サイト内検索|page:233

検索結果 合計:35646件 表示位置:4641 - 4660

4641.

慢性下痢症(12)食物起因性の下痢:食物蛋白誘発性腸炎症候群(FPIES)【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q125

慢性下痢症(12)食物起因性の下痢:食物蛋白誘発性腸炎症候群(FPIES)Q125FPIES(Food Protein-induced-enterocolitis syndrome:食物蛋白誘発性腸炎症候群)は乳幼児の疾患概念である。○か×か?

4642.

英語で「まだ安心できない」は?【1分★医療英語】第152回

第152回 英語で「まだ安心できない」は?《例文1》The jury is still out on whether the treatment is fully effective.(その治療が完全に効果的かどうかは、まだ結論が出ていません)《例文2》Don’t count your chickens before they hatch - we can’t assume success just yet.(まだ結果が出ていないので、確定する前に安心してはいけません)《解説》日本語で「まだ安心できない」という表現は、進行中の困難や不安を示すときに使います。英語にも同じようなニュアンスを伝える表現がいくつかあります。たとえば、冒頭の“We are not out of the woods yet.”という表現は、直訳すれば「まだ森を抜けていない」という意味ですが、「まだ困難を完全に乗り越えていない」というニュアンスで使われています。また、《例文1》の“The jury is still out.”という表現もあり、これは「まだ結論が出ていない」という意味で、状況によっては「まだ安心できない」という意味でも使われます。《例文2》も類似表現です。冒頭の医師の会話にある“keep our (your) guards up.”は「心のガードを下げない」という意味で、同じ文脈で併用されることが多い表現です。“catch someone off guard”(不意を突かれる)という表現も一緒に覚えておきましょう(第140回 参照)。講師紹介

4643.

半減期が短く持ち越し効果が少ない不眠症治療薬「クービビック錠25mg/50mg」【最新!DI情報】第25回

半減期が短く持ち越し効果が少ない不眠症治療薬「クービビック錠25mg/50mg」今回は、オレキシン受容体拮抗薬「ダリドレキサント塩酸塩(商品名:クービビック錠25mg/50mg、製造販売元:ネクセラファーマジャパン)」を紹介します。本剤は新規のデュアルオレキシン受容体拮抗薬であり、不眠症患者の過剰な覚醒状態を抑制し、睡眠状態へと移行させることが期待されています。<効能・効果>不眠症の適応で2024年9月24日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人にはダリドレキサントとして1日1回50mgを就寝直前に経口投与します。患者の状態に応じて1日1回25mgを投与することもできます。入眠効果の発現が遅れる恐れがあるため、本剤の食事と同時または食直後の服用は避けます。<安全性>副作用には、傾眠(3%以上)、頭痛、頭部不快感、倦怠感、疲労、悪夢(いずれも1~3%未満)、浮動性めまい、睡眠時麻痺、悪心(いずれも1%未満)、幻覚、異常な夢、睡眠時随伴症(夢遊症、ねごとなど)、過敏症(発疹、蕁麻疹など)(いずれも頻度不明)があります。本剤は主に薬物代謝酵素CYP3Aによって代謝されるため、CYP3Aを強く阻害するイトラコナゾール、クラリスロマイシン、ボリコナゾール、ポサコナゾール、リトナビル含有製剤、コビシスタット含有製剤、セリチニブ、エンシトレルビルフマル酸を投与中の患者には禁忌です。また、中程度のCYP3A阻害作用を持つジルチアゼム、ベラパミル、エリスロマイシン、フルコナゾールなどは併用注意です。<患者さんへの指導例>1.この薬は、過剰に働いている覚醒システムを抑制して、より自然に近い睡眠を促します。2.必ず寝る直前に服用してください。3.アルコールと一緒に服用しないでください。4.食事と同時または食事の直後には、服用しないでください。5.他の睡眠薬と一緒に服用しないでください。<ここがポイント!>不眠症は罹患頻度の高い睡眠障害の1つです。不眠は、眠気や倦怠感による生産性の低下や、概日リズム障害による不登校やうつ病の発症などを引き起こすため、公衆衛生上の問題となっています。オレキシンは、覚醒と睡眠の調整に深く関わっている神経ペプチドであり、オレキシンがオレキシン受容体に作用すると覚醒が維持されます。オレキシン受容体のサブタイプであるオレキシン受容体タイプ1(OX1R)とオレキシン受容体タイプ2(OX2R)を阻害すると、脳の覚醒促進領域の活動が低下します。ダリドレキサント塩酸塩は、OX1RおよびOX2Rの活性化を阻害する新規のデュアルオレキシン受容体拮抗薬(DORA)であり、不眠症患者の過剰な覚醒状態を抑制し、睡眠状態へと移行させることが期待されます。ダリドレキサント塩酸塩は、ベンゾジアゼピン系睡眠薬にみられる依存や耐性、反跳性不眠が少なく、高齢に対してせん妄の発現の心配もありません。なお、日本ではDORAとしてスボレキサントおよびレンボレキサントが発売されていますが、ダリドレキサント塩酸塩は他のDORAと比較して半減期が6.5時間程度(非高齢者)と短く、翌日への眠気の持ち越しが少ないと考えられます。日本人不眠症患者を対象とした国内第III相試験(ID-078A304試験)において、総睡眠時間(sTST)のベースラインからの変化量について、本剤50mg群とプラセボ群との差は、4週時に20.30分(95%信頼区間[CI]:11.39~29.20)であり、プラセボ群と比較して50mg群で有意にsTSTを延長しました(p<0.001、線形混合モデル)。同様に、4週時における睡眠潜時(sLSO)のベースラインからの変化量の本剤50mg群とプラセボ群との差は-10.66分(95%CI:-15.78~-5.54)であり、プラセボ群と比較して50mg群で有意にsLSOを短縮しました(p<0.001、線形混合モデル)。

4644.

映画「路上のソリスト」(その1)【それが幸せ?なんで保護されたくないの?(ホームレスの心理)】Part 1

今回のキーワード統合失調症認知機能低下ホームレス支援施設自然化合理主義自然主義ホームレスと聞いて、皆さんはどんなイメージを持っていますか? 気の毒、そしてやはり衛生上や臭いの問題でしょうか? そんな彼らのなかに、支援施設を勧められても望まない人や、いったん施設に入ってもしばらくしてまた路上に戻ってくる人がいます。なぜでしょうか? つまり、なぜ保護されたくないのでしょうか? はたして、ホームレスを続けることは幸せなのでしょうか?今回は、映画「路上のソリスト」を取り上げます。この映画は、実話に基づいており、ホームレスの生き様や助けようとする主人公の葛藤には、リアリティがあります。この映画を通して、ホームレスの心理に迫ってみましょう。なんでホームレスになるの?舞台は大都会のロサンゼルス。大手新聞の人気コラムニストのロペスは、ネタ探しのためにたまたま通りかかった殺風景な公園で、みすぼらしくて風変りな身なりの中年男性に釘付けになります。彼は、弦が2本しかない壊れたバイオリンを巧みに奏でていたのでした。そして、そばにはガラクタの荷物を大量に積んだカートがあり、明らかにホームレスなのでした。興味を抱いたロペスは彼に話しかけます。彼の名前はナサニエル。かつてジュリアード音楽院に通っていたことを聞き出します。なぜ彼は権威ある名門校にいたのに、今は路上で暮らしているのでしょうか?ロペスは、ナサニエルの物語をコラムの連載記事にしようと思い立ち、彼への密着取材を始めます。しかし、ナサニエルの話は、唐突でまとまりなく一方的です。姉の連絡先がわかり、ロペスが電話してわかったことは、彼は若い頃に頭の中で聞こえてくる声に悩まされ、その音楽院を中退し、家では母親に毒を盛られたと言い張り、その後に家出をして行方不明になっていたということでした。つまり、彼は統合失調症を発症しており、幻聴、被害妄想、滅裂によって、社会生活が送れなくなり、長い間ホームレスになっていたのでした。実際に、精神科医によるホームレスの調査研究によると、うつ病40%、統合失調症15%、アルコール依存症15%で、彼らの多くに精神障害があります1)。また、知的水準においては、彼らの約30%が知的障害(IQが70未満)です2)。境界知能についての割合は明らかにされていませんが、正規分布において知的障害の約3倍が境界知能(IQが70以上85未満)であることから、彼らのほとんどが知的障害か境界知能であることが推測できます。つまり、ホームレスになってしまう原因は、もともと健常知能(IQが85以上)ではないことに加えて精神障害を発症することで、認知機能が低下して社会生活が困難になってしまうからです。次のページへ >>

4645.

映画「路上のソリスト」(その1)【それが幸せ?なんで保護されたくないの?(ホームレスの心理)】Part 2

じゃあなんで保護されたくないの?ロペスは「路上に寝るなと私が言っても彼はここにいたいと言う。自分で選んだのだからと。その意思を尊重するべきだろうか。あるいは強制的にでも定住させてしまったほうが、この荒んだ掃きだめに捨ておくよりは、よほど人道的なのではないだろうか」と自問自答し、悩みます。実際に、ホームレスへのアンケート調査によると、ホームレスの40%が「今のままでいい」と回答しています3)。アンケートに応じなかった人も考慮すると、この割合はもっと多いことが示唆されます。なぜなんでしょうか?ここから、ロペスとナサニエルのやり取りを通して、ホームレスが保護を拒む精神医学的な原因を主に3つ挙げてみましょう。(1)自由がなくなるからロペスは、ナサニエルに「いいところがあるんだ。お金の心配はいらない」と切り出し、統合失調症の治療のための入院同意書らしきものを渡します。すると、ナサニエルは「僕は統合失調症じゃない! どこにも行かない。行きたいところは自分で決める。施設なんか死んでも行かない」「僕は大人だぞ。自分で自分のことはできる。あんたなんかの助けはいらない」と言い、怒り出します。原作によると、彼は入院したことがあり、入院生活で自由が制限されることを嫌と言うほど知っていたのでした4)。1つ目の原因は、認知機能の低下によって被害的になり、自由がなくなるのがストレスだからです。確かに、保護されれば食べ物、着る物、住む場所には困りません。しかし、同時に管理もされるため、どう生活するかの取り決めにある程度従う義務が発生します。とくに、日本のホームレス支援施設は、狭い相部屋による集団生活が基本で、食事や消灯の時刻なども厳しく決まっており、飲酒は禁止されています。また、彼のように強制的に入院させられた経験がある場合はなおさらです。もはや、社会が信用できないのです。逆に言えば、彼は、たとえ路上生活によって不自由であっても、自分で決める自由の方を重んじています。自由を得るために、路上生活をする責任に納得しています。もちろん、食べ物にどうしても困る時は、ホームレス支援センターに行って食事を施してもらいます。施しを受けることについても、あくまで自分で決めることに意味があるわけです。なお、日本におけるホームレスの場合は、認知機能の低下によって罪業的になり、「申し訳ない」「迷惑をかけたくない」と思い込んで保護を拒む人もいます2)。また、生活保護の申請に当たり、扶養義務のある家族に連絡が行ってしまうことを避けたいと考えているケースも見受けられます。<< 前のページへ | 次のページへ >>

4646.

映画「路上のソリスト」(その1)【それが幸せ?なんで保護されたくないの?(ホームレスの心理)】Part 3

(2)清潔にしなければならないからロペスは、なかば強引にナサニエルを支援のアパートに連れていきます。そして、その部屋を「本当に清潔だよ」と好意的に案内します。しかし、ガラクタの汚い大荷物を手放せずに持ち込んだナサニエルは、戸惑うばかりなのでした。原作によると、彼は尿意を催した時にはトイレを探さずに、大都会のロサンゼルスでありながら、近くの茂みで立ちションをしていました4)。2つ目の原因は、認知機能の低下によって汚さや臭さを気にしなくなり、清潔にしなければならなくなるのが逆にストレスだからです。確かに、提供されたアパートは清潔です。しかし、同時にそれは借り物であるため、持ち込んだ持ち物や寝床(部屋)も清潔にする義務が発生します。逆に言えば、彼は、汚くて臭い持ち物や路上の寝床の方が、きれいにしなくていいため、むしろ馴染んでしまっています。これは、自然の中で自然体でありのままに生きる、自然化と呼ばれています。ただし、施しとして食べ物を得るためには、人の行き来が多い大都市にいる必要があります。とくに、日本では自動販売機のゴミ箱からアルミ缶を回収して日銭を稼ぐホームレスが多いです。だから、自然体を望みながら、人里離れた山奥ではなく真逆の都会に居続けるというギャップが生まれるのです。これは、ホームレスにとって路上が「ホーム」になるという逆説を起こしています。(3)先々のことを考えなければならないからロペスは、ナサニエルのためにアパートだけでなく、演奏の専属教師も手配します。演奏活動によって社会復帰を計画していたのでした。ロペスは「これはチャンスなんだ。棒に振るのか?」と迫るのですが、ナサニエルは「今のままでいい」と断ります。そして、路上で寝床に就く時は、大きなドブネズミの前で、「世界が安らかでありますように」と唱え、世界の平和を素朴に願うのでした。3つ目の原因は、認知機能の低下によって先々の見通しを立てられなくなり、先々のことを考えなければならなくなるのがストレスだからです。確かに、ロペスや教師の言う通りに演奏すれば、注目されお金も入ってくるでしょう。しかし、その契約のためにはその瞬間その瞬間でいろいろ我慢する義務が発生します。逆に言えば、彼は、ただその瞬間を生きており、自分のために演奏したいだけなのです。これは、合理主義とは真逆の価値観です。先ほどの自然化にちなんで、自然主義と言えるでしょう。ちなみに、この心理は、日本においてホームレスを施設に入所させて生活保護費を受け取らせても、すぐにパチンコなどのギャンブルやアルコールに使い込んで路上に舞い戻ってしまう現象を説明することができます。1)東京都の一地区におけるホームレスの精神疾患有病率:森川すいめいほか、日本公衆衛生雑誌、20112)漂流老人ホームレス社会p.22、p.147:森川すいめい、朝日文庫新刊、20153)ホームレスの実態に関する全国調査(生活実態調査)結果について:厚生労働省、20214)路上のソリストp.200、p.372:スティーヴ・ロペス、祥伝社、2009<< 前のページへ

4647.

医師は普段どのくらいお酒を飲んでいる?/医師1,000人アンケート

2024年2月、厚生労働省は「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を発表し、飲酒が健康に与える影響についての関心が高まっています。日頃から患者さんへ適切な飲酒について指導を行うことも多い医師が、自身は飲酒とどのように向き合っているかについてお聞きしました。

4648.

第236回 GLP-1薬セマグルチドは運動意欲を減らすらしい

GLP-1薬セマグルチドは運動意欲を減らすらしいマウスはよく走ります。回転車を与えると活動期である夜に10~12kmも毎日走ります1)。しかし糖尿病や肥満症の治療薬・オゼンピックやウゴービの成分であるセマグルチドをマウスに与えるとどうやら走る意欲が減るようで、プラセボ群の半分ほどしか走らなくなりました2)。セマグルチドのようなGLP-1受容体作動薬(GLP-1薬)は今や信仰にも似たよすがとなっており、医療情報を提供するKFFが今年5月に結果を発表した調査では、米国の成人の実におよそ8人に1人(12%)がGLP-1薬を使ったことがあると回答しました3)。また、およそ17人に1人(6%)は使用中でした。セマグルチドはインスリン生成を促し、胃が空になるのを遅らせ、満腹感がより長続きするようにするGLP-1に似た働きを担います。過去20年ものあいだ調べられてきたGLP-1の代謝調節の仕組みはかなり詳しく判明しています。一方、最近になってGLP-1の代謝調節領域を超えたより広範な働きや脳への作用が明らかになりつつあります。そのような秘めたGLP-1の働きのいくつかが今月初めの米国・シカゴでの神経科学会(Society for Neuroscience)年次総会(Neuroscience 2024)で発表されました。セマグルチドがマウスの走る意欲をどうやら減退させることを示したイエール大学の上述の研究成果はその1つです。GLP-1の作用は食べ物、アルコール、コカイン、ニコチンと関連する快楽のほどを変えます。ネズミにGLP-1やその模倣薬を与えるとそれらの摂取意欲が下がることが示されています。セマグルチドを使う人の食べる楽しみが使い始める前ほどではなくなるのは、同剤が快楽や渇望に携わる脳領域の活性を抑えることに起因するようです。また、その働きのおかげでセマグルチドが薬物依存の治療の助けになりうることも示唆されています。イエール大学のRalph DiLeone氏らは運動などの気持ちよくなる行動にもセマグルチドの影響が及ぶかもしれないと考えました4)。そこで、根っからの運動好きで、それがどうやら楽しいらしいマウスを使ってセマグルチドの運動意欲への影響が調べられました。DiLeone氏らは14匹のマウスの半数7匹にセマグルチド、もう半数の7匹にはプラセボを1週間投与しました。それらマウスが回転車で毎日どれだけ走るかを調べたところ、セマグルチド投与群の走る距離は同剤投与前に比べて4割ほど(37.9%)減っていました2)。一方、プラセボ投与群ではそのようなことはなく、どうやらセマグルチドはマウスの走る意欲を減衰させたようです。続いて実際に走る意欲が低下しているのかが別のマウスを使って調べられました。その検討ではマウスが走っている最中に回転車がときどき強制停止(ロック)されます。マウスは鼻でレバーを押すこと(押下)でそのロックを解除することができます。ロックはその回数が多くなるほどレバーをより多く押下しないと解除できないようになっており、最終的にマウスはロックの解除を諦めます。諦めた時点でのレバー押下回数は回転車を走る意欲がどれだけ高いかを反映する指標となります。5日間のセマグルチド投与期間中のマウスのレバー最大押下回数はプラセボ投与群に比べて平均25%少なく、肥満マウスを使った検討でも同様の結果となりました4)。すなわちセマグルチドは食べ物や薬物への渇望を減らすのと同様に運動意欲も減らすようです。ヒトでの同様の作用は示されていません。オゼンピックやウゴービのヒトのデータのほとんどが運動を含む他の手当てを伴ったものであることがその理由かもしれません。とはいえ、セマグルチドのようなGLP-1薬が負の行動のみならず有益な振る舞いも妨げてしまう恐れがあることを今回の結果は示唆しています。Neuroscience 2024では他にもセマグルチドやGLP-1の類いの興味深い中枢神経系(CNS)作用の報告がありました。韓国のGachon Universityの研究者らはGLP-1受容体に結合するアンタゴニストexendin 9-39の断片の1つexendin 20-29の痛み緩和作用を示したマウス実験結果を報告しています5)。その研究ではexendin 20-29が痛み信号の伝達に携わる受容体TRPV1に結合し、GLP-1受容体機能には手出しすることなく痛みを緩和することが示されました。また、フランスの研究受託会社Neurofitのチームはセマグルチドのアルツハイマー病治療効果を示すマウスやラットの実験結果を報告しています6)。その効果の検討は臨床試験でも大詰め段階に入っており、Novo Nordisk社は初期アルツハイマー病患者へのセマグルチドの第III相試験2つ・EVOKE7)とEVOKE Plus8)を2021年に開始しています。結果は来年判明する見込みです9)。参考1)The Unexplored Effects of Weight-Loss Drugs on the Brain / TheScientist2)Semaglutide administration reduces free running as well as motivation for wheel access as measured by progressive ratio in mice / Neuroscience 20243)KFF Health Tracking Poll May 2024: The Public’s Use and Views of GLP-1 Drugs / KFF4)Weight-loss drugs lower impulse to eat - and perhaps to exercise too / NewScientist5)Glp-1 and its derived peptides mediate pain relief through direct trpv1 inhibition without affecting thermoregulation / Neuroscience 2024 6)Semaglutide's cognitive rescue: insights from rat and mouse models of alzheimer's disease / Neuroscience 20247)A Research Study Investigating Semaglutide in People With Early Alzheimer's Disease (EVOKE)8)A Research Study Investigating Semaglutide in People With Early Alzheimer's Disease (EVOKE Plus) 9)Atri A, et al. Alzheimers Dement. 2022;18:e06415.

4649.

コーヒーは動脈硬化に影響するか

 習慣的なコーヒー摂取によって心臓足首血管指数(CAVI)には変化がなく、動脈硬化に影響を及ぼさないことが、イタリア・University Milano-BicoccaのRaffaella Dell’Oro氏らの研究で示唆された。この結果は習慣的にコーヒーを摂取しても血圧に有意な影響がないことを支持するかもしれない。American Journal of Hypertension誌2024年10月号に掲載。 本研究は、PAMELA研究の第3回フォローアップで募集された514人(平均年齢±SD:66.6±9.9歳)を対象に、習慣的なコーヒーの1日摂取量によって3群(0、1~2、3杯/日以上)に分け、CAVI、診療所血圧、自由行動下血圧などを測定した。 主な結果は以下のとおり。・年齢、性別、代謝、腎臓のプロファイルは、3群で同様だった。・診療所血圧と自由行動下血圧は3群で同様で、CAVIも同様だった(0杯:9.1±1.8m/s、1~2杯:9.5±2.3m/s、3杯以上:9.2±2.1m/s、p=NS)。・CAVIにおいても、降圧治療中の参加者においても、有意な性差はみられなかった。

4650.

ブリーバラセタムが8年ぶりの新薬として登場、てんかん診療の今/ユーシービー

 部分発作を適応とする抗てんかん薬として、国内8年ぶりの新薬ブリーバラセタム(商品名:ブリィビアクト錠25mg、同50mg)が2024年8月30日に発売された。ユーシービージャパンは10月2日、「てんかん治療の新たな一歩~8年ぶりの新薬登場~」と題したメディアセミナーを開催。川合 謙介氏(自治医科大学附属病院脳神経外科)、岩崎 真樹氏(国立精神・神経医療研究センター病院脳神経外科)らが登壇し、てんかん診療の現状と課題、ブリーバラセタムの臨床試験結果などを解説した。レベチラセタムほか新規てんかん薬の処方は増加傾向 てんかんはすべての人があらゆる年齢で発症しうる疾患で、日本での患者数は約71万〜93万例、毎年8万6千例が新たにてんかんを発症していると推定される1)。認知症をはじめとして間違われやすい症状が多くあること、社会的な偏見があることなどにより、治療法があるのに辿りつけない患者がいまだ多い現状がある。 年齢別の有病率をみるとU字型の分布を示し、先天性の多い小児期のほか、65歳以上で脳卒中、脳腫瘍、アルツハイマー病などに伴い多くなる。高齢のてんかん患者ではてんかん重積状態の発生率が高く、死亡率も高い傾向がある一方2)、65歳以上で発症したてんかんは治療反応性が良好で、80%以上の患者で発作が消失したことが報告されている3)。川合氏は、「多剤併用の問題もある高齢者ではとくに、適切な診断と、副作用を考慮した治療薬の選択が非常に重要」と述べた。 日本における抗てんかん薬処方状況をみたデータによると、2018年時点でカルバマゼピンやバルプロ酸などの従来のてんかん薬の処方割合が84.5%を占め、2000年以降発売の新規てんかん薬(ラモトリギン、レベチラセタム、トピラマートなど)の処方は増加傾向にあるものの、従来薬が依然多く処方されている状況がみられた4)。川合氏は、従来薬群と比較して新規抗てんかん薬群で服薬継続率が有意に高かった(36.5% vs.72.0%)という日本の脳卒中後てんかん患者におけるデータ5)も紹介。「どの領域でも非専門医であるほうが従来薬を使う傾向があると思うが、てんかん発作薬に関しても同様の傾向がある。しかし、新規薬剤は効果はもちろんのこと、副作用が少なく、対象とするてんかんのタイプが増え、薬物間の相互作用が少ないため、むしろ非専門医にとって使いやすいものなのではないか」と話した。抗てんかん薬には催奇形性リスクのある薬剤が多い 薬の飲み忘れなどによるてんかん発作の影響による重大交通事故はたびたび報道されてきた。しかし、「ひとくちにてんかんと言っても毎日のように発作が起こる患者さんもいるし、ほとんど発作のない患者さんもいる」と川合氏は指摘し、日本におけるてんかん患者の運転免許取得の考え方について、以下のようにまとめた6):・てんかんのある人が運転免許を取得するためには、「運転に支障を来す恐れのある発作が2年間ないこと」が条件。薬の服用の有無は関係ない。・上記の条件のもとで、運転に支障を来す恐れのない発作(単純部分発作など)がある場合には1年間以上、睡眠中に限定された発作がある場合には2年間以上経過観察し、今後症状悪化の恐れがない場合には取得可能。・ただし、大型免許と第2種免許は取得できない。また、運転を職業とする仕事は勧められない。 また、女性のてんかん患者における妊娠・出産に対しても、医療者には注意が求められる。抗てんかん薬には催奇形性リスクのある薬剤が多く、「てんかん診療ガイドライン2018」7)では、女性のライフサイクルを考慮した包括的な妊娠・出産についてのカウンセリングを行うこと、抗てんかん薬中止が困難な場合は非妊娠時から催奇形性リスクの少ない薬剤を選択し、発作抑制のための適切な用量調整を行っておくことなどが推奨されている。ブリーバラセタムはレベチラセタムと同じSV2A作用薬 ブリーバラセタムは、レベチラセタム結合部位として同定されたシナプス小胞タンパク質2A(SV2A)に選択的かつ高い親和性をもって結合することにより作用する薬剤。岩崎氏は、ブリーバラセタム国際共同第III相試験(EP0083試験)の結果について解説した。<EP0083試験の概要>8)対象:1~2種類の併用抗てんかん薬(AED)を用いた治療を受けているにもかかわらず、部分発作(二次性全般化を含む)のコントロールが十分に得られていない成人てんかん患者(16~80歳) 448例試験群:ブリーバラセタム50mg/日群ブリーバラセタム200mg/日群対照群:プラセボ※8週間の前向き観察期間を終了後、12週間の治療期間を設定主要評価項目:治療期間の28日当たりの部分発作回数のプラセボ群に対する減少率安全性評価項目:治験薬投与後に発現した有害事象(TEAE)、副作用主な結果:・患者背景は、平均年齢34.5(16~80)歳、日本人は97例(21.7%)含まれ、全例試験開始時に抗てんかん薬を併用しており、最も多く使用されていたのがバルプロ酸塩(39.7%)、次いでカルバマゼピン(30.5%)であった。てんかん発作型分類は、単純部分発作(IA)が50.9%、複雑部分発作(IB)が83.6%、二次性全般化発作(IC)が58.3%であった。・主要評価項目である治療期間の28日当たりの部分発作回数のプラセボ群に対する減少率について、50mg/日群では33.4%(日本人集団では30.0%)、200mg/日群では24.5%(同14.5%)となり、いずれのブリーバラセタム群でも優越性が確認された(p=0.0005およびp<0.0001)。・レベチラセタム使用歴の有無別にみると、50mg/日群では使用歴ありで20.5%、使用歴なしで26.8%、200mg/日群では29.5%、35.0%であった。・発作型分類別にみると、50mg/日群ではIAが6.5%、IBが21.4%、ICが18.2%、200mg/日群では11.1%、27.6%、31.6%であった。・過去に使用し試験参加前に中止している抗てんかん薬の剤数別にみると、50mg/日群では2剤以下で29.0%、3剤以上で13.4%、200mg/日群では39.3%、17.1%であった。・副作用の発現割合は、50mg/日群で26.5%、200mg/日群で39.9%、プラセボ群で20.1%。主な副作用(3%以上に発現)は、傾眠(9.3%、18.2%、7.4%)、浮動性めまい(8.6%、10.8%、3.4%)であり、日本人集団においても同様の傾向であった。ブリーバラセタムはレベチラセタムの代替薬としても有用 ブリーバラセタムの効能・効果は「てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)」で、用法・用量は1日50mgを1日2回に分けて経口投与となっている(症状により1日200mgを超えない範囲で適宜増減できる)。また、併用注意は、CYP2C19誘導薬(リファンピシンなど)、カルバマゼピン、フェニトイン、アルコール(飲酒)となっている。 岩崎氏はブリーバラセタムについて、高い発作抑制効果があり、焦点てんかんの単剤もしくは併用療法としての重要な選択肢となるとし、発作の多い患者における速やかな発作抑制に有用としたほか、副作用が少なく「続けられる薬剤」であることから、レベチラセタムが継続できなかった患者に対する代替薬としても有用なのではないかと話した。■参考1)日本てんかん学会編. てんかん専門医ガイドブック 改訂第2版. 診断と治療社;2020.2)DeLorenzo RJ, et al. Neurology. 1996;46:1029-1035.3)Mohanraj R, et al. Eur J Neurol. 2006;13:277-282.4)Jin K, et al. Epilepsy Behav. 2022;134:108841.5)Tanaka T, et al. Brain Behav. 2021;11:e2330.6)独立行政法人国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター「てんかん情報センターQ&A」7)日本神経学会監修.てんかん診療ガイドライン2018.8)EP0083試験(ClinicalTrials.gov)

4651.

不安症に対するベンゾジアゼピン使用、気分障害や物質使用障害の長期リスクと関連

 ベンゾジアゼピン(BZD)は、不安症に広く用いられる薬剤であるが、メンタルヘルスへの長期的な影響、とくに慢性的なBZD使用とその後の気分障害や物質使用障害(SUD)との潜在的な関連性は、あまりよくわかっていない。米国・ワシントン大学のChing-Fang Sun氏らは、不安症に対するベンゾジアゼピン使用と、その後の気分障害やSUDリスクとの関連を明らかにするため、5年間にわたるレトロスペクティブコホート研究を実施した。Drug and Alcohol Dependence Reports誌2024年9月号の報告。 リアルタイムの電子医療記録ネットワークであるTriNetXデータベースを用いて、5年間のレトロスペクティブコホート研究を実施した。対象は、18〜65歳の不安症(ICD-10-CM:F40-48)患者。BZD群(BZD処方:12回以上)とマッチした非BZD群の抽出には、傾向スコアマッチングを用いた。アウトカムは、うつ病、双極症、SUDの診断とした。診断およびBZD使用後の5年間の生存確率を評価するため、カプランマイヤー分析を用いた。log-rank検定により、ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・7万6,137例を特定し、マッチングを行った。・BZD群は、非BZD群と比較し、次の診断リスクが有意に高かった。【うつ病】HR:2.64、95%CI:2.59〜2.68【双極症】HR:4.39、95%CI:4.15〜4.64【全般的なSUD】HR:3.00、95%CI:2.92〜3.08【アルコール使用障害】HR:3.38、95%CI:3.20〜3.57【覚醒剤使用障害】HR:3.24、95%CI:2.95〜3.55【大麻使用障害】HR:2.93、95%CI:2.75〜3.11【吸入剤使用障害】HR:4.14、95%CI:3.38〜5.06【ニコチン使用障害】HR:2.72、95%CI:2.63〜2.81 著者らは「BZD使用とさまざまな気分障害やSUD診断リスクの増加との間には、懸念すべき関連性が示唆された」と結論付けている。

4652.

大手術前のRAS阻害薬は中止すべき?/JAMA

 非心臓大手術を受ける患者では、レニン-アンジオテンシン系阻害薬(RASI:ACE阻害薬またはARB)の投与を手術の48時間前に中止する方法と比較して、手術当日まで投与を継続する方法は、全死因死亡と術後合併症の複合アウトカムの発生率が同程度で、術中の低血圧の発現を増加させ、低血圧持続時間も長いことが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のMatthieu Legrand氏らStop-or-Not Trial Groupが実施した「Stop-or-Not試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2024年9月24日号に掲載された。フランスの医師主導型無作為化試験 Stop-or-Not試験は、非心臓大手術前のRASIの継続投与が48時間前の投与中止と比較し、術後のアウトカムを改善するかの検証を目的とする医師主導の非盲検無作為化試験であり、2018年1月~2023年4月にフランスの40施設で参加者を登録した(フランス保健省の助成を受けた)。 年齢18歳以上、待機的非心臓大手術が予定され、術前の少なくとも3ヵ月間、RASIの長期投与を受けている患者を対象とした。大手術は、切開から皮膚閉鎖まで2時間以上を要し、術後の入院期間が3日以上と見込まれる手術と定義した。 被験者を、手術当日までRASIの使用を継続する群、または手術の48時間前にRASIの使用を中止する(手術の3日前が最終投与日)群に無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、術後28日以内の全死因死亡と主要術後合併症の複合とした。主要術後合併症には、術後主要心血管イベント(急性心筋梗塞、血栓症、脳卒中、急性腎障害など)、敗血症または敗血症性ショック、呼吸器合併症、予期せぬ集中治療室(ICU)入室または再入室、急性腎障害、高カリウム血症、術後28日以内の外科的再介入を要する病態が含まれた。主要アウトカムは、RASI中止群22% vs.RASI継続群22% 2,222例を登録し、RASI継続群に1,107例、RASI中止群に1,115例を割り付けた。ベースラインの全体の平均年齢は67(SD 10)歳、65%が男性で、98%が高血圧の治療を受けており、9%が慢性腎臓病、8%が糖尿病、6%が心不全であった。46%がACE阻害薬、54%がARBを使用していた。 術後28日の時点で、全死因死亡と主要術後合併症の複合の発生率は、RASI中止群が22%(245/1,115例)、RASI継続群も22%(247/1,107例)であった(リスク比:1.02、95%信頼区間[CI]:0.87~1.19、p=0.85)。 主な副次アウトカムである術中の低血圧エピソード(昇圧薬投与を要する病態)の発生率は、RASI中止群が41%(417例)、RASI継続群は54%(544例)と、継続群で高かった(リスク比:1.31、95%CI:1.19~1.44)。 また、術中低血圧(平均動脈圧<60mmHg)の持続時間中央値は、RASI中止群が6分(四分位範囲:4~12)、RASI継続群は9分(5~16)であり、継続群で長かった(平均群間差:3.7分、95%CI:1.4~6.0)。他のアウトカムにも差がない 主要アウトカムを構成する個々の項目や、術中低血圧以外の副次アウトカム(術後臓器不全、術後28日間の入院期間およびICU入室期間など)にも両群間に差を認めなかった。 著者は、「RASI継続群で術中低血圧の発生率が高かったことが、全死因死亡や主要術後合併症のリスクの増加に結び付かなかった理由は、術中に高血圧が迅速に改善したことと、低血圧の持続時間が全体として短かったためと考えられる」とし、「これらの結果は、今後のガイドラインに影響を与える可能性がある。術後のアウトカムに差がないことから、RASI継続と中止のどちらも容認でき、安全である」と述べている。

4653.

中等症~重症の潰瘍性大腸炎、抗TL1A抗体tulisokibartが有望/NEJM

 中等症~重症の潰瘍性大腸炎の治療において、プラセボと比較して抗腫瘍壊死因子様サイトカイン1A(TL1A)モノクローナル抗体tulisokibartは、臨床的寛解の達成率が高く、有害事象の発現状況は両群で同程度であることが、米国・マウントサイナイ医科大学のBruce E. Sands氏らARTEMIS-UC Study Groupが実施した「ARTEMIS-UC試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年9月26日号で報告された。国際的な無作為化プラセボ対照第II相試験 ARTEMIS-UC試験は、14ヵ国の施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第II相試験であり、2021年7月~2022年10月に参加者を登録した(Prometheus Biosciencesの助成を受けた)。 年齢18歳以上、中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎の診断を受け、グルココルチコイド依存性であるか、潰瘍性大腸炎に対する従来治療または先進治療が無効であった患者を対象とした。被験者を、tulisokibart(1日目に1,000mg、2週・6週・10週目に500mg)を静脈内投与する群、またはプラセボ群に無作為に割り付けた。 コホート1には、効果の可能性を評価する遺伝子診断検査の結果を問わずに患者を登録し、コホート2には、同検査で効果の可能性があると判定された患者だけを登録した。 主解析はコホート1で行い、主要エンドポイントは12週の時点での臨床的寛解とした。臨床的寛解は、修正Mayoスコアの内視鏡サブスコアが0または1、直腸出血サブスコアが0、便の回数サブスコアが0または1で、ベースラインの値より大きくないことと定義した(3つのサブスコアはいずれも0~3で評価、スコアが大きいほど重症度が高い)。また、コホート1のうち効果の可能性があると判定された患者と、コホート2の患者を合わせた患者集団でも解析を行った。効果の可能性がある患者集団でも有意に良好 コホート1に135例を登録し、tulisokibart群に68例(平均[±SD]年齢40.4[±14.4]歳、女性34例[50%])、プラセボ群に67例(42.2[±16.3]歳、29例[43%])を割り付けた。 コホート1における12週時の臨床的寛解の達成率は、プラセボ群が1%であったのに対し、tulisokibart群は26%と有意に優れた(群間差:25%ポイント、95%信頼区間[CI]:14~37、p<0.001)。 また、コホート1では、内視鏡的改善や組織学的改善などのすべての副次エンドポイントに関して、一貫した有効性が示された。 一方、効果の可能性があると判定された患者は2つのコホートを合わせて75例で、tulisokibart群が38例(平均[±SD]年齢37.3[±15.7]歳、女性20例[53%])、プラセボ群は37例(同38.6[±13.0]歳、13例[35%])であった。 この患者集団における臨床的寛解の達成率は、プラセボ群が11%であったのに比べ、tulisokibart群は32%であり有意に良好だった(群間差:21%ポイント、95%CI:2~38、p=0.02)。とくに注目すべき有害事象は感染症 コホート1と2を合わせた患者集団における有害事象は、tulisokibart群で46%、プラセボ群で43%に発現した。重篤な有害事象は、それぞれ1例(1%)および7例(8%)に認めた。 両群とも5%以上の患者で発現した有害事象としては、COVID-19がtulisokibart群で5例(6%)、プラセボ群で4例(5%)に、潰瘍性大腸炎の悪化がそれぞれ1例(1%)および9例(10%)に認めたのみであった。とくに注目すべき有害事象では、感染症が両群とも16例(18%)で報告された。 著者は、「コホート1では、プラセボ投与後の臨床的寛解の割合が1%と低かったことから示唆されるように、治療抵抗性が高度な患者集団において、このような効果が確認されたことは注目に値する」と述べ、「これらの知見を総合的にみると、TL1Aの遮断は、中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎における新たな作用機序であり、先進治療歴の有無にかかわらず有効であることを示すエビデンスとなる」としている。

4654.

長期的な運動は脂肪の健康的な蓄積に役立つ

 長い間、定期的に運動しているのに、いまだにぽっこりと出たお腹を見て苛立つことはないだろうか。そんな人にとって心強い研究結果が報告された。たとえ腹筋が割れた状態にならなくても、運動によって脂肪の蓄積としてはより健康的な皮下脂肪の蓄積が促進され、長期的には健康に良い影響を及ぼすことが明らかになった。研究論文の上席著者である、米ミシガン大学運動学部運動科学分野のJeffrey Horowitz氏は、「数カ月から数年にわたる定期的な運動は、カロリー消費の手段となるだけでなく、加齢に伴い体重が増加した場合でも、脂肪をより健康的に蓄えることができるように脂肪組織を変化させるようだ」と述べている。この研究の詳細は、「Nature Metabolism」に9月10日掲載された。 この研究では、肥満、または過体重の男女8人ずつで構成された2つのグループが対象とされた。1つのグループは、少なくとも2年間、週に4回以上運動していることを(運動群)、もう1つのグループは定期的な運動をした経験のないことを報告していた(座位群)。Horowitz氏らは、対象者から腹部皮下脂肪組織を採取し、構造や代謝機能を調べて比較した。なお、研究グループによると、腹部は、身体が脂肪を蓄える上で最も健康的な場所と考えられており、皮下脂肪は、臓器の周囲や内部に蓄積された内臓脂肪に比べて健康上の問題を引き起こす可能性が低いという。 その結果、運動群では座位群と比べて、構造的および生物学的な特徴があり、それが脂肪の蓄積能力を高めていることが明らかになった。具体的には、運動群では、毛細血管やミトコンドリアの数、代謝を助ける有益なタンパク質の量が多く、代謝を妨げる可能性のあるコラーゲンの一種(Col6a)の量が少なく、炎症に関与するマクロファージの数も少ないことが示された。 研究グループは、「この結果は、脂肪を最も健康的に蓄積できる場所が皮下脂肪組織であることを踏まえると、重要だ」と話す。なぜなら、運動により皮下での脂肪の蓄積能力が増すことで内臓脂肪を蓄積する必要性が低下し、それが健康リスクの低下につながるからだ。Horowitz氏はこの点について、「これは、たとえ体重が増加しても、余分な脂肪は臓器の周りや肝臓などの臓器自体に蓄積するのではなく、皮下のこの領域(皮下脂肪組織)に、より『健康的に』蓄えられることを意味する」とミシガン大学のニュースリリースの中で述べている。 Horowitz氏はまた、「3カ月間のトレーニングが脂肪組織に与える影響を調べた以前の研究と比較すると、長期にわたって定期的に運動している人と運動をしていない人を対象にした今回の研究では、このような違いがより顕著であることが分かった」とも話している。 研究グループは今後の研究で、運動群と座位群から採取して培養した脂肪組織が、それぞれに異なる機能を持つかどうか、また、脂肪組織やそのサンプル提供者の健康に関連する他の違いがあるかどうかについても調べる予定だと話している。

4655.

体内での金属の蓄積は心血管疾患の悪化をもたらす?

 カドミウムやウラン、コバルトなどの環境中に存在する金属が、人間の体内に蓄積して心血管疾患を悪化させる可能性のあることが、米コロンビア大学のKatlyn McGraw氏らの研究で示唆された。研究参加者から採取された尿検体に含まれるさまざまな金属の濃度上昇に伴い、心血管疾患の重要な要素である硬く石灰化した動脈の指標も上昇することが判明したという。研究結果は、「Journal of the American College of Cardiology」に9月18日掲載された。 McGraw氏は同大学のニュースリリースの中で、「本研究結果から、金属への曝露をアテローム性動脈硬化症と心血管疾患の重要なリスク因子として考慮することの重要性が明らかになった。これが、金属曝露をターゲットにした新たな予防戦略や治療戦略につながる可能性がある」と述べている。 アテローム性動脈硬化とは、動脈の内側に脂肪でできたプラークが蓄積して血管が徐々に硬くなる状態をいう。アテローム性動脈硬化から動脈に不健康なカルシウムの沈着物の蓄積につながることもある。 この研究でMcGraw氏らは、2000~2002年の研究登録時には心血管疾患がなかった米国の6,418人の中高年の大規模データベースを用いて、環境中の有毒な金属への曝露がアテローム性動脈硬化の誘因となっているのかを調べた。参加者から採取された尿検体を用いて、心血管疾患との関連がすでに指摘されている6種類の環境中の金属(カドミウム、コバルト、銅、タングステン、ウラン、亜鉛)の10年間の尿中濃度を測定し、それぞれの金属について、尿中濃度が最も低い群から最も高い群まで4群に分類した。カドミウムについては、一般的にタバコの煙を介しての曝露が多い。一方、他の5種類の金属は、農業用肥料やバッテリー、石油生産、溶接、鉱業、核エネルギー生成に関係している。 その結果、カドミウムの尿中濃度が最も高い群では最も低い群と比べて、冠動脈石灰化レベルが試験開始時点で51%、10年間の観察期間中では75%高いことが示された。同様に、金属の尿中濃度が最も低い群と比べた最も高い群での10年間の冠動脈石灰化レベルは、タングステンでは45%、ウランでは39%、コバルトでは47%高いことも示された。一方、銅と亜鉛に関しても、尿中濃度が最も高い群では、最も低い群と比べて冠動脈石灰化レベルが銅で33%高く、亜鉛で57%高かったが、試験開始時(それぞれ55%と85%の増加)と比べると、増加の幅は縮まっていた。 さらに、尿中の金属濃度が特に高い地域があることも判明した。例えば、ロサンゼルスに住む人では尿中のタングステンとウランの濃度が著しく高く、カドミウム、コバルト、銅の濃度もやや高いことが明らかになった。 McGraw氏は、「公害は心血管の健康にとって最大の環境リスクである。産業活動や農業活動を通じてこれらの金属が環境中に広く放出されていることを考慮すると、今回の研究は、曝露を抑制して心血管の健康を守るために、人々の意識を高め、規制措置を講じる必要性を示しているといえる」と述べている。

4656.

腎臓結石の残存破片の排出には超音波が有効

 腎臓結石は外科的に除去しても半数の患者で小さな破片が腎臓に残ってしまう。こうした患者の約25%では、5年以内に、大きくなった破片を除去する再手術が必要になる。しかし、このような残存破片に対しては、超音波により結石を移動させて体内から排出できる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。このような超音波を用いた処置を受けた患者での再発リスクは、受けなかった患者よりも70%低いことが示されたという。米ワシントン大学医学部の泌尿器科医であるJonathan Harper氏らによるこの研究の詳細は、「The Journal of Urology」に8月14日掲載された。 この研究では、5mm以下の残存結石を持つ成人を、超音波の振動を利用して結石を移動させる治療(超音波推進〔ultrasonic propulsion〕)を受ける群(超音波推進群、40人)と対照群(42人)にランダムに割り付け、5年間での腎臓結石の再発率を比較した。腎臓結石の再発は、結石の成長、結石に関連した緊急診療または手術とした。超音波推進では、患者が覚醒している状態で、医師が超音波プローブを使って破片を尿管(腎臓から膀胱へ尿を運ぶ管)に近付けた。研究グループによると、破片は尿管に近づくと自然に排出される可能性が高いのだという。 その結果、5年間での再発までの平均時間は、超音波推進群で1,530±92日、対照群で1,009±118日であり、前者の方が52%長いことが示された。また、再発したのは治療群では40人中8人、対照群では42人中21人で、超音波推進群での再発リスクは対照群に比べて70%低かった(ハザード比0.30、95%信頼区間0.13〜0.68)。 Harper氏は、「この研究の主なポイントは、結石の破片を体内から排出することで再発リスクが低下すること、そして、そのような破片の排出には、非侵襲的な携帯型超音波装置による治療が効果的であるということだ」と述べている。 Harper氏はワシントン大学のニュースリリースの中で、「超音波推進は、大きな可能性を秘めている。将来的には、歯のクリーニングと同じくらい、一般的な処置になる可能性がある。問題を引き起こす可能性のある小さな結石が体内にある場合には、クリニックを予約して30分程度の処置を受けるだけで済むからだ」と述べ、「これは腎臓結石の治療に革命をもたらす可能性がある」と期待を示している。

4657.

第213回 医療機関に迫る変化と課題、コロナ後の医療構造再編

経営悪化の先にあるもの2024年も残り3ヵ月となり、今春(令和6年度)の診療報酬改定の影響がみえてきました。多くの入院医療機関では、病床稼働率の低下に苦慮しているところが増えているのではないでしょうか?当院でも、近隣の病院でも同様の悩みがあり、コロナ前には一時的な病床稼働率の低下が、冬場に回復する傾向がみられましたが、現在は深刻な影響が続いています。従来の「医師不足」や「看護師不足」による医療崩壊とは異なるものが、新しい形で医療機関に迫っているようです。患者不足の原因まず、医療機関側に原因があると考えられます。今春の診療報酬改定により、急性期一般病床1(旧7:1病床)の平均在院日数が18日以内から16日以内に短縮されました。さらに、医療・看護必要度の見直しも影響しています。急性期病床における「重症度、医療・看護必要度」の評価が変更され、B項目が算定から外れたことや、A項目の「救急搬送後の入院」が、従来の5日から2日に短縮されたことで、急性期病床が絞り込まれました。これにより、軽症患者の早期退院や転院が求められ、結果として入院患者数が減少しています。患者側の原因としては、受療動向の変化が挙げられます。軽度の発熱や呼吸困難で来院した高齢患者は、以前であれば「精査目的」で入院することが一般的でした。しかし、コロナ禍を経て、多くの高齢者は「病院は快適な場所ではなく、長く滞在したい場所ではない」と感じるようになりました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、面会制限や認知症の進行、ADLの低下を経験したことから、病院での不必要な入院を避ける傾向が強まっています。その結果、軽症の肺炎や心不全であっても、入院を希望せず、外来通院での治療を選ぶ患者が増加しています。また、訪問診療の急速な普及も要因の1つです。現在、わが国で訪問診療を受けている患者さんは100万人を超えています(在宅患者が100万人を突破、診療報酬も月1,000億円に[日経メディカル])。とくに重症の末期がん患者などが、在宅での療養を選ぶケースが増えています。地域によっては、人工呼吸器管理が必要な患者でも、訪問診療やサービス付き高齢者住宅では看取り対応が可能となっています。これまで、末期がん患者は症状が悪化すれば入院していましたが、現在は訪問診療や介護サービスを活用して在宅療養を続けるケースが多くなり、入院患者はより治療に特化した重症患者に限られている傾向があります。訪問診療や訪問看護の認知度向上により、急性期医療機関の役割が変わり、外来受診や訪問診療で療養を続ける患者が増加しています。このため、急性期医療機関への入院は難度の高い手術や高額な治療材料を用いたケースに限られるようになり、ADLの低下や嚥下困難など治癒が難しい症例は積極的に院外に移す傾向が強まっています。コロナ禍によって定期受診の間隔が広がったこと、後期高齢者の増加に伴い、大病院への通院や入院患者数の減少傾向が顕著です。2025年の地域医療構想に向けて政府は病床削減に取り組んでいたのが(病床数を最大20万削減 25年政府目標、30万人を自宅に[日経新聞])功を奏したとも言えますが、医療の構造変化のスピードがCOVID-19で早まったため、2025年までに実現を目指していた「地域医療構想」の必要病床数以上に医療ニーズが減少してしまい、大部分の医療機関で患者不足に見舞われたというのが真実の姿ではないでしょうか。今後の展望政府は、後期高齢者の増加と労働人口の減少に向けて、2040年を見据えた「新たな地域医療構想等に関する検討会」を立ち上げ、対策を検討しています。とくに75歳以上の高齢者に対する医療・介護の提供体制が今後の課題です。85歳以上の高齢者に対しては、積極的な手術や高度な医療を控える傾向がみられます。心臓手術の件数も減少し、代わりに低侵襲手術が増加しています。今後も内視鏡やロボット手術などの技術革新により、外来手術が増加し、入院期間が短縮されるものと予想されます。全国に整備されたICUやHCU病床も、コロナ禍以降の稼働率低下が問題となっていますが、今後は外来手術センターの設立や回復期への早期転院によって、必要な病床数がさらに減少し、病床再編が求められるでしょう。中小規模の病院では、従来の急性期医療にこだわらず、地域包括医療病棟などへの転換が進むと考えられます。また、政府が進める医療と介護の連携強化が重要となり、病院間の情報共有をデジタル化することで業務効率化が求められます。一般の開業医にとっても、今後、高齢者の歩行能力が低下してしまうと在宅での生活や通院が困難となり、さらに人口の高齢化が進んでいる場合、外来患者数の減少が進むため、新しい患者の獲得のためには、訪問診療の提供や施設などとの連携が必要になると思われます。参考1)在宅患者が100万人を突破、診療報酬も月1,000億円に(日経メディカル)2)自宅でのみとり急増 緊急事態宣言境に、終末期医療も 受診控え、面会制限影響か・慈恵医大など(時事通信)3)増える「老衰」「在宅みとり」人生の最期どう迎えるか(NHK)4)病床数を最大20万削減 25年政府目標、30万人を自宅に(日経新聞)5)新たな地域医療構想等に関する検討会(厚労省)

4658.

第78回 4種類あるエラーバーについて【統計のそこが知りたい!】

第78回 4種類あるエラーバーについて医学論文や医薬品の添付文書の図に、薬剤の血漿中薬物濃度の平均の推移が時間軸に沿って示されているのをよく目にすると思います。図1のように、ある薬剤の血漿中薬物濃度は投与後に上昇し、徐々に低下していくことがよくわかります。ここで注目してほしいのは、平均の上下に示されているエラーバーです。これが誤差を表していることは分かりますが、その正確な意味は何でしょうか。図1は平均±標準偏差との注記がありますので、標準偏差を誤差として示していることがわかりますが、エラーバーは標準偏差だけではありません。図1 単回投与したときの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)■エラーバーの種類エラーバーは誤差の程度を表すためのもので、主に以下の4つが使い分けられます。±標準偏差(SD:standard deviation)±標準誤差(SE:standard error)95%信頼区間(CI:confidence interval)パーセンタイル(percentile)これらには、標準偏差、95%信頼区間、標準誤差の順にエラーバーの幅が狭くなるという性質があります。■標準偏差標準偏差はデータのばらつきを示す指標です。mean±SDは平均±標準偏差のことで、平均と標準偏差から集団の特徴を表したものです。データが正規分布に従うことがわかっている場合、mean±SDの範囲にデータの約68%が収まり、mean±2×SDの範囲に約95%、mean±3×SDの範囲にデータの約100%が収まります(図2)。図2 標準偏差のデータのばらつきを示すグラフ例エラーバーに標準偏差を適用するのは、標本データが、どのような特徴をもっているのかを記述したいときになります。■標準誤差標準誤差は、母集団から抽出されたサンプルの標本平均を求める場合、「標本平均の値が母平均に対してどの程度ばらついているか」を表すものです。次の計算式のように標本標準偏差÷サンプルサイズの平方根で算出され、サンプルサイズが大きくなるほど標準誤差は小さな値になります。エラーバーに標準誤差を適用するのは、母集団の推定量のバラツキ(=精度)を表したいケースです。■95%信頼区間95%信頼区間は、「平均±1.96×標準誤差」で算出されます。信頼度95%とは、標本調査を100回行ったら、標本平均が信頼区間の幅に収まることは95回、外れることは5回あるということです。信頼区間は信頼度95%で求めるのが通常ですが、信頼度99%で求めることもあります。信頼度95%の信頼区間を「95%CI」、信頼度99%の信頼区間を「99%CI」と言います。95%信頼区間が、臨床研究では最もよく用いられています。論文では、ハザード比やオッズ比、リスク比などの解析でよく目にするのではないでしょうか。図3は、ある抗がん剤併用群とプラセボ群を比較し、OS(Overall Survival:全生存期間)を表していますが、ハザード比の95%信頼区間が1.0を含んでいないので、併用群優位(有意差あり)と判断することができます。このように、臨床研究は1回しか行われていませんが、同様の研究を複数回実施したと仮定した場合、統計的に取り得る値を、95%信頼区間の幅をエラーバーで示しています。図3 OSの解析結果■パーセンタイル臨床検査値などの場合、中性脂肪や尿中アルブミンなどは、とびぬけて高い値(外れ値)をとる場合があります。このように外れ値があるデータは、正規分布の当てはまりが悪いので、平均±標準偏差ではなく、25パーセンタイル(第1四分位点)から75パーセンタイル(第3四分位点)までの範囲(四分位範囲)で示すことがあります。パーセンタイル値は、データを大きい方から順に並べて100個に区切り、小さい方からどの位置にあるかを示します。つまり、50パーセンタイルは、「小さいほうから50/100のところにあるデータ(中央値)」という位置を示す用語です。なお、「パーセンタイル」は百分率の「パーセント」とは異なります。パーセントは、率を表し、たとえば50%は「半数」という全体に占める割合を示します。データのばらつきを表すために、最大値、第3四分位点、中央値、第1四分位点、最小値を「箱」と「ひげ」で表した、箱ひげ図もよく用いられます(図4)。図4 データのばらつきを示す「箱ひげ図」エラーバーに四分位範囲を適用するのは、このように、データに外れ値がある場合には、外れ値の影響を受けにくいからです。以上のように、エラーバーには、±標準偏差、±標準誤差、95%信頼区間、パーセンタイルの4つが使い分けられているので、論文を読む際にはエラーバーが何で示されているかを確認することが大切になります。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第1回 「標準偏差」と「標準誤差」の使い分けは第3回 エラーバーはいつも対称とは限らない第6回 パーセンタイルと四分位範囲

4659.

掌蹠角化症〔PPK:palmoplantar keratoderma〕

1 疾患概要■ 概念・定義掌蹠角化症は、手掌と足底の高度な過角化を主な臨床症状とする疾患群である。主として遺伝的素因により生じるが、非遺伝性の病型もある。掌蹠角化症の中には、掌蹠角化症の皮膚症状に加えて、がんあるいは他臓器の異常を伴うまれな遺伝性疾患も存在し、このような疾患群は掌蹠角化症症候群と呼ばれる。これらの合併症が重篤になると生命予後が悪化する。臨床所見ならびに病理組織像の検討のみから病型を決定するのは困難な場合が多く、遺伝歴の詳細な聴取、最終的には遺伝子変異の同定が必要となる。■ 疫学長島型掌蹠角化症の頻度は、日本および中国ではそれぞれ1万人当たり1.2人ならびに3.1人と見積もられている。ボスニア型掌蹠角化症の頻度はスウェーデンの北部(ボスニア湾沿岸地域)で、一般人口当たり0.3~0.55%(1万人当たり30~55人)と報告されている。筆者らは、2015年に掌蹠角化症の患者数についての全国1次アンケート調査を行った。全国の500床以上の病院の皮膚科ならびに小児科にアンケート用紙を送付して掌蹠角化症全国疫学調査を施行した。この調査では、過去5年間に期間を限定し、掌蹠角化症患者の家系の数、患者数を回答してもらうようにした。型が明らかな家系についてはそれぞれの型の家系の数、患者数の記載を依頼した。また、自由記載欄も設け、アンケート調査についての感想・要望などを記載も求めた。全国690施設の皮膚科ならびに小児科にアンケート用紙を送付した。うち325施設より回答を得た。病型が明らかな家系は113家系、患者数は147例(人口100万人当たり1.2人)であった。約9割は大学病院にて診断されていた。人口100万人当たりの患者数でみると、青森県が最多で、100万人当たり30.6人であった。■ 病因掌蹠角化症を構成するそれぞれの疾患は、大部分が遺伝性疾患である。原因遺伝子に遺伝子変異が生じることにより個々の疾患が引き起こされる。現在、個々の疾患の遺伝子変異は(掌蹠角化症を構成する)大多数の疾患において同定されている。■ 症状手掌と足蹠の過角化が存在する。過角化の程度や罹患部位は、個々の病型により異なる。過角化の状態も病型によりさまざまである。過角化の臨床症状に加え、手掌と足蹠の潮紅を伴う病型(わが国では最も多い病型である長島型掌蹠角化症)もある。■ 分類日本皮膚科学会作成の「掌蹠角化症診療の手引き」では、(1)びまん性角化を示す掌蹠角化症、(2)限局型・先天性爪甲肥厚症・線状・点状掌蹠角化症、(3)掌蹠角化症症候群の3群に分類している。びまん性角化を示す掌蹠角化症には8疾患、限局型・先天性爪甲肥厚症・線状・点状掌蹠角化症には9疾患、掌蹠角化症症候群には22疾患が含まれている。■ 予後びまん性角化を示す掌蹠角化症、限局型・先天性爪甲肥厚症・線状・点状掌蹠角化症は、生命予後は良い。掌蹠角化症症候群のうち、がん、拡張型心筋症を合併するものがあり、これらの疾患を合併すると予後不良である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)図の病型診断アルゴリズムにしたがって、おおよその病型の見当を付ける。これは外来において視診で行える。Transgrediensとは、掌蹠を超えて、指趾背側や手首、足首、アキレス腱部にまで皮疹が拡大していることである。日本皮膚科学会の掌蹠角化症診療の手引きを参考にすると、調べるべき原因遺伝子が判明する。上記の臨床的診断に引き続いて、患者より採血を行い、白血球よりDNAを抽出、病型の原因遺伝子の塩基配列を決定する。病因遺伝子変異を同定することが出来れば、病型が診断できる。可能であれば、家族の遺伝子変異同定も診療上非常に有益である。。家系図を描くことができれば、遺伝形式が判明し、確定診断に役立つとともに、患者ならびに家族に対して遺伝カウンセリングを行うことができる。図 (遺伝性・非症候性)掌蹠角化症の病型診断アルゴリズム画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)掌蹠角化症は症例数が少なく、大規模な治験が不可能である。そのためエビデンスレベルの高い治療法は確立されていない。現在、有効とされている治療法は、症例報告に基づくものである。1)外用療法サリチル酸ワセリンや尿素軟膏などの角質溶解剤の塗布やカルシポトリオール含有軟膏の塗布を行う。2)皮膚切削術コーンカッター、長柄カミソリ、生検用パンチ、眼科剪刀などを用いて肥厚した角質を除去する。3)内服療法レチノイド内服を行う。ただし、この薬剤には催奇形性があるので、妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与してはならない。また、エトレチナートに対し、過敏症の既往歴のある患者、肝障害のある患者、腎障害のある患者、ビタミンA製剤投与中の患者、ビタミンA過剰症の患者には禁忌である。エトレチナートを処方するときには、処方のたびに所定の様式の文書での同意を得る。4)合併症に対する治療絞扼輪や皮膚がんなどの合併症に対しては早期発見に留意し、外科的に対処する。難聴、食道がん、歯周病、心筋症、真菌症、細菌感染症などの合併症に対しては専門医に治療を依頼すると同時に適切な抗真菌薬や抗生物質の投与などを行う。5)患者自身によるケア掌蹠に亀裂ができて疼痛をともなう場合、長柄カミソリなどを用いて、角質を削り、就寝時にワセリンを使用して密封療法(ODT)を行う。掌蹠の亀裂がなくなり、疼痛がやわらぐ。4 今後の展望核酸医薬低分子干渉RNA(siRNA)を用いる治療法も報告されている。KRT6A遺伝子に対するsiRNAを用いて、培養ヒト表皮角化細胞とマウスの皮膚におけるケラチン6aタンパク質の発現を抑制したという報告もある。この治療法は、先天性爪甲厚硬症患者にも使用されており、将来実行可能な方法であるがいまだ明らかになっていない部分もある。リードスルー薬を治療に用いたという報告もある。5例の長島型掌蹠角化症の患者に対してリードスルー薬としてゲンタマイシンを使用して有効であったという報告もあるが、報告例が少なく現時点ではその有効性についての結論は出ていない。ただ、ゲンタマイシンは安全かつ簡便に使用が可能で、本症以外の疾患でも効果が期待されているので、将来有望な治療薬であろう。5 主たる診療科皮膚科、小児科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 掌蹠角化症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)掌蹠角化症診療の手引き(医療従事者向けのまとまった情報)公開履歴初回2024年10月14日

4660.

いよいよ多変量解析 その1【「実践的」臨床研究入門】第48回

対数変換を行い、新たな変数を作成する前回まで、仮想データ・セットを用い、無料の統計解析ソフトであるEZR(Eazy R)の操作手順も交えて、変数の型とデータ・セット記述方法の使い分け(連載第46回参照)、表1(患者背景表)の作成方法(連載第47回参照)について解説しました。今回からは、いよいよ多変量解析の実践的な手法について、EZR(Eazy R)の操作手順を含めて解説していきたいと思います。これまでに、われわれのResearch Question(RQ)の交絡因子として下記の要因を挙げることにしました(連載第45回参照)。年齢、性別、糖尿病の有無、血圧、eGFR、蛋白尿定量、血清アルブミン値、ヘモグロビン値これらの要因のうち、蛋白尿定量(UP)は連続変数データですが、その分布は右に裾を引いたような歪んだ分布であることを、ヒストグラム(度数分布図)を描いて示しました(連載第46回参照)。このような分布が歪んだデータは、対数変換を行って正規分布に近似させることができます。多変量解析において、対数変換は重要な前準備の1つです。変数を必要に応じて対数変換することにより、外れ値の影響を減らし多変量解析モデルが安定化する、などの意義があります。ここでは、EZRを用いて1.対数変換を実行2.新たな変数を作成3.対数変換後のデータ分布を比較する方法について説明します。はじめに、オリジナルの仮想データ・セットを以下の手順でEZRに取り込みます。仮想データ・セットをダウンロードする※ダウンロードできない場合は、右クリックして「名前をつけてリンク先を保存」を選択してください。「ファイル」→「データのインポート」→「Excelのデータをインポート」次に「アクティブデータセット」→「変数の操作」→「連続変数を対数変換する」を選択そうすると下記のポップアップウィンドウが開きます。「変数(1つ以上選択)」では「UP」を選択します。「対数変換の底」は「自然対数(底はe)」を選んでください(詳細は省略しますが、生物統計学の領域では常用対数より自然対数を用いることが多いようです)。「新しい変数名または複数の変数に対する接頭文字列」には、たとえば「Loge_UP」と入力してみましょう。そして、「OK」ボタンをクリックすると、下図の出力ウィンドウで、新しい変数として「Loge_UP」が作成されたことが示されます。Rコマンダーの画面(下図)からデータセットの「表示」をクリックし、「Loge_UP」が追加されたことも確認してみてください。それでは、歪んだ分布であったUPを対数変換したLoge_UPのヒストグラムをEZRの以下の手順で比較してみましょう(連載第46回参照)。「グラフと表」→「ヒストグラム」を選択下記のポップアップウィンドウが開きますので、「変数(1つ選択)」はそれぞれ「UP」と「Loge_UP」を、「群別する変数(0~1つ選択)」は「treat」を指定してください。その他はデフォルト設定のままで「OK」をクリックしてみましょう。画像を拡大する下のようなUP、Loge_UPのヒストグラム(比較群分けごと)が描けたでしょうか。右に裾を引いたような歪んだUPの分布が、対数変換(Loge_UP)することにより正規分布に近似したものとなりました。画像を拡大する

検索結果 合計:35646件 表示位置:4641 - 4660