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下痢症状とは

患者さん、その症状は下痢 ですよ!下痢とは「水分を多く含む液状またはそれに近い糞便を排泄する状態。排便回数あるいは排便量の増加を伴う場合が多い」症状のこと。持続期間が2週間以内は急性下痢、4週間以上は慢性下痢と区別される。以下、該当する項目はありませんか?□排便回数がいつもより多い□便の量がいつもより多い□しぶり腹(便意切迫)がある□便の色がいつもと違う□最近飲み始めた薬・サプリメントがある □アルコールを飲んだ後だ□人工甘味料(キシリトール…)を含む食品をたくさん食べた◆単なる下痢ではないのは…・就寝中に起こる下痢:重大な疾患が原因のことが多い・大腸がん:下痢になることがある・下痢に加え、以下の症状/病歴を伴う場合は受診が必要です発熱(38.5℃超)、血便、口渇、ひどい腹痛、免疫力が低下、高齢者(70歳超)、衛生状態が悪い外国から帰国出典:日本臨床検査医学会(下痢)、外来を愉しむ攻める問診、MSDマニュアルプロフェッショナル版監修:福島県立医科大学 会津医療センター 総合内科 山中 克郎氏Copyright © 2021 CareNet,Inc. All rights reserved.

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大腸がんスクリーニングのための多標的便RNA検査―便潜血反応と比較して(解説:上村直実氏)

 大腸がんは肺がんの次にがん死亡者数が多い疾患であり、世界的に早期発見のための検診が盛んに行われている。通常、1次検診では免疫学的便潜血検査(FIT)を用いた判定法が頻用されているが、さらに精度の高い検査法が探求されている。 今回、大腸内視鏡検査を行った症例8,000人以上を対象として、便中の多標的RNA検査(ColoSense)とFIT両群の感度と特異度を比較した無作為比較試験の結果が、2023年11月のJAMA誌に掲載された。大腸がんおよび進行腺腫に対するColoSenseの感度がFITに比べて有意に高い結果であり、著者らは、今後、通常のFITに代わりうる検査法として期待されると結論付けている(*欧米と日本における大腸がんの定義は少し異なっており、日本における病理診断では粘膜内がんと診断される病変は、欧米ではがんではなく進行腺腫とされることに注意が必要である)。 大腸がんは早期発見により90%以上が完治可能な疾患であることから、便を用いた1次検診から精密検査の内視鏡検査へ誘導する方法が整備されると、大腸がんの死亡者数が激減することが予測できる。今回の論文のように1次検診の精度は確かに重要であるが、同じくらい重要な課題が検査の受検率である。わが国の厚生労働省白書等によると、FITの受検率は50%弱であり、そのうち便潜血陽性で要精密検査となるのが約7%(全体の3.5%)で、このうち約70%が精密検査である大腸内視鏡検査を受けている。 なお、大腸がんが発見されるのは全体の0.1〜0.2%とされているが、このうち7割が早期がんで根治可能であると報告されている。今回の便中RNAを調べる方法など精度の高い遺伝子検査が次々と開発されることが予測されるが、検診という性格上、費用対効果が非常に重要であり、今後、多面的な評価が必要になると思われる。 最後に、検診による大腸がんの早期発見が大腸がん死亡率の低下に寄与することは確かであり、わが国で必要な課題は1次検診の受検率50%の引き上げ、要精密検査者の内視鏡検査受検率の向上が必要であり、そのために国民に対する啓蒙活動が重要と思われた。

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くしゃみによる脾臓破裂の1例【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第248回

くしゃみによる脾臓破裂の1例KuKuKeKeより使用くしゃみは気道の内圧を急激に上昇させます。肺はデリケートな臓器なので、急に息を吸ったり吐いたりすると、肺が破れて気胸になってしまうことがあります。しかし、横隔膜を挟んだ脾臓が破裂したという世にも珍しい報告がありまして…。これはやはり腹圧が上がるからなのですが。Reinhold GW, et al. A Near Fatal Sneeze Spontaneous Splenic Rupture: A Case Report and Review of the Literature.Clin Pract Cases Emerg Med. 2017 May 24;1(3):190-193.79歳の女性が、左上腹部の痛みと背中・左肩への放散痛が3時間続いているという理由で救急車を呼びました。女性に外傷歴はなく、痛みの原因として唯一考えられることが、直前に「くしゃみを3回した」というのです。私の妻もそうですが、連続してくしゃみが出てしまう人っていますよね。女性には、腹部造影CT検査が行われました。その後、「脾臓破裂です!」と放射線科から診察医へ緊急連絡があったそうです。患者は当初、バイタルサインが正常で元気そうに見えましたが、その後、血圧が低下し、ショックバイタルに。こりゃいかん。外科医によって脾臓摘出術が行われ、この症例は無事に後遺症なく回復したそうです。脾臓破裂の発生率は脾臓の大きさと相関するという仮説がありますが、いまだにそのリスク因子はよくわかっていません。外傷はもちろんそうですが、それ以外の因子は不明と言わざるを得ません。この論文には、「くしゃみをしただけで脾臓が破裂したという世界初の報告である」と書かれており、原因としてはかなりまれと思われます。みなさんもくしゃみするときは、できるだけ1回で、あまり胸腔・腹腔内圧を高めないように注意してください。そういう意味では、大きな声でくしゃみをしたほうが、大気に開放されてリスクは低いのかもしれませんね。周囲の迷惑になってしまいますが。

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第192回 能登半島地震から考える、医療現場のインフラ対策

新年早々、何とも言えない気分である。元日に発生した令和6年能登半島地震のことだ。当日、私は地元の仙台市に滞在していた。飲酒・飲食の機会が多い正月は体が鈍る可能性が高くなってしまうので、実家を出てスポーツジムに向かおうと仙台市中心部のアーケード街を歩いていた。元日ということもあり、さすがに普段と比べ人通りは少なかった。ふとスマートフォンからYahooニュースアプリのニュース速報通知が着信したことに気付いた。「石川県能登で最大震度7…」という通知文字が流れて行った。職業柄、ニュース速報はリアルタイムで着信通知をする設定にしている。「うわ、規模がでかい」と内心で思った直後だった。自分のスマホだけでなく、アーケード街を歩く人たちのスマホからも一斉に緊急地震速報の警報音が「グワッ、グワッ、グワッ」と鳴り始めた。「ニュース速報が緊急地震速報に先んじることもあるのか?」と驚きながら、とりあえず私は目の前のコンビニエンスストア内に駆け込んだ。アーケード上部から何かが落下してくるかもしれないと考えたからだ。駆け込んだコンビニは1階が店舗、2階がイートインになっていることは前から知っており、2階のイートインならば比較的安全だろうと考え、入り口そばにある階段を駆け上がった。ちょうど2階に到着した時点で、ゆるやかな揺れを感じた。私はそのまま構わずイートインフロア内でアーケードから一番遠い奥まで移動した。妻の実家に帰省中の娘から「そっち大丈夫?」とのLINEが着信。「軽く揺れた気がする。そっちは?」に「揺れたけど平気」と返信がきた。この頃には揺れも収まっていたので、私は再び外に出て駆け足でジムに向かった。トレッドミルで走りながら、そこに付属するテレビでニュースを確認しようと思ったからだ。ジムに到着し、更衣室で着替え中、津波警報が発令されているニュース速報を知った。すぐにトレッドミルに移動し、NHKニュースをつけながら走り始めた。そこで目に飛び込んできたのは、津波高予想が最大3m(後に5mまで引き上げられたが)ということ。さすがにこれはただ事では済まないと思いながら、現在までニュースをウォッチしている次第だ。さて、厚生労働省が発表している地震の被害状況に目を通していると、最新の第12報(1月4日14 時30分現在)でも、石川県、富山県の合計14医療機関で断水が続いている。すでに現地では大量の水が必要になる透析患者の一部が金沢市内の医療機関などに搬送されたという。また、第8報(1月2日16時00分現在)時点までは停電していた医療機関も1ヵ所あった。この現実はこれだけの規模の災害時にはやむを得ない事態であり、誰にも責任はない。このうち電気に関しては、医療機関の場合、消防法と建築基準法により防災電源としての自家発電設備の設置が義務とされている。ただ、これとは別に医療機関の場合は電気設備の状態が人命に関わるため、日本産業規格(JIS規格)の定める「病院電気設備の安全基準」により非常用自家発電設備の整備基準が示されているものの、これには拘束力はない。一方、災害拠点病院指定要件では、通常時の 6 割程度の発電容量のある自家発電機などを保有し、3 日分程度の備蓄燃料を確保しておく旨が通知されている。今回は幸いにして現状では被災地域での医療機関の停電は解消されているものの、災害規模によっては3日間程度では収まらないことも想定しなければならない。だが、実のところ医療機関にとって災害対策は、日常業務プラスのエクストラな対応が必要になり、余裕を持った対策は、予算の観点からもなかなか難しい。今回のニュースに接した時に私が思い出したエピソードの1つが、東日本大震災を取材した際のある医療機関の事務担当者による話だ。この方は「正直、3日経っても電気の回復が見込めず、慌てて非常用発電装置用の燃料確保に走ったが、物流も途絶し、一時は電源喪失を覚悟した」と語っていた。こうした際に燃料として使われるのは軽油や重油だが、前者は保管から半年、後者は3ヵ月も経過すると酸化などによる劣化が進むため、厳密な運用では廃棄せねばならず、災害対策の悩みの種の1つだとも呟いていた。しかも燃料の場合、備蓄量によっては消防法上で備蓄方法の規制もある。今回の能登半島地震では、もともと道路網がやや貧弱な中で、各地で道路の損傷も報じられている。こうなると物はあっても運びきれないという隔靴掻痒な事態も発生するし、現に一部報道では避難所への物資輸送が道路状況の悪化で困難な状況も伝えられている。日本の場合、全国どこでも地震発生の危険がある国土という意味で、もともとがディフェンシブな条件を抱えている。こうした点について、国による全国一律かつより強靭な対策の拡充が不可避だと改めて感じている。

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抗精神病薬治療が統合失調症患者のQOLに及ぼす影響

 統合失調症およびその他の精神病性スペクトラム障害の患者に対し、薬理学的な抗精神病薬による介入は基盤となる治療である。また、「最善」とされる治療法の選択は、いくつかの臨床領域に基づき行われるべきである。しかし、利用可能な治療法があるにもかかわらず、抗精神病薬を服用中の統合失調症患者から報告されるQOLは依然として非常に低く、抗精神病薬治療の有効性を評価した試験でこの結果が考慮されることはほとんどない。イタリア・カンパニア大学のGaia Sampogna氏らは、抗精神病薬治療が患者のQOLに及ぼす影響を評価するため、システマティックレビューを実施した。その結果、統合失調症患者にとって適切な治療法を選択するうえで、QOLが中心的な要素であることが確認された。Brain Sciences誌2023年11月10日号の報告。 抗精神病薬治療を行っている統合失調症患者のQOL改善の違いを特定するため、次の3点を評価した。(1)抗精神病薬製剤(経口剤、持効性剤、持効性注射剤)、(2)抗精神病薬カテゴリ(第1世代、第2世代、第3世代)、(3)患者の臨床的特徴。 主な結果は以下のとおり。・レビューには、111件の論文を含めた。・抗精神病薬の有効性を評価した試験において、生活の質はたいていの場合、副次的アウトカムとして評価されていた。・第2世代抗精神病薬はQOLに、より良い影響を与えていた。・長時間作用型注射剤抗精神病薬は、QOLのより安定した改善、良好な安全性および忍容性プロファイルと関連していた。 著者は、「より優れた忍容性プロファイル、患者の認知機能および社会的機能に対する有効性が証明されており、より安定した血中濃度を維持できるといった新規治療法が利用可能であれば、統合失調症患者のQOLを改善するための適切な治療戦略となる可能性がある」としている。

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心房細動アブレーション後に抗凝固薬を中止できる患者は?

 心房細動に対するカテーテルアブレーション後に抗凝固薬を継続することの有効性および安全性を評価する臨床試験は実施されておらず、抗凝固薬の継続の意義は明らかになっていない。そこで、金岡 幸嗣朗氏(奈良県立医科大学/国立循環器病研究センター)らの研究グループは、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて、抗凝固薬の継続の有無別に血栓塞栓症と大出血のリスクを検討した。その結果、抗凝固薬の継続はCHADS2スコア2点未満の患者では大出血のリスクを上昇させ、CHADS2スコア3点以上の患者では血栓塞栓症リスクを低下させることが示された。本研究結果は、European Heart Journal誌オンライン版2023年12月20日号で報告された。アブレーション後の抗凝固薬継続の有効性はCHADS2スコアで異なる 本研究は、2014年4月~2021年3月に心房細動に対するカテーテルアブレーションが行われた患者のデータをNDBから抽出し、後ろ向きに解析した。心房細動の再発がない患者23万1,374例を対象として、カテーテルアブレーション後6ヵ月時点の抗凝固薬の継続の有無で2群に分類した。さらにCHADS2スコアで3群(1点以下、2点、3点以上)に分類し、抗凝固薬の継続の有無と血栓塞栓症、大出血の発生の関連を検討した。 心房細動に対するカテーテルアブレーション後の抗凝固薬継続の有無別に血栓塞栓症と大出血のリスクを検討した主な結果は以下のとおり。・対象患者23万1,374例のCHADS2スコアは1点以下69.7%、2点21.6%、3点以上8.7%であった。また、対象患者の71%がカテーテルアブレーション後6ヵ月時点で抗凝固薬を継続していた。・血栓塞栓症は2,451例(100人年当たり0.55)、大出血は2,367例(100人年当たり0.53)に発生した。・CHADS2スコア別に血栓塞栓症リスクを検討した結果、CHADS2スコア3点以上の患者では抗凝固薬の継続により有意にリスクが低下したが、CHADS2スコア1点以下、2点の患者では低下しなかった。CHADS2スコア別の調整ハザード比(aHR)および95%信頼区間(CI)は以下のとおり。 -CHADS2スコア1点以下:0.86、0.74~1.24 -CHADS2スコア2点:0.98、0.78~1.24 -CHADS2スコア3点以上:0.61、0.46~0.82・CHADS2スコア別に大出血リスクを検討した結果、CHADS2スコア1点以下、2点の患者では抗凝固薬の継続により有意にリスクが上昇したが、CHADS2スコア3点以上の患者では上昇しなかった。CHADS2スコア別のaHRおよび95%CIは以下のとおり。 -CHADS2スコア1点以下:1.51、1.27~1.80 -CHADS2スコア2点:1.35、1.05~1.72 -CHADS2スコア3点以上:1.05、0.71~1.56 著者らは、本研究結果について「心房細動に対するカテーテルアブレーション後に抗凝固薬を継続することのベネフィットおよびリスクは、CHADS2スコアによって異なることが示唆された。血栓塞栓症リスクの低い患者では、抗凝固薬の継続による大出血のリスクが血栓塞栓症予防のベネフィットを上回ると考えられた」とまとめた。

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米国の包括的プライマリケア+、手挙げ診療所は増収/JAMA

 包括的プライマリケアプラス(Comprehensive Primary Care Plus:CPC+)は、サービス利用率の低下および急性期入院医療費の減少と関連していたが、5年間の総支出額の減少とは関連していなかったことが、米国・MathematicaのPragya Singh氏らによる検討で示された。CPC+は米国の18地域で導入された最大の検証済みプライマリケア提供モデル。その健康アウトカムとの関連を明らかにすることは、将来の転換モデルを設計するうえで重要とされていた。JAMA誌オンライン版2023年12月15日号掲載の報告。CPC+介入5年間のアウトカムの変化をCPC+診療所と対照診療所で比較 研究グループは、差分の差分回帰モデルを用い、CPC+診療所(介入群)および対照診療所(対照群)の出来高払いメディケア受給者に関して、ベースライン(CPC+導入前年の2016年)とCPC+導入後各年(2017~21年の5年間)のアウトカムの変化を比較した。 介入群には、2017年にCPC+開始を申請し、最低限の医療提供およびその他の適格要件を満たした、track 1の1,373ヵ所(受給者154万9,585人)およびtrack 2の1,515ヵ所(受給者534万7,499人)の診療所が組み込まれた。2つのtrackには、他の支払機関よりも高額な報酬(さらにtrack 2のほうが高額)、出来高報酬の選択肢(track 2のみ)、医療提供要件(5つのCPC+機能[アクセスと継続性、ケアマネジメント、包括性と調整、患者・介護者とのエンゲージメント、計画的ケアと地域住民の健康])の設定(track 2は、さらに複雑なニーズを持つ患者を適切にサポートできるようtrack 1の基準に加えて高度な医療提供アプローチ提供の要件あり)、データのフィードバック、学習の機会提供、医療情報技術サポートといった介入が行われた。 対照群は、介入群と類似の出来高払いメディケア受給者、診療所およびサービスニーズの特性を持つよう傾向スコアのマッチングと再重み付けが行われ、CPC+導入地域の近接地域から、track 1に5,243ヵ所(受給者534万7,499人)、track 2に3,783ヵ所(受給者450万7,499人)の診療所が組み込まれた。 事前に規定された主要アウトカムは、年換算したメディケアパートAおよびBの受給者1人当たりの月額医療費(per beneficiary per month:PBPM)で、副次アウトカムは主な支出(入院、外来、医師など7項目)、利用指標(急性期入院、救急外来受診など8項目)、請求ベースでみた医療の質の指標(糖尿病に関する推奨サービス、乳がん検診、予定外の再入院など27項目)などであった。CPC+は、総支出額の変化や、医療の質の変化と関連せず CPC+の患者背景は、白人87%、黒人5%、ヒスパニック3%、その他の人種5%(アジア/その他の太平洋諸島およびアメリカ先住民を含む)であった。CPC+患者の85%は65歳以上で、58%が女性であった。 CPC+は、総支出額(PBPM)の目に見える変化とは関連していなかったが(track 1:1.1ドル[90%信頼区間[CI]:-4.3~6.6]、p=0.74/track 2:1.3ドル[-5~7.7]、p=0.73)、高額な報酬など支出の増加と関連していた(track 1:13ドル[7~18]、p<0.001/track 2:24ドル[18~31]、p<0.001)。 副次アウトカムでは、CPC+は導入1年目で救急外来受診の減少と関連し、2年目以降では急性期入院および急性期入院費の減少と関連していた。その関連性は、メディケア共同節減プログラム(Medicare Shared Savings Program)にも参加している診療所およびCPC+システムに依存はしていない診療所で、より好ましい関連性が認められた。また、CPC+は、請求に基づく医療の質の指標の有意な変化とは関連していなかった。 著者は、「CPC+と共同節減プログラムとの相乗効果は、コスト削減のインセンティブが専門分野全体で調整されていれば、転換モデルがより成功する可能性があることを示すものである」と述べ、「さらなるプライマリケアの転換モデルの適合および検証を行うとともに、モデルがよりよく機能するよう大きな視点で検討していく必要がある」とまとめている。

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統合失調症、ムスカリン受容体作動薬KarXTは有効か?/Lancet

 xanomeline-trospium(KarXT)は統合失調症の陽性症状および陰性症状の改善に有効であり、概して忍容性は良好であった。米国・Karuna TherapeuticsのInder Kaul氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「EMERGENT-2試験」の結果を報告した。著者は、「今回の結果は、KarXTがD2ドパミン受容体遮断のメカニズムを有する現在のすべての抗精神病薬とは異なる、ムスカリン受容体の活性化に基づく有効かつ忍容性の高い、新たなクラスの抗精神病薬となる可能性を裏付けるものであった」とまとめている。KarXTは、現在承認されているすべての抗精神病薬とは異なり、D2ドパミン受容体を遮断しないムスカリンM1およびM4受容体選択的アゴニストであり、末梢性ムスカリン受容体に関連する有害事象を改善する目的で、xanomelineと末梢性ムスカリン性受容体拮抗薬であるtrospium chlorideを組み合わせたものである。統合失調症患者には新しいメカニズムを有する新たな治療法が緊急に必要とされていた。Lancet誌オンライン版2023年12月14日号掲載の報告。KarXTの有効性および安全性をプラセボと比較検証 研究グループは米国の22施設において、精神病が最近悪化して入院を必要としており、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)スコア80以上、臨床全般印象度の重症度(CGI-S)スコア4以上の18~65歳の統合失調症患者を、KarXTまたはプラセボを投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 KarXT群では、最初の2日間はxanomeline 50mgとtrospium 20mgを、3~7日目にはxanomeline 100mgとtrospium 20mgを1日2回投与し、8日目からは用量変更可としてxanomeline 125mgおよびtrospium 30mgを1日2回に増量、あるいは忍容性に応じてxanomeline 100mgとtrospium 20mgに戻すことも可能とした。 主要エンドポイントは、5週時のPANSS合計スコアのベースラインからの変化量とし、修正ITT集団(無作為化された患者のうち、少なくとも1回試験薬を服用し、ベースライン以外でPANSS評価を少なくとも1回受けた患者)を有効性解析対象集団とした。5週間でKarXTは陽性症状と陰性症状を有意に軽減 2020年12月16日~2022年4月13日に407例がスクリーニングを受け、適格基準を満たした252例がKarXT群(126例)またはプラセボ群(126例)に無作為化された。ベースラインのPANSS合計スコアは、それぞれ98.3、97.9であった。 PANSS合計スコアのベースラインから5週時の変化量の平均値は、KarXT群-21.2ポイント(SE 1.7)、プラセボ群-11.6ポイント(1.6)であった(最小二乗平均群間差:-9.6、95%信頼区間[CI]:-13.9~-5.2、p<0.0001、Cohen’s d効果量=0.61)。 副次エンドポイントもすべて、プラセボ群よりKarXT群で有意に良好であった(p<0.05)。 主な有害事象(KarXT群vs.プラセボ群)は、便秘(27例[21%]vs.13例[10%])、消化不良(24例[19%]vs.10例[8%])、頭痛(17例[14%]vs.15例[12%])、悪心(24例[19%]vs.7例[6%])、嘔吐(18例[14%]vs.1例[1%])、高血圧(12例[10%]vs.1例[1%])、浮動性めまい(11例[9%]vs.4例[3%])、胃食道逆流症(8例[6%]vs.0[0%])、下痢(7例[6%]vs.4例[3%])であった。 治療中に発現した有害事象は、錐体外路症状(KarXT群0[0%]vs.プラセボ群0[0%])、アカシジア(1例[1%]vs.1例[1%])、体重増加(0[0%]vs.1例[1%])、傾眠(6例[5%]vs.5例[4%])であり、投与中止に至った有害事象(9例[7%]vs.7例[6%])と同様に、KarXT群とプラセボ群で同程度であった。 なお、同一のEMERGENT-3試験、52週間の非盲検試験であるEMERGENT-4およびEMERGENT-5試験を含む追加の試験により、統合失調症患者におけるKarXTの有効性および安全性に関する追加情報が提供される予定だという。

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原発性胆汁性胆管炎(PBC)に対するelafibranorの有用性と安全性(解説:上村直実氏)

 原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、自己免疫学的機序による肝内小葉間胆管の破壊を特徴とする慢性胆汁うっ滞性肝疾患であり、徐々に肝硬変から肝不全へ移行するとともに肝がんをも引き起こすことのある疾患で、わが国の難病に指定されている。最近の診断技術や治療の進歩により肝硬変まで進展する以前に胆管炎として診断されるケースが多くなり、2016年にそれまで使用されていた原発性胆汁性肝硬変から原発性胆汁性胆管炎と病名が変更されている。進行期の症状としては掻痒感や黄疸が特徴的であるが、その前には無症状であることが多く、日本における患者数は中年の女性を中心として約5~6万人に上ると推定され、稀な疾患というわけではない。 治療法としてはウルソデオキシコール酸(UDCA)が標準治療薬で、肝硬変が進み肝不全になった場合には肝移植が究極の救命法であったが、最近、病気の進行を抑制するために高脂血症の治療薬であるベサフィブラートとUDCA併用療法の有効性が報告され、厚生労働省研究班による『PBC診療ガイドライン2023』にも推奨されている。ただし、わが国でベサフィブラートは高脂血症にのみ保険適応があるため、高脂血症を合併しないPBCに対しては、臨床研究として投与することが適切となっている。 今回は、UDCAに不応性のPBCに対してペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)α、およびδのデュアルアゴニストであるelafibranorの有効性を検証した国際共同RCTの結果が、2023年10月のNEJM誌に報告された。プラセボと比較して投与52週目には、胆道系酵素やビリルビンなどの血清学的異常が有意に改善していた。長期投与により、さらなる改善が期待される結果である。ちなみにelafibranorはインシュリン抵抗性を改善して、糖尿病、高脂血症および非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)に対する有用性が示されて、今後の臨床応用が期待されている薬剤である。 このようにUDCAのみでなく胆管炎から肝硬変への進展を抑制する薬剤が次々と開発され、PBCの予後が大幅に改善されることが切望される。最後に、ベサフィブラートやelafibranorは米国のFDAで承認されており、いまだにPBCに対して保険適用となっていない日本においても、迅速な承認が期待される。

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2024年が始まった!【Dr. 中島の 新・徒然草】(510)

五百十の段 2024年が始まった!2024年になりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。私にとって今年は定年退職の年。3月末の退職に備えて病院の自室を片付け始めたり、年金事務所に行ったり。私くらいの年齢だと、厚生年金保険の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた年代に当たります。そのため、受給開始年齢を段階的に引き上げるために「特別支給の老齢厚生年金」という制度が設けられました。われわれの世代はモロにその制度の対象になるので、年金事務所に行って受給手続きをしなくてはなりません。恥ずかしながら、緑色の大きな封筒が郵送されてきて初めて知った次第です。読者の皆さまも、手続きを忘れないようお気を付けください。さて、65歳が近づくと、そろそろ週5日の勤務が体力的にきつくなってきました。外来日は休むわけにはいきませんが、残りの日に合わせて年休消化を行っています。休んだらその分、体力的にも時間的にも余裕ができるのが嬉しいところです。定年後は、非常勤で週2日程度の外来をやることにしました。長いこと今の病院に勤めてきたせいか、脳神経外科と総合診療科の外来患者さんを合わせると500人以上になります。私の外来を卒業できる人には卒業してもらっていますが、中には「最後まで見届けてくれ」という人も少なくありません。外来診療をする体力が残っているかぎり、お付き合いをさせていただこうと思います。週2回程度の外来すらできなくなったときには、私も本当の意味での引退を覚悟しなくてはなりませんね。さて、現役時代を振り返ってみると、忙し過ぎていろいろなことが把握できないままでした。仕事だけでなく、私生活でもです。役所をはじめ、いろいろなところから送られてくる郵便物を読んで内容を把握したり、書類に記入して返送したり。こういったことの1つ1つは大したことがなくても、時間がないとか数が多いとかで、どうしても後回しにしてしまいがちです。なので、今後は何事も余裕を持って対処したいと思っています。また、これまでは医学も英語も勉強する時間を取ることができませんでした。いろいろな病態を理解したり、薬のメカニズムを把握したり。あるいは、もう少し楽に英語を話せるような練習をすることなど。そういうことにもっと時間を使えたら、と思います。「退職して初めて、腰を落ち着けて勉強することができるようになった」という先輩医師の話もチラホラ耳にしますが、果たして自分の場合はどうなるやら。あと、自分の健康について、後回しもいいところでした。日頃から体を動かさなくてはと思いつつ、なかなかできていなかったのが現実です。患者さんたちに「運動しなさい」「歩きなさい」と言ってきた以上、まずは自分が実行するべきでしょう。このケアネットでも、年老いていく医師の現実をリアルタイムでお伝えできたら、と思います。最後に1句年明けは 定年前の 準備かな

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本番に向けて英語をブラッシュアップしよう【学会発表で伝わる!英語スライド&プレゼン術】第30回(最終回)

本番に向けて英語をブラッシュアップしよう1)オンライン英会話を活用する2)医療英会話に特化した「めどはぶ」を活用する3)自分自身や日本のことを説明できるように準備するこれまで、本連載ではAIやテクノロジーを駆使した国際学会発表の準備方法を紹介してきましたが、AIの補完として人の手を取り入れることで、より一層の質向上が期待できます。「英語力を向上させたい」と考えた際、多くの方が英会話スクールに通うことをイメージするかと思います。しかし、当直や急患が多い医療従事者の生活スタイルを考えると、オンライン英会話のほうが使いやすいでしょう。オンラインならではの時間の柔軟性や場所の自由度は、多忙を極める医師たちにとって非常に魅力的です。オンライン英会話サービスは数多く存在しますが、私自身が留学準備をした際には「DMM英会話」を利用しました。とくにこだわりがなければ、比較的月会費が安い大手の会社を選ぶのがよいと思います。費用も、毎日20~30分のレッスンを受講して月に5,000~20,000円程度と、従来の英会話スクールと比べると格段にリーズナブルです。学会発表までの期間に余裕がある方は、こうしたオンライン英会話で基本スキルを磨くのがよいでしょう。しかし、準備期間が短い場合は学会発表に特化したレッスンを受けることをお勧めします。具体的には以下のようなことができます。予約時に学会発表の練習をしたい旨を記載し、可能であれば医療知識がある講師を選ぶ読み原稿の英語をチャットに貼って、授業中に添削してもらう口頭で発表練習を行い、発音やイントネーションの間違いを指摘してもらう質疑応答の練習をするオンライン英会話の欠点としては、話す相手が医療者や専門家ではないことがほとんどであり、専門用語がうまく理解してもらえない点が挙げられます。とくに質疑応答の練習は、専門家と非専門家では質がまったく異なります。「医師を相手にプレゼンの練習をしたい」という方には、医療英会話や国際学会プレゼンに特化した「めどはぶ」のプログラムがお勧めです。私も関わっているのでやや手前みそにはなりますが、「めどはぶ」は北米で臨床医として働いている医師と英会話スクールやネイティブ講師が協力して2021年にスタートしたもので、3ヵ月コースの医療英語学習プログラムや、需要に応じた学会発表サポートを提供しています。国際学会発表経験が豊富な医師から指導を受けたい方は、ぜひ活用してください。発表以外にも、国際学会に行くに当たって準備をしておいたほうがよいことがあります。それは、自己紹介や自分の置かれている環境を説明できるようにしておくことです。国際学会発表の場では、ポスター発表で聴衆とカジュアルな会話をしたり、懇親会で参加者と話をしたりする場面が多々あります。そのような状況においては、「自分は誰なのか」「どのような病院で働いているのか」「自分の専門分野において日本はどのような立ち位置か」といった会話が繰り広げられますが、意外とこのような話を英語で説明するのは難しいものです。そのため、以下のような内容を英語でスラスラと話せるように準備しておくと会話が弾みます。自分自身の経歴(臨床歴や研究経験、PhDなど)自分の出身地や働いている地域の説明(有名な観光地や食べ物など)自分の所属する施設(規模、患者数や手術件数など)自分の専門分野(日本は世界と比べてどう評価されているのかなど)このような会話をしていると、「日本では当たり前に行っている」ことが、「世界的に見れば実はユニークな取り組みだった」と気付くことも多々あります。このように世界中から集まる専門家とディスカッションをできることは、国際学会の魅力であり、刺激的な経験になることは間違いないでしょう。講師紹介

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信頼獲得には、3回目の訪問までに3点を確認!【実践!産業医のしごと】

産業医として初めて企業を訪問した際に何をすべきか、迷うことがあるかもしれません。ここでは、初回訪問で押さえておきたいポイントをまとめました。これらのポイントは必ずしも初回訪問に限定されるものではなく、2~3回目までの訪問で確認できるよう、留意しておくとよいでしょう。訪問前の準備訪問前の準備は、産業医として契約した企業の客観的な情報を頭に入れておくことです。たとえば、企業のホームページにはさまざまな情報が掲載されています。まずは、創業の歴史や業種、従業員数、製品、工場や支店の拠点情報を把握してください。IR情報が公開されていれば、業績の概要も理解しておくことが重要です。そして、事前準備として一番重要なことは、トップのメッセージを読むことです。サイトには、企業のトップが何を重視し大切にしているかについての内容が記載されています。また、従業員の健康を重視している企業であれば、健康管理についてどのように取り組んでいるかの情報を得ることができます。こうした関連する情報に興味を持ち、訪問前の準備として相手の企業への関心を高めることは、産業医活動を始める事前準備として必須だと考えてください。訪問時の留意点実際に、産業医として初めて企業を訪問する際には、以下の3点に留意しましょう。1)コミュニケーションを構築する初回の訪問は、衛生管理者や人事関係者との信頼関係を築く絶好の機会です。産業保健活動は、産業医だけでは行えず、企業内の協力者が不可欠です。初回のタイミングで会う人たちが、企業内の協力者になります。医師は企業との接点が少なく、気を使われがちな存在です。それにあぐらをかくことのないよう、オープンで誠実なコミュニケーションを心掛け、相談しやすい雰囲気をつくりましょう。2)職場を観察する機会を持つ産業医の訪問で起こりがちなのは、訪問時に応接室に通され、お客さまとして扱われ、世間話をして終わることです。産業保健の主役は企業と働く従業員です。従業員がどのような職場環境で働いているかを観察せずには、産業医の活動を始められません。職場を案内してもらい、職場の雰囲気、従業員の働く環境、作業内容、コミュニケーションの様子など、職場を十分に観察しましょう。3)健康管理の現状確認をする遅くとも3回目の訪問までには、現在の健康管理(衛生管理)の状況を確認しましょう。新しく産業医を選任した企業では、労働安全衛生法に基づく健康管理が十分でないこともあります。とくに以下の表に示す項目については、労働者が健康リスクに直結する可能性があるため早めにヒアリングを行い、健康課題についての現状と方向性を企業と共有することが重要です。画像を拡大する産業医活動は、企業のニーズを理解することから始める産業医として初めに何から手を付けたらよいのか、悩むことがあると思います。とくにゼロから産業医を選任した企業では、各種の対策がまったく手付かずのことが多くあります。しかし、いきなり上から目線で「健康管理はこうあるべき」と主張すると、企業の困惑や反発を招く可能性があります。産業医は、健康の観点から企業と従業員を支援する役割を担っています。まずは、企業が直面している問題やニーズを丁寧にヒアリングし、それらを解決するためのアプローチから始めることが推奨されます。初回の訪問時に確認しておきたい事項について記載しました。企業への理解を深め、一歩一歩ですが丁寧なコミュニケーションをもとに誠実に仕事を進めていくことで、企業からの信頼の厚い産業医になれるでしょう。

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第78回 「年賀状」の宛先で「院長先生」はNG

めっきり減った年賀状枚数Unsplashより使用年賀状じまいを始めている人が増えており、全国的に年賀状を出す枚数が減ってきました。14億枚くらいで、2003年ピーク時の44億枚の3分の1にまで落ち込んでいます。これを読んでいる読者の皆さんの中にも、年賀状文化から卒業した方がおられるかもしれません。年賀状を出す枚数は、だいたい1人当たり9.4枚とされています。医師は医局などの縦・横のつながりもあるためか、枚数はもう少し多いと思います。コミュ障の私ですら、30枚です。私は、毎年誰に送るかを考えるのが面倒な性格なので、これまで送っていた人は全員住所録に登録して、基本的には送ることを前提にしています。前年年賀状をもらっていない人や、2年以上遅めに届いた人(届いたのを見てから送り返してきた人)については、そっと送るのをやめるようにしています。ほとんどの人がSNSやメールなどでつながっているので、ごく親しい人だけを残して、ゆっくりと年賀状じまいができればいいなあと思っています。ただ、前年の1月中旬くらいに届いた人で、「今年はちょっと控えておこうか」と思ったら、予想外に元旦に向こうから年賀状が届いてしまい…、という駆け引きを10年くらい続けている人もいます。まあ、それはそれで面白いかなあと思っています(笑)。「様」vs.「先生」宛先の敬称を「様」にするか「先生」にするか迷ったことはないでしょうか。目上の医師なら、尊敬の意味を込めて「先生」を迷わず選べると思いますが、自分と学年が近いか下の医師に対しても「先生」でいいのかなあと、結構悩んでしまいます。先日友人に相談されたのが以下のような事例でした。「(1)クリニックの院長は自分の研修医時代の恩師で、(2)その妻は自分の友人、なんです。この場合、(1)は『先生』で(2)は『様』になるのでしょうか。」つまり、田中クリニック 田中 太郎 先生 田中 花子 様ということになるかどうか。明解が思いつかなかったので、知り合いの言語学の先生に聞いたところ、「それでよいです、正解はないです。子供が宛先にいる場合、『くん』や『ちゃん』を連名に入れることも社会通念上ありえます」とのこと。なるほど。あと追加でアドバイスいただいたのが、「よくある間違いが『田中 太郎 院長先生』みたいな書き方です」。院長先生は校長先生と同じように、口語でよく使われる呼び方ですが、校長は役職、先生は敬称に当たります。そのため、『院長 田中 太郎 先生』のような書き方が正しいです」ということでした。患者からの年賀状患者さんから年賀状をいただくことって多いですよね。私も毎年20~30枚くらい病院に届きます。クリニックの場合、宣伝もかねて送り返すことはしてもよさそうに思いますが、勤務医である私はお返しすることはないです。年賀状のやり取りが始まってしまうと、いろいろと気を遣うかもしれませんし。

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術後せん妄予防に対するスボレキサント+ラメルテオンの有効性

 スボレキサントとラメルテオンは、術後せん妄の予防に有用であると報告されている。これまでの研究では、せん妄誘発リスクと関連するベンゾジアゼピン系睡眠薬との比較が報告されているが、睡眠薬未使用患者との比較は、これまで報告されていなかった。静岡がんセンターの池内 晶哉氏らは、がん患者において、術前にスボレキサントとラメルテオンの併用投与を行った場合と睡眠薬未使用の場合を比較し、術後せん妄の発生率を評価した。Journal of Pharmaceutical Health Care and Sciences誌2023年12月1日号の報告。 対象は、2017年4月~2020年6月に静岡がんセンターの肝胆膵外科で手術を受けたがん患者110例。手術の7日前からスボレキサントとラメルテオンの併用を行った患者50例、スボレキサント、ラメルテオンを含む睡眠薬未使用患者60例を分析した。術後7日間、レトロスペクティブに観察し、術後せん妄の累積発生率を比較した。 主な結果は以下のとおり。・術後7日間における術後せん妄の累積発生率は、スボレキサントとラメルテオン併用患者で7例(14.0%)、睡眠薬未使用患者で22例(36.7%)であり、両群間で有意な差が認められた(オッズ比:0.28、95%信頼区間:0.11~0.73、p=0.009)。 結果を踏まえ、著者らは「がん患者に対する術前のスボレキサントとラメルテオンの予防的併用投与は、術後せん妄の発生率を低下させるために、有効であることを示唆している」としている。

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高校生のがん患者に必要な教育支援とは? 1月13日セミナー開催

 神奈川県立こども医療センターが、同センターの小児がん相談支援室主催にて、高校生のがん患者の教育支援に関するセミナーを開催する。 「長期治療が必要な高校生の教育保障を考える2023~好事例から考える、それぞれの支援者ができること~」と題した本セミナーでは、高校生の教育保障をテーマに、医師、神奈川県教育委員会、高等学校教諭、高等学校学校長がそれぞれの立場から、事例や具体的な取り組みなどについて説明する。 現場医師の立場として、同センター血液・腫瘍科の慶野 大氏から「治療と高校生の学習支援」について語られるほか、教育現場からは入院時等学習サポート制度について、「医療・学校・保護者・本人の合意形成の中から動き出した支援」の具体例が紹介される。 セミナーの概要と参加申し込み方法は下記のとおり。■日時:2024年1月13日(土)14:00~16:00■場所:神奈川県立こども医療センター 本館2階講堂およびWeb開催■参加申し込み方法:下記URLより受付フォームにアクセスし、必要事項を入力し送信(2024年1月10日まで)https://onl.tw/JAGEAwF

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病室ベッド横に椅子、医師の着席増え患者満足度アップ/BMJ

 米国・University of Texas Southwestern Medical SchoolのRuchita Iyer氏らによる無作為化二重盲検試験の結果、病室内の椅子の配置を工夫することで、ベッドサイドでの診察中に医師が着席する可能性が有意に高くなり、患者の満足度も高くなることが明らかになった。著者は、「椅子の配置は、簡単でコストがかからずローテクな介入であり、医師に不利益を与えることはない。医療現場でのケアの提供を改善するため、今後は行動的介入戦略を活用すべきである」とまとめている。BMJ誌2023年12月15日クリスマス特集号「MARGINAL GAINS」掲載の報告。椅子をベッドサイドに置くvs.キャビネット内に置いたまま、無作為化試験 研究グループは2022年4月~2023年2月に、米国テキサス州ダラスの郡立病院パークランド記念病院において、病院総合診察医51人による入院患者の診療について観察した。参加患者はオリエンテーションの4つの質問に正しく回答できた者とし、適格者125人の診療を介入群と対照群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 介入群(60人)では、病室内の椅子を患者のベッドサイド(ベッドから0.9m以内でベッドに向かって)に配置し、対照群(65人)では通常の位置(病室のキャビネット内)とした。 盲検化するため、本研究の目的を、病院総合診察医には診療のばらつきを観察するため、研究チームの医学生には入院患者の内科診療の経験を広げる機会を提供するため、患者には医師の診療パターンと患者の満足度を調査するためと説明し、椅子については言及しなかった。 主要アウトカムは診療中の医師の着席の有無、副次アウトカムはTAISCH(Tool to Assess Inpatient Satisfaction with Care from Hospitalists)質問票およびHCAHPS(Hospital Consumer Assessment of Healthcare Providers and Systems)質問票で評価した患者の満足度とし、探索的アウトカムとして医師の実際の在室時間、在室時間に関する医師と患者の認識を事前に規定した。介入群で医師が着席する確率は20倍、患者の満足度も向上 診療中に着席した医師は、介入群が60人中38人に対し、対照群は65人中5人であり、オッズ比(OR)は20.7(95%信頼区間[CI]:7.2~59.4、p<0.001)、介入群と対照群の絶対リスク差は0.55(95%CI:0.42~0.69)であった。全体として、医師が着席するために1.8脚の椅子を配置する必要があった。 平均TAISCHスコアは、介入群88.0%(標準偏差8.9%)、対照群84.1%(9.1%)であり、介入によりTAISCHスコアは3.9%改善した(効果推定値:3.9、95%CI:0.9~7.0、p=0.01)。また、HCAHPSの医師スコアが満点であった患者の割合は、介入群97%、対照群85%で、介入により満点のオッズは5.1%(95%CI:1.06~24.9、p=0.04)増加した。 介入は、実際の在室時間(介入群10.6分vs.対照群10.6分)、在室時間に関する医師(9.4分vs.9.8分)および患者(13.1分vs.13.5分)の認識とは関連していなかった。

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ドキシサイクリンPEP、シスジェンダー女性では予防効果なし/NEJM

 シスジェンダー女性において、ドキシサイクリンの曝露後予防(PEP)は標準治療と比較し性感染症(STI)の発生率を有意に低下しなかった。また、毛髪試料の分析の結果、ドキシサイクリンPEPの服用率は低かったという。米国・ミネソタ大学のJenell Stewart氏らdPEP Kenya Study Teamが無作為化非盲検試験の結果を報告した。ドキシサイクリンPEPは、シスジェンダー男性およびトランスジェンダー女性のSTIを予防することが示されているが、シスジェンダー女性を対象とした試験のデータは不足していた。著者は、「生物医学的な予防効果を得るためには、予防薬服用アドヒアランスに対する理解を深めてもらうこと、および支援を行う必要がある」とまとめている。NEJM誌2023年12月21日号掲載の報告。ケニア人女性449例をドキシサイクリンPEP群と標準治療群に無作為化し1年追跡 研究グループは2020年2月5日~2022年10月30日に、ケニアにおいてヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染に対する曝露前予防投与を受けている18~30歳のケニア人女性449例を、ドキシサイクリンPEP群(224例)または標準治療群(225例)に1対1の割合で無作為に割り付け、1年間追跡した。 ドキシサイクリンPEP群では、コンドームを使用しない性交渉後72時間以内にドキシサイクリン塩酸塩200mgを服用することとし、3ヵ月ごとにSTI検査を受けてもらった。標準治療群では、3ヵ月ごとのSTI検査と治療のみとした。 主要エンドポイントは、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)のいずれかの感染症発生とした。また、ドキシサイクリン使用の客観的評価のため、ドキシサイクリンPEP群では3ヵ月ごとに参加者の22%を無作為に抽出し毛髪を採取した。STI発生頻度に有意差なし、総じてドキシサイクリン服用率が低い 全体で計109件のSTIが発生した。内訳はドキシサイクリンPEP群50件(100人年当たり25.1件)、標準治療群59件(100人年当たり29.0件)であり、発生頻度に有意差は認められなかった(相対リスク:0.88、95%信頼区間[CI]:0.60~1.29、p=0.51)。 また、109件のうちクラミジア感染が85件(78.0%)を占め、内訳はドキシサイクリンPEP群35件、標準治療群50件(相対リスク0.73、95%CI:0.47~1.13)であった。そのほか、109件のうち淋菌感染31件、梅毒トレポネーマ感染1件、クラミジアと淋菌の重複感染が8件であった。 ドキシサイクリンに関連する重篤な有害事象ならびにHIV感染症の発生は認められなかった。 ドキシサイクリンPEP群で無作為に抽出された50例から得られた毛髪計200検体のうち、ドキシサイクリンが検出されたのは58検体(29.0%)であった。また、淋菌陽性者から分離された淋菌株は、すべてドキシサイクリンに対して耐性があった。

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日本の片頭痛治療におけるフレマネズマブのリアルワールドエビデンス

 抗CGRP抗体であるフレマネズマブのみに焦点を当てたアジアにおけるリアルワールド研究は、これまでほとんど行われていなかった。慶應義塾大学の大谷 星也氏らは、日本のリアルワールドにおけるフレマネズマブの有効性および安全性を評価するため、本研究を実施した。その結果から、日本人の片頭痛予防に対するフレマネズマブの有効性および安全性が確認され、フレマネズマブ治療により約半数の患者において片頭痛関連症状の改善が認められたことを報告した。BMC Neurology誌2023年11月14日号の報告。 2021年12月~2022年8月に慶應義塾大学病院でフレマネズマブを4回投与した片頭痛患者を対象に、単施設観察的レトロスペクティブ研究を実施した。1ヵ月当たりの片頭痛日数、治療反応率、片頭痛関連症状、注射部位の反応、有害事象の変化を評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は29例、女性の割合は79.3%であった。・1ヵ月当たりの片頭痛日数は、ベースライン時と比較し、4ヵ月時点で5.9日減少した。・50%治療反応率は、4ヵ月時点で55.2%であった。・フレマネズマブ治療により光線過敏症、音過敏症、悪心/嘔吐の重症度改善が認められた患者は、それぞれ57.9%、47.8%、65.0%であった。・最も一般的な有害事象は、注射部位反応であった(55.2%)。

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テレワークでの育児ストレス、出社より高い

 新型コロナウイルス感染症の影響で定着した在宅勤務(テレワーク)。子供を持つ親がテレワークをした場合、健康状態や精神的健康状態はどう変化するのか。米国・シカゴのアン&ロバート H. ルリー小児病院のJohn James Parker氏らは、パンデミック中の2022年5~7月にイリノイ州シカゴの全77地区でパネル調査を行った。参加資格は、18歳以上で1人以上の子供を持つ親であることだった。本研究の結果はJAMA Network Open誌2023年11月3日号にResearch Letterとして掲載された。 主な結果は以下のとおり。・1,060例の回答者のうち、825例がその時点で雇用されていた。599例が女性、548例がテレワークを実施していた。・テレワークをしている親を人種で見ると、白人(244例)が黒人(99例)またはヒスパニック系(145例)よりも多かった。・テレワークをしている親は、現場で働く親と比較して、育児ストレスのオッズが増加した(調整オッズ比[aOR]:1.88、95%信頼区間[CI]:1.20~2.93)が、健康状態(aOR:1.23、95%CI:0.78~1.93)や精神的健康の改善(aOR:1.14、95%CI:0.64~2.04)には差がなかった。・テレワークをする父親は、現場で働く父親よりも育児ストレスが高いと報告した(aOR:2.33、95%CI:1.03~5.35)が、母親には関連はなかった(aOR:1.53、95%CI:0.93~2.49)。 研究者らは、COVID-19パンデミック時にテレワークを行った親は、現場で働いた親と比較して育児ストレスが高いと報告しており、親、とくに父親にその傾向が顕著だった。これは育児ストレスにテレワークによるストレスが加わったり、よりストレスの多い育児状況にある親がテレワークを優先的に選択したりした可能性を示唆している。テレワークを行う親を支援する戦略、たとえば勤務スケジュールの自律性を促進することや従業員支援プログラムなどは、親と子供にとって重要な健康上の意味を持つ可能性がある、とした。

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肺がん遺伝子検査、マルチ検査の普及に課題(REVEAL)

 『肺診療ガイドライン−悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む−2023年版』では、進行・再発非小細胞肺がん(NSCLC)の場合、8種類のドライバー遺伝子(EGFR、ALK、ROS1、BRAF、MET、KRAS、HER2)について、遺伝子検査を行うことが推奨されている。しかし、複数遺伝子に対するコンパニオン診断機能を有するマルチ遺伝子検査は、測定のための検体が多く必要であるため患者に負担がかかる、検査結果の返却に時間を要するといった課題が指摘されている。そのため、十分に普及していない可能性が考えられている。そこで、高濱 隆幸氏(近畿大学医学部)、阪本 智宏氏(鳥取大学医学部附属病院)、松原 太一氏(北九州市立医療センター)らを中心とした研究グループは、全国29施設のNSCLC患者1,479例を対象に、遺伝子検査の実施状況を調査するREVEAL(WJOG15421L)試験を実施した。その結果、86.1%の患者が遺伝子検査を受けていたが、マルチ遺伝子検査を受けた患者は47.7%にとどまっていたことが明らかになった。本研究結果は、阪本氏らによってJAMA Network Open誌12月15日号で報告された。 研究グループは、西日本がん研究機構(WJOG)登録の全国29施設で進行・再発NSCLCと診断された1,500例を登録し(登録期間:2020年7月1日〜2021年6月30日)、1,479例を後ろ向きに調査した。 主な結果は以下のとおり。・遺伝子検査が実施された患者の割合は86.1%(1,273例)であり、内訳は以下のとおりであった。 -単一遺伝子検査:57.3%(847例) -マルチ遺伝子検査:47.7%(705例) -単一およびマルチ遺伝子検査:18.9%(279例)・ドライバー遺伝子別の検査実施率は以下のとおりであった。 -EGFR:84.2%(1,245例) -ALK:78.8%(1,165例) -ROS1:72.8%(1,077例) -BRAF:54.3%(803例) -MET:54.4%(805例)・ドライバー遺伝子の検査陽性率は以下のとおりであった。 -EGFR:腺がん34.0%、扁平上皮がん3.7% -ALK:腺がん3.2%、扁平上皮がん1.6% -ROS1:腺がん2.1%、扁平上皮がん0.3% -BRAF:腺がん1.2%、扁平上皮がん0.8% -MET:腺がん1.6%、扁平上皮がん2.1%・追跡期間中央値10.3ヵ月時点において、ドライバー遺伝子検査結果および分子標的治療の有無別に全生存期間(OS)を検討した結果、OS中央値は以下のとおりであった。 -ドライバー遺伝子陽性+分子標的治療あり:24.3ヵ月 -ドライバー遺伝子陽性+分子標的治療なし:15.2ヵ月 -ドライバー遺伝子陰性または遺伝子検査なし:11.0ヵ月・多変量解析において、マルチ遺伝子検査が実施されないことの独立した予測因子として、PS 3または4(オッズ比:0.47、95%信頼区間:0.32~0.70、p<0.001)、合併症あり(同:0.54、0.44~0.67、p<0.001)、扁平上皮がん(同:0.70、0.56~0.87、p<0.001)の3つが同定された。 本研究結果について、研究グループは「本邦において、マルチ遺伝子検査が十分に実施されていない可能性が示された。希少なドライバー遺伝子変異の見逃しを避けるため、扁平上皮がんやPS不良の患者であっても、マルチ遺伝子検査の実施を検討すべきである」とまとめた。

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