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線維筋痛症に太極拳が有効

 線維筋痛症には太極拳が有用な治療である可能性が、米国ボストンにあるタフツ大学リウマチ科のChenchen Wang氏らの研究グループによる無作為化試験の結果、報告された。線維筋痛症治療ガイドラインでは、薬物療法、認知行動療法と並んで、健康教育と運動療法を含む集学的治療が提唱されている。なかでも運動は線維筋痛症に有効とされ、治療の中心的な構成要素として提唱されてきたが、患者の多くは診断後、何年にもわたって重篤な疼痛に悩まされ、症状のコントロールに薬物療法を必要としている。Wang氏らは、これまでの研究で太極拳が線維筋痛症に効果があるとの示唆を受け、試験を行った。NEJM誌2010年8月19日号より。太極拳と従来療法の2群に無作為化 Wang氏らは、線維筋痛症(米国リウマチ学会の1990年診断基準で定義)患者66例を対象に、伝統的な楊式太極拳を治療に取り入れた群(1セッション60分を週2回12週間継続、太極拳群、33例)と、健康教育とストレッチからなる従来療法群(対照群、33例)とを比較する、単純盲検無作為化試験を行った。 主要評価項目は、12週の介入が終わった時点の、繊維筋痛症質問票(Fibromyalgia Impact Questionnaire:FIQ)スコア(スコア:0~100ポイント、スコアが高いほど症状が重いことを示す)の変化とした。副次評価項目は、SF健康調査票(SF-36)の身体的および精神的項目のサマリースコアとした。また、効果の持続性を確かめるため、24週時点にも全員に対する評価が行われた。FIQスコア、SF-36スコアとも太極拳に軍配 結果、太極拳群33例には、FIQスコアおよびQOLにおいて臨床上重要な改善がみられた。FIQスコア平均値(±SD)のベースラインと12週の値は、太極拳群は62.9±15.5と35.1±18.8だったのに対し、対照群は68.0±11と58.6±17.6で、太極拳群のベースラインからの変化の差の方が対照群の同変化の差よりも18.4ポイント大きかった(P

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20年前と比べ、米国青少年の聴覚障害が増大、約2割に

米国の12~19歳の聴覚障害罹患率が、20年前と比べて増加傾向にあることが明らかになった。1988~1994年調査時の罹患率は約15%だったが、2005~2006年調査時は約20%になっていたという。米国ブリガム&ウィメンズ病院Channing LaboratoryのJosef Shargorodsky氏らが、全米健康・栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey: NHANES)のデータを分析し明らかにしたもので、JAMA誌2010年8月18日号で発表した。著者らは、「増加の要因と、回避・防止し得るリスクファクターを特定することが必要」と提言している。5,000人弱について、聴覚障害の種類や程度、リスク因子を調査Shargorodsky氏らは、NHANESの1988~1994年時の12~19歳被験者2,928人のデータと、2005~2006年時の同1,771人のデータについて検討した。被験者は、聴力測定器によって聴覚障害の有無を調べられ、聴覚障害の程度について、片耳もしくは両耳、低周波(0.5、1、2kHz)または高周波(3、4、6、8kHz)、軽度(15超~25未満dB)か中等度~重度(25以上dB)に分類された。また、聴覚障害とそのリスク因子についての相互関係についても分析調査された。近年の聴覚障害は片耳、高周波が高率結果、1988~1994年の聴覚障害罹患率は14.9%(95%信頼区間:13.0~16.9)だったのに対し、2005~2006年の同率は19.5%(同:15.2~23.8)と、有意に増加していた(p=0.02)。05~06年の聴覚障害は片耳が多く、その罹患率は14.0%(同:10.4~17.6)で、88~94年の同11.1%(同:9.5~12.8)に比べ高率だった(p=0.005)。また05~06年は、高周波聴覚障害の罹患率が16.4%(同:13.2~19.7)と、88~94年の同12.8%(同:11.1~14.5)に比べ高率だった(p=0.02)。聴覚障害のリスクは、連邦政府が定める貧困層の子どもで有意に高く、罹患率は23.6%(同:18.5~28.7)であり、そうでない場合の18.4%(同:13.6~23.2)に比べ有意に高率だった(補正後オッズ比:1.60、95%信頼区間:1.10~2.32)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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STEMI患者へのPCI、システム1時間遅延ごとに死亡率1割上昇

ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)患者の、救急通報を受けてからの経皮的冠動脈インターベンション(PCI)実施までの所要時間(システム遅延)が、1時間増すごとに、死亡率が1割上昇することが明らかにされた。デンマークAarhus大学病院循環器部門のChristian Juhl Terkelsen氏らが、6,000人超を対象に行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2010年8月18日号で発表した。STEMI患者が、医療機関に到着してから再潅流治療を受けるまでの、いわゆる「ドアからバルーンまで」(door-to-balloon)の遅延とアウトカムに関する研究はこれまでにも発表されているが、救急通報時点から医療機関到着までの時間を含む、システム遅延とアウトカムに関する研究は、これが初めてという。6,209人を中央値3.4年追跡研究グループは、2002年1月1日~2008年12月31日にかけて、デンマーク内で多数の症例数をこなす3ヵ所のプライマリPCIセンターで、発症から12時間以内にPCIを実施した、合わせて6,209人を対象に試験を行った。救急通報を受けてからPCIのガイド・カテーテル挿入までの所要時間を「システム遅延」、通報からPCIセンター到着までの所要時間を「前病院遅延」、PCIセンター到着からカテーテル挿入までの所要時間を、「ドアからバルーンまで遅延」と定義した。追跡期間の中央値は、3.4年(四分位範囲:1.8~5.2)だった。システム遅延、前病院遅延、ドアからバルーンまで遅延のそれぞれが長期死亡の独立因子結果、システム遅延が0~60分までの群(347人)では、長期死亡率が15.4%(43人)だった。システム遅延が増大するにしたがって同死亡率も増加し、61~120分(2,643人)では23.3%(380人)、121~180分(2,092人)では28.1%(378人)、181~360分(1,127人)では30.8%(275人)だった(p

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認知症の抑制に、果物/野菜摂取の増進とうつ病/糖尿病の予防が有望

認知症の発症を最大限に抑制するアプローチとして、結晶性知能(crystallized intelligence)と果物/野菜の摂取の増進およびうつ病と糖尿病の予防が有望なことが、フランス国立衛生医学研究所(INSERM)La Colombiere病院のK Ritchie氏らによるコホート研究で示された。認知症の臨床的、環境的なリスク因子は多岐にわたり、修正可能なことが一般人口を対象とした試験で示されている。そこで、認知症に特異的なリスク因子を検出し、これを除去することで発症を抑制するアプローチが進められている。BMJ誌2010年8月14日号(オンライン版2010年8月5日号)掲載の報告。認知症特異的リスク因子の除去によって発症率はどの程度低減するか研究グループは、特異的なリスク因子の除去による認知症発症率の低減効果の評価を目的に、7年間に及ぶプロスペクティブなコホート研究を実施した。対象は、フランス南部の都市モンペリエ在住の65歳以上の住民1,433人[ベースラインの平均年齢72.5(SD 5.1)歳]であった。これらの一般住民に対し、標準化された神経学的検査を施行し、軽度認知障害および認知症の診断を行った。公衆衛生プログラムにおける優先項目が明らかにハザード比を算出し、認知症の修正可能なリスク因子の交絡因子や相互作用を検出するためにCoxモデルを構築した。7年間における軽度認知障害および認知症の発症率のブートストラッピングにより、平均人口寄与割合(PAF)を95%信頼区間とともに算出した。最終的に得られたCoxモデルを用いて多変量解析を行い、補正PAFを算出したところ、以下の項目が軽度認知障害および認知症の有意なリスク因子であった。結晶性知能(過去の学習経験の高度な適用によって得られる判断力や習慣)(ハザード比:1.72、95%信頼区間:1.41~2.09、p<0.001、%PAF:18.1、95%信頼区間:10.9~25.4)、うつ病(1.39、1.13~1.71、p=0.002、10.3、3.7~17.2)、果物と野菜の摂取(1.26、1.02~1.56、p=0.04、6.5、0.2~13.1)、糖尿病(1.85、1.34~2.56、p<0.002、4.9、1.9~8.0)、アポリポ蛋白E遺伝子のε4対立遺伝子(1.47、1.16~1.86、p=0.001、7.1、2.4~12.0)。これらのデータに基づき、著者は「結晶性知能と果物/野菜の摂取を増進させ、うつ病と糖尿病を予防することで、認知症の発症が最大限に抑制される可能性があり、そのインパクトは既知の主要な遺伝学的リスク因子の除去の影響を凌駕する」と結論し、「確実な因果関係は不明だが、これらの知見は公衆衛生プログラムにおいて優先すべき項目を示唆すると考えられる」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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外気温の低下により心筋梗塞リスクが増大

心筋梗塞のリスクは外気温が低下するごとに増大するが、外気温が高いこととは関連がないことが、イギリス・ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院のKrishnan Bhaskaran氏らがMyocardial Ischaemia National Audit Project(MINAP)のレジストリーについて実施した解析で明らかとなった。外気温は短期的な死亡率増加のリスクに影響を及ぼし、暑い日も寒い日にも死亡率は増大することが示されている。一方、外気温が心筋梗塞のリスクに及ぼす影響については明らかにされていないという。BMJ誌2010年8月14日号(オンライン版2010年8月10日号)掲載の報告。外気温の1℃の変化ごとの心筋梗塞リスクの変動を評価研究グループは、イングランドとウェールズの15の大都市圏において外気温と心筋梗塞のリスクの短期的な関連について検討するために、時系列的な回帰分析を行った。対象は、2003~2006年のMyocardial Ischaemia National Audit Projectに登録された心筋梗塞入院患者8万4,010例で、イベント発生数中央値は57件/日であった。外気温の1℃の変化ごとの心筋梗塞リスクの変動を、その後28日にわたり検討した。心筋梗塞のリスクが高い集団への介入で、外気温低下によるリスク増大を抑制可能外気温と心筋梗塞の発症には、平滑化されたグラフとして直線的な関連が認められ、外気温の閾値とは無関係に対数線形モデルによって良好な相関関係が確認された。すなわち、1日の平均外気温が1℃低下するごとに、直近およびその後28日間の心筋梗塞リスクが2.0%(95%信頼区間:1.1~2.9%)ずつ累積的に増大した。最も強い影響は2~7日と8~14日の中間期に生じると予測され、外気温1℃の低下ごとに心筋梗塞リスクがそれぞれ0.6%(95%信頼区間:0.2~1.1%)、0.7%(同:0.3~1.1%)増加した。外気温が高いことは心筋梗塞に対し有害ではなかった。75~84歳の高齢者は85歳以上を含む他の年齢層よりも外気温の1℃低下による心筋梗塞の相対リスクが有意に高く(相互作用のp<0.001)、冠動脈心疾患の既往歴のある患者は既往歴のない患者に比べ相対リスクが有意に高かった(相互作用のp=0.001)。これに対し、アスピリン服用者は、非服用者に比べ心筋梗塞の相対リスクが有意に低かった(相互作用のp=0.007)。著者は、「外気温の低下による心筋梗塞のリスク増大は、寒さに関連した死亡率増加の促進因子の一つと考えられるが、外気温が高いことは心筋梗塞のリスクを増大させない」と結論し、「外気温低下の予報をきっかけとして、的を絞ったアドバイスを行うなどの介入法によって、心筋梗塞のリスクが高い集団におけるリスク低減が可能となるだろう」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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テレビが患者・医療現場に与える影響は?

株式会社QLifeは20日、全国の生活者2,198人に対して行った『テレビの「薬」情報が患者・医療現場に与える影響 実態調査』の結果を発表した。調査結果によると、生活者が「医療情報」を最も得ているメディアとしては、テレビが1位であり、かつ最も「行動に影響がある」ことがわかった。生活者にとっては、NHKの方が民放よりも医療情報を得る場合の信頼性が高いという結果が出た。また、テレビが自分や家族が使う薬の「副作用」を話題にしていた場合、13%が医療者に相談せずに「まず、服用を中止」してしまうと回答した。ただしほとんどの人は、医師や薬剤師に相談をするという。日頃から医師や薬剤師による「薬の説明」は不十分と感じているため、テレビが適切な内容で薬の情報を発信した場合には、患者・医療者間のコミュニケーションが促されるという構図が明らかになった。詳細はプレスリリースへhttp://www.qlife.co.jp/news/1375.html

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開発中止となった抗肥満薬rimonabantの市販後臨床試験の結果報告

重篤な精神神経系の副作用により早期中止となった抗肥満薬rimonabantの心血管アウトカムの改善効果を検討した市販後臨床試験(CRESCENDO試験)の結果が、アメリカScripps Translational Science Institute(ラ・ホーヤ)のEric J Topol氏らによりLancet誌2010年8月14日号で報告された。この結果を受けて、2008年11月、rimonabantは開発自体が中止されている。rimonabantは内在性カンナビノイド受容体を遮断することで減量効果を発揮し、トリグリセリド、HDLコレステロール、空腹時血糖などの代謝異常を改善することが示され、ヨーロッパでは抗肥満薬として市販されていた。悪心やうつ病などの副作用が懸念されていたが、長期投与による心血管リスクの改善効果に期待が集まっていた。重篤な血管イベントなしの生存率の改善効果を検討CRESCENDO試験の研究グループは、rimonabantによる重篤な血管イベントなしの生存率の改善効果を検討する二重盲検プラセボ対照無作為化試験を実施した。2005年12月~2008年7月までに、42ヵ国974施設から血管疾患の既往歴やリスクの増大がみられる患者1万8,695例が登録され、rimonabant 20mgを投与する群(9,381例)あるいはプラセボ群(9,314例)に無作為に割り付けられた。試験の関係者や患者には治療割り付け情報は知らされなかった。主要評価項目は、中央判定委員会の評価による心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合エンドポイントとし、intention-to-treat解析を行った。いくつかの国の規制当局が重篤な精神的副作用を許容できないと判断平均フォローアップ期間13.8ヵ月の時点で、3ヵ国の医療関連規制当局がrimonabant群における自殺への懸念を表明したため、これらの国では試験が早期に中止された。解析は、無作為割り付けの対象となった全例について実施された。試験終了時(2008年11月6日)における心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合エンドポイントの発現率は、rimonabant群が3.9%(364/9,381例)、プラセボ群は4.0%(375/9,314例)であり、両群間に有意な差はみられなかった(ハザード比:0.97、95%信頼区間:0.84~1.12、p=0.68)。rimonabant群はプラセボ群に比べ、消化管副作用[33%(3,038/9,381例) vs. 22%(2,084/9,314例)]、精神神経系副作用[32%(3,028/9,381例) vs. 21%(1,989/9,314例)]、重篤な精神的副作用[2.5%(232/9,381例) vs. 1.3%(120/9,314例)]が有意に高頻度であった。rimonabant群の4例、プラセボ群の1例が自殺した。著者は、「抗肥満薬として上市された薬剤の心血管アウトカムの改善効果を検討したところ、重篤な精神神経系の副作用がみられ、規制当局が許容できないと判断したため、試験も薬剤の開発も早急に中止された」とまとめ、「本試験が早期終了となったことは今後の薬剤開発計画に重要な教訓をもたらすだろう」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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大動脈弁疾患の弁移植術、長期予後は自家移植が同種移植よりも優れる

大動脈弁疾患に対する弁移植術では、患者自身の肺動脈弁を大動脈弁として移植する自家大動脈起始部移植の方が、ドナーの提供による同種大動脈起始部移植よりも長期予後が優れることが、イギリスRoyal Brompton and Harefield NHS Trust心臓外科学のIsmail El-Hamamsy氏らが行った無作為化試験で示された。世界人口の増加や医療への近接性の改善に伴い、大動脈弁の手術数は今後30年以内に3倍に増大すると予想される。大動脈弁移植術は重篤な症状を呈する大動脈弁疾患患者の予後を改善するが、術後の生存率は一般人口に比べて低く、改善の程度は使用された移植片の種類に依存する可能性があるという。Lancet誌2010年8月14日号(オンライン版2010年8月3日号)掲載の報告。単一施設の1名の術者による2種類の移植術の10年生存率を評価研究グループは、大動脈弁疾患患者においては、患者自身の肺動脈弁を大動脈弁として移植する方法が、ドナーから提供された肺動脈弁を移植する方法よりも長期予後の改善効果が優れるとの仮説を検証するために、自家大動脈起始部移植(Ross procedure)と同種大動脈起始部移植の予後を比較する無作為化対照比較試験を実施した。大動脈弁移植を要する69歳未満の患者が登録され、イギリスの単一施設で自家大動脈起始部移植あるいは同種大動脈起始部移植を受ける群に無作為に割り付けられた。すべての移植術が一人の術者(Dr. Magdi H Yacoub)によって施行された。治療割り付け情報は試験関係者および患者に知らされていた。主要評価項目は、移植術後10年における生存率とした。同種移植群の死亡率は自家移植群の4倍以上、自家移植群の生存率は一般人口に匹敵228例が登録されたが、12例は18歳以下のため除外された。両群ともに108例ずつが割り付けられた。周術期死亡率は、自家移植群が1%未満、同種移植群は3%であったが、有意差は認められなかった(p=0.621)。移植術後10年の時点で、自家移植群の4例、同種移植群の15例が死亡した。10年生存率は自家移植群が97%(SD 2)、同種移植群は83%(SD 4)であった。同種移植群の死亡ハザード比は4.61であり、有意差がみられた(95%信頼区間:1.71~16.03、p=0.0060)。同種移植群の生存率(97%)は、年齢および性別で補正したイギリスの一般人口の生存率(96%)と同等であった。著者は、「これらの知見は、患者自身の肺動脈弁を大動脈弁として移植する自家大動脈起始部移植は、大動脈弁疾患患者の長期予後を改善するという仮説を支持する」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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CKD患者への透析開始を早めても生存改善に有意差認められず

慢性腎臓病(CKD)ステージ5の患者に対し、早期に維持透析開始をしても、生存率あるいは臨床転帰の改善とは関連しないことが明らかにされた。維持透析開始のタイミングには、かなりの差異がみられるものの、世界的に早期開始に向かう傾向にある。そうした中で本報告は、オーストラリアのシドニー医科大学校・王立North Shore病院腎臓病部門のBruce A. Cooper氏らの研究グループが、維持透析開始のタイミングが、CKD患者の生存に影響するかどうかを検討するため、早期開始群と晩期開始群との無作為化対照試験「IDEAL」を行った結果によるもので、NEJM誌2010年8月12日号(オンライン版2010年6月27日号)で発表された。eGFR10~14 mL/分を早期、5~7 mL/分を晩期に割り付けIDEAL(Initiating Dialysis Early and Late)試験は、オーストラリアとニュージーランドの計32施設で実施された。18歳以上の進行性のCKD患者で、推定糸球体濾過量(eGFR)が体表面積(コッククロフト・ゴールト式を用いて算出)1.73m2当たり10.0~15.0mL/分の患者の中から、eGFRが10.0~14.0mL/分の患者を早期に透析開始する群(早期開始群)に、eGFRが5.0~7.0mL/分の患者を遅く開始する群(晩期開始群)に無作為に割り付けた。試験参加者は、2000年7月~2008年11月の間に合計828例(平均年齢60.4歳、男性542例、女性286例、糖尿病患者355例を含む)が、早期開始群404例、晩期開始群424例に割り付けられ、2009年11月まで追跡された。主要評価項目は、全死因死亡とした。死亡率、有害事象とも有意差は認められず透析開始までの期間の中央値は、早期開始群1.8ヵ月(95%信頼区間:1.60~2.23)、晩期開始群は7.4ヵ月(同:6.23~8.27)だった。なお晩期開始群のうち75.9%は、開始指標としたeGFRは7.0mL/分より高値だったが、臨床症状が発現したため透析開始となった。追跡調査期間の中央値3.59年の間に、早期開始群404例中152例(37.6%)、晩期開始群424例中155例(36.6%)が死亡した(早期開始群のハザード比:1.04、95%信頼区間:0.83~1.30)、P=0.75)。有害事象(心血管イベント、感染症、透析合併症)の頻度においても、有意な群間差は認められなかった。(朝田哲明:医療ライター)

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進行性特発性肺線維症にシルデナフィルは有効か?

ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬シルデナフィル(商品名:レバチオ、ED治療薬としてはバイアグラ・保険未適応)について、進行性特発性肺線維症(IPF)に対する有効性をプラセボとの対照で検討した追加適応を目指す臨床試験の結果が報告された。主要評価項目(6分間歩行改善)での有益性は認められなかったが、副次評価項目ではさらなる研究の必要性をうたうに相当する、肯定的な結果がみられたという。シルデナフィルは進行性特発性肺線維症患者で、肺換気の比較的良好な領域の血流量を選択的に改善し、ガス交換能を改善する可能性があると期待されていることから、IPF臨床研究ネットワークのDavid A. Zisman氏らは、シルデナフィル投与による治療で、進行性IPF患者の歩行距離、呼吸困難、そしてQOLが改善するとの仮説を立て、検証のための臨床試験「STEP-IPF」を実施した。NEJM誌2010年8月12日号(オンライン版2010年5月18日号)より。2期から成る二重盲検・非盲検試験で評価STEP-IPF(Sildenafil Trial of Exercise Performance in Idiopathic Pulmonary Fibrosis)試験では、進行性IPFの定義は一酸化炭素拡散能が予測値の35%未満であることとした。試験は二重盲検無作為化プラセボ対照試験で、2期間で構成された。被験者数は計180例。第1期試験では、被験者はシルデナフィル群(89例)またはプラセボ群(91例)に無作為に割り付けられ、12週間時点で評価が行われた。主要評価項目は、6分間歩行距離の20%以上延長を示した患者の比率だった。副次評価項目は、動脈血酸素化、呼吸困難の程度、QOLの変化などとされた。第2期試験は、非盲検試験で、全患者にシルデナフィルが投与され12週時点で評価が行われた。6分間歩行距離延長に有意差なし主要評価項目の6分間歩行距離の20%以上改善がみられたのは、シルデナフィル投与群では9例(10%)、プラセボ投与群6例(7%)で、両群間に有意差は認められなかった(P=0.39)。一方、副次評価項目である動脈血酸素化、一酸化炭素拡散能、呼吸困難の程度、QOLには、シルデナフィル投与を支持する、わずかながらも有意差が認められた。重篤な有害事象の発生は、両群で同程度だった。(朝田哲明:医療ライター)

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米国40歳以上糖尿病患者のうち網膜症罹患率は28.5%

米国の40歳以上糖尿病患者のうち、糖尿病性網膜症の罹患率推定値は、28.5%と高率であることが明らかになった。特に非ヒスパニック系黒人で高く、4割近くにみられたという。米国疾病対策予防センター(CDC)のXinzhi Zhang氏らが、1,000人超の糖尿病患者について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2010年8月11日号で発表した。糖尿病性網膜症の罹患率、重症度に関して、全米人口をベースとした最近の動向は存在しなかったという。糖尿病1,006人について蛍光眼底撮影を実施同研究グループは、全米の断面調査「National Health and Nutrition Examination Survey」2005~2008年を基に分析を行った。サンプル数は1,006人だった。糖尿病の定義については、自己申告による糖尿病診断歴あり(妊娠糖尿病除く)、またはHbA1cが6.5%以上とした。両眼について2回の蛍光眼底撮影を行い、その程度についてAirlie House分類スキーム、Early Treatment Diabetic Retinopathy Study重症度スケールにて分類した。サンプルから求めた罹患率を基に、全米の40歳以上に関する罹患率推定値を算出した。40歳以上糖尿病の、男性の31.6%、女性の25.7%が糖尿病性網膜症全米40歳以上糖尿病患者における糖尿病性網膜症の罹患率推定値は、28.5%(95%信頼区間:24.9~32.5)だった。そのうち、治療をせずに放っておくと間もなく失明するほどの重症度の同罹患率推定値は、4.4%(同:3.5~5.7)だった。男女別では、同推定値は、男性が31.6%と、女性の25.7%に比べ有意に高かった(p=0.04)。人種別では、非ヒスパニック系黒人で同推定値が38.8%、また治療をせずに放っておくと間もなく失明する程の重症度の同推定値は9.3%と、非ヒスパニック系白人の各値26.4%、3.2%に比べ、いずれも有意に高かった(p=0.01)。なお、糖尿病性網膜症に関する独立危険因子は、男性(オッズ比:2.07)、HbA1c高値(同:1.45)、長期糖尿病歴(同:1.06)、インスリン使用(同:3.23)、収縮期血圧高値(1mmHg上昇につきオッズ比:1.03)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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経口ビスホスホネート、食道がんや胃がんの発症リスク増大せず

 骨粗鬆症薬として用いられる経口ビスホスホネート製剤を長期に服用しても、食道がんや胃がんの発症リスクは増大しないようだ。英国Queen’s University Belfast公衆衛生センターのChris R. Cardwell氏らが、4万人超の治療群と同数のコントロール群について、約4年半追跡し明らかにしたもので、JAMA誌2010年8月11日号で発表した。ビスホスホネートの服用による副作用として食道炎は知られるが、食道がんとの関係についての信頼性の高い研究は、これまでなかったという。約4万2,000人の治療・コントロール群を4.4~4.5年追跡 同研究グループは、英国General Practice Researchデータベースを基に、1996年1月~2006年12月の間に、ビスホスホネートを服用した4万1,826人と、同数のコントロール群について追跡し、食道がんや胃がんの発症リスクについて分析した。 被験者の81%が女性で、平均年齢は70.0歳(SD:11.4歳)だった。平均の追跡期間は、治療群が4.5年、コントロール群が4.4年だった。追跡期間が6ヵ月未満の人は、除外された。食道がんまたは胃がん、食道がんのみの発症リスクいずれも両群で同等 結果、追跡期間中に食道がんまたは胃がんを発症したのは、治療群の116人(うち食道がんは79人)に対し、コントロール群では115人(同72人)だった。食道がんまたは胃がんの罹患率は、治療群・コントロール群ともに、0.7/1,000人・年だった。食道がんの罹患率は、治療群が0.48/1,000人・年、コントロール群が0.44/1,000人・年だった。 食道がんまたは胃がんの発症リスクについて、治療群とコントロール群の間に、有意差はみられなかった(補正後ハザード比:0.96、95%信頼区間:0.74~1.25)。 食道がんのみの同補正後ハザード比も1.07(同:0.77~1.49)と、両群に有意差はなかった。なお、ビスホスホネートの服用期間による、食道がんまたは胃がん発症リスクにも有意差はみられなかった。

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大脳白質病変は、脳卒中、認知症、死亡リスクの予測因子:46試験のメタ解析

MRI上の高信号域として発見される大脳白質病変は、脳卒中、認知症、死亡のリスクと有意な相関を示すため、その予測因子となり得ることが、イギリスSt George’s University of London臨床神経科学部のStephanie Debette氏らが実施したメタ解析で示された。大脳白質病変と脳の疾患や死亡との関連を評価した試験の結果は必ずしも一致していない。その原因として、試験デザインや画像法、研究施設、サンプル数、フォローアップ期間の不均一性がデータの解釈を難しくしていることが挙げられるという。BMJ誌2010年8月7日号(オンライン版2010年7月26日号)掲載の報告。MRI上の高信号域と脳疾患、死亡との関連のエビデンスを系統系にレビュー研究グループは、MRI上の大脳白質の高信号域と脳卒中、認知機能低下、認知症、死亡との関連のエビデンスについて系統系なレビューを行い、メタ解析を実施した。1966~2009年11月23日までのデータベース(PubMed)を検索し、MRIを用いて大脳白質の高信号域が脳卒中、認知機能低下、認知症、死亡に及ぼす影響を評価したプロスペクティブな縦断的研究や、大脳白質の高信号域をカテゴリー別に分けてこれらの疾患のリスクを予測した試験を抽出した。対象集団、フォローアップ期間、大脳白質高信号域の測定法、アウトカムの定義、大脳白質高信号域とアウトカムの関連について評価した。脳卒中の発症リスクは3.5倍、認知症は1.9倍、死亡は2.0倍46の縦断的研究が抽出され、そのうち大脳白質の高信号域と脳卒中のリスクを評価したものが12試験、認知機能低下のリスクを検討したのは19試験、認知症は17試験であり、死亡については10試験が検討を行っていた。これらの試験について系統的なレビューを行い、メタ解析は22の試験(脳卒中9試験、認知症9試験、死亡8試験)ついて実施した。脳卒中のリスクについては、一般住民を対象とした6試験では大脳白質の高信号域と脳卒中は有意な相関を示し(ハザード比:3.1、95%信頼区間:2.3~4.1、p<0.001)、高リスク群を対象とした3試験でも有意な関連が確認された(同:7.4、同:2.4~22.9、p=0.001)。これらを合わせた9試験の解析では、大脳白質病変の存在は脳卒中の発症リスクを3.5倍に高めていた(同:3.5、同:2.5~4.9、p<0.001)。認知症のリスクについては、一般住民を対象とした3試験では大脳白質の高信号域と認知症は有意な相関を示したが(ハザード比:2.9、95%信頼区間:1.3~6.3、p=0.008)、高リスク群に関する6試験では有意な関連はみられなかった(同:1.4、同:0.9~2.3、p=0.14)。これら9試験の統合解析では、大脳白質病変の存在は認知症の発症リスクを1.9倍に高めていた(同:1.9、同:1.3~2.8、p<0.002)。死亡率との関連については、一般住民に関する4試験では大脳白質の高信号域は死亡を有意に増大させており(ハザード比:2.3、95%信頼区間:1.9~2.8、p<0.001)、高リスク群を対象とした4試験でも有意な相関が認められた(同:1.6、同:1.01~2.7、p=0.04)。8試験を合わせて解析したところ、大脳白質病変により死亡のリスクが2.0倍に増大していた(同:2.0、同:1.6~2.7、p<0.001)。著者は、「大脳白質病変は、脳卒中、認知症、死亡のリスクの予測因子である。すなわち、診断中に発見されたMRI上の大脳白質の高信号域は脳血管イベントのリスクの増大を示している」と結論し、「この知見を研究分野における中間的な指標として使用することも可能であり、脳卒中や認知症のリスク因子の詳細なスクリーニングに道を開くことになろう」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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心筋梗塞のリスクがカルシウム・サプリメントで増大

 サプリメントとしてのカルシウムの使用(ビタミンDは併用しない)により、心筋梗塞のリスクが有意に増大することが、ニュージーランド・オークランド大学のMark J Bolland氏らが行ったメタ解析で判明した。カルシウムは高齢者の骨格系の健康維持を目的としたサプリメントとして一般的に用いられている。ところが、カルシウム・サプリメントは心筋梗塞や心血管イベントのリスクを増大させる可能性があることが、プラセボを対照とした無作為化試験で示唆されているという。BMJ誌2010年8月7日号(オンライン版2010年7月29日号)掲載の報告。カルシウム・サプリメントと心筋梗塞などの心血管イベントの関連をメタ解析 研究グループは、カルシウム・サプリメントと心血管イベントのリスク増大の関連の評価を目的に、患者レベルおよび試験レベルのデータに関してメタ解析を行った。 1966年~2010年3月までのデータベース(Medline、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials)などを用いて、100例以上、平均年齢40歳以上、試験期間1年以上のカルシウム・サプリメント(≧500mg/日)に関するプラセボ対照無作為化試験を抽出した。 これらの試験の筆頭著者からデータの提供を受け、心筋梗塞などの心血管アウトカムは患者自身の報告、入院記録、死亡診断書で確認した。心筋梗塞リスクがカルシウム・サプリメント群で約30%増大 15試験が適格基準を満たした。患者レベルのデータは5試験[8,151例、フォローアップ期間中央値3.6年(四分位範囲2.7~4.3年)]で得られ、試験レベルのデータは11試験(1万1,921例、平均試験期間4.0年)から得られた。 5試験の患者レベルのデータの解析では、心筋梗塞の発症はカルシウム・サプリメント群が143例と、プラセボ群の111例に比べリスクが有意に31%増加していた(ハザード比:1.31、95%信頼区間:1.02~1.67、p=0.035)。 脳卒中(ハザード比:1.20、95%信頼区間:0.96~1.50、p=0.11)、心筋梗塞/脳卒中/突然死の複合エンドポイント(同:1.18、同:1.00~1.39、p=0.057)、死亡(同:1.09、同:0.96~1.23、p=0.18)については有意なリスクの増大を認めなかった。 試験レベルのデータの解析でも同様の結果が示された。すなわち、心筋梗塞を発症した296例のうち、166例がカルシウム・サプリメント群で、プラセボ群は130例であり、リスクはサプリメント群で有意に27%増加していた(ハザード比:1.27、95%信頼区間:1.01~1.59、p=0.038)。 著者は、「カルシウム・サプリメント(ビタミンDの併用なし)は心筋梗塞のリスクを有意に増大させることが明らかとなった」と結論し、「この大きいとは言えない心筋梗塞のリスク増大も、カルシウム・サプリメントの使用の拡大に伴って、膨大な疾病負担をもたらす可能性がある。骨粗鬆症の治療におけるカルシウム・サプリメントの役割の再評価が急務である」と指摘する。

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【お知らせ】女性限定セミナー「もっと知ってほしい婦人科がんのこと2010 in 大阪」開催

8月28日、NPO法人キャンサーネットジャパンは一般社団法人ティール&ホワイトリボンプロジェクト共催で、女性限定のクローズドセミナー「もっと知ってほしい婦人科がんのこと2010 in 大阪」を開催する。医療者の参加も歓迎。 日時:2010年8月28日(土) 13:30~16:45場所:大阪国際交流センター 小ホール参加費:無料 定員:200名プログラム <開会挨拶>NPO法人キャンサーネットジャパン 理事 川上 祥子氏  <基調講演1> 「婦人科がん(子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん)の予防・診断・治療」講師:関西医科大学附属枚方病院産科・婦人科 斉藤 淳子氏 <基調講演2>「婦人科がん(子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん)の治療(特に薬物療法)について」講師:国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科 温泉川 真由氏 <基調講演3>「婦人科がん患者が直面する問題(花嫁は子宮頸がん)」講師:一般社団法人ティール&ホワイトリボンプロジェクト 理事長 河村 裕美氏 <Q&Aセッション>司会:川上 祥子氏回答者:斉藤 淳子氏・温泉川 真由氏・河村 裕美氏 <閉会挨拶>一般社団法人ティール&ホワイトリボンプロジェクト 理事長 河村 裕美氏 詳しくはこちら http://www.cancernet.jp/eve100828.html

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ACCORD試験の細小血管合併症リスク、強化療法早期中止後の追跡結果

心血管リスクの高い2型糖尿病患者に対する強化療法(HbA1c<6.0%)は、標準療法(同7.0~7.9%)に比べ細小血管合併症のリスクを低減させないものの、その発症を遅延させ、腎、眼、末梢神経の機能の一部を有意に良好に保持することが、アメリカCase Western Reserve大学のFaramarz Ismail-Beigi氏らが行ったACCORD試験の追跡結果で明らかとなった。本試験は、2008年2月、中間解析で総死亡が強化療法群で有意に多かったため一部が早期中止となり、世界中の糖尿病専門医に衝撃を与えた。研究グループは、強化療法群の患者を標準療法群へ移行したうえでフォローアップを続け、今回、事前に規定された細小血管合併症の解析結果を、Lancet誌2010年8月7日号(オンライン版2010年6月29日号)で報告した。事前に規定された複合アウトカムと臓器機能について評価ACCORD試験の研究グループは、2型糖尿病患者では血糖値を低下させることで細小血管合併症の発症を低減できるかについて検討した。本試験には北米の77施設が参加し、対象は年齢40~79歳、HbA1c>7.5%、心血管疾患あるいはそのリスク因子を二つ以上有する2型糖尿病患者であった。これらの患者が、HbA1c<6.0%を目標とする強化療法あるいはHbA1c 7.0~7.9%を目標とする標準療法を施行する群に無作為に割り付けられた。今回の解析では、以下の事前に規定された複合アウトカムについて評価を行った。(1)主要複合アウトカム:透析あるいは腎移植、血清クレアチニン>291.7μmol/L、光凝固療法あるいは硝子体切除術。(2)副次的複合アウトカム:末梢神経障害+主要複合アウトカム。(3)腎、眼、末梢神経の機能に関する事前に規定された13の副次的エンドポイント。患者も担当医も治療割り付け情報を知らされていた。細小血管合併症の解析は全症例について行われ、受療の状況やコンプライアンスは考慮されなかった。強化療法群で、腎、眼、末梢神経障害の発症が遅延、7つの副次的エンドポイントが有意に良好1万251例が登録され、強化療法群に5,128例が、標準療法群には5,123例が割り付けられた。中間解析において、強化療法群で総死亡が有意に多かったため試験は早期中止とされ、この群の患者は標準療法群へと移行された。移行時点における主要複合アウトカムの発現率は、強化療法群が8.7%(443/5,107例)、標準療法群も8.7%(444/5,108例)(ハザード比:1.00、95%信頼区間:0.88~1.14、p=1.00)、副次的複合アウトカムはそれぞれ31.2%(1,591/5,107例)、32.5%(1,659/5,108例)(同:0.96、同:0.89~1.02、p=0.19)であり、いずれも両群間で同等であった。試験終了時の主要複合アウトカムの発現率は、強化療法群が10.9%(556/5,119例)、標準療法群は11.5%(586/5,115例)(ハザード比:0.95、95%信頼区間:0.85~1.07、p=0.42)、副次的アウトカムはそれぞれ38.2%(1,956/5,119例)、40.0%(2,046/5,115例)(同:0.95、同:0.89~1.01、p=0.12)であり、いずれも両群間に有意な差を認めなかった。試験終了時において、強化療法群では細小血管合併症のリスクは低減されなかったが、アルブミン尿や眼合併症、神経障害の発症が遅延していた。また、腎、眼、末梢神経の機能に関する13の副次的エンドポイントのうち7項目が、強化療法群で有意に良好であった(p<0.05)。著者は、「強化療法では、総死亡や心血管疾患関連死、体重増加、重篤な低血糖のリスクが増大する点を考慮したうえで、その細小血管合併症の抑制効果のベネフィットを慎重に検討すべきである」と結論し、「我々はHbA1c<6.0%という現在の治療戦略の目標値を安易に考えすぎかもしれない。ACCORD試験の患者のフォローアップを継続することで、長期的なリスク対ベネフィットの評価を行う必要がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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新しい糖尿病治療薬exenatide、追加薬として最適:DURATION-2試験

メトホルミンで十分な血糖コントロールが得られない2型糖尿病患者に対する追加薬剤としては、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体アゴニストであるexenatideが、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4) 阻害薬シタグリプチン(商品名:ジャヌビア、グラクティブ)やチアゾリジン系薬剤ピオグリタゾン(同:アクトス)よりも有用なことが、アメリカInternational Diabetes Center at Park NicolletのRichard M Bergenstal氏らが実施した無作為化試験で示された。2型糖尿病患者の薬物療法はメトホルミンで開始されることが多いが、いずれは他の薬剤の追加が必要となる。GLP-1受容体アゴニストやDPP-4 阻害薬は血糖コントロールだけでなく、肥満、高血圧、脂質異常などの2型糖尿病関連の代謝異常にも有効な可能性が示唆されている。Lancet誌2010年8月7日号(オンライン版2010年6月26日号)掲載の報告。3群の優越性を評価する二重盲検ダブルダミー無作為化試験DURATION-2試験の研究グループは、メトホルミン治療を受けている2型糖尿病患者において、週1回のexenatide、最大承認用量のシタグリプチン、最大承認用量のピオグリタゾンの安全性と有効性を評価する二重盲検無作為化試験を行った。2008年1月22日~8月6日までに、アメリカ、インド、メキシコの72施設から、メトホルミン治療を受けている18歳以上の2型糖尿病患者で、ベースライン時の糖化ヘモグロビン(HbA1c)が7.1~11.0%、BMIが25~45 kg/m2の者が登録された。これらの患者が、exenatide 2mg/週(皮下注)+プラセボ 1回/日(経口)、シタグリプチン100mg/日(経口)+プラセボ 1回/週(皮下注)、ピオグリタゾン45mg/日(経口)+プラセボ1回/週(皮下注)を併用投与する群で無作為に割り付けられた。主要評価項目はベースラインから治療26週までのHbA1cの変化率とし、1回以上の治療を受けたすべての患者についてintention-to-treat解析を行った。exenatide群でHbA1cと体重が有意に低下、重篤な低血糖は認めなかったexenatide群に170例、シタグリプチン群に172例、ピオグリタゾン群には172例が割り付けられた。このうちintention-to-treat解析の対象となったのは、それぞれ160例、166例、165例であった。ベースライン時の平均年齢は52歳、HbA1c平均値は8.5%、空腹時血糖は9.1mmol/L、体重は88.0kgであった。HbA1cのベースラインからの変化の最小二乗平均は、exenatide群が-1.5%(95%信頼区間:-1.7~-1.4%)であり、シタグリプチン群の-0.9(同:-1.1~-0.7%)、ピオグリタゾン群の-1.2%(同:-1.4~-1.0%)に比べ低かった。exenatide群とシタグリプチン群の差は-0.6%(同:-0.9~-0.4%、p<0.0001)、exenatide群とピオグリタゾン群の差は-0.3%(同:-0.6~-0.1%、p=0.0165)であり、exenatide群におけるHbA1cの有意な改善効果が確かめられた。exenatide群では体重が2.3kg(95%信頼区間:-2.9~-1.7kg)減少していた。シタグリプチン群との差は1.5kg(p=0.0002)、ピオグリタゾン群の差は5.1kg(p<0.0001)であり、シタグリプチン群で有意な体重減少効果が確認された。3群ともに重篤な低血糖エピソードの報告はなかった。最も高頻度にみられた有害事象は、exenatide群とシタグリプチン群が悪心[それぞれ24%(38例)、10%(16例)]、下痢[それぞれ18%(29例)、10%(16例)]であり、ピオグリタゾン群では上気道感染症[10%(17例)]、末梢浮腫[8%(13例)]の頻度が高かった。著者は、「糖尿病の治療を行う臨床医の目標は体重の減少と低血糖エピソードの抑制とともに最適な血糖コントロールを達成することであり、メトホルミンへの追加薬剤として、exenatideはシタグリプチンやピオグリタゾンよりもこの目標の達成度が高い」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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教授 尾﨑重之先生「弁膜症治療の歴史を変える「自己心膜を使用した大動脈弁形成術」」

東邦大学医療センター大橋病院・心臓血管外科教授。防衛医科大学校卒。自衛隊医官、亀田総合病院、3年半ベルギー・ルーヴァン・カトリック大学留学、新東京病院、防衛医大病院に勤務後 03年より現職。「自己心膜を使用した大動脈弁形成術」を確立後、スーパードクターとして各メディアの注目を集めている。患者さんへのリスクを下げ、QOLを上げる。それが「自己心膜を使用した大動脈弁形成術」患者さんの平均年齢は70歳前後が多く、他病院で手術日程が決定しているにもかかわらず来院される方もいます。テレビなどのメディアで特集されるようになって以来、全国から患者さんが来院されるようになりました。最近では、糖尿病、膠原病も合併して患っている方が急増しています。今現在、年間200~250症例、手術件数は、都内大学病院の中で第二位の数です。大動脈弁狭窄症に対する手術方法として「人工弁による大動脈弁置換術」がありますが、人工弁、つまり「異物」を自分の体内に入れることに抵抗を感じる患者さんは少なくありません。また、人工弁を入れた場合、術後に拒絶反応を起こすリスクや、ワルファリンを服用するために食事制限や運動制限をする必要があります。また、人工弁は一つ数百万円するので経済的にもあまりよろしくはありません。「自己心膜を使用した大動脈弁形成術」は、自分の体組織を使用して弁を形成する手術法です。当然拒絶反応はなく、ワルファリンを服用する必要もないので、従来の方法に比べて術後のリスクを下げQOLを上げることができます。全国から患者さんが集まる理由はここにあります。動く臓器は美しく、私の心をとらえた!防衛医科大学校は、当時としては珍しく、今の臨床研修制度のような全診療科をラウンドするシステムがありました。今だから言えますが、実は当時の私は血を見ることが苦手で、外科医になるなどもってのほかでした。しかし、心臓外科をラウンドした時、ピンク、橙、青、黄色と心臓の持つ色彩に目を奪われ、興味を持つようになりました。心臓手術は他の臓器とは違い、臓器自体が動いたままで手術をするので緊迫感が尋常ではありません。そして当時の心臓手術は術後が安定せず、常に付き添い、状態の変化に臨機応変に対応せねばなりませんでした。手術だけでなく、術後の管理も含めて、全身全霊で命に向き合う心臓外科医の姿にすっかり魅了されてしまい、心臓外科医を目指すようになりました。その後勤務した千葉・亀田総合病院で見た恩師の手術は、術後の患者さんの容態が非常に安定していました。術後の管理が難しかった時代でしたが、術前から術後までの治療過程の違いは歴然としていたのです。当時の勤務体制は4人しかおらず、上司二人は当直なしで、もう一人と交代勤務の当直で、今とは比べ物にならない大変厳しくきつい勤務でした。しかし、苦しいことがあるとそれは後でよい経験となり、鍛錬となりました。人間はつい楽な方向へ流れて行こうとしますが、苦労は買ってでもして自分の経験とすれば、ステップアップにつながります。私はこういうことを繰り返してきたわけです。また、その後の海外留学で私は今の弁開発の基となる研究・臨床と出会い、心臓外科医としての人生に変化が出てきました。ベルギー留学「研究・臨床」経験が研究開発へ導く大学卒業後、勤務医を経験。その後、ご縁がありベルギーに3年半ほど留学しました。学生時代一ヵ月ほど欧州を旅した時の印象があまりにもよく、そこでの生活を夢見て、学ぶのであれば米国より欧州と決めていました。治安が良く、美食、歴史的な建造物の街々、陸路に続く周辺各国も素晴らしく、人々の考え方が日本と違い大陸的で、民族の勉強にもなりました。その反面、研究・臨床は容易ではなく、「苦労は買ってでもしなさい」という言葉を実践している日々でした。しかし、この留学中に私が理想とする心臓外科医と出会い、これが私にとっては将来の方向性を決定する大切な海外留学となりました。最初の1年は主に大動物での実験・研究に明け暮れて臨床までには至りませんでしたが、大動物での実験で実績を重ねることでこの師から絶大な信頼を得ることができ、2年目からは臨床への参加が認められました。この師は、臨床で不明な点を大動物で実験・検証し、その結果を必ず臨床にフィードバックしていました。我々は臨床の中で多くのアイデアを見つけることができますが、それを形にすることはできません。しかし、医療系の工学研究所とコラボレートすることで、形にすることができるのです。そのことを彼から学ぶことができ、今後は医工連携を発展させることで、さらに前に進むことができると考えました。この経験から帰国してすぐ早稲田大学理工学部(現・創造理工学部)の教授だった梅津先生を訪ね、医工連携を早々に実現し、現在も研究開発を両者で定期的に行っています。もし、この海外留学がなければ工学とのコラボも考えつきませんでした。研究開発方法、理想的な師との出会い、海外留学は私にとって国内初「自己心膜を使用した大動脈弁形成術」の基になり、医師としての糧にもなっています。また、海外で生活していると、国内のようにすぐに解決できる状況ではありません。数日かけて解決に至ることもあり、流れている時間や環境がまるで違います。この時に忍耐力が養われたのだと思います。今の若い方はあまり海外留学をしたがりませんが、是非海外で研究生活を送って経験を積んでください。その時の経験は必ず先のキャリアで役に立つことでしょう。そして、それは自分だけでなく患者さんのためになります。患者さんの笑顔に報われて心臓血管外科というのは、外科手術をすれば患者さんは治って日常生活・社会生活に復帰していくんですよ。来院されるまでは、心臓疾患ということで不安が大きかった患者さんが手術後に笑顔で退院されてお元気でいらっしゃるのは、この仕事をしていて報われるひと時です。「自己心膜を使用した大動脈弁形成術」は当院だけではなく、全国の数施設で実際に行われる用になりましたが、更に多くの施設で行われることを望んでいます。そのためにもこの手術法の教育システムの確立も急務と考えています。今では、世界的評価を大きくいただくことができ、大変うれしく思っています。一人でも多くの患者さんの社会復帰と笑顔が増えてくれれば、こんなに嬉しいことはありません。心臓血管外科は、努力すればするほど報われる診療科です。私の場合、海外生活での苦労、今まで知らなかった大学工学部とのコラボなどを取り入れた国内での研究、困難は多々ありました。しかし、その結果、私は自己心膜を使用した大動脈弁形成術を開発することができたのだと思います。やはり心臓血管外科を選択してよかったです。これからも大学病院で研究開発を極める私がここまで来るには、常に自分の進むべき道、どのようなスタイルの医師になりたいかを頭に描き、目標を高くかかげていました。また恩師たちの診察・手術スタイルが頭にあり、自分なりにそのスタイルを取り入れようと観察をしていました。心臓血管外科は、多忙が苦でなく手術が好きな人、ある程度高い目標を持てる人が向いていると思います。心臓の手術で悪い弁を取れば新しい弁を作る、動脈瘤を取れば新しい動脈を作るというようにすべてが形成術なのです。形成術ゆえに芸術性が高く、自分で考えた創意工夫を取り入れることができ、手術のでき映えにワクワクできることも魅力の一つなのです。そして、手術で元気になってもらえる、医師が努力すればするほど成果は患者さんの元気に表れます。私を頼り、はるばる遠くから来院してくださる患者さんも多いので、私が頑張らないわけにはいきません。やりがいを感じますね。私はこの世界でさらなるステップアップをしていきたいと考えています。現在、臨床で使用されている人工弁はすべてが外国製です。日本製は一つもありません。また、その人工弁は異物であり、大きさは変わりません。私は、トヨタのハイブリッドカーのように日本発の技術を世界に発信していきたいと思っています。今後、身体の成長に合わせて「成長する大動脈弁」の開発に力を入れていき、患者さんの身体にやさしい手術を心がけていきます。質問と回答を公開中!

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教授 尾﨑重之先生の答え

遠隔期について自己心膜による大動脈弁形成の遠隔期成績はいかがでしょうか。大動脈弁逆流等の発生はないのでしょうか。自己心膜を使用した大動脈弁形成術は2007年の4月から開始し、現在、約3年半が経過しております。250名以上の方がこの手術を受けられておりますが、現在までのところⅡ度以上の大動脈弁閉鎖不全症を認める患者様はおらず、再手術例はありません。弁の生着、採取部位の強度についてはじめまして、都内で勤務医をしている整形外科医です。患者さんで弁置換が必要といわれている方がおり調べている間にたどり着きました。人工物に比し生体材料でつくられるものがより良いということはわれわれ整形外科でも常に言われていることですが、自己生体材料を採取するということはその採取部位に欠損が生じるということです。整形外科では骨は骨、硝子軟骨は繊維軟骨で再生されます。ただ強度は正常に比し、しばらくの間採取した大きさにもよりますが弱いです。自己心膜採取部位は採取後に再生される組織の強度、機能は問題ないのでしょうか?また生体弁は術後どれくらいで生着するのでしょうか?不勉強ですみませんがよろしくご教授ください。グルタールアルデハイド処理したヒト心膜の強度は、早稲田大学生命理工学部梅津研究室との共同研究の結果、正常な大動脈弁尖の4倍以上の強度があることを確認しております。従って、グルタールアルデハイド処理したヒト心膜を大動脈弁尖として使用することには、全く問題が無いと考えます。残念ながら、ヒト心膜は再生しないので切除した欠損部にはゴアテックスシートを挿入し、代用しております。縫着された自己心膜は、縫着直後より機能しておりますが、約1ヶ月もすれば完全に生着すると思われます。自己心膜の耐久性について生体弁は耐久性におとり10数年が限界と聞きましたが、自己心膜の場合はいかがでしょうか。基本的には自分の組織を使っているので、耐久性という概念自体がないのでしょうか?再手術が必要になる場合はどんな時なのでしょうか?基本的な質問で申し訳ないですがご教示お願いします。「自己心膜を使用した大動脈弁形成術」、最長で3年半の経過です。遠隔期については5年、10年と経過を見なければなりませんが、3年半経過して再手術がゼロという数字は画期的な数字です。機械弁・生体弁では術後1年で約1%の再手術があります。とても成績がいいことは確かです。われわれの手術方法とは異なりますが、1990年代にアメリカのデュラン先生が、同様にグルタールアルデハイド処理された自己心膜を使用した大動脈弁形成術の耐久性を報告しています。対象疾患が「リウマチ熱による大動脈弁狭窄症」であるため、われわれの対象年齢よりはずっと若く20~30歳代の症例に手術を施行していますが、10年の再手術回避率(再手術を受けなくても良い確率)が86%です。一方、生体弁(ウシ心のう膜弁)を45歳の患者に移植した場合の再手術回避率も同様に86%という報告があります。若年者ほど生体弁の劣化が早いことは周知の事実です。デュラン先生が手術を施行された症例は更に若年であり、この事実を考慮するとグルタールアルデハイド処理後の自己心膜を使用した大動脈弁形成術の耐久性は、生体弁と同等もしくはそれ以上と言うことが出来ると考えます。詳しくは当科ホームページをご参照ください。再手術が必要となるのは移植した心膜が石灰化を起こし、重症な大動脈弁狭窄症を起こすか、心膜の劣化が起こり、重症な大動脈弁閉鎖不全症が発生したときです。経過観察中の患者さんでそのような方はおりません。執刀できる医師について先生の術式は大変素晴らしく、感銘を受けております。新しい術式なだけに執刀できる医師は限られていると思いますが、先生の他に執刀できる医師は何名位いるのでしょうか?また、この出術を受けることができる医療機関は貴院の他にも存在するのでしょうか?教えて頂けると幸いです。これまでに、多くの医師が当院に手術見学に来られ、現在準備を進めている施設がいくつかあります。しかし、手術の質を維持させるため、最初は必ず私が手術に立ち会わせて頂くようにしています。また、弁形成をするための器具であるサイザーやテンプレートなどの準備があり、手術を開始するには少々時間がかかっています。今後はさらに多くの施設で手術が出来るようにウエットラボ、ドライラボを使用したトレーニングシステムの構築等も考えています。現在のところ、苑田第一病院(東京都足立区)、仙台厚生病院(仙台市)、大分大学医学部附属病院(大分市)で自己心膜を使用した大動脈弁形成術が施行されております。入局について初期研修医1年目です。現在市中病院で研修を受けていますが、外科医を目指したいので、後期研修は大学病院に入局しようと考えております。大橋病院心臓血管外科のホームページを拝見しましたが、入局希望者への案内がありません。他の科は案内があるものとないものがありました。基本的に他からの入局は募集していないということなのでしょうか?場違いな質問かもしれませんがご回答宜しくお願いします。ホームページでの入局のご案内が未完成ではありますが、常に入局は大歓迎です。ご迷惑をおかけしました。遠慮なく下記にお問い合わせ下さい。見学、相談希望の方は、お気軽にご連絡ください。お問い合わせ先:医局秘書 古谷 美幸 myurine@oha.toho-u.ac.jp女性の心臓外科医現在医学部に通う学生、女性です。心臓外科に興味を持っています。どんな科でも、出産などで1、2年ブランクが開くと手技が衰えてしまうと思いますが、心臓外科医としてそれは致命傷になるのでしょうか?学生の思い込みかもしれませんが、心臓外科の手技は他の外科と比べ、特に繊細だと考えております。1、2年のブランクが心臓外科医として致命傷になるのか教えて頂きたくお願い申し上げます。心臓外科のトレーニングは、どの時期にどれくらい集中的に施行することが出来るかが大切であると考えます。私自身も、当初は自衛隊医官として勤務していたため、外来で毎日、風邪と水虫を診る日々でした。心臓なんて夢のまた夢でした。自衛隊退職後、卒後6年目からやっと心臓外科に携わるようになりました。心臓外科を始めた時期としては決して早いわけではありません。時期が来たときに集中してトレーニングを重ねることが出来れば、心臓外科医になることは十分に可能と考えます。自分次第ですよ。また、昨今、女性医師は増加しており、今後、女性心臓外科医も増えると思います。まだまだ環境は整っていないかもしれませんが、確実に女性心臓外科医が誕生する土壌は整いつつあります。諦めないでください。自己心膜では適さないケースについて患者さんの状態によっては、自己心膜を使用した大動脈弁形成術に適さず、人工弁でないと駄目なケースがあるのでしょうか。あるとしたらそれはどんなケースなのでしょうか。初歩的な質問で恐縮ですがご教授ください。すべての大動脈弁疾患(大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、大動脈基部拡大による大動脈弁閉鎖不全症、人工弁置換手術後の再手術、感染性心内膜炎など)に対し「自己心膜を使用した大動脈弁形成術」を施行しています。これまでのところ大動脈弁形成術が適さなかった症例はありません。成長する大動脈弁について先生の記事拝読いたしました。「今後、身体の成長に合わせて「成長する大動脈弁」の開発に力を入れていく」とありましたが、具体的にはどのような研究なのでしょうか?人工弁だけど成長する弁なのでしょうか?もしくはまた違った着想での開発なのでしょうか?差し支えない範囲で結構ですので、その辺りの開発状況をお聞きしたく思います。現在、早稲田大学生命理工学部梅津研究室との共同研究で「無細胞化技術の開発」「無細胞化組織の滅菌技術の確立」に成功しており、当該材料の製造・滅菌において実用化に向けて更なる一歩を踏み出す域に到達しています。無細胞化する事でvirusの除去が完全に可能で有る事と、無細胞化組織を人体に移植すると異物として認識されず、scaffold(枠組み)の中に移植された人体から細胞が入り込み自己組織化していく事を、これまでの研究で実証しています。無細胞化組織を使用する事で、(1)遠隔期の弁尖の石灰化を予防出来き(2)無細胞化組織移植後組織に自己の細胞が入り込み無細胞化組織が自己組織化され組織(弁尖)が成長する可能性も高いと言えます。先生が理想とする心臓外科医ベルギー留学中に、先生が理想とする心臓外科医と出会われたそうですが、どんな方なのでしょうか?日本にはいないタイプなのでしょうか?興味あるので是非教えてください。記事の中でもご紹介しましたが、私がベルギーで出会った医師は、臨床での不明な点を大動物で実験・検証し、その結果を必ず臨床にフィードバックし、少しでも患者さんにプラスになるように努力していました。このように、文武両道な医師が私の理想とする医師です。私の感覚なので、そうではないと言われる方がおられると思いますが、日本の心臓外科医は手術をする人、研究をする人が別れており、両方をともにバランス良く行っている外科医はヨーロッパと比べて少ないと思います。あくまでも個人的な感想です。先生のご経歴を今は田舎で診療所をやっていますが、昔大橋病院にいたことがあります。その時代は外科手術を年間何百例もこなすようなところではなかった記憶があります。先生しかできない手術を行っているからかもしれませんが、それだけではないと思います。宜しければ体制を変えるために先生が取り組まれたことを教えていただけますでしょうか。宜しくお願いします。先生が大橋病院にいらした頃と同様に、私が大橋病院へ赴任した当初も開心術数は多くありませんでした。病院の体制としても現在のように開心術を200以上施行できる環境ではありませんでした。まわりのスタッフの多くが、「心臓の手術は大変だから。」という認識を持っていたと思います。大変なことを行うのはみんな嫌なわけで、その認識を変えない限り、前進できないなと考えました。まず取り組んだことは、慌てないでひとつひとつ実績を重ね、スタッフのみんなに「心臓の手術は大変ではなく、心臓の手術を受けた患者さんみんなが笑顔で元気に退院していくこと。」を実証することでした。心臓外科はチーム医療ですから、これまでの認識が変わるにつれてチームとして対応できるようになり、増えてきた症例数にも対応できるようになったと考えます。でも6年かかりました。「ローマは一日にしてならず。」を実感しています。総括「自己心膜を使用した大動脈弁形成術」、最長で3年半の経過です。遠隔期については5年、10年と経過を見なければなりませんが、3年半経過して再手術がゼロという数字は機械弁・生体弁では不可能な数字です。それくらい成績がいいことは確かです。また、手術中に人工弁置換術に移行した症例もありません。この手術がいかに再現性の高い手術であるかが判ります。今後も遠隔期の向上目指してさらに努力していきたいと考えています。異物を使用しないこと、ワーファリンなどの抗凝固療法を使用しないためQOLが維持できることに患者さんはとても満足されています。「自己心膜を使用した大動脈弁形成術」でも多くの患者さんの笑顔が見られます。学生・研修医の方々へ心臓外科は楽しいですよ。楽な科ではありませんが、患者さんは本当に元気になります。元気になった患者さんの笑顔を見ると疲れが吹っ飛びます。僕と一緒に心臓外科をやりませんか。教授 尾﨑重之先生「弁膜症治療の歴史を変える「自己心膜を使用した大動脈弁形成術」」

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【お知らせ】日本結核病学会 結核・抗酸菌症認定医・指導医認定制度を開始

日本結核病学会は,結核および非結核性抗酸菌症に対する適切な医療を推進するため、また多剤耐性結核・超多剤耐性結核の抑止と結核撲滅を目指すために、学会認定医・ 指導医認定制度を設けた。結核・抗酸菌症の知識と抗結核薬の適正使用の経験に優れ、それを実践・指導・教育できる医師を養成することによって、結核・抗酸菌症診療の向上・耐性菌防止・医療資源の有効利用などに貢献することを目的としている。第一回申請は平成23年6月から受け付ける。http://www.kekkaku.gr.jp/ga/ninteiiKisoku.htm

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