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第79回 トイレの悪臭と極寒、被災地の看護師が見たもの

Unsplashより使用「令和6年能登半島地震」により、避難生活を余儀なくされている方がまだまだたくさんおられます。断水と停電の中、気温が低く、インフルエンザも流行しており、多くの避難者が精神的に疲弊しています。現地にいる看護師から、どのような現状なのかお聞きしました。発熱者が増加する避難所1~2日間程度の避難生活であればそこまで大きな問題にならないのですが、1週間を超えてくると、感染症などさまざまな医学的問題が勃発します。とくに現在流行しているインフルエンザはピークアウトの兆しがあったものの、避難所のように密に寄せ合う環境では、発熱者がちらほら出てきたみたいです。石川県の直近の定点医療機関当たりの感染者数はインフルエンザで22.69人、新型コロナで4.73人です(図)。じわじわと新型コロナが増えているのが気がかりですね。画像を拡大する図. 石川県の定点医療機関当たりのインフルエンザおよび新型コロナ感染者数(筆者作成)1、2)本来、手指衛生やマスクによって感染対策を講じる必要がありますが、断水で水不足の状況では手洗いがなかなかできず、マスクも何日も使えるものではありません。数十人規模の避難所では発熱者が10人を超えているところもあり、個々の感染対策ができない以上、感染症が広がるのは必然と言えます。とはいえ、診断キットが不足しており、発熱の原因の実態はよくわかっていないようです。避難所によって差私が話を聞いた看護師がいる七尾市の避難所は、ストーブも暖房も全然効かないような場所だそうで、支給されていた毛布は1枚のみだそうです。厚着していても、最低気温2度の状態では毛布1枚ごときでは全然眠れないという意見があったそうです。断水になっている地域はどこもトイレ環境は劣悪で、トイレの前に汚物を置いているため、悪臭が漂っていたようです。感染性腸炎も流行している避難所があり、悪臭が地獄だという投稿もありました。被災地では病院の水も不足しており、病院によっては雪を溶かして使っているところもあったそうです。テレビもネットもなかなかつながらず、情報が入ってこないことにストレスを感じて、その看護師のいる避難所では、避難者同士の揉め事が増えているようです。さすがに殴り合いや犯罪は起こっていないようですが、ネットでは詐欺や窃盗のニュースも増えており、危機感を持っていると言っていました。道路の補修が進んでいないことから、石川県に入る道路が渋滞しているため、これが物資が届きにくい要因になっています。とはいえ、すでにいろいろな公的ボランティアが現地入りできており、避難所で炊き出しや物資の配布が行われています。場所によって少し差が発生しているようですが、これも早晩解消されるのではないかと思います。参考文献・参考サイト1)厚生労働省:インフルエンザの発生状況2)厚生労働省:新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況等)2023年6月~

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速読では(1)診断、(2)根拠、(3)治療 を確認する【国試のトリセツ】第23回

§4 演習の工夫速読では(1)診断、(2)根拠、(3)治療 を確認するQuestion〈108B59〉22歳の男性。全身の筋力低下のため搬入された。現病歴5日前に下痢と悪心とがあった。昨日の起床時に歯ブラシをしっかり握れず、朝食時には箸を使えなかった。昼には両腕を持ち上げることができなくなり、夕食時には舌がもつれて話しにくく、むせるようになった。今朝は起き上がれず、母親が救急車を要請し、即日入院となった。既往歴特記すべきことはない。生活歴大学4年生。家族歴特記すべきことはない。現 症意識は清明。身長168cm、体重63kg。体温36.8℃。脈拍64/分、整。血圧150/96mmHg。呼吸数18/分。SpO2 96%(room air)。認知機能に異常を認めない。両眼の睫毛徴候を認め、鼻唇溝は浅く、口笛を吹くまねができない。構音はやや不明瞭で、軽度の嚥下障害を認める。顔面の感覚には異常を認めない。臥位での頭部挙上ができない。徒手筋力テストで上肢は1~2に低下し、下肢も3に低下している。握力は両側0kgである。上下肢とも筋萎縮と感覚障害とを認めない。腱反射は上下肢とも消失し、病的反射を認めない。自力歩行はできない。排尿と排便とに異常を認めない。検査所見:尿所見と血液所見とに異常を認めない。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン3.9g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 33IU/L、ALT 26IU/L、CK 86IU/L(基準30~140)、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、血糖86mg/dL、Na 138mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 97mEq/L。CRP 0.8mg/dL。動脈血ガス分析(room air)に異常を認めない。呼吸機能検査:% VC 73.1%、FEV1% 94.5%。心電図と胸部X線写真とに異常を認めない。脳脊髄液所見:初圧155mmH2O(基準70~170)、細胞数2/mm3(基準0~2)(単核球100%)、蛋白83mg/dL(基準15~45)、糖69mg/dL(基準50~75)。この患者の筋力低下の原因はどれか。(a)脚気(b)ペラグラ(c)重症筋無力症(d)周期性四肢麻痺(e)Guillain-Barre 症候群

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不眠症の診断治療に関する最新情報~欧州不眠症ガイドライン2023

 2017年以降の不眠症分野の進歩に伴い、欧州不眠症ガイドラインの更新が必要となった。ドイツ・フライブルク大学のDieter Riemann氏らは、改訂された欧州不眠症ガイドラインのポイントについて、最新情報を報告した。Journal of Sleep Research誌2023年12月号の報告。欧州不眠症ガイドライン2023の主なポイント 改訂された欧州不眠症ガイドラインの主なポイントは以下のとおり。・不眠症とその併存疾患の診断手順に関する推奨事項は、臨床面接(睡眠状態、病歴)、睡眠アンケートおよび睡眠日誌(身体検査、必要に応じ追加検査)【推奨度A】。・アクチグラフ検査は、不眠症の日常的な評価には推奨されないが【推奨度C】、鑑別診断には役立つ可能性がある【推奨度A】。・睡眠ポリグラフ検査は、他の睡眠障害(周期性四肢運動障害、睡眠関連呼吸障害など)が疑われる場合、治療抵抗性不眠症【推奨度A】およびその他の適応【推奨度B】を評価するために使用する必要がある。・不眠症に対する認知行動療法は、年齢を問わず成人(併存疾患を有する患者も含む)の慢性不眠症の第1選択治療として、対面またはデジタルにて実施されることが推奨される【推奨度A】。・不眠症に対する認知行動療法で十分な効果が得られない場合、薬理学的介入を検討する【推奨度A】。・不眠症の短期(4週間以内)治療には、ベンゾジアゼピン系睡眠薬【推奨度A】、ベンゾジアゼピン受容体作動薬【推奨度A】、daridorexant【推奨度A】、低用量の鎮静性抗うつ薬【推奨度B】が使用可能である。利点と欠点を考慮して、場合により、これら薬剤による長期治療を行うこともある【推奨度B】。・いくつかのケースでは、オレキシン受容体拮抗薬を3ヵ月以上使用することができる【推奨度A】。・徐放性メラトニン製剤は、55歳以上の患者に対し最大3ヵ月間使用可能である【推奨度B】。・抗ヒスタミン薬、抗精神病薬、即放性メラトニン製剤、ラメルテオン、フィトセラピーは、不眠症治療に推奨されない【推奨度A】。・光線療法や運動介入は、不眠症に対する認知行動療法の補助療法として役立つ可能性がある【推奨度B】。

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効果的なFreeStyleリブレのスキャン回数が明らかに/京都医療センターほか

 糖尿病の血糖管理において、先進糖尿病デバイスとして持続血糖モニター(CGM)が活用されている。CGMには間歇スキャン式(isCGM)とリアルタイムCGMの2方式がある。間歇スキャン式では、上腕の後ろに装着されたセンサーをワイヤレスでスキャンすることでグルコース値が測定でき、リーダーやスマートフォンを使用する手軽さが魅力的だ。海外の先行研究では、スキャンの頻度が増すほど、HbA1cやTIR(time in range)などの血糖管理指標が改善すると報告されている。そのエビデンスに基づいて、これまでは「できるだけ多くスキャンするように」という指導がされてきたが、70~180mg/dLのTIR70%超を達成する最適なスキャン回数は明らかではなかった。 坂根 直樹氏(京都医療センター 臨床研究センター 予防医学研究室長)らのFGM-Japan研究グループ(全9施設)は日本人1型糖尿病211例(平均年齢50.9±15.2歳、男性40.8%、糖尿病期間16.4±11.9年、CGM使用期間2.1±1.0年、平均HbA1c7.6±0.9%)を対象に、過去90日間のグルコース値データから、TIRを算出し、ROC曲線から最適なスキャン回数を明らかにするとともに、そのスキャン回数に与える要因も明らかにした。Diabetology International誌2023年9月12日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・平均スキャン回数は10.5±3.3回/日。・スキャン回数はTIRと正の相関、TAR(time above range)と負の相関があったが、TBR(time below range)とは有意な相関は認められなかった。・スキャン回数は低血糖不安-行動スコアと正の相関があり、一部の血糖変動指標(ADRR[average daily risk range]、%CV[coefficient of variation]など)と負の相関があった。・運動習慣のある者は、ない者に比べてスキャン回数が有意に多かった。・TIRが70%超に対するスキャン回数のAUCは0.653で、最適なカットオフ値は1日に11.1回のスキャンだった。 坂根氏は、「今までは『できるだけスキャンしなさい』と患者に指導することが多かったが、本研究から目標血糖を達成するために3食前後、起床と就寝時、間食や運動前後など、12回のスキャンを推奨するエビデンスが得られた。また、運動習慣がある人はスキャン回数が多いことや、スキャン回数が多い人ほど低血糖に対する対処行動が多いという結果はリブレを用いた糖尿病療養指導に大いに役立つと考えられる」と述べている。

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大腸がん、FTD/TPI+ベバシズマブ隔週療法の臨床試験開始。がん領域初のプラグマティック試験で/愛知県がんセンター

 愛知県がんセンターは、大腸がんを対象としたトリフルリジン・チピラシル(FTD/TPI)・ベバシズマブ併用の従来法と隔週法を比較する無作為化第III相試験(PRABITAS試験)を開始した。 FTD/TP+ベバシズマブは大腸がんの標準治療として世界中で広く用いられている。従来の投与方法は5日間内服後2日間休薬を2回行い、その後2週間休薬する28日サイクルである。この投与法は、標準療法として用いられる一方、有害事象(白血球減少や好中球減少)が比較的多くみられるため、5日間内服後に9日間休薬する14日サイクル(隔週法)が提案されている。隔週法では、小規模臨床試験で副作用軽減が示されているが、その有効性と安全性について、十分に検証されているとはいえない。 愛知県がんセンター薬物療法部の谷口 浩也氏らは、隔週法が従来法(28日サイクル法)に非劣性を示すかを検証する多施設第III相試験(PRABITAS試験)を、既治療の切除不能大腸がんを対象に開始した。全国約250の医療機関から890例の患者参加を目指す。国内の切除不能大腸がんの第III相試験としては最大規模となる。 また、この試験では新たな臨床試験の手法として、プラグマティック無作為化臨床試験が採用される。プラグマティック臨床試験は、日常臨床下での医師や患者、保険者などの意思決定をサポートするために、一般化可能性が高くなるようデザインしたうえで、無作為化し、前向きに追跡する臨床試験。試験参加基準項目数が従来の半分以下に緩和され、無作為に振り分けた後の治療や検査は日常診療と同様に行われる。がん領域でのプラグマティック臨床試験としては、同試験が日本初の試みとなる。 このPRABITAS試験によって非劣性が証明されれば、既治療の切除不能大腸がんの新たな標準治療として隔週法を提供できるようになる。また、プラグマティック臨床試験による患者・医療者の負担を軽減したがん臨床試験、効率的な治療開発の実現が可能となる。

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脳転移のある乳がんの予後、HER2低発現vs.HER2ゼロ

 脳転移した乳がん患者において、HER2低発現の患者はHER2ゼロの患者よりも良好な予後を示し、とくにホルモン受容体(HR)陰性の患者で顕著であることが、中国・National Cancer CenterのHangcheng Xu氏らの後ろ向き研究で示された。Breast誌オンライン版2024年1月1日号に掲載。 この後ろ向き研究は、2010年1月~2021年7月にHER2発現状況が確認できた乳がん脳転移患者について、HER2低発現(IHC 1+またはIHC 2+/ISH-)患者71例とHER2ゼロ患者64例を比較したもの。主要評価項目は脳転移診断後の全生存期間(OS)で、log-rank検定を用いたKaplan-Meier曲線とCox比例ハザードモデルで評価した。 主な結果は以下のとおり。・限られたサンプル数にもかかわらず、HER2低発現患者のOSはHER2ゼロ患者と比較して有意に良好だった(26ヵ月vs.20ヵ月、p=0.0017)。この傾向はHR陰性群で顕著(26ヵ月vs.13ヵ月、p=0.0078)だったが、HR陽性群では有意差は認められなかった。・Cox回帰分析により、HER2低発現がHR陰性患者のOSを延長する独立した予後因子であることが明らかになった(多変量解析においてp=0.046)。 本研究の結果、HER2低発現が脳転移のある乳がん患者の生存期間延長に関連することが示唆された。

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重症小児の全身酸素化、SpO2目標低めがアウトカム良好/Lancet

 小児集中治療室(PICU)に緊急入室し侵襲的換気療法を受ける小児において、制限的目標酸素投与(conservative oxygenation target)は、非制限的目標酸素投与(liberal oxygenation target)と比較して、30日時点の臓器支持期間または死亡について、良好なアウトカムを得られる可能性が、わずかではあるが有意に高いことが示された。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのMark J. Peters氏らが、2,040例の小児を対象に行った多施設共同非盲検並行群間比較無作為化試験「Oxy-PICU試験」の結果を報告した。重症小児患者における最適な目標酸素投与量は明らかになっていない。非制限的酸素投与は広く行われているが、小児患者では害を与えるとされていた。結果を踏まえて著者は、「制限的な酸素飽和度目標値(SpO2:88~92%)を広く取り入れることは、PICUに入室する重症小児患者のアウトカム改善およびコスト削減に役立つだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年12月1日号掲載の報告。30日までの臓器支持期間または死亡を比較 研究グループは英国15ヵ所のPICUで試験を行い、制限的酸素療法が標準療法と比較して、臓器支持期間または死亡の発生を減少させるかどうかを評価した。 緊急入院し、侵襲的換気療法を受けている修正在胎期間38週超~16歳未満の小児を、ウェブベースシステムを用いて、制限的酸素投与群(目標SpO2値:88~92%)および非制限的酸素投与群(目標SpO2値:>94%)に1対1の割合で無作為に2群に割り付けた。 主要アウトカムは、無作為化後30日時点の臓器支持期間で、30日目またはそれ以前の死亡を最悪のアウトカム(臓器支持31日間と同等のスコア)とするランクベースのエンドポイントであり、それ以外の被験者(生存者)には、臓器支持を受けた暦日に応じ1~30のスコアで評価した。 主要な効果推定値は確率指数(PRI)で、0.5超は無作為に選ばれた患者について、制限的酸素投与のほうが、非制限的酸素投与に比べて優れている確率が50%超であることを示すものとした。 同意が得られたすべての被験者を対象にITT解析を行った。制限的酸素投与が良好なアウトカムを示す 2020年9月1日~2022年5月15日に、2,040例の小児が制限的酸素投与群または非制限的酸素投与群に無作為化された。そのうち1,872例(92%)から同意を得た。 制限的酸素投与群は939例(927例中528例[57%]が女子、399例[43%]が男子)、非制限的酸素投与群は933例(920例中511例[56%]が女子、409例[45%]が男子)だった。 最初の30日間の臓器支持期間または死亡の発生は、制限的酸素投与群で有意に低かった(PRI:0.53、95%信頼区間[CI]:0.50~0.55、ウィルコクソン順位和検定(Wilcoxon rank-sum test)のp=0.04、補正後オッズ比:0.84[95%CI:0.72~0.99])。 事前に規定した有害事象は、制限的酸素投与群939例中24例(3%)、非制限的酸素投与群933例中36例(4%)で報告された。

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緊急避妊薬、新年直後に販売数が増加/BMJ

 米国のドラッグストアや量販店で、レボノルゲストレル緊急避妊薬の販売数について調べたところ、新年の祝日後に顕著に増加することが、米国・テキサス工科大学のBrandon Wagner氏らが行った時系列分析で示された。そのほか、バレンタインデー、セントパトリックスデー、米国の独立記念日の後にも、新年の祝日後ほどではないが増加が認められたという。結果を踏まえて著者は、「新年の祝日後の緊急避妊薬の売上増加は、この時期が他の休日と比べて、無防備な膣性交のリスクが高いことを示唆している」と述べ、「行動リスクをターゲットとした性暴力を軽減するための予防戦略と、休日前後の避妊薬へのアクセスを改善することで、無防備な膣性交のリスクを制限できる可能性がある」とまとめている。BMJ誌2023年12月20日号クリスマス特集号「ANNUAL LEAVE」掲載の報告。新年直後とそれ以外の週の販売数を比較 研究グループは自己回帰統合移動平均(ARIMA)モデルを使用した時系列分析にて、大みそか・元旦休暇後の緊急避妊薬の売上増加を推計した。2016~22年の米国の従来型(実店舗)小売店(食料品店、ドラッグストア、量販店、クラブストア、1ドルショップ、軍用アウトレット)で集めた緊急避妊薬の週単位販売データ(362件)について、新年の祝日後(6件)とそれ以外(356件)に分け、ARIMAモデルを用いた時系列分析で比較した。 主要アウトカムは、米国の生殖可能年齢の女性1,000人当たりの、レボノルゲストレル緊急避妊薬の週間販売数とした。新年直後の週、緊急避妊薬販売数は0.63/女性1,000人の増加 レボノルゲストレル緊急避妊薬の販売数は、新年祝日後に顕著に増加した(15~44歳の女性1,000人当たり0.63単位増加、95%信頼区間:0.58~0.69)。 そのほか、バレンタインデー、セントパトリックスデー、米国の独立記念日で祝日後に同増加が認められた。 同増加は15~44歳の女性1,000人当たりそれぞれ、0.31(同:0.25~0.38)、0.14(同:0.06~0.23)、0.20(同:0.11~0.29)だった。 これら以外の祝日(イースター、母の日、父の日)後に、同増加は認められなかった。

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妊娠によって明らかになった将来の健康ハイリスク女性に対する、効果的な産後介入の可能性(解説:三戸麻子氏)

 妊娠高血圧症候群に罹患した女性は、将来の生活習慣病や脳心血管病のハイリスクであることが知られている。しかし、現行の診療ガイドラインでは、産後にそのリスクを周知し、健康的なライフスタイル指導を推奨しているのみで、フォローアップの方法は確立していない。本研究では、産後の血圧自己モニタリングと医師による降圧薬調整の遠隔指導を行うことで、通常の産後管理と比較して、産後9ヵ月時の拡張期血圧が低下したことが示され、将来の疾病予防につながる可能性が示唆された。 評価時の介入群の状態は、降圧薬内服者の割合も従来群と比較して多く、BMIはベースライン(産後1~6日)からの増加がより抑えられていた。育児に慌ただしく、自身の健康管理が不十分になってしまいがちなハイリスク女性を、医師が伴走することにより管理できた結果であり、QOLスコアが両者で同等であったことも興味深い。本報告は単一施設での研究結果であり、同様の方法を均てん化させるためには、さまざまなハードルがあると考えられる。 しかし、妊娠・出産・育児という人生の転機を健康的に乗り切るためには、その管理を女性任せにするのではなく、医療者による支えが必要であり、またそれが効果的であることを示すエビデンスとなったのではないかと思う。

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2次観察分析としてこういった観点はいかがなものか?(解説:野間重孝氏)

 今回の研究は、著者らのグループが2018年にLancet誌に発表したHigh-STEACS試験の関連観察研究である。正直に言って論点がわかりにくく、論文を誤解して読んだ方が多かったのではないかと心配している。 著者らはHigh-STEACS試験において、急性冠症候群(ACS)を疑われた患者に対して、トロポニンIの高感度アナリシスを用いることにより、より多くの心筋障害患者を同定することができたのだが、標準法を用いた場合と1年後の予後に差がなかったことを示した。この論文はジャーナル四天王でも取り上げられたのでお読みになった方も多いと思うが、当時の論調では著者ら自身、そこまで言い切ってよいものか迷いが見られていたのだが、本論文でははっきり「心イベントが有意に減少することはなかった」という表現で断定している。分析法とカットオフ値が確定したことが要因だったのではないかと推察する。 本研究はHigh-STEACS試験の2次観察分析で、今回は非虚血性と診断された高感度アッセイによる再分類患者の5年後の予後を調査したものである。心筋梗塞と診断された患者の予後は高感度アッセイの結果とは関係がなかった一方、非虚血性心筋障害の患者では再分類され、適切な治療を受けた患者の予後が良かったとしたもので、高感度アッセイは非虚血性心筋障害を発見し、適切な治療を施すことに貢献できるのではないかとしている。やや乱暴な解釈の仕方をすると、「心筋梗塞を診断するためには標準法で十分であり、高感度アッセイはその他の心筋障害を見つけ出すことにこそ寄与する」と言っていると言えなくもない。 現在、心筋梗塞のバイオマーカーとしてはCK-MB、トロポニンT&I、H-FABP、ミオシン軽鎖が使用されており、一時はCK-MBが最も一般的な検査項目だったが、Universal Definition以来、現在ではもっぱらトロポニンが使用されている。なお、CK-MBは連続測定することにより梗塞のサイズの推定が行われていた時期もあったが、現在では行われていない。 ところが検査というのは皮肉なもので、感度が上がると本来検出されない濃度のものまでが検出されて問題にされるようになる。心筋トロポニンは確かに心筋に特異的なタンパク質であるが、敗血症、腎不全、肺塞栓症、心不全、外科的治療後、SARS-CoV-2感染症など、さまざまな非心疾患でも心筋の障害が惹起されることによりわずかな上昇を示すことが知られている。何回か測定し、測定値にはっきり高低がつけば虚血性、ほぼ同じ値を示せば非虚血性と判断できるが、できるだけ早い判断が求められる救急の現場にはそのようなやり方は通用しないだろう。 これは国情の違いということになるのだろうが、わが国(米国においても同じだが)においては、臨床症状、諸検査からACSが強く疑われた場合は、血液検査の結果がすべて出そろうのを待つことなく緊急カテーテル検査が行われるのが常識となっており、それに対応できない組織は第3次救急施設には認定されない。虚血性心疾患ではonset-to-balloon timeがすべてを決めると言っても過言ではないからである。その意味でACSが強く疑われる患者を2次救急施設に留め置くことは厳に控えるべきで、ただちに3次施設に搬送することが望ましい。 高感度アッセイを行うことにより諸疾患に伴う心筋障害を発見し、より適切な治療を行うという主旨にはまったく異論はないが、それをACSの診断・治療と絡めて論ずるのは適当とは言えないと考えるものである。さらに付け加えることをお許しいただけるならば、SARS-CoV-2による心筋炎は大変話題になったが、この診断にトロポニン測定がぜひ必要だったとは言えない。それぞれの疾患にはその主流となる診断・治療の流れがあり、トロポニン測定はその手助けにはなるであろうが、決して主流ではない。大きな臨床研究が行われた場合、その追跡調査や2次観察研究が行われるのは自然の流れではあるが、今回の研究についてはこのような一流誌に掲載される性格のものではなかったのではないかというのが、評者の偽らざる感想である。

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取れない指輪の取り方【いざというとき役立つ!救急処置おさらい帳】第10回

今回は、指輪が取れなくなった患者さんの対処法を紹介します。救急外来ではさまざまな理由で指輪を取らなければならないシチュエーションに遭遇します。たとえば、指輪をはめていた指を骨折した、MRIを撮るために指輪を外したい、などです。症例を通じて指輪を取り外す方法を学びましょう。<症例>28歳、男性主訴指輪が取れない患者の彼女が付けていた指輪をはめてみたところ取れなくなった。何度かトライしていたら指が腫れ始め、痛みが強いため受診した。指輪の除去にはさまざまな方法がありますが、決まったアルゴリズムはありません1)。今回は私が施行している順番でアプローチします。(1)せっけんやオイルを使用する患者さん自身でも簡便にできるのですが、あまり行われていないのがこの技法です。私は患者さんの手をよく濡らしてせっけんをつけ、滑りをよくしたうえで指輪の除去を試みます。意外にスムーズに取れることがあります。ただし、この技法は指輪の内径が指の太さ以下の場合に効果があり、腫れが強い場合はあまり成功しない印象があります。今回の症例ではこの方法による除去が困難でした。(2)鎮痛して圧迫する本症例のように指の腫脹が強い場合は、浮腫を減らしてから指輪を除去する必要があります。その際に、腫脹部位を強く圧迫してその上を何とかして指輪を通しますが、かなり痛みが生じるため指ブロックなどを施行しましょう。(3)浮腫を除くa)Winding techniqueタコ糸やナイロン糸、デンタルフロスなどの糸を腫脹部位に巻き、腫脹を軽減してから糸に沿わせて除く方法です。私は主にこちらの手技を使用しています。手順を記載しますが、動画で見るほうがわかりやすいのでぜひ再生してください。1.指輪の下に糸を通す。2.腫脹部位から隙間なくPIP関節を超えるまで糸を巻く。3.せっけんやオイルなどで摩擦を減らして、糸を末梢側からほどくように糸を取る。動画1 糸を用いた指輪の外し方b)Compression techniqueペンローズドレーンを用いて行う方法です。図1を見ていただきたいのですが、まず末梢側から指輪までを強く縛り(A)、次に中枢側から末梢側にPIP関節を超えるまで巻きます(B)。その後Bをほどき、末梢側から指輪を抜きながらAを徐々にほどいていきます。Winding techniqueと似ていますが、指輪にひもを通さなくてよい点や、何度も繰り返して腫脹を取ることができる点が異なります。必ずしもペンローズでなくてもよく、駆血帯バンドでも代替え可能と考えます。図1 Compression techniquec)The glove techniqueこれは日本人が発明した方法です2)。ゴム手袋を図2の赤線のように切ります。事前に滑りやすくするために、せっけんやオイルを塗布しましょう。指輪の下に手袋の切れ端を通して反転させ、左右にずらしながら滑らせるようにして取り外します(動画2)。図2 ビニール手袋の切り方動画2 The glove technique(潤滑剤を使用していないのでやや滑りが悪い)指輪が抜けなくなる理由は2つあり、そもそもPIP関節部位の外径が指輪より大きいことか、何らかの原因による腫脹により指の外径が指輪より大きくなったことです。上記c)のThe glove techniqueは「何らかの原因による腫脹により指の外径が指輪より大きい」の場合に有効なのですが、「そもそもPIP関節部位の外径が指輪より大きい」という理由が単独の場合はこの手技を行ったとしても指輪の除去は困難です。本症例はこれらの理由の複合であり、上記処置をトライしましたが除去できませんでした。そうなると残念ながら指輪を破壊or切断する必要があります。(4)指輪の切断最も有名なのがリングカッターではないでしょうか(図3)。動画3のようにして切断します。リングカッターがない場合は、先端で切断できるプライヤーを用いる方法もあります。しかし、この方法は指と指輪の間にプライヤーの先端を入れなければならないため、スペースの確保が必要になります。1)Kalkan A, et al. Am J Emerg Med. 2013;31:1605-1611.2)Inoue S, et al. Anesthesiology. 1995;83:1133-1134.3)Rahimian R, et al. Cureus. 2019;11:e4474.4)日本タングステン株式会社:タングステンってなあに?

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第194回 能登半島地震、被災地の医療現場でこれから起こること、求められることとは~東日本大震災の取材経験から~

木造家屋の倒壊の多く死因は圧死や窒息死こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。元日に起きた、最大震度7を観測した能登半島地震から9日が経過しました。最も被害が大きかった石川県では、1月9日現在、死者202人、負傷者565人、安否不明者102人と発表されています。1月8日現在の避難者数は2万8,160人とのことです。テレビや新聞などの報道をみていると、木造家屋の倒壊の多いことがわかります。その結果、死因は圧死や窒息死が大半を占めているようです。道路の寸断などによって孤立している集落がまだ数多く、避難所の中にも停電や断水が続いているところもあります。さらには、避難所が満員で入所できない人も多いようです(NHKニュースではビニールハウスに避難している人の姿を伝えていました)。本格的な冬が訪れる前に、被災した方々が、まずは一刻でも早く、ライフラインや食料が整った避難所やみなし避難所(宿泊施設等)への避難できることを願っています。東日本大震災との大きな違い1995年に起きた阪神・淡路大震災では、約80%が建物倒壊による圧死や窒息死でした。このときの教訓をもとに組織されたのがDMATです。しかし、2011年に起きた東日本大震災では津波の被害が甚大で、死亡者の8〜9割が溺死でした。震災直後、私は被災地の医療提供体制を取材するため宮城県の気仙沼市や石巻市に入りましたが、阪神・淡路と同じような状況を想定して現地入りしたDMATの医師たちが、「数多くの溺死者の前でなすすべもなかった」と話していたのを覚えています。今回の地震は、津波の被害より建物倒壊の被害が圧倒的に多く、その意味で震災直後のDMATなどの医療支援チームのニーズは大きいと考えられます。ただ、道路の寸断などで、物資や医療の支援が行き届くまでに相当な時間が掛かりそうなのが気掛かりです。これから重要となってくるのは“急性期”後、“慢性期”の医療支援震災医療は、ともすれば被災直後のDMATなどによる“急性期”の医療支援に注目が集まりますが、むしろ重要となってくるのは、その後に続く、“慢性期”の医療支援だということは、今では日本における震災医療の常識となっています。外傷や低体温症といった直接被害に対する医療提供に加え、避難所等での感染症(呼吸器、消化器)や血栓塞栓症などにも気を付けていかなければなりません。その後、数週間、数ヵ月と経過するにつれて、ストレスによる不眠や交感神経の緊張等が高血圧や血栓傾向の亢進につながり、高血圧関連の循環器疾患(脳梗塞、心筋梗塞、大動脈解離、心不全など)が増えてくるとされています。そのほか、消化性潰瘍や消化管穿孔、肺炎も震災直後に増えるとのデータもあります。DMAT後の医療支援は、東日本大震災の時のように、日本医師会(JMAT)、各病院団体や、日本プライマリ・ケア連合学会などの学会関連団体が組織する医療支援チームなどが担っていくことになると思われますが、過去の大震災時と同様、単発的ではなく、長く継続的な医療支援が必要となるでしょう。ちなみに厚生労働省調べでは、1月8日現在、石川県で活動する主な医療支援チームはDMAT195隊、JMAT8隊、AMAT(全日本病院医療支援班)9隊、DPAT(災害派遣精神医療チーム)14隊とのことです。避難所や自宅で暮らす高齢者に対する在宅医療のニーズが高まる医療・保健面では、高血圧や糖尿病、その他のさまざまな慢性疾患を抱えて避難所や地域で暮らす多くの高齢者の医療や健康管理を今後どう行っていくかが大きな課題となります。そして、避難所や自宅で暮らす住民に対する在宅医療の提供も必要になってきます。東日本大震災では、病院や介護施設への入院・入所を中心としてきたそれまでの医療提供体制の問題点が浮き彫りになりました。震災被害によって被災者が病院・診療所に通えなくなり、在宅医療のニーズが急拡大したのです。この時、気仙沼市では、JMATの医療支援チームとして入っていた医師を中心に気仙沼巡回療養支援隊が組織され、突発的な在宅医療のニーズに対応。その支援は約半年間続き、その時にできた在宅医療の体制が地域に普及・定着していきました。奥能登はそもそも医療機関のリソースが少なかった上に、道路が寸断されてしまったこと、地域の高齢化率が50%近いという状況から、地域住民の医療機関への「通院」は東日本大震災の時と同様、相当困難になるのではないでしょうか。東日本大震災が起こった時、気仙沼市の高齢化率は30%でした。今回、被害が大きかった奥能登の市町村の高齢化率は45%を超えています(珠洲市50%、輪島市46% 、いずれも2020年)。「気仙沼は日本の10年先の姿だ」と当時は思ったのですが、奥能登は20年、30年先の日本の姿と言えるかもしれません。テレビ報道を見ていても、本当に高齢者ばかりなのが気になります。東日本大震災では、被災直後からさまざまな活動に取り組み始めた若者たちがいたのが印象的でした。しかし、これまでの報道を見る限り、被災者たちは多くが高齢で“受け身”です。東日本大震災や熊本地震のときよりも、個々の被災者に対する支援の度合いは大きなものにならざるを得ないでしょう。プライマリ・ケア、医療と介護をシームレスにつなぐ「かかりつけ医」機能、多職種による医療・介護の連携これからの医療提供で求められるのは、プライマリ・ケアの診療技術であり、医療と介護をシームレスにつなぐ「かかりつけ医」機能、そしてさまざまな多職種による医療・介護の連携ということになるでしょう。東日本大震災、熊本地震、そして新型コロナウイルス感染症によるパンデミックで日本の医療関係者たちは多くのことを学んできたはずです。日本医師会をはじめとする医療関係団体の真の“力”が試される時だと言えます。ところで、被災した市町村の一つである七尾市には、私も幾度か取材したことがある、社会医療法人財団董仙会・恵寿総合病院(426床)があります。同病院は関連法人が運営する約30の施設と共に医療・介護・福祉の複合体、けいじゅヘルスケアシステムを構築し、シームレスなサービスを展開してきました。同病院も大きな被害を被ったとの報道がありますが、これまで構築してきたけいじゅヘルスケアシステムという社会インフラは、これからの被災地医療の“核”ともなり得るでしょう。頑張ってほしいと思います。耐震化率の低さは政治家や行政による不作為にも責任それにしても、なぜあれほど多くの木造住宅が倒壊してしまったのでしょうか。1月6日付の日本経済新聞は、その原因は奥能登地方の住宅の低い耐震化率にある、と書いています。全国では9割近くの住宅が耐震化しているのに対して、たとえば珠洲市では2018年末時点で基準をクリアしたのは51%に留まっていたそうです。ちなみに輪島市は2022年度末時点で46%でした。耐震化は都市部で進んでいる一方、過疎地では大きく遅れているのです。その耐震基準ですが、建築基準法改正で「震度5強程度で損壊しない」から「震度6強〜7でも倒壊しない」に引き上げられたのは1981年、実に40年以上も前のことです。きっかけは1978年の宮城県沖地震(当時の基準で震度は5、約7,500棟の建物が全半壊)でした。仙台で学生生活を送っていた私は、市内で地震に遭遇、ブロック塀があちこち倒れまくった住宅街の道路を自転車で下宿まで帰ってきた記憶があります。各地域(家の建て替えがないなど)や個人の事情はあるとは思いますが、法改正後40年経っても耐震化が進んでおらず、被害が大きくなってしまった理由として、政治家(石川県選出の国会議員)や行政による不作為もあるのではないでしょうか。もう引退しましたが、あの大物政治家は石川県にいったい何の貢献をしてきたのでしょうか。お金をかけてオリンピックを開催しても、過疎地の住民の命は守れません。いずれにせよ、全国各地の過疎地の住宅の耐震化をしっかり進めておかないと、また同じような震災被害が起こります。政府にはそのあたりの検証もしっかりと行ってもらいたいと思います。

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乾癬への生物学的製剤、逆説的反応リスクは?

 生物学的製剤による治療を受けた乾癬患者が湿疹を発症する逆説的反応のリスクは、IL-23阻害薬を投与された患者で最も低かった。リスク上昇と関連する因子は、年齢上昇、女性、アトピー性皮膚炎の既往、花粉症の既往であった。全体的には逆説的反応の発生率は低かった。英国・マンチェスター大学のAli Al-Janabi氏らが前向きコホート試験の結果を報告した。生物学的製剤を用いた尋常性乾癬患者の一部で、アトピー性皮膚炎の表現型の1つである湿疹を発症することが報告されている。しかし、そのリスク因子は不明であった。今回の検討結果を踏まえて著者は、「さらなる試験を行い、今回得られた結果を再現する必要がある」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年12月6日号掲載の報告。 研究グループは、生物学的製剤のクラス別の逆説的反応のリスク、リスク上昇と関連する因子を検討する前向きコホート研究を行った。 対象患者は、英国およびアイルランドの皮膚科を受診し、生物学的製剤による治療を受けた18歳以上の成人の尋常性乾癬患者で、データはBritish Association of Dermatologists Biologics and Immunomodulators Registerから入手した。2007年9月~2022年12月に少なくとも1回以上のフォローアップ受診のある患者を適格とした。 逆説的反応による湿疹の発症、治療中断、最終フォローアップまたは死亡までの生物学的製剤への曝露期間を調査。生物学的製剤はTNF阻害薬(アダリムマブ、セルトリズマブ ペゴル、エタネルセプト、インフリキシマブ)、IL-17阻害薬(ビメキズマブ、ブロダルマブ、イキセキズマブ、セクキヌマブ)、IL-12/23阻害薬(ウステキヌマブ)、IL-23阻害薬(グセルクマブ、リサンキズマブ、チルドラキズマブ)を対象とした。逆説的反応の発生率、生物学的製剤のクラス別にみた逆説的反応のリスク、逆説的反応のリスク因子を、傾向スコア加重Cox比例ハザード回帰モデルを用いて検討した。 主な結果は以下のとおり。・1万3,699例が2万4,997件の生物学的製剤による治療を受けた。・2万4,997件の解析対象の年齢中央値は46歳(四分位範囲:36~55)、男性が57%、総曝露期間は8万1,441患者年であった。・逆説的反応の発生は、273件(1%)であった。・10万人年当たりの補正後発生率は、IL-17阻害薬1.22、TNF阻害薬0.94、IL-12/23阻害薬0.80、IL-23阻害薬0.56であった。・TNF阻害薬との比較において、IL-23阻害薬は逆説的反応のリスクが低かった(ハザード比[HR]:0.39、95%信頼区間[CI]:0.19~0.81)。一方、IL-17阻害薬(同:1.03、0.74~1.42)、IL-12/23阻害薬(同:0.87、0.66~1.16)では逆説的反応との関連はみられなかった。・年齢上昇(HR:1.02、95%CI:1.01~1.03)、アトピー性皮膚炎の既往(同:12.40、6.97~22.06)花粉症の既往(同:3.78、1.49~9.53)は、逆説的反応のリスクを上昇させた。男性はリスクが低かった(同:0.60、0.45~0.78)。

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境界性パーソナリティ障害に合併する精神および身体疾患

 境界性パーソナリティ障害(BPD)とその併存疾患に関する情報は、BPDの診断数が少ないため、限られている。南デンマーク大学のL. H. Hastrup氏らは、初めてBPDと診断された患者における診断前後3年間の精神的および身体的併存疾患を調査し、対照群との比較を行った。その結果、BPD患者は、さまざまな身体的および精神的疾患を併発する可能性が高いことを報告した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2023年12月10日号の報告。 2002~16年にBPDを発症した患者2,756例とマッチさせた対照群1万1,024例を対象に、登録ベースのコホート研究を実施した。併存疾患に関するデータは、世界保健機構(WHO)のICD-10基準に従い、主要な疾患グループに分類した。 主な結果は以下のとおり。・BPD患者の約半数は、診断前に精神疾患および行動障害と診断されていたが、対照群では3%のみであった。・負傷、自傷行為、中毒などの外的要因による疾患併発は、対照群と比較し、診断前のBPD患者でより多く認められた。・BPD患者では、循環器系、呼吸器系、消化器系、筋骨格系、泌尿生殖器系の疾患を合併する割合が高かった。・診断後では、BPD患者のすべての疾患グループにおいて、併存疾患を有する患者の割合の有意な増加が認められた。・精神的および行動的疾患は、BPD患者87%、対照群3%で認められ、神経疾患は、BPD患者15%、対照群4%に認められた。・BPD患者は、体細胞性疾患、とくに消化器系、呼吸器系、循環器系、内分泌系の疾患を併発する可能性が高かった。・12年間の死亡率は、対照群よりもBPD患者で統計学的に有意に高かった。

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顎関節症による慢性疼痛に有効な介入とは/BMJ

 顎関節症(TMD)に伴う慢性疼痛の管理では、エビデンスの確実性が「中」または「高」の臨床試験に限定すると、バイオフィードバック療法またはリラクゼーション療法で補強した認知行動療法(CBT)や、顎関節のモビライゼーションなどの、対処を促す介入や、顎関節の可動を促進する介入が最も効果的であることが、中国・蘭州大学のLiang Yao氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年12月15日号に掲載された。介入的RCT論文のネットワークメタ解析 研究グループは、顎関節症に伴う慢性疼痛に対する種々の治療法の有効性を比較検討する目的で、無作為化臨床試験(RCT)の系統的レビューとネットワークメタ解析を行った(Chronic Pain Centre of Excellence for Canadian Veteransの助成を受けた)。 2021年5月までに医学関連データベース(MEDLINE、EMBASE、CINAHL、CENTRAL、SCOPUS)に登録された文献を検索し、2023年1月にも再検索を行った。対象は、顎関節症に伴う慢性疼痛を呈する患者を登録した介入的RCTの論文とした。 レビューでは、疼痛緩和、身体機能、情緒機能、役割機能、社会的機能、睡眠の質、有害事象など、患者にとって重要なアウトカムをすべて把握した。GRADEアプローチを用いて、エビデンスの確実性を評価し、有益性が最も高い介入から最も低い介入に分類した。疼痛緩和には8つの介入が有効 233件のRCTをレビューの対象とし、このうち153件(8,713例、59の介入または介入の組み合わせ)をネットワークメタ解析に含めた。以下は、プラセボまたはシャム(偽治療)との比較で有効性を評価したRCTに関する解析結果である。 疼痛に対しては、8つの介入が、「中」または「高」の確実性のエビデンスに基づきその有効性が支持された。 疼痛緩和に関して、最も有効な治療は次の3つと考えられた。(1)バイオフィードバック療法またはリラクゼーション療法で補強したCBT(1~10cmの視覚アナログ尺度で、疼痛緩和における意義のある最小差[MID]を達成するためのリスク差[RD]:36%[95%信頼区間[CI]:33~39])、(2)セラピストの支援による顎関節のモビライゼーション(RD:36%[31~40])、(3)徒手的トリガーポイント療法(RD:32%[29~34])。 次の5つの介入はRDが23~30%の範囲であり、上記の治療法に比べ有効性は劣るが、プラセボと比較して高い効果を示した。(1)CBT、(2)監視下姿勢訓練、(3)監視下開口訓練とストレッチング、(4)監視下開口訓練とストレッチングと徒手的トリガーポイント療法、(5)通常ケア(自宅での訓練、自己ストレッチング、恐怖/不安の緩和[reassurance]など)。身体機能の改善には4つの介入が有効 身体機能については、確実性が「中」のエビデンスに基づき、次の4つの介入の改善効果を確認した。(1)監視下開口訓練とストレッチング(SF-36の身体機能の要約スコアにおけるMIDの5点達成のRD:43%[95%CI:33~51])、(2)マニピュレーション(RD:43%[25~56])、(3)鍼治療(RD:42%[33~50])、(4)監視下開口訓練と顎関節のモビライゼーション(RD:36%[19~51])。 これら以外の介入による疼痛緩和、身体機能の改善に関するエビデンス、および有害事象に関するエビデンスはすべて、確実性が「低」または「非常に低」であった。 著者は、「BMJ Rapid Recommendationでは、エビデンスに基づくガイダンスが示されている」としている。

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