いと治療アウトカムとの関係を調査し、双極性障害治療の改善に役立つエビデンスベースのガイドラインを提供し実践するには、今後、縦断的研究を実施する必要があるとしている。Bipolar Disorders誌オンライン版2023年7月18日号の報告。 薬物療法、人口統計、診断サブタイプ、併存疾患に関するデータを、各コホート研究より収集した。治療パターンを特定するため、一般化線形混合法を用いた個別および地域ごとにプールされた比例メタ分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象は、北米3,985例、欧州3,822例、オーストラリア2,544例を含む双極性障害患者1万351例(女性の割合:60%、双極I型障害:60%、双極II型障害:33%)。・気分安定薬としての抗けいれん薬(44%)、第2世代抗精神病薬(42%)、抗うつ薬(38%)の使用頻度が高かった。・リチウムは29%に使用されており、主にオーストラリア(31%)、欧州(36%)で使用頻度が高かった。・第1世代抗精神病薬は、欧州では24%で使用されていたが、北米では1%のみであった。・抗うつ薬の使用頻度は、双極I型障害(35%)よりも双極II型障害(47%)で高かった。・包含/除外基準、データソース、コホート研究への登録時期については、研究間で有意な違いが認められた。

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学校でのコロナ感染対策、マスクとワクチン完全接種が有用

 学校の生徒と職員を対象に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の学校内での感染リスクについて、2年間の接触追跡データに基づいた調査が、米国・マサチューセッツ総合病院のSandra B. Nelson氏らの研究チームによって行われた。その結果、学校生活において、マスクの使用状況やワクチン接種状況、校内の活動や地域の社会的状況など、感染リスクが高くなる要因が明らかになった。JAMA Health Forum誌2023年8月4日号に掲載の報告。 本調査は、マサチューセッツ州の幼稚園から中等教育までの学校を対象に、2020年秋~21年春学期(F20/S21、従来株の優勢期)および2021年秋学期(F21、デルタ株の優勢期)の2つの期間にわたって行われた。F20/S21は70校3万3,000人以上、F21は34校1万8,000人以上が参加した。学校内でSARS-CoV-2に2次感染した割合をSAR(Secondary Attack Rate)と定義した。SARは検査によって確認された値で算出した。感染と関連する可能性のある要因(学年、マスクの着用、曝露した場所、ワクチン接種歴、社会的脆弱性指数[SVI]など)について、ロジスティック回帰モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・F20/S21期での学校関連SARは2.2%、F21期での学校関連SARは2.8%となり、両期間ともに低かった。・F20/S21期では、昼食時(未調整SAR:11.1%)、初発症例者と接触者の両方がマスクを着用していない(11.7%)、学校内での至近距離での接触(18.2%)の場合に、SARが有意に高かった。・F21期では、高学年や職員よりも低学年(未調整SAR:4.6%)、教室内での曝露(3.4%)、接触者がTTSプログラム(毎日の迅速抗原検査)に参加していない場合や、接触者がワクチン接種未完了(5.3%)もしくは未接種(3.6%)、および指標症例が未接種(3.5%)である場合に、SARが有意に高かった。社会的脆弱性指数(SVI)スコアが高いほどSARも高かった(8.0%)。・多変量解析では、F20/S21期において、マスクの着用は、マスクを着用しない場合と比較して、伝播のオッズが低かった(オッズ比[OR]:0.12、95%信頼区間[CI]:0.04~0.40、p<0.001)。・F21期では、教室内の曝露は、教室外の曝露と比較して、伝播のオッズが高かった(OR:2.47、95%CI:1.07~5.66、p=0.02)。ワクチンを完全に接種した接触者は、未接種と比較して、オッズが低かった(OR:0.04、95%CI:0.00~0.62、p<0.001)。・F20/S21期とF21期の両期間とも、SVIスコアが高い地区ほど、伝播のオッズが高かった。 著者らは本結果について、「SVIスコアの高い低所得地域では、教室の密度が高くなる可能性があり、感染リスクが高くなることが示された。感染リスクの高い地域には、感染対策のためのリソースをより多く配分することで、健康と教育の格差を減少させることができるかもしれない」としている。

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2型糖尿病の肝硬変、GLP-1受容体作動薬により死亡リスク減

 肝硬変は2型糖尿病と関連していることが多いものの、肝硬変患者を対象とした2型糖尿病治療に関する研究はほとんどない。今回、台湾・Dr. Yen's ClinicのFu-Shun Yen氏らは2型糖尿病の肝硬変患者を対象にGLP-1受容体作動薬による治療の長期アウトカムを調査した。その結果、2型糖尿病の肝硬変(代償性)患者がGLP-1受容体作動薬を使用した場合、死亡、心血管イベント、非代償性肝硬変、肝性脳症、肝不全のリスクが有意に低くなることが示された。Clinical Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2023年6月16日号掲載の報告。2型糖尿病の肝硬変患者はGLP-1受容体作動薬による治療で死亡リスク減 研究者らは台湾の国民健康保険研究データベースを用い、傾向スコアマッチング法により2008年1月1日~2019年12月31日のGLP-1受容体作動薬の使用者と未使用者467組を選定した。 2型糖尿病の肝硬変患者を対象にGLP-1受容体作動薬による治療の長期アウトカムを調査した主な結果は以下のとおり。・平均追跡期間は、GLP-1受容体作動薬の使用者で3.28年、未使用者で3.06年だった。・それぞれの死亡率は、1,000人年当たり27.46例と55.90例だった。・多変量解析の結果、GLP-1受容体作動薬の使用者は未使用者に比べ、死亡(調整ハザード比[aHR]:0.47、95%信頼区間[CI]:0.32~0.69)、心血管イベント(aHR:0.6、95%CI:0.41~0.87)、非代償性肝硬変(aHR:0.7、95%CI:0.49~0.99)、肝性脳症(aHR:0.59、95%CI:0.36~0.97)、肝不全(aHR:0.54、95%CI:0.34~0.85)のリスクが低いことが示された。・GLP-1受容体作動薬の累積使用期間が長いほど、GLP-1受容体作動薬を使用しなかった場合よりもこれらのリスクが低くなった。

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子宮頸管20mm以下の妊婦、ペッサリーで胎児死亡増/JAMA

 単胎妊娠で子宮頸管長が20mm以下の妊婦に対する子宮頸管ペッサリーは、早産リスクを低下せず、胎児または新生児/乳児の死亡率が増加したことが、米国・コロンビア大学のMatthew K. Hoffman氏らによる多施設共同無作為化非盲検試験「The randomized Trial of Pessary in Singleton Pregnancies With a Short Cervix:TOPS試験」で示された。経腟超音波検査で評価した子宮頸管短縮は早産のリスク因子として確立されているが、その単胎妊娠における早産予防のための子宮頸管ペッサリーに関する研究では、これまで相反する結果が示されていた。JAMA誌2023年7月25日号掲載報告。子宮頸管ペッサリー群vs.通常ケア群に無作為化 研究グループは、2017年2月~2021年11月5日に米国の12施設において、単胎妊娠で妊娠週数16週0日~23週6日の経腟超音波検査で子宮頸管長が20mm以下であった陣痛のない妊婦を登録し、訓練を受けた医師による子宮頸管ペッサリー留置群、または通常ケア群のいずれかに1対1の割合で無作為に割り付けた。自然早産歴のある妊婦は除外した。 プロゲステロン膣剤の使用、子宮頸管縫縮術を含むその後の産科ケアは、担当医の裁量に任された。 主要アウトカムは、妊娠37週0日より前の早産または胎児死亡とした。子宮頸管ペッサリー群で、胎児または新生児/乳児の死亡率が上昇 2,105例がスクリーニングを受け、適格であった1,019例のうち544例(予定症例数の64%)が、ペッサリー群(280例)または通常ケア群(264例)に無作為化された。平均年齢(±SD)は29.5±6歳、98.9%の症例がプロゲステロン膣剤の投与を受けており、ベースラインの患者背景はペッサリー群と通常ケア群で類似していた。 3回目の中間解析において、胎児または新生児/乳児死亡が高頻度にみられ、安全性の懸念と無益性のため試験は中止された。 解析対象集団(各群追跡不能の1例を除く無作為化されたすべての参加者)において、主要アウトカムのイベントは、ペッサリー群で127例(45.5%)、通常ケア群で127例(45.6%)発生した(相対リスク:1.00、95%信頼区間[CI]:0.83~1.20)。 胎児または新生児/乳児の死亡は、ペッサリー群37例(13.3%)、通常ケア群18例(6.8%)であった(相対リスク:1.94、95%CI:1.13~3.32)。

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HIV感染者の心血管イベント、ピタバスタチンで35%減/NEJM

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者において、ピタバスタチンはプラセボと比較し、追跡期間中央値5.1年で主要有害心血管イベントのリスクを低下することが示された。米国・マサチューセッツ総合病院のSteven K. Grinspoon氏らが12ヵ国145施設で実施した無作為化二重盲検第III相試験「Randomized Trial to Prevent Vascular Events in HIV:REPRIEVE試験」の結果を報告した。HIV感染者は、一般集団と比較して心血管疾患のリスクが最大2倍高いことが知られており、HIV感染者における1次予防戦略に関するデータが求められていた。NEJM誌オンライン版2023年7月23日号掲載の報告。HIV感染者約7,800例において、主要有害心血管イベントの発生を評価 研究グループは2015年3月26日~2019年7月31日に、抗レトロウイルス療法を受けている心血管疾患リスクが低~中等度の40~75歳のHIV感染者7,769例を登録し、ピタバスタチン群(ピタバスタチンカルシウム1日4mgを1日1回経口投与)またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。過去90日以内のスタチン使用歴があり、アテローム性動脈硬化症が認められた患者は除外した。 主要アウトカムは、主要有害心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、不安定狭心症による入院、脳卒中、一過性脳虚血発作、末梢動脈虚血、冠動脈・頸動脈・末梢動脈の血行再建術、原因不明の死亡の複合と定義)とし、出生時の性別およびスクリーニング時のCD4数で層別化したCox比例ハザードモデルを用いたtime-to-event解析を行った。ピタバスタチンで心血管イベントが35%低下 7,769例(ピタバスタチン群3,888例、プラセボ群3,881例)の年齢中央値は50歳(四分位範囲[IQR]:45~55)、CD4数の中央値は621個/mm3(IQR:448~827)であった。また、HIV RNA量は、利用可能なデータを有する5,997例中5,250例(87.5%)で定量未満であった。 本試験は、追跡期間中央値5.1年(IQR:4.3~5.9)時点の2回目の中間解析の結果、有効性が認められ安全性の懸念はなかったことから早期に打ち切りとなった。 主要有害心血管イベントの発生頻度は、ピタバスタチン群が1,000人年当たり4.81、プラセボ群は1,000人年当たり7.32で、ハザード比(HR)は0.65(95%信頼区間[CI]:0.48~0.90、p=0.002)であった。 有害事象については、Grade3以上または治療変更を要した筋肉痛またはミオパチーがピタバスタチン群で91例(2.3%)、プラセボ群で53例(1.4%)、糖尿病がそれぞれ206例(5.3%)、155例(4.0%)に認められ、いずれもピタバスタチン群では発現率が高かった。 なお、著者は、「今回はピタバスタチンを用いた結果ではあるが、LDLコレステロールを低下させる他の戦略も同様に有用である可能性があり、さらなる大規模臨床試験においてスタチン療法単独で得られた結果と比較検証する必要がある」とまとめている。

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近畿直撃! 台風7号【Dr. 中島の 新・徒然草】(490)

四百九十の段 近畿直撃! 台風7号私が子供の頃の台風というのは、9月にまとめてやって来るものでした。でも、最近は8月とか、場合によっては7月に来たりしています。で、今回の台風7号(ラン)は2023年のお盆の近畿地方を直撃!前日の8月14日の天気図を見ていると、巨大な円が紀伊半島の南に迫っていました。この後、台風がどういう進路をとっても大阪は円の中に入ってしまいます。飛行機は当然のこと、電車も早々に運休を宣言しました。また、多くの医療機関も翌日の外来診療中止を告知しています。が、大阪医療センターはとくに外来診療中止ということはしていません。8月14日はなるべく早く帰るように、と全職員にお達しがあった程度です。そこで、私も早めに帰ったのですが……耳に入って来るニュースでは「8月15日に予想される風速は○○メートルで、これはトラックが横転する強さです」などと言っています。これでは出勤できないんじゃないか、と心配になってきました。女房も同じことを考えていたのか「あんた、晩御飯を食べたら病院に行ったら?」と言います。確かに、そのほうが無難かもしれません。出勤の時に暴風雨だったら大変だし。ということで、夕食の後に風呂に入ってから家を出ました。2日分の下着と非常食を持っての再出勤です。病院に着いたのは午後9時頃でしょうか?翌日に備えて、作業服姿の職員たちがバタバタしていました。幸いロッカーには自分用のスクラブがあったので、それを着て寝ました。8月14日の夜は、時おり雨や風が強くなる程度で何ともありませんでした。そして翌朝午前5時前に、台風7号が潮岬に上陸。この時点では、病院の窓から見える範囲では雨は降っておらず。その代わり、ものすごい勢いで雲が東から西に流されていました。いよいよ雨風が強くなってきたのは、外来が始まる午前9時頃。こりゃあ、外来患者さんはゼロか、それに近いな、と思っていました。そんな天候の中でも、外来にやって来る人は来ます。「無茶苦茶雨が降っていました」とか「傘をさす必要もなかった」とか、患者さんの言うことはさまざまでした。時間帯でも大きな違いがあったようです。でも、公共交通機関が止まっていたせいか、病院の駐車場が満車だったのだとか。台風は13時頃に明石市に再上陸して、20時頃に日本海に抜けました。所によっては大変な豪雨だったみたいです。私自身は午後から休みだったので、雨の降り具合を見ながら車で病院を出ました。道路はどこもガラガラ。ニュースで見るような倒木とか落ちた看板とかも見当たりません。すでに片付けられていたのでしょうか。で、自宅に戻ってから女房から聞いた話。8月14日から15日にかけては、目の前の木が倒れそうな風が一晩中吹いていたとか。15日になっても暴風雨がやまず、出勤なんかできたものじゃなかったそうです。でも、外来診察のある先生方は、暴風雨の中を車で出勤してきたとのこと。偉いとも言えますが、無謀でもあります。そうやって無理に出勤しても、外来患者さんは1人いるかどうか。同じ大阪府でも、大阪市内中心部と北摂ではずいぶん様子が違っていたようです。私自身は前夜から出勤していて良かったと思います。15日朝だったら、出勤できなかったかもしれません。むしろ前夜から病院にいたせいか、いろいろな書類仕事が一気に片付きました。ということで、2023年のお盆に近畿地方を襲った台風7号。大型過ぎるせいか、翌8月16日になっても台風一過の青空とはならず、相変わらず曇り空です。昭和時代は台風に備えて、前日から大勢で会社に泊まり込むのがニュースになっていました。でも令和の現在、仕事のために無理しなくなったのも、一種の働き方改革かもしれません。それだけ時代が進んだのでしょうね。最後に1句台風に 対抗するな 無理するな

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患者へのわかりやすい説明のためにChatGPTを使う【医療者のためのAI活用術】第3回

(1)ChatGPTはわかりやすい説明に向いている患者さんに病気について十分説明したにもかかわらず、理解してもらえなかったという経験をしたことはないでしょうか。私自身、とくに研修医の頃は、病状説明の際につい専門用語を多用してしまい、患者さんが混乱してしまうという苦い経験を何度もしました。ChatGPTの強みは、目的にあった文章を効率的に生成することです。そのため、病気について専門用語を避けてわかりやすく説明することにも向いており、とくに研修医の先生や若手の医療者が重宝する活用法です。実際に、「ChatGPTを患者へのわかりやすい説明のために利用している医師は多い」と、ChatGPTに出資しているマイクロソフト社の担当者が語っています1)。注意点としては、ChatGPTは正確な情報を得るのには不向きなツールであり、説明する内容は自身の医学知識や教科書の内容と照らし合わせて調整する必要があります。また、当然ですがプロンプトを入力する際に、患者の個人情報を含まないように注意しましょう。ここでは、前回説明した「深津式プロンプト」を使用して具体例を紹介していきます。(2)箇条書きで説明するたとえば、検査の結果、甲状腺機能亢進症の診断をした患者さんに病状説明をしたいという場合、以下のようなプロンプトを使用できます。#役割あなたは、優秀な内分泌内科の医師です#命令書甲状腺機能亢進症について、患者さん向けにわかりやすく説明してください#制約条件疾患の概要、症状、検査、治療に分けて箇条書きで説明してください専門の医学用語をなるべく避け、簡単な言葉を使ってくださいすると、以下のような回答が返ってきます。ChatGPTの回答(GPT-4を使用)疾患の概要甲状腺機能亢進症は、甲状腺という首の前部にある小さな器官が、普通よりも多くの甲状腺ホルモンを作り出す状態を指します。甲状腺ホルモンは、体のエネルギーの使い方や心の働きをコントロールします。症状心臓がドキドキと早く打つ、体重が減る、神経が高ぶりやすい、イライラする、夜なかなか眠れない、手が震える、汗をよくかく、筋肉が弱くなる、便が通常より多くなる、体が常に暑く感じる検査血液検査甲状腺ホルモンの量をチェックします。甲状腺機能亢進症の場合、一般的には甲状腺ホルモンが多い状態となります。甲状腺スキャン放射性物質を使って甲状腺の大きさや形、そしてどの程度活発に働いているかをチェックします。治療薬甲状腺ホルモンの生成を抑える薬を使用します。放射線ヨード治療放射性ヨウ素を用いて甲状腺組織を破壊し、甲状腺ホルモンの生成を抑えます。手術一部または全ての甲状腺を取り除く手術を行うこともあります。手術後は、生涯にわたって甲状腺ホルモンの補充治療が必要となります。いかがでしょうか。不正確・不十分な点はありますが、的外れな回答ではないと思います。「この説明の仕方はわかりやすい」と感じた部分を実際に患者さんに説明する際に採用すると良いでしょう。(3)医師と患者の対話形式で説明するほかにも、医師と患者の対話形式で示してもらうことで、実際の場面に近い形式で参考にすることができます。以下、心房細動について説明する状況を想定して、プロンプトを作成しています。#役割あなたは、循環器内科の医師です#命令書心房細動についてわかりやすく説明してください#制約条件医師と患者の会話形式で説明してください医学用語をなるべく避け、簡単な言葉を使ってくださいすると、以下のような回答がChatGPTから得られます。ChatGPTの回答(GPT-4を使用)患者先生、心房細動って何ですか?医師心房細動は、心臓が正常に働かない状態の1つで、とくに心房と呼ばれる心臓の部分が、通常より速く、または不規則に拍動する状況を指します。心房は心臓の4つの部屋のうちの2つで、心臓の血液を送り出すためのポンプのような役割を果たしています。心房細動が起こると、このポンプがうまく機能しなくなり、心臓全体の働きが乱れます。患者それはどういう影響があるのですか?医師うまく機能しない心房は、血液が心臓内で滞りやすくなります。その結果、血液が固まり、血栓と呼ばれる塊を作る可能性があります。この血栓が血管を通って体の他の部分、とくに脳に到達すると、脳卒中のリスクが高まります。また、心房細動は体全体への血液の供給が不足することで、息切れや疲れやすさなどの症状を引き起こすことがあります。患者どうやって治療するのですか?医師心房細動の治療は主に3つの目的があります。まず、症状を改善し、生活の質を向上させること。次に、心房細動が引き起こす可能性のある合併症を防ぐこと。そして最後に、心臓のリズムを正常に戻すことです。治療法は個々の患者の状態やリスクによりますが、薬物療法、カテーテルアブレーションという手術、あるいは生活習慣の変更などが含まれます。こちらも、完璧な回答とはいえませんが、説明する際のヒントになるかもしれません。また、さらに回答を求めたい場合は、「発作性心房細動についても説明して」「続けて」などと追加で入力することが可能です。1)The New York Times. 「When Doctors Use a Chatbot to Improve Their Bedside Manner」. (2023年7月6日参照)

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第58回 「主治医が逮捕されたんです」

すすきの首切断事件Unsplashより使用札幌すすきののホテルで、首が切断された男性の遺体が見つかった事件について、逮捕されたのが現役の勤務医であったことは、結構衝撃的でした。病院のホームぺージにはアクセスが集中し、野次馬ページビューが増えてしまうことを懸念し、特設サイトが作られるなどの対応に追われました。初回、死体損壊などの容疑で逮捕の後、拘留に至っています。殺人容疑をかけていなかった理由は、もし黙秘を続けて処分保留となった場合、殺人容疑による再逮捕で拘留期間を延長することが可能だからです。刑事事件の被疑者として逮捕された場合、逮捕期間といわれる警察での48時間、検察での24時間の合計3日間に加えて、勾留の場合10日間、勾留延長の申請でさらに10日間、全部合算して最長23日間が身柄拘束となります。しかしながら、この期間で十分な証拠を集められなかった場合や、被疑者の供述・自白が得られなかった場合、再逮捕を申請してさらに身柄を拘束するという手法があります。主治医が逮捕すすきののこの事件の話を耳にしたとき、「主治医が逮捕されちゃって――」と言っていた患者さんのことを思い出しました。逮捕されたのは別の病院の医師で、もちろん当院ではありません。患者さんがその病院に不信感を持ってしまい、当院に流れてきたのです。どうやら病院内の盗撮の容疑だったようですが、逮捕された医師は、その後しばらくして病院に戻ってきたそうです。「逮捕されたが前科が付かなかったため、規定上は働ける」というものでした。はて、これはどういうことでしょう。前科というのは、起訴され刑事裁判で有罪が確定することを指します。起訴された場合の有罪率はほぼ100%なので、前科を回避するためには刑事裁判が開かれないよう、不起訴処分を狙う必要があります。検察官が起訴の適否を判断するまでの間に、示談を締結することができれば、たとえ逮捕されても前科が付くことはないのです。この主治医は、何らかの理由で起訴されなかったため、前科が付かなかったというワケです。――ただ、人の噂というのはあっという間に広まるもので、その医師は不起訴処分になったものの、盗撮の容疑で逮捕されたということが知れ渡ってしまい、退職せざるを得なかったそうです。皆さんも、くれぐれも逮捕されるようなことはないように!

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NSCLCに対するICI+化学療法、日本人の血栓リスクは?

 がん患者は血栓塞栓症のリスクが高く、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)やプラチナ製剤などの抗がん剤が、血栓塞栓症のリスクを高めるとされている。そこで、祝 千佳子氏(東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻)らの研究グループは、日本の非小細胞肺がん(NSCLC)患者におけるプラチナ製剤を含む化学療法とICIの併用療法の血栓塞栓症リスクについて、プラチナ製剤を含む化学療法と比較した。その結果、プラチナ製剤を含む化学療法とICIの併用療法は、静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクを上昇させたが、動脈血栓塞栓症(ATE)のリスクは上昇させなかった。本研究結果は、Cancer Immunology, Immunotherapy誌オンライン版2023年8月4日号で報告された。 DPCデータを用いて、2010年7月~2021年3月にプラチナ製剤を含む化学療法を開始した進行NSCLC患者7万5,807例を抽出した。対象患者をICI使用の有無で2群に分類し(ICI併用群7,177例、単独療法群6万8,630例)、プラチナ製剤を含む化学療法開始後6ヵ月以内のVTE、ATE、院内死亡の発生率を検討した。背景因子を調整するため、生存時間分析には傾向スコアオーバーラップ重み付け法を用いた。 主な結果は以下のとおり。・VTEの発生率はICI併用群1.3%(96例)、単独療法群0.97%(665例)であった。ATEの発生率はそれぞれ0.52%(38例)、0.51%(351例)であった。院内死亡率はそれぞれ8.7%(626例)、12%(8,211例)であった。・傾向スコアオーバーラップ重み付け法による解析の結果、ICI併用群は単独療法群と比較してVTEリスクが有意に高かったが(部分分布ハザード比[SHR]:1.27、95%信頼区間[CI]:1.01~1.60)、ATEリスクに有意差はみられなかった(同:0.96、0.67~1.36)。・使用したICI別に同様の解析を行った結果、ペムブロリズマブを使用した場合にVTEリスクが有意に高かったが(SHR:1.29、95%CI:1.01~1.64)、アテゾリズマブを使用した場合にはVTEリスクに有意差はみられなかった(同:0.91、0.49~1.66)。・院内死亡リスクはICI併用群が有意に低かった(ハザード比:0.67、95%CI:0.62~0.74)。

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2型DM患者は超加工食品摂取で食事の質と無関係に死亡リスク増

 2型糖尿病患者では、食事の質とは無関係に、カップ麺やスナック菓子、加工肉などの超加工食品の摂取量の増加は全死因死亡率と心血管疾患(CVD)死亡率の上昇と関連していることが、イタリア・IRCCS NEUROMEDのMarialaura Bonaccio氏らの前向き観察コホート研究の結果、明らかになった。The American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2023年7月26日号掲載の報告。 研究グループは、ベースライン時に2型糖尿病を発症している1,065例を対象として、11.6年間(中央値)を前向きに追跡した。食物摂取量は、188項目の食事アンケートによって評価された。超加工食品はNova分類に従って定義され、超加工食品と総摂取食物の重量比として計算された。食事の質は、地中海食スコアによって評価された。Cox比例ハザードモデルを用いて、死亡率の多変量調整ハザード比(aHR)と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・超加工食品の摂取量は平均7.4%(±5.0%)であった。・超加工食品摂取量が最も多かった群(女性10.5%以上、男性9%以上)では、摂取量が最も少なかった群(女性4.7%未満、男性3.7%未満)よりも、全死因死亡(aHR:1.70、95%CI:1.25)およびCVD死亡(aHR:2.64、95%CI:1.59)のリスクが高かった。・地中海食スコアによる食事の質を加味しても、これらの関連性は変化しなかった。・超加工食品摂取量と全死因死亡およびCVD死亡リスクの間には線形の用量反応関係が観察された。 これらの結果より、研究グループは「ベースライン時に2型糖尿病を発症していた参加者では、食事の質とは無関係に、超加工食品摂取量の増加は生存率の低下とCVD死亡率の上昇と関連していた。2型糖尿病管理の食事ガイドラインでは、必要栄養量に基づいた食事の導入に加えて、超加工食品を制限することも推奨する必要がある」とまとめた。

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鼻をほじる医療者は、コロナ感染リスク増

 医療従事者はCOVID-19の感染リスクが高く、マスク、ガウン、ゴーグル/フェイスシールド、手袋などの個人防護具(PPE)装着をはじめとした感染対策を取るケースが多い。にもかかわらず医療従事者の感染者が多い理由を探るため、PPE装着や飛沫を受けることに関連する可能性のある、鼻をほじるなどの特定の行動・身体的特徴を調査する研究が行われた。オランダ・アムステルダム大学のA H Ayesha Lavell氏らによる本研究の結果は、PLOS ONE誌オンライン版2023年8月2日号に掲載された。鼻をほじることが病院内のコロナ感染拡大につながる可能性 研究者らは、オランダの2つの大学医療センターに勤務する医療従事者404例を対象としたコホート研究において、特定の行動・身体的特徴が感染リスクと関連しているかどうかを調査した。感染との関連を調査した具体的な行動は以下のものだった。・鼻をほじる・爪をかむ・眼鏡を掛ける・ひげを生やす 医療従事者のコロナ感染者が多い理由を探るため、鼻をほじるなどの特定の行動・身体的特徴を調査する研究の主な結果は以下のとおり。・404例にコロナ感染率に影響を及ぼす可能性のある習慣に関するオンライン調査を行い、計219例(回答率52%)が回答した。・以前の研究から「COVID-19患者のケアに従事している」「COVID-19に感染した同僚または地域住民と接触した」ことが感染リスク増と関連があると示されていたため、これらの因子で分類し、結果を調整した。期間中2つの病院は院内のPPE着用ルールをはじめ、同一の感染制御対策を実施した。・参加者の大多数(185例、85%)が偶発的に鼻をほじると回答し、その頻度は月1回、週1回、毎日とさまざまであった。鼻をほじる群はほじらない群よりも若く(年齢中央値44歳vs.53歳)、男性のほうがより頻繁に鼻をほじる(90% vs.83%)と報告した。鼻をほじる頻度が最も高かったのは医師(研修医:100%、専門家:91%)、次いでサポートスタッフ(86%)、看護師(80%)であった。 ・2020年3~10月の追跡期間中に34例(15.5%)がCOVID-19の陽性判定を受けた。COVID-19発症率は、鼻をほじる群がほじらない群と比較して高かった(32/185例:17.3% vs.2/34例:5.9%、オッズ比:3.80、95%信頼区間:1.05~24.52)。・爪をかむ、眼鏡を掛ける、ひげを生やすこととCOVID-19感染率との有意な関連は認められなかった。 研究者らは「鼻をほじることが病院内の感染拡大につながる可能性があり、そのリスクは過小評価されている。今後の研究結果次第では、教育セッションや感染予防ガイドラインの推奨に加えるなど、より意識を高める必要があるだろう」としている。

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