サイト内検索|page:326

検索結果 合計:36520件 表示位置:6501 - 6520

6501.

マサチューセッツ総合病院に勤務開始、NEJMのEditorと交流【臨床留学通信 from Boston】第1回

マサチューセッツ総合病院に勤務開始、NEJMのEditorと交流米国の病院では7月から新年度です。7月1日が月曜日なのもあって、ボストン郊外に引っ越しして3日ほどで生活をセットアップし、新天地のハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院(MGH)で早速業務開始です。とはいっても、1日半ほどはオリエンテーションでした。ボストンのほうが住民に白人が多い印象ですが、とくに今までの施設で見たことがなかったAgainst Racism(人種差別反対)のコーナーがあり、ハーバードらしさを感じます。また、NEJMに毎週掲載される症例報告はMGHから提供されるのですが、そのEditorの先生に「何か面白い症例があったら教えてね」とオリエンテーションで説明がありました。興味深い症例があったら提示したいと思います。ただし、循環器は基本的に診断に難しい症例が少なく、難解なリウマチ系などの疾患がしばしばみられます。「Shout out Rheumatology(リウマチ学に敬意を表してください)」とも言われたので、リウマチ系の症例がよく提供されているのでしょう。NEJMの症例報告は、たとえばこちらから閲覧できます。Ganapathi L, et al. Case 20-2024: A 73-Year-Old Man with Recurrent Fever and Liver Lesions. N Engl J Med. 2024;390:2309-2319.鑑別診断から入り、最終的に病理がある症例が多く取り上げられるため、内科医の頭の体操にもってこいです。私は医学部6年生の時に内科に進むと決めてから、部活のテニスの合間など、英語の勉強も兼ねて読み始め、10年分ほどをその1年で読んでいました。また『Pocket Medicine』という本も内科医向けにMGHから出ていますが、文字どおりポケットにスッと入って、鑑別診断から最新治療まで、文献も含めてコンパクトにまとまっていておすすめです。私は研修医時代に、これで症例ごとに勉強していました。MGHでの具体的な業務内容は、次回以降に述べたいと思います。ColumnMGHの施設を紹介します。画像を拡大する現在のMGHの正面です。画像を拡大する1818年からあるMGHブルフィンチ棟です。画像を拡大する提供してもらった白衣です。白衣を着ると身が引き締まる思いですが、米国では約半数のスタッフは白衣をほとんど着ることはありません。スクラブのみ、または私服で仕事をしていることが多いです。しかし、なんとなくこの白衣は格好良いせいか、病院内で着ている人が多い印象です。今回から本連載のアイコンとなった金色のドームは、ボストンを象徴する建造物のマサチューセッツ州会議事堂です。MGHのブルフィンチ棟と同じ建築家のチャールズ・ブルフィンチによる設計で1798年に建設されました。

6502.

7月17日 理学療法の日【今日は何の日?】

【7月17日 理学療法の日】〔由来〕昭和40年に理学療法士について定めた法律「理学療法士及び作業療法士法」が公布され、翌41年に第1回理学療法士国家試験が実施された。この試験に合格した110名の理学療法士によって結成されたのが「日本理学療法士協会」。この日を記念して同協会が制定し、この日の前後に全国で理学療法に関係する医療、介護のイベントが開催されている。関連コンテンツ任天堂リングフィットと理学療法の組み合わせが有効?【Dr.倉原の“おどろき”医学論文】過度の運動はいうほど有害ではなくむしろ寿命を延ばしうる【バイオの火曜日】転倒リスクが低減する運動は週何分?歩行を守るために気付いてほしい脚の異常/日本フットケア・足病医学会肩関節脱臼のリハビリテーション、理学療法は有効か?/BMJ

6503.

名古屋大学医学部 化学療法学(附属病院化学療法部)【大学医局紹介~がん診療編】

安藤 雄一 氏(教授)満間 綾子 氏(病院講師)近藤 千晶 氏(病院助教)宮井 雄基 氏(医員)講座の基本情報医局独自の取り組み・特徴化学療法部では、腫瘍内科の診療とともに、外来化学療法室の運用、がんゲノム医療外来、診療科横断的なカンファレンスやコンサルテーション対応、化学療法レジメンの整備、緩和ケアチームの活動、がん診療連携拠点病院の事業、そしてがん薬物療法の実践的な教育などに取り組んでいます。いずれも日頃からの各診療科や部門との連携によって、初めて実践できるものです。専用病床では、新規抗がん薬の治験や稀ながんや重篤な合併症をもつ患者さんの診療を行っています。名大病院は「臨床研究中核病院」、「がんゲノム医療中核拠点病院」に選定されており、それらの関連事業においても化学療法部は重要な役割を果たしています。昨年度から開始されている文部科学省「次世代のがんプロフェッショナル養成プラン(がんプロ)」では、がん医療を担う大学院生や専門医療人材の養成に取り組んでいます。毎朝行われる多職種カンファレンス同医局でのがん診療/研究のやりがい、魅力外来化学療法室では、小児から高齢者まで外来で抗がん薬の点滴投与を受けるすべての患者さんに対応しています。殺細胞性抗がん薬はもちろん、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など臓器横断的に使用されるレジメンが増える中で、多彩な副作用をうまくコントロールすることが求められています。担当医だけでなく、今までがん医療と関連が少なかった分野の専門医や多職種との連携、地域との連携など院内外でのチーム医療が重要です。腫瘍内科学のオンザジョブトレーニングを通して科学的で適切ながん薬物療法を実践できる環境です。外来化学療法室での処置医局の雰囲気、魅力医局では大学院生から医員、教員まで、多様なバックグラウンドをお互いに尊重しながらそれぞれの特色を活かした診療や学術活動を行っています。今後のキャリアパスを考える上で、ロールモデルを見つけることもできますし、迷いが生じた時にはさまざまな経験に基づいたアドバイスを得ることが可能です。これまでの経歴大学卒業後、市中病院で初期研修を行いました。研修終了後の進路として腫瘍に加え、アレルギー、感染など多様な分野が含まれるという理由で呼吸器内科を選択しました。各分野の疾患の診療を通じて難治である進行肺がんの化学療法、中でも分子標的薬に興味を持ち、がん薬物療法専門医を取得するとともに、大学院で学びました。このような経歴もあって、現在はがん種横断的にがんゲノム医療に関わり、化学療法部での仕事・診療とともに名大病院のがん遺伝子パネル検査とエキスパートパネルの運営を行っています。今後のキャリアプランがんの性質を知り、がん患者さんの化学薬物療法の選択肢を広げるためのがんゲノム医療は、2019年の保険診療開始から常に状況が変化しています。がんゲノム医療を多くの患者さんに届け、また名大病院内や地域のがんゲノム医療の普及のための活動、研究を続けたいと考えています。これまでの経歴初期研修を終えたのち、大学院入学とともに入局しました。基礎と臨床の両方を学ぶため、横断的ながん薬物療法の臨床経験を積みながらがん薬物療法専門医を取得する一方で、腫瘍病理学でがんの間質に多く存在するがん関連線維芽細胞に注目し、これらが免疫治療の効果にどう影響するかについての基礎研究にも励んでいます。現在学んでいること治療法の最新動向の把握や有害事象への対応法だけでなく、腫瘍学以外の分野も含めて幅広い知識を日頃から学んでいます。最近は、定量的解析手法の習得に注力しています。具体的には、大規模オミクスデータを解析する手法や高度な統計手法を学び、実際に臨床データや実験データの高精度な解析に応用しています。今後のキャリアプラン海外留学など異なる文化圏での仕事や、他分野の研究者と接することで、視野を広げたいと考えています。この過程で目標が変わる可能性もありますが、現時点では、まだ治療法が少ない、あるいは治療薬開発への機運が乏しい、稀な悪性腫瘍の治療実績の改善に貢献できる医師・医学研究者となることを目指しています。名古屋大学医学部 化学療法学(附属病院化学療法部)住所〒466-8560 愛知県名古屋市昭和区鶴舞町65問い合わせ先chemo-sec@med.nagoya-u.ac.jp医局ホームページ名古屋大学医学部附属病院化学療法部専門医取得実績のある学会日本臨床腫瘍学会日本緩和医療学会日本人類遺伝学会日本内科学会 など研修プログラムの特徴(1)臓器横断的な臨床腫瘍学のトレーニングが可能(2)がん薬物療法学、緩和ケア、ゲノム医療、トランスレーショナルリサーチなど多様な領域の研修・研究が可能名古屋大学医学部附属病院化学療法部【動画】

6504.

言ってませんか?夜中の慢性的な症状の訴えに「なんでこんな時間にわざわざ?」【もったいない患者対応】第10回

言ってませんか?夜中の慢性的な症状の訴えに「なんでこんな時間にわざわざ?」登場人物<今回の症例>50歳男性腰痛を主訴に、午前3時に救急外来を受診歩行は可能。痛みは1ヵ月前から持続している<さっそく、痛みの程度を聞き取ります>腰が痛いんです。いつからですか?1ヵ月前からです。1ヵ月前?それからいままで痛みが続いているんですね?そうです。それなら、なぜこんな遅い時間に来たんですか!?1ヵ月前からですよね?どうして日中の外来を受診しなかったんです?え、ダメですか?すみません…。【POINT】夜中3時の救急外来。診療する医師にとってはつらい時間帯です。このタイミングで、1ヵ月前から慢性的な腰痛が続いている患者さんがやってきました。疲れが溜まった唐廻先生は、思わず「なぜこんな遅い時間にわざわざ」と不快感を示してしまいます。確かに慢性的な腰痛なら、日中に時間をみつけて整形外科などの一般外来を受診してほしいところ。しかし、この言い方では痛い目にあうかもしれません。まずは「急激な変化があったのかも?」という姿勢で臨む救急外来の主な目的は、(1)応急処置、(2)緊急性の判断、(3)必要時の専門科医師への引き継ぎです。しかし、このことを十分に理解していない患者さんは多く、慢性的な症状で夜中に受診される方も多くいます。なかには「平日は仕事で忙しく、休日や夜間しか病院に来られないから」「日中は外来が混むが、救急外来なら早く診てもらえるから」といった理由で救急外来を受診する方がいるのも事実です。その一方で、慢性的な症状が続いているものの、「その日に限っていつもと違う症状に変化した」「これまでより強い痛みがあった」など、突然の症状の変化が理由で救急外来を受診しているケースもあります。つまり、慢性的な経過のなかで急性の変化が起きたため、わざわざ休日や夜間に受診したということです。この事実を見逃すと、重大な見落としにつながるリスクがあります。たとえば、今回の例では、慢性的な腰痛は筋骨格系の痛みで緊急性はなかったが、今回は痛みが急激に悪化したため受診し、検査をしたら痛みの原因は大動脈解離だったという事態も想定されるわけです。受診の“意図”を丁寧に聞き出そうそこで、なぜあえてこのタイミングを選んで受診したのかという意図を聞く必要があります。唐廻先生は「なぜこんな遅い時間に来たんですか!?」と不快感をあらわにしてしまいましたが、実際には「なぜこのタイミングで受診されたんですか?何か痛みに変化があったからでしょうか?」と、丁寧に聞くべきでしょう。ここで患者さんから「いや、平日は忙しくて来られないから、この時間に来たんだよ」と言われたなら、その時点で「救急外来の役割を誤解している」と気付けます。その場合は、救急外来の役割について、緊急性の高い疾患を除いては、応急処置など対症療法が基本となること精密検査の場ではなく、できる検査も限られるため、慢性的な症状の原因を明らかにするのは一般的には難しいこと専門科の医師が診療するわけではなく、平日の専門科の一般外来を受診するほうがメリットは大きいことを冷静に説明します。いずれにしても、慢性的な症状で救急外来を受診した患者さんには“受診の動機”を丁寧に問診することが大切です。これでワンランクアップ!腰が痛いんです。いつからですか?1ヵ月前からです。1ヵ月前?それからいままで痛みが続いているんですね?そうです。今日のこのタイミングを選んで救急に来られたのには何か理由がありますか?※1いつもと違う痛みがあるとか、今日に限って痛みが強いとか?※2※1:受診理由が重要なヒントになることも。※2:まずは「急な変化」を想定した選択肢を提示する。実は、1時間ほど前から普段とは違う強い痛みが始まりまして…。それでいま慌てて来たんです。

6505.

第221回 名古屋第二日赤の研修医“誤診”報道に医療界が反発、日赤本社の医療事故に対する鈍感さ、隠蔽体質も影響か(後編)

山開き直後の富士山で遭難死が相次ぐこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。7月10日に山開きした富士山で遭難死が相次いでいます。各紙報道によれば、7月14日までに4人の死亡が確認されています。疲労死、滑落死など死因はさまざまですが、日頃登山をしない人は3,000メートル級の山を少し舐めているような気がします。体力が若者ほどなく、高度順応力が低下している中高年の遭難はこれからも増えそうです。山では100メートル標高が上がるごとに0.6度気温が下がります。仮に標高0メートルの海岸部の気温が30度だとすると、3,776メートルの富士山山頂付近の気温は7~8度です。天候が悪く風も強ければ、体感気温は0度近くになるでしょう。もはや冬山です。そう考えると、ご来光を目的に気温が下がる夜や深夜に登ること自体が大きなリスクです。そもそも3,000メートルを超える北アルプスなどでは、深夜に登る人はほぼいません。これから富士山を目指そうという方は、天気が良い日に昼間の日帰り登山をお勧めします。山梨県側からの吉田ルートは登山規制が始まったとはいえ激混みなので、静岡県側からの富士宮ルートが最短でいいかもしれません。大体の所要時間は頂上往復で9時間前後。朝イチに登山口を出発すれば、夕方前には下山が可能です。医療メディアに「研修医は悪くない」といった論調の記事や、組織体制の不備を指摘する記事さて、今回は前回に引き続き、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院(以下、名古屋第二日赤)が先月公表した、研修医がからんだ医療事故を取り上げます。腹痛などを訴えて名古屋第二日赤に来院した男子高校生(当時16)について、SMA症候群を研修医が急性胃腸炎と“誤診”して治療が遅れるとともに、高度脱水への対応も不十分で心停止に至り死亡した事件について、前回は同病院が公開した公表用資料1)を基に経緯を概説しました。そして、病院の記者会見直後、全国紙などで「研修医が誤診」といった見出しの報道が行われたことを巡り、日経メディカルなど一部医療メディアにおいて「研修医は悪くない」といった論調の記事や、病院の組織体制の不備を指摘する記事が掲載され、医療界で少なからぬ反発が起きていると書きました。そうした反発や批判は概ね納得できるものです。公表が事故から1年後であったことや、遺族コメントを病院が代読するという異常さなどからも、事故直後から遺族と名古屋第二日赤とのあいだで厳しいやりとりがあったと想像されます。名古屋第二日赤という一病院で起きた事故ではありますが、日本赤十字社本社自体の医療事故に対する鈍感さ、隠蔽体質、事なかれ主義もその背景にありそうです。マスコミに対して公表された資料の“おそまつさ”からも、それを感じます。「公表用資料」の中の事案の検証結果が時系列で、“誤診”が冒頭に私は、「公表用資料」の中の事案の検証結果(いわゆる「どの段階でミスがあったのか」のまとめ)が時系列になっている点がまず気になりました。具体的には、次の5つが問題点として挙げられています(資料の詳細な記述は割愛)。1)CT画像の評価が不十分で、急性胃拡張に対する減圧治療ができていなかった。2)脱水症の評価が不十分で、治療の開始に遅れが生じていた。3)救急外来において研修医が診療する場面での報告・相談体制に不備があった。4)職員間において患者さんの情報を正確に共有できていなかった。5)患者さんの容態変化時に、院内で定められた緊急体制が活用されなかった。1)で研修医の「CT画像の評価が不十分」と書き、さらに「上級医に相談するべき画像所見でしたが相談していませんでした」と続きます。これでは、その後に過誤のその他の原因が記述されたとしても「評価が不十分」、すなわち「誤診」が一番の原因だ、と読む側(マスコミなど)が解釈してしまう危険があります。こうした事故報告書では、往々にして発生したことを時系列に書きますが、「検証結果」も時系列に記述してしまっては、患者が死に至った真の原因が明確にならず、覆われてしまいます。加えて、資料全般に渡って「臨床上のミス」と「組織体制上の問題点」が同列に記述されている点も気になりました。「研修医が上級医に相談する体制になっていなかった」ことや、「入院後のスタッフ間の情報共有の不備」などは、明らかに病院の組織体制上の問題であり、今回の事故の最大の原因とも考えられます。しかし、検証結果ではそうした問題点が、「誤診」や「鎮痛剤倍量投与」「心電図モニター未装着」といった「臨床上のミス」と同列に記述されています。その結果、臨床上のミスの根本原因とも考えられる組織体制上の問題点への切り込みが弱く、責任の所在も曖昧になっています。「かもしれません」という文章でお茶を濁し、「体制や組織風土が根本的な問題だった」と断言もせずその曖昧さは、「事案の検証結果」の後に記された「当院の問題として表出したこと」の以下の記述からもうかがえます。――当院は高度急性期病院として、どのような病気にも24時間365日絶え間なく応えることを使命としており、業務の繁忙や切迫感が常態化している背景があります。そのような業務環境のなかで、疾患の重症度、緊急性を優先して患者さんを診てしまう傾向があったのかもしれません。忙しさを理由に、患者さんに対しての職員の思いやりや丁寧さが欠けていたのかもしれません。今回の事例には、病院全体の体制や組織風土が根本的な問題ではないかと考えています。――事故から1年以上経っているにもかかわらず、「かもしれません」という文章でお茶を濁し、「病院全体の体制や組織風土が根本的な問題だった」と断言できていないのです。患者が死亡に至った原因を真剣に検証したのかどうか、疑問に感じます。「『なぜこの事例で記者会見を開いたのか』と正直、疑問を持ちました」と医療訴訟専門弁護士そんな風に考えていたら、「研修医は悪くない」という論陣を張った日経メディカルに興味深い記事が掲載されていました。7月2日付の「インタビュー 医療事故公表のあり方を考えるマスコミの目線が“研修医誤診”に向いてしまった原因は」というタイトルの記事です。同記事は医療機関側の弁護士として医療訴訟に携わってきた仁邦法律事務所所長の桑原博道氏にインタビューしたものですが、なんと桑原氏はその中で「最初に、メディアの報道と公開されている調査報告書を読んだとき、『なぜこの事例で記者会見を開いたのか』と正直、疑問を持ちました」と話しているのです。桑原氏は「過誤があると思われる事例でも、あるいは、医療事故調査・支援センターに報告されるような事例でも、多くの場合、記者会見は開かれていません。私の経験でも、記者会見を開くのはデメリットがそれなりにあることから、『それでも会見が必要だ』と感じる事案はほとんどない印象です」と語るとともに、「記者会見は、病院が世間に発したいメッセージとして、目的や信念を持って行うべきものであり、一般論として言えば、ご家族などから求められたから行うというものではありません。また、医療事故調査制度の対象事案だから行うというものでもありません」と、名古屋第二日赤の記者会見について、病院側に行うに足る明確な目的があったのかどうかに疑問を呈しています。さらに、先述した「公表用資料」の中の事案の検証結果の記載の順番について桑原氏も問題があったと指摘しています。加えて、「研修医は上級医に相談すべきだった」といった個人の責任を追及するような記述についても問題があるとしています。同記事2)は、医療事故が起きたときの記者会見開催の是非や、事故報告書の記載の仕方などについてわかりやすくまとめられており、医療関係者には参考になるでしょう。京都第一赤十字病院の度重なる過誤で明らかとなった日赤の隠蔽体質前回、「日本赤十字社が、医療事故や医療過誤に対して鈍感であり、隠蔽体質も有していることは、この連載の『第199回 脳神経外科の度重なる医療過誤を黙殺してきた京都第一赤十字病院、背後にまたまたあの医大の影(前編)』、『第200回 同(後編)』で詳しく書きました」と記しましたが、この点を簡単におさらいしておきます。京都市は今年1月、患者に対する手術の説明や診療記録の取り扱いが不適切だったとして京都第一赤十字病院に対し、改善を求める行政指導を行いました。不適切とされた事例はいずれも同病院の脳神経外科で確認されたものでした。2020年に行われた脳腫瘍の手術では、その後、予定外の再手術となった理由について、患者や家族に説明した記録が見つかりませんでした。さらに同年、手術後に死亡した別の患者の死亡診断書には「手術なし」と、事実と異なる記載をしていました。また、2021年には、研修医の医療処置を受けた患者が死亡していますが、遺族には処置を施した説明をしていませんでした。こうした事例の中には、病院の医療安全管理委員会に適切に報告されず、事後の検証も十分行われていなかったケースもありました。以上の3件のほか、2019~21年に手術後などに9人が死亡し、ほかにも3人の患者で不適切な対応があったとの情報が2023年、公益通報によって市に寄せられていました。実はこの公益通報が行われる3年も前に、脳神経外科で事故が多発していることを、当時、同病院に勤務していた医師が日本赤十字社本社に伝えていました。「月刊Hanada」(飛鳥新社)の2023年11月号の記事、「京都府立医大の深い闇 正常脳を誤って摘出 第一日赤脳外科部長が謝罪」によれば、「A医師と部下である第一脳神経外科副部長(注:事故が頻発していたのは第二脳神経外科)のB医師は11月19日、連名で日赤本社の医療事故担当の医療事業推進本部長宛てに嘆願書を提出。医療事故防止措置と医師の再教育の必要性、関係者の処分を求めた。すると11月11日、日赤本社の部長は電話でこう告げたという。『(中略)日赤本社で医療事故調査委員会を立ち上げるので待ってほしい』。ところが、本社は結局、調査委員会を立ち上げず、事故の当事者である第一日赤に丸投げし、第一日赤内部に院内事故調査委員会を立ち上げて処理するように命じた」。その結果、一連の事故は表沙汰にならず、死亡した患者遺族にも真実は伝えられず、事故を起こした医師たちに処分も下されず、3年後の公益通報まで日赤本社、第一日赤は事故を隠蔽し続けることになったわけです。多発する傘下の病院の医療事故に対して日赤本社は何かアクションを起こしたのか?日本赤十字社の各病院は、地域の基幹病院であり、地元の大学医学部の主要なジッツ(関連病院)となっています。各病院で起こった医療事故への対応が個々の病院に任されること自体はとくに不自然ではありません。ただ、病院自体が隠蔽しようしている事案について、現場からの通報を無視し、対応をその病院に丸投げする、というのは異常としか言いようがありません。事故を起こされた患者や家族は二の次に、日赤という組織や病院、あるいは医師を派遣する大学医局をまず守ろう、という姿勢は決して許されるものではないでしょう。今回の名古屋第二日赤の事故と、京都第一日赤の事故との間にはとくに関連性は見出だせません。しかし、昨年5月に名古屋第二日赤の事故が起こり、今年の6月17日に記者会見が開かれるまでのあいだに、京都市による京都第一日赤への立ち入り検査、行政指導が行われています。次々と明らかになる傘下の病院の医療事故に対して、日本赤十字社本社は組織として何かアクションを起こしたのでしょうか。少なくとも記者会見や公表用資料の内容からはまったく感じ取れません。日本赤十字社の闇は深そうです。参考1)SMA症候群を適切に治療できなかったことにより死亡に至らせた事例について/日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院2)マスコミの目線が“研修医誤診”に向いてしまった原因は/日経メディカル

6506.

重要性を増すゲノム診療科、その将来ビジョン/日本動脈硬化学会

 2023年に議員立法として成立した“良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律”、通称「ゲノム医療推進法」。詳細についての議論はこれから進んでいく模様だが、循環器領域においては、2022年度の診療報酬改定により動脈硬化に関連する難病への遺伝学的検査の対象疾患が拡大され、4疾患(家族性高コレステロール血症、原発性高カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、家族性低βリポタンパク血症1[ホモ接合体])の遺伝学的検査を含む複数の脂質異常症疾患が保険適用された。 そこで今回、厚生労働省のゲノム医療推進法基本計画ワーキンググループ委員である吉田 雅幸氏(東京医科歯科大学遺伝子診療科 科長/日本動脈硬化学会副理事長)が『我が国におけるゲノム医療と動脈硬化性疾患の遺伝子診断』と題し、遺伝子診断で直面する課題や将来展望について、プレスセミナーで話をした(主催:日本動脈硬化学会)。遺伝診断の将来ビジョン もしも、自分の家族が遺伝性大腸がんや遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)、希少な遺伝性疾患に罹患したら、ご自身の遺伝子検査をどの施設で受けられるかご存じだろうか。あるいは患者から遺伝子検査の相談を受けたら、紹介先などを即答できるだろうか-。一般的に遺伝性疾患の多くは原因不明で、仮に遺伝子疾患が疑われても患者はどこの病院や診療科へ受診するのが適切なのかわからないことが多い。吉田氏は「ゲノム医療の現場で生じている診断・治療に至る長い道のり“Diagnostic Odessey”に多くの時間を費やすのは、原因不明な希少疾患や未診断疾患で苦しむ患者やその家族。そのうえ、患者側が遺伝子診断の可能な施設を見つける手立てもない」と述べ、遺伝専門医にすぐにたどり着けない現状が希少疾患や難病などの早期診断・治療の足かせになっているとして問題提起した。 現在、政府が主導となりゲノム医療等実現推進協議会からタスクフォースを設置し、オールジャパン体制の下でゲノム医療の社会実装のために10万人の全ゲノムを解析して医療へ応用させることを目的とした「全ゲノム解析等実行計画2022」プロジェクトが進められている。策定計画によると、“全ゲノム解析等を実施し、解析結果の日常診療への導入による患者への還元をはじめ、質の高い情報基盤を構築することで、がん・難病などの克服に繋げていくこと”が狙いである。その一方で、100万人規模のゲノム解析研究を目指す英国などの諸外国と水準をそろえていくこと、ゲノム医療の社会実装には、患者・市民参画(Patient and Public Involvement:PPI)や倫理的・法的・社会的課題(Ethical, Legal and Social Issues:ELSI)の推進も併せて望まれるため、法令上の措置を含めた具体的な方策が必要とされている。患者-医療者双方のため、遺伝子検査の実績を可視化させよう このプロジェクトを実装していくためには、国民のゲノム医療へのアクセス確保が急務とされることから、同氏は「▽ゲノム医療の標榜診療科の制定、▽ゲノム医療関連人材の育成、▽患者・市民のゲノム医療・研究への参画」の3つを挙げた。たとえば、昨今の診療報酬点数表に収載されている遺伝性疾患数は、約10年前と比較し191疾患と大幅に増加しているにもかかわらず、ゲノム診療科を標榜する施設の開示がなされていない。同氏は「診療実績を可視化させることでその実績が院内でも周知され、診療科間の連携強化につながる。また、現在では診療報酬の請求からDPCへ反映されるため、そうなればNDB(National Database)におけるゲノム医療の利活用促進にもつながる」と強調した。また、日本動脈硬化学会のホームページに掲載されている『家族性高コレステロール血症(FH)の紹介可能な施設等一覧』では、FHに限られるが、遺伝学的検査の実施有無に関して近隣施設を検索することが可能であるため、「患者に外部施設を紹介する際などに参考になる」ことを説明した。  なお、同氏の所属施設である東京医科歯科大学の場合、遺伝子診療科において内科各科、小児科、外科、腫瘍センター、女性診療科、泌尿器科、耳鼻科が連携を取り、“横串”を通す診療各科横断的な遺伝子診療を実施している。遺伝専門医や認定カウンセラー不足、他県や他施設で補い合う ゲノム医療では、リスクなどがわかるように説明する必要があるため、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラー(非医師)による説明が欠かせない。ところが、前者は総医師数(医療施設従事者数:約31万人)のわずか0.53%(1,894人、2024年2月時点)、カウンセラーに至っては389人、5県で不在、9県で1人ずつしか在籍していないという。「このような人材不足をカバーするために、他県や関連病院との連携もさることながら、オンライン診療を駆使していく予定」と説明し、「将来的な治療との結びつきのためにも遺伝子解析は必要。循環器領域でいうPCSK9の遺伝子変異解析がそれにあたるが、エクソソーム解析(全ゲノムの5%)自体が砂金を探すようなプロジェクトとも言えるため、遺伝性疾患に対する治療薬の開発、遺伝学的検査の保険収載が進みつつあるなか、標榜診療科の策定や人材育成が必要となるだろう」とまとめた。

6507.

スパイロなしでも胸部X線画像で呼吸機能が予測可能!?

 スパイロメトリーなどを用いた呼吸機能検査は、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患の管理に不可欠な検査である。しかし、高齢者や小児などでは正確な評価が困難な場合がある。また、新型コロナウイルス感染症流行時には、感染リスクを考慮して実施が控えられるなど、実施が制限される場合もある。そこで、植田 大樹氏(大阪公立大学大学院医学研究科人工知能学 准教授)らの研究グループは、14万枚超の胸部X線画像をAIモデルの訓練・検証に使用して、胸部X線画像から呼吸機能を推定するAIモデルを開発した。その結果、本AIモデルによる呼吸機能の推定値は、実際の呼吸機能検査の測定値と非常に高い一致率を示した。本研究結果は、Lancet Digital Health誌オンライン版2024年7月8日号で報告された。 本研究では、2003~21年の期間に収集した胸部X線画像14万1,734枚を用いて、3施設でAIモデルの訓練・内部検証を実施し、2施設で外部検証を実施した。外部検証では、努力性肺活量(FVC)と1秒量(FEV1)について、AIモデルの推定値とスパイロメトリーによる呼吸機能検査の実測値を比較した。 主な結果は以下のとおり。・外部検証の2施設におけるFVCについて、AIモデルによる推定値と実測値には強い相関があり(それぞれr=0.91、0.90)、誤差は小さかった(いずれの施設も平均絶対誤差[MAE]=0.31L)。・同様に、FEV1についても推定値と実測値には強い相関があり(いずれの施設もr=0.91)、誤差は小さかった(それぞれMAE=0.28L、0.25L)。・予測値に対するFVC(%FVC)80%未満、予測値に対するFEV1(%FEV1)80%未満、1秒率(FEV1/FVC)70%未満についても、AIモデルは高い予測能を示した。それぞれに関する2施設のROC曲線のAUCは以下のとおり。 %FVC 80%未満:それぞれ0.88、0.85 %FEV1 80%未満:いずれの施設も0.87 FEV1/FVC 70%未満:それぞれ0.83、0.87 著者らは、本研究結果について「本研究で開発したAIモデルは、胸部X線画像から呼吸機能を高精度に推定できる可能性を世界で初めて示した。本AIモデルは、呼吸機能検査の実施が困難な患者に対し、呼吸機能評価の選択肢を増やすことが期待される。今後は、異なる集団や環境下での性能を確認するとともに、実際の診療で使用した際の効果や影響を慎重に見極めていく必要がある」とまとめた。

6508.

食道がんの術前化学療法前のZn濃度、早期再発に影響

 国立がん研究センター中央病院の久保 祐人氏らは、術前化学療法を受ける食道がん患者において、術前の血清亜鉛(Zn)低値が食道がんの早期再発に悪影響を及ぼすことを明らかにし、術前にZnが欠乏している食道がん患者にはZn補給を行う必要があることを示唆した。Annals of Gastroenterological Surgery誌2024年7月号掲載の報告。 本研究では、2017年8月~2021年2月に術前化学療法後に完全切除(R0切除)が施行された食道がん患者185例を対象に、術前の血清Zn値と臨床転帰の関係を遡及調査した。 主な結果は以下のとおり・対象患者は術前の血清Zn濃度の平均に基づき、低Zn群(64μg/dL未満)と高Zn群(64μg/dL以上)に分けられた。・低Zn群では全生存期間(OS)が有意に短く、低Zn群と高Zn群の2年OS率は76.2% vs.83.3%(p=0.044)だった。・ノンレスポンダー(Grade1a以下)の低Znは、無再発生存期間(RFS)の短縮と有意に関連し、低Zn群と高Zn群の術後2年RFS率は39.6% vs.64.1%(p=0.032)であった。・多変量解析の結果、術前栄養指標のうちBMIと血清Zn濃度の低さが、ノンレスポンダーのRFS悪化の独立した危険因子であることが明らかになった。・レスポンダーと比較し、ノンレスポンダーには男性とパフォーマンスステータス1以上が有意に多く、レスポンダーでは血清Zn濃度に差はなかった。 研究者らは「術前血清Zn濃度は食道がん手術後の早期再発の予測マーカーとして役立つ可能性がある」としている。

6509.

低脂肪食がうつ病リスクに及ぼす影響〜メタ解析

 低脂肪食がうつ病リスクに及ぼす影響を調査するため、イラン・Shahid Sadoughi University of Medical SciencesのSepideh Soltani氏らは、ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Nutrition Reviews誌オンライン版2024年6月19日号の報告。 2023年6月7日までに公表されたRCTをPubMed、ISI Web of Science、Scopus、CENTRALデータベースより検索し、低脂肪食(脂肪摂取量がエネルギー摂取量の30%以下)がうつ病スコアに及ぼす影響を調査した試験を特定した。低脂肪食がうつ病リスクに及ぼす影響のプールされた効果(Hedges g)を推定するため、ランダム効果メタ解析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・10件のRCT(5万846例)を分析に含めた。・低脂肪食と通常食との比較において、うつ病スコアに有意な違いは認められなかった(Hedges g=−0.11[95%信頼区間[CI]:−0.25〜0.03]、p=0.12、I2=70.7%[95%CI:44〜85])。・タンパク質含有量が摂取カロリーの15〜20%の場合、低脂肪食(5件、Hedges g=−0.21[95%CI:−0.24〜−0.01]、p=0.04、I2=0%)と通常食(3件、Hedges g=−0.28[95%CI:−0.51〜−0.05]、p=0.01、I2=0%)のいずれにおいても、有意な改善が認められた。・感度分析では、ベースラインでうつ病でない患者において、低脂肪食介入後にうつ病スコアの改善が認められた。 著者らは、「メンタルヘルスが良好な参加者を対象とした研究において、低脂肪食はうつ病スコアに対し、わずかに有益である可能性が示唆された。うつ病スコアの改善には、食事中の脂肪量を調整するよりも、タンパク質を十分に摂取したほうがよいと考えられるが、この効果が長期間持続するかは不明である」としている。

6510.

進行期古典的ホジキンリンパ腫の1次治療、BrECADDが有効/Lancet

 進行期の古典的ホジキンリンパ腫の成人患者に対する1次治療において、ブレオマイシン+エトポシド+ドキソルビシン+シクロホスファミド+ビンクリスチン+プロカルバジン+prednisone(eBEACOPP)療法と比較して、2サイクル施行後のPET所見に基づくbrentuximab vedotin+エトポシド+シクロホスファミド+ドキソルビシン+ダカルバジン+デキサメタゾン(BrECADD)療法は、忍容性が高く、無増悪生存(PFS)率を有意に改善することが、ドイツ・ケルン大学のPeter Borchmann氏らAustralasian Leukaemia and Lymphoma Groupが実施した「HD21試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年7月3日号に掲載された。9ヵ国233施設の無作為化第III相試験 HD21試験は、欧州7ヵ国とオーストラリア、ニュージーランドの合計9ヵ国233施設で実施した非盲検無作為化第III相試験であり、2016年7月~2020年8月に患者を登録した(Takeda Oncologyの助成を受けた)。 新規に診断された進行期の古典的ホジキンリンパ腫(Ann Arbor病期分類のStageIII/IV、B症状を呈するStageII、リスク因子として大きな縦隔病変および節外病変のいずれか、または両方を有する)で、60歳以下の成人患者1,482例(ITT集団)を登録し、BrECADD群に742例、eBEACOPP群に740例を無作為に割り付けた。 両群とも試験薬を21日間隔で投与した。2サイクル(PET-2)および最終サイクルの終了後にPETまたはCTによる奏効の評価を行い、PET-2の所見に基づきその後のサイクル数を決定した。 主要評価項目は、(1)担当医評価による忍容性(投与開始から終了後30日までの治療関連疾患の発生)、および(2)有効性(PFS)に関するBrECADD群のeBEACOPP群に対する非劣性とし、非劣性マージンを6%に設定した。治療関連疾患は、有害事象共通用語規準(CTCAE)のGrade3/4の急性非血液学的臓器毒性、およびGrade4の急性血液毒性と定義した。PFSの優越性を確認 ベースラインの全体の年齢中央値は31歳(四分位範囲[IQR]:24~42)、644例(44%)が女性で、1,352例(91%)が白人であった。 1つ以上の治療関連疾患が発生した患者は、eBEACOPP群が732例中430例(59%)であったのに対し、BrECADD群では738例中312例(42%)と有意に少なかった(相対リスク:0.72、95%信頼区間[CI]:0.65~0.80、p<0.0001)。 PFSの中間解析で、BrECADD群の非劣性が確認されたため優越性の検定を行った。追跡期間中央値48ヵ月の時点における4年PFS率は、eBEACOPP群が90.9%(95%CI:88.7~93.1)であったのと比較して、BrECADD群は94.3%(92.6~96.1)と有意に良好だった(ハザード比[HR]:0.66、95%CI:0.45~0.97、p=0.035)。 また、4年全生存率は、BrECADD群が98.6%(95%CI:97.7~99.5)、eBEACOPP群は98.2%(97.2~99.3)であった。血液学的治療関連疾患が有意に少ない 血液学的治療関連疾患は、eBEACOPP群では732例中382例(52%)で発現したのに対し、BrECADD群では738例中231例(31%)と有意に少なかった(p<0.0001)。これは、赤血球輸血(52% vs.24%)および血小板輸血(34% vs.17%)がBrECADD群で少なかったことに反映されている。Grade3以上の感染症の発生(19% vs.20%)は両群で同程度であった。 ホジキンリンパ腫による死亡は、BrECADD群で3例、eBEACOPP群で1例に認めた。治療関連死はeBEACOPP群で3例にみられた。また、2次がんは、BrECADD群で742例中19例(3%)、eBEACOPP群で740例中13例(2%)に発生した。 著者は、「この第III相試験の結果に基づき、BrECADDは新規に診断された進行期古典的ホジキンリンパ腫の成人患者に対する標準的な治療選択肢となることが期待される」としている。

6511.

tisotumab vedotin、再発子宮頸がんの2次・3次治療に有効/NEJM

 再発子宮頸がんの2次または3次治療において、化学療法と比較してtisotumab vedotin(組織因子を標的とするモノクローナル抗体と微小管阻害薬モノメチルアウリスタチンEの抗体薬物複合体)は、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)が有意に延長し、新たな安全性シグナルの発現はないことが、ベルギー・Universitaire Ziekenhuizen LeuvenのIgnace Vergote氏らが実施した「innovaTV 301/ENGOT-cx12/GOG-3057試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年7月4日号で報告された。27ヵ国168施設の無作為化第III相試験 本研究は、日本を含む27ヵ国168施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、前治療後に病勢が進行した再発子宮頸がん患者におけるtisotumab vedotinの有効性と安全性の評価を目的に行われた(GenmabとSeagenの助成を受けた)。 再発または転移を有する子宮頸がんと診断され、全身状態の指標であるEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)performance-statusのスコアが0または1の患者502例(年齢中央値50歳[範囲:26~80]、前治療ライン数は1が61.4%、2が38.4%)を登録した。 tisotumab vedotin単剤(2.0mg/kg体重、3週ごと)の静脈内投与を受ける群に253例、担当医が選択した化学療法(トポテカン、ビノレルビン、ゲムシタビン、イリノテカン、ペメトレキセドのいずれか)を受ける群に249例を無作為に割り付けた。奏効率も有意に優れる 前治療薬として、全体の63.9%がベバシズマブの投与を、27.5%が抗PD-1または抗PD-L1抗体製剤の投与を受けていた。 主要評価項目であるOS中央値は、化学療法群が9.5ヵ月(95%信頼区間[CI]:7.9~10.7)であったのに対し、tisotumab vedotin群は11.5ヵ月(9.8~14.9)と有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.70、95%CI:0.54~0.89、両側p=0.004)。 12ヵ月時のOS率は、tisotumab vedotin群が48.7%(95%CI:41.0~55.8)、化学療法群は35.3%(28.0~42.7)であった。 PFS中央値は、化学療法群が2.9ヵ月(95%CI:2.6~3.1)であったのに比べ、tisotumab vedotin群は4.2ヵ月(4.0~4.4)と有意に優れた(HR:0.67、95%CI:0.54~0.82、両側p<0.001)。 また、確定された奏効の割合は、化学療法群の5.2%と比較して、tisotumab vedotin群は17.8%と有意に高率だった(オッズ比:4.0、95%CI:2.1~7.6、両側p<0.001)。毒性による投与中止は14.8% 初回投与の1日目から最終投与後30日までに有害事象が1件以上発現した患者の割合は、tisotumab vedotin群が98.4%、化学療法群は99.2%であり、Grade3以上の有害事象は、それぞれ52.0%および62.3%で発現した。tisotumab vedotin群では、14.8%の患者が毒性により投与を中止した。 とくに注目すべき有害事象では、眼イベントがtisotumab vedotin群で52.8%、化学療法群で6.3%に発現し、このうちGrade3以上はそれぞれ4.0%および0%であった。また、末梢神経障害イベントはそれぞれ38.4%および4.2%、Grade3以上は5.6%および0.4%に、出血イベントは42.0%および14.2%、Grade3以上は2.4%および2.9%に発現した。 著者は、「これらのデータを総合すると、tisotumab vedotinは、再発子宮頸がん患者の治療において化学療法よりも優先される2次または3次治療の選択肢となる可能性が示唆される」としている。

6512.

知ってますか? HeLa細胞、感動の1冊を通じて研究倫理を考える【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第74回

「誠に申し訳ございませんでした」一列に並んだ皆が頭を下げます。フラッシュが一斉にたかれ、シャッター音が鳴り続けます。5秒ほどたったでしょうか。一斉に頭をゆっくりと上げます。謝罪会見の冒頭です。社会の注目が集まります。謝罪側は、企業のこともあれば、行政組織のこともあれば、大学である場合もあります。大学では、しばしば研究不正が指摘され、そのたびに謝罪会見が行われます。研究活動の不正行為文部科学省のガイドラインで定義は、捏造(Fabrication)・改ざん(Falsification)・盗用(Plagiarism)の3つを特定不正行為としています1)。これらの研究内容の不正だけでなく、研究費の不正使用が問題となる場合もあります。倫理指針を逸脱した研究活動が問題となる場合もあります。倫理が重要視されるのは、「臨床研究においては、被験者の福利に対する配慮が科学的及び社会的利益よりも優先されなければならない」という臨床研究の根本的規範があるからです。医の倫理の起源は、紀元前4世紀から伝わる「ヒポクラテスの誓い」であるそうですが、これは医師が医療行為を行う際の倫理であって、研究の倫理について議論されだしたのは、ずいぶんと時間を経た後のようです。研究者の倫理が論じられる契機としては、ジェンナーによる種痘や、パスツールによる狂犬病ワクチンなどの、開発の過程での人体実験的な側面が有名で、ご存じの方も多いと思います。研究倫理に関する原則は、過去の不適切な人体実験に対応するために作られてきたともいえます。HeLa細胞の医学研究への貢献HeLa(ヒーラ)細胞という名前の細胞をご存じでしょうか。世界中の研究者に用いられ、さまざまな医学研究に寄与し続けてきた細胞です。HeLa細胞はヒト子宮頸がん由来です。不死化しており無制限に細胞分裂を繰り返す能力を持っています。細胞ががん化するのは、遺伝子に突然変異が積み重なり、細胞が不死化することが原因です。正常の細胞は自己が生まれた組織の中で、必要な役割を担って何回か分裂したあと自然に死んでいきます。この不死化したHeLa細胞は、世界中の研究者の元に届けられました。ポリオワクチンの開発に大きく寄与しました。大量培養されたHeLa細胞に、ポリオウイルスを感染させてワクチンの安全性や効果を確認したのです。がんの研究はもちろんのこと、ウイルス感染や、原爆の被爆者への影響などの研究にも貢献しました。体外受精、クローン作成、遺伝子マッピングなどの生命科学の進歩を導きました。HeLa細胞を用いた学術論文は6万本以上といわれます。その過程で生物学的な研究材料を販売するビッグビジネスを創出し、数百万ドル規模の利益をもたらしました。HeLa細胞が問いかける研究倫理ヘンリエッタ・ラックスさんを称える像(バージニア州ロアノーク)HeLa細胞の名前の由来は、その細胞を採取されたヘンリエッタ・ラックス(Henrietta Lacks)さんの名前の頭文字に由来します。貧しいアフリカ系アメリカ人女性が、子宮頸がんで米国・メリーランド州のジョンズ・ホプキンス病院の人種隔離病棟に入院し、1951年に亡くなりました。問題は、その細胞の採取が本人や家族の同意を得ることなく無断で行われたことです。その家族は採取された細胞がもたらした利益とは無縁でした。彼女の夫や子供は、研究者たちが同意なしに調査しようとしたことを契機に、ヘンリエッタ・ラックスさんの身体に由来する細胞が生き続けていることを知ります。研究倫理という問題について、HeLa細胞とその科学への貢献、その家族の経験を通じて見事に描いた作品があります。レベッカ・スクルート著の『The Immortal Life of Henrietta Lacks』です。邦訳は『不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生』(中里 京子訳、講談社)です。文庫本として『ヒーラ細胞の数奇な運命 医学の革命と忘れ去られた黒人女性』(中里 京子訳、河出文庫)もあります。難しい学術書ではなく、感動的な人間関係を見事に描いた文学作品というべきでしょう。ストーリーの背景に、インフォームドコンセント・人種差別・科学の進歩・研究倫理という問題を織り込んでいます。タイトルに「不死:immortal」とありますが、細胞が不死化するだけでなく、永遠の家族愛が不死化していることを感じます。幼少期に母を亡くした子供たちが、知らない場所で、命を紡ぎ続けた母であるHeLa細胞と出会うシーンは涙を誘います。今年の夏も暑い毎日が続くようです。「暑い」を超えて「熱い」という気温です。寝苦しい夜となります。そんな時には、エアコンを一晩中駆動させて、読書に耽ってみてはいかがでしょうか。中高生のご子息のいる皆さまには、夏休みの宿題になっている読書感想文の素材の1冊としてもお薦めします。読書が苦手という皆さまには、映画化されていることもお伝えしましょう。書籍と同タイトルの作品を日本語字幕でPrime Videoでも視聴できます。これもお薦めです。参考文献・参考サイト1)文部科学省:研究活動の不正行為等の定義

6513.

英語で「追加質問」は?【1分★医療英語】第139回

第139回 英語で「追加質問」は?《例文》医師AThank you for your question. Are there any other questions about my presentation?(ご質問ありがとうございます。ほかに質問はありますか?)医師BYes, I have a follow-up question about this.(はい、これに関する追加質問があります)《解説》医療の場面に限らずとも、会話の中で質問をすることは多いですよね。そんなときに使える便利な表現があります。“follow-up question”で「追加質問」という意味を伝えることができます。たとえば、患者さんへ治療の説明をするとき。患者さんから質問が出てそれに医療者が答えた後にも、患者さんから“May I ask you a follow-up question?”(追加で質問してもいいですか?)と聞かれるかもしれません。ほかにも、医療者間でのプレゼンやカンファレンスで出た質問内容に関連し、自分も追加で質問したいときには、“I have a follow-up question.”(追加質問があります)と言うと自然に話をつなげることができます。日本語でも「フォローアップ」という言葉は使いますが、医療の現場においては「再診」や「検査結果の確認」の意味に限定して使用されることが多いのではないでしょうか。英語でも“follow-up visit”(再診)という使い方はありますが、上述のようにさらに広義の「追加」という意味全般に使うことができます。“follow-up”は1単語の名詞・形容詞として使いますが、“follow up”と間のハイフンが消えると動詞としても使えます。“Please follow up on the test result.”(この検査結果に関してフォローアップ[後日確認]しておいてください)といった感じで使われます。講師紹介

6514.

週1回投与の基礎インスリン製剤「アウィクリ注フレックスタッチ総量300単位/同700単位」【最新!DI情報】第19回

週1回投与の基礎インスリン製剤「アウィクリ注フレックスタッチ総量300単位/同700単位」今回は、週1回持効型溶解インスリンアナログ注射液「インスリン イコデク(遺伝子組換え)(商品名:アウィクリ注フレックスタッチ総量300単位/同700単位、製造販売元:ノボ ノルディスク ファーマ)」を紹介します。本剤は、世界初の週1回投与の基礎インスリン製剤であり、QOLやアドヒアランスの向上が期待されています。<効能・効果>インスリン療法が適応となる糖尿病の適応で、2024年6月24日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人では1週間に1回皮下注射します。初期は通常1回30~140単位とし、患者の状態に応じて適宜増減します。他のインスリン製剤の投与量を含めた維持量は、通常1週間あたり30~560単位ですが、必要により上記用量を超えて使用することもあります。<安全性>重大な副作用として、低血糖やアナフィラキシーショック(頻度不明)があります。低血糖は臨床的に回復した場合にも再発することがあるので、継続的な観察が必要です。とくに、本剤は週1回投与の持続性がある薬ですので、回復が遅延する恐れがあります。その他の主な副作用として、糖尿病性網膜症、体重増加(1~5%未満)、注射部位反応、空腹、浮動性めまい、悪心・嘔吐、多汗症、筋痙縮(0.2~1%未満)などがあります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、生理的なインスリンの基礎分泌を補充する目的で使用される自己注射薬です。週1回投与する注射薬ですので、同一曜日に投与してください。2.自己判断で使用を中止したり、量を加減したりせず、医師の指示に従ってください。3.高所での作業や自動車の運転など、危険を伴う作業に従事しているときに低血糖を起こすと事故につながる恐れがありますので、とくに注意してください。4.他のインスリン製剤と併用することがあります。この薬と他のインスリン製剤を取り違えないように、毎回注射する前にラベルなどを確認してください。<ここがポイント!>本剤は、世界で初めてとなる週1回投与の基礎インスリン製剤です。従来のインスリン製剤では、1日1回もしくは2回の皮下注射が必要だったので、投与回数が大幅に減少し、患者さんの負担軽減により、生活の質やアドヒアランスの向上が期待できます。インスリン イコデクは、投与後に強力かつ可逆的にアルブミンと結合し、その後、緩徐にアルブミンから解離することで、血糖降下作用が1週間にわたって持続します。インスリン治療歴のない2型糖尿病患者を対象とした第III相国際共同試験(ONWARDS 1試験)において、主要評価項目であるHbA1cのベースラインから投与後52週までの変化量を、本剤とインスリン グラルギンで比較しています。本剤とインスリン グラルギンの変化量はそれぞれ-1.55%および-1.35%(群間差:-0.19[95%信頼区間:-0.36~-0.03]、p<0.001)であり、本剤のインスリン グラルギンに対する非劣性が確認されました(非劣性マージン:0.3%)。同様に、HbA1cのベースラインから投与後26週までの変化量について、基礎インスリン療法で治療中の2型糖尿病患者を対象とした第III相国際共同試験(ONWARDS 2試験:インスリン デグルデクとの比較)、基礎・追加インスリン療法で治療中の2型糖尿病患者を対象とした第III相国際共同試験(ONWARDS 4試験:インスリン グラルギンとの比較)、1型糖尿病患者を対象とした第III相国際共同試験(ONWARDS 6試験:インスリン デグルデクとの比較)において、いずれも既存の持効型インスリン製剤に対する非劣性が証明されています(非劣性マージン:0.3%)。

6515.

ASCO2024 レポート 乳がん

レポーター紹介2024年5月31日~6月4日まで5日間にわたり、ASCO2024がハイブリッド形式で開催された。昨年も人が戻ってきている感じはあったが、会場の雰囲気はコロナ流行前と変わりなくなっていた。一方、日本からの参加者は若干少なかったように思われる。これは航空運賃の高騰に加えて、円安の影響が大きいと思われる(今回私が行ったときは1ドル160円!! 奮発した150ドルのステーキがなんと24,000円に…。来年は費用面で行けない可能性も出てきました…)。さて、本題に戻ると、今回のASCOのテーマは“The Art and Science of Cancer Care:From Comfort to Cure”であった。乳がんの演題は日本の臨床に大きなインパクトを与えるものが大きく、とくにPlenary sessionの前に1演題のためだけに独立して行われたセッションで発表されたDESTINY-Breast06試験は早朝7:30のセッションにもかかわらず、満席であった。日本からは乳がんのオーラルが2演題あり、日本の実力も垣間見ることとなった。本稿では、日本からの演題も含めて5題を概説する。DESTINY-Breast06試験トラスツズマブ・デルクステカン(T-DXd)は日本で開発が開始され、現在グローバルで最も使われている抗体薬物複合体(ADC)の1つと言っても過言ではない。乳がんではHER2陽性乳がんで開発され、現在はHER2低発現乳がんにおける2次化学療法としてのエビデンスに基づいて適応拡大されている。20年近く乳がんの世界で用いられてきたサブタイプの概念を大きく変えることになった薬剤である。T-DXdのHER2低発現乳がんの1次化学療法としての有効性を検証したのがDESTINY-Breast06(DB-06)試験である。この試験では、ホルモン受容体陽性HER2低発現の乳がんにおいて、T-DXdの主治医選択化学療法に対する無増悪生存期間(PFS)における優越性が検証された。この試験のもう1つの大きな特徴は、HER2超低発現(ultra-low)の乳がんに対する有効性についても探索的に検討したことである。HER2超低発現とは、これまで免疫組織化学染色においてHER2 0と診断されてきた腫瘍のうち、わずかでもHER2染色があるものを指す。本試験では866例(うちHER2低発現713例、超低発現が152例)の患者がT-DXdと主治医選択治療(TPC)に1:1に割り付けられた。主要評価項目はHER2低発現におけるPFSで13.2ヵ月 vs. 8.1ヵ月(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.51~0.74、p<0.0001)とT-DXd群の優越性が示された。ITT集団においても同様の傾向であった。HER2超低発現の集団については探索的項目であるが、PFSは13.2ヵ月 vs.8.3ヵ月(HR:0.78、95%CI:0.50~1.21)とHER2低発現の集団と遜色ない結果であった。一方、全生存期間(OS)についてはHER2低発現でHR:0.83、HER2超低発現でHR:0.75であり、いずれも有意差はつかなかった。有害事象は既知のとおりであるが、薬剤性肺障害(ILD)はany gradeで11.3%であった。2次化学療法の試験であるDESTINY-Breast 04試験ではOSの優越性も示されているため、OSの優越性が示されていない状況で毒性の強い薬剤をより早いラインで使うかどうかは議論が必要であろう。また、HER2超低発現の病理評価の標準化についても課題が残される。postMONARCH試験こちらも待望の試験である。日本国内で使えるCDK4/6阻害薬であるアベマシクリブのbeyond PD(progressive disease)を証明した初の試験である。これまでMAINTAIN試験で(phase2ではあるが)、CDK4/6阻害薬の治療後のribociclibの有効性が示されていたが、ribociclibは日本国内では未承認なため、エビデンスを活用することができなかった。postMONARCH試験では、転移乳がん、もしくは術後治療としてホルモン療法(転移乳がんはAI剤)とCDK4/6阻害薬を使用後にPDもしくは再発となった368例の患者を対象に、フルベストラント+アベマシクリブ/プラセボに1:1に割り付けられた。術後CDK4/6阻害薬後の再発が適格となっていたが残念ながら全体で2例のみであり、プラクティスへの参考にはならなかった。前治療のCDK4/6阻害薬はパルボシクリブが60%と最も多く、ついでribociclibで、アベマシクリブは両群とも8%含まれた。主要評価項目は主治医判断のPFSで、6.0ヵ月 vs. 5.3ヵ月(HR:0.73、95%CI :0.57~0.95、p=0.02)とアベマシクリブ群で良好であった。盲検化PFSが副次評価項目に設定されていたが、面白いことに12.9ヵ月 vs.5.6ヵ月(HR:0.55、95%CI:0.39~0.77、p=0.0004)と主治医判断よりも良い結果となった。有害事象はこれまでの臨床試験と変わりはなかった。この試験の結果をもって、自信を持ってホルモン療法の2次治療としてフルベストラント+アベマシクリブを実施できるようになったと言える。JBCRG-06/EMERALD試験さて、日本からの試験も紹介する。研究代表者である神奈川県立がんセンターの山下 年成先生が口演された。本試験はHER2陽性転移乳がんの初回治療として、標準治療であるトラスツズマブ+ペルツズマブ+タキサン(HPT)療法に対して、トラスツズマブ+ペルツズマブ+エリブリン療法が非劣性であることを証明した。446例の患者が登録され、1:1に割り付けられた。ホルモン受容体は60%が陽性であり、PSは80%以上が0であった。初発StageIVが60%を占めていた。主要評価項目のPFSはHPT群12.9ヵ月 vs.エリブリン群14.0ヵ月(HR:0.95、95%CI:0.76~1.19、p=0.6817)で非劣性マージンの1.33を下回り、エリブリン群の非劣性が示された。化学療法併用期間の中央値はエリブリン群が28.1週、HPT群は約20週であり、エリブリン群で長かった。OSもHR:1.09(95%CI:0.76~1.58、p=0.7258)と両群間の差を認めなかった。毒性については末梢神経障害がエリブリン群で61.2% vs. HPT群で52.8%(G3に限ると9.8% vs.4.1%)と、エリブリン群で多かった。治療期間が長いことの影響があると思われるが、less toxic newと言ってよいかどうかは悩ましいところである。HER2陽性乳がんにおけるエリブリン併用療法は1つの標準治療になったと言えるが、実臨床での使用はタキサンアレルギーの症例などに限られるかもしれない。ER低発現乳がんにおける術後ホルモン療法こちらはデータベースを使った後ろ向き研究であり臨床試験ではないが、実臨床の疑問に重要なものであるため取り上げる。米国のがんデータベースからStageI~IIIでER 1~10%の症例を抽出し、術後ホルモン療法の実施率と予後を検討したものである。データベースから7,018例の対象症例が抽出され、42%の症例が術後ホルモン療法を省略されていた。ホルモン療法実施群と非実施群におけるOSは3年OSが92.3% vs.89.1%であり、HR:1.25、95%CI:1.05~1.48、p=0.01と実施群で良い傾向にあった。後ろ向き研究ではあるが、ER低発現であっても術後ホルモン療法に意義がある可能性が提示されたことは、今後の術後治療の選択にとって重要な情報である。PRO-DUCE試験最後に日本からのもう1つの口演であるPRO-DUCE試験を紹介する。これは治療薬の臨床試験ではなく、ePROが患者のQOLに影響するかを検証した試験である。関西医科大学の木川 雄一郎先生によって発表された。本試験はT-DXdによる治療を受ける患者を対象として、ePRO+SpO2/体温の介入が通常ケアと比較してQOLに影響するかを比較した。主要評価項目はベースラインから治療開始24週後のEORTC QLQ-C30を用いたglobal health scoreの変化であり、ePRO群では-2.4、通常ケア群では-10.4であり、両群間の差は8.0(90%CI:0.2~15.8、p=0.091)と統計学的に有意にePRO群で良好であった。その他の項目では倦怠感はePRO群で良好であったが、悪心/嘔吐は両群間の差は認めなかった。この研究は日本から乳がんにおいてePROが有効であることを示した初の試験である。ePROは世界的にも必須のものとなっており、今後の発展が期待される。

6516.

併診依頼後のフォローは必要?【医療訴訟の争点】第2回

症例総合病院においては、他診療科に併診(コンサルテーション)依頼を出すことがあるが、その進捗状況や結果を確認し、精査が滞らないようにする義務が争われた横浜地裁令和3年12月15日判決(併診依頼時は平成18年)を紹介する。争点は多岐にわたるが、併診依頼の進捗確認・精査の点に絞ることとする。<登場人物>患者66歳(併診依頼時)・男性平成13年右鼠径部脂肪摘出術(複数の腫瘤摘出)原告患者の妻・子被告総合病院の泌尿器科医(併診依頼元医師)同病院の消化器内科医(併診依頼先医師)事案の概要は以下の通りである。平成18年7月排尿困難を主訴に被告病院の泌尿器科を受診。右腹部に腫瘤を触知。8月3日腹部CT検査。骨盤腔内の後腹膜部と腸間膜部に脂肪肉腫と考えられる腫瘤を確認。8月11日CT結果を踏まえ、泌尿器科医は、消化器内科に併診依頼。9月4日消化器内科にて大腸内視鏡検査を実施。9月19日消化器内科医が、消化器内科では一度終診とする旨の返書。平成20年3月5日右陰嚢部の腫瘤を自覚し、被告病院泌尿器科受診。腹部エコー検査にて、右精索部にゴルフボール大の腫瘤を2個確認。3月11日右高位精巣摘除術実施。病理検査の結果、摘出された腫瘤病変は脱分化型脂肪肉腫と診断。4月22日他院にて、大網、腸間膜、後腹膜腫瘍摘出術実施。病理検査の結果、脱分化型脂肪肉腫と診断。平成21年7月14日他院にて、脂肪肉腫の切除を目的とする開腹手術を受けるも、開腹時に脂肪肉腫の腹膜播種が確認されたため根治不能と判断され、バイパス術を受けて手術終了。平成22年6月15日脂肪肉腫に起因した腎不全が直接死因となり、死亡。実際の裁判結果裁判所は、「併診対象となった事象の性質や、併診結果が併診元の方針に与える影響の程度等によっては、併診元において、報告返書の到着を待つのみでは足りない場合があるというべき」とした上で、(1)腸間膜部の腫瘤が比較的稀少な疾患で、その精査を行うべき診療科が消化器内科であることが確立していたとは言えず、その後の検査、治療の方針の検討を併診先の医師に委ねる状況にあったとは言い難いこと(2)泌尿器科医自身が、消化器内科の併診結果を泌尿器科での治療方針にも影響し得る重要事項と位置付け、腸間膜部腫瘤の良悪性の鑑別を優先させる趣旨で併診依頼を作成していたこと(3)脂肪肉腫は、早期の発見・治療が求められる疾患であり、泌尿器科医もその認識があったことの事情を指摘し、併診依頼をした泌尿器科医は「本件腸間膜部腫瘤の精査が滞らないように配慮すべき注意義務を負っていた」として、腸間膜部腫瘤の関係で何らの措置が講じられていなかったことに対し、注意義務違反を認めた。なお、併診依頼先の消化器内科医師の責任については、裁判所は、「本件併診願が作成された当時、MRI検査や生検によって、腸間膜部腫瘤の精査を速やかに行う必要があった」としつつも、「注意義務があると言えるためには、腸間膜部の腫瘤の精査を行うべき診療科が消化器内科であることが臨床医学の実践として確立しているか、または被告病院における診療体制として確立していることが必要」とし、当時、腸間膜部の腫瘤の精査を行うべき診療科が消化器内科であることが確立していたとは認められないとし、消化器内科医師に腸間膜部腫瘤の精査を実施すべき注意義務を否定した。注意ポイント解説本件は、泌尿器科医が、消化器内科の併診結果を泌尿器科での治療方針にも影響し得る重要事項と位置付け、腸間膜部腫瘤の良悪性の鑑別を優先させる趣旨で「下腹部触診にて腫瘤触れCTを撮ったところ、直径5cm程度の腸間膜の腫瘍があるようでした。お忙しいところ恐縮ですが、御高診よろしくお願い申し上げます」「内科の予定がついたら当科の予定を組みたいと存じます」として併診を依頼した事案であった。また、泌尿器科医は腸間膜部腫瘤が早期の発見・治療が求められる疾患である可能性を認識していた。そのような事情があるにもかかわらず、消化器内科では、本件腸間膜部腫瘤そのものの精査は消化器内科の診療領域には属さないと考え、併診依頼をした腸間膜部腫瘤の精査とは直接関連する検査とは言えない大腸内視鏡検査が行われたのみであった。そして、その後、約1年半の期間、患者の腹部を精査する検査が行われなかった。本件は、具体的に腸間膜の腫瘍を指摘した上での併診依頼がなされたものの、併診依頼先の消化器内科が診療領域外と判断し、依頼の趣旨に沿う検査がなされなかった。そして、当時の「臨床医学の実践」として、腸間膜部腫瘤の精査は消化器内科に委ねることが確立していたとも言えなかったため、併診依頼先の消化器内科医の注意義務が否定された一方で、併診依頼元の泌尿器科医に、併診依頼をした腸間膜部腫瘤の精査が滞らないように配慮すべき注意義務が認められた。どの診療科が精査・治療を行うかについて確立していない症状・所見・疾患については、併診依頼元の医師としては、依頼先がきちんと精査をすることを期待して併診依頼している。しかし、併診依頼先の医師としては、自らの診療対象外と認識している場合や、ピンポイントの検査のみで十分と考えている場合もある。その場合、併診依頼先で行われた検査が、併診依頼元の医師が鑑別等を期待した疾患の精査として不十分な場合もありうる。このような場合、併診依頼元の医師に、然るべき精査・治療が行われるようフォロー対応する義務があることを認めた判決であった。他方、精査・治療対象の疾患について、併診依頼先の診療科において精査・治療することが「臨床医学の実践」として確立している場合は、併診依頼先において然るべき精査・治療を行う義務があることとなる。なお、精査・鑑別対象の疾患について、併診依頼先の診療科に関する文献に記載があるということだけでは、併診依頼先において精査・治療を行うべきとは言えない点に注意を要する。医療者の視点昨今では、専門分野が細分化されているため、自身の専門分野以外の疾患については、他科コンサルト/併診依頼する場合が多いです。そのような場合、つい併診依頼元の医師は「こちらの患者さんはコンサルトしたからもう大丈夫」と思いがちです。また、併診依頼先の医師においては、「主科は併診依頼元の医師だから、自分の科の領域の検査のみ行えれば十分」と考えがちです。お互いに診療を相手任せにしてしまうことで、患者さんに不利益が生じるリスクがあります。本件は腸間膜部腫瘤という稀な疾患ですが、自身が担当した患者さんについては、コンサルトした後も経過をフォローする必要があります。また、コンサルトを受けた場合においても、自身の診療によって患者さんが抱えていた問題が解決したかどうか等、確認することが重要です。Take home message対象の症状・所見・疾患の精査・治療を自らの診療科で行えない場合において、他の診療科に併診を依頼するとき、併診依頼先の診療科において然るべき精査・治療が行われるようフォローする必要がある。キーワード臨床医学の実践とは医師の責任の根拠となる注意義務違反(過失)は、「診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準」を基準に判断される。この「臨床医学の実践における医療水準」は、医療機関の性格、その所在する地域の医療環境の特性等によって違いがありうるものであるが、大まかに言えば「診療当時、類似の規模・特性の医療機関において行われていること」が医療水準となる。このため、文献に記載があるからと言ってもそれが当然に「臨床医学の実践における医療水準」となるものではない。また、診療ガイドラインも、各ガイドラインの目的・性格、成立過程や普及の程度、記載されている具体的な診療方法のエビデンスレベルや推奨度等にそれぞれ違いがあるため、あくまで策定当時の「臨床医学の実践における医療水準」を判断する際のひとつの資料と位置付けられるものである(ガイドラインの記載内容が、当然に「臨床医学の実践における医療水準」となるものではない)。

6517.

第223回 マイクロRNA除去でマウスが性転換

マイクロRNA除去でマウスが性転換小ぶりなRNA配列であるマイクロRNA(miRNA)一揃いを省くことで、マウスの生物学的な性をオスからメスにすっかり変えることができました1,2)。それらのmiRNAはmiR-17~92群と呼ばれ、6つのmiRNA遺伝子で構成されます。miRNAはタンパク質のアミノ酸配列を指定するものではなく、遺伝子発現を調節する役割を担います。性染色体がXYのマウスのmiR-17~92群を省いたところ、精巣は作られず、代わりにメスの証である卵巣が生じました。その仕組みを調べるべくmiR-17~92群を備える野生型マウスとmiR-17~92群を欠くマウスの細胞組成を比較したところ、精子発達を支えるセルトリ細胞の分化がmiR-17~92群を欠くマウスでは減少していました。miR-17~92群はセルトリ細胞の分化に携わっているようです。さらに研究を進めたところ、miR-17~92群を省くとセルトリ細胞の発生が妨げられることには、精巣の発達に不可欠なタンパク質である性決定領域Y(SRY)の抑制が寄与していると示唆されました。性染色体がXYの胚ではいつもどおりならSRY遺伝子が発現し、精巣発達に不可欠な転写因子SOX9が活性化されることで生殖腺は精巣になっていきます。一方、SRY遺伝子がない性染色体XXの胚では卵巣が作られます。性染色体がXYの動物での精巣の発達には、ちょうどよい時期でのSRY遺伝子発現を必要とすることが先立つ研究で示されています。しかしmiR-17~92群を省いた胚の精巣ではSRY遺伝子の発現が半日(12時間)ほど後ろ倒しになっており、SRYも減少していました。また、セルトリ細胞の前駆細胞にSOX9が見当たりませんでした。そのようなタンパク質発現の変化が相まって、最終的にマウスの性転換を引き起こしたようです。今回の研究には携わっていないThe Francis Crick Instituteの卵巣発達学者Roberta Migale氏は、miR-17~92群を省いて生じた変化は目を見張るものであり、性の完全転換はまったく驚くべきことだと言っています3)。Migale氏によると、miR-17~92群は進化で振り落とされずよく残っており、今回の研究で示されたような性決定の仕組みはヒトにもありそうです。これまで何十年も性決定研究の的といえばタンパク質の基になる遺伝子であり、タンパク質の基ではないmiRNAのような非コード因子の性決定への寄与はわからないままでした。今回の発見を契機に性発達疾患の臨床研究で非コード因子に目が向けられるようになることをMigale氏は望んでいます。今後の課題としてmiR-17~92群がSRY遺伝子の発現をどう調節しているかを調べる必要があります。SRY遺伝子はmiR-17~92群の標的とみなされておらず、miR-17~92群の欠如は何らかの仲介によってSRY遺伝子発現を遅らせるようです。ちなみにmiR-17~92群を省くと数百もの遺伝子発現が乱れます1)。miR-17~92群の働きの正確な把握はかなりの技術が必要だろう、と今回の研究を率いたスペインのグラナダ大学のFrancisco Barrionuevo氏は言っています3)。参考1)Hurtad A, et al. Nat Commun. 2024;15:3809.2)Scientists made mice with Y chromosomes female by deleting just 6 tiny molecules / Live Science3)Deleting a MicroRNA Cluster Reversed Biological Sex in Mice / The Scientist

6518.

外科「電気メスの基本手技」【臨床実習を味わうケアネット動画Café】第2回

動画解説臨床研修サポートプログラムの研修医のための外科ベーシックより、本間崇浩先生の「電気メスの基本手技」を鑑賞します。電気メスの各設定で生肉を切ってみる。有害事象を起こさないためにデバイスの仕組みもしっかり勉強して臨みましょう!

6519.

急性肝障害の発現率、194種類の薬剤で比較

 実臨床における重度の薬剤誘発性急性肝障害の発現率に関するデータは少ない。そこで、米国・ペンシルベニア大学のJessie Torgersen氏らの研究チームは、肝毒性が疑われる194種類の薬剤について、重度の急性肝障害の発現率を調査した。その結果、1万人年当たり10件以上の重度の急性肝障害が認められた薬剤は7種類であった。また、重度の急性肝障害の発現率が高い薬剤には、抗菌薬が多かった。本研究結果は、JAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年6月24日号で報告された。 研究チームは、米国退役軍人のデータを用いて後ろ向きコホート研究を実施した。本研究には、2000年10月1日~2021年9月30日の期間のデータを用いた。対象は、肝臓疾患や胆道疾患の既往歴がない患者789万9,888例とした。外来で処方される薬剤のうち、過去に薬剤誘発性肝障害が報告されている194種類について、1万人年当たりの重度の急性肝障害の発現率を調査した。主要評価項目は、薬物治療開始後に発現した入院を要する重度の急性肝障害の発現率とした。 主な結果は以下のとおり。・重度の急性肝障害が1万人年当たり10件以上発現した薬剤は7種類であった。薬剤の種類および1万人年当たりの発現率(95%信頼区間[CI])は以下のとおり。 スタブジン(販売中止):86.4件(27.7~269.7) エルロチニブ:19.7件(7.4~53.0) レナリドミド:13.7件(6.4~28.9) クロルプロマジン:12.0件(4.5~32.3) メトロニダゾール:11.8件(7.4~18.7) プロクロルペラジン:11.6件(7.4~18.2) イソニアジド:10.5件(5.8~19.2)・重度の急性肝障害が1万人年当たり5.0~9.9件以上発現した薬剤は10種類であった。薬剤の種類および1万人年当たりの発現率(95%CI)は以下のとおり。 モキシフロキサシン:9.3件(5.6~15.4) アザチオプリン:7.7件(3.7~16.4) レボフロキサシン:7.2件(4.6~11.1) クラリスロマイシン:6.7件(3.3~13.5) ケトコナゾール:6.1件(2.0~19.0) フルコナゾール:6.0件(3.4~10.4) カプトプリル:5.8件(2.7~12.2) アモキシシリン・クラブラン酸:5.4件(3.7~7.9) スルファメトキサゾール:5.1件(3.5~7.3) シプロフロキサシン:5.1件(3.5~7.4)・以上の17種類のうち11種類は、既存のケースレポートに基づく急性肝障害の発現リスク分類において、最上位に含まれていない薬剤であった。・17種類のうち11種類を抗菌薬・抗レトロウイルス薬が占めた。

6520.

未治療の急性期統合失調症患者におけるビリルビン値と代謝パラメータとの関連

 酸化システムは、統合失調症発症に重要な影響を及ぼす。統合失調症患者のさまざまなエピソードにおいて、高ビリルビン血症と精神病理や糖脂質代謝との間に、一貫性のない関連が認められている。中国・安徽医科大学のYinghan Tian氏らは、急性期エピソードおよび薬物治療未治療の統合失調症患者を対象に、これらの関連性を調査した。BMC Psychiatry誌2024年5月29日号の報告。 安徽医科大学附属巣湖病院の電子カルテシステムより抽出した5年間(2017年5月〜2022年5月)のデータを用いて、レトロスペクティブ研究を実施した。地元の医療スクリーニングセンターより同期間の健康対象者データを抽出した。対象者のビリルビン濃度(総ビリルビン[TB]、抱合ビリルビン[CB]、非抱合ビリルビン[UCB])、糖脂質代謝パラメータ、簡易精神症状評価尺度(BPRS)スコアを収集した。 主な結果は以下のとおり。・特定された1,468件の症例記録をスクリーニング後、急性期エピソードおよび薬物治療未治療の統合失調症患者(AEDF群)89例および対照群100例を対象に、分析を行った。・AEDF群は、対照群と比較し、CBレベルが高く、HDLコレステロール(HDL-C)を除く糖脂質代謝パラメータのレベルが低かった(各々、p<0.001)。・バイナリロジスティック回帰分析により、AEDF群のビリルビンレベルの高さと独立して関連が認められた因子は、次のとおりであった(各々、p<0.05)。●BPRS総スコア、抵抗サブスケールスコアの高さ●HDL-Cレベルの高さ●総コレステロール、トリグリセライドレベルの低さ 著者らは、「急性期エピソードおよび薬物治療未治療の統合失調症患者では、ビリルビンレベルが上昇しており、ビリルビンレベルが高いほど、精神病理がより重篤で、糖脂質代謝が比較的最適化されていることが示唆された。臨床現場では、この患者集団のビリルビン値を定期的にモニタリングすべきである」としている。

検索結果 合計:36520件 表示位置:6501 - 6520