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急性心筋梗塞の再灌流障害に関するシクロスポリンの作用

細胞内のミトコンドリア防御作用を有するシクロスポリンが、心筋梗塞の再灌流時に起こる致死的心筋障害を減らすことは、実験的に示されている。フランス・Hopital Arnaud de VilleneuveのChristophe Piot氏らは小規模ながら、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)前にシクロスポリンを投与することで、梗塞範囲を抑えられるかどうかを検証。NEJM誌2008年7月31日号に結果が掲載された。58例を対象に逸脱酵素量測定とMRI画像で比較ST上昇型急性心筋梗塞を発症した患者58例を、PCI直前に体重1kg当たり2.5mgのシクロスポリンを静脈内投与する群と、同量の生理食塩水を投与する対照群に無作為に割り付けた。梗塞範囲は発症後5日目に、全例についてクレアチンキナーゼとトロポニンIの血中放出量を測定し、サブグループ27例はMRI画像で評価した。クレアチンキナーゼ放出量は有意に減少シクロスポリン群と対照群は、虚血時間、危険領域の範囲とPCI前の駆出率では類似していた。クレアチンキナーゼ放出量は、対照群と比べてシクロスポリン群では有意に減少したが(P=0.04)、トロポニンIは有意に減少しなかった(P=0.15)。梗塞発症後5日目に撮ったMRI画像で、梗塞組織を示す高度増強領域の絶対質量は、シクロスポリン群が中央値37g(四分位範囲:21~51)で、対照群の46g(同20~65)と比較して有意に減少した(P=0.04)。シクロスポリン投与の副作用はなかった。Piot氏は「この小規模試験では、再灌流時のシクロスポリン投与によって、プラセボより梗塞範囲が縮小したことを示す評価項目もあった」と結論したが、「これらのデータは予備的なものであり、より大規模な臨床試験で確認する必要がある」としている。(武藤まき:医療ライター)

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fetuin-A高値は糖尿病発症と関連

肝分泌タンパク質のfetuin-Aは、インスリン受容体と結合してインスリン活性を阻害する。これまでの研究で、fetuin-A高値とインスリン抵抗性との関連は指摘されていたが、2型糖尿病との関係は不明だった。米国・カリフォルニア大学医学部のJoachim H. Ix氏らは、高齢者において、fetuin-A高値の者が糖尿病を有するどうか検証。「高齢者では、fetuin-Aと糖尿病発症は相関する」と報告した。JAMA誌2008年7月9日号より。70~79歳3,075例を対象に6年間追跡調査機能性良好な70~79歳3,075例を対象にした遡及的後ろ向き観察研究。参加者のうちランダムに選択した糖尿病ではない者406例と、2005年8月31日まで6年間の追跡調査期間中に糖尿病を発症した全参加者の、ベースライン時におけるfetuin-Aの血清濃度を測定した。主要評価項目は糖尿病の発症。fetuin-A高値群の糖尿病発症リスクは約2倍糖尿病の発症は全体で135例(10.1件/1000人年)だった。fetuin-A値が最高三分位(0.97g/L)の範囲内にあった群の糖尿病発症リスクは13.3件/1000人年だったのに対して、最低三分位値(0.76g/L)の群は6.5症例/1000人年だった。このモデルは、年齢、性別、人種、腹囲、体重、身体活動、血圧、空腹時血糖値、HDLコレステロール値、トリグリセリド値、C反応性蛋白値で補正されている(補正ハザード比:2.41、95%信頼区間:1.28~4.53、P=0.007)。相関性は、脂肪細胞レベルには影響されないが、内臓脂肪蓄積(最高対最低の三分位:1.72、補正ハザード比:95%信頼区間:0.98~3.05、P=0.06)の補正で、やや希薄化された。Ix氏は「機能良好な高齢者における血清fetuin-Aは、インスリン抵抗性など他のマーカーからとは独立して、糖尿病発症と関連する」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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家族歴のある大腸患者の再発と死亡リスクは低い

一親等親族に大腸患者がいた場合、大腸発症リスクは増大するが、再発と生存に家族歴がどう影響するか明らかではない。米国・ハーバード大学医学部ダナ・ファーバー研究所のJennifer A. Chan氏らは、「ステージIIIの大腸患者に大腸の家族歴がある場合は、再発と死亡は有意に減少する」と報告した。JAMA誌2008年6月4日号より。術後補助治療を受けた患者1,087例を5年間追跡調査1999年4月~2001年5月に行われた無作為補助的化学療法治験「CALGB 89803」に参加したステージIIIの大腸患者1,087例を対象に、前向き観察研究を行った。患者はベースラインで家族歴に関するデータを提供しており、2007年3月までの間、疾患再発と死亡を追跡調査した(追跡期間中央値:5.6年)。主要評価項目は、大腸の既往歴の有無に従う、疾患のない生存、再発のない生存および全生存とした。一親等親族に既往歴がある人数が多いほどリスク低下1,087例のうち195例(17.9%)は、一親等親族に大腸の家族歴があった。再発または死亡は、家族歴のある群195例では57例(29%、95%信頼区間:23~36%)だが、家族歴のない群892例では343人(38%、35~42%)だった。家族歴のない群と比べて、家族歴のある群(一親等親族1人以上)の補正ハザード比は、疾患のない生存0.72(95%信頼区間:0.54~0.96)、再発のない生存0.74(0.55~0.99)、全生存0.75(0.54~1.05)だった。家族歴と、再発および死亡のリスク減少の関連は、一親等親族の発症経験者が多いほど強い。家族歴のない群に比べ、既往歴のある親族が1人いた群の、疾患のない生存の多変量ハザード比は0.77(95%CI:0.57~1.04)。既往歴のある親族が2人以上の群では、同0.49(0.23~1.04、家族歴のある親族数の増加傾向P=0.01)で、より大幅なリスク低下が見られた。Chan氏は「補助化学療法を受けているステージIIIの大腸患者で、家族に大腸の既往歴がある場合は、再発と死亡が有意に減少する」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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脳卒中の危険因子を持つ人の約半数は医療機関を受診せず

ファイザー株式会社が行った調査によると、脳卒中に対する国民の認知度は高いものの、予防意識は低いことがわかった。調査は全国の40歳以上の男女4700人を対象にインターネットで行った。調査結果によれば、脳卒中への理解度は高く、7割以上の人が「だいたいどのような病気か知っている」と回答した。また脳卒中の危険因子としては高血圧の認知度が一番高く、全ての都道府県で90%を超えている。しかし、38.0%の人は高血圧だという結果をうけても医療機関を受診していなかったさらに、LDLコレステロールの検査値が正常範囲より高いにもかかわらず、そのうちの57.8%の人は医療機関を受診していない。 医療機関を受診しない理由の第1位は、「生活習慣を変えることによって改善しようと思ったから。」しかし、実際に生活習慣の改善に取り組み、継続できている人は約半数にすぎなかった。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2008/2008_08_04.html

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赤身肉の大量摂取は血圧上昇を招く

1981年に提示された「iron-heart」仮説では、男性と女性(閉経前)と冠疾患リスクの差は、鉄分蓄積量の差によって説明できるとされたが、その後の研究からその裏づけとなる結果は、得られていない。ロンドン大学疫学・公衆衛生部門Ioanna Tzoulaki氏らの研究グループは、食事による鉄分(総鉄、ならびにヘム鉄、非ヘム鉄)の摂取、サプリメントなどによる補足的な鉄分摂取、さらに赤身肉の摂取と血圧との関連を調査する横断的疫学研究を行った。BMJ誌2008年7月15日号より。鉄分摂取と血圧変動の関係を疫学調査収縮期血圧が120~130mmHgの正常高値血圧でも、心血管系疾患や死亡リスクが高いことは知られている。薬物療法以外の食事療法などで正常高値血圧を下げる要因を見いだそうと1997年に開始されたのが、栄養と血圧に関する国際共同研究INTERMAP(International study of Macro- and micronutrients and blood Pressure)と呼ばれる4ヵ国共同疫学研究である。今回の研究もINTERMAPに参加する日本、中国、イギリス、アメリカの、40歳から59歳までの17集団4,680例を対象に、食事による鉄分の摂取、サプリメントなどの補助的手段による摂取、さらに鉄分が最も効率的に摂取できる赤身肉による摂取――の3つの方法に分けて、鉄分摂取量が血圧の変動に与える影響について疫学調査が行われた。主要評価項目は、2日の連続受診時に各2回、およそ3週間後にも2日連続受診時に各2回の、計8回の血圧測定記録の平均値とした。赤身肉102.6g/24時間摂取で収縮期血圧1.25mmHg高まる重回帰分析によって、食事による全鉄と非ヘム鉄の摂取は血圧を下げることがわかった。摂取熱量1,000Kcal(4.2MJ)当たりの鉄摂取量の平均値は、アメリカと中国が7.8mg/4.2MJ、イギリス6.2mg/4.2MJ、日本5.3mg/4.2MJだった。総鉄の摂取量が、4.20mg/4.2 MJで標準偏差の2倍(2SD)多い場合は収縮期血圧を1.39mm Hg(P

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好意的賛同を得られるバイオバンク運営のキーは?

保健医療と医学に対する信用の失墜は、医学研究にとって厳しい影響を及ぼす。しかし、最近の国際的な調査によれば、少なくとも80%の人々は、医学研究の発展のために生体試料を提供することに好意的であるとされる。とりわけ、いち早くバイオバンク法が整備されたスウェーデン人の意識はより高いとされるが、ウプサラ大学(スウェーデン)のLinus Johnsson氏らのグループは、採取したサンプルの保存と研究目的での使用について、スウェーデンではどれぐらいの患者が拒絶または使用目的を制限しているのか、またそれがバイオバンク研究にとって脅威となるのかどうかを検討した。BMJ誌2008年7月10日号より。提供拒否、同意を取り下げ数を年間140万症例の全国データで横断研究スウェーデンにおける、生体試料のバイオバンクでの保存および研究目的での使用には、どれだけの人が反対しているのか、また過去どれだけの人が同意を取り下げたかを調べるため、2005年から2006年のバイオバンク登録データを基に横断研究が行われた。拒絶した患者データは、全国21県のうち20県の年間140万症例のバイオバンク・サンプルから得た。主要評価項目は、同意に対する事前の拒絶、確認された拒絶、そして同意の取下げの率とした。いつでも取り下げられる仕組みがポイント保管とサンプル使用のいずれに対しても同意を拒絶したのは、1/690例。不同意を示す書面に記入して拒絶の意思を示したのは1/1,600例だった。また、検体を破壊されたくないと使用制限を求めた患者は1/6,200例だった。さらに、事前同意はしたが、その後同意を取り下げた患者は1/19,000例だった。Johnsson氏は「スウェーデンのバイオバンク研究への同意拒絶は珍しいことで、個人の利益と調査の利益は対立していない」と述べ、特にバイオバンクに対する脅威もなければ、研究の信用性を損なう恐れも認められないと結論した。そのうえで、「スウェーデンのヘルスケアシステムでは現在、潜在的に承諾、拒絶のいずれも有しているサンプルを使用することを余儀なくされており、デフォルトとして研究への承諾が含まれていないが、簡単に取り下げられる推定承諾の仕組みを備えたシステムは、人々の意向に沿ったものとなっているようだ」とした。

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HIV感染例の平均余命が改善、高所得国の併用抗レトロウイルス療法施行例

 併用抗レトロウイルス療法(CART)を受けているHIV感染例の平均余命は1996年から2005年の間に延長しており、高所得国における20歳時の平均生存例数は一般人口の約2/3であることが、国際的なコホート研究(ART-CC)で明らかにされた。CARTはHIV感染例の生存率およびQOLを有意に改善するが、一般集団レベルにおける余命への影響は明確でなかったという。カナダBritish Columbia Centre for Excellence in HIV/AIDS のRobert Hogg氏がLancet誌2008年7月26日号で報告した。欧米で実施された14のHIVコホートに関する国際的な共同研究 ART-CC(Antiretroviral Therapy Cohort Collaboration)は、ヨーロッパと北米で実施された14のHIVコホートに関する国際的な共同研究。解析の対象は、年齢16歳以上、CART導入時に抗レトロウイルス療法未治療の症例とした。 CART施行例の平均余命を推算する略式生命表を1996~99年、2000~02年、2003~05年に分けて作成し、性別、ベースライン時のCD4細胞数、注射による薬物使用歴で層別化した。20歳および35歳時にCARTを施行されていた症例のそれ以降の平均生存年数を推算した。20~64歳の間に失われた生存年数および粗死亡率を算出した。粗死亡率が低下、20歳時の平均余命は36.1から49.4歳に延長 CARTが導入されたのは、1996~99年が1万8,587例、2000~02年が1万3,914例、2003~05年は1万854例で、合計4万3,355例であった。試験期間中に2,056例(4.7%)が死亡し、粗死亡率は1996~99年の1,000人・年当たり16.3例から2003~05年には10.0例にまで低下した。同じ期間に失われた生存年数も、1,000人・年当たり366年から189年に低下した。 20歳時の平均余命は、1996~99年の36.1(SE 0.6)歳から2003~05年には49.4(SE 0.5)歳まで延長した。女性の余命は男性よりも長かった。注射による薬物使用を介して感染したと推定される症例は他の感染経路の症例よりも余命が短かった[2003~05年の年齢:32.6(SE 1.1) vs. 44.7(SE 0.3)]。ベースライン時のCD4細胞数が多い症例よりも、少ない症例のほうが余命は短かった[<100個/μL:32.4(SE 1.1)歳 vs. ≧200個/μL:50.4(SE 0.4)歳)]。 研究グループは、「CARTを施行されたHIV感染例の平均余命は1996年から2005年の間に延長したが、特に注射による薬物使用歴の有無、CD4細胞数別のサブグループではかなりのばらつきが見られた。高所得国における20歳時の平均生存例数は一般人口の約2/3であった」と結論している。 また、「1996年以降の顕著な余命の延長は、高所得国ではCARTの効果が徐々に発揮され全体としては治療が成功していることの証左であるが、一般人口との間にはいまだに大きな乖離があるため、今回のデータをHIV感染者の健康サービスの改善に役立ててほしい」としている。

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抗レトロウイルス治療が有効でも、HIVはパートナーに感染する

有効な治療が行われていれば、異性間性交渉によるHIV感染リスクは低いがまったくないとはいえず、男性の同性間性交渉における感染リスクは曝露を繰り返す間に高くなることが、数学的モデルによる解析で判明した。Swiss Federal Commission for HIV/AIDSのコンセンサスでは、有効な抗レトロウイルス療法によって血漿HIV RNAが検出されなくなった症例(<40コピー/mL)からは性交によるHIV感染はないとされていたが、これを覆す知見が得られたことになる。オーストラリアNew South Wales大学、国立HIV疫学・臨床研究センターのDavid P Wilson氏がLancet誌2008年7月26日号で報告した。一方がHIV感染例のカップルでパートナーへの長期的な感染リスクを推算本試験は、Swiss Federal Commission for HIV/AIDSのコンセンサスの一般集団における意義を解析する目的で行われた。研究グループは、単一の数学的モデルを使用して、有効な治療を受けているHIV感染例(HIV RNA<10コピー/mL)からの長期にわたる累積HIV感染率を推算した。対象は、いずれか一方のみがHIVに感染しているカップル(serodiscordant couple)とし、1回の無防備な性交ごと、および多くの性交の累積におけるHIV感染リスクを調査した。有効な治療を受けていても、感染率はコンドーム使用時の4倍に個々のカップルが年に100回の性交渉をもつと仮定すると、HIV非感染のパートナーへの年間累積感染率は、女性から男性への感染の場合は0.0022(uncertainty bounds:0.0008~0.0058)、男性から女性の場合は0.0043(0.0016~0.0115)であった。1万のserodiscordant coupleの集団において、10年間に非感染パートナーがHIV抗体陽性化(seroconversion)する予測数は、女性から男性への感染の場合は215(80~564)、男性から女性の場合は425(159~1,096)であり、男性から男性では3,524(1,477~6,871)であった。これは、コンドームを使用した場合の感染率の4倍に相当する。Wilson氏は、「有効な治療が行われていれば、異性間性交渉によるHIV感染リスクは低いがまったくないとはいえず、男性の同性間性交渉における感染リスクは曝露を繰り返す間に高くなる」と結論し、「有効な治療によってHIV RNAが検出限界を下回る非感染状態にあることが広く受け入れられる場合でも、そのためにコンドームの使用が減少すれば、HIV感染は実質的に増加する可能性がある」と警鐘を鳴らしている。(菅野守:医学ライター)

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薬剤耐性HIV-1にraltegravirと至適基礎療法の併用が有効

既存の抗レトロウイルス薬に感受性または耐性を示す活性ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)に対しても、HIV-1インテグレース阻害剤のraltegravir(MK-0518)は活性を示す。raltegravirの国際的第III相臨床試験BENCHMRKにおいて、抗レトロウイルス療法に失敗し治療の選択肢が限られた3クラス薬剤耐性HIV-1感染患者に、raltegravirを至適基礎療法と併用することで良好なウイルス抑制効果があることが報告された。ニューヨーク州立大学Roy T. Steigbigel氏らによる報告は、NEJM誌2008年7月24日号にて掲載された。2地域699例で有効性と安全性を比較raltegravir+至適基礎療法の併用による安全性と有効性をプラセボとの比較評価で検討するために、異なる地域で2つの同一試験を行った。試験対象患者(703例中699例)は、raltegravir群とプラセボ群に2対1の比率で無作為に割り付けられ試験薬が投与された(raltegravir群462例、プラセボ群237例)。699例中17例(2.4%)は16週以前に試験中止となった。そのうち中止理由が治療に関係していたのは13例(raltegravir群7例;同群全体の1.5%、プラセボ群6例:同2.5%)。なお2つの試験結果の整合性はとれている。48週時点でもHIV-1 RNAレベルを有意に抑制試験中止例を治療失敗例とし、16週時点での結果を比べてみると、HIV-1 RNA量が400コピー/mL未満に抑制されたのは、プラセボ群では236例中99例(41.9%)だったのに対して、raltegravir群は458例中355例(77.5%)だった(P

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ソラフェニブは進行性肝細胞患者の生存期間を延長する

進行性の肝細胞患者に有効な全身療法はないが、これまでの予備試験の結果、分子標的薬のソラフェニブ(商品名:ネクサバール、本年1月承認で国内では腎のみ適応)が、肝細胞にも有効である可能性が示されている。本論は、スペイン・バルセロナ大学のJosep M. Llovet氏らによる報告で、ソラフェニブの国際共同第III相臨床試験SHARPの結果。「ソラフェニブは生存期間を延長する」と報告されている。NEJM誌2008年7月24日号より。602例の生存率と症状進行の時間を比較評価全身療法を受けていない進行性肝細胞患者602例を、1日2回400mgのソラフェニブかプラセボの投与を受ける多施設共同二重盲検プラセボ試験に無作為に割り付けた。主要項目は全生存率と症状進行の時間、副次的転帰は放射線学的な進行と安全性。予定された第2回中間解析の時点で、被験者のうち321例が死亡したため試験は中止されている。生存期間と症状進行時間は3ヵ月延長全生存率の中央値は、ソラフェニブ群10.7ヵ月に対してプラセボ群は7.9ヵ月だった(ソラフェニブ群のハザード比:0.69、95%信頼区間:0.55~0.87、P

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うつ病治療に伴う女性の性機能障害にもバイアグラが有効

抗うつ薬の選択的・非選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SRI)治療に関連する一般的な副作用として性機能障害があり、しばしば抗うつ薬による治療を早期に中断せざるを得ない要因ともなっている。これまでSRIによる性機能障害に、シルデナフィル(商品名:バイアグラ)が有効なことは知られていたが、米国ニューメキシコ大学医学部のH. George Nurnberg氏らは、女性にも同様に効果があると報告した。JAMA誌2008年7月23日号より。閉経前の女性98例に対して性行為前に服用させ比較2003年9月1日から2007年1月1日の間、米国内の7つの研究施設において、大うつ病がSRI治療で沈静化したものの、性機能障害も経験した閉経前の女性98人(平均年齢37.1歳)を対象に、8週間の前向き・2群並行・無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験を実施した。患者は49例ずつ無作為に、性行為の前にシルデナフィルまたはプラセボを50~100mgまで増減して服用するよう割り付けられた。主要評価項目は、研究終了時点で、Clinical Global Impression性機能スケールによるベースラインからの変化の平均差とした。副次的評価項目は、Female Sexual Function Questionnaire、アリゾナSexual Experience scale(女性版)、ニューメキシコ大学Sexual Function Inventory(女性版)および性行為記録、ハミルトンうつ病評価スケールとした。内分泌レベルも評価が行われた。性機能スコアは改善、深刻な副作用は見られずClinical Global Impression性機能スコアは、シルデナフィル群が平均1.9(95%信頼区間:1.6~2.3)だったのに対して、プラセボ群は同1.1(0.8~1.5)で、終了時点の平均差は0.8(0.6~1.0、P=0.001)だった。ベースライン登録患者の22%は、早期に中断する結果になったが、シルデナフィル群の平均エンドポイントは性機能スコア1.5(1.1~1.9)であり、プラセボ群は同0.9(0.6~1.3)、終了時点の平均差は0.6(0.3~0.8、P=0.03)と有意な差があった。ベースラインにおける内分泌レベルは正常範囲内で、群間差はなかった。うつ病のハミルトン・スコアは平均値4.0(SD 3.6)で、両群の寛解度は同程度だった(P=0.90)。治療期間中に頭痛、潮紅、消化不良はしばしば報告されたが、深刻な副作用で脱落した患者はいなかった。このためNurnberg氏は、「SRI服用で性機能障害になった女性に対するシルデナフィル治療は、有害な性的効果を減少させる」と結論した。(朝田哲明:医療ライター)

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外国生まれの米国居住者における結核感染状況

アメリカでは結核対策の強化によって感染者が減少している。しかし、外国生まれの米国居住者の患者数は、2006年における全米の患者数の57%を占めていた。現行の対策では、入国者における高い結核感染率と潜在的な結核感染症への対処が不十分だとして、米国疾病管理予防センター(CDC)のKevin P. Cain氏らが、入国者集団の感染状況およびスクリーニング法を評価。JAMA誌2008年7月23日号に結果が掲載された。2001~2006年の入国者の感染状況を調査2001~2006年の間に結核と診断された、米国入国者の記述疫学的な分析によって、入国者集団における結核感染率と薬剤耐性菌リスクを評価し、入国者が出身国で受けるスクリーニング法に培養法を加えた場合の影響を検証した。主要評価項目は、入国後の時間、出身国、入国時の年齢によって階層化した結核感染率と、抗結核薬耐性パターン、入国後3ヵ月以内に結核と診断されたケースの特徴とした。アフリカ南部と東南アジア出身者が高リスク期間中入国者のうち4万6,970例が結核と診断された。このうち1万2,928例(28%)は入国後2年以内だった。入国後の時間が経過するほど結核感染率は低下するものの、入国後20年以上の集団でさえ、米国生まれの人より感染率は高いことが判明した。サハラ以南のアフリカと東南アジア出身者は入国者全体の22%だが、結核患者数の比率ではこれら出身者で53%を占めていた。最近のベトナムからの入国者の20%が、ペルーからの入国者の18%が、結核治療薬イソニアジド(商品名:イスコチン、ネオイスコチン、ヒドラ錠)に対する耐性が高かった。平均すると1年に250人は、米国入国後3ヵ月以内に、塗抹検査陰性、培養検査陽性で結核と診断され、このうち46%がフィリピンとベトナムからの入国者だった。Cain氏は、「サハラ以南のアフリカと東南アジア諸国からの入国者に、潜在的結核感染者が多く、治療することになる比率が特に高い」と報告している。(朝田哲明:医療ライター)

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企業人のメンタルヘルスを考える 「ワーク・ライフバランス チャリティ健康セミナー」を開催

年間の自殺者が3万人を越え、自殺対策基本法の制定(2006年6月)、自殺総合対策大綱の策定(2007年6月)など、自殺対策・予防が大きな社会問題となっているが、 1)社会や企業などの各種団体の担当者や管理者への啓蒙活動 2)セミナー参加者の心と身体の健康つくりへの貢献 3)自殺予防に関する団体の支援(研修会の収益の寄付など) 4)官、民、学の枠を超えた連携基盤を構築することを目的に、今秋、軽井沢でセミナーが開催される。現代日本で増え続けるメンタル関連疾患を社会全体で理解するため、各界の有名講師が集まるとともに、セミナーの収益はすべて日本いのちの電話連盟など自殺予防の活動を行っている民間団体に寄付される。 ワーク・ライフバランス チャリティ健康セミナー(第1回) ●日 時:2008年(平成20年)10月9・10日(木、金) ●会 場:万平ホテル(長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢旧軽井沢925)●主 催:ワーク・ライフバランス チャリティ健康セミナー ●詳細・問い合わせはホームページをご覧くださいhttp://www.occn.zaq.ne.jp/cuakf809/ ●お問い合わせ先:〒168-0081 東京都杉並区宮前3-8-3-105(有)ケイ・マーケティング・コミュニケーションズ  河村久美子 (kumik@yk9.so-net.ne.jp)Phone:03-3247-6248 / Fax:03-3247-6271

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プライマリ・ケアにおける急性腰痛症は回復に時間がかかる

オーストラリアの開業医によって管理される急性腰痛症患者の予後を評価する研究が、ジョージ国際健康研究所筋骨格部門(オーストラリア)のNicholas Henschkeらによって行われた。「診療ガイドラインにあるほど予後良好ではない」と報告されている。BMJ誌オンライン版2008年7月7日号より。170人の開業医らから集められた患者973例を1年間追跡試験は1年間の患者コホート追跡調査で、オーストラリア・シドニーにあるプライマリ・ケア・クリニックから患者が集められ行われた。追跡対象となった参加者は973例。市内170人の開業医、理学療法士、カイロプロテクターから、2003年11月から2005年7月までの間に、2週間以上痛みが持続し非特異的な腰痛症と診断された患者が集められた。平均年齢43.3歳、男性54.8%。主要転帰は、参加者記入による初診時アンケートの結果を基線に、6週間後、3ヵ月後、12ヵ月後に回復度について聞き取りが行われた。回復度は仕事への復帰、機能回復、痛みの消散によって評価された。予後因子と回復までの時間の関連はCox回帰分析で検定された。1年以内に回復したのは72%12ヵ月時点まで追跡調査ができたのは97%。そのうち基線で仕事ができない状態だった患者で2週間以内に仕事復帰できたのは約半数。3ヵ月時点で仕事復帰できていたのは83%だった。機能および痛みについてはより時間がかかり、機能回復までの時間の中央値は31日(25~37日)、痛みの消散までの時間の中央値は58日(53~63日)だった。そして12ヵ月以内に完全に回復していたのは72%にすぎなかった。高齢になるほど、また障害の程度、痛みの程度が重篤なほど、その持続期間は増す傾向にあり、回復により時間を要することも明らかとなっている。うつ感情やその持続の危険は、回復までにかかる時間と相関していた。「プライマリ・ケアで急性腰痛症を管理されているこの患者コホートにおける予後は、診療ガイドラインで示されているほど良好ではない。大半の患者は回復までに時間がかかり、3分の1は1年以内に回復には至らないことが明らかとなった」と結論している。

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喘息情報サイト「Zensoku.jp」で「二宮清純のゼンソク人間学」スタート

グラクソ・スミスクライン株式会社が運営する喘息情報ウェブサイト「Zensoku.jp」(http://zensoku.jp)の新企画として、対談シリーズ「二宮清純のゼンソク人間学」がスタートした。スポーツジャーナリストの二宮清純さんがナビゲーターを務め、喘息とかかわりの深い著名人やスポーツ選手をゲストに、喘息について語り合うというもの。二宮さんは幼い頃から喘息で、長年つらい症状に悩まされたという。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2008_07/P1000497.html

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「キッザニア東京」の『病院パビリオン』に「薬局」がオープン

ヤンセンファーマ株式会社は、体験を通して楽しく社会を学べる“こどもが主役のこどもの街”「キッザニア東京」の『病院パビリオン』に新設される「薬局」オープンにあたり、製薬企業ならではのノウハウや物品の提供に協力すると発表した。「薬局」は8月1日にオープンし、こども達は薬剤師の仕事を体験することができるという。詳細はプレスリリースへhttp://www.janssen.co.jp/inforest/public/home/?paf_gear_id=2100029&paf_gm=content&paf_dm=full&vid=v11&cid=cnt50608

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末梢静脈カテーテルの交換はルーチンに行う必要はない

末梢静脈カテーテルの交換はルーチンに行うべきか、それとも臨床適応となった場合にだけ行えばよいか。CDC(疾病予防管理センター)では感染対策の観点から72~96時間ごとに変えるべきとしているが、そのエビデンスは乏しく、また近年、ルーチンに変えるほうが静脈炎の発症率が高いといった報告もある。そうしたなか王立ブリスベーン&ウーマンズ病院(オーストラリア)臨床看護センターのJoan Webster氏らは、静脈炎発症率とコストの面で検討を行い、「臨床適応の場合だけ行えばいいようだ」と報告した。BMJ誌オンライン版2008年7月8日号より。オーストラリアの3次機能病院から755例を集め無作為化試験試験はオーストラリアの3次機能病院(Tertiary hospital)を対象に行われた。対象者はmedical and surgical患者755例。379例が臨床適応の場合にのみカテーテルの交換が行われる群に(介入群)、376例がルーチンに交換する群(対照群)に無作為に割り付けられ検討された。主要転帰は、静脈炎や感染症発症によるカテーテル不全の複合的な度合い。ルーチン交換群と臨床適応群にカテーテル不全の有意差なし静脈炎や感染症発症によってカテーテルが取り外されたのは、対照群は123例(33%)、介入群は143例(38%)で有意な違いはなかった(相対リスク1.15、95%信頼区間:0.95~1.40)。留置1,000日間につき生じたカテーテル不全の割合に基づき比較しても、有意な違いは見出せなかった(0.98、0.78~1.24)。手技に関するコストは、対照群のほうが高く、平均41.02オーストラリアドル。介入群は平均36.40オーストラリアドルだった。静脈炎の発症率は、介入群4%、対照群3%で両群とも低かった。Webster氏は「臨床適応のときだけ交換を行ってもカテーテル不全の発生に影響はなかった。ただし今回の知見を検証するため、またより臨床的意義あるアウトカムを静脈炎単独で検証するなど、より大規模な試験を行う必要がある」と結論している。

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急性心筋梗塞の最良の脂質関連リスク因子が解明された:INTERHEART試験

急性心筋梗塞(AMI)の最も優れた脂質関連のリスク予測因子は非空腹時のアポリポ蛋白B100(Apo B)/Apo A1比であることが、国際的な症例対照研究(INTERHEART試験)で明らかとなった。同試験では、修正可能な9つのリスク因子(喫煙、運動、果物/野菜、アルコール、高血圧、糖尿病、腹部肥満、心理社会的状態、Apo B/Apo A1比)で心筋梗塞の人口寄与リスク(PAR)のほとんどを説明できることがすでに示されており、なかでもApo B/Apo A1比はPARの半分に関与しているという。カナダMcMaster大学のMatthew J McQueen氏がLancet誌2008年7月19日号で報告した。52ヵ国から約2万7,000人が登録された大規模な症例対照研究INTERHEART試験は標準化された大規模な症例対照研究であり、世界52ヵ国からAMI 1万2,461例と、年齢、性をマッチさせた対照1万4,637人が登録された。非空腹時の血液サンプルはAMI群 9,345例、対照群1万2,120人から得られた。脂質、リポ蛋白、アポリポ蛋白の血漿濃度を測定し、コレステロールおよびアポリポ蛋白の比を計算した。オッズ比(OR)、95%信頼区間(CI)、PARは個々の測定項目ごとに算出し、五分位の上位4群と最下位群を比較することで人種ごとに推算した。非空腹時Apo B/Apo A1比をAMIの実地診療に導入すべきApo B/Apo A1比のPAR(54%)が最も高く、ORも最高値を示した(1.59、95%CI:1.53~1.64)。LDLコレステロール(LDL-C)/HDL-C比のPARは37%であった。総コレステロール(TC)/HDL-C比のPARは32%であり、Apo B/Apo A1比に比べ有意に低値であった(p<0.0001)。これら結果は、すべての人種、男性および女性、全年齢層において一致していた。McQueen氏は、「非空腹時のApo B/Apo A1比は、全人種、男女、全年齢層でAMIのリスク予測因子として、いずれのコレステロール比よりも優れていた」と結論し、「世界中でAMIの実地診療に導入すべき」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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アミロイドβペプチドワクチンはアルツハイマー病の神経変性を予防しない

 全長アミロイドβペプチド(Aβ42)ワクチン(AN1792)はアルツハイマー病のアミロイド斑を除去するが、進行性の神経変性は予防しないことが、開発中止後の長期的な事後検証試験の結果から明らかとなった。Aβ42ワクチンの第I相試験では、アミロイド斑の除去効果に加え、多様性が高く広範な非用量依存性を示す抗体反応が確認されていた。イギリスSouthampton大学臨床神経科学部のClive Holmes氏が、Lancet誌2008年7月19日号で報告した。第I相試験の登録例を長期フォローアップ 2000年9月にAβ42ワクチンによる免疫療法のプラセボ対照無作為化第I相試験に登録されたアルツハイマー病の80例(もしくは介護者)から、2003年6月に長期的な臨床的フォローアップ、開発中止後の神経病理学的な検証試験あるいはその両方に関する承諾を得た。フォローアップ試験は2006年9月に終了した。 アミロイド斑の評価は、皮質のAβ免疫染色法(Aβ負荷)およびアミロイド斑の除去を反映する固有の組織学的特徴について行った。重篤な認知症あるいは死亡までの生存率はCox比例ハザードモデル用いて評価した。アミロイド斑は有意に除去、生存期間、重篤な末期認知症発症までの期間は改善せず フォローアップ開始前に20例(ワクチン群15例、プラセボ群5例)が、フォローアップ期間中に22例(ワクチン群19例、プラセボ群3例)が死亡した。死亡例のうち9例(いずれもワクチン群)は検証試験に同意していたが、アルツハイマー病以外で死亡した1例は解析から除外した。 ワクチンを投与され神経病理学的な検査を受けた8死亡例では、Aβ負荷が死亡時の年齢でマッチさせた対照群よりも有意に低かった(2.1% vs. 5.1%、p=0.02)。ワクチン群のAβ負荷およびアミロイド斑除去の程度にはばらつきが見られたが、治療期間中に達成された平均抗体反応が高いほどアミロイド斑除去の程度も高かった(Kruskal-Wallis検定:p=0.02)。 ワクチン群の8例中7例(事実上アミロイド斑が完全に除去された例も含まれる)は死亡前に重篤な末期認知症を呈していた。全体では、生存期間(ハザード比:0.93、95%信頼区間:0.43~3.11、p=0.86)あるいは重篤な認知症に至るまでの期間(1.18、0.45~3.11、p=0.73)について、ワクチン群の改善効果を示すエビデンスは得られなかった。 Holmes氏は、「Aβ42ワクチンはアルツハイマー病のアミロイド斑を除去する効果を有するが、進行性の神経変性の予防効果はない」と結論し、「最近の免疫修飾療法の臨床試験ではアミロイド斑の除去効果と高い安全性が証明されているが、今回の試験からはアルツハイマー病の進行性の神経変性を予防するにはAβの除去だけでは不十分なことが示唆される」と指摘している。

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エビデンスある高齢者の転倒防止対策を普及させよう

米国エール大学医学部のMary E. Tinetti氏らは、「転倒は高齢者によくみられる一般的な病的状態である。またその効果的な予防対策は明らかになっているにもかかわらず、十分に活用されていない」として、コネティカット州において、地域医療や看護・介護関係者に転倒防止対策を採るよう介入を行った。結果、転倒関連の外傷を減らすことができたと報告している。NEJM誌2008年7月17日号より。介入で投薬量減少やバランス・歩行訓練などを推奨調査は非無作為化デザインにより、プライマリ・ケア医師の臨床実践が変わるように介入した「介入地域」と、介入しなかった「通常ケア地域」で、転倒による外傷の発生率を比較した。介入の内容は、医師および在宅看護・外来リハビリテーション・高齢者施設に勤務するスタッフに対して、転倒予防の効果的リスクアセスメントと戦略(例えば投薬量の減少、バランス・歩行訓練)の採用を奨励することだった。転帰は、転倒による重症外傷(股関節等の骨折、頭部外傷、関節脱臼)の発生率と、70歳以上の転倒による医療サービス利用(千人年当たり)とした。介入は2001~2004年に行い、2004~2006年に評価した。重症外傷発生率、医療利用率比ともに低下介入前における、転倒による重症外傷の補正発生率(千人年当たり)は、「通常ケア地域」で31.2、「介入地域」では31.9だったが、評価期間中の補正発生率は、「通常ケア地域」の31.4から「介入地域」は28.6へ低下(補正率比0.91、95%ベイズ信用区間:0.88~0.94)。介入前と評価期間を比較すると、転倒関連の医療利用率(千人年当たり)は、「通常ケア地域」では68.1から83.3へ上昇したが、「介入地域」では70.7から74.2への上昇にとどまった(補正率比:0.89、95%信頼区間:0.86~0.92)。今回の試験で介入を受けた医師の比率は、62%(プライマリ・ケア診療所212ヵ所中131ヵ所)から100%(在宅医療機関26ヵ所すべて)まで幅があった。以上を踏まえTinetti氏は、「転倒防止に関するエビデンスの普及と、臨床実践を変える介入を組み合わせて行うことが、高齢者の転倒による外傷を減らすことを可能とする」と結論した。(武藤まき:医療ライター)

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