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亜鉛欠乏症、日本人の特徴が明らかに

 亜鉛欠乏症*は、免疫機能の低下、味覚障害、嗅覚障害、肺炎、成長遅延、視覚障害、皮膚障害などに影響を及ぼすため、肝疾患や慢性腎臓病などをはじめとするさまざまな疾患を管理するうえで、血清亜鉛濃度の評価が重要となる。今回、横川 博英氏(順天堂大学医学部総合診療科学講座 先任准教授)らが日本人患者の特徴と亜鉛欠乏との相関関係を調査する大規模観察研究を行った。その結果、日本人の亜鉛欠乏患者の特徴は、男性、入院患者、高齢者で、関連する病態として呼吸器感染症や慢性腎臓病などが示唆された。Scientific reports誌2024年2月2日号掲載の報告。*「亜鉛欠乏症」は亜鉛欠乏による臨床症状と血清亜鉛値によって診断されるとされている。これに対し、「低亜鉛血症」は亜鉛欠乏状態を血清亜鉛値から捉えたもの。 研究者らは2019年1月~2021年12月の期間、メディカル・データ・ビジョン(MDV)が保有する日本全国のレセプトデータベースを使用して、遡及的かつ横断的観察研究を実施した。研究母集団のうち、20歳未満の患者、亜鉛含有薬剤の処方後に血清亜鉛濃度が評価された患者を除く、外来および入院患者1万3,100例の血清亜鉛データを解析した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者の平均年齢は69.0歳、男性は48.6%であった。・血清亜鉛濃度の平均値±SDは65.9±17.6μg/dLで、4,557例(34.8%)が亜鉛欠乏症(60μg/dL未満)に、5,964例(45.5%)が潜在性亜鉛欠乏(60~80μg/dL)に該当した。・亜鉛欠乏症との有意な関連がみられたのは、男性(オッズ比[OR]:1.165)、高齢者(OR:1.301)、入院患者(OR:3.367)だった。男性の亜鉛欠乏症の割合は50代を境に高くなったが、80代では男女共に40%以上が亜鉛欠乏症であった。・亜鉛欠乏症の割合が高い併存疾患について、年齢と性別による多変量解析後の調整オッズ比(aOR)は、肺臓炎で2.959、褥瘡や圧迫で2.403、サルコペニアで2.217、新型コロナウイルス感染症で1.889、慢性腎臓病で1.835だった。・また、亜鉛欠乏症と有意な関連がみられた薬剤のaORは、スピロノラクトンが2.523、全身性抗菌薬が2.419、フロセミドが2.138、貧血治療薬が2.027、甲状腺ホルモンが1.864、と明らかになった。

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塩分摂取と認知症リスク~メンデルランダム化研究

 観察研究では、食事による塩分摂取と認知症の発症リスクに潜在的な関連性があることが示唆されている。しかし、これらの研究では、逆因果関係や残留交絡因子の課題が発生しやすいことに注意を払う必要がある。中国・山西医科大学のKe Shi氏らは、塩分摂取と認知症リスクとの因果関係を調査するため、2サンプルメンデルランダム化(MR)研究を実施した。Genes & Nutrition誌2024年3月15日号の報告。 食事による塩分摂取と認知症リスクとの因果関係を調査するため、MR研究にサマリー統計を組み込んだ。塩分摂取と全体的な認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症など、さまざまなタイプの認知症リスクとの因果関係を推定した。主要なMR分析として、逆分散加重法を用いた。感度分析には、MR-PRESSO法、Leave-one-out法を採用した。多面性および異質性の検証には、MR-Egger intercept、コクランQ検定をそれぞれ用いた。 主な結果は以下のとおり。・欧州人を祖先に持つ人では、遺伝的に予測されたより高い塩分摂取量と全体的な認知症リスク増加についての関連性が示唆された(オッズ比:1.542、95%信頼区間:1.095~2.169、p=0.013)・食事による塩分摂取量と全体的な認知症リスクとの因果関係は、統計手法の選択に関してロバストであり、広範の感度分析を通じて検証された。・明らかな不均一性や多面発現性は認められなかった。・食事による塩分摂取が、各認知症サブタイプのリスクに及ぼす因果関係を検出することはできなかった。 著者らは、「食事による塩分摂取量と認知症発症との有意な関連性が示唆された。この発見は、認知症予防に対する減塩の重要性を支持するものである」としている。

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植物ベースの食事、内容で骨折リスクは変わるか?

 これまでの研究で、植物性食品を多く摂取し、動物性食品を少なく、あるいはまったく摂取しないヴィーガン食は、骨密度の低下や骨折リスクの上昇に関連する可能性が示唆されている。しかし、植物性食品の質については区別されていなかった。スペイン・マドリード自治大学のMercedes Sotos-Prieto氏らは、閉経後の女性において、植物性食品の質と股関節骨折リスクとの関連を検討した。JAMA Network Open誌2024年2月29日号掲載の報告。 研究者らは、1984~2014年に米国のNurses' Health Studyに参加した7万285例の閉経後女性を対象に、植物性食品(菜食主義とは限らず雑食主義も含む)の質と股関節骨折リスクとの関連を検討した。データは2023年1月1日~7月31日に解析された。 股関節骨折は2年ごとのアンケートで自己報告、食事内容は調査票を用いて4年ごとに評価した。食事の質は「健康的な植物性食品」(全粒穀物、果物、野菜、ナッツ、豆類、植物油、茶/コーヒー)、「健康的でない植物性食品」(ジュース、甘味飲料、精製穀物、イモ類、菓子/デザート)、「動物性食品」に分類したうえでPlant-Based Diet Indexスコアに換算して最高五分位から最低五分位までを算出し、それぞれの股関節骨折リスクのハザード比(HR)を求めた。 主な結果は以下のとおり。・7万285例の参加者は、ベースライン時の平均年齢54.92(SD 4.48)歳、全員が白人女性だった。研究期間中および最長30年間の追跡期間中に2,038例の股関節骨折が報告された。・「健康的な植物性食品」摂取が最も多い群と少ない群の比較(HR:0.97、95%信頼区間[CI]:0.83~1.14)、「健康的でない植物性食品」摂取が最も多い群と少ない群の比較(HR:1.02、95%CI:0.87~1.20)のいずれも、股関節骨折リスクとは関連しなかった。・一方、最近の食事に絞って検討すると「健康的な植物性食品」摂取は股関節骨折リスクの21%低下(HR:0.79、95%CI:0.68~0.92)と、「健康的でない植物性食品」は28%上昇(HR:1.28、95%CI:1.09~1.51)と関連した。 研究者らは「本コホート研究の結果より、長期的に摂取された植物ベースの食事の内容は、股関節骨折リスクとは関連しないことが示された。最近の食事摂取で観察された関連が、これらの食事パターンの短期的な影響によるものかは、今後の研究で明らかにすべきである」としている。

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次世代コロナワクチン、第III相試験で良好な中間結果を達成/モデルナ

 米国・Moderna社は3月26日付のプレスリリースにて、同社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「スパイクバックス」について、次世代の「mRNA-1283」が、第III相試験の結果、同社の既存のオミクロン株対応2価(起源株/オミクロン株BA.4-5)ワクチン「mRNA-1273.222」と比較して、SARS-CoV-2に対するより高い免疫応答の誘導を示したこと発表した。この次世代コロナワクチン「mRNA-1283」は、より長い保存期間と保存上の利点をもたらす可能性があり、インフルエンザとCOVID-19の混合ワクチン「mRNA-1083」の構成要素となる予定だ。 次世代コロナワクチン「mRNA-1283」と既存の「mRNA-1273.222」とを比較した第III相ピボタル試験「NextCOVE試験(NCT05815498)」は、米国、英国、カナダの12歳以上の約1万1,400人を対象とした無作為化観察者盲検アクティブ対照試験だ。本試験の結果、「mRNA-1283」は、SARS-CoV-2のオミクロンBA.4/BA.5および起源株の両方に対して、より高い免疫応答を引き起こすことが認められた。とくにこの免疫応答は、COVID-19による重篤な転帰リスクが最も高い65歳以上の参加者に顕著にみられたという。主な局所有害事象は注射部位の疼痛で、主な全身性の有害事象は頭痛、疲労、筋肉痛、悪寒だった。 「mRNA-1283」は、冷蔵庫での保存で安定するように設計されており、有効期限も従来のものよりも長くなっていることから、医療従事者の負担を軽減し、ワクチン接種へのアクセスを改善することで、公衆衛生に貢献する可能性があるという。

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アレクチニブ1次治療肺がん患者のリアルワールドデータ(ReAlec)/ELCC2024

 アレクチニブの1次治療を受けたALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者の特徴と、後治療のリアルワールドデータが示された。 ALK陽性進行NSCLCに対するアレクチニブの1次治療は優れた有用性を示す。しかし、アレクチニブ後の治療シークエンスについては十分な知見がない。ReAlec試験はアレクチニブ治療患者の特徴をリアルワールドで確認する後ろ向き多施設コホート観察研究である。欧州肺がん学会(ELCC2024)では、イタリア・サクロ クオーレ カトリック大学のEmilio Bria氏が、アレクチニブの1次治療患者を対象としたReAlec試験コホート1(データカットオフ2023年5月10日)の初回中間解析結果を報告した。・対象:進行ALK陽性NSCLC・コホートA:試験登録→アレクチニブ1次治療(256例)・コホートB:アレクチニブ1次治療→試験登録(489例)・評価項目 [主要評価項目]治験担当医評価の無増悪生存期間(PFS)およびアレクチニブ1次治療後の治療シークエンス[副次評価項目]アレクチニブ治療患者の属性・特徴、ALK検査からアレクチニブ治療開始までの時間、後治療選択、全生存期間(OS)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・患者の年齢中央値は両コホートとも58歳、女性の比率は両コホートとも半数以上であった。・データカットオフ時点(治療期間中央値:コホートA 8.3ヵ月、コホートB 13.8ヵ月)における、アレクチニブの投与中止はコホートAでは21.9%(256例中56例)、コホートBでは15.3%(489例中75例)であった。・投与中止の理由は疾患進行が最も多く、コホートAでは56例中41例(73.2%)、コホートBでは75例中65例(86.7%)であった。一方、有害事象によるものはそれぞれ5例と2例で少数であった。・コホートAの16.8%(256例中43例)、コホートBの13.3%(489例中65例)でアレクチニブ後の治療が行われた。・後治療薬は分子標的治療薬が最も多く、コホートAでは43例中36例(83.7%)、コホートBでは65例中56例(86.2%)を占めた。・分子標的治療薬の中でもロルラチニブが最も多かった(コホートA、Bとも分子標的治療薬の7割超がロルラチニブ)。・アレクチニブの全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)はコホートAの35.2%とコホートBの21.7%で発現した。なお、治療中止に至ったTRAEは1.6%と0.6%であった。

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心臓移植候補者、提供受諾の決定に人種や性別が影響か/JAMA

 心臓移植の待機リストに登録している移植候補者に関して、移植施設の医療チームが心臓の提供を受け入れる確率は、移植候補者が白人の場合と比較して黒人で低く、男性に比べ女性で高いことが、米国・インディアナ大学のKhadijah Breathett氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年3月25日号に掲載された。人種、性別と受諾の関連を評価する米国のコホート研究 研究グループは、移植待機リストに登録されている心臓移植候補者の人種および性別が、移植施設の医療チームが心臓提供の申し出を受諾する確率と関連するかを評価する目的で、コホート研究を行った(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成を受けた)。 全米臓器分配ネットワーク(UNOS)のデータセットを用いて、2018年10月18日~2023年3月31日に心臓移植の候補となった米国の非ヒスパニック系黒人と非ヒスパニック系白人の成人について、心臓提供の申し出を受諾したか否かを特定した。 主要アウトカムは、移植施設の医療チームによる、心臓提供の申し出の受諾とした。受諾の割合、候補者が黒人男性では白人女性の半分以下 心臓移植の候補者1万4,890例を解析の対象とした。30.9%が黒人、69.1%が白人、73.6%が男性、26.4%が女性であった。1万3,760例の心臓提供者による15万9,177件の申し出があった。移植候補者の72.5%が、心臓提供の申し出を受け入れた。 心臓提供者による初回の申し出を移植施設の医療チームが受諾した割合は、移植候補者が白人女性の場合で17.5%と最も高く、次いで黒人女性14.0%、白人男性10.3%であり、黒人男性の場合は7.9%と白人女性の半分に満たなかった(p<0.001)。公平な心臓提供受け入れ戦略の確立に向けて 移植候補者が黒人の場合、医療チームによる受諾のオッズ(OR)は、初回の申し出では白人の移植候補者よりも低く(OR:0.76、95%信頼区間[CI]:0.69~0.84)、16回目の申し出までは白人の移植候補者より有意に低いままであり、17回目以降に有意差がなくなった。 移植候補者が女性の場合、受諾のORは、初回の申し出では男性の移植候補者よりも高く(OR:1.53、95%CI:1.39~1.68)、6回目の申し出までは有意に高い状態が続いたが、10~31回目までは有意に低くなり、それ以降は有意差が消失した。 著者は、「このような人種、性別による受け入れ状況の不均衡は、移植候補者、心臓提供者、申し出のレベルの変数で補正した後も持続しており、意思決定の過程における人種および性別に関する偏見の存在が示唆される」と述べ、「施設レベルでの意思決定について、さらに調査を行うことで、公平な心臓提供受け入れの戦略が明らかになる可能性がある」としている。

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8人に1人の高齢者が手術後1カ月以内に再入院か

 全身麻酔を要する大手術を受けた高齢者のほぼ8人に1人(12%)が手術後30日以内に、また4分の1以上(28%)が半年以内に再入院していると推定されることが、新たな研究で明らかにされた。フレイル状態の人や認知症の人での再入院リスクはさらに高かったという。米イェール大学医学部外科分野准教授のRobert Becher氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に2月28日掲載された。 この研究では、National Health and Aging Trends Study(NHATS)に参加した65歳以上のメディケア受給者のデータを用いて、大手術後30日以内と180日以内の再入院率が推定された。大手術は、全身麻酔を用いて手術室で行われる、非経皮的かつ非内視鏡的な侵襲的手術と定義し、手術部位により6つのカテゴリー〔筋骨格系、腹部(消化器も含む)、血管、脳神経、心胸部、その他〕に分類した。NHATS参加者のうち、1,477人(平均年齢79.5歳、女性56%)が2011年から2018年の間に総計1,780件(全国レベルでは955万6,171件)の大手術を受けていた。 解析の結果、大手術を受けた65歳以上の高齢患者では、11.6%が手術後30日以内に、27.6%が手術後180日以内に再入院していると推定された。大手術後180日以内の再入院率は、90歳以上の患者(36.8%)、血管に関わる大手術を受けた患者(45.8%)、フレイル状態の患者(36.9%)、ほぼ確実に(probable)認知症である患者(39.0%)で顕著に高かった。同リスクは、フレイル状態の患者でフレイル状態でない患者の2.29倍、ほぼ確実に認知症である患者で認知症ではない患者の1.58倍と推定された。 Becher氏は、「このような高い再入院率は、手術が高齢者の自立を失わせるリスクを高めることを示している」と指摘する。同氏は、米国の高齢者人口が増加するにつれて、大手術を受ける高齢者の数も増加するとの見通しを示す。そして、「複数の疾患を抱えている高齢患者にとって最も重要な転帰は自立と機能の維持だが、大手術後の再入院はそれらに悪影響を及ぼすことが分かっている」と述べている。 一方、論文の共著者であるイェール大学老年医学分野教授のThomas Gill氏は、「これらの結果は、大手術前に高齢患者のフレイルや認知症の有無を考慮する重要性を示すものだ」と話す。そして、フレイルや認知症の存在が、手術後の高齢者の回復に対する「患者や家族の期待や手術の意思決定に影響を与える可能性がある」との見方を示している。 研究グループはさらに、再入院が高齢者の自立を脅かすだけでなく、米国の医療制度に大きな負担をかけていることにも言及し、再入院費は2018年だけで総額500億ドル(1ドル148円換算で7兆4000万円)以上に上り、その一因は退院後30日以内に発生した約380万件の再入院であると説明している。 研究者らは今後、なぜ米国ではフレイル状態の高齢者の再入院率がこれほど高いのかを調査し、再入院リスクを低減させる方法を模索する予定だと述べている。

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肥満症治療薬は手術前の胃残留量増加に関連

 ウゴービやオゼンピックのような肥満症治療薬(GLP-1受容体作動薬)の使用者は、全身麻酔を要する手術前でも胃残留量の多いことが、新たな研究から明らかになった。研究グループは、GLP-1受容体作動薬の使用者の場合、現行のガイドラインで推奨されている手術前の絶食時間では不十分な可能性を示唆する結果だとの見方を示している。米テキサス大学健康科学センターヒューストン校のSudipta Sen氏らによるこの研究結果は、「JAMA Surgery」に3月6日掲載された。 全身麻酔を要する手術では通常、誤嚥性肺炎や窒息のリスクを防ぐために手術前の絶食が求められる。Sen氏らは、全身麻酔下にあったGLP-1受容体作動薬の使用者が、手術中に自分の吐物を誤嚥したとの報告を受けて、GLP-1受容体作動薬の使用と胃残留量の増加との関連を調べることを決めたと話す。 対象は、2023年6月から7月の間に全身麻酔下での待機的手術が予定されていた18歳以上の患者124人(平均年齢56歳、女性60%)で、このうちの62人(50%)はGLP-1受容体作動薬を週に1回使用していたが(曝露群)、残る半数は使用していなかった(対照群)。主要アウトカムは、胃超音波検査で評価した多量の胃残留物で、具体的には、固形物、濃度の高い液体、または1.5mL/kg以上の透明な液体がある場合と定義された。 その結果、多量の胃残留物が確認された対象者の割合は、曝露群で56%(35/62人)であるのに対し、対照群では19%(12/62人)であることが明らかになった。結果に影響を及ぼす因子を調整して解析した結果、GLP-1受容体作動薬の使用により多量の胃残留物が認められる可能性が30.5%上昇することが示された。 Sen氏は、「GLP-1受容体作動薬を使用している患者では、手術前に絶食していたにもかかわらず、その半数以上に手術前の胃超音波検査で多量の胃残留が認められた」と振り返る。研究グループは、「これらの結果は、米国麻酔科学会が2023年に発表した、手術前のGLP-1受容体作動薬の使用の有無をスクリーニングし、その使用に付随するリスクを患者に知らせることを求める推奨内容と一致する」と述べる。 ガイドラインではまた、医師が、手術前にはGLP-1受容体作動薬の使用を控えることを検討すべきことも推奨されている。Sen氏は、「患者は、外科医や麻酔科医にこの薬の使用の有無を正直に伝える必要がある。この情報は、選択的手術の前に薬物の投与を調整したり、長期絶食を勧めたり、必要であれば選択的手術を再スケジュールするなど、適切な推奨を提供するために極めて重要だからだ」と主張する。また同氏は、「GLP-1受容体作動薬使用者の手術前の絶食時間を延長する新たな治療ガイドラインが必要かもしれない」と話している。

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新規2型経口生ポリオワクチン(nOPV2)の有効性と安全性(解説:寺田教彦氏)

 ポリオ(急性灰白髄炎)は、ポリオウイルスが中枢神経に感染し、運動神経細胞を不可逆的に障害することで弛緩性麻痺等を生じる感染症で、主に5歳未満の小児に好発するため「小児麻痺」とも呼ばれる感染症である。ウイルスは主に糞口感染で人から人に感染するが、そのほかに汚染された水や食べ物を介して感染することもあり、治療薬は存在しないため、ワクチン接種がポリオの感染対策において重要とされる。ポリオウイルスには、3つの血清型(1、2、3型)があり、1988年に世界保健機関がワクチン接種によるポリオ根絶計画を提唱し、2015年と2019年に野生型ポリオウイルス2型と3型がそれぞれ根絶認定された。残る野生型ポリオウイルス1型が流行しているのはパキスタンとアフガニスタンのみである。 ところで、今回の研究は新規2型経口生ポリオワクチン(nOPV2)を対象としているが、2型は根絶認定されたのではないか? と疑問を持たれるかもしれない。これは先の根絶計画で用いられていた経口生ポリオワクチン(OPV)の欠点に、弱毒化変異を失った伝播型ワクチン由来ポリオウイルス(circulating vaccine-derived poliovirus; cVDPV)が出現し、ワクチン接種者や接種患者から排出されたウイルスで感染症を発症する問題があったためである。cVDPVによるポリオ流行は、とくに2型cVDPVが問題で(Diop OM, et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2015;64:640-6)、cVDPVの85%を占めていた。そのため、世界保健機関(WHO)は2016年前半に3価ポリオワクチン(tOPV)の接種を停止し、2型OPV成分を除いた2価経口生ポリオワクチン(bOPV)に切り替えを推奨した。しかし、2型OPVの接種中止は世界的に2型ポリオに対する著しい免疫低下をもたらし、2020年には伝播型ワクチン由来ポリオウイルス2型(cVDPV2)が24ヵ国で1,000例を超え、2型cVDPVへの対策を要する事態となった。 このような経緯から本研究のワクチン(nOPV)は、ワクチン由来ポリオウイルスの出現を抑制するために開発され、セービン株由来経口生ポリオウイルスワクチンの遺伝的安定性を改善し、2020年11月よりワクチンとして初めてWHOの暫定緊急使用リストに加えられていた。 本研究は2型cVDPVの被害が最も大きかったアフリカで初めて行われたnOPV2の臨床試験であり、目的はnOPV2の認可やWHOのワクチン選定に必要なデータを収集することであった。そのため、ガンビアの乳児と幼児のデータでnOPV2の安全性および忍容性データの拡充、および乳児における3種類のロットでnOPV2の免疫応答の一貫性を評価し、ワクチン投与後のセロコンバージョン率とポリオウイルス2型の排出についても調査が行われた。 本研究結果は、「新規2型経口生ポリオワクチン(nOPV2)、有効性・安全性を確認/Lancet」で掲載されている通りで、nOPV2は、ガンビアの小児と乳児に免疫原性が確認され、安全性の懸念も特定されなかった。本研究で扱われたnOPV2は、以前のポリオワクチンよりcVDPVのリスクを減らすことが期待され、本論文で引用されている文献や本研究結果からもリスク低下が示唆されているが、nOPVも伝播による変異等によりnOPV2由来のアウトブレイクが発生する懸念は残るため、注意深い監視は引き続き必要になるだろう(Martin J, et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2022;71:786-790.)。 ところで、本邦で実施されているポリオワクチンについても言及すると、本邦では経口生ポリオワクチン(OPV)ではなく、不活化ワクチン(IPV)が使用されている。OPVの利点は、効果的な腸管免疫・血中中和抗体誘導能を有するうえ、安価で接種も容易なことだが、欠点として接種後に接種者あるいは接触者がワクチン関連麻痺を来すことや、伝播型ワクチン由来ポリオウイルスの原因となることがある。この欠点を避けるために先進国ではOPVからIPVに切り替えを行っており、日本では2012年9月より定期接種のワクチンは3価経口生ポリオワクチン(tOPV)からIPVに切り替えられていた。 2024年4月1日以降の現時点では、ポリオワクチンは5種混合(DPT-IPV-Hib)として定期接種に含まれているが、日本小児科学会からは任意接種としてポリオに対する抗体価が減衰する前に、就学前の接種も推奨されている(日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュールの変更点)。 本邦では2013年に診断されたcVDPV 由来のワクチン関連麻痺症例以降、ポリオ確定症例の届けはされていないが、cVDPVはアフリカのみならず、欧州や米国、東南アジアからも報告されている。本邦ではIPVによる高いワクチン接種率の維持により海外からのポリオウイルス持ち込みを防いでいると考えられ、引き続き国内でもワクチン接種による予防は必要だろう。また、本邦からの海外渡航時で、出国時に1年以内のポリオワクチン接種証明書提示が必要な国に渡航する場合や、ポリオリスク国に渡航するが10年以内に接種歴がない場合などではポリオワクチンの追加接種が必要である。

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腎臓学会が紅麹サプリ調査を実施、多い症状は?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第129回

小林製薬の「紅麹」の成分を含む健康食品を摂取し、死亡を含む腎障害などの健康被害が生じたという報告が相次いでいます。厚生労働省は、4月1日の時点で166人が入院したことが小林製薬からの報告で明らかになったと発表しました。被疑成分として「プベルル酸」が挙げられていますが、まだはっきりとはしていません。紅麹原料はさまざまな食品に含まれていることもあり、被害はさらに広がる可能性があります。厚生労働省と消費者庁は紅麹を使用した製品に由来する健康被害について、国民や事業者からの問い合わせに応える電話相談窓口を合同で設置するとしています。これらの報道を受け、日本腎臓学会は3月29日に学会員を対象とした「紅麹コレステヘルプに関連した腎障害に関する調査研究」アンケートを実施し、3日ほどで47例の報告が集まったとして4月1日に中間報告を発表しました。ものすごい早さで情報が収集され、ものすごい早さで中間報告が出されたことに驚いています。その中から、特徴を抜粋してお伝えします。患者は30~70歳代まで認められるが、40~69歳が約9割を占める。やや女性に多い。服用開始は約4割の人が1年以上前(服用開始時期2023年3月以前)で、服用期間が短期間の人(開始時期2023年12月、2024年1月、2月)も発症している。受診日は2023年11月以降で、1月以降の受診が約8割を占める。初診時の主訴は、半数以上が倦怠感や食思不振、尿の異常、腎機能障害。腹部症状や体重減少を訴える人も少なからずいる。発熱や嘔吐、頻尿、浮腫や体重増加などは比較的少ない。また、「紅麹コレステヘルプに関連した健康被害として、この中間報告でお示しした以外の病態を否定するものではありませんが、被疑剤を服用された場合、被疑剤の服用を中止するとともに、腎機能検査や尿蛋白に加えて、尿糖や血清カリウム値、尿酸値、リン値、HCO3-値の測定は重要」とありますので、上記に当てはまる場合は受診を勧めるほうがよさそうです。皆さんの薬局でも健康食品に関する相談や不安の声が寄せられているかもしれません。この件にまったく関係のない健康食品を摂取している人が不安になったり、ひいては医薬品の服用を急にやめてしまったりするなどの影響も生じかねません。今回は日本腎臓学会によって異例の早さで情報収集および中間報告がされましたが、4月末まで回答を受け付けていて、また改めて発表されるようです。ぜひこれらの情報を活用して患者さんの安心につなげたいですね。

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4月9日 子宮頸がんを予防する日【今日は何の日?】

【4月9日 子宮頸がんを予防する日】〔由来〕「し(4)きゅう(9)」(子宮)の語呂合わせから、「子宮頸がん」予防の啓発活動を行っている「子宮頸がんを考える市民の会」(東京)が制定。この日を中心に「子宮頸がん」についてのセミナーなどを開催している。関連コンテンツHPVワクチン【今、知っておきたいワクチンの話】日本のワクチン史を変えた煉獄さん【Dr.倉原の“俺の本棚”】子宮頸がんも喫煙で増える?!【患者説明用スライド】高リスク局所進行子宮頸がん、ペムブロリズマブ追加でPFS改善/Lancet低リスク子宮頸がん、単純子宮全摘が標準治療に非劣性/NEJM

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英語で「お大事に」は?【1分★医療英語】第125回

第125回 英語で「お大事に」は?《例文1》I hope you feel better soon.(早く良くなるといいですね)《例文2》Take care of yourself and have a wonderful rest of your day.(お体に気を付けて、素晴らしい一日をお過ごしください)《解説》診察の終わり際に、日本では「お大事に」と言うことが多いかと思いますが、英語では何と言えばよいでしょうか? ここで言う「お大事に」は必ずしも患者さんが体調不良というわけではなく、「お元気で」「さようなら」といった意味合いで使う場合がほとんどでしょう。それに相当する英語は“take care”です。“take care”は日常会話でも頻繁に使われる別れ際のあいさつで、「お元気で」「気を付けてね」という意味になります。一方、体調不良の同僚や、急な症状の悪化で来た患者さんといった「明らかに体調が悪い人」には、“feel better”(元気になってね)や、“I hope you feel better soon.”(早く良くなるといいですね)という声掛けが適切でしょう。患者さんへの別れ際のあいさつとしては、日常会話でも使われる表現も使うことができます。たとえば、“See you.”(さようなら)、“Have a good day.”(良い一日を)、“Have a wonderful rest of your day.”(素晴らしい一日をお過ごしください)といった声掛けは、医療現場でもよく使われます。講師紹介

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治療に対する不安を軽くするには?【もったいない患者対応】第3回

治療に対する不安を軽くするには?登場人物今日来た患者さん、とても不安が強くて治療の説明をしてもなかなか必要性を理解してもらえないんです。なぜそんなに不安が強いのかな?どうやら同じ病気の友達にいろいろ言われたらしく…。副作用が多いからやめたほうがいいとか…。患者さんは友達の体験談に大きな影響を受けるからね。ですよね。どうすればいいんでしょう?先生は同じ治療を安全に受けた患者さんをたくさん知ってるよね?そのことに少し触れてみるのはどうだろう?実体験を例に挙げるたとえば、患者さんが下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)を受ける予定で、その説明を医師から受けるとします。しかし実は事前に知人から、「大腸カメラはすごく痛いよ!」「大腸カメラで大腸に穴が空いた人がいるらしいよ!」「前日の下剤がつらすぎて二度と受けたくない!」という話を聞いていたとしたら、患者さんはどういう思いを抱いているでしょうか? 「たった1人の事例が自分に当てはまるとは限らないし、個人差はあるに決まっているだろうから信用しない」などと冷静に判断できる人はおそらくいないでしょう。誰もが「自分も同じ目にあうかもしれない」と強い不安を抱くはずです。患者さんにとって、“親しい人からの体験談”ほど大きな影響を与えるものはないからです。そこで、私たちもそれを逆手にとり、不安が強い患者さんには「参考程度」に体験談をお伝えするのも1つの手です。たとえば、私は大腸カメラを2度受けた経験があるので、「私も大腸カメラを受けたことがあるんですが、全然痛くなかったんですよ。もちろん個人差はあると思いますが…」「私も下剤を飲んだとき夜中に何度かトイレに起きたのですが、お腹が痛くてつらい、ということはなかったです」と伝えています。実際に同じ検査や治療を受けた患者さんの事例を、個人情報に注意しながら例に出してみてもよいでしょう。もちろん、「n=1」の体験談は医学的には大きな意味をもちませんから、「個人差はありますよ」「ケースバイケースですよ」という補足説明は必要ですし、リスクについてはデータをもとに客観的な情報を提供すべきです。しかし、「実際にそういう感想もある」と知っておくことが、患者さんの心理的負担を少し軽くするのは間違いないでしょう。「相反する例」をうまく使う治療や検査の必要性をきちんと理解してもらうなら、「相反する例」をうまく利用するのも1つの手です。患者さんに「AはBです」と伝えたいときに、「AがBでなかったらどうなるか」を引き合いに出し、対比を浮き彫りにして理解してもらいやすくする、という手法です。たとえば、化学療法を受ける予定の患者さんに制吐薬を処方するとします。医師にとって、化学療法に制吐薬を併用するのは当たり前のことですが、患者さんにとっては初めての体験です。そこで、「吐き気止めを処方しておきますね」と言うだけで済ませるのではなく、「もし吐き気止めを使わないと、〇〇という状況になることが予想されます(〇%くらいの人に吐き気が起こると言われています)ので、吐き気止めを処方しますね」というふうに話します。他にも、たとえば輸血が必要な患者さんに対しては、「もし輸血をしないと〇〇になってしまうので、今日は輸血を行いましょう」というように伝えることが可能です。もちろん「脅す」という意味ではありません。治療の必要性を理解するためには、「治療をしなかった未来」を具体的に思い描いていただくことが有効だという意味です。これとは少し違うものの、似た例をあげてみます。以前、私の指導医は、肝臓切除の手術前に必ず、「実は、昔は肝臓は切れない臓器だと言われていました。肝臓は血管の塊だからです。いまはいろんな道具が出てきて、ようやく切れるようになったんです」と説明していました。技術が進歩する前は肝臓を「切ることすらできなかった」と伝えることで、「出血リスクが高すぎて手術が困難だった昔」を引き合いに出し、出血リスクの大きさを患者さんが理解しやすくしていたのです。

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第209回 コストコで肥満治療

日本で今や30店舗を超える大規模小売店のコストコが本拠地の米国で薬の処方を含むより安価な肥満治療の提供を開始しました1)。世界の女性の5人に1人ほど、男性は7人に1人ほどが肥満です。米国の肥満有病率はより顕著で、2021年の報告によると同国の成人のいまや半数近い42%、数にして1億800万人がBMI 30以上の肥満体です2)。やはりできれば痩せたいと思う人は多いらしく、体重を減らす処方薬(以下、「肥満薬」)が気になる人は増えているようです。昨夏2023年7月に実施された米国成人1,327人のアンケート調査によると半数近い45%が有効で安全な肥満薬の使用に少なくともいくらか関心があると回答しました3)。そのような関心の高まりを背景にしてコストコは肥満治療の提供を始めました。昨秋2023年9月にコストコは、医師と患者を直結させることで診察、検査、処方薬を半額に抑えることを目指す医療会社Sesameと提携し、会員が1回29ドルの遠隔診療を受けられるサービスをすでに始めています4)。加えて、標準的な臨床検査や遠隔での医師評価を含む健康診断を72ドル、メンタルヘルス治療を79ドルで受けられもします。また、対面診察などのSesameのその他の医療すべてがコストコ会員は10%引きとなります。その提携が拡大してコストコの会員はさらに肥満治療を受けることが可能となりました。加入費用(subscription)は3ヵ月あたり179ドル(1ヵ月ごとの場合は60ドル)で、食事指導や患者ごとに誂えられた治療計画が示されます。会員は自分に合った医師を選択でき、最初はビデオ面談での診察を受け、予定の診察以外にも医師に連絡できます。必要と診療で判断されたらオゼンピック、ウゴービ、マンジャロ、Zepbound、Saxendaなどの体重減少効果がある薬の処方を受けることができます。それらの薬の費用は加入費用とは別に支払う必要があります。どれだけ痩せることができるかは個人差がありますが、臨床試験での平均値に基づく体重減少の目安は3ヵ月で5%、6ヵ月で10%、1年で15%です5)。小売業の医療参入医療に参入する米国の小売業は増えており、たとえばウォルマートはプライマリケアの施設を各地に設置していますし6)、Amazonはプライマリケア会社One Medicalを買収してPrime会員への年中無休24時間営業の医療の提供を始めています7)。また、製薬会社が患者と医療を仲立ちする例もあり、この1月にLillyは患者に同社の薬剤を直接届けることを含む遠隔医療事業LillyDirectを始めました。先月3月にはそれら薬剤の配達をAmazonが担当するとの発表がありました8)。AmazonはLillyDirectを介しての肥満薬Zepboundやその他のLillyの薬のいくつかを24時間年中無休で米国の患者に配達します。参考1)Wholesale Weight Loss: Sesame Unveils Specialized Care for Weight Loss with Pricing Exclusively for Costco Members / GlobeNewswire2)CDC:National Health and Nutrition Examination Survey 2017–March 2020 Prepandemic Data Files Development of Files and Prevalence Estimates for Selected Health Outcomes3)Poll: Nearly Half of Adults Would Be Interested in Prescription Weight-Loss Drugs, But Enthusiasm Fades Based on Lack of Coverage and Risk of Regaining Weight / KFF4)Wholesale Health Care: Sesame Launches America’s Best Pricing on High Quality Doctor Visits Exclusively for Costco Members / GlobeNewswire5)Costco6)Costco teams up with Sesame to offer weight loss program to members, including GLP-1 drugs / FierceHealthcare7)Amazon Introduces Compelling New Health Care Benefit for Prime Members for Only $9 a Month (or $99 a Year) / BUSINESS WIRE8)Amazon Pharmacy now provides home delivery of select diabetes, obesity, and migraine medications to LillyDirect patients / Amazon

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乳がん免疫療法中の抗菌薬投与が予後に影響?

 ペムブロリズマブによる術前治療中のHER2陰性高リスク早期乳がん患者において、抗菌薬の投与と高い残存腫瘍量(RCB)との関連が示唆された。これまで、免疫療法中の抗菌薬への曝露が、さまざまな種類のがんにおいて臨床転帰に悪影響を与えることが報告されている。米国・ミネソタ大学のAmit A. Kulkarni氏らは、ISPY-2試験でペムブロリズマブが投与された4群について、抗菌薬への曝露がRCBおよび病理学的完全奏効(pCR)へ与える影響について評価した2次解析の結果を、NPJ Breast Cancer誌2024年3月26日号に報告した。 ISPY-2試験では、ペムブロリズマブの4サイクル投与と同時にパクリタキセルを12週間投与し、その後ドキソルビシンとシクロホスファミドを2~3週間ごとに4サイクル投与した。免疫療法(IO)と同時に少なくとも1回の抗菌薬の全身投与を受けた患者が抗菌薬曝露群に、それ以外のすべての患者が対照群に割り付けられた。 RCBインデックスとpCR率は、t検定とカイ二乗検定、線形回帰モデルとロジスティック回帰モデルを使用してそれぞれ両群間で比較された。 主な結果は以下のとおり。・66例が解析に含まれ、うち18例(27%)が抗菌薬投与を受けていた。・免疫療法中の抗菌薬の投与は、より高い平均RCBスコア(1.80±1.43 vs.1.08±1.41)および低いpCR率(27.8% vs.52.1%)と関連していた。・抗菌薬の投与とRCBスコアについて、多変量線形回帰分析においても有意な関連がみられた(RCBインデックス係数:0.86、95%信頼区間:0.20~1.53、p=0.01)。 著者らは、より大規模なコホートでの検証が必要としている。

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国内初の造血器腫瘍遺伝子パネル検査を申請/大塚

 大塚製薬、国立がん研究センター、九州大学、京都大学、名古屋医療センター、東京大学医科学研究所附属先端医療研究センター、慶應義塾大学医学部は2024年3月29日、共同で設計・開発してきた造血器腫瘍遺伝子パネル検査について、国内での製造販売承認申請を行ったと発表した。 がん遺伝子パネル検査は数種類の製品が固形腫瘍に保険適用されているが、造血器腫瘍では同様の製品はない。そのため、造血器腫瘍では保険診療下のゲノム医療が行われていない。 上記の共同研究コンソーシアムは、造血器腫瘍の保険診療下でのゲノム医療を実現するため、造血器腫瘍ゲノム検査ガイドラインに基づいた網羅的な遺伝子パネル検査の開発に取り組んできた。造血器腫瘍に関連する遺伝子異常を検出することにより、骨髄系腫瘍からリンパ系腫瘍までほとんどの造血器腫瘍に対して、診断、治療法選択、予後予測が可能になると期待される。 承認されれば、同製品は国内初の造血器腫瘍を対象としたがん遺伝子パネル検査となる予定だ。

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日本人高齢者、高感度CRPと認知症が関連

 血清高感度C反応性蛋白(CRP)とアルツハイマー病などの認知症との関連についての報告は一貫していない。今回、愛媛大学の立花 亜由美氏らが全国8地域の高齢者約1万人を調査したところ、血清高感度CRP値の上昇が認知症全体やアルツハイマー病と関連し、側頭皮質萎縮のリスクの増加とも関連することが示唆された。Scientifc Reports誌2024年3月28日号に掲載。 本研究(長寿社会の実現を目指した大規模認知症コホート研究:JPSC-AD)では、全国8地域(青森県弘前市、岩手県矢巾町、石川県中島町、東京都荒川区、島根県海士町、愛媛県中山町、福岡県久山町、熊本県荒尾市)における65歳以上の地域住民1万1,957人を募集し、除外基準の適用後、血液検査と健康関連検査を受けた1万85人について解析した。血清高感度CRP値を臨床的カットオフ値に従って分類し、各血清高感度CRP値について認知症全体およびサブタイプの存在に関するオッズ比(OR)を算出した。さらに、脳MRIを受けた8,614人のデータを用いて、血清高感度CRPと脳容積の関心領域との関連を共分散分析によって調べた。 主な結果は以下のとおり。・多変量調整後、血清高感度CRP 1.0mg/L未満と比較したORは、認知症全体において、1.0~1.9mg/L、2.0~2.9mg/L、3.0mg/L以上で、順に1.04(95%信頼区間:0.76~1.43)、1.68(同:1.08~2.61)、1.51(同:1.08~2.11)であった。 アルツハイマー病では、順に0.72(同:0.48~1.08)、1.76(同:1.08~2.89)、1.61(同:1.11~2.35)であった。・認知症全体およびアルツハイマー病の有病率の多変量調整ORは、血清高感度CRP値の増加と共に有意に増加した(傾向のpは順に<0.001、0.001)・多変量調整後の側頭皮質容積/推定総頭蓋内容積比は、血清高感度CRP値の上昇と共に有意に減少した(1.0mg/L未満:4.28%、1.0~1.9mg/L:4.27%、2.0~2.9mg/L:4.29%、3.0mg/L以上:4.21%、傾向のp=0.004)。 この結果から、著者らは「地域在住の日本人高齢者集団において、血清高感度CRP値の上昇は、認知症、とくにアルツハイマー病の存在および側頭皮質の萎縮のリスクの増加と関連することを示唆している」とまとめた。

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うつ病における疼痛症状と抗うつ薬の治療結果~系統的レビューとメタ解析

 うつ病患者では、疼痛を伴う身体症状がみられることが多い。うつ病患者における疼痛を伴う身体症状は、抗うつ薬治療効果の低下と潜在的に関連している。中国・北京大学のJia Jia Liu氏らは、ベースライン時の疼痛レベルと抗うつ薬治療効果との関連を評価した。Molecular Psychiatry誌オンライン版2024年3月13日号の報告。 事前に登録したプロトコールに基づき、2023年2月までに公表された研究をPubMed、Embase、Cochrane Libraryのデータベースより検索した。うつ病患者のうち、抗うつ薬治療反応患者/寛解患者および非治療反応患者/非寛解患者における治療前の疼痛対策を報告したオリジナル研究を含めた。データ抽出と品質評価は、2人の独立したレビュー担当者によりPRISMAに従い実施した。主要アウトカムは、抗うつ薬治療反応患者/寛解患者と非治療反応患者/非寛解患者の間での治療前の疼痛レベルの差とした。ランダム効果メタ解析を用いてエフェクトサイズ(Hedge's g)を算出し、サブグループ解析とメタ回帰分析を用いて不均一性の原因を調査した。 主な結果は以下のとおり。・分析には、20件の研究を含めた。・6件の研究より、うつ病治療に対する非治療反応患者においてベースライン時の疼痛重症度レベルが有意に高いことが報告された(Hedge's g=0.32、95%信頼区間[CI]:0.13~0.51、p=0.0008)。・6件の研究より、疼痛を伴う身体症状(疼痛重症度尺度を用いて測定)と治療反応不良との有意な関連が認められた(オッズ比[OR]:1.46、95%CI:1.04~2.04、p=0.028)。・5件の研究より、非治療反応患者においてベースライン時の疼痛干渉レベルが有意に高いことが示唆された(Hedge's g=0.46、95%CI:0.32~0.61、p<0.0001)。・4件の研究より、非寛解患者のベースライン時の疼痛重症度レベルが有意に高いことが報告された(Hedge's g=0.27、95%CI:0.14~0.40、p<0.0001)。・8件の研究より、疼痛を伴う身体症状と非寛解との有意な関連が認められた(OR:1.70、95%CI:1.24~2.32、p=0.0009)。 著者らは「うつ病患者の疼痛を伴う身体症状は、抗うつ薬治療アウトカムと負の相関があることが示唆されたことから、うつ病治療を行う際、疼痛マネジメントを改善することで、抗うつ薬の治療効果を向上させる可能性がある」と報告した。

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レンバチニブ+ペムブロリズマブ進行・再発子宮体がん1次治療の成績(LEAP-001)/SGO2024

 進行子宮体がんにおけるレンバチニブ+ペムブロリズマブの1次治療は主要評価項目を達成できなかった。 レンバチニブ+ペムブロリズマブは第III相KEYNOTE‐775試験で、既治療の進行子宮体がんにおける生存改善が示されている1)。米国婦人科腫瘍学会(SGO2024)では、オーストリア・インスブルック医科大学のChristian Marth氏が1次治療でのレンバチニブ+ペムブロリズマブを評価したENGOT-en9/LEAP-001試験の中間解析結果を報告した。・対象:進行・再発子宮体がん・試験群:レンバチニブ 連日+ペムブロリズマブ 3週ごと(Len+Pembro群)・対照群:カルボプラチン+パクリタキセル 3週ごと(TC群)・評価項目[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)評価の無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)[副次評価項目]奏効率、安全性、健康関連QOL事前に設定した基準:pMMR集団のPFS優越性ハザード比(HR)0.7、pMMR集団のOS非劣性HR0.8、優越性のHR0.7 主な結果は以下のとおり。・pMMR集団のPFS中央値はLen+Pembro群9.6ヵ月、TC群10.2ヵ月、HRは0.99(95%信頼区間[CI]:0.82~1.21)で事前に設定した基準を達成できなかった。・全集団のPFS中央値はLen+Pembro群12.5ヵ月、TC群10.2ヵ月で(HR:0.91、95%CI:0.76~1.09)であった。・pMMR集団のOS中央値はLen+Pembro群30.9ヵ月、TC群29.4ヵ月、HRは1.02(95%CI:0.83~1.26)で、事前に設定した基準を達成できなかった。・全集団のOS中央値はLen+Pembro群37.7ヵ月、TC群32.1ヵ月であった(HR:0.93、95%CI:0.77~1.12)。・dMMR集団におけるPFSおよびOSのHRは0.61(95%CI:0.40~0.92)と0.57(95%CI:0.36~0.91)であった。・術前/術後補助療法を受けたpMMR集団のPFSおよびOSのHRはそれぞれ0.60(95%CI:0.37~0.97)と0.67(95%CI:0.41~1.11)であった。・全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)はLen+Pembro群の97.9%、TC群の96.8%で発現した。Len+Pembro群で頻度の高いのTRAEは高血圧(62.6%)、甲状腺機能低下(59.0%)、下痢(42.1%)などであった。

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