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第189回 紅麹サプリメント問題、無症状でも保険診療可能に/厚労省

<先週の動き>1.紅麹サプリメント問題、無症状でも保険診療可能に/厚労省2.オンライン初診での麻薬、向精神薬の処方制限強化へ/厚労省3.医療広告をさらに規制強化、事例解説書を更新/厚労省4.当直明けの手術を7割が実施、遅れる消化器外科医の働き方改革/消化器外科学会5.看護師の離職率は依然として高水準、タスクシフトや業務効率化を進めよ/看護協会6.未成年への経頭蓋磁気刺激治療(TMS)、専門家から倫理性に疑問/児童青年精神医学会1.紅麹サプリメント問題、無症状でも保険診療可能に/厚労省厚生労働省は、小林製薬の紅麹原料を含む機能性表示食品に関連する健康被害について、入院者数が延べ196人、受診者数が1,120人を超えたと発表した。この問題は国内で広がりをみせており、相談件数は約4万5,000件に上っている。厚労省は、無症状の人でも医師が必要と判断すれば、保険診療での診察や検査を許可する措置を講じた。立憲民主党は、このような健康被害があった場合に迅速な報告義務を課す制度改正を政府に要請する方針を明らかにした。また、小林製薬は、製品が安全に摂取できると言えないとの見解を示し、紅麹原料の製造過程で温水が混入するトラブルがあったことも公表したが、健康被害との直接的な関連は不明としている。この一連の問題に対し、消費者庁や厚労省は、紅麹を含む製品による健康被害の原因究明と、被害拡大防止のための対策を強化している。参考1)健康被害の状況等について[令和6年4月4日時点](厚労省)2)疑義解釈資料の送付について[その65](同)3)「紅麹を含む健康食品等を喫食した者」、無症状でも、医師が喫食歴等から必要と判断した場合には、保険診療で検査等実施可-厚労省(Gem Med)4)小林製薬「紅麹」、受診1,100人超 健康被害どこまで(日経新聞)5)健康被害で報告義務を=機能性食品、政府に要請へ-立民(時事通信)6)報告義務の法制化「必要あれば迅速に」 紅麹サプリ問題で武見厚労相(朝日新聞)7)紅麹製造タンクで温水混入トラブル、小林製薬「健康被害との関係不明」…公表2週間で受診1,100人超(読売新聞)2.オンライン初診での麻薬、向精神薬の処方制限強化へ/厚労省厚生労働省は、オンライン診療の適切な実施に関する新たな指針を公表し、特定の医薬品の処方に関する制限を明確にした。これにより、オンライン診療の初診では麻薬・向精神薬、抗がん剤、糖尿病治療薬などの特定薬剤の処方が禁止され、これらの情報を過去の診療情報として扱うこともできなくなる。この措置は、患者の基礎疾患や医薬品の適切な管理を確保するため、および不適切な処方を防ぐために導入された。オンライン診療では、患者から十分な情報を得ることが困難であり、医師と患者の本人確認が難しいため、安全性や有効性を保証するための規制が設けられている。厚労省は、新たな課題や医療・情報通信技術の進展に伴い、オンライン診療指針およびその解釈のQ&Aを更新し続けている。また、オンライン診療で糖尿病治療薬をダイエット薬として処方するなどの不適切な事例にも対処。これにより、医療機関はオンライン診療の際に、医師法や刑事訴訟法に基づく適切な手続きを踏むことが強く求められる。とくに、医師のなりすましや患者情報の誤りが疑われる場合は、警察との連携を含む厳格な対応が促されている。さらにオンライン診療では、基礎疾患の情報が不明な患者に対しては、薬剤管理指導料の「1」の対象となる薬剤の処方を避け、8日分以上の薬剤処方を行わないことで、一定の診察頻度を確保し、患者観察を徹底することを求めている。参考1)「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に関するQ&A[令和6年4月改訂](厚労省)2)オンライン初診では麻薬や抗がん剤、糖尿病薬などの処方不可、オンライン診療の情報を「過去の診療情報」と扱うことも不可-厚労省(Gem Med)3.医療広告をさらに規制強化、事例解説書を更新/厚労省厚生労働省は、医療広告に関する規制をさらに強化を図るため、事例解説書の第4版を公表した。今回の改定では、誤解を招く誇大広告や、いかなる場合でも特定の処方箋医薬品を必ず受け取れるとする広告など、不適切な医療広告に対処する内容の改定となった。新たに追加された内容では、GLP-1受容体作動薬の美容・ダイエットを目的とした適応外使用に関する違反事例が散見されることに対応し、特定の処方箋医薬品を必ず受け取れる旨を広告することを禁止するほか、SNSや動画を含むデジタルメディア上での広告事例が含まれ、ビフォーアフター写真の説明が一切ないままの使用、治療内容やリスクに関する不十分な説明が禁止される事例が明確にされた。また、自院を最適または最先端の医療提供者と宣伝することも禁じられている。これらの更新は、患者が正確な情報に基づいて医療サービスを選択できるようにすることを目的とし、今後ガイドラインの遵守を求めていく。参考1)医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書[第4版](厚労省)2)医療広告「自院が最適な医療提供」はNG 厚労省が事例解説書・第4版(CB news)3)「必ず処方薬が受け取れる」はNG、オンライン診療広告 厚労省、解説書に事例追加(PNB)4)2024年3月 医療広告ガイドラインの変更点まとめ(ITreat)4.当直明けの手術を7割が実施、遅れる消化器外科医の働き方改革/消化器外科学会日本消化器外科学会が、昨年学会員に対して行った調査で、消化器外科医が直面している厳しい労働環境が明らかになった。2023年8月~9月にかけて65歳以下で、メールアドレスの登録がある会員1万5,723名(男性1万4,267名[90.7%]、女性1,456名[9.3%])を対象にアンケート調査を行ったところ、2,923人(18.6%)から回答を得た。その結果、月に80時間以上の時間外労働を報告した医師が全体の16.7%に上り、さらに100時間以上と回答する医師が7.6%と、「医師の働き方改革」で定められた年間960時間の上限を超える勤務をしていることがわかった。また、当直明けに手術を行う医師が7割以上を占め、「まれに手術の質が低下する」と回答した医師が63.3%に達した。この結果は、過酷な勤務条件が医療の質に潜在的なリスクをもたらしていることを示唆している。さらに、医師の働き方改革が導入される直前の調査では、労働環境の改善がみられるものの、賃金の改善が最も求められていることが明らかになった。医師は、兼業が収入の大きな部分を占め、とくに手術技術料としてのインセンティブの導入を望んでいる。また、次世代の医師に消化器外科を勧める会員は少数で、これは消化器外科医を取り巻く環境に対する懸念を反映したものとなった。同学会では、労働環境の改善、とくに賃金体系の見直しは、消化器外科医の減少に歯止めをかけ、消化器外科の将来を守るために積極的に取り組む必要があり、今後も高い品質の外科医療を提供し続けるために不可欠であると結論付けている。参考1)医師の働き方改革を目前にした消化器外科医の現状(日本消化器外科学会)2)消化器外科医の当直明け手術、「いつも」「しばしば」7割超…「まれに手術の質低下」は63%(読売新聞)5.看護師の離職率は依然として高水準、タスクシフトや業務効率化を進めよ/看護協会2022年度の看護職員の離職率が11.8%と高い水準で推移していることが、日本看護協会による病院看護実態調査で明らかになった。正規雇用の離職率は11.8%、新卒は10.2%、既卒は16.6%と報告されている。医療・介護ニーズの増加と現役世代数の減少が見込まれる中、医療機関における看護職員の離職防止が一層重要な課題となっている。また、看護職員の給与に関しては、勤続10年での税込平均給与が32万6,675円となっており、処遇改善評価料を取得した病院では、看護職員の給与アップ幅が大きくなっている。この調査結果は、看護職員の離職率が高い状況を背景に、看護職員のサポートと業務効率化が急務であることを示しており、看護職員から他職種へのタスク・シフトを進めることの重要性を強調している。これにより、医療現場での働きやすさの向上と医療提供体制の確保が求められている。同協会は、看護師の離職防止のために看護業務効率化ガイドを公表し、医療現場での業務効率化の事例を紹介している。この中で、業務効率化のプロセスやノウハウを示し、医師の働き方改革を支える看護職員の業務効率化に焦点を当てている。具体的な業務効率化の取り組みとしては、記録業務のセット化や音声入力機器の導入などが示されている。参考1)「2023年 病院看護実態調査」結果 新卒看護職員の離職率が10.2%と高止まり(日本看護協会)2)「看護業務効率化先進事例収集・周知事業」報告書(同)3)新卒の看護職員10人に1人が離職 23年病院看護実態調査 日看協(CB news)4)看護業務を効率化するガイドを公表、日看協 ホームページなどに掲載(同)5)コロナ感染症の影響もあり、2021年度・22年度の看護職員離職率は、正規雇用11.8%、新卒10.2%、既卒16.6%と高い水準-日看協(Gem Med)6.未成年への経頭蓋磁気刺激治療(TMS)、専門家から倫理性に疑問/児童青年精神医学会日本児童青年精神医学会は、18歳未満の子供や若年層への経頭蓋磁気刺激治療(TMS)の使用に対し、「非倫理的で危険性を伴う」との声明を発表し、この治療法の適用に強い倫理的懸念を示した。とくに発達障害を扱う精神科クリニックが、適応外でありながら、専門家の適正使用指針に反して、未成年者への施術を勧めるケースが問題視されている。TMSは、頭痛やけいれん発作などの副作用が報告されており、子供への有効性と安全性については現時点でエビデンスが不十分とされている。日本国内では2017年9月に厚生労働省が医療機器として薬事承認し、治療抵抗性うつ病への対応として帝人のNeuroStarによるrTMSを承認したが、日本精神神経学会は、とくに未成年者への施術にはさらなる臨床研究が必要としている。今回、同学会が指摘した倫理的な問題としては、一部のクリニックが患者の不安を利用し、高額な治療費用のためにローンを組ませる事例がある。今回の声明は、未成年者へのTMS治療の実施に当たっては慎重な検討を求めている。参考1)子どもに対する反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法に関する声明(日本児童青年精神医学会)2)反復経頭蓋磁気刺激装置適正使用指針(改訂版)(日本精神神経学会)3)「非倫理的で危険」と学会声明 子どもへの頭部磁気治療で(東京新聞)

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第72回 両側検定と片側検定の違いと使い分けは【統計のそこが知りたい!】

第72回 両側検定と片側検定の違いと使い分けは臨床試験の論文などをみていると両側検定(Two sided test)と片側検定(Single tail test)という用語をみかけます。両側検定のほうが多いようですが、片側検定も決してまれではないようです。今回は両側検定と片側検定の違いと使い分けについて解説します。■両側検定と片側検定統計的検定で最初にすることは「主張したいこと」と「帰無仮説」の2つを立てることでした。主張したい仮説は次の3つが考えられます。(1)母平均Aと母平均Bは異なる(2)母平均Aは母平均Bより高い(3)母平均Aは母平均Bより低い具体例として臨床試験で新薬とプラセボを比較するという試験例を挙げると以下のようになります。[1]母集団における新薬の効果はプラセボの効果とは異なる[2]母集団における新薬の効果はプラセボの効果よりも大きい[3]母集団における新薬の効果はプラセボの効果よりも小さい[1]の場合、「異なる」というのは、新薬の効果はプラセボの効果のどちらが大きいか小さいかわかりませんが、いずれにしても「異なる」という意味です。この仮説のもとでの検定を「両側検定」と言います。[2]の「母集団における新薬の効果はプラセボの効果よりも大きい」あるいは[3]の「母集団における新薬の効果はプラセボの効果よりも小さい」という仮説のもとでの検定を「片側検定」と言います。[2]の「母集団における新薬の効果はプラセボの効果よりも大きい」という仮説のもとでの検定を、とくに「右側検定(上側検定)」と言います。[3]の「母集団における新薬の効果はプラセボの効果よりも小さい」という仮説のもとでの検定を、とくに「左側検定(下側検定)」と言います。各検定のイメージ画像を拡大する■臨床試験では片側検定は第1選択ではない片側検定のほうが両側検定より有意差が出やすいのですが、有意差が出やすいという理由だけで片側検定を使うのは良くありません。とくに理由がない限り、片側検定は使わないのが慣例的です。臨床試験において「新薬の効果はプラセボの効果よりも大きい」と信じることは悪いことではありませんが、臨床試験を終えるまでは「新薬の効果はプラセボの効果よりも大きい」という情報がないのが通常です。したがって、「新薬の効果はプラセボの効果よりも大きい」という片側検定は望ましくありません。片側検定と両側検定のどちらを使うかはあらかじめ決めておく必要があります。統計学的にはとくに理由がない限り、両側検定を使います。医学論文などで片側検定が使われているケースをみた場合、必ず「なぜ片側検定を用いたのか」の説明があるはずです。先行研究などで事前に情報がある場合、あるいは従来治療薬のなかった疾患で新しい治療薬が開発された場合、治療する医師あるいは罹患患者を対象にその治療薬がどれくらい認知されているかを調査したとしましょう。論文などでその治療薬が発表されるまでは、認知率は0%です。いろいろな論文や学会などで発表されるにつれて認知率が上がっていきます。このように0%より下がることがあり得ないような場合に片側検定が用いられます。上記は一般的有意水準を0.05としている場合の事例ですが、片側検定が用いられている場合、有意水準が0.05なのか0.025で設定されているのかも確認してください。とくに臨床試験の場合、ICH-E9(臨床試験のための統計的原則)では、有意水準を明確に決めています。つまり、片側検定をする場合には有意水準を0.025とし、両側検定の場合には0.05とすることが明記されています。よって片側検定をする場合であっても決して有利になること(5%のエラー)を許容されていないということです。そのため、慣例的に臨床試験では「両側検定で有意水準を0.05に設定する」ということが行われています。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第3回 理解しておきたい検定 セクション1セクション1 母集団、n数、サンプル数、サンプルサイズとは第4回 ギモンを解決! 一問一答質問6 比較する群が3つ以上ある場合の母平均の差の検定方法は?(その1)質問6(続き) 比較する群が3つ以上ある場合の母平均の差の検定方法は?(その2)

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事例045 糖尿病治療でカナグル錠の査定【斬らレセプト シーズン3】

解説糖尿病患者にSGLT2阻害薬カナグリフロジン(商品名:カナグル錠、以下「同錠」)を投与したところ、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)にて査定となりました。査定理由を調べるために、添付文書を参照しました。適応症は、「2型糖尿病」です。レセプトには「糖尿病」のみが表示されています。効能または効果に関する注意には、「1型糖尿病には投与しないこと」と記載がありました。病型記載漏れが原因ではないかと考えましたが、事由「D」の適用に対して疑問を持ち、さらに読み進めました。2型糖尿病であっても「eGFR30mL/分/1.73m2未満の中等度以上の腎機能障害患者または透析中の末期腎不全患者には、同錠の血糖低下作用が期待できない」との記載もありました。同錠の投与にあたり、妥当性のある検査値の表示がレセプトに必要であると解釈ができます。さらに、同錠には「投与開始にあたっては、診療報酬明細書の摘要欄に、投与開始時のeGFRの値及び検査の実施年月日を記載すること」との2022年6月20日発の厚生労働省通知がありました。これらの点から事由「D」が適用されたものと推測しました。医師には、同錠を投与する場合を含めて「糖尿病には必ず病型」を表示いただくとともに、同錠投与の場合には、レセプトへ検査値の記載をお願いして査定対策としました。なお、同錠にも関連することとして、自由診療で「GLP-1ダイエット」に対して2023年9月20日に留意事項が発信されていることにもご留意願います。

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関節痛への対応【日常診療アップグレード】第1回

関節痛への対応問題82歳女性。3年前から両膝の関節痛があり変形性膝関節症と診断されている。2週間前から左膝の疼痛がひどくなり、内服の痛み止めを希望し来院した。左膝関節の軽度の腫脹と膝関節裂隙内側に圧痛を認める。アセトアミノフェン(商品名:カロナール)1,500mg 分3を処方した。

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ベイフォータス、新生児および乳幼児のRSウイルス発症抑制・予防にて製造販売承認取得/AZ

 アストラゼネカとサノフィは2024年3月27日付のプレスリリースにて、長時間作用型モノクローナル抗体であるベイフォータス(一般名:ニルセビマブ[遺伝子組換え])が「生後初回または2回目のRS(Respiratory Syncytial)ウイルス感染流行期の重篤なRSウイルス感染症のリスクを有する新生児、乳児および幼児における、RSウイルス感染による下気道疾患の発症抑制」ならびに「生後初回のRSウイルス感染流行期の前出以外のすべての新生児および乳児におけるRSウイルス感染による下気道疾患の予防」を適応として、3月26日に日本における製造販売承認を取得したことを発表した。 ニルセビマブは、重症化リスクの高い早産児、特定の疾患を有する新生児、乳幼児におけるRSウイルス感染による下気道疾患(LRTD)の発症抑制に加え、世界で初めて健康な新生児または乳児をRSウイルスから守るために承認された予防を効能・効果とする薬剤である。今回の承認は、ニルセビマブの3つの主要な後期臨床試験に基づく。すべての臨床評価項目において、ニルセビマブの単回投与は一般的なRSウイルス感染流行期間とされる5ヵ月間にわたり、RSウイルス感染によるLRTDに対して一貫した有効性を示した。 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 小児科学 主任教授の森内 浩幸氏は、「2歳までにほぼすべての子供が罹患し、その数十%は細気管支炎や肺炎を起こします。流行すると小児病棟はこの病気の患児が増加し場合によっては酸素が投与され、人工呼吸器装着や集中治療管理が必要なことも経験します。RSウイルスはずっと昔からいて、毎年多くの子供たちを苦しめてきました。元々健康な子を含むすべての乳児がこのウイルス、RSウイルスのリスクに曝されています。幸いRSウイルス感染症の重症化を防ぐ手段が登場し、小児科医にとって朗報です」と述べている。<製品概要>販売名:ベイフォータス筋注50mgシリンジ、ベイフォータス筋注100mgシリンジ一般名:ニルセビマブ(遺伝子組換え)効能又は効果:1. 生後初回又は2回目のRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)感染流行期の重篤なRSウイルス感染症のリスクを有する新生児、乳児及び幼児における、RSウイルス感染による下気道疾患の発症抑制2. 生後初回のRSウイルス感染流行期の1. 以外のすべての新生児及び乳児におけるRSウイルス感染による下気道疾患の予防用法及び用量:生後初回のRSウイルス感染流行期には、通常、体重5kg未満の新生児及び乳児は50mg、体重5kg以上の新生児及び乳児は100mgを1回、筋肉内注射する。生後2回目のRSウイルス感染流行期には、通常、200mgを1回、筋肉内注射する。製造販売承認年月日:2024年3月26日 製造販売元:アストラゼネカ株式会社販売元:サノフィ株式会社

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米国頭痛学会声明、片頭痛に対するCGRP標的療法の位置付け

 これまで第1選択治療として考えられてきたすべての片頭痛の予防的治療は、他の適応症のために開発され、その後片頭痛予防にも採用されている。これらの治療法は、有効性および忍容性の問題によりアドヒアランス低下が懸念されていた。前臨床および臨床エビデンスよりカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が片頭痛発症に重要な役割を果たしていることが示唆され、いくつかの片頭痛特異的な治療法が開発された。これらのCGRPをターゲットとした治療法は、片頭痛のマネジメントに革新的な影響を及ぼしたものの、第1選択治療として広く普及しているとはいえない。米国・UCLA Goldberg Migraine ProgramのAndrew C. Charles氏らは、米国頭痛学会から表明された片頭痛予防に対するカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)をターゲットとした治療法に関する最新情報を報告した。Headache誌オンライン版2024年3月11日号の報告。 主要および副次的エンドポイントを含む片頭痛予防に関するランダム化プラセボ対照臨床試験、事後分析、オープンラベル拡張試験、プロスペクティブおよびレトロスペクティブ観察研究を、さまざまなデータベース(PubMed、Google Scholar、ClinicalTrials.govなど)より検索した。研究結果や結果に基づく結論は、臨床試験との一貫性を確認し、コンセンサスを得るため米国頭痛学会の理事会により検討、議論を行った。 主な結果は以下のとおり。・CGRPをターゲットとした片頭痛に対する予防的治療(モノクローナル抗体:エレヌマブ、フレマネズマブ、ガルカネズマブ、eptinezumab、ゲパント系:rimegepant、atogepant)の有効性、忍容性、安全性に関するエビデンスは十分であり、他の予防的治療アプローチのエビデンスを大きく上回っていた。・これらのエビデンスは、CGRPをターゲットとした各治療薬全体で一貫しており、さまざまなリアルワールドの臨床経験により裏付けられている。・これらのデータでは、CGRPをターゲットとした治療の有効性および忍容性は、これまでの第1選択治療と同等以上であり、関連する重篤な有害事象はまれであることが示唆されている。 著者らは「CGRPをターゲットとした片頭痛の予防的治療は、他の治療法で効果不十分な場合にとどまらず、第1選択治療として考慮されるべきである」としている。

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市中肺炎、12%が「不適切な診断」

 市中肺炎は一般的な疾患だが、診断の正確性とそれに関連する有害性についてはあまり知られていない。米国ミシガン大学・アナーバー校のAshwin B. Gupta氏らは市中肺炎の不適切な診断の特徴を明らかにすることを目的に、前向きコホート研究を行った。この結果はJAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年3月25日号に掲載された。 ミシガン州の48の病院で、市中肺炎を理由に入院し、入院1日目または2日目に抗菌薬投与を受けた成人患者を対象とした。調査は2017年7月1日~2020年3月31日にカルテレビューおよび患者への電話連絡で実施され、データ解析は2023年2~12月に行われた。 不適切な診断は、市中肺炎の徴候または症状が2つ未満または胸部画像検査が陰性の患者への抗菌薬投与と定義した。不適切な診断のリスク因子を評価し、不適切な診断とされた患者については30日間の複合アウトカム(死亡率、再入院、救急外来受診、C. difficile感染、および抗菌薬関連有害事象)を記録した。交絡因子および治療傾向を調整し、抗菌薬の完全投与(3日超)と短期投与(3日以下)に層別化して評価した。 主な結果は以下のとおり。・市中肺炎の治療を受けた入院患者1万7,290例のうち、不適切な診断の基準を満たしたのは2,079例(12.0%)だった。2,079例の年齢中央値は71.8(IQR:60.1~82.8)歳、女性が1,045例(50.3%)で、このうち1,821例(87.6%)が抗菌薬の完全投与を受けた。・患者全般と比較して、不適切な診断を受けた患者は高齢であり(10年当たりの調整オッズ比[AOR]:1.08、95%信頼区間[CI]:1.05~1.11)、認知症(AOR:1.79、95%CI:1.55~2.08)、または来院時の精神状態の変化(AOR:1.75、95%CI:1.39~2.19)を有する可能性が高かった。・不適切な診断を受けた患者において、抗菌薬の完全投与と短期投与の30日複合アウトカムに差はなかった(25.8% vs.25.6%、AOR:0.98、95%CI:0.79~1.23)ものの、完全投与は抗菌薬の有害事象リスクと関連していた(31/1,821例[2.1%] vs.1/258例[0.4%]、p=0.03)。 研究者らは「このコホート研究において、市中肺炎で入院した患者では、高齢、認知症、精神状態に変化がみられた患者では不適切な診断のリスクが高く、不適切な診断がされた患者は抗菌薬の投与が長期になり、それが抗菌薬の有害事象と関連することが示唆された」とした。

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ペムブロリズマブ+化学療法の進行・再発子宮体がんに対するOS(NRG GY018)/SGO2024

 化学療法・ペムブロリズマブ併用は、ミスマッチ修復機能(MMR)状況にかかわらず、未治療の進行・再発子宮体がんの全生存期間(OS)を改善する傾向を示した。 進行・再発子宮体がんを対象とした第III相無作為化プラセボ対照NRG GY018試験において、ペムブロリズマブ+化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)とペムブロリズマブのシークエンス治療は、MMR状況を問わず主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した1)。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のRamez Eskander氏は、米国婦人科腫瘍学会(SGO2024)で、NRG GY018試験の副次評価項目の結果(中間解析1)を発表した。・対象:未治療の再発または進行子宮体がん・試験群:ペムブロリズマブ+化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル) 3週ごと6サイクル→ペムブロリズマブ 6週ごと14サイクルまで(Pembro+CT群)・対照群:プラセボ+化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル) 3週ごと6サイクル→プラセボ 6週ごと14サイクルまで(CT群)・評価項目[主要評価項目]治験担当医評価のPFS[副次評価項目]MMR欠損(pMMR)およびMMR正常(dMMR)集団のOS、pMMR およびdMMR集団のPD-L1発現状況、pMMRおよびdMMR集団におけるPD-L1発現状況による治験担当医評価のPFS、MMRステータス別の盲検下独立中央判定(BICR)と治験担当医評価の結果比較 主な結果は以下のとおり。[MMR状況別の結果]・pMMR集団のOS中央値は試験完了度(information fraction)27.2%の時点で、Pembro+CT群27.96ヵ月、CT群27.37ヵ月と、Pembro+CT群で良好な傾向であった(ハザード比[HR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.53~1.17、p=0.1157)・dMMR集団のOS中央値はinformation fraction18.0%の時点で、Pembro+CT群、CT群とも未到達だったが、Pembro+CT群で良好な傾向であった(HR:0.55、95%CI:0.25~1.19、p=0.0617)[PD-L1発現別の結果]・pMMR、dMMR集団ともにPD-L1陽性(CPS≧1)患者が7割以上(71〜87%)を占めていた。・pMMR集団におけるPFSのHRはPD-L1≧1%患者群で0.59(95%CI:0.43~0.80)、PD-L1<1%患者群では0.44(95%CI:0.26~0.75)と、PD-L1発現レベルを問わずPembro+CT群で良好な傾向を示した。・dMMR集団におけるPFSのHRはPD-L1≧1%患者群で0.27(95%CI:0.16~0.47)、PD-L1<1%患者群では0.30(95%CI:0.11~0.83)と、PD-L1発現レベルを問わずPembro+CT群で良好な傾向を示した。 対照となるCT群における後治療の免疫療法の割合が高かった(45~55%)にもかかわらず、Pembro+CT群はOSの改善傾向を示唆した。Eskander氏は、これらの結果は化学療法へのペムブロリズマブの追加を、MMR状態に関係なく進行・再発子宮体がんの1次治療として支持するものだとしている。

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ジャディアンス、CKD適応追加の意義/ベーリンガーインゲルハイム・リリー

 SGLT2阻害薬エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)に、2024年2月、慢性腎臓病(CKD)の適応が追加された。この適応追加に関連して日本ベーリンガーインゲルハイムと日本イーライリリーは、3月29日に都内でプレスセミナーを共同開催した。セミナーでは、CKDの概要、エンパグリフロジンのCKDに対するEMPA-KIDNEY試験の結果などについて講演が行われた。CKDの早期発見、早期介入で透析を回避 はじめに「慢性腎臓病のアンメットニーズと最新治療」をテーマに岡田 浩一氏(埼玉医科大学医学部腎臓内科 教授)が講演を行った。 腎炎、糖尿病、高血圧、加齢など腎疾患の原因はさまざまあるが、終末期では末期腎不全となり透析へと進展する。この腎臓疾患の原因となる病気の発症から終末期までを含めてCKDとするが、CKDの診療には次の定義がある。(1)尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか(とくに蛋白尿)(2)GFR<60mL/分/1.73m2(1)、(2)のいずれか、または両方が3ヵ月以上持続した場合にCKDと診断 また、重症度分類として18区分でヒートマップ化したものがあり、個々の患者の病態に応じ早期に治療介入することが必要だという。 最近の研究では、心血管死へのCKDの影響も解明されつつあり、厚生労働省の調査班の研究では、喫煙、糖尿病、高血圧、CKDが心血管死の主要因子とされ、とくにCKDの頻度は高血圧44.3%に次いで高く20.4%、人口寄与危険割合も高血圧26.5%に次いで10.4%と2番目に高いリスクであると説明した。また、わが国のCKD患者は、2005年時に推定1,328万人から2015年には推定1,480万人に増加しており、そのうち2022年時点で透析患者は約35万人、年間で約1.63兆円の医療費が推計されている。この対策に厚生労働省は、腎疾患対策検討会などを設置し、「2028年までに新規透析導入患者数を3万5千人以下に減少させる(10年で10%以上減少)」などの目標を示し、さまざまな調査と対策を打ち出している。 CKDの治療では、減塩や蛋白質制限などの食事療法、禁煙などの生活習慣改善のほか、RA系阻害薬を中心とした降圧療法、スタチンを用いた脂質異常症の治療など個々の患者の病態に合わせた多彩な治療が行われている。先述の対策委員会の中間報告では、診療ガイドラインの推奨6項目以上を達成すると予後が良好となりCKDの進展抑制が可能との報告もあり、「個別治療を1つでも多く達成することが重要」と岡田氏は指摘する。また、CKD患者への集学的治療は、患者のeGFRの低下を有意に遅らせる可能性があり、初期段階を含めて原疾患に関係なく有効である可能性があると示唆され、とくにステージ3〜5の患者には集学的治療が推奨されるという研究結果も説明した1)。 今後の課題として、わが国の新規透析導入患者は、2020年をピークに減少傾向にあるが、高齢男性では依然として増加傾向にあること、主な透析導入の原因として、第1位に糖尿病、第2位に高血圧・加齢、第3位に慢性腎炎が報告されている(日本透析医学会「わが国の慢性透療法の現況」[2022年12月31日現在])ことに触れ、第3位の慢性腎炎の疾患の1つである腎硬化症に焦点を当て解説を行った。腎硬化症は、蛋白尿を伴わず、進行も遅いためになかなか治療対象として認知されておらず、また、現在は根治療法がなく、診療エビデンスも少ないと今後解決すべきアンメットニーズであると説明した。 岡田氏は最後に「CKDは早期発見と介入が何よりも重要であり、eGFR>30である間に、かかりつけ医から専門医への紹介を推進することが大切」と語り講演を終えた。ジャディアンスがCKD患者の心血管死リスクを低下させる 次に「慢性腎臓病に対する新しい治療選択肢としてジャディアンスが登場した意義」をテーマに門脇 孝氏(虎の門病院 院長)が、エンパグリフロジンのCKDへの適応追加の意義や臨床試験の内容について説明を行った。 糖尿病などの代謝性疾患、心血管疾患、CKDは相互に関連し、どこか1つのサイクルが壊れただけでも負のスパイラルとなり、身体にさまざまな障害を引き起こすことが知られている。 2014年に糖尿病治療薬として承認されたSGLT2阻害薬エンパグリフロジンは、当初から心臓、腎臓への保護作用の可能性が期待され、2021年には慢性腎不全に追加承認が、本年にはCKDへ追加承認がされた。その追加承認のベースとなった臨床試験がEMPA-KIDNEY試験である。 EMPA-KIDNEY試験は、8ヵ国で行われた第III相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験で、目的は「CKD患者にエンパグリフロジンが腎疾患の進行または心血管死のリスクを減少させるかを検討すること」、対象範囲は糖尿病ではない患者、低蛋白尿を呈する患者を含む、腎疾患進行リスクを有する幅広いCKD患者である。 SGLT2阻害薬エンパグリフロジンのCKDへの追加承認のベースとなったEMPA-KIDNEY試験の概要は以下の通り。〔試験デザインとアウトカムなど〕・腎疾患進行リスクのあるCKD患者6,609例(うち9%が日本人)を、エンパグリフロジン10mg/日+標準治療(3,304例)とプラセボ+標準治療(3,305例)に割り付けた。・主要評価項目:心血管死または腎疾患の進行・副次評価項目:心不全による初回入院または心血管死までの期間など・患者背景は糖尿病患者と非糖尿病患者が半々だった。・eGFR<30mL/分/1.73m2の低下例も組み入れたほか、微量アルブミン尿患者も組み入れた。〔主な結果〕・主要評価項目では2.5年の追跡期間で腎臓病進行または心血管死の初回発現について、エンパグリフロジン群で432例(13.1%)、プラセボ群で558例(16.9%)だった(ハザード比:0.72、95%信頼区間:0.64~0.82、p<0.001)ことから初回発現までの期間が有意に抑制された2)。・ベースラインから最終フォローアップ来院までの全期間のeGFRスロープ(年間変化率)は、プラセボ群の-2.92に対してエンパグリフロジン群が-2.16で、その差は0.75だった。・2ヵ月目の来院から最終フォローアップ来院までの慢性期のeGFRスロープは、プラセボ群の-2.75に対してエンパグリフロジン群が-1.37で、その差は1.37だった。・安全性については、有害事象発現率はエンパグリフロジン群で43.9%、プラセボ群で46.1%であり、エンパグリフロジン群では骨折、急性腎障害、高カリウム血症などが報告されたが重篤なものはなかった。 門脇氏は、本試験の特徴について、「蛋白尿が正常な患者を初めて組み入れたCKDを対象としたSGLT2阻害薬の臨床試験であること」、「幅広いeGFR値のCKD患者に対し、糖尿病罹患の有無にかかわらず、腎疾患の進行または心血管死の発現リスクの有意な低下を示したこと」、「有害事象発現率がプラセボよりも低かった」とまとめ、レクチャーを終えた。 今後、微量アルブミン尿患者などを含め、ジャディアンスが幅広く使用される可能性があり、CKDへの有効な治療手段となることが期待されている。

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3つのプロゲストーゲン、髄膜腫の新たなリスク因子に/BMJ

 高用量プロゲストーゲン(nomegestrol acetate、クロルマジノン、cyproterone acetate)は、頭蓋内髄膜腫のリスク因子として知られているが、他の多くのプロゲストーゲンのリスクの評価はなされていなかった。French National HealthのNoemie Roland氏らは、今回、新たにmedrogestone、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル、promegestoneの長期使用が髄膜腫の過剰なリスクと関連し、プロゲステロン、ジドロゲステロン、子宮内レボノルゲストレル放出システムにはリスクの上昇はみられず安全であることを示した。研究の成果は、BMJ誌2024年3月27日号に掲載された。フランス在住女性の症例対照研究 研究グループは、フランスにおける8種のプロゲストーゲンの使用に関連した頭蓋内髄膜腫のリスクを評価する目的で、全国的な症例対照研究を行った(French National Health Insurance Fund[Cnam]などの助成を受けた)。 症例は、2009年1月1日~2018年12月31日に髄膜腫に対する頭蓋内手術を受けたフランス在住の女性1万8,061例であった。各症例と出生年および居住地域をマッチさせた女性5例ずつを対照とした(合計9万305例)。 全体の平均年齢は57.6(SD 12.8)歳、最も多い年齢層は45~54歳(26.7%)で、次いで55~64歳(26.4%)、65~74歳(21.5%)の順であった。短期使用では差がない medrogestone(5mg、経口薬)の現使用者は、非使用者に比べ髄膜腫の発生率が高かった(症例群0.2% vs.対照群0.1%、オッズ比[OR]:3.49、95%信頼区間[CI]:2.38~5.10)。また、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル(150mg、注射薬)(0.05% vs.0.01%、5.55、2.27~13.56)、およびpromegestone(0.125/0.5mg、経口薬)(0.5% vs.0.2%、2.39、1.85~3.09)の現使用者も、髄膜腫のリスクが増加していた。 これら3剤による髄膜腫のリスク上昇は、いずれも長期(1年以上)の使用によるものであり、短期使用では両群に差を認めなかった。 一方、プロゲステロン(皮下)(症例群0.5% vs.対照群0.6%、OR:1.11、95%CI:0.89~1.40)、ジドロゲステロン(0.9% vs.1.1%、0.96、0.81~1.14)、子宮内レボノルゲストレル放出システム(52mg:3.7% vs.5.1%[OR:0.94、95%CI:0.86~1.04]、13.5mg:0.2% vs.0.2%[1.39、0.70~2.77])の3剤については、髄膜腫のリスク上昇はないことを確認した。陽性対照の3剤は高度なリスク上昇 ジエノゲストとヒドロキシプロゲステロンは、これらの投与を受けた人数が少なかったため、結論は得られなかった。 陽性対照としたcyproterone acetate(症例群4.9% vs.対照群 0.3%、OR:19.21、95%CI:16.61~22.22)、nomegestrol acetate(5.1% vs.1.2%、4.93、4.50~5.41)、酢酸クロルマジノン(3.5% vs.1.0%、3.87、3.48~4.30)は、いずれも髄膜腫の高度なリスク上昇を示した。 著者は、「とくに、広く使用されている避妊薬であるメドロキシプロゲステロン酢酸エステル注射薬の使用に関連したリスクの増加と、子宮内レボノルゲストレル放出システムの安全性を確認したことは、重要な新知見である」としている。

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症候性大動脈弁逆流症に対するTAVI、新たなデバイスが有望/Lancet

 高リスクの症候性大動脈弁逆流を呈する患者に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)において、大動脈弁逆流に関するTAVIの課題に対処するために特別に設計されたトリロジー経カテーテル心臓弁(JenaValve Trilogy heart valve system、米国・JenaValve Technology製)は、大動脈弁逆流の改善に有効で、合併症も少なく、1年後の全死因死亡率が良好であることが、米国・コロンビア大学アービング医療センターのTorsten P. Vahl氏らが実施した「ALIGN-AR試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年3月26日号で報告された。米国20施設の前向き単群試験 ALIGN-AR試験は、米国の20施設で実施した前向き多施設共同単群試験であり、2018年6月~2022年8月に参加者のスクリーニングを行った(米国・JenaValve Technologyの助成を受けた)。 年齢18歳以上、中等度~高度または高度の大動脈弁逆流症を呈し、外科的大動脈弁置換術で死亡または合併症の発生の可能性が高いと考えられる高リスクの患者180例(平均年齢75.5[SD 10.8]歳、女性47%)を登録し、経大腿アプローチによるトリロジー経カテーテル心臓弁の留置術を行った。 安全性の主要複合エンドポイント(30日後の全死因死亡、あらゆる脳卒中、大出血、急性腎障害[ステージ2~3]、大血管合併症、デバイス関連の手術または介入、新規のペースメーカー植込み術など)は、事前に規定された達成目標40.5%に対する非劣性とした。有効性の主要エンドポイントは1年後の全死因死亡で、達成目標を25%として非劣性を評価した。2つの主要エンドポイントの双方を達成 171例(95%)で技術的成功を達成した。30日後までに、4例(2%)が死亡し、2例(1%)で後遺障害を伴う脳卒中が、2例(1%)で後遺障害を伴わない脳卒中が発生した。 Valve Academic Research Consortium-2の標準的な定義を用いると、安全性に関するイベントは48例(27%、97.5%信頼区間[CI]:19.2~34.0)で発生し、安全性の主要複合エンドポイントを達成した(非劣性のp<0.0001)。新規ペースメーカー植込み術は、すでに装着済みの30例を除く150例中36例(24%)に行った。 1年後までに死亡したのは180例中14例(7.8%、97.5%CI:3.3~12.3)であり、有効性の主要エンドポイントを達成した(非劣性のp<0.0001)。KCCQ、6分間歩行試験も改善 30日後のNYHA心機能分類クラス別の患者数は、180例中クラスIが91例(51%)、クラスIIが62例(34%)、クラスIIIが17例(9%)であり、1年後はクラスIが90例(50%)、クラスIIが48例(27%)だった。125例(83%)が、少なくとも1段階の改善を達成した。 カンザスシティ心筋症質問票(KCCQ)の総合要約スコアの平均値は、ベースラインの55.3点から1年後には77.6点に改善した(p<0.0001)。また、6分間歩行試験の距離は、ベースラインの262.7mから、6ヵ月後には308.1m、1年後には312.5mへと改善し(p=0.004)、1年後の時点で62例(48%)が15m以上の延長を達成した。 著者は、「経大腿TAVIは大動脈弁狭窄症の確立された治療法であるが、大動脈弁逆流症に対する既存の経カテーテル心臓弁デバイスの使用は、大動脈弁輪部への弁の固定や人工弁周囲逆流との関連で困難である。今回使用した新たな経カテーテル心臓弁は、これらの解剖学的課題をほぼ克服できることが示された」としている。

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高齢入院患者のせん妄、認知症リスクが増加/BMJ

 認知症がなく、せん妄のエピソードを少なくとも1回経験している65歳以上の入院患者が初発の認知症の診断を受けるリスクは、せん妄のない患者のほぼ3倍に達し、せん妄のエピソードが1回増えるごとにリスクが20%増加することが、オーストラリア・クイーンズランド大学のEmily H. Gordon氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年3月27日号で報告された。ニューサウスウェールズ州の後ろ向きコホート研究 研究グループは、認知症のない高齢患者におけるせん妄と認知症発症との関連を評価する目的で、後ろ向きコホート研究を行った(オーストラリア国立保健医療研究評議会[NHMRC]の助成を受けた)。 2001年7月~2020年3月に、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の公立・私立病院に入院した65歳以上の患者のデータを収集した。ベースラインで認知症の患者は除外。個人的特性と臨床的特性をマッチングすることで、せん妄ありとなしの患者の組み合わせを決定し、5年以上追跡した。 主要アウトカムは、せん妄と死亡、およびせん妄と認知症発症との関連とし、せん妄とアウトカムの用量反応関係を定量化した。せん妄による認知症リスクは男性のほうが高い マッチングを行った5万5,211組(11万422例、平均年齢83.4[SD 6.5]歳、男性48%)を解析の対象とした。63ヵ月(5.25年)の追跡期間中に、58%(6万3,929例)が死亡し、17%(1万9,117例)が新たに認知症と診断された。 せん妄のない患者と比較して、せん妄を有する患者は、死亡リスクが高く(ハザード比[HR]:1.39、95%信頼区間[CI]:1.37~1.41)、初発の認知症のリスクも顕著に高かった(部分分布のHR:3.00、95%CI:2.91~3.10)。 また、せん妄と認知症との関連は、女性よりも男性で強力であった(部分分布のHR:男性3.17、女性2.88、p=0.004)。せん妄の予防、治療で、認知症の疾病負担軽減の可能性 せん妄のエピソードが1回増えるごとに、死亡のリスクが10%増加し(HR:1.10、95%CI:1.09~1.12)、認知症のリスクは20%増加した(部分分布のHR:1.20、95%CI:1.18~1.23)。 著者は、「これらのデータは、せん妄が認知症の原因となり得ることを示している」と述べ、「認知症の潜在的な修正可能なリスク因子として、せん妄の臨床的な意義は大きい。せん妄の予防と治療は、認知症の世界的な疾病負担を軽減する可能性がある」としている。

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任天堂リングフィットと理学療法の組み合わせが有効?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第254回

任天堂リングフィットと理学療法の組み合わせが有効?新垣 結衣さんがCMをしている任天堂「リングフィット アドベンチャー」。あれって結構健康にいいんだろうな、と思っていたのですが、結局買わずじまいで今に至ります。理学療法にこのリングフィットを組み合わせるとよいのでは、という研究結果が出ました。Takei K, et al. Acceptability of Physical Therapy Combined with Nintendo Ring Fit Adventure Exergame for Geriatric Hospitalized Patients.Games Health J. 2024 Feb;13(1):33-39.Games for Health Journal誌というのは、その名のとおり健康とゲームに関する医学雑誌です。あまり知られていないかもしれませんが、インパクトファクターは3.5もあります。すごい。この研究は、従来の理学療法がやや単調であることを指摘したうえで、そこにゲーム要素を取り入れることで、リハビリのアドヒアランスを高められるのではないかという仮説を検証するために立案されました。選ばれたゲームは任天堂リングフィット アドベンチャーです。このゲーム、ガチでやると昔流行ったビリーズブートキャンプくらいしんどいらしいです。このことを知り合いに話すと、ビリーズブートキャンプ、令和版になって現在カムバックしているらしいですよ、とコメントをいただきました。そうなんですか、知りませんでした。さて、研究の対象となったのは30人の高齢入院患者さんです。1日目にリングフィット+通常の理学療法、2日目に通常の理学療法のみを受けました。自覚的運動強度(Borgスケールなど)だけでなく、楽しさや継続意欲などもアンケートで調査されました。その結果、自覚的運動強度と楽しさの感覚は、リングフィット+通常の理学療法のほうがやや高いという結果になりました。ただし、統計学的には何ともいえない水準で、もう少し規模を大きくして検討する必要があるかもしれません。

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第205回 紅麴サプリ、小林製薬に問われた2つの論点(前編)

4時間31分。長丁場が予想されたとはいえ、これだけの時間を費やした記者会見は久しぶりだった。3月29日に大阪市で行われた紅麹サプリ問題に関する小林製薬の記者会見のことである。改めて今回の顛末を振り返っておきたい。ことが表面化したのは3月22日。小林製薬が同社の機能性表示食品『紅麹コレステヘルプ』を摂取した人で腎障害などが発生し、同製品と使用している紅麹原料の分析から一部に意図しない成分が含まれている可能性が判明したと公表。同社の紅麹関連製品の使用中止を呼びかけ、製品の自主回収も表明した。同時点で発表された健康被害が疑わしい事例は、入院6例(うち5例は退院)、通院7例だったが、3月25日までに入院は26例に増加。翌3月26日には摂取との因果関係が疑われる死亡者1例がいたことが公表され、事態は一気に深刻化した。3月27日には生前に紅麹コレステヘルプを摂取していた死亡者2例が追加で報告された。同日、同業者から「明後日(29日)、小林製薬が大阪でこの件の記者会見を開くらしい」との情報が飛び込んで来た。私は「さて、どうしよう?」とやや考え込んでしまった。29日は2ヵ月前から参加を予定していた午後7時スタートの講演会が東京駅近くで開催される。経験上、午後4時過ぎに終了すれば、なんとか間に合う。小林製薬は上場企業であるため、午前の会見はないだろう。内容次第で午後の株価が大荒れ模様になるからだ。現在はテレビ各社が会見をネットでリアルタイム配信する時代なので、市場が閉まる午後3時スタートが有力と予想し、オンラインとのハイブリッド会見ならば、オンラインで参加しようと半ば決めていた。翌28日、小林製薬の会見開催情報が確実に流れるであろう大手メディアの記者と専門紙記者の2人に会見情報が入ったら教えて欲しいと伝えると、そのうち1人からは午後2時過ぎに「大阪市内で午後だけは確か」と教えられた。午後5時過ぎ、「午後2時」の一報が大手メディア記者から入り、間髪置かずに専門紙記者からも同じ情報が入った。ここから30分以内に情報提供をお願いしていなかった記者2人からも同じ情報が入ってきた。ありがたいことである。結局、予定していた講演会の演者の話は後日どこかで聞ける可能性は十分あるが、小林製薬のこの会見はこの日しかないと思い、某旅行サイトのホームページ(HP)で大阪市内のホテルを探し始めた。しかし、同日夜の大阪市中心部のホテルは、最安値で1万1,000円超。何度もHPをリロードしていると、突如6,000円台のホテルが表示された。即時に予約し、荷物をまとめて本来翌日するはずだった雑事を済ませて東京駅に向かい、新大阪行きの新幹線に飛び乗った。大阪市内のホテルに到着したのは日をまたいだ午前0時過ぎだった。新幹線内で今回の件に関する資料を大量に読んでいたせいか、ホテルに着くなり睡魔に襲われ、服を着たままベッドの上で眠りこけてしまった。目を覚ましたのは午前6時過ぎ。急いで入浴し、コーヒーを何杯も飲みながら午前11時のチェックアウトまで再び資料に目を通し、質問項目を練った。チェックアウト後、早めに大盛りの昼食。体重管理が日常化したここ数年、大盛りの外食は極力避けていたが、長丁場が予想されたための選択だった。29日、記者会見当日。会見場所のJR大阪駅近くの貸会議室のあるビルには午後1時10分頃に到着したが、すでにエントランスはベルトパーテーションが設置され、テレビカメラが参集していた。誘導している小林製薬社員に会見参加のために来場したことを告げると、「23」という印字された整理券を渡された。開始前にこの順でエレベーターに案内するという。そこで手持ち無沙汰にしていると、顔見知りのあるメディアの若い女性記者が「知っている人がいた」と駆け寄ってきた。どうやら還暦が見え始めているオジサン記者の私は、薬局前のオレンジのゾウさん「サトちゃん」のような役回りらしい(笑)。この女性記者が「お昼、食べそこなったんですよね」とぼやくので、「長丁場だろうから食べておいたほうが良いよ。そこにコンビニあったでしょう」と伝え、私は彼女の荷物番となった。いざ会見へ午後1時40分過ぎ、小林製薬社員による会場への誘導が始まった。会場内に入った時点で、小林製薬社長の小林 章浩氏を含む幹部4人が着席予定のテーブル前の記者席は埋まっていたため、私は司会者ボックス前の最前列に陣取った。机の上には資料が2枚。1枚は現在同社HPにも掲載されている「紅麹関連製品の使用中止のお願いと自主回収のお知らせ(第6報)」。もう1枚は「参考資料」と題するものだったが、それを確認する前に社員が一斉に資料を差し替えるとして回収し始めた。改めて差し替えられた資料を見ると、3月28日午後10時現在の健康被害状況として死亡者5人、入院者114人と記載されていた。また、同資料にはお客様からのお問い合わせ対応(一次対応)状況として、3月28日時点で電話回線数110回線、応答率約30%であり、4月4日以降は280回線、応答率50~80%の見込みとなっていた。間もなく小林氏、渡邊 純氏(執行役員/信頼性保証本部 本部長)、山下 健司氏(執行役員/製造本部 本部長)、梶田 恵介氏(ヘルスケア事業部食品カテゴリー カテゴリー長)が会場に入り、一斉にひな壇に並んだ。冒頭には小林氏からあいさつがあった。長くなるがあえて全文を再現する。皆さま、本日は先週に引き続きまして、お忙しい中、記者会見にお越しをいただきまして本当に申し訳ございません。現在、当社が製造いたします紅麹を摂取することによる腎疾患等の発生問題によりまして、非常に多くの皆さまにご心痛、ご不安をおかけしており、今回の件が社会問題にまで発展しておりますことを深くお詫び申し上げます。国内外で弊社製品をご使用のお客様、弊社の原料を使用いただき製造販売されていらっしゃいます皆さま、それをお使いになっていらっしゃいます皆さま、弊社が問題を起こしてしまいました紅麹に携わるすべての皆さま、健康食品を含む飲食物を製造販売されていらっしゃる皆さま、そして日々の診療・治療にあたってくださっていらっしゃいます医療機関の皆さま、本件について相談に乗っていただき、ご指導いただいております官公庁・自治体の皆さま、それぞれに対し、言葉に尽くせない大変なご迷惑をおかけしております。まずはお亡くなりになりましたお客さまのご冥福をお祈りし、ご遺族の皆さまに心からお悔やみを申し上げます。また、現在も入院中・治療中の方が数多くいらっしゃることも承知しております。一刻も早いご回復をお祈りしております。この度は国内外の大切なお客様やお取引先さまに多大なるご迷惑をおかけいたしました。加えて、弊社を取り巻くすべての皆さまに多大なる不安・恐れを与えまして、大変な思いをさせてしまったことと、深刻な社会問題にまで、招いてしまったことにつきまして、改めて深くお詫びを申し上げます。また、本件の公表が先週3月22日となってしまったことにつきまして、厳しいご批判、ご指摘をいただいております。これらを真摯に受け止め、深く反省しております。現在、私どもには日々多くの問い合わせやお叱りのお声を頂戴しております。弊社は今後も入院中、治療中の方をはじめ、お客さまや関係するすべての皆さまへ丁寧な対応を続けてまいります。加えて今回の事態の全容の解明、これ以上の被害の拡大防止と原因の究明、お客さまへの丁寧な説明と補償を含めた真摯な対応、品質管理体制はもちろん、危機管理体制の改善、それらに社を挙げて、また外部の専門家の知見にもしっかり耳を傾けながら、全身全霊取り組んで参ります。この度は本当に申し訳ございませんでした。小林氏のこのあいさつ後、4氏は深々と頭を下げた。続いて渡邊氏より配布されていた参考資料の説明があり、今後の原因究明について、政府、厚生労働省や国の研究機関も主導的に関わっていく旨も説明された。ここから質疑に移ったが、司会者から本日はすべての質問に対応すると告げられた。やはり長丁場は必至だ。当初から私は記者の質問はほぼ2点に集約されると予想していた。1つはこの時点でまだ公表されていなかった「意図しない成分」の正体、もう1つはこの間の小林製薬側の対応の“遅れ”についてだ。後者はやや解説が必要だ。まず、小林製薬側の発表に沿って今回の事態のタイムラインをまとめてみる。小林製薬、発表までのタイムラインまず、今回の紅麹サプリを摂取中に腎障害を起こしたとする1例目の報告が医師から小林製薬に届いたのが1月15日。1月31日には摂取者本人、2月1日には1人の医師から同時に3例が同社に報告された。その後、2月6日に渡邊氏が社長の小林氏にこの件を報告。同社に報告した医師からは紅麹から産生される可能性があるマイコトキシンの1種・シトリニンを疑う指摘があったが、同月16日には紅麹原料全ロットの分析結果からシトリニンが検出されなかったことが判明した。その後、同社では届け出た医師との面談や有識者との協議、度重なる経営執行会議の開催などを行いながら、研究部門、安全管理部門で調査を進め、3月16日に一部の紅麹原料と製品から未知の物質の存在を示唆する結果を得て、3月22日に開いた記者会見でこの問題を公表した。原因の可能性が高い物質が特定されたのが3月16日であることを考えれば、3月22日の公表は遅いとは断言しにくいが、一般的な感覚からすると、社長への報告から世間一般への公表まで1ヵ月半を要しているのは、「遅いのではないか?」となってしまうのはやむを得ないと言える。記者からの質問始まるさて、質疑開始と同時に私も含め、かなり多数が挙手したが、トップバッタ―となったのは通路挟んで隣の席に座っていたテレビ朝日・報道ステーションのアナウンサー下村 彩里氏だった。下村氏の最初の質問は、医師の報告から公表までの経過の確認とそれを踏まえたうえで「(報告から公表までの期間は)原因究明のためだったと思われますが、その間にも亡くなった方がいらっしゃいます。このことはどう思われますか?」というもの。確かにこれまでの報告では1月以降に摂取を開始した方でも被害は発生している。「大変に重大なことが起きてしまったと感じております」と回答した渡邊氏に対して、「今おっしゃった、社内での体制というのは十分だったと思いますか」と畳みかける下村氏。渡邊氏は次のように回答した。「実際には原因究明という言葉を使わせていただいておりますが、その理由は状況把握とともに原因物質だけでなく、できるだけ早く体の中で何が起きているのかがわかれば、多くのお医者さまが治療可能になると思います。その点を究明するためにも、原因のほうを追求していたと考えております」この直後、小林氏が引き継いで語り始めた。「もうちょっと早く公表ができれば防げたかということでございましたら、こちらのご批判に対しては私ども言葉もございません」下村氏からは原因物質についての質問が続いた。私自身の関心はこちらのほうだった。これについては梶田氏が「この1週間で(原因物質の)構造まではだいぶ見えてきております。しかしながら、昨日、厚生労働省に報告に行きまして、これから先はわれわれ1社で判断するのではなく、情報提供をしながら国の研究機関とともに解明を進めていく形になりましたので、現時点ではどの構造体かはまだ解明できておりません。この場では控えさせていただこうと思っております」と回答した。その後、私は挙手しながら自分に質問が回ってくるチャンスを待った。後編へ続く

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何はさておき記述統計 その3【「実践的」臨床研究入門】第42回

生存時間と生存時間曲線はじめに生存時間とは何かについて説明します。臨床研究におけるアウトカム指標として、生存時間は最も重要なものの1つです。悪性腫瘍だけでなく臓器不全にいたるすべての疾患は、最終的には死亡という転帰を迎えます。多くの場合、死亡というアウトカム(イベント)が発生するまでの時間の長さがどの程度であるか、が最も重要となります。なお、生存時間とは死亡にいたるまでの時間だけでなく、あるイベント発生までの時間を示すこともあります。臨床研究においてはKaplan-Meier法による生存率の計算が行われることが一般的です。ここでは、Kaplan-Meier曲線の描き方について具体的に解説します。Kaplan-Meier法では、新たにイベントが発生するごとに生存率が繰り返し再計算されます。これまで説明してきた「打ち切り」という事象も考慮しながら(連載第37回、第41回参照)、逆にある時点までイベントを発生しない確率を考えてみるのです。別の言い方をすれば、ある時点までイベントを発生しない確率を生存割合として、グラフに表示していくことを考えていきます。図に示したように、たとえば10人の患者の生存割合を12ヵ月にわたって観察した場合を考えてみます。1ヵ月目までは全員生存していたとすると、生存割合は1(100%)となり、Kaplan-Meier曲線は下がりません。1ヵ月目に1人死亡したとします。10人中9人が生存しているので、1ヵ月目の生存割合は、9/10=0.90(90%)となり、グラフに示すと図に示したようになります。3ヵ月目にもう1人死亡したとします。1ヵ月目までに生存割合が9/10=0.90に下がっています。3ヵ月目の時点では9人中8人が生存しているので、この時点での生存割合は、9/10×8/9=0.80(80%)となりグラフにすると図に示したとおりです。次に、5ヵ月目に1人「打ち切り」になったとします。この時点で残っている人数は8人ですが、この時点では誰も死亡していないので5ヵ月目の生存割合は、3ヵ月目と変わらず0.80(80%)となり、Kaplan-Meier曲線も下がりません。「打ち切り」があったことを示す「しるし」として、Kaplan-Meier曲線上に小さな縦棒を表示することが慣例とされており、一般的にこれを「ヒゲ」と呼びます。6ヵ月目、7ヵ月目にもそれぞれ1人ずつ「打ち切り」があったとします。6ヵ月目まで残っている人数は7人、7ヵ月目まで残っている人数は6人ですが、3ヵ月目以降は誰も死亡していないので6ヵ月目、7ヵ月目の生存割合は5ヵ月目までと変わらず0.80(80%)となり、Kaplan-Meier曲線も下がりません。9ヵ月目に1人死亡したとすると、この時点では5人中4人が生存していることになりますので、7ヵ月目までの生存割合0.80に4/5をかけて、9ヵ月目の生存割合は0.64(64%)となります。11ヵ月目には更に1人死亡したとします。この時点では4人中3人が生存していることになりますので、9ヵ月目までの生存割合0.64(64%)に3/4をかけて、11ヵ月目の生存割合は0.48(48%)となります。ここまでお示ししたように、イベントが発生するたびに、その時点までに残っていた人数を分母にして、生存割合の低下を計算することにより、「打ち切り」を考慮した解析を行うことができるのです。

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便秘なのに下痢? 不思議な病態を知っていますか?【非専門医のための緩和ケアTips】第73回

第73回 便秘なのに下痢?不思議な病態を知っていますか?緩和ケアは高齢者を診る機会が多く、しばしば遭遇する症状に「便秘」があります。そして、これは時に非常に悩まされる症状でもあります。今回は、便秘の中でもちょっと意外なパターンを紹介します。今回の質問訪問診療で診ている高齢の患者さん。先日、看護師より「下痢が続いている」と相談がありました。診察すると確かにオムツの中に泥状の便が確認され、1週間ほど続いているとのことでした。普段から便秘がちの方で、下剤が効き過ぎたのかと思って下剤を中止したところ、今度はひどい便秘になってしまいました。どのように対応するべきだったのでしょうか?貴重な経験に基づいたご質問、ありがとうございます。こうして振り返ることは非常に大切ですよね。ご質問の内容だけから確信を持ってコメントするのは難しいのですが、これは「溢流(いつりゅう)性便秘」に注意が必要なパターンに感じました。溢流性便秘って聞いたことがありますか? あまり知られてないようなので、この機会に紹介させてください。「溢流」は「あふれ出る」という意味で、言葉通り、「便があふれ出ている便秘」です。「便秘なのに便があふれ出る」とはどういうことでしょうか? それは、硬くなった便塊により、大腸内が宿便でいっぱいになった状態に起因します。そうすると、便が宿便よりも口側に長時間貯留してしまいます。その結果、腸が炎症を起こし、下痢便になるのです。口側にどんどん下痢便が貯留し、限界に達すると、宿便の脇からあふれた下痢便が肛門から排出されます。この現象により、「下痢が続いている」という奇妙な便秘が生じるのです。つまり、溢流性便秘は、便秘としては非常に重症なのです。溢流性便秘を疑った時には、摘便などで経直腸的に大腸内の宿便を解除することが重要です。物理的な閉塞が解除されれば、口側に溜まっていた下痢便もスムーズに排出されます。あとは通常の便秘に準じた薬物療法を検討しましょう。この溢流性便秘という病態には「落とし穴」があります。それは、「下剤による下痢」だと評価して下剤を中止すると、むしろ悪化してしまう点です。見分けるのはなかなか難しいですが、今回の症例であれば「便秘が続く中で生じた下痢だった」という点が、気付くきっかけになったかもしれません。時々見かける病態である、下痢は出ているけどむしろ重度の便秘である「溢流性便秘」について考えてみました。ぜひ頭の片隅に留めておいてください。どこかできっと出合うと思います。今回のTips今回のTips便秘なのに下痢便が出る、溢流性便秘という病態に注意しよう。

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【医師×がん経験者×教育者】がん教育ガイドライン座談会

【医師×がん経験者×教育者】がん教育ガイドライン座談会がん教育の経験者4人が熱弁!『学校側が求める授業とは?』『がん経験者と医療者、それぞれ何を伝える?』医療者・がん経験者・教育者の先生方に、ガイドラインの解説と体験談、そして醍醐味を語っていただきました。出演<ファシリテーター>神奈川県立がんセンター臨床研究所/群馬大学 片山 佳代子 氏<パネリスト>(五十音順)北里大学医学部新世紀医療開発センター 佐々木 治一郎 氏神奈川県教育局指導部保健体育課 佐藤 栄嗣 氏神奈川県がん患者団体連合会 長谷川 一男 氏神奈川県がん教育ガイドラインは こちら

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抗BCMA/CD3二重特異性抗体エルラナタマブ、再発・難治多発性骨髄腫に承認/ファイザー

 ファイザーは2024年3月26日、抗BCMA/CD3二重特異性抗体エルラナタマブ(商品名:エルレフィオ)について、「再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」に対する治療薬として、国内における製造販売承認を取得した。今回の承認は、国際共同第II相試験(MagnetisMM-3試験)および国内第I相試験(MagnetisMM-2試験)の結果等に基づくもの。 再発・難治多発性骨髄腫に対する治療では、免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬および抗CD38モノクローナル抗体の3クラスの薬剤がキードラッグとして用いられる。これらの薬剤に耐性を示す患者の多くはその後治療で十分な効果が期待できず、また標準薬物治療もなかった。 MagnetisMM-3試験は再発・難治多発性骨髄腫を対象に、同剤単剤投与の有効性および安全性を評価する第II相非盲検単群多施設共同試験である。同試験は免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬および抗CD38モノクローナル抗体それぞれ少なくとも1剤に抵抗性を示す多発性骨髄腫患者を対象とし、BCMAを標的とした治療歴のない患者をコホートA(123例)、BCMAを標的とした治療歴のある患者をコホートB(64例)として評価した。主要評価項目の奏効率について、コホートAおよびコホートBで臨床的に意義のある結果が認められた。主な有害事象はサイトカイン放出症候群、貧血、好中球減少症、下痢、血小板減少症、疲労、食欲減退、リンパ球減少症、注射部位反応、発熱、悪心および低カリウム血症であった。

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