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レカネマブついに発売、押さえておきたい4つのポイント【外来で役立つ!認知症Topics】第12回

レカネマブついに発売:4つのポイントアルツハイマー病の新薬レカネマブについて、12月20日に薬価収載されることが、12月13日の厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)で了承された。薬価収載と同日から発売となる。薬剤価格は、患者の体重にもよるが、基本は年間約298万円と決まった。また、最適使用推進ガイドライン1)についても了承された。使用に当たって4つのポイントをここに紹介する。1.治療ができる医療機関実際に治療対象となる患者さんの多くを治療しているクリニックや小さな病院の認知症専門医の多くが、レカネマブで治療できそうにないことは大きな注目点である。なぜなら、まずMRI機器が自施設にあり、ARIA(Amyloid-related imaging abnormalities)の読影ができることが求められるからである。以前に述べたように、ARIAは本剤の投与開始から数ヵ月間、多くは6ヵ月以内に発生する。その間、定期的にMRI画像を撮像することによってARIAの発生を的確に見いださなければならない。なお血管周囲の浮腫であるARIA-Eについては、薬剤の投与をやめると数ヵ月以内にほぼ消失することがわかっている。けれども原則として出血であるARIA-Hについては治らない。それだけに認知症の関連学会では、ARIA読影の講習会なども積極的に実施している。こうしたものを修了していることが治療者の条件に求められる。しかし実際には、ARIAの出現・消失の読影はそう簡単なものではない。事実、脳神経関連の放射線科医といえども読影の責任を負うことについては、慎重な態度を示す人が少なくない。ところで、レカネマブの治療の対象になるには、MMSEが22点以上であること、アミロイドPET陽性であることが求められる。このPET撮像に関しては、1つの医療機関だけではなく協力体制のもとでの実施も可能とされる。なおPETのみならず脳脊髄液の測定によって、アミロイドβの減少を証明することも可能である。2.医療保険、高額療養費制度が適用本剤の発売に当たって、患者数をもとに推計される10年間の市場規模予測がなされた。年度別では、9年度目の2031年が最大となり、投与患者数が3万2,000人で986億円と予測されている。薬剤価格は患者の体重にもよるが、体重50kgの場合、年間約298万円となる。幸いにして、従来の医療保険制度の適用が可能であることも決まり、患者負担は1~3割となる。加えて、医療費が高額になった場合の自己負担に上限を設ける高額療養費制度も利用できる。それだけにこの決定は患者にとって大きな福音である。3.アミロイドPETにも保険が利くこれまでアミロイドPETには保険が利かなかった。市価では30~50万円とされ、普通の患者さんにはなかなか手の届かない検査法であった。今回のレカネマブ発売に備えて、アミロイドPETの保険収載に関する検討もなされた。その結果、13万円台で保険が利く検査法になったと聞く。しかも一般的にはこうした保険関連の変更は、年度初めの4月より執行されるのだが、今回はレカネマブの発売と同時に保険収載になる。4.原則18ヵ月の投与世界規模の本剤の治験では18ヵ月間にわたって月に2回の点滴投与が行われた。これからの承認後の投与においても、月2回、18ヵ月間の原則が順守されるようだ。実際にこの治験に参加した経験として、筆者はactiveドラッグ(本物)が当たった人は、ほぼ皆アミロイドベータが減少したり、消えたりしていることを経験している。けれどもそのことと、臨床的な効果とが相関したという印象は乏しい。いずれにしてもさまざまな面で貴重な薬剤であるだけに、その臨床効果の厳密な測定は不可欠である。6ヵ月以降はクリニックでも治療可に最後に課題について言及したい。多くの課題があるのだが、最大の懸念は、おそらくこうした治療を実施する医療機関は、当面は限られた数になるだろうということである。全国的にみると、100万人もの治療希望者がいる可能性がある。けれども治療をしてくださる医療機関の数を考えた時、実際に治療ができるのは、どれぐらいの人数になるのだろうか、きわめて心細い。しかも18ヵ月間の治療期間にわたって、月2回の点滴を行わなければならない。いかに大病院といえども、すぐにキャパオーバーのパンク状態に陥ってしまうことが目に見えている。ここに対する対策は、今すぐに考えておきたい。本剤が持つ危険性や効果を考えた時、確かに安直な治療はしてはならない。最大の懸念は、やはりARIA、とくにARIA-Hであろう。これについては既述したように、投与開始から6ヵ月以内に、そのほとんどが発生する。だからARIAの発生がほぼ終わると思われる6ヵ月以降は、クリニックや小規模の病院の専門医でも医療機関との連携体制があれば、本治療を行ってもよいということになった。参考1)厚生労働省:中央社会保険医療協議会 総会(第572回)議事次第(令和5年12月13日)

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統合失調症患者の服薬順守の予測因子~大規模コホート

 統合失調症は、重度の精神疾患の中で最も顕著な服薬アドヒアランスの課題を有する疾患であるが、患者の服薬アドヒアランスの予測や改善に関する利用可能なプロスペクティブ研究のデータは限られている。フランス・ボルドー大学のDavid Misdrahi氏らは、大規模コホートにおける1年間の服薬アドヒアランスの予測因子を特定するため、クラスタリング分析を用いた検討を行った。Translational Psychiatry誌2023年11月7日号の報告。 統合失調症を専門とする10施設より募集した外来患者を対象に、臨床医と患者による服薬アドヒアランス測定を含む1日の標準化バッテリーで評価を行った。2段階クラスタリング分析および多変量ロジスティック回帰を用いて、服薬アドヒアランス評価スケール(MARS)とベースラインの予測因子に基づいた服薬アドヒアランスのプロファイルを特定した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は485例。・1年間のフォローアップ調査で、服薬アドヒアランスの有意な改善が認められた。・1年後のアドヒアランス低下と関連していた因子は、抑うつ症状スコアの高さ、洞察力の低さ、自殺企図歴、若年、アルコール使用障害であった。・開始時にアドヒアランスが不良であった患者203例のうち、86例(42%)は1年間のフォローアップ調査でアドヒアランスが良好に変化したが、117例(58%)はアドヒアランスが不良のままであった。 著者らは、「洞察力が低く、自殺企図歴、アルコール使用障害、抑うつ症状を有する若年の統合失調症患者に対し、識字能力や教育的療法プログラムを通じた介入を優先すべきである。統合失調症患者のアドヒアランスは年ごとに大きく変化するため、改善のための介入が受け入れられる可能性がある」としたうえで、「最初はアドヒアランスが良好であった患者でも、1年後には5人に1人が不良となることに注意する必要がある」としている。

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高リスク早期乳がんへの術後アベマシクリブ併用、再発スコアによらず有効(monarchE)/SABCS2023

 HR+/HER2-リンパ節転移陽性の高リスク早期乳がんに対する術後内分泌療法(ET)にアベマシクリブ追加の有用性を検討したmonarchE試験では、無浸潤疾患生存期間(iDFS)と無遠隔再発生存期間(DRFS)が有意かつ臨床的に意義のある改善が示され、さらに併用療法終了から5年後にiDFSとDRFSの絶対的ベネフィットがさらに大きくなったことが報告されている。今回、原発腫瘍組織の分子プロファイルと臨床転帰の関連について検討した結果を、英国・The Royal Marsden Hospital, Institute of Cancer ResearchのNicholas C. Turner氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2023)で発表した。 今回の解析は、層別無作為抽出ケースコホートデザインを用いて、ITT集団から層別化されたランダムサンプル症例、および主要評価項目のデータカットオフ(2020年7月8日)までにiDFSイベントを発症した全症例について、ベースライン時の原発腫瘍サンプルのバイオマーカー解析を実施した。全エクソームシーケンスで1,173例(ET+アベマシクリブ:580例、ET:593例)、RNAシーケンスで1,190例(ET+アベマシクリブ:605例、ET:585例)の結果が得られた。 主な結果は以下のとおり。・アベマシクリブの4年iDFSのベネフィットはすべての内因性サブタイプで一貫していた。・21遺伝子再発スコア(Oncotype DX)が25以下の低リスク患者および26以上の高リスク患者とも、アベマシクリブによるベネフィットを示した。・アベマシクリブによるベネフィットは、最も一般的なゲノム変化で一貫して観察された。MYCのみ、増幅患者のハザード比(HR)が1.30(95%信頼区間[CI]:0.77~2.20)、野生型患者のHRが0.62(95%CI:0.47~0.80、相互作用のp=0.014)で、増幅患者でベネフィットがみられなかった。 今回のトランスクリプトーム解析により、すべての内因性サブタイプ、また21遺伝子再発スコアによる高リスクおよび低リスクのどちらの患者においても、アベマシクリブの一貫した有用性が示された。一般的なゲノム変化においても、MYC増幅を除いて一貫した有効性が示された。Turner氏は「これらのデータは、HR+/HER2-リンパ節転移陽性の高リスク早期乳がん患者において、内因性サブタイプ、21遺伝子再発スコア、最も一般的なゲノム変化に関係なく、アベマシクリブの使用を支持するもの」と結論した。

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BMIが高いとコロナワクチンの抗体応答が低い

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンが普及し、その効果に関してさまざまな報告がなされている。ワクチンと体型、とくにBMI高値の肥満の人にはどのように関係するのであろう。この疑問に対し、オーストラリア・クイーンズ大学化学・分子バイオサイエンス学部のMarcus Zw Tong氏らの研究グループは、COVID-19から回復した被験者から血液サンプルを採取し、ワクチン接種前後の抗体反応を測定・解析した。その結果、高いBMIがワクチンの抗体応答低下と関連することが示唆された。Clinical & Translational Immunology誌2023年12月3日号の報告。BMIの上昇がワクチンの体液性免疫応答の障害と関連 方法としてSARS-CoV-2感染から約3ヵ月後および13ヵ月後に回復した被験者から血液サンプルを採取(これらの対象者はSARS-CoV-2に曝露されておらず、また、その間にワクチン接種も受けていない)。そして、2回目のCOVID-19ワクチン接種後約5ヵ月経過した人(大多数はSARS-CoV-2感染歴なし)から血液サンプルを採取。SARS-CoV-2に対する体液性反応を測定し、BMIが25以上かそれ以下かでグループ分けし、結果を解析した。 主な結果は以下のとおり。・年齢および性差を考慮した場合、高いBMI(25以上)がSARS-CoV-2感染後のワクチン抗体応答の低下と関連することが示された。・感染後3ヵ月では、高いBMIはワクチン抗体価の低下と関連していた。・感染後13ヵ月では、高いBMIはワクチン抗体価の低下およびスパイク陽性B細胞の割合の低下と関連していた。・2次ワクチン接種後5ヵ月目では、BMI≧25とSARS-CoV-2に対する体液性免疫との間に有意な関連は認められなかった。 これらの結果を受けて、Tong氏らは「高いBMIはSARS-CoV-2感染に対する体液性免疫応答の障害と関連していることが示された。BMIが25以上の人における感染誘導性免疫の障害は、感染誘導性免疫に依存するのではなく、ワクチン接種のさらなる促進を示唆する」と結論付けている。

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進行胃がん1次治療、CapeOXへのsintilimab上乗せでOS改善(ORIENT-16)/JAMA

 切除不能な局所進行または転移のある胃・胃食道接合部がんの1次治療において、化学療法へのsintilimabの上乗せはプラセボと比較して、すべての患者およびPD-L1複合陽性スコア(CPS)5以上の患者の全生存期間(OS)を有意に改善したことが示された。中国・Chinese PLA General HospitalのJianming Xu氏らが同国の62病院で行った第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「ORIENT-16試験」の結果を報告した。胃・胃食道接合部がんと診断される人は、世界で年間100万人以上に上るが有効な治療はほとんどない。sintilimabは、プログラム細胞死1(PD-1)に結合する組換えヒトIgG4モノクローナル抗体で、化学療法との併用による有望な有効性が示されていた。JAMA誌2023年12月5日号掲載の報告。化学療法+sintilimab併用のOSを評価 研究グループは、切除不能な局所進行または転移のある胃・胃食道接合部がん患者について、sintilimab+化学療法vs.プラセボ+化学療法のOSを比較した。また、CPS(スコア範囲:1~100)が5以上の患者のサブグループについても比較した。 2019年1月3日~2020年8月5日に、中国の62病院で切除不能な局所進行または転移のある胃・胃食道接合部がん患者650例を登録。最終フォローアップは2021年6月20日であった。 被験者は1対1の割合で無作為に2群に割り付けられ、カペシタビン+オキサリプラチン(CapeOXレジメン)にsintilimabまたはプラセボの併用投与を受けた(3週ごとに最大6サイクル)。維持療法として、sintilimabまたはプラセボ+カペシタビンの併用は最長2年間投与された。 主要評価項目は、全無作為化患者およびCPS5以上の患者におけるOSであった。全患者およびCPS5以上の患者で、sintilimab併用によりOSが有意に延長 650例(平均年齢59歳、男性483例[74.3%])のうち、327例がsintilimab+化学療法群に、323例がプラセボ+化学療法群に無作為化された。 無作為化された患者650例において、397例(61.1%)がPD-L1 CPS5以上の腫瘍を有しており、563例(86.6%)が試験を中断、388例(59.7%)が死亡となった。追跡不能は1例(<0.1%)。 全無作為化患者において、sintilimabはプラセボと比べてOSを有意に改善したことが示された(中央値15.2ヵ月vs.12.3ヵ月、層別ハザード比[HR]:0.77[95%信頼区間[CI]:0.63~0.94]、p=0.009)。 CPS5以上の患者においても、sintilimabはプラセボと比べてOSを有意に改善した(中央値18.4ヵ月vs.12.9ヵ月、層別HR:0.66[95%CI:0.50~0.86]、p=0.002)。 最も多くみられたGrade3以上の治療関連有害事象は、血小板数の減少(sintilimab併用群24.7% vs.プラセボ併用群21.3%)、好中球数の減少(20.1% vs.18.8%)、貧血(12.5% vs.8.8%)であった。

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早期乳がん、術前MRIで術後放射線療法の省略を判定可能?(PROSPECT)/Lancet

 MRI検査で単病巣性の乳がん(unifocal breast cancer)が認められた病状良好な女性患者は、術後の放射線療法を安全に省略できることが示された。オーストラリア・王立メルボルン病院のGregory Bruce Mann氏らが、多施設共同前向き2アーム非無作為化試験「PROSPECT試験」の結果を報告した。早期乳がんに対する術後の乳房放射線治療は、標準的な乳房温存療法として行われているが、多くの女性にとって過剰治療となる可能性が示唆されている。また、乳房MRIは、局所腫瘍の最も感度の高い評価法である。本試験は、MRIと病理学的所見の組み合わせによって、放射線治療を安全に回避可能な局所乳がんを有する女性の特定が可能であることを見極める目的で行われた。Lancet誌オンライン版2023年12月5日号掲載の報告。単病巣性の乳がんで術後のpT1N0またはN1miは放射線治療省略、5年後IIRRを評価 PROSPECT試験は、術前のMRI検査と術後の腫瘍の病理学的所見により選択した患者を対象とした、放射線治療省略に関する試験であり、オーストラリアの大学病院4施設で行われた。cT1N0非トリプルネガティブ乳がんで50歳以上の女性を適格とした。 適格となった女性のうちMRIで単病巣性の乳がんが認められた患者は、乳房温存手術(BCS)を受け、pT1N0またはN1miの場合は放射線治療が省略された(グループ1)。それ以外の患者には、MRIで検出された他のがん切除など標準治療が行われた(グループ2)。また、全患者が薬物療法を受けた。 主要評価項目は、グループ1の5年後の同側浸潤性乳がん再発率(IIRR)とした。 主要解析は、グループ1で100人目の患者の追跡調査が5年に到達した後に行われた。本試験の鑑別法(PROSPECT pathway)により治療を受けた患者の質調整生存年(QALY)と費用対効果についても分析した。5年後IIRRは1.0%、再発1件目は4.5年時点 2011年5月17日~2019年5月6日に、乳がん患者443例がMRI検査を受けた。年齢中央値は63.0歳。MRI検査によって48例(11%)で、指標となるがんとは別に61個の潜在的な悪性病変が検出された。 放射線治療を省略したBCSを受けたグループ1(201例)において、5年後のIIRRは1.0%(95%信頼区間[CI]上限値:5.4%)であった。グループ1の局所再発は、1件目が4.5年時点で、2件目が7.5年時点で報告された。 グループ2(242例)では、9例が乳房切除術を受けており(コホート全体の2%)、5年IIRRは1.7%(95%CI上限値6.1%)であった。 コホート全体で報告された唯一の遠隔転移は、指標となるがんとは遺伝子学的に異なるものであった。 PROSPECT pathwayにより、QALYが0.019(95%CI:0.008~0.029)増加し、患者1例当たり1,980オーストラリアドル(95%CI:1,396~2,528)(953ポンド[672~1,216])の節減効果が認められた。

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自撮りで事故死した人の臨床的検討【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第247回

自撮りで事故死した人の臨床的検討Unsplashより使用私はすべてのSNSを網羅しているわけではないので、自撮りといえば基本的にInstagramだと思っているのですが、キレイに見せるために映える場所や修正をほどこすというのはよくあるそうで。承認欲求の高まりが抑えられず、世の中にはとても危ない場所で自撮りをする観光客がいるみたいです。それに関連した事故死が時にニュースで報道されています。そんな恐怖症例をまとめた論文があります…。Linares M, et al. Selfie-related deaths using web epidemiological intelligence tool (2008-2021): a cross-sectional study.J Travel Med. 2022 Aug 20;29(5):taab170.スマホの自撮りによって起こった事故死を調査した、稀有な研究グループからの報告です。自撮り関連事故死は、サファリパーク、線路、橋など、いろいろな場所で発生しています。線路で自撮りとか、即死することもあるわけで、もう見てられないですよね。2008年1月1日~2021年7月27日にオンラインで確認できた自撮り関連事故死を抽出しました。医学論文を抽出したわけではなく、民間・公的情報・新聞などの情報を集めたグローバルシステムであるHeimdllr-Projectツールを使っています。詳しくは知りませんが、AIが組み込まれたツールのようです。13年半の調査期間中に、292件の事故で379人が自撮り中に死亡したことがわかりました。多いですねぇ…。死亡者のうち141人(37.2%)が旅行者でした。最初の自撮り関連事故死の報告例は2008年で、2011年には5例に増えています。そして、2019年には一気に68例に増加。COVID-19パンデミックの間はこの事故死は減少しており、2020年には37例が報告されています。さて、自撮り関連事故死の平均年齢は24.4歳でした。「映え」を狙っているわけですから、さすがに若いですね。死亡が最も多く報告されているのはインド(n=100、26.4%)で、次いでアメリカ(n=39、10.3%)、ロシア(n=33、8.7%)となっています。死因としては、高所からの転落が半数で(49.9%;216人中17人が滝)、次いで交通機関(n=123;28.4%;56人が電車)、溺死(n=66;13.5%)となっています。高所からの転落および動物による負傷は、男性よりも女性に多く(それぞれ46.6% vs.58.8%、p=0.031;0.9% vs.5.3%、p=0.001)、交通機関による死亡は男性よりも女性のほうがわずかに少なかったようです(29.6% vs.20.3%、p=0.053)。というわけで、結論としては、危ない場所では自撮りしないように。

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第190回 レカネマブの投与対象者、合理的な絞り込みに感服

中央社会保険医療協議会(中医協)総会が12月13日に開催され、軽度認知障害、軽度のアルツハイマー病を適応とする抗アミロイドβ抗体レカネマブ(商品名:レケンビ)の薬価が決定した。原価計算方式を用いて算出された薬価は、200mgが4万5,777円、500mgが11万4,443円。適応に従って体重50kgの人に500mg製剤を使用した場合、年間1人当たりの推計薬剤費は298万円となる。この薬価に個人的には特段驚きはなく、想定の範囲内である。メーカー側が公表しているピーク時売上予測は2031年の986億円(投与患者3.2万人)。以前、本連載で投与対象患者数を粗く予測してみたが、まあ当たらずとも遠からずという感じだろうか? もっともこの予測は医療提供体制の変化などによって容易に変わり得る。改めて今回の中医協総会で了承されたレカネマブの最適使用推進ガイドライン(以下、GL)に目を通してみた。目を通す際、とくに注目したのは医師・施設要件である。そもそも、薬剤がどれだけ使われるのかを考える場合、患者要件もさることながら、医師・施設要件のほうが大きなファクターであることは改めて議論をするまでもないだろう。処方を決定するのは医師だからだ。一応、患者要件も念のため目を通してみると、ほぼ目新しいことはないが、1.5テスラ以上のMRI検査が実施可能※という項目はやや目を引く。ちなみに国内のMRI保有施設数は5,000施設強で、1.5テスラ以上のMRI保有施設はその半数強。もちろん大都市圏ならば、ほぼ該当する施設は存在するだろうが、これだけでも診断できる施設、診断を受ける患者は絞られそうである。※金属を含む医療機器(MR装置に対する適合性が確認された製品を除く)を植込み又は留置した患者は不可また、投与施設の条件を見ると、これがなかなかに厳しい。まず、初回投与から6ヵ月までは同一施設での投与とし、その施設に必要な体制を「施設における医師の配置」「検査体制」「チーム体制」に分けて記述している。医師の配置に関する記述を原文通り引用すると「認知症疾患の診断及び治療に精通する医師として、以下のすべてを満たす医師が本剤に関する治療の責任者として常勤で複数名配置されていること」と定められている。「以下のすべて」を要約・箇条書きにすると、こんな感じである。アルツハイマー病の診療に関連する日本神経学会、日本老年医学会、日本精神神経学会、日本脳神経外科学会の専門医医師免許取得後2年の初期研修修了後、10年以上の軽度認知障害の診断、認知症疾患の鑑別診断などの専門医療を主たる業務とした臨床経験を有している画像所見からARIA(アミロイド関連画像異常)の有無を判断したうえで、臨床症状の有無と併せて本剤の投与継続・中断・中止を判断し、かつ必要な対応ができる製造販売業者が提供するARIAに関するMRI読影研修を受講日本認知症学会または日本老年精神医学会が実施するアルツハイマー病の病態、診断、本剤の投与対象患者及び治療に関する研修を受講すでに冒頭の各学会の専門医資格を持ち、かつMCI、認知症診療経験を10年以上有するという時点でかなりの医師がふるい落とされるだろう。しかも複数名の配置が必要なのである。実はこの前段では「認知症疾患医療センター等の、アルツハイマー病の病態、経過と予後、診断、治療を熟知し、ARIAのリスクを含む本剤についての十分な知識を有し、認知症疾患の診断及び治療に精通する医師が…」、後段では「認知症疾患医療センター以外の施設で本剤を使用する場合、認知症疾患医療センターと連携がとれる施設で実施すること」との記述がある。要は認知症に関する超高度医療機関のみに限るということだ。そして、なぜ複数名の医師を配置するのかは、後段の「チーム体制」のところを見ると、おぼろげながら推測ができる。要約すると、「投与対象患者の選定、投与期間中の有効性・安全性の評価、投与継続・中止の判断のために」ということのようだ。ちなみにGLでは有効性について、半年おきにミニメンタルステート検査(MMSE)、臨床的認知症尺度(CDR)を実施したうえでのスコア推移、患者・家族・介護者から自他覚症状の聴取などで評価をし、有効性が期待できないと考えられる場合に投与中止を求めている。もちろんこれ自体はとくに不思議はなく当然のことではあるが、MMSE、CDRのような定性的なものを定量化した評価は、単独の医師での評価よりも複数の医師での評価を突き合せるほうが妥当性は高まることが多い。つまり、より踏み込んだ解釈をするならば、“有効性・安全性は単独の医師ではなく、複数の医師で判断せよ”ということではないだろうか?その意味では前述の基準はある意味妥当とも言えるが、同時に私見ながら「よくもここまで論理的に治療開始対象患者を絞り込んだものだ」とも思ってしまう。治療開始対象患者を“公費負担”と入れ替えても良いかもしれない。ちなみに初回から6ヵ月以降の投与施設では、この「複数名」の記載はなく、縛りがやや緩和される。そして今回、投与期間は原則18ヵ月とされた。治験でこの投与期間しかデータがないことが最大の理由だろうが、既存の承認薬剤を考えれば、この点もかなり厳格に対応したと言えるだろう。もっとも前述のような有効性やARIAなどの有害事象を踏まえた総合的な評価で医師が継続の必要性があると判断した場合は投与継続が可能である。また、ご存じのように中等度以上は治験対象になっておらず、投与開始時は適応がない。ただ、投与開始後に中等症となった場合は一旦投与を中止して再評価を行い、この場合も医師が投与を必要と判断すれば再開は可能だ。ただし、中医協に提出された「保険適用上の留意事項」の案では、投与継続理由を具体的にレセプトに明記しなければならない。この点は世間が注目する高額薬剤だけに医師側もそこそこ以上にハードルの高い作業だろう。このようにして見ると、再度の私見になってしまうが、よくぞここまでと言いたくなるくらい、合理的に患者絞り込みを行ったものだと半ば感心してしまっている。参考厚生労働省:中央社会保険医療協議会 総会(第572回)議事次第

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持ち家と賃貸どちらがお得? 医師×インフレ目線で考えてみよう!【医師のためのお金の話】第75回

持ち家と賃貸はどちらがお得なのか? 長年にわたって議論になっている興味津々な話題ですね。いろいろな立場の人が、自分のポジショントークを繰り広げています。そこにエンドユーザーの私たちが、ああでもない、こうでもないと悩んでいる…。不景気になると賃貸派が勢いを増し、景気が良くなると持ち家派が息を吹き返す。日本の人口が減り続けると空き家だらけになるので、持ち家なんてトンデモないという人まで出てくる始末。一体何が正解なのかわからなくなりますね。しかし、これらの議論はすべて一般論にすぎません。それぞれのバックグランドはまったく異なるという視点が抜け落ちています。もちろん、私たちが最も気になるのは、医師にとっての最適解でしょう。医師にとって、持ち家と賃貸はどちらがお得なのか。すでに持ち家がある人だけではなく、賃貸派の人にとっても、気になって仕方ない話題ではないでしょうか。現在社会を生きる医師の視点で、持ち家と賃貸はどちらがお得なのか考えてみましょう。「持ち家vs.賃貸」論争に答えはない?持ち家か賃貸かの論争が白熱する原因は、経済的な損得勘定だけでは判断できない点にあります。将来的なライフスタイルや家族の夢などによって、最適な選択肢が異なります。持ち家と賃貸の一般的なメリットとデメリットを比較してみましょう。【持ち家】メリット住宅ローンを払い終えると持ち家が残る自分の家なので改築やリフォームを自由にできる住宅ローンを払い終えると支出が減るデメリット転勤や転職があっても引越ししにくい突然の病気や失職で住宅ローンの返済が滞る可能性がある固定資産税、火災保険料、修繕費用がかかる【賃貸】メリット比較的簡単に引越しできる固定資産税、火災保険料、修繕費用がかからない不動産市場が下落してもリスクがないデメリット家賃を払っても自分の資産にならない改築やリフォームができない高齢になると借りられない可能性があるこのように、持ち家と賃貸にはメリットとデメリットがあります。それぞれ一長一短があり、各個人の価値観やライフスタイルによって、優先するべき点が異なります。このため「持ち家vs.賃貸」論争に答えはないといえます。医師にとってはどちらがトクなのか一般的には答えのない「持ち家vs.賃貸」論争ですが、医師にとってはどちらがトクなのでしょうか。医師の中では、賃貸派よりも持ち家派が多いといわれています。その事実は、医師にとって持ち家の方がトクなことを示唆しているのでしょうか。多くの医師が抱いている感覚と同様に、私も持ち家の方がトクだと考えています。持ち家は住宅ローンを払い終えると自宅が手に入りますが、賃貸は何も残りません。もちろん、30年後の持ち家はボロボロで住み続けるのが難しいかもしれません。それでも、私は持ち家の方が有利だと考えています。その理由は、建物がボロボロになっても土地が残るからです。区分マンションにはほとんど土地部分がないですが、好立地というプレミアがあります。この差は意外なほど大きいです。なぜなら、不動産の本質的な価値は、建物よりも土地にあるからです。そして土地は「スペースを使用する権利」という実態のない資産です。つまり、土地の所有権は物理的に劣化しないため、好立地の資産性は永遠なのです。医師のように高額な住宅ローンを組むことができる人は、持ち家を購入して最終的に土地を手に入れることが望ましいでしょう。そして購入する持ち家は、できるだけ好立地の物件にするべきです。なぜなら、本当に手に入れるべきものは、好立地の土地だからです。インフレを考えると都市中心部の持ち家に軍配!持ち家か賃貸かを選ぶ時に、考慮するべき点はインフレだと思います。少し前まで日本ではデフレが永遠に続くと思われていました。しかし、米中の覇権争いや世界的な資源高のため、日本でも物価が上がる状況が定着しました。デフレからインフレに転換したのです。インフレではモノの価格が上昇します。そして、価格上昇は不動産も例外ではありません。一方、過去の歴史を紐解くと、インフレになっても全国一律に不動産価格が上昇するわけではありません。最も価格が上昇するのは都市の中心部です。インフレが日本に定着した場合、おそらく過去の例と同様に不動産価格も上昇する可能性が高いです。そして最も価格が上昇するのは都市の中心部でしょう。長期的な目線では、この波に乗るのが得策です。もちろん、少子高齢化は都市部においても例外ではありません。しかし、人口減少のために都市中心部でも大量の空き家が発生して、不動産価格が暴落する状況は想定しがたいです。多少空室率が上昇しても、不動産価格は保たれると考えるのが妥当でしょう。インフレが趨勢となった場合には、都市中心部の持ち家に軍配が上がります。そして医師であれば、都市中心部の高額な物件であっても、住宅ローンで購入できる可能性が高いです。この優位性を使わない手はありません。もちろん、都市部の医療機関に勤務する医師が有利なことは否めません。しかし地方圏であっても政令指定都市の中心部であれば、インフレに勝てる可能性が高いと思います。三大都市圏や政令指定都市に住むチャンスがあれば、持ち家を検討してもよいかもしれません。

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慢性期双極性障害患者における糖尿病の有病率、ホモシステインとの相関関係

 双極性障害患者において、糖尿病の合併は、罹患率や死亡率の増加に影響を及ぼす可能性がある。中国・遼寧師範大学のLi Mu氏らは、慢性期双極性障害患者の糖尿病の有病率およびホモシステインとの相関関係を調査した。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2023年11月20日号の報告。 双極性障害入院患者195例を対象に、横断的調査を実施した。双極性障害患者における糖尿病の有病率およびその臨床人口統計とホモシステインとの関連を調査した。対象患者の人口統計学的特徴、身体計測変数、臨床変数、血漿ホモシステインレベルは、アンケート、臨床測定、臨床検査により収集し、評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・中国人双極性障害患者の糖尿病(1型、2型、特殊型含む)有病率は、14.9%であった。・分散分析またはカイ二乗検定では、糖尿病合併の双極性障害患者は、非合併例と比較し、年齢が高い、既婚者が多い、罹病期間が長い、オランザピン処方が少ない、高血圧の頻度が高いことが示唆された。・糖尿病合併と非合併例の双極性障害患者の間に、BMIとホモシステインレベルとの有意な関連は認められなかった。・ロジスティック回帰分析では、年齢、オランザピン処方、高血圧、BMI、ホモシステインレベルを調整した後、双極性障害患者の糖尿病合併と独立して関連していた因子は、婚姻状況と罹病期間であった。 著者らは「これらの発見は、双極性障害患者における糖尿病有病率の増加は、いくつかの代謝リスク因子との相関ではなく、臨床人口学的相関に注目する必要があることを示唆している」としている。

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長期服用でCVD死亡率を高める降圧薬は?~ALLHAT試験2次解析

 米国・テキサス大学ヒューストン健康科学センターのJose-Miguel Yamal氏らは降圧薬による長期試験後のリスクを判定するため、ALLHAT試験の2次解析を実施。その結果、心血管疾患(CVD)の死亡率は全3グループ(サイアザイド系利尿薬[以下、利尿薬]、カルシウムチャネル拮抗薬[CCB]、アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害薬)で同様であることが明らかになった。なお、ACE阻害薬は利尿薬と比較して脳卒中リスクを11%増加させた。JAMA Network Open誌12月1日号掲載の報告。ALLHAT試験2次解析でACE阻害薬群は脳卒中死亡リスクが19%増加 本研究は冠動脈疾患(CHD)の危険因子を持つ高血圧症の成人集団を利尿薬、CCB、ACE阻害薬のいずれか3グループに無作為に割り付けたランダム化比較試験のALLHAT試験を2次解析したもの。試験実施期間のうち1994年2月23日~2017年12月31日の最長23年間を追跡し、統計分析は2022年1月~2023年10月に行われた。1次エンドポイントはCVDによる死亡率。2次エンドポイントは全死因死亡、致死性/非致死性(罹患)CVDの複合、CHD、脳卒中、心不全、末期腎不全、がんによる死亡率や罹患率の複合。 ALLHAT試験2次解析の主な結果は以下のとおり。 ・ALLHAT試験2次解析は55歳以上の3万3,357例が対象となった。・全死因死亡は3万2,804例(平均年齢±SD:66.9±7.7歳、男性:1万7,411例[53.1%])を利尿薬(1万5,002例)、CCB(8,898例)、ACE阻害薬(8,904例)のいずれかにランダムに割り付けて調査した。・また、致死性/非致死性CVDは2万2,754例(平均年齢±SD:68.7±7.2歳、男性:9,982 例[43.9%])を利尿薬(1万414例)、CCB(6,191例)、ACE阻害薬(6,149例)に割り付けて調査した。・平均追跡期間±SDは13.7±6.7年で、最長は23.9年だった。・ランダム化23年後の100人当たりのCVD死亡率は、利尿薬群:23.7、CCB群:21.6、ACE阻害薬群:23.8であった(CCB vs.利尿薬の調整ハザード比[AHR]:0.97[95%信頼区間[CI]:0.89~1.05]、ACE阻害薬vs.利尿薬のAHR:1.06[95%CI:0.97~1.15])。・2次エンドポイントの長期リスクは3グループ間でほぼ同様で、利尿薬群と比較してACE阻害薬群では脳卒中死亡リスクが19%増加(AHR:1.19[95%CI:1.03~1.37]、致死的/非致死的脳卒中入院の複合リスクが11%増加した(AHR:1.11[95%CI:1.03~1.20])。

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HER2+進行乳がん高齢患者への1次治療、T-DM1 vs.標準治療(HERB TEA)/SABCS2023

 HER2陽性進行乳がん患者の1次治療として標準的なHPD(トラスツズマブ+ペルツズマブ+ドセタキセル)療法は、高齢患者では有害事象により相対用量強度を維持できないケースやQOLが損なわれるケースがある。そのため、毒性は低く、有効性は劣らない高齢者における新たな治療オプションが求められる。国立国際医療研究センター病院の下村 昭彦氏は、HPD療法とトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)を比較した第III相HERB TEA試験(JCOG1607)の結果を、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2023)で報告した。・対象:65歳以上のHER2陽性進行乳がん患者(転移乳がんに対する治療歴なし、ECOG PS 0~2[75歳以上は0~1])・試験群(T-DM1群):T-DM1(3週間間隔で3.6mg/kg、増悪まで) 73例・対照群(HPD群):トラスツズマブ(6mg/kg、初回8mg/kg)、ペルツズマブ(420mg、初回840mg)、ドセタキセル(3週間間隔で60mg/m2、増悪まで) 75例・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)、[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、累積乳がん特異的死亡率、奏効率、安全性など 主な結果は以下のとおり。・2018年1月~2023年3月に148例が登録された(データカットオフ:2023年6月15日)。・ベースラインにおける患者特性は両群でバランスがとれており、年齢中央値はT-DM1群72歳vs.HPD群71歳、PS 0は70% vs.73%、ホルモン受容体陽性は55% vs.51%、stageIVは66% vs.65%、脳転移ありは0% vs.3%、内臓転移ありは66% vs.65%であった。・主要評価項目であるOSについて、HPD群に対するT-DM1群の非劣性は示されなかった(ハザード比[HR]:1.263、95%信頼区間[CI]:0.677~2.357、片側p=0.95322)。・PFS中央値はT-DM1群11.3ヵ月vs.HPD群15.6ヵ月であった(HR:1.358、95%CI:0.907~2.033、p=0.1236)。・Grade3以上の有害事象は、T-DM1群34.7%、HPD群56.8%で発現した。HPD群ではとくに白血球減少(0% vs.26.0%)、好中球減少(0% vs.30.1%)、下痢(0% vs.12.2%)、疲労(5.6% vs.21.6%)が多くみられた。 下村氏は、「HPD療法に対するT-DM1のOSおよびPFSにおける非劣性は示されず、HPD療法は今後もHER2陽性進行乳がん患者の1次治療として、年齢を問わず標準治療となる。しかし有害事象の頻度はT-DM1と比較して高く、高齢者機能評価結果を含めた詳細な解析によって、T-DM1による治療が適している患者群について検討していく必要がある」と結論付けた。

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レカネマブ薬価決定、アルツハイマー病治療薬として12月20日に発売/エーザイ

 エーザイとバイオジェンは12月13日付のプレスリリースにて、アルツハイマー病の新たな治療薬であるヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ凝集体モノクローナル抗体のレカネマブ(商品名:レケンビ点滴静注200mg、同500mg)について、薬価基準収載予定日である12月20日より、日本で発売することを発表した。米国に次いで2ヵ国目となる。薬価は200mgが4万5,777円/バイアル、500mgが11万4,443円/バイアル。用法・用量は、10mg/kgを2週間に1回、約1時間かけて点滴静注で、患者が体重50kgの場合、年間約298万円になる。保険適用となり、さらに、治療費が高額になった場合は高額療養費制度も利用できる。 本薬は、2023年9月25日に「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」の効能・効果で製造販売承認を取得し、12月13日の中央社会保険医療協議会総会において、薬価基準収載および最適使用推進ガイドラインが了承された1)。エーザイが本剤の製造販売元として販売を行い、エーザイとバイオジェン・ジャパンが共同販促を行う。 本薬の承認は、エーザイが実施した大規模グローバル臨床第III相試験であるClarity AD試験のデータに基づく。主要評価項目の全般臨床症状の評価指標であるCDR-SBにおいて、18ヵ月時点の臨床症状の悪化をプラセボと比較して27%抑制した。副次評価項目として、患者が自立して生活する能力を介護者が評価する指標のADCS MCI-ADLにおいて、プラセボと比較して37%の統計学的に有意なベネフィットが認められた。なお、投与群で最も多かった有害事象(10%以上)は、Infusion reaction、ARIA-H(ARIAによる脳微小出血、脳出血、脳表ヘモジデリン沈着)、ARIA-E(浮腫/浸出)、頭痛および転倒であった。本結果は、NEJM誌2023年1月5日号に掲載2)。 本薬の承認条件に従い、一定数の症例データが集積されるまでの間は、投与されたすべての患者を対象に特定使用成績調査(全例調査)が実施される。また両社は、医療関係者に対するアミロイド関連画像異常(ARIA)の管理とモニタリングの推進に向けた研修資材の提供をはじめ、添付文書や最適使用推進ガイドラインに則した適正使用を推進する。 本薬の概要は以下のとおり。製品名:レケンビ点滴静注200mg、レケンビ点滴静注500mg一般名:レカネマブ(遺伝子組換え)効能又は効果:アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制用法及び用量:通常、レカネマブ(遺伝子組換え)として10mg/kgを、2週間に1回、約1時間かけて点滴静注する。薬価(12月20日収載予定):200mg 4万5,777円/バイアル、500mg 11万4,443円/バイアル

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FRα高発現プラチナ抵抗性卵巣がん、FRα標的ADC MIRVがOS・PFS改善(MIRASOL)/NEJM

 葉酸受容体α(FRα)高発現プラチナ製剤抵抗性の高異型度漿液性卵巣がん患者において、mirvetuximab soravtansine-gynx(MIRV)は、化学療法と比較して無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)および客観的奏効率(ORR)を有意に改善したことが、米国・オクラホマ大学ヘルスサイエンスセンターのKathleen N. Moore氏らにより21ヵ国253施設で実施された無作為化非盲検第III相試験「MIRASOL試験」の結果で示された。MIRVは、FRα抗体に微小管阻害剤を結合させたFRαを標的とするファーストインクラスの抗体薬物複合体で、米国では2022年11月14日に「SORAYA試験」の結果に基づき、1~3レジメンの前治療のあるFRα高発現プラチナ製剤抵抗性卵巣がんの治療薬として、迅速承認されている。NEJM誌2023年12月7日号掲載の報告。MIRV vs.化学療法、PFSで有効性を主要評価項目に検討 研究グループは、1~3レジメンの前治療があるFRα高発現(腫瘍細胞の75%以上で染色強度が2+または3+)のプラチナ製剤抵抗性高悪性度漿液性卵巣がん患者を、MIRV群(補正後理想体重1kg当たり6mgを3週ごと静脈内投与)または化学療法単剤群(パクリタキセル、ペグ化リポソームドキソルビシンまたはトポテカン:治験責任医師が選択)に、1対1の割合に無作為に割り付けた。 主要評価項目は治験責任医師評価によるPFS、重要な副次評価項目はORR、OSおよび患者報告アウトカムで、ITT集団を対象として解析した。 2020年2月3日より登録が開始され(主要解析のデータカットオフ日は2023年3月6日)、計453例が無作為化された(MIRV群227例、化学療法群226例)。MIRV群でPFS、OSが有意に延長、ORRも有意に改善 PFS中央値は、MIRV群5.62ヵ月(95%信頼区間[CI]:4.34~5.95)、化学療法群3.98ヵ月(2.86~4.47)であり、MIRV群が有意に延長した(層別log-rank検定のp<0.001)。 ORRもMIRV群(42.3%、95%CI:35.8~49.0)が化学療法群(15.9%、11.4~21.4)より有意に高く(オッズ比:3.81、95%CI:2.44~5.94、p<0.001)、OSもMIRV群(中央値16.46ヵ月、95%CI:14.46~24.57)が化学療法群(12.75ヵ月、10.91~14.36)よりも有意に延長した(死亡のハザード比:0.67、95%CI:0.50~0.89、p=0.005)。 治療期間中のGrade3以上の有害事象の発現率はMIRV群(41.7%)が化学療法群(54.1%)より低く、重篤な有害事象(23.9% vs.32.9%)および投与中止に至った有害事象(9.2% vs.15.9%)も同様であった。

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重症ARDS、ECMO中の腹臥位は無益/JAMA

 重症急性呼吸窮迫症候群(ARDS)で静脈脱血・静脈送血の体外式膜型人工肺(VV-ECMO)による治療を受けている患者において、腹臥位療法は仰臥位療法と比較し、ECMO離脱成功までの期間を短縮しなかった。フランス・ソルボンヌ大学のMatthieu Schmidt氏らが、同国14施設の集中治療室(ICU)で実施した医師主導の無作為化並行群間比較試験「PRONECMO試験」の結果を報告した。腹臥位療法は重症ARDS患者の転帰を改善する可能性が示唆されているが、VV-ECMOを受けているARDS患者に対して、仰臥位療法と比較し臨床転帰を改善するかどうかは不明であった。JAMA誌オンライン版2023年12月1日号掲載の報告。ECMO施行48時間未満の重症ARDS患者を無作為化、60日以内のECMO離脱成功を比較 研究グループは2021年3月3日~12月7日に、ICUにてVV-ECMO施行開始から48時間未満の18歳以上75歳未満の重症ARDS患者を、腹臥位ECMO群または仰臥位ECMO群に1対1の割合に無作為に割り付けた。 腹臥位ECMO群では、腹臥位療法の早期中止基準を満たさない限り、最初の4日間に16時間の腹臥位を少なくとも4回行い、仰臥位ECMO群ではECMO施行中の腹臥位を60日目まで禁止した。 主要アウトカムは、無作為化後60日以内のECMO離脱成功までの期間。離脱成功は、ECMO中止後30日間、ECMOまたは肺移植を受けず生存した場合と定義した。副次アウトカムは、無作為化後90日時点の全死亡、ECMOおよび人工呼吸器非装着期間、ICU在室および入院期間などであった。また、有害事象(無作為化後7日間の褥瘡を含む)および重篤な有害事象についても評価した。腹臥位療法と仰臥位療法で、主要アウトカムおよび副次アウトカムに有意差なし 適格性を評価された250例のうち170例が無作為化され(腹臥位ECMO群86例、仰臥位ECMO群84例)、全例が追跡調査を完了した。 170例の年齢中央値は51歳(四分位範囲[IQR]:43~59)、女性は60例(35%)。170例中159例(94%)は、ARDSの主な原因が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)肺炎であった。ECMO開始前に164例(96%)が腹臥位で、呼吸器系コンプライアンス中央値は15.0mL/cm H2O(IQR:10.7~20.6)であった。 無作為化後60日以内にECMO離脱に成功した患者は、腹臥位ECMO群86例中38例(44%)、仰臥位ECMO群84例中37例(44%)であった(群間リスク差:0.1%[95%信頼区間[CI]:-14.9~15.2]、部分分布ハザード比:1.11[95%CI:0.71~1.75]、p=0.64)。 また、無作為化後90日以内に腹臥位ECMO群で44例(51%)、仰臥位ECMO群で40例(48%)が死亡し(絶対群間リスク差:2.4%、95%CI:-13.9~18.6、p=0.62)、90日以内のECMO装着期間(日数)の平均値はそれぞれ27.51および32.19(絶対群間差:-4.9、95%CI:-11.2~1.5、p=0.13)であり、すべての副次アウトカムで両群間に有意差はなかった。 重篤な有害事象については、心停止の発生率は腹臥位ECMO群より仰臥位ECMO群で有意に高かったが(3.5% vs.13.1%、絶対群間リスク差:-9.6%[95%CI:-19.0~-0.2]、相対リスク:0.27[95%CI:0.08~0.92]、p=0.05)、それ以外の重篤な有害事象の発現率は両群で同等であり、両群とも不測のECMO脱血管、予定外の抜管および重度の喀血の発生は認められなかった。

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余韻が欲しかった!【Dr. 中島の 新・徒然草】(507)

五百七の段 余韻が欲しかった!前々回、プロ野球の阪神タイガースの勝ち負けと体調が連動している患者さんの話をしました。先日、その患者さんが脳外科外来にお見えになったので、早速、体調について尋ねてみたわけです。タイガースの優勝で絶好調ではないかと思って。ところが意外なことに……患者「いやあ、最悪ですわ」中島「なんでですか。タイガースが優勝したんだから絶好調でしょう」患者「あっさり勝ってしまいましたからね」そんなにあっさり勝ったかな?調べてみると、2023年の日本シリーズはオリックス・バファローズに対して4勝3敗でした。到底「あっさり」ではありません。そうしてみると、この患者さんの言う「あっさり」はペナントレースの話でしょうか?確かに阪神タイガースは、2位の広島カープに対して11.5ゲーム差の圧勝。日本シリーズ出場を決めるクライマックスシリーズのファイナルステージでも、広島カープに対して4勝0敗のストレート勝ちなので、「あっさり」と言ってもいいのかもしれません。患者「日本シリーズでタイガースが優勝してから2日間くらいは調子良かったんですけどね」中島「ほら、やっぱり絶好調だったじゃないですか!」患者「その後に余韻がありませんでした」中島「それ、贅沢過ぎますよ」この患者さんによれば、もっとハラハラしたかったそうです。中島「御堂筋のパレードも、午前中のオリックスよりも午後のタイガースのほうが盛り上がったみたいですね」患者「残念なことに嫁はんの七回忌の法要があって、パレードを見に行けなかったんです」そりゃあ法要のほうが優先でしょ、普通は。中島「オリックスのほうは何回もリーグ優勝しているんで、ファンの方も慣れてしまって盛り上がりに欠けたのかも」患者「あんなのはね、たまたまこの3年間勝っているだけで大したことないんですよ」それ、無茶苦茶や!パ・リーグで3年連続優勝して、昨年は日本一にもなっているオリックスに対して失礼極まりない発言。タイガースの日本一は38年ぶり、リーグ優勝に限っても前回は18年前です。中島「そんな強気なことを言っていいんですか。タイガースの次の優勝は15年先か、ひょっとしたら20年先じゃないですか?」患者「そうなんですよ。次はもう生きていないと思います(泣)」この患者さん、もう突っ込みどころが多過ぎます。私自身、プロ野球はとくにどこのファンというわけではありません。でも、患者さんとの共通の話題を持つという意味で、タイガースの動向には気を付けておいたほうがよさそうですね。最後に1句優勝の 余韻が欲しい タイガース

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鼻血を繰り返す患児、最初にするべき検査は?【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】第14回

鼻血を繰り返す患児、最初にするべき検査は?講師国立病院機構 三重病院 耳鼻いんこう科部長 増田 佐和子 氏【今回の症例】3歳男児。2~3ヵ月前から時々鼻出血があり、ここ1週間はほぼ毎日のように左右から出血する。鼻を押さえていればじきに止まるが、繰り返すため心配になり受診した。朝起きた時にくしゃみと共に透明な鼻汁が出て、同時に出血することも多い。普段鼻をかむことはなく、鼻づまりを気にする様子もないが、夜間はいびきをかいていることがある。元気は良く食欲はあり、ほかに気になる症状はない。患児は診察室では活発で、鼻を手でこすったり、すすったりしている。

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第75回 今冬新型コロナは再び流行するのか?

インフルエンザの流行が爆発中Unsplashより使用新型コロナはどこにいったのかというくらい、インフルエンザの感染が流行しています。うちの子供の学校でも学級閉鎖が相次いでいます。しかし、何となく一山越えた感じがあって、そろそろ落ち着いてくれるんじゃないかと期待しています。画像を拡大する図. インフルエンザと新型コロナの定点医療機関当たりの患者数(人)(筆者作成)1、2)新型コロナは定点医療機関当たりの患者数が2.75人とじわじわと増えてきているような印象があって、もしかしてこれは…と警戒しています。アルファ株やデルタ株のときほど怖がらなくてもよいと思っていますが、ワクチン接種を続けている人もだんだんと減ってきていますから、実生活に与える感染のインパクトは、まだ大きいかもしれません。ママ友に聞くと、子供に至ってはインフルエンザワクチンだけで2回受診しないといけませんし、ここに新型コロナワクチンは無理というのが本音のようです。ワクチン接種の手間が大きいので、早く混合ワクチンが登場してほしいところです。もはや複数回感染は新型コロナでは当たり前のように起こっているので、「もうかかっても大したことない」と思われる方が多いですが、どうも複数回感染するほど後遺症リスクは高くなってくるという報告もあって3)、そんな単純な問題ではなさそうです。咽頭結膜熱、溶連菌感染症、マイコプラズマ、そして…さらに、国内では小児を中心に咽頭結膜熱、溶連菌感染症が流行しています。いずれも過去最多水準で推移しており、小児科は大忙しです。にしても、それほどコロナ禍の感染対策が小児の免疫に影響を与えたのかと驚くばかりです。韓国や中国ではさらにマイコプラズマが流行し、そしてイギリスでは百日咳の報告数が増えていると報道されています。いやー、そんなに病原微生物が流行ったら、困りますね。参考文献・参考サイト1)厚生労働省:インフルエンザの発生状況2)厚生労働省:新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況等)2023年6月~3)Kostka K, et al. “The burden of post-acute COVID-19 symptoms in a multinational network cohort analysis.” Nat Commun. 2023;14:7449.

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高K血症の治療は心腎疾患患者のRAASi治療継続に寄与するか?/AZ

 アストラゼネカは2023年11月24日付のプレスリリースにて、リアルワールドエビデンス(RWE)の研究となるZORA多国間観察研究の結果を発表した。本結果は、2023年米国腎臓学会(ASN)で報告された。 世界中に、慢性腎臓病(CKD)患者は約8億4,000万人、心不全(HF)患者は6,400万人いるとされ、これらの患者における高カリウム血症発症リスクは2~3倍高いと推定されている1-4)。レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害薬(RAASi)治療は、CKDの進行を遅らせ、心血管イベントを低減させるためにガイドライン5-7)で推奨されているが、高カリウム血症と診断されると、投与量が減らされる、あるいは中止されることがある6-9)。このことが患者の転帰に影響を与えることは示されており、RAASiの最大投与量で治療を受けている患者と比較して、漸減または中止されたCKDおよびHF患者の死亡率は約2倍であった10)。7月の同社の発表では、米国および日本の臨床現場において、高カリウム血症発症後にRAASi治療の中止が依然として行われていることが示されている。 ZORA研究は、現行の高カリウム血症管理およびその臨床的影響について検証している世界規模のRWEプログラムである。ZORA研究「高カリウム血症発症後におけるジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物(SZC)によるRAASi治療継続に関する研究」では、高カリウム血症発症後にRAASi治療を受けたCKDおよび/またはHFの患者を対象とし、ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物(SZC、商品名:ロケルマ)の投与を120日以上受けた患者565例(米国)、776例(日本)、56例(スペイン)がSZC投与コホートに組み入れられ、カリウム吸着薬なしコホートには、カリウム吸着薬の処方を受けなかった患者2,068例(米国)、2,629例(日本)、203例(スペイン)が組み入れられた。2つ目のZORA研究「高カリウム血症を発症したCKD患者におけるRAASiの減量とESKDへの進行との関連性」では、CKDステージ3または4で、ベースライン時にRAASiを使用しており、高カリウム血症を発症した患者1万1,873例(米国)および1,427例(日本)が組み入れられた11)。高カリウム血症発症の前後3ヵ月におけるRAASiの処方状況に基づき、患者はRASSi減量群、中止群、維持群に分類された12)。 主な結果は以下のとおり。・高カリウム血症に対してSZCによる治療を行ったCKDまたはHFの患者は、治療されなかった患者と比較して、高カリウム血症の発症から6ヵ月後において、RAASi治療を維持できるオッズ比が約2.5倍となった(オッズ比:2.56、95%信頼区間:1.92~3.41、p<0.0001)11)。・末期腎不全(ESKD)※への進行リスクは、RAASi治療の維持群と比較し、中止群では73%増加、減量群で60%増加した12)。これらの結果は、高カリウム血症発症によるRAASi投与量の減量により、CKDまたはHFの患者における心腎イベントおよび死亡のリスクが増加することを示す過去のデータを裏付けた。・国別にみると、中止群におけるESKDへの進行リスクは維持群と比べて、米国では74%増加、日本では70%増加していた。なお、米国の対象患者(24.8%)に比べて日本の対象患者(62.6%)ではCKDステージ4の割合が高かったという違いがあったが、本研究により示されたRAASi治療が中止された患者におけるESKDへの進行リスクは、国によらず一貫していた。※高カリウム血症発症後6ヵ月以内に、CKDステージ5として診断あるいは透析開始と定義した。 UCLA HealthのAnjay Rastogi氏は、「高カリウム血症を積極的に管理することにより、ガイドライン5-7)で推奨されているRAASi治療を最適用量で維持することが可能となり、CKDまたはHFの患者の転帰を改善できることが明らかになった。しかし、本研究は、臨床現場で高カリウム血症発症後の心腎疾患患者に実際に起きていること、また、RAASiの減量や中止により重大な結果がもたらされ、転帰の悪化と死亡率の増加につながりうることについて、直視すべき実態を提示している」とコメントした。 AstraZeneca(英国)のエグゼクティブバイスプレジデント兼バイオファーマビジネスユニットの責任者であるRuud Dobber氏は、「今回のデータは、高カリウム血症が適切に管理されなければ、RAASiの減量や中止により、心血管疾患や腎疾患の転帰が悪化したり死亡率が増加したりする可能性があるという、過去に発表したエビデンスをさらに裏付けるものである。ロケルマは、高カリウム血症というしばしば緊急処置を要することのある疾病負荷に対応するための重要な治療戦略となる可能性がある。AstraZenecaは、ガイドライン5-7)で推奨されているRAASi治療を実施できるよう、また、より強力な心腎保護効果を患者に届けられるよう、引き続き医療従事者と協力していく」と述べている。■参考文献1)Jain N, et al. Am J Cardiol. 2012;109:1510-1513.2)Sarwar, CM. et al. J Am Coll Cardiol. 2016;68:1575-1589.3)Jager KJ, et al. Nephrol Dial Transplant. 2019;34:1803-1805.4)GBD 2016 Disease and Injury Incidence and Prevalence Collaborators. Lancet. 2017; 390:1211-1259.5)Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) Diabetes Work Group. Kidney Int. 2020;98:S1-S115.6)Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) Diabetes Work Group. Kidney Int. 2022;102:S1-S127.7)McDonagh TA, et al. Eur Heart J. 2021;42:3599-3726.8)Heidenreich PA, et al. J Am Coll Cardiol. 2022;79:e263-e421.9)Collins AJ, et al. Am J Nephrol. 2017;46:213-221.10)Epstein M, et al. Am J Manag Care. 2015;21:S212-S220.11)Rastogi A, et al. ZORA: Maintained RAASi Therapy with Sodium Zirconium Cyclosilicate Following a Hyperkalaemia Episode: A Multi-Country Cohort Study, presented at American Society of Nephrology Kidney Week, 1-5th November 2023, Philadelphia, PA, USA.12)Rastogi A, et al. ZORA: Association between reduced RAASi therapy and progression to ESKD in hyperkalaemic CKD patients, presented at American Society of Nephrology Kidney Week, 1-5th November 2023, Philadelphia, PA, USA.

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