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33841.

慢性疲労症候群、認知行動療法や段階的運動療法の併用が有効:PACE試験

慢性疲労症候群の治療では、専門医による治療(SMC)に加え認知行動療法(CBT)あるいは段階的運動療法(GET)を併用すると、SMC単独に比べ中等度の予後改善効果が得られるが、適応ペーシング療法(APT)を併用しても相加効果は認めないことが、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のP D White氏らが行ったPACE試験で示された。慢性疲労症候群は「生活が著しく損なわれるような強い疲労」で特徴付けられ、筋痛性脳脊髄炎と同一疾患とする見解のほかに、別の診断基準に基づく異なる疾患と捉える考え方もある。CBTやGETの有効性を示す知見がある一方で、患者団体による調査ではAPTやSMCのほうが有効な可能性があると報告されている。Lancet誌2011年3月5日号(オンライン版2011年2月18日号)掲載の報告。4つの治療法を患者自身が評価PACE試験の研究グループは、慢性疲労症候群におけるCBT、GET、APT、SMCの4つの治療法の有用性を評価する無作為化試験を行った。イギリスの6施設から登録されたオックスフォード基準を満たす慢性疲労症候群患者が、SMC単独、SMC+APT、SMC+CBT、SMC+GETのいずれかの治療を受ける群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、52週における疲労(Chalder疲労質問票スコア)および身体機能(SF-36 subscaleスコア)であり、治療に対する重度有害反応に基づく安全性の評価も行った。主要評価項目の評価は患者自身によるが、試験デザインの性格上、割り付け情報はマスクされなかった。統計解析担当者にはマスクされた。縦断的回帰モデルを用いてSMC単独と他の3つの併用治療の比較を行った。疲労スコア、身体機能スコアとも、CBT併用群、GET併用群で改善患者選択基準を満たした641例のうち、SMC+APT群に160例が、SMC+CBT群に161例が、SMC+GET群に160例が、SMC単独群には160例が割り付けられた。52週における平均疲労スコアは、SMC単独群に比べCBT併用群は3.4ポイント(95%信頼区間:1.8~5.0)有意に低く(p=0.0001)、GET併用群は3.2ポイント(同:1.7~4.8)有意に低かった(p=0.0003)が、APT併用群では0.7ポイント(同:-0.9~2.3)の低下にとどまり、有意差を認めなかった(p=0.38)。平均身体機能スコアは、SMC単独群と比較してCBT併用群は7.1ポイント(95%信頼区間:2.0~12.1)有意に高く(p=0.0068)、GET併用群は9.4ポイント(同:4.4~14.4)有意に高かった(p=0.0005)が、APT併用群では3.4ポイント(同:-1.6~8.4)の上昇にとどまり、有意な差はみられなかった(p=0.18)。APT併用群に比べCBT併用群およびGET併用群は、平均疲労スコアが有意に低く(それぞれ、p=0.0027、p=0.0059)、平均身体機能スコアは有意に高かった(p=0.0002、p<0.0001)。慢性疲労症候群の国際基準を満たす427例および筋痛性脳脊髄炎のロンドン基準を満たす329例についてサブグループ解析を行ったところ、両群とも同等の結果が得られた。重度の有害反応は、APT併用群が1%(2/159例)、CBT併用群が2%(3/161例)、GET併用群が1%(2/160例)、SMC単独群は1%(2/160例)に認められた。著者は、「慢性疲労症候群の治療では、CBTおよびGETはSMCと安全に併用可能であり、中等度の予後改善効果が得られたが、APTにはSMCとの相加効果を認めなかった。別の診断基準を用いた場合にも同等の結果が得られた」と結論し、「患者には、SMCとともにCBTあるいはGETを受療するよう提言すべき」としている。(菅野守:医学ライター)

33842.

ピロリ菌除菌効果、ビスマス製剤を含む4剤併用が標準治療を凌駕

 ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori:以下、ピロリ菌)の除菌効果は、プロトンポンプ阻害薬オメプラゾールと次クエン酸ビスマス+メトロニダゾール+テトラサイクリンの4剤併用レジメンが、標準的な3剤併用療法よりも優れることが、ドイツ・Otto-von-Guericke大学のPeter Malfertheiner氏らの検討で示された。ピロリ菌は、消化性潰瘍、胃がん、胃MALTリンパ腫など上部消化管の良性/悪性疾患を引き起こすが、先進国では国民の20~50%が、開発途上国では最大で80%が感染しているとされる。日本を含め国際的なガイドラインでは、標準的な1次治療としてオメプラゾールにアモキシシリンとクラリスロマイシンを併用する方法が推奨されるが、最近の耐性菌の増加に伴い新たなレジメンの開発が求められているという。Lancet誌2011年3月12日号(オンライン版2011年2月22日号)掲載の報告。除菌率を比較する非劣性試験、優越性も評価 研究グループは、ピロリ菌の除菌治療における標準治療とオメプラゾール+3つの抗菌薬を含有するカプセル薬併用療法の有効性および安全性を比較するオープンラベルの無作為化第III相非劣性試験を行った。 2008年6月~2009年6月までに、7ヵ国(フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、ポーランド、スペイン、イギリス)の39施設から、ピロリ菌感染が確認され、上部消化管症状を呈する18歳以上の患者が登録された。 これらの患者が、オメプラゾール20mg(1カプセルを朝夕食後の1日2回)+3剤含有カプセル薬(次クエン酸ビスマス140mg、メトロニダゾール125mg、テトラサイクリン125mg、3カプセルを毎食後と就寝前の1日4回)を10日間服用する群(4剤併用群)、あるいはオメプラゾール20mg+アモキシシリン500mg+クラリスロマイシン500mg(朝夕食前の1日2回)を7日間服用する群(標準治療群)に無作為に割り付けられた。 主要評価項目はピロリ菌除菌率とし、治療終了後28日以降と56日以降に13C尿素呼気試験(UBT)を行い、2回とも陰性の場合に「除菌」と判定した。本研究は非劣性試験としてデザインされたが優越性の検出能も備えていた。非劣性の評価ではper-protocol(PP)解析を行い、優越性についてはintention-to-treat(ITT)解析を実施した。除菌率:PP解析で93% vs. 70%、ITT解析で80% vs. 55% ITT集団の440例(4剤併用群:218例、標準治療群:222例)のうち、UBT非施行例など101例(それぞれ40例、61例)を除く339例(178例、161例)がPP集団となった。 PP解析における除菌率は、4剤併用群が93%(166/178例、95%信頼区間:88.5~96.5%)、標準治療群は70%(112/161例、同:61.8~76.6%)であった。両群間の差の95%信頼区間は15.1~32.3%(p<0.0001)であり、4剤併用群の95%信頼区間の下限値は事前に規定された非劣性の境界値である-10%よりも大きく、標準治療に対する非劣性が確認された。 ITT解析でも、4剤併用群の除菌率は80%(174/218例)と、標準治療群の55%(123/222例)に比べ有意に優れていた(p<0.0001)。 安全性プロフィールは両群で同等であり、主な有害事象は消化管および中枢神経系の障害であった。著者は、「ピロリ菌の除菌治療においては、標準的な3剤併用レジメンの7日間服用よりも、ビスマス製剤を含む抗菌薬3剤+オメプラゾールの4剤併用レジメンの10日間服用のほうが有意に優れる」と結論し、「4剤併用は安全性と耐用性が標準治療と同等で、除菌効果は有意に優れるため、クラリスロマイシン耐性ピロリ菌増加の観点からは、4剤併用レジメンを1次治療として考慮すべき」と指摘している。

33843.

男性の発がん性HPV感染率は30%、パートナー数と密接に関連

 男性の発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)感染率は30%に及び、性交パートナー数が多いほど感染率が高く、かつウイルス消失率が低いことが、アメリカ・H Lee MoffittがんセンターのAnna R Giuliano氏らの検討で示された。HPVは男性の陰部疣贅やがんの原因となるが、男性におけるHPVの自然経過はほとんど知られていないという。HPVは男性から女性に感染することで女性の疾患リスクに大きな影響を及ぼし、男性の性行動は女性パートナーのHPV感染率や関連疾患にも影響することから、男性におけるHPV感染状況の解明が急がれている。Lancet誌2011年3月12日号(オンライン版2011年3月1日号)掲載の報告。3ヵ国の男性のHPV感染状況を検討する前向きコホート試験 研究グループは、男性性器のHPV感染の発生状況を検討し、関連因子を評価する前向きコホート試験を実施した。 ブラジル、メキシコ、アメリカに居住するHIV陰性で、がんの既往歴がない18~70歳の男性を対象とし、フォローアップ期間中に6ヵ月ごとの検査が行われた。亀頭冠状溝、亀頭、陰茎、陰嚢から試料を採取し、HPV遺伝子型の評価を行った。男性のHPVワクチン接種の費用効果モデル開発に有用な可能性 2005年7月~2009年9月までに4,299人(ブラジル:1,443人、メキシコ:1,429人、アメリカ:1,427人)が登録された。そのうち、2006年12月までに登録され少なくとも2週間以上のフォローアップを完遂した1,159人の男性(平均年齢32.1歳、フォローアップ期間中央値27.5ヵ月)について解析を行った。 発がん性および非発がん性を含むHPV感染率は50%(584/1,159人)であり、13種の発がん性HPVへの感染は30%(345/1,159人)に認められた。新規のHPV感染率は、1,000人・月当たり38.4(95%信頼区間:34.3~43.0)であった。 多変量解析を行ったところ、発がん性HPV感染率は、女性の性交パートナー数が0~1人の男性に比べ、10~49人の男性(ハザード比:2.18、95%信頼区間:1.53~3.12)および50人以上の男性(同:2.40、1.38~4.18)では2倍以上に達しており、有意な差が認められた。また、直近の3ヵ月間に男性の肛門性交パートナーがいなかった男性に比べ、3人以上のパートナーがいた男性では発がん性HPV感染率が有意に高かった(同:2.57、1.46~4.49)。 発がん性/非発がん性HPV感染者の感染期間中央値は7.52(同:6.80~8.61)ヵ月であり、HPV-16感染者では12.19(同:7.16~18.17)ヵ月であった。 発がん性HPVの消失率は、女性の性交パートナー数が0~1人の男性に比し50人以上の男性で有意に低く(ハザード比:0.49、95%信頼区間:0.31~0.76)、アメリカ在住の男性よりもブラジル在住男性(同:0.71、0.56~0.91)、メキシコ在住男性(同:0.73、0.57~0.94)は有意に低値を示した。また、発がん性HPVの消失速度は加齢に伴って迅速化した(同:1.02、1.01~1.03)。 著者は、「男性の性器HPV感染は3ヵ国のどの年齢層においても同様に高率であり、新規感染やウイルス消失はパートナーの性別にかかわらずその数と密接な関連を示した」とし、「これらのデータは、男性のHPVワクチン接種に関する現実的な費用効果モデルの開発に有用と考えられる」と指摘している。

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原子炉事故に伴う被曝リスクの評価 ヨウ化カリウム、30km圏内…のエビデンスを問う

長崎大学 医歯薬学総合研究科教授 池田正行氏池田正行氏のご厚意により、今回の東北地方太平洋沖地震について書かれた「ヨウ化カリウムへの信仰そして30km圏内のエビデンス」を転載させていただきます。ヨウ化カリウムへの信仰 わが国で既承認のヨウ化カリウム製剤の効能効果は、1.甲状腺腫 (甲状腺機能亢進症を伴うもの)、2.慢性気管支炎,喘息に伴う喀痰喀出困難、3.第三期梅毒 だけです。それ以外はすべて適応外使用になります。それをあたかも効能効果があるように謳うのは、エビデンスに基づく医療ではなく、信仰に過ぎません。教会でいただくパンのようなものです。人はヨウ化カリウムのみにて生くるにあらず ですから、一緒に葡萄酒も配ったらどうかと思うのですが、そういう話は寡聞にして耳にしたことがありません。そう言うと、必ず「海外データがあるはずだ」という、わけしり顔の連中が出てきます。そもそも、「あるはずだ」という言葉が当事者意識ゼロ、ただの評論家に過ぎないことを示しています。自分で調べればすぐわかることなのに、調べようともしないリテラシーの低さよ。結局、PMDAにおんぶにだっこなのです。原子炉事故に伴う被曝のリスク評価と、そのリスク低減のための介入の有効性・安全性の評価の両方について、ヨード131を例にとって、エビデンスレベルの観点から調べてみました。そうすると、ツッコミどころ満載の、如何に頼りないものにならざるを得ないかがわかりました。1.リスク評価の難しさ介入試験はもちろんできません。さらに、曝露を事前に予想できませんから、(前向き)コホート研究も絶対できない。となると、観察研究の中でも、エビデンスレベルのより低い研究とならざるを得ません。広島・長崎の被曝者登録研究は、大規模コホート研究という題名ですが、いわゆる「後ろ向きコホート」ですし、被曝線量があくまで推定なので、そのエビデンスレベルの判断も慎重にしなければなりません。さらに、剖検から死亡・罹患・健診・と、モニタすべきイベントの種類とモニタリング方法の多様性だけでも、この種の観察研究の困難さがよくわかります。ベラルーシやウクライナよりも公衆衛生インフラが発達しているであろう日本でもこの程度なのです。ましてやチェルノブイリ事故による甲状腺のリスク上昇など、一体どうやって正確に評価できるというのでしょう。研究のメッカであるはずの長崎大学原研自身がdetection biasの影響を排除できず「わからない」と言っているぐらいなのに。「甲状腺がんの「増加」の理由については、事故後、甲状腺に注目してスクリーニング(精査)が行われるようになったため、今まで見つからなかった潜在がんや微小がんも含めてその発見頻度が高まったという見解もあります。事実、事故前の正確な疫学データはなく、すぐには、放射線障害によってがんが増えたとは言い切れません」。ちなみに、このページには「チェルノブイリ周辺では他の放射線障害の代表疾患である白血病などは増加していません」とあります。2.リスク低減のための介入の有効性・安全性の評価の難しさ介入の標的であるリスクの評価自体が上記のようなエビデンスレベルですから、さらにそのリスク低減のための介入の有効性・安全性の正確な評価はほぼ不可能です。 ・そもそも日本のようなヨード過剰摂取の国で ・何歳以上?何歳未満の子ども?に・一体いつからいつまで(そもそもその、服用開始のきっかけとなるイベントさえ、何を基準にしたらいいのかわからない) ・どのような用法用量で、ヨウ化カリウムを飲めば ・飲まない場合(ただしヨードたっぷりのふだんの食事はそのまま)と比べて、甲状腺のリスクが、どの程度低減できるのか?世界中誰一人として、この問いに明確に答えられないことは、EBMをちょっとかじっただけですぐわかります。PMDAの治験相談に耐えうるプロトコールが作れないこともすぐわかります。以上、EBMの一番の醍醐味は、「わからない」ということが「わかる」ことだと改めて実感できます。30km圏内のエビデンス ハルマゲドン妄想を煽るのならば、24万人が死んだ広島、14万人が死んだ長崎といった、ハルマゲドンの実例を挙げればいいものを、引用しないのはなぜか?それは、実際のハルマゲドンでは、人々は決してパニックにならないからです。だから話として「つまらない」。だから引用しない。長崎にプルトニウム核爆弾が落ちてからも、爆心地から半径30km以内を立ち入り禁止となることはありませんでした。原爆が落ちる前も落ちた後も、長崎大学医学部は150年前からずっと、Ground zeroから歩いて5分足らずの(爆心地公園は、毎日の私の通勤経路です)、この長崎坂本の地に留まっています。「プルトニウム粉塵は密度が高いため、大気中でも水中でも沈降速度が大きくあまり遠くへは広がらない。チェルノブイリ原発事故時のプルトニウムの環境への規制値(3.7GBq/km2)を超えた飛散範囲は30km以内であり、セシウム、ヨウ素などがヨーロッパにまで拡散したのと大きな違いがある」(プルトニウムの体内動態について)長崎こそ、30km以内を立ち入り禁止区域にする選択肢があったのでしょうが、そんなことはおかまいなしに、65年経ってしまいました。でもプルトニウム239の半減期は2万4000年(α崩壊)だそうですから、まだ十分間に合う?いいや、α線だから、「臭いものに蓋」でこれから何万年もこのままでいけばいい?プルトニウム239の半減期は2万4000年ですが、1945年8月9日から今日に至るまで、地元はもちろん、県外でも、長崎県産の農産物、水産物、畜産物、乳製品がプルトニウム239の汚染ゆえに風評被害を受け、差別されたことはありません。400年の歴史を持ち、日本全国の生産量の6割を占めると言われる牡蠣を含めて広島県産の農水畜産物も同様です。さらに、国際連合の常任理事国の国々は、広島、長崎では飽きたらずに、核実験によって、3桁に上る回数の核爆発を行い、膨大な量の放射性物質を地球上にばらまきました。Wikipediaには、たった1回の地下核実験の失敗でも、スリーマイル島原子力発電所で発生した事故の2,000倍の量が漏れたとの記載あります。1963年以前に、地上で核実験行われていた時代には、一体どれだけの放射性物質が大気中にばらまかれていたことか。セシウム137の体内での経年変化の図は非常に興味深いものです。もし、これが日本人だとしても、セシウム137は国・地域を越えて広がりますし、日本での核実験は広島・長崎の2回だけですから、1964年の高値は広島・長崎以降の、国際連合常任理事国の核実験によるものでしょう。特に1963年までの大気圏内核実験が、チェルノブイリよりもはるかに深刻な地球の汚染をきたしていたことを、この図は如実に物語っていると思います。以上、狂牛病病原体で汚染されたビーフバーガーをたくさん食べていた経験が、人間の居住地域の中では今日でも史上最悪のプルトニウム(半減期2万4000年!何百回でも言ってやるぜ!)汚染地域に来ても大いに役立っていること、危機がリテラシーを育てることが実感できました。

33845.

急性非代償性心不全患者へのループ利尿薬の投与戦略

急性非代償性心不全患者へのループ利尿薬投与について、急速静注と持続点滴、低用量と高用量それぞれ比較したが、いずれも全般的な症状改善や腎機能改善の程度に有意差は認められなかったことが示された。米国デューク大学医学校・ハートセンターのG. Michael Felker氏らが、300人超の急性非代償性心不全患者について行った、前向き無作為化二重盲検試験により明らかにしたもので、NEJM誌2011年3月3日号で発表した。急性非代償性心不全への基本となるループ利尿薬の投与法に関して、前向き試験も使用指針もほとんどなかった。投与後72時間の全般的症状とクレアチニン濃度の変化を比較研究グループは、急性非代償性心不全の患者308人について、無作為に2群に分け、フロセミドを12時間ごと急速静注または持続点滴を行った。さらにそれぞれの群について無作為に2群に分け、患者の従来の経口投与量と同等の「低用量投与」、あるいは従来用量の2.5倍の「高用量投与」を行った。用量補正はプロトコルに従い48時間後に行ってもよいこことされていた。主要エンドポイントは、72時間の全般的症状評価の視覚的アナログ尺度の曲線下面積(AUC)と、72時間後の血清クレアチニン濃度の変化の複合だった。急速静注と持続点滴、低用量と高用量、いずれも症状や腎機能改善に差はなし結果、全般的症状評価の指標であるAUC平均値は、急速静注が4,236(標準偏差:1,440)で持続点滴が4,373(同:1,404)と、両群に有意差はなかった(p=0.47)。血清クレアチニン濃度の平均変化幅も、急速静注が0.05(同:0.3)mg/dLで持続点滴が0.07(同:0.3)mg/dLと、両群に有意差はなかった(p=0.45)。高用量群と低用量群の比較においても、AUC平均値はそれぞれ4,430(標準偏差:1,401)と4,171(同:1,436)と、有意差はなかった(p=0.06)。高用量群と低用量群の血清クレアチニン濃度の平均変化幅も、それぞれ0.08(同:0.3)mg/dLと0.04(同:0.3)mg/dLと、有意差は認められなかった(p=0.21)。なお高用量群については、低用量群よりも利尿効果や体重減幅などは大きかったが、事前に規定した腎機能悪化は、低用量群より高率だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

33846.

強化血糖降下療法を受けた、進行した糖尿病を有する心血管ハイリスク患者の5年転帰:ACCORD

平均3.7年間の強化血糖降下療法を受けたACCORD試験被験者の5年転帰について、標準療法を受けた被験者と比較した結果が明らかにされた。死亡および主要な心血管イベントに関する5年転帰を解析した結果、非致死的心筋梗塞の5年発生率は減少したが、5年死亡率は増大が認められたという。この結果を受けACCORD試験グループは、「進行した2型糖尿病を有するハイリスク患者に対する強化血糖降下療法は、治療戦略として推奨できない」と結論した。NEJM誌2011年3月3日号掲載より。強化血糖降下療法群は全死因死亡が多く、平均3.7年追跡後に標準療法にACCORD試験は、2型糖尿病で心血管疾患もしくは心血管疾患の追加危険因子を有する被験者を、強化療法群(糖化ヘモグロビン値6.0%未満を目標とする)または標準療法群(同7~7.9%を目標)に無作為に割り付け追跡された。試験は開始後、強化療法群での死亡が多く2008年2月5日に強化療法が中止となり、強化療法の被験者は標準療法に切り替えられ、全被験者が予定された試験終了まで追跡され、主要評価項目などのデータが集められた。強化療法群は、強化療法を平均3.7年、標準療法を平均1.2年受けた。強化療法群の死亡リスク、介入中止前1.21倍、全追跡期間1.19倍解析の結果、強化療法中止前の主要アウトカム(非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中または心血管系原因による死亡の複合)発生率は、強化療法群と標準療法群に有意差はなかった(P=0.13)。しかし強化療法群で、全死因死亡(主に心血管系による)がより多く(ハザード比:1.21、95%信頼区間:1.02~1.44)、非致死的心筋梗塞がより少ないことが認められた(同:0.79、0.66~0.95)。そうした傾向は、全追跡期間に認められた(死亡ハザード比:1.19、95%信頼区間:1.03~1.38、非致死的心筋梗塞ハザード比:0.82、95%信頼区間:0.70~0.96)。強化療法中止後、強化療法群の糖化ヘモグロビン値の中央値は中断前の6.4%から7.2%に上昇し、血糖降下薬の投与、重篤な低血糖や他の有害事象の発現率は両群で同程度であった。(朝田哲明:医療ライター)

33847.

糖尿病は独立リスク因子として血管疾患以外にも、がん、感染症などの早期死亡に関連する

糖尿病や高血糖が、がんやその他非血管系の疾患による死亡リスクと、どの程度関連しているのか明らかではなく、たとえば米国糖尿病学会、米国がん学会の共同コンセンサス・ステートメントでも不明であるとしている。英国ケンブリッジ大学のSeshasai SR氏らThe Emerging Risk Factors Collaboration(ERFC)は、糖尿病、空腹時血糖値と特異的死亡との関連について信頼たり得る評価を提供することを目的とした研究グループで、成人における糖尿病の寿命に対する影響を前向きに調査した結果を報告した。NEJM誌2011年3月3日号掲載より。糖尿病者の全死因死亡リスクは、非糖尿病者と比べ1.8倍ERFCが解析したのは、97件の前向き研究に参加した82万900例の被験者(平均年齢55±9歳、女性48%、ヨーロッパで登録58%、北米で登録36%)のうち、12万3,205例の死亡例(死亡までの期間中央値13.6年)に関するデータで、ベースラインの糖尿病の状態、空腹時血糖値に従い、死因別死亡のリスク(ハザード比)を算出した。結果、年齢、性、喫煙状況とBMIで補正後、糖尿病を有さない人(非糖尿病者)と比較した糖尿病を有する人(糖尿病者)のハザード比は、全死因死亡が1.80(95%信頼区間:1.71~1.90)、がんによる死亡1.25(同:1.19~1.31)、血管系の疾患による死亡2.32(同:2.11~2.56)、その他の原因による死亡1.73(同: 1.62~1.85)であった。50歳の糖尿病者、非糖尿病者より平均6年短命糖尿病者は非糖尿病者と比較して、肝臓、膵臓、卵巣、大腸、肺、膀胱、乳房のがんによる死亡と中程度の関連がみられた。また、がん、血管系疾患以外の、腎疾患、肝疾患、肺炎、その他感染症による死亡や、精神疾患、肝臓以外の消化器疾患、外因、意図的な自傷行為、神経系障害、さらに慢性閉塞性肺疾患による死亡とも関連していた。ハザード比は、血糖値による補正後は大幅に低下したが、収縮期血圧、脂質レベル、炎症マーカー、腎機能マーカーの値による補正では低下しなかった。一方、空腹時血糖値については、同値が100mg/dL(5.6mmol/L)を上回る場合は死亡との関連がみられたが、70~100mg/dL(3.9~5.6mmol/L)では死亡との関連はみられなかった。また、50歳の糖尿病者は非糖尿病者より平均6年早く死亡していた。その差の約40%は非血管系の疾患に起因していることも明らかになった。これらから研究グループは、「糖尿病は、いくつかの主要な危険因子とは独立して、血管疾患に加えて、いくつかのがん、感染症、外因、意図的な自傷行為、変性疾患による相当な早期死亡と関連する」と結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

33848.

2008年のサルモネラ症集団発生、原因はトマトや青唐辛子の生食:米国

米国疾病予防管理センター(CDC)サルモネラ症発生調査チームが、2008年に全国規模で発生したサルモネラ症の集団感染について疫学的調査等の結果、トマトや青唐辛子の生食が原因であったことが報告された。サルモネラ症の発生要因として近年、食品の生食が徐々に認識されるようになっている。そうした背景で行われた本調査の結果について調査チームは「生食による汚染防止の重要性を強調するものだ」と結論している。NEJM誌2011年3月10日号(オンライン版2011年2月23日号)掲載より。2008年に発生したサルモネラ症1,500例を調査研究チームは、下痢症状を呈し、集団発生株であるSalmonella enterica血清型Saintpaulへの感染が確認された症例を特定し、疫学的調査、摂取食品の生産地等のトレース調査および環境調査を行った。評価対象となったのは1,500症例で、2008年4月16日~8月26日の間に発生、ピークは5月中旬から6月中旬だった。症例発生は、米国内43州とワシントンD.C.、カナダで、発生率が最も高率だったのはニューメキシコ州(58.4例/人口100万)、テキサス州(24.5例/人口100万)だった。入院を要したのは1,500症例の21%、死亡は2例だった。トマトの生食、メキシコ料理、サルサなどに有意な関連レストランにおける集団発生ではなかった症例を評価した3つの症例対照研究の結果、症例発生との有意な関連が認められたのは、トマトの生食(マッチさせたオッズ比:5.6、95%信頼区間:1.6~30.3)、メキシコ料理レストランでの食事(同:4.6、2.1~∞)、ピコ・デ・ガロ・サルサ*1(同:4.0、1.5~17.8)、コーン・トルティーヤ*2(同:2.3、1.2~5.0)、サルサ*3(同:2.1、1.1~3.9)だった。また、家庭でのハラペーニョ(青唐辛子の一種)の生食も有意であった(同:2.9、1.2~7.6)。レストランやイベント等における集団発生例9つの解析の結果では、食材との関連が示された3つの集団発生例すべてでハラペーニョが含まれていた。また、食材との関連が示されなかったその他3つの集団発生例でも、食材としてハラペーニョあるいはセラノペッパー(青唐辛子の一種)が含まれていた。トマトの生食については、3つの集団発生事例で食材として含まれていた。発生株が同定されたのは、テキサス州産のハラペーニョと、メキシコの農場における農業用水およびセラノペッパーだった。トマトについては、トレース調査で感染源を同定することはできなかった。調査チームは、「この調査の早期の段階ではトマトの生食との疫学的関連が認められたが、その後の疫学的・微生物学的エビデンスはハラペーニョやセラノペッパーとの関連を示した。いずれにせよ生食による感染予防の重大性を強調するものである」と結論している。 *1:生のトマト、タマネギ、青唐辛子などを刻んでレモン汁などで和えた新鮮な調味料(サルサ)*2:とうもろこし粉でつくるタコス(薄いパン)*3:新鮮および瓶詰のサルサすべてを指す(武藤まき:医療ライター)

33849.

心房細動患者に対するイルベサルタンの効果の検討

心房細動患者に対するARB・イルベサルタン(商品名:アバプロ、イルベタン)の効果について、カナダ・マクマスター大学のYusuf S氏ら「ACTIVE I」研究チームによる無作為化プラセボ対照試験の結果が報告された。心房細動患者では心血管疾患イベントリスクが高い。イルベサルタンが同リスクを抑制するかどうかが検討された。NEJM誌2011年3月10日号掲載より。9,016例をイルベサルタンかプラセボに無作為化、平均4.1年追跡ACTIVE I(Atrial Fibrillation Clopidogrel Trial with Irbesartan for Prevention of Vascular Events I)は、脳卒中の危険因子既往があり収縮期血圧110mmHg以上の患者を、イルベサルタン300mg/日目標用量群か二重盲検でプラセボ群に投与する群に無作為に割り付け行われた。被験者はすでに、2試験のうちの1つ〔クロピドグレル(商品名:プラビックス)+アスピリン対アスピリン単独試験または経口抗凝固薬試験〕に登録されていた。第一主要複合アウトカムは、脳卒中・心筋梗塞・血管系が原因の死亡で、第二主要複合アウトカムは、これらに心不全による入院を加えたものとされた。9,016例が登録され、平均4.1年追跡された。第一主要複合アウトカムの発生率、両群とも100人・年当たり5.4%結果、イルベサルタン群がプラセボ群よりも収縮期血圧の平均低下が2.9mmHg大きかった。また拡張期血圧の平均低下は1.9mmHg大きかった。第一主要複合アウトカムの発生率は、両群とも100人・年当たり5.4%だった(イルベサルタンのハザード比:0.99、95%信頼区間:0.91~1.08、P=0.85)。第二主要複合アウトカムの発生率は、100人・年当たりイルベサルタン群7.3%、プラセボ群7.7%だった(同:0.94、0.87~1.02、P=0.12)。心不全による初回入院率(事前に副次アウトカムとして規定)は、イルベサルタン群2.7%、プラセボ群3.2%だった(同:0.86、0.76~0.98、P=0.02)。基線で洞調律だった患者では、心不全による入院、12誘導心電図上の心房細動の予防におけるイルベサルタンのベネフィットは認められなかった。また電話モニタリングを受けたサブグループにおいてもベネフィットは認められなかった。一方イルベサルタン群は、プラセボ群と比較して症候性低血圧(127例対64例)、腎機能障害(43例対24例)がより多く認められた。研究グループは、「心房細動患者に対するイルベサルタンは、心血管疾患イベントを抑制しなかった」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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血清ビリルビン値正常域内では、高値ほど呼吸器疾患リスクや総死亡リスクが減少

血清ビリルビン値が正常域内では、その値が高い人の方が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患や総死亡のリスクがいずれも低いことが明らかにされた。英国University College LondonのLaura J. Horsfall氏らが、50万人超を対象に行ったコホート試験で明らかにしたもので、JAMA誌2011年2月16日号で発表した。肝胆道系疾患や溶血性疾患のない50万人超を中央値8年追跡研究グループは、1988年1月~2008年12月にかけて、英国プライマリ・ケアに関するデータベース「Health Improvement Network」の中から、血清ビリルビン値の測定記録があり、肝胆道系疾患や溶血性疾患の診断歴のない、50万4,206人についてコホート試験を行った。主要評価項目は、COPDや肺がんの罹患率と、総死亡率だった。追跡期間の中央値は8年だった。被験者の血清ビリルビン値の中央値は、男性が0.64mg/dL(四分位範囲:0.47~0.88)で、女性が0.53mg/dL(同:0.41~0.70)だった。肺がんを発症したのは1,341人(罹患率2.5/1万人・年)、COPDは5,863人(罹患率11.9/1万人・年)、総死亡は2万3,103人(死亡率42.5/1万人・年)だった。血清ビリルビン値0.1mg/dLごと上昇で、肺がん罹患率は男性で8%、女性で11%減少血清ビリルビン値が高い方が、男性の肺がん罹患率は低く、低い方から第1番目の十分位群(血清ビリルビン値:0.18~0.34mg/dL)では5.0(95%信頼区間:4.2~6.0)/1万人・年だったのに対し、第5番目の十分位群(血清ビリルビン値:0.58~0.63mg/dL)では3.0(同:2.3~3.8)/1万人・年だった。同じく男性のCOPD罹患率も、それぞれ19.5(同:17.7~21.4)と14.4(同:12.7~16.2)と、血清ビリルビン値が高い方が低率だった。また男性の総死亡率も、第1番目の十分位群が51.3(同:48.5~54.2)/1万人・年に対し、第5番の十分位群では38.1(同:35.5~40.8)/1万人・年と低率だった。同様の傾向は女性についても認められた。重要な健康指標で補正後、血清ビリルビン値が0.1mg/dLごと上昇により、肺がん罹患率は男性で8%、女性で11%減少した。またCOPD罹患率も、血清ビリルビン値0.1mg/dLごと上昇により男性で6%減少し、総死亡率は3%減少した。COPD罹患率、総死亡率については、女性においても同様の傾向が認められた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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HIV感染の母親から生まれた非感染乳児、Hibなど抗体低値だがワクチン投与反応は良好

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染する母親から生まれたHIV非感染の乳児は、出生時のインフルエンザ菌b型ワクチン(Hib)や百日咳、肺炎球菌などの抗体値が、HIV非感染の母親から生まれた乳児に比べ、低いことが明らかになった。同時に、そうした乳児の、ルーチンのワクチン投与に対する反応は良好だったことも示されたという。英国Imperial College LondonのChristine E. Jones氏らが、南アフリカで100人超の妊婦とその乳児について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年2月9日号で発表した。母親がHIV感染の乳児、Hib、百日咳、肺炎球菌、破傷風の抗体値がいずれも低値Jones氏らは、2009年3月3日~2010年4月28日にかけて、南アフリカの首都ケープタウン近郊の旧黒人居住区であるカエリチャで、HIV感染・非感染の妊婦109人とその乳児について、地域ベースのコホート試験を行った。対象者のうち、HIVに感染する母親は47人(43%)だった。出生後に検査を行った幼児でHIV非感染だった100児について、出生時と出生後16週間の時点で抗体値を調べ比較した。これら被験者100児のうち、HIV感染の母親から生まれた乳児は46児だった。出生時の検査では、母親HIV感染群は非感染群に比べ、Hib(母親HIV感染群:0.37mg/L、 vs. 非感染群:1.02 mg/L、p<0.001)、百日咳(同16.07 FDA U/mL vs. 36.11 FDA U/mL、p<0.001)、肺炎球菌(同17.24mg/L vs. 31.97 mg/L、p=0.02)、破傷風(同0.08 IU/mL vs. 0.24 IU/mL、p=0.006)の抗体値が、いずれも低かった。ルーチン予防接種後の百日咳と肺炎球菌の抗体値は、母親HIV感染群の方が高値母親についても比較したところ、HIV感染群(46人)は非感染群(58人)に比べ、Hib(HIV感染群:0.67mg/L vs. 非感染群1.34mg/L、p=0.009)と、肺炎球菌(同33.47mg/L vs. 50.84mg/L、p=0.03)の抗体値は低かった。百日咳や破傷風の抗体値については、両群で同等だった。一方で、母親がHIV感染者の乳児はルーチンの予防接種に対する反応は良好だった。百日咳(母親HIV感染群:270.1 FDA U/mL vs. 非感染群:91.7 FDA U/mL、p=0.006)と肺炎球菌(同47.32mg/L vs. 14.77mg/L、p=0.001)については、母親HIV感染群の幼児の方が、接種後の抗体値が高かった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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外傷患者の3年死亡率は16%、病院から高度看護施設への退院で死亡リスク増大

米国の病院に外傷で入院した患者の3年死亡率は16%で、退院後に高度看護施設(skilled nursing facility)に入所した人においては、年齢にかかわらず死亡リスクが増大することが示されたという。米国・ワシントン大学外科部門Harborview外傷予防研究センターのGiana H. Davidson氏らが、12万超の成人外傷患者について行った後ろ向きコホート試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2011年3月9日号で発表した。院内死亡率は約3ポイント減だが、長期死亡率は2.7ポイント増研究グループは、ワシントン州外傷患者レジストリを基に、1995年1月~2008年12月にかけて、州内78ヵ所の病院に外傷で入院した、18歳以上の患者12万4,421人について、後ろ向きにコホート試験を行った。Kaplan-Meier法とCox比例ハザードモデル法を使って、退院後の長期死亡率について分析を行った。被験者のうち男性は58.6%、平均年齢は53.2歳(標準偏差:23)だった。外傷重症度スコアの平均値は10.9(標準偏差:10)だった。結果、被験者のうち、入院中に死亡したのは7,243人、退院後に死亡したのは2万1,045人だった。外傷後3年の累積死亡率は16%(95%信頼区間:15.8~16.2)だった。院内死亡率については、調査期間の14年間で8%から4.9%へと減少したものの、長期死亡率は4.7%から7.4%へと増加していた。退院後に高度看護施設に入所した患者、長期死亡リスクが1.4~2.0倍に交絡因子について補正後、高齢で、退院後に高度看護施設に入所した人が、最も死亡リスクが高かった。また年齢を問わず退院後に高度看護施設に入所した人は死亡リスクが高く、入所しなかった人に対する補正後ハザード比は、18~30歳が1.41(95%信頼区間:0.72~2.76)、31~45歳が1.92(同:1.36~2.73)、46~55歳が2.02(同:1.39~2.93)、56~65歳が1.93(同:1.40~2.64)、66~75歳が1.49(同:1.14~1.94)、76~80歳が1.54(同:1.27~1.87)、80歳超が1.38(同:1.09~1.74)だった。その他、退院後死亡のリスク因子として有意であったのは、最大頭部外傷の略式傷害尺度(AIS)スコア(ハザード比:1.20、同:1.13~1.26)、傷害の原因が転倒によるもの(同:1.43、同:1.30~1.58)、またメディケア加入者(同:1.28、1.15~1.43)、政府系保険加入者(同:1.65、1.47~1.85)だった。一方、外傷重症度スコア(同:0.98、0.97~0.98)、機能的自立度評価表(FIM、同:0.89、0.88~0.91)なども有意な予測因子だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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「Pramlintade/Metreleptin」の肥満症を対象とした臨床第2相試験を自主的中断

 武田薬品工業株式会社は17日、Amylin Pharmaceuticals, Inc.(本社:米国カリフォルニア州サンディエゴ)と同社は、肥満症を対象に追加で実施中のPramlintade/Metreleptin(開発コード:AC137-164594)による有効性と安全性を検証する臨床第2相試験を、自主的に中断することを決定したと発表した。 今回の中断は、既に終了している肥満症を対象とした別の臨床試験において、Metreleptinによる治療を受けた患者2名に発現が確認された抗体について精査するためのもの。 Amylin社は、「我々にとって臨床試験に参加される患者さんの安全性確保が最優先です。そのため、今回新たに認められた所見を精査するために中断することにしました。Amylin社と武田薬品は、治験医師、規制当局、外部の専門家とも緊密に連携し、今後の最適な方針を決定してまいります」と述べている。 なお、本決定は、Amylin社が別途実施している脂肪異栄養症の患者を対象とした糖尿病または高脂血症、あるいは両方の治療を目的としたMetreleptinの開発プログラムに影響はないとのこと。

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災害時の血圧の特徴とその管理の要点-被災地の血圧管理にぜひ活かしてほしい!(自治医科大学内科学講座循環器内科学 苅尾七臣先生)

自治医科大学内科学講座循環器内科学 苅尾 七臣先生に「災害時の血圧の特徴とその管理の要点」をご提供頂きました。以下、苅尾先生のメッセージです。-被災地の血圧管理にぜひ活かしてほしい!-多くの被災者の支援活動にあたっておられる医療関係者、行政、ボランティアの皆さんには心より敬意を表します。被災地周辺では、血圧レベルが増加します。震災後の循環器疾患の発症抑制には、血圧コントロールが極めて重要です。この血圧上昇に対して、震災時の血圧上昇の特徴と血圧管理の要点をまとめました。下記、『文献 災害時血圧管理.pdf』よりダウンロードしてください。これまでに、災害時の血圧管理の十分なエビデンスは存在しません。阪神淡路大震災時の継続した医療を通じて得た経験と客観的な数字からなるレトロスペクティブなエビデンスに基づき作成しています。被災地では寒さが続き、薬剤が十分に行き届かなかったり、まだまだ避難所の整備も十分ではない状況にあると思いますが、一つの目安として、お役立ていただけましたら幸いです。 平成23年3月20日自治医科大学附属病院循環器センター内科部門(循環器内科)苅尾七臣

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【阪神淡路大震災の経験を東北関東大震災に活かす】災害時循環器リスク予防スコアの活用のお願い (自治医科大学内科学講座循環器内科学 苅尾七臣先生)

自治医科大学内科学講座循環器内科学 苅尾七臣先生に「東北関東大震災での災害時循環器リスク予防スコア」をご提供頂きました。以下、苅尾先生のメッセージです。この度の東北関東大震災ではこれまでにない甚大な被害が日々報告されておりますが、先生方、ご家族並びに周囲の方々が無事であることを心より願っております。栃木県の自治医科大学では直接的には大きな被害はありませんでしたが、発生後5日目までに、震災に関連した狭心症と心不全の増悪、車中泊での深部静脈血栓症に起因する肺塞栓症の各3名患者が入院されました。著者は、16年前に阪神淡路大震災が発生した当時、震源地である淡路島北淡町の国保診療所に赴任していました。その時の継続した医療と、地元の津名郡医師会事業として行った震災後の循環器疾患調査に基づき、今回、災害時の循環器リスク予防スコア(下記、文献「災害時循環器スコア.pdf」よりダウンロードできます)を作成しました。阪神淡路大震災に比較して、東北関東大震災では被害地域が広範囲に及び、物流がうまくゆかず、制限された避難所生活が長期化することが懸念されます。まだ、被害の全容がつかめていない状況ですが、今後、問題となってくるのが、心筋梗塞や脳卒中、突然死、大動脈解離、さらに肺塞栓症などストレスに関連した循環器疾患と感染症です。特にリスクスコア4点以上のリスクが高い被災者の方には、予防スコア6点以上を目指した徹底した循環器疾患の発症予防に向けて、個人ならびに避難所単位で、本スコアをご活用いただければと思います。まだまだ食糧、薬剤やマスクなど手に入らない状況が続いていると思いますので、今後の状況に応じて、可能な限りでお役立て頂ければ幸いです。 平成23年3月16日自治医科大学内科学講座循環器内科学苅尾 七臣

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NMDA受容体拮抗 アルツハイマー型認知症治療剤「メマリー」発売延期

第一三共株式会社は16日、NMDA受容体拮抗 アルツハイマー型認知症治療剤「メマリー錠5mg、10mg、20mg」(一般名:メマンチン塩酸塩)について、18日に新発売する予定だったが、東北地方太平洋沖地震の影響をふまえ、同剤の発売後の安定的な供給を確実なものとするため、発売日を延期と発表した。新発売の時期については改めて発表するとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/003949.html

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「災害 あいまいさ 寛容さ」 -神戸大学 岩田健太郎先生より

神戸大学感染症内科の岩田健太郎先生より、今回の東北地方太平洋沖地震について書かれた「災害 あいまいさ 寛容さ」を、先生のご厚意により転載させていただきました。地震が3日めになっている。被災された方にはお見舞いの言葉もない。まだ安否が確認できていない知人や友人がいて、心が痛む。僕は5年生の夏休みに病院実習を受けている。コメディカルから医学生を教育するという特異なプログラムで、たくさんの方に貴重な教えを受けた。当直やオペにも入って夜中にいろいろ臨床医としての大事な話を教えてもらった。今の僕が医師として何らかの価値があるとすれば、その基盤を作ったのはこの実習である。それが、宮城県亘理町の病院であった。この町が土砂に埋まっている空からの映像を見て、息が詰まる思いがした。原発の問題が報道されている。僕は原発にも放射線にも全く不案内だが、安全に関する問題は、断定口調をとれない、ということをこれまでの経験で理解している。難しい問題に対する即答できる解決策はほとんど存在せず、福島原発の問題は第一級の難問である。記者会見で枝野長官たちが口ごもるのはあたりまえである。「これこれこうなっていますから、こうすればよいんですよ」などとぺらぺらとはしゃべれないのである。ためらいの口調、「分かりません」という回答は、このような困難な状況では、むしろ当然なのである。内田樹さんのブログにもあったが、こういう未曾有の災害時で一番大切なのは寛容である。誰かが誰かを糾弾するような口調は厳に慎まなければならない。政府も東京電力も必死である。当たり前だ。この問題を適当にあしらってやろうなんて思っているものはいない。こんな大事な問題、ちゃっちゃとやっつけ仕事ができるわけないではないか。メディアはお願いだから、リスクに関して「はっきり言わないのはけしからん」とか「後手にまわっている」などと糾弾するのは止めてほしいと思う。このような場合では、メディアはいつもの糾弾口調は慎み、慎重になっていることを称賛し、苦労と心痛をねぎらうべきなのである。読売新聞は、視察をした副大臣が「居眠りをした」と糾弾した。僕は外来で診察しているときに居眠りしたことが何度かある。やってはいけないことだが、臨床医なら何度か覚えがあるはずだ。患者さんに申し訳ない気持ちでいっぱいなのだが、「先生も疲れてるんだね、無理しないでよ」と労われて救われたことがある。ぎりぎりのところで身も心もぼろぼろになって尽力している人にかけるべきは罵倒ではない。労いである。どうかあいまいさを許容し、寛容な心で、みなが協力して同じ方向を向いてほしいと願っている。これだけの規模の災害で、暴動も起きず、略奪も起きず、貧富によって救助のされ方が違うなんてことは想像すらされず、サンデル先生が例示したみたいに、人の不幸を踏み台にして悪質なビジネスも(少なくとも公然とは)行われない。、、、規律と善意と寛容な心を持って団結できている日本という国は本当にすごいと思う。自然の力はものすごい、と感じ入る一方、関東大震災の時より遥に大きな地震でも多くのビルはびくともしなかった。たしかに自然の力はあまりにも巨大だが、この100年あまりの間に、人間も飛躍的に進歩したのだ。人の力にも驚嘆している。●元記事はこちらhttp://georgebest1969.typepad.jp/blog/2011/03/災害-あいまいさ-寛容さ.html

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教授 富田剛司 先生「全身の疾患が眼に現れることは明確 眼を診るのは診断の第一歩である」

1955年2月4日生まれ。80年岐阜大学医学部卒業。専門分野は眼科で主に緑内障。86年緑内障学研究のため米国留学。92年客員研究員としてフィンランド留学。93年岐阜大学医学部眼科講師。99年東京大学医学部眼科助教授。07年東邦大学医療センター大橋病院眼科診療部教授就任。日本緑内障学会理事、データ解析委員会委員、ガイドライン作成委員会委員。眼科医の魅力眼科医というのは自分で所見を取って、そのまま自分で治療ができます。外科疾患ですと最初は内科で診断を受けても、腫瘍が発見された場合、薬物治療以外は外科医の担当となります。ですが、眼科は診断から治療まで一貫して担当することができるのです。眼科というと全身を診る医師のイメージから離れているので魅力を感じないという医学生もいますが、実は私もそう考えていました。眼底にはいろいろな変化が現れてきますので、それを診て今までわからなかった身体の状態、もしくは病気が発見されることが多々あります。眼底の変化から高血圧や糖尿病などが発見されることも多いのです。これらの病気を眼科医に指摘されて、あらためて内科を受診することは少なくありません。循環器内科の先生や生活習慣病などを専門にしている先生からは「眼科医が常駐していない病院は不安だ」という意見を聞いたこともあるほど、内科医の先生方からは頼りにされていると自負しています。医師にとって眼を診るのは診断の第一歩であり大切な所見過程の一つです。しかし、私見ではこのような診断方法が多少なりとも軽視されているのではないかと危惧していますし、眼の所見を取らない医師がいることについては嘆かわしいことと思っています。人は眼をつぶると80%の情報量がさえぎられるそうです。哲学的にいうと、眼を診ているというのは存在すべてをみている。このような意味でも、眼科医は誇りを持ってよいと思います。眼の診断からわかることたとえば眼底出血の場合、網膜の浅い部分からの出血であれば、視神経の疾患を疑うか、高血圧症や動脈硬化症などの疾患も考えられます。また、深い層からの出血であれば糖尿病や貧血、白血病などが疑われます。このように全身疾患が眼に現れることは明確です。さらに、がんの転移が眼に現れてわかる場合もあります。「眼が見え難くなった」という症状を訴えて来診した患者さんの場合、明らかに眼が原発の腫瘍ではない腫瘍が認められました。これは身体のどこかに悪性腫瘍があるに違いない、となって内科系の検査をしたところ、がんが発見された例がありました。また、自覚症状はなく、健康診断ということで視野検査をしたところ異常がみつかりましたが、それは眼の異常でないことは明白で、結果、脳腫瘍が発見された例もありました。視野の欠損にはパターンがあって、眼病からなるものとそうでないものは明確にわかります。このようなケースがままあるので、眼科学会としては40歳を過ぎたら年に一度は眼の検診を受けてほしい旨を推奨しています。「眼は心の窓」といいますが、極端にいえば病態を知るための身体の窓でもあるのです。40歳以上は20人に1人が罹患する緑内障緑内障は眼圧の影響を強く受けて視神経が障害される疾患で、なかなか完治させることが難しい病気です。放置すれば、重篤な視覚障害をもたらします。ですから、早期に発見し眼圧を下げて軽度のうちに進行を止めることが重要です。近年40代以上の20人に1人は緑内障があるともいわれるほど身近な病気ですので、何らかの理由で眼科を受診した患者さんの中に緑内障を疑われる人は意外と多いのです。また、急性緑内障の場合は激烈な症状として、強い頭痛、嘔吐など内科的発作が現れます。これらの症状を訴えて救急に行った場合、たいていは脳出血などを疑ってCTやMRIの検査をします。その後症状が落ち着いたら、脳神経外科の受診を勧められるでしょう。しかし、まったく眼の診断がなされず、緑内障も疑われなかったために、治療が遅れて残念な結果になってしまった例も少なからずあります。どの科の専門であっても医師ならば必ず眼科の講義は受けているはずですが、眼の疾患がおざなりになっている現状を危惧せずにはいられません。緑内障診断の正確性を高めたい緑内障は眼球の内圧により、視神経が圧迫または障害されて、視野狭窄や視力が低下する病気です。検査は眼圧測定、視野検査、眼底検査が行われますが、日本人の場合、眼圧は正常なのに視神経が障害される「正常眼圧緑内障」が多いので、早期発見のためには視神経乳頭の状態をみる眼底検査が重要です。しかし、従来の眼底検査は平面写真で診断するため、視神経乳頭の凹み具合の判定は、眼科医の技量・経験によって判断が異なるという問題がありました。私が研究の主体としているのは、誤診が多いとされている緑内障の診断について、これをより正確にするための標準化――スタンダリゼーションを目指しています。そこで、客観的かつ的確に眼底を診断する手段として生まれたのが、眼底三次元画像解析装置です。これはまだ完成には至っていませんが、緑内障の診断が得意ではないような方、または緑内障との判断が難しい場合や自信がない場合、装置の結果をみることによって判断材料が増えると考えています。補助的な診断材料としては有効であると思います。もちろん、機械ですべて判断できればそれに越したことはありませんが、それはこれからの課題です。適切に診断し、適切に治療することが難しい病気であることは認識しておりますので、経験を積んだ指導医のもとで学ぶことが必要だと考えております。また、これは緑内障学会としてきちんとした指導システムを構築しなければいけないのではないかとも考えております。医学生の皆さんへ白内障の手術であれば自らの執刀が20件以上、助手であれば100件以上の実績が前提になりますが、ほとんどの人が後期研修医から5~6年で専門医になれます。眼科医は視覚が何らかの理由によって衰えた患者さんが、自分の診断、治療によって治癒していくのをつぶさに確認できる。私自身もそうでしたが、医師となって比較的早い時期に達成感を得られる可能性が高いと思います。研修を始めてから10年ほどで患者さんを満足させる十分な医療技術を身につけることができるのは、眼科医ならではの特徴です。さらに、マイクロサージェリーは実体顕微鏡(マイクロスコープ)を使うため老眼の影響を受けないので、現役でいられる時間が長いのです。医師にはなりたいけど手術には向いていないという人ならば、網膜の病気であってもレーザー治療などメスを持たない眼科の診療もあります。逆に、自分は手術が好きだという人であったら、それを主に選択することもできるのです。医学生の皆さんは、とかく近い未来しか考えていない面があり、20年後、30年後の自分のビジョンを持っている人は少ないようです。長い目でみた場合、眼科ほど息が長く医師としての活動が行える分野はないように思えます。また、家庭の事情があって出産などによる数年のブランクがあっても復帰しやすいのも眼科医です。当大学の眼科で行っている最新治療としては、網膜黄斑症などの疾患に対して、硝子体の手術を行うのですが、その後、眼の中に空気を入れて穴を塞ぎます。その場合、術後1週間はうつ伏せ状態でいなくてはなりませんでした。これは患者さんにとって大変な負担です。そこで、うつぶせ状態でなくてもよい状態の研究を始めています。また、学術活動にも力を入れており、国内学会での研究発表はもとより、海外での国際学会にも積極的に参加し、高い診療レベルを維持するよう努めています。質問と回答を公開中!

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教授 富田剛司 先生の答え

緑内障手術を受けた患者さんの細菌感染について日本緑内障学会からの災害時の注意を読みました。緑内障手術を受けた患者様では、衛生環境の悪化や抵抗力の低下によって細菌感染(濾過胞炎・眼内炎)を生じる危険があります。とありますが、術後どのくらいの期間までを指すのでしょうか?術後1年以上であれば危険がないのか、そもそも緑内障手術を受けた患者さんは常に細菌感染のリスクがあるのか?教えていただけると助かります。私の地域でも被災地からの避難者(疎開?)が増えてきました。整形外科(クリニック)をやっていますが、できることは全てやって差し上げようと他の領域についても勉強を始めた次第です。初歩的なことかとは思いますが宜しくお願いします。緑内障手術の中でも術部位に濾過胞が形成される線維柱帯切除手術後の、濾過胞関連感染症の発症頻度は、報告にもよりますが、1から3%とされており、感染のリスクは濾過胞が形成されている限り(これがあるために眼圧が下がるのですが)続きます。濾過胞の壁(結膜)が非常に薄くそこから房水が漏出しているような状況の場合、濾過胞が眼球下方に形成されている場合は、特に感染のリスクは高くなります。逆に、十分に壁の厚い(厚い結膜で覆われている)濾過胞の場合はリスクはほとんど無くなります。眼科医にすぐ診察を受けられないような状況下で緑内障術後の患者さんがいらした場合は、点眼中止が可能かどうかの判断は難しいと思いますので、念のため抗生物質の点眼薬を継続して使用していただく方がよいと思います。 眼底三次元画像解析装置について眼底三次元画像解析装置については3,4年前に記事を読んだ記憶があります。(確か富田先生の記事でした。)まだ完成に至ってないとのことですが、完成度としてはどの程度まできているのか教えてください。眼底三次元画像解析装置は、すでに検査技術料が保険収載されており、そういう意味では眼科診療に一般的に受け入れられています。完成に至っていないとの記事内容ですが、画像解析装置のみを用いて緑内障を100%自動診断するには至っていない、という意味で書きました。画像解析装置の使用目的として、健康診断などで眼科医がいないような状況下においても緑内障を早期に自動診断することが究極的な目標の一つに挙げられています。しかし、今のところ装置のみによる診断精度は80%から90%くらいであり、現時点では画像解析結果の最終判断は眼科専門医に委ねられるべきであると考えています。心身不安からくる疾患(眼科領域)について災害時などでは心身不安から急性緑内障発作をおこす方がいるとのことですが、他にも気をつけるべき疾患はありますでしょうか?眼科分野において、緑内障の急性発作以外に急激に発症し早急な治療を要する疾患としては、網膜剥離、網膜中心動脈あるいは静脈閉塞症、視神経炎(眼を動かすと眼の奥が痛いなどの症状を伴って、強い視力低下を自覚する)、ぶどう膜炎の発作(ベーチェット病など)等々がありますが、自覚症状としては通常、眼の症状に限定されるので、少なくとも眼疾患であることは比較的分かりやすいと思います。災害時の心身不安ということを考えた場合、逆に目に関する不定愁訴のようなものが増える可能性もあると思います。緊急性を見分ける検査としては、やはり視力検査が重要と思いますので、どこかに視力表があるとよいと思います。この場合、メガネを掛けた状態で矯正視力を評価するのが重要な点です。急性緑内障先生の記事大変勉強になりました。大橋病院さんで、救急に運ばれてきて、結果、急性緑内障だったケースは年間何例くらいあるのでしょうか?私は、強い頭痛、吐き気を訴えてきた患者さんは、まず近くの脳神経外科に直ぐ行かせていました。今のところ、結果急性緑内障と診断されたことはないのですが、先生の記事を拝見する限りでは、眼科もある病院を紹介した方がよいのでは?と考え直しているところです。緑内障の発作であると最初はわからなくて体調不良として救急を受診される方はさすがに少なくて、ほとんどがすでに眼科医を受診された上で緊急紹介されるか、救急で受診されても眼の症状ということで最初から眼科に廻されてくることが多いです。大橋病院で救急に運ばれてきて、最初はわからなくて脳外科的検査も受けた後、結果、急性緑内障だったケースは私の記憶では、この5年間でお一人くらいだったと思います。なので、ほとんどの場合は問題とはならないと思いますが、眼科医が眼をみて初めて、「あ、緑内障の発作だ」という事例はありますので、やはり、可能であれば眼科もある施設にご紹介されるのがベストと考えます。40歳からの眼科健診先生が推奨されている「40歳からの眼科健診」は私も賛成です。先生も他でご指摘されているように、生活習慣病に焦点があてられている住民健診では眼科健診を取り入れることは難しい、と考えますが…。しかし一方で、全ての自治体が動き、住民健診の中に眼科健診が取り入れられた場合、現状の眼科医でさばけるのでしょうか?緑内障の診断は難しいと聞きます。健診を標準化できるように眼底三次元画像解析装置など開発されているかと思いますが、住民健診の場全てにその装置を配備することは難しいのでは?と思います。この点について先生の見解をお聞かせいただければと思います。先生のご指摘はまったくその通りだと思います。先の眼底画像解析装置のご質問にもお答えしましたが、画像解析装置での眼底スクリーニングには限界がありますので、住民健診の場で使用できる現状にはまだ至っていません。現時点で私が考える最も効率的な緑内障を含めての眼底疾患スクリーニング法は、無散瞳眼底写真撮影です。考え方としては、胸部レ線による疾患のスクリーニングに近いと思います。眼底カメラの価格は300から500万円くらい。熟練した技師であれば眼底写真撮影は数分ですみますので、畳一畳分くらいの暗室があればOKです。写真はカラープリント(あるはスライド)にして眼底読影医(眼科専門医が望ましい)が判定することになります。したがって、健診の場に眼科医がかならずしも常駐する必要はありません。問題は、先生もご指摘のように、眼科医が対応できるのか、ということです。眼底読影という点については、各健診地区で読影の拠点施設(眼科医会の協力が必要か)を確立できれば良いように思いますが、スクリーニングで精密検査が必要となった場合が問題となります。緑内障で言うと有病率は5%であり、おそらく日本人全体で350万人くらいの緑内障が患者いると想定されます。日本眼科学会に登録している眼科医は現在1万5千名くらいですので、単純計算で眼科医すべて(後期研修医も含め)が200人強の緑内障患者を受け持つことになります。残念ながらこれは眼科医からみれば無理な数字です。誰が緑内障を診るのか、ということについては今後の議論を待たねばなりませんが、"40歳以降の目の健診"については、現在は会社の健康診断や各病院の人間ドックメニューに眼底写真撮影を取り入れてもらうようにすることから健診者を増やしていければと思っています。手術時の患者さん対応について目の手術となると患者さんの不安は大きく(当然ながらメスが近づいてくるのが見えるんですよね?)、しかも局所麻酔なので、周囲の音も聞こえ、ますます不安が大きくなるのかと想像します。手術の時に患者さんをリラックスさせるために行っていることや、気をつけていることがあればご教示ください。大変重要なご質問です。手術前の患者さんをリラックスさせるための手段として、多くの眼科施設でBGMを流しています。私の施設でもクラッシックやヒーリング系の音楽を流すようにしています。子供や若い患者さんには、あらかじめ自分の好きなCDなどを持ってきてもらって、それを流しています。また、洗眼などの手術準備中はできるだけ声を掛けながら、場合によっては世間話をしながら、患者さんの緊張をほぐすようにしています。富田先生は最初から眼科医を目指していたのでしょうか?富田先生は最初から眼科医を目指していたのでしょうか?また眼科医を目指そうと思ったきっかけなどあれば教えていただければと思います。私は学生の頃は、循環器内科に興味を持っていました。心電図を読むのが好きで、先生に褒められたのも一因です。ただ、眼科のポリクリの時に、アメリカのNIHでの留学から帰ってきたばかりの講師の先生が、眼科の疾患の説明はそっちのけで、人間の眼と、魚やカタツムリの眼の構造上の違いや類似点を楽しそうに話してくれたのが強い印象となって、父が眼科医であることもありましたが、眼科医の道を選びました。日本人と欧米人の眼の違い外科系の先生からは日本人と欧米人では体質が違う(肉食系の欧米人は血がドロドロ、でも止まりやすい、日本人は臓器が小ぶりなので欧米人よりも手術に気を遣う)ので、注意するようにと教わりました。眼もそのような質の違いがあるのでしょうか?(医学生)確かに日本人の眼と欧米人の眼で違いがあるように感じます。眼球は、眼窩という頭蓋骨のくぼみの中に収まっていますが、欧米人の眼窩は広くゆったりしており、日本人の眼窩はそれよりは狭い感じがあります。眼球の大きさはさほど違わないので、日本人の眼は眼窩周囲の組織に圧迫されているような感じがあります。したがって、硝子体圧が高めです。これは、白内障手術などをする場合、水晶体がせりあがってくる感覚があり、やや、手術がやりにくいと感じる場合があります。ただ、日本人の眼で慣れてしまうと、逆に白人の手術をする場合、眼球内がふにゃふにゃしている感じがあります。したがって、白人の眼はそっと丁寧に扱う必要性があるように思います。ただ、これは微妙な違いなので、ものすごく問題になることはありません。眼科医以外が眼科のことを学べる取り組み「どの科の専門であっても医師ならば必ず眼科の講義は受けているはずですが、眼の疾患がおざなりになっている現状を危惧せずにはいられません。」全くその通りです。私も講義を受けた記憶はありますが…。数年前から大学を離れ、診療所で患者を診るようになり、今更ながら後悔しています。プライマリー・ケア医に役立つ眼科セミナーや、勉強会など、眼科医以外が眼科のことを学べる取り組みがあれば参加したいと思います。もしご存知でしたらご教示お願いします。真摯なご姿勢に敬意を表します。大変重要なポイントをご指摘いただいたと思います。残念ながら、日本眼科学会や眼科医会には、他科の医師を対象とした眼科プライマリー・ケアに関する講習プログラムはこれまで存在しておりません。今回のような大震災を経験しますと、専門科を超えて医師が最低限知っておくべきプライマリー・ケアの知識と技量の生涯教育の必要性を痛感します。他科医師を対象とした眼科のプライマリー・ケア―のセミナーに関して、一度、学会に提言してみたいと思います。海外と日本の違い富田先生は海外留学のご経験も豊富とのこと。富田先生が思う、世界で一番眼科医療が進んでいる国はどこでしょうか?またその理由もご教示ください。失明率(一定人口中の失明者の数)や人口あたりの眼科医の数、眼科診療器械の普及度、眼科手術の件数、等々でその国の眼科医療を評価した場合、日本の眼科医療が実は世界一という結果が出ています。これは、日本の保険医療制度が大きく貢献しているとも言われていますが、日本の眼科医の質の高さを示す、誇るべきことであると思っています。近年、岐阜県の多治見市と沖縄の久米島で緑内障に関する疫学調査が行われましたが、それに付随するデーターとして、両地域間の失明率に違いはないことが明らかになりました。このことは、すくなくとも眼科医療に関しては、日本のどの地域であっても遜色なく普遍的に行われていることが示されており、日本の眼科医療が世界一であることを裏付けるものであると思います。総括大変多くの方からご質問をいただき感激しました。今回の質問にもありましたが、何と言っても、東日本大震災に関することで、眼科医療の重要性が再認識されていることをお伝えしたいと思います。今回、被災地から点眼薬やコンタクトレンズ用品、眼科医の不足を訴える声が大きいと聞きます。災害地が広範囲にわたるため、とりあえず近隣の眼科医を受診するということが出来なくなっているのです。災害では救急救命が重要なことは言うまでもありませんが、避難生活が長期化しだすと、やはり慢性疾患や、視覚などの生活の質を左右する要素に関するする対応も重要であることが痛切に感じられました。現在、産科医や小児科医の不足が問題になっていますが、実は、眼科医の数も年々減っています。今後日本が超高齢化社会を迎えるにあたり、物がみえているという最低限の生活のクオリティーを守るべき人がもっと増えてもいいのではないかと思っています。教授 富田剛司 先生「全身の疾患が眼に現れることは明確 眼を診るのは診断の第一歩である」

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適度な飲酒、心血管アウトカムを改善:最新知見を含む包括的メタ解析

適度な飲酒は、飲酒しない場合に比べ広範な心血管関連のアウトカムを改善するとともに、全原因死亡のリスクをも低減することが、カナダ・カルガリー大学のPaul E Ronksley氏らの検討で明らかとなった。これまでにも飲酒が種々の心血管関連アウトカムに影響を及ぼすことがいくつかの系統的なレビューで示されているが、いまとなってはこれらのレビューは古いもので、また広範な心血管関連のエンドポイントを包括的に調査、解析したものではないという。BMJ誌2011年2月26日号(オンライン版2011年2月22日号)掲載の報告。日本の7試験を含む84の試験の包括的な系統的レビューとメタ解析研究グループは、飲酒が多様な心血管アウトカムに及ぼす影響を評価した試験について包括的な系統的レビューを行い、メタ解析を実施した。Medline(1950~2009年9月)およびEmbase(1980~2009年9月)を検索して論文を抽出し、参考文献や会議記録などにも当たった。レビューの対象としたのは、飲酒と心血管疾患死、冠動脈心疾患罹患・死亡、あるいは脳卒中罹患・死亡との関連について検討したプロスペクティブなコホート研究であった。4,235試験について患者選択基準、試験の質、データ抽出法を評価し、最終的な解析の対象となったのは日本の7試験を含む84の試験であった。個々の解析項目のアウトカムについてプール解析を行い、変量効果モデルを用いて、非飲酒者との比較における飲酒者の調整相対リスクを算出した。1日1杯の飲酒で心血管イベントのリスクが14~25%低減全体として、飲酒者の相対リスクは、心血管疾患死(解析試験数:21試験)が0.75(95%信頼区間:0.70~0.80)、冠動脈心疾患罹患(29試験)が0.71(0.66~0.77)、冠動脈心疾患死(31試験)が0.75(0.68~0.81)、脳卒中罹患(17試験)が0.98(0.91~1.06)、脳卒中死(10試験)は1.06(0.91~1.23)であった。1杯の酒類のアルコール含有量を12.5g[ビール:355mLの缶または瓶、ワイン:グラス1杯(148mL)、40度の蒸留酒:グラス1杯(44mL)にほぼ相当]と規定して飲酒量とリスクの用量反応解析を行ったところ、冠動脈心疾患死のリスクが最も低かったのは1日1~2杯の飲酒者で、脳卒中死リスクは1日1杯以下の飲酒者で最も低かった。全原因死亡のリスクは、飲酒者のほうが非飲酒者よりも13%低かった(相対リスク:0.87、95%信頼区間:0.83~0.92)。著者は、「1日2.5~14.9gのアルコール摂取(約1日1杯以下)は、非アルコール摂取に比べ、広範な心血管関連アウトカムのリスクを全体として14~25%低減していた」とまとめ、「飲酒による心血管イベントのリスク低減効果は臨床的に重要だが、大量の飲酒は脳卒中の罹患、死亡リスクを増大させることに留意すべきである。これらの効果の根本的な病態生理学的メカニズムを解明する必要がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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