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パーキンソン病治療剤 プラミペキソール(商品名:ミラぺックス)

ドパミン作動性パーキンソン病治療薬プラミペキソールの徐放性製剤(商品名:ミラペックスLA錠)が2011年4月、パーキンソン病を適応として承認された。今年7月に薬価収載・発売が予定されている。パーキンソン病治療の現状パーキンソン病は、アルツハイマー病に次いで有病率の高い神経変性疾患である。日本における患者数は13万9千人と推定されているが、今後、高齢化が進むとともにさらなる患者数の増加が見込まれている。現時点では、発症機序に関して不明な部分が多く、運動症状や非運動症状を改善し、生活の質(Quality of Life:QOL)や日常生活動作(Activities of Daily Living::ADL)をコントロールしながら、病状の進行を遅らせる治療が主となっている。薬物療法はその中核を担っており、数あるパーキンソン病治療薬のなかでも、ドパミンアゴニストはL-dopa同様、代表的薬剤の1つとして位置づけられている。1日1回投与のプラミペキソール製剤わが国では2003年にプラミペキソールの速放錠(商品名:ビ・シフロール錠)が承認されており、早期から進行期パーキンソン病の各種症状(ADL、運動能力)に対し高い有効性を持つことが知られている。今回承認されたミラペックスLA錠は同成分の徐放性製剤であり、1日1回の投与で24時間安定した血漿中濃度を示し1)、1日中持続する安定した効果が期待できる薬剤として注目を集めている。本製剤の有効性に関しては、国際共同試験*および国内の臨床試験1)により速放錠との非劣性が確認されており、安全性に関しても新規または予期しない有害事象は認められていない2)。また、速放錠から本製剤への切り替えに関しては、オーバーナイトスイッチで約85%の被験者で成功していることが海外における臨床試験で示されている3)。*パーキンソン病治療薬では初の国際共同試験服薬アドヒアランス向上も期待薬物療法による治療効果を十分に得るためには、服薬アドヒアランスの維持が重要なポイントとなる。しかし、現在のパーキンソン病治療では何種類もの薬剤を服用し、さらに、1日における服用回数が多いなど服薬方法が煩雑であり、アドヒアランスに影響を及ぼすといわれている。海外での試験によると、1日における服薬のタイミング(医師に服用するよう定められた時間)でのアドヒアランスは、1日3回服用の薬剤と比較すると1日1回服用のほうが有意に高いことが認められている4)。1日における服用回数が多いと、服用のタイミングにばらつきが生じ、医師が処方時に想定した薬効が必ずしも得られていないことが懸念される。だが、服用回数が少なければ、このようなリスクも軽減させることができ、より適切なコントロールが期待される。また、国内においてパーキンソン病患者を対象に行ったアンケート調査によると、70%以上もの患者が、服用している数種類の薬剤のうち1種類でも1日1回の服用になれば助かると回答している5)。この結果から、少ない服薬回数で治療効果を発揮する薬剤へのニーズが示唆される。以上より、服薬アドヒアランスの向上には服薬回数の少ない薬剤が好ましく、服薬方法をよりシンプルにしていくことが今後、さらに求められると考えられる。まとめ発症後、長期間に渡る薬物療法によって症状をコントロールし、QOLやADLの維持を図るために個々の患者に合った“テーラーメイドの”治療が求められるパーキンソン病治療において、本製剤は今後、重要な治療選択肢の一つとなると期待される。

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重症感染症児への輸液ボーラス投与、48時間死亡率を上昇

 ショック患者への急速早期の輸液蘇生術は、救急治療ガイドラインに示されており、小児科における生命維持訓練プログラムでも支持されている。しかし、処置法、用量、輸液の種類に留意したエビデンスはなく、集中ケア施設がまず利用できないアフリカのような、医療資源が限られた環境下でのショック患児や生命に関わるような重症感染症児への治療に対する輸液蘇生の役割は確立されていない。そこでケニア中央医学研究所(KEMRI)のKathryn Maitland氏らは、アフリカ東部3ヵ国で輸液蘇生の効果を調べる無作為化試験を行った。NEJM誌2011年6月30日号(オンライン版2011年5月26日号)掲載より。アルブミンボーラス、生食ボーラスと対照群の3群に無作為化し48時間後の転帰を比較 研究グループは、ウガンダ、ケニア、タンザニアで、重症熱性疾患と循環不全で入院した小児を、5%アルブミン溶液20~40mL/kg体重ボーラス投与(アルブミンボーラス群)もしくは0.9%生食液20~40mL/kg体重ボーラス投与(生食ボーラス群)する群か、ボーラス投与しない群(対照群)の3群に無作為に割り付け検討した(A層試験)。このA層試験では、重症低血圧の小児は除外されB層試験にて、いずれかのボーラス投与群に無作為に割り付けられ検討された。 >被験児は全員、ガイドラインに基づく、適切な抗菌薬治療や静脈内維持輸液ならびに生命維持のためのトリアージや救急療法を受けた。なお、栄養失調または胃腸炎の患児は除外された。 主要エンドポイントは、48時間時点の死亡率とし、副次エンドポイントには、肺水腫、頭蓋内圧亢進、4週時点の死亡または神経学的後遺症の発生率などが含まれた。 A層試験は3,600例の登録を計画していたが、3,141例(アルブミンボーラス群1,050例、生食ボーラス群1,047例、対照群1,044例)が登録された時点でデータ安全モニタリング委員会の勧告により補充が停止された。 マラリアの保有率(全体で57%)、臨床的重症度は全群で同程度だった。ボーラス後48時間死亡率が有意に上昇 A層における48時間死亡率は、アルブミンボーラス群10.6%(1,050例中111例)、生食ボーラス群10.5%(1,047例中110例)、対照群7.3%(1,044例中76例)だった。生食ボーラス群 vs. 対照群の相対リスクは1.44(95%信頼区間:1.09~1.90、P=0.01)、アルブミンボーラス群vs.生食ボーラス群の相対リスクは1.01(同:0.78~1.29、P=0.96)、両ボーラス群vs.対照群の相対リスクは1.45(同:1.13~1.86、P=0.003)だった。 4週時点の死亡率は、それぞれ12.2%、12.0%、8.7%だった(両ボーラス群vs.対照群の相対リスクは1.39、P=0.004)。神経学的後遺症発生率は、2.2%、1.9%、2.0%だった(同1.03、P=0.92)だった。肺水腫または頭蓋内圧亢進の発生率は、2.6%、2.2%、1.7%だった(同1.46、P=0.17)。 B層では、死亡率がアルブミンボーラス群69%(13例中9例)、生食ボーラス群56%(16例中9例)だった(アルブミンボーラスの相対リスク:1.23、95%信頼区間:0.70~2.16、P=0.45)。 これらの結果は、施設間、サブグループ間(ショック重症度や、マラリア、昏睡、敗血症、アシドーシス、重症貧血の状態に基づく)で一貫して認められた。 研究グループは「医療資源が限られたアフリカでの重症循環不全児に対する輸液ボーラスは、48時間死亡率を有意に高める」と報告をまとめている。

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BRAF V600E変異メラノーマに対するvemurafenib vs. ダカルバジン

 BRAF V600E変異を有するメラノーマで無治療の患者を対象とする、BRAFキナーゼ阻害薬vemurafenib(PLX4032)とダカルバジン(商品名:ダカルバジン注)を比較する第3相試験「BRIM-3」の結果、vemurafenibがダカルバジンと比べて全生存率および無増悪生存率を改善したことが報告された。米国・Sloan-Kettering記念がんセンターのPaul B. Chapman氏らによる。メラノーマ患者では、約40~60%にBRAF変異が認められ、その90%がBRAF V600Eという。vemurafenibは、BRAF V600E変異に顕著な抗腫瘍効果を有し、第2相試験で、治療歴のあるBRAF V600E変異進行性メラノーマ患者において奏効期間中央値6.7ヵ月、奏効率53%が示されていた。NEJM誌2011年6月30日号(オンライン版2011年6月5日号)掲載より。全生存率と無増悪生存率を主要エンドポイントに 本試験は、2010年1~12月の間に、12ヵ国104施設で2,107例がスクリーニングを受け、そのうち675例を、vemurafenib群(960mgを1日2回経口投与、337例)かダカルバジン群(1000mg/m2体表面積を3週ごとに静脈投与、338例)に無作為に割り付け行われた。 主要エンドポイントは、全生存率と無増悪生存率の2つとし、副次エンドポイントは、奏効率、奏効期間、安全性などとした。 最終解析は、死亡196例後に、中間解析は同98例後に行うよう計画された。 結果、中間解析時の死亡は118例であった。この時点でデータ安全モニタリング委員会は、2つのエンドポイントについて事前規定されたvemurafenib群の統計的有意性が満たされたと判定し、そのうえで、ダカルバジン群からvemurafenib群へのクロスオーバーを勧告した。 中間解析は、vemurafenib群が追跡期間中央値3.8ヵ月、ダカルバジン群2.3ヵ月に行われた。6ヵ月時点の全生存率、vemurafenib群84%、ダカルバジン群64% 6ヵ月時点の全生存率は、vemurafenib群84%(95%信頼区間:78~89)、ダカルバジン群64%(同:56~73)であった。 推定無増悪生存期間中央値は、vemurafenib群5.3ヵ月、ダカルバジン群1.6ヵ月であった。 全生存率の中間解析および無増悪生存率の最終解析から、vemurafenibがダカルバジンと比べて相対的に、死亡リスクを63%減少、死亡あるいは疾患進行リスクを74%減少したことが認められた(いずれの群間比較ともP<0.001)。 奏効率は、vemurafenib群48%、ダカルバジン群5%であった。 vemurafenib群でよくみられた有害事象は、関節痛、発疹、疲労、脱毛、角化棘細胞腫または扁平上皮がん、光線過敏、悪心、下痢であった。なお同群患者の38%が毒性のため、服用量の調節を要した。 Chapman氏は、「治療歴のないBRAF V600E変異メラノーマ患者において、vemurafenibが全生存率および無増悪生存率を改善したことが認められた」と結論。また報告の最後で、「本結果は、今後の併用療法開発の強力な基盤となるものだ」と展望している。

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ハイリスク中高年男性への肥満手術、死亡リスク減少せず

ハイリスク中高年男性に対して肥満手術を行っても、死亡リスクは減少しないことが明らかにされた。米国・ダラム退役軍人病院のMatthew L. Maciejewski氏らが、退役軍人向け病院のデータベースを用い、肥満手術を受けた850人とそのコントロール群について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年6月15日号で発表した。これまで、主に若い女性を対象とした、肥満手術と死亡リスクに関するコホート試験はあるが、より高齢の男性に関する研究はほとんど知られていない。手術群850人とコントール群4万人超について、約7年追跡研究グループは、退役軍人病院で2000年1月~2006年12月にかけて肥満手術を受けた男性850人と、非手術群4万1,244人について、後ろ向きコホート試験を行った。手術群の平均年齢は49.5(標準偏差:8.3)歳、BMIは平均47.4(同:7.8)だった。コントロール群の平均年齢は54.7(同:10.2)歳、BMIは平均42.0(同:5.0)だった。追跡期間の平均は6.7年。主要アウトカムは、2008年までの総死亡率だった。傾向スコアによるマッチング後、手術群で死亡率の低下みられずその結果、手術群の総死亡率は、1年が1.5%、2年が2.2%、6年が6.8%に対し、非手術群の死亡率はそれぞれ、2.2%、4.6%、15.2%だった。補正前Cox回帰分析の結果、肥満手術は死亡率の減少につながった(ハザード比:0.64、95%信頼区間:0.51~0.80)。共変量調整を行った後も、肥満手術による死亡率の減少が認められた(ハザード比:0.80、同:0.63~0.995)。ところが、傾向スコアによるマッチングを行い、手術群847人とコントロール群847人について比較したところ、肥満手術群のコントロール群に対する死亡に関する補正前ハザード比は0.83(同:0.61~1.14)、時間補正後のハザード比は0.94(同:0.64~1.39)と、いずれも有意差は認められなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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STEMI患者でDIDO時間が30分超は、30分以下に比べ院内死亡率が約1.6倍に

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)のために、別の病院に転送されたST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者で、最初の病院に着いてから他院に向けて出発するまでの時間(door-in to door-out:DIDO)が30分以下の人は、全体の1割強にとどまるが、そうした人のPCI実施までの所要時間は短く、院内死亡率は低率であることが明らかにされた。米国・デューク大学のTracy Y. Wang氏らが、1万5,000人弱について行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2011年6月22・29日号で発表した。米国病院の約75%は、緊急PCIに対応できないため、STEMI患者の多くが、最初に訪れた病院から他の病院へ転送されているのが現状という。DIDOは新たな臨床パフォーマンスの指標とされ、適切な再灌流治療のためには、DIDO時間30分以下が推奨されている。DIDO時間中央値は68分、30分以下は11%研究グループは、ACTION Registry-Get With the Guidelines登録患者で、2007年1月~2010年3月に、STEMIで病院を訪れ、プライマリPCIのために別の298ヵ所の病院に転送された、合わせて1万4,821人について後ろ向きコホート試験を行った。主要アウトカムは、DIDO時間とそれに関連する因子、来院から初回バルーン拡張までの時間(door-to-balloon:DTB)、補正後院内死亡率であった。その結果、DIDO時間の中央値は68分(四分位範囲:43~120)だった。また、DIDO時間が30分以下だったのは、1,627人(11%)にとどまった。DIDO時間が30分超だと、30分以下に比べ院内死亡率が1.56倍にDIDO時間が30分以下だった人のうち、DTB時間が90分以下だった人の割合は60%(95%信頼区間:57~62)と、DIDO時間が30分超だった人の同13%(同:12~13)に比べ、有意に低率だった(p<0.001)。また院内死亡率も、DIDO時間が30分以下の人は2.7%(同:1.9~3.5)であったのに対し、同30分超の人は5.9%(同:5.5~6.3)と、有意に高率だった(p<0.001、補正後オッズ比:1.56、95%信頼区間:1.15~2.12)。DIDO時間が30分超の関連因子は、高齢、女性、時間外の来院、最初の来院が救急車ではないなどであった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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C型慢性肝炎治療剤 テラプレビル

新規C型慢性肝炎治療剤であるテラプレビルが、2011年1月、承認申請された。優先審査品目に指定されたことから、早期の承認が見込まれる。社会的に大きな関心を集めるC型慢性肝炎治療肝臓がんは、がんの中でも予防可能ながんとして注目されている。わが国の肝臓がんは、72%がC型肝炎由来、17%がB型肝炎由来であることが報告されており、肝臓がん発症の高リスク例は、C型およびB型肝炎ウイルスの検査で事前に予測することができる。そのため、国としても対策に注力しており、肝炎ウイルス検診の実施、肝炎研究7ヵ年戦略、肝炎治療における助成金の交付など数多くの取り組みがなされている。また、報道機関などで取り上げられることも多く、国民の関心が高い疾患といえる。Genotype1・高ウイルス量におけるSVR率の向上が課題現在のC型慢性肝炎治療では、C型肝炎ウイルスのGenotypeとウイルス量をもとにした4つのカテゴリーに分け、それぞれで異なる治療戦略がとられている。近年の医療の発展により、多くの患者カテゴリーで治療成績が向上したが、Genotype1・高ウイルス量のカテゴリーに属する患者の治療成績は現在も良好とはいえず、大きな問題となっている。このカテゴリーに属する患者は、現在の治療の中心であるペグインターフェロン、リバビリンの併用療法(48週)であっても、SVR (Sustained Viral Response:ウイルス学的著効)率が約50%に留まり、約半分の患者でウイルス消失が達成できていない。さらに、多くの患者がこのカテゴリーに属しているため、Genotype1・高ウイルス量へのSVR率向上は大きな医療ニーズとなっている。テラプレビルの追加でSVR率の大幅な上昇が可能にC型慢性肝炎ウイルスの増殖抑制作用を有するNS3/4Aプロテアーゼ阻害剤であるテラプレビルは、こうした医療ニーズを満たす薬剤として、すでに医師ばかりでなく患者からも大きな期待を集めている。国内でもGenotype1・高ウイルス量患者を対象に第Ⅲ相試験が行われている。ペグインターフェロンα-2b、リバビリンの2剤併用療法48週(PR48)群と、最初の12週をテラプレビル、ペグインターフェロンα-2b、リバビリンの3剤併用療法を行い、その後12週をペグインターフェロンα-2b、リバビリンの2剤で後観察したテラプレビル追加群(TVR12/PR24)の2群に割り付け、SVR、HCV RNA陰性化率、および安全性を検討した。この試験におけるPR48群のSVRは初回治療例で49.2%であった。TVR12/PR24群においては、初回治療例73.0%、前治療再燃例88.1%、前治療無効例が34.4%であった。、初回治療無効例でのSVR率の差はもちろんだが、現在有効な治療手段を持たない前治療無効例の3分の1でSVRを獲得し、新たな治療手段を示した点も興味深い。HCV RNAの累積陰性化率をみると、PR48群が6週で15.9%、48週で79.4%と比較的緩やかに上昇しているのに対し、TVR12/PR24群は6週時点ですでに97.6%、24週では98.4%と、早期かつ高い陰性化を示している。一方、有害事象の発現率では、PR48群においてもすでにヘモグロビン量減少や皮膚症状の発現例がみられ、テラプレビルの併用により発現率が強まる可能性が示唆された。今後は、皮膚症状への適切な対応については皮膚科との連携がより重要視されよう。テラプレビルの併用は、副作用上昇の可能性があるため注意が必要であるが、治療期間の短縮化、SVR率の向上性などを鑑みても有用な治療法だといえよう。承認前から治療ガイドラインで推奨これらの試験結果を受け、厚生労働省研究班は、すでにテラプレビル承認後の治療ガイドライン(初回投与)を策定・発表している。テラプレビル承認後のガイドラインでは、Genotype1・高ウイルス量の患者さんに対しては、ペグイントロン、レベトール、テラプレビルの3剤併用24週投与が推奨される。肝炎の治療薬が、承認前からガイドラインで推奨されるのは、今やB型肝炎治療のスタンダードなったバラクルードと同じで、その期待の高さがうかがえる。実際、テラプレビルは、わが国で優先審査品目に指定され、通常の新薬よりも早い承認が予想される。すでにFDAでは、今年4月に諮問委員会が満場一致で承認を支持、5月には正式に承認された。このような背景がわが国でも追い風になる可能性は高い。

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座長:岩田健太郎先生「メディアに振り回されない、惑わされない医療者になる:CareNet+Style連携特別企画」

【CareNet+Style連携特別企画】6月12日(日)神戸にて、震災の復興支援活動として災害発生時のリスク・コミュニケーションを考える機会を得ることを目的に、チャリティー・シンポジウムが開催されました。 これは、災害時の記者会見、メディア報道、言葉、コミュニケーションはどうあるべきなのか。当代きっての論客が登場し、東日本大震災時のコミュニケーションのあり方を総括し、あるべき姿を模索したものです。なお、収益は全額寄付し被災地の支援に役立てられます。ケアネットでは、チャリティー・シンポジウムの趣旨に賛同し、映像の撮影、配信、告知をサポートします。※「DocFun」はリニューアルし「CareNet+Style」に生まれ変わりました。1.シンポジウムPR用映像本編はCareNet+Style「メディアに振り回されない、惑わされない医療者になる」をご覧ください視聴者の皆様から義援金を募集しております。振込み先情報は上記ページに記載されております。ご協力賜れますようお願い申し上げます。 2.出演者プロフェール(敬称略、五十音順)※1岩田健太郎 神戸大学都市安全研究センター、大学院医学研究科教授島根医科大学卒業後、沖縄県立中部病院、セントルークス・ルーズベルト病院、亀田総合病院などを経て現職。専門は感染症学。著書に『バイオテロと医師たち』『悪魔の味方 米国医療の現場から』『予防接種は「効く」のか?『「患者様」が医療を壊す』『感染症は実在しない』など。上杉隆 ジャーナリスト 都留文科大学卒業。テレビ局・衆議院公設秘書・「ニューヨークタイムズ」東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。政治・メディア・ゴルフなどをテーマに活躍中。自由報道協会(仮) 暫定代表。著書に『石原慎太郎「5人の参謀」』『田中真紀子の正体』 『小泉の勝利 メディアの敗北』 『ジャーナリズム崩壊』『記者クラブ崩壊 新聞・テレビとの200日戦争』『ウィキリークス以後の日本 自由報道協会(仮)とメディア革命』など多数。内田樹 武道家、思想家。神戸女学院大学名誉教授東京大学卒業。東京都立大学人文科学研究科博士課程中退。同大学助手を経て神戸女学院大学へ異動。2010年3月に同学教授職を退職。神戸女学院合気道会主宰(合気道6段)。著書に『他者と死者 ――ラカンによるレヴィナス』『現代思想のパフォーマンス』『先生はえらい』『私家版・ユダヤ文化論』(第6回小林秀雄賞)『下流志向』『日本辺境論』(2010年新書大賞)『街場のメディア論』ほか多数。2011年 伊丹十三賞受賞。蔵本一也 神戸大学大学院経営学研究科准教授関西学院大学卒業後、ミズノ株式会社などを経て現職。33年間のサラリーマン経験を活かし、企業活動における社会的責任のあり方に関心を寄せる。コンプライアンス、消費者対応、消費者問題にも詳しい。消費者問題に関する論文多数。2009年 内閣府消費者担当大臣賞受賞。鷲田清一 哲学者 大阪大学総長京都大学大学院文学研究科博士課程修了。関西大学教授、大阪大学大学院文学研究科教授、同理事・副学長を経て、2007年8月大阪大学総長に就任。著書に『モードの迷宮』(サントリー学芸賞受賞)、『じぶん-この不思議な存在』『「聴く」ことの力』 (桑原武夫学芸賞受賞)、『「待つ」ということ』、『てつがくを着て、まちを歩こう―ファッション考現学』、『死なないでいる理由』、『新編 普通をだれも教えてくれない』、『臨床とことば』(河合隼雄氏との共著)、『わかりやすいはわかりにくい?-臨床哲学講座』 など多数。2004年紫綬褒章。※1岩田健太郎氏ブログ『楽園はこちら側から http://georgebest1969.typepad.jp/blog/ 』「災害時のリスクとコミュニケーションを考えるチャリティー・シンポジウム開催について(ご案内)」より転載。写真はシンポジウム時のもの。本編はCareNet+Style「メディアに振り回されない、惑わされない医療者になる」をご覧ください質問と回答を公開中!

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岩田健太郎先生の回答

PTSD日本人はPTSDの頻度は低いと聞きますがその理由は何が考えられますか?そういう話は初耳でした。僕は専門家ではないのであまりうまいコメントはできませんが、PTSDってシチュエーションによって発症頻度にものすごい差があるのですね(1-80%以上まで)。日本ではPTSDという概念の認知そのものが遅いみたいですし、その頻度が本当に低いかは僕にはよく分かりません。阪神淡路大震災後16ヶ月のフォローでは被害の程度にもよりますがだいたい3%くらいの有病率だったそうです(窪田 予防時報2005)。新しいメディアの形内田先生のお話の中で、巨大メディアが崩壊したときに情報難民が生まれる、この層に向けた対処が必要とのお話があったかと思います。岩田先生が考える情報難民を救う新しいメディアの形とは?もしアイデアがありましたらご教示願います。多分、ある特定の新しいメディアというより、いろいろなメディアのミックスをあちこちつまみ食いする、、、というのが新しい形だと思います。新聞とテレビだけ、という定型から脱却するところからスタートではないかと。健康被害が懸念されたタイミングについて医師の目からみて、今回どのあたりの段階から放射性物質による健康被害が懸念されたのでしょうか?医師の中には震災直後から疎開された方がいると聞きました。医師のネットワークの中で何か特別な情報等が流れていたのでしょうか?「懸念」は震災直後からありました。その懸念がどれくらいのものかを見積もるのは、とても困難だと思いましたが(今でも困難を感じています)。医師のネットワークだけで「特別な」情報が流れていたとは思いません。ただ、ネット上にも公開されているチェルノブイリ関係の論文とかの多くは英語ですし、そういう論文へのアクセスや読み方には医師は慣れている傾向があります。メディア今回の論客は皆さん素晴らしい方だと思います。皆さんとは、普段からメディアのあり方について議論するようなお知り合いだったのでしょうか?上杉さん、藏本さん、鷲田さんとは初対面。内田さんとはよくメディアの話をする機会がありました。「街場のメディア論」も愛読しましたし。内田さんと鷲田さんはお知り合いですが、それ以外はみな初対面だったと思います。メディア崩壊について利益相反のお話、大変興味深く拝聴しました。巨大メディアがスポンサーに逆らえない。とはいえ、昔から収益の構造は同じはず。ここまで廃れた原因はなんでしょうか?昔から同じだと思います。露呈しただけで。潔癖症の方へのケア被災された方の中には潔癖症の方もいらっしゃったかと思います。避難所ではどのような行動を取っていたのでしょうか?また、そんな方へのケア方法などございましたら教えてください。避難所で潔癖症の方がどうされていたかは寡聞にして存じません。清潔の維持やプライバシーについては皆さん、大分お悩みだったと思います。避難所での簡易住宅を提供している建築家もいたとききました(段ボールだけだとさすがに、と僕も思います)。アルコールの手指消毒薬はわりとふんだんに提供されていたようですが、お風呂とかはたいへんでしょうね。仮設住宅入居者へのケア避難所と仮設住宅では、ケアの方法も変わってくるかと思います。仮設住宅にいる方々のQOLを考えた場合、必要なケアは何ですか?また、仮設住宅地で懸念される感染症についてもご教示いただければ幸いです。僕の意見では、やはりコミュニケーションだと思います。阪神淡路大震災でも仮設住宅で孤独になってしまった人は多かったとききます。仮設住宅に特化して増える感染症は特にないと思います。高齢者とのコミュニケーション仮設住宅地をボランティアで回っている医学生です。高齢者とうまくコミュニケーションがとれる秘訣があればご教示下さい。一般のコミュニケーションと同じです。相手の話を聞くこと。岩田先生の情報ソースを教えて下さい。岩田先生は、基本テレビは見ない(サッカーしか見ない)、ニュースも最低限だけとおっしゃっていましたが、そんな中で、岩田先生の一番重要な情報ソースは何でしょうか?一番、というのを作らないようにしています。いろいろな情報ソースからトライアンギュレーションをかけています。上杉さんもそんなことおっしゃってましたよね。総括みなさんするどい質問ばかりですね。緊張しました。座長:岩田健太郎先生「メディアに振り回されない、惑わされない医療者になる:CareNet+Style連携特別企画」

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暴力事件防止のため匿名情報を医療機関、警察、自治体で共有・活用することは有効

世界保健機構(WHO)では、個人間の暴力による死者は世界中で60万人、重傷者は1,720万人に上り、15~29歳の死因の第5位、30~44歳では第6位という実情を踏まえ、「個人間の暴力は世界的な保健問題」と位置付けている。個人間の暴力事件には地域レベルでの防止戦略が有効な可能性はあるが、そうした取り組みについてこれまで科学的に検証はされていなかった。そこで、米国疾病管理予防センター暴力事件部門のCurtis Florence氏らは、イギリス・ウェールズの首都カーディフで2001年に導入された地域暴力事件防止プログラムの評価を行った。BMJ誌2011年6月25日号(オンライン版2011年6月16日号)掲載より。プログラムを開発・導入したカーディフと、その他14都市との変化を比較各種調査により世界的に、医師が治療にあたった相当数の暴力事件が警察に知られていないことが明らかになっているなかで、また警察情報は被害者の申告に頼っているのが実態のなかで、カーディフの防止プログラムは、警察情報に医療機関のERからの情報を加味することで防止効果を高めることを狙いとした点が斬新なものであったという。開発には3年がかけられていた。なおイギリスでは1998年に、警察、自治体、NHS機関が協力して地域暴力防止戦略を開発し取り組むことが法的義務として課せられているという。Florence氏らは、カーディフで策定された地域協力体制に基づくプログラムの有効性を、実験的研究・時系列解析にて評価した。比較対象として、イギリスおよびウェールズから内務省データに基づきカーディフと最もよく似た14都市を選び、暴力事件に関連する入院記録と、暴力事件および軽度な暴力事件の警察記録データを主要評価項目として検証した。カーディフでは、33ヵ月を開発期間として、市内ER受診患者または重傷例の報告から、暴力事件防止に重要とみなされ匿名化された情報(事件発生場所、時間、月日、武器の詳細)を集積し、その後51ヵ月間にわたり警察と自治体で共有し、事件防止のリソースとして活用された。カーディフ vs. その他都市発生率比、入院0.58、傷害事件0.68、軽度暴力事件1.38結果、情報共有と活用は、暴力事件による入院件数を相当数、有意に減少したことが認められた。カーディフでは、人口10万あたり月7件から5件へと減少していた。一方でその他の都市では、5件から8件に増えていた(補正後発生率比:0.58、95%信頼区間:0.49~0.69)。警察の暴力事件記録は、カーディフでは人口10万あたり月54件から82件への変化であったが、その他の都市では54件から114件に増えていた(同:0.68、0.61~0.75)。軽度な暴力事件は、カーディフの警察では記録例が15件から20件に増えていたが、その他の都市では42件から33件に減っていた(同:1.38、1.13~1.70)。Florence氏は、「カーディフでの医療機関、警察、自治体間の情報共有の取り組みは、その他の取り組みを行っていない都市と比べて、暴力事件負傷者の有意な減少に結びつき、軽度な暴力事件の検挙数を増やした」とまとめている。

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プライマリ・ケア患者におけるハイリスク薬処方の割合およびパターン

イギリス・ダンディー大学のBruce Guthrie氏らは、スコットランドの一般診療所(GP)を対象に、ハイリスク薬処方の処方割合とそのパターンを調べること、また、プライマリ・ケア患者が特に薬物有害事象の影響を受けやすい不適切処方を受ける可能性について明らかにするため、横断的集団データベース分析を行った。BMJ誌2011年6月25日号(オンライン版2011年6月21日号)掲載より。ハイリスク薬処方を15指標で検証対象となったのは、176万人の登録患者を受け持つ315のスコットランドの一般診療所のうち、年齢、共存症、同時処方(co-prescription)を理由として、特に薬物有害事象の影響を受けやすいと定義された13万9,404人(7.9%)の患者であった。主要評価項目は、15の処方指標(NSAID薬に関する4つの指標、ワルファリンとの同時処方についての4つの指標、心不全での4つの指標、メトトレキサートの服用量指示に関する2つの指標、認知症への抗精神病薬処方に関する1つの指標)がどれだけ信頼できるかであった。また15指標の組み合わせは、ハイリスク薬処方の割合という点で診療所を識別することができた。また、マルチレベル・モデルでの、患者および診療所のハイリスク薬処方との関連を特徴付けることができた。診療所間の大きな差は改善の余地あり結果、過去1年の間に、13万9,404人の患者のうちの1万9,308人(13.9%、95%信頼区間:13.7%~14.0%)が、1つ以上のハイリスク薬処方を受けていた。各指標は、ハイリスク薬処方率の尺度として合理的かつ信頼度が高いものであった(診療に対する信頼度>0.7が95.6%、>0.8が88.2%)。ハイリスク薬処方と最も関連が強い患者特性は、処方薬の数であった(長期処方薬>11対 0のオッズ比:7.90、95%信頼区間7.19~8.68)。患者特性による補正後、ハイリスク薬処方の割合は診療所間で4倍も変化したが、それについて診療所の特性からは説明できなかった。Guthrie氏らは、「特に薬物有害事象の影響を受けやすいと定義された患者の約14%が、1つ以上のハイリスク薬が処方されていた。ハイリスク薬処方に使われた複合指標は、診療所でのハイリスク薬処方割合が平均以上か以下かを合理的な信頼度で識別することが可能であった」と結論。「補正後、ハイリスク薬処方と強く関連していたのは、長期処方薬の剤数が増えることのみであったが、無視できない未解明なバリエーションが診療所間で存在した。ハイリスク薬処方は概ね妥当だが、診療所間の大きなバリエーションは改善の余地があることを示唆している」と述べている。

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リウマチ膠原病セミナー

⑩関節炎所見から膠原病を見分ける⑪不明熱とスティル病⑫多発性筋炎、皮膚筋炎 リウマチ膠原病セミナー日常診療で最低限の初期診断、フォローアップができるように、リウマチ・アレルギー専門医があまり難しいことは抜きにして、臨床に役立つ情報を提供します。病歴・身体診察は、「8割は診断がつく!」と言われほど重要です。まずは関節炎の症状から日常診療で膠原病を見分けるポイントを伝授します。病態が不明な点が多いスティル病には発熱に特徴があり、その発熱のパターンを覚えておくと診断に役立つでしょう。そして、多発性筋炎、皮膚筋炎の関連疾患情報のアップデートや症状・原因・治療に関する基礎知識について解説します。※本DVDに収録したセミナーは、2010年1月に聖路加看護大学にて収録されたものです。⑩関節炎所見から膠原病を見分ける講師 : 岸本 暢将 氏(聖路加国際病院 アレルギー膠原病科〔成人,小児〕)副医長⑪不明熱とスティル病講師 : 松井 和生 氏(亀田総合病院 リウマチ・膠原病内科)⑫多発性筋炎、皮膚筋炎講師 : 高田 和生 氏(東京医科歯科大学 膠原病・リウマチ内科)

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慢性腎臓病に対するLDL-C低下療法、動脈硬化イベントを低減

シンバスタチン(商品名:リポバスなど)と小腸コレステロールトランスポーター阻害薬エゼチミブ(同:ゼチーア)の併用療法は、慢性腎臓病を有する広範な患者において、高い安全性を保持しつつ主なアテローム性動脈硬化イベントを有意に抑制することが、Colin Baigent氏らが行ったSHARP試験で示され、Lancet誌2011年6月25日号(オンライン版2011年6月9日号)で報告された。慢性腎臓病は心血管疾患のリスクを増大させるが、その予防についてはほとんど検討されていない。スタチンを用いたLDLコレステロール(LDL-C)低下療法は、非腎臓病患者では心筋梗塞、虚血性脳卒中、冠動脈血行再建術施行のリスクを低減させるが、中等度~重度の腎臓病がみられる患者に対する効果は明らかではないという。腎臓病患者におけるアテローム性動脈硬化イベント抑制効果を評価する無作為化プラセボ対照試験SHARP(Study of Heart and Renal Protection)試験は、中等度~重度腎臓病を有する患者に対するシンバスタチン+エゼチミブの有効性と安全性を評価する二重盲検無作為化プラセボ対照試験。対象は、40歳以上の心筋梗塞や冠動脈血行再建術の既往歴のない慢性腎臓病患者で、シンバスタチン20mg/日+エゼチミブ10mg/日を投与する群あるいはプラセボ群に無作為化に割り付けられた。事前に規定された主要評価項目は、主なアテローム性動脈硬化イベント(非致死的心筋梗塞/冠動脈心疾患死、非出血性脳卒中、動脈の血行再建術施行)の初発とし、intention to treat解析を行った。平均LDL-Cが0.85mmol/L低下、動脈硬化イベントは17%低下2003年8月~2006年8月までに9,270例(透析患者3,023例を含む)が登録され、シンバスタチン+エゼチミブ群に4,650例が、プラセボ群には4,620例が割り付けられた。フォローアップ期間中央値4.9年の時点で、平均LDL-C値はシンバスタチン+エゼチミブ群がプラセボ群よりも0.85mmol/L低下[SE:0.02、服薬コンプライアンス(遵守率≧80%)達成者:約3分の2]し、主なアテローム性動脈硬化イベントの発生率は17%低下した[11.3%(526/4,650例) vs. 13.4%(619/4,620例)、発生率比(RR):0.83、95%信頼区間(CI):0.74~0.94、log-rank検定:p=0.0021]。非致死的心筋梗塞/冠動脈心疾患死の発生率には差はみられなかった[4.6%(213/4,650例) vs. 5.0%(230/4,620例)、RR:0.92、95%CI:0.76~1.11、p=0.37]が、非出血性脳卒中[2.8%(131/4,650例) vs. 3.8%(174/4,620例)、RR:0.75、95%CI:0.60~0.94、p=0.01]および動脈の血行再建術施行率[6.1%(284/4,650例) vs. 7.6%(352/4,620例)、RR:0.79、95%CI:0.68~0.93、p=0.0036]は、シンバスタチン+エゼチニブ群で有意に低下した。LDL-C値低下のサブグループ解析では、主なアテローム性動脈硬化イベントの発生について有意なエビデンスは得られず、透析施行例および非施行例でも同等であった。ミオパチーの発生率は、シンバスタチン+エゼチニブ群0.2%(9/4,650例)、プラセボ群0.1%(5/4,620例)と、きわめて低頻度であった。肝炎[0.5%(21/4,650例) vs. 0.4%(18/4,620例)]、胆石[2.3%(106/4,650例) vs. 2.3%(106/4,620例)]、がん[9.4%(438/4,650例) vs. 9.5%(439/4,620例)、p=0.89]、非血管性の原因による死亡[14.4%(668/4,650例) vs. 13.2%(612/4,620例)、p=0.13]の発生率についても両群間に差はなかった。著者は、「シンバスタチン20mg/日+エゼチミブ10mg/日は、進行性の慢性腎臓病を有する広範な患者において、高い安全性を保持しつつ主なアテローム性動脈硬化イベントの発生率を有意に抑制した」と結論し、「腎臓病のない集団と同様に、LDL-C値低下の絶対値に基づくイベント低下率は年齢、性別、糖尿病、血管疾患の既往、脂質プロフィールにかかわらず同等であったことから、SHARP試験の結果は慢性腎臓病のほとんどの患者に適応可能と考えられる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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保護施設のホームレスの精神疾患、死亡の実態:デンマークの調査

保護施設に居住するホームレスの多くが健康問題を抱えており、精神疾患や薬物乱用障害の罹患率が高く、死亡については特に外的要因による場合が多いことが、デンマーク・コペンハーゲン大学のSandra Feodor Nielsen氏らの検討で示された。先進国では、一般人口に比べホームレスの死亡率が上昇していることが数多くの研究で報告されており、その原因として精神疾患との関連が指摘されている。しかし、ホームレスは宿泊施設が十分でないためサンプリングやモニタリングが難しいという限界があるという。Lancet誌2011年6月25日号(オンライン版2011年6月14日号)掲載の報告。保護施設のホームレスの精神疾患、死亡を評価する前向きコホート試験研究グループは、デンマークの保護施設に居住するホームレスの精神疾患、死亡、死亡の予測因子を評価するプロスペクティブな全国登録ベースのコホート試験を行った。対象は、1999年1月1日~2009年12月31日までにデンマーク・ホームレス・レジストリーに登録された16歳以上のホームレスであった。精神疾患罹患率、全体および原因別の標準化死亡比(SMR、予測死亡率に対する被験者集団における実際の死亡率の比)、さらに平均余命を算出し、死亡の予測因子の評価を行った。精神疾患罹患率:男性62.4%、女性58.2%、外的要因による死亡率27.9%3万2,711人(男性2万3,040人、女性9,671人)のホームレスが解析の対象となった。男性の62.4%(1万4,381人)、女性の58.2%(5,632人)が精神疾患に罹患しており、それぞれ49.0%(1万1,286人)、36.9%(3,564人)が薬物乱用と診断された。試験期間中に、男性の16.7%(3,839人)、女性の9.8%(951人)が死亡した。全体のSMRは男性が5.6(95%信頼区間:5.4~5.8)、女性は6.7(同:6.2~7.1)で、原因が特定された死亡4,161件のうち1,161件(27.9%)が外的要因によるものであった。15~24歳の平均余命は、一般人口に比べホームレスの男性が21.6歳(同:21.2~22.1)、女性は17.4歳(同:16.4~18.5)短かった。多変量解析では、精神疾患のない者に比べて、薬物乱用障害者の死亡リスクは男性が1.4倍(95%信頼区間:1.3~1.5)、女性は1.7倍(同:1.4~2.1)であり、最も高かった。著者は、「保護施設に居住するホームレスの多くが健康問題を抱えている。高い罹患率と、特に外的要因に起因する高い死亡率を抑制するには、より多くの継続的な努力が急務とされる」とまとめ、「登録されたデータは、ホームレスの人々に関する既存の情報を補足する重要な医療資源である」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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抗凝固剤 エドキサバン(商品名:リクシアナ)

 新規抗凝固薬であるエドキサバン(商品名:リクシアナ)が、2011年4月、「膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨折手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制」を適応として承認された。今年7月にも薬価収載・発売が予定されている。静脈血栓塞栓症とは 今回、エドキサバンで承認された膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨折手術施行患者は、いずれも静脈血栓塞栓症を発症しやすいとされている。静脈血栓塞栓症とは、深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症の総称で、血流停滞、血管内皮障害、血液凝固能亢進を3大要因とし、上記患者においてその予防は重要となっている。 また、対象となる患者数は、膝関節および股関節の全置換術施行患者があわせて10万人、股関節骨折手術患者は10万人存在するとみられている。現在の静脈血栓塞栓症予防法と課題 下肢整形手術後における静脈血栓塞栓症予防法は、理学療法と薬物療法の2種類に大別される。理学療法における予防法としては、弾性ストッキングの着用や間欠的空気圧迫法などで、わが国ではすでに多くの症例で実施されている。薬物療法においては、未分画ヘパリン、ワルファリン、Xa阻害薬などが使用されているが、頻繁な血中モニタリング、ビタミンKの摂取制限、注射薬投与の煩雑さなどのアンメットニーズが存在している。エドキサバンはわが国初の経口Xa阻害薬 こうした状況を背景に、わが国初の経口Xa阻害薬となるエドキサバンが承認された。これまでにもXa阻害薬は存在していたが、いずれも注射薬であり、また従来のXa阻害薬がアンチトロンビンへの作用を介した間接的Xa阻害薬であるのに対し、エドキサバンはXaを直接阻害し、さらに可逆的に作用する。エドキサバンの第Ⅲ相試験結果 エドキサバンにはすでに多くのエビデンスが存在している。エドキサバンでは、人工膝関節全置換術、人工股関節全置換術施行患者を対象に、静脈血栓塞栓症および大出血または臨床的に重要な出血の発現率を検討した第Ⅲ相二重盲検試験が行われている。 人工膝関節全置換術施行患者を対象とした試験において、静脈血栓塞栓症の発現率は、エドキサバン群(30mg、1日1回、11~14日経口投与)で7.4%(95%信頼区間:4.9-10.9)、エノキサパリン群(2,000IU、1日2回、11~14日皮下注射)で13.9%(同:10.4-18.3)となり、有意に静脈血栓(塞栓)症の発現を抑制した。また、大出血または臨床的に重要な出血の発現率は、エドキサバン群で6.2%(同:4.1-9.2)、エノキサパリン群で3.7%(同:2.2-6.3)となり、群間の有意な差は認められなかった。 また、人工股関節全置換術施行患者を対象とした試験においては、静脈血栓塞栓症の発現率は、エドキサバン群(30mg、1日1回、11~14日経口投与)で、2.4%(同:1.1-5.0)、エノキサパリン群(2,000IU、1日2回、11~14日皮下注射)で6.9%(同:4.3-10.7)となり、有意に静脈血栓(塞栓)症の発現を抑制した。大出血または臨床的に重要な出血の発現率は、エドキサバン群で2.6%(同:1.3-5.1)、エノキサパリン群で3.7%(同:2.1-6.4)となり、群間の有意な差は認められなかった。 さらに、股関節骨折手術施行患者を対象に、エドキサバンまたはエノキサパリンを投与したオープンラベルでの臨床試験も行われており、この試験において、静脈血栓塞栓症の発現率は、エドキサバン群(30mg、1日1回、11~14日経口投与)で6.5%(同:2.2-17.5)、エノキサパリン群(2,000IU、1日2回、11~14日皮下注射)で3.7%(同:0.7-18.3)となった。なお、この股関節骨折手術施行患者を対象とした試験におけるエノキサパリン群は、参考として設定された群であり、統計学的な比較対象群とはならない。 こうしたエドキサバンの特徴やエビデンスを鑑みると、エドキサバンの登場により、医療従事者および患者の精神的・肉体的負担、静脈血栓塞栓症の発現率、頻回な血中モニタリング、食事制限といった、これまでのアンメットニーズの解決が期待される。リスクとベネフィットのバランスを鑑みた適切な使用を 近年、高い効果と使いやすさを兼ね備えた新しい抗凝固薬が開発され、抗凝固療法は大きな転換期を迎えつつある。しかし、どの抗凝固薬であっても少なからず出血リスクはつきまとい、また、ひとたび大出血を起こすと、場合によっては生命にかかわることもある。 その中で、わが国初の経口Xa阻害薬であるエドキサバンは、患者のリスクとベネフィットのバランスを鑑み、適切に使用すれば、多くの患者の役に立つ特徴を持った薬剤だといえる。■「リクシアナ」関連記事リクシアナ効能追加、静脈血栓症、心房細動に広がる治療選択肢

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アロマターゼ阻害薬エキセメスタン、閉経後女性の浸潤性乳がん発症を有意に減少

 閉経後女性の乳がん予防に関して、アロマターゼ阻害薬のエキセメスタン(商品名:アロマシン)が、浸潤性乳がん発症を有意に減少することが示された。米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのPaul E. Goss氏ら「NCIC CTG MAP.3」試験グループが行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果による。これまで乳がん一次予防の化学療法としては、選択的エストロゲン受容体調節薬であるタモキシフェン(抗がん薬、商品名:ノルバデックスなど)やラロキシフェン(骨粗鬆症薬、同:エビスタ)が注目されてきたが、毒性効果がもたらすリスクに対する懸念からこれらの使用は広がっていないという。一方、エキセメスタンは、閉経後女性のエストロゲン抑制に優れ、実験モデルにおいて乳がん発症を減少することが認められ、また早期乳がん対象の試験において、対側原発性乳がんを、タモキシフェンよりも減少し副作用も少ないことが報告されていた。NEJM誌2011年6月23日号(オンライン版2011年6月4日号)掲載より。4ヵ国から4,560例を登録し、無作為化プラセボ対照二重盲検試験 NCIC CTG MAP.3試験は、カナダ、米国、スペイン、フランスで被験者を募り、35歳以上で適格条件[60歳以上、Gail 5年リスクスコア>1.66%(5年以内の浸潤性乳がん発症が100である可能性)、異型乳管過形成、異型小葉過形成、非浸潤性小葉がん、乳房切除を伴う非浸潤性乳管がん]を1つ以上有する閉経後女性を対象とし行われた。 本試験は、浸潤性乳がんの65%の相対的減少を検知するようデザインされた。主要アウトカムは浸潤性乳がん発生率で、毒性効果、健康関連QOL、閉経期特異的QOLについても測定が行われた。2004年11月~2010年3月の間に、4,560例が登録。被験者の年齢中央値は62.5歳、Gailリスクスコアは2.3%で、無作為にエキセメスタン群(2,285例)とプラセボ群(2,275例)に割り付けられ追跡された。追跡期間中央値35ヵ月時点で、エキセメスタン群の65%の相対的減少を検知 結果、浸潤性乳がんの65%の相対的減少は、追跡期間中央値35ヵ月時点で検知された。同時点の浸潤性乳がん発生は、エキセメスタン群11例(0.19%)、プラセボ群32例(0.55%)で、ハザード比0.35(95%信頼区間:0.18~0.70、P=0.002)だった。 副次エンドポイントの侵襲性+非侵襲性(非浸潤性乳管がん)乳がんの年間発生率は、エキセメスタン群0.35%、プラセボ群0.77%(ハザード比:0.47、95%信頼区間:0.27~0.79、P=0.004)であった。 有害事象は、エキセメスタン群88%、プラセボ群85%で発生した(P=0.003)。毒性効果の評価指標である骨折、心血管イベント、その他のがん、治療関連の死亡に関して両群間で有意差は認められなかった。 QOLの差はわずかだった。健康関連QOLはSF-36質問票にて悪化、不変、改善の区分でスコア化されたが、両群間で有意な差は認められなかった。閉経期特異的QOLについてはエキセメスタン群の悪化(全体的に7%多く)が認められた。Goss氏は、「乳がんリスクが中程度に上昇した閉経後女性に対して、エキセメスタンは侵襲性乳がんを有意に減少した。また追跡期間中央値3年の間、エキセメスタンは重篤な毒性効果との関連は認められず、健康関連QOLについての変化はわずかだった」と結論している。

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長期的ダイエットを成功または失敗させる食事、生活習慣とは?

体重安定には摂取カロリーと消費カロリーのバランスを要することから、長期的な体重増加を予防するには、「食事量を減らし、運動量を増やす」というアドバイスが単純明快な戦略にみえる。これに対して、米国・ブリガム&ウィメンズ病院循環器部門のDariush Mozaffarian氏らは、「特定の食事や生活習慣が成功の可否に影響する可能性がある」として、食事や生活習慣の詳細と体重増加との関係を調査した。NEJM誌2011年6月23日号掲載より。異なる3つのコホートで前向き研究研究グループは、12万877例の米国人男女(ベースラインで慢性疾患も肥満もない)が参加した3つの独立したコホート集団を対象に前向き研究を実施した。追跡調査期間はそれぞれ、1986~2006年、1991~2003年、1986~2006年だった。生活習慣の各因子と体重変化との関係は、年齢、各調査期間のベースラインBMI、すべての生活習慣を同時に多変量補正して、4年間隔で評価を行った。コホート特異的、性特異的な結果は類似しており、分散逆数重み付けメタ解析を用いて統合した。「カウチポテト」はやはり体重増加をもたらす?4年の間に、参加者の体重は平均3.35 lb*(5~95パーセンタイル:-4.1~12.4)増加した。食品ごとの1日の摂取量増加と4年間の体重変化をみてみると、ポテトチップス(1.69 lb)、ジャガイモ(1.28 lb)、加糖飲料(1.00 lb)、未加工の赤肉(0.95 lb)、加工肉(0.93 lb)については正の相関が最も強く認められ、野菜(-0.22 lb)、全粒穀物(-0.37 lb)、果物(-0.49 lb)、ナッツ(-0.57 lb)、ヨーグルト(-0.82 lb)では逆相関が認められた(それぞれの比較のP<0.005)。食事変化の集積は、体重変化の差と大きく関係していた(食事変化の五分位範囲にわたる体重変化は3.93 lb)。その他、身体活動(五分位範囲で-1.76 lb)、アルコール摂取(1日1杯につき0.41 lb)、喫煙(新規禁煙者5.17 lb、過去の喫煙者0.14 lb)、睡眠(6時間未満と8時間超で体重増加)、テレビ視聴(1日1時間につき0.31lb)などの生活習慣の各因子にも、体重変化と独立した関連が認められた(P

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抗悪性腫瘍剤 クリゾチニブ

世界初の未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤であるクリゾチニブが、ALK融合遺伝子陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)の治療薬として、米国FDAに新薬承認申請し、2011年5月受理され、優先審査対象に指定された。また、わが国でも厚生労働省への申請が行われ、外資系製薬企業では初の日米新薬承認同時申請となった。NSCLCの現状と課題NSCLC患者の約75%は診断時に進行や転移が認められ、その時点からの5年生存率は、わずか6%とされている1)。進行NSCLCに対する現在の標準治療の奏効率は15~35%程度である2)。手術不能の進行NSCLCは完治が困難であり、予後が悪いのが現状である。この状況はここ10年において、さほど大きく変わっていない。ALK融合遺伝子陽性の進行NSCLCに新たな可能性ALK遺伝子は、NSCLCの腫瘍発現における重要な遺伝子であると考えられている3)。2007年、自治医科大学教授の間野博行氏によって、肺がんにおけるALK融合遺伝子の存在が初めて報告されたが、NSCLC患者の約3~5%がALK融合遺伝子陽性であるとされている。こうした状況を背景に、ファイザー社はALK融合遺伝子陽性患者にフォーカスした世界初のALK阻害剤となる経口製剤クリゾチニブを開発した4)。ターゲット遺伝子を先に特定し、そのターゲット遺伝子を持つ患者を対象に薬剤開発を行ったのは、肺がん領域ではクリゾチニブが最初の薬剤となる。また、クリゾチニブは経口製剤であるため、患者にとって使いやすい薬剤といえる。高い奏効率、高い忍容性2011年にASCOで発表されたデータによると、ALK融合遺伝子陽性の進行NSCLC患者116例にクリゾチニブを連続経口投与したところ、完全奏効(CR)が2%(2例)、部分奏効(PR)が59%(69例)、不変 (SD)6週間以上が27%(31例)であり、奏効率(CR+PR)は61%、臨床的ベネフィットが見られた割合(CR+PR+SD)は88%に上った5)。大半の患者は、すでに他治療を受けており、そのうち44%の患者は3レジメン以上の治療を受けていた。また、最も多かった副作用は、視覚障害、悪心、下痢、嘔吐などであり、程度は、軽度(グレード1または2)のものが多かった。ALK融合遺伝子陽性の進行NSCLC患者の特徴現段階ではALK融合遺伝子陽性の進行NSCLC患者の特徴は明確ではないが、傾向としては、腺がん患者であること、喫煙歴がない、もしくはライトスモーカー患者が比較的多いことが挙げられる。また、患者の年齢層としては、高齢者だけではなく、若い年齢層の患者が多いこともその特徴といえる。まとめ腫瘍発現における重要な遺伝子であるALK遺伝子をターゲットとし、奏効率が高く、忍容性が高いという本剤の特徴は、患者の身体的負担の軽減など、多くのメリットにつながり、今後、ALK融合遺伝子陽性の進行NSCLC治療においてパラダイムシフトをもたらすことが期待される。

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過去20年の糖尿病患者に占める糖尿病性腎症者の割合は変化なし、背景に糖尿病治療の実施増大?

米国では1988年から2008年にかけて、糖尿病性腎症の有病率が糖尿病有病率に比して上昇し、2.2%から3.3%へと1.1ポイント増加していたが、一方で、糖尿病患者における糖尿病性腎症患者の割合には、変化はみられなかったという。また、血糖降下薬服用者が増加、特にレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)阻害薬の服用者が増加していた。米国・ワシントン大学腎研究所のIan H. de Boer氏らが、「糖尿病性腎症有病率は、糖尿病有病率の拡大により増えるだろうが、糖尿病治療の実施により減少する可能性もある」として、米国における糖尿病性腎症有病率の経時的変化を明らかにするため、全米健康栄養検査調査(NHANES)を元に調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年6月22・29日号で発表した。糖尿病性腎症の全米有病率は増加、20年前2.2%、10年前2.85%、直近5年は3.3%糖尿病の定義は、HbA1c値が6.5%以上とし、糖尿病性腎症の定義は、糖尿病で尿中アルブミン/クレアチニン比(ACR)が30mg/g以上のアルブミン尿、糸球体濾過量(GFR)の低下(推定60mL/min/1.73m2未満)のいずれか、または両方が認められる場合とされた。調査対象は、NHANES III(1988~1994年、n=15,073)、NHANES 1999-2004(n=13,045)、NHANES 2005-2008(n=9,588)。各調査で、糖尿病定義に該当、血糖降下薬を服用のいずれかまたは両方に該当する人は、NHANES IIIは1,431人、NHANES 1999-2004は1,443人、NHANES 2005-2008は1,280人だった。結果、米国民の糖尿病性腎症有病率は、NHANES IIIが2.2%(95%信頼区間:1.8~2.6)、NHANES 1999-2004は2.8%(同:2.4~3.1)、NHANES 2005-2008は3.3%(同:2.8~3.7)だった(補正前傾向p<0.001)。人口統計学的補正後、NHANES IIIからNHANES 1999-2004への増大は18%増(1.18倍)、NHANES IIIからNHANES 2005-2008は34%増(1.34倍)であった(補正後傾向p=0.003)。これら糖尿病性腎症の有病率は、糖尿病有病率に正比例して増加していた。一方で、糖尿病患者に占める糖尿病性腎症者の割合に変化は認められなかった。NHANES IIIは36.4%、NHANES 1999-2004は35.2%、NHANES 2005-2008は34.5%、補正後増大はNHANES IIIからNHANES 1999-2004は0.99倍、NHANES IIIからNHANES 2005-2008は0.98倍であった(傾向p=0.77)。血糖降下薬服用、RAAS阻害薬服用割合がそれぞれ有意に増加糖尿病患者で血糖降下薬を服用している人の割合は、NHANES IIIの56.2%から、NHANES 2005-2008には74.2%へ、またRAAS阻害薬を服用する人の割合が、同11.2%から40.6%へ、それぞれ有意に増えていた(いずれもp<0.001)。また同期間では、GFR低下の有病率が14.9%から17.7%へ上昇(p=0.03)し、アルブミン尿は27.3%から23.7%に低下していたが統計学的に有意ではなかった(p=0.07)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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前立腺がん患者、現喫煙者の再発率、死亡率、喫煙未経験者と比べ増大

前立腺がんで現喫煙者は、喫煙未経験者に比べ、再発率と死亡率(全死亡率、心血管疾患死亡率、前立腺がんによる死亡率)がいずれも増大することが明らかにされた。現喫煙者は喫煙未経験者より、前立腺がんによる死亡率は約1.6倍、心血管疾患死亡率や全死亡率は、いずれも2倍超に増大するという。米国・ハーバード大学公衆衛生校のStacey A. Kenfield氏らが、全米の男性医療従事者を対象とした前向きコホート疫学研究「Health Professionals Follow-Up Study(HPFS)」から、前立腺がんの診断を受けた5,366人超について分析を行い明らかにしたもので、JAMA誌2011年6月22・29日号で発表した。臨床ステージT1~T3の現喫煙者、前立腺がんによる死亡は喫煙未経験者の1.8倍HPFSは、1986年までに郵送質問票に回答した男性医療従事者5万1,529人を対象とする前向きコホート試験。Kenfield氏らは、その中から1986~2006年に前立腺がんの診断を受けた5,366人について前向き観察研究を行った。主要評価項目は、全死亡、前立腺がん特異的死亡、心血管疾患死亡と生化学的再発のハザード比とした。追跡期間中の死亡は1,630人で、前立腺がんによる死亡は524人(32%)、心血管疾患による死亡は416人(26%)だった。また、生化学的に再発が認められたのは、878人だった。補正前の前立腺がんによる死亡率は、喫煙未経験者が9.6人/1000人・年に対し、現喫煙者は15.3人/1000人・年、全死亡率はそれぞれ27.3人/1000人・年と53.0人/1000人・年と、いずれも現喫煙者で高率だった。多変量解析の結果、現喫煙者の喫煙未経験者に対する、前立腺がんによる死亡に関するハザード比は1.61(95%信頼区間:1.11~2.32)、現喫煙者で臨床ステージT1~T3の前立腺がんの人では、同ハザード比は1.80(同:1.04~3.12)だった。禁煙後10年経過で前立腺がん死亡リスクは未経験者と同等に現喫煙者は、喫煙未経験者に比べ、生化学的再発リスクも大きく、ハザード比は1.61(同:1.16~2.22)、全死亡のハザード比は2.28(同:1.87~2.80)、心血管疾患死は2.13(同:1.39~3.26)だった。前立腺がんの臨床ステージとグレードレベルについて補正後も、現喫煙者の前立腺がん死亡リスクは、喫煙未経験者に比べ大きく、ハザード比は1.38(同:0.94~2.03)、臨床ステージT1~T3の前立腺がんの人の同ハザード比は1.41(同:0.80~2.49)、生化学的再発に関するハザード比は1.47(同:1.06~2.04)だった。年間40パック以上の喫煙者は、喫煙未経験者に比べ、前立腺がんによる死亡のハザード比は1.82(同:1.03~3.20)だった。また、現喫煙者との比較で、禁煙をしてから10年以上経過している人の前立腺がん死亡に関するハザード比は0.60(同:0.42~0.87)、喫煙してから10年未満かつ年間20パック未満喫煙者の同ハザード比は0.64(同:0.28~1.45)で、喫煙未経験者の同ハザード比0.61(同:0.42~0.88)と同等だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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初発慢性骨髄性白血病の治療選択肢が増加、使い分けの時代へ

 2011年6月16日、抗悪性腫瘍剤ダサチニブ(商品名:スプリセル)が慢性骨髄性白血病(CML)のファーストライン治療薬としての新たな効能が承認されたことを受け、同月30日、ブリストル・マイヤーズ株式会社と大塚製薬株式会社による記者説明会が開催された。本会では、名古屋第二赤十字病院血液・腫瘍内科部長の小椋美知則氏より、CML治療の変遷と国際共同第3相試験「DASISION試験」の結果、さらにCML治療の今後の展望について講演が行われた。初発CMLに対する治療選択肢が3剤に 2001年、チロシンキナーゼ阻害薬イマチニブが登場し、CMLの治療成績は著明に改善した。その後、より強力なBCR-ABLチロシンキナーゼ阻害作用を持つ第2世代チロシンキナーゼ阻害薬、ニロチニブ、ダサチニブが開発され、イマチニブ抵抗性・不耐容のCMLに対して承認された。さらに、初発慢性期CMLに対してイマチニブと比較した臨床第3相試験の成績から、2010年12月にニロチニブが、また今月2011年6月にダサチニブが初発CMLに対して承認された。 これで、初発CML治療にイマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブの3剤が使用できることになり、年齢や合併症など患者さんの状態を考慮した治療薬の使い分けが可能となった。 現在、米国のNational Comprehensive Cancer Network(NCCN)の治療ガイドライン(CML Treatment Guideline Ver2. 2011)では、慢性期CMLと診断された場合の治療選択肢として、チロシンキナーゼ阻害薬(イマチニブ400mg、ニロチニブ300mg1日2回、ダサチニブ100mg1日1回)がCatedory1として推奨されている。国際共同第3相試験「DASISION試験」におけるダサチニブの成績 DASISION試験は、初発慢性期CMLを対象にダサチニブ100mg1日1回投与とイマチニブ400mg1日1回投与を比較した、非盲検・ランダム化・国際共同第3相試験である。519例(うち日本人49例)が登録され、ダサチニブ259例(同26例)、イマチニブ260例(同23例)がランダムに割り付けられた。主要評価項目は、12ヵ月間のConfirmed CCyR(細胞遺伝学的完全寛解)率、すなわち28日間以上の間隔で連続したCCyR率である。 本試験において、12ヵ月時点のConfirmed CCyR(ダサチニブvsイマチニブ:77% vs 66%、p=0.0067)、CCyR(同:83% vs 72%、p=0.0011)、分子遺伝学的Major寛解(MMR)(同:46% vs 28%、p

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