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子供の睡眠時間の目安は?

子供の睡眠時間の目安⚫ 睡眠時間の不足によって、肥満のリスクが高くなること、抑うつ傾向が強くなること、学業成績が低下すること、幸福感や生活の質(QOL)が低下することが報告されています⚫ 朝は太陽の光を浴びて、朝食をしっかり摂り、日中は運動をして、夜ふかしの習慣化を避けるようにしましょう年齢別の推奨睡眠時間1~2歳児3~5歳児小学生中学生高校生11~14時間10~13時間9~12時間8~10時間夜ふかしを習慣化させないために…日中はからだを動かし、スクリーンタイムはほどほどに朝起きたら日光浴を••乳幼児期は朝起きる時間を決め、カーテンを開けて部屋を明るくしましょう小学生以降は登校時や学校で日光を十分に浴び、休日もできるだけ普段と同じ時間に起床しましょう•小・中・高校生は1日当たり60分以上からだを動かし、スクリーンタイムは2時間以下にすることが推奨されています出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」Paruthi S, et al.J Clin Sleep Med. 2016;12:785-786.Copyright © 2024 CareNet,Inc. All rights reserved.

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第215回 新型コロナ5類移行後も死者3万人超、インフルエンザの15倍、高齢者に脅威/厚労省

<先週の動き>1.新型コロナ5類移行後も死者3万人超、インフルエンザの15倍、高齢者に脅威/厚労省2.医師臨床研修マッチング、大学病院離れが加速、地方志向強まる/厚労省3.心臓移植、余命1カ月の患者を最優先へ 待機期間中の死亡減目指す/厚労省4.第50回総選挙、医師資格保持者17人が議席獲得5.がん予防の細胞療法で重症感染症 都内クリニックに停止命令/厚労省6.根拠不明の薬でがん患者死亡 遺族が自由診療のクリニックを提訴/大阪1.新型コロナ5類移行後も死者3万人超、インフルエンザの15倍、高齢者に脅威/厚労省新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が5類感染症に移行して以降も、死者数は依然として高い水準にあることが判明した。厚生労働省の人口動態統計によると、2023年5月~2024年4月までの1年間で、COVID-19による死者は計3万2,576人に上り、季節性インフルエンザの約15倍に達した。死亡者の大部分は65歳以上の高齢者で、全体の約97%を占めていた。男女別では男性が1万8,168人、女性が1万4,408人と、男性の方が多い傾向がみられた。専門家は、COVID-19が次々と変異を繰り返して高い感染力を持つ一方で、病原性はあまり低下していないことが、高齢者を中心に多くの死亡者が出ている原因だと指摘している。COVID-19の5類移行に伴い、行動制限などは解除されたが、感染拡大防止に向けた個々人の意識が重要となる。東北大学の押谷 仁教授(感染症疫学)は、「大勢が亡くなっている事実を認識し、高齢化社会の日本で被害を減らすために何ができるのかを一人一人が考えないといけない」と訴えている。押谷教授は、社会経済活動を維持しながら死亡者数を減らすためには、「高齢者へのワクチン接種や高齢者施設における検査などの費用を国が負担すべきだ」と指摘している。参考1)コロナ死者年間3万2千人 5類移行後、インフル15倍 高齢者ら今も脅威 冬の流行、専門家懸念(東京新聞)2)新型コロナ死者、年間3万2,576人 5類移行後、インフルの15倍(毎日新聞)3)コロナ死者年間3万2,000人超 5類移行後、インフルの15倍 高齢者らには今も脅威(産経新聞)2.医師臨床研修マッチング、大学病院離れが加速、地方志向強まる/厚労省2024年度の医師臨床研修マッチングの結果が10月24日に発表され、地方での研修を希望する医師が増加傾向にある一方、第1希望の研修プログラムへのマッチ率が前年度より低下したことが明らかになった。厚生労働省によると、マッチングに参加した医学生は1万136人で、うち9,868人が希望順位表を登録した。研修先がマッチングしたのは9,062人で、マッチ率は91.8%。研修先は、市中病院が64.7%、大学病院が35.3%と、市中病院での研修を希望する医師が大多数だった。また、地方病院での研修希望も増加傾向にあり、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、福岡県の6都府県を除く41道県でのマッチ率は60.1%で、前年度より1.1ポイント増加した。その一方で、第1希望の研修プログラムにマッチした人の割合は62.5%で、前年度より1.8ポイント減少した。第3希望までにマッチした人は88.7%で、こちらも前年度より1.0ポイント減少した。マッチングの結果、大学病院本院で定員充足率が100%となったのは19大学であり、とくに関西医科大学は10年連続、昭和大学は9年連続でフルマッチを達成していた。そのほか、自大学出身者のマッチ割合が高い大学も多く、金沢医科大学、旭川医科大学など9校では、マッチ者の全員が自大学出身者だった。参考1)令和6年度の医師臨床研修マッチング結果をお知らせします(厚労省)2)2025年4月からの医師臨床研修、都市部6都府県「以外」での研修が60.1%、大学病院「以外」での研修が64.7%に増加-厚労省(Gem Med)3)医師臨床研修マッチング、63%が第1希望に内定 前年度比1.8ポイント減 厚労省(CB news)4)市中病院にマッチした医学生は64.7% マッチング最終結果、フルマッチは19校(日経メディカル)3.心臓移植、余命1カ月の患者を最優先へ 待機期間中の死亡減目指す/厚労省心臓移植を希望する患者の待機期間が長期化する中、厚生労働省は10月23日、余命1ヵ月以内と予測される60歳未満の患者を最優先に対象とする新たな方針を決定した。従来の心臓移植の優先順位は、血液型や体重、人工心臓の装着の有無などを基準とし、条件が同じ場合は待機期間が長い患者が優先されていた。しかし、医療技術の進展により、約7割の患者が同じ優先枠で待機できるようになり、より切迫した緊急性が考慮されない状況だった。このため、病状が悪化しても待機順位が上がらず、移植を受けられないまま死亡するケースも少なくなかった。新たな方針では、余命1ヵ月以内と予測される60歳未満の患者を最優先枠に設定し、待機期間中の死亡を減らすことを目指す。対象となる患者は、日本循環器学会に設置される専門部会が審査を行う予定。また、厚労省では、心臓移植以外の臓器移植についても、優先順位の見直しを進める方針。一方、臓器提供者側の対応については、あっせん機関である日本臓器移植ネットワークの業務を分割し、ドナー家族への対応などを新組織や医療機関の院内コーディネーターに委嘱する体制見直し案も提示された。参考1)心臓移植「余命1ヵ月最優先」 厚労省、待機中の死亡減目指す(毎日新聞)2)緊急性の高い患者に心臓移植を 厚労省、優先順位の基準見直しへ(朝日新聞)3)心臓移植 緊急度の高い患者に優先枠 厚労省の専門委が承認(NHK)4)心臓移植断念、5年で34人 待機長期化、緩和医療を選択 切迫患者を最優先の動き(産経新聞)4.第50回総選挙、医師資格保持者17人が議席獲得第50回衆議院議員総選挙で、医師資格を持つ候補者36人が立候補し、そのうち17人が当選を果たした。自民からは6人が当選し、維新は5人、立民から4人、公明と国民民主からは各1人ずつが議席を獲得した。残る19人は惜しくも落選となり、選挙戦を制することはできなかった。注目の当選者には、立憲民主党の阿部 知子氏(神奈川12区)がおり、医師資格保持者の中で最多の9回目の当選となった。また、日本維新の会から立候補した梅村 聡氏(大阪5区)は、参議院議員から鞍替え出馬での立候補で、衆議院への転身が実現した。無所属で立候補した三ツ林 裕巳氏(埼玉13区)は、自民党からの公認が得られず落選という結果になった。今回の選挙では、前回の第49回衆院総選挙の当選者は12人に比べて、医師資格保持者が17名と増加したことが特徴的で、医療や福祉政策への関心の高まりが反映されているとみられる。【医師資格を持つ今回の当選者】国光 文乃:自民 比例当選/新谷 正義:自民 比例当選/今枝 宗一郎:自民 愛知14区/松本 尚:自民 千葉13区/安藤 高夫:自民 比例当選/仁木 博文:自民 徳島1区/岡本 充功:立民 愛知9区/中島 克仁:立民 山梨1区/阿部 知子:立民 神奈川12区/米山 隆一:立民 新潟4区/沼崎 満子:公明 比例当選/梅村 聡:維新 大阪5区/伊東 信久:維新 大阪19区/猪口 幸子:維新 比例当選/阿部 圭史:維新 比例当選/阿部 弘樹:維新 比例当選/福田 徹:国民 愛知16区(敬称略)5.がん予防の細胞療法で重症感染症、都内クリニックに停止命令/厚労省東京都内のクリニックで再生医療を受けた患者2人が重大な感染症を発症し、厚生労働省が当該医療機関に医療提供一時停止の緊急命令を出した事態を受け、一般社団法人再生医療安全推進機構は10月27日、厚労省に再生医療政策の見直しを求める陳情書を提出した。10月25日、厚労省は、医療法人輝鳳会が運営する「THE KCLINIC」(東京都中央区)で、がん予防を目的とした自由診療の細胞療法を受けた患者2人が、重大な感染症で入院したと発表した。2人は「NK細胞」と呼ばれる細胞の加工物の投与を受けており、その細胞加工物から感染症の原因とみられる微生物が確認された。厚労省は、再生医療安全性確保法に基づき、同クリニックと、NK細胞の培養を行った「池袋クリニック培養センター」(東京都豊島区)に対し、同様の再生医療の提供などを一時的に停止させる緊急命令を出した。同機構は、この事件を受け、自由診療下における再生医療ビジネスの増加と、医療機関内での細胞培養加工の安全性に対する懸念を表明。厚労省に対し、再生医療政策の抜本的な見直しを求める陳情書を提出した。陳情書では、臨床現場のニーズを反映した政策立案、審査ガイドラインの策定、法規制の更新、監視体制の強化などを求めている。とくに、医療機関内で行う細胞培養加工施設の運用基準の明確化、細胞外小胞を用いた治療など、法規制の枠外にある再生医療に対する規制強化を訴えている。同機構は、今回の陳情を機に、再生医療の安全性確保と健全な発展に向けた議論が深まることに期待を寄せている。参考1)再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づく緊急命令について(厚労省)2)再生医療政策の抜本的見直しを求める陳情書を厚生労働省に提出(PR TIMES)3)再生医療後に重大な感染症で2人が入院 厚労省、医院に医療提供一時停止の緊急命令(産経新聞)4)再生医療で重大な感染症 医療提供一時停止の緊急命令 厚労省(NHK)6.根拠不明の薬でがん患者死亡 遺族が自由診療のクリニックを提訴/大阪大阪市内のクリニックで「がん細胞が死ぬ」と勧められた自由診療の薬を投与された後、容体が悪化し死亡した男性の遺族が、クリニックの院長を相手取り、損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。訴状によると、男性は2021年4月、前立腺または精嚢がんと診断され、一般病院で抗がん剤治療を受けながら、並行してクリニックで自由診療を受けていた。クリニックの院長は、公的医療保険が適用されない自由診療の薬を「アメリカ製の治療薬で、日本製よりパワーがある」と勧め、男性は「ガスダーミンE」という薬の点滴を受けることにした。しかし、点滴投与後、男性の容体は悪化。その後、院長から「『ガスダーミンE』ではなく『ガスダーミンRNA』を投与していた」と告げられたが、明確な説明はなく、男性は2022年4月、がん性腹膜炎で死亡した。遺族は、院長が十分な説明をせず正体不明の薬を投与し、病状を悪化させたとして、935万円の損害賠償を求めている。治療の同意書はみつかっておらず、遺族は「ずさんな対応」と訴えている。一方、院長は「納得の上で同意を得ていたが、同意書は作成していなかった。使った薬はガスダーミンEで間違いなかった」と反論している。専門家は、自由診療は科学的根拠が不十分な場合が多く、高額な費用がかかるにもかかわらず、効果が保証されない点に注意が必要だと指摘している。参考1)がん自由診療2日後に容体悪化、半年後に死亡…「副作用説明なかった」遺族が医師を提訴へ(読売新聞)2)「『がん細胞が死ぬ』と勧められた自由診療の薬で容体悪化」死亡した男性の遺族がクリニック院長を提訴(読売テレビ)3)提訴:「がん細胞死ぬ」点滴後死亡 自由診療クリニック 遺族が提訴へ(毎日新聞)

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事例010 外来・在宅ベースアップ評価料(I)の査定【斬らレセプト シーズン4】

解説初診の患者に対して「O100 外来・在宅ベースアップ評価料(I)」(以下「同評価料(I)」を算定したところ、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)が適用されて査定になりました。「同評価料(I)1初診時」は、「主として医療に従事する職員の処遇改善を進める医療機関が、施設基準を満たしていると届出ている場合、初診を行った場合に算定ができる」と記載されています。健康診断後の精査にかかる初診であっても、初診を行った場合にあたると考えられるので算定は可能としていました。査定理由を調べるために、診療報酬点数表を読み返してみました。同評価料(I)1の留意事項(2)に、「A000初診料(中略)を算定した日に限り、1日につき1回算定できる」とあります。今回の事例は健診後の精査受診です。初診料の算定は認められません。初診料の算定が伴う同評価料(I)は算定できないことがわかります。「初診」と「初診料」の言葉の違いが明確に示された査定でした。同評価料(1)2再診時や、同評価料(1)3訪問診療時にも同様の留意事項が示されています。再診即時入院の場合は同評価料(1)2再診時が算定可能と通知が発出されています。同日に異なった診療科で関連の無い傷病を診察したときに認められる「A000 注5 2つ目初診料(複初)」の場合の通知はみつかりませんでした。これらの解釈を院内周知して査定対策としています。

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携帯電話の頻用で、CVDリスクが高まる

 携帯電話を頻用することで睡眠障害と心理的ストレスが高まり、心血管疾患(CVD)リスク増加につながる可能性があることが、新たな研究で示された。中国・広州の国立腎臓病臨床研究センターのYanjun Zhang氏らによる本研究は、The Canadian Journal of Cardiology誌オンライン版2024年7月22日号に掲載された。 研究者らは50万例以上が参加する大規模コホートである英国バイオバンクのデータを用い、CVDの既往歴のない44万4,027例を対象とした。携帯電話の定期的な使用は、少なくとも週1回の通話・受信と定義した。携帯電話の使用時間は、過去3ヵ月間の週平均(5分未満、5〜29分、30〜59分、1〜3時間、4〜6時間、6時間以上)を自己申告によって得た。主要評価項目は新規CVD(冠動脈性心疾患[CHD]、心房細動[AF]、心不全[HF]の複合)発症、副次評価項目は新規脳卒中、個別のCHD、AF、HF発症、および頸動脈内膜中膜厚(cIMT)発症 だった。 睡眠パターン、心理的ストレス、神経症の役割を調査するために媒介分析を行った。睡眠スコアは睡眠時間、不眠症、いびきなどの情報から過去の研究に基づいて推定、心理的ストレスの評価にはPHQ-4を使用した。ベースライン時の性別、年齢、居住地域、世帯収入、アルコール摂取、喫煙、身体活動、服薬などの共変量の情報を、アンケートまたはインタビューで収集した。 主な結果は以下のとおり。・平均年齢は56.1歳で、男性19万5,623人(44.1%)であった。携帯電話常用群は若年層、現喫煙者、都市在住者の割合が高く、高血圧と糖尿病の既往歴がある人の割合が低かった。・追跡期間中央値12.3年で5万6,181例(12.7%)がCVDを発症した。携帯電話常用群は非常用群と比較して、新規CVDリスクが有意に高く(ハザード比:1.04、95%信頼区間[CI]:1.02~1.06)、cIMTの増加も認められた(オッズ比:1.11、95%CI:1.04~1.18)。・常用群における週当たりの使用時間は、とくに現喫煙者(交互作用のp=0.001)および糖尿病患者(p=0.037)において、新規CVDリスクと正の相関関係を示した。・週当たりの使用時間と新規CVD発症との関係のうち、5.11%は睡眠パターン、11.5%は心理的ストレス、2.25%は神経症が媒介していた。 研究者らは、「携帯電話の週当たりの使用時間は、新規CVDリスクと正の相関関係にあった。これは睡眠不足、心理的ストレス、神経症によって一部を説明できる」としている。

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日本人の産後うつ病、10年間にわたる男女の軌跡

 周産期うつ病は、妊娠中および産後において、女性だけでなく男性にも影響を及ぼす重大な懸念事項である。母親の産後うつ病は、広く研究されている。しかし、父親のうつ病は、有病率も高く、家族のウェルビーイングへの影響があるにもかかわらず、十分に研究が行われてこなかった。横浜国立大学の久保 尊洋氏らは、10年間にわたる日本の周産期および産後うつ病の軌跡を推定し、母親および父親におけるうつ病の相互影響を考慮したうえで、各軌跡での産後うつ病の症状を特定するため、本研究を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2024年9月30日号の報告。 対象は、789組のカップル。出産前、産後5週目、産後3ヵ月目、6ヵ月目、1年後および以降毎年の抑うつ症状を評価するため、エジンバラ産後うつ病質問票を用いた。並行プロセス潜在クラス成長分析を用いて、対象者の抑うつ症状のパターンに従ってグループ化を行った。 主な結果は以下のとおり。・母親と父親の抑うつ症状の軌跡により、データに最も適合し、有益であった4つの軌跡が特定された。母親と父親の抑うつ症状悪化:6.5%母親は軽度、父親は中程度の抑うつ症状:17.2%母親は重度、父親は軽度の抑うつ症状:17.9%母親、父親共に軽度の抑うつ症状:58.4%・分散分析では、無快楽症、不安、うつ病のサブスケール全体で、クラスと親の相互作用が顕著であることが示唆され、抑うつ症状の明確なパターンが示唆された。・周産期うつ病は、重症度にかかわらず、妊娠中から認められることが多かった。・男性は、援助を求めにくいため、出産後にストレスを受けやすくなる可能性が示唆された。・母親の不安および抑うつ症状は、出産後10年間において高レベルであった。 著者らは「各カップルのニーズに対応するには、カスタマイズされたメンタルヘルスプログラムやエジンバラ産後うつ病質問票を用いたユニバーサルスクリーニングが推奨される。親の長期的な抑うつ症状の軌跡を理解し、家族のウェルビーイングやレジリエンスを向上させるための包括的なサポートが求められる」としている。

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医師の働き方改革後、小児・救急などで実際に縮小・撤退/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、定例会見を開催。はじめに松本氏が「財政制度等審議会財政制度分科会の議論を受けて」をテーマに医師会の考え方などを説明した。その中で、「財務省などの試案では、さらなるコストカットが示されているが、すでにその施策も現場では限界に来ていること、この12年間で医療従事者は賃金が抑えられていること、また、新型コロナ以後も患者は戻っておらず、関連の補助金もカットされたことで全国の診療所などは厳しい経営状況にあること」を説明した。松本氏は「今後も政府や関係省庁へ地域の安全を担保するインフラである医療や医療産業の充実のために財政上の手当てを要望する」と語った。改革後は小児医療、救急医療、手術、宿日直などで大きな影響 「『医師の働き方改革と地域医療への影響に関する日本医師会調査』(制度開始後調査)の結果について」をテーマに、担当常任理事の城守 国斗氏(医療法人三幸会 理事長)がアンケート調査の結果について説明した。 この調査は、4月に施行された改正医療法(いわゆる「医師の働き方改革」)の前後で、医師会所属の医療機関に行ったもので、調査は2024年8月20日~9月2日に全国の1万4,216施設で実施された。回答施設数は4,082施設(回答率28.7%)だった(前回調査の回答施設数は3,574施設)。 「自院の医療提供体制における影響」では、「管理者(病院長)の業務負担が増加している」(27.3%)、「手術件数が減少している」(10.8%)、「外来診療体制の縮小を行っている」(5.3%)の順で多かった。【制度開始直前調査より影響が小さくなっている項目】(1)管理者の業務負担の増加について 制度開始前は「増加する可能性がある」(36.5%)だったものが、制度開始後に「増加した」は27.3%だった。(2)教育指導体制 制度開始前に「維持できなくなる可能性がある」(8.9%)だったものが、制度開始後に「維持できなくなっている」は4.1%だった。(3)周産期医療体制 制度開始前に「縮小・撤退を検討している」(1.9%)だったものが、制度開始後に「縮小・撤退を行っている」は1.8%だった。【制度開始直前調査より影響が大きくなっている項目】(4)小児医療体制 制度開始前に「縮小・撤退を検討している」(1.8%)だったものが、制度開始後に「縮小・撤退を行っている」は2.3%だった。(5)救急医療体制 制度開始前に「縮小・撤退を検討している」(4.3%)だったものが、制度開始後に「縮小・撤退を行っている」は5.3%だった。(6)手術件数 制度開始前に「減少する可能性がある」(9.8%)だったものが、制度開始後に「減少している」は10.8%だった。(7)宿日直体制 制度開始前に「縮小・撤退を検討している」(6.2%)だったものが、制度開始後に「縮小・撤退を行っている」は8.2%だった。(8)外来診療体制 制度開始前に「縮小・撤退を検討している」(7.1%)だったものが、制度開始後に「縮小・撤退を行っている」は9.3%だった。【医師の派遣・受け入れの状況:派遣している医療機関(672施設)】(1)医師の引き揚げによる影響 制度開始前に「引き揚げる医師数が昨年より増加している」(8.8%)だったものが、制度開始後に「引き揚げる医師数が増加する見込み」は8.5%と減少した。(2)宿日直の応援医師の派遣 制度開始前に「応援医師派遣を制限する事例が昨年より増加している」(7.0%)だったものが、制度開始後に「応援医師派遣を制限する事例の増加が見込まれる」は9.5%と減少した。【医師の派遣・受け入れの状況:受け入れている医療機関(2,927施設)】(1)医師の引き揚げによる影響 制度開始前に「引き揚げにより昨年より医師数が減少している」(11.2%)だったものが、制度開始後に「引き揚げにより昨年より医師数が減少してする見込み」は15.6%と増加した。(2)宿日直の応援医師の派遣 制度開始前に「宿日直の応援医師の確保が昨年より困難」(21.6%)だったものが、制度開始後に「宿日直の応援医師の確保が昨年より困難になることが見込まれる」は23.9%と微増した。【宿日直許可の取得状況】 有床診療所(1,122施設)では「宿日直許可の取得は検討していない」が63.5%、病院(2,960施設)では「宿日直許可の取得あり(部分的な宿日直許可も含む)」が93.9%で1番回答が多かった。【地域の医療提供体制における影響について】(1)地域の医療提供体制で実際に生じていると考えている問題点について 有床診療所(1,122施設)、病院(2,960施設)ともに「救急搬送の受入困難(断り)事例の増加」(11.2%/17.3%)の回答が1番多かった。(2)地域の医療提供体制で懸念される問題について 同様に有床診療所(1,122施設)、病院(2,960施設)ともに「救急医療体制の縮小・撤退」(33.8%/29.8%)の回答が1番多かった。

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局所進行子宮頸がん、導入化学療法+CRTがPFS・OS改善/Lancet

 局所進行子宮頸がん患者において、短期間導入化学療法後に化学放射線療法(CRT)を行うことで、CRTのみの場合と比較して無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が有意に延長したことが、ブラジル、インド、イタリア、メキシコおよび英国の32施設で実施された無作為化第III相試験「INTERLACE試験」で示された。英国・University College Hospital NHS TrustのMary McCormack氏らINTERLACE investigatorsが報告した。局所進行子宮頸がんの標準治療はCRTであるが、再発する患者が依然として多く、転移がんにより死に至る。結果を踏まえて著者は、「この短期間導入化学療法レジメンと7日以内のCRTを現在の標準治療と考えるべきである」とまとめている。Lancet誌2024年10月19日号掲載の報告。6週間のカルボプラチン+パクリタキセル導入化学療法後のCRT、PFSとOSを評価 研究グループは、18歳以上で新たに診断された局所進行子宮頸がん(FIGO進行期分類[2008年]のリンパ節転移を伴うIB1期、またはIB2期、IIA期、IIB期、IIIB期、IVA期)患者を、導入化学療法+CRT群(導入化学療法併用群)またはCRT単独群に1対1の割合で無作為に割り付けた。層別因子は、施設、病期、リンパ節転移の有無、3次元原体照射(3DCRT)vs.強度変調放射線治療(IMRT)、年齢、腫瘍径、組織型(扁平上皮がんvs.非扁平上皮がん)であった。 両群とも、CRTは、シスプラチン40mg/m2を週1回5週間静脈内投与と、外部放射線療法(EBRT)(45.0~50.4Gyを20~28分割)および小線源療法で総線量2Gy相当の78~86Gyを達成することとした。導入化学療法併用群では、カルボプラチンAUC2とパクリタキセル80mg/m2を週1回6週間静脈内投与し、7週目からCRTを行った。 主要評価項目は、ITT集団における治験担当医評価によるPFSならびにOSとし、全体の第1種の過誤確率を5%に制御するため階層的検定(固定順序法:PFS→OS)を行った。PFS、OSともに導入化学療法+CRTで有意に延長 2012年11月8日~2022年11月17日に、適格基準を満たした500例が無作為化された(導入化学療法併用群250例、CRT単独群250例)。患者背景は年齢中央値46歳、354例(71%)がIIB期、56例(11%)がIIIB期で、骨盤リンパ節転移ありが215例(43%)であった。 導入化学療法併用群では、230例(92%)が5サイクルの導入化学療法を完了した。導入化学療法終了からCRT開始までの期間の中央値は7日であった。CRTでシスプラチンの5サイクル投与を完了した患者は、導入化学療法併用群では212例(85%)、CRT単独群で224例(90%)であった。EBRTが実施された患者で小線源療法も受けた患者は、導入化学療法併用群で242例中238例、CRT単独群で231例中224例、計462例(92%)であり、放射線治療期間の中央値は両群とも45日であった。 追跡期間中央値67ヵ月時点で、5年PFS率は導入化学療法併用群で72%、CRT単独群で64%、PFSのハザード比(HR)は0.65(95%信頼区間[CI]:0.46~0.91、p=0.013)であり、導入化学療法併用群でPFSの有意な延長が認められた。また、5年全生存率は、導入化学療法併用群80%、CRT単独群72%、ハザード比は0.60(95%CI:0.40~0.91、p=0.015)で、導入化学療法併用によりCRT単独と比較して死亡のリスクが40%減少することが示された。 Grade3以上の有害事象は、導入化学療法併用群で250例中147例(59%)、CRT単独群で250例中120例(48%)が報告された。

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新規2型DM、短期強化インスリン後リナグリプチン+メトホルミンが有用/BMJ

 新たに2型糖尿病と診断されたHbA1c値8.5%以上の患者において、短期強化インスリン療法(SIIT)後に経口療法(とくにリナグリプチンとメトホルミンの併用)を用いるという強力かつ簡便な戦略は、持続的な血糖コントロールをもたらし、β細胞機能を改善することが示された。中国・中山大学第一付属病院のLiehua Liu氏らが、中国の15施設で実施した無作為化非盲検比較試験の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「この治療戦略は、2型糖尿病の臨床管理における意思決定に有望な方向性を示すものである」とまとめている。BMJ誌2024年10月15日号掲載の報告。SIIT後、リナグリプチン、メトホルミン、両者併用を生活習慣改善指導のみと比較 研究グループは、新たに2型糖尿病と診断され、年齢20~70歳、血糖降下薬の投与歴なし、糖尿病に関する医師の助言や介入を受けたことがない、BMI値22.0~35.0、空腹時血糖値7.0~16.7mmol/L、スクリーニング時のHbA1c値8.5%以上の患者を、リナグリプチン(5mg/日)+メトホルミン(1,000mg/日)併用群、リナグリプチン(5mg/日)群、メトホルミン(1,000mg/日)群、対照群(生活習慣の改善指導のみ)に1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた。 無作為化された全例が、2~3週間の持続皮下インスリン注入法によるSIITの後、割り付けに従って48週間の治療を受けた。 主要アウトカムは、SIIT後48週時のHbA1c値<7.0%を達成した患者の割合。副次アウトカムは、HbA1c値<6.5%を達成した患者の割合、ベースラインからのHbA1c値、空腹時および食後2時間血糖値、β細胞機能指数、インスリン感受性指数の変化などであった。48週時のHbA1c値<7.0%達成、SIIT+リナグリプチン+メトホルミン併用群80% 2017年12月~2020年12月に464例がスクリーニングを受け、412例が無作為化された。患者背景(平均値±SD)は、年齢46.8±11.2歳、BMI値25.8±2.9、HbA1c値11.0±1.9%であった。SIIT後に来院しなかった39例を除く373例が有効性解析対象集団に組み入れられた。 48週時にHbA1c値<7.0%を達成した患者の割合は、対照群60%(56/93)に対し、リナグリプチン+メトホルミン併用群80%(78/97例)(p=0.003)、リナグリプチン群72%(63/88例)(p=0.12)、メトホルミン群73%(69/95例)(p=0.09)であった(実薬3群全体のp=0.02、いずれもχ2検定による)。 また、48週時にHbA1c値<6.5%を達成した患者の割合は、対照群48%(45/93例)に対して、リナグリプチン+メトホルミン併用群70%(68/97)(p=0.005)、リナグリプチン群68%(60/88)(p=0.01)、メトホルミン群68%(65/95)(p=0.008)であった(実薬3群全体のp=0.005、いずれもχ2検定による)。 ロジスティック解析の結果、対照群との比較において、リナグリプチン+メトホルミン併用群が48週時にHbA1c値<7.0%を達成する可能性が高いことが示された(オッズ比:2.78、95%信頼区間:1.37~5.65、p=0.005)。また、リナグリプチン+メトホルミン併用群では、空腹時血糖値およびβ細胞機能指数が最も顕著に改善した。 忍容性はすべての治療群で良好であった。

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外来で実施するCAR-T細胞療法も安全で効果的

 急速に進行する大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)患者に対して、外来ベースでCAR(キメラ抗原受容体)-T細胞療法を実施しても、患者は治療によく反応することが、CAR-T細胞療法の外来環境での使用を検討した研究としては最大規模の前向き研究で明らかになった。CAR-T細胞療法は、患者の血液から採取したT細胞にCARを発現させるための遺伝子を導入し、特定のがん細胞を攻撃できるようにした上で患者の体内に戻す治療法。CAR-T細胞製品のブレヤンジ(一般名リソカブタゲン マラルユーセル)を製造販売するブリストル・マイヤーズ スクイブ社の資金提供を受けて米マイアミがん研究所リンパ腫サービス責任者のYuliya Linhares氏らが実施したこの研究の詳細は、「Blood Advances」に9月30日掲載された。 LBCLは白血球の一種であるBリンパ球が侵されるがんで、急速に進行し、未治療で放置すると致命的になる可能性がある。ほとんどのLBCL患者は標準的な抗がん薬に対して良好な反応を示すが、標準治療でがんが根絶しない難治性LBCL患者や、治療への反応後にがんが再発した患者には、CAR-T細胞療法が効果的な治療選択肢となり得る。 しかし、CAR-T細胞療法は患者と介護者にとって、仕事を休み、自宅から遠く離れた宿泊施設を探さなければならないなど、困難を伴いがちだ。また、CAR-T細胞療法後には、発熱、低血圧、低酸素レベルを特徴とするサイトカイン放出症候群(CRS)や、脳の神経毒性などの独特で潜在的に深刻な副作用が現れることもあるため、綿密な監視が必要であり、治療後の観察入院や、治療後1時間は病院内での待機を勧められることが多い。Linhares氏は、「CAR-T細胞療法に伴う最大のハードルの1つは患者の治療へのアクセスだ。患者が新しい医療システムに移るために必要な、保険の承認取得、予約の手配、ケアの継続性の確保などは、患者や介護者にとって頭痛の種となり得る」と指摘している。 この研究でLinhares氏らは、CAR-T細胞療法へのアクセスを改善するための方法として、外来ベースでのCAR-T細胞療法実施の実現可能性を評価した。対象者は難治性LBCL、あるいは再発LBCL患者82人で、うち70%は外来で(外来治療群)、30%は入院して(入院治療群)、FDAによる承認済みの2種類のCAR-T細胞製品のうちの1つであるブレヤンジによる治療を受けた。 中央値10.6カ月に及ぶ追跡期間中に、外来治療群の25%は一度も入院することがなかったが、32%は治療後72時間以内に入院した(入院までの期間中央値は5.0日)。入院期間中央値は、外来治療群で6.0日、入院治療群で15.0日だった。いずれの群でもグレード3以上のCRSは確認されず、神経毒性イベントの発生も外来治療群で12%、入院治療群で4%と低かった。客観的奏効率は80%(外来治療群82%、入院治療群76%)、完全奏効率は54%(外来治療群58%、入院治療群44%)、奏効期間中央値は14.75カ月だった。 こうした結果を受けて研究グループは、これらの結果は、外来患者のモニタリングを行える地域病院でCAR-T細胞療法を実施しても、リスクが増加しないことを示しているとの見方を示している。またLinhares氏は、Blood Advances誌のニュースリリースの中で、「できるだけ多くの施設がCAR-T細胞療法プログラムの構築に取り組むことを奨励する」と述べ、「合併症にすぐに気付いて対処するためには、明確に定義されたプロトコルと徹底したスタッフのトレーニングが不可欠だ」と付け加えている。 Linhares氏は、「患者が外来治療または入院治療によるCAR-T細胞療法のどちらに適しているのかを判断できるようになるためには、さらなる研究が必要だ」と述べている。

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高齢者の転倒は認知症リスクを高める

 高齢者での転倒は、転倒後1年以内に認知症の診断を受けるリスクの上昇と関連することが、高齢の外傷患者200万人以上を対象にした後ろ向きコホート研究により明らかになった。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院外科・公衆衛生センター副所長のMolly Jarman氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に9月30日掲載された。 研究グループは、転倒は高齢者が外傷センターに入院する最も一般的な理由の一つであり、高齢者での主な外傷の原因だと指摘する。近年の研究により、アルツハイマー病および関連認知症(ADRD)の前段階とされる軽度認知障害の高齢者において転倒リスクが増加しているとするエビデンスが増えつつある。しかし、転倒を経験した高齢者において認知症リスクが高まるのかどうかについては明らかになっていない。 この点を調べるために、Jarman氏らは、2014年から2015年の間に外傷を負った66歳以上の高齢者245万3,655人(女性62.1%、平均年齢78.1歳)のメディケア請求データと、1年以上経過した後の追跡データの調査を行った。 外傷の原因としては、50.1%を転倒が占めていた。解析の結果、転倒が原因で外傷を負った高齢者では、それ以外の原因により外傷を負った高齢者と比べて、転倒から1年以内にADRDの診断を受ける者が有意に多いことが明らかになった(10.6%対6.1%、P<0.001)。死亡の競合リスクを考慮したCox比例ハザードモデルによる分析では、患者の人口統計学的属性や併存疾患、外傷の重症度などの調整後も、転倒を経験した高齢者では認知症の診断を受けるリスクが21%有意に増加することが示された(ハザード比1.21、95%信頼区間1.20〜1.21、P<0 .001)。 このような結果を受けてJarman氏は、「転倒の有無を認知機能低下の前兆としてとらえ、さらなる認知機能検査が必要な人を特定できる可能性がある」との見方を示す。また研究グループは、転倒後に治療のために病院に行く高齢者に対し、救急外来や病院で認知機能検査を受けることを推奨している。この点について研究グループは、「検査を受けることで認知機能低下が早期に発見され、必要な治療をより早期に受けられるようになる可能性がある」と補足している。 論文の筆頭著者であり、自身も転倒による入院患者を頻繁に診察しているというブリガム・アンド・ウイメンズ病院のAlexander Ordoobadi氏は、「われわれは、患者の外傷を治療し、リハビリテーションを提供するが、転倒と認知機能低下の関連を示唆するエビデンスが増えているにもかかわらず、転倒につながる根本的なリスク因子を見落としがちだ」と語る。 Ordoobadi氏は、「理想的には、転倒を経験した高齢者は、思考力や長期的な回復を監視できる主治医または老年病専門医によるフォローアップを受けるべきだ。しかし、多くの高齢者は主治医を持たず、老年病専門医へのアクセスもないのが現実だ」と指摘。その上で、「われわれの研究は、高齢者に早期に介入する機会と、総合的なケアを提供できる臨床医を増やす必要性を浮き彫りにしている」と述べている。

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インフルエンザウイルス曝露後抗ウイルス薬の有効性(解説:寺田教彦氏)

 インフルエンザウイルス曝露者に対する抗ウイルス薬の有効性を評価したシステマティックレビューとネットワークメタ解析の結果が、2024年8月24日号のLancet誌に報告された。本研究では、MEDLINE、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature、Global Health、Epistemonikos、ClinicalTrials.govを用いて、11,845本の論文と関連レビューから18件の研究を確認し、このうち33件の研究をシステマティックレビューに含めている。概要は「季節性インフル曝露後予防投与、ノイラミニダーゼ阻害薬以外の効果は?/Lancet」のとおりでザナミビル、オセルタミビル、ラニナミビル、バロキサビルは、重症化リスクの高い被験者において、季節性インフルエンザ曝露後、速やか(48時間以内)に投与することで症候性インフルエンザの発症を大幅に軽減する可能性が示唆され、重症化リスクの低い人では、症候性インフルエンザの発症を大幅に軽減しない可能性が示唆された。 過去には、2017年のインフルエンザウイルス曝露者に対する予防投与のシステマティックレビューで、オセルタミビルまたはザナミビルの曝露後予防投与により有症状のインフルエンザ発生を減少させる効果が報告されていたが(Doll MK, et al. J Antimicrob Chemother. 2017;72:2990-3007)、エビデンスの質や確実性は評価されていなかった。当時は、これらのエビデンスを参考に、WHOやIDSAのガイドライン(Uyeki TM, et al. Clin Infect Dis. 2019;68:e1-e47.)では、インフルエンザウイルス曝露後に、合併症のリスクが非常に高い患者に対して、抗ウイルス薬の予防投与が推奨された。本邦の現場でも、インフルエンザウイルス曝露後の予防投与は保険適用外だが、病院や医療施設内で曝露者が発生したときなどに、重症化や合併症リスクを参考に、個々の患者ごとに適応を検討していた。 本研究の結果から、2024年9月17日にWHOのガイドラインが更新されており、抗インフルエンザ薬(バロキサビル、ラニナミビル、オセルタミビル、ザナミビル)の曝露後予防投与は、ワクチン接種の代わりにはならないが、きわめてリスクの高い患者(85歳以上の患者、または複数のリスク要因をもつ若年者)には曝露後48時間以内の投薬が推奨されている。 さて、われわれのプラクティスについて考えてみる。本研究では、曝露後予防投与で入院や死亡率の低下を確認することはできていないが、曝露後予防投与はインフルエンザ重症化リスクの高い患者群では発症抑制(確実性は中程度)の効果が期待でき、重症化リスクの低い人では、季節性インフルエンザに曝露後、速やかに投与しても症候性インフルエンザの発症を大幅に軽減しない可能性が示唆された(確実性は中程度)。インフルエンザ重症化リスクの高い患者群では、インフルエンザに罹患することで重症化やADL低下につながることが予測され、適切な患者を選定して曝露後予防投与を行うことはメリットがあるだろう。 そのため、インフルエンザウイルス曝露後予防は、これまでどおりインフルエンザの重症化や合併症リスクを個々の症例で検討することが良いと考える。 曝露後予防投与時の抗ウイルス薬では、オセルタミビルやザナミビルに加えて、本研究では、ラニナミビルやバロキサビルも有効性を確認することができた。ラニナミビルやバロキサビルは、オセルタミビルやザナミビルに対して、単回投与が可能という強みをもつため、抗ウイルス薬の複数回投与が困難な環境ならば使用を考慮してもよいのかもしれない。しかし、オセルタミビルのように、過去の使用実績が豊富で安価な薬剤を選択できる場合は、これまでどおりこれらの薬剤を選択してよいと考える。

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心筋梗塞の血栓溶解療法の時代を思い出す(解説:後藤信哉氏)

 1988年のLancet誌に掲載されたSecond International Study of Infarct Survival (ISIS-2) trialは、心筋梗塞の診療に劇的インパクトをもたらした。抗血小板薬アスピリン、線溶薬ストレプトキナーゼはともに急性心筋梗塞の院内死亡率を25%程度減少させ、両者の併用により死亡率はほぼ半減した。アスピリンはそのまま世界の標準治療になった。ストレプトキナーゼは重篤な出血合併症を増加させたため、出血リスクの少ない薬剤開発が模索された。ストレプトキナーゼにはフィブリン選択性がなかった。体内のフィブリンに結合し、プラスミン産生効果を発揮するt-PAに期待が集まった。フィブリン選択的、1回静注可能など多くの製剤が開発された。しかし、急性心筋梗塞では、薬剤と並行して進歩したカテーテル治療の普及により血栓溶解療法は廃れた。 脳梗塞領域は、1990年代の循環器内科の歴史をたどっている。t-PAフィブリン選択的に作用する線溶薬と期待されていたが、持続静注が必要であった。本研究では1回静注可能なtenecteplaseの非劣性が示された。脳梗塞急性期の再灌流療法により神経学的予後が改善されるインパクトは大きい。線溶薬としては早期に作用するフィブリン選択的薬剤なども開発されるかもしれない。しかし、心筋梗塞と同様に、カテーテル治療も普及するかもしれない。 脳梗塞治療が心筋梗塞治療を後追いしているように見え、今後の治療法の革新が期待される。

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第234回 医療政策のレベル高し?立憲、公明党、国民民主党、社民党の公約

さて前回に引き続き、衆院選の各党の政策紹介と独断と偏見に基づくその評価の第二段である。ちなみに現在の各種報道を参照すると、与党である自民党・公明党による過半数獲得が微妙とのこと。正直、個人的には予想外である。久々に目が離せない選挙となった。さて今回は前回予告したように、公示前議席数で偶数順位の政党を順に取り上げる。立憲民主党(2位:98議席)もはや説明も要らぬ野党第1党である。以前紹介した代表選の結果、党内でも保守色が強い元首相の野田 佳彦氏が代表に就任。報道各社の情勢分析によると、かなり議席を増やす可能性があるらしい。その意味ではあくまで同党はチャンスであるためか、「7つの約束 政権交代こそ、最大の政治改革。」を掲げる。さて同党の200ページ超の分厚い政策集から主なものを拾ってみた。『デジタル・IT』の項目ではマイナ保険証に関して以下のような記述となっている。医療DXの推進は喫緊の課題であるものの、「不安払拭なくしてデジタル化なし」です。国民の不安を払拭し、国民皆保険の下、誰もが必要なときに、必要な医療が受けられる体制を堅持するために、2024年12月の健康保険証の廃止を延期し、一定の条件が整うまで現在の健康保険証を存続させます。現行法においてマイナンバーカードの取得が申請主義であることを踏まえ、マイナ保険証の利用は、リスクと便益を自分で判断して決めるべきであり、本人の選択制とします。ちなみに『厚生労働』の医療保険制度関連で「レセプト審査の効率化、医療ビッグデータのさらなる活用によって、保険者機能の強化、医療費適正化、健康課題への活用を推進します」とあることも考慮すれば、マイナ保険証にむしろ内心では肯定的な見解もうかがえる。マイナ保険証全否定の日本共産党、れいわ新撰組、社民党と比べれば、かなり穏健かつ現実的な方向性に舵を切っていると言える。この辺からもこれら3党との共闘は、野田氏の代表就任から衆院選まで時間があったとしても難しかっただろうと推察できる。一方で社会保険料負担に関しては「上限額を見直し、富裕層に応分の負担を求めます」とある。これだけでは具体性に欠くのだが、後段では「世代間公平に配慮しつつ、重点化と効率化によって、子どもから高齢者にわたる、持続可能で安心できる社会保障制度を構築します」「被用者保険からの大幅な拠出金が課題となっている高齢者医療制度については、医療保険制度の持続可能性の強化と現役世代のさらなる負担軽減を含めて、抜本的な改革を目指します」などの記述があるため、日本維新の会や後述の国民民主党とかなり似た制度設計が念頭にあるのだろう。また、『経済政策』『厚生労働』では創薬・バイオ、ゲノム医療を成長分野に位置付けており、以下のような関連項目の記述がある。ワクチン開発を支援し、日本企業の国際競争力を高めます。iPS細胞を利用した再生医療研究等の促進、創薬への支援や創薬の環境整備を進め、日本の先進医療、画期的な新薬などの医療技術を海外に輸出するための産業育成、発信力強化を図ります開発途上国が必要とする医薬品の開発を支援し、日本の医薬品が海外で使用される基盤づくりを進めます後発医薬品の質の確保、先発品の特許切れ後の値下げを進めます。漢方薬など伝統的医薬品は、現行の薬価改定方式では薬価が下がり続けるばかりであることから、生産を維持するための歯止めを設けます。医薬品の安定供給、イノベーション創出の基盤を強固にし、国民に品質の高い医薬品を安定して供給できるようにするため、中間年薬価改定を廃止し、2年に1度の改定とします。まあ、この中では漢方薬に言及したのは、各政党の中で唯一なのだが、そもそもこの点については、OTC類似薬の保険給付の是非も含めて議論すべきことかと私見ながら思う。しかし、「ワクチン国産化」「iPS細胞研究の推進」は、率直に言ってやや時代遅れではないだろうか? 創薬の世界的潮流や実態を知らないのだろう。ちなみにワクチンに関連して、「新型コロナウイルス感染症のワクチン対策」と称して、ワクチン接種体制の円滑な確保と同時に▽リスクコミュニケーション強化▽新型コロナワクチンの副反応に特化した検討会議体の設置▽健康被害救済制度の周知▽死亡事例に関する認定審査体制の充実、などを掲げている。これを読むと、「うわっ、反ワクチンか!」と思う人もいるだろうが、こうした副反応対策やリスクコミュニケーション強化は、少なくとも今後のワクチン接種を進めていくためには必須のことと個人的には考えている。現状は少なくともSNSでワクチンに批判的言説が多く出回っている以上、放置するのは最悪である。もっともここまで是々非々で考えられるなら、ワクチンに関する陰謀論をSNSで拡散する同党の一部議員を何とかしてほしいと思うのだが…。公明党(4位:32議席)ご存じ、日蓮正宗系宗教法人・創価学会を支持母体とする政党である。過去からの政策を見ると、とにかく「現物・現金支給」に著しく偏り、自民党よりもバラマキ色が強い政党という印象がある。今回の「2024公明党 衆院選重点政策」は全部で10の大項目を掲げる。まず、『1 物価高克服へ、暮らしを守る!所得向上!』では、「医療・介護等の持続的な賃上げ・処遇改善」で、“医療・介護・障がい福祉・保育など公的に価格が決まる部門で働く方々の賃金については、引き続き、物価上昇を上回る引き上げ分を確保するとともに、さらなる処遇改善に向けて取り組みます“と謳っている。この辺は他党もおおむね同じである。社会保障、医療・介護については「3 健康・命を守る、高齢者支援」の項目で掲げられている中項目を一部抜粋する。健康な暮らしの確保と健康寿命延伸による高齢者のウェルビーイング(満足度)の向上医療提供体制の充実医療DX の推進がんとの共生社会を創るがん医療提供体制の充実メンタルヘルスケアが社会の当たり前に医薬品の安定供給・品質の確保帯状疱疹ワクチンの円滑な接種地域包括ケアシステムの推進難聴に悩む高齢者等に対する支援介護人材の確保各項目とも詳細な説明があるものの、中身は定性的なものがほとんどで、ですます調の官僚文書を読んでいるかのような印象がある。この中で私自身が注目したのは「難聴に悩む高齢者等に対する支援」。これも昨今、盛んに言及されるようになったことだが、認知症のリスクファクターの1つに難聴が指摘され、早期の補聴器使用が軽度認知障害への進行速度を低下させるなどの報告もある。公明党はこの政策の中で、「加齢による聴力低下を早期に発見し、適切な支援につなげるため、身近なところで聴力チェックが受けられる体制」「難聴に悩む高齢者が医師や言語聴覚士などの助言のもとで、自分にあった聴覚補助機器等を使用する体制」の整備と必要な財政的な支援も検討することを掲げた。認知症に関連した難聴対策の必要性は専門医も訴え始めており、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は「加齢性難聴・聴こえ8030運動」を展開している。実は同学会には補聴器相談医という制度も設けて啓蒙に努めているが、まだ広がりは見せていない。その意味で公明党のこの政策はかなり着眼点が良いとは言える。しかし、2021年の衆院選の政策比較で掲げた新型コロナウイルス感染症後遺症対策の時も触れたが、現金・現物給付以外は本気度が低いという同党の傾向が玉にきずである。国民民主党(6位:7議席)東京都知事の小池 百合子氏が国政進出を狙って2017年に希望の党を設立した際、旧民主党の後継政党・旧民進党がこれに合流を宣言したことは、まだ記憶にある人は多いだろう。結局、希望の党は国政でまともに議席を確保できず、合流組の一部が後に希望の党から分党して国民党を創設した。これが旧民進党残留組と合併して設立したのが第一次の国民民主党である。ただ、現在の国民民主党は、第一次国民民主党が2020年に立憲民主党との合併を決めた際に、不参加だった者たちで構成される第二次の国民民主党である。公示前議席数では第6位だが、報道に基づく終盤の情勢調査では3倍以上に議席を積み増す可能性が指摘されている。エネルギーや安全保障に関する政策がより保守色、言い換えれば現実路線に近いことが有権者から受けがよい理由なのだろう。さて今回の同党の政策パンフレット2024では『手取りを増やす』と何ともシンプルなメッセージの下に政策柱4つを掲げる。この4つのうち筆頭に来るのが「給与・年金が上がる経済を実現」で、ここでは“社会保険料の軽減”を主張し、負担能力に応じた窓口負担、公費投入増による後期高齢者医療制度に関する現役世代の負担軽減を明示している。前者は現在、財政制度審議会や社会保障制度審議会で議論が続けられている高齢者での負担増、後者は同制度での現役世代が加入する健保組合からの拠出金を指しているのは明らかだ。日本維新の会なども主張しているのと同様の、いわば現役世代向け政策の典型である。もっとも高齢者での負担増と後期高齢者制度への公費投入はおそらく連動しているのだろう。マニフェストの細部では「年齢ではなく能力に応じた負担」として後期高齢者の自己負担を原則2割、現役並みの所得者は3割とし、その際には金融所得・金融資産も反映させるとしている。また、富裕層の保有資産への課税も検討すると記述している。つまり真の公費投入額は、「拠出金―自己負担増分―富裕層資産課税」以内で収まるという制度設計のようだ。失礼ながら、この辺は日本共産党が同制度への1兆円の公費投入を唱えつつ、高齢者負担増阻止も主張する“冷暖房同時稼働”のような経済・財政オンチぶりとは異なる。柱の3番手「人づくりこそ、国づくり」では「ひとり一人に寄り添うダブルケアラー対策、ビジネスケアラー対策」「尊厳死の法制化を含めた終末期医療の見直し」が記述されている。ここで出てくる「ダブルケアラー」とは育児、介護の両方に取り組む人、「ビジネスケアラー」は主に働きながら高齢の親の介護に取り組む人のことである。少子高齢化が進展する社会では、極めて重要な視点で、ほかの政党にはない着眼点である。同党はまずは実態調査、そのうえで「ダブルケアラー支援法」の制定を訴えている。もっとも「尊厳死の法制化」については、わからないわけではないが、極めて多様な死生観なども関わる問題だけにサラッと書いてしまうのはやや軽すぎるとも感じてしまう。そしてより細部の政策では以下のようなものも掲げている。保険給付範囲の見直しヘルスリテラシー教育の推進セルフメディケーションの推進中間年薬価改定の廃止予防医療・リハビリテーションの充実医療提供体制の充実地域医療のあり方の見直し・日本版GP制度の創設地域における患者アクセスの確保と医療経営の安定強化医療DXの推進による保険医療勤務医の働き方改革介護サービス・認知症対策の充実介護研修費用補助介護福祉士国家試験に母国語併記ケアマネジャー更新研修の廃止、負担軽減これらを概観すると、とくに薬剤関係ではかなり玄人はだしである。たとえば、保険給付範囲の見直しやセルフメディケーション推進ではOTC類似薬の保険外し、医療提供体制の充実では日本版CPCF(Community Pharmacy Contractual Framework、薬剤師の権限が大きいイギリスの薬局制度)、地域における患者アクセスでは地域フォーミュラリの導入推進、そして中間年薬価改定の廃止を唱える。また、4大柱の2番目『自分の国は自分で守る』では経済安全保障の観点からジェネリック医薬品安定供給や今春に一部緩和された薬価の再算定時の共連れルール(再算定対象の医薬品の類似薬も同時に薬価を引き下げるルール)の廃止まで言及している。ざっと同党所属国会議員を見回してみても、これらの政策理論を唱えそうな人物は見当たらない。誰がこの政策立案の頭脳を担っているのかは、個人的に興味津々である。さらに日本版GP(General Practitioner)制度の創設では「診療報酬の包括支払制度や人頭払制度等について検討」と、日本医師会が最も毛嫌いしそうな政策まで言及している。社民党(8位:1議席)社民党の源流組織である1945年創設の旧日本社会党は、1947年に衆院の第1党となり政権を奪取するも1年余りで下野したが、1993年の第40回衆院選までは野党第1党であり続けた。しかし、その後継組織である社民党は現有1議席にまで凋落した。個人的には時代はここまで変わったのかと改めて思ってしまう。さて同党のマニフェスト(余談ながらリンク先のページは異常に重い)『日本を立て直す 社民党6つのプラン』というキャッチフレーズを掲げているが、その中の「02 税金はくらしに!軍事費増税NO!」で以下のような記述がある。高齢者が安心して暮らせる年金を受給できるようにしていきます。また、75歳以上の後期高齢者医療費負担を1割に戻し、高齢者の健康を守ります。訪問介護の報酬減額をやめさせます。介護制度の立て直しは急務です。医療・介護・保育などケア労働者を支援します。病床削減、公立・公的病院の統廃合に反対し、地域医療を守ります。マイナ保険証強要に反対し、現行の健康保険証を残します。保険証や運転免許証などとのマイナンバーカード一体化・国による管理強化に反対します。さて、もうこれらについては他党の政策に対する吟味の際に言ってきたことだが、一番目の負担増に関して改めて言及しておく。現在日本での租税負担率と社会保障負担率を合計した国民負担率は2023年度実績値で46.1%。欧米先進国と比べて低いほうなのだが、欧米はおおむね日本よりも所得が高く、結果として日本の世帯当たりの可処分所得は低めである。この状況で増加し続ける高齢者への医療・介護給付を少子化で減る現役世代からの税収で現状通り継続することが“無理ゲー”である。いずれにせよこの先は(1)現役層の負担率引き上げ(2)給付水準の引き下げ(3)現役層以外の負担率引き上げを適度に組み合わせながら行っていくしかない。社民党の今回の主張は後期高齢者医療制度での負担率引き下げを謳っている以上、(3)の選択肢は端からないことは明らかだ。また、後段で訪問介護の基本報酬減額に反対姿勢を示していることやこれまでの同党の主張からは(2)も選択肢にはないだろう。ということは残るは(1)となるが、たぶんこれも彼らの念頭にはない。となると、どこに財源を見いだそうとしているかだが、前述の政策一覧を見ればわかることだが、増加する国防費の削減や年々増加する企業の内部留保への課税を主張しており、社民党はこの辺を財源として考えているのだろう。毎度お馴染みという感じだが、これで中長期的に解決がつくとは到底思えない。公立・公的病院の統廃合とマイナ保険証への反対については、前回、日本共産党、れいわ新撰組の政策で述べたとおりだ。さて長々となってしまったが、週明けにはもしかしたら世の中が一変してしまうのだろうか?

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migraine(片頭痛)【病名のルーツはどこから?英語で学ぶ医学用語】第14回

言葉の由来「片頭痛」の英名は“migraine”(マイグレイン)です。元々はギリシャ語の“hemikrania”(半頭痛)から派生した言葉だといいます。この言葉は、“hemi”(半分)と“kranion”(頭蓋)という言葉に由来しており、片側の頭部に強い痛みが集中することを意味します。これが後にフランス語に翻訳されて“migraine”と記述され、現代まで残っているとされます。片頭痛は、古代からさまざまな形で記録されてきましたが、その原因は長らく謎に包まれていました。古代ギリシャの時代には、頭痛は「ケレス」と呼ばれる悪霊によって引き起こされると信じられていたそうです。また、アリストテレスは、「頭が痛みにさらされるのは、胃から発生する悪しき液体が脳を乱すためだ」と述べていたといいます。現代でこそ、より科学的にそのメカニズムが解明されてきていますが、そのような時代から言葉が引き継がれていると思うと、感慨深いものがあります。併せて覚えよう! 周辺単語鎮痛薬analgesic閃輝暗点auraトリプタン療法triptan therapy光過敏photophobia音過敏phonophobiaこの病気、英語で説明できますか?Migraine is a neurological condition characterized by recurrent episodes of moderate to severe headaches often accompanied by nausea, sensitivity to light, and sound. The headache typically affects one side of the head and can last from hours to days.講師紹介

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レプリコンワクチンvs.従来のmRNAワクチン、接種1年後の免疫原性を比較

 追加接種としての新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する次世代mRNAワクチン(レプリコンワクチン)ARCT-154は、従来のmRNAワクチンであるBNT162b2と比較して優れた初期免疫応答を示し、接種後12ヵ月まで持続することが、50歳以上を含む日本人成人において確認された。The Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2024年10月7日号CORRESPONDENCEに掲載の報告より。 日本の11臨床施設において、少なくとも3回のmRNAワクチン接種歴のある成人(最後の接種は3ヵ月以上前)825人が登録され、ARCT-154群(417人)またはBNT16b2群(408人)に無作為に割り付けられた。接種前のベースライン、および接種後1、3、6、12ヵ月時点で、すべての適格参加者から血清サンプルを採取し、武漢株(Wuhan-Hu-1)およびオミクロン株BA.4/5に対する中和抗体価を測定した。また、ベースラインからその後すべての時点でSARS-CoV-2陰性であった各群30人によるサブセットにおいて、デルタ株、オミクロン株BA.2、BA.2.86、およびXBB.1.5.6に対する中和抗体価が測定された。参加者は18~49歳(<50歳)と50歳以上(≧50歳)の2つの年齢グループに層別化された。 結果は、中和抗体価の幾何平均(GMT)と両群間のGMT比、ベースラインの中和抗体価(定量下限未満の場合は定量下限の1/2)から4倍以上の上昇を示した割合で定義される中和抗体応答率で表された。 主な結果は以下のとおり。・既報のとおり、接種1ヵ月後までに、どちらのワクチンも両株に対して年齢によらず中和抗体価を上昇させた。・接種後1ヵ月時点におけるARCT-154群の武漢株およびオミクロン株BA.4/5に対する反応はBNT162b2群よりも高く、<50歳ではGMT比が1.45(95%信頼区間[CI]:1.22~1.71、武漢株)および1.31(1.01~1.71、オミクロン株BA.4/5)、≧50歳では1.42(1.18~1.72)および1.29(0.96~1.73)であった。・GMTは時間の経過とともに両群で低下したが、12ヵ月の追跡期間中に両群間の差は拡大し、<50歳ではGMT比がそれぞれ1.79(95%CI:1.41~2.29、武漢株)、1.68(1.15~2.45、オミクロン株BA.4/5)、≧50歳では2.06(1.55~2.75)、2.14(1.40~3.27)であった。・ARCT-154のBNT162b2に対する優越性は、両年齢層における中和抗体応答率の一貫した正の差によって裏付けられた。・4つの変異株に対しても、BNT162b2群と比較してARCT-154群で優れた反応と持続性が確認され、GMT、GMT比、血清中和抗体応答率について同様の傾向がみられた。・BNT162b2接種後12ヵ月時点で、デルタ株、オミクロン株BA.2、およびXBB.1.5.6に対するGMTはベースラインと同等であったが、ARCT-154群ではデルタ株およびオミクロン株BA.2に対するGMTはベースラインよりも高いままで、オミクロン株XBB.1.5.6に対するGMTもベースラインよりわずかに高かった(152[95%CI:83〜281]vs.106[52〜215])。

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CAR-T療法における血球減少の頻度とパターン/日本血液学会

 遷延性血球減少はCAR-T細胞療法の重篤な合併症の1つである。兵庫医科大学の吉原 享子氏は、実臨床における後方視的研究の結果を第86回日本血液学会学術集会で発表した。 CAR-T療法では、リンパ球除去療法の影響でCAR-T細胞投与後に血球減少がみられる。多くの場合改善するが、未回復のまま遷延する症例があり注意を要する。 血球減少にはQuick recoveryタイプ、Intermittent recoveryタイプ(一旦回復したのち再度低下する)、Aplasticタイプ(減少が遷延する)がある。遷延性血球現象の発生機序は、前治療による骨髄予備能の低下、造血幹細胞のCHIPの出現、CAR-TによるCRSやそのほかの免疫学的機序、原疾患の状態などさまざまな機序が関与していると考えられている。そのため疾患およびCAR-T製剤により血球減少の頻度やパターンが異なる可能性がある。 吉原氏らは、ide-celおよび他のCAR-T製剤(tisa-cel、liso-cel)における遷延性血球減少について後方視的に解析した。 主な結果は以下のとおり。・症例は2020年3月~2024年6月に兵庫医科大学でCAR-T療法を受けた116例。投与後5週間以上経過追跡できない例などを除き、解析対象はide-cel22例、それ以外のCAR-T68例(tisa-cel38例、liso-cel30例)となった。・CAR-T投与から血球減少回復までの期間中央値はide-cel群は29.5日、tisa/liso‐cel群は20日と、ide-cel群で長い傾向にあった(p=0.419)。・血球減少タイプについて、ide-cel群はtisa/liso‐cel群に比べ、Intermittent recoveryタイプが多く、6割以上を占めた。・CAR-T投与23日後の好中球数はide-cel群470/μL、tisa/liso‐cel群は1,350/μLと、ide-cel群で有意に少なかった(p=0.0202)。・血球減少の程度を予測するCAR-HEMATOTOXスコアはtisa/liso‐cel群に比べ、ide-cel群でlowリスクが多く、スコアも低い傾向であった。・tisa/liso‐cel群ではCAR-HEMATOTOXスコアとの相関は乏しかった。・ide-cel単独の血球減少はCAR-HEMATOTOXスコアと相関する傾向にあった。好中球回復までの期間は同スコアLowリスク群では28日、Highリスク群では46日であった。また、輸血の必要性はHighリスク群で有意に高かった(赤血球輸血p=0.019、血小板輸血p=0.02)。・ide-cel投与後の好中球回復日数中央値は、フェリチンのピーク中央値(732ng/dL)未満では14日、中央値以上では31日と、高ピーク値で有意に遅延した(p=0.02)。

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慢性疾患患者のインフルワクチン接種率、電子メールで改善/JAMA

 デンマークにおける全国規模登録ベースの無作為化臨床試験において、慢性疾患を有する青年~中年患者のインフルエンザワクチン接種率は、電子メールを用いたナッジにより有意に上昇することが示された。デンマーク・コペンハーゲン大学のNiklas Dyrby Johansen氏らが、「Nationwide Utilization of Danish Government Electronic Letter System for Increasing Influenza Vaccine Uptake Among Adults With Chronic Disease trial:NUDGE-FLU-CHRONIC試験」の結果を報告した。世界的にガイドラインで強く推奨されているにもかかわらず、慢性疾患を有する若年~中年患者のインフルエンザワクチン接種率は依然として十分とは言えない状況(suboptimal)で、接種率向上のための効果的で柔軟性のある戦略が求められている。本試験の結果を受けて著者は、「費用対効果の高い電子メール戦略は、簡便で柔軟性があり、公衆衛生に大きな影響を与える可能性があることが示された」と述べている。JAMA誌オンライン版10月11日号掲載の報告。デンマークの約30万例を対象に、電子メールの有無でインフルワクチン接種率を比較 研究グループは、2023年9月24日~2024年5月31日に、18~64歳のデンマーク国民で、デンマーク政府によるワクチン接種プログラムのインフルエンザワクチン無料接種対象者(インフルエンザに感染した場合の有害アウトカムのリスク上昇が知られている慢性疾患を有する)を登録し、通常ケア(対照)群または6つの異なる積極的介入群に、2.45対1対1対1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた。 積極的介入群には、ワクチン接種の決断を促すための情報(標準レター:無料であること、慢性疾患患者が接種する場合のリスクの簡単な説明、接種スケジュール、COVID-19ワクチンとの同時接種に関する説明を記述)を電子メールで送付することを基本とし、そのほかに標準レターの10日後の再送信、心血管疾患患者へのベネフィットを強調したレター(CV gain-framing letter)、呼吸器疾患gain-framing letter、積極的な選択/実行を促すレター、損失を強調したレターの送付という6つの異なる介入で構成された。対照群は電子メールなしとした。 すべてのデータは行政の保健登録から取得した。主要アウトカムは2024年1月1日以前のインフルエンザワクチン接種であった。 主要解析は、主要アウトカムについて事前に7種の比較(全介入統合群vs.対照群、および各介入群vs.対照群)を行うことが規定され、各比較について接種率の絶対差および粗相対リスクを算出し、検定は全体でα=0.05(各比較でα=0.0071)として評価が行われた。 計29万9,881例(女性53.2%[15万9,454例]、年齢中央値52.0[四分位範囲:39.8~59.0]歳)が、無作為化された。いずれかの電子メールを受け取った人のほうが接種率は高率 インフルエンザワクチン接種率は、対照群27.9%、全介入統合群(6つのうちいずれかの電子メールを受信した参加者)39.6%であり、全介入併合群で高率だった(群間差:11.7%ポイント、99.29%信頼区間[CI]:11.2~12.2ポイント、p<0.001)。 介入(各個人宛の電子メール)はインフルエンザワクチンの接種率を有意に上昇し、最も効果が大きかったのは、初回メール送信から10日後に標準レターメールを再送した群(41.8% vs.27.9%、群間差:13.9%ポイント[99.29%CI:13.1~14.7]、p<0.001)と、CV gain-framing letterをメールした群(39.8% vs.27.9%、11.9%ポイント[11.1~12.7]、p<0.001)であった。 サブグループ解析においても、6つすべての介入群のほうがワクチン接種率を向上することが示された。

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早期乳がんの遠隔転移再発率、1990年代からどのくらい低下した?/Lancet

 英国・Early Breast Cancer Trialists' Collaborative Group(EBCTCG)は同グループのデータベースを用いた統合解析を行い、エストロゲン受容体(ER)陽性およびER陰性乳がんの遠隔転移再発率が、1990年代に比べ2000年以降に診断された女性では約5分の1低下していることを報告した。この改善は、本研究に参加する低リスクの女性患者の割合が高くなったことと、補助療法の進歩により説明される。ER陽性乳がんの遠隔再発の長期リスクは、依然として存在するものの前回の報告よりも約10分の1低下した。ER陽性早期乳がん女性の遠隔転移再発率は診断後20年以上にわたって一定の割合で持続するが、ER陰性乳がんに関するデータはこれまでほとんどなかった。Lancet誌2024年10月12日号掲載の報告。65万例を超えるEBCTCGデータベースから対象患者を抽出し解析 研究グループは、早期乳がんの臨床試験に参加した65万例を超えるEBCTCGデータベースから、1990~2009年登録の新たにER陽性乳がんと診断され5年以上の内分泌療法が予定されていた患者またはER陰性と診断された患者で、診断時75歳未満、腫瘍径50mm以下、腋窩リンパ節転移10個未満、登録時遠隔転移のない女性患者を抽出し解析した。 術前補助療法の臨床試験への参加者、術後補助療法の割り付けが不明な患者、ER陰性かつプロゲステロン受容体陽性の乳がん患者、結果またはベースライン時のデータが欠落している患者は除外した。 主要評価項目は、各臨床試験で定義された最初の遠隔再発までの期間とし(局所再発または対側乳がんは除外)、患者および腫瘍の特性、試験、割り付けられた治療を補正したCox回帰を用いて、診断時期別の10年遠隔再発リスクを比較した。遠隔再発率、2000年以降は1990年代に比べ約5分の1低下 2023年1月17日時点のEBCTCGデータベースに登録されている早期乳がん女性患者65万2,258例のうち、151件の無作為化試験における15万5,746例(ER陽性かつ内分泌療法5年以上11万4,811例、ER陰性4万935例)が適格基準を満たした。 遠隔再発率は、ER陽性例とER陰性例とも同様に改善した。ER陽性例の改善の80.5%ならびにER陰性例の改善の89.8%は、患者および腫瘍の特性の変化と治療の改善により説明されたが、依然として有意なままであった(p<0.0001)。最近診断された患者は、リンパ節転移陰性の割合が高かった。 1990~99年と2000~09年の10年遠隔再発リスクを比較すると、リンパ節転移陰性の場合、ER陽性では10.1% vs.7.3%、ER陰性では18.3% vs.11.9%、リンパ節転移が1~3個の場合、それぞれ19.9% vs.14.7%、31.9% vs.22.1%、リンパ節転移が4~9個の場合、それぞれ39.6% vs.28.5%、47.8% vs.36.5%であった。 治療について補正後、2000年以降は1990年代と比較して、遠隔再発率はER陽性例で25%、ER陰性例で19%減少し、ER陽性では5年を超えても同様の改善が認められた。

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血管性認知症に対する薬物療法〜ネットワークメタ解析

 血管性認知症は、代表的な認知症の1つであり、負担やコストが大きい。臨床医にとって、薬物療法が第1選択治療となることが多いが、利用可能な複数の治療オプションを比較した情報は、十分ではない。中国・四川大学のChun Dang氏らは、血管性認知症に対する各種薬物療法の有用性を比較するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Frontiers in Pharmacology誌2024年8月22日号の報告。 血管性認知症成人患者を対象としたランダム化比較試験(RCT)を、PubMed、Cochrane Library、EMBASE、Web of Science、OPENGREY、ClinicalTrials.gov、Wanfang Data、CNKIよりシステマティックに検索し、ネットワークメタ解析を実施した。主要アウトカムには、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコア、ADLスコア、副作用発生率の変化を含めた。介入戦略の有効性および安全性は、すべてRソフトウェアで生成されたフォレストプロット、累積順位曲線下面積(SUCRA)、ファンネルプロットを使用して包括的に分析した。 主な結果は以下のとおり。・21種類の抗血管性認知症治療薬とプラセボまたは未治療を比較した194件のRCTを分析に含めた。・MMSEスコアにおいて最も効果的な5つの薬剤は、butylphthalide、huperzine A、エダラボン、リバスチグミン、メマンチンであった。・ADLスコアにおいて有効であった上位5つの薬剤は、huperzine A、butylphthalide、tianzhi granule、ニセルゴリン、idebenoneであった。・薬物有害反応の発生率に関して、良好な安全性プロファイルを示した薬剤は、co-dergocrine mesylate、tongxinluo capsule、butylphthalide、ピラセタム、oxiracetamであった。 著者らは「本結果は、血管性認知症治療に関連する相対的なベネフィットとリスクに対する理解を深め、臨床上の意思決定において参考になるであろう」と結論付けている。

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