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便通異常症 慢性便秘(12)薬物療法:漢方【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q110

便通異常症 慢性便秘(12)薬物療法:漢方Q110慢性便秘で困っている42歳女性。とくに既往がなく、器質的な原因もないようだ。下剤を希望されているが、こだわりが強く西洋薬ではなく漢方薬を希望されている。腹部診察時、臍部に手を当てると冷感が強い。何を処方しようか?

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事例044 他医撮影のコンピューター断層診断の査定と算定漏れ【斬らレセプト シーズン3】

解説高血圧で治療中の患者が、「人間ドックにおいて撮影された腹部コンピューター断層画像所見にて腫瘤を指摘された」と所見と画像が記録されたCDを持って来院されました。CD内の所見と画像を拝見して、当面の不安がないことを患者に伝えました。疑い疾患の初診日に当たるために診断料を算定したところ、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)にて査定になりました。査定事由を分析するために算定要件を確認しました。留意事項の(3)に、「当該保険医療機関以外の医療機関で撮影したフィルムについて診断を行った場合には、初診料(2つ目の診療科を含む)を算定した日に限り、コンピューター断層診断料を算定できる」とありました。患者は高血圧で治療中のため、他院のCDを診断した日が初めての疾患であっても初診料算定はできません。初診料の算定ができないために、他医撮影のコンピューター断層診断も算定できないとして査定になったものでした。レセプトチェックシステムで指摘はありましたが、当該疾患の病名開始日が当月のため見逃してしまったようでした。初診料と対となる項目であることと、レセプトチェックシステムの指摘には必ず対応することを伝えて査定対策としました。なお、他のカルテも調べたところ初診料算定時の他医撮影CDやフィルムにかかる診断料算定漏れが複数みつかりました。こちらは診療部門において、他院撮影画像の診断を行ったことを必ずオーダーシステムに登録いただくことで算定漏れ防止策としました。

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令和6年能登半島地震災害義援金のお礼とご報告

このたびの能登半島地震で被災された皆さま、ならびにご家族の皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。CareNet.comでは、ポイントのご利用による「令和6年能登半島地震災害義援金」を募集いたしました。多くの方々にご協力いただき、2月29日までに2,268,612円分のポイントが集まりましたことをご報告いたします。また、ケアネットからも同額を加え、総額4,537,224円を日本赤十字社を通じて被災地にお届けいたします。皆さまより多大なるご賛同、ご協力を賜り、誠にありがとうございました。被災地の一刻も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。令和6年能登半島地震災害義援金の詳細は以下をご確認ください。(※日本赤十字社のサイトへ遷移します)https://www.jrc.or.jp/contribute/help/20240104/

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高齢NSCLC患者へのICI、化学療法の併用を検討すべき患者は?

 PD-L1高発現(TPS≧50%)の非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、PD-1またはPD-L1を標的とする免疫チェックポイント阻害薬(ICI)単剤療法、ICIと化学療法の併用療法は標準治療の1つとなっている。しかし、高齢者におけるエビデンスは限られており、ICI単剤療法とICIと化学療法の併用療法のどちらが適切であるかは明らかになっていない。そこで、70歳以上のPD-L1高発現の進行NSCLC患者を対象とした多施設共同後ろ向き研究において、ICI単剤療法とICIと化学療法の併用療法が比較された。その結果、ECOG PS0または非扁平上皮がんの集団では、ICIと化学療法の併用療法が全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を改善した。本研究結果は、京都府立医科大学の武井 翔太氏らによってFrontiers in Immunology誌2024年2月23日号で報告された。 本研究は、70歳以上でECOG PS0/1のPD-L1高発現の進行NSCLC患者のうち、初回治療でICI単剤療法による治療を受けた患者131例(単剤群)およびICIと化学療法の併用療法による治療を受けた68例(併用群)を対象とした。傾向スコアマッチングにより背景因子を調整し、両群のOSとPFSを比較した。 主な結果は以下のとおり。・OS中央値は、単剤群が25.2ヵ月であったのに対し、併用群が42.2ヵ月であったが有意差は認められなかった(p=0.116)。・PFS中央値は、単剤群が10.9ヵ月、併用群が11.8ヵ月であり、有意差は認められなかった(p=0.231)。・単剤群のサブグループ解析において、喫煙歴のない患者はOSが有意に短かった(ハザード比[HR]:0.36、95%信頼区間[CI]:0.16~0.78、p=0.010)。・併用群のサブグループ解析において、ECOG PS1の患者(HR:3.84、95%CI:1.44~10.20、p=0.007)、扁平上皮がんの患者(同:0.17、0.06~0.44、p<0.001)はOSが有意に短かった。・ECOG PS0の集団におけるOS中央値は、単剤群が26.1ヵ月であったのに対し併用群は未到達であり、併用群が有意に長かった(p=0.0031)。同様にPFS中央値は単剤群が6.5ヵ月であったのに対し併用群は21.7ヵ月であり、併用群が有意に長かった(p=0.0436)。・非扁平上皮がんの集団におけるOS中央値は、単剤群が23.8ヵ月であったのに対し併用群は未到達であり、併用群が有意に長かった(p=0.0038)。同様にPFS中央値は単剤群が10.9ヵ月であったのに対し併用群は17.3ヵ月であり、併用群が有意に長かった(p=0.0383)。 本研究結果について、著者らは「PD-L1高発現の高齢NSCLC患者の治療選択時には、ECOG PSと組織型を考慮すべきである」とまとめた。

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血糖値が改善する身近な香辛料は?~メタ解析

 地中海食に含まれるハーブ/スパイスが2型糖尿病患者の血糖プロファイルに及ぼす影響を調査したシステマティックレビューおよびメタ解析の結果、いくつかのハーブ/スパイス摂取が空腹時血糖、HbA1cおよびインスリン値の低下と関連していて、とくにショウガの摂取でそれらすべてが有意に改善したことを、スペイン・University of ZaragozaのMaria C. Garza氏らが明らかにした。Nutrients誌2024年3月7日号掲載の報告。 地中海食には豊富なハーブ/スパイスが含まれていて、それらが血糖値やコレステロール低下作用、抗酸化作用、抗炎症作用などを示す可能性が示唆されている。そこで研究グループは、地中海食に一般的に含まれるハーブ/スパイスが2型糖尿病患者の血糖プロファイルに及ぼす影響を調査した。 PubMed、Web of Science、Scopusの各データベースを2023年9月まで検索し、2型糖尿病の成人患者の血糖プロファイルに対するブラッククミン、クローブ、パセリ、サフラン、タイム、ショウガ、黒コショウ、ローズマリー、ターメリック、バジル、オレガノ、シナモンの影響を調査した介入研究を適格とした。主要アウトカムは空腹時血糖値、HbA1c、インスリン値の変化であった。 主な結果は以下のとおり。●システマティックレビューの対象となった論文は77報で、このうち45報(45研究、3,050例)がメタ解析の対象となった。●空腹時血糖値が有意に改善したのは、ブラッククミン、シナモン、ショウガ、ターメリック、サフランであった(以下、括弧内は95%信頼区間)。 ・ブラッククミン摂取群:26.33mg/dL低下(-39.89~-12.77、p=0.0001) ・シナモン摂取群:18.67mg/dL低下(-27.24~-10.10、p<0.001) ・ショウガ摂取群:17.12mg/dL低下(-29.60~-4.64、p=0.0004) ・ターメリック摂取群:12.55mg/dL低下(-14.18~-10.86、p<0.001) ・サフラン摂取群:7.06mg/dL低下(-13.01~-1.10、p=0.020)●HbA1cが有意に改善したのは、ショウガとブラッククミンであった。 ・ショウガ摂取群:0.56%低下(-0.90~-0.22、p=0.0013) ・ブラッククミン摂取群:0.41%低下(-0.81~-0.02、p=0.0409)●インスリン値が有意に改善したのは、ショウガとシナモンであった。 ・ショウガ摂取群:1.69 IU/μL低下(-2.66~-0.72、p=0.0006) ・シナモン摂取群:0.76 IU/μL低下(-1.13~-0.39、p<0.0001)※各ハーブ/スパイスの最も一般的な摂取量は、ブラッククミン:500mg、シナモン:1,000mg、ショウガ:2,000mg、ターメリック:2,000mg、サフラン:30~100mg。 著者らは、本研究の限界として「それぞれのハーブ/スパイスの用量が不均一であるため、有効用量を考慮することはできなかった」ことなどを挙げつつ、「ショウガは、地中海食のハーブ/スパイスの中で、空腹時血糖、HbA1cおよびインスリン値の3つの検査結果すべてに有意な影響をもたらす独特のものであるようだ」とまとめた。

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デュルバルマブ+化学療法±オラパリブが進行子宮体がんの生存改善(DUO-E)/SGO2024

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)+化学療法の1次治療とICI+PARP阻害薬の維持療法は、進行子宮体がんに対するさらなる抗腫瘍活性を示した。米国婦人科腫瘍学会(SGO2024)で米国・H. Lee MoffittがんセンターのHye Sook Chon氏が発表している。 ICI+化学療法はミスマッチ修復機能欠損(dMMR)子宮体がんに抗腫瘍活性を示している1,2)。ICIへのPARP阻害薬の追加は、さまざまながん種で有効性が期待されており、婦人科腫瘍においても、いくつかの臨床試験でPARP阻害薬とICIの併用療法が研究されている3)。 DUO-E(GOG-3401/ENGOT-EN10)試験は、進行・再発子宮体がんに対するデュルバルマブ・化学療法の併用1次治療へのデュルバルマブ±オラパリブ維持療法追加の有用性を評価する第III相3群無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験である。Chon氏はITT集団およびMMR状況ごとの無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)の初回カットオフの結果(主要評価項目の成熟度61%)を発表した。・対象:未治療の進行StageIII/IV(FIGO2009)または再発子宮体がん・試験群1: 化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル:CP)+デュルバルマブ→デュルバルマブ(CP+D群)・試験群2:CP+デュルバルマブ→デュルバルマブ+オラパリブ(CP+D+O群)・対照群:CP→プラセボ(CP群)・評価項目:[主要評価項目]PFS[副次評価項目]全生存期間(OS)、ORR、DOR、安全性 主な結果は以下のとおり。[ITT集団]・PFS中央値はCP群9.6ヵ月に対し、CP+D群では10.2ヵ月(対CP群ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.57〜0.89、p=0.003)、CP+D+O群では15.1ヵ月(対CP群HR:0.55、95%CI:0.43〜0.69、p<0.0001)で、CP+D群、CP+D+O群ともに有意に改善した。・ORRはCP群55.1%に対し、CP+D群61.9%(対CP群オッズ比[OR]:1.32、95%CI:0.89〜1.98、p=0.003)、CP+D+O群63.6%(対CP群OR:1.44、95%CI:0.95〜2.18、p=0.0001)で、CP+D群、CP+D+O群ともに有意に改善した。・DOR中央値はCP群7.7ヵ月に対し、CP+D群13.1ヵ月、CP+D+O群21.3ヵ月であった。[dMMR集団]・PFS中央値はCP群7.0ヵ月に対し、CP+D群では未到達(対CP群HR:0.42、95%CI:0.22~0.80)、CP+D+O群では31.8ヵ月(対CP群HR:0.41、95%CI:0.21~0.75)であった。・ORRはCP群40.5%、CP+D群71.4%(対CP群OR:3.68、95%CI:1.51~9.39)、CP+D+O群73.0%(対CP群OR:3.97、95%CI:1.57~10.65)であった。・DOR中央値はCP群10.5ヵ月、CP+D群未到達、CP+D+O群29.9ヵ月であった。[ミスマッチ修復機能正常(pMMR)集団]・PFS中央値はCP群9.7ヵ月に対し、CP+D群では9.9ヵ月(対CP群HR:0.77、95%CI:0.60~0.97)、CP+D+O群では15.0ヵ月(対CP群HR:0.57、95%CI:0.44~0.73)であった。・ORRはCP群59.0%に対し、CP+D群では59.4%(対CP群OR:1.02、95%CI:0.65~1.59)、CP+D+O群では62.1%(対CP群OR:1.10、95%CI:0.69~1.74)であった。・DOR中央値はCP群7.6ヵ月に対し、CP+D群では10.6ヵ月、CP+D+O群では18.7ヵ月であった。[安全性]・CP+D群、CP+D+O群とも忍容性は良好で管理可能であり、治療中止の頻度も低かった。 ITT集団においては、CP+D群、CP+D+O群ともにPFSの改善がみられた。MMRのサブグループを見ると、dMMRについては両群で、pMMRについてはCP+D+O群でPFSの改善傾向がみられた。

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冠動脈ステント内再狭窄、DCB vs.非コーティングバルーン/JAMA

 ステント内再狭窄に対して経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた患者において、パクリタキセルコーティングバルーンは非コーティングバルーンと比較し、1年時の標的病変不全の発生が有意に少なく、優越性が示された。米国・ベス・イスラエル・ディーコネス・メディカルセンターのRobert W. Yeh氏らが、米国の40施設で実施した無作為化比較試験「A Clinical Trial to Assess the Agent Paclitaxel Coated PTCA Balloon Catheter for the Treatment of Subjects With In-Stent Restenosis:AGENT IDE試験」の結果を報告した。著者は、「パクリタキセルコーティングバルーンは、冠動脈ステント内再狭窄患者に対する有効な治療選択肢である」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年3月9日号掲載の報告。パクリタキセルコーティングバルーン vs非コーティングバルーン、標的病変不全を1年追跡 研究グループは、2021年5月~2022年8月にステント内再狭窄(参照血管径2.0mm以上4.0mm以下、病変長26mm未満、標的病変狭窄が症候性では50%以上100%未満、無症候性では70%以上)を有する患者600例を登録し、標的病変の前拡張成功後にパクリタキセルコートバルーン群(406例)または非コートバルーン群(194例)に2対1の割合で無作為に割り付け、施術後1年間追跡した。 両群とも、術後少なくとも1ヵ月間はアスピリンとP2Y12阻害薬による抗血小板薬2剤併用療法を行った後、抗血小板薬単剤療法を試験期間中継続した。最終追跡日は2023年10月2日であった。 主要エンドポイントは、1年時の標的病変不全(TLF)(虚血による標的病変血行再建術、標的血管関連心筋梗塞、心臓死の複合と定義)とし、ITT解析を行った。標的病変不全発生率は17.9% vs.28.6% 無作為化された600例の患者背景は、平均年齢68歳、女性26.2%、黒人7%、糖尿病併存50.7%、多枝冠動脈疾患の既往78.9%で、このうち1年間の追跡調査を完了したのは574例(95.7%)であった。 主要エンドポイントの1年時イベント発生率は、パクリタキセルコーティングバルーン群17.9%、非コーティングバルーン群28.6%であり、優越性の基準を満たした(ハザード比[HR]:0.59、95%信頼区間[CI]:0.42~0.84、両側のp=0.003)。 標的病変血行再建術の発生率は13.0% vs.24.7%(HR:0.50、95%CI:0.34~0.74、p=0.001)、標的血管関連心筋梗塞の発生率は5.8% vs.11.1%(0.51、0.28~0.92、p=0.02)で、いずれもパクリタキセルコーティングバルーン群で低かった。 心臓死の発生率は、それぞれ2.9% vs.1.6%(HR:1.75、95%CI:0.49~6.28、p=0.38)であった。

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大腸がん、血中遊離DNA測定でスクリーニング可/NEJM

 血液中の遊離DNA(cell-free DNA:cfDNA)測定をベースとした大腸がん検査は、平均的な大腸がんリスクを有するスクリーニング集団において、大腸がんの検出感度83%、進行新生物に対する特異度90%、進行前がん病変の検出感度13%であったことが、米国・マサチューセッツ総合病院・ハーバード大学医学部のDaniel C. Chung氏らによる「Evaluation of the ctDNA LUNAR Test in an Average Patient Screening Episode:ECLIPSE試験」の結果で示された。大腸がんは米国の成人において3番目に多いがんで、早期発見により関連死の90%以上を予防でき、複数の検査が利用可能であるにもかかわらず、検診対象者の3分の1以上は検診を受けていない。血液を用いた大腸がん検査は、検診の受診率を向上させ、大腸がんの早期発見と関連死亡率の低下に寄与する可能性があった。今回の結果を踏まえて著者は、「45歳未満の大腸がん発生率が増加していることから、スクリーニング年齢を広げるために、血液ベースの検査戦略の潜在的な臨床的および医療経済的効果を明らかにすることが待たれる」と述べている。NEJM誌2024年3月14日号掲載の報告。約2万人を登録、7,861例を解析 研究グループは、大腸がんスクリーニングの対象集団におけるcfDNA血液検査の性能特性を評価する目的で本試験を実施した。2019年10月~2022年9月に米国の265施設において、同意取得時の年齢が45~84歳、大腸がんの平均的なリスクがあり、大腸内視鏡による定期検診を受けている計2万2,877例を登録し、登録日に血液検体を採取した後、60日以内に大腸内視鏡検査を実施した。血液検体は、中央検査施設にて盲検下でcfDNA解析が行われた。 主要アウトカムは、大腸がん検出の感度と、進行新生物(大腸がんまたは進行前がん病変)に対する特異度の2つで、大腸内視鏡検査の参照標準と比較した。副次アウトカムは、進行前がん病変検出の感度であった。 登録者2万2,877例から1万258例を無作為に抽出し、臨床検証コホートとした。このうち、cfDNA血液検査および大腸内視鏡検査を完遂し、適格であった7,861例が解析対象となった。cfDNA血液検査の大腸がん検出感度83.1%、進行新生物に対する特異度89.6% 大腸内視鏡検査で大腸がんが検出された参加者65例のうち、54例(83.1%)がcfDNA血液検査陽性、11例(16.9%)が陰性であったことから、cfDNA血液検査の大腸がん検出感度は83.1%(95%信頼区間[CI]:72.2~90.3)であり、95%CIの下限値はFDAが承認した他の大腸がん検査で確立された65%の許容基準を超えていた。 StageI、IIまたはIIIの大腸がんに対する感度は87.5%(95%CI:75.3~94.1)、進行前がん病変に対する感度は13.2%(95%CI:11.3~15.3)であった。 大腸内視鏡検査で進行新生物が確認されなかった参加者のうち、cfDNA血液検査陰性は89.6%、陽性は10.4%であったことから、進行新生物に対する特異度は89.6%(95%CI:88.8~90.3)であり、95%CIの下限値は事前に規定された許容基準の85%を超えていた。 大腸内視鏡検査が陰性(大腸がん、進行前がん病変、非進行前がん病変が認められなかったと定義)であった参加者の89.9%はcfDNA血液検査が陰性であり、偽陽性率は10.1%、新生物なしに対する特異度は89.9%(95%CI:89.0~90.7)であった。

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うつ病と診断された双極性障害患者の自殺企図リスク

 多くの場合、自殺には、原因となる精神疾患が関連している。うつ病と診断された双極性障害患者における自殺企図のリスク因子は、十分に明らかとなっているとは言えない。中国・北京大学のLin Chen氏らは、うつ病と診断された双極性障害患者における自殺企図の発生率および臨床的リスク因子を評価するため、本研究を実施した。Asian Journal of Psychiatry誌2024年3月号の報告。 対象は、中国の精神保健施設13施設より登録されたうつ病診断患者1,487例。うつ病と診断された双極性障害患者を特定するため、精神疾患簡易構造化面接法(MINI)を用いた。対象患者の社会人口統計学的および臨床的データを収集した。MINIを用いて、自殺企図を有する患者を特定した。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者の20.6%は、うつ病と診断されていた。・うつ病と診断された双極性障害患者の26.5%に、自殺企図が認められた。・これらの患者の特徴として、高齢、入院回数が多い傾向があり、非定型的特徴、精神症状、自殺念慮を伴う季節性うつ病エピソードの頻度が高い可能性が示唆された。・高頻度のうつ病エピソードと抑うつ症状発現中の自殺念慮は、自殺企図の独立したリスク因子として特定された。・うつ病と診断された双極性障害患者と自殺企図歴を有するうつ病患者との間に、社会人口統計学的および臨床的な有意な違いが確認された。 著者らは「双極性障害患者における正確な診断の重要性が示唆されており、とくに自殺行動に関連して、うつ病と診断された双極性障害患者とうつ病患者を特定し、適切な介入を行うことが重要である」としている。

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第203回 コロナワクチン有償化へ、最も弊害を受ける関係者とは

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の生後6ヵ月以上の国民に対する全額公費でのワクチン接種がついに3月31日に終了する。2024年4月1日から新型コロナはインフルエンザと同じく個人での予防を主眼とする予防接種法のB類疾病となり、ワクチン接種の対象者を65歳以上の高齢者および60~64歳で心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される人、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染で免疫機能に障害があって日常生活がほとんど不可能な人とし、秋冬の定期接種へと切り替わる。これ自体は現状を考えれば、多くの医療従事者が納得するだろう。B類疾病となれば、ご存じのように定期接種対象者は無償とはいかない。厚生労働省が示した自己負担額の標準的な接種費用は7,000円である。ワクチン製造企業に対する非公開ヒアリングで希望小売価格を聞いた結果を踏まえ、ワクチン価格を1万1,600円とし、これに医師の手技料3,740円を加え、接種1回あたりの費用は1万5,300円程度と試算。国は接種1回あたり8,300円を助成金として自治体に交付する計画だ。また、従来からB類疾病の定期接種は、住民税非課税世帯や生活保護世帯の対象者は無償なため、これを念頭に市区町村には接種費用総額の3割を地方交付税として手当てする1)。ワクチン価格は私個人の予想からそう外れてはいなかったが、接種対象者の自己負担額はインフルエンザワクチンの約4倍。新規モダリティのワクチンであるため、この価格はある意味仕方ないが、消費者目線ではかなりに高いと言える。おそらく市区町村によっては、接種対象者の自己負担分も負担して無料にするところも出てくるだろうが、全体から見れば、おそらくそれは少数派ではないだろうか?こうなると定期接種対象者の中には接種の差し控えも増えてくるだろうと思われる。もっとも国内の高齢者の新型コロナワクチン接種率は3回目までで90%超、4回目以降の総接種回数も2024年3月17日現在9,364万7,589回であることを考えれば、この先1年程度の短期で見るならば、高齢者での感染拡大とそれに伴う重症者・死亡者の増加懸念はそれほど大きくはないだろうと個人的には受け止めている。ただ、長期的に見ると、やや違う見方ができる。とりわけ高齢者に関わる層の接種率の低下が不安要素の一つだ。代表格は若年の医療従事者と介護関係者だが、これまでのインフルエンザでの経験や個人あるいは所属組織の可処分所得から考えると、懸念すべきは後者の介護従事者である。医療従事者と比べても重症化リスクの高い高齢者に集中的に接する介護従事者の平均給与(手当・賞与を含む)は、厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇等調査結果」によると、同年12月時点で月額31万8,230円。国税庁による「令和3年分民間給与実態統計調査」の民間給与所得者の平均給与月額(同調査年額を月額換算)36万9,417円と比べれば、5万円以上の格差がある。ちなみに前述の介護職員の平均給与月額は、岸田 文雄首相が就任直後から介護・看護・保育従事者の賃上げを政権の重要方針に掲げ、介護従事者に関しては2022年2月から補助金、同年10月から介護職員等ベースアップ等支援加算を介護報酬に新設した後の結果である。実際、同調査結果からは前年同月と比べて平均給与月額は1万7,490円増えたが、それでもまだこれほどの格差があるのだ。この状態で介護従事者を任意接種にして1万5,000円以上の自己負担を求めるのはやや酷である。さらに今さら言うまでもなく、人によってはこの経済的負担に加え、接種後2~3日の倦怠感と発熱の副反応という肉体的負担を凌がなければならない。しかも、高齢者施設の経営状況は近年厳しさを増している。独立行政法人福祉医療機構が2月上旬に発表したデータによると、施設系サービスの代表格とも言える特別養護老人ホームのサービス活動収益対サービス活動増減差額比率(企業で言えば利益率に相当)は、2022年度で従来型が0.3%、ユニット型が4.1%。それぞれ前年度から1.1ポイント、0.7ポイント低下している。同年度の赤字施設割合は従来型が48.1%、ユニット型が34.5%で、いずれも前年度から拡大し、従来型の約半数が赤字となる極めて深刻な状況だ。施設側に介護従事者のワクチン接種を補助できる余裕はないと言ったほうがよいだろう。インフルエンザワクチンの接種に関しては、東京都目黒区のように高齢者施設を含む入所系福祉施設職員への接種補助を行っているケースもあるが、まだ稀な動きである。確かに現時点での高齢者の新型コロナワクチン接種率を考えれば、介護従事者の持ち込みによる感染・発症が発生しても、重症化は短期的には避けられるかもしれない。しかし、新型コロナでは感染・発症を繰り返すほど、後の重症化リスクが高まるとの報告もある。また、昨今の変異株に対し新型コロナワクチンの感染・発症予防効果は低下している。介護従事者などを通じて施設に繰り返し感染が持ち込まれれば、あまり良い結末は想像できないはずである。その意味で、とりわけ介護従事者の新型コロナワクチン接種に関しては、別枠の補助を設けたほうが望ましいのではないかと個人的には思わずにいられないのだが…。参考1)厚生労働省:新型コロナウイルスワクチンの接種について(令和6年3月15日)

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がん患者のつらい倦怠感に何ができるか【非専門医のための緩和ケアTips】第72回

第72回 がん患者のつらい倦怠感に何ができるかがん患者の倦怠感はよくある症状ですが、ほかの症状に紛れて患者本人が気付かない、訴えないことも多いようです。また、緩和が難しい身体症状の1つでもあります。このようながん患者のつらい倦怠感に、われわれができることは何なのでしょうか?今日の質問外来通院しているがん患者さんが倦怠感を訴えています。訴え方は「だるい」「気分が優れない」といった漠然としたものです。こうした症状にステロイドを使用すると聞いたのですが、処方したほうが良いのでしょうか? ステロイドの長期使用は弊害もありそうで、ちゅうちょしています。がん患者の倦怠感は、しばしば見逃されることがあると報告されています。今回の質問者は患者の訴えをしっかりと聞く診療をされているのでしょう。私もこうした診療ができるよう取り組みたいものです。がん患者の倦怠感は、さまざまな原因から生じます。欧州緩和ケア協会では、がん関連倦怠感を主に炎症性サイトカインが関連する一次的倦怠感(primary fatigue)と、貧血や感染症、うつ病、電解質異常、薬剤などが原因の二次的倦怠感(secondary fatigue)に分けて考えることを提唱しています。一次的倦怠感は、腫瘍から生じるさまざまなサイトカインの影響により倦怠感が生じる病態であり、悪液質と呼ばれる病態に関連した倦怠感もここに分類されます。一方、がん以外の原因によって生じる二次的倦怠感にも注意が必要です。低ナトリウム血症などの電解質異常や睡眠不足、抑うつなどの精神心理的な問題といった要因が考えられます。こちらのほうが改善できる可能性が高く、注意して評価する必要があります。私がとくに注意しているのは「薬剤」による倦怠感です。利尿剤など、もともと内服していた薬剤が病状の変化に伴って過剰になる、といったことはよく生じます。現在の投与量で継続するのか、タイミングを計って見直すことが重要です。さて、今回質問をいただいたステロイドですが、確かにがん患者の倦怠感に対してステロイドが有効であることは私自身も経験していますし、論文でも有効性が述べられています。一方で、効果が限定的である点や副作用とのバランスを念頭に置いて判断する必要があります。「効果が限定的」というのは、2つの側面があります。1点目は「対象者」です。多くの専門家が、予後が数ヵ月以上見込まれる患者に対してステロイド使用を推奨しています。予後が限られる患者には、効果があまり見込めないのです。2点目は「持続時間」です。ステロイドは投与中ずっと効果が持続するケースは少なく、多くの患者が1週間程度でその効果を実感しなくなります。こうした観点から、総合的にステロイド適応を判断します。最後に、予後が限られた状況における倦怠感にも触れておきます。この場合、症状緩和が難しいことが多く、ステロイドもあまり有効でありません。こうした場合は、睡眠覚醒の工夫や病室での過ごし方といったケアの面で、できることを工夫します。ときに緩和的鎮静も検討することになるでしょう。今回のTips今回のTipsがん患者の倦怠感、ステロイド処方は適応を十分検討する。

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映画「バッド・ジーニアス」【学歴社会を引っくり返す⁉(カンニング教育革命)】Part 1

今回のキーワードICT(情報通信技術)カンニングビジネス教育の平等身分社会(アリストクラシー)学歴社会(メリトクラシー)機会の平等結果の平等真の民主社会(デモクラシー)皆さんは、試験でカンニングをするのはけしからんと思いますか? なぜでしょうか? ずるくて不公平だから? それでは、試験を課す学歴社会の方が実は不公平だとしたら、どうでしょうか? そして、もしも絶対にバレないカンニングができるとしたら? さらに、実はみんなすでにこっそりやっているとしたら???今回は、カンニングをテーマに、映画「バッド・ジーニアス」を取り上げます。この映画を通して、文化進化の視点から、生成AIをはじめとするICT(情報通信技術)の高度な進歩によって、もはやカンニングが取り締まれなくなったら、学歴社会はどうなるのかを予想します。そして、カンニングをしても意味がなくなるようなこれからの教育のあり方、名付けて「カンニング教育革命」を一緒に探ってみましょう。カンニングはどこまでハイテク化したの?主人公のリンはタイの女子高校生。けっして裕福ではない父子家庭で育ちながら、成績が抜群に優秀だったため、特待奨学生として名門校に入学します。そこで人当たりの良いグレースと友達になります。グレースは勉強が苦手であったため、リンが家庭教師を引き受けることになります。しかし、テストでは、グレースは苦戦してしまい、前の席に座っていたリンはつい消しゴムに答えを書いて教えてしまうのです。この一件から、カンニングの手助けを希望するクラスメートがどんどん増えていきます。やがてリンたちは、米国の大学入学統一試験でハイテクも駆使して、世界を股にかけた「カンニングプロジェクト」をもくろみます。カンニングとは、試験で不正に答えを知ることです。古くは、中国の科挙まで遡ります。当時は、答えとなる聖典がびっしりと下着に書かれていました。このような歴史的な背景から、現在の中国でも超小型カメラ内臓の眼鏡や腕時計、金属探知機にも反応しない超小型イヤホンまでもが出回り、カンニングが闇ビジネスと化しています。そして、たびたび摘発されています1)。まさに、スパイさながらです。韓国でも、2009年に米国の大学入学統一試験(SAT)で、問題用紙がタイで持ち出され、時差によって米国にいる韓国人の受験生たちにその正解を流出させる事件が発覚しました2)。これが、この映画のモチーフとなっているようです。スウェーデンでは、2016年にテレビ番組のレポーターが潜入取材としてカンニングビジネスの犯罪グループに接触し、渡された超小型イヤホンを使うことで、実際の大学入学試験でほぼ満点を取ったことがテレビで放映されました3)。しかし、振り込め詐欺と同じように、捕まえられたのは「受け子」(お金の受け取り役)だけで、犯罪グループの全容は突き止めることができませんでした。なお、直接的なカンニングではありませんが、米国では、2019年に一流大学の関係者を組織的に買収するという不正入学事件が起き、30数人の裕福な親が起訴されました4)。その1人には、ドラマ「デスパレートな妻たち」の主演女優もいて、話題となりました。日本でも、2011年に京大をはじめとする4つの大学の入試問題が、携帯電話のメール機能によってヤフー知恵袋に投稿され、試験中に解答された事件がありました。2022年には共通テストの問題が試験中にスマホで撮影され流出した事件がありました。このように、たびたびニュースになっていますが、ICTが高度に進歩してしまった現在、これらの事件は氷山の一角でしょう。なんでカンニングに加担するの?リンたちが、米国の大学入学統一試験の正答の情報を流出させようとするシーンは、まさにスパイ映画を見ているようでスリリングです。カンニングを望む心理はよくわかるのですが、一方で、なぜカンニングに加担してしまうのでしょうか?ここで、その心理を大きく3つ挙げてみましょう。そして、実際のカンニングビジネスの協力者の心理に迫ってみましょう。(1)友達ほしさリンは、最初、本当にグレースを助けたいという純粋な思いで、つい答えを教えてしまいました。しかし、リンの彼氏からも手助けをお願いされてしまい、断れなくなくなります。リンは、グレース以外に友達がいなくて、カンニングによってでも、グレースとの関係をつなぎ留めておきたかったのでした。1つ目は、友達ほしさです。やがて、他のクラスメートたちからもカンニングの手助けをお願いされるようになり、ちやほやされます。リンもまんざらではありません。これは、承認の心理です。(2)お金ほしさグレースの彼氏は、裕福であったことから、大金を提示して、カンニングをビジネスにすることをリンに持ちかけます。決して裕福ではないリンは、その儲け話に乗ってしまいます。そして、手に入れたお金で父親に高級なシャツをプレゼントするのです。2つ目は、お金ほしさです。とくにタイでは貧富の差が大きく、お金のある人がお金のない人を搾取するという格差の問題としても描かれています。実際のカンニングビジネスにおいても、協力者たちはバレるリスクに見合う相当の大金が手に入るでしょう。(3)役割ほしさリンは、学校でカンニングに加担したことがバレて、奨学金や留学のチャンスを取り消されます。父親から「まともに育てられないなら、借金する意味がない」「留学はあきらめろ。どこにも行かず、ここにいろ(大学には進学せず地元で就職しろ)」と言われて、泣き崩れます。しかし、その後に再びグレースたちから、今度は米国の大学入学統一試験のカンニングの協力を持ちかけられます。リンは、カンニングの新しいアイデアを思いつき、彼女の死んでいた目が再び輝きを取り戻していくのです。3つ目は、役割ほしさです。これまでずっとリンは勉強ができることが唯一の取柄で、勉強ができることが彼女のすべてになっていました。しかし、進学の道が断たれてその能力を生かせず、悶々としていました。そんななか、その能力を発揮するチャンスが巡ってきたのでした。これは、アイデンティティの心理です。実際のカンニングビジネスにおいても、確実に合格点を取る協力者がいるわけですが、よくよく考えると、タイのような発展途上国でなければ、そんなに勉強ができる人は、表社会でエリートになっていそうです。それなのに、犯罪に手を染めてしまうのは、実は勉強ができるからといって、必ずしも仕事ができるとは限らないということがわかります。米国の研究においても、IQ 135以上の「極めて優秀」とされる約1,500人を子供の時から60年にわたって調査した結果、大多数が「普通」と呼ばれる仕事に就き、期待外れの仕事をしていたとの結果が出ています5)。この原因として、脳の機能はトレードオフ(一得一失)の関係にあるため、認知能力(システム化脳)が高すぎると、その分、社会的コミュニケーション能力(共感脳)が低くなってしまうことが考えられます(ゼロサム説)。たとえば、驚異的な記憶能力を発揮する人(サヴァン症候群)の多くは、非定型発達(自閉スペクトラム症)であることがわかっています。つまり、世の中には勉強しかできない人たちが一定数いるわけです。お金ほしさに加えて、この勉強ができるという役割(アイデンティティ)がほしいために、カンニングビジネスに「優秀」な協力者がいるのです。彼らが、まさにこの映画のタイトルの「バッド・ジーニアス」と言えるでしょう。なお、システム化脳と共感脳におけるゼロサム説の詳細については、関連記事1の最後をご覧ください。次のページへ >>

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映画「バッド・ジーニアス」【学歴社会を引っくり返す⁉(カンニング教育革命)】Part 2

学歴社会はどうなっていくの?リンは、カンニングプロジェクトを進めるために、もう1人優秀な生徒、バンクを引き込みます。彼もまた、母子家庭で決して裕福ではなく、家業を継がなければならない状況に追い込まれていました。リンは、「私たちは生まれながらの負け犬」「こっちが騙さなきゃ、世間に騙されるわ」と言い放ちます。身勝手な理屈ですが、不遇な彼にとっては殺し文句だったのでした。リンの言う「生まれながらの負け犬」とは、生まれながらの貧富による格差社会で搾取される側を意味しています。どんなに勉強ができてもお金がないために進学できない状況で、彼女は学力と悪知恵(カンニングビジネス)によってそこから抜け出し、学歴社会で成り上がろうとしているわけです。ただし、先ほど触れたように今後にカンニングがもはや取り締まれなくなったら、その学歴社会はどうなっていくのでしょうか?ここから、文化進化の視点から、学歴社会(学校)の起源を掘り下げ、現在の問題点を浮き彫りにし、その未来を予測してみましょう。(1)身分社会と違って公平に?-起源約5千年前に、西アジアの都市で文字が発明され、家畜などの数の情報管理が可能になり、ますます都市化していきました。これが、読み書きの起源です。この詳細については、関連記事2をご覧ください。当時から、読み書きを次世代に教える場所が町に設けられました。これが、学校の起源です。そして、読み書きを学校で学んだ人が、そのままその能力を発揮する仕事(特権階級)に就きました。しかし、学校に行ける人は、そもそも一部の特権階級の子女に限られていました。時代は進み、約200年前の産業革命以降、読み書き(計算も加わり)が職業的により多くの人に必要とされるようになったため、学校がどんどん増えていき、学校に行ける人もどんどん増えていきました。日本でも、江戸時代に寺子屋がありましたが、明治維新から学校制度が始まりました。そして、どこまで進学したか、つまりどれだけ能力があるかによって社会的地位(階級)が変わるようになりました。とくに戦後の日本では、教育の平等の名のもと、学習指導要領、検定教科書、同年齢同学年(学級固定化)の徹底によって、教育の内容が高度に標準化されるようになりました。こうして、学力の地域差を少なくするという成果をあげることができました6)。同時に、それでも能力に違いが出る場合は、それぞれの努力に違いがあるからだと考えられるようになりました。このように本人の努力によって能力が高まるとされる点で、このやり方は、生まれながらの身分社会(アリストクラシー)と違って公平であるとして受け入れられるようになりました。これが、学歴社会(能力主義、メリトクラシー)の起源です。(2)結局新たな「身分社会」に?-現在の問題点先ほどの裏を返せば、学歴がない、つまり能力が低いのは本人の努力が足りずに頭を良くすることができなかったということになります。現在、この考え方が主流になっています。そして、能力の高い人たちが能力の低い人たちよりも、より多くの収入を得ることは当然とされています。そして、その収入格差はますます大きくなっています。それでも、能力の低い人たちは努力不足というコンプレックスを植え付けられ卑屈にさせられているため、目立って抵抗できません。できるとしたら、代わりに自分の子供の学歴を高くさせようと必死になることでしょう。とくに日本では、その努力が、学校だけでなく塾にも通うことになっています。塾に行かせられる経済力のある家庭環境かそうじゃないかという教育格差の議論は、また別にあります。しかし、行動遺伝学の研究によると、努力(性格)も頭の良さ(知能)も、もともとの生まれ持った資質(遺伝)が約50%程度影響していることがわかっています7)。そして、グラフ1のように、収入への遺伝の影響度は、入職時から上積みされていき40代には約60%近くに達することがわかっています7)。一方で、収入への家庭環境の影響度、つまり教育格差は逆に目減りしていき40代にはほぼ0%になることから、教育格差は最終的には問題ではないこともわかります。ちなみに、国際比較すると、日本における教育格差は凡庸な水準です8)。一番問題なのは、遺伝という「生まれ」によって社会に格差を生み出していることです。この点では、学歴社会も公平であるとは言えず、結局新たな「身分社会」をつくっていることになります。これが、現在の問題点です。そして、これは「遺伝格差」と言い換えることができます。なお、教育格差と遺伝格差の詳細については、関連記事3をご覧ください。つまり、試験は、かつては測った能力によって順当に社会的役割を割り当てる手段であったはずなのに、現在では逆に社会的地位を分け隔てるために不当に能力(遺伝)の違いを見いだす目的そのものになってしまったのです。これは、よくある「手段の目的化」です。簡単に言うと、能力があるから試験で選ばれるのではなく、試験で選ばれるから能力があるとみなされるようになったのです。文化進化の視点に立てば、この社会構造(環境)の変化によって、先ほど触れた「勉強しかできない人(遺伝子)」が現れるようになったのでしょう。この変化の期間は、産業革命から約200年間であり、遺伝子進化の歴史としてはかなり短いです。しかし、この環境の変化は劇的であることから、より適応的な遺伝子(より勉強ができる人)が急速に選択されていった(結婚相手に選ばれていった)と考えられます。これは、ここ100年で知能検査が改定されるたびに知能指数が相対的に上がり続けている現象(フリン効果)を説明することができます。ちなみに、知能検査についても、能力の違いによって知能指数に違いが出るのではなく、知能指数に意図的につくった違い(正規分布)によって能力に違いがあるとみなしています。なお、学歴への選り好みの心理の詳細については、関連記事4をご覧ください。(3)カンニングが革命に?-未来不公平かどうかは置いておいて、学歴社会は国力を高めるために必要であると考える人は多いです。国民の学力(認知能力)が高まれば高まるほど国の経済力がますます高まるという考え方です。実は、厳密には違います。確かに、現在まで日本のPISA(国際学習到達度調査)の成績はトップレベルを維持しており、GDP(国内総生産)もトップレベルを維持してます。しかし、GDPのトップである米国のPISAの成績は決してトップレベルではありません。GDPで2位の中国のPISAの成績(2018年)は、確かにトップレベルなのですが、北京などの大都市に絞り農村部を除いている点で、いかにも面子を重んじる中国ならではの結果です。また、1人あたりGDPとしてみると、米国は10位以内で良いのですが、なんと日本は世界ランキング30位台で、中国は50位圏外です。むしろ、米国、中国、日本に共通するのは、先進国の中で格差の度合い(ジニ係数)が大きいことです8)。このことから、かつての身分社会にしても現在の学歴社会にしても、結果的に搾取するシステムを先鋭化させて格差を大きくした方が、その国の経済力が高まることがわかります。たとえば、中国はコネ社会(身分社会)と学歴社会の要素が両方あります。米国も実は日本以上に学歴社会です。米国が「自由の国」であるというのは昔話であり、学歴という「身分」を得ることができなければ搾取される「自己責任の国」になっています。逆に、北欧のように格差の小さい社会を目指そうとしたら、経済力はそこまで高まらず、国際競争力は期待できないというジレンマはあります。このわけは、格差の大きい社会と格差の小さい社会をそれぞれゲーム理論の「主人と奴隷戦略」「しっぺ返し戦略」に当てはめて説明することができます(関連記事5)。つまり、学歴(認知能力)は先進国になるためにある程度必要ですが、学歴を高めれば高めるほど、その分仕事がよりできる(経済力がより高まる)ようになるわけではないです。とくに日本における高度な受験勉強が、その後の一般の仕事や日常生活に役立つことがほとんどないことは、受験勉強をした多くの人がすでに気付いていることでしょう。受験勉強がその後の人生に役立つと主張する人は、実は教育ビジネスに携わる人だけでしょう。学歴社会が公平であるということも経済力を高めるということも見せかけで、その実態は不公平(格差)を生み出す装置になり下がっていることがわかりました。そんな学歴社会をひっくり返すのが、なんとカンニングです。現在、生成AIの登場によって、今ある多くの認知能力を必要とする仕事は将来なくなっていくことが予測されています。それでは、残った仕事の取り合いのために、学歴社会がより熾烈になるでしょうか?むしろ、残った仕事は、学歴で求められるような認知能力を必要としません。仮にそれでもあえて学歴が求められたとしても、生成AIを利用した「カンニング眼鏡」が出回れば、受験生全員が単独犯でほぼ満点の答案を作成することができるようになります。すでに、生成AIを利用した学校の課題レポートの作成が急速に広まっています。もはやカンニングが取り締まれなくなる状況は、すぐそこまで来ています。もちろん、生成AIを使いこなす認知能力は必要ですが、認知能力そのものを高める必要はなくなります。これはちょうど、サバンナで猛獣と戦うために、原始の時代は身体能力を高める必要がありましたが、現代では身体能力そのものを高める必要はなく、銃と車を使いこなす能力があれば十分であるのと同じです。つまり、カンニングが学歴社会に革命を起こすと言えます。そうなれば、学歴に価値がそこまでなくなります。スポーツや楽器演奏が得意であるのと同じレベルになります。そして、学校は、それ自体に権威がなくなり、もはや役所や公園と同じようなただの社会の機能の1つにすぎなくなるでしょう。すると、最終的にはカンニングをする必要すらなくなります。これは、学歴社会、学校の歴史の1つの転換期と見ることができます。この時、真の教育のあり方が問われます。これは、「カンニング教育革命」と名付けることができます。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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映画「バッド・ジーニアス」【学歴社会を引っくり返す⁉(カンニング教育革命)】Part 3

じゃあなんで学ぶの?「カンニング教育革命」によって、学歴社会がひっくり返ったあとはどうなるでしょうか? それでも、私たちは勉強するでしょうか? 再び映画のワンシーンから、これからの真の学びのあり方を大きく3つ挙げてみましょう。(1)楽しむリンとバンクが早押しクイズ大会に参加して優勝するシーンがあります。彼らは、誇らしげで楽しそうです。1つ目は、楽しむことです。たとえば、たとえ車があっても足の速さはオリンピックなどで突出した身体能力として注目されるのと同じように、AIがあっても頭の良さはクイズ大会などで突出した認知能力として注目されます。もちろん、価値が置かれるのは、あくまでエンターテインメントです。そして、競技になるのであれば、スポーツにドーピング検査があるのと同じように、クイズ大会会場での「カンニング眼鏡」の取り締まりや通信電波の遮断を徹底するでしょう。参加者は、プロアスリートと同じように「プロ勉強家」と呼ばれるでしょう。つまり、スポーツをしたり楽器を演奏したりするのと同じように、楽しむために語学や数学の勉強をする人が増えていくことが考えられます。(2)答えじゃなくて問いを探すラストシーンで、バンクはカンニングビジネスに染まり、新しい計画をリンに持ちかけます。まさに、カンニングビジネスが彼のアイデンティティになってしまっていたのでした。大金とアイデンティティが両方再び得られる点で、リンの答えは決まっているかに思われました。しかし、リンはためらいます。2つ目は、答えではなく問いを探すことです。もはや必要な答えを出すことは生成AIができてしまいます。生成AIにできなくて人にできることは、ものごとに疑問を感じることです。人から教えられたことを鵜呑みにせず、社会で当然とされている前提を疑うことです。そこから、自分は本当に何を学びたいか、もっと言えば、自分はどう生きるか、これで幸せかどうか、そして人はどこに向かっていくのかを問い続けるのです。つまり、学ぶとは、答えを得るという結果ではなく、問い続けるというプロセスに重きが置かれるようになります。これは、知的好奇心を追い求める従来の学者の姿勢です。この点で、学歴社会がひっくり返ったからと言って、学問自体がなくなるわけではないです。むしろ、学問が学歴に利用されることがなくなり、より純粋に学びたいことを学ぶ人が増えるでしょう。一方で、学びたくない人は学ばなくなるでしょう。ちょうど、運動したくない人がいるのと同じように、本人の生き方の問題になるわけです。(3)自分なりの答えを出すリンが断ろうとすると、バンクはカンニングビジネスの首謀者だったことをバラすと脅します。彼から「おまえの決断次第だ」と言われたリンは、「そうね、私次第ね」と最後は微笑み、なんと自分がやってきたカンニングビジネスについてメディアに告白するのです。彼女らしい行動です。その告白の内容は、自分の言葉で語られる真実であり、試験の正解ではありません。3つ目は、自分なりの答えを出すことです。生成AIが模範解答を瞬時に教えてくれる時代、求められるのは、1つの模範解答をなるべく速く出すことではなくなります。それは、その人の経験と結びついたオリジナルの答えをじっくり出すことです。学校の課題レポートもそうなっていくでしょう。それが、その人の魅力になるでしょう。これは、学歴社会とは真逆の価値観です。なお、その人なりの言葉で語られることは、「ポスト真実」という昨今の情報コミュニケーションのあり方や、「ナラティブセラピー」という心理カウンセリングにも通じます。これらの詳細については、関連記事6、関連記事7をご覧ください。学歴社会がひっくり返った先にある社会とは?「カンニング教育革命」によって学歴社会がひっくり返った先にある社会とは、どのようなものでしょうか? ここで、平等を「機会の平等」と「結果の平等」に分け、それぞれを縦軸と横軸にして、グラフ化します。そして、社会のタイプを4つに分けて、公平という視点で望ましい社会を考えてみましょう。なお、この分類の仕方は、子育てタイプの分類にも重なります。この詳細については、関連記事8をご覧ください。(1)身分社会1つ目は、身分社会(アリストクラシー)です。これは、生まれた身分による明らかな差別があり、教育を受ける機会がありません。貧富の差(収入格差)もはっきりしています。機会の平等も結果の平等もありません。このような社会はもちろん不公平で、私たちは決して望まないでしょう。しかし、AIに依存する未来の社会では、ごく一部のAIの管理者が社会システムをコントロールして、新たな身分社会をつくる可能性があります。(2)学歴社会2つ目は、学歴社会(メリトクラシー)です。これは、先ほど日本の戦後の「教育の平等」で触れたように、教育の機会については平等です。しかし、その分収入格差が広がることを良しとしてしまっている点で、結果の平等はありません。結局、遺伝という「生まれ」によって新たな身分社会をつくっていることになり、公平とは言えません。だからこそ、革命が起きるとも言えるでしょう。ただし、すでに既得権のあるエリート層や受験ビジネスの関係者たちがあの手この手で学歴社会を維持しようとするかもしれません。実際に、日本では今のところ、カンニングは偽計業務妨害罪(刑法第233条)に当たり、軽犯罪です。一方、中国では、大学入試の当日には受験会場の敷地の通信電波がすべて遮断され、カンニング行為には有期刑が課されるなど、取り締まりが徹底されています。それほど、カンニングが国家体制(学歴社会)を揺るがすものであると認識されています。(3)共産主義社会3つ目は、共産主義社会です。これは、貧富の差をなくすことを徹底するため、結果(収入)については平等です。しかし、がんばっても(能力を発揮しても)、収入が増えない点では不公平です。そうなると、機会の平等は、どうでもよくなります。がんばってもがんばらなくても変わらないので、仕事をする気が失せて生産性が落ち、国の経済力は高まりません。これは、歴史が証明しています。さらに、一部のエリート層が私腹を肥やし、結局ステルスの身分社会になっていました。(4)真の民主社会4つ目は、真の民主社会(デモクラシー)です。これは、教育などの機会の平等を保ちつつ、収入格差を小さくするよう調整して、結果もある程度平等にすることです。これは、能力(遺伝)の違いを認めつつも、その結果が大きな不平等にも完全な平等にもならないようにバランスを取ることです。これが、公平です。先ほどにも触れたように、すでに北欧諸国がこのような社会を目指しています。進化心理の視点に立てば、この公平さは、原始の時代の部族社会のあり方にも重なります。たとえば、獲物を捕まえた人は、その能力があるからと言ってその肉を独り占めせず、部族の仲間に公平に分け与えていました。人類は数百年万年という気の遠くなる期間を、部族でこのやり方を貫くことで生き延び、子孫を残してきました。その心を受け継いだのが現代の私たちです。だからこそ、このような社会を望ましいと思うのです。なお、人類が公平さを好む心理メカニズムは、先ほど紹介したゲーム理論の「しっぺ返し戦略」を含むさまざまな心理実験で確かめられています。再び「バッド・ジーニアス」とは?「カンニング教育革命」によって学歴社会がひっくり返った未来の社会に思いを馳せました。学歴社会の不公平さに気付いた今、映画のタイトルの「バッド・ジーニアス」とは、リンやバンクのようにカンニングによって学歴社会を出し抜く側の人間ではなく、実は学歴社会を頑なに守ろうとする側の人間であるように思えてくるのではないでしょうか? そして、今後にAIで社会を支配しようともくろむ人間であるようにも思えてくるのではないでしょうか?1)「中国の入試「カンニング」驚愕のハイテク化実態」:浦上早苗、東洋経済オンライン、20222)「時差利用してSAT試験で不正、江南語学院の講師摘発」:東亜日報、20103)「変動する大学入試」P195:伊藤実歩子、大修館書店、20204)「実力も運のうち 能力主義は正義か?」P21:マイケル・サンデル、早川書房、20235)「脳科学的に正しい一流の子育てQ&A」P43:西剛志、ダイヤモンド社、20196)「教育と平等」P241:苅谷 剛彦、中公新書、20097)「日本人の9割が知らない遺伝の真実」P81、P106:安藤寿康、SB新書、20168)「教育は何を評価してきたのか」P10、P8:本田由紀、岩波新書、2020<< 前のページへ■関連記事ガリレオ【システム化、共感性】映画「イン・ハー・シューズ」【なんで読み書きだけできないの?なんで計算できないの?(学習障害)】Part 2ドラマ「ドラゴン桜」(中編)【実は幻だったの!? じゃあ何が問題?(教育格差)】Part 1ドラマ「ドラゴン桜」(後編)【そんなんで結婚相手も決めちゃうの? 教育政策としてどうする?(学歴への選り好み)】Part 1半沢直樹【なんでやられたらやり返すの?逆に手を組むには?(ゲーム理論)】Part 2NHKドラマ「フェイクニュース あるいはどこか遠くの戦争の話」(中編)【そもそもなんで私たちは噂好きなの?じゃあこれから情報にどうする?(メディアリテラシー)】Part 1ライフ・イズ・ビューティフル【こんな人生に意味はない」と嘆かれたら?(ナラティブセラピー)】Part 1クレヨンしんちゃん【ユーモアのセンス】Part 1

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認知症リスクと喫煙に対する歯の喪失の影響~JAGESコホート研究

 歯の喪失には、さまざまな原因があるが、その原因別に健康への影響を評価した研究は、これまでなかった。東北大学の草間 太郎氏らは、現在また過去の喫煙歴と認知症リスクとの関連が、歯の喪失により媒介されるかを評価した。Journal of Clinical Periodontology誌オンライン版2024年2月7日号の報告。 65歳以上の成人を対象に、9年間のフォローアッププロスペクティブコホート研究を実施した。アウトカムは2013~19年の認知症罹患率、エクスポージャーは2010年の喫煙状況(非喫煙、喫煙歴あり、現在の喫煙)、メディエーターは2013年の残存歯数(19本以下、20本以上)として評価した。媒介分析を用いてCox比例ハザードモデルを適合させ、歯の喪失による認知症発症に対する喫煙の自然間接効果(NIE)のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)、およびそれらの媒介比率を推定した。 主な結果は以下のとおり。・参加者は3万2,986人(平均年齢:72.6±5.4歳、男性の割合:48.4%)。・フォローアップ期間中の認知症発症率は、2.11/100人年であった。・歯の喪失は、喫煙歴ありおよび現在の喫煙と認知症発症率との関係と有意に関連していた。・喫煙歴ありおよび現在喫煙者は、非喫煙者と比較し、残存歯数が少ないNIEは、HRが1.03(95%CI:1.02~1.05)、媒介比率が18.0%であった。 著者らは「歯の喪失は、喫煙歴や現在の喫煙と高齢者の認知症リスク増加との関連を強く媒介することが示唆された」としている。

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酒で顔が赤くなる人は、コロナ感染リスクが低い?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック時、日本は欧米などと比較して人口当たりの感染率・死亡率が低かったことが報告されている1,2)。この要因としては、手洗いやマスクなどの感染予防策が奏効した、日本の高い衛生・医療水準によるものなどの要因が考えられているが、アジア人に多い遺伝子型も一因となっている可能性があるとの報告がなされた。佐賀大学医学部 社会医学講座の高島 賢氏らによって国内で行われた本研究の結果は、Environmental Health and Preventive Medicine誌に2024年3月5日掲載された。 日本人をはじめとした東アジア人には、アルコールを分解するアルデヒド脱水素酵素2型(ALDH2)の活性が弱く、飲酒時に顔が赤くなる特性を持つ人(rs671変異体)が多い。研究者らは、遺伝子型と新型コロナウイルス感染の防御効果の関連を検証するため、rs671変異体の代替マーカーとして飲酒後の皮膚紅潮現象を用い、後ろ向きに解析した。調査はWebツールを使って2023年8月7~27日に行われ、参加者は感染歴、居住地、喫煙・飲酒歴、既往症などの質問に回答した。 主な結果は以下のとおり。・計807例(女性367例、男性440例)から有効回答を得た。362例が非紅潮群、445例が紅潮群だった。・2019年12月~23年5月の42ヵ月間の観察期間全体で、非紅潮群は40.6%、紅潮群は35.7%がCOVID-19に感染した。年齢、性別、居住地等で調整後、初感染までの時間は紅潮群のほうが遅い傾向があった(p=0.057)。・COVID-19による入院例は、非紅潮群は2.5%、紅潮群は0.5%であった。COVID-19感染および関連した入院リスクは、紅潮群で低かった(p=0.03および<0.01)。・日本人の多くがCOVID-19ワクチンの2回接種を終える前である2021年8月31日までの21ヵ月間では、紅潮群の非紅潮群に対するCOVID-19感染のハザード比は0.21(95%信頼区間:0.10~0.46)と推定された。 研究者らは、「本研究は、飲酒後の皮膚紅潮現象とCOVID-19の感染および入院のリスク低下との関連を示唆しており、rs671変異体が防御因子であることを示唆している。本研究は感染制御に貴重な情報を提供するとともに、東アジア人特有の体質の多様性を理解する一助となる」としている。

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BRCA1/2変異陽性者へのMRIサーベイランスで乳がん死亡率は減少するか/JAMA Oncol

 BRCA1またはBRCA2変異陽性で、MRIサーベイランスプログラムに参加した女性と参加しなかった女性における乳がん死亡率を比較した前向きコホート研究の結果を、ポーランド・Pomeranian Medical UniversityのJan Lubinski氏らがJAMA Oncology誌オンライン版2024年2月29日号で報告した。 BRCA1またはBRCA2変異陽性の女性が11ヵ国59施設で登録された。参加者は、1995~2015年にベースライン調査票に記入し、2年ごとの追跡調査でスクリーニング歴、がん発症の有無、治療歴や健康状態について記録。登録前に乳がん診断、両側乳房切除、MRIスクリーニング検査を受けている場合は除外された。参加者は、30(またはベースラインの質問票の日付のどちらか遅い方)~75歳(または乳がんによる死亡)まで追跡調査され、データ解析は2023年1月1日~7月31日に行われた。 Cox比例ハザードモデルを用いて、MRIサーベイランスなしの場合と比較したMRIサーベイランスによる乳がん死亡率のハザード比(HR)と95%信頼区間[CI]を、時間依存性解析により推定した。 主な結果は以下のとおり。・計2,488人(BRCA1変異陽性:2,004人、BRCA2変異陽性:484人)の女性(試験開始時の平均年齢:41.2[30~69]歳)が解析に組み入れられた。・参加者のうち、1,756人(70.6%)が少なくとも1回のMRIスクリーニング検査を受け、732人(29.4%)は受けなかった。・1,756人における平均MRIスクリーニング検査回数は4.7[1~16]回で、2回以上の検査を受けた1,365人における検査間の平均間隔は0.95[0.1~6.0]年であった。・平均追跡期間9.2[0.1~24.5]年において、344人(13.8%)が乳がんを発症し、35人(1.4%)が乳がんにより死亡した。・MRIサーベイランスへの参加と関連した乳がん死亡率の年齢調整HRは、BRCA1変異陽性者では0.20(95%CI:0.10~0.43、p<0.001)、BRCA2変異陽性者では0.87(95%CI:0.10~17.25、p=0.93)であった。 著者らは、「BRCA1変異陽性の女性において、MRIサーベイランスは乳がん死亡率の有意な低下と関連することが示唆された。BRCA2変異陽性の女性においても同様のベネフィットが得られるかについては、さらなる研究が必要」と結論付けている。

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心不全へのARNI、日本人での安全性が明らかに(REVIEW-HF)/日本循環器学会

 急性・慢性心不全診療―JCS/JHFSガイドラインフォーカスアップデート版が2020年に発表され、国内における心不全(HF)治療も変化を遂げている。とくにアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)発売の影響は大きいが、そのサクビトリル・バルサルタン(商品名:エンレスト)の治療を受ける国内患者の特徴、忍容性、臨床転帰は明らかにされていない。そこで、金岡 幸嗣朗氏(国立循環器病研究センター)らが全国多施設観察研究の分析を行い、その結果を第88回日本循環器学会年次学術集会 Late Breaking Cohort Studies1にて報告した。心不全管理のためのARNIを400mg/日まで増量できたのはHFrEF群38.9%、HFmrEF群42.1%、HFpEF群39.1% 同氏らはHF管理のためにサクビトリル・バルサルタンの新規処方患者の特徴と臨床転帰を評価するため、国内のリアルワールドエビデンス研究であるREVIEW-HF試験よりサクビトリル・バルサルタンに関連する有害事象(AE)を分析した。処方90日以内に発生したAEとして、血圧低下、腎機能低下、高カリウム血症、血管浮腫の発生について解析し、AEと転帰との関連についても調査した。 心不全管理のためのARNI新規処方に関連する有害事象(AE)を分析した主な結果は以下のとおり。・心不全管理のためのARNI新規処方患者993例を解析、男性は702例(70.2%)、平均年齢は69.6歳だった。・HFrEFは549例(55.3%)、HFmrEFは218例(22.0%)、HFpEFは226例(22.7%)だった。・サクビトリル・バルサルタンの開始用量は、82.6%が100mg/日であった。・HFrEF患者の27.3%はベースライン時点で収縮期血圧(SBP)<100mmHgだった。・サクビトリル・バルサルタンに関連する90日以内のAEは、22.5%で観察された。・400mg/日まで増量できたのは、HFrEF群で38.9%、HFmrEF群で42.1%、HFpEF群で39.1%であった。中止理由としては血圧低下が最も多かった。・調整後、ベースラインのNYHA心機能分類IIIまたはIV、SBP<100mmHg、eGFR<30mL/min/1.73m2は、AEの発生とARNIの中止の両方と統計学的に有意に関連しており、AEがみられた患者では、AEがなかった患者よりも心血管死または心不全による入院のリスクが高かった。 同氏は「国内では高齢者、LVEF機能分類を問わず、そしてSBP<100mmHgや腎機能が低下している患者にもサクビトリル・バルサルタンが処方されているのが現状である。今回の研究より、治療開始直後に比較的高い割合でAEを認め、低血圧、腎不全などのリスクを有する患者への処方の際は、とくに有害事象の発生に配慮する必要がある」とコメントした。

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大腸がんスクリーニング、次世代便DNA検査の精度は?/NEJM

 次世代マルチターゲット便DNA検査は、大腸がんおよび進行前がん病変の検出感度が免疫便潜血検査(FIT)より高かったものの、特異度は低かった。米国・インディアナ大学医学校のThomas F. Imperiale氏らが、全米186施設で実施した「BLUE-C試験」の結果を報告した。次世代マルチターゲット便DNA検査は、DNA分子マーカーおよびヘモグロビン値の評価を含む、大腸がんスクリーニングの主に特異度を改善させるために開発されたものであった。NEJM誌2024年3月14日号掲載の報告。主要アウトカムは、大腸がんに対する感度と進行新生物に対する特異度 研究グループは、大腸がんスクリーニングのための内視鏡検査を受ける予定の40歳以上の無症状の成人を登録し、大腸内視鏡検査を受ける前に便検体を郵送してもらい、次世代マルチターゲット便DNA検査(Exact Sciences)ならびにFITを実施した。大腸内視鏡検査は、便検体採取後180日以内に実施された場合に評価対象とした。 主要評価項目は、大腸がんに対するマルチターゲット便DNA検査の感度と、進行新生物(大腸がんまたは進行前がん病変)に対する特異度とした。感度は、検査結果陽性者のうち大腸がんであった人の割合、特異度は進行新生物が認められなかった人のうち検査結果が陰性であった人の割合と定義した。進行前がん病変は、最長径1cm以上の腺腫または無茎性鋸歯状病変、絨毛状の組織学的特徴を伴う病変、高度異形成などを対象に含んだ。 副次評価項目は、進行前がん病変に対する感度、非腫瘍性所見または大腸内視鏡検査陰性に対する特異度、マルチターゲット便DNA検査と市販のFITの大腸がん、および進行前がん病変に対する感度の比較などとした。次世代検査vs.FITの大腸がんの感度、93.9% vs.67.3% 2019年11月15日~2023年1月5日に、2万6,758例が登録され、このうち2万176例が完全評価可能例であった。 解析対象2万176例のうち、大腸がんは98例(0.5%)、進行前がん病変は2,144例(10.6%)、非進行性腺腫は6,973例(34.6%)が有していた。残る1万961例は、非腫瘍性所見3,451例(17.1%)もしくは大腸内視鏡検査陰性7,510例(37.2%)であった。 マルチターゲット便DNA検査で大腸がんが特定されたのは98例中92例で、感度は93.9%(95%信頼区間[CI]:87.1~97.7)であった。進行新生物に対する特異度は90.6%(95%CI:90.1~91.0)であり、進行前がん病変に対する感度は43.4%(41.3~45.6)、非腫瘍性所見または大腸内視鏡検査陰性に対する特異度は92.7%(92.2~93.1)であった。 一方、FITの感度は、大腸がんが67.3%(95%CI:57.1~76.5)、進行前がん病変が23.3%(21.5~25.2)で、進行新生物に関する特異度は94.8%(95%CI:94.4~95.1)、非腫瘍性所見または大腸内視鏡検査陰性については95.7%(95.3~96.1)であった。 次世代マルチターゲット便DNA検査はFITと比較して、大腸がんおよび進行前がん病変の検出に関して感度が高かったが(いずれもp<0.001)、進行新生物に対する特異度はFITより低かった(p<0.001)。 有害事象の発現は確認されなかった。

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新型コロナによる世界の死亡率と平均余命への影響/Lancet

 世界の成人死亡率は、2020年および2021年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中に著しく上昇し、それまでの減少傾向が逆転した一方、小児死亡率は以前より緩やかではあるものの減少が続いていた。米国・保健指標評価研究所(IHME)のAustin E. Schumacher氏らGBD 2021 Demographics Collaboratorsが解析結果を報告した。COVID-19はパンデミックの最初の2年間に多くの人口統計学的指標に大きな影響を及ぼしたが、評価した72年間にわたる世界全体の保健医療の進歩は大きく、死亡率と平均余命は著しく改善していたという。また、低所得国では人口が安定または増加しているにもかかわらず、2017年以降、世界の人口増加の減速と共に、世界的に人口年齢構造の高齢化が続いていた。著者らは、「このような人口変動は、今後、保健医療制度、経済および社会に課題をもたらす可能性が高い」と指摘している。Lancet誌オンライン版2024年3月11日号掲載の報告。GBD 2021のデータを解析 2021年版の世界疾病負担研究(Global Burden of Disease Study:GBD)では、1950~2021年の204の国と地域、および811のサブナショナル地域について、とくに2020~21年のCOVID-19パンデミック中の死亡率と平均余命の変化に重点を置いて、新しい人口統計学的推計を提供している。 研究グループは、政府系ウェブサイト、統計年鑑、人口統計、大規模調査などから得た2万2,223のデータソースを用い死亡率を推定した。これらのデータソースの一部は、COVID-19パンデミックによる超過死亡の推定にのみ用いた。人口推計には2,026のデータソースを用い、移住、HIV流行の影響、紛争・飢餓・自然災害・パンデミックによる人口統計の不連続を推計するために追加のデータソースを用いた。時空間ガウス過程回帰モデル(ST-GPR)を使用して5歳未満児の死亡率を算出するとともに、成人(15~59歳)の死亡率も推定し、生命表を作成した。HIVの流行国では、HIV特異的死亡率の推定値により生命表を調整した。 2020年と2021年のCOVID-19パンデミックによる超過死亡率は、パンデミックがなかった場合に予想される死亡から、観察された全死因死亡を差し引いて算出した。全死因死亡のデータが得られなかった地域・年では、パンデミックに関する共変量を含む回帰モデルにより超過死亡率を推定した。人口規模は、階層ベイズコホートコンポーネントモデルを使用し、平均余命は年齢別死亡率と標準的な人口統計学的手法を使用して算出した。COVID-19パンデミック中の成人死亡率は増加、小児死亡率は緩やかな低下が続く 年齢標準化死亡率は1950~2019年の間に減少し(62.8%、95%不確定区間[UI]:60.5~65.1)、COVID-19パンデミック期間中に増加した(2020~21年:5.1%、95%UI:0.9~9.6)。一方、小児の死亡率は減少を続け、世界の5歳未満児の死亡数は、2019年は521万人(95%UI:450万~601万)であったのに対し、2021年は466万人(95%UI:398万~550万)であった。 2020年と2021年を合計すると、世界中で推定1億3,100万人が死亡(全死因)し、そのうちCOVID-19パンデミックによるものは1,590万人であった。パンデミックの少なくとも1年間の超過死亡率は、80の国と地域で人口10万人当たり150人を超えたが、20ヵ国では2020年または2021年の超過死亡率がマイナスとなり、これらの国ではパンデミック中の全死因死亡率が過去の傾向に基づく予想より低値であったことが示された。 世界の出生時平均余命は、1950年の49.0歳から2021年には71.7歳と、22.7歳上昇した。しかし、2019~21年の間は1.6歳低下しており、過去の傾向が逆転した。2019~21年の間に平均余命の上昇が確認されたのは、204の国と地域のうち32(15.7%)のみであった。 世界の人口は2021年に78.9億人に達したが、その時点までに204の国と地域のうち56は人口がピークに達し、その後は減少している。2020~21年に人口増加が大きかったのは、サハラ以南アフリカ(39.5%)と南アジア(26.3%)であった。また、2000~21年にかけて、15歳未満の人口に対する65歳以上の人口の比は、204の国と地域のうち188(92.2%)で増加した。

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