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便通異常症 慢性便秘(2)二次性慢性便秘症【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q100

便通異常症 慢性便秘(2)二次性慢性便秘症Q100慢性便秘症の介入をする上で、まずは二次性の除外をすることが重要である。本邦の『便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症』でも除外すべき二次性の原因疾患として、慢性便秘症を来す基礎疾患がリスト化されている。2023年から追加となった基礎疾患は?

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子どもの検査値の判断に迷ったら

そっと開けばポイントがわかる「小児科」64巻13号(2023年12月臨時増刊号)複数の既往歴や不定愁訴をもつことが多い成人患者と異なり、子どもは症状がはっきりしていることが多い分、検査結果が予想と異なっていたり、想定に反して検査上の異常がなかったりした場合、どう判断すべきか迷う…そんな場面に役立つ1冊を目指しました。日常診療でおなじみの検査から少々専門的な検査まで、検査結果の解釈に迷いが生じたときにそっと見直していただきたい情報をコンパクトにまとめました。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    子どもの検査値の判断に迷ったら定価8,800円(税込)判型B5判頁数394頁発行2023年12月編集「小児科」編集委員会電子版でご購入の場合はこちら

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乳がん脳転移例、全脳照射前のBEEPで脳特異的PFS改善

 脳転移を有する乳がん患者において、ERBB2(HER2)サブタイプにかかわらず、ベバシズマブ+エトポシド+シスプラチン(BEEP)導入療法を行ってから放射線の全脳照射を行った場合、全脳照射のみの場合よりも脳特異的無増悪生存期間(PFS)が有意に改善したことを、国立台湾大学病院のTom Wei-Wu Chen氏らが明らかにした。JAMA Oncology誌オンライン版2023年12月21日号掲載の報告。 近年、乳がんに対する薬物療法は目覚ましい進歩を遂げており、術後再発や遠隔転移のコントロールが良好になっている。しかし、脳転移に奏効する薬剤は乏しく、治療の評価は確立していない。そこで研究グループは、BEEP導入療法を追加することで、全脳照射後の脳特異的PFSが改善するかどうかを検討するため、多施設共同無作為化非盲検試験を実施した。 研究グループは、2014年9月9日~2018年12月24日まで台湾の脳転移を有する乳がん患者を評価し、2021年12月31日まで追跡調査を行った。対象は、年齢20~75歳、全脳照射未実施、局所治療に適さない脳転移で少なくとも1つの測定可能な病変を有する乳がん患者であった。BEEP導入療法を3サイクル行った後に全脳照射を行う実験群と、全脳照射のみを行う対照群に2:1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、RECIST v1.1に基づく脳特異的PFS、全脳照射後の脳転移病変に対する他治療の開始、死亡であった。その他の評価項目は、8週後の脳特異的奏効率(ORR)、8ヵ月後の脳特異的PFS率、PFS、全生存期間であった。 主な結果は以下のとおり。・合計118例が無作為化され、intention-to-treatコホートは112例(実験群74例、対照群38例)で構成された。年齢中央値は56歳(範囲:34~71)、61例(54.5%)がERBB2陽性であった。・脳特異的PFSの中央値は、実験群は8.1ヵ月(範囲:0.3~29.5)、対照群は6.5ヵ月(範囲:0.9~25.5)であった(ハザード比:0.71、95%信頼区間:0.44~1.13、p=0.15[事前に設定した有意水準を超えていたため有意])。・8週後の脳特異的ORRに有意差はなかった(実験群41.9%、対照群52.6%)。・8ヵ月後の脳特異的PFS率は、実験群は48.7%であった一方で対照群は26.3%であり、実験群において有意に高かった(p=0.03)。・有害事象は、予防的なG-CSF製剤投与で管理可能であった。 これらの結果より、研究グループは「この知見は、放射線の全脳照射の前にBEEP導入療法を行うことで、脳転移を有する乳がんのコントロールが改善する可能性があることを示しており、難治性脳転移および頭蓋外転移に対する全身療法のアンメットニーズに対応できる可能性がある」とまとめた。

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統合失調症の神経認知プロファイルに対するアリピプラゾールとオランザピンの有効性比較

 統合失調症は、重篤な神経認知障害を引き起こす疾患である。統合失調症に対する抗精神病薬治療は、精神病理および神経認知機能の改善をもたらすことが期待される。インド・Government Medical College and HospitalのSanya Sharma氏らは、統合失調症患者の神経認知プロファイルに対するアリピプラゾールとオランザピンの有効性を比較するため、プロスペクティブ介入比較研究を行った。その結果、アリピプラゾールとオランザピンは、神経認知プロファイルの改善に有効であり、それぞれ特定の領域に対してより有効であることが示唆された。Indian Journal of Psychiatry誌オンライン版2023年10月号の報告。 精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-V)に従い、統合失調症患者をベースライン時の簡易精神症状評価尺度(BPRS)、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)および神経心理学的検査で評価した。対象患者は、コンピューターで生成したランダムナンバーに基づき、アリピプラゾール群(1日当たり10~30mgを経口投与)とオランザピン群(1日当たり5~20mgを経口投与)にランダムに割り付けられ、10週目に再評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者40例が、10週間の研究期間を終了した。・ベースライン時、大多数の患者において、1つ以上の神経認知領域の重大な欠損が認められた。・アリピプラゾール群、オランザピン群のいずれにおいても、精神症状および神経認知プロファイルの改善が認められた。・アリピプラゾール群では、オランザピン群と比較し、処理速度の有意な改善が認められた。・アリピプラゾールによるストループ効果(p=0.000)および視空間認識能力(p<0.001)の非常に有意な改善が認められた。・オランザピン群では、意味流暢性(p<0.01)、言語流暢性(p<0.01)において非常に有意な改善が認められた。

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妊娠中の大麻使用、有害な妊娠アウトカムが増加/JAMA

 妊娠期間中の継続的な大麻使用により、胎盤機能不全に関連する有害な妊娠アウトカムが増加し、とくに在胎不当過小児が多くなることが、米国・University of Utah HealthのTorri D. Metz氏らが実施した「NuMoM2b試験」の補助的解析で示された。研究の成果は、JAMA誌2023年12月12日号に掲載された。米国8施設9,257例のコホート研究の補助的解析 NuMoM2b試験は、米国の8つの医療センターで実施したコホート研究であり、2010~13年に参加者を募集し、今回の補助的解析は2020年6月~2023年4月に行った(米国国立薬物乱用研究所[NIDA]の助成を受けた)。 母親(未経産婦)の大麻曝露の判定は、妊娠期間中(妊娠6週0日~13週6日[初回受診]、同16週0日~21週6日[2回目受診]、同22週0日~29週6日[3回目受診])に採取した凍結保存尿検体を用いて、尿イムノアッセイ法により11-ノル-9-カルボキシ-Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC-COOH)を確認することで行った。陽性の場合は、液体クロマトグラフィータンデム質量分析で確定した。 9,257例を解析に含めた。大麻曝露妊婦は610例(6.6%)で、このうち197例(32.4%)は妊娠第1期にのみ大麻を使用しており、413例(67.6%)は妊娠第1期以降も継続的に使用していた。有害な主要複合アウトカム:曝露妊婦25.9% vs.非曝露妊婦17.4% 主要アウトカム(在胎不当過小児、人工早産、死産、妊娠高血圧症候群の複合)は、1,660例(17.9%)で発生した。傾向スコアを用いた逆確率重み付け解析では、主要複合アウトカムの発生率は非大麻曝露妊婦が17.4%であったのに対し、大麻曝露妊婦は25.9%と高率であった(補正後相対リスク:1.27、95%信頼区間[CI]:1.07~1.49)。 また、3つの大麻曝露モデル(非曝露、妊娠第1期のみの曝露、妊娠中の継続的曝露)では、非大麻曝露妊婦と比較して、妊娠第1期のみの大麻曝露は主要アウトカムとの関連がなかったが、継続的な大麻曝露は主要アウトカムとの関連を認めた(最小限の補正後相対リスク:1.32[95%CI:1.09~1.60]、完全補正後相対リスク:1.33[1.09~1.61])。人工早産、妊娠高血圧症候群とは関連がない 在胎不当過小児(曝露妊婦8.6% vs.非曝露妊婦4.2%、補正後相対リスク:1.52、95%CI:1.08~2.14)は大麻曝露妊婦で多く、死産は補正前相対リスクが大麻曝露妊婦で高かった(1.5% vs.0.5%、補正前相対リスク:2.89[1.37~6.09]、補正後相対リスク:1.63[0.69~3.88])。 人工早産(3.9% vs.3.2%、補正後相対リスク:0.78[95%CI:0.49~1.24])および妊娠高血圧症候群(16.0% vs.12.9%、補正後相対リスク:1.13[0.91~1.40])は大麻曝露との関連がなかった。 大麻曝露妊婦の妊娠期間中の総THC-COOH値は、16~3万5,707ng/mL(中央値265ng/mL)の範囲であった。妊娠第1期の定量化されたTHC-COOH値が高いことと、妊娠期間を通じた大麻の累積推定曝露量が多いことは、いずれも主要複合アウトカムの発生割合が高いことと関連した。 著者は、「これまでの研究でも、ヒトの大麻使用と胎児の発育不良との間には一貫した関連を認めており、本研究では死産が多かった点が注目に値する」と指摘し、「母体および新生児のアウトカムを最適化するために、妊娠中の大麻使用は避けるべきである」としている。

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クリスマスケーキが健康増進に寄与?/BMJ

 デザートは、何世紀にもわたってクリスマスのお祝いで重要な役割を担っているが、中世イングランドのプディングがかなり健康的なものだったのに比べ、最近は不健康な食材を含むレシピが多くなり、死亡や疾病のリスクに関して懸念が示されている。米国・エモリー大学のJoshua D. Wallach氏らは、英国のテレビ料理番組「ブリティッシュ・ベイクオフ(The Great British Bake Off)」の、クリスマスデザートのレシピに使用されている食材の健康への影響を調査した。その結果、死亡や疾病のリスク増加と関連する食材よりも、むしろリスク減少と関連のある食材のほうが多いことが明らかになったという。BMJ誌2023年12月20日号クリスマス特集号「CHAMPAGNE PROBLEMS」掲載の報告。アンブレラレビューのアンブレラレビュー 研究グループは、「ブリティッシュ・ベイクオフ」のクリスマスデザートに含まれるさまざまな食材の健康上の有益性と有害性の評価を目的に、観察研究のメタ解析のアンブレラレビューを収集し、それらのアンブレラレビューを行った(特定の研究助成は受けていない)。 「ブリティッシュ・ベイクオフ」のウェブサイトと医学関連データベース(Embase、Medline、Scopus)を用いて、クリスマスデザートに使用する食材と死亡または疾病リスクとの関連を評価した観察研究のメタ解析に関するアンブレラレビューの文献を収集した。48件のレシピに含まれる17の食材グループのリスクを評価 「ブリティッシュ・ベイクオフ」のウェブサイトに掲載されているクリスマスデザート(ケーキ、ビスケット、ペストリー、プディング/デザート)のレシピは48件で、一意の値で178品目の食材が含まれた。これらを17の包括的な食材グループ(バター、精粉、砂糖、卵、塩、着色料/香料、果物、アルコール、ミルク、ナッツ類、コーヒーなど)に分類した。 46編のアンブレラレビューにおいて、食材グループと死亡または疾病のリスクの関連について363件の要約が報告されていた。これらの要約された関連性のうち、149件(41%)が有意であり、そのうち110件(74%)は死亡または疾病のリスクを減少させ、39件(26%)はリスクを増加させると推定された。 食材グループがリスクを減少させた110件の要約のうち、32件(29%)はがんの発生率または死亡率、20件(18%)は神経学的または脳の疾患、16件(15%)は心血管疾患の発生率または死亡率であった。また、リスクを増加させた39件の要約のうち、22件(56%)はがんの発生率または死亡率、5件(13%)は自己免疫疾患、4件(10%)は神経学的または脳の疾患だった。果物、コーヒー、ナッツ類を含むレシピが多い 死亡または疾病のリスク減少と関連のある食材グループのうち、最も多かったのは果物(44/110件、40%)で、次いでコーヒー(17/110件、16%)、ナッツ類(14/110件、13%)の順であった。一方、死亡または疾病のリスク増加と関連のある食材グループでは、アルコール(20/39件、51%)の頻度が高く、次いで砂糖(5/39件、13%)であった。 著者は、「観察的栄養学研究の限界に関する懸念を脇に置くことができるなら、われわれは喜んで、クリスマスには誰もがケーキを食べられると報告するだろう」としている。

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レボチロキシンの静注投与は不安定な脳死患者の心臓提供率を向上させるか?(解説:小野稔氏)

 脳死による脳圧亢進が起こると、カテコラミンをはじめとしたさまざまなメディエータが放出されることが知られている。脳死後によく遭遇する不安定な血行動態や心機能の障害に甲状腺ホルモンを主体とした神経内分泌障害が寄与しているという理論があり、それを予防あるいは改善する目的で欧米では古くから経験的に脳死ドナーの前処置として甲状腺ホルモンが投与されてきた。補充療法の妥当性についてはいくつかの大規模な観察研究が行われ、有効性が示唆されてきた。しかし、無作為化試験は少数例を対象にドナーの血行動態を評価するに限られ、臓器利用率の向上を評価するには不十分であった。 このようにエビデンスレベルが低いにもかかわらず、ガイドラインにおいては血行動態が不安定なドナー、あるいは心臓提供があるドナーへの甲状腺ホルモンの投与を推奨している。その一方で、甲状腺ホルモンの投与は早期のグラフト不全が高くなる可能性を示唆するいくつかの研究も存在する。そこで、静注のT4製剤であるレボチロキシンを血行動態不安定、あるいは心臓提供を検討されている脳死ドナーに投与することが心臓移植率を上昇させるという仮説を基にして多施設並行群無作為化臨床試験が実施された。 米国の15の臓器採取機関が参加した。2020年12月から2022年11月までの脳死患者3,259例のうち、年齢は14~55歳、体重45kg以上で、血行動態不安定(適切な容量負荷を行っても昇圧薬と強心薬が必要な状態)の心臓提供の可能性がある適格患者852例が対象となった。1時間当たりレボチロキシン30μgを12時間以上点滴静注する患者と生食を投与する患者に1対1に無作為に割り付けが行われた。両群419例ずつが組み入れられ、背景因子に差はなかった。投与群230例(54.9%)、対照群223例(53.2%)が心臓移植に至った(有意差なし)。ドナー左室駆出率が50%以下か以上かに分けてみても両群間の心臓移植率に差がなかった。30日生存率は投与群97.4%に対して対照群95.5%で非劣性であった。投与群ではドナーの高度の高血圧や頻脈などの有害事象が有意に多かった(p<0.001)が、ドナー心停止やドナー死亡につながるような重大な有害事象はなかった。 血行動態が不安定、あるいは心臓提供が考慮される脳死ドナーに対して、レボチロキシンの投与は心臓提供率の向上や心臓移植後生存率の改善に関与しなかった。むしろ、高度な高血圧や頻脈などのドナー血行動態への有害事象が増加するという結果であった。ちなみに、わが国では脳死ドナーへの甲状腺ホルモンは推奨されておらず、ほとんど投与されていない。

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第193回 両親の老老介護で思い知る「地域包括ケアシステムって何?」

今回はやや私事で恐縮だが、医療・介護を考える上で見逃せないと思う事態を現在進行形で経験しているので、それについて触れてみたい。80代後半の私の両親は今も健在で、実家で暮らしている。周囲の同世代では両親ともにすでに他界しているケースも少なくない中では、無事生きていること自体がありがたい。しかし、年齢からもわかるように当然ながら完全な健康体ではない。とくに父親は軽度認知障害(MCI)持ちである。現状は物が覚えにくくなり、私や母親が言ったこともすぐ忘れるが、本人も十分自覚があり、「最近の仕事? 物忘れ。ガハハハ」と口にするほどだ。むしろ物忘れには周囲も本人もある程度慣れてきている。そして、かれこれ7~8年前くらいから歩行がかなり遅くなり、リハビリに通っている。一時は周囲が「もう歩けなくなるのでは?」と危惧するほどだったが、リハビリのおかげで持ち直した。とはいえ、やはり周囲と比べれば歩みがかなりゆっくりで、時にシルバーカーを使う。現在の歩行状況はシルバーカーなしでは約5分おき、シルバーカー利用でも約8~9分おきに休憩を取らねばならない。現在1人で出歩くのは、シルバーカーを使いながら自宅近所を散歩する時ぐらいである。ところが父親は元来賑やかな繁華街が好きな人だ。性格的に陰キャ(陰気なキャラクター)で自分から何かのアクションを起こすタイプではないのだが、何となく賑やかなところ、具体的にはガラス越しに繁華街の賑わいが見える飲食店などで食事をしたり、お茶をしたりするのが好きなのである。父親が私や姉を訪ねて東京にふらりと出てくることができた時代は、人通りの多い市中のオープンエアのカフェを利用したがるのが常だった。しかし、前述のような状況なので、現在は繁華街に出かける際には母親の付き添いが必要だ。母親も市街地でのイベントなどを検索し、土日になると父親を繁華街周辺に連れ出し、喜ぶ父親の写真をLINEで送ってくる。そんな母親が先日、珍しく「本心ではイライラして仕方がないが、我慢している」という趣旨の愚痴をこぼしてきた。何かというと、繁華街から戻る最中、父親が5分おきにベンチなどに腰を掛けて休憩を取ることに付き合うのが疲れて仕方がないということなのだ。まだ普通に歩くことができる母親にとっては、一般成人ならば徒歩15分くらいの距離の移動に1時間以上かかることはかなりのストレスだろう。ここは無視してはならぬと思い、仕事の手を止め、必死にLINEでやり取りを続けた。そうした中で母親から出てきたのが、「適当な軽量の車椅子はないものだろうかね?」という話だった。要は折り畳みで軽量の車椅子を父親と外出するときに持ち歩き、父親が休みたいと言い出した時にそれをさっと展開して父親を乗せて母親が介助し、また父親が歩きたいと言えば、その時はまた折りたたむというような使い方ができるものである。そうすれば父親の休みたいという願望と母親のストレス解消の一石二鳥になる。正直、母親が介護疲れで倒れるのは私も望まない。ということで、いつもは物ぐさで知られている自分も動き出した。偶然、身近に使わない車椅子を保有する人がいたので、まずはそれを譲ってもらったが、自走もできるかなりの重量のものだったので、今母親が求めているものとは異なった。なんせ80代半ば過ぎの老老介護で、細腕の母親が申し訳程度の折り畳みができるだけの10kg超の車椅子を扱えるわけがない。そこで年末年始に実家に戻ったついでに、地元の介護ショップを覗いてみることにした。ところがここでまず大きな壁にぶち当たった。東北地方の首都と呼ばれる街だが、インターネット検索で見つかるめぼしい介護用品ショップは10店舗程度。そのうちアクセスが良い百貨店内の店舗2ヵ所に行ってみたが、あるのはシルバーカーか自走式車椅子という左右両翼のような典型的商品のみ。うち1店舗にはかろうじて重量10kgちょうどの軽量折り畳み車椅子が展示してあった。私の感覚では十分軽いと思ったが、後日母親が1人で訪ねて触ってみたところ、本人にとってはまだ重いとのことだった。これよりも約2kg軽いタイプは、カタログ上では見せられたが、あくまで「購入前提の取り寄せになる」という。車椅子の場合、使用する人、介助者双方にとっての使いやすさのバランスが重要であり、実機に触れることなしに購入は考えられない。そこでやむなく私がその車椅子の発売元に連絡を取ったところ、私の地元の県にある2ヵ所の大手介護ショップを挙げ、そこからの依頼があればデモ機を貸し出せるとのこと。一瞬、光明が見えた感じだったが、教えられたショップはともに郊外型ショッピングセンターのように、鉄道駅から徒歩15分以上とアクセスが悪い。父親はもともと車の運転が好きな人だったが、今のような徴候が見え始めた5年ほど前に運転免許証を返納。母親と私は元来ペーパードライバーである。「ショップ最寄り駅からタクシーを使えば?」という声も聞こえてきそうだが、それは首都圏などの感覚。この2件のショップの最寄り駅は、駅前に客待ちタクシーがいない駅なのだ。かといって父親の歩みに合わせて、真冬に老夫婦が1時間以上かけてショップまで歩くのは明らかに無理がある。繁華街と違って休憩できるベンチも途中にはないだろう。結局、母親は車が出せそうな知人に連絡を取った。今回、改めて痛感させられたのが、首都圏とその他の地方都市の差。そして介護サービス・商品のグラデーションの少なさである。父親のような、健康と病気の合間のような状態の人に使いやすいサービス、老老介護を前提にしたサービスはまだまだ少ない。もちろん今は社会全体が超高齢化社会というマインドに移行していく過渡期なのだから、そうなのだろう。しかし、長らく「重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステム」というフレーズを耳にタコができるほど聞かされてきた身からすると、今回の経験で改めて「地域包括ケアシステムって何?」と思ってしまうのだ。

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フェニルケトン尿症、約30年ぶりの新薬

フェニルケトン尿症、約30年ぶりの新薬フェニルアラニン(Phe)は必須アミノ酸の1種であり、食事などから摂取したPheは主にPhe水酸化酵素(PAH)によりチロシンに変換される。しかし、フェニルケトン尿症(PKU)ではPheを分解するPAHの活性が先天的に低下することで、Pheの蓄積や血中Phe値の上昇が起こり、尿中にPheや代謝産物のフェニルピルビン酸が大量に排泄される。過剰なPheや代謝産物が正常の代謝を阻害することで、新生児や乳児期では脳構築障害による精神発達遅滞、成人においてもさまざまな精神症状や酸化ストレスの成因となるとされており、生涯を通じて治療が必要とされている。フェニルケトン尿症の治療における課題PKUの治療は基本的に生涯にわたる食事療法である。たんぱく質を制限することでPheの摂取を抑えるため、肉、魚、卵、豆類、乳製品などの高蛋白食品を食べることはほとんどできないとされている。野菜などの低蛋白食品に加えて、治療用ミルク(フェニルアラニン除去ミルク)で不足するその他のアミノ酸やカロリーを補うのだ。一生涯続く食事制限は食べる楽しみの低下や外食機会の喪失など、患者さんのQOL低下につながる可能性があるが、これまで解決策はなかった。パリンジックの登場で変わる患者さんの生き方このような状況の中、約30年ぶりにPKU治療薬としてペグバリアーゼ(製品名:パリンジック)が登場した。パリンジックはフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)を免疫原性の低減と消失半減期の延長を目的としてポリエチレングリコール化した製剤であり、PAHの酵素活性を代替し、Pheをアンモニアとケイ皮酸に代謝することで、血中Phe濃度を低下させる。使用する際は2.5mgから開始し、導入期に4週間、漸増期に5週間以上かけて20mgまで増量する。20mgで効果不十分な場合は最大60mgまで増量が可能。日本人を対象とした臨床試験では、投与開始後経時的に血中Phe濃度が低下していた。さらに、この血中Phe濃度の推移を各症例で検討したところ、観察期間中のある日を境に、大幅に血中Phe濃度が低下する例が数例観察されており、このタイミングでパリンジックが効果を発揮したと推測される。ただし、効果発揮にかかる時間は個人差があるため、まずは治療を中断しないことが重要である。効果発現後はたんぱく質制限の必要はなくなるため、食事制限のない生活を送ることが可能だ。生涯を通じた食事制限は食事の楽しみだけではなく、食事の伴うイベントなどの機会もPKU患者から奪うものとなっていた。パリンジックの登場により、単なる食事だけではない、さまざまな制約が解決されることに期待がかかる。

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非典型症例と類似疾患を知ってCommon Diseaseを極める

Common Diseaseの画像所見を整理し深く理解「臨床放射線」68巻12号(2023年12月臨時増刊号)日々の診療でよく目にする疾患、Common Diseaseであっても、非典型的な所見を知らないと正しい診断にたどり着けないことがあります。また、典型的所見であっても、画像診断を行ううえで類似の所見を示す他の疾患との鑑別は欠かせません。そこで本年の臨時増刊号は「非典型症例と類似疾患を知ってCommon Diseaseを極める」と題し、放射線科の関係者が日々取り組むCommon Diseaseの画像診断に役立つ特集を企画しました。日常診療のレベルアップにご用立てください。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    非典型症例と類似疾患を知ってCommon Diseaseを極める定価9,350円(税込)判型B5判頁数270頁発行2023年12月編集「臨床放射線」編集委員会電子版でご購入の場合はこちら

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双極性障害患者の原因別死亡率と併存する神経発達障害

 双極性障害患者の早期死亡に関するこれまで研究は、サンプルサイズが小さいため、限界があった。台湾・長庚記念病院のWei-Min Cho氏らは、台湾の人口の約99%を対象に、双極性障害患者の早期死亡および併存する神経発達障害、重度の双極性障害との関係を調査した。その結果、精神科入院頻度の高い双極性障害患者は、自殺死亡リスクが最も高く、自閉スペクトラム症の併存は自然死や偶発的な死亡のリスク増加と関連していることが示唆された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2023年12月6日号の報告。 対象は、双極性障害患者16万7,515例および性別、年齢により1:4でマッチさせた対照群。データは、台湾の国民死亡台帳データベースとリンクされている国民健康保険データベースより抽出した。原因別死亡率(すべての原因による死亡、自然死、事故または自殺による不自然死)の調査には、時間依存性Cox回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・性別、年齢、収入、居住地、身体的条件で調整した後、双極性障害患者における死亡リスクと最も関連していたのは自殺(ハザード比[HR]:9.15、95%信頼区間[CI]:8.53~9.81)であり、次いで不自然死(HR:4.94、95%CI:4.72~5.17)、偶発的な死亡(HR:2.15、95%CI:1.99~2.32)、自然死(HR:1.02、95%CI:1.00~1.05)であった。・原因別死亡リスクの増加に、注意欠如多動症の併存は影響していなかったが、自閉スペクトラム症を併発すると、とくに自然死(HR:3.00、95%CI:1.85~4.88)、偶発的な死亡(HR:7.47、95%CI:1.80~31.1)のリスクが増加することが示唆された。・原因別死亡率は、精神科入院頻度に応じて線形傾向を示し(各々、p for trend<0.001)、1年間に2回以上入院した双極性障害患者では、自殺死亡リスクが34.63倍(95%CI:26.03~46.07)に増加した。

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炎症性乳がんへのNAC、1ラインvs.2~3ラインで転帰の差は

 多くのStageIII炎症性乳がん患者は、第1選択治療として術前化学療法(NAC)を受け、十分な反応を示し手術可能となるが、追加のNACが必要となるケースもある。米国・ハーバード大学医学大学院のFaina Nakhlis氏らは、1ラインvs.2~3ラインのNACを受けた患者における臨床転帰を評価した。Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2023年12月28日号への報告。 2施設において、1ラインまたは2~3ラインのNACを受けたStageIII炎症性乳がん患者が特定された。ホルモン受容体とHER2の状態、グレード、および病理学的完全奏効(pCR)が評価され、乳がんのない生存期間(BCFS)および全生存期間(OS)はKaplan-Meier法により評価された。多変数Coxモデルを用いてハザード比(HR)が推定された。 主な結果は以下のとおり。・808例の適格患者が特定された(1997~2020年、年齢中央値:51歳、追跡期間中央値:69ヵ月)。・733例(91%)が1ライン、75例(9%)が2~3ラインのNACを受けていた。2~3ラインのNACを受けた患者において、グレード3、トリプルネガティブ、HER2陽性の乳がんがより多かった。・1ラインの患者178例(24%)、2~3ラインの患者14例(19%)でpCRを達成した。・5年BCFSは2~3ラインの患者で不良であったが(33% vs.46%、HR:1.37、95%信頼区間[CI]:0.99~1.91)、pCRを達成した192例では同様であった(1ラインの患者:76% vs.2~3ラインの患者:83%)。・308例(1ラインの患者:276例、2~3ラインの患者:32例)が死亡した。・5年OSは1ラインの患者:60% vs.2~3ラインの患者:53%(HR:1.32、95%CI:0.91~1.93)、 pCR達成例では1ラインおよび2~3ラインの患者でともに83%であった。 著者らは、「StageIII炎症性乳がん患者において、pCR率はNACのライン数によらず同様であり、pCRを達成した患者におけるBCFSおよびOSは同程度であった」としている。

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尿が黄色くなるメカニズムが明らかに

 尿中の黄色色素としてウロビリンが同定されているが、この発見から125年以上の間、ウロビリンの産生に関与する酵素は不明とされていた。しかし、米国・メリーランド大学のBrantley Hall氏らの研究グループが腸内細菌叢由来のビリルビン還元酵素(BilR)を同定し、この分子がビリルビンをウロビリノーゲンに還元し、ウロビリノーゲンが自然に分解されることで尿中の黄色色素ウロビリンが産生されることを明らかにした。また、BilRは健康成人ではほぼ全員に存在していたが、新生児・乳児や炎症性腸疾患(IBD)患者で欠損が多く認められた。本研究結果は、Nature Microbiology誌2024年1月3日号で報告された。 研究グループは、ビリルビンをウロビリノーゲンへ還元する酵素を同定し、微生物によるビリルビンの還元と健康との関係を検討することを目的として本研究を実施した。腸内細菌のスクリーニングと比較ゲノム解析により、ビリルビンを還元する候補分子を探索した。また、黄疸を発症しやすい生後1年未満の新生児・乳児(4,296例)、血清ビリルビン濃度が変化していることの多いIBD患者(1,863例)、健康成人(1,801例)を対象としてメタゲノム解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・ビリルビンをウロビリノーゲンに還元する酵素としてBilRが同定され、Firmicutes門に属する腸内細菌が多くコードしていた。・BilRが検出されない割合は、健康成人(1,801例)では0.1%であったが、生後1ヵ月未満の新生児(1,341例)は約70%(p<2.2×10-16)、クローン病患者(1,224例)および潰瘍性大腸炎患者(639例)はいずれも30%以上(いずれもp<2.2×10-16)であった。・1歳までに、ほとんどの乳児でBilRが検出された。 本研究結果について、著者らは「新生児では、ビリルビンを還元する微生物が腸内に存在しないか少ないために、新生児黄疸が発生・悪化するという仮説を支持するものであった。IBD患者では、ビリルビンを還元する微生物が存在する割合が低いことから、ビリルビン代謝の破綻と非抱合型胆汁酸の増加が組み合わさることで、ビリルビンカルシウム胆石の発生率が上昇している可能性があると考えられる」と考察している。ただし、「結論を出すにはさらなる研究が必要である」とも述べている。

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既往帝王切開、多面的介入で周産期合併症が減少/Lancet

 帝王切開分娩歴が1回の女性において、分娩方法の選択を支援しベストプラクティスを促進する多面的な介入により、帝王切開分娩や子宮破裂の発生率が増加することなく、主要な周産期合併症および妊産婦合併症の罹患率が有意に減少した。カナダ・ラヴァル大学のNils Chaillet氏らが、多施設共同クラスター無作為化非盲検比較試験「PRISMA試験」の結果を報告した。帝王切開分娩歴のある女性は、次の妊娠で難しい選択に直面し、再度帝王切開分娩を行うにしても経膣分娩を試みるにしても、いずれも母体および周産期合併症のリスクがあった。Lancet誌2024年1月6日号掲載の報告。意思決定支援やベストプラクティスなどの介入群vs.非介入(対照)群 研究グループはカナダ・ケベック州の公立病院40施設を、1年間のベースライン期間後にブロック無作為化法により医療レベル(地域病院、基幹病院、3次病院)で層別化して介入群と非介入(対照)群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 介入群には、帝王切開分娩歴のある女性の分娩期ケアに対するベストプラクティスに関する研修や臨床ツール(陣痛モニタリングの臨床アルゴリズムと改良パルトグラフ、分娩方法に関する意思決定支援ツール)の提供を行い、ベストプラクティスの実施、経膣分娩の可能性や超音波検査による子宮破裂リスクの推定などを実施することとした。対照群は介入なしとした。実施期間は5~8ヵ月で、介入期間は2年であった。 主要アウトカムは、死亡を含む主要周産期合併症(分娩時または新生児死亡、Apgarスコア5分値4未満、代謝性アシドーシス、重症外傷、脳室内出血、脳室周囲白質軟化症、痙攣発作、侵襲的人工呼吸、重大な呼吸器疾患、壊死性腸炎、低酸素性虚血性脳症、新生児敗血症、昇圧剤を要する低血圧)の複合リスクとし、帝王切開分娩歴が1回のみで、参加施設で出産し、新生児の在胎週数が24週以上、出生時体重500g以上の単胎妊娠の女性を解析対象とした。介入群で主要周産期合併症、母体の主要合併症が有意に減少 2016年4月1日~2019年12月13日に分娩した適格女性は、2万1,281例であった(介入群1万514例、対照群1万767例)。追跡不能例はなかった。 主要周産期合併症罹患率は、対照群ではベースライン期間の3.1%(110/3,507例)から介入期間は4.3%(309/7,260例)に増加したが、介入群では4.0%(141/3,542例)から3.8%(265/6,972例)に減少し、介入群において対照群と比較しベースライン期間から介入期間の主要周産期合併症罹患率の有意な減少が認められた(補正後オッズ比[OR]:0.72[95%信頼区間[CI]:0.52~0.99]、p=0.042、補正後絶対群間リスク差:-1.2%[95%CI:-2.0~-0.1])。介入の効果は、病院の医療レベルにかかわらず同等であった(交互作用のp=0.27)。 母体の主要合併症(妊産婦死亡、子宮摘出、血栓塞栓症、4日以上のICU入室、急性肺水腫、心原性ショック、敗血症、内臓損傷、子宮破裂)の罹患率も、対照群と比較して介入群で有意に減少した(補正後OR:0.54、95%CI:0.33~0.89、p=0.016)。 軽度の周産期合併症および母体合併症の罹患率、帝王切開分娩率、子宮破裂率については、両群間で有意差は確認されなかった。

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コロナ外来患者への高用量フルボキサミン、症状期間を短縮せず/JAMA

 軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)外来患者において、高用量フルボキサミン(100mgを1日2回投与)を12日間投与しても、プラセボと比較してCOVID-19症状期間を短縮しなかった。米国・バージニア大学のThomas G. Stewart氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照プラットフォーム試験「ACTIV(Accelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines)-6試験」の結果を報告した。JAMA誌2023年12月26日号掲載の報告。発症から7日以内の軽症~中等症患者を対象に、高用量フルボキサミンvs.プラセボ ACTIV-6試験は、軽症~中等症のCOVID-19外来患者における既存治療転用を評価するようデザインされた分散型臨床試験である。 研究グループは、2022年8月25日~2023年1月20日に米国103施設において、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染確認後10日以内で、COVID-19の症状(疲労、呼吸困難、発熱、咳、悪心、嘔吐、下痢、体の痛み、悪寒、頭痛、喉の痛み、鼻の症状、味覚・嗅覚の異常)のうち2つ以上の症状発現後7日以内の、30歳以上の外来患者を、フルボキサミン群またはプラセボ群に無作為に割り付けた。 フルボキサミン群では、1日目にフルボキサミン50mg錠1錠を2回投与し、その後50mg錠2錠(100mg)を1日2回12日間投与した。 主要アウトカムは持続的回復までの期間(少なくとも3日間連続して症状がないことと定義)、副次アウトカムは28日以内の死亡、入院または死亡、あるいは入院・救急外来(urgent care)/救急診療部(emergency department)受診・死亡の複合などであった。持続的回復までの期間中央値、両群とも10日 無作為化されて治験薬の投与を受けた1,208例は、年齢中央値50歳(四分位範囲[IQR]:40~60)、女性65.8%、ヒスパニック系/ラテン系45.5%、SARS-CoV-2ワクチンの2回以上接種者76.8%であった。 有効性解析対象集団のフルボキサミン群589例およびプラセボ群586例において、持続的回復までの期間の中央値は両群とも10日(IQR:10~11)であり、持続的回復までの期間に差は確認されなかった(ハザード比[HR]:0.99、95%信用区間[CrI]:0.89~1.09、有効性の事後確率p=0.40)。 副次アウトカムついては、死亡例の報告はなく、入院はフルボキサミン群1例およびプラセボ群2例、入院・救急外来/救急診療部受診はそれぞれ14例および21例(HR:0.69、95%CrI:0.27~1.21、有効性の事後確率p=0.86)であった。 重篤な有害事象は、6例(フルボキサミン群2例、プラセボ群4例)で7件報告された。

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デキサメタゾン製剤、アセタゾラミドなどに「重大な副作用」追加/厚労省

 厚生労働省は1月10日、アセタゾラミドやデキサメタゾン製剤などの添付文書について、使用上の注意改訂指示を発出した。炭酸脱水酵素阻害薬のアセタゾラミド、アセタゾラミドナトリウム(商品名:ダイアモックス)には重大な副作用として「急性呼吸窮迫症候群、肺水腫」が、デキサメタゾン製剤(経口剤および注射剤)や副腎皮質ホルモン製剤(経口剤および注射剤)のうちリンパ系腫瘍の効能を有する製剤には重大な副作用として「腫瘍崩壊症候群」が追加された。重大な副作用「急性呼吸窮迫症候群、肺水腫」追加 急性呼吸窮迫症候群および肺水腫関連の症例を評価した結果、アセタゾラミド、アセタゾラミドナトリウムと急性呼吸窮迫症候群および肺水腫との因果関係が否定できない症例(国内11例のうち9例、海外6例のうち4例)が集積したため。<該当医薬品>アセタゾラミドアセタゾラミドナトリウム重大な副作用「腫瘍崩壊症候群」追加 腫瘍崩壊症候群の症例を評価した結果、デキサメタゾン製剤(経口剤および注射剤)、プレドニゾロン製剤(経口剤および注射剤)、メチルプレドニゾロン製剤(経口剤および注射剤)、およびヒドロコルチゾン製剤(注射剤)について、腫瘍崩壊症候群との因果関係が否定できない症例(国内17例のうち6例、海外34例のうち22例)が集積したため。<該当医薬品>1.デキサメタゾン(経口剤)2.デキサメタゾンパルミチン酸エステル3.デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム(注射剤)4.プレドニゾロン(経口剤)5.プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム6.プレドニゾロンリン酸エステルナトリウム7.メチルプレドニゾロン8.メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム9.メチルプレドニゾロン酢酸エステル10.コルチゾン酢酸エステル11.ヒドロコルチゾン12.ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム(効能又は効果にリンパ系腫瘍を含む)13.ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム(効能又は効果にリンパ系腫瘍を含まない)14.ヒドロコルチゾンリン酸エステルナトリウム 1、3~5、7~12のように効能又は効果にリンパ系腫瘍を含む製剤については「重要な基本的注意」と「重大な副作用」の項に腫瘍崩壊症候群に関する記載を追記される。それ以外の製剤については「重要な基本的注意」の項に追記される。 なお、プレドニゾロン製剤(注腸剤)およびコルチゾン・ヒドロコルチゾン製剤(経口剤)については、腫瘍崩壊症候群の症例の集積はないが、同一の活性体などの集積を踏まえ、同内容に改訂することが適切と判断された。一方で、トリアムシノロン製剤(経口剤および注射剤)およびベタメタゾン製剤(経口剤、坐剤、注射剤および注腸剤)については、腫瘍崩壊症候群の症例の集積がないことから、現時点では使用上の注意の改訂は不要と判断された。

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teplizumabの登場で1型糖尿病治療は新たなステージへ(解説:住谷哲氏)

 膵島関連自己抗体が陽性の1型糖尿病は正常耐糖能であるステージ1、耐糖能異常はあるが糖尿病を発症していないステージ2、そして糖尿病を発症してインスリン投与が必要となるステージ3に進行する1)。抗CD3抗体であるteplizumabはステージ2からステージ3への進行を抑制することから、8歳以上のステージ2の1型糖尿病患者への投与が2022年FDAで承認された。しかし、現実にはステージ2の1型糖尿病患者がすべて診断・管理されているわけではなく、臨床的に1型糖尿病を発症したステージ3の患者が多数を占めている。 teplizumabがステージ2と同様にステージ3の患者でも有効か否かについては、これまでに実施された複数の第I、II相臨床試験のメタ解析で、その有効性が示唆されていた2)。そこで実施されたのが第III相となる本試験PROTECT (Provention Bio’s Type 1 Diabetes Trial Evaluating C-Peptide with Teplizumab)である。 teplizumabは1コース12日間投与で26週後に2コース目が実施された。主要評価項目は、78週後に実施された食事負荷試験後のC-ペプチドAUCのベースラインからの変化量とされた。結果はプラセボ群に比較して、teplizumab投与群ではC-ペプチド値が有意に高値であった。副次評価項目であるインスリン投与量、HbA1cの変化量などには有意差を認めなかったが、主要評価項目が達成されたので本試験の結果はpositiveである。つまり、teplizumabは発症直後の1型糖尿病患者のβ細胞機能を維持する可能性があると考えられる。 わが国の1型糖尿病の発症率は欧米に比べると低い。欧米では2015年に1型糖尿病発症の自然史(ステージング)の概念が導入されたが、わが国では、ほとんど認知されていないのではないだろうか。1型糖尿病は発症予防可能な疾患になりつつある。わが国での発症率から考えて、ステージ2からステージ3への進行を抑制する薬剤としてのteplizumabが承認されなくても大きな問題はないだろう。しかし、teplizumabが発症直後の1型糖尿病患者のβ細胞機能保持薬として欧米で承認されれば、わが国でも早急に承認されることが期待される。

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知らなかった、代理寄付!【Dr. 中島の 新・徒然草】(511)

五百十一の段 知らなかった、代理寄付!2024年は1月1日に令和6年能登半島地震、1月2日に羽田空港での衝突事故と立て続けに大変なことが起こりました。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。さて、能登半島地震に対しては大阪医療センターからもDMATと災害医療班が出発しました。災害医療班については、あらかじめ日によって決められた当番医師のリストがあります。そのリストに従って、出発日の当番医師が看護師・薬剤師・事務職とともに派遣されるわけです。私も当番リストに名前がありましたが、今回は出発日から4日ずれていたので派遣されませんでした。別の形で被災地にできることはないかと考え「こんな時こそ被災地にふるさと納税だ!」と思い付きました。で、いつも愛用しているサイトから、ふるさと納税をしようと被災自治体を調べてみたら、受け付けが一時中止になっています。被害が甚大過ぎて返礼品どころではない、ということなのでしょう。しかし、返礼品なしであれば寄付することができるようなので、早速、震源地に近い数ヵ所の自治体にふるさと納税を行いました。ついでにいろいろ調べてみると、代理寄付という制度があるようです。その制度を詳しく述べたページを読んでみると、そこには衝撃の記載が……「被災自治体って本当に大変なんです。それはもう、寄付金を受け取ることもできないほどに」以下、代理寄付の制度についての説明が続いていました。ふるさと納税の寄付金を自治体が受け取ると、納税証明書を発行して支援者に郵送するわけですが、被災直後にはこの事務作業自体が被災自治体の負担になってしまうとのこと。しかもこの納税証明書の発行は自治体にしかできない業務なので業者に委託できません。そこで立ち上がったのが「代理寄付自治体」の制度で、代理寄付自治体が代わりに納税証明書発行の業務を行い、寄付金を被災自治体に届けるという自治体同士の助け合いシステムなのだそうです。まったく知りませんでした。良かれと思った寄付金が、かえって被災自治体の職員の負担になるのでは本末転倒。そこで、私も代理寄付の制度を利用することにしました。ふるさと納税サイトの中でも、この制度を使えるところと使えないところがあるので、まずは代理寄付を扱っているサイトを選ぶ必要があります。その上で、金額を記入してボタンを押す、ただそれだけ。手続き自体は何ら難しいことはありません。ただし、被災地の自治体1つに対し、日本全国にある数ヵ所の自治体が代理寄付を受け付けているので、どこにするかを迷います。結局、私は自宅近くの馴染みのある名前の自治体に送りました。後で知ったのですが、この制度は2016年4月16日に発生した熊本地震に対して茨城県境町が代理寄付を申し出たのが最初だということです。当時の橋本 正裕町長の発案で、熊本に対するふるさと納税の受け付けと納税証明書の発行を代理で行い、わずか15日間で1億円以上の寄付金を集め、被災地に届けることができたとのこと。その後、多くの自治体が賛同し、今ではすっかり定着しています。いつも私は返礼品目当てのふるさと納税ばかりですが、こういった形の寄付もいいですね。被災地の一刻も早い復興をお祈りいたします。最後に1句新春に 頭をひねって 寄付をする

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ドイツの光熱費支払いは前払い!【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第32回

だいぶ冷え込んできた今日この頃ですね。私が住んでいたグライフスヴァルトは、緯度だけでいうと北海道よりも遥か北にあり、冬の冷え込みは相当なものでした。ドイツでは、画像のようなタイプの暖房器具が使用されます。留学前にドイツの病院見学にいった際に、ホテルで初めて見ましたが…「暖房? だよな?」としばらくどう使うかわかりませんでした。このタイプは日本の暖房と違って急速に暖める機能はありません。部屋の空気全体をゆっくり暖めていく感じです。私が住んでいたグライフスヴァルトは旧東ドイツの街でした。東ドイツでは暖房は行政が管理していたらしく、今でも古い建物は暖房の強弱を自分で決められないようになっていました(たぶんガス会社か何かが管理しているとのことでした)。引越しで物件を決める前にそのことを知ることができたので、金額は多少高くなりましたが、新築の物件を選ぶことにしました。あの会社のリストに載るとクレカも作れないドイツでは電気代やガス代は、前払いシステムとなります。前年度の料金を参考に、先に支払い、1年の使用料を集計して、後ほど返金したり、追加徴収したりします(新築の場合は近隣の同じような物件を参考にしていたようです)。ドイツから日本に帰ってきて、結局2年近く追加徴収の通知が届いていて、その度に手数料を払って海外送金していました。「踏み倒したらいいんじゃない」と思われる方もいるかもしれません。実際、私もそう思ったのですが…。ドイツには“Schutzgemeinschaft fuer allgemeine Kreditsicherung”と言われる信用情報会社があります。通称“Schufa”と呼ばれていて、ある個人が過去に料金の踏み倒しをしたことがないことを調査しています。クレジットカードを作ったり、賃貸物件を借りたりする際に、Schufaによる審査が入ることになります。過去に、帰国の際に電気料金を踏み倒した日本人の方が、Schufaのブラックリストに載ってしまい、2度とドイツで賃貸物件を借りることができなくなった人がいたという噂を聞いたことがあります。Schufaに目をつけられないためにも、絶対にドイツの公共料金は踏み倒してはいけないのです。いや、日本でもダメなんですが。

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