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スマホのツールによる顔のスキャンで脳卒中を検出

 救急隊員がスマートフォン(以下、スマホ)のツールを使って患者の顔をスキャンすることで、数秒以内に脳卒中の有無を判定できる可能性のあることが、RMIT大学(オーストラリア)のGuilherme Camargo de Oliveira氏らの研究で示された。人工知能(AI)で駆動するこのツールは、顔の対称性と特定の筋肉の動きを分析し、脳卒中のわずかな兆候を検出することができるという。研究の詳細は、「Computer Methods and Programs in Biomedicine」6月号に掲載された。 脳卒中は、動脈の閉塞により脳への血流が止まったり、血管が破裂して脳内で出血したりすることで発症する。脳卒中の症状には、錯乱、身体の一部または全身の運動コントロールの喪失、言語障害、表情の消失などがある。 De Oliveira氏は、「脳卒中患者に認められる重要な特徴の1つとして、顔の筋肉の動きが通常は片側性となり、左右で異なる動きをすることが挙げられる」と言う。さらに同氏は、「われわれは、笑顔の非対称性に変化があるかどうかを検出できるAIツールと画像処理ツールを手に入れた。こうした非対称性を検出することは、患者の脳卒中を見つける鍵となる」と同大学のニュースリリースの中で付け加えている。 研究グループが、脳卒中を発症した14人の患者と11人の健康な人の動画を用いてこのAIツールの脳卒中検出能を検証したところ、82%の精度で脳卒中を検出できることが示された。この結果について、論文の上席著者でRMIT工学部教授のDinesh Kumar氏は、「われわれのスクリーニングツールは、救急隊員と比較しても遜色のない検出率を示した」と説明している。 Kumar氏は、「われわれは、患者が脳卒中を発症しているかどうかを救急隊員が瞬時に判断し、救急車が患者の自宅から出発する前に病院に情報提供することを可能にするシンプルなスマホのツールを開発した」と話す。ただし、このツールは病院で行われている診断目的の臨床検査の代わりにはならないことをde Oliveira氏らは強調している。それでも、症状から脳卒中発症の可能性を見極めることで、治療が必要な患者の特定につなげることができる可能性がある。 Kumar氏は、「これまでの研究から、救急外来や地域の病院で脳卒中の13%近くが見逃されている一方で、神経学的検査を受けた記録がない患者の65%が未診断の脳卒中を経験していることが示唆されている」と言う。また同氏は、「多くの場合、その兆候は極めて微妙なものだ。その上、ファーストレスポンダーが自分と同じ人種や性別ではない人、特に女性や有色人種の人に対応する場合には、脳卒中の兆候が見逃される可能性が高くなる」と付け加えている。 De Oliveira氏らは、次の段階として、このスマホのツールをアプリとして開発する予定だ。また、同氏らは表情に影響を与える他の脳の状態もこのアプリによって検出できるようにするため、医療従事者と連携していきたいとの意向も示している。Kumar氏は、「われわれは、感度と特異度を可能な限り高めたいと考えており、現在、さらなるデータを使い、脳卒中以外の疾患も考慮したAIツールの開発に向けて取り組んでいるところだ」と話している。

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ポリファーマシー対策は薬剤師も主導しよう【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第134回

多剤服用中の患者さんにどう向き合うか、どう減薬していくか、という課題は確実に周知されつつあります。また、その解決に地域の薬剤師の活躍が求められていることも明確になりつつあります。そのような中、「地域における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方(案)」という手順書案が6月21日に厚生労働省より出されました。厚生労働省は6月21日の高齢者医薬品適正使用検討会で、地域における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方を業務手順書として示した。薬剤師等を患者の薬剤を一元的に把握して調整を支援する「薬剤調整支援者」、地域全体で対策実行を推進する「地域ポリファーマシーコーディネーター」として設置することなどを推奨した。(2024年6月25日付 日刊薬業)2021年3月に、病院におけるポリファーマシー対策を構築する際のツールとして、「病院における高齢者のポリファーマシー対策の始め方の進め方」が発表されました。そのうえで、「ポリファーマシー対策は病院だけでなく地域全体で取り組むと実効性がより高まる」ということから、より広い地域を対象とした本手順書案がこのたび策定されました。手順書策定の目的は以下の2つです。1.地域においてポリファーマシー対策を始める際に、目の前の患者にどう対応するかという視点で活用する2.地域のマニュアルなどを整備し、業務をより効率的に行う参考資料として活用するこの手順書を活用して、地域やプレーヤーに合ったマニュアルなどを整備することが望ましいとされています。ポリファーマシー対策の始め方から、進め方、よくある課題、実施例などが書かれてあり、非常に実践的です。たとえば、ポリファーマシー対策を小規模から始める例として、残薬など服薬上の問題を解消するための介入を薬局薬剤師が行うとあります。また、患者さんの薬剤を一元的に把握し、多職種で効率的に連携して対応を進めるため、普段から患者さんに関わりのある医療者からポリファーマシーを調整するキーマンとして「薬剤調整支援者」を患者さんと相談して決めることが有効と記載されています。薬剤調整支援者には、かかりつけ薬剤師やかかりつけ医など、患者さんが最も相談しやすい人が望ましいとされています。患者さんとも地域の医療者とも協力しながら進める必要があり、薬局薬剤師のやるべきことは山積み!と武者震いすると同時に、これまで積み上げてきた関係性がより活用されることは間違いないとも思います。今後の展開としては、厚生労働省は今年度の予算事業で、今回作成した手順書案を用いてポリファーマシー対策の実施・検証を行うとしています。これらの業務の委託先のNTTデータ経営研究所によると、2地域を調査対象として課題抽出や対応策の整理などを実施するとのことです。具体的な行動はもう少し後でもいいかなとも思うので、ぜひ読んで想像だけでも膨らませてください!じわじわと、そして確実に、地域の薬剤師の役割と期待が増えているように思います。指針と手順書の確定が楽しみです。関連サイト地域における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方(案)

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Dr.光冨の肺がんキーワード解説「RET」【肺がんインタビュー】 第100回

第100回 Dr.光冨の肺がんキーワード解説「RET」肺がんではさまざまなドライバー変異が解明されている。それに伴い、種々の標的治療薬が登場する。それら最新の情報の中から、臨床家が知っておくべき基本情報を近畿大学の光冨 徹哉氏が解説する。

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英語で「コロナ陽性です」は?【1分★医療英語】第138回

第138回 英語で「コロナ陽性です」は?《例文1》I tested positive for COVID.(コロナの検査が陽性でした)《例文2》If you test positive for COVID, you must be quarantined for 5 days.(コロナの検査が陽性の場合、5日間の隔離が必要です)《解説》新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行以降、日本では「新型コロナ」という呼び方が定着しましたが、英語圏では「COVID(コヴィット)」と呼ぶことがほとんどです。「コロナの検査」は“COVID test”、「検査を行うための綿棒」は“COVID swab”と呼ばれます。また、“test”という動詞には「自動詞」と「他動詞」があり、自動詞では、「検査の結果~を示す」という意味になります。“(誰=主語)test positive/negative for(○○=検査内容)”という構文で、「“誰”が“○○”の検査を受けて陽性/陰性だった」という表現となり、医療者同士はもちろん、患者さんとの会話でも頻出します。なお、コロナに関連する単語でよく使われるものに“quarantine”(隔離)という単語があります。「クアランティーン」と発音し、“self-quarantine”(自主隔離)という用語もしばしば使われます。講師紹介

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新しい医師の役割

医師ならではの起業が患者を救う!ごきげんな社会を実現しよう医師には医療だけでなく、新たな道として起業を提案したい。専門知識を深めた「I型人間」から広く一般知識を身につけた「T型人間」となって起業しよう。本書はその手引きとして実際に起業した医師たちを紹介するとともに、株式を上場した著者の起業体験も披露する。ダメだったら医師に専念すればいい。起業により多くの患者を救い、自身も経済的・精神的に潤い、医薬品・医療機器輸入超過も解消させ、ごきげんな社会を実現しよう。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する新しい医師の役割定価3,740円(税込)判型A5判頁数292頁発行2024年4月著者坪田 一男ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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第222回 結核薬ベダキリンを米国と欧州が本承認

結核薬ベダキリンを米国と欧州が本承認欧米で10年以上前にひとまず許可されたJohnson & Johnsonの結核薬ベダキリン(商品名:サチュロ錠)がそれら地域で本承認にこぎ着けました1,2)。第II相試験で良い結果が得られたことを受けて、米国FDAは10年以上前の2012年に同剤を取り急ぎ承認(accelerated approval)しました。欧州はその2年後の2014年にやはり第II相試験結果に基づいてFDAと同様に同剤を条件付き承認(conditional approval)しています。米国での2012年の承認の際の同剤使用は成人に限られていました。2019年になって12歳以上の小児への使用も許可され、その翌年2020年には5歳以上の小児への使用も認められました。そして今回第III相STREAM Stage 2試験でベダキリンを含む経口薬治療の臨床的有用性(clinical benefit)が示されたことを受けて、米国と欧州の両方で本承認に至りました。2022年にLancet誌に結果が報告されたSTREAM Stage 2試験は7ヵ国の13の病院で実施され、15歳以上のリファンピシン耐性結核患者588例が参加しました3)。76週時点で結核菌が見当たらず(培養検査陰性)、それまでを死なずに無事に過ごした経過良好患者の割合の比較で、ベダキリンを含む経口薬治療群が対照の注射薬治療群に勝りました。経過良好の患者割合は、ベダキリンを含む経口薬治療群では83%、同剤を含まない対照群では71%でした。米国と欧州のどちらも、少なくともリファンピシンとイソニアジドに耐性のある結核菌が原因の肺結核の併用療法(combination therapy)の一環としてベダキリンを使うことを認めています。日本では2018年1月に承認され、同年5月に発売されました4)。いまやベダキリンは世界保健機関(WHO)が推奨する薬剤耐性結核治療の要となっており、ベダキリンを含む経口薬のみの投与が多剤耐性結核患者4例に3例の治療を担っています。昨年Johnson & Johnsonは結核治療普及の取り組みであるStop TB Partnershipがベダキリンの後発医薬品を世界のほとんどの低~中所得国(LMIC)に提供するのを許可しました。また、134のLMICでベダキリンの特許を行使しないとの意向も同社は示しています。参考1)Johnson & Johnson Receives Approval from U.S. FDA and European Commission for SIRTURO? (bedaquiline) / J&J2)FDA Roundup: June 25, 2024 / PRNewswire3)Goodall RL, et al. Lancet. 2022;400:1858-1868.4)新規抗結核薬「サチュロ錠100mg」新発売のお知らせ/ヤンセン

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消化器内科「ピロリ菌感染症関連」【臨床実習を味わうケアネット動画Café】第1回

動画解説臨床研修サポートプログラムの研修医のための内科ベーシック1消化器内科より、宮垣亜紀先生の「ピロリ菌感染症関連」を鑑賞します。実習中に聞かれがちなピロリ菌除菌に使用する3剤、答えられますか?

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天候や天気の変化で身体の不調を感じる人は6割超/アイスタット

 梅雨の時期や台風、季節の変わり目では、気圧や天気の変化により頭痛や関節痛など身体に不調を起こす「気象病(天気痛)」が知られ、次第に市民権を得つつある。最近では天気予報でも気圧予報がレポートされ、身近なものとなっている。 こうした気象病の実態と日常生活での関連を調査するためにアイスタットは、「気象病(天気痛)に関するアンケート」を6月に行った。調査概要形式:Webアンケート形式調査期間:2024年6月10日回答者:セルフ型アンケートツールFreeasyに登録している20~59歳の有職者300人アンケート概要・気象病(天気痛)の診断チェックリストで、該当が1個以上ある人は5割超・「気象病だと思う」は1割、「持っている気がする」は3割弱、「気象病だと思わない」は6割・気象病の有無にかかわらず、気候・天気の変化で身体の不調を感じる人は約6割・「気象病だと思う人」と「そうと思わない人」の生活習慣の違い第1位は「ストレスをためやすい」・気象病の有無は「雨が降る前」「高湿度」「台風接近」「貧血症状」「気温急降下」が影響〔気象病の有無にかかわらず、気候や天気の変化で身体の不調を感じた人の特徴を以下に示す〕・発症の第1位「雨が降る前・雨が降りそうなとき」、第2位「湿度が高いとき」・症状の第1位「頭痛」、第2位「倦怠感(だるさ)」、第3位「疲労感」・経験した時期は、「1~2年前」が最多で、気象庁の平均気温経年変化データと一致・日常生活や仕事に影響する人は7割・医療機関で診療を受けた人は約2割・気象病対策の第1位「市販の薬を飲む」、第2位「ひたすら耐える」・和らげるために使用する薬は、第1位「鎮痛剤」、第2位「漢方薬」気象病への対処の多くは「市販薬服用」と「耐えること」 質問1で「気象病(天気痛)の診断チェックリスト(11項目)に該当するもの」(複数回答)を聞いたところ、「あてはまるものはない」が47.0%、「春や秋、梅雨など季節の変わり目に体調を崩しやすい」が18.3%、「『もうすぐ雨が降りそう』『気圧が変化しそう』というのが何となくわかる」「雨が降る前に頭痛を感じることがある」が同率で17.3%だった。「春や秋、梅雨など季節の変わり目に体調を崩しやすい」の回答属性では、「40代」「女性」「四国・中国・九州・沖縄地方」で最も多かった。 質問2で「気象病(天気痛)を持っているか」(単回答)を聞いたところ、「いいえ」が61.7%、「持っている気がする」が26.7%、「はい」が11.7%だった。診断リストのチェック数との関連では、「はい」の人は「3個以上」、「持っている気がする」の人は「2個」、「いいえ」の人は「0個」が最も多いという結果だった。 質問3で気象病(天気痛)の有無に関わらず、「気候や天気の変化で身体の不調を感じることはあるか。ある場合、どのような気候・天候か」(複数回答)を聞いたところ、「とくになし」が43.3%、「雨が降る前・雨が降りそうなとき」が24.7%、「湿度が高いとき」が24.0%の順で多かった。この回答を不調の有無別に分類すると、気候や天気の変化で身体の不調を感じる人は56.7%、そうでない人(とくになし)は43.3%だった。 以下、質問8までは「気候などの変化で身体不調あり」と回答した170人を対象にしたアンケート結果となる。 質問4で「質問3で回答した『気候や天候が原因で起こる身体の不調』は、どのような症状か」(複数回答)を聞いたところ「頭痛」が49.4%、「倦怠感(だるさ)」が37.1%、「疲労感」が27.6%の順で多かった。気象病の有無(自己診断)との関連では、「気分の浮き沈み」「疲労感」を回答した人は「気象病でない」ほど多く、「頭痛」「吐き気・嘔吐」を回答した人は「気象病を持っている気がする人」ほど多かった。 質問5で「質問3で回答した『気候や天候が原因で起こる身体の不調』を経験した時期すべて」(複数回答)を聞いたところ、「1~2年前」が50.6%、「最近」が48.2%、「3~4年前」が45.9%の順で多かった。気象庁発表の「日本の年平均気温偏差の経年変化(1898~2023年)」と今回の結果「不調を経験した時期の推移」を比較したところ、共に推移が上昇していることから、気候や天気の変化が原因で起こる身体の不調の増加は、地球温暖化も要因の1つと推測できた。 質問6で「質問3で回答した『気候や天候が原因で起こる身体の不調』は、日常生活や仕事にどの程度影響するか」聞いたところ、「少し影響する」が59.4%、「ほとんど影響しない」が28.8%、かなり影響するが10.0%の順で多く、日常生活や仕事に影響する人は約7割いることが判明した。気象病の有無(自己診断)との関連では、「支障を来す」「かなり影響する人」と回答した人は「気象病である人」ほど多く、自覚がある人ほど気候や天候の変化が日常生活や仕事に影響があることがうかがえた。 質問7で「質問3で回答した『気候や天候が原因で起こる身体の不調』で、お医者さんに診てもらったことはあるか」(単回答)聞いたところ、「ない」が82.9%、「ある」が17.1%だった。気候・天気の変化による不調で医療機関を受診する人が約2割いることが明らかとなった。また、受診した人の属性では「男性」「20・30代」が多かった。 質問8で「気候や天候の変化が原因による体調不良を起こしたときの対策」(複数回答)を聞いたところ、「市販の薬を飲む」が32.4%、「ひたすら耐える」が27.6%、「本格的に寝る・睡眠をしっかりとる」が23.5%の順で多かった。回答属性の多さでは、「市販の薬を飲む」で「40代」「女性」が多く、「ひたすら耐える」で「50代」「男性」が多く、「本格的に寝る・睡眠をしっかりとる」で「40代」「男性」が多かった。 質問9で気候・天気の変化による身体の不調の対策で「市販薬」「処方箋薬」を使用すると回答した65人を対象に「気候などの変化で身体不調を起こしたとき、和らげるために使用する薬(市販薬、処方薬を問わず)」(複数回答)を聞いたところ、「鎮痛剤」が86.2%、「漢方薬」が12.3%、「抗めまい薬」が10.8%の順で多かった。回答属性の多さでは、「鎮痛剤」で「20・30代」「女性」、「漢方薬」で「40代」「男性」、「抗めまい薬」で「20・30代」「男性」が多かった。 質問10で「気象病に関連しそうな13項目で生活習慣・行動であてはまるもの」(複数回答)を聞いたところ、全体回答で「長時間のスマホ・パソコンの使用」が41.0%、「当てはまるものはない」が28.3%、「ストレスをためやすい」が25.3%の順で多かった。「気象病である・持っている気がする人」と「そうでない人」の生活習慣・行動の違いを「%差」から調べた結果、第1位は「ストレスをためやすい」の22.4%差、第2位は「『頭痛』『肩こり』『腰痛』がよく起こる」の19.0%差、第3位は「貧血の症状がある」の18.7%差の順番だった。

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臨床現場で感じる甲状腺眼症診療の課題とは?/アムジェン

 アムジェンは、2024年6月20日に、甲状腺眼症の診療を取り巻く現状や課題をテーマとしたメディアセミナーを開催した。同セミナーでは、渡邊 奈津子氏(伊藤病院 内科部長)が甲状腺眼症の診断や治療について、神前 あい氏(オリンピア眼科病院 副院長)が甲状腺眼症の臨床経過についてそれぞれ語った。活動期の早期の治療が求められる甲状腺眼症 甲状腺眼症はバセドウ病やまれに橋本病に伴ってみられる眼窩組織の自己免疫性炎症性疾患であり、多岐にわたる眼症状を引き起こす。甲状腺は、甲状腺ホルモンを合成・分泌する役割を担っており、正常な状態では下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が甲状腺のTSH受容体と結び付き、適量のホルモンが分泌される。しかし、バセドウ病では、TSH受容体に対する抗体が生成され、常にTSH受容体が刺激されて過剰なホルモンが分泌される。甲状腺眼症は、目の周囲の眼窩におけるTSH受容体が刺激されることで発症する。甲状腺眼症の病態は非常に広範であり、瞼、角膜、結膜、外眼筋、視神経、脂肪組織、涙腺など、さまざまな部位に影響を及ぼす。たとえば、涙腺の炎症によって涙が出にくくなったり、脂肪組織や外眼筋の肥大により眼球が飛び出したりするケースがある。最重症例では、視神経が圧迫されて視力障害や視神経萎縮が起こることもある。一方で、眼の症状については見落とされることがしばしばあり、臨床で問題となることもあるという。 甲状腺眼症においては、軽症から中等症の患者の約6割が自然に改善するとされるが、眼球突出や外眼筋障害の場合は治療介入が必要となる。治療法としては、活動期にステロイド治療や放射線治療を行うことが有効だが、活動期を過ぎてしまうとこれらの効果が薄れてしまう。そのため、重症度分類とClinical Activity Score(CAS)を用いた活動性評価を実施し、タイミングを見極めて治療を行うことが重要となる。また、活動性の評価にはMRIを用いた画像診断も推奨される。また、喫煙や甲状腺機能の管理、酸化ストレスなどの甲状腺眼症のリスク因子の管理が重要であり、初診時だけでなく定期的な目のチェックが必要である。 甲状腺眼症の患者は、視機能障害のみならず、見た目の変化や職業での制限、心理的な影響などによってQOLが損なわれることが多い。とくに複視や眼球突出がQOLに大きな影響を与えるとされるほか、若い女性では外見上の問題が深刻で、軽症であってもQOL改善のために治療を望む患者も多いことに注意が必要である。 渡邊氏は内科医として、眼科専門医と患者との三者間で連携し、甲状腺眼症の診療を行うことが重要であると強調した。甲状腺眼症の特徴的な所見とは 続く講演で神前氏は、自身の経験した症例から甲状腺眼症の治療と臨床経過について説明した。甲状腺眼症において、眼瞼や眼球突出などの症状の進行具合や重さは患者によって異なるという。甲状腺眼症の所見として最も多いのは眼瞼の症状で、バセドウ病を併発している場合はその症状の悪化に伴い、ミュラー筋の緊張により上眼瞼が開くことが多い。この症状はバセドウ病の治療で改善するが、上眼瞼挙筋の炎症や腫れが進行すると、瞼が腫れ、目が閉じにくくなることがある。神前氏の施設では約6割の患者がこの瞼の腫れを訴えているというが、一重まぶたが多い日本人では腫れがわかりにくいこともある。その場合は、目を下に向けると目が閉じにくいといった所見を確認することで鑑別できるという。また、眼球突出は脂肪や筋肉の腫れが原因で起こるが、黒目の下の白目が見えてくるという点が眼球突出を見極めるポイントとなる。アンメットニーズを満たす新たな治療への期待 甲状腺眼症の炎症が続いて眼の症状が悪化した場合は、炎症が治まる前に消炎治療が必要になる。日本での消炎治療としてはステロイド治療や放射線治療が用いられるが、消炎治療のみで改善しない場合には、手術が必要になることもある。また、2015年からは斜視に対するボツリヌス毒素注射も保険適用されている。瞼の腫れや見開きに対しては、ステロイドの局所注射が効果的であり、約6割の患者が1回の注射で症状が改善するという。複数回の注射を行うことで、瞼の見開きや腫れがさらに改善される。また、複視の治療では、ステロイドパルス治療や放射線治療が行われ、斜視が残った場合には手術が必要な症例もある。最重症例の圧迫性視神経症は、視神経が筋肉に圧迫されることで視力障害を引き起こす症状であり、ステロイドパルス治療や眼窩減圧手術が必要になることが多い。とくに視力が0.1以下の重症例では、手術が必要になる確率が高いという。 講演の最後に神前氏は、甲状腺眼症のアンメットニーズについて、現状の消炎治療では眼球突出の改善が難しく手術が必要になってしまうと語り、「ステロイド治療や放射線治療が効果のない症例に対しては新たな治療法が望まれる」と締めくくった。

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糖尿病患者の認知症リスク低減、GLP-1RA vs.DPP-4i vs.SU薬

 65歳以上の2型糖尿病患者9万例弱を最長10年間追跡した結果、GLP-1受容体作動薬を服用する患者では、スルホニル尿素(SU)薬やDPP-4阻害薬を服用する患者よりも認知症の発症リスクが低かったことが、スウェーデン・Karolinska InstitutetのBowen Tang氏らによって明らかになった。eClinicalMedicine誌オンライン版2024年6月20日号掲載の報告。 これまでの研究により、2型糖尿病患者は認知症の発症リスクが高いことが報告されている1)。一部の血糖降下薬は、プラセボまたはほかの血糖降下薬との比較において、2型糖尿病患者の認知障害および認知症のリスクを低減させる可能性が示唆されているが、相反する報告もあり、さらなる研究が求められていた。そこで研究グループは、糖尿病を有する高齢者の認知症リスクに対する3つの薬剤クラス(GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬、SU薬)の影響を比較するため、スウェーデンの全国登録から取得したリアルワールドデータを用いて、2010年1月1日~2020年6月30日に臨床試験を模した逐次試験エミュレーション(sequential trial emulation)を実施した。 対象は、65歳以上で2型糖尿病を有し、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬またはSU薬の投与を開始したスウェーデン居住者であった。認知症の既往や過去1年間に研究対象の薬剤クラスを服用したことがある参加者は除外した。基準を満たした参加者を、最初の月をベースラインとして試験に毎月組み入れた。 主な結果は以下のとおり。●ベースラインでGLP-1受容体作動薬(1万2,351例)、DPP-4阻害薬(4万3,850例)、SU薬(3万2,216例)が処方された8万8,381例が含まれた。平均年齢はそれぞれ71.62歳、74.78歳、74.21歳であった。●平均追跡期間は4.3年で、追跡期間中に4,607例が認知症を発症した。GLP-1受容体作動薬開始群では278例(発症率は1,000人年当たり6.7)、DPP-4阻害薬開始群では1,849例(11.8)、SU薬開始群では2,480例(13.7)であった。●ITT解析において、GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬の開始群では、SU薬開始群と比較して認知症リスクが有意に低かった。 ・GLP-1受容体作動薬vs.SU薬のハザード比(HR):0.69(95%信頼区間[CI]:0.60~0.79、p<0.000) ・DPP-4阻害薬vs.SU薬のHR:0.89(95%CI:0.82~0.97、p=0.0069)●GLP-1受容体作動薬開始群は、DPP-4阻害薬開始群と比較しても認知症リスクが有意に低かった。 ・GLP-1受容体作動薬vs.DPP-4阻害薬のHR:0.77(95%CI:0.68~0.88、p<0.0001)●パー・プロトコル解析において、GLP-1受容体作動薬開始群は、SU薬およびDPP-4阻害薬の開始群と比較して認知症リスクが有意に低かったが、DPP-4阻害薬開始群とSU薬開始群との間には有意な差は認められなかった。 ・GLP-1受容体作動薬vs.SU薬のHR:0.41(95%CI:0.32〜0.53、p<0.0001) ・GLP-1受容体作動薬vs.DPP-4阻害薬のHR:0.38(95%CI:0.30〜0.49、p<0.0001) ・DPP-4阻害薬vs.SU薬のHR:1.07(95%CI:0.98〜1.17、p=0.13)

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中高年の果物や野菜の摂取とうつ病発症リスク

 新たな観察研究の報告により、うつ病発症予防に果物や野菜の摂取が重要な役割を果たすことが示唆されている。しかし、高齢者や低中所得国(LMIC)に関する研究は不足している。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のAnnabel P. Matison氏らは、果物や野菜の摂取とうつ病リスクとの関連を明らかにするため、LMICを含むさまざまなコホート研究を分析し、その結果のメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌2024年8月15日号の報告。 対象は、LMICでの4件のコホートを含む10件のコホートより抽出した非うつ病成人地域住民7,801例(平均年齢:68.6±8.0歳、女性の割合:55.8%)。果物と野菜の摂取量は、包括的な食品摂取頻度質問票、食品質問票短縮版、食事歴などにより自己申告で収集した。抑うつ症状の評価およびうつ病の定義には、検証済みの尺度およびカットオフ値を用いた。ベースライン時における果物や野菜の摂取量とフローアップ期間中(3〜9年)のうつ病発症との関連性を評価するため、Cox回帰を用いた。分析は、コホートごとに実施し、結果をメタ解析した。 主な結果は以下のとおり。・4万258人年のフォローアップ期間中、うつ病を発症した対象者は1,630例(21%)であった。・果物の摂取量が多いほど、うつ病発症リスクが低下した(ハザード比[HR]:0.87、95%信頼区間[CI]:0.77〜0.99、I2=4%)。・野菜の摂取量とうつ病発症との関連は認められなかった(HR:0.93、95%CI:0.84〜1.04、I2=0%)。このことは、各コホートで測定法が異なり、本研究のサンプルサイズがこれまでの研究と比較し小さかったため、野菜摂取との関連性が検出されなかった可能性がある。 著者らは、「うつ病予防に対し、果物摂取の有用性は裏付けられたが、野菜については有意な関連性が認められなかった。低中所得国の高齢者を対象とした大規模コホートにおいて、標準化された測定法を用い、さまざまな果物や野菜について調査する必要がある」としている。

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HER2+乳がん脳転移例へのT-DXd、PFSとOS(TUXEDO-1最終解析)

 活動性脳転移を有するHER2+乳がん患者に対するトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の効果を検討した第II相TUXEDO-1試験において、主要評価項目の頭蓋内奏効率は73.3%と高かったことが報告されている。今回、本試験における無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)の最終解析の結果をオーストリア・ウイーン医科大学のRupert Bartsch氏らが報告した。Neuro-Oncology誌オンライン版2024年6月4日号に掲載。 本試験は、2020年7月~2021年7月にトラスツズマブまたはペルツズマブの投与歴のあるHER2+乳がんで新たに診断または進行した活動性脳転移を有する15例(女性14例、男性1例)に対して、T-DXdを3週ごとに投与した。主要評価項目は頭蓋内奏効率、副次評価項目はPFS、OS、安全性、QOL、神経認知機能であった。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値26.5ヵ月の時点で、PFS中央値は21ヵ月(95%信頼区間:13.3~NR)、OS中央値は未到達(同:22.2~NR)であった。・新たな安全性シグナルはみられなかった。・Grade3の有害事象で最も多かったのは疲労(20%)、Grade2の間質性肺疾患とGrade3の症候性左室駆出率低下が各1例に認められた。・QOLは治療期間中維持された。■関連記事フェスゴ配合皮下注発売でHER2陽性乳がん・大腸がんへの投与時間短縮に期待/中外

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低リスク前立腺がんの監視療法、10年後の病勢進行率は?/JAMA

 未治療の低リスク前立腺がん患者では、プロトコールに基づく監視療法(active surveillance)により、診断から10年の時点で49%の男性が病勢の進行がないか治療を開始しておらず、転移病変の発生は2%に達せず、前立腺がんによる死亡は1%未満であり、監視療法中の病勢進行や治療はアウトカムの悪化とは関連しないことが、米国・Fred Hutchinson Cancer CenterのLisa F. Newcomb氏らが実施した「Canary PASS研究」で示された。研究の成果は、JAMA誌2024年6月25日号で報告された。北米10施設の前向き観察研究 Canary PASS研究は、米国とカナダの10施設で実施した前向き観察研究であり、2008~22年8月に、低リスク前立腺がんと診断され、前治療歴のない男性2,155例を登録した(Canary Foundationなどの助成を受けた)。 全例で、限局性前立腺がんに対し、標準化されたプロトコールに基づいて前立腺特異抗原(PSA)の測定と、前立腺生検による監視療法を行った。 主要評価項目として、生検に基づく悪性度の再分類、根治的治療(根治的前立腺全摘除術、放射線療法、アンドロゲン除去療法[ADT]、その他)、根治的前立腺全摘除術時の有害な病理所見、治療後の再発、転移、全死亡、疾患特異的死亡の評価を行った。10年後の生検による悪性度再分類43%、治療49% 診断後の追跡期間中央値は7.2年であった。診断時の年齢中央値は63歳、83%が非ヒスパニック系の白人、7%が黒人であった。90%がグレードグループ1(GG1)の診断を受けており、PSA中央値は5.2ng/mLだった。 2,155例中2,008例が、診断のための初回生検後に監視療法としての生検を1回以上受けた。このうち約半数(1,003例)は悪性度の再分類または治療を受けなかった。374例が、確認生検で早期に、より悪性度の高いがんに再分類され、404例はその後の生検で悪性度の高いがんに再分類された。 診断から10年後に、生検による悪性度再分類は43%(95%信頼区間[CI]:40~45)で、治療は49%(47~52)で行われていた。 また、確認生検に基づき治療を受けた患者は425例(診断後の経過期間中央値1.5年)、その後の生検に基づき治療を受けた患者は396例(4.6年)であり、5年再発率はそれぞれ11%(95%CI:7~15)および8%(5~11)であった。10年後の転移発生率1.4%、前立腺がん特異的死亡率0.1% 根治的前立腺全摘除術時に、転移を有するがんへと進行していた患者は21例で、このうち10例は遠隔転移、5例は領域転移、6例はリンパ節転移であった。また、前立腺がん関連死は3例だった。 診断後の10年転移発生率の推定値は1.4%(95%CI:0.7~2)、10年前立腺がん特異的死亡率は0.1%(0~0.4)と低く、同じ経過期間における全死亡率は5.1%(3.8~6.4)であった。 著者は、「これらの結果は、低リスク前立腺がんと診断された患者では、監視療法が有効な疾患管理戦略であることを示すものである」と指摘している。

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感情認識・表現療法はCBTよりも慢性疼痛の軽減に効果的

 高齢者の慢性疼痛に対する治療法として、新しいタイプの心理療法が現行の標準的な治療法である認知行動療法(CBT)よりも効果的な可能性のあることが、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部精神医学・生物行動科学のBrandon Yarns氏らが実施したランダム化比較試験(RCT)で示された。米国の退役軍人を対象とした同試験では、CBTを受けた人と比べて感情認識・表現療法(EAET)と呼ばれる治療を受けた人では慢性疼痛が有意に軽減し、軽減効果がより長期にわたって持続したという。詳細は、「JAMA Network Open」に6月13日掲載された。 Yarns氏らによると、CBTは、患者が痛みの引き金となるものを認識し、効果的な方法でそれに対処できるようにするためのエクササイズによって痛みに耐える能力を高める手助けをすることに重点を置いた治療法だ。 一方、2010年代に開発されたEAETは、感情に焦点を当てた治療法という点でCBTとは異なる。EAETは、ストレスに関連した感情が脳による疼痛の知覚に強く影響しているとの考えに基づいた治療法だ。EAETを受ける患者は、ストレスフルな経験に意識を向けるよう促される。ストレスフルな経験には、運転中に他の車が前に割り込んできたといった日常的な出来事も、性的暴行や心的外傷などのより深刻な出来事も含まれる。その目的は、そのような感情を心と体の双方に体験させた上で立ち向かい、それらに対する自分の反応を表出し、最終的には解放することだとYarns氏は説明する。 Yarns氏は、「傷ついたりストレスを感じたりすると、自然に感情的な反応が引き起こされるのものだ。その感情は、怒り、罪悪感、悲しみなどさまざまだ。これらの感情は痛みを伴うため、人はしばしばその感情から目を背けるが、EAETは患者が正直さとセルフコンパッション(自分への慈しみ)を持ちながら難しい感情に向き合うことを助ける」と言う。また、「セラピーで患者は、それまで抱えてきた怒りや痛み、罪悪感を解放することができ、最後にはセルフコンパッションが残る」と説明している。 今回の臨床試験には、慢性疼痛を抱える60~95歳の退役軍人126人(平均年齢71.9歳、男性92%)が登録された。このうちの3分の2以上(69%)は精神疾患の診断歴を有し、また3分の1程度(37%)には心的外傷後ストレス障害(PTSD)があった。 試験では、66人がCBTを受け、残る60人はEAETを受けた。その結果、CBTまたはEAETの治療終了時と6カ月後の時点で、CBT群と比べてEAET群では疼痛軽減の度合いがより大きいことが示された。治療終了時に臨床的に有意と考えられる30%以上の疼痛軽減を報告した対象者の割合は、EAET群で63%であったのに対し、CBT群ではわずか17%であった。また、治療から6カ月時点で疼痛の軽減が持続していた人の割合は、CBT群の14%に対してEAET群では41%とより高かった。さらにEAET群では、不安や抑うつ、PTSD、生活満足度の面でもより大きな改善効果を報告していたとYarns氏らは付け加えている。 Yarns氏は、「慢性疼痛を抱える人のほとんどは、心理療法を受けることなど考えもしない。彼らが考えるのは、薬や注射、時には手術や理学療法のような身体的な治療法のことばかりだ」と話す。その上で同氏は、「心理療法は慢性疼痛に対するエビデンスに基づいた治療法の1つだが、今回の臨床試験から、心理療法のタイプも重要であることが分かった」とUCLAのニュースリリースの中で説明している。 なお、今回の研究では、治療セッションは全て対面で行われた。Yarns氏は今後の研究課題として、バーチャルセッションでも同様の結果が得られるかどうかを検討することを挙げている。また、EAETとCBTを受けた患者の脳の変化を明らかにするため、脳画像研究も行う予定であるという。

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第201回 医師多数県で医学部定員を削減、医師多数区域の開業要件も検討へ/厚労省

<先週の動き>1.医師多数県で医学部定員を削減、医師多数区域の開業要件も検討へ/厚労省2.コロナ後遺症、半年後も8.5%に深刻な影響/厚労省3.かかりつけ医機能、新たな報告制度で地域医療連携を強化へ/厚労省4.特定機能病院の要件、医師派遣機能も考慮して見直しへ/厚労省5.協会けんぽ、2023年度の黒字は4,662億円、高齢化で財政不安も/協会けんぽ6.旧優生保護法の違憲判決で国に賠償命令/最高裁1.医師多数県で医学部定員を削減、医師多数区域の開業要件も検討へ/厚労省厚生労働省は7月3日、第5回「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」を開き、2025年度の医学部定員について、医師が多い地域から医師が少ない地域に「臨時定員地域枠」を移行する方針を示した。医師多数県では2024年度の191枠が154枠に減少し、16都府県で計30枠減少する見込み。この調整により、医師少数県での地域医療の充実が期待されている。さらに、厚労省は「医師多数区域での開業要件」の検討も示唆し、医師偏在対策を総合的に進める方針で、無床診療所の開業制限や医師多数区域での保険医定員制などが議論の対象となるとみられている。地域枠の活用については、日本私立医科大学協会の小笠原 邦昭氏が、異なる診療科間での地域枠の交換を提案したほか、広域連携型プログラムの導入も評価されたが、調整のための時間が必要だという意見も出された。総合診療専門医の育成については、リカレント教育の重要性が指摘され、経済的インセンティブの必要性も強調された。さらに、サブスペシャリティ専門医の取得を容易にするための制度設計が求められている。新専門医制度について、日本専門医機構はシーリング制度の効果を検証中であり、制度改革の必要性を認識している。とくに、地域や診療科による偏在の是正に向けた取り組みが進められている。今後、厚労省は、各論点に関する議論を深め、年末までに「医師偏在対策の総合的なパッケージ」を策定する予定。これにより、地域間の医師の偏在が是正され、地域医療が向上することを期待しているが、偏在の是正が進むよう引き続き検討を重ねていくとみられる。参考1)第5回医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会(厚労省)2)医学部臨時定員、医師多数県で25年度は30枠減へ 厚労省検討会(CB news)3)医学部地域枠を削減へ 厚労省、医師過剰の16都府県で(日経新聞)2.コロナ後遺症、半年後も8.5%に深刻な影響/厚労省厚生労働省の研究班は、7月1日に新型コロナウイルス(COVID-19)感染後の後遺症患者のうち、8.5%が感染から約半年後も日常生活に深刻な影響を受けていることを発表した。この調査は、2022年7~8月にオミクロン株流行期に感染した20~60代の8,392人を対象に行われた。アンケート結果では、感染者の11.8%にあたる992人が後遺症として長引く症状を報告。その中でも84人が「日常生活に重大な支障を感じている」と回答した。主な症状としては、味覚障害、筋力低下、嗅覚障害、脱毛、集中力低下、そして「ブレインフォグ」と呼ばれる頭に霧がかかったような感覚などが含まれる。とくに女性や基礎疾患のある人、感染時の症状が重かった人で後遺症の割合が高かった一方、ワクチン接種を受けた人ではその割合が低かった。この結果は、COVID-19の後遺症が長期間にわたり日常生活に大きな影響を及ぼす可能性を示しており、全国での他の医療機関でも同様の後遺症報告があり、医療体制や患者支援の改善が急務とされる。また、研究班が、一般住民を対象に感染者と非感染者を比較し、後遺症の頻度や関連要因を調査した結果、感染者の罹患後症状の頻度が非感染者に比べて約2倍高いことが確認された。今後、後遺症のリスク要因や長期的な影響についての詳細な研究が求められるために、厚労省では引き続き、COVID-19の後遺症に対する対応策を進める予定。参考1)コロナ後遺症8.5%「半年後も」日常生活に深刻な影響 厚労省研究班(日経新聞)2)コロナ後遺症患者、半年後も日常生活に深刻な影響8.5% 厚労省(毎日新聞)3)オミクロン株(BA.5系統)流行期のCOVID-19感染後の罹患後症状の頻度とリスク要因の検討(NCGM)3.かかりつけ医機能、新たな報告制度で地域医療連携を強化へ/厚労省2024年7月5日、厚生労働省が病院や診療所による「かかりつけ医機能」の発揮を促進するために「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」を開催し、これまでの議論をまとめた整理案を提示した。かかりつけ医機能については、2025年4月に施行される新たな報告制度を中心に据え、地域ごとに病院や診療所の役割を協議し、地域の医療機能の底上げを図ることを目的としている。整理案によれば、病院や診療所は「日常的な診療を総合的・継続的に行う機能」(1号機能)と、時間外診療や在宅医療、介護連携などの「2号機能」について、毎年1~3月に都道府県へ報告する。都道府県はこれらの報告を公表し、地域の「協議の場」で共有する。この「協議の場」には、都道府県や医療関係者だけでなく、市町村、介護関係者、住民・患者も参加し、地域の医療課題について協議するものとしている。厚労省は、1号機能として「専門を中心に総合的・継続的に実施」や「幅広い領域のプライマリケアを実施」などのモデルをガイドラインで示す予定。また、地域の医療連携を強化するため、複数医師による診療所の配置や、複数診療所によるグループ診療の推進も提案している。厚労省は、来年4月の報告制度発足に向け、自治体向けにガイドライン(GL)を作成する方針で、今月中に取りまとめを目指すとしている。参考1)第7回 かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会[資料](厚労省)2)かかりつけ医機能報告制度の詳細が概ね固まる、17診療領域・40疾患等への対応状況報告を全医療機関に求める-かかりつけ医機能分科会(Gem Med)3)かかりつけ医機能、対応可能な一次診療について「診療領域」で報告へ(日経ヘルスケア)4)「かかりつけ医機能」データ活用して役割協議 厚労省が「議論の整理案」示す(CB news)4.特定機能病院の要件、医師派遣機能も考慮して見直しへ/厚労省厚生労働省は、7月3日に特定機能病院の承認要件の見直しを議論する検討会を5年ぶりに開催した。特定機能病院とは、高度な医療の提供、高度医療技術の開発、および研修を行う能力を備えた病院とされ、現在、全国には特定機能病院が88施設あるが、うち79施設は大学病院。今回の検討会は、社会保障審議会の医療分科会が3月に提出した意見書を受け、特定機能病院の要件を現代の医療ニーズに合致させるための見直しを目指す。この日の会合では、以下の論点が示された。(1)高度な医療の提供の方向性、(2)医療技術の開発・評価の方向性、(3)医療に関する研修の在り方、(4)医師派遣機能の承認要件への組み込みなど。とくに大学病院からの医師派遣機能を承認要件に加えるべきだとの意見が出されたほか、論文発表の質の確保、特定機能病院の機能や役割を明確化する必要性も議論された。特定機能病院の承認要件は、病床数や診療科数、紹介率、逆紹介率、論文発表数など多岐にわたっており、これらの要件を満たすことで、高度な医療提供能力が証明される仕組みとなっている。一方、現行の承認要件は時代に合わない部分もあり、特定機能病院と一般病院との違いが曖昧になってきているという指摘もされている。検討会では、特定機能病院の機能をさらに細かく分類し、承認要件を見直す方向で議論が進められる見込み。たとえば、「特定領域型」の特定機能病院の承認要件を明確化し、地域医療への貢献や医師派遣機能も承認要件に加えることが検討されているほか、承認要件には医療の質や研究の質も考慮されるべきだとの意見も出されている。今後、厚労省は各論点に関する議論を深め、年内に取りまとめを行う予定で、これをもとに特定機能病院の承認要件が見直される。参考1)第20回特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会(厚労省)2)特定機能病院の要件見直し、年内をめどに取りまとめ 厚労省検討会 医師派遣機能の要件化求める声も(CB news)3)特定機能病院に求められる機能を改めて整理、類型の精緻化・承認要件見直しなどの必要性を検討-特定機能病院・地域医療支援病院あり方検討会(Gem Med)5.協会けんぽ、2023年度の黒字は4,662億円、高齢化で財政不安も/協会けんぽ中小企業の従業員やその家族が加入する全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)は、2023(令和5)年度の決算見込み(医療分)について公表した。それによると、2023年度の決算では、4,662億円の黒字を見込んでいる。黒字は14年連続で、賃上げによる保険料収入の増加が主な要因とみられる。協会けんぽの収入は前年度比2.7%増の11兆6,104億円で、賃金の伸びに伴い保険料収入が増えたことが背景にあり、とくに月額賃金が平均30.4万円と過去最高を記録したことが収入増に寄与した。一方、支出は11兆1,442億円で、前年度比2.5%増となった。支出の増加要因として、新型コロナウイルス禍後の社会活動再開に伴うインフルエンザなどの呼吸器系疾患の患者増加や75歳以上の後期高齢者医療制度への拠出金の増加が挙げられている。また、医療給付費は6兆4,542億円に達し、前年度に続いて過去最高を更新した。しかし、全国健康保険協会は、今回の決算の発表と同時に、今後の財政状況について楽観視できないとしている。その理由として、今後、加入者の高齢化や医療の高度化に伴い、団塊の世代が後期高齢者になる時期に支援金の急増が見込まれているためであり、財政の健全化と持続可能な運営が求められていく。参考1)2023(令和5)年度協会けんぽの決算見込みについて(協会けんぽ)2)「協会けんぽ」賃上げによる保険料増などで4,600億円余の黒字(NHK)3)協会けんぽ黒字、23年度4,662億円 賃上げで保険料増(日経新聞)6.旧優生保護法の違憲判決で国に賠償命令/最高裁旧優生保護法に基づく強制不妊手術を受けた被害者が国に損害賠償を求めた裁判で、最高裁判所大法廷は7月3日に「旧優生保護法が憲法違反である」と判断し、国に賠償を命じる判決を下した。旧優生保護法は、1948~1996年まで施行され、障害者を対象に強制的な不妊手術を認めていた。これにより約2万5,000人が手術を受けたとされる。最高裁は、旧優生保護法が「不良な子孫の淘汰」を目的にしており、障害者を差別的に扱い、生殖能力を奪うことは憲法13条および14条に違反するとした。また、不妊手術が当時の社会状況を考慮しても正当化できないとし、本人の同意があった場合も含めて手術の強制性を指摘した。さらに、国会議員の立法行為自体が違法であるとも断じた。国は20年以上前の不法行為について賠償請求権が消滅する「除斥期間」を理由に訴えを退けるよう主張したが、最高裁はこの主張を認めず、被害者の権利行使が困難であったことや旧法廃止後も補償を行わなかった国の姿勢を問題視し、除斥期間の適用を否定した。今回の判決で、国には被害者1人当たり1,100~1,650万円(その配偶者には220万円)の賠償責任が確定した。この判決は、全国の被害者救済に道を開くものであり、旧優生保護法の被害者の全面救済が期待される。政府は判決を重く受け止め、早期の対応を行う必要に迫られている。参考1)旧優生保護法は「違憲」 国に賠償命じる 最高裁、除斥期間適用せず(朝日新聞)2)旧優生保護法は憲法違反 国に賠償命じる判決 最高裁(NHK)3)旧優生保護法「違憲」、強制不妊で国に賠償命令…最高裁が「除斥期間」不適用で統一判断(読売新聞)

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第75回 確率分布とは?【統計のそこが知りたい!】

第75回 確率分布とは?確率分布とは、「ある確率変数が取りうる値とその値が起こる確率を表す数学的なモデル」のことです。医学論文でも、さまざまな現象やデータを解析するために確率分布が利用されています。今回はこの「確率分布」について解説します。■確率(probability)とは確率とは、「ある事象が起こる度合の大きさを表す数値」のことです。そして、0~1までの実数値をとる値です。また、%を用いて表現する場合は0~100%となります。■確率変数(random variable)とは確率変数とは、「試行の結果に対応してある、確率をもって定まる量」のことです。2つのサイコロを振って、出た目の和に値する量です。■確率分布(probability distribution)とは確率分布とは、「確率変数の各々の値に対し、その起こりやすさを記述するもの」です。■医学論文での事例以下に代表的な確率分布とその医学論文での事例を紹介します。(1)正規分布正規分布とは、「平均値と標準偏差によって特徴付けられる分布」であり、多くの自然現象やデータが正規分布に従うことが知られています。たとえば、身長や体重などの身体測定値が正規分布に従うことが多く、医療分野でも利用されています。ある病気の治療効果を測定するために、患者の病状に関するスコアを正規分布と仮定し、治療前後でのスコアの変化を比較する研究が行われることがあります。(2)二項分布二項分布とは、「2つの結果(成功と失敗)がある繰り返し試行を行った場合に、成功がk回起こる確率を表す確率分布」のことです。この試行をn回行った場合、各試行は互いに独立であり、成功確率がpであるとします。二項分布も、医療や経済学などの分野で、ある試行における成功確率が既知であり、その成功回数の分布を求めるためによく使われます。たとえば、ある病院で、ある種のがんを患っている患者に対して新しい治療法を試みた研究が行われました。治療法の効果を評価するため、治療群と対照群に分けて、それぞれのグループで治療が成功した人数を比較しました。治療群には100例、対照群には100例が含まれていました。治療群で成功した人数は70例で、対照群で成功した人数は50例でした。この場合、治療法の有効性を検証するために二項検定を行うことができます。二項分布を用いることで、治療群と対照群での治療成功率の差を比較することができます。(3)ポアソン分布ポアソン分布とは、「ある時間内に起こる事象の数が従う分布」であり、まれな事象が起こる確率を表すことで有名な分布です。たとえば医療分野では、ある地域での1日当たりの新型コロナウイルス感染症患者数がポアソン分布に従うと仮定し、感染者数の予測を行うことができます。他にも、ベルヌーイ分布やガンマ分布などが医療分野でもよく使われています。次回は「二項分布」を解説します。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第31回 検定の落とし穴とは?第56回 正規分布とは?第70回 カイ二乗分布とは「わかる統計教室」第3回 理解しておきたい検定 セクション1第4回 ギモンを解決!一問一答質問7 ノンパラメトリックの検定とは?(その1)

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便通異常症 慢性下痢(7)抗血小板薬と下痢【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q118

便通異常症 慢性下痢(7)抗血小板薬と下痢Q118『便通異常症診療ガイドライン2023 慢性下痢症』では、「下痢と関連のある薬剤一覧」が紹介されている。抗血小板薬としてチクロピジンが挙げられているが、ほかに気をつけるべき抗血小板薬は?

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