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貧血改善も期待できる骨髄線維症薬「オムジャラ錠100mg/150mg/200mg」【最新!DI情報】第22回

貧血改善も期待できる骨髄線維症薬「オムジャラ錠100mg/150mg/200mg」今回は、ヤヌスキナーゼ(JAK)/アクチビンA受容体1型(ACVR1)阻害薬「モメロチニブ塩酸塩水和物(商品名:オムジャラ錠100mg/150mg/200mg、製造販売元:グラクソ・スミスクライン)」を紹介します。本剤は約10年ぶりの骨髄線維症の新薬であり、抗腫瘍効果だけでなく、貧血改善効果も示すことが期待されています。<効能・効果>骨髄線維症の適応で、2024年6月24日に製造販売承認を取得し、同年8月15日より発売されています。<用法・用量>通常、成人にはモメロチニブとして200mgを1日1回経口投与します。なお、患者の状態により適宜減量します。<安全性>重大な副作用として、感染症(2.3%)、骨髄抑制(血小板減少症[18.3%]、貧血[5.8%]、好中球減少症[4.7%]など)、肝機能障害(6.4%)、間質性肺疾患(頻度不明)があります。その他の副作用として、悪心(10%以上)、ビタミンB1欠乏、頭痛、浮動性めまい、錯感覚、末梢性ニューロパチー、回転性めまい、霧視、低血圧、潮紅、咳嗽、下痢、腹痛、嘔吐、便秘、四肢痛、関節痛、疲労、無力症(いずれも1%以上~10%未満)、失神、血腫、発熱、挫傷(いずれも1%未満)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、骨髄線維症にかかわるタンパク質(JAK)の働きを選択的に阻害することにより、脾臓の腫れ(脾腫)を縮小します。また、骨髄線維症に伴う貧血にかかわるタンパク質(ACVR1)の働きを選択的に阻害することにより、血液中の鉄分を増やして造血を促します。2.体の抵抗力が弱まり、感染症(発熱、寒気、体がだるいなど)にかかりやすくなることがあります。人ごみを避けるなど、感染症にかからないように気をつけてください。3.帯状疱疹が現れることがあります。初期症状が現れた場合は、ただちに医師に連絡してください。4.妊婦または妊娠している可能性がある人は医師に相談してください。5.セント・ジョーンズ・ワートを含有する食品は、この薬の効果を下げる可能性があるので、控えてください。<ここがポイント!>骨髄線維症(MF)は、骨髄に広範な線維化を来す疾患の総称であり、脾臓の腫れ、貧血および血小板減少症を含む血液細胞の産生異常、サイトカインの過剰産生による全身性炎症がみられる血液がんです。MFの罹患期間中に高度な貧血や血小板減少が生じると、輸血を含む追加の支持療法が必要となり、輸血依存の患者の予後は悪く、生存期間が短縮されることが示されています。モメロチニブは日本における約10年ぶりとなるMF治療の新薬です。ヤヌスキナーゼ(JAK)1およびJAK2阻害による腫瘍増殖抑制作用に加え、アクチビンA受容体1型(ACVR1)阻害による造血作用を有しています。既存薬であるルキソリチニブ(商品名:ジャカビ錠)では骨髄抑制による貧血が高頻度で認められますが、モメロチニブはACVR1阻害作用により、MF治療の重要な課題である貧血に対する効果も期待できます。JAK阻害薬による治療歴のないMF患者を対象とした国際共同第III相試験(SIMPLIFY-1試験)において、24週時の脾臓容積がベースラインから35%以上縮小した患者の割合(SRR)は、モメロチニブ群で26.5%、ルキソリチニブ群で29.5%、非劣性の群間差は9%(95%信頼区間[CI]:2~16、p=0.014)であり、両側95%CIの下限が0を上回ったため、ルキソリチニブに対する非劣性を示しました。日本人集団では、24週時のSRRはモメロチニブ群で50.0%、ルキソリチニブ群で44.4%でした。一方、24週時の輸血非依存割合では、モメロチニブ群で66.5%、ルキソリチニブ群で49.3%、割合の群間差は18%(95%CI:9~26、p<0.001:名目上のp値)でした。

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芍薬甘草湯が効かないこむら返り【漢方カンファレンス】第8回

芍薬甘草湯が効かないこむら返り以下の症例で考えられる処方をお答えください。(経過の項の「???」にあてはまる漢方薬を考えてみましょう)【今回の症例】70代男性主訴こむら返り、大腿の筋肉痛既往高血圧、糖尿病で内服治療生活歴喫煙(-)、飲酒(+)、散歩と体操を毎日行っている。病歴数年前から夜間を中心にこむら返りがある。ほぼ毎晩、寝返りを契機に両下腿に起こる。前医で芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)の処方を受けたが無効。普段から腰痛や大腿の筋肉痛がある。X年6月に受診した。現症身長159cm、体重61kg(BMI 24kg/m2)。体温36.2℃、血圧142/96mmHg、脈拍70回/分 整、呼吸数20回/分。身体所見では大腿神経進展テストで両側大腿四頭筋の短縮を認めた。経過初診時「???」3包 分3を処方。(解答は本ページ下部をチェック!)2週間後こむら返りの回数が減った。1ヵ月後こむら返りがなくなった。4ヵ月後大腿の筋肉痛が軽減して、以前よりよく歩けるようになった。問診・診察漢方医は以下に示す漢方診療のポイントに基づいて、今回の症例を以下のように考えます。【漢方診療のポイント】(1)病態は寒が主体(陰証)か、熱が主体(陽証)か?(冷えがあるか、温まると症状は改善するか、倦怠感は強いか、など)(2)虚実はどうか(症状の程度、脈・腹の力)(3)気血水の異常を考える(4)主症状や病名などのキーワードを手掛かりに絞り込む【問診】寒がりですか? 暑がりですか?体の冷えを自覚しますか?のぼせはありませんか?暑がりで冷えはありません。のぼせることはありませんが、赤ら顔だとよくいわれます。こむら返りはいつ起こりやすいですか?夜間や明け方に多いです。どんな日に多いですか?寒い日や雨天に多くないですか?天候は関係ありません。よく運動した日に多いです。入浴では長くお湯に浸かるのが好きですか?冷房は好きですか?入浴は短いほうです。冷房は好きです。飲み物は温かい物と冷たい物のどちらを好みますか?のどは渇きませんか?1日どれくらい飲み物を摂っていますか?温かい物、冷たい物どちらも飲みます。のどは渇きません。飲水は1日1.0L程度です。<ほかの随伴症状を確認>疲れやすいですか?横になりたいほどの倦怠感はありますか?倦怠感はなく、毎日散歩をしています。食欲はありますか?食欲はあります。尿は1日に何回出ますか?夜間尿はありますか?便秘・下痢はありませんか?尿は6~7回で、夜間尿は1回くらいです。便はほぼ毎日出ます。抜け毛が多くないですか?皮膚が乾燥しやすいですか?目が疲れやすくないですか?足はむくみやすいですか?抜け毛は多くありません。乾燥肌です。目はすぐに疲れます。足のむくみはありません。ほかに困っている症状はありますか?足の筋肉、とくに太ももがいつもこわばっているような感じで痛みがあります。また、腰痛があります。【診察】顔色はやや赤ら顔。脈診では浮沈間、強弱中間であった。また、舌は暗赤色、舌下静脈の怒張があり、乾燥した白色の舌苔が、軽度付着していた。腹診では腹力は中等度、腹直筋の緊張を認めた。触診では四肢に明らかな冷えはなく、皮膚は乾燥傾向であった。カンファレンスこむら返りには芍薬甘草湯が有名ですね。しかし今回の症例では芍薬甘草湯が無効です…。そういう場面でこそ漢方医の腕の見せどころだね!芍薬甘草湯の服用方法が気になります。まれに芍薬甘草湯が3包 分3で処方されていることをみかけます。芍薬甘草湯は甘草(かんぞう)が多く含まれる(3包中6.0g)ことから、偽アルドステロン症のリスクが高いですね。副作用の恐れから芍薬甘草湯の使用は1包 分1で頓服にとどめておくのが無難です。たしかに自分の診療でも「よく効いたので芍薬甘草湯が欲しい」と希望されることが多いのですが、偽アルドステロン症のリスクが気になってしまいます。そのようなケースではほかの漢方薬を予防薬として用いて芍薬甘草湯の使用量が減らせるとよいね。こむら返りは現代医学的には有痛性の筋けいれんですが、漢方ではどのように考えたらよいか、漢方診療のポイントの順にみていきましょう。問診では、暑がり、長風呂はしない、冷たい飲み物を好む、強い倦怠感はないなどから、「陽証」です。陰証を示唆する所見は乏しいため、陽証でよいですね。六病位ではどうでしょう?太陽病(悪寒・発熱など。第4回「今回のポイント」の項参照)や陽明病(腹満・便秘など)を示唆する所見はないので少陽病(第6回「今回のポイント」の項参照)です。いいですね!慢性疾患で明らかな冷えがなければ少陽病といわれます。では虚実はどうですか?脈の反発力は中等度、腹力も中等度であることから「虚実間」です。気血水の異常はどうでしょう?浮腫はなくて、雨天で悪化することもないので、水毒は目立ちません。血に関しては、男性なので月経は関係ないし…。本症例からは元気な高齢者のイメージが浮かびますね。先生の言うように水毒はなさそうです。瘀血に関しては、男性の場合、舌下静脈の怒張、歯肉の暗赤、臍周囲の圧痛などで判断します。また、痔の既往をたずねることも有用です。本症例では舌色が暗赤色で舌下静脈の怒張もあるので、瘀血はあると考えてよいでしょう。漢方ではこむら返りを、筋の働きが弱くなって起こると考えて、生体内の赤い液体「血」が量的に不足した病態(血虚)で起こるとまず考えるよ(血虚については本ページ下部の「今回のポイント」の項参照)。芍薬甘草湯も血虚を改善する漢方薬に分類されることもあるんだ。ほかの血虚の症状をたずねるために皮膚の乾燥、脱毛、目の疲れを問診で確認しているのですね! 本症例では、こむら返り以外にも皮膚の乾燥や目が疲れやすいといった症状があります。そうですね。本症例では陰陽は陽証、気血水では血虚や瘀血が主体の病態といえますね。本症例をまとめましょう。【漢方診療のポイント】(1)病態は寒が主体(陰証)か、熱が主体(陽証)か?暑がり、長風呂できない、倦怠感なし、冷房、冷たい飲み物を好む脈:浮沈間→少陽病(2)虚実はどうか脈:強弱中間、腹力:中等度→虚実間(3)気血水の異常を考える舌の暗赤色、舌下静脈の怒張→瘀血こむら返り、皮膚が乾燥、目が疲れる→血虚(4)主症状や病名などのキーワードを手掛かりに絞り込む大腿のこわばりと筋肉痛、腰痛解答・解説【解答】本症例は、血虚で痛みを伴う場合に用いる疎経活血湯(そけいかっけつとう)で治療しました。【解説】血虚に対する基本処方は四物湯(しもつとう)です。四物湯は、当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、芍薬(しゃくやく)、地黄(じおう)で構成されます。こむら返りを含む血虚の症状に対して、四物湯そのもので治療することもありますが、四物湯を含む漢方薬をその他の症状、徴候に応じて使い分けます。疎経活血湯は四物湯の4つの生薬に加えて駆瘀血作用、利水作用、鎮痛作用のある生薬が加わった構成です。疎経活血湯は、足腰が痛いとか筋肉痛があるときに用います。痛みは左優位であることが多く、疎経活血湯の典型例では、診察時に左右の肋骨や大腿を押すと、左側の方が痛いといいます。また、痩せ気味、赤ら顔といった特徴があるとされます。腰痛、坐骨神経痛、変形性膝関節症などの慢性の痛みを生じる疾患に対して用いる漢方薬です。さらに、当科では芍薬甘草湯が無効のこむら返りに対する疎経活血湯の有用性を報告1,2)しており、こむら返りの予防薬として用いることもあります。登山で考えると、芍薬甘草湯は即効性があるため、山登り中にこむら返りが起こったら芍薬甘草湯、山登り前の予防薬として疎経活血湯といった感じで活用するとよいですね。今回のポイント「血虚」の解説漢方では生体内を循環する赤い液体を「血」といい、血液およびその働きを含めた概念と考えます。血は生体の物質的側面を支えるとされています。血が量的に不足した病態が「血虚」です。血虚では、こむら返りのほか、皮膚の乾燥、赤ぎれ、眼精疲労、集中力の低下、脱毛が多い、爪が割れやすい、過少月経などの症状が出現します。また血虚の原因として、成長に見合った血の生成ができない、消耗性疾患や出血で血の消費が増大する、薬剤、放射線などにより血の生成が障害されるなどがあげられます。よい例として、悪性腫瘍における化学・放射線治療中の状態があがります。脱毛、皮膚の枯燥、爪が割れる、しびれ感などが出現することが多く、腫瘍自体とその治療により消耗して血虚に陥りやすいと考えることができます。また血虚は、血の流通障害である瘀血と合併することも多く、瘀血と血虚の治療が同時に必要な場合もあります。参考文献1)田原英一ほか. 日東医誌. 2011;62:660-663.2)土倉潤一郎ほか. 日東医誌. 2017;68:40-46.

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第230回 肥満症治療薬セマグルチドでコロナ死亡が減少

肥満症治療薬セマグルチドでコロナ死亡が減少ノボ ノルディスク ファーマの肥満症治療薬のGLP-1受容体作動薬セマグルチド2.4mg皮下注(商品名:ウゴービ)と新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)による死亡率低下との関連が第III相SELECT試験の長期経過解析で示されました1)。SELECT試験の被験者の割り振りは、COVID-19流行開始前の2018年10月に始まって2021年3月まで続き、被験者の受診は2023年6月29日に完了しました。すなわち同試験の期間はCOVID-19流行の最悪期である2020年3月~2022年3月の約2年間をすっかり含みます。SELECT試験には、太っていて(BMIが27以上)心血管疾患の既往があるものの糖尿病ではない45歳以上の1万7,604例が参加しました。それら被験者の選択基準は図らずも後に判明するCOVID-19重症化リスクが高い集団の特徴とかぶるものでした。よってSELECT試験のデータは、COVID-19重症化リスクが高い人のSARS-CoV-2感染後の経過がセマグルチドでどう変わるかを調べるのに好都合です。そこでハーバード大学関連のブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究者らはSELECT試験の被験者の半数の経過が3.3年間に達した時点までのデータを解析し、COVID-19の経過にセマグルチド投与がどう影響したかなどを検討しました。昨年の11月にNEJM誌にすでに報告されているとおり、心血管が原因の死亡率(心血管死亡率)はセマグルチド投与群のほうがプラセボ投与群に比べて低かったものの、p値は0.05を超える0.07で有意ではありませんでした2,3)。それゆえ他の副次転帰の検定はなされませんでしたが、あらゆる死亡の発生率(全死亡率)はセマグルチド投与群のほうが19%低く、そのハザード比0.81の95%信頼区間は有望なことに1未満に収まる0.71~0.93でした。そしてCOVID-19死亡率も全死亡率と同様にセマグルチド投与群のほうが低いことが今回の解析で示されました。セマグルチド投与患者はプラセボ群と同程度にSARS-CoV-2に感染しました。しかしSARS-CoV-2感染したセマグルチド投与患者のほうがSARS-CoV-2感染したプラセボ投与患者に比べてCOVID-19死亡をより免れており、その発生率はセマグルチド投与群のほうがプラセボ群より34%低くて済んでいました。また、SARS-CoV-2感染者の深刻なCOVID-19関連有害事象の発生率もセマグルチド投与群のほうがプラセボ群に比べて低いことが示されました(それぞれ2.6%と3.1%、p=0.04)。感染症による死亡率もセマグルチド投与群のほうがプラセボ群に比べて低くて済んでいました。それらの効果のメカニズムは不明です。体重の大幅な減少と重度のCOVID-19合併症が少なくて済むことの関連が肥満手術患者の観察試験で示されていることなどから察するに、セマグルチドの感染症死亡予防は体重減少のおかげらしいと著者は言っています1)。いずれにせよさらなる試験での検証が必要です。また、他の同種の薬の試験で新たな発見を得られそうです4)。参考1)Scirica BM, et al. J Am Coll Cardiol. 2024 Aug 27. [Epub ahead of print] 2)Lincoff AM, et al. N Engl J Med. 2023;389:2221-2232.3)Novo Nordisk A/S: Semaglutide 2.4 mg (Wegovy) cardiovascular outcomes data presented at American Heart Association Scientific Sessions and simultaneously published in New England Journal of Medicine. 4)Brigham-led study finds weight loss drug semaglutide reduced COVID-19 related deaths during the pandemic / Eurekalert

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鼠径部ヘルニア診療ガイドライン改訂~非専門医も知っておきたい治療動向

 外科医にとっての登竜門とも言えるが、奥も深いとされるヘルニア手術。その診療指針である『鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2024 第2版』が5月に発刊された。治療は外科手術が中心となるものの、鼠径部ヘルニアは日常診療で遭遇しやすい疾患の1つであるため、非専門医も治療動向については知っておきたい領域だろう。そこで今回、ガイドライン作成検討委員会委員長を務めた井谷 史嗣氏(広島市民病院 外科上席主任部長)に鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2024の改訂点や非専門医も知っておきたい内容について話を聞いた。 鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2024は、大腿ヘルニアを含む鼠径部ヘルニアと小児分野を広くカバーした初版(2015年版)の特徴を継承しつつ全面改訂されたもので、井谷氏は「Mindsの作成マニュアル基準に則りメタアナリシスを行いエビデンスレベルの高いものを作成した」と説明、鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2024の特徴として以下の3つを挙げた。<鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2024今回の主な改訂点>(1)鼠径部切開法に関して、ヨーロッパヘルニア学会(EHS)のガイドラインにまとめられていないMesh plug法やKugel法などにも言及(CQ7-1~3、p.30~35)(2)CQとしてはデータが不足するも、臨床上、重要な課題と考えられるものをコラムとして掲載(CQ1-1~2-1、p.16~18ほか)(3)初版では初回Lichtenstein法において軽量メッシュが推奨されていたが、鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2024ではどちらか一方を強く推奨することはできないと記載(CQ12-1、p.45)鼠径部ヘルニア診療ガイドラインでは危険因子を掲載 鼠径部ヘルニアの発症因子について、鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2024のClinical Question(CQ)1-1『成人鼠径ヘルニア発症における危険因子は何か?』(p.16)によると、明確なエビデンスはなく推奨の方向性やエビデンスの確実性は明示していないが、男性、高齢、白人、鼠径ヘルニアの家族歴が挙げられている。また、既往歴としてはヘルニアの病歴、食道裂孔ヘルニア、慢性咳嗽、慢性閉塞性肺疾患、前立腺全摘除術、前立腺肥大症などの下部尿路機能障害、腹膜透析などが、生活歴としては、肉体労働の量、飲酒歴、喫煙歴が報告されている。 同様に成人大腿ヘルニア発症の危険因子について、教科書的には高齢でやせ型、多産の女性に多いと記されているが、指示する明確なエビデンスがないとしている(CQ2-1、p.18)。鼠径部ヘルニア手術はリスクと隣り合わせ 鼠径部ヘルニアの治療は今も外科的手術が一般的であり、リスクが少ない患者であれば高齢者でも同意の下で実施する。一方、無症候性の場合には手術および経過観察の双方が許容される(CQ5-1、p.26)。鼠径部ヘルニアの発症ピークは小児あるいは70代以降であるが、「腹筋を使うようなスポーツをする人、仕事で重い荷物を扱う人では発症しやすく注意が必要。また、無症候であってもトイレの際に気張りにくい場合などには手術が考慮される」とコメントした。 鼠径部ヘルニア、大腿ヘルニア共に術式は鼠径部切開法か腹腔鏡手術を選択するが、現在の腹腔鏡手術の普及率は2021年のNational Clinical Database (NCD)1)よると6割に上る。それぞれの推奨度についてはCQ7-1~CQ9-1(p.30~40)を参照されたい。一方、鼠径部ヘルニア手術の課題として、同氏は「本治療は外科手術の基本であるものの、良性疾患であるがゆえに再発した際の言い訳がきかず、術後に神経損傷などによる慢性疼痛を発症した場合には医療訴訟にもなりかねない。現在は内視鏡手術が普及してきたので鼠径部解剖がよりわかりやすくなったが、単純ではないため手術は非常に奥が深いものと言える。にもかかわらず、急患が来院した場合にはヘルニア専門外の医師の対応も必要となる分野」と、専門を問わず知識を持っておく必要性について言及し、「若手・非専門医にも鼠径部ヘルニアに興味を持ってもらい、一定レベルに達する教育・指導を普及させていきたい。まずは外科医の皆さまには鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2024のCQすべてに目を通してもらいたい」とコメントした。 現在、日本ヘルニア学会は鼠径部ヘルニア診療に関する研究、教育および診療の向上を目的として、鼠径部ヘルニア修得医認定制度の整備を進めており、本年は11月30日まで応募を受け付けている。鼠径部ヘルニアに脱腸ベルトは使っていい?その効果は? 鼠径部ヘルニアはちまたでは“脱腸”と表現され、新聞広告などで「脱腸ベルト(ヘルニアバンド)」なるものが販売されているため、これに関する問い合わせを受ける医師もいるのではないだろうか。鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2024ではこれについて言及していないが、同氏は「治療目的としての効果は得られない。しかし、手術までの待機期間(1~2ヵ月)に痛みを軽減する目的での利用は問題ない」と述べ、「みやざき外科・ヘルニアクリニックの宮崎 恭介氏によると、自己判断で購入し長年使っている方がいるのが実情で、そのような方から問い合わせがあるという。脱腸ベルトを長年使用している方には圧迫による瘢痕組織ができるため、初発ヘルニアでも再発ヘルニアのような癒着があり、手術がしづらくなるため推奨はせず、“脱腸ベルトを使ってもヘルニアは治りません。治すためには手術しかありません”と説明されている」とのコメントであった。 最後に同氏は「今後、鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2024は英文化を検討しているが、内容は外科医を対象としたCQに偏っている。外科医以外の医師の参考にもなるような鼠径部ヘルニアの総論的な視点を含むCQも必要といった声が寄せられているので、これを今後の課題としていく」と締めくくった。

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清掃・消毒の改善で医療関連感染は減らせるか~クラスターRCTで検証

 医療器具の清掃・消毒の改善によって、医療関連感染(HAI)を減らすことは可能であろうか。この疑問に関して、オーストラリア・Avondale University のBrett G. Mitchell氏らは、ステップウェッジデザインを用いたクラスター無作為化比較試験「CLEEN試験」を実施した。その結果、清掃・消毒の改善によって、HAIの発生率を低下させることが可能であることが明らかになった。本研究結果は、Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2024年8月13日号に掲載された。 本研究は、オーストラリアの単一の公立病院の10病棟を対象として実施した。研究期間は2023年3月20日~11月24日の36週間とした。ステップウェッジデザインを用いたクラスター無作為化の手法により、10病棟を5つのクラスターに割り付けた。ベースライン時はすべての病棟が共有医療器具(移動式便器、血圧計、点滴スタンド、輸液ポンプ)を通常どおり清掃・消毒し、割り付けられたクラスターごとに改善された清掃・消毒へ順次移行した。改善された清掃・消毒期では、専任の清掃スタッフを追加し、週5日3時間追加の清掃・消毒を実施した。主要評価項目は、入院患者におけるHAIの発生率とした。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は5,002例(男性2,478例、女性2,524例、年齢中央値75歳[四分位範囲:63~83])。・適切に清掃された共有医療器具の割合は、通常の清掃・消毒期が18.2%(168/925個)であったのに対し、改善された清掃・消毒期では56.6%(487/861個)であった。・HAIの発生率は、通常の清掃・消毒期が17.3%(433/2,497例)であったのに対し、改善された清掃・消毒期では12.0%(301/2,508例)であった。・調整後のHAIの相対変化率は-34.5%(オッズ比:0.62、95%信頼区間:0.45~0.80)であり、改善された清掃・消毒期で有意にHAIの発生率が低下した。

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メマンチン+ドネペジル併用療法の有害事象プロファイル~FDAデータ解析

 中等度~高度な認知症に対し、ドネペジルとメマンチンの併用療法は、臨床的に広く用いられている。しかし、ドネペジルとメマンチン併用による長期安全性に関するデータは、不十分であり、報告にばらつきがある。中国・福建中医薬大学のYihan Yang氏らは、米国FDAの有害事象報告システム(FAERS)のデータを用いて、ドネペジルとメマンチンの併用による有害事象を分析し、併用療法の安全性モニタリングに関するエビデンスの作成を目指した。Frontiers in Pharmacology誌2024年7月17日号の報告。 2004~23年に報告されたドネペジルとメマンチンの併用に関連する有害事象をFAERSデータベースより抽出し、レトロスペクティブに分析した。併用療法と有害事象との関連性を評価するため、4つの不均衡分析法(報告オッズ比、比例報告比、BCPNN[Bayesian confidence propagation neural network]、MGPS[multi-item gamma Poisson shrinker])を用いた。潜在的な安全性をさらに評価するため、性別による発生時期と発生率の違い、年齢による発生率の違いも分析した。 主な結果は以下のとおり。・ドネペジルとメマンチンの併用が原因である可能性が疑われた有害反応報告は2,400例で、女性が54.96%、65歳以上が79.08%であった。・めまいや心電図PR延長( PR prolongation)などの一般的な有害事象を含む100例の有害事象を網羅した22の器官別分類が特定された。転倒、Pisa症候群、ミオクローヌスは添付文書に記載されていない有害事象であった。・有害事象は男性で88例、女性では100例の報告があり、眠気は男女共に一般的な有害事象で、とくに女性に多く認められ、男性ではPisa症候群が多かった。・年齢別では、18歳未満12例、18~65歳16例、66歳以上113例の有害事象を分析した。3群間で異なる有害事象が認められたが、嗜眠はすべての群に共通してみられた。・有害事象発生までの期間の中央値は、全例で19日であった。・男女共に、多くの有害事象はドネペジルとメマンチンの併用療法開始1ヵ月以内に発生しており、1年間の治療後も継続する有害事象もあった。 著者らは「ドネペジルとメマンチンの併用療法による潜在的および新規の有害事象が特定された。また、一部の有害事象は、年齢や性別による違いも確認された。本研究結果が、実臨床においてドネペジルとメマンチンの併用療法を行う際、より安全に使用するための一助となることが期待される」としている。

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既治療の淡明細胞型腎細胞がん、belzutifan vs.エベロリムス(LITESPARK-005)/NEJM

 免疫チェックポイント阻害薬と血管新生阻害薬による治療歴のある進行淡明細胞型腎細胞がん患者の治療において、エベロリムスと比較して低酸素誘導因子2α阻害薬belzutifanは、無増悪生存率と客観的奏効率を有意に改善し、新たな安全性シグナルの発現はみられないことが、米国・ダナファーバーがん研究所のToni K. Choueiri氏らLITESPARK-005 Investigatorsが実施した「LITESPARK-005試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年8月22・29日号で報告された。世界147施設の無作為化実薬対照第III相試験 LITESPARK-005試験は、世界6地域(日本を含む)の147施設で実施した非盲検無作為化実薬対照第III相試験であり、2020年3月~2022年1月の期間に参加者の無作為化を行った(Merck Sharp and Dohmeの助成を受けた)。 年齢18歳以上、StageIVの淡明細胞型腎細胞がんと診断され、プログラム細胞死1(PD-1)阻害薬またはプログラム細胞死リガンド1(PD-L1)阻害薬と、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)受容体チロシンキナーゼ阻害薬(VEGFR-TKI)の逐次投与または同時併用投与を受けた後に、病勢が進行した患者を対象とした。 被験者を、belzutifan 120mgまたはエベロリムス10mgを1日1回、経口投与する群に1対1の割合で無作為に割り付け、病勢進行または許容できない毒性が発現するまで継続投与した。 主要評価項目は、無増悪生存期間と全生存期間とした。主な副次評価項目は、客観的奏効(確定された完全奏効または部分奏効)であった。18ヵ月時の生存率に差はない 746例を登録し、374例をbelzutifan群(年齢中央値62.0歳、男性79.4%)、372例をエベロリムス群(63.0歳、76.3%)に割り付けた。全体の43.3%が2ライン、42.8%が3ラインの前治療を受けていた。 初回中間解析(追跡期間中央値18.4ヵ月)の時点で、無増悪生存期間中央値は両群とも5.6ヵ月であり、18ヵ月時に生存しているか、病勢が進行していない患者の割合は、エベロリムス群が8.3%であったのに対し、belzutifan群は24.0%と有意に優れた(両側p=0.002[事前に規定された有意性の基準を満たす])。 2回目の中間解析(追跡期間中央値25.7ヵ月)の時点における全生存期間中央値は、belzutifan群が21.4ヵ月、エベロリムス群は18.1ヵ月であり、18ヵ月時の生存率はそれぞれ55.2%および50.6%と両群間に差を認めなかった(ハザード比[HR]:0.88、95%信頼区間[CI]:0.73~1.07、両側のp=0.20[事前に規定された有意性の基準を満たさない])。両群とも約6割でGrade3以上の有害事象が発現 客観的奏効率は、エベロリムス群が3.5%(95%CI:1.9~5.9)であったのに対し、belzutifan群は21.9%(17.8~26.5)と有意に優れた(p<0.001[事前に規定された有意性の基準を満たす])。 Grade3以上の有害事象は、belzutifan群の61.8%(Grade5は3.5%)、エベロリムス群の62.5%(5.3%)で発現した。投与中止の原因となった有害事象は、それぞれ5.9%および14.7%でみられた。 著者は、「本試験は、有効な治療メカニズムとして低酸素誘導因子2αの阻害を導入し、免疫チェックポイント阻害薬と血管新生阻害薬の両方の治療を受けた進行腎細胞がん患者の治療選択肢として、belzutifanを確立した」としている。現在、belzutifanを含む併用療法と他の治療法を比較する研究が進行中だという。

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CT-FFRは血行再建術を要する冠動脈狭窄患者の選択に有用

 冠動脈CT血管造影検査(CTA)のデータを用いた血流予備量比(FFR)の解析(CT-FFR)は、心拍数を制御せずに施行しても冠動脈狭窄患者の虚血評価に有用であり、侵襲的な血行再建術に紹介される患者の人数を減らすことが報告された。詳細は「Radiology: Cardiothoracic Imaging」4月号に掲載された。 CT-FFRによる非侵襲的な冠動脈狭窄の虚血評価が臨床利用されているが、心拍数を制御せずに得られたデータでも有用なのかは未だ不明瞭である。そこで米マサチューセッツ総合病院、ハーバード大学医学大学院のMangun K. Randhawa氏らは、2020年8月~2021年8月に同院で心拍数の制御なしにデュアルソース冠動脈CTAを施行した全患者を対象に、後ろ向き観察研究を実施した。冠動脈CTAで軽度~重度の冠動脈狭窄が認められた患者は、医師の判断でCT-FFRに紹介された。CT-FFR の結果から、心筋虚血は陽性(FFR値0.75以下)、境界域(同0.76~0.80)、陰性(同0.80超)に分類された。 患者のカルテをレビューし、冠動脈CTAの特徴と、その後3カ月間の侵襲的冠動脈造影(ICA)、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、心筋梗塞、全死亡を評価。これらのアウトカムをCT-FFRを受けた患者と受けなかった患者との間で比較し、CT-FFRで評価した心筋虚血の各カテゴリについても分析した。CT-FFRとアウトカムとの関連性は、ロジスティック回帰を用いて年齢、性別、併存疾患、冠動脈病変の重症度を調整した上で評価した。 その結果、患者3,098人が冠動脈CTAを受けていた。冠動脈バイパス術を受けた患者を除外した2,985人のうち、292人(9.7%)がCT-FFRに紹介されていた。CT-FFR の結果を得られた284人のうち、心筋虚血陰性に分類されたのは160人(56.3%)であり、陽性は88人(30.9%)、境界域は36人(12.6%)であった。CT-FFRの結果を得られた患者のうち、96.5%は著明な解剖学的狭窄(CAD-RADSカテゴリ3以上)を有していた。 冠動脈CTAで著明な解剖学的狭窄を認めた患者では、CT-FFRを受けた場合、受けなかった場合と比較して、ICA(25.5%対74.5%、P=0.04)、PCI(21.1%対78.9%、P=0.05)の施行率が有意に低かった。CT-FFRを受けた患者のうち62人(22.7%)がICAに紹介され、そのうち12人(19.4%)は50%以上の狭窄、14人(22.6%)は70%以上の狭窄、11人(17.7%)は90%以上の狭窄が認められた。 Randhawa氏はニュースリリースで、「冠動脈に中等度の狭窄や閉塞のある患者では、侵襲的な検査や血行再建術が有益か否かを見分けるのが難しいことがある。CT-FFRは、恩恵を受ける可能性が特に高い患者を特定し、選択するのに有用である」と述べている。

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hs-cTnTは関節リウマチ患者のMACEと死亡に関連

 関節リウマチ(RA)患者において、検出可能なレベルの高感度心筋トロポニンT(hs-cTnT)は、主要心血管イベント(MACE)および全死亡のリスク上昇と関連するとするリサーチレターが、「The Journal of Rheumatology」に6月15日掲載された。 米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のBrittany N. Weber氏らは、RA患者331人を対象に、検出可能なhs-cTnTの臨床的に確立された閾値と、MACE(急性冠症候群、脳卒中、心血管死)および全死亡との長期的関連を検討した。 ベースラインの時点で、10年間のアテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)リスクの中央値は3.87%と推定された。解析の結果、検出可能なhs-cTnTを有した患者は117人(35.3%)であった(中央値8.98mg/dL)。10年間でMACEは16例(4.8%)、全死亡は50例(15.1%)確認された。検出可能なhs-cTnTと将来のMACEとの間には関連が認められた(ハザード比7.13)。この有意な関連は、ASCVDリスクとlog高感度CRP(hsCRP)による調整後(同4.29)、およびASCVDリスクとDisease Activity Score in 28 joints based on CRP(DAS28-CRP)スコアで調整後(同5.79)も持続した。検出可能なhs-cTnTと全死亡にも同様の関連が見られ(同7.2)、調整後もそれぞれ持続した(同4.18、4.74)。ASCVDリスクスコアは単独でMACEと有意に関連していた。 著者らは「今回の結果から、ASCVDリスクが全体的に低いと推定されるRA患者の心血管リスク評価を改善するマーカーとして、hs-cTnTが有用である可能性が示唆される」と述べている。 なお複数人の著者が、製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

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メトホルミンは投与タイミングが重要

 経鼻カテーテルを用いてメトホルミンおよびブドウ糖を十二指腸へ投与するという検討の結果、ブドウ糖より先にメトホルミンを投与した方が、糖代謝に対してより良好な影響が生じることが明らかになった。アデレード大学(オーストラリア)のCong Xie氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetologia」に4月1日掲載された。 メトホルミンの血糖低下作用には複数のメカニズムが関与しているが、食後血糖上昇抑制作用に関しては、GLP-1の分泌刺激も関与していると考えられている。ただし現在のところ、メトホルミン投与のタイミングを変えることで、食後の糖代謝に及ぼす影響がどのように変化するかという点は、よく分かっていない。Xie氏らはこの点について、経鼻十二指腸カテーテルを用いてメトホルミンとブドウ糖の投与タイミングを30分ずつずらすというクロスオーバー試験により、血糖値およびGLP-1とインスリンの分泌量への影響の差異を検討した。 研究の対象はメトホルミン単剤で比較的良好な血糖コントロールを得られている2型糖尿病患者16人(平均年齢69.9±1.9歳、男性14人、BMI28.7±1.0、罹病期間10.4±2.6年、HbA1c6.6±0.1%)。ブドウ糖投与の60分前、30分前、0分前(同時)という3時点のいずれかに、メトホルミン1,000mgを含む50mLの生理食塩水(プラセボ条件では生理食塩水のみ)を、経鼻カテーテルを用いて十二指腸にボーラス投与し、ブドウ糖は0~60分に3kcal/分の速度で投与。ブドウ糖投与の60分前から投与120分後まで30分おきに、血糖値、GLP-1、インスリンを測定して推移を比較した。 なお、3時点での投与手技は全条件で毎回行い、実薬を投与する時点以外にはプラセボを投与した。これらは全て、二重盲検下で行われた。また、各条件の試行には7日以上のウォッシュアウト期間を設けた。 ブドウ糖投与後120分間での血糖上昇曲線下面積(AUC)は、メトホルミンを60分前(7,908±353mg/dL・分)および30分前(8,388±360mg/dL・分)に投与した2条件では、メトホルミンとブドウ糖を同時に投与した場合(9,306±405mg/dL・分)よりも有意に低値だった。GLP-1については、メトホルミンをブドウ糖投与の60分前または30分前に投与した場合のみ、プラセボ条件に比べて有意な上昇が認められた。インスリン分泌量は、プラセボ条件以外の3条件間に有意差がなく、メトホルミン投与によって同程度に上昇していた。ブドウ糖投与後のインスリン感受性(Matsuda index)は条件間に有意差がなかった。 これらの結果に基づき著者らは、「経カテーテル的にメトホルミンやブドウ糖を十二指腸に投与する場合、ブドウ糖投与に先立ってメトホルミンを投与した方が、血糖値の上昇幅が抑制され、またGLP-1分泌量が増加する」と総括している。 なお、一部の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

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米国でのCTO治療、腰痛防止の無重力防護服に驚き!【臨床留学通信 from Boston】第3回

米国でのCTO治療、腰痛防止の無重力防護服に驚き!マサチューセッツ総合病院(MGH)にはcomplex coronary service(複雑冠動脈治療サービス)という部門があり、CTO(chronic total occlusion:慢性完全閉塞)を治療するプログラムがあります。この部門は、全米のどこにでも設置されているわけではありません。一般的な冠動脈カテーテル治療では、ガイドワイヤーを通し、それに沿わせてバルーンやステントを運ぶのが基本ですが、CTOの場合、そのガイドワイヤーを通すのが困難です。そのため、血管が通らない場合には「retrograde approach(逆行性アプローチ)」といった巧みな技術が必要となります。この施術は日本のお家芸でもあります。たとえば、右冠動脈のCTOに対して、左前下行枝から側副血行路が発達している場合、そちら側からもガイドワイヤーを通して治療することがあります。日本ではこの方法がよく行われていますが、MGHでも同様の治療が行われていました。以前勤務していたニューヨークのモンテフィオーレでは、CTOの難しい治療はあまり行われておらず、米国ではCTO治療を実施しているところは少ないのではないかと思っていました。しかし、MGHにはCTO専門の医師がいて、その施術は日本のやり方に非常に近く、親近感を覚えました。CTOの治療は、4~5時間かけて血管をこじ開けるため、術者の被曝や放射線防護服による腰痛など、さまざまな弊害も伴います。その専門医が愛用している「Zero-Gravity」と呼ばれる防護服は、防護服が天井から吊るされていて、手を通すだけで装着できるという画期的なものでした。私自身は、CTOに関しては初級から中級レベルですので、「郷に行っては郷に従え」という気持ちで、米国でのさまざまな手法も参考にしています。次の所属先を探すためにも、さらに学びを深めておくと、良い武器になるかもしれません。ただし、CTO手技は一般的に難易度が高く、適切に行わないと合併症のリスクが高くなります。これを米国でのメインの強みとするのは、やや困難かもしれないと思う次第です。Column投稿した論文が掲載となりましたので紹介します。Kuno T, et al. Predictors of outcomes after PCI with incomplete revascularization: Impact of CTO and LAD vessel. Catheter Cardiovasc Interv. 2024 Jul 15. [Epub ahead of print]こちらは、日本未承認のranolazineという薬剤が、完全血行再建ができなかった患者さんに対して有効か調べたランダム化比較試験(RIVER PCI trial)1)のサブグループ研究です。CTOが残存した人のほうが、CTOがない人と比べて、心不全や心筋梗塞の発症率が高かったことが示されたました。この結果からCTOを治療すべきだと結論付けることはできませんが、RCTの詳細なデータを用いた研究になります。この論文は、ニューヨークでCardiovascular Research Foundation(CRF)に出入りしていた頃に構想して4年以上前に書き上げたものです。しかし、解析等の担当者が多忙であったため、投稿を開始したのは約1年前でした。JACCやCirculationの姉妹誌は難しく、最終的にはカテーテル系の学会誌に、ようやく今年7月に掲載されました。このプロジェクトは、Mount Sinai Heart Health SystemのGregg W. Stone先生に多大なご指導をいただき、時間はかかりましたが、詳細に添削していただく過程で大変勉強になりました。参考1)Weisz G, et al. Ranolazine in patients with incomplete revascularisation after percutaneous coronary intervention (RIVER-PCI): a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet. 2016;387:136-145.

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第208回 都市部での新規開業を制限、医師の偏在是正の対策案を発表/厚労省

<先週の動き>1.都市部での新規開業を制限、医師の偏在是正の対策案を発表/厚労省2.マイナ保険証の利用が低迷、医療機関への働きかけ強化へ/政府3.少子化の深刻化続く、2024年上半期の出生数が最少記録/厚労省4.75歳以上高齢者に2割負担導入で、医療費が3~6%減少/厚労省5.2022年度の体外受精児、過去最多の7.7万人に/日本産科婦人科学会6.独居高齢者の孤独死が2万8000人超に、2024年上半期/警察庁1.都市部での新規開業を制限、医師の偏在是正の対策案を発表/厚労省厚生労働省は、8月30日に地域ごとの医師の偏在を是正するための総合対策を発表した。医師が多い都市部での新規開業を抑制するため、法令改正を含む一連の措置を検討しており、都道府県知事の権限を強化する予定。武見 敬三厚生労働大臣は30日の記者会見で、医師の偏在を是正するため、省内に「医師偏在対策推進本部」を設置、9月には初会合を開くことを発表した。具体的には、新規開業希望者に対して、救急医療や在宅医療などの地域で不足している医療サービスを提供するよう要請する法的枠組みを整え、開業を事実上制限することが柱となっている。さらに、地方の医療機関への財政支援を強化し、医師不足地域への医師派遣を推進するためのマッチング支援を行うことが検討されている。これには、医師が少ない地域での勤務経験を管理者要件とする医療機関の拡大、大学医学部卒業後地元で働くことを条件に医学部入学を認める「地域枠」の再配置も含まれる。厚労省内では、部局横断の推進本部が新設され、年末までに具体的な対策パッケージがまとめられる予定。また、この対策は「近未来健康活躍社会戦略」の一環として、国民皆保険の維持や医療・介護産業の発展を目指している。今後、25年度予算案への反映や通常国会での法改正も視野に入れ、医師の偏在是正に向けた取り組みが本格化する見通し。参考1)武見大臣会見概要[令和6年8月30日](厚労省)2)今後の医師偏在対策について(同)3)近未来健康活躍社会戦略(同)4)医師偏在是正へ開業抑制、都道府県の権限強化 厚労省案(日経新聞)5)医師多い地域で開業抑制、厚労省が偏在是正へ対策骨子案 地方医療機関へ財政支援強化(産経新聞)6)医師偏在是正「多数区域」の知事権限強化など 厚労省が対策具体案、年末までに具体化(CB news)2.マイナ保険証の利用が低迷、医療機関への働きかけ強化へ/政府厚生労働省は、8月30日に社会保障審議会医療保険部会を開き、「マイナ保険証」の利用促進策について検討した。2024年7月時点でのマイナ保険証の利用率は11.13%と低迷し、政府が掲げる現行健康保険証の12月廃止に向けた利用促進には課題が残っていることが明らかになった。とくに利用率が低い医療機関や薬局に対しては、厚労省が地方厚生局を通じて個別に事情を確認し、利用促進を図るための支援を行う方針を明らかにした。厚労省は「消極的な利用は療養担当規則違反の恐れがある」としているが、医療機関側からは威圧的との批判も寄せられている。政府はマイナ保険証の利用率を引き上げるため、医療機関に対して一時金の支給や補助金の期間延長などのインセンティブを提供してきたが、利用率については最高の富山県で18.0%、最下位の沖縄県で4.75%と依然として利用率が伸び悩んでいる状況。今後、政府は利用促進策をさらに強化し、国民の不安を解消するための広報活動にも力を入れる予定。さらに総務省と厚労省は、マイナンバーカードの利用拡大を図るための一連の新対策として、マイナンバーカードの暗証番号をコンビニエンスストアやスーパーで再設定できるサービスを開始し、従来の自治体窓口に出向く必要をなくした。変更にはスマートフォンの専用アプリを使用して事前手続きを行い、イオングループの店舗やセブン-イレブンの一部店舗内のマルチコピー機端末で再設定が可能となり、今後さらに広がる予定。マイナンバーカードの普及と利用促進に向けた政府の取り組みが進んでいるが、現場の課題や地域差が浮き彫りになっており、さらなる対策が求められている。参考1)マイナ保険証の利用促進等について(厚労省)2)マイナ保険証 利用率低い医療機関や薬局に聞き取りへ 厚労省(NHK)3)マイナ保険証利用増へ追加策 厚労省、個別に働きかけ(日経新聞)4)マイナ保険証、利用実績低い施設に働き掛けへ 7月の利用率11.13%、新たな利用促進策(CB news)3.少子化の深刻化続く、2024年上半期の出生数が最少記録/厚労省厚生労働省が発表した2024年1~6月の人口動態統計(速報値)によると、出生数は前年同期比5.7%減の35万74人で、1969年の統計開始以来、上半期として最少を更新した。この減少は、少子化の深刻さを浮き彫りにしている。前年同期比で約2万人の減少がみられ、これで3年連続して40万人を下回る結果となった。また、2014年と比べると出生数は約3割減少しており、長期的な低下傾向が続いている。加えて、2024年の年間出生数が70万人を下回る可能性が高まっており、少子化対策の重要性が一層強調されている。婚姻数は、前年同期比で若干の増加がみられたが、新型コロナウイルス感染症の影響による晩婚化や晩産化が、今後の出生数減少に拍車をかける可能性がある。厚労省は、若い世代の減少や晩婚化により、出生数が今後も中長期的に減少する可能性が高いとし、少子化対策は待ったなしの危機的状況であると強調する。政府は、児童手当の拡充などの対策を進めているが、これまでの施策だけでは減少を食い止められていない状況。参考1)人口動態統計速報(令和6年6月分)(厚労省)2)上半期の出生数速報値で35万人余 統計開始以来最少に(NHK)3)1~6月の出生数は35万74人、上半期で過去最少 厚労省統計(朝日新聞)4)出生数1~6月最少、5.7%減の35万人 年70万人割れの恐れ(日経新聞)4.75歳以上高齢者に2割負担導入で、医療費が3~6%減少/厚労省厚生労働省は、8月30日に社会保障審議会医療保険部会を開き、一定の所得がある75歳以上の高齢者の窓口負担割合を、2022年10月から医療費の窓口負担を1割から2割に引き上げられた影響で、1人当たりの1ヵ月の医療費が3~6%減少したことが明らかにした。この調査は、2割負担の高齢者と1割負担のままの高齢者の診療報酬データを比較して行われ、医療サービスの利用が減少したことが確認された。とくに、糖尿病や脂質異常症などの一部の疾病で外来利用が顕著に減少しており、負担増が受診控えに繋がった可能性が示唆されている。厚労省が行った厚労科学研究の結果、負担増に伴う「駆け込み需要」も一部でみられたことが報告された。調査では、2割負担への移行後に医療サービスの利用日数が約2%減少し、医療サービス全体の利用が約1%減少したことが確認された。これにより、高齢者の医療費総額が減少し、特定の疾病での外来受診が減る傾向がみられた。一方、負担増が高齢者の健康にどのような影響を与えているかについては、さらに詳しい調査が必要とされ、社会保障審議会委員からも健康影響の検証を求める声が上がっている。今後、厚労省は、この調査結果を基に、後期高齢者医療制度の窓口負担割合の見直しを検討する方針。この調査結果は、高齢者の医療費負担増が医療サービスの利用にどのような影響を及ぼしているかを理解する上で重要な資料となり、これからの政策立案に役立てられることが期待されている。参考1)後期高齢者医療の窓口負担割合の見直しの影響について(厚労省)2)受診控えで医療費3~6%減 窓口負担1割→2割に増の75歳以上 厚労省調査(産経新聞)3)75歳以上で窓口負担2割、1ヵ月の医療費3%減少 1割負担者と比べ 厚労科研で検証(CB news)5.2022年度の体外受精児、過去最多の7.7万人に/日本産科婦人科学会日本産科婦人科学会が、2024年8月30日に発表した調査結果によると、2022年に国内で実施された不妊治療の一環である体外受精によって誕生した子供は、過去最多の7万7,206人に達した。これは、前年よりも7,409人増加し、全出生数の約10人に1人が体外受精で生まれたことを意味している。2022年の総出生数は約77万人であり、体外受精による出生がこれまでで最も多くなったことが確認された。体外受精の治療件数も過去最多の54万3,630件に上り、前年から4万5,000件以上増加した。とくに42歳の女性での治療件数が突出して多く、4万6,095件に達した。これは、2022年4月から体外受精に対する公的医療保険の適用が始まり、費用面でのハードルが下がったことが大きく影響したと考えられている。保険適用の対象は43歳未満の女性であるため、この年齢までに治療を行いたいと考える人が増加したとされている。また、体外受精の治療件数は2021年の約50万件からさらに増加し、前年の45万件台の横ばい傾向から再び上昇に転じた。この増加傾向は、2021年に続く大規模なもので、新型コロナウイルス感染症の影響による一時的な減少を除けば、近年は一貫して増加していることが示されている。その一方で、適齢期の女性の人口が減少していることから、今後もこの増加傾向が続くかどうかは不透明であり、専門家からは、医療保険適用による一時的な増加が影響している可能性が高く、今後の動向については引き続き注視が必要だとしている。参考1)2022年体外受精・胚移植等の臨床実施成績(日本産科婦人科学会)2)22年の体外受精児、10人に1人で過去最多 識者「保険適用でハードル下がった」(産経新聞)3)体外受精児、最多7.7万人 22年、10人に1人の割合(日経新聞)4)2022年に国内で実施の体外受精で生まれた子ども 年間で最多に(NHK)6.独居高齢者の孤独死が2万8,000人超に、2024年上半期/警察庁警察庁は、2024年上半期(1~6月)に全国で自宅死亡した独居高齢者(65歳)が2万8,330人に達したことを初めて発表した。これは、同期間に全国の警察が取り扱った自宅で死亡した1人暮らしの人が、全国で3万7,227人(暫定値)いた中の約76.1%を占めている。この統計は、政府が進める「孤独死・孤立死」の実態把握の一環として行われ、今後の対策の議論に活用される予定。この中で孤独死は、85歳以上の高齢者が7,498人と最も多く、次いで75~79歳の5,920人、70~74歳の5,635人と、高齢者の孤独死が顕著だった。また、男女別では男性が2万5,630人、女性が1万1,578人と、男性の方が圧倒的に多い傾向がみられた。地域別では東京(4,786人)が最も多く、続いて大阪、神奈川といった都市部での高齢者の孤独死が目立っている。さらに、死亡から警察が認知するまでの期間が1日以内のケースが全体の約4割に当たる1万4,775人であった一方で、15日以上経過したケースも19.3%に達し、孤立した生活の中で発見が遅れる事例が少なくないことが浮き彫りとなった。政府は昨年8月から「孤独死・孤立死」の問題に対応するためのワーキンググループを設置し、今年4月には「孤独・孤立対策推進法」が施行された。この統計結果は、今後の政策立案や社会支援の強化に向けた貴重な資料として活用されることが期待されている。参考1)令和6年上半期(1~6月分)(暫定値)における死体取扱状況(警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者)について(警察庁)2)独居高齢者、今年上半期に2万8,000人が死亡 7,000人超が85歳以上 警察庁まとめ(産経新聞)3)高齢者の「孤独死」、今年1~6月で2万8,330人…警察庁が初めて集計(読売新聞)4)高齢者の「孤独死」、半年で2万8千人 死後1ヵ月以上経ち把握も(朝日新聞)

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周りは優秀な人ばかり…。自分の立ち位置どう見付ける?【Dr.大塚の人生相談】

将来的に医学研究を行いたいと思い、臨床研修修了後に医局に入らず、基礎系の大学院に進学しました。今、博士課程の後半に入っていますが、まだ論文や学会発表などの目立った業績がありません。医学部や研修医の同期がさまざまに活躍している中で、なんだかくすぶっているような、泥舟に乗って航海しているような、不安や焦りを感じます。研究は一朝一夕で成し遂げられるものではない、というのは十分承知している(つもりではある)ものの、このモヤモヤ感とどう付き合っていけばいいのか悩んでいます。先人の先生方は、優秀な周囲の人間に囲まれる中で、どのように過ごしてきたのでしょうか。ご意見をいただけますと幸いです。(今回の相談者:じゅぐさん)「優秀な人たちの中で自分の居場所を見付ける」僕ね、出身が信州大学なんです。しかも2年間浪人してます。1年目は両国予備校。今はなくなっちゃいましたけれども、全寮制だけど通学も可、という結構スパルタな予備校。2年目は駿台市谷校でした。駿台市谷校は頭のいい友人がたくさんいました。その優秀な人たちは東大理IIIに行って、後に医者になっていったわけです。僕なんかは2年浪人して、なんとかひいひい言いながら信州大学医学部に入ったクチで、もう元から地頭が違うっていうのを感じてました。卒業後、優秀な人の環境の中でちょっと頑張りたいな、と思って京都大学に入局したんですけど、臨床やってる時もそうだし、研究をやり始めるとさらにこの能力差というか、えらい頭のいい人が世の中にはたくさんいるんだなってことを感じて。なんかこうモヤモヤするというか、この優秀な人の中で自分は一体どうやってポジションを得たらいいのか、生き残ったらいいのかっていうのをすごく真剣に考えた時がありました。でもね、これ実際、京大に行く前に自分が望んでたところでもあったんです。すごく優秀な人の間に入って、切磋琢磨して自分も伸びるっていうのを期待してたんです。その中で、こういう環境にいても自分が戦える術ってなんだろうと。こんな優秀な人たちの中で、戦って認められるようなものをなんとか見付けたいと思って、そういう自分への期待を持って入ったんです。その時に気がついたのが、人間ってデコボコしてる存在ということ。これは物理的な話ではなくて能力的なことでです。人ってすごく秀でてるところもあれば、やっぱり苦手なところもある。ある分野では極めて優秀だけど、別の分野だと苦手があるっていう。これ当然そうなんです。たとえば、研究やってると、論文の解釈が深いとか、論理的な考察が正確だとか、手が綺麗(実験が上手)とか、そういうのが目立つわけなんですね。でも、全部得意とか全部パーフェクトな人は当然いません。その中で、やっぱり自分が他の人に比べて労力が少なく、手際よく好きでやれてることはなんだろうかっていうのを見付けて、それを武器にして生きていくのがいいんじゃないかなと思います。ただ、大谷 翔平選手だって野球を始めた頃や、プロ1年目からメジャーリーグで通用するわけではなかったように、いくら自分に能力があるところでも、当然磨かなければ世界では通用しません。なので、得意なことを見付けて、そしてそれをただ磨いていくという、もう愚直なことをするしかないんじゃないかなって思ってます。大学院生活は本当に大変だと思います。学会等で先生の発表を聞けるのを楽しみにしてます。ぜひ頑張ってください。

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ペイシェントハラスメントが起きたきっかけは?/医師1,000人アンケート

 顧客からの暴言・暴力などの迷惑行為が大きく報じられ、鉄道・航空会社や大手百貨店などが対処方針を公表するなど社会問題になっている。CareNet.comでは、医療業界における迷惑行為の実態を調査するため、会員医師1,026人を対象に患者(家族・知人含む)からの迷惑行為(ペイシェントハラスメント)に関するアンケートを実施した。その結果、非常に多くの医師がペイシェントハラスメントを経験し、さまざまな予防や対策を講じていることが明らかになった(2024年7月29日実施)。ペイシェントハラスメントを経験した医師は約70% Q1では、過去にペイシェントハラスメントを受けた経験があるかどうかを聞いた(単一回答)。その結果、「ある」と回答した医師は69.5%、「ない」と回答した医師は30.5%であった。年代別の「ある」と回答した割合は、20代が67.6%、30代が70.7%、40代が77.6%、50代が70.1%、60代が62.8%、70歳以上は58.7%であった。「暴言」が圧倒的だが「暴力」も多い Q2では、上記Q1で「ある」と回答した場合、どのようなペイシェントハラスメントであったかを聞いた(複数回答)。多いものから暴言、脅迫・過剰なサービスの要求、診療費の不払い、業務妨害・不退去(居座り)、暴力、器物破損・建造物破損、セクハラ・ストーカーであった。 フリーコメントでは、「生活費がないから入院させてくれと言った生活保護患者の要求を断ったら殴られた」「縫合が必要な挫創を縫合せずに治せと言われた。できないことを何度も説明した。やがて患者があきらめた」「最近は泥酔者が頻繁に救急車で搬送され、喚くわ暴れるわで手を焼いている」「反社の方のパートナーが過換気症候群になって救急外来に運びこまれた際、胸ぐらをつかまれてちゃんと直さないと殺すと言われた」などの経験が寄せられた。ペイシェントハラスメントのきっかけは? Q3では、ペイシェントハラスメントのきっかけについて聞いた(複数回答)。その結果、「患者の誤解・思い込み・意見の相違」が最も多く、治療方針・内容、待ち時間・診察時間、医師・医療者・事務スタッフの言動、診断・診察結果、薬剤のこだわり、診察費などが続いた。 フリーコメントでは、第1位であった「患者の誤解・思い込み・意見の相違」に端を発するペイシェントハラスメントの予防と考えられる「積極的なコミュニケーション」「わかりやすい説明」を心がけているというコメントがとくに目立った。しかし、「挨拶が悪い」ことからハラスメントに至ったという理不尽な事例もあった。マニュアルがあるのは23.1% Q4では、勤務/経営医療機関にペイシェントハラスメント対策のためのマニュアル(対応指針)があるかどうかを聞いた。全体では、「ある」が23.1%、「ない」が39.1%、わからないが37.8%であった。病床数別では、20床以上の施設の「ある」が25.9%、「ない」が33.0%、「わからない」が41.0%であった一方、19床以下施設ではそれぞれ12.9%、60.7%、26.3%で、クリニックではマニュアル整備が十分ではないことが明らかになった。 フリーコメントでもマニュアルの整備や複数人で対応するなどの仕組みが重要という回答が多く寄せられたが、「マニュアルがあっても、実際の現場ではあまり役に立っていないと感じる」「マニュアルがあっても、実際の現場では対応がままならず、怖い思いをしたことが何度もあります」という回答も寄せられた。 Q5ではフリーコメントとして、ペイシェントハラスメントの予防方法、ご経験やその際の対応方法などを聞いた。予防に関するご意見・なるべく患者、家族と日々しっかりコミュニケーションを取るようにしている。・普段から相手の話を聞いて患者側の主張をうまく否定しないような診療を心がけています。・最初に傾聴する時間を多くとり、どんな人となりかある程度把握できると、対応しやすくなることが多いと感じる。・わかりやすい言葉で論理立てて丁寧に説明している。・まずは患者との信頼関係の確立が重要。・問題を起こしそうな患者さんこそ丁寧に対応する。・要注意患者のリストを作りあらかじめ職員に周知させておくことが重要。・院内での提示などで患者に注意を促す。対応に関するご意見・医療機関にも毅然とした態度が必要であると思うし、そのように努力している。・どんなときも毅然とした対応で警察への通報も躊躇すべきではない。・警察OBの職員を呼ぶ。・医師個人ではなくて、医療機関全体で対応する必要があると考えます。病院として、毅然とした対応がとれる枠組みが必要だと感じています。・とにかく我慢せずに、上司や事務方も巻き込んで、システマティックに対応することが大切。・悪質な場合は、応召義務の除外規定に該当するので、診療をお断りする。・何が気に入らないのか、何を求めて苛立っているのか話を聞く姿勢を見せれば冷静になってもらえることがある。・不当な要求や他患者の診療に影響が出るほどの暴言、クレームなどを行った患者は基本的に次回から出禁にして受付できないようにしています(応召義務に反しない範囲で)。・セクハラ行為については拒絶的態度をはっきりさせる。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。ペイシェントハラスメントを受けたことがある医師は何割?/医師1,000人アンケート

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EGFR陽性NSCLCへのオシメルチニブ、RECIST PDで中止すべき?(REIWA)

 EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)治療では、オシメルチニブが広く用いられているが、RECISTに基づく病勢進行(RECIST PD)後の臨床経過や治療実態は明らかになっていない。そこで、1次治療としてオシメルチニブを用いたEGFR遺伝子変異陽性患者を前向きに追跡する多施設共同観察研究(REIWA)が実施された。本研究において、オシメルチニブは実臨床においても既報の臨床試験と同様の有効性がみられたが、臨床的に安定した患者ではRECIST PD後にオシメルチニブを継続した場合、中止した場合と比べてRECIST PD後の全生存期間(OS)が短かった。本研究結果は、渡邊 景明氏(都立駒込病院)らによって、JTO Clinical and Research Reports誌2024年8月23日号で報告された。 本研究は、2018年9月~2020年8月の期間に1次治療として、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬による治療を受けたEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者660例のうち、オシメルチニブによる治療を受けた583例を対象とした。対象患者をRECIST PD時の病勢進行の部位(中枢神経のみ、オリゴ転移、複数臓器)、症状・全身状態(無症状、有症状かつ臨床的増悪なし、臨床的増悪あり)で分類し、臨床経過および治療実態を検討した。また、RECIST PD後にオシメルチニブを継続した患者(継続群)と中止した患者(中止群)を比較した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者583例におけるOS中央値は41.0ヵ月、無増悪生存期間(PFS)中央値は20.0ヵ月であった。・EGFR遺伝子変異別にみたOS中央値は、exon19欠失変異群が44.2ヵ月、exon21 L858R変異群が36.1ヵ月であり、exon19欠失変異群が有意に長かった(ハザード比[HR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.48~0.81、p=0.0004)。PFS中央値は、それぞれ23.5ヵ月、16.9ヵ月であり、exon19欠失変異群が有意に長かった(同:0.68、0.56~0.84、p=0.0002)。・RECICT PDは344例に認められ、部位別にみると中枢神経のみが37例(10.8%)、オリゴ転移が156例(45.4%)、複数臓器が151例(43.9%)であった。症状・全身状態別にみると無症状が195例(56.7%)、有症状かつ臨床的増悪なしが73例(21.2%)、臨床的増悪ありが76例(22.1%)であった。・RECIST PD後もオシメルチニブを継続したのは163例(47.4%)であった。・臨床的増悪のない集団(247例)を対象として、RECIST PD後のオシメルチニブ継続の有無別にみた場合のRECIST PD後のOS中央値は、継続群が13.2ヵ月、中止群が24.0ヵ月であり、継続群は中止群と比べて有意にRECIST PD後のOSが短かった(HR:2.01、95%CI:1.38〜2.91、p=0.0002)。・2次治療として化学療法による治療を実施した患者は、継続群が63例(38.7%)、中止群が114例(63.3%)であった。

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ファイザー肺炎球菌ワクチン「プレベナー20」一変承認取得、高齢者にも適応

 ファイザーは8月28日付のプレスリリースにて、同社の肺炎球菌ワクチン「プレベナー20(R)水性懸濁注」(一般名:沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン[無毒性変異ジフテリア毒素結合体])について、「高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者における肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15B、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)による感染症の予防」に対する国内の医薬品製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。今回の承認取得は、60歳以上の成人を対象とした国際共同第III相試験1)および海外第III相試験2)の結果に基づく。 本剤は、同社の従来の沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン「プレベナー13(R)」に7血清型を加えたことにより、さらに広範な血清型による肺炎球菌感染症を予防することが期待される。プレベナー20の「小児における肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15B、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)による侵襲性感染症の予防」の適応については、2024年3月26日に承認を取得している。 なお、プレベナー20の発売日は8月30日で、プレベナー13は今後市場から引き上げ、9月30日をもって販売を終了する。現在日本でも、プレベナー13には含まれない血清型による肺炎球菌感染症罹患率の絶対的増加が認められているという。<製品名>プレベナー20(R)水性懸濁注<一般名>日本名:沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体)英名:20-valent Pneumococcal Conjugate Vaccine adsorbed(Mutated diphtheria CRM197 conjugate)<用法及び用量>・高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる6歳以上の者:肺炎球菌による感染症の予防:1回0.5mLを筋肉内に注射する。・肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる6歳未満の者:肺炎球菌による感染症の予防:1回0.5mLを皮下又は筋肉内に注射する。・小児:肺炎球菌による侵襲性感染症の予防 初回免疫:通常、1回0.5mLずつを3回、いずれも27日間以上の間隔で皮下又は筋肉内に注射する。 追加免疫:通常、3回目接種から60日間以上の間隔をおいて、0.5mLを1回皮下又は筋肉内に注射する。

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寛解期の双極症I型患者の性機能は~横断的研究

 双極症(BD)は、生涯を通じた性機能低下などのいくつかの課題を伴う慢性的な精神疾患である。BD患者において、QOL、機能性、服薬順守は重要であるにもかかわらず、これまであまり調査されていなかった。ブラジル・バイーア連邦大学のJuliana Socorro Casqueiro氏らは、寛解期の双極症I型(BD-I)患者の性機能について、健康対照群と比較を行い、BD-I患者の性機能に関連する臨床的および社会人口統計学的特徴を調査した。また、性機能障害の有無によるQOLへの影響も併せて調査した。Trends in Psychiatry and Psychotherapy誌オンライン版2024年7月31日号掲載の報告。 寛解期BD-I患者132例および外来クリニックにおける健康対照群61例を対象に、横断的研究を実施した。性機能の評価にはArizona Sexual Scale(ASEX)、QOLの評価にはWHOQoL-BREFを用いた。BD-I群と健康対照群の比較を行った。BD-I群は、性機能障害の有無により2群に分類した。 主な結果は以下のとおり。・BD-I群の性機能障害有病率は、健康対照群よりも高かった(42.4% vs.16.4%、オッズ比:3.67、95%信頼区間:1.55~8.67、p=0.003)。・BD-I患者の性機能障害と関連していた因子は、女性(p=0.001)、高齢(p=0.003)、未治療期間の長さ(p=0.010)であった。・性機能障害を有するBD-I患者は、そうでない患者と比較し、QOLスコアが不良であった。 著者らは「BD-I患者は、性機能障害の有病率が高く、これがさまざまなQOLスコアの低下と関連していることが示唆された」とまとめている。

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NCCNガイドライン推奨の分子標的薬、臨床的有用性は?/BMJ

 精密医療に基づく腫瘍学(precision oncology)は、とくに進行性の治療抵抗性症例に対するがん治療を変革しつつあるが、多くの遺伝子変異の臨床的重要性は依然として不明とされる。米国・ハーバード大学医学大学院のAriadna Tibau氏らは、National Comprehensive Cancer Network(NCCN)が推奨する分子標的とゲノム標的がん治療薬を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)の2つの枠組みを用いて評価し、固形がんに対するゲノムに基づく治療薬のうち、患者に高い臨床的有益性をもたらす可能性があるのは約8分の1で、約3分の1は有望ではあるが実質的な有益性は証明されていないことを示した。研究の詳細は、BMJ誌2024年8月20日号で報告された。標的の有効性と治療薬の臨床的有益性を横断研究で評価 研究グループは、NCCNが実臨床で推奨しているゲノム標的がん治療薬とその分子標的について、臨床的有益性と有効性を評価する目的で横断研究を行った(Kaiser Permanent Institute for Health Policy and Arnold Venturesなどの助成を受けた)。 NCCNガイドラインが進行がんに対して推奨しているゲノム標的がん治療薬を対象とした。分子標的の有効性は、ESMO-Scale for Clinical Actionability of Molecular Targets(ESCAT、レベルI~Xの10段階、レベルが低いほど有効性のエビデンスが高度)を用いて評価し、ゲノム標的がん治療薬の臨床的有益性(効果、有害事象、生活の質のデータに基づく)の評価には、ESMO-Magnitude of Clinical Benefit Scale(ESMO-MCBS)を使用した。 実質的な臨床的有益性(ESMO-MCBSのグレード4または5)を示し、ESCATカテゴリーのレベルIに該当する分子標的を有する薬剤を有益性の高いゲノムに基づくがん治療と判定した。また、ESMO-MCBSのグレードが3で、ESCATカテゴリーのレベルIに該当する分子標的を有する薬剤は、有望ではあるが有益性は証明されていないがん治療と判定した。FDA承認は60%、第I/II相78%、単群試験76% 50のドライバー変異を標的とする74のゲノム標的薬に関する411件の推奨について調査した。411件の推奨のうち、米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ていたのは246件(60%)で、165件(40%)は適応外使用であった。 薬剤クラスは、低分子の阻害薬が286件(70%)、免疫療法薬が66件(16%)、抗体製剤が37件(9%)、抗体薬物複合体が14件(3%)だった。がん種は、肺がんが83件(20%)、乳がんが49件(12%)、大腸がんが17件(4%)、前立腺がんが5件(1%)であった。 ほとんどの推奨(346/411件[84%])は、さまざまな相の臨床試験に基づいていたが、16%(65/411件)は症例報告または前臨床研究のみに依存していた。多くの臨床試験は、第I相または第II相(271/346件[78%])であり、単群試験(262/346件[76%])が多かった。また、主要評価項目は、多くが全奏効率(271/346件[78%])であり、生存率は3%(12/346件)だった。NCCNガイドラインは実臨床で重要な役割 ESCATのレベルIは60%(246/411件)であり、レベルIIまたはIIIは35%(142/411件)、レベルIV~Xは6%(23/411件)であった。また、ESMO-MCBSのスコア化が可能であった267試験では、実質的な臨床的有益性(グレード4/5)を示したのはわずか12%(32/267試験)で、グレード3は45%(121/267試験)だった。 これら2つの枠組みを組み合わせると、約8分の1(12%[32/267試験])の試験が高い有益性を、約3分の1(33%[88/267試験])は有望ではあるが証明されていない有益性を示した。また、NCCNガイドラインが、好ましいとして支持する118個の介入のうち、62個(53%)が高い有益性または有望ではあるが証明されていない有益性を有する治療に分類され、これらの治療はFDAの承認を得る可能性が高かった(61% vs.16%、p<0.001)。 著者は、「このようにNCCNの推奨と期待される臨床的有益性との一致を確認することは、エビデンスベースのゲノムに基づく治療決定を促進するためにきわめて重要である」とし、「ESMO-MCBSやESCATのような有益性の評価の枠組みは、どのゲノム標的治療が最も質の高いエビデンスに裏付けられているかを見極めるのに役立つ」と述べ、「NCCNガイドラインは実臨床において重要な役割を果たしており、今後ともNCCNの推奨の改善に注力する必要がある」としている。

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