サイト内検索|page:378

検索結果 合計:35667件 表示位置:7541 - 7560

7541.

オシメルチニブ耐性EGFR陽性肺がんに対するamivantamab含有レジメンの有効性(MARIPOSA-2)/Ann Oncol

 オシメルチニブ耐性を獲得したEGFR陽性肺がんに対し、有望な新治療法が報告された。 現在、EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療では、主に第3世代EGFR-TKIであるオシメルチニブがである用いられる。しかし、初回治療の奏効にもかかわらず、多くの症例がオシメルチニブ耐性を獲得し、その後は細胞障害性抗がん剤による治療が主流となる。 オシメルチニブの耐性メカニズムは多彩であるが、MET遺伝子異常とEGFR経路の異常が多いとされる。amivantamabはEGFRとMETの二重特異性抗体、lazertinibは第3世代EGFR-TKI である。この両剤と化学療法の併用は、オシメルチニブを含むEGFR-TKI耐性のEGFR変異陽性NSCLCにおける有効性を第I相試験で示している。 MARIPOSA-2試験は、オシメルチニブ耐性のEGFR変異陽性NSCLCに対する、amivantamab+化学療法±lazertinibを評価した国際無作為化第III相試験である。・対象:オシメルチニブ単剤療法耐性のEGFR変異(exon19 delまたはL858R)NSCLC・試験群1:amivantab+lazertinib+化学療法(カルボプラチン+ペメトレキセド)(ALC群、n=263)・試験群2:amivantab+化学療法(同上)(AC群、n=131)・対照群:化学療法(同上)(C群、n=263)・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)評価による無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)、PFS2、安全性など 主な結果は以下のとおり。・PFS中央値はAC群6.3ヵ月、ALC群8.3ヵ月、C群4.2ヵ月で、対化学療法群のハザード比(HR)はそれぞれ0.48(95%CI:0.36~0.64、p<0.001)、0.44(95%信頼区間[CI]:0.35~0.56、p<0.001)であった。・サブ解析においても、すべての集団でamivantamab含有群のPFSが良好な結果であった。・ORRはAC群64%、ALC群63%、C群36%で、対化学療法のオッズ比[OR]はそれぞれ3.10(95%CI:2.00~4.80、p<0.001)、2.97(95%CI:2.08~4.24、p<0.001)であった。・BICR評価による頭蓋内PFSはAC群12.5ヵ月、ALC群12.8ヵ月、C群8.3ヵ月で、対化学療法のHRはそれぞれ0.55(95%CI:0.38~0.79)と0.58(95%CI:0.44~0.78)であった。・DORはAC群6.9ヵ月、ALC群9.4ヵ月、C群5.6ヵ月であった。・Grade3以上の試験治療下における有害事象(TEAE)は、ALC群92%、AC群72%、C群の48%で発現した。・amivantamab含有群で頻度が高かったGrade3以上のTEAEは好中球減少、血小板減少、白血球減少であった。また、インフュージョンリアクション(全Grade)がAC群の58%、ALC群の56%、静脈血栓塞栓症(全Grade)がAC群の10%、ALC群の22%で発現した。

7542.

EGFR陽性肺がん1次治療におけるamivantamab+lazertinibの有効性(MARIPOSA)/ESMO2023

 EGFR陽性肺がんの1次治療に新たな選択肢が示された。 現在、EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療では標準治療として、第3世代EGFR-TKIであるオシメルチニブが用いられる。オシメルチニブによる1次治療は優れた有効性を示すが、いまだに治療抵抗性や病勢進行例の存在は避けられない。 この治療抵抗性の25〜50%は、EGFRおよびMET遺伝子の2次的な異常である。EGFRとMETの二重特異性抗体であるamivantamabと、新規第3世代EGFR-TKIであるlazertinibの併用は、EGFR変異陽性NSCLC1次治療において、抵抗性を克服し、臨床成績を改善すると期待される。第I相試験CHRYSALISでは、この2剤の併用が未治療のEGFR変異陽性NSCLCに対し持続的な効果を示している。 未治療のEGFR変異陽性NSCLCに対する、amivantamab+lazertinibとオシメルチニブを比較した国際無作為化第III相試験であるMARIPOSA試験が行われている。韓国・延世がんセンターのByoung Chul Cho氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で同試験の主要結果を発表した。・対象:未治療のEGFR変異(exon19 delまたはL858R)陽性NSCLC・試験群1:amivantamab+lazertinib(AL群、n=429)・試験群2:lazertinib(L群、n=216)・対照群:オシメルチニブ(O群、n=429)・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)評価による無増悪生存期間(PFS)(AL群対O群)[副次評価項目]奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、奏効期間(DOR)、PFS2、安全性など(AL群対O群) 主な結果は以下のとおり。・PFS中央値はAL群23.7ヵ月、O群16.6ヵ月であり(ハザード比[HR]:0.70、95%信頼区間[CI]:0.58〜0.85、p<0.001)、L群は18.5ヵ月であった。・ORRはAL群86%、O群85%であった。・DORはAL群25.8ヵ月、O群16.8ヵ月であった。・脳転移あり例のPFS中央値はAL群18.3ヵ月、O群13.0ヵ月であった(HR:0.69、95%CI:0.53〜0.92)。・脳転移なし例のPFS中央値はAL群27.5ヵ月、O群19.9ヵ月であった(HR:0.69、95%CI:0.53〜0.89)。・中間解析(追跡期間22.0ヵ月)でのOS中央値は両群とも未到達で、24ヵ月OS率はAL群74%、O群69%であった(HR:0.70、95%CI:0.61〜1.05、p=0.11)。・Grade3以上の有害事象(AE)は、AL群75%、O群43%で発現した。・懸念すべきAEである静脈血栓塞栓症はAL群の37%で発現し、ほとんどはGrade1〜2であった。 Byoung Chul Cho氏は、amivantamabとlazertinib併用は、EGFR変異陽性NSCLの1次治療における新たなスタンダードであると結んだ。

7543.

日本で認知症の評価に使用される神経心理学的検査の現状

 国立長寿医療研究センターの前島 伸一郎氏らは、認知症専門医が臨床現場で使用する評価ツール、その使用理由、評価に関連する因子を調査する目的で、認知症専門医へのアンケート調査を実施した。その結果、認知症患者に対する神経心理学的検査は、「病態生理の把握」と「診断補助」が主な目的であるにもかかわらず、多くの評価法が診断時間内に短時間で実施可能なスクリーニング法として選択されていた。また、生活に支障を来す認知症患者の治療において、今後の課題は、専門医が重要視する介護負担やQOLの評価が十分に行われていない点であることが明らかとなった。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2023年9月25日号の報告。 2021年9月15日~10月20日に、日本国内の認知症専門医1,858人を対象にアンケート調査を実施した。アンケートは、郵送またはWebアドレスからアクセス可能なWebフォームを用いて行った。 主な結果は以下のとおり。・1,858人中574人(32.2%)がアンケートに回答した。・ほぼすべての回答者が、神経心理学的検査の主な目的は、病態生理の把握、診断補助であると回答した。・ほとんどの回答者が、認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)の評価を重要な要素として特定していた。・最も一般的に使用されている検査は、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、ミニメンタルステート検査(MMSE)であり、スクリーニングツールとして用いられていた。・MMSE、時計描画テスト(CDT)、立方体透視図模写テスト(CCT)は、一般的な評価として専門医が直接実施していた。・QOLと介護負担に関しては、あまり評価されていなかった。

7544.

バート・ホッグ・デュベ症候群〔BHDS:Birt-Hogg-Dube syndrome〕

※なお、タイトル、本文中の“Dube”の“e”にはアクサン・テギュが付くが正しい表記となる。(web上では、一部の異体字などは正確に示すことができないためご理解ください)1 疾患概要■ 疾患概念・定義バート・ホッグ・デュベ症候群(Birt-Hogg-Dube syndrome:BHDS)は17番染色体にあるFLCN遺伝子(以下「FLCN」)の生殖細胞系列遺伝子変異によって生じるまれな常染色体顕性(優性)遺伝性疾患である(OMIM#135150)。臨床症状は、皮膚、肺、腎臓に年齢依存性に病変が発症する。皮膚病変は、顔面から上半身にかけて、皮膚良性腫瘍である線維毛包腫(fibrofolliculoma)あるいは毛盤腫(trichodiscoma)が多発する。肺には多発肺嚢胞を生じ自然気胸を繰り返す。腎臓では、腎嚢胞や特徴的な組織型の腎腫瘍を両側に多発性に生じる。■ BHDSの疾患概念の歴史1977年にカナダ人の皮膚科医のBirt、病理医のHogg、内科医のDubeらは、25歳以降から頭頸部~胸背部にかけて数mm大の皮疹が出現する1家系を発見し、4世代70人の詳細な検討を行った。皮疹は、病理組織学的に線維毛包腫(fibrofolliculoma)を主体に毛盤腫(trichodiscoma)や軟性線維腫(acrochordon)からなり、常染色体顕性(優性)遺伝形式であった。甲状腺髄様がんの家系内多発も認めたが皮疹と分離して遺伝しており、皮疹は別個の遺伝性皮膚疾患と考えられた。一方、Birtらの報告より2年前の1975年に、ドイツ人皮膚科医のHornsteinとKnickenbergは、顔面・頸部・体幹の毛包周囲線維腫(perifollicular fibromas)を生じた同胞2人を発見した。うち1人は大腸ポリープと大腸がんを合併しており、また、父親にも同様の皮疹および多発肺嚢胞と両側腎嚢胞を認めたことから腫瘍発生を伴う遺伝性疾患であると報告した。現在では両論文に報告された皮膚腫瘍は同一と認識されており、HornsteinとKnickenberg は皮膚以外の内臓腫瘍のリスクを含めた疾患概念を提唱したが、Birtらは言及していなかった。そのため、現在広く用いられている疾患名は誤解であり、Hornstein-Birt-Hogg-Dube syndromeと呼称すべきであるとの意見がある。■ 疫学まれな常染色体顕性(優性)疾患で、罹患頻度に性差はないと考えられている。代表的な臨床症状すべてを呈することはまれであり(不完全浸透)、未診断症例も数多く存在する可能性が指摘されている。そのため人口当たりの有病率ははっきりとはわかっていない。自施設では、2006年頃から、気胸や肺嚢胞を契機にBHDSが疑われFLCN検査で診断確定した家系は500家系近くとなり、比較的よく遭遇する可能性のある遺伝性疾患と感じている。■ 病因と病態2002年にBHDS患者において17p11.2.領域にあるFLCNの生殖細胞系列遺伝子変異が同定された。FLCN遺伝子は14個のexonから構成され、579アミノ酸からなる64kDaのタンパク質であるフォリクリン(folliculin)をコードする。日本人を中心とした298家系のBHDSコホート研究では71種類の病的バリアントが同定され、重複(46.3%)、欠失(28.9%)、置換(7.0%)、挿入(0.7%)、欠失挿入(0.3%)、large genomic deletion (4.4%)、スプライシング異常(12.4%)であった1)。全体の80%の患者の遺伝子バリアントは、exon7・9・11・12・13に集中していた。特定の遺伝子型が臨床症状に影響するかについて、明らかな相関関係は認められていない。フォリクリンの機能は十分解明されたわけではないが、細胞周囲環境からのエネルギーや増殖シグナルを伝えるAkt-mTOR経路で機能している。腎腫瘍においては生殖細胞系列FLCN変異(first hit)に加え、もう一方の野生型FLCNに機能喪失型のsecond-hitが起こり、フォリクリンの機能が完全に失われることが腎腫瘍の形成に関与している (Knudsonの2-hit理論)。しかし、良性皮膚腫瘍である線維毛包腫や肺病変においてはsecond-hitの報告例はなく、ハプロ不全(haploinsufficiency)の状態が病変形成に関わると推測されている。一方、細胞接着を介したWnt/βカテニン経路、一次線毛の形成や機能、ミトコンドリア代謝、など多彩な細胞機能に関与することが報告されている。■ 臨床症状1)皮膚病変顔面(鼻翼・頬部)、頸部、耳、体幹上部を中心に、皮膚色と同じ~やや白色で痛みや発赤を伴わない数ミリ大のドーム状小丘疹が25歳以降に出現する(図1A)。病理所見は、毛包周囲を取り囲む良性腫瘍である線維毛包腫(fibrofolliculoma)を認める(図1B)。皮膚病変の有病率は検討したコホートにより異なり、欧米人では有病率70~80%、アジア人では18~49%低いとの指摘もある。日本人BHDS患者31人についてダーモスコピーを用いて観察し、必要に応じて皮膚生検を行った研究では、83.9%の症例で皮疹を診断できたと報告している2)。また、皮膚病変の平均発症年齢は42.5歳であり、欧米人より発症年齢が遅く、若年者では皮疹が未発症である可能性に留意する必要があると報告している2)。図1 Birt-Hogg-Dube症候群(BHDS)の皮膚病変画像を拡大するABHDSの皮膚所見。鼻部にドーム状の丘疹を多数認める。B線維毛包腫(fibrofolliculoma)の病理組織像。毛包漏斗部が拡張し、毛包上皮が索状・網状に増殖し(矢印)、それを取り囲むように膠原線維が増生している。2)腎病変BHDSの患者は、FLCN変異バリアントを持たない血縁者と比較して腎腫瘍を発症するリスクが約7倍高く、40歳以降に好発することが報告されている3)。BHDS患者の12~34%が、48~52歳でさまざまな組織型の腎がんを発症するとされる。組織型としてはHybrid oncocytic/chromophobe tumor(HOCT)または嫌色素性腎がんが多く(図2)、まれに淡明細胞型腎がんや乳頭状腎がんなどもみられ、両側多発性にさまざまな組織型が出現する。腫瘍は緩徐発育型が多いとされるが、悪性度が高く遠隔転移を伴う症例の報告もある。図2 Birt-Hogg-Dube症候群(BHDS)の腎病変画像を拡大するA腹部造影CT。右腎に2個の腎腫瘍を認める(矢印部)。B嫌色素性腎細胞がんの組織像(細胞質が染色されにくく、核周囲にハローを認める特徴に注目)3)肺病変両肺に肺嚢胞が多発し、気胸を繰り返すことが特徴である(図3)。BHDS患者はFLCN変異バリアントを持たない血縁者と比較して50倍の気胸リスクを有することが報告された3)。肺嚢胞はBHDS患者の85%前後に認められ、気胸は25%前後に認めるとされるが、BHDSの皮膚、肺、腎臓のどの病変に注目して集積したコホート研究なのかにより異なる。肺嚢胞は自然経過で数が増え、嚢胞も大きくなることが報告されている4)。嚢胞の数が増えると気胸の発症リスクが上がることが指摘されている。嚢胞数が少ない頃は、一般的に呼吸機能は正常範囲内であるが、嚢胞数が増えるにつれ閉塞性換気障害が出現する。図3  Birt-Hogg-Dube症候群(BHDS)の肺病変画像を拡大するA、B:胸部CT画像下葉、縦隔側優位や葉間部に接して、薄くスムースな壁を有する不整形の嚢胞が多数存在する。血管を取り囲む嚢胞を認める。C、D:胸腔鏡所見肺底部や縦隔面に、広基性で内部が透けてみえるような薄壁嚢胞が突出している。炎症所見はほとんどなく、大きな嚢胞では嚢胞表面に血管を含む索状の結合組織が豊富に認められる。E、F:病理組織像(HE染色とEVG染色)嚢胞は小葉間間質に接して形成されるため、腔内に静脈の突出がみられる。小葉間隔壁に接していない嚢胞壁は肺胞組織からなり、嚢胞には炎症細胞の浸潤や線維化はみられない。4)その他の臨床像大腸ポリープおよび大腸がんとの関連を示唆する報告が複数あったが、オランダの399人のBHDS患者と健常血縁者を比較したコホート研究では、ポリープの数および大腸がんの発生に有意差はみられなかった。その他、耳下腺腫瘍、甲状腺腫瘍、メラノーマ、副腎腫瘍、血液腫瘍、などを合併した症例報告があるが、関連性は明らかではない。■ 予後生命予後に最も影響するのは腎腫瘍であるが、治療後の予後についてのデータは乏しい。BHDSに特徴的なオンコサイトーマや嫌色素性腫瘍の増殖は比較的遅く、遠隔転移もしにくいが、aggressiveな経過を示す組織型の腎腫瘍の合併もある。一方、皮膚病変は美容上の問題、肺病変は気胸で入院加療を繰り返すと経済的あるいは就業上の問題などで生活の質に影響が大きい。BHDSは、「特定の疾病に罹患しやすい体質」であり、診断後は定期的な健診による健康管理に務めることが重要である。適切な健診間隔についてエビデンスはないが、各病変の好発年齢を参照し、必要な検査を受けるよう指導する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)European BHD consortiumによる診断基準(表1)5)と、米国NIH(NCI)のSchmidtらの診断基準(表2)6)が発表されている。前者では皮疹の診断価値に重きが置かれている。一方、後者では診断確定には生殖細胞系列のFLCN変異の同定が必須、という立場である。国内ではFLCN検査は保険適用外のままである。そのため、BHDSを疑って皮膚生検を行ったが病理組織診断で線維毛包腫あるいは毛盤腫の診断が得られなければ、診断確定するすべがなくなる。FLCNの遺伝子検査を希望する場合には、非保険で公益財団法人かずさDNA研究所に検査の依頼をすることが可能である。また、遺伝性疾患であることから検査に際しては遺伝カウンセリング提供体制を構築することも重要である。画像を拡大する画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)1)皮膚病変線維毛包腫や毛盤腫は生命および機能予後に影響しないため基本的には経過観察されることが多いが、整容上の観点から切除されることがある。線維毛包腫に対するラパマイシン外用剤のPhaseIII試験が行われたが、プラセボと比較して有意な整容上の改善を認めなかった。2)腎病変異時・同時を含めて多発することから定期的な画像所見でフォローを行う。治療介入の目安として“3cmルール”があり、3cmに達する頃には腎機能温存のために腫瘍核出術(nephron-sparing surgery)が推奨されている6)。発見時にすでに3cmを超えていた場合には腎腫瘍のステージに応じた標準的治療を選択する。3)肺病変筆者らのグループは、気胸の既往歴がある314人のBHDS患者の解析を行った1)。初回の気胸発症年齢は中央値32歳(14~78歳)で、男性の方が女性よりも初回気胸年齢が若かった。25歳未満の発症は24.2%で認めた。特徴的と考えられたのが両側同時気胸を初発時と再発時合わせて11.8%の患者が経験していた。気胸が起こりやすい年齢分布としては、男女合わせて30代にピークがきているが、女性の方が男性と比較をして中年以降も気胸発症が続く傾向を認めた。気胸発症時の対応は、“British Thoracic Society”誌の発表している“pleural disease guideline 2010”に示される治療アルゴリズムなどを参考に治療の個別化が求められる。気胸の程度、肺機能障害の程度により慎重な外来経過観察、あるいは外来管理可能な簡易型ドレナージキットを用いた治療を行う。胸腔ドレーン挿入後にエアリークが停止しない場合には、外科治療が考慮される。標準的外科治療は胸腔鏡手術(video-assisted thoracoscopic surgery:VATS)であるが、エアリーク部の処置のみならず気胸再発を予防することを目的として、全肺胸膜カバリング術(total pleural covering:TPC)が専門施設では実施され、良好な再発防止効果が報告されている7)。TPCでは壁側胸膜との癒着を生じにくい吸収性素材である再生酸化セルロース(ORC)を使用し、葉間も含めた臓側胸膜全体を胸腔鏡下にORCで被覆し、フィブリン糊を滴下して手術を終了する。日常生活の注意点として気圧変化による気胸発症のリスクが挙げられる。研究対象としたコホートの大きさや対象者により違いがありうるが、フライトに関連した気胸のリスクは、患者当たり7.4%、1フライト当たり0.27%とする報告もある。肺嚢胞のある患者ではスキューバダイビングは禁忌である。4 今後の展望現時点でBHDSの病変に対して有効な薬剤は存在しないが、BHDS関連の腎腫瘍に対して散発性腎がんで適用のあるエベロリムスの有効性を検証する臨床試験がアメリカを中心に行われているなど薬剤開発が期待される。未診断例も数多くあることから、呼吸器内科医、皮膚科医、泌尿器科医を中心に疾患を認識し、レジストリ制度の構築により生涯にわたっての疾患表現型を追跡する必要があると考える。5 主たる診療科呼吸器内科、呼吸器外科、皮膚科、泌尿器科。肺病変は皮膚・腎臓病変より若年で発生するため気胸を契機にBHDSの診断に至る可能性が高い。呼吸器内科・外科では気胸や多発肺嚢胞を契機に的確に診断し、その後の健康管理を指導するうえで役割が大きい。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報気胸・肺のう胞スタディグループ(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)バート・ホッグ・デュベ症候群情報ネット(BHD-net)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報BHD Foundation(患者団体とMyrovlytis Trustにより設立された英国の団体)1)Namba Y et al. PLoS One. 2023;18:e0289175.2)Iwabuchi C, et al. J Dermatol Sci. 2018;89:77-84.3)Zbar B, et al. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2002;11:393-400.4)Hoppe BPC, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2022;205:1474-1475.5)Menko FH, et al. Lancet Oncol. 2009;10:1199-1206.6)Schmidt LS, et al. Nat Rev Urol. 2015;12:558-569.7)Mizobuchi T, et al. Orphanet J Rare Dis. 2018;13:78.公開履歴初回2023年10月31日

7545.

膵がん治療中に造影CTで偶然肺塞栓を発見!適切な対応は?【見落とさない!がんの心毒性】第25回

※本症例は、実臨床のエピソードに基づく架空のモデル症例です。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。《今回の症例》年齢・性別70代・男性主訴なし現病歴既往症はとくになし。背部痛を契機に病院を受診し、腹部エコーで膵頭部腫瘍、多発肝結節を指摘された。経皮的肝生検で膵がん(腺がん)の病理診断となった。造影CTで膵頭部の原発巣および多発肝転移、腹膜播種、腹水貯留を認めた。CA19-9が1,250U/mLと上昇していたほか、血液検査で臨床的に問題となる異常所見は認めなかった。膵がんStageIVの診断で、PS0と全身状態は良好であり、緩和的化学療法を導入する方針となった。ゲムシタビン+ナブパクリタキセル(GEM+nab-PTX)療法(GEM1,000mg/m2 day1,8,15/nab-PTX125mg/m2 day1,8,15/1サイクル=4週)を開始した。3サイクル終了後、がんの病勢評価のために造影CTを実施したところ、両肺動脈に造影欠損域が多発しており、偶発的肺塞栓症(incidental pulmonary embolism:incidental PE)が発覚した。【問題1】当該患者に連絡し、臨時で病院を受診するように指示をした。取り急ぎ確認すべきこと、必要な検査として優先度の低い選択肢を一つ選べ。a.自覚症状の有無(呼吸困難、胸痛など)の確認とバイタルサインb.血液検査 D-dimerc.血液検査 CA19-9d.心臓超音波検査e.下肢超音波検査【問題2】該当患者がPEを発症した原因を鑑別する上で、優先度の低い選択肢を一つ選べ。a.造影CTでがんの病勢確認b.DVTの確認c.GEMやnab-PTXによる薬剤性血栓塞栓症リスクの確認d.プロテインC/プロテインSの確認e.がん以外の合併症や内服薬の確認全体解説Incidental PEは症候性VTEと同様に抗血栓薬での治療を行うことがASCOガイドラインで提案されている3)。韓国で実施された後ろ向き研究で、肺がん患者におけるincidental PEについて評価された。8,014例の肺がん患者が登録されたデータベースにおいて、180例(2.2%)が治療経過の中でPEと診断されており、その内113例(63%)がincidental PEであった。肺がんの診断から3ヵ月以内にPEを発症した場合は予後不良(ハザード比[HR]:1.5)であり、またincidental PEに対する抗血栓療法を行わなかった場合は予後不良(HR:4.1)であったと報告されている4)。本邦からの単施設による後ろ向き研究では、incidental PEのがん患者における発症率は1.3%であり、PE合併がん患者の死亡率は高い(HR:2.26)ことが報告されている5)。incidental PEについて検討した大規模試験は多くないが、日常診療で経験される病態であり、基本的には症候性PEと同様に対応することが望ましい。Incidental PEはその診断経緯から無症候性であることも多い。スペインで実施された前向き観察研究では、PEに起因するうっ血性心不全や右室機能不全、活動性出血などの大きなリスクがないincidental PE患者に対する外来抗血栓療法の安全性が報告されており6)、一部の症例は入院管理を必要としない可能性も示唆されるが、その適応は循環器内科専門医により慎重に判断される必要がある。また、Incidental PEは進行期のがん患者、および化学療法による積極的な治療中のがん患者に発症することが多く、発症数週以内の死亡の可能性もあるため7)、無症状であっても過小評価するべきではない。当科でもincidental PEは年に数件程度の頻度で経験するが、約1/3は膵がん患者である。Incidental PEの発症時期は、がんの診断直後(数ヵ月以内)、化学療法中、原疾患が進行し予後数週と思われる時期、などさまざまである。化学療法中の患者の場合は化学療法を円滑に継続するために腫瘍専門医と循環器内科医の協力が必須である。原疾患が進行し予後が限られている場合は、出血リスクや入院加療による負担などを考慮した上で治療適応を慎重に判断することが求められる。1)Horsted F, et al. PLoS Med. 2012;9:e1001275.2)Campia U, et al. Circulation. 2019;139:e579-e602.3)Key NS, et al. J Clin Oncol. 2023;41:3063-3071. 4)Sun JM, et al. Lung Cancer. 2010;69:330-336.5)Nishikawa T, et al. Circ J. 2021 Feb 17.[Epub ahead of print] 6)Martin AM, et al. Clin Transl Oncol. 2020;22:612-615.7)Olusi SO, et al. Vasc Health Risk Manag. 2011;7:153-158.講師紹介

7546.

進行期肺がんの3割が悪液質を合併!?【DtoD ラヂオ ここが聞きたい!肺がん診療Up to Date】第3回

第3回:進行期肺がんの3割が悪液質を合併!?パーソナリティ日本鋼管病院 呼吸器内科 部長 田中 希宇人 氏ゲスト順天堂大学付属順天堂医院 宿谷 威仁 氏参考1)Shukuya t ,et al. Epidemiology, risk factors and impact of cachexia on patient outcome: Results from the Japanese Lung Cancer Registry Study. J Cachexia Sarcopenia Muscle.2023;14:1274-1285.2)未治療進行非小細胞肺における悪液質の合併と化学療法に与える影響の観察研究 NEJ050A試験関連サイト専門医が厳選した、肺がん論文・ニュース「Doctors'Picks」(医師限定サイト)講師紹介

7547.

英語で「理論的には同意、現実には反対」は?【1分★医療英語】第103回

第103回 英語で「理論的には同意、現実には反対」は?《例文1》It is not practical to do both surgeries at the same time.(両方の手術を同時にやることは現実的ではありません)《例文2》Logistically, it is impossible to use both drugs at the same time.(現実的には、両方の薬を併用することは不可能です)《解説》インターネット、SNSで情報が氾濫する昨今では、患者さんの側からさまざまな治療を提案されることも多く、その中には現実的でない案もあります。そんなときには、このフレーズが便利です。「理論的には=“in theory”」と「現実的には=“in reality”」を対比させることで、相手の意見を認めつつ、自分の意見を述べるための導入になります。類似表現として、“practical/practically”、“logistic/logistically”も、「現実的には」という意味合いで頻用します。“logistic”という単語は、英和辞書では「物流的な」という訳語が出てきますが、私の経験上では「(主に時間的・物理的な制限において)現実的な」という意味合いで頻用される単語です。講師紹介

7548.

第187回 タウリン再び降臨~コロナ後遺症の治療効果があるかもしれない

タウリン再び降臨~コロナ後遺症の治療効果があるかもしれない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行を乗り切って世間は落ち着きを取り戻しつつありますが、世界で6,500万人は下らない1)とされる感染後の長引く不調を有する人にCOVID-19は未だ足かせとなって取り付いたままです。昨年の米国での聞き取り調査の結果、成人の約7%がCOVID-19罹患後症状(long COVID)として知られるそういった感染後長期不調があると回答しました2)。小児のCOVID-19罹患後症状は成人に比べて少ないものの200例に1例(0.5%)に認められました3)。COVID-19罹患後症状の承認治療はまだありませんが、カナダのアルバータ州のCOVID-19入院患者117例を調べた結果4)によるとあるアミノ酸にもしかしたらその治療効果があるかもしれません。117例の経過は退院からおよそ17ヵ月後まで追跡され、症状が3つを超える重度のCOVID-19罹患後症状を55例が被りました。32例は症状が3つ以下の比較的軽度のCOVID-19罹患後症状を呈しました。経過の調査に加えて血液も調べられ、およそ6ヵ月間に何回か採取した血液中のサイトカイン、タンパク質、代謝産物が測定されました。それらの測定結果を機械学習にかけて解析したところサイトカインと代謝産物併せて20分子に基づく予後予想手段が導かれ、その手段が83%の正解率で退院後の経過不良患者を同定しうることが示されました。また、COVID-19罹患後症状の患者にとくに目立つ特徴としてあるアミノ酸が少ないことが判明しました。そのアミノ酸とはイカ、タコ、貝類などに多く含まれるタウリンです。研究を率いたアルバータ大学のGavin Oudit氏によるとタウリンが乏しい患者は症状がより多く、より多く死亡しました。タウリンが豊富なままの患者は逆に症状が少なく、経過がより良好でした5)。タウリンは食物にも含まれることに加えて肝臓でも作られ、免疫系などの体の生理機能の調節に携わります。Oudit氏はタウリンの多岐にわたる効果がCOVID-19罹患後症状の数々を被る患者の福音となることを期待しています。タウリンといえば、本連載の第167回で紹介したように、最近発表された研究で全般的な健康増進効果を示唆する結果も得られています。だからといって今すぐタウリンをふんだんに摂取し始めてよいわけではありません。タウリン補給は比較的無害ですが、臨床試験でのその効果の裏付けが必要です。Oudit氏らのチームはそういう裏付けを得るべくCOVID-19罹患後症状へのタウリンの効果を調べる第III相試験開始の手はずを整えています。体内のタウリンを今すぐどうしても増やしたいという人には運動がおすすめです。運動すると血中のタウリンが増えます。また、運動の健康向上効果のいくらかにタウリンが寄与しているようです。参考1)Davis HE, et al. Nat Rev Microbiol. 2023;21:133-146.2)Long COVID in Adults: United States, 2022. NCHS Data Brief No. 480, September 20233)Long COVID in Children: United States, 2022. NCHS Data Brief No. 479, September 20234)Wang W, et al. Cell Rep Med. 2023:101254.5)Researchers identify amino acid that may play a key role for predicting and treating long COVID / Eurekalert

7549.

医者になってよかったですか?【医学生お悩み相談ラヂオ】第15回

動画解説第15回は、医学部6年生の男性からのお悩み。試験勉強が辛くモチベーションを上げるためにも医師になってからの将来像をイメージしたいとのこと。多くの試練を乗り越えて医師になったえど先生が伝える、医師の姿とは。

7550.

HER2低発現乳がんへのT-DXd、32ヵ月でのOS・PFS・安全性(DESTINY-Breast04)/ESMO2023

 化学療法歴を有するHER2低発現の切除不能または転移のある乳がん患者に対して、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)と治験医師選択による化学療法(TPC)を比較した第III相DESTINY-Breast04試験において、より長い追跡期間(中央値32ヵ月)で評価した全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、安全性を、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのShanu Modi氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。DESTINY-Breast04試験32ヵ月でのOS中央値はT-Dxd群で有意に改善・対象:HER2低発現(IHC 1+またはIHC 2+/ISH-)で、1~2ラインの化学療法歴のある切除不能および/または転移を有する乳がん患者(HR+の場合は内分泌療法抵抗性)557例・試験群(T-DXd群):T-DXdを3週間間隔で5.4mg/kg投与 373例・対照群(TPC群):治験医師選択の化学療法(カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビン、パクリタキセル、ナブパクリタキセルのいずれか)184例・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるHR+例のPFS[副次評価項目]BICRによる全例のPFS、治験医師によるHR+例および全例のPFS、HR+例および全例のOS、安全性など DESTINY-Breast04試験長期追跡調査の主な結果は以下のとおり。・今回のデータカットオフ(2023年3月1日)時点での追跡期間中央値は32.0ヵ月だった。・OS中央値は、HR+例でT-DXd群23.9ヵ月vs.TPC群17.6ヵ月でHRが0.69(95%信頼区間[CI]:0.55~0.87)、全例で22.9ヵ月vs.16.8ヵ月でHRは0.69(95%CI:0.55~0.86)と、共にT-Dxd群で有意に改善した。・治験医師によるPFS中央値は、HR+例でT-DXd群9.6ヵ月vs.TPC群4.2ヵ月でHRが0.37(95%CI:0.30~0.46)、全例で8.8ヵ月vs.4.2ヵ月でHRは0.36(95%CI:0.29~0.45)と、共にT-DXd群で有意に改善した。・HR-例におけるOS中央値は、T-DXd群17.1ヵ月vs.TPC群8.3ヵ月でHRが0.58(95%CI:0.31~1.08)、治験医師によるPFS中央値は6.3ヵ月vs.2.9ヵ月でHRは0.29(95%CI:0.15~0.57)だった(探索的解析)。・Grade3以上の治療下での有害事象(TEAE)の発現率は、T-DXd群54.4%、TPC群67.4%だった。・治療中止関連のTEAEで多くみられたのは、T-DXd群で間質性肺疾患/肺臓炎(10.2%)、TPC群で末梢感覚神経障害(2.3%)だった。・減量関連のTEAEで多くみられたのは、T-DXd群では悪心(4.6%)および血小板数減少(3.0%)、TPC群で好中球数減少(10.5%)および手足症候群(5.2%)だった。・全GradeのTEAEの曝露調整後発現率は、T-DXd群1.2%、TPC群2.6%だった。・安全性プロファイルは初回解析結果と同様であり、薬物関連間質性肺疾患/肺臓炎は初回解析以降の新たな報告はなかった。 Modi氏はDESTINY-Breast04試験について「今回の結果から、HR発現の有無にかかわらず、これまでに示されているHER2低発現の転移乳がんに対するT-DXdの持続的で臨床的に意義のある改善が確認された。治療期間が長くなっても、全体的な安全性プロファイルは忍容可能でおおむね管理可能だった」とまとめた。

7551.

引用頻度が高いコロナ論文の多い国・大学は

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック開始から3年間、非常に多くのCOVID-19関連の論文が世界中で発表された。京都大学大学院医学研究科の船田 哲氏(現:慶應義塾大学)らの研究グループは、被引用数の多いCOVID-19関連論文を発表した国や機関、研究領域などの傾向を調査した。その結果、高被引用論文の件数は2021年末にピークに達した後、2022年末まで減少傾向を示し、発表数の多い国は当初の中国から米国および英国へと推移していることなどが判明した。JAMA Network Open誌2023年9月8日号に掲載。 本研究では、2020年1月~2022年12月の期間で、Clarivate社のEssential Science Indicators(学術論文の引用動向データを提供するデータベース)から、引用頻度の高い論文を、2ヵ月ごと18期間分を抽出した。それらの論文の固有のアクセッション番号に基づいて、論文データベースのWeb of Science Core Collectionを用いて書誌情報を照会し、COVID-19に関する論文を特定した。論文数は分数カウント法に基づいてカウントし、著者の国、所属機関、研究分野などを調査した。 主な結果は以下のとおり。・Essential Science Indicatorsで2020年1月~2022年12月の7万3,079件の高被引用論文が抽出された。Web of Science Core CollectionでCOVID-19関連論文を特定すると、2ヵ月ごとの各期間で重複を含む高被引用論文は1万5,262件、重複のない論文は4,131件であった。・発表されたCOVID-19関連の高被引用論文は、2020年1~2月には14件であったが、2021年11~12月に1,292件でピークに達し、その後は減少傾向を示し、2022年11~12月には649件であった。・2020年1~2月は臨床医学分野の研究が多かったが(14件中9件[64.3%])、2022年3~4月は427件、2022年11~12月は246件と、徐々に減少した。そのほかの分野の研究は時間の経過とともに増加し、とくに一般社会科学、精神医学/心理学、免疫学、分子生物学/遺伝学の分野で増加した。・2020年7~8月までは中国が2ヵ月当たりの高被引用論文数が最も多かった(中国138.3件、2位の米国103.7件)。・2020年9~10月以降は米国が中国を抜いて最多となった(2020年9~10月は米国159.9件、中国157.6件)。・その後、中国の2ヵ月当たりの高被引用論文数は減少した(2020年11~12月は179.7件、2022年9~10月は40.7件)。・英国は、2020年11~12月に86.5件、2021年5~6月に171.3件で中国を抜き、米国に次いで発表数が多くなった。・2022年3~4月から2022年11~12月にかけて、米国、英国、中国では2ヵ月当たりの高被引用論文数が大幅に減少した(2022年3~4月vs.2022年11~12月の件数は、米国:366.8件vs.190.6件、英国:243.7件vs.158.3件、中国:107.5件vs.45.5件)。・2020年5~6月に高被引用論文を発表した上位5機関はすべて中国であった(華中科技大学:14.7件、香港大学:6.8件、武漢大学:4.8件、浙江大学:4.8件、復旦大学:4.5件)。・2022年11~12月では、上位5機関が米国と英国であった(ハーバード大学:15.0件、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン:11.0件、オックスフォード大学:10.2件、ロンドン大学:9.9件、インペリアル・カレッジ・ロンドン:5.8件)。

7552.

adagrasib+ペムブロリズマブがKRAS G12C変異陽性NSCLCに対して有望な結果(KRYSTAL-7)/ESMO2023

 adagrasibは、半減期が長く(23時間)、用量依存的な薬物動態を示し、中枢神経系への移行性を有するKRAS G12C阻害薬である。また、肝臓やその他の臓器部位に対するoff-target作用も少ないと考えられている。KRAS G12C変異を有する進行・転移非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、adagrasibとペムブロリズマブの併用療法を検討したKRYSTAL-7試験が実施され、PD-L1高発現(TPS 50%以上)の患者において有望な結果が示された。本結果は、米国・シカゴ大学メディカルセンターのMarina Garassino氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告した。adagrasibの併用療法はPD-L1高発現のNSCLC患者に有望な有効性試験デザイン:海外第II相試験対象:未治療のKRAS G12C変異を有する進行・転移NSCLC患者148例試験群:adagrasib(400mg、1日2回)+ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)評価項目:[主要評価項目]治験担当医師評価に基づく奏効率(ORR)[副次評価項目]奏効期間(DOR)、治験担当医師評価に基づく無増悪生存期間(PFS)、安全性など本発表では、PD-L1高発現(TPS 50%以上)の患者51例における有効性と治療を受けた全患者148例の安全性のデータが報告された。 adagrasibとペムブロリズマブの併用療法を検討したKRYSTAL-7試験の主な結果は以下のとおり。・対象患者の年齢中央値は67歳、女性が48%であり、追跡期間中央値は8.7ヵ月であった(PD-L1高発現の患者の追跡期間中央値は10.1ヵ月)。・PD-L1高発現の患者におけるORRは63%(CR:1例、PR:31例)、病勢コントロール率は84%であった。・奏効までの期間中央値は1.4ヵ月、DOR中央値は未到達(95%信頼区間[CI]:12.6~推定不能)であった。・PFS中央値は未到達(95%CI:8.2~推定不能)であり、1年PFS率は60.8%であった。・全患者における主な治療関連有害事象(40例以上に発現)は、悪心(34.5%)、下痢(29.7%)であった。・全Gradeの免疫関連有害事象(irAE)は18%、Grade3以上のirAEは5%に認められた。・Grade5の治療関連有害事象が2例(1%)に認められ、内訳は肺臓炎、肺炎であった。・adagrasibとペムブロリズマブの両剤の中止に至った治療関連有害事象は4%に認められた(adagrasibのみ中止:6%、ペムブロリズマブのみ中止:11%)。・ALT/AST上昇やその他の肝関連の治療関連有害事象により両剤の中止に至った患者はいなかった。 本結果について、Garassino氏は「adagrasibとペムブロリズマブの併用療法は、PD-L1高発現のNSCLC患者における有望な有効性、管理可能な安全性プロファイルを示した。PD-L1高発現の患者におけるORRは63%であり、ペムブロリズマブ単剤によって得られると予測されるORR(39~45%)よりも良好であった。これらの結果は、未治療のKRAS G12C変異を有するPD-L1 TPS 50%以上の進行・転移NSCLC患者を対象として、adagrasibとペムブロリズマブの併用療法とペムブロリズマブ単剤療法を比較する第III相試験の開始を支持するものである」とまとめた。

7553.

実臨床における喘息コントロールに生物学的製剤は有効か?/AZ

 アストラゼネカ(AZ)は2023年10月20日付のプレスリリースにて、日本における重症喘息の前向き観察研究であるPROSPECT studyの1年時解析から、実臨床における生物学的製剤の喘息コントロール改善効果が示されたことを発表した。本研究結果を踏まえて「本邦の実臨床でコントロール不良の重症喘息患者に対して適切に生物学的製剤を開始することで、疾病負荷を軽減できることが示された」としている。 重症喘息は頻回な増悪を繰り返し、著しい呼吸機能の低下、生活の質の低下を余儀なくされる。さらに、社会経済的な負担も大きく、その医療費は非重症喘息と比べて高いことが報告されている。複数のガイドラインで、コントロール不良の重症喘息患者に対して生物学的製剤の使用が推奨されているが、日本の実臨床における生物学的製剤の使用実態とその有用性はこれまで示されていなかった。 PROSPECT studyは、高用量吸入ステロイド剤とその他の長期管理薬を使用してもコントロール不良の成人(20歳以上)重症喘息患者を対象とする、国内34施設にて実施された追跡調査期間2年間の前向き観察試験である。主要評価項目は、試験登録12週間以内に生物学的製剤を開始した群(127例)と開始しなかった群(162例)における2年後の気管支拡張薬吸入後のFEV1※1(Forced Expiratory Volume in one second)のベースラインからの変化量の差と設定された。 今回のリリースでは、1年時解析の結果が発表された。 生物学的製剤開始群と非開始群における気管支拡張薬投与後の変化は以下のとおりであった(いずれもベースラインのリスク因子で調整)。・FEV1のベースラインからの変化量の差は130mL、p=0.007・喘息増悪発生率比は0.46、p=0.012・ACQ-5スコア※2のベースラインからの変化量の差は-0.67、p<0.001 本研究のScientific Advisory Committee委員長である、日本喘息学会理事長であり近畿大学病院病院長の東田 有智氏は、コントロール不良の重症喘息患者における疾病負荷と、適切な生物学的製剤の使用が推奨されながらも限定的である導入実態を振り返り、「この結果が、コントロール不良の重症喘息患者への生物学的製剤導入の治療機会の均てん化の促進に寄与することを願う」とコメントしている。※1 FEV1:1秒量(努力肺活量の1秒量)※2 ACQ-5スコア:5種類の症状(「夜間覚醒」「起床時の症状」「日常生活の制限」「息切れ」「喘鳴」)に関する質問から構成される喘息コントロール状態を評価する指標

7554.

抗精神病薬の減量/中止と維持療法との比較~RADAR試験

 統合失調症や再発性精神疾患の患者には、抗精神病薬の継続投与が推奨されているが、副作用の負担が大きく、長期アウトカムに関するエビデンスは不十分である。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのJoanna Moncrieff氏らは、抗精神病薬の段階的な減量プロセスの有益性と有害性を維持療法と比較し評価するため、本検討を行った。その結果、2年間のフォローアップ調査では、抗精神病薬の段階的な減量プロセスは、社会機能に影響を及ぼさないことが明らかとなった。The Lancet Psychiatry誌2023年11月号の報告。 「PADAR試験」は、イングランドのNational Health Service Trustの19施設で実施された並行群間無作為化オープンラベル試験である。抗精神病薬の減量により、社会的機能が改善し短期的には再発リスクが増加する、と仮説を立て検証を行った。対象は、再発性非感情性精神病性障害と診断され、抗精神病薬を投与された18歳以上の患者。除外基準には、過去1ヵ月間でメンタルヘルスの不調または入院を経験した患者、自身または他者に重大なリスクをもたらすと治療臨床医が判断した患者、英国の精神保健法に基づき抗精神病薬の投与が義務付けられている患者を含めた。 対象患者は、独立したインターネットベースのシステムを通じて、治療臨床医の管理の下で段階的かつフレキシブルに抗精神病薬を減らす減量群、または維持群に1対1の割合でランダムに割り付けられた。試験参加者と治療臨床医はどちらの群に割り当てられたかを認識していたが、評価者はマスキングされた。フォローアップ期間は2年、主要アウトカムは社会機能評価尺度で評価した社会機能とした。主な副次的アウトカムは、要入院と定義された重度の再発とした。分析にはITT分析を用い、グループの独自性は考慮しなかった。 主な結果は以下のとおり。・スクリーニングを行った4,157例中253例がランダムに割り付けられた。・内訳は、男性168例(66%)、女性82例(32%)、トランスジェンダー3例(1%)であり、平均年齢は46±12歳(範囲:22~79歳)、白人171例(67%)、黒人52例(21%)、アジア人16例(6%)、その他12例(5%)であった。・試験期間中の任意の時点における減量率の中央値は67%であり、24ヵ月時点で33%であった。・24ヵ月時点で、減量群126例中90例、維持群127例中94例を評価したところ、社会機能評価尺度に差は認められなかった(β=0.19、95%信頼区間[CI]:-1.94~2.33、p=0.86)。・重度の有害事象は、減量群では49例で93件(主にメンタルヘルスの再発による入院)、維持群では29例で64件が認められた。

7555.

JCOG1611で転移膵がん1次療法、ゲムシタビン+nab-パクリタキセルが最適(GENERATE)/ESMO2023

 2023年のASCO-GIで発表されたNAPOLI-3試験において、転移のある膵がんの1次療法として、ナノリポソーム型イリノテカンを使ったNALIRIFOX療法の、ゲムシタビン+nab-パクリタキセル(GnP)療法に対する有意な改善が報告された。しかし、現在ではGnP療法とmFOLFIRINOX療法が同等の推奨とされており、さらにS-IROX療法(S-1、イリノテカン、オキサリプラチン)も第I相試験で高い奏効率が報告されている。これら3レジメンの有効性と安全性を直接比較することを目的とした第II/III相JCOG1611試験の中間解析結果を、国立がん研究センター中央病院の大場 彬博氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。JCOG1611試験の中間解析結果でGnP療法のOS中央値は17.1ヵ月・対象:切除不能転移膵がん、PS0~1・試験群:【GnP群】:nab-パクリタキセル(125mg/m2)、ゲムシタビン(1,000mg/m2)を4週ごと1、8、15日目に投与【mFOLFIRINOX群】:オキサリプラチン85mg/m2、イリノテカン150mg/m2、l-ロイコボリン200mg/m2、フルオロウラシル2,400mg/m2を2週ごと、1~3日目に投与【S-IROX群】:オキサリプラチン85mg/m2、イリノテカン150mg/m2、S-1 80mg/m2/日を2週ごと、1~7日目に投与・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、安全性 JCOG1611試験の主な中間解析結果は以下のとおり。・JCOG1611試験では、2019年4月~2023年3月に国内45施設から527例が登録され、GnP群(176例)、mFOLFIRINOX群(175例)、S-IROX群(176例)に1対1対1で割り付けられた。・OS中央値はGnP群17.1ヵ月、mFOLFIRINOX群14.0ヵ月(ハザード比[HR]:1.31、95%信頼区間[CI]:0.97~1.77)、S-IROX群13.6ヵ月(HR:1.35、95%CI:1.00~1.82)であった。・PFSはGnP群6.7ヵ月、mFOLFIRINOX群5.8ヵ月(HR:1.15、95%CI:0.91~1.45)、S-IROX群6.7ヵ月(HR:1.07、95%CI:0.84~1.35)であった。・ORRはGnP群35.4%、mFOLFIRINOX群32.4%、S-IROX群42.4%であった。・Grade3以上の有害事象(TEAE)で多かったものは、好中球減少症でGnP群60%、mFOLFIRINOX群52%、S-IROX群39%で発現した。血液関連以外のTRAEである食欲不振(5%対23%対28%)、下痢(1%対9%対23%)は、GnP群よりもmFOLFIRINOX群、S-IROX群で多く発現した。 大場氏は「最終解析における優越性達成予測確率はmFOLFIRINOX群0.73%、S-IROX群0.48%とGnP群を上回る可能性がほとんどないため、本試験は中止となった。結果として、GnP療法が、mFOLFIRINOX療法やS-IROX療法と比較して、転移・再発膵がん患者の1次治療として推奨される」と結論付けた。

7556.

モデルナのコロナワクチン、生後6ヵ月以上で初回免疫の一変承認取得

 新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンを提供するモデルナは、2023年10月25日付のプレスリリースで、「スパイクバックス筋注」の生後6ヵ月以上を対象とした初回免疫に関する承認事項の一部変更承認を取得したと発表した。厚生科学審議会への諮問・答申を経て、予防接種実施規則改正をもってはじめて特例臨時接種での使用が可能となる。 今回の一部変更承認は、生後6ヵ月以上を対象とした「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」および「スパイクバックス筋注(1価:オミクロン株XBB.1.5)」における初回免疫である。 これについてモデルナは、「生後6ヵ月以上の乳幼児を含めたすべての方に接種機会を提供できることで、発症および重症化リスクの軽減に貢献できると考えている」としている。 なお、日本小児科学会(会長:岡 明氏[埼玉県立小児医療センター])の予防接種・感染症対策委員会は、同学会のホームページで「小児への新型コロナワクチン令和5年度秋冬接種に対する考え方」を発表しており、コロナによる感染および重症化を予防する手段としてのワクチン接種は有効であると考え、生後6ヵ月~17歳のすべての小児へのワクチン接種を推奨している。

7557.

生化学的再発前立腺がん、エンザルタミドが無転移生存を改善/NEJM

 高リスクの生化学的再発を呈する前立腺がん患者の治療では、無転移生存期間に関して、リュープロレリン単独と比較してエンザルタミド+リュープロレリン併用およびエンザルタミド単剤療法の優越性を認め、エンザルタミドの安全性プロファイルは先行試験の結果と一致することが、米国・シダーズ・サイナイ医療センターのStephen J Freedland氏らが実施した「EMBARK試験」で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2023年10月19日号に掲載された。244施設の国際的な無作為化第III相試験 EMBARK試験は、17ヵ国244施設が参加した国際的な無作為化第III相試験であり、2015年1月~2018年8月に患者の登録と無作為化を行った(PfizerとAstellas Pharmaの助成を受けた)。 対象は、生検で前立腺の腺がんを確認し、局所治療後に生化学的再発を示し、スクリーニング時に前立腺特異抗原(PSA)倍加時間が9ヵ月以下の高リスク病変を有し、血清テストステロン値≧150ng/dLで、全身状態が良好(ECOG PSスコアが0または1点)な成人患者であった。 被験者を、エンザルタミド(160mg、1日1回、経口)+リュープロレリン(22.5mg、12週ごと、筋肉内または皮下)を投与する群(併用群)、プラセボ+リュープロレリンを投与する群(リュープロレリン単独群)、エンザルタミド単剤を投与する群(単剤療法群)に、1対1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、リュープロレリン単独群と比較した併用群の無転移生存期間とし、独立中央判定委員会が盲検下に評価した。主な副次評価項目は、リュープロレリン単独群と比較した単剤療法群の無転移生存期間などであった。新たな安全性シグナルの発現はない 1,068例を登録した。併用群が355例、リュープロレリン単独群が358例、単剤療法群は355例であった。全体の年齢中央値は69歳(範囲:49~93)、白人が83.2%で、PSA倍加時間中央値は4.9ヵ月(範囲:0.9~18.9)、PSA値中央値は5.2ng/mL(範囲:1.0~308.3)だった。 追跡期間中央値は60.7ヵ月であった。5年時点での無転移生存率は、併用群が87.3%(95%信頼区間[CI]:83.0~90.6)、リュープロレリン単独群が71.4%(65.7~76.3)、単剤療法群は80.0%(75.0~84.1)であった。 無転移生存期間は、リュープロレリン単独群に比べ、併用群で有意に優れ(転移または死亡のハザード比[HR]:0.42、95%CI:0.30~0.61、p<0.001)、単剤療法群でも有意差を認めた(転移または死亡のHR:0.63、95%CI:0.46~0.87、p=0.005)。 また、リュープロレリン単独群に比べ併用群では、中間解析時点における全生存期間(HR:0.59、95%CI:0.38~0.91、p=0.02)、PSA増悪(PSA倍加時間≦10ヵ月と定義、0.07、0.03~0.14、p<0.001)、新たな抗腫瘍治療の初回使用までの期間(0.36、0.26~0.49、p<0.001)がいずれも有意に優れ、単剤療法群では全生存期間(0.78、0.52~1.17、p=0.23)には差がなかったが、PSA増悪(0.33、0.23~0.49、p<0.001)と新たな抗腫瘍治療の初回使用(0.54、0.41~0.71、p<0.001)は有意に良好だった。 3つの群に新たな安全性シグナルの発現はみられなかった。最も頻度の高い有害事象は、併用群とリュープロレリン単独群がホットフラッシュ(それぞれ、68.8%、57.3%)および倦怠感(42.8%、32.8%)で、単剤療法群は倦怠感(46.6%)、女性化乳房(44.9%)で、ホットフラッシュは21.8%であった。 有害事象による投与中止は、併用群が20.7%、リュープロレリン単独群が10.2%、単剤療法群は17.8%で認めた。有害事象による死亡は、それぞれ6例(1.7%)、3例(0.8%)、8例(2.3%)で発生したが、治療関連と判定されたものはなかった。生活の質(QOL)については3群間に大きな差は認めなかった。 著者は、「本試験のデータは、アンドロゲン受容体阻害薬エンザルタミドとアンドロゲン除去療法の併用が、アンドロゲン除去療法単独と比較して、臨床的に意義のある有益性をもたらしたとする既報の第III相試験の知見を裏付けるものである」としている。

7558.

第168回 インフルエンザ感染者、前週比1.48倍に増加、愛媛県で警報発令/厚労省

<先週の動き>1.インフルエンザ感染者、前週比1.48倍に増加、愛媛県で警報発令/厚労省2.2024年度診療報酬改定、人材確保と働き方改革が重点/中医協3.脳死判定者数、累計1,000例を達成、移植待機患者の課題も/JOT4.GLP-1ダイエットの安全性を懸念「禁止すべき」/日本医師会5.2023年度研修医マッチング率、前年度比で0.3ポイント上昇/厚労省6.2021年度の国民医療費、初の45兆円突破、高齢者医療費が6割以上/厚労省1.インフルエンザ感染者、前週比1.48倍に増加、愛媛県で警報発令/厚労省厚生労働省は10月27日、全国の定点医療機関からの報告に基づき、インフルエンザの感染者数が前週比1.48倍の約54万4,000人に増加したと発表した。とくに愛媛県では1医療機関当たりの感染者数が最も多い39.90人となり、「警報」の基準を超えていた。千葉県と埼玉県も警報の基準に迫る感染者数を記録している。全国の教育施設で、休校や学級閉鎖となった施設は合計3751施設にのぼる。2020年の新型コロナウイルスの流行以降、インフルエンザの流行規模は縮小していたが、免疫の低下などの影響で感染が広がっているとみられている。厚労省は、マスクの着用や手洗いなどの基本的な感染対策の徹底を呼びかけている。参考1)インフルエンザの患者数 前週比1.5倍に 増加傾向続く(NHK)2)インフル感染者数、前週比1.48倍 推計54万人 愛媛で「警報」(毎日新聞)2.2024年度診療報酬改定、人材確保と働き方改革が重点/中医協10月に入り、中央社会保険医療協議会(中医協)では、医療従事者の処遇改善を巡る議論が活発化している。物価高に対して賃上げ対応ができないため、医療・介護分野から人材の流出によって、地域医療の存続が危機にさらされている。看護職員に対しては、昨年10月に3%程度(月額平均1万2,000円相当)給与を引き上げる「看護職員処遇改善評価料」を新設したが、薬剤師などは対象外となっていた。一方、厚生労働省は2024年度の診療報酬改定に向けて、人材確保や働き方改革を重点課題として提案。とくに看護師や准看護師の求人倍率が「全職種」を上回る状況が指摘され、地方における医療の確保が重要な課題となっている。参考1)来年度の診療報酬改定 “処遇改善し人材確保など重点” 厚労省(NHK)2)医療従事者の処遇改善の議論始まる、中医協で 人材流出「地域医療の存続に関わる」と日医委員(CB news)3)改定基本方針の重点課題に「人材確保」、厚労省案「他産業の賃上げに追いつかず、状況悪化」(同)4)医療従事者の給与アップ財源を「診療報酬引き上げ」に求めるか、「医療機関内の財源配分」(高給職種→低い給与職種)に求めるか-中医協総会(Gem Med)3.脳死判定者数、累計1,000例を達成、移植待機患者の課題も/JOT日本臓器移植ネットワーク(JOT)は28日、国内の脳死判定が累計1,000例に、臓器移植法施行から26年で達成したと発表した。当初は脳死判定は伸び悩んでいたが、2010年の法改正によって、本人の意思が不明でも家族の承諾で臓器提供が可能になったことが、増加の大きな要因となっている。また、同法改正で15歳未満の子供からの提供も認められるようになった。累計1,000例目は、中国・四国地方の病院に脳出血で入院していた60代男性が、家族の承諾を得て脳死と判定された例である。今年に入り、脳死提供数は過去最多の100件となっている。しかし、欧米諸国との比較では、国内の提供者数は依然として少なく、移植を希望する患者の待機期間が長引く課題が続いている。JOTの公表資料によれば、都道府県別の脳死下の臓器提供件数にはばらつきがあり、提供の意思を積極的に生かす地域が多いと指摘されている。また、移植を希望してJOTに登録している患者数は、9月末時点で約1万5千人以上おり、昨年は待機中の429人が亡くなっている。参考1)脳死判定、累計1,000例に 臓器移植法施行から26年(共同通信)2)脳死臓器提供1,000例目は60代男性…法施行から26年、欧米と比べドナー少なく(読売新聞)3)脳死下の臓器提供、救急医学の専門家「提供の意思を生かせる体制作りを」(同)4.GLP-1ダイエットの安全性を懸念「禁止すべき」/日本医師会日本医師会は10月25日に開いた記者会見で、急増する「GLP-1ダイエット」に関して懸念を明らかにした。近年、糖尿病の治療にGLP-1受容体作動薬が承認され、臨床で用いられるようになったが、食欲抑制の副作用を用いてダイエット療法を行うため、個人輸入を行ったり、自由診療を行う医療機関を受診する患者が増えている。医師会は、臨床試験で示されている一部の副作用、とくに吐き気や下痢などがある上、GLP-1ダイエットの長期的な効果や安全性に関するデータがまだ不十分であることを指摘し、「GLP-1ダイエットを試みる際には、専門家のアドバイスや監督のもとで行うことが非常に重要である」と強調した。さらに、GLP-1ダイエットが一般の人々の間で流行する前に、適切なガイドラインや教育の提供が必要であるとの考えを示した。医師会の声明には、健康や美容目的で新しいダイエット方法を追求する中で、安全性と効果についての十分な情報を持って選択することが重要であり、不適正な処方によって出荷調整するメーカーが出現するなど、糖尿病治療に影響が出ているため、「禁止すべき」と見解を明らかにした。参考1)糖尿病治療薬等の適応外使用について(日本医師会)2)GLP-1ダイエット「禁止すべき」-日医会見で見解(日本医事新報)3)ダイエットのために糖尿病治療薬、日医が懸念「入手困難」な医療機関も(CB news)4)「糖尿病治療薬でダイエット」が横行か 品薄で薬が必要な人に届かない…専門家が「罪深い」と語る理由(東京新聞)5)日医・宮川常任理事 GLP-1ダイエット「処方ではない」 適応外使用で顕在化しない副作用に警鐘(ミクスオンライン)5.2023年度研修医マッチング率、前年度比で0.3ポイント上昇/厚労省厚生労働省は、10月26日に2023年度の研修医マッチングの結果を公表した。全国の研修医受け入れ能力の拡大に伴い、受験者全体の約98.5%が希望する施設とマッチングした。これは前年度に比べて0.3ポイントの上昇で、マッチング率の向上が続いている。とくに注目されるのは、地方都市や過疎地域でのマッチング率の上昇であり、これまでは地方都市や過疎地では研修医の確保が難しく、医師不足が深刻な問題となっていた。しかし、今年度は都市部と地方都市でのマッチング率の差が縮小。過疎地域では、地域医療の充実を目指す取り組みやインセンティブの提供などが奏功したと分析されている。一方、都市部では引き続き高いマッチング率が維持されているが、一部の大学病院や指定都市での競争率が高まる傾向がみられ、研修の質や研修施設の評価、将来のキャリアパスなどが受験者の選択に影響しているとの声もある。マッチング結果を受け、医学教育の関係者や自治体は、今後の研修医制度のさらなる充実や地域医療への取り組みを強化する方針を示している。参考1)令和5年度の医師臨床研修マッチング結果をお知らせします(厚労省)2)医師臨床研修マッチングの内定者数が減少 厚労省が23年度の結果を公表(CB news)3)市中病院にマッチした医学生は64.2% マッチング最終結果、フルマッチは21校(日経メディカル)6.2021年度の国民医療費、初の45兆円突破、高齢者医療費が6割以上/厚労省厚生労働省は、2021年度の国民医療費が前年度比4.8%増の45兆359億円となり、初めて45兆円を突破したことを発表した。医療費の増大の要因としては、新型コロナウイルス関連の医療費や、医療技術の進展、高齢化の進行が主な要因とみられる。1人当たりの医療費も前年度比で5.3%増の35万8,800円となり、とくに0~14歳の年齢層での増加が顕著だった。年齢別の医療費では、65歳以上が全体の約60.6%を占めるなど、高齢者の医療費が大きなシェアを占めていた。また、傷病別では、循環器系の疾患の医療費が全体の約19%と最も多かった。20年度は新型コロナウイルスの感染拡大による受診控えや、感染症の流行減少などで医療費が減少したが、21年度には再び増加に転じた。医療費の財源については、保険料が全体の半数、国費などの公費が全体の38%を占めていた。参考1)令和3(2021)年度 国民医療費の概況(厚労省)2)令和3年度の国民医療費は45兆359億円で過去最高(社会保険研究所)3)国民医療費は45兆円超 21年度確定値、コロナ対応で増-厚労省(時事通信)4)国民医療費、21年度4.8%増の45兆円 過去最高を更新(日経新聞)5)国民医療費が初の45兆円超え、1人あたり5.3%増の35万8,800円…21年度(読売新聞)

7560.

リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐O(アウトカム)設定の要点と実際 その2【「実践的」臨床研究入門】第37回

O(アウトカム)をより具体的で明確なものにする今回も前回に引き続き、O(アウトカム)を設定する際の要点と実際について解説します。Oの設定においても、P(対象)の設定と同様に具体的で明確(連載第35回参照)かつ測定可能なものにする必要があります。現状のOである1)末期腎不全(透析導入)は充分具体的で明確でしょうか。以前、筆者らが出版した、慢性腎臓病(CKD)患者をPとした末期腎不全(ESKF:end-stage kidney failure)発症予測モデル研究論文1)を紹介しました(連載第9回参照)。この論文は、わが国のCKD診療中核17施設から構成される、日本CKDコホート(Chronic Kidney Disease Japan Cohort:CKD-JAC)研究の解析結果を示したものです。CKD-JAC研究のプロトコル論文2)では、ESKFとは慢性(維持)透析導入もしくは腎臓移植と定義されています。透析療法への導入は慢性(永続的)だけでなく、急性腎障害などに対して一時的に行うこともあります。そのため、永続的な施行が必要とされる維持透析への導入、と定義を明確にしているのです。また、維持透析を経ることのない先行的腎移植もESKFに対して行われることがあります。ESKF発症予測モデル研究論文1)での、実際のアウトカムについての記述を見てみましょう。この論文の”Materials and methods"セクションの小見出し"Primary outcome"に、以下のように記されています。"The main outcome measure in this study was ESKF onset, defined as the need for dialysis or preemptive kidney transplantation."「本研究の主要なアウトカム指標は、ESKFの発症であり、これは透析または先行的腎移植の必要性として定義された(筆者による意訳)。」さらに以下の記述が続きます。"Time at risk was defined as the period from study enrollment to ESKF onset, departure from the study (as a result of death prior to ESKF onset, transfer to a non-CKD-JAC facility, or con-sent withdrawal), or the end of study follow-up."「リスク時間は研究への登録からESKF発症、研究からの離脱(ESKF発症前の死亡、CKD-JAC非参加施設への異動、研究参加同意の撤回)、または研究追跡期間終了まで、と定義された(筆者による意訳)。」この記述の意味を解説するために、「発生率(incident rate)」と「打ち切り(censoring)」の定義について説明します。われわれが今回、計画しているのは(後ろ向き)コホート研究です(連載第8回、第36回参照)。コホート研究は縦断研究ですので、あるat risk集団(連載第35回参照)におけるアウトカム発生のスピード(率)を計算することができます。発生率の計算式は以下のとおりです。発生率=一定の観察期間内のアウトカム発生数÷at risk集団の観察期間の合計この式の分子は、前回600例余りの症例のうち約30%でプライマリのアウトカムが観察されたことを確認しており、容易に計測できそうです。一方、この式の分母を計算するためには、「打ち切り」という概念の理解が必要となります。「打ち切り」とは、1)研究終了時点までに着目したアウトカム(われわれのRQではESKF発症)を発生しないで観察を終えること、2)何らかの事由による観察期間中での追跡不能、に大別されます。前述したESKF発症予測モデル研究論文1)の文例では、「研究からの離脱」に関する記述が「打ち切り」に該当します。また、この文例の主語である「リスク時間」が、先に示した発生率の分母(at risk集団の観察期間の合計)と同義となります。したがって、われわれのRQのOでは「打ち切り」についても定義を明確にし、以下のように改訂することにします。O:1)末期腎不全(慢性透析療法への導入もしくは先行的腎移植)*打ち切り(末期腎不全発症前の死亡、転院、研究参加同意撤回などによる研究からの離脱)、2)糸球体濾過量(GFR)低下速度1)Hasegawa T et al. Clin Exp Nephrol. 2019;23:189-198.2)Imai E et al. Hypertens Res. 2008;31:1101-1107.

検索結果 合計:35667件 表示位置:7541 - 7560