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後期早産期の出生前ステロイド、6歳以降の神経発達に影響なし/JAMA

 後期早産リスクを有する母親への出生前コルチコステロイド投与は、6歳以上の小児期の神経発達アウトカムに有害な影響を及ぼさない。米国・コロンビア大学のCynthia Gyamfi-Bannerman氏らが、2010~15年に国立小児保健発達研究所Maternal-Fetal Medicine Units(MFMU)ネットワークの17施設で実施された二重盲検プラセボ対照試験「Antenatal Late Preterm Steroids(ALPS)試験」に参加した母親から生まれた児に関する、前向き追跡試験の結果を報告した。ALPS試験は、妊娠34~36週における出生前のベタメタゾン投与が早産児の短期呼吸器合併症の発症率を有意に低下させることを明らかにし、米国における臨床実践を変えた。しかし、ベタメタゾン投与後に新生児低血糖症のリスクが増加することも認められており、長期的な神経発達アウトカムへの影響に関心が寄せられていた。JAMA誌オンライン版2024年4月24日号掲載の報告。後期早産期の出生前ステロイド投与を受けた母親から生まれた6歳以上の小児を調査 ALPS試験(以下、親試験)では、妊娠34週0日~36週5日で後期早産(36週6日までの出産)リスクの高い母親を、ベタメタゾン(12mg)群またはプラセボ群に割り付け筋肉内投与した(24時間経過後も出産しなかった場合は2回目を投与)。 本追跡試験では、2011~16年にMFMUネットワークの13施設のうち1施設に登録され、追跡試験に同意した母親から生まれた6歳以上の小児を適格として、2017年12月~2022年8月に登録し、前向きに調査した。 主要アウトカムは、Differential Ability Scales, 2nd Edition(DAS-II)の全般的概念化能力(General Conceptual Ability:GCA)スコアが85点未満(平均より1 SD低いことを示す)の子供の割合であった。副次アウトカムは、DAS-IIのクラスター(言語能力、非言語的推論能力、空間認識能力)スコア、粗大運動能力分類システム(Gross Motor Function Classification System:GMFCS)のレベル2以上の割合、対人応答性尺度(Social Responsiveness Scale:SRS)のtスコア65点超の割合、および子供の行動チェックリスト(Child Behavior Checklist:CBCL)のスコアとした。すべてのアウトカムで、ベタメタゾン群とプラセボ群で差はなし 親試験で無作為化された母親2,831例の出生児のうち、追跡試験に登録されたのは1,026例で、登録時の年齢中央値は7歳(四分位範囲[IQR]:6.6~7.6)であった。このうち、949例(ベタメタゾン群479例、プラセボ群470例)がDAS-IIの評価を完了した。母親の人種や年齢などの背景、新生児の特徴は、親試験で認められたように新生児低血糖症がベタメタゾン群で多かったことを除き、両群間で類似していた。 主要アウトカムのDAS-II GCAスコア85点未満の割合は、ベタメタゾン群17.1%(82/479例)、プラセボ群18.5%(87/470例)であり、差はなかった(補正後相対リスク:0.94、95%信頼区間[CI]:0.73~1.22)。また、いずれの副次アウトカムも差は認められなかった。 逆確率加重法を用いた事後感度分析、ならびに追跡不能となった小児も含めた感度分析においても、結果は同様であった。

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長引く咳や痰、新型コロナ以外で増加傾向の疾患とは

 5月9日は「呼吸の日」。これに先駆け、インスメッドは罹患者数/死亡者数が増加傾向にある肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)に関するオンラインアンケート調査を実施した1)。その結果、肺NTM症について、「知っている」と回答したのは9.3%、「聞いたことがあるが、詳しくは知らない」は22.3%と、認知率の低さが浮き彫りになった。また、肺NTM症の症状として特徴的な咳や痰の症状を有していたにもかかわらず、全回答者の半数以上(608例)は医療機関を未受診と回答していた。その理由を尋ねたところ、79.9%が「病院に行くほどではないと思っている」と回答していたことも明らかになった。 本アンケートは、肺NTM症を含む感染症および呼吸器疾患に関する一般の意識や行動を把握することを目的に、現在もしくは過去に咳/痰の症状のある/あった30~70代の男女1,092例を対象に、疾患の理解度などの実態を調査したもの。肺NTM症の課題、疾患浸透率の低さか 肺NTM症とは原因菌である非結核性抗酸菌(nontuberculous mycobacteria:NTM)が肺に感染することにより発症する感染症で、土や水などの自然環境、台所や風呂場などの水回りの生活環境に常在菌として生息し、空気中に漂うNTMを吸い込むことにより感染する2)。今回、“感染症全般の感染源・原因となる可能性があるもので知っているもの”として、回答者の90%超が「人の飛沫(くしゃみ、咳など)」「ウイルス」と回答したのに対し、肺NTM症の要因となる「水(水道水など)」を挙げたのは35.3%に留まった。また、シャワーなどの水回りの掃除が肺NTM症予防には重要となるが、「水回りの掃除」を意識して行っている人は27.2%と少なかった。肺NTM症、肺結核の罹患者数をしのぐ勢いで増加 2014年の国内調査によると、人口10万人当たりの肺NTM症罹患率は2007年の全国調査と比較して約2.6倍も増加、現在では肺結核をしのぐ罹患者数となっている。肺NTM症の主な症状として、咳嗽、喀痰、血痰、倦怠感、体重減少などが挙げられるが、症状の強さや疾患の経過は患者によってさまざまといわれている。初期は無症状のことも多く、健康診断やほかの疾患の検査がきっかけとなって偶然にみつかるケース、無症状の場合にそのまま放置してしまうケースも少なくないという。また、厚生労働省の令和4年人口動態調査では、国内で肺NTM症による死亡者数が年間1,158例であったことが報告されており、罹患者数、死亡者数ともに増加の一途をたどっている深刻な疾患である。しかし、今回の調査結果によってその認知率の低さから、罹患率の高い中高年のやせ型女性を中心に啓発を行う必要があることも明らかになった。 肺NTM症と肺結核との大きな違いは、人から人へ感染しないといわれていること、前述のように、水などの自然環境、水回りなどの生活環境にいる菌を吸い込むことで感染する点である。それを踏まえた感染予防対策として、長谷川 直樹氏(慶應義塾大学医学部感染症学教室 教授)は「NTMは消毒薬にも強いという性質があり、生活環境から排除することは難しい。浴室や台所などは、日頃からなるべく清潔にすることを心掛け、排水溝だけでなく、シャワーヘッドやホースのぬめりを取り除き、よく乾燥させる。掃除の際はマスクを着用することも重要」とコメントしている。

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TAVIとSAVRの比較試験をただちにやめてガイドラインを改訂すべき時である(解説:上妻謙氏)

 重症大動脈弁狭窄症(AS)に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)は、低侵襲かつ有効な治療のため世界中で外科手術(Surgical AVR=SAVR)との無作為化試験が行われ、手術高リスクのみならず低リスクの患者においても明確な安全性を示し、ほとんどすべての生体弁を植え込むAS単独手術患者に関して標準的な医療となった。そういった無作為化試験は、メーカー主導で行われたものが代表的な試験2つと医師主導で行われたものがいくつかあるが、本論文はドイツの38施設で行われた症候性重症ASを登録して行われた医師主導の試験である1)。 重症ASの基準は一般的なもので、STS-PROMスコアが中等度リスク以下の65歳以上のハートチームディスカッションで外科手術が可能な患者を対象としている。二尖弁と冠動脈疾患など合併手術が必要な患者や開胸術後などの患者が除外されているが、人工弁は術者に任されて自由に選択できるリアルワールドのプラクティスである。プライマリーエンドポイントは1年の全死亡と後遺症の残る脳卒中で、非劣性検定のデザインで、1年のイベント発生率が6.2%という過去の3つの臨床試験データに基づき、非劣性マージンがハザード比で1.14、検出力は80%で計算され、1,404例が必要とされた。また5年で非劣性が証明できた場合は優越性の検定を行うことになっている。 2017年5月から2022年9月まで5年以上かけて1,414例が登録され、ランダマイズされた。さらに無作為化されてから713例のSAVR群のうち100例が結局SAVRを受けず、とくに26例は同意を撤回、70例が患者の希望でTAVIへクロスオーバーし、それぞれ4例と12例であったTAVI群と比べて治療を全うできた症例がだいぶ少なくなり、侵襲の大きく異なる治療のランダマイズのためSAVR群においてその治療法の遂行に苦労したことが伺えるのは他の試験と同様であった。 したがって、ITT解析をメインとしており、TAVI群701例、SAVR群713例と均等だが、As-treated解析では752例と625例と大きく差がついた。患者の年齢の平均値は74歳で、STS-PROMスコアの中央値は1.8と低く、低リスク患者が多かったことが伺える。無作為化は年齢とSTS-PROMのスコアで層別に行われた。最近行われた試験のため、人工弁は現在使用されているものとほぼ同等のものが使用され、バルーン拡張型が6割であった。TAVIでは脳保護デバイスが5%で使用されていた。SAVRも部分開胸の低侵襲の手術が4割で行われ、suture less弁が16%で使用されていた。ICUの滞在もTAVIで中央値1日と短かったが、SAVRでも2日であった。 1年のプライマリーエンドポイントである死亡または脳卒中の発生率は、TAVI群5.4%、SAVR群10.0%と非劣性をp<0.001で達成した(HR:0.53)。優越性検定は5年まで待たないといけないが、数値的にはTAVIのほうがSAVRに比べ死亡率、脳卒中率とも明確に低い。他のイベントの頻度をみると、ペースメーカー植え込みが11.8%と6.7%、アクセスサイトの血管合併症が7.9%と0.7%とTAVIで多いが、新規発症の心房細動はSAVRで30.8%とTAVIの12.4%に比べてかなり高く、大出血・致死的出血は17.2% vs.4.3%でSAVRが圧倒的に多くなった。 本試験の特徴的なことは、COVID-19時代に行われたことによって医療アクセスが大きく制限され、死亡率が両群とも想定よりも高くなったことといえるだろう。医療アクセスが悪くなったことで、さまざまな心疾患の不調で死亡につながる事象が増えることを示していることは、働き方改革の実行によって医療アクセスが悪化することが予想されるわが国でも注目に値する。 このスタディ結果は、心臓外科手術が盛んなドイツであっても、他のTAVIに関する臨床試験と同様にSAVRに比べて安全性が劣ることがないことを証明しており、低リスク~中等度リスクの患者においてTAVIに対する安全性のエビデンスがより盤石となったといえる。すでに低リスク患者に対するTAVIとSAVRの無作為化試験は本試験以外に8つpublishされており、メタ解析を行うと全死亡、心臓死ともに有意にTAVIのほうが低いことが示されている2)。長期の耐久性においてもTAVI弁のほうが良い可能性すら示され、とくに弁口面積が大きく確保できるTAVI弁のほうが長期予後に有利なことすら示されつつある3)。ASに対する生体弁を使用する単独手術であれば、TAVIが可能な患者についてはTAVIを第1選択とすべき時代になった現在、このような臨床試験が繰り返されることは倫理的に許されない。すでにこの比較の決着はついている。まずは各国の診療ガイドラインをただちに変更すべきである。

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第32回 起きたら麻痺、治療の選択肢は?【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)脳梗塞の治療の選択肢と適応条件を理解しよう!2)Wake-up strokeのマネジメントを理解しよう!【症例】75歳男性。意識障害。普段であれば7時には起床するが、起きて来ないため奥さんが様子を見に行くと反応乏しく、救急要請。●来院時のバイタルサイン意識20/JCS血圧178/96mmHg脈拍89回/分(不整)呼吸20回/分SpO295%(RA)体温36.4℃瞳孔3.5/4 +/+右上下肢の麻痺を認める既往歴高血圧、脂質異常症内服薬定期内服薬なし脳卒中の現状脳卒中には大きく脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血が含まれますが、わが国で最も頻度が高いのは脳梗塞で全体の75%を占めます。この20年間で脳卒中診療は大きく変貌し、その中でも脳梗塞は血栓溶解療法、血栓回収療法の確立によって、症状、予後の劇的な改善を認める症例も珍しくありません。しかし、どちらの治療も時間的制限があるため、早期に脳梗塞を疑い、診断、治療へと繋げる必要があります。脳梗塞の治療の選択血栓溶解療法は、発症後4.5時間以内の脳梗塞が適応であるため、発症後明らかにそれ以上時間が経過している場合は適応外です。これに対し血栓回収療法は、当初発症6時間以内でしたが、いまでは16時間、24時間以内と適応症例の時間が延びています。もちろん、患者の基礎疾患やADLなども加味して治療を選択しますが、以前のように発症から4.5時間以内か否かではなく、血栓回収療法の適応があるか否かも判断できる必要があります。血栓回収療法の適応のある脳梗塞は、以前は内頸動脈や中大脳動脈などの主幹動脈閉塞で、DWI-ASPECTS≧6でしたが、最近では発症6時間以内であればASPECT3~5点の症例や後方循環系の脳梗塞にも拡大しています1-3)。詳細について本稿では割愛しますが、治療適応の症例が拡大傾向にあることを知り、可能な限り治療の選択肢を逃さぬようマネジメントする必要がありますWake-up stroke皆さん1日どれくらい寝ていますか? 8時間程度の睡眠時間を確保したいところですが、実際は6時間程度という方が多いのではないでしょうか。大多数の人が1日の約1/4~1/3を睡眠に費やしています。そのため、脳梗塞も就寝中に起きることは珍しくありません。睡眠中に脳卒中を発症し、起床時にその症状を初めて認識する状態を“wake-up stroke”と言います。Wake-up stroke症例は、血栓溶解療法や血栓回収療法の適応はないのでしょうか? 後者は前述の通り適応があることは理解できると思いますが、血栓溶解療法はどうでしょうか?Wake-up strokeの割合は、脳梗塞全体の14〜27%程度です4,5)。起床時からの症状で最終未発症時刻(最後に普段通りであった時間)が就寝前であれば、4.5時間以上の時間が経過しているため血栓溶解療法の適応はなしかというと、必ずしもそうとは限りません。朝方にトイレに行ったであろう物音を同居の家族が確認している、朝起きてこないため様子を見に行ったときには着替えた状態であったなど、発症からそれ程時間が経っていないことが示唆される場合もあります。このあたりを意識して病歴を確認するようにしましょう。また、最近ではMRI-DWI/FLAIR mismatchを利用し、血栓溶解療法の適応か否かを判断することもあります。MRIの拡散強調像(DWI)では脳梗塞発症30分〜1時間で高信号になりますが、FLAIRでは4〜6時間で陽性となります。この差を利用し、DWIで高信号であるもののFLAIRでは異常所見が確認できない場合には、発症から4.5時間以内と判断し、血栓溶解療法を考慮するわけです6)。冒頭の症例、就寝したのは22時前後のようですが、その後の経過は正確には把握できませんでした。奥さんの話では、トイレに行った音が聞こえたような…と曖昧な返答はあったものの、それのみでは発症時間は不明確ですよね。頭部CTでは特記異常所見を認めず、MRIを撮影し、血栓溶解療法を行うこととなりました。さいごに脳梗塞の治療はめまぐるしく進歩しています。脳卒中専門の施設では、脳梗塞の疑い症例に対して最先端の画像や人員を駆使して対応していることも多いとは思いますが、診療所や救急外来では限られた人数で並行して多くの患者さんを診ていることでしょう。医療者自身の対応の遅れによって、治療の選択を減らさないようにしましょう。1)日本脳卒中学会、ほか. 経皮経管的脳血栓回収用機器適正使用指針 第4版. 2020.2)Yoshimura S, et al. N Engl J Med. 2022;386:1303-1313.3)Xu J, et al. Stroke Vasc Neurol. 2023;8):1-3.4)Fink JN, et al. Stroke. 2002;33:988-993.5)Mackey J, et al. Neurology. 2011;76:1662-1667.6)日本脳卒中学会脳卒中医療向上・社会保険委員会静注血栓溶解療法指針改定部会. 静脈血栓溶解(rt-PA)療法適正治療指針 第3版.2019.

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第211回  あの事件その後 女子医大は第三者委員会で調査開始へ、甲南医療センター研修医自殺事件は民事裁判で病院側が争う姿勢、東京医大入試裁判は贈賄側の控訴棄却

本連載で取り上げてきたいくつかの事件が矢継ぎ早に新たな展開こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。ロサンゼルス・ドジャースの大谷 翔平選手の調子が上がってきました。1試合2本の本塁打が出た5月5日(現地時間)は、日本のテレビ各局も大騒ぎでした。そんな大谷フィーバーの中、今年、北海道日本ハムファイターズ(日ハムでは大谷選手の1年先輩)から米国に渡った上沢 直之投手が、4月28日にやっとメジャー昇格、ボストン・レッドソックスの一員となりました。5月2日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦、3日のミネソタ・ツインズ戦に中継ぎ登板し、ピッチクロック違反を取られるもののそこそこの投球を見せています(2試合で防御率2.25)。渡米前、「メジャーでは通用しないよ」と言われていた選手の活躍を見るのは楽しいものです。ニューヨーク・メッツ傘下3Aのシラキュース・メッツで悪戦苦闘する藤浪 晋太郎投手(現在、5試合連続失点で防御率14.09)とともに、上沢投手の今後にも注目したいと思います。さて、今回は、本連載で取り上げてきたいくつかの事件が連休前、矢継ぎ早に新たな展開を見せましたので、そのフォローをしておきたいと思います。警視庁が家宅捜索の東京女子医大、第三者委員会を設置し不正やガバナンス問題の有無を検証、学内では岩本理事長降ろしの動きもまず、「第207回 残された道はいよいよ身売りか廃校・学生募集停止か? ガバナンス崩壊、経営難の東京女子医大に警視庁が家宅捜索」で書いた東京女子医科大学(東京都新宿区)です。4月19日、同大は同窓会組織から勤務実態のない元職員に給与が不正に支払われていたとされる問題などを調べるため、第三者委員会を設置すると発表しました。弁護士4人で構成し、不正やガバナンス問題の有無なども検証、7月末にも報告をまとめる予定とのことです。4月25日付の朝日新聞は、「理事長不信、揺らぐ名門 特別背任容疑で捜索、東京女子医大」と題する記事を掲載、「同大病院で16年度に881人いた医師は22年度に645人と減少。22年度の病床稼働率は約5割で、3年前より約2割減った」と経営の苦境を伝えるとともに、「職員有志は岩本氏(岩本 絹子理事長)の辞任を求める署名活動をしており、大学側に提出する予定だ」と、岩本理事長降ろしの動きについても報じています。警視庁の捜査の行方とともに、第三者委員会がどのような報告を行うのか、病院経営はこの先大丈夫なのか、興味は尽きません。甲南医療センターの男性専攻医自殺の事件、病院側は「過重労働につながる事実は存在しない」として争う姿勢「第177回 『令和の米騒動』と神戸・甲南医療センター専攻医自殺・労災認定で感じた共通する“病根”(前編)」で書いた、公益財団法人甲南会・甲南医療センター(神戸市東灘区)の男性専攻医自殺の事件については4月22日、民事裁判が大阪地方裁判所で始まりました。NHKなどの報道によれば、病院側は「過重労働につながる事実は存在しない」などとして争う姿勢を示したとのことです。この事件、甲南医療センターで勤務していた男性専攻医(当時26歳)が2022年5月に自殺したことについて、2023年8月、西宮労働基準監督署(兵庫県)が「長時間労働で精神障害を発症したのが原因」として労災認定したことをマスコミが報道、表沙汰となりました。遺族は、男性専攻医が死亡した日までの1ヵ月の時間外労働が236時間に上るなど、心身の健康を損ねるおそれのある過重な働き方と知りながら病院側が業務を軽減するなどの対応を怠ったと主張、公益財団法人甲南会と法人の理事長で甲南医療センター院長も務める具 英成氏に約2億3,400万円の損害賠償を求める訴えを起こしました。NHKなどの報道によれば、裁判で死亡した男性専攻医の母親は、「病院は息子が亡くなる前から労働基準監督署の指導を受け、ほかの医師が労働環境の改善を訴えていた」などと意見を述べたとのことです。これに対し病院側は、男性専攻医の労働について、「標準的かそれ以下の業務量で、過重労働につながる事実は一切存在しない」と主張。学会の準備などの自己研鑽についても、「病院にいる時間すべてが労働時間ではなく、自身で選択した研修に充てた時間は、労働と評価できない」として争う姿勢を示し、請求棄却を求めたとのことです。本連載の「第178回 『令和の米騒動』と神戸・甲南医療センター専攻医過労自殺・労災認定で感じた共通の“病根”(後編)多くの業務が自己研鑽扱いの同病院指針の中身」で書いたように、甲南医療センターでは「自らが術者である手術や処置等の予習や振り返りは自己研鑽」といった内容が盛り込まれた独自の「医師の時間外労働と自己研鑽についての指針」が運用されていました。診療や学会の準備などに追われる初期研修医や専攻医にとっては相当厳しいルールだったと言えます。今回の裁判では、自己研鑽の解釈や、労働との線引きが大きな争点になると思われます。その判決は、他の医療機関の医師の労務管理にも少なからぬ影響を及ぼしそうです。東京医大入試裁判、贈賄罪に問われた東京医科大元理事長らの控訴を棄却「第119回 『加点による合格は賄賂』、東京医大入試裁判で文科省元局長に有罪判決」などで取り上げてきた、東京医大入試裁判も進展がありました。私立大支援事業を巡る文部科学省汚職事件で、贈賄罪に問われた東京医科大元理事長、臼井 正彦被告(83)ら3人の控訴審判決が4月19日、東京高等裁判所であり、斉藤啓昭裁判長は3人を執行猶予付きの有罪とした一審・東京地裁判決を支持し、被告側の控訴をいずれも棄却しました。各紙報道によれば、被告側は上告する方針とのことです。2018年7月に発覚したこの事件は、その後の日本の医学部入試に多大な影響を及ぼしました。2022年7月の一審では、文部科学省の私立大学支援事業で東京医科大に便宜を図る見返りに、自分の息子を東京医科大に合格させてもらったとして、同省の元科学技術・学術政策局長、佐野 太被告(64)が受託収賄罪に問われ、懲役2年6ヵ月、執行猶予5年(求刑懲役2年6ヵ月)の判決が下りました。このとき、佐野被告の息子に対する入試の加点(2018年度の東京医大1次試験の点数に10点加点)や合格は贈賄にあたるとして、贈賄罪に問われたのが臼井被告らです。一審では同被告には懲役1年6ヵ月、執行猶予4年(同1年6ヵ月)、元学長の鈴木 衛被告は懲役1年、執行猶予2年(同1年)、受託収賄ほう助罪などに問われた医療コンサルタント会社元役員、谷口 浩司被告は懲役2年、執行猶予5年(同2年)が言い渡されました。今回の控訴審判決はこの3人のものです。なお、佐野被告も一審判決を不服として控訴しており、まもなく控訴審判決が出ることになります。臼井被告らの控訴棄却はその判決にも影響を及ぼすことは必至でしょう。なお、この東京医大入試事件、不正入試によって本来合格ラインにいたにもかかわらず不合格になった受験生を追加合格にする対応が取られたほか、女性らを入試で一律に不利に扱う不正があった東京医科大を2006~18年度に受験した女性らが大学に損害賠償を求める集団訴訟も起こされました。2023年5月の控訴審判決で東京高裁は、一審・東京地裁判決を一部変更し、本来合格だった4人を不合格としたことへの慰謝料を、一審の150万円から200万~300万円に増額。控訴した16人中15人に受験費用や慰謝料など計約2,085万円を支払うよう同大に命じています。ちなみに、10点加点され合格した佐野被告の息子はその後、東京医大に入学しています。彼は2021年3月に開かれた一審の公判では証人尋問に出廷、「加点がなくても合格していたにもかかわらず、裏口入学と言われ続けとても悔しい」と語ったそうです。入試が2018年ですから、順調に医学部を卒業していれば既に医師になっているはずです。

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デュルバルマブ+化学療法、進行胆道がん患者の3年OS率を2倍に改善/AZ

 アストラゼネカは2024年4月23日付のプレスリリースで、第III相TOPAZ-1試験の最新の探索的結果にて、デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)と標準治療である化学療法の併用療法により、進行胆道がん患者において3年経過時点の臨床的に意義のある長期の全生存期間(OS)ベネフィットが示されたことを発表した。 本結果は、進行胆道がんにおける第III相無作為化国際多施設共同試験で報告された最も長期にわたるOSの追跡調査結果であり、4月18日に2024年胆管がん財団会議(米国、ユタ州ソルトレークシティ)で発表された。 3年経過時点(追跡期間中央値41.3ヵ月)で、デュルバルマブ+化学療法の併用療法は化学療法単独と比較して、死亡リスクを26%低下させたことが示された(ハザード比[HR]:0.74、95%信頼区間[CI]:0.63~0.87)。OSの中央値は、併用療法の12.9ヵ月に対し、化学療法単独では11.3ヵ月。デュルバルマブを含むレジメンでは、3年経過時点で生存した患者の割合は、化学療法単独の2倍以上だった(14.6% vs.6.9%)。 TOPAZ-1試験においては、予定されていた中間解析で、2021年10月に主要評価項目であるOSの延長を達成し、併用療法は化学療法単独と比較して死亡リスクを20%低下させたことが示された(HR:0.80、95%CI:0.66~0.97、両側p値=0.021、本中間解析の統計的有意水準=0.03)。 デュルバルマブ+化学療法の併用療法の忍容性は引き続き良好であり、より長期間の追跡調査で新たな安全性上の懸念は認められなかった。デュルバルマブ+化学療法併用群の15.4%に治療関連の重篤な有害事象がみられたのに対し、化学療法単独群では17.3%であった。 韓国・ソウル国立大学病院の内科腫瘍専門医およびソウル国立大学医学部の教授で、本試験の治験責任医師であるDo-Youn Oh氏は次のように述べている。「TOPAZ-1試験の最新データでは、デュルバルマブと化学療法併用群において3年経過時点で化学療法単独群と比較して2倍の進行胆道がん患者が生存しており、これまで予後が悪かったこの疾患において、とくに意義ある進歩を示している。これらの結果は、この深刻な疾患の患者に対する標準治療としての、この免疫療法に基づく併用療法の長期的なベネフィットを裏付けている。」

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統合失調症における服薬アドヒアランスと自傷暴力行為との関係~12年間コホート研究

 服薬アドヒアランスは、十分な治療効果を得るために重要である。しかし、服薬アドヒアランス不良と自傷行為との関連性については、あまり知られていない。中国・四川大学のChuanlong Zuo氏らは、外来統合失調症患者において服薬アドヒアランス不良が自傷暴力行為に及ぼす影響、およびこの関連性が用量依存的な関係を示すかを評価するため、本研究を実施した。BMC Medicine誌2024年3月25日号の報告。 中国西部の地域在住統合失調症患者29万2,667例を対象としたコホート研究を実施した。服薬アドヒアランスの指標として定期服薬の割合(PRM)を用いた。PRMは、フォローアップ期間中における抗精神病薬の定期的な服薬回数を投与期間で割り、算出した。服薬アドヒアランス不良と自傷暴力行為との関係の評価では、服薬アドヒランスは閾値0.8PRMの2値変数として指定し、用量依存的な関係の評価では、服薬アドヒアランスは5つのカテゴリと連続変数として指定した。交絡因子の制御および生存分析には、逆確率重み付けおよび混合効果Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・最終分析対象患者は、18万5,800例(平均年齢:47.49±14.55歳、女性の割合:53.6%)であった。・服薬アドヒアランス不良と自傷暴力行為との関係では、服薬アドヒアランス不良群(PRM<0.8)は、良好群(PRM≧0.8)と比較し、自殺リスクが低く(ハザード比[HR]:0.527、95%信頼区間[CI]:0.447~0.620)、非自殺的自傷行為(NSSI)リスクが高く(HR:1.229、95%CI:1.088~1.388)、自殺企図リスクが有意ではなかった。・用量依存的な関係の評価では、服薬アドヒアランスが最も低い群(PRM<0.2)は、自殺企図リスクの増加(HR:1.614、95%CI:1.412~1.845)、NSSIリスクの増加(HR:1.873、95%CI:1.649~2.126)、自殺リスクの減少(HR:0.593、95%CI:0.490~0.719)との関連が認められた。・他の服薬アドヒアランス不良群は、3つの自傷暴力行為すべてのリスクが低かった。・連続変数による服薬アドヒアランスと3つの結果との関係は、分類別の服薬アドヒアランスでの結果と一致していた。 著者らは、「服薬アドヒアランスは、自殺企図やNSSIリスク増加と関連していないことから、服薬アドヒアランスの改善は、完全な自殺予防につながるわけではないことが示唆された。さらに、中等度のアドヒアランスを有する患者では、自殺企図やNSSIの発生率が低かった」とし、「服薬アドヒアランスをより詳細に観察していく必要性だけでなく、服薬アドヒアランスが良好な統合失調症患者においても、自殺企図により注意を払う必要性がある」とまとめている。

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慢性疾患治療薬のサロゲートマーカーでの効果判定、エビデンスの強さは?/JAMA

 非腫瘍性慢性疾患の治療薬に関して、米国食品医薬品局(FDA)の承認を裏付ける臨床試験の主要エンドポイントとして使用された代替マーカー(サロゲートマーカー)の半数以上が、この代替マーカーを用いて評価した治療効果と臨床アウトカムとの関連を検討したメタ解析が公表されておらず、少なくとも1つのメタ解析を確認したサロゲートマーカーも、その多くが臨床アウトカムとの関連について高い強度のエビデンスを欠いていることが、米国・エモリー大学のJoshua D. Wallach氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年4月22日号で報告された。代替マーカーを用いた臨床試験のメタ解析を系統的に要約 研究グループは、非腫瘍性慢性疾患の治療薬に関して、代替マーカーを用いて評価した治療効果と臨床アウトカムとの関連性の強さを検討した臨床試験のメタ解析(メタ解析、系統的レビューとメタ解析、統合解析)から得られたエビデンスの要約を目的に系統的レビューを行った(Arnold Ventures to the Yale Collaboration for Regulatory Rigor, Integrity, and Transparency[CRRIT]の助成を受けた)。 解析には、FDAの成人代替エンドポイント表(FDA Adult Surrogate Endpoint Table)に掲載され、2023年3月19日の時点でMEDLINEに登録されていた文献から得た32の固有の非腫瘍性慢性疾患の臨床試験で、主要エンドポイントとして使用されていた37の代替マーカーのデータを用いた。 これらの慢性疾患と代替マーカーの組み合わせには、たとえばアルツハイマー病におけるアミロイドβ、喘息における呼気1秒量(FEV1)、慢性腎臓病(CKD)における血清クレアチニン値、HIV-1における血清HIV抗体などが含まれた。59%で、代替マーカーで評価した効果とアウトカムの関連を検討したメタ解析がない 21の慢性疾患の22(59%)の代替マーカーについては、適格なメタ解析が同定できなかった。一方、14の慢性疾患の15(41%)の代替マーカーについては、少なくとも1つのメタ解析を特定した。メタ解析の総数は54件で、1つの代替マーカー当たりのメタ解析数の中央値は2.5件(四分位範囲[IQR]:1.3~6.0)だった。 また、1つのメタ解析に含まれた試験数中央値は18.5件(IQR:12.0~43.0)、患者数中央値は9万56例(2万109~17万14)であった。高い強度のrまたはR2を示したのは17% 54件(14件[26%]は製薬企業による助成を受けた)のメタ解析では、代替マーカーと臨床アウトカムの109件の組み合わせについて報告していた。 このうち少なくとも1つの相関係数(r)または決定係数(R2)の報告が行われていたのは59件(54%)で、少なくとも1つのrまたはR2が高い強度(r≧0.85またはR2≧0.72)に分類されていたのは10件(17%)であった。 これに対し、残りの50件(46%)では、傾き(slope)、効果推定値(effect estimate)、メタ回帰分析(meta-regression analysis)の結果のみを報告しており、このうち少なくとも1つの統計学的に有意な結果を示したのは26件(52%)だった。 著者は、「これらの知見は、FDAによる慢性疾患治療薬の承認に使用される可能性のある代替エンドポイントを支持するエビデンスの要約を、一般に公開することの重要性を強調するものである」としている。

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CAR-T細胞療法、CD7陽性造血器腫瘍のハプロ一致HSCTの橋渡しに有望/NEJM

 再発・難治性の造血器腫瘍患者の治療において、ハプロタイプ一致の同種造血幹細胞移植(HSCT)への橋渡しとしてのキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法は、安全かつ有効で寛解を達成し、有害事象は重篤だが可逆的であり、従来の同種HSCTが適応とならないCD7陽性腫瘍の患者に対して実行可能な治療法となる可能性があることが、中国・浙江大学医学院のYongxian Hu氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年4月25日号に掲載された。中国の新たな一体型治療戦略を評価する症例集積研究 本研究は、再発・難治性のCD7陽性白血病またはリンパ腫の患者を対象に、CD7 CAR-T細胞療法とハプロタイプが一致したHSCTを逐次的に施行する、新たな一体型(all-in-one)の治療戦略の評価を目的とする症例集積研究である(中国国家自然科学基金委員会[NSFC]などの助成を受けた)。 CAR-T細胞療法により、血液学的回復が不完全な完全寛解となった患者に対し、薬剤による骨髄破壊や移植片対宿主病(GVHD)の予防薬を投与せずに、ハプロタイプ一致HSCTを実施した。CAR-T細胞療法後全例で汎血球減少、HSCT後3例でGVHD 10例(急性骨髄性白血病7例、T細胞性急性リンパ芽球性白血病2例、T細胞性リンパ芽球性リンパ腫[IV A期]1例)を登録した。登録時の年齢中央値は56.5歳(範囲:13.7~72.5)、女性が6例(60%)で、前治療コース数中央値は9.5(範囲:4~15)であった。 CAR-T細胞療法後に10例すべてが、血液学的回復が不完全な完全寛解となった。サイトカイン放出症候群が9例(Grade1:5例、Grade2:4例)で発生したが、いずれも抑制に成功した。全例にGrade4の汎血球減少を認めた。 ハプロタイプ一致HSCT後13日目に、1例がStaphylococcus haemolyticus感染による敗血症性ショックと、ヒトヘルペスウイルス6感染による脳炎により死亡した。8例で完全ドナーキメリズムがみられ、1例で自己造血回復が得られた。また、3例でGrade2のHSCT関連急性GVHDが発生した。60%が微小残存病変陰性の完全寛解を維持 CAR-T細胞療法後の追跡期間中央値は15.1ヵ月(範囲:3.1~24.0)であった。データカットオフ日の時点で6例(60%)が微小残存病変陰性の完全寛解を維持し、2例はCD7陰性白血病を再発した。 1年全生存率の推定値は68%(95%信頼区間[CI]:43~100)であり、1年無病生存率の推定値は54%(29~100)だった。 著者は、「この統合的な治療戦略は、CAR-T細胞と移植片対白血病の可能性の両面から抗白血病効果を最大化し、従来の同種HSCTが不適応の再発・難治性CD7陽性腫瘍の患者に対して実行可能な治療法を提供するものである」としている。現在、より大規模なコホートにおいて、CD7 CAR-T細胞療法とハプロタイプ一致HSCTを逐次的に施行する第I相試験が進行中だという。

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2024年の医師のコロナワクチン、接種する/しないの二極化進む/医師1,000人アンケート

 新型コロナワクチンの全額公費による接種は2024年3月31日で終了した。令和6年度(2024年度)は、秋冬期に自治体による定期接種が開始される。定期接種の対象となるのは65歳以上、および60~64歳で心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される人、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な人で、対象者の自己負担額は最大で7,000円となっている。なお、定期接種の対象者以外の希望者は、任意接種として全額自費で接種することとなり、2024年3月15日時点の厚生労働省の資料によると、接種費用はワクチン代1万1,600円程度と手技料3,740円で合計1万5,300円程度の見込みとなっている1)。この状況を踏まえ、医師のこれまでのコロナワクチン接種状況と、今後の接種意向を把握するため、主に内科系の会員医師1,011人を対象に『2024年度 医師のコロナワクチン接種に関するアンケート』を4月1日に実施した。 Q1では、コロナの診療に現在携わっているかについて聞いた。「診療している」が79%、「診療していない」が21%だった。年代別で「診療している」と答えた割合は、40代(86%)、60代(83%)、30代(81%)の順に多かった。診療科別では、血液内科(94%)、呼吸器内科(94%)、救急科(92%)、総合診療科(90%)、腎臓内科(88%)、神経内科(88%)、内科(85%)、小児科(83%)、消化器内科(81%)、糖尿病・代謝・内分泌内科(80%)、臨床研修医(80%)の順に多かった。年齢が低い医師ほど、コロナに感染した割合が高い Q2では、これまでの新型コロナの感染歴を聞いた。感染したことがある医師は全体の45%、感染したことがない/感染したかわからない医師は55%であった。感染したことがある医師は年齢が低いほど、感染した割合が高く、20代は60%、30代は55%、40代は51%、50代は44%、60代は35%、70代以上は24%だった。臨床数別では、病床数が多いほうが感染した医師の割合が高く、20床以上で感染したのは49%、0~19床では34%だった。また、コロナ診療状況別では、コロナを診療している医師では47%、診療していない医師では37%に感染歴があった。昨年は20~40代の接種率が50%弱 Q3では、2023年秋冬接種でのXBB.1.5対応ワクチンの接種状況を聞いた。全体では「接種した」が58%、「接種していない」が42%だった。年代別で「接種した」と答えた割合は、多い順に70代以上(77%)、60代(72%)、50代(61%)、20代(50%)となり、30代(45%)と40代(48%)は50%未満であった。コロナ診療状況別の接種率は、診療している医師は62%、診療していない医師は46%であった。前年の傾向を引き継ぎ、接種する人と接種しない人の二極化進む Q4では、2024年度にコロナワクチンを接種する予定かどうかを聞いた。全体では「接種する予定」が33%、「接種する予定はない」が41%、「わからない」が26%となった。年代別では、「接種する予定」と答えた割合が過半数となったのは70代以上(56%)のみで、ほかは多い順に60代(44%)、50代(31%)、40代(28%)、20代(28%)、30代(23%)であった。30代では「接種する予定はない」が54%となり過半数を占めた。2023年コロナワクチン接種状況別で、2023年に接種した人では「2024年度に接種する予定」が53%、「2024年度に接種する予定はない」が16%となった。対して、2023年に接種していない人では、「接種する予定」が6%、「接種する予定はない」が74%となり、今回のアンケートで最も顕著な差が認められ、医師のなかでもコロナワクチンを接種する人と接種しない人の二極化が進んでいることがわかった。 Q5では、自身が受ける2024年度のコロナワクチンの費用は、病院負担か自己負担のどちらになるか、これまでのインフルワクチンなどの対応を踏まえ推測を交えて聞いた。「おそらく全額病院負担」が22%、「おそらく一部自己負担」が22%、「おそらく全額自己負担」が23%、「わからない」が33%となり、全体的に均等な割合となった。2024年度にワクチンを接種する予定の人のうち「全額病院負担」35%、「一部自己負担」29%、「全額自己負担」16%だったのに対し、接種する予定はない人は「全額病院負担」12%、「一部自己負担」20%、「全額自己負担」30%であった。ワクチンの必要性や高額な治療薬について、患者にどう説明するか Q6の自由回答のコメントでは、新型コロナに関して現在困っていることや知りたい情報を聞いた。主な回答は以下のとおり。ワクチンについて・ワクチンで感染予防が成り立たないのは明白。ただし重症予防は十分成り立っていたと思うので、高齢者と持病多い人は無料で受けられるようにしてほしい(40代、循環器内科)・接種の必要性をよく質問されるが、正直な所、自分も勧めてよいのか迷っている(40代、小児科)・今後新たに使用可能となるワクチンの種類とその効果など(60代、内科)・公費負担が終了すると被接種者は減少すると思われるが、今後の流行予測は?(70代以上、内科)・医療従事者のワクチン接種費用について(50代、内科)治療薬について・抗ウイルス薬の値段が高い事の説明をどうするか(60代、内科)・コロナ治療薬の処方が減り、対症療法が増えると思う(70代以上、内科)・抗ウイルス薬の適応と思われる患者さんが、高額のため投薬拒否された時のことを考えると頭が痛い(50代、消化器内科)流行状況、院内対策などについて・現在の感染状況の情報発信が少なくなり、新型コロナ感染症に対する世間の認識が乏しくなり、感染増加を招いていること(40代、呼吸器内科)・感染対策の立場として、職場での接種をどうするか悩んでいる(40代、感染症内科)・発熱外来の体制に悩んでいる(30代、呼吸器内科)・後遺症に関する診断(40代、呼吸器内科)アンケート結果の詳細は以下のページで公開中。2024年度 医師のコロナワクチン接種に関するアンケート

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7つの“ロコモチェック”(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2021 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者医師患者医師患者最近、足腰が弱くなってきて…。それでは、要介護の原因となる「ロコモ」を簡単にチェックしてみましょう。以下の7項目で、いくつ当てはまりますか?①片脚立ちで靴下が履けますか?②家の中でつまずいたり滑ったりしますか?③階段を昇るのに手すりが必要ですか?画 いわみせいじ④家のやや重い家事(掃除機の使用や布団の上げ下ろし)が困難ですか?⑤2kg程度の買い物をして持ち帰ることができますか?⑥15分くらい続けて歩けますか?⑦横断歩道を青信号で渡りきれますか?えーっと…、①と②が難しいと感じます。それ以外は大丈夫ですね。それなら、ロコチェック2点で、運動機能が低下している恐れがあります。0点を目指してロコモーショントレーニングをされるといいですよ!それはどんなトレーニングですか?(興味津々)ポイント要介護予防のために、ロコチェックでロコモに関心をもってもらいます。1つでも当てはまる患者さんには、「ロコモ度テスト」を受けてもらうとよいでしょう。Copyright© 2021 CareNet,Inc. All rights reserved.

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英語で「問題を先送りする」は?【1分★医療英語】第129回

第129回 英語で「問題を先送りする」は?《例文1》I tend to procrastinate until the last minute.(私はギリギリまで問題を先送りしてしまいがちです)《例文2》It is a waste of time.(それは時間の無駄です)《解説》医療の現場では難しい決断が迫られることが珍しくありません。時に、最善の選択肢がわかっていても、副作用や費用など、さまざまな理由でほかの選択肢を検討することがあります。“kick the can down the road”(問題を先送りする)は便利な慣用句で、患者さんを説得する場面などでたびたび使用されるのを耳にします。このフレーズの由来には諸説あります。「歩いている人が、自分がいずれ拾うべき缶を自分の前方に蹴り続けている状態」をイメージすると理解しやすいかと思います。類義語としては、“procrastinate”(先延ばしにする)が最もシンプルでしょう。さらに直接的な表現となりますが、場面によっては“waste of time”(時間を無駄にする)を使うこともできます。講師紹介

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健康な新生児/乳児も対象のRSウイルス感染症予防薬「ベイフォータス筋注50mg/100mgシリンジ」【最新!DI情報】第14回

健康な新生児/乳児も対象のRSウイルス感染症予防薬「ベイフォータス筋注50mg/100mgシリンジ」今回は、抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤「ニルセビマブ(遺伝子組換え)(商品名:ベイフォータス筋注50mg/100mgシリンジ、製造販売元:アストラゼネカ)」を紹介します。本剤は、健康な新生児および乳児も投与対象とするRSウイルス感染症の予防薬であり、重症化リスクの有無に関わらず下気道疾患の発症を抑制・予防し、入院などを回避することが期待されています。<効能・効果>生後初回または2回目のRSウイルス感染流行期の重篤なRSウイルス感染症のリスクを有する新生児、乳児および幼児におけるRSウイルス感染による下気道疾患の発症抑制、ならびに生後初回のRSウイルス感染流行期の前述以外のすべての新生児および乳児におけるRSウイルス感染による下気道疾患の予防の適用で、2024年3月27日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>生後初回のRSウイルス感染流行期には、通常体重5kg未満の新生児および乳児は50mg、体重5kg以上の新生児および乳児は100mgを1回筋肉内注射します。生後2回目のRSウイルス感染流行期には、通常200mgを1回筋肉内注射します。<安全性>主な副作用として、発疹、注射部位反応および発熱(0.1~1%未満)が報告されています。他のIgG1モノクローナル抗体では、アナフィラキシーを含む重篤な過敏症反応が報告されており、本剤の臨床試験においても過敏症に関連する有害事象(頻度不明)が報告されているので、注意が必要です。同様に、類薬では血小板減少が注意喚起されており、本剤の臨床試験でも血小板減少に関連する有害事象(頻度不明)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、RSウイルス感染症のリスクがある新生児、乳児および幼児における下気道疾患の発症を抑制します。2.RSウイルス感染症のリスクを有する患児では、生後初回または2回目のRSウイルス感染流行期に使用します。3.生後初回のRSウイルス感染流行期には、基礎疾患のないすべての新生児および乳児におけるRSウイルス感染による下気道疾患の予防にも使用されます。<ここがポイント!>RSウイルスは、日本を含め世界中に分布しているウイルスで、感染力が強く、季節的に流行します。生涯にわたって何度も感染と発症を繰り返しますが、生後1歳までに半数以上が、2歳までにはほぼすべての幼児が1度は感染するとされています。RSウイルスによる下気道感染の多くは、風邪様の軽い症状で自然軽快しますが、場合によっては細気管支炎や肺炎などへ進展し、生命を脅かす重篤な症状を引き起こす可能性があります。重症化のリスク因子には、早産児、慢性肺疾患、ダウン症候群、先天性心疾患(CHD)および免疫不全症などの基礎疾患があります。また、初回感染時は重症化しやすく、とくに生後6ヵ月以内に感染した場合はリスクが高くなります。RSウイルス感染による重篤な下気道疾患の発症抑制には、抗RSウイルス抗体であるパリビズマブがすでに承認されていますが、早産児やCHD、免疫不全などの基礎疾患を有する新生児、乳児および幼児に使用が限定されています。しかし、RSウイルス感染症による入院患者の大多数を占めているのは基礎疾患を有さない健康な小児であることから、幅広い乳幼児に使用できる医薬品の開発が望まれていました。本剤は、生後初回または2回目のRSウイルス感染流行期の重篤なRSウイルス感染症のリスクを有する新生児、乳児および幼児に使用できるほか、リスクの有無に関わらずすべての新生児、乳児および幼児に対し、生後初回のRSウイルス感染流行期の下気道疾患の予防に用いることができます。本剤は、遺伝子組換え抗ヒトRSウイルスFタンパク質モノクローナル抗体であり、ヒトIgG1に由来する長期間作用型の中和抗体です。血清中の消失半減期を延長しており、固定用量の単回投与によって少なくとも5ヵ月の発症抑制効果を得ることができます。国際共同第III相試験(MELODY試験)において、本剤の単回投与によって、正期産児および後期早産児における投与後150日(5ヵ月間)までの受診を要したRSウイルスによる下気道感染の相対リスクは、対照群と比べて74.5%減少しました(95%信頼区間[CI]:49.6~87.1、p<0.0001)。また、海外後期第II相試験では、早産児(在胎期間29週以上35週未満)における投与後150日(5ヵ月間)までの受診を要したRSウイルスによる下気道感染の相対リスクは、対照群と比べて70.1%減少し(95%CI:52.3~81.2、p<0.0001)、入院リスクは78.4%減少しました(95%CI:51.9~90.3、p=0.0002)。本剤は、2022年10月に欧州で「生後初回のRSウイルス流行シーズンを迎える新生児および乳幼児におけるRSウイルスによる下気道疾患の発症抑制」で承認されています。

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第213回 まれな低身長症の変異に老化を遅らせる働きがあるらしい

世界での患者数わずか400~500例ほどのまれな低身長症が、老化や代謝疾患を研究する科学者の関心を集めています1)。というのも、ラロン症候群として知られるその低身長症の原因である成長ホルモン受容体欠損(GHRD)とさまざまなメリットの関連が示されているからです。南米・エクアドルのラロン症候群患者の調査結果を記した南カリフォルニア大学のValter Longo氏のチームの2011年の報告では、それら患者に糖尿病やがんが生じ難いことが示されています2)。同じくLongo氏らのその6年後の2017年の報告3)では、ラロン症候群患者の記憶が良いことが示されました。また、ラロン症候群患者はどうやら脳がより若いらしく、MRIで調べた脳領域のいくつかがより大ぶりでした。ラロン症候群を模すマウスはそうでないマウスに比べて1.4倍ほど長生きすることも示されており4)、ラロン症候群の原因であるGHRDは老化を遅らせる働きもあるのかもしれません。さらに研究は進み、Longo氏とエクアドルの内分泌学者Jaime Guevara-Aguirre氏の協力による新たな報告5)によると、GHRDはヒトの死亡理由の多くを占める心血管疾患をも生じ難くするようです。研究ではエクアドルのラロン症候群の24例とラロン症候群ではないそれらの血縁者27例が調べられました。Guevara-Aguirre氏はアンデス山地の村々の回診でラロン症候群患者の集団の気付き、それ以来30年超その集団を調べています。新たな研究では心血管疾患指標が検討され、ラロン症候群患者は血糖、インスリン、血圧などが正常かより良好で、どうやら心血管疾患を生じ難いと示唆されました。ラロン症候群患者は肥満であることが多く6)、「悪玉」としばしば呼ばれて動脈硬化を生じ易くすると考えられているLDLコレステロール値が高めです7)。しかし、動脈硬化を有するラロン症候群患者の割合はわずか7%でした。一方、ラロン症候群でない人は36%が動脈硬化を有していました。ラロン症候群患者の動脈はそうでない人に比べて少なくとも不健康ではないようです。低IGF-1が有益作用の鍵らしいラロン症候群だとGHRの不備のせいで体は成長ホルモン(GH)を持て余してしまいます。ラロン症候群患者はGHの量が正常か多いのとは対照的に、インスリン様成長因子1(IGF-1)の減少を呈します。IGF-1はGHが骨や組織を増やすのを助けます。IGF-1が少ないことと心血管疾患を生じやすいことの関連が先立つ研究で示されていたので、IGF-1減少を示すラロン症候群患者は心臓や心血管の問題が多いに違いないと大方考えられていました。しかし今回の結果はいわばその真逆を示唆しており、歳を重ねてからのIGF-1伝達抑制は老化の進行を遅らせる働きがあるようです7)。ラロン症候群患者は小児期に多い病気での死亡率が高い2)ことが示唆しているように、育ち盛りの若いときにIGF-1は抑制できません。一方、老いてからのIGF-1伝達の手入れは有意義かもしれず、Longo氏はGH受容体狙いでIGF-1を減らす薬が心血管疾患の予防手段となりうると期待しています7)。Longo氏やGuevara-Aguirre氏は研究のみならずラロン症候群患者の実益と直結する活動もしています。両氏はラロン症候群の小児の身長を伸ばすためのIGF-1提供を製薬会社やエクアドル政府に働きかけています1)。また、ラロン症候群小児の身長を伸ばしうる食事の試験が始まっており、Guevara-Aguirre氏はラロン症候群患者を無償で手当てしています。参考1)Could a rare mutation that causes dwarfism also slow ageing? / Nature2)Guevara-Aguirre J, et al. Sci Transl Med. 2011;3:70ra13.3)Nashiro K, et al. J Neurosci. 2017;37:1696-1707.4)Coschigano KT, et al. Endocrinology. 2000;141:2608-2613. 5)Guevara-Aguirre J, et al. Med. 2024 Apr 22. [Epub ahead of print] 6)People with rare longevity mutation may also be protected from cardiovascular disease / Eurekalert7)Rare mutation that causes short stature may shed light on ageing / NewScientist

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スタチンで糖尿病発症リスクは本当に増加する?

 スタチン療法により、糖尿病の新規発症リスクが約10%増加すると報告されているが、そのタイミングやどのような患者でリスクが高いかは明らかでない。英国・Cholesterol Treatment Trialists'(CTT)Collaborationの研究者らは、大規模な無作為化比較試験の個々の参加者データを用いたメタ解析を実施し、結果をLancet Diabetes &Endocrinology誌2024年5月号に報告した。スタチン療法群で糖尿病を発症した約62%は血糖値が最高四分位群に属する 対象となったのは、追跡期間2年以上で1,000人以上が参加するスタチン療法に関する二重盲検無作為化比較試験。メタ解析では、糖尿病の新規発症(糖尿病関連有害事象、新規血糖降下薬の使用、血糖値[空腹時血糖値≧7.0mmol/Lまたは随時血糖値≧11.1mmol/Lが2回以上]、HbA1c値[≧6.5%が1回以上]により定義)、糖尿病患者における血糖値悪化(ケトーシス関連の有害事象または血糖コントロールの悪化、ベースラインから≧0.5%のHbA1c値上昇、血糖降下薬の強化で定義)に対するスタチン療法の影響を評価した。 糖尿病の新規発症に対するスタチン療法の影響を評価した主な結果は以下のとおり。・CTT Collaborationの研究のうち、スタチンとプラセボを比較した19試験(参加者:12万3,940例、糖尿病患者:2万5,701例[21%]、追跡期間中央値;4.3年)が解析に含まれた。うち2試験(2万1,455例)は高強度スタチン療法と、16試験(9万5,890例)は中強度スタチン療法と、1試験(6,605例)は低強度スタチン療法とプラセボを比較していた。・低または中強度スタチン療法を受けた患者では、プラセボ群と比較して糖尿病の新規発症が発生率比で10%高かった(3万9,179例中2,420例[1.3%/年] vs.3万9,266例中2,214例[1.2%/年]、発生率比[RR]:1.10、95%信頼区間[CI]:1.04~1.16)。・高強度スタチン療法を受けた患者では、プラセボ群と比較して糖尿病の新規発症が発生率比で36%高かった(9,935例中1,221例[4.8%/年]vs.9,859例中905例[3.5%/年]、RR:1.36、95%CI:1.25~1.48)。・ベースラインで糖尿病のなかった参加者において、平均血糖値は低または中強度スタチン療法群で0.04mmol/L(95%CI:0.03~0.05)、高強度スタチン療法群でも0.04mmol/L(0.02~0.06)上昇し、平均HbA1c値は低または中強度スタチン療法群で0.06%(0.00~0.12)、高強度スタチン療法群では0.08%(0.07~0.09)上昇した。・スタチン療法群で糖尿病を新規発症した症例の約62%は、ベースラインの血糖値が最高四分位群に属する参加者であった。・糖尿病新規発症に対するスタチン治療の相対的影響は、さまざまなタイプの参加者および治療期間で同様であった。・ベースラインで糖尿病があった参加者において、血糖値悪化のRRはプラセボ群と比較して、低または中強度スタチン療法群で1.10(1.06~1.14)、高強度スタチン療法群で1.24(1.06~1.44)であった。 著者らは、スタチンは糖尿病の新規発症について用量依存的な増加を引き起こしたが、これは血糖値のわずかな上昇と一致しており、糖尿病の新規発症の多くはベースラインの血糖マーカーが糖尿病の診断基準値に近い人々で起こっていたとし、スタチンの主要な心血管イベントに対するベネフィットはこれらの糖尿病リスクを大幅に上回ると結論付けている。

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TN乳がんの長期アウトカム、BRCA1/2変異の影響は

 トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者はBRCA1/2遺伝子変異を有する割合が高く、約10〜20%とされている。今回、韓国・Sungkyunkwan University School of MedicineのWoong Ki Park氏らが、TNBC患者の長期アウトカムを後ろ向きに検討したところ、BRCA1/2遺伝子変異が対側乳がん発生のリスク因子であることがわかった。また、対側乳がん発生率は、BRCA1/2変異患者では5年を過ぎても大幅に高かったという。npj Precision Oncology誌オンライン版2024年4月30日号に掲載。 本研究の対象は、2008年6月~2016年1月に原発性乳がんの手術を受けたTNBC患者953例。追跡期間中央値80.9ヵ月(範囲:3~152ヵ月)における対側乳がん発生率、再発パターン、生存率などの長期アウトカムを評価した。 主な結果は以下のとおり。・122例(12.8%)がBRCA1/2遺伝子変異を有していた。・BRCA1/2遺伝子変異のある患者は診断時年齢が有意に若く、乳がん/卵巣がんの家族歴がある傾向が強かった。・60ヵ月(5年)、120ヵ月(10年)、150ヵ月(12.5年)時点の対側乳がん発生率は、BRCA1/2遺伝子変異のある患者が変異のない患者に比べ有意に高かった(順にp=0.0250、0.0063、0.0184)。・無病生存期間、全生存期間、乳がん特異的生存期間、無遠隔転移生存期間については、両群間に有意差は認められなかった。・BRCA1/2遺伝子変異は対側乳がん発生の有意なリスク因子であった(HR:6.242、p<0.0001)。・対側乳がんが発生した29例中24例(82.8%)が再びTNBCと診断され、19例(65.5%)が再発後に化学療法を受けていた。 これらの結果から、著者らは「TNBC患者において、リスク低減乳房切除術(RRM)のような外科的治療の決定には、適切な遺伝子検査とカウンセリングが重要」とし、さらに「BRCA1/2遺伝子変異のあるTNBC患者では、とくにRRMを受けていない患者において長期サーベイランスが必要」としている。

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日本人の不眠症状と関連する要因~山形コホート研究

 不眠症は広くまん延しており、生活習慣病の発症や早期死亡のリスク因子となっている。不眠症を改善するためには、不眠症に影響を及ぼす因子を特定する必要がある。山形県立米沢栄養大学の鈴木 美穂氏らは、日本人の一般集団における不眠症の症状と精神的、身体的、環境的因子との関連を調査した。Heliyon誌2024年3月15日号の報告。 対象は、2021年12月~2022年3月に睡眠関連項目を含む健康とライフスタイルに関するアンケートに回答した日本人一般集団7,873例。不眠症状の定義は、アテネ不眠尺度(AIS)スコア6以上とした。不眠症状と独立して関連する因子を特定するため、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・不眠症状が認められた割合は、23.4%であった。・不眠症状と関連する因子は、高齢、女性、現在の収入では生活が非常に困難な状況、痛み/不快感、不安、幸福感の欠如、頻繁な夜間頻尿、入浴から就寝までの長さ、寝室の照度、歩行時間の短さであった。・サブグループ解析で強い関連が認められた因子は、男性の歩行時間、女性の高BMI、高齢者の入浴から就寝までの時間、毎日の歩行時間であった。 著者らは「不眠症状は地域社会と共通しており、身体的、心理的、環境的要因を含む3つの異なる因子と独立して関連していた。不眠症状を改善するためには、個々の状況に合わせた適切な実践的サポートが求められる」としている。

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PPIの不適切処方に薬剤師が介入、その効果は?/BMJ

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)の過剰使用を減らすための薬局を中心とした大規模な多面的介入は、全体的なPPI使用を減少することが示された。PPIによる胃の保護が適切とされる患者においても使用が減少したが、臨床的な有益性または有害性のいずれについても最小のエビデンスしか認められなかったという。米国・ミシガン大学のJacob E. Kurlanderらが、米国退役軍人のための最大規模の統合医療システム「US Veterans Affairs Healthcare System」(医療施設1,255、外来拠点1,074)のデータを用いた差分の差分(difference-in-difference)分析の結果を報告した。これまでPPIの過剰使用を減らすための介入が及ぼす影響を、包括的に評価した研究はほとんどなかった。BMJ誌2024年4月11日号掲載の報告。薬局を中心とした介入前後の4.5年間のPPI処方を、介入群と対照群で比較 研究グループは、US Veterans Affairs Healthcare Systemを構成する18の地域医療システム(Veterans Integrated Service Networks:VISN)のうち、1つのVISNでPPI過剰使用に対する新たな取り組み(VISN 17)を実施し、他の17のVISNを対照とし評価した。VISNにはそれぞれ独自の外来薬局システムが整備されており、Veterans Affairsクリニックでの処方薬は、ほぼVeterans Affairs薬局で調剤されるという。 VISN 17は、次の5つから構成された。(1)PPIのリフィル処方箋の使用制限(慢性使用の適切な適応が処方箋に明記されていない場合)、(2)6ヵ月以内に使用されなかった処方箋の無効化、(3)H2受容体拮抗薬の処方促進、(4)臨床医と患者への教育(臨床医には、PPIを2週間で漸減し、その後H2受容体拮抗薬を1~2ヵ月間必要に応じて使用することを推奨、患者には情報レターの送付等)、(5)薬剤師による高用量PPIの処方を把握する報告ツールの作成。 VISN 17は2013年8月~2014年7月に実施し、実施前後4.5年間の動向を捉えるため研究対象期間は2009年2月~2019年1月とした。研究期間を、連続した6ヵ月間隔で区切り、各期間において過去2年間にプライマリケアを2回以上受診した患者を解析対象とした。 主要アウトカムは、6ヵ月当たりのPPIが処方された患者の割合であった。介入により全体的なPPI処方が減少、必要な患者でのPPI処方も減少 1間隔当たりの解析対象患者数は、VISN 17実施施設で19万2,607~25万349例、対照施設で377万5,953~436万868例の範囲であった。 取り組み実施前は、PPIが処方された患者の割合は、VISN 17群で平均25.8%、対照群で平均25.4%であった。 差分の差分分析の結果、取り組みの実施によりVISN 17群では対照群と比較し、PPIが処方された患者の割合が7.3%低下した(95%信頼区間[CI]:-7.6~-7.0)。 副次アウトカムについては、上部消化管出血のリスクが高い患者におけるPPI処方日数が11.3%短縮(95%CI:-12.0~-10.5)し、PPIまたはH2受容体拮抗薬が処方された患者の割合が5.72%低下(-6.08~-5.36)した。しかし、上部消化管疾患の診断、上部内視鏡検査のためのプライマリケア受診、PPIによる胃の保護が適切な高齢者の酸関連消化器疾患による入院の増加は確認されず、PPI関連の臨床症状も臨床的に有意な変化はみられなかった。

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