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せん妄は超高齢者における認知症の強いリスク因子

 せん妄は85歳以上の超高齢者(oldest-old)における認知症の強いリスク因子であることが、英国・ケンブリッジ大学のDavis氏らによる集団コホート研究の結果、報告された。著者は、「適正な集団をサンプルとした初の知見である」と本研究の成果を強調している。これまでも、せん妄は認知症のリスクであり、認知症患者においては衰弱を加速することが示唆されていたが、先行研究ではベースラインでの認知機能状態の把握が完全ではなかった。Brain 誌2012年9月号(オンライン版2012年8月9日号)の掲載報告。 Vantaa 85+試験と命名された本研究は、ベースラインで85歳以上であった553例(適格者の92%)を3、5、8、10年時点で評価した。せん妄が認知症発症および認知機能低下のリスク因子であること、およびせん妄既往の有無を問わずに認知症と認知症の神経病理学的マーカーとの関連を評価して病理学的レベルでのせん妄の影響についても調べた。脳剖検は被験者の52%で行った。 固定および無作為化効果回帰モデルを用いて全被験者を対象に、1)せん妄と認知症発症との関連、2)MMSE(Mini-Mental State Examination)スコア減少との関連を評価した。認知症と一般的な神経病理学的マーカーとの関連(アルツハイマー型、梗塞型、レビー小体型)モデルを作成し、せん妄の既往で階層化した。主な結果は以下のとおり。・せん妄は、認知症発症リスクを増大した(オッズ比:8.7、95%CI:2.1~35)。・せん妄は、認知症重症度の増悪(同:3.1、1.5~6.3)、および全般的な認知機能スコアの低下とも関連した(同:2.8、1.4~5.5)。・試験集団全体で、せん妄のある人は、ない人よりもMMSEスコアが毎年1.0ポイント以上(95%CI:0.11~1.89)多く減少した。・認知症でせん妄歴のない高齢者(232例)は、すべての病理学的因子が認知症と有意に関連していた。・しかし、せん妄を有する認知症の高齢者(58例)は、認知症と病理学的マーカーとの関連は認められなかった。たとえば、神経原線維変化(Braak)ステージがより高いことと認知症との関連は、せん妄歴のない場合は有意であったが(オッズ比:2.0、95%CI:1.1~3.5、p=0.02)、せん妄歴がある場合は有意ではなかった(同:1.2、0.2~6.7、p=0.85)。・これらの傾向は、アミロイド斑、アポリポ蛋白ε、梗塞の存在、レビー小体に関連するα-synucleinopathy、および黒質におけるニューロン損失に関しても認められた。関連医療ニュース ・認知症治療薬ガランタミン、ラット試験で喫煙欲求の軽減効果を確認 ・せん妄を有する高齢入院患者の死亡リスクは高い! ・せん妄の早期発見が可能に

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「小児の肺炎球菌」PCV7ワクチン導入で大きく減少

 欧州における7価肺炎球菌ワクチン(PCV7)導入後の状況について、フランス・Denis Diderot大学のWeil-Olivier C氏らが、レビュー報告を行った。欧州では2006~2008年の間に16ヵ国が順次、PCV7の定期接種(2~3回+ブースター1回)を導入し、現在は、PCV10、PCV 13の定期接種導入も進んでいる。BMC Infect Dis誌オンライン版9月7日号の掲載報告。 レビューは、2011年6月に欧州小児感染症学会(ESPID)が発表したサーベイランスデータに基づいた。PCV7導入後の欧州における肺炎球菌感染症の動向、PCV10および13の導入とその影響、小児市中肺炎(CAP)へのインパクト、蓄膿症や急性中耳炎(AOM)との関連、そしてPCV接種の役割とベネフィットなどについて考察した。 主な内容は以下のとおり。・PCV7定期接種導入により、小児の肺炎球菌感染症の疾患負荷は大きく減少した。(たとえば、英国<5歳IPD報告: 400件(2006年) →25件(2010年)、CAP入院19%減少など、ドイツ<2歳IPD報告: 20例/10万人・年(1997-2003年) →10例/10万人・年(2007-2008年)。・PCV7に含まれる血清型(4、6B、9V、14、18C、19F、23F)の分離株がみられることが大きく減った。(たとえば、2009年のドイツ<2歳全IPD例のうちPCV7血清型は12%)・一方で、非PCV7の血清型(例:1、7F、19A)の有病率が増加した。(たとえば、英国<5歳 非PCV7血清型例報告: 150例(2006年) →375例(2010年) など)・非PCV7血清型例の増加を受けて、PCV10、PCV13によって残る疾患負荷を減らす可能性を強調した。PCV7そしてPCV10、PCV13導入(2009年ドイツを皮切りに各国順次導入)は、侵襲性の疾患負荷および市中肺炎負荷を引き続き減少させる傾向がみられた。・肺炎球菌保菌のさらなる減少と、早期AOM感染予防の取り組み増大により、重症または難治性のAOMを予防できる可能性がみられた。・直近のサーベイランスは、より高価のワクチン(PCV10、PCV13)によって、非PCV血清型をカバーし肺炎およびAOMを予防することが、より有意に公衆衛生上の間接的ベネフィットをもたらすことを強調した。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(24)〕 安定狭心症に対する最適治療法の決定に冠血流予備量比(FFR)は有用な検査法である

経皮的冠動脈インターベンション治療(PCI)が、急性冠症候群の予後改善に有効な治療法であることについては異論のないところである。しかしながら、安定狭心症に対するPCIの適用に関しては未解決な問題が多い。歴史的には選択的冠動脈造影手技が確立されたことにより、冠動脈疾患の診断・治療が長足の進歩を遂げたことは周知の事実である。しかし、冠動脈造影では、X線シネ血管撮影装置と造影剤を使用してイメージインテンシファイアー上に冠動脈イメージを映し出し、狭窄の程度を判読している。それゆえ、狭窄の程度を正確に評価するうえで、冠動脈造影だけでは必ずしも十分でない症例も存在する。 FFR測定は、冠動脈狭窄病変が心筋虚血を引き起こすか否かを機能的に評価することを可能にした有用な検査である。心筋虚血を生じない程度の狭窄病変に対して、むやみやたらにPCIを実施することの有害性を十分に認識することは、治療方針を正しく決定するために必要である。本研究では、安定狭心症で冠動脈造影所見からPCI治療が適用であると判断された患者について、FFR値が少なくとも1つの狭窄病変において0.80以下であれば無作為に対象症例を2群[薬物治療群(最適薬物療法のみ)、PCI群(PCI+最適薬物療法)]に振り分けた。すべての狭窄を有する冠動脈病変のFFR値が0.80を超えている症例については、PCIを実施せず最適薬物療法のみを行い、試験に登録のうえ、その50%が無作為に抽出された2群と同様にフォローアップされた。 倫理的理由により追跡期間が短いのが気になるが、この期間での一次複合エンドポイント発生率(死亡率、非致死性心筋梗塞発症、2年以内に起こる予期せぬ緊急血行再建のための入院)は薬物治療群で12.7%、PCI群で4.3%であり、PCI群で有意に低かった。とりわけ、緊急血行再建術実施率がPCI群で有意に低率であった(薬物治療群 11.1% vs PCI群 1.6%)。FFR値が0.80を超えていた群での複合イベント発生率は3.0%と最も低値であったが、PCI群との間には有意差はなかった。 短期のフォローアップのみの成績であるために、長期的PCI治療の成績を保証するデータでないことを考慮することも重要である。また、FFR値が0.80超の狭窄病変に対して、最適薬物療法のみで治療した群で複合イベント発生率が低かった事実は大きな意味を持つ。つまり、心筋虚血を引き起こさない程度の狭窄病変に対して、むやみやたらにPCIを実施すべきではないことを肝に銘じるべきである。本研究は、少なくとも1ヵ所以上の主冠動脈狭窄病変でFFR値が0.80以下である場合について、PCI施行後とりわけ8日以降から追跡終了までの期間で一次複合エンドポイント(とくに緊急血行再建)に関して、PCI+最適薬物療法の併用が最適薬物療法単独よりも優れているとの結果であった。安定狭心症では無用なPCIを行わないよう心がけることを頭に叩き込んでおいてほしい。メモ1.PCIには第2世代の薬物溶出ステントが使用された。2.最適薬物療法は、アスピリン、β遮断薬(メトプロロールほか)、Ca拮抗薬/長時間作用型亜硝酸製剤、RA系阻害薬(リシノプリルほかACE阻害薬、副作用があればARB)、スタチン(アトルバスタチン)、エゼチミブの多剤併用投与を意味していると理解できる。3.クロピドグレルはステントを植え込み群でのみ使用された。4.本研究では最適薬物療法の中に看護ケア、生活習慣の改善は含まれていなかった。5.すべての群で喫煙者は至適禁煙指導を受け、糖尿病を有する患者は専門的至適治療が行われた。

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ベンゾジアゼピン系薬剤の使用で抗精神病薬多剤併用率が上昇?!

 統合失調症治療では、抗精神病薬の多剤併用や大量投与がしばしば行われる。多剤併用・大量投与によりさまざまな弊害も報告されている。Suokas氏らはフィンランドにおける大規模な全国調査を行い、統合失調症患者における長期的な抗精神病薬の多剤併用率と予測因子を調査した。Soc Psychiatry Psychiatr Epidemiol誌オンライン版2012年9月25日号の報告。 2000年~2007年の間に統合失調症により少なくとも1回以上入院し、2007年3月に生存していた統合失調症患者をフィンランドのレジスター・ベースより抽出し、縦断的研究を行った。コホートへのエントリーは2000年~2007年の期間における統合失調症による初回入院時とし、2007年3月1日の抗精神病薬多剤併用の評価データを取得した。対象患者数は16,083例(慢性期患者8,037例、初発および罹病期間の短い患者8,046例)。抗精神病薬の多剤併用は2種類以上を60日以上投与した場合とした。主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬の多剤併用率は46.2%であり(患者数:7,436例、平均年齢:47.5歳、男性率:55%)、罹病期間の長い患者で多かった。・多剤併用との関連因子は、「入院期間が長いこと」、および「男性」であった。とくに、慢性期統合失調症患者では、過去のベンゾジアゼピン系薬剤の使用と関連が認められた。また、抗うつ薬の使用との関連性は認められなかった。関連医療ニュース ・日本おける抗精神病薬の用量はアジア各国と比較し、まだ多い ・初回エピソード統合失調症患者、長期予後予測に新基準! ・維持期の統合失調症患者において現在の薬物投与量は最適か?

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体重に関する“いじめ”はうつ病のリスクファクター

 太っている子供はいじめられやすい傾向がある。そして体重に関連するいじめは、うつ病や摂食障害を引き起こすリスクとなる。米国Madowitz氏らは肥満児に対するいじめがうつ病発症のリスク上昇や不健康な体重管理行動と関連するかを検証した。その結果、著者らは「体重に関連するいじめに悩む肥満児は、通常体重の子供と比較しうつ病のレベルが高い」ことを、Pediatr Obes誌オンライン版2012年9月19日号で報告した。 対象は肥満児80名(平均年齢:10.03歳、平均BMI:27.37、白人比率:29.37%、女性比率:58.8%)。肥満児における体重に関するいじめと、うつ病、不健康な体重管理行動(UWCBs)との関係を調査した。自己申告調査により、抑うつ症状、UWCBs、いじめの有無や原因、頻度などを収集した。分析には年齢や性別をコントロールした後、ロジスティック回帰分析、線形回帰分析を用いた。主な結果は以下のとおり。・他の子供からいじめを受けた肥満児はうつ病のレベルが有意に高く(B=6.1 [SE=2.3])、5回以上のUWCBsを経験していた(OR=5.1 [CI=1.5~17.4])。・同級生からいじめを受けた肥満児はうつ病のレベルが有意に高かった(B=2.3 [SE=0.8])。・体重に関するいじめの頻度、件数は抑うつ症状と有意に関連していた(それぞれ、B=2.5 [SE=0.8]、B=4.6 [SE=1.5])。・家族によるいじめとの有意な相関は認められなかった。関連医療ニュース ・自殺リスクの危険因子の検証、年齢別のうつ症状との関係は? ・うつ病の予測因子は青年期の「腹痛」? ・太る!境界性人格障害「MetS有病率2倍」

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睡眠時無呼吸症候群に対して肥満外科手術は有効か?

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)に対する肥満外科手術は従来療法と比較して、大幅に体重は減少するものの、達成無呼吸低呼吸指数(AHI)については有意差を伴う減少は認められなかったことが、オーストラリア・モナッシュ大学のJohn B. Dixon氏らによる無作為化試験の結果、報告された。OSAは肥満と強く関連しており、肥満を有するOSA患者では体重減が治療計画において推奨されている。しかし、これまでその有効性を検討した無作為化対照試験は行われていなかった。JAMA誌2012年9月19日号の掲載報告。手術群と従来療法群とのベースラインから2年間のAHIの変化を比較試験は2006年9月~2009年3月に、メルボルンの大学・教育病院の研究グループによって行われた。肥満患者(BMI>35~<55)で直近(6ヵ月未満)にOSAと診断され、AHI>20回/時の60例を対象とし、被験者は、OSAに対しCPAP療法を受けており地域の睡眠専門クリニックを通じて登録された。肥満低換気症候群、肥満外科手術が既往または禁忌の患者、および心肺性・神経性・血管性・胃腸管系・腫瘍性の疾患を有する患者は除外された。被験者は、栄養士と医師による定期的な指導管理と適宜の超低カロリー食を含む減量プログラムを受けた従来療法群(30例)と、肥満外科手術(腹腔鏡検査で調整可能な胃バンディング手術)群(30例)に無作為に割り付けられた。主要アウトカムは、ベースラインから2年間のAHIの変化だった。割り付け情報を知らされていなかったスタッフによる診断用睡眠ポリグラフのスコアで検討した。副次アウトカムは、体重変化、CPAPアドヒアランス、身体機能状態(SF-36で評価)だった。手術群、体重は有意に減少もAHI減少は有意差認められず体重減少は、従来療法群平均5.1kg(95%信頼区間:0.8~9.3)だったのに対し、手術群は平均27.8kg(同:20.9~34.7)と有意な減少がみられた(p<0.001)。AHIは、従来療法群14.0回/時(同:3.3~24.6)減少したのに対し、手術群は25.5回/時(同:14.2~36.7)減少した。両群間の差は-11.5(同:-28.3~5.3)で有意差は認められなかった(p=0.18)。CPAPアドヒアランスについて両群間の差はなかった。SF-36評価スコアは、手術群で有意に大きく改善した(平均9.3、95%信頼区間:0.5~18.0、p=0.04)。

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肥満外科手術患者の術後20年間の医療サービス利用コスト

 肥満外科手術を受けた患者の20年間の医療サービス利用について、従来療法を受けた対照群と比較した結果、手術群のほうが入院医療を多く利用しており、最初の6年間は外来利用も多かったが、それ以降の外来利用は両群で有意差はなかった。また、7~20年目の薬剤コストは手術群のほうが有意に低かったことが報告された。スウェーデン・ヨーテボリ大学のMartin Neovius氏らによるSwedish Obese Subjects試験の結果で、肥満外科手術は体重減を維持し、糖尿病、心血管イベント、がんの発生率を低下し生存を改善することが示されていたが、長期にわたる医療サービス利用への影響については不明であった。JAMA誌2012年9月19日号の掲載報告。入院、外来、薬剤コストを従来療法群と比較Swedish Obese Subjects試験は、スウェーデンヘルスケアシステムで現在進行中の前向き非無作為化対照介入試験であり、1987~2001年に肥満外科手術を受けた2,010例と適合させた対照群2,037例を対象とした。被験者は、37~60歳、BMIが男性34以上、女性38以上を適格とした。手術群は、13%が胃バイパス術を、19%は胃バンディング術を、68%が垂直遮断胃形成術を受けた。対照群は従来肥満療法を受けた。主要評価項目は、年当たりの入院日数(追跡期間:1~20年、データ収集:1987~2009年、追跡期間中央値15年)と、非プライマリ・ケア外来受診回数(同:2~20年、2001~2009年、9年)、National Patient RegisterとPrescribed Drug Registerから入手した薬品コスト(同:7~20年、2005~2011年、6年)。レジストリデータは、99%以上の患者で完全に結合できた(4,047のうち4,044例)。平均差は、ベースラインでの年齢、性、喫煙、糖尿病ステータス、BMI、算入期間(入院治療解析のために)、試験開始前年の入院日について調整した。追跡7~20年の平均年間薬剤コスト、手術群930ドル、対照群1,123ドル追跡20年間の平均累積入院日数は、手術群54日に対し対照群は40日だった(平均差:15、95%信頼区間:2~27、p=0.03)。追跡2~6年の平均累積年間入院日数は、手術群1.7日に対し対照群は1.2日だった(同:0.5、0.2~0.7、p<0.001)。追跡7~20年の同値は両群とも1.8日だった(同:0.0、-0.3~0.3、p=0.95)。追跡2~6年の年間平均外来受診日数は、手術群1.3日に対し対照群は1.1日だった(同:0.3、0.1~0.4、p=0.003)。しかし7年目からは両群間の差は認められなかった(1.8日vs. 1.9日、同:-0.2、-0.4~0.1、p=0.12)。追跡7~20年の平均年間薬剤コストは、手術群930ドルに対し対照群1,123ドルだった(同:-228、-335~-121、p<0.001)。

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破壊的行動障害に対する非定型抗精神病薬使用

 小児および青少年の破壊的行動障害に対する非定型抗精神病薬の有効性と安全性に関するメタ解析が行われた。破壊的行動障害は注意欠如・多動性障害(ADHD)と関連していることが多い。精神科医療サービスの利用も多く、非定型抗精神病薬のような薬物治療が行われる可能性もある。一方で、小児と青少年の破壊的行動障害に対する非定型抗精神病薬使用が有意に増加しているというエビデンスも増えており、ニュージーランド・Health WaikatoのLoy JH氏らは、プラセボと比較した有効性と安全性を評価した。Cochrane Database Syst Rev. 2012年9月12日号の報告。 2011年8月に、CENTRAL(2011、Issue 3)、MEDLINE(1948~2011年8月第1週)、EMBASE(1980~2011年第32週)などを検索し、破壊的行動障害と診断された18歳以下の小児および青少年を対象とする無作為化試験を、試験設定を問わず適格とした。対象には、破壊的行動障害に併せてADHD、大うつ病、不安障害の診断を受けている被験者も対象に含んだ。試験選択とデータ抽出、処理は2人の独立したレビュワーによって行われた。 解析の結果について、著者は「小児および青少年の破壊的行動障害において、攻撃性軽減や行為障害に対するリスペリドンの短期の有効性について、限定的なエビデンスが得られた」とまとめたが、解析に組み込んだ試験の規模や精度などの問題に触れ、「最新知見を反映する質の高い大規模かつ長期の臨床試験が必要である」と指摘した。主な結果は以下のとおり。・解析には、8件の無作為化試験(2000~2008年)が含まれた。7試験(5~18歳)はリスペリドンを、1試験はクエチアピンを評価したものであった。・3試験は多施設試験であった。また7試験は急性期の有効性を、1試験は6ヵ月の維持期以降の再発までの時間を評価したものであった。・メタ解析の主要アウトカムは、攻撃性、行為障害、体重変化としたが、利用できるデータが限定的であった[各試験報告の平均スコア変化(平均差)および最終/事後介入粗スコアの格差や、使用されたアウトカム尺度の相違のため]。また個々の試験の治療効果サイズについても可能な限りHedges' g.を用いて評価した。・攻撃性について2つのメタ解析を行った。第1のメタ解析は、Aberrant Behaviour Checklist(ABC)Irritabilityサブスケールスコア(範囲:0~45)の平均差(MD)が用いられていた3試験(n=238)を組み込んだ。結果、リスペリドン群の最終平均スコアはプラセボ群よりも6.49ポイント低かった(95%CI:-8.79~-4.19)。・第2のメタ解析は、2試験(n=57)を組み込んだ。それぞれ異なるアウトカム尺度が用いられていたため[Overt Aggression Scale(modified)(OAS-M)とOAS]、標準化した平均差を用いた。結果、推定効果は-0.18(95%CI:-0.70~0.34)であったが統計的に有意ではなかった。・行為障害についても2つのメタ解析を行った。第1のメタ解析は、いずれもNisonger Child Behaviour Rating Form - Conduct Problem subscale(NCBRF-CP、範囲:0~48))が用いられていた2試験(n=225)を組み込んだ。結果、リスペリドン群の最終平均スコアはプラセボ群よりも8.61ポイント低かった(95%CI:-11.49~-5.74)。・第2のメタ解析は、Conners' Parent Rating Scale - Conduct Problem subscale(CPRS-CP)を用いた2試験(n=36)を組み込んだ。結果、治療群の最終平均スコアはプラセボ群よりも12.67ポイント低かった(95%CI:-37.45~12.11)が、統計的に有意ではなかった。・体重増加の副作用に関しては、2試験(n=138)のメタ解析で、治療期間中、プラセボ群よりもリスペリドン群で平均2.37kg増加したことが示された。・個々の試験によって、リスペリドンの攻撃性および行為障害に対する効果サイズは幅(小から大まで)があった。推定効果サイズの精度は試験間でばらつきがあった。関連医療ニュース ・増加する青年期うつ病 、早期発見へ ・ADHDリスクファクターは「男児」「母親の就労」 ・うつ病の予測因子は青年期の「腹痛」?

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福島県県民健康管理調査はこれでよいのか?(1)

東京大学大学院人文社会系研究科(宗教学宗教史学)教授 島薗 進2012年9月28日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 福島県の県民健康管理調査は地元の住民から多くの疑念をもたれている。医師・医療従事者と多くの患者・受診者の間に。信頼に根ざした関係が成り立っていない。これでは医療の基盤が崩れており問題が大きい。甲状腺の検査についてはメディアで取り上げられ、ある程度知られているが、それだけではない。 まず「基本調査」についての疑問を述べよう。概要については福島県県民健康管理調査のホームページを見ていただきたい。http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=28985 「基本調査」は全県民を対象としたもので「外部被ばく線量推計」とも記されている。そして、「原発事故に関して、空間線量が最も高かった時期(震災後7月11日までの4ヶ月間)における外部被ばく線量を県民一人一人の行動記録を基に推計、把握し、将来にわたる県民の健康の維持、増進につなげていくことを目的に実施している」と述べられている。 だが、2012年3月31日の段階で、回収率は21.9%とたいへん低い。なぜ、低いのか。これに答えることが健康維持・増進にどう結びつくのかよく分からないからだろう。では、この調査の目的は何だろうか。ページの下の方に「調査の目的」についての動画があり、その内容はA=お母さんとB=説明者のコントだ。B:今回の原発事故はまさに未曾有の出来事でしたが、この調査は県が今後行っていく健康管理のスタート・基礎になるんです。この調査の中に行動記録というのがあるんですが、これが今現在、皆さまが外から浴びた被ばく線量を知るための唯一のデータになるんです。A:これに記入して提出すれば、被ばく線量の推定をしてもらえて、これから先長いこと健康を見守ってもらえるのね。記入するのは面倒だと思ったけど、そんなに大事なものならしっかり書かかなくっちゃ。B:もし回答しなくても、皆さまの不利益になるものではありません。A:でも、記入する方がしないよりもいいことが多いわよね。自分のためはもちろんだけど、小さい子どものためにも、家族の安心のためにも必要ね。ぜひ書かせていただきます。この対話(コント)で何が目的だか分かるだろうか。なぜ、「健康管理のスタート・基礎」になるのか。「この程度の被ばくでは影響は出ない」という主旨のことが繰り返し書かれている。それなら調査は不要ではないか。「家族の安心のためにも」とある。調査結果が送られてくると、線量が少なかったことが分かって「安心」するということだろう。安心するほど少ないなら、どうして「健康管理のスタート・基礎」であり、「そんなに大事」なのだろうか。 「健康を見守る」というが、健康にあまり影響がないはずのデータを「基本調査」とすることがどうして「大事」なのか。そもそも記入しなくても「皆さまの不利益になるものではありません」と言いながら、「でも、記入する方がしないよりもいいことが多いわよね」というのもよく分からない。実際、これを書き込むことでどんな利益があるのかよく分からない。線量が低いということなら、放射線との因果関係は否定されてしまうわけだから、被ばくによる被害をめぐる訴訟が起こったときには不利な材料になってしまうかもしれないではないか。 これは首相官邸ホームページの「原子力災害専門グループからのコメント」 http://www.kantei.go.jp/saigai/senmonka.html の第15回(2011年9月13日)と第26回(2012年3月14日)に掲載されている山下俊一氏と神谷研二氏の共同執筆の文章から得られる印象とも一致する。 前者ではこの調査は「福島におけるいわば『いのちの見守り』ともいえる大事業の一環」だと述べている。「いのちの見守り」という標語はあちこちに掲げられているものだが、それは県民各自の健康維持・増進にどう役立つのか。これについてはまったく述べられていない。 後者には「今後も、この基本調査から得られた線量推定値を健康管理に活かすと共に、問診票記入の支援などをさらに充実させて、検診による健康管理を推進し、多くの方々の不安解消に努めていきたいと考えています」とある。これを見ると「不安解消」という目的があることは分かる。だが、放射線量を知るための問診票と個々人の健康維持のための検診とがどう関わるのかはよく分からない。もし、かつての行動記録を細かく調べるようなことが必要なほど、放射線の影響の微妙な違いが重要だというのなら、それが分かるようにしてほしいと感じるのではないだろうか。 福島県や福島医大は、「基本調査」の目的は疫学調査にあることを明示すべきだ。その踏査地震は個々人の健康維持ではなく、数量的なデータの取得に主たる目的があり、それを診療に生かすことができるのはだいぶ先で、場合によっては数十年先であるかもしれないことも明らかにすべきではないか。その上で、被調査者個々人にどのような利益があるのか、あるいはないのか、不利益になる可能性はないのか、説明すべきだろう。その場合、そもそも放射線の影響がないということを示し不安をなくしたいということが目的であるのであれば、それはできるだけ補償を減らしたい側の利益になるとしても、放射線の健康影響を懸念する被調査者の利益に反する可能性があることをも自覚すべきだろう。「いのちの見守り」という標語ではぐらかすのではますます不信が増幅してしまうばかりである。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(23)〕 STEMIにプライマリPCIが有効、秋の夜長に想うこと

循環器内科医がもっとも達成感を感じる場面はいかなるものであろうか? おそらく多くの医師の答えは次の場面であろう。急性心筋梗塞、それも激しい胸の痛みに苦悶しているSTEMI患者に、緊急冠動脈造影から引き続きプライマリPCIを施行し、無事に再開通療法に成功した場面である。先ほどとは別人のように落ち着いた表情の患者を前にして、深夜に病院に駆けつけた苦労もふっとんでしまう充実感がある。 このたびフランスの医師グループからJAMA誌2012年9月12日号に興味深い報告がなされた。1995~2010年の15年間のSTEMI患者の死亡について調査した結果、全心血管死は減少しており、その要因の一つとして、プライマリPCIの施行頻度が15年間に11.9%から60.8%に増加したことが挙げられるという。 この報告に対する小生の第一印象は、「STEMI患者に60%程度のPCI施行率なんて信じられないほど低い」というものである。日本では、STEMI患者に対しては禁忌がないかぎりは、プライマリPCIが標準的となっており、高齢者を含めても85%以上のSTEMI患者に選択されている。それも、ここ数年ではなく10年以上前からである。これは、日本人のPCI施行医がSTEMI患者の治療においてプライマリPCIによる確実な血行再建の有効性を確信していたからにほかならない。 JAMAという一流誌に日本人から見て当然のように思える内容が掲載される、そのことの持つ意味をいろいろと考えてみた。夜な夜な本論文を読みながら小生が抱いた感想を紹介したい。 このように、本邦で24時間体制で心カテ室を稼働可能な状態に維持し、PCIを独立して施行可能な医師が待機しているという体制を構築することは、医師だけでなく医療関係者すべての献身的な自己犠牲と過重労働のうえに成立している。 そのわれわれが確信するプライマリPCI有効性を、人口ベースの大規模データで証明し、世界標準エビデンスとして牽引する原動力に高めることができなかったことには、忸怩たる悔しさを感じる。日本でPCIに従事する医師は、自己犠牲のヒロイズムに酔うのではなく、プライマリPCIの有効性を明確に情報発信し、それを理解してもらう過程の中で、過重労働に頼らない長期的に維持可能な安定したシステムの構築を社会に訴えるべきであったのかもしれない。 猛々しい夏も終わり物思いに耽ってしまう秋の夜長であった。芋焼酎のグラスを片手に書いた科学的ではないコメントをお許しあれ。

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激辛 ! 伊賀流心臓塾≪増補改訂版≫

第0回「循環器非専門医の到達目標」第1回「安定性の労作性狭心症」第2回「日本人に多い異型狭心症」 2005年の発売以来ロングセラーを続けている「激辛 ! 伊賀流心臓塾」が7年ぶりに増補改訂。循環器診療の進歩は目覚ましく、心臓CTによるスクリーニング検査が一般的になったり、インターベンションの安全性も向上しました。しかし、伊賀先生の「診断を考えて行く」プロセスは、全く色あせていません。むしろ、より重要になったと言えるのではないでしょうか。初版収録番組の各シーンに伊賀先生が更なる解説を加えた本DVDは、循環器非専門医や一般内科開業医に、循環器診療における基本的な考え方、到達目標を明確に具体的に伝えてくれます !具体的な症例から難解な心臓疾患を分かりやすく解説します。第0回「循環器非専門医の到達目標」卒後臨床研修が行われている大病院の医師は、細分化された狭い専門領域以外のことを研修する時間も動機も消失しがちです。また初期2年間のスーパーローテート研修時に、各領域の“超専門家”に育てられた研修医は、高い診療レベルを要求されて燃え尽きてしまうことが多いようです。しかも“超専門家”自身、「診察後どういう思考過程で診断に行き着くか」という臨床医にとって真に重要なことを研修医にきちんと指導できないというのが実状です。医師(循環器非専門医)として患者に向かい合う前に身に付けておくべき循環器領域の基本的考え方や到達目標を解説していきます。第1回「安定性の労作性狭心症」 高度の血管狭窄病変を有することが多い安定性の労作性狭心症。明らかにこの症状を有する患者に対して、循環器非専門医が行うべきことは一体なんでしょうか ? 「ニトログリセリンを持たせて経過観察する?」 「全例、専門医の検査にまわす?」 「本人がまったく困ってなかったら?」狭心症から心筋梗塞にいたるメカニズムと医師のなすべきこと、ニトロやβブロッカーの正しい使い方など、最新のデータをもとに、伊賀先生が悩める医師の疑問にズバリお答えします。【症例】64歳 男性15年来の糖尿病患者。食事療法のみでHbA1c 6.6%前後で推移。61歳時より坂道を歩くと胸が圧迫され、少し休むと楽になる状態。運動をあまりしないため、本人はそれほど困っておらず、過去3年間、程度・頻度は変わらない。今回、検診でマスター二重運動負荷心電図が陽性であったため受診した。血圧、安静時心電図、胸部X線のいずれも正常、コレステロール値は220mg/dL。第2回「日本人に多い異型狭心症」欧米人には少ないが日本人には頻度の高い「異型狭心症」がテーマです。軽度の動脈硬化に血管攣縮が加味されることが多く、朝方の軽労作で狭心症症状が出現。心電図検査では正常とされる可能性も高く、その場合、病歴聴取のみが判断の根拠となります。今回は異型狭心症の病歴の取り方のコツを具体的に伝授します。そして、異型狭心症が疑われた場合、プライマリ・ケア医としてどのようにアプローチすべきか。「ホルター心電図を取るのか」、「それとも緊急入院させるべき?」など、よくあるケースのよくある悩みに達人が“ズバリ”お答えします。 【症例】1日20本×20年の喫煙者2ヶ月前から週2回ぐらい朝方の軽労作で数分間持続する胸部圧迫感があるため外来を受診。午後はかなり運動をしても症状はないと言う。診察では異常所見は無く、血糖・コレステロール値ともに正常。受診日の心電図と胸部X線も正常であった。

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不眠症に対する鍼治療のエビデンスは?

 不眠症に対して、鍼治療のような非薬物療法は多くの人に有効で広く行われているが、いまだエビデンスは不十分であるとされている。中国・香港大学のCheuk DK氏らは、不眠症に対する鍼治療の有効性と安全性を評価するメタ解析を行った。33試験、2,293例を含んだ分析の結果、試験の方法論的な質が不良であったり、不均一性や出版バイアスが高く、鍼治療の支持・不支持を論ずるに足りるエビデンスが十分かつ厳密ではなかった。著者は、「より大規模な質の高い臨床試験が求められる」と述べている。Cochrane Database Syst Rev. 2012年9月12日号の報告。 メタ解析は2011年10月に、Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)、MEDLINE、EMBASE、PsycINFOなどを検索して行われた。すべての適格報告の参考文献を精査し、試験報告の執筆者とその分野の専門家と面談した。 不眠症に対する鍼治療について評価したすべての無作為化試験を適格とした。評価の対象は、追加療法あり/なしの鍼治療とプラセボ、シャム、無治療、同一追加療法とを比較した試験で、手法の違う鍼治療や他の治療と鍼治療を比較した試験は除外した。2人の独立したレビュワーがデータを抽出しバイアスリスクを評価。検討は、オッズ比(OR)、二者択一アウトカムおよび連続数値アウトカムの平均差を用いて行われた。データは必要に応じてメタ解析に組み込まれた。主な結果は以下のとおり。・解析には、33試験、いくつかの内科的症状(脳卒中、末期腎不全、閉経期、妊娠、精神病)を有する不眠症患者2,293例(15~98歳)が含まれた。鍼治療、電気鍼治療、指圧療法、磁気指圧療法を評価した。・鍼治療は無治療(2試験、280例)あるいはシャム/プラセボ(2試験、112例)と比較して、より多くの患者の睡眠の質を改善した。無治療との比較のORは13.08(95%CI:1.79~95.59)、シャム/プラセボとの比較のORは6.62(同:1.78~24.55)であった。・しかし、感受性解析で中途試験脱落者のアウトカムがより悪かったと仮定した場合、鍼治療の効果は断定できなかった。・その他の単一治療との比較では、鍼治療はその他の治療の補助的治療として、睡眠の質が改善した人の割合を、わずかだが増大する可能性が示された(13試験、883例、OR:3.08、95%CI:1.93~4.90)。・サブグループ解析では、鍼治療のみ有効性が示され、電気鍼治療の有効性は示されなかった。・すべての試験に高いバイアスリスク、不均一性(不眠症定義、患者特性、経穴、レジメン)が認められた。効果サイズは広範囲な信頼区間に対し概して小さく、出版バイアスの可能性があった。また、有害事象はほとんど報告されず、あっても軽度であった。関連医療ニュース ・長期の睡眠薬服用、依存形成しない?! ・日本人の睡眠満足度は低い「より積極的な問診が必要」 ・“ヨガ”で精神症状とQOLが改善

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Cochraneレビューには、対象試験の利益相反情報の記載が少ない

 Cochraneレビューの多くが、解析対象の試験の資金源や、著者と製薬企業の金銭的な関係の情報を記載していない実態が、カナダMcGill大学(モントリオール)のMichelle Roseman氏らの調査で明らかとなった。系統的レビューとメタ解析のガイドラインでは、解析対象試験の利益相反の記載は求められていないという。最近の研究では、強い影響力を持つ生物医学誌に掲載された薬剤の臨床試験に関する29編のメタ解析のうち、対象試験の資金源の記述があったのは2編のみで、著者と製薬企業の金銭的な関係の情報を提供するものは1編もなかった。一方、質の高いエビデンスに基づくレビューの基準を定めるCochraneレビューに、これらの情報がどの程度記載されているかは不明だった。BMJ誌2012年9月14日号(オンライン版2012年8月21日号)掲載の報告。利益相反の情報提供を横断的研究で調査研究グループは、2010年に発表された薬物療法に関するCochraneレビューが、解析の対象となった試験の利益相反の情報をどの程度報告しているかを調査し、報告がある場合はレビュー中のどこにその記載があるかについて検討するために横断的研究を行った。対象は、2010年に「系統的レビューに関するCochraneデータベース(Cochrane Database of Systematic Reviews)」で公表された薬物療法に関する系統的レビューで、2008年以降の最新の内容を扱い、複数の無作為化対照比較試験の結果を含むものとした。資金源情報の記載は3分の1に過ぎない対象となった151編のCochraneレビューのうち、解析対象の試験の資金源の情報を報告していたのは46編(30%、95%信頼区間[CI]:24~38)であった。このうち、全試験の資金源の情報を公開していたのは30編(20%、95%CI:14~27)で、16編(11%、95%CI:7~17)は一部の試験の資金源のみを記載していた。151編のうち、著者と製薬企業の金銭的な関係または雇用関係の情報を提供していたのは16編(11%、95%CI:7~17)のみだった。試験の資金源や、著者と製薬企業の関係の情報の記載場所は、バイアスのリスク評価(本文、図、表)のほか対象試験の背景因子の表など多岐にわたり、一貫性がなかった。抄録中に資金源の記載があったのは1編だけだった。著者は、「2010年に発表されたCochraneレビューの多くが試験の資金源や、著者と製薬企業の金銭的な関係の情報を提供していなかった」とまとめ、「利益相反の情報はレビュー中の特定の場所に記述することとし、バイアスのリスク評価に含めるのが望ましいと考えられる。抄録にも記載すべきだろう」と指摘している。

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MRI、膝関節の異常所見を高率に描出:フラミンガム変形性関節症研究/BMJ

 MRIは、X線検査では変形性膝関節症の所見がみられない中年~高齢者において、脛骨大腿骨関節の病変を高率に描出することが、米国・ボストン大学医学部のAli Guermazi氏らの検討で示された。変形性膝関節症は、治療対象となる頻度が世界的に最も高い関節症で、生涯リスクは加齢とともに増大し、高リスク因子として肥満が挙げられる。診断は臨床検査やX線検査に基づくが、膝の痛みを訴える患者の約半数がX線画像では異常を認めないという。MRIは従来のX線画像では可視化されない変形性膝関節症の所見を検出可能なことが示されている。BMJ誌2012年9月14日号(オンライン版2012年8月29日号)掲載の報告。MRI検査の有用性を観察試験で評価フラミンガム変形性関節症研究は、変形性膝関節症による構造的病変の評価におけるMRI検査の有用性を検討する地域住民ベースの観察試験。対象は、X線検査では変形性膝関節症の所見がみられず(Kellgren-Lawrence分類:グレード0)、膝のMRI検査を受けた50歳以上の住民とした。膝痛は3つの質問(「この1ヵ月以内に何らかの膝の痛み、うずき、こわばりがありましたか」「この1年以内に1ヵ月以上持続する膝の痛みがありましたか」「膝の痛みはほぼ毎日ですか」)およびWOMAC(Western Ontario McMaster University arthritis index)質問票で評価した。主要評価項目は、変形性膝関節症を示唆するMRI所見(骨棘、軟骨損傷、骨髄病変、軟骨下嚢胞、半月板障害、滑膜炎、磨耗、靱帯障害)の有病率とし、年齢、性別、体格指数(BMI)、膝痛の有無で層別化した。89%に何らかの異常所見が2002~2005年の間に710人について調査した。女性が393人(55%)、白人が660人(93%)で、1ヵ月以内に膝痛を認めたのは206人(29%)だった。平均年齢は62.3歳、平均BMIは27.9kg/m2。89%(631/710人)に何らかの異常所見が認められた。最も多い所見は骨棘(74%、524/710人)で、次いで軟骨損傷(69%、492/710人)、骨髄病変(52%、371/710人)の順であった。MRIで検出可能な異常所見の有病率は加齢とともに増加した。BMI別(<25.0、25~29.9、≧30kg/m2)の異常所見の頻度に有意な差は認めなかった。男性は女性に比べ半月板障害(p<0.001)と靱帯障害(p=0.005)の頻度が高かった。膝痛(標準的定義)の有無別の何らかの異常所見の頻度は、膝痛あり群が91%、膝痛なし群も88%といずれも高率で、両群間に有意な差はなかった。膝痛の標準的定義と厳格な定義の違いを問わない場合でも、異常所見の頻度は膝痛あり群が90~97%、膝痛なし群は86~88%に達していた。著者は、「MRIは、X線検査では変形性膝関節症の所見がみられない中年~高齢者において、膝痛の有無にかかわらず脛骨大腿骨関節の病変を高率に描出した」と結論し、「これらの異常所見はX線画像で可視化される以前の、早期の変形性膝関節症を示す可能性がある。X線検査では描出されないMRIの異常所見のうちどの程度の病変が、その後X線画像で変形性膝関節症として描出されるようになるかは、縦断的研究で検討する必要がある」と指摘する。

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自殺リスクの危険因子の検証、年齢別のうつ症状との関係は?

 統合失調症やうつ病は自殺の主要なリスクファクターである。とりわけ、中年や高齢者の統合失調症患者による自殺は、社会的な問題ともなっている。しかし、年齢とうつ症状から自殺リスクを予測できるかは、まだわかっていない。米国 Kasckow氏らは統合失調症および閾値下うつ病患者におけるうつ症状と自殺念慮との関係に、年齢がどう関わるかを検討した。Am J Geriatr Psychiatry誌オンライン版2012年9月18日号の報告。閾値下うつ病(Subthreshold Depression)とは、うつ病の診断基準を満たさないレベルの軽度抑うつ状態で、将来うつ病を発症する危険因子と考えられている。 対象は統合失調症または閾値下うつ病の39歳以上の外来患者213例。自殺念慮はInterSePTスケール、臨床全般印象-自殺重症度評価スケールにて評価した。うつ症状はカルガリーうつ病評価尺度で評価した。自殺念慮の予測には、抑うつ症状と年齢との関係について線形回帰を用い評価した。主な結果は以下のとおり。・抑うつ症状は自殺念慮の予測因子であった。・どの年代でも、年齢別抑うつ症状は自殺念慮の予測因子であった。・自殺念慮の予測には、すべての年代において、抑うつ症状を評価することが重要である。関連医療ニュース ・自殺予防に期待!知っておきたいメンタルヘルスプログラム ・境界性人格障害患者の自殺予防のポイントはリハビリ ・自殺念慮はBMIとも関連(日本人の若者)

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ランタスの最適用量を計算できる電卓の提供を開始

 サノフィ・アベンティス株式会社は26日、経口血糖降下薬で効果不十分な患者に基礎インスリン製剤「ランタス(一般名:インスリングラルギン)」を併用する際に使用する「ランタス用量設定サポート機能付電卓」を、本年9月に全国の医療従事者への提供を開始したことを発表した。 ランタス用量設定サポート機能付電卓は、日本人2型糖尿病患者5,223症例を対象とした大規模調査ALOHAスタディのサブ解析の結果に基づいて、ランタスの最適用量を計算するもの。体重、現在のHbA1c値、目標のHbA1c値、の3つの数値を入力すると、ランタス導入時の投与単位数、導入後に追加する投与単位数、そして24週後に必要となる投与単位数が表示される。また、本来の計算機としての機能に加え、BMI、Homa-IR、Homa-βの計算機能も有する。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.sanofi-aventis.co.jp/l/jp/ja/download.jsp?file=1E536FD3-BB6A-4062-B499-A6E714CCFDC8.pdf

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トファシチニブに関するデータ、米国リウマチ学会で発表へ

 米・ファイザー社は17日、中等度から重度の活動性関節リウマチ(RA)の成人患者に対して開発中の経口JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害剤であるトファシチニブについて、11月9日から14日までワシントンD.C.で開催される2012年米国リウマチ学会(ACR)、リウマチ専門医協会(ARHP)年次会議にて14の演題が発表される予定であることを発表した。日本法人であるファイザー株式会社が21日に報告した。 トファシチニブは現在、中等度から重度の活動性関節リウマチの治療薬として、米国、ヨーロッパ、日本を含む各国の関係当局によって審査中である。FDAは予想される処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づく期限日を2012年11月21日と指定した。承認された場合、トファシチニブは、JAK阻害剤と呼ばれる新しい作用機序をもった初めての経口疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)となる。 第III相ORAL Start試験およびORAL Scan試験に関して発表予定の結果および最長48カ月間の長期的な安全性および有効性データが3演題発表されるほか、関節破壊の進展防止、寛解率、患者報告によるアウトカム、用量を含むトファシチニブの追加の有効性および安全性データも11演題発表される。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2012/2012_09_21.html

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