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第203回 1ヵ月以上続くコロナ感染は結構多い

1ヵ月以上続くコロナ感染は結構多い英国を代表する9万人強の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)配列を解析した結果によると、少なくとも100人に1人ほどの感染は1ヵ月以上長引くようです1,2)。試験では被験者からおよそ1ヵ月ごとに採取した検体のSARS-CoV-2配列が解析され、3,603人は2回以上の検体の配列解析が可能でした。得られたウイルス配列を照らし合わせたところ、それら3,603人のうち381人に1ヵ月以上の同一ウイルス感染が認められました。381人のうち54人にいたっては2ヵ月以上同じウイルスに感染していました。その結果に基づくと、感染者100人に1~4人弱(0.7~3.5%)のその感染は1ヵ月以上、感染者1,000人に1~5人(0.1~0.5%)の感染は2ヵ月以上続くと推定されました。SARS-CoV-2持続感染者381人のうち3回以上のRT-PCR検査がなされた65人のデータによると、感染し続けているSARS-CoV-2の多くは複製できる力を失っていないようです。それら65人のほとんどのウイルスはいったん減り、その後再び増加するというリバウンドの推移を示しました。研究者によると、そのようなリバウンドは複製できるウイルスが居続けていることを示唆しています。また、SARS-CoV-2の感染持続はやはりただでは済まないようで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後症状(long COVID)をより招くようです。SARS-CoV-2感染が1ヵ月以上持続した人の感染後12週時点以降でのlong COVID有病率は非持続感染者を55%上回りました。SARS-CoV-2感染持続とlong COVIDの関連を示した先立つ報告や今回の研究によるとSARS-CoV-2感染持続はlong COVIDの発生にどうやら寄与しうるようです。とはいえSARS-CoV-2感染持続で必ずlong COVIDが生じるというわけではありませんし、long COVIDのすべてが感染持続のせいというわけではなさそうです。実際、long COVIDに寄与するとみられる仕組みがこれまでにいくつも示唆されており、引き続き盛んに調べられています。たとえば先月にScience誌に掲載された最近の報告では、免疫機能の一翼である補体系の活性化亢進がlong COVIDで生じる細胞/組織損傷の原因となりうることが示唆されています3,4)。参考1)Ghafari M, et al. Nature. 2024 Feb 21. [Epub ahead of print]2)Study finds high number of persistent COVID-19 infections in the general population / Eurekalert3)Cervia-Hasler C, et al. Science. 2024;383:eadg7942.4)Complement system causes cell damage in Long Covid / Eurekalert

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睡眠が認知症発症に及ぼす影響

 睡眠障害と認知症との関係は、依然としてよくわかっていない。スウェーデン・カロリンスカ研究所のYing Xiong氏らは、高齢者(65歳以上)における睡眠対策と認知症との関係を調査し、これらの因果関係を明らかにするため、本研究を実施した。その結果、若年高齢者の短時間睡眠者、高齢者および頻繁にアルコールを摂取する長時間睡眠者において、認知症リスクとの関連が示唆された。Psychiatry Research誌2024年3月号の報告。 高齢者における睡眠対策と認知症との関係を調査するため、English Longitudinal Study of Ageing(ELSA)のデータを用いた。さらに、Cox回帰モデルおよびメンデルランダム化(MR)分析を用いて、因果関係を調査した。 主な結果は以下のとおり。・対象高齢者7,223人のうち、5.7%が平均8±2.9年以内に認知症を発症した(アルツハイマー病は1.7%)。・8時間超の長時間睡眠は、理想的な睡眠時間(7~8時間)の場合と比較し、認知症発症リスクが64%増加し、アルツハイマー病のリスクが2倍高かった。・この関連は、とくに70歳以上およびアルコールを摂取する高齢者において、顕著であった。・7時間未満の短時間睡眠は、高齢になるほど認知症リスクが低く、比較的若年の高齢者では認知症発症リスクが高かった。・睡眠障害および自覚している睡眠の質は、認知症またはアルツハイマー病と関連していなかった。・MR分析では、睡眠時間と認知症との因果関係が確認されなかった。 著者らは「これらの睡眠パターンを早期に検出することは、認知症リスクの高い人の特定に役立つであろう」としている。

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PPIだけでない?P-CABでも胃がんリスク上昇か/東大病院ほか

 ピロリ菌除菌後の胃がん発症とプロトンポンプ阻害薬(PPI)との関連が報告されている。近年、PPIに替わってカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)が用いられているが、P-CABでもピロリ菌除菌者の胃がん発症リスクの上昇が認められたことが、新井 絢也氏(東京大学医学部附属病院 消化器内科)らによって、Clinical Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2024年2月12日号で報告された。感度分析でP-CAB群とPPI群を比較すると胃がん発症リスクは同等 本研究では、約1,100万例の患者情報を有する大規模レセプトデータを用いて、ピロリ菌除菌後患者5万4,055例を抽出し、P-CABによる胃がん発症リスクを検討した。P-CABによる胃がん発症リスクの上昇の有無は、胃がん発症リスクと関連がないとされるヒスタミン2受容体拮抗薬(H2RA)を内服する患者を対照群(H2RA群)とし、傾向スコアマッチングを行うことで評価した。また、感度分析として、P-CABを内服する患者(P-CAB群)とPPIを内服する患者(PPI群)を比較した。 P-CABによる胃がん発症リスクを検討した主な結果は以下のとおり。・平均追跡期間3.65年時点において、5万4,055例のうち568例(1.05%)が胃がんを発症した。・P-CAB群の3~5年時の胃がん累積発症率は、3年時1.64%、4年時2.02%、5年時2.36%で、H2RA群はそれぞれ0.71%、1.04%、1.22%であった。・P-CAB群は、H2RA群と比較して胃がん発症リスクが有意に上昇した(ハザード比[HR]:1.92、95%信頼区間[CI]:1.13~3.25、p=0.016)。・P-CAB内服期間3年以上(HR:2.36)、P-CAB高用量(HR:3.01)ではさらに胃がん発症リスクが上昇し、用量・期間依存性も示された。・感度分析において、P-CAB群とPPI群を比較すると、胃がん発症リスクは同等であった(HR:0.88)。 著者らは、本研究結果について「P-CABはPPIと同様にピロリ菌除菌後の胃がん発症リスクを上昇させる可能性が考えられた。今後は、ピロリ菌除菌後患者に対する処方・内服期間の適正化や内視鏡サーベイランスの徹底が必要になる可能性がある」とまとめた。

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広範囲脳梗塞への血栓除去術併用、1年後も有効/Lancet

 広範囲脳梗塞患者において、内科的治療のみと比較し血管内血栓除去術の併用は90日時の身体機能を有意に改善することが示されていたが、その有効性は1年後の追跡調査においても維持されていた。米国・ケース・ウエスタン・リザーブ大学のAmrou Sarraj氏らが、「SELECT2試験」の1年アウトカムを報告した。広範囲脳梗塞患者に対する血管内血栓除去術の有効性と安全性は複数の無作為化試験で報告されているが、長期の有効性については不明であった。Lancet誌オンライン版2024年2月9日号掲載の報告。SELECT2試験のITT集団における1年時の機能的アウトカムを評価 SELECT2試験は、米国、カナダ、スペイン、スイス、オーストラリア、ニュージーランドの計31施設で実施された第III相の国際共同無作為化非盲検評価者盲検比較試験である。 研究グループは、内頸動脈または中大脳動脈M1セグメントの閉塞による急性期脳梗塞を呈し、非造影CTでASPECTSスコア3~5、またはCT灌流画像あるいはMRI拡散強調画像で虚血コア50mL以上の成人(18~85歳)患者を対象とし、血管内血栓除去術+内科的治療併用群または内科的治療単独群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 本解析の主要アウトカムは、ITT集団における追跡調査1年時の機能的アウトカム(修正Rankin尺度[mRS]スコア:0[無症状]~6[死亡])であった。3ヵ月時の有効性を1年時も維持 本試験は2019年10月11日~2022年9月9日に、計352例が無作為化された後(血管内血栓除去術併用群178例、内科的治療単独群174例)、中間解析(追跡調査90日時のアウトカム)において有効性が認められたため、早期に有効中止となった(ジャーナル四天王(2023/03/01)「広範囲脳梗塞、血栓回収療法の併用で身体機能が改善/NEJM」)。 1年時のmRSスコア中央値は、血管内血栓除去術併用群が5点(四分位範囲[IQR]:3~6)、内科的治療単独群は6点(4~6)で、血管内血栓除去術併用は内科的治療単独と比較してmRSスコア分布を有意に改善した(Wilcoxon-Mann-Whitney検定における優越確率:0.59[95%信頼区間[CI]:0.53~0.64]、p=0.0019、一般化オッズ比:1.43[95%CI:1.14~1.78])。 1年時の全死因死亡率は、血管内血栓除去術併用群45%(77/170例)、内科的治療単独群52%(83/159例)であった(1年死亡相対リスク:0.89、95%CI:0.71~1.11)。

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転移TN乳がんへのSG、日本人での有効性と安全性(ASCENT-J02)/日本臨床腫瘍学会

 日本人の既治療の転移トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対するsacituzumab govitecan(SG)の第II相試験の結果について、第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で国立がん研究センター東病院の内藤 陽一氏が発表した。国際第III相ASCENT試験におけるSGと同程度の効果が認められ、安全性についても既知の安全性プロファイルと同様であったという。 SGは転移TNBCを対象としたASCENT試験において、医師選択治療に対して無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を有意に改善し、米国、欧州、中国、シンガポール、韓国で2ライン以上の治療歴のある転移TNBCに承認されている。ASCENT-J02試験は、日本人の進行固形がん患者を対象とした非盲検第I/II相試験で、今回、既治療の転移TNBC患者を対象とした第II相試験における有効性と安全性の結果が報告された。・対象:切除不能な局所進行または転移/再発TNBCで、転移後に2ライン以上の標準化学療法後に難治または再発した患者36例・方法:SG(1、8日目に10mg/kg、21日ごと)を病勢進行または許容できない毒性が認められるまで静脈内投与・評価項目:[主要評価項目]独立判定委員会(IRC)評価による奏効率(ORR)[副次評価項目]PFS、奏効までの期間(TTR)、奏効期間(DOR)、治験責任医師によるORR、OS、安全性 主な結果は以下のとおり。・データカットオフは2023年5月12日で、追跡期間中央値は6.1ヵ月だった。・年齢中央値は50歳(範囲:29~73歳)、65歳未満が94%、ECOG PS0が72%、HER2低発現は41%だった。・主要評価項目であるIRCによるORRは25%(95%信頼区間[CI]:12.1~42.2、p=0.0077)で、ASCENT試験におけるORR 31%(95%CI:25.6~37.0)と同程度だった。また、TTR中央値は1.6ヵ月(範囲:1.2~3.0)、DOR中央値は6.2ヵ月(95%CI:3.1~未到達[NR])であった。・PFS中央値は5.6ヵ月(95%CI:3.9~NR)で、ASCENT試験における4.8ヵ月(同:4.1~5.8)と同等だった。OS中央値は今回の解析時点ではNRだった。・Grade3以上の試験治療下における有害事象(TEAE)が72%に認められ、重篤なTEAEは14%に認められた。そのうち最も多かったのは好中球減少症(58%)と白血球減少症(36%)であった。 本試験の結果、SGは25%のORRを示し、PFS、TTR、DORの中央値もASCENT試験と同程度だった。安全性についても既知の安全性プロファイルとおおむね一致し、有害事象は支持療法と用量調節で管理可能で、新たな安全性シグナルは報告されなかった。内藤氏は「これらの結果は、日本人の転移TNBC患者に新たな標準治療としてSGの使用を支持する」と結論した。

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ペムブロリズマブ+化学療法の胃がん1次治療、アジア人の成績(KEYNOTE-859)/日本臨床腫瘍学会

 ペムブロリズマブと化学療法の併用は、アジア人の胃がんの1次治療においてもグローバルと同様、良好な結果を示した。 切除不能または転移を有するHER2陰性胃・食道胃接合部腺がんの1次治療におけるペムブロリズマブと化学療法併用を検討した第III相KEYNOTE-859試験のアジア人サブセット解析の結果を、神戸市立医療センター中央市民病院の安井 久晃氏が、第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で発表した。 グローバルITT集団では、全生存期間(OS)中央値12.9ヵ月対11.5ヵ月(ハザード比[HR]:0.78、95%信頼区間[CI]:0.78~0.87)、無増悪生存期間(PFS)6.9ヵ月対5.6ヵ月(HR:0.78、95%CI:0.67~0.85)と、ペムブロリズマブ・化学療法併用群が化学療法群に対して優越性を示している(追跡期間中央値31.0ヵ月)。・対象:HER2陰性の局所進行切除不能または転移のある胃・食道胃接合部腺がん・試験群:ペムブロリズマブ(200mg)+化学療法(FPまたはCAPOX)3週ごと(ペムブロリズマブ・化学療法併用群)・対照群:プラセボ+化学療法(FPまたはCAPOX)3週ごと(化学療法群)・評価項目:[主要評価項目]OS[副次評価項目]PFS、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性 アジア人サブセットは525例で、ペムブロリズマブ・化学療法併用群は263例、化学療法群は262例であった。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は28.6ヵ月であった。・OS中央値はペムブロリズマブ・化学療法併用群17.3ヵ月、化学療法群13.0ヵ月(HR:0.71、95%CI:0.58~0.87)であった。・PFS中央値はペムブロリズマブ・化学療法併用群8.4ヵ月、化学療法群5.8ヵ月(HR:0.72、95%CI:0.58~0.88)であった。・ORRはペムブロリズマブ・化学療法併用群61.2%、化学療法群48.9%であった。・DORはペムブロリズマブ・化学療法併用群10.0ヵ月、化学療法群6.6ヵ月であった。・Grade3以上の治療関連有害事象は59.9%、44.7%であった。 これらの結果は、ペムブロリズマブの化学療法併用をHER2陰性胃・胃食道部腺がん1次治療の選択肢として支持するものだとしている。

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EGFR変異陽性NSCLCの1次治療、ラムシルマブ+エルロチニブのOS最終解析結果(RELAY)/日本臨床腫瘍学会

 未治療のEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした国際共同第III相無作為化比較試験(RELAY)において、VEGFR-2阻害薬ラムシルマブとEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)エルロチニブ併用の有用性が検証されている。エルロチニブへのラムシルマブの上乗せは、エルロチニブ単剤と比較して主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが報告され1)、実臨床でも本レジメンが用いられている。本試験は対象患者の約半数が日本人であり、日本人集団の有効性が良好で、とくにEGFR exon21 L858R変異を有するサブグループでさらに有効である可能性が報告されており2)、全生存期間(OS)の解析結果が期待されていた。第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)において、中川 和彦氏(近畿大学病院 がんセンター長)が世界に先駆け本試験のOSの最終解析結果を報告した。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験・対象:未治療のEGFR変異陽性(exon19del、exon21 L858R)StageIV NSCLC患者・試験群:ラムシルマブ(10mg/kg、隔週)+エルロチニブ(150mg/日)を病勢進行または中止基準に該当するまで投与(併用群:224例[日本人:106例])・対照群:エルロチニブ(同上)を病勢進行または中止基準に該当するまで投与(単剤群:225例[日本人:105例])※・評価項目:[主要評価項目]PFS[副次評価項目]OS※、奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、奏効期間(DOR)、安全性・データカットオフ日:2023年10月20日※:OSの解析は約300例のイベント発生時に実施することが事前に規定され、データカットオフ時点で297例にイベントが発生した。検出力は設定されなかった。 主な結果は以下のとおり。・ITT集団におけるPFSの改善は、OS解析時(追跡期間中央値45.1ヵ月)まで一貫していることが確認された(層別ハザード比[HR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.53~0.83、p=0.0002)。・日本人集団におけるPFS中央値は、併用群19.4ヵ月(ITT集団:19.6ヵ月)、単剤群11.2ヵ月(同:12.4ヵ月)であった(HR:0.69、95%CI:0.51~0.93)。・日本人集団におけるOS中央値は、併用群54.3ヵ月(ITT集団:51.1ヵ月)、単剤群46.0ヵ月(同:46.0ヵ月)であり(HR:0.91、95%CI:0.65~1.26)、OS中央値の差は8.3ヵ月(同:5.1ヵ月)であった。・日本人集団における4年OS率は併用群57.6%(ITT集団:52.8%)、単剤群48.0%(同:48.3)であった。・日本人集団におけるL858R変異患者のOS中央値は、併用群54.3ヵ月(ITT集団:51.6ヵ月)、単剤群43.2ヵ月(同:45.8ヵ月)であり(HR:0.63、95%CI:0.40~0.99)、OS中央値の差は11.0ヵ月(同:5.9ヵ月)と、併用群が良好な傾向にあった。・日本人集団におけるexon19del変異患者のOS中央値は、併用群53.9ヵ月(ITT集団:49.0ヵ月)、単剤群62.1ヵ月(同:51.4ヵ月)であり(HR:1.40、95%CI:0.65~1.26)、OS中央値の差は-8.2ヵ月(同:-2.4ヵ月)と、単剤群が良好な傾向にあった。・病勢進行時のEGFR exon20 T790M変異の発現率は、治療群によって違いはみられなかった(日本人集団の併用群52.0%[ITT集団:47.0%]、単剤群51.0%[同:46.0%])。・日本人集団において、試験薬による治療終了後にEGFR-TKIによる治療を受けた患者の割合は併用群85.8%、単剤群85.7%であり、オシメルチニブによる治療を受けた割合はそれぞれ60.4%、55.2%であった。・日本人集団におけるGrade3以上の有害事象は、併用群81.9%(全体の安全性解析対象集団:76.0%)、単剤群61.9%(同:56.4%)に発現し、全治療薬の中止に至った治療関連有害事象は、それぞれ18.1%(同:16.3%)、21.9%(同:11.1%)に認められた。・安全性プロファイルは、既報と同様であった。 本研究結果について、中川氏は「OSの検出力の設定はなされていなかったが、ラムシルマブとエルロチニブの併用により、臨床的意義のあるOS中央値の数値的な延長がITT集団と日本人集団で示された。OS中央値の数値的な延長は、日本人患者および日本人のL858R変異を有する患者で顕著であった。この結果から、これらの患者集団にはエルロチニブとラムシルマブの併用療法がベネフィットをもたらすことが示唆された」とまとめた。

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単純性尿路感染症、新規経口抗菌薬gepotidacinが有効/Lancet

 世界219施設で実施された単純性尿路感染症の女性患者を対象とする無作為化二重盲検実薬対照第III相非劣性試験「EAGLE-2試験」および「EAGLE-3試験」において、新規経口抗菌薬gepotidacinはnitrofurantoinと比較し、治療成功率に関して非劣性(EAGLE-2試験)および優越性(EAGLE-3試験)が検証された。ドイツ・ユストゥス・リービッヒ大学ギーセンのFlorian Wagenlehner氏らが報告した。gepotidacinは、新規の作用機序を有するトリアザアセナフチレン骨格の抗菌薬で、他の抗菌薬とは異なる作用機序と独自の結合部位により細菌のDNA複製を阻害し、2つの異なるII型トポイソメラーゼ酵素をバランスよく阻害する。著者は、「gepotidacinは、臨床的に重要な薬剤耐性菌を含む一般的な細菌性尿路病原体に対して有効な新規クラスの経口抗菌薬として、患者に大きな恩恵をもたらす可能性がある」とまとめている。Lancet誌2024年2月24日号掲載の報告。gepotidacin群とnitrofurantoin群に無作為化、1日2回5日間経口投与 EAGLE-2試験およびEAGLE-3試験の対象は、出生時女性で妊娠しておらず、12歳以上かつ体重40kg以上であり、排尿困難、頻尿、尿意切迫感、下腹部痛の症状のうち2つ以上を有し、さらに、亜硝酸塩または膿尿(白血球数>15/HPF、白血球エステラーゼ3+または強陽性)が認められた単純性尿路感染症患者。 対象者を、gepotidacin群(1,500mgを1日2回5日間経口投与)またはnitrofurantoin群(100mgを1日2回5日間経口投与)に、年齢区分(18歳未満、18~50歳、50歳以上)および再発歴で層別化し、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、治療開始10~13日後の治癒判定(Test-Of-Cure:TOC)のための来院時における治療成功(細菌学的消失と臨床的消失の複合)であった。解析対象集団は、nitrofurantoin感受性の細菌性尿路病原体(≧105CFU/mL)を有し、試験薬を少なくとも1回投与された患者とした。非劣性マージンは、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)のガイダンスに従って10%(片側p=0.025)とした。安全性は、無作為に割り付けられた試験薬を少なくとも1回投与された全患者を対象に評価した。10~13日後の治療成功率、gepotidacin群50.6~58.5%、nitrofurantoin群43.6~47.0% EAGLE-2試験は2019年10月17日~2022年11月30日、EAGLE-3試験は2020年4月23日~2022年12月1日に実施され、それぞれ1,531例および1,605例が無作為に割り付けられた(EAGLE-2試験:gepotidacin群767例、nitrofurantoin群764例、EAGLE-3試験:805例、800例)。両試験は中間解析の結果、有効中止となった。したがって、本報告の主要解析集団には、中間解析のデータカットオフ時点でTOC来院を満たした、または、TOC来院までに治療効果が得られなかったことが判明した患者のみが含まれた。 治療成功が得られた患者の割合は、EAGLE-2試験でgepotidacin群50.6%(162/320例)、nitrofurantoin群47.0%(135/287例)(補正後群間差:4.3%、95%信頼区間[CI]:-3.6~12.1)、EAGLE-3試験でそれぞれ58.5%(162/277例)、43.6%(115/264例)(補正後群間差:14.6%、95%CI:6.4~22.8)であった。gepotidacinは、両試験においてnitrofurantoinに対し非劣性であることが示され、EAGLE-3試験では優越性が示された。 主な有害事象は、gepotidacin群が下痢(発現率:EAGLE-2試験14%[111/766例]、EAGLE-3試験18%[147/804例])、nitrofurantoin群が悪心(発現率:4%[29/760例]、4%[35/798例])であった。ほとんどは軽度または中等度で、生命を脅かすまたは致死的な有害事象は認められなかった。

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2030年末までにグローバル売上の3分の1をオンコロジーにする/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズは2024年2月19日、都内でオンコロジーメディアラウンドテーブルを開催した。 社長のケネット・ブライスティング氏はオンコロジー領域の展開に関する全体像を説明した。 ギリアドはグローバル戦略として、2030年末までに売り上げの3分の1をオンコロジー領域にするという目標を掲げている。日本法人でも、従来のウイルスや炎症に加え、オンコロジーを新たな注力領域とした。すでに、2023年のAxi-Cel(商品名:イエスカルタ)販売承継、24年には抗Trop-2抗体薬物複合体sacituzumab govitecan(SG)の乳がんに対する国内製造承認を申請している。25年以降は、肺がんなど固形がんに対するSGの追加適応、急性リンパ性白血病およびメルケル細胞リンパ腫を適応とした同社2剤目となるCAR-T brexucabtagene autoleucel(Brexu-Cel)の上市を計画している。 開発本部長の表 雅之氏は固形がんにおけるSGの展開について説明した。Trop-2は上皮細胞の膜表面タンパクで細胞内シグナル伝達に関与する。さらにTrop-2高発現は、がんの予後不良因子であることが知られる。SGはTrop-2を標的とした抗体とイリノテカンの活性代謝物SN-38の抗体複合体として抗腫瘍活性を発揮する。 SGはトリプルネガティブ乳がん(TNBC)、HR+/HER2-乳がん、および尿路上皮がん治療薬として海外で承認されている。日本では2024年1月、第III相ASCENT試験1)および国内第II相ASCENT-J02試験2)の結果を基に、2ライン以上の治療歴のある進行TNBCに対する製造承認申請をした。乳がんに対してはさらに、TNBCの1次治療3)、HER2-例の術後補助療法4)、HR+例(3次治療および内分泌療法抵抗例)5)についての治験もグローバルで行われている。 SGの開発は非小細胞肺がん(NSCLC)でも進行中である。今年(2024年)1月にプレス発表された既治療のNSCLCにおける第III相EVOKE-01試験では、主要評価項目(全生存期間[OS])は未達であったものの、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)無効例では3ヵ月以上OSを延長したと発表している6)。NSCLCではさらに、1次治療での試験7)、ICIとの併用8)も進行中である。 そのほか胃・食道胃接合部がん、頭頸部がん、小細胞肺がん、子宮内膜がん、大腸がん、膵がんでSGのグローバル臨床試験が進行している。日本ではTNBC、HR+HER2-乳がん、膀胱がん、NSCLCで治験を実施中である。 ブライスティング氏は今後の開発について、多くの製薬企業やバイオテック企業と連携して開発を推進したいとしている。また、昨今問題となっているドラッグロス問題に関連して、グローバルの試験には日本法人として第III相から参加していきたいと述べた。■参考1)ASCENT試験(Clinical Trials.gov)2)ASCENT‐J02試験(jRCT)3)ASCENT-03試験(Clinical Trials.gov)4)SASCIA試験(Clinical Trials.gov)5)TROPiCS-02試験(Clinical Trials.gov)6)EVOKE-01試験(Clinical Trials.gov)7)EVOKE-02試験(Clinical Trials.gov)8)EVOKE-03試験(Clinical Trials.gov)

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第183回 新型コロナ公費支援は3月末で終了、通常の医療体制へ/厚労省

<先週の動き>1.新型コロナ公費支援は3月末で終了、通常の医療体制へ/厚労省2.アルコールは少量でも要注意、飲酒ガイドラインを公表/厚労省3.SNSが暴いた入試ミス、PC操作ミスによる不合格判定が発覚/愛知医大4.専攻医の過労自死問題を受け、甲南医療センターを現地調査へ/専門医機構5.医師らの未払い時間外手当、小牧市が8億円支給へ/愛知県6.診療報酬改定で人気往診アプリ『みてねコールドクター』が終了へ/コールドクター1.新型コロナ公費支援は3月末で終了、通常の医療体制へ/厚労省厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する医療費の公費支援を2024年3月末で終了し、4月から通常の医療体制に完全移行する方針を発表した。これまで、COVID-19の治療薬や入院医療費に関しては、患者や医療機関への一部公費支援が継続されていたが、4月からは他の病気と同様に保険診療の負担割合に応じた自己負担が求められるようになる。COVID-19への公費支援は、治療薬の全額公費負担が2021年10月より始まり、昨年10月には縮小された。また、患者は年齢や収入に応じ、3,000~9,000円の自己負担をしていた。4月からは、たとえば重症化予防薬モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)を使用する場合、1日2回5日分の処方で約9万円のうち、3割負担であれば約28,000円を自己負担することになる。また、月最大1万円の入院医療費の公費支援や、コロナ患者用病床を確保した医療機関への病床確保料の支払いも終了する。COVID-19の感染状況は改善傾向にあり、定点医療機関当たりの感染者数が12週ぶりに減少している。これらの背景から、政府は公費支援の全面撤廃と通常の診療体制への移行が可能と判断した。さらに、次の感染症危機に備え、公的医療機関などに入院受け入れなどを義務付ける改正感染症法が4月から施行される。参考1)新型コロナの公費負担、4月から全面撤廃へ…治療薬に自己負担・入院支援も打ち切り(読売新聞)2)新型コロナ公費支援 3月末で終了 4月からは通常の医療体制へ(NHK)3)新型コロナ公費支援、3月末で完全廃止 厚生労働省(日経新聞)2.アルコールは少量でも要注意、飲酒ガイドラインを公表/厚労省厚生労働省は、飲酒による健康リスクを明らかにするため、「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を発表した。初めて作成されたこの指針では、純アルコール量に着目し、疾患別に発症リスクを例示している。大腸がんのリスクは1日20g以上の純アルコール摂取で高まり、高血圧に関しては少量の飲酒でもリスクが上昇すると指摘されている。純アルコール量20gは、ビール中瓶1本、日本酒1合、またはウイスキーのダブル1杯に相当。ガイドラインによると、脳梗塞の発症リスクは、男性で1日40g、女性で11gの純アルコール摂取量で高まる。女性は14gで乳がん、男性は20gで前立腺がんのリスクが増加する。さらに、男性は少量の飲酒でも胃がんや食道がんを発症しやすいと報告されている。とくに女性や高齢者は、体内の水分量が少なくアルコールの影響を受けやすいため、注意が必要。また、女性は少量や短期間の飲酒でもアルコール性肝硬変になるリスクがあり、高齢者では認知症や転倒のリスクが一定量を超えると高まる。ガイドラインでは、不安や不眠を解消するための飲酒を避け、他人への飲酒を強要しないこと、飲酒前や飲酒中の食事の摂取、水分補給、週に数日の断酒日の設定など、健康への配慮としての留意点も挙げている。厚労省の担当者は、「体への影響は個人差があり、ガイドラインを参考に、自分に合った飲酒量を決めることが重要だ」と強調している。参考1)健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(厚労省)2)ビールロング缶1日1本で大腸がんの危険、女性は男性より少量・短期間でアルコール性肝硬変も(読売新聞)3)飲酒少量でも高血圧リスク 健康に配慮、留意点も 厚労省が初の指針(東京新聞)3.SNSが暴いた入試ミス、PC操作ミスによる不合格判定が発覚/愛知医大愛知医科大学(愛知県長久手市)は、大学入学共通テストを使用した医学部入学試験の過程で、PC操作ミスにより本来2次試験の受験資格を有していた80人の受験生を誤って不合格としていたことを発表した。この問題は、SNS上で受験生間の投稿を通じて疑問が提起され、その後の大学による確認作業で明らかになった。受験生は、自己採点結果から「自分より点数が低い友人が合格している」といった内容をSNSに投稿していた。操作ミスは、大学入試センターから提供された成績データを学内システムに転記する際に発生したもので、一部受験生の点数が実際よりも低く記録されてしまったことが原因。発覚後、同大学は該当する80人の受験生に対し、予定されていた2次試験への参加資格があることを通知し、さらに受験できない者のために別の日程も設定した。この事態を重くみた大学は、「受験生に混乱を招いたことを深くお詫びする」との声明を発表し、今後のチェック体制の見直しを約束し、2度と同様のミスが発生しないようにするとしている。参考1)令和6年度医学部大学入学共通テスト利用選抜(前期)における 第2次試験受験資格者の判定ミスについて(愛知医大)2)愛知医科大学 医学部入試で80人を誤って不合格に PC操作ミスで(NHK)3)愛知医科大、PC操作ミスで80人誤って不合格…SNSで結果疑う投稿相次ぎ大学が確認し判明(読売新聞)4)「自己採点で自分より低い友人が合格」愛知医科大、判定ミスで80人不合格に(中日新聞)4.専攻医の過労自死問題を受け、甲南医療センターを現地調査へ/専門医機構日本専門医機構は、2024年2月19日の定例記者会見で、2024年度に研修を開始する専攻医の採用予定数が9,496人と発表し、過去最多であることを明らかにした。2023年度の9,325人から増加し、とくに整形外科で93人、救急科で66人の増加がみられる一方、皮膚科では51人、外科では25人の減少が確認された。同機構理事長の渡辺 毅氏は、外科専攻医の減少は問題であると指摘している。専攻医数の増加は、東北医科薬科大学や国際医療福祉大学の医学部新設とその卒業生の専攻医登録が影響しているとされ、とくに医師不足が指摘されている外科は微減傾向にあるものの、救急科では増加が予想されている。また、専攻医の過労自死問題を受け、甲南医療センター(神戸市)でのサイトビジット(現地調査)を実施する予定であり、専攻医の心身の健康維持や時間外勤務の上限明示などの環境整備が適切に行われているかを目的に調査が行われる。渡辺氏は、「得られた知見を将来の専攻医研修プログラムや専門医制度の整備指針の改善に生かしたい」と述べている。専攻医遺族が甲南医療センター側を提訴しているため、訴訟に影響が出ないような日程での実施を目指している。参考1)2024年度専攻医、整形外科や救急科で増加(日経メディカル)2)来年度の専攻医、昨年度比150人増の9,500人(Medical Tribune)5.医師らの未払い時間外手当、小牧市が8億円支給へ/愛知県小牧市民病院(愛知県)が、医師や薬剤師を含む約277人の職員に対して、夜勤や土日祝日の当直業務で適切に支払われていなかった時間外勤務手当の差額約8億円を支給することを発表した。これは、病院の医師の働き方改革を機に勤務や手当の見直しが行われた際に、複数の医師からの指摘を受けて発覚、本来、労働実態に応じて支給されるべき時間外手当が、一律の定額で支給されていたことが問題となったもの。病院側は、2023年4月からこの問題を調査し、約4年分の差額を医師、薬剤師、放射線技師などの職員に支払うことを決定した。また、3月以降は時間外勤務手当を適切に支給する制度に改めることも発表した。これまでの誤った運用は「慣例に従っていた」との理由から起こったとしている。さらに、病院は夜間や休日の手当の見直しも発表し、2020年4月~2024年2月までの間に当直業務に従事した職員に対して、法律で定められた賃金よりも過小だった手当の差額を支給する。病院側はこれまで、労働基準法に基づいた時間外勤務手当の支給が必要な場合、特例措置として「宿日直許可」を労働基準監督署に申請する必要があることを知らなかったと述べている。この措置により、病院は正規の時間外勤務手当とこれまで支給してきた手当との差額を職員に支給し、法律に準拠した形での勤務条件の改善を目指す。差額の支払いについては、市議会定例会に補正予算案を提出し、支払いは5月下旬に行われる予定。参考1)時間外手当、差額8億円支払いへ 医師ら277人に 愛知の市民病院(朝日新聞)2)小牧市民病院、夜間・休日手当見直しへ 20年以降の差額も支給(中日新聞)6.診療報酬改定で人気往診アプリ『みてねコールドクター』が終了へ/コールドクター夜間や休日に医師の往診をWebやアプリから依頼できるサービス「みてねコールドクター」が、診療報酬の改定により条件が厳格化されるため、3月31日をもって終了することが発表された。このサービスは、子供の医療助成制度適用で都内では自己負担0円(交通費別)で利用が可能で、約400人の医師が登録・在籍し、夜間・休日の急病時に最短30分で自宅に医師を派遣し、その場で薬を渡すことができた。2022年にはミクシィとの資本業務提携を経て、サービス名に「みてね」のブランドを冠し、とくに子育て世代から高い評価を得ていた。今回の診療報酬改定では、医療従事者の賃上げなどに充てるための基本報酬の引き上げが注目されていたが、往診サービスについては「普段から訪問診療を受けていない患者」への緊急往診や夜間往診の診療報酬が低下し、この変化に伴い「みてねコールドクター」はサービスの終了を決定した。同社は、今後の市場の変化を見据えての決定であると説明しており、オンライン診療や医療相談サービスは継続する。診療報酬の改定では、救急搬送の不必要な減少や医療現場の負担軽減を期待していたが、実際には小児科領域の往診が主であり、コロナ禍での特殊な状況下では多くの人にとって救いとなった。しかし、保険診療の方向性としては、緊急時のみに駆けつける医師ではなく、日常を支えるかかりつけ医の強化が求められている。参考1)往診のサービス提供終了のお知らせ(コールドクター)2)往診アプリ「みてねコールドクター」往診終了 診療報酬改定で(ITmedia NEWS)3)「みてねコールドクター」の往診サービスが終了に(Impress)4)人気の“往診サービス”が突然の終了、理由は「診療報酬改定」なぜ?(Withnews)

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事例042 残廃棄注射薬剤の算定漏れ【斬らレセプト シーズン3】

解説事例では気管支喘息の小児にアンプル容器(略称「A」)に入ったアミノフィリン(商品名:ネオフィリン)が静注されています。ネオフィリン注を幼児に使用する場合には、体重に応じて比例投与が求められています。比例投与後に残された薬剤は衛生上の問題などから再使用できずに廃棄せざるを得ません。明確な規定はありませんが、こうした理由からアンプル単位で使用する薬剤は、全量を使用したものとみなしての請求が認められています。この場合には、かならず「残廃棄」「0.6A使用残廃棄」などと、残量を廃棄したコメントを付けなければなりません。なぜなら、体重などに応じた投与量が添付文書の適用範囲から外れていると判定された場合には、外れた範囲が査定になることがあるからです。ほかのアンプル入り医薬品も同様です。比例請求することは、誤りではありません。しかし、アンプル容器入りには高価な医薬品があります。認められた請求方法を確実に利用して、廃棄分もコスト回収することが医療機関にとっては大切なことです。医薬品にはアンプル容器入りのほかに複数回使用ができるバイアル、瓶などの容器があります。その場合も含めて、「使用後の残液は使用しない」「調整後は速やかに使用する」と添付文書に記載されている医薬品は、通知などで示された場合を除き、全量請求が認められます。医療費計算システムには、アンプルやバイアルなどの1本単位で全量請求が認められる注射用医薬品を抽出、比例計算が行われた場合には、注意喚起が表示されるように改修して算定漏れ対策としました。

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「将来が漠然と不安…」、専攻医の悩みに大塚篤司氏の答えは?【Dr.大塚の人生相談】

研修医2年目のものです。来年度から自大学の皮膚科に入局予定ですが、将来に対して漠然とした不安感を抱いています。皮膚科の専門医になるための5年間の研修に関して、本当にやっていけるかどうかと皮膚科を研修でまわっていて感じるときがあります。指導医の先生が「これはHairy-Hairy病だね」「肉芽腫性口唇炎をみたらMelkkerson-Rosenthal症候群を疑うよ」と仰ったときに「そうなんですね」と返しますが、「なんやそれ」と心の中では思っています。「なんとかなるやろ」と楽観的に思う自分もいるのですが、内心では不安感を抱いているのは事実です。それに加えて、医療費をめぐる医療従事者への当たりの強さも心配な面もあります。そこで、これからの時代を生きる専攻医に向けて、アドバイスといいますか、指針のようなものがあればご教授いただけると幸いです。(今回の相談者:たむさん)ぼくはいろんなところでコラムとかエッセイを書いて、過去の出来事を振り返ったりするのですが、じゃあ医局員との飲み会で自分のことを語るかというとほとんど何も言いません。先日、医局で忘年会をやったんですね。新入局員だけでなく、外来の看護師さんとか受付さんとかみんなに声をかけて。で、たぶんぼくが一番喋らずにその会は終了しました。まぁ、コミュ障というのもあるのですが(笑)、教授が語り始めると若手が喋れなくなるし、おじさんの武勇伝とか飲み会で披露されてもウザいだろうし、だからといって二十代の先生たちを楽しませるだけの話術と豊富なテーマもあるわけではないし、などと考えたら全く喋らずにただただ気配を消すしか正解が思い当たらなかったのです。忘年会の帰り道、「こんな性格で教授やっていけるのか?」とさすがに不安になりました。という感じで、教授になったらなったで将来の不安もあります。臨床も完璧かというと決してそんなわけではなく、知らない病気だってたくさんあります。Laugier-Hunziker-Baran症候群って聞いたことありますか?口唇や口腔粘膜に黒色斑が多発して、手足の爪に色素線条ができる疾患なんですが、ぼくはこの病気の読み方がいまだに正解をわからずにいます。いや、すみません。読めますけど、カンファレンスでは発音に自信がないから「バラン症候群」って言っちゃいます。ときどき「バラン症候群って正式名称なんだっけ?」とみんなに聞きます。もうすでに3回くらいカンファレンスで確認したことがあるくらい、こういう病名を覚えるのが苦手です。わりとポンコツなんです。でもね、医局の中でぼくが一番アトピー性皮膚炎に関しては詳しいと思います。教授だから当たり前だろう、っていうツッコミが聞こえてきますが、これが当たり前じゃないんです。アトピーに一番詳しくなるには、アトピーについてこれまでずっと研究したり、患者さんをみてきたからです。そうなったのも、アトピーについてもっと知りたいと思ったことがあったからだし、アトピー患者さんを治したいという強いモチベーションの結果なんですよね。相談者さんにいま見えている景色は、いろんな思いの末に出来上がった先生たちであり、その先生たちの努力のあと(途中)です。まだ皮膚科の研修もはじまっていない、自分がなにを専門にすればいいかもわからない状態で、自信満々の方が怖いですしヤバいです。きっとね、この先、患者さんと接していく中で、「もっと自分にできることがあったのでは?」という後悔や反省や「面白い!」と感じることに出会うと思います。そのときに、猛烈に頑張ったらいいと思います。日本で一番この病気に詳しくなってやろう、くらいの気概で勉強すれば、医局で一番詳しくなれます。そういう経験をひとつひとつ積み重ねていくと、いつの間にか「頼りになる皮膚科医」であり「かっこいい先輩」になれるんだと思います。臨床を通じて、心が動いた瞬間を大事に、そこで決して妥協しないこと。振り返ったときに後悔がないように全力を尽くすこと。ありふれたアドバイスですけど、一緒にがんばろうぜ。皮膚科医になったらぜひ声をかけてください。その時は一緒に飲みましょう!(コミュ障だからリアルではほとんどしゃべらないですけどね。笑)

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英語力ゼロからの国際学会成功ガイドブック

この本と、挑戦する気持ちがあれば国際学会プレゼンはできる!英語が苦手でも留学経験がなくても大丈夫!医師になってから英語を始めた著者たちだからこそ教えられる、経験をもとに本当に役に立つテクニックと、日本人が英語で苦労する部分やつまずきやすいポイントの解決策を1冊でマスター。アクセプトされる抄録の書き方、流暢に話せなくても成功するための方法、かっこよくてわかりやすいスライドづくりのノウハウなど、実際に準備するステップごとに解説。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する 英語力ゼロからの国際学会成功ガイドブック定価2,420円(税込)判型A5判頁数88頁発行2024年2月著者山田 悠史、原田 洸、園田 健人協力Medical English Hubご購入(電子版)はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら

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薬歴からサルファ剤アレルギー患者の過敏症を回避【うまくいく!処方提案プラクティス】第58回

 今回は、化学構造式のスルホンアミド構造に目を向けて、類似構造を有する薬剤の薬剤過敏症を未然に回避した事例を紹介します。サルファ剤はスルホンアミド構造をもつ薬剤の総称1)ですが、意外な薬剤がこの構造を有していることがあります。副作用やアレルギーの記録を活用し、どのような有害エピソードがあったのかを聴取してみましょう。患者情報70歳 女性(外来)基礎疾患高血圧症、骨粗鬆症副作用歴「サルファ剤」とだけ薬歴に記載処方内容1.アムロジピンOD錠5mg 1錠 分1 朝食後2.カルベジロール錠10mg 1錠 分1 朝食後3.エルデカルシトールカプセル0.75μg 1カプセル 分1 朝食後4.アレンドロン酸35mg 1錠 起床時 毎週月曜日服用【新規処方】1.セレコキシブ錠100mg 2錠 分2 朝夕食後2.レバミピド錠100mg 2錠 分2 朝夕食後本症例のポイントこの患者さんは、基本動作はすべて自立していましたが、今回腰を痛めて整形外科を受診しました。そこで鎮痛薬を希望し、セレコキシブとレバミピドが処方されました。当薬局で処方箋を受け付け、鑑査のタイミングで薬歴を確認したところ、サルファ剤のアレルギーが登録されていることに気がつきました。そこで患者さんに、感染症治療の抗菌薬で副作用が出たことがあったかどうか確認しました。すると、過去に尿路感染症治療で服用したスルファメトキサゾール・トリメトプリム配合錠で全身に発疹と呼吸困難感が生じたと話してくれました。今回の処方薬をそのまま服用した場合、構造活性相関としてセレコキシブのスルホンアミド構造によりサルファ剤アレルギーが生じる可能性が高いため、医師に処方変更を提案することにしました。スルホンアミド骨格(セレコキシブ添付文書より)処方提案と経過医師に電話で、患者にサルファ剤によるアレルギー症状の既往があり、発疹と呼吸困難感が生じていたことを報告しました。今回処方となったセレコキシブもスルホンアミド構造を有していて、過敏症による有害反応の可能性があることを伝えました。医師より代替薬はどうしたらよいか相談があったので、安全面などを考慮してアセトアミノフェン500mg 3錠 分3 毎食後を提案し、了承を得ました。患者は、アセトアミノフェンを7日間内服して腰痛も改善し、その後はアセトアミノフェンも終了となりました。1)岡田 正人ほか. 薬局. 薬剤過敏症歴がある患者の薬物治療. 2018;69:63.2)セレコックス錠 添付文書

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「座りっぱなし」でCVD死亡リスク34%増 

 2020年に発表された世界保健機関(WHO)ガイドラインでは、初めて「座り過ぎ」が健康を害し、心臓病、がん、2型糖尿病のリスクを高めることが明記された。長時間座ることの多い仕事は健康リスクにどのように影響し、それは身体的活動で軽減することができるのか。台湾・台北医科大学のWayne Gao氏らによる研究の結果が、JAMA Network Open誌2024年1月19日号に掲載された。 本試験は、1996~2017年の台湾の健康監視プログラムの参加者を対象とした前向きコホート研究だった。職業的座位時間、余暇時間における身体活動(LTPA)習慣、ライフスタイル、代謝パラメータに関するデータを収集した。データ解析は2020年12月に行われた。 主なアウトカムは、3段階の職業的座位量(ほとんど座っている、座っている・いないを交互に繰り返す、ほとんど座っていない)に関連する、全死因死亡率および心血管疾患(CVD)死亡率だった。全参加者、および5つのLTPAレベルと個人活動知能(PAI:身体活動に対する心拍数応答に基づく新たな身体活動計量)の指標を含む、サブグループ別のハザード比(HR)を算出した。逆因果を防ぐため、追跡開始後2年以内の死亡は除外した。 主な結果は以下のとおり。・48万1,688例が対象となった。平均年齢は39.3歳、女性53.2%だった。平均追跡期間は12.85年、追跡期間中に2万6,257例が死亡した。・性別、年齢、教育水準、喫煙歴、飲酒歴、肥満度の調整後も、仕事中にほとんど座っている人はほとんど座っていない人に比べ、全死因死亡率が16%高く(HR:1.16、95%信頼区間[CI]:1.11~1.20)、CVD死亡率が34%高かった(HR:1.34、95%CI:1.22~1.46)。座っている・いないを交互に繰り返す人は、ほとんど座っていない人と比べ、全死因死亡率の増加はみられなかった。・ほとんど座っている人で、LTPAが少ない(1日15~29分)、またはまったくない(1日15分未満)人は、LTPAを各1日15分、30分増やすことで、ほとんど座っていないLTPAが少ない人と同程度まで死亡率が減少した。さらに、PAIスコアが100を超える人は、座りっぱなしと関連する死亡リスクが顕著に減少した。 著者らは「仕事中に座っていることが多い人が死亡リスク上昇を軽減し、仕事中に座っていないことが多い人と同レベルに達するには、1日当たり15~30分の身体活動を追加する必要がある。これらの知見は、職場での長時間の座位を減らすこと、および/または1日の身体活動の量や強度を増やすことが、座りっぱなしに関連する全死亡およびCVDリスク上昇を緩和する可能性がある」としている。

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卵がうつ病リスクと関連~日本人労働者568人を調査

 山形県立米沢栄養大学の北林 蒔子氏らは、日本人労働者における食品群別の摂取量とうつ病との関連を調査するため、アンケート調査を実施した。その結果、男性では卵、女性では卵と野菜(緑黄色野菜以外)の摂取がうつ病と関連している可能性が示唆された。BMC Nutrition誌2024年1月30日号の報告。卵の摂取量が少ない男性はうつ病のORが有意に高い 2020年、日本人労働者568人を対象にアンケート調査を実施した。回答した503人中423人を研究対象に含めた。性別、年齢、BMI、残業時間、睡眠時間、婚姻状況、職位、運動習慣、喫煙状況、うつ病の発症および、エネルギー、タンパク質、脂質、炭水化物、アルコール、食品群別の摂取に関する情報を収集した。うつ病の有無および重症度の評価には、うつ病自己評価尺度(CES-D)を用いた。食品群別の摂取量は、残差法を用いてエネルギー摂取量を調整し、性別ごとに、低、中、高に分類した。うつ病の有無を従属変数、食品群別の摂取量を独立変数とし、ロジスティック回帰分析により性別に応じたオッズ比(OR)と傾向を分析した。 卵や野菜など食品群別の摂取量とうつ病との関連を調査した主な結果は以下のとおり。・うつ病の調整ORが有意に高かったのは、以下のとおりであった。●卵の摂取量が少ない男性●他の野菜(緑黄色野菜以外)の摂取量が低~中程度の女性●卵の摂取量が中程度の女性・用量反応関係が確認され、男性では卵の摂取量が少ない場合(p for trend=0.024)にうつ病のORが有意に高く、女性では他の野菜(緑黄色野菜以外)の摂取量が少ない場合(p for trend=0.011)、卵の摂取量が少ない場合(p for trend=0.032)にうつ病のORが有意に高かった。

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透析高齢女性へのデノスマブ、重度低Ca血症が大幅に増加/JAMA

 65歳以上の透析女性患者において、デノスマブは経口ビスホスホネート製剤と比べて、重度~きわめて重度の低カルシウム血症の発現率がきわめて高率であることが、米国・食品医薬品局(FDA)のSteven T. Bird氏らによる検討で示された。透析患者は骨折を引き起こす割合が高いが、エビデンスのある最適な治療戦略はない。今回の結果を踏まえて著者は、「透析患者にきわめて一般的に存在する骨病態生理の診断の複雑さや、重度の低カルシウム血症のモニタリングおよび治療に複雑な戦略を要することを踏まえたうえで、デノスマブは、慎重に患者を選択し、十分なモニタリング計画を立てたうえで投与すべきである」と述べている。JAMA誌2024年2月13日号掲載の報告。デノスマブvs.経口ビスホスホネートのリスクを評価 研究グループは、骨粗鬆症治療を受ける透析患者における重度の低カルシウム血症の発現率とリスクを調べるため、デノスマブと経口ビスホスホネート製剤を比較する後ろ向きコホート研究を行った。対象は、2013~20年にデノスマブ(60mg)または経口ビスホスホネート製剤による治療を開始したメディケアに加入している65歳以上の透析女性患者とした。 毎月の血清カルシウム値を含む臨床パフォーマンスの指標を、透析や腎移植を受ける末期腎臓病患者に関するデータを集めたConsolidated Renal Operations in a Web-Enabled Network(CROWN)データベースを介して入手。 重度の低カルシウム血症は、アルブミン値補正後の総血清カルシウム値が7.5mg/dL(1.88mmol/L)未満、または一次病院や救急部門での低カルシウム血症診断(緊急治療)と定義し、きわめて重度の低カルシウム血症(血清カルシウム値が6.5mg/dL[1.63mmol/L]未満または緊急治療)とともに、骨粗鬆症治療の開始後12週間における逆確率治療重み付け(IPTW)累積発現率、重み付けリスク差、重み付けリスク比を算出し評価した。重度の低カルシウム血症、デノスマブ群は経口ビスホスホネート群の20.7倍 非重み付けコホートにおいて、重度の低カルシウム血症の発現は、デノスマブ治療群1,523例中607例、経口ビスホスホネート治療群1,281例中23例で認められた。 重度の低カルシウム血症の12週時における重み付け累積発現率は、デノスマブ群41.1% vs.経口ビスホスホネート群2.0%だった(重み付けリスク差:39.1%[95%信頼区間[CI]:36.3~41.9]、重み付けリスク比:20.7[13.2~41.2])。 きわめて重度の低カルシウム血症の12週時における重み付け累積発現率は、デノスマブ群10.9% vs.経口ビスホスホネート群0.4%だった(重み付けリスク差:10.5%[95%CI:8.8~12.0]、重み付けリスク比:26.4[9.7~449.5])。

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肝がん、乳がんが多い都道府県は?「がんの県民性」を知る

 企業でのがん対策を進めることを目的に厚生労働省が行うプロジェクト「がん対策推進企業アクション」は2月14日、プレス向けセミナーを行った。プロジェクトの推進役である東京大学特任教授の中川 恵一氏が「がんの県民性」をテーマに講演を行った。 世界中でも、国や人種によって多いがんと少ないがんがあるが、実は日本国内でも地域ごとに発生するがんの種類にバラツキがある。この要因はさまざまなものがあり、遺伝子、人口構成、食生活などが影響している。そして、最も大きな原因と考えられるのが、ウイルスの偏在と感染だ。【胃がん】 全国がん登録のデータ(2019年)を基に、人口調整後の10万人当たりの罹患率を見ると、胃がんの罹患率がもっとも高いのは、男女共に秋田県。胃がんはピロリ菌の感染が原因の9割近くを占めることがわかっており、ピロリ菌の検査と除菌するようになってから罹患者数は減少傾向にある。その中にあって秋田県の罹患率が依然として高いのは、塩分が多い食生活が大きな要因だと考えられている。マウスの実験では、ピロリ菌に感染しているマウスに塩分を過剰に摂取させると胃がんの発生率が上昇するという報告がある。秋田県に限らず、胃がんを減らすためには、減塩、胃がん検診、禁煙・節酒が有効だろう。【肝がん】 肝がんの罹患率が高いのは、佐賀県をはじめとした九州エリア。九州だけでなく、西日本全体が東日本と比べて高い傾向がある。これは肝がんの主な発症原因であるC型肝炎ウイルスが佐賀県一帯の東シナ海エリアに多いためだと考えられる。台湾なども同じ理由から罹患率が高い傾向がある。企業が行う健康診断では毎年肝機能検査を行っており、ここにウイルス性肝炎検査も加えることを要請している。【乳がん】 乳がんの罹患率が高いのは東京都などの首都圏。これは未婚で出産経験のない女性が多いことと関連している。乳がんは10万人当たりの年間罹患者数が40年で4倍と急増している。現在の日本人女性は平均して生涯に450回ほど月経があるとされるが、これは100年前の5倍超。かつては子沢山であり、妊娠・授乳期間を含めて子供1人当たり3年間ほど月経が止まる期間があった。この間、女性ホルモンによる刺激が減り、乳がんの罹患リスクが低下していた。現在の乳がんの新規罹患のピークが40代後半にある理由も閉経直前・閉経後に女性ホルモンの変化の影響を受けることが大きな理由だと考えられる。【白血病】 白血病の罹患率が高いのは沖縄県、鹿児島県など。白血病の中の成人T細胞白血病(ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の感染によって生じることがわかっている。HTLV-1の感染経路は母乳による母子感染が多くを占め、このウイルスのキャリアが沖縄をはじめ、鹿児島、青森、岩手の一部などに多い。一方、このウイルスは中国・韓国ではほとんど見られない。この背景には、数千年前に日本に渡ってきた渡来人の遺伝子を受け継ぐ人々(弥生系)には感染者が少なく、縄文人が移行して弥生人になった人々(縄文系)には多い、という理由が考えられる。もっとも、人の移動の増加に伴い、HTLV-1感染は全国で見られるようになっており、とくに大阪などの大都市圏で増加している。【食道がんなど】 縄文系、弥生系の遺伝子は、飲酒時の分解酵素の有無にも関わる。アルコールは肝臓で「アセトアルデヒド」という物質に分解されるが、このアセトアルデヒドを分解するのが「ALDH2(アルデヒド脱水素酵素2)」。縄文系はこのALDH2の活性が強い「正常型」が多く、日本人の55%を占める。一方で弥生系はALDH2の活性が弱い「低活性型」が多く、日本人の40%を占める。残り約5%は「不活性型」でALDH2の働きがまったくなく、酒を飲めない体質となる。問題は「低活性型」の人が飲み過ぎることで、こうした人が飲酒を続けることで、発がんリスク、とくに大腸がんや食道がんのリスクが急激に高まるとされる。低活性型は弥生系が多い近畿・中部・中国地方に多く分布している。 中川氏は「がんは決して一様な疾患ではなく、地域や人種によってリスクに差があり、それを生む大きな要因にウイルス感染がある。自分の居住するエリアの特性を知り、対策を知っておくことが重要になる」とまとめた。

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