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留学!ドイツへの道【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第34回

今もなお、ドイツへ臨床留学したいと希望される先生からの相談を受けます(私はいつでもウェルカムですよ!)。ドイツでの就労では、とにかく医療従事者側のQOLが非常に高いです。年間6週間の有給休暇が取れて(むしろ取らないと怒られる)、本気を出せばヨーロッパ中の国へ車や鉄道などの陸路で旅行に行けちゃいます。写真は私が最も好きな場所の1つであるミュンヘン中央駅です。ターミナル駅で、ここからヨーロッパ中に鉄道が走っていきます。「ここから冒険が始まる」感が半端ないのです。それと「ちょっと体調悪いな~」と思えば電話1本で休みが取れるし、フランクな人をかかりつけ医に選べば、「鬱気味です」って言うだけですぐに診断書を書いてもらえるので、有給とは別に1週間くらいのお休みが簡単に取れたりします。留学で必要な3項目ドイツの医療レベルについては、よく知られている通りです。とくに循環器分野では新しいデバイスがどんどん取り入れられていて、短期間であっても留学すれば勉強になること請け合いです。ですから、ドイツ…いいと思いますよ。人生の一時期でもいいからヨーロッパで暮らしてみたいと思っている方もおられるのではないでしょうか。しかし「何から始めていいかわからない」となっちゃうと思います。かねてから私が言い続けているのは、留学で必要なのは「言語」「カネ」「コネ」の3つです。語学は勉強を頑張るしかなくて、お金は頑張って当直をいっぱいすれば何とかなると思われます。では、コネはどうやって作ったらいいの? とよく相談を受けます。これは確かに正解がなく、一筋縄ではいかないと思われます。口に出す効用コネ作りについて、私がよく勧めているのは「とにかく口に出せ」ということです。「留学? チャンスがあれば行きたいですね~」とか言っている間はダメです。たとえば、ドイツならドイツでいいので「ドイツに行きたいんだ!」ってことを、ことあるごとに口にすれば良いと思います。「いい男いたら紹介してくんない?」だと、なかなか簡単には紹介してもらえないと思います。しかし、「30歳くらいのマッチョな男がいたら紹介してよ!」だと、マッチョを見かけるたびに「あ、そういえば紹介して欲しいって言ってたよな~」と、チャンスに繋がったりするわけです。「ドイツ」と言うキーワードを出すだけで、知り合いの先生が「あ、そう言えば俺の同級生が2年前にドイツに留学してたよ。1回連絡してみる?」ってな感じで、急に輪が拡がったりします。「具体的な目標を口に出して言ってみる」ことは、想像以上の効果があると思います。何よりタダですし!ぜひ「口に出す」ことから始めてみてください!

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第87回 「そもそも麻疹を診たことがない」

フタバのフリーイラストより使用世界保健機関(WHO)から「西太平洋諸国は予防接種とサーベイランスのギャップによって麻疹発生のリスクにさらされている」という衝撃的な記事が公開されました1)。輸入リスクが高い国として、日本も麻疹の知識を身に付けておく必要があるでしょう。「西太平洋地域では2023年、世界の他の地域でみられるような大規模な麻疹の流行は発生しなかったが、この地域で360万人の子供たちが2020~22年にかけて定期予防接種を受けられなかった。世界中で麻疹が再流行しており、麻疹の輸入リスクが増大している」定期的に観測される麻疹例2月26日、奈良市保健所が、外国人観光客の20代男性が麻疹に感染していると報告しました。19日に発熱・発疹があり、同感染症と診断されました。保健所は、その行動を細かく報告しています。いつ、どこの観光都市から奈良県にやって来たのか、移動手段は何を使ったのか、など。さらに、3月1日には東大阪市でも20代男性の麻疹感染例が確認されました。なぜここまで詳細なコンタクトトレースをするかというと、麻疹の基本再生産数(R0)は12~18といわれており、1人の発症者から多くの感染者を生み出すことで知られているためです。麻疹のR0はインフルエンザウイルスの約10倍で、免疫がない人が接触すると、ほぼ100%感染するといわれています。しかし、現在はワクチンのおかげで麻疹というものは流行しなくなりました。「なぜこんなに慌てるんですか?」と感じている医療従事者もいるかもしれません。私が子供のときは、麻疹にかかる人はそれなりにいたので、いやほんとジェネレーションギャップを感じます。麻疹が全数届出になった2008年の年間届出数は約1万例で、そのあとは激減の一途をたどっており、2022年はわずか6例でした。ここまで減るかというくらい、本当に減ったのです。もはやレアな疾患ですから、複数例アウトブレイクしようものなら、報道になるのです。ワクチン接種歴の確認を医療従事者に限ったことではありませんが、自身に麻疹ワクチン接種歴があるかどうか、母子手帳がある人はご確認ください。麻疹ワクチンが定期接種になったのは1978年で、当時1回の定期接種でした。1回の接種では十分な免疫がないため、2008年に特例措置によって、追加接種が行われました。そのため、2000年以降に生まれた方は、2回の定期接種を受けている可能性が高いでしょう。私みたいなオッサン世代が一番自分自身のワクチン接種歴を把握していなかったりするので、一度皆さんご確認ください(表)。追加接種は自費ですが、たいがい1万円以内で接種できますし、成人でも接種可能です。画像を拡大する表. 麻疹のワクチン接種歴(筆者作成)麻疹の臨床経過麻疹の症状についておさらいしておきましょう。教科書で知っていても、目の前にやって来ると診断できない可能性があります。まず潜伏期間ですが、10~12日と長いです。接触感染だけでなく、空気感染する点に注意が必要です。そのため、R0がむちゃくちゃ高いのです。初発症状は、発熱、咳、鼻水、のどの痛みなど感冒症状があります。いったん治癒すると思われた矢先、高熱と発疹が同時にやって来ます(図)。この激烈な「2峰性」が麻疹の特徴です。発疹が出てくる1~2日前に口の中の頬の裏側に、やや隆起した小さな白い斑点(Koplik斑)が出現することが特徴的といわれてきましたが、風疹や他のウイルス感染症でも出現することがわかっており、必ずしも特異度が高いとは言えません。画像を拡大する図. 麻疹の典型的経過(筆者作成)成人の場合、中途半端な免疫がある場合(1回接種者など)、軽症で非典型的な「修飾麻疹」になることがあります。そうなるとさらに診断が困難となります。何よりも、いざというときに麻疹の存在を疑えることが重要といえます。参考文献・参考サイト1)WHO:Western Pacific countries at risk of measles outbreaks due to immunization and surveillance gaps. 2024 Mar 1.

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ADHDと6つの精神疾患リスクとの関連

 注意欠如・多動症(ADHD)とさまざまな精神疾患との合併率の高さは、観察研究や診断基準などから示唆されている。中国・重慶医科大学のYanwei Guo氏らは、ADHDと6つの精神疾患との潜在的な遺伝的関連性を調査するため、メンデルランダム化(MR)研究を実施した。BMC Psychiatry誌2024年2月5日号の報告。 2サンプルのMRデザインを用いて、ADHDと6つの精神疾患のゲノムワイド関連研究(GWAS)に基づき、遺伝的操作変数(IV)をシステマティックにスクリーニングした。主なアプローチとして、逆分散重み付け(IVW)法を用いた。 主な結果は以下のとおり。・IVW MR分析では、ADHDと自閉スペクトラム症リスクとの間に正の相関が認められた(オッズ比[OR]:2.328、95%信頼区間[CI]:1.241~4.368)。・ADHDは、統合失調症のリスク増加に対する正の関連も認められた(OR:1.867、95%CI:1.260~2.767)。・ADHDとチック症、知的障害、気分障害、不安症との関連は認められなかった。 著者らは「ADHDは、自閉スペクトラム症および統合失調症のリスク増加と関連していることが示唆されたことから、ADHD患者では、両疾患との合併をさらに注意し、タイムリーな介入や治療が必要であることが明らかとなった」としている。

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薬不足をリアルに感じている患者は2割/アイスタット

 近年では、都市部で24時間営業の薬局が出現したり、インターネットで市販薬が購入できたりと市販薬購入のハードルはさらに下がってきた。また、不急ではない病気やけがでは、医療機関に頼らず市販薬で様子をみるという人も多いのではないだろうか。 こうした「薬をもらうなら病医院へ」の常識が変わりつつある今、薬不足、オーバードーズなど薬に関する深刻な問題も顕在する。また、一般人のジェネリック医薬品(後発品)の服用状況や飲み切らなかった処方箋薬の扱いなどの実態を知るためにアイスタットは、薬に関するアンケート調査を2016年5月の第1回に続き、今回実施した。調査概要形式:Webアンケート形式調査期間:2024年2月15日回答者:セルフ型アンケートツールFreeasyに登録している20~69歳の300人アンケート概要・最近1年間で処方箋薬を服用した人は6割近く。年代が高くなるほど服用率が多い・最近1年間で市販薬を服用した人は6割を超える。40代の服用が最多・最近1年間の薬の服用割合は、「処方箋薬」より「市販薬」の方が多い・最近1年間で「処方箋薬」「市販薬」の両方を服用している「併用型」の人は4割・日本国内で薬不足が深刻な問題になっている中、実際に薬不足を感じている人は2割・処方箋薬を処方された人(280人)のうち、飲み切らない人は約8割 飲み切らない人(218人)のうち、再発時に残った薬を服用する人は8割、捨てる人は2割 残った薬の使用期限は、「処方日から1年未満であれば再発時に服用する」が最多・ジェネリック医薬品を拒否する人は1割弱・オーバードーズについて「問題である」と思っている人は7割・37.5℃以上の発熱ではじめにすること第1位は「市販薬で様子をみる」基本ジェネリック医薬品でよいとする人は7割超 質問1で「最近1年間で、病医院で処方された薬(処方箋薬)をどのくらいの頻度で服用したか(内服薬、外服薬を問わず)」(単回答)について聞いたところ、「服用したことはない」が42.3%、「毎日」が34.0%、「体調が悪いとき、体調を改善したいときのみ」が14.0%という順で多かった。この回答を服用の有無別にみると、最近1年間で処方箋薬の服用がある人は6割近くいた。年代別では、服用の有無で「ある」と回答した人は「60代」で最も多く、年代が高くなるにつれ服用率が高い傾向がみられた。 質問2で「最近1年間で、ドラッグストアなどの店頭で購入した薬をどのくらいの頻度で服用したか(内服薬、外服薬を問わず)」(単回答)について聞いたところ、「体調が悪いとき、体調を改善したいときのみ」が48.7%、「服用したことはない」が39.0%、「定期的に」が7.3%の順で多かった。服用の有無別にみると、最近1年間で市販薬を服用した人は6割を超えていたほか、年代別で服用の有無で「ある」を回答した人は「40代」で最も多かった。 質問3で「最近1年間のうち、『薬不足』を感じたことがあるか」(単回答)について聞いたところ、「薬不足を感じなかった」が82.3%、「薬不足を感じた」が17.7%だった。薬を必要とする人(205人)のみを抽出し、解析した結果、「薬不足を感じなかった」が79.5%、「薬不足を感じた」は20.5%だった。ほぼ全体と同様の回答動向だった。なお、薬不足を感じた人の内訳は、「ドラッグストアなどの店頭のみ感じた」が7.3%、「病医院の処方箋薬のみ感じた」が6.8%、「両方で感じた」が6.3%だった。 質問4で「薬不足を感じた」と回答した53人に「最近1年間のうち、『薬不足』を感じた理由」(複数回答)について聞いたところ、「ドラッグストアや薬局でいつも購入している薬がなく、他の薬を購入した」が37.7%、「病医院でいつも服用している薬がなく、やむを得ず別の薬を処方された」が32.1%、「病医院で処方される薬の個数が減少したと感じた」「ニュースや身近の人の話を聞いて」が同率で22.6%と多かった。 質問5で「医療機関や薬局で処方された飲み薬をすべて服用しなかった場合、その薬はどうしているか」(単回答)について2群に分けて聞いた。はじめに「今まで飲み薬を処方されたことはない」と回答した20人を除いた280人を対象に処方箋薬の「飲み切り状況」を聞くと、処方箋薬を「飲み切らない人」が77.9%、「今まで残したことはない」が22.1%で、処方箋薬を飲み切らない人は約8割だった。次に、処方箋薬を飲み切らない人(218人)への同じ質問では、再発時に残った薬を服用する人は8割、捨てる人は2割だった。さらに残った薬の使用期限を調べてみると、「処方日から1年未満であれば再発時に服用する」が27.5%、「処方日から3年以上でも服用する」が17.0%と多かった。 質問6で「医療機関や薬局でジェネリック医薬品(後発品)を薦められた場合の回答」(単回答)について聞いたところ、「常に問題ないと答える」が49.7%、「自らお願いする」が23.7%、「どの疾患の治療薬かに応じて、選択有無を決める」が20.3%と多かった。 質問7で「『オーバードーズ』(過剰摂取)についてどう思うか」(単回答)について聞いたところ、「問題である」が74.7%で、「どちらともいえない」が15.0%、「問題であると思わない」が10.3%であった。年代別の解析では、「問題である」と回答した人は「50代」で最も多かった一方、「問題であると思わない」と回答した人は「20代/30代」の若者世代で最も多かった。 質問8で「37.5℃以上の発熱をした場合、はじめにすること」(単回答)について聞いたところ、「市販の風邪薬・解熱剤で様子をみる/対処する」が43.3%、「薬や病医院の受診に頼らず、安静にして様子をみる/対処する」が29.3%、「すぐに、発熱外来を予約/受診する」が12.7%で多かった。年代別では、「20代/30代」に「自己検査キット」「発熱外来へ受診」が多く、「50代」に「市販薬」「処方箋薬の残り」が、「60代」に「薬や受診に頼らず、安静にする」という回答が多かった。 質問9で発熱しても「すぐに発熱外来に行かない人(262名)」に「37.5℃以上の発熱をした場合、『すぐに発熱外来を受診しない』理由」(複数回答)について聞いたところ、「高熱でなければ、病医院に行く必要性を感じないから」が40.5%、「病医院の通院・診療が面倒だから」が27.9%、「費用がかかるから」が21.8%で多かった。処方箋薬と市販薬で服用が多いのは アンケ―ト結果から「処方箋薬」と「市販薬」の服用状況を解析したところ、「毎日」「定期的に」の服用割合は「処方箋薬」の方が多く、「体調が悪いとき、体調を改善したいときのみ」の服用割合は「市販薬」の方が多かった。一方、「服用したことはない」を除いた合計では、「処方箋薬」が57.7%、「市販薬」が61.0%で、「処方箋薬」より「市販薬」の方が多いことが判明した。 アンケ―ト結果から「薬の服用タイプ」を集計したところ、「処方箋薬」「市販薬」の両方を服用している「併用型」の人は43.0%、病医院を受診せずに「市販薬のみ」で対処する人は18.0%、「処方箋薬のみ」で対処する人は14.7%、「服用なし」の人は24.3%であり、「併用型」が最も多かった。

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医師が過小評価した心房細動、予後にどう影響?/慶應義塾大学

 医師による心房細動患者の健康状態の評価と、その後の治療および転帰との関連を調査した結果、医師は心房細動患者の健康状態を過小評価していることが少なくなく、過小評価している場合はその後の治療の積極性が低く、1年後の健康状態の改善が乏しいことを、慶應義塾大学の池村 修寛氏らが明らかにした。JAMA Network Open誌2024年2月5日号掲載の報告。 外来における心房細動の主な治療目標は、患者の症状・機能や生活の質を最適化することであるが、これは医師が心房細動患者の健康状態を正確に評価することで可能になる。そこで研究グループは、医師による心房細動患者の健康状態の評価と、その後の治療および転帰との関連性を調査するため、多施設共同前向きコホート研究を実施した。 対象は、2018年11月8日~2020年4月1日に東京都内の3次医療機関2病院(慶應義塾大学病院、東京医療センター)で新たに心房細動と診断された患者、または心房細動の初回評価のために紹介されて外来を受診した患者であった。データ分析は2022年12月22日~2023年7月7日に実施された。主要アウトカムは、医師・患者の健康状態の評価の一致と治療エスカレーション(抗不整脈薬の変更または開始、除細動やカテーテルアブレーションの実施)との関連、1年後のAFEQT(Atrial Fibrillation Effect on Quality-of-Life)スコアの変化であった。 患者報告による健康状態として、AFEQT質問票を用いて、症状、日常生活、治療不安の3領域の評価を組み合わせたAFEQTスコアを登録時と1年後に収集した。医師は、診察直後に簡略版の質問票を用いて、心房細動患者の前月の症状、日常生活、治療不安を評価した。各領域の項目に対する患者回答と医師評価のスコアの差から、医師が患者の健康状態を適正評価、過小評価、過大評価しているかを判断した。 主な結果は以下のとおり。・心房細動患者330例が登録・解析された。男性は238例(72.1%)、平均年齢(SD)は67.9(11.9)歳、発作性心房細動は163例(49.4%)であった。・医師が健康状態を適正に評価した患者は112例(33.9%)、過小評価した患者は42例(12.7%)、過大評価した患者は176例(53.3%)であった。・健康状態が過小評価された群は、適正に評価された群に比べてより若く(平均年齢[SD]:63.7[10.6]歳vs.65.6[12.3]歳)、心房細動アブレーションの治療歴があった(19.0% vs.8.0%)。・206例(62.4%)の患者が初回評価から1年以内に治療がエスカレーションされた。健康状態が過小評価された群の実施率は47.6%で、適正に評価された群(63.6%)や過大評価された群(66.3%)よりも少なかった。・多変量調整後、健康状態の過小評価は治療エスカレーションの頻度の低さと独立して関連していた(調整オッズ比:0.43、95%信頼区間:0.20~0.90、p=0.02)。・適正または過大評価された群と比べて、過小評価された群では1年後のAFEQTスコアの改善が有意に低く(p=0.01)、とくに症状領域のスコアの改善が顕著に低かった(p<0.001)。

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市中誤嚥性肺炎、嫌気性菌カバーは必要?

 誤嚥性肺炎の治療において、本邦では嫌気性菌カバーのためスルバクタム・アンピシリン(SBT/ABPC)などが用いられることがある。しかし、海外では誤嚥性肺炎の0.5%にしか嫌気性菌が認められなかったという報告もあり1)、米国胸部学会/米国感染症学会(ATS/IDSA)の市中肺炎ガイドライン2019では、嫌気性菌カバーは必須ではないことが記載された2)。また、2023年に実施されたシステマティックレビューにおいて、嫌気性菌カバーの有無により、誤嚥性肺炎患者に転帰の差はみられなかったことも報告されている3)。しかし、本レビューに含まれた論文は3本のみであり、サンプルサイズも小さく、結論を導くためには大規模研究が必要である。そこで、カナダ・クイーンズ大学のAnthony D. Bai氏らは、約4千例の市中誤嚥性肺炎患者を対象とした多施設後ろ向きコホート研究を実施した。その結果、嫌気性菌カバーは院内死亡リスクを低下させず、C. difficile大腸炎リスクを上昇させた。本研究結果は、Chest誌オンライン版2月20日号で報告された。嫌気性菌カバーで院内死亡率は改善せずにC. difficile大腸炎リスクが上昇 研究グループは、カナダの18施設において市中誤嚥性肺炎で入院した患者のうち、入院から48時間以内に抗菌薬が投与された3,999例を対象とした後ろ向き研究を実施した。セフトリアキソン、セフォタキシム、レボフロキサシンが投与された患者を非カバー群(2,683例)とした。アモキシシリン・クラブラン酸※、モキシフロキサシンが投与された患者、非カバー群の薬剤とクリンダマイシンまたはメトロニダゾールが併用された患者を嫌気性菌カバー群(1,316例)とした。主要評価項目は院内死亡、副次評価項目はC. difficile大腸炎の発現、治療開始後のICU入室であった。なお、両群間の背景因子を調整するため、傾向スコアオーバーラップ重み付け法を用いて解析した。※:本研究が実施されたカナダではSBT/ABPCが使用できないため、SBT/ABPCに相当するものとした。 市中誤嚥性肺炎治療で嫌気性菌カバーの有無による転帰の差を評価した主な結果は以下のとおり。・市中誤嚥性肺炎患者の入院期間中央値は非カバー群6.7日、嫌気性菌カバー群7.6日であった。・市中誤嚥性肺炎患者の院内死亡率は非カバー群30.3%(814例)、嫌気性菌カバー群32.1%(422例)であった。・傾向スコアによる背景因子の調整後の院内死亡リスクの群間差は1.6%(95%信頼区間[CI]:-1.7~4.9)であり、両群間に有意差は認められなかった。・C. difficile大腸炎の発現率は非カバー群0.2%以下(5例以下)、嫌気性菌カバー群0.8~1.1%(11~15例)であった。・傾向スコアによる背景因子の調整後のC. difficile大腸炎の発現リスクの群間差は1.0%(95%CI:0.3~1.7)であり、嫌気性菌カバー群で有意にリスクが高かった。・治療開始後のICU入室率は非カバー群2.5%(66例)、嫌気性菌カバー群2.7%(35例)であった。 著者らは、本研究には抗菌薬を必要としない誤嚥性肺炎患者が含まれる可能性があること、院外死亡や再入院の評価ができなかったこと、多くの患者で肺炎の原因菌が特定できていなかったことなどの限界が存在することを指摘しつつ、「誤嚥性肺炎において、嫌気性菌カバーは院内死亡率を改善せず、C. difficile大腸炎リスクを上昇させることから不要である可能性が高いと考えられる」とまとめた。

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RET融合遺伝子陽性の固形がん、セルペルカチニブの有効性(LIBRETTO-001)/日本臨床腫瘍学会

 RET融合遺伝子は主に非小細胞肺がん(NSCLC)や甲状腺がんにみられるが、それ以外のがん種でもまれではあるものの認められることがある。RET受容体型チロシンキナーゼ阻害薬セルペルカチニブは、本邦ではRET融合遺伝子陽性のNSCLCおよび甲状腺がん、RET遺伝子変異陽性甲状腺髄様がんにおける治療薬として用いられている。セルペルカチニブは脳転移を有するNSCLC患者において良好な頭蓋内奏効を示し1)、肺がん・甲状腺がん以外のRET融合遺伝子陽性の進行固形がんでも、有望な抗腫瘍活性を示すことが報告されている2)。第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)において、大江 裕一郎氏(国立がん研究センター中央病院 副院長/呼吸器内科長)が、国際共同第I/II相バスケット試験(LIBRETTO-001)の肺がん・甲状腺がん以外の患者を対象とした最新の解析結果を報告した。 LIBRETTO-001試験は、RET融合遺伝子陽性の進行・転移固形がん患者を対象とした国際共同第I/II相非盲検バスケット試験で、用量漸増パートと用量拡大パートから構成されている。用量拡大パートでは、セルペルカチニブ160mgを1日2回経口投与した。本解析は、肺がん・甲状腺がん以外の固形がん患者55例(有効性解析対象集団は52例)が対象となった。主要評価項目は独立判定委員会(IRC)評価に基づく奏効割合(ORR)で、副次評価項目は治験責任医師評価に基づくORR、奏効期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性であった。 主な結果は以下のとおり。・有効性解析対象集団の年齢中央値は54.0歳(範囲:21~85)、前治療歴なしが9.6%、1~2ラインが61.5%、3ライン以上が28.8%であった。・有効性解析対象集団におけるがん種は16種類で、膵がんと大腸がんが最も多かった(いずれも13例[25.0%])。そのほかは唾液腺がん4例(7.7%)、肉腫、原発不明がん、胆管がん3例(5.8%)などであった。・IRC評価に基づくORRは44.2%(CR:3例、PR:20例)で、日本人集団(11例)では63.6%(CR:2例、PR:5例)であった。膵がんでは53.8%、大腸がんでは30.8%であった。・追跡期間中央値24.8ヵ月時点のPFS中央値は13.2ヵ月で、日本人集団では18.7ヵ月(追跡期間中央値33.1ヵ月)であった。・DoR中央値は37.2ヵ月で、日本人集団では17.3ヵ月であった。・追跡期間中央値33.2ヵ月時点のOS中央値は18.0ヵ月で、日本人集団では18.7ヵ月(追跡期間中央値34.4ヵ月)であった。・多く認められた有害事象(30%以上に発現)は、ALT上昇(45.5%)、AST上昇(36.4%)、下痢(32.7%)、口渇(32.7%)、高血圧(30.9%)であった。・安全性に関する新たなシグナルは認められなかった。 本研究結果について、大江氏は「セルペルカチニブはRET融合遺伝子陽性の固形がん患者において、持続的な抗腫瘍活性と忍容可能な安全性を示した。日本人集団の有効性・安全性は全体集団と同様であった。RET融合遺伝子などのactionableな遺伝子異常を同定するためには、全がん種でCGP検査を実施することが重要である」とまとめた。 なお、セルペルカチニブのRET融合遺伝子陽性固形がんへの適応追加について、日本イーライリリーが厚生労働省へ承認申請中である。

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小児インフルワクチンの最適な接種月/BMJ

 2~5歳の小児に対するインフルエンザワクチン接種の最適な時期について調べた住民ベースのコホート試験で、誕生月が予防健診受診の時期に影響を与えることからワクチン接種のタイミングと関連することが示され、その結果、10月生まれの小児は10月にワクチン接種を受ける可能性が最も高く、インフルエンザと診断される可能性が最も低かった。11月および12月に接種を受けた小児については、インフルエンザと診断される可能性が低かったが交絡因子の存在が示唆されたという。米国・ハーバード大学医学大学院のChristopher M. Worsham氏らが、米国でインフルエンザワクチン接種を受けた2~5歳の小児約82万人を対象に行ったコホート試験の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「10月のワクチン接種促進の推奨と一致した結果が得られた」とまとめている。BMJ誌2024年2月21日号掲載の報告。2011~18年にワクチン接種を受けた2~5歳について検証 研究グループは、2011~18年にインフルエンザワクチンの接種を受けた民間医療保険に加入する8月1日~1月31日に出生した2~5歳の小児を対象に、住民ベースコホート試験を行った。 主要アウトカムは、接種を受けた小児の誕生月別によるインフルエンザ診断率であった。10月生まれの小児、インフルエンザ診断率2.7%と最低 全体で、2~5歳の小児81万9,223例がインフルエンザワクチンの接種を受けていた。 11月および12月に接種を受けた小児は、インフルエンザと診断される可能性が最も低かった。ただしこの結果については、ワクチン接種の時期と、インフルエンザのリスクに影響を与える交絡因子が存在している可能性が示唆された。 ワクチン接種は概して、小児が予防的に受ける定期健診の際や誕生月に受けており、10月生まれの小児は10月にワクチン接種を受ける割合が高く、平均すると8月生まれの小児より遅く、12月生まれの小児より早くワクチン接種を受けていた。 また、10月生まれの小児は、インフルエンザ診断率が最も低かった。たとえば、8月生まれの小児のインフルエンザ診断率3.0%(6,462/21万2,622例)に対して、10月生まれの小児は2.7%(6,016/22万4,540例)だった(補正後オッズ比:0.88、95%信頼区間:0.85~0.92)。

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うつ病に有効な運動は?/BMJ

 運動はうつ病にとって有効な治療法であり、とくに運動強度が強いウォーキングやジョギング、ヨガ、筋力トレーニングが他の運動よりも有効であり、またヨガと筋力トレーニングは他の治療法と比べて忍容性が良好であることが示された。運動は、併存疾患の有無やうつ病の重症度を問わず、有効性は同等とみられることも示唆されたという。オーストラリア・クイーンズランド大学のMichael Noetel氏らが、無作為化試験のシステマティックレビューとネットワークメタ解析の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「今後の研究では、参加者やスタッフを盲検化することを目指せば、期待される効果を軽減することができるだろう」と指摘したうえで、「これらの運動は、うつ病治療の中心的な治療法として、心理療法や抗うつ薬と並んで検討されるものとなるだろう」とまとめている。BMJ誌2024年2月14日号掲載の報告。ネットワークメタ解析で、最適な運動量および方法を特定 研究グループは、心理療法、抗うつ薬およびコントロール条件との比較により、大うつ病性障害の治療に対する最適な運動量および方法を特定することを目的として、無作為化試験のシステマティックレビューとネットワークメタ解析を行った。 Cochrane Library、Medline、Embase、SPORTDiscus、PsycINFOデータベースを検索。大うつ病の臨床カットオフ値を満たす参加者を対象として、運動療法の効果について検討したあらゆる無作為化試験を適格とした。 スクリーニング、データ抽出、コードおよびバイアスリスクの評価は、2人の独立した著者により実行。主要解析では、アームベースのベイジアンマルチレベルネットワークメタ解析を行い、各群のエビデンスの質は、オンラインツールのCINeMA(confidence in network meta-analysis)を用いて等級付けした。筋力トレーニングとヨガが最も受容性が高い 検索により、218の特異的な研究(495群、被験者1万4,170例)が対象に含まれた。 アクティブコントロール群(例:通常ケア、プラセボ錠剤)と比較して、ウォーキングまたはジョギング(1,210例、κ=51、Hedges' g:-0.62[95%信用区間[CrI]:-0.80~-0.45])、ヨガ(1,047例、33、-0.55[-0.73~-0.36])、筋力トレーニング(643、22、-0.49[-0.69~-0.29])、混合有酸素運動(1,286、51、-0.43[-0.61~-0.24])、太極拳または気功(343、12、-0.42[-0.65~-0.21])は、うつ病を中程度に軽減したことが認められた。 運動の効果は、運動の強度に比例しており、筋力トレーニングとヨガが最も受容性の高い運動であることが示唆された。 結果は、出版バイアスに対して頑健であるとみなされたが、バイアスリスクが低いとのCochrane基準を満たした研究は1件のみであった。そのため、CINeMAによる信頼度はウォーキングまたはジョギングでは低く、その他の治療については非常に低いとの結果だった。

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3月6日 世界リンパ浮腫の日【今日は何の日?】

【3月6日 世界リンパ浮腫の日】〔由来〕2016(平成28)年にアメリカ・上院でリンパ浮腫の認識を高めるために3月6日を「World Lymphedema Day」(世界リンパ浮腫の日)と制定。そして、同じくリンパ浮腫の正しい知識と情報を共有し、治療環境の発展などを目的に患者と医療者の会である「リンパカフェ」が2018(平成30)年に制定。関連コンテンツ浮腫の見分け方、発症形式と部位を押さえよう!【Dr.山中の攻める!問診3step】浮腫による蜂窩織炎の再発予防、圧迫療法は有効か/NEJM乳がんリンパ浮腫のセルフケア、Webとパンフレットどちらが効果的術前化学療法を受けた乳がん患者の術後上肢リンパ浮腫、リスク因子は?/JAMA Surgery

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ハチ刺傷【いざというとき役立つ!救急処置おさらい帳】第12回

今回はハチ刺傷についてです。園芸作業をしているとき、洗濯物を干しているとき、登山をしているときなどいろいろな場所でハチに刺されることがあります。その際の対処法をTintinalli’s Emergency medicineと当直御法度を参考にしながらおさらいしましょう1,2)。なお、大量のハチに刺され、腫脹が大関節をまたぐほど広範囲の場合は対応が大きく異なるため、今回は一匹のハチに刺され、腫脹が大関節をまたがない事例を対象とします。<症例>50歳、男性主訴ハチに刺された病歴庭の草をむしっていたところ、右指先をハチに刺された。痛みが非常に強いため救急要請。アレルギー歴、既往歴、服薬歴特記事項なしさて、この患者さんが受診した場合どうしましょうか。順を追ってみていきましょう。(1)アレルギー症状の有無通常は、ハチに刺されたのみでは命にかかわることはありません。命にかかわる原因の最多がアナフィラキシーですので、まずはアナフィラキシー症状があるかどうかを確認しましょう。本症例は痛みが強いという主訴以外は、粘膜浮腫や呼吸症状、消化器症状、皮疹はありませんでしたので、アナフィラキシー症状はなしと判断しました。(2)針が残存していないかの確認アシナガバチやスズメバチは針を残しませんが、ミツバチは刺した後に針を残します。針が残っていれば除去する必要がありますが、除去の際に攝子や毛抜きを使って引き抜くのは避けます。針の中にある毒素をさらに注入してしまいます。爪やガーゼ、メスなどで軽くこすりながら取りましょう。こちらの動画はガーゼを用いて除去していてわかりやすいので参考にしてください。本患者には毒針がありませんでした。(3)洗浄と疼痛コントロール刺された部位を洗浄し、清潔に保ちましょう。鎮痛薬はロキソプロフェンやアセトアミノフェンなどで対処します。かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬を処方しましょう。外用ステロイド薬に関しては推奨する根拠がないため私は処方していません。痛みが強い場合は、リドカインとステロイドを局所注射する方法もあります2)。本症例のように疼痛が強い場合は、なるべく早く鎮痛薬を飲ませるのが患者の疼痛緩和のためにもよいです。アセトアミノフェンとロキソプロフェンを内服してもらったのですが、それでも疼痛が強く、過換気を起こしてしまいました。手指の先端であったため血流障害も検討しましたが、毛細血管再充満時間(CRT)は正常でした。本当に痛みが強いだけであったためリドカインを用いて指ブロックを行いました。(4)外来フォロー基本的に私は症状に合わせて対症療法を行い、外来フォローはしていません。ただし、数日経って痛みが急激に強くなるなどの症状が出た場合は、刺傷部の感染の可能性があるため医療機関を受診するように指導しています。この患者さんは上記の処置で疼痛が緩和し、症状も安定したため、アセトアミノフェンを処方して治療終了とし、とくに外来フォローの必要性はありませんでした。今回は、暖かくなってくると時折見かけるハチ刺傷の対処法のまとめでした。突然出会うと困ることもありますので、参考にしていただければと思います。1)Tintinalli JE, et al. Tintinalli’s Emergency Medicine: A Comprehensive Study Guide8th edition. McGraw-Hill Education;2016.2)寺沢 秀ほか. 研修医当直御法度 ピットフォールとエッセンシャルズ第6版. 三輪書店;2016.

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“抗加齢医学”の実学創造~北里 柴三郎博士の思いを継いで~

第24回日本抗加齢医学会総会が2024年5月31日(金)~6月2日(日)の3日間、熊本城ホールにて開催される。今回のテーマは『実学創造~老化制御の一新紀元』。大会長である尾池 雄一氏(熊本大学大学院生命科学研究部分子遺伝学講座 教授/熊本大学医学部長)に本総会に込める思いや注目演題について話を聞いた。予防医学の父、北里 柴三郎氏の精神を引き継ぐ2024年は新日本銀行券が発行されますが、新たな千円札紙幣の顔となる北里 柴三郎博士の生誕の地がこの熊本です。私自身も博士のモットーである『“実学の精神”をもって社会に貢献』にならい、これまで当たり前のように受け入れてきた年齢を重ねることで発症リスクが高まる脳・心血管疾患、悪性腫瘍など加齢関連疾患の発症を”抗加齢医学”の実践により予防するための研究を進めてきました。その思いを詰め込み、本学会総会初となる地方都市開催の実現とともに、北里 柴三郎博士の玄孫にあたる北里 英郎氏による講演「近代医学の父、予防医学の礎を築いた北里 柴三郎博士の功績」ほか、北里 柴三郎博士の意思、精神を引き継ぎ、抗加齢医学の実学創造に挑む関連演題をお届けします。また、会長企画シンポジウムでは、1)コホート研究から健康長寿の鍵を紐解く、2)ミトコンドリア研究から老化制御の実学創造/ミトコンドリア先制医療、3)Inflammagingから老化に迫る、4)老化を予測・制御する最先端研究といったテーマで各々の領域でご活躍されているの方々にご講演いただく予定です。また、『生物はなぜ死ぬのか』の著者で知られる小林 武彦氏(東京大学定量生命科学研究所附属生命動態研究センター 教授)、新たな年齢指標「epigenetic clock(生物学的年齢)」を開発したSteve Horvath氏(米国・カルフォルニア大学)、世界的なエイジング医学ジャーナルnpj Aging編集長のMarco Demaria氏(オランダ・フローニンゲン大学医療センター)を海外からお招きし、抗加齢医学におけるグローバルな話題も提供いたします。予防医学に光明、ミトコンドリア研究が熱い! 私は病的な老化を制御・予防する観点から主に2つの柱で研究を進めております。一つがミトコンドリア機能制御の解明と抗加齢医学への応用です。ヒトの細胞は一人あたりに約200種類、数十兆個が存在していますが、各々の細胞が正常に機能するにはエネルギーが不可欠です。ここで重要なのがミトコンドリアであり、ほぼすべての細胞においてエネルギーを生成する発電所的な役割を果たしているわけです。しかし、このミトコンドリアの機能が異常を示せば細胞レベルで異常がみられるようになり、また、機能異常が進むと、酸化ストレスとも呼ばれる活性酸素(ROS)が細胞内で産生されて体内の老化が一気に加速してしまいます。つまり、ミトコンドリアの機能をいかに正常に保つかが非常に重要課題であることから、さまざまな研究が進められており、近年ミトコンドリアだけにフォーカスした国際シンポジウムが頻繁に開催されたり、CellやNatureといった世界のトップ科学雑誌に新たな研究成果が立て続けに掲載されたりするなど、とても競争が激しくホットな領域なのです。たとえば、“細胞内小器官“であるミトコンドリアが、隣接する細胞間や遠隔の細胞間でやりとりされ、お互いの細胞機能に関わり老化に影響を与えることや、ミトコンドリアの機能に重要なミトコンドリアを構成するタンパク質の合成が活性化されていることが長寿に重要であることなど解明されており、ミトコンドリアを標的とした薬剤やサプリメントの開発など、抗加齢医学への応用が着実に進められています。そこで、皆さまにミトコンドリア研究の今を知ってもらうために、会長企画シンポジウムとしてご用意いたしました。老化に抗う時代の到来か!?もう一つの研究の柱が炎症老化(Inflrammaging)です。これは炎症を意味するinflammationと老化を意味するagingを組み合わせた造語で、老化に伴う慢性炎症のことです。炎症自体は感染や組織損傷への防御反応で、その多くは改善すれば自然と収まるものなので、悪いものではありません。しかしこれまでも、何らかの原因で炎症が遷延し慢性炎症を惹起し、がん化などに繋がることは注目されていました。しかし近年、老化した個体の中で変化し生じるさまざまな機構により慢性炎症が生じ、細胞/臓器/身体の機能低下をもたらし、老化表現型の出現および加齢関連疾患の発症・進展に寄与していることが明らかとなってきました。上述のミトコンドリアの変化も老化に伴う慢性炎症の原因の一つです。現在の老化予防としては老化細胞を除去(セノリシス)する方法や、それとは別に老化細胞のinflammagingなど老化を促進する特徴的な機能を阻害するセノモルフィックな戦略が注目され、既に米国を中心にヒトでの臨床研究が進んでおります。われわれもまた抗老化医学の実学創造の柱としてinflammagingの解明とその制御に挑んでおり、会長企画シンポジウムでもこの話題を盛り込みました。このほか、さまざまな視点から抗加齢に着目した教育講演やシンポジウム、日本血管生物医学会、日本肝臓学会、健康食品産業協議会などとの共催シンポジウム、2025年に向けた大阪万博や世界長寿サミットに関するセッションなどを取り揃え、どんな専門分野の医師、医療関係者も楽しめる総会となっています。ぜひ現地にて皆さまのご参加をお待ちしております。

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第202回 2024年診療報酬改定の内容決まる(後編) 「メリハリ」効かせ過ぎの敷地内薬局、調剤報酬激安化で患者数増加、逆に市中薬局離れ加速の可能性も

成田赤十字病院で人工肛門を大腸ではなく胃に造設する医療過誤発覚こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。先週末、腰を抜かしそうな医療過誤のニュースが入って来ました。2022年に千葉県成田市の成田赤十字病院(青墳 信之院長)で行われた手術で、誤って人工肛門を大腸ではなく胃に造設していたというのです。3月1日付の共同通信等の報道によれば、患者は70歳代の女性で、手術には執刀医のほかに医師2人も立ち会っていたにもかかわらず、横行結腸か胃かを十分に確認することなく漫然と手術を行い胃に人工肛門を造設、術後の検査でやっとミスが発覚したとのことです。女性は再手術を受けた後、快方に向かっていましたが、今年1月に死亡しています。家族は2月27日、病院を運営する日本赤十字社(東京都港区)に計600万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴し、今回の医療過誤が表沙汰になりました。病院は医療過誤を認めているとのことです。日赤の病院の医療過誤としては、本連載の「第199回 脳神経外科の度重なる医療過誤を黙殺してきた京都第一赤十字病院、背後にまたまたあの医大の影(前編)」、「第200回 同(後編)」でも書いた、京都第一赤十字病院の事例が記憶に新しいところです。京都の隠蔽事例と大きく違うのは、今回は、腸と胃を間違えるという重大な過誤であり、患者家族が目で見てもわかりそうなミスだったということです。いずれにせよ、医療事故や医療過誤に対する日赤の体制には大きな問題があると言わざるを得ません。詳細がわかればまた続報しようと思います。普及・定着が全く進まなかったリフィル処方箋、テコ入れへさて、今回も前回に続き、2024年度診療報酬改定の内容のうち、本連載でも過去に取り上げた項目を中心に、いくつかその内容を見てみたいと思います。まず、2022年改定で財務省主導の鳴り物入りで導入された「リフィル処方箋」ですが、その普及・定着がまったく進まず医療費削減効果も軽微だったことから、大幅なテコ入れが行われます。リフィル処方箋については、2022年の診療報酬改定時に、本連載の「第96回 2022年診療報酬改定の内容決まる(前編)オンライン診療初診から恒久化、リフィル処方導入に日医が苦々しいコメント」でも詳しく書きました。2022年度改定における改定率決定の際の大臣合意では、リフィル処方箋の導入・活用促進による医療費効率化効果を、改定率換算でマイナス0.1%(医療費470億円程度)と見込んでいました。しかし、2023年11月に開かれた財政制度等審議会財政制度分科会で、予算未達の実態が明らかにされました。リフィル応需実績0.148%(2023年6月単月のリフィル応需回数/総受付回数[日本保険薬局協会の調査])の実績に基づいて単純計算すると、医療費効率化効果は年間マイナス70億円程度(改定率換算でマイナス0.014%程度)に留まっていたのです。財務省はこの時、リフィル処方箋による適正化効果が達成されるまでの期間、時限的に処方箋料を引き下げるなど、「その分を差し引く調整措置を講ずる必要がある」と厳しい提言をしていました。生活習慣病管理料(I)、(II)、地域包括診療料・地域包括診療加算の施設基準にリフィル処方箋対応盛り込むそうした経緯から、今回の改定では、各種診療報酬の施設基準に絡めてリフィル処方箋の普及・定着を目指すことになりました。今回、リフィル処方箋に関連した施設基準が盛り込まれた主な診療報酬は、診療所や中小病院を対象とする「生活習慣病管理料(I)(II)」、「地域包括診療料・地域包括診療加算」です。これらの算定要件に、患者の状態に応じ、28日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて、対応が可能であることを医療機関の見やすい場所に掲示し、患者から求められた場合に適切に対応する――ことが盛り込まれました。また、「特定疾患処方管理加算」については、リフィル処方箋の複数回の使用による合計の処方期間が28日以上でも算定可能となりました。財務省はリフィル処方箋普及・定着のPRを自ら行ってもいいのではリフィル処方箋の発行が普及・定着しなかった要因はいくつか考えられます。医療機関が実質収入減となるため積極的に取り組まなかったことに加え、医師側に次回診察までの間の患者管理を薬剤師に任せることに抵抗感があったことなどが指摘されています。また、薬剤師・薬局側(日本薬剤師会)も、日本医師会に遠慮してか、リフィル処方箋に積極的に取り組む姿勢を見せてこなかったことも原因の一つでしょう。私自身は、こうしたいくつかの原因に加えて、厚生労働省も財務省も、国民に対してリフィル処方の意味や利便性を国民に対してアピールしなかったことも大きいと考えます。「リフィル処方」と聞いて、ピンと来る国民はどれだけいるでしょうか。マイナンバー保険証もそうですが、国は制度をつくれば、国民は勝手に勉強して活用するようになると考えているフシがあります。今回のテコ入れは、従来型の診療報酬による医療機関の誘導策に過ぎません。財務省が本当に医療費削減のためにリフィル処方を普及・定着させたいのであれば、そのPRを厚労省だけに任せるのではなく、自らが前面に出て行ってもいいのではないでしょうか。敷地内薬局、「1薬局単位」の各報酬の引き締めに加えて誘致する病院側の評価も見直し薬剤・薬局関係の改定項目でもう1点気になったのは、「敷地外薬局」の扱いです。各地で急増中のいわゆる病院の同一敷地内薬局に対しては、中医協の議論で診療側、支払い側双方から厳しい対応を求める声が強く、厚労省からは「1薬局単位」ではなく「開設者(グループ)単位」の評価に見直す提案まで行われました。しかし、厚労省の提案に対し日本保険薬局協会などから強い反発もあり、そうした対応は一旦見送られ、今後の検討課題とされました。しかし、「1薬局単位」の各報酬の引き締めに加えて、誘致する病院側の評価見直しも盛り込まれました。敷地内薬局が算定する特別調剤基本料(敷地内の医療機関からの処方箋が5割超の場合に適用)がA・Bの2区分に見直され、届け出を行う特別調剤基本料Aは7点から5点に減点(届け出なしのBは3点)されました。各種加算、薬学管理料、薬剤料も大幅に見直されました。たとえば、地域支援体制加算と後発医薬品調剤体制加算はこれまで100分の80に相当する点数を算定していましたが、改定後には100分の10となります。一方、敷地内薬局を誘致する医療機関側への措置も厳しいものとなりました。1ヵ月当たりの処方箋の交付が平均4,000回を超えており、交付する処方箋による調剤の割合が9割を超える薬局と不動産取引等の特別な関係を有する場合、処方箋料が減額になります。具体的には、現在の処方箋料1、2、3が28点、40点、68点のところ、それぞれ18点、29点、42点となります。さらに、敷地内薬局は急性期病院での開設が多いことから、2022年度改定では急性期充実体制加算が算定できなくなりましたが、今改定で2024年4月以降に新規誘致する場合は総合入院体制加算も算定不可となります。人口減社会、高齢社会に向けて、敷地内薬局はむしろ普及・定着させていくのが正解では薬局、病院双方にとって相当厳しい締め付けと言えます。しかし、これが本当に正しい医療提供体制の方向と言えるのでしょうか。敷地内薬局については、本連載の「第182回 アイン、『敷地内薬局』入札妨害事件が問うもの(前編)」「第183回 同(後編)」でも書きましたが、私自身はこれからの人口減社会、高齢社会に向けて、敷地内薬局は規制するのではなく、むしろよい具合に普及・定着させていくのが正解だと考えます。2月19日付のメディファクスによれば、日本保険薬局協会の三木田 慎也会長(総合メディカルグループ株式会社の代表取締役副社長)は2月15日の会見で、今改定での敷地内薬局の評価について「減額幅は常軌を逸するというか、大変大幅な引き下げで、ただただ驚いている」と語り、「(敷地内薬局を)合法でできる状態にしておいて、それに対してこのような評価をするというのは行政の判断としてどうなのか」と疑問を呈したそうです。確かに敷地内薬局を認めた官庁が関係団体等の圧力を理由に規制し直す、というのはある意味、理不尽と言えます。調剤報酬激安化で患者は割安な敷地内薬局を選択するようになる報酬をぐっと下げた結果、行政や関係団体が予期しなかった事態も起こりそうです。調剤報酬の激安化によって、患者はこれまで以上に市中の薬局を避け、安価な敷地内薬局で薬をもらうようになるかもしれないのです。2月19日付のダイヤモンド・オンラインは、「病院の敷地内薬局の『調剤料激安化』が止まらない!患者はどの薬局を選べば、いくらお得?」という記事を掲載、薬局の形態別に患者負担額を比較し、「実は『敷地内薬局』が患者の財布に最も優しい」と結論付けています。マイナンバーカード保険証を普及させ始めた当初、同保険証を使ったほうが患者負担が高くなる、という珍妙な施策を展開し批判を浴びた厚労省ですが、今回の敷地内薬局に対する締め付けも、結果として敷地内薬局の利便性(と割安感)を逆に患者に知らしめる結果となり、またまた各方面から批判を浴びるのではないかと心配になってしまいます。敷地内薬局については、2024年度診療報酬改定の答申の付帯意見に、「いわゆる同一敷地内薬局については、同一敷地内の医療機関と薬局の関係性や当該薬局の収益構造等も踏まえ、当該薬局及び当該薬局を有するグループとしての評価の在り方に関して、引き続き検討すること」と盛り込まれていますが、“規制するべき”という大前提を改め、ゼロベースでその在り方を議論し直すべきではないでしょうか。

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日本人の睡眠時間やその変化が認知症リスクに及ぼす影響

 睡眠時間およびその変化が長期的な認知症リスクに及ぼす影響について、これまでの研究結果は一貫していない。長崎大学の宮田 潤氏らは、日本人の中年期における睡眠時間およびその変化と認知症リスクとの関連を調査するため、本研究を実施した。その結果、長時間睡眠および睡眠時間の増加が認知症リスクと関連することが示唆された。Preventive Medicine誌2024年3月号の報告。 研究チームは、40~71歳の日本人4万1,731人を募集し、ベースライン時(1990~94年)の習慣的な睡眠時間および5年間のフォローアップ調査について記録した。睡眠時間の変化はベースライン時と5年間の測定結果の差として算出し、認知症の発症は介護保険制度の利用(2007~16年)で特定した。認知症発症のハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)の算出には、エリア層別Coxモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・36万389人年の間に、認知症を発症した人は4,621人であった。・7時間睡眠と比較した各睡眠時間の認知症発症の多変量HRは、J-shaped fashionで次のとおりであった(p for linear<0.001、p for quadratic<0.001)。【3~5時間】HR:1.13(95%CI:0.98~1.30)【6時間】HR:0.93(95%CI:0.85~1.02)【8時間】HR:1.06(95%CI:0.99~1.14)【9時間】HR:1.13(95%CI:1.01~1.27)【10~12時間】HR:1.40(95%CI:1.21~1.63)・睡眠時間の変化については、睡眠時間の変化がなかった人と比較した認知症発症のHRは次のとおりであった。【2時間以上の減少】HR:1.02(95%CI:0.90~1.16)【1時間の減少】HR:0.95(95%CI:0.88~1.03)【1時間の増加】HR:1.00(95%CI:0.91~1.09)【2時間以上の増加】HR:1.37(95%CI:1.20~1.58)・睡眠時間の減少との正の相関は、ベースライン時の睡眠時間が7時間以下の人で観察され、8時間以上の人では観察されなかった(p for interaction=0.007)。

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RSウイルスの疾病負担、早産児で長期的に増大/Lancet

 早産児は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)関連疾患の負担が過度に大きく、乳幼児のRSVによる入院の25%が早産児であり、とくに早期早産児で入院のリスクが高く、この状態は生後2年目までは続くことが、中国・南京医科大学のXin Wang氏らRespiratory Virus Global Epidemiology Networkが実施したRESCEU研究で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年2月14日号に掲載された。2歳未満の早産児の疾患負担をメタ解析で評価 研究グループは、在胎週数37週未満で出生した乳幼児におけるRSV関連の重症急性下気道感染症(ALRI)の世界的な疾病負担とリスク因子の評価を目的に、系統的レビューとメタ解析を行った(EU Innovative Medicines Initiative Respiratory Syncytial Virus Consortium in Europeの助成を受けた)。 1995年1月1日~2021年12月31日に発表された研究の集計データと、Respiratory Virus Global Epidemiology Networkが共有する呼吸器感染症に関する個々の患者データを用いて、早産で出生した2歳未満の乳幼児の地域におけるRSV関連ALRIの発生率、入院率、院内死亡率、および全死亡率を推定した。在胎週数32週未満を早期早産、32~<37週を後期早産とした。2019年のALRI 165万件、入院53万3,000件 47件の論文と、共同研究者の提供による個々の患者データを含む17件の研究を解析の対象とした。 2019年には、世界の早産児において、生後0~<12ヵ月にRSV関連ALRIエピソードが165万件(95%不確実性範囲[UR]:135万~199万)発生したと推定され、このうち154万件(93%)が開発途上国であった。 同様に、RSV関連入院は53万3,000件(95%UR:38万5,000~73万)で、このうち49万3,000件(92%)が開発途上国、RSV関連院内死亡は3,050件(95%UR:1,080~8,620)で、2,700件(88.5%)が開発途上国で発生した。また、RSVに起因する死亡が早産児で2万6,760件(95%UR:1万1,190~4万6,240)発生しており、これは全乳幼児のRSV死の40%(17~65)に相当した。早期早産児でALRIの発生率と入院率が高い 早期早産児では、RSV関連ALRIの発生率と入院率が、すべての在胎週数で出生した乳幼児と比較して有意に高かった(年齢別、アウトカム別の率比[RR]の範囲は1.69~3.87)。また、生後2年目(12~<24ヵ月)には、早期早産児は全乳幼児と比較して、RSV関連ALRIの発生率は同程度であったが、入院率は有意に高かった(RR:2.26、95%UR:1.27~3.98)。 後期早産児におけるRSV関連ALRIの発生率は、1歳未満の全乳幼児と同程度であったが、生後6ヵ月までのRSV関連ALRIによる入院率は後期早産児で高かった(RR:1.93、95%UR:1.11~3.26)。院内死亡率は同程度 全体として、すべての在胎週数の乳幼児におけるRSV関連ALRIによる入院の25%(95%UR:16~37)を早産児が占めた。早産児におけるRSV関連ALRIによる院内死亡率は全乳幼児と同程度であった。 RSV関連ALRIの発生との関連を認めた因子は、主に周産期および社会人口統計学的な特性(母親の妊娠中の喫煙、5歳未満の子供が2人以上いる家庭、多胎児)であった(オッズ比[OR]の範囲は1.68~1.80)。また、入院を要する感染による重篤なアウトカムとの関連を認めた因子は、主に先天性心疾患、気管切開、気管支肺異形成症、慢性肺疾患、ダウン症候群などの基礎疾患だった(ORの範囲は1.40~4.23)。 著者は、「これらの知見は、早産児および乳幼児におけるRSVの予防と臨床管理の戦略を最適化するための重要なエビデンスとなる」としている。

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小児尋常性乾癬、アプレミラストの有用性を第III相試験で検証

 中等症~重症の6~17歳の尋常性乾癬患者において、アプレミラストはプラセボと比較して全般的な疾患活動性および皮膚症状を有意に改善したことが、海外第III相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験「SPROUT試験」の結果で示された。カナダ・アルバータ大学Stollery Children's HospitalのLoretta Fiorillo氏らが報告した。経口ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬のアプレミラストは、成人の尋常性乾癬患者に対する使用が、わが国を含め国際的に承認されている。しかし、中等症~重症の小児尋常性乾癬患者に対して使用が承認されている全身性治療薬は限られている。アプレミラストについては、第II相試験の探索的解析で小児患者の皮膚症状を改善することが示され、さらなる検討が支持されていた。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2024年1月22日号掲載の報告。 SPROUT試験は、局所療法でコントロール不十分/不良の6~17歳の中等症~重症尋常性乾癬患者(Psoriasis Area and Severity Index[PASI]スコア12以上、皮疹が体表面積[BSA]10%以上、static Physician Global Assessment[sPGA]スコア3以上)を対象とした。対象患者にアプレミラストを16週間投与し、有効性と安全性を検証した。 対象患者を年齢(6~11歳、12~17歳)で層別化し、2対1の割合で無作為にアプレミラスト群またはプラセボ群に割り付けた。アプレミラスト群の患者には、体重に基づき20mgを1日2回(体重20kg以上50kg未満)または、30mgを1日2回(体重50kg以上)16週間投与した。その後、52週まで両群の患者にアプレミラストを投与した。 主要エンドポイントは、16週時のsPGA達成(ベースラインから2点以上低下かつスコア0[消失]または1[ほぼ消失])であった。主要な副次エンドポイントは、16週時のPASI-75達成(PASIスコアがベースラインから75%以上低下)であった。 主な結果は以下のとおり。・2018年12月~2021年12月に、計245例が無作為化された(アプレミラスト群163例[20mg群80例、30mg群83例]、プラセボ群82例)。平均年齢は12歳(6~11歳群41.2%、12~17歳群58.8%)、約50%が女子で、86.9%が白人であった。尋常性乾癬の平均罹病期間は4年、ベースラインの平均PASIスコアは19.8、sPGAスコアは3(中等症)が75.5%、4(重症)が24.5%であった。・16週時のsPGA達成率は、アプレミラスト群(33.1%)がプラセボ群(11.5%)より有意に高率であった(p<0.0001)。・同様にPASI-75達成率は、アプレミラスト群(45.4%)がプラセボ群(16.1%)より有意に高率であった(p<0.0001)。・sPGA達成率は、6~11歳群(49.6%)が12~17歳群(21.5%)よりも高率であり、20kg以上50kg未満群(47.4%)が50kg以上群(19.2%)よりも高率であった。PASI-75の結果についても同様であった。・安全性に関する新たなシグナルは観察されなかった。

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ソトラシブ、アジア人のKRAS G12C変異陽性肺がんに対する成績(CodeBreaK200)/日本臨床腫瘍学会

 既治療のKRAS G12C変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するソトラシブの第III相CodeBreaK 200試験におけるアジア人サブグループ解析を、九州大学の岡本 勇氏が第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で発表した。・対象:免疫チェックポイント阻害薬と化学療法薬の治療歴を有するKRAS G12C変異陽性のNSCLC(過去の脳転移治療例は許容)・試験群:ソトラシブ960mg/日(Soto群:171例)・対照群:ドセタキセル75mg/m2 3週ごと(Dtx群:174例)Dtx群からSoto群へのクロスオーバー投与は許容・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性、患者報告アウトカムなど 主な結果は以下のとおり。・アジア人集団は37例(日本24例、韓国13例)、Soto群18例、Dtx群19例であった。・アジア人患者の年齢中央値はSoto群65.0歳、Dtx群68.0歳で、ほとんどが現および前喫煙者であった。・BICR評価のPFS中央値はSoto群8.3ヵ月、Dtx群5.6ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.46、95%信頼区間[CI]:0.18〜1.15)。・BICR評価のORRはSoto群 27.8%、Dtx群15.8%、病勢制御率はSoto群94.4%、Dtx群57.9%であった。・BICR評価による奏効に至るまでの期間はSoto群1.3ヵ月、Dtx群2.3ヵ月であった。・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)はSoto群の44.4%、Dtx群の62.5%で発現した。・Soto群で頻度が高かったTRAEは下痢、悪心、肝機能障害(AST、ALT、ALP上昇)であった。

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RNA干渉薬zilebesiran、年2or4回投与で有意な降圧効果/JAMA

 軽症~中等症の成人高血圧患者において、zilebesiranの3ヵ月または6ヵ月間隔での投与により、3ヵ月の時点での24時間自由行動下収縮期血圧(SBP)の平均値が有意に低下し、この効果は最長で6ヵ月間持続することが、米国・シカゴ大学医学大学院のGeorge L. Bakris氏らが実施した「KARDIA-1試験」で示された。zilebesiranは、アンジオテンシンペプチドの主要な前駆体であり、全身血圧の重要な調節因子であるアンジオテンシノーゲンの肝合成を標的とするRNA干渉治療薬。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年2月16日号で報告された。4ヵ国の無作為化プラセボ対照用量設定第II相試験 KARDIA-1試験は、4ヵ国(カナダ、ウクライナ、英国、米国)の78施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照用量設定第II相試験であり、2021年7月にスクリーニングを開始し、2023年6月に最後の患者が受診した(Alnylam Pharmaceuticalsの助成を受けた)。 対象は、成人の軽症~中等症の高血圧患者(降圧薬ウォッシュアウト後の外来SBPの日中の平均値が135~160mmHgと定義)であった。被験者を、4種類の用量のzilebesiran(150mg、300mg、600mgを6ヵ月ごと、300mgを3ヵ月ごと)またはプラセボ(3ヵ月ごと)を皮下投与する群に無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、24時間自由行動下SBPのベースラインから3ヵ月後までの変化とした。全用量で有意な降圧効果 377例(平均年齢57[SD 11]歳、女性167例[44.3%]、黒人93例[24.7%])を最大の解析対象集団とした。zilebesiranの6ヵ月ごと150mg群が78例、同6ヵ月ごと300mg群が73例、同3ヵ月ごと300mg群75例、同6ヵ月ごと600mg群が76例、プラセボ群は75例であった。 3ヵ月の時点でのべースラインからの24時間自由行動下SBPの変化は、6ヵ月ごと150mg群が-7.3mmHg(95%信頼区間[CI]:-10.3~-4.4)、3ヵ月または6ヵ月ごと300mg群が-10.0mmHg(-12.0~-7.9)、6ヵ月ごと600mg群が-8.9mmHg(-11.9~-6.0)、プラセボ群は6.8mmHg(3.6~9.9)であった。 ベースラインから3ヵ月後までの変化におけるプラセボ群との最小二乗平均(LSM)差は、6ヵ月ごと150mg群が-14.1mmHg(95%CI:-19.2~-9.0、p<0.001)、3ヵ月または6ヵ月ごと300mg群が-16.7mmHg(-21.2~-12.3、p<0.001)、6ヵ月ごと600mg群は-15.7mmHg(-20.8~-10.6、p<0.001)だった。また、6ヵ月の時点でも、ほぼ同様の結果が得られた。重篤な有害事象は3.6% 6ヵ月の時点で、有害事象はzilebesiran群で60.9%、プラセボ群で50.7%に発現し、重篤な有害事象はそれぞれ3.6%および6.7%に認めた。重篤でない薬物関連有害事象は、zilebesiran群で16.9%(主に注射部位反応と軽度の高カリウム血症)、プラセボ群で8.0%に発生した。 著者は、「zilebesiranは、年4回または2回の投与で、有効な降圧薬として使用可能となると考えられる」とし、「これらのデータは、高血圧の治療戦略としてのzilebesiranの、さらなる検討を支持するものである」「今後は、単剤または他の降圧薬との併用における長期的な安全性プロファイルの評価が求められる」と指摘している。

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