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現行のガイドラインでは、冠動脈ステント留置術後の非心臓手術の実施時期について、薬剤溶出性ステント(DES)は1年後、ベアメタルステント(BMS)は6週間後に延期することを推奨しているが、その根拠となるエビデンスは限られていた。 米国・アラバマ大学のMary T. Hawn氏らによる研究グループは、冠動脈ステント留置後24ヵ月以内に手術を受けた4万1,989例の退役軍人(VA)および非VAの全米患者を対象とした後ろ向きコホート試験を行った。試験は、冠動脈ステント留置後に非心臓手術を受けた患者における有害心イベント発生のリスク因子を特定することを目的とした。 対象コホートのうち、冠動脈ステント留置術を受けていたのは12万4,844例(DES:47.6%、BMS:52.4%)だった。そのうち術後24ヵ月以内に非心臓手術を受けていたのは2万8,029例(22.5%、95%信頼区間[CI]:22.2~22.7%)で、うち術後30日MACE発生例は1,980例(4.7%、95%CI:4.5~4.9%)だった。 ステント留置術を実施してから非心臓手術をするまでの期間が短いほど、MACE発生率(全死因死亡・心筋梗塞・心血行再建術)は高く、6週間未満では11.6%、6週間~6ヵ月は6.4%、6~12ヵ月は4.2%、12~24ヵ月は3.5%だった(p<0.001)。DESはMACEとの関連はみられず、またDES、BMSともに、MACEリスクはステント留置術後6ヵ月以降は安定した。また抗血小板薬の周術期投与中止とMACE発生との関連は認められなかった。結果を踏まえて著者らは、「DESとBMSのステントタイプおよび手術のタイミングについて強調している、現行のガイドラインについて再評価する必要がある」と提言している。 わが国の実際の臨床現場でも、非心臓手術(がん手術など)の術前検査で冠動脈疾患が診断されることはよく経験する。このような場合で冠血行再建術が必要と考えられる場合には、術後抗血小板薬投与が必須ではない冠動脈バイパス手術も考慮するのが望ましい。