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握力強い中高年は心血管・呼吸器疾患の死亡リスク低い~久山町研究

 高齢者では握力減少が全死因死亡の危険因子であることが報告されているが、中年期の握力と一般集団での全死亡および死因別死亡リスクとの関連は不明である。九州大学の岸本 裕歩氏らは、久山町研究において40歳以上の一般集団の日本人における握力の強さが全死亡および死因別死亡に与える影響を検討した。その結果、中年期以降における握力の強さは、全死亡およびがん以外の原因疾患(心血管疾患、呼吸器疾患など)による死亡リスクと逆相関していることが示唆された。Journal of epidemiology and community health誌オンライン版2014年3月12日号に掲載。 著者らは、40歳以上の久山町在住の日本人2,527人(男性1,064人、女性1,463人)を19年間、前向きに追跡した。参加者を年齢別・性別の握力の三分位(T1:最も弱い、T3:最も強い)に従って、3群に分け検討した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中に783人が死亡した(心血管疾患235人、がん249人、呼吸器疾患154人、その他の疾患145人)。・中年グループ(40~64歳)では、全死因死亡における多変量補正ハザード比(95%信頼区間)は、T1群に比べ、T2群で0.75(0.56~0.99)、T3群で0.49(0.35~0.68)であった。高齢者グループ(65歳以上)におけるそれぞれのハザード比(95%信頼区間)は、0.50(0.40~0.62)、0.41(0.32~0.51)であった。・死因別の検討では、中年、高齢者とも、握力の強さが心血管疾患、呼吸器疾患、その他の疾患による死亡リスクの低下と有意に関連していた。ただし、がん死亡リスクには握力との関連がみられなかった。

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重症敗血症、アルブミンを投与しても死亡率変わらず/NEJM

 重症敗血症または敗血症性ショックの患者に対し、晶質液に加えてアルブミンを投与しても、晶質液単独投与と比較して28日、90日の生存率は改善しなかったことが示された。イタリア・ミラノ大学のPietro Caironi氏らが、1,818例対象の多施設共同非盲検無作為化試験ALBIOSの結果、報告した。先行研究において、重症敗血症に対するアルブミン投与のベネフィットが示唆されたが、有効性については十分には確立されていなかった。NEJM誌オンライン版2014年3月18日号掲載の報告より。100のICUで1,818例を対象に晶質液単独群とアルブミン追加群を比較 ALBIOS(Albumin Italian Outcome Sepsis)試験は、イタリア国内100ヵ所の集中治療室(ICU)にて、2008年8月~2012年2月の間に18歳以上の1,818例の重症敗血症患者を、20%アルブミン+晶質液(910例)もしくは晶質液単独(908例)を受ける群に無作為に割り付けて行われた。アルブミン群の、ICU退室時まで、もしくは無作為化後28日間の目標血清アルブミン値は30g/L超で維持された。 主要アウトカムは、28日時点の全死因死亡だった。副次アウトカムは、90日時点の全死因死亡、臓器機能障害を有した患者数およびその重症度、ICU在室期間、入院期間などであった。28日時点の全死因死亡に有意差みられず、90日時点も同様 解析は、同意が取り下げられたなどの理由で除外された8例を除外した、アルブミン群903例(年齢中央値70歳、経時的臓器不全スコア[SOFA]中央値:8、人工呼吸器装着:78.5%)、晶質液単独群907例で行われた。 結果、最初の7日間において、アルブミン群の患者は晶質液単独群と比較して、平均動脈圧が有意に高く(p=0.03)、ネット体液バランスが有意に低かった(p<0.001)。 28日時点の全死因死亡は、アルブミン群285/895例(31.8%)、晶質液単独群288/900(32.0%)で有意差はみられなかった(アルブミン群の相対リスク:1.00、95%信頼区間[CI]:0.87~1.14、p=0.94)。 同様に90日時点についても、アルブミン群365/888例(41.1%)、晶質液単独群389/893例(43.6%)で有意差はみられなかった(同:0.94、0.85~1.05、p=0.29)。 その他、副次アウトカムについても両群間の有意差はみられなかった。

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米成人の半数がスタチン治療を受ける時代に?/NEJM

 米国心臓病学会および米国心臓協会(ACC/AHA)は昨年11月、関連するガイドラインを改訂したが、デューク大学臨床研究所のMichael J. Pencina氏らは、その影響について調べた。結果、スタチン治療が適格となる患者が1,280万人増大し、米国成人(40~75歳)の約半数(48.6%)5,600万人がスタチン治療対象者となることが推算されたという。増大者のうち大半は心血管疾患を有さない高齢者であった。NEJM誌オンライン版2014年3月19日号掲載の報告より。ACC/AHA新ガイドラインの影響を調査 新ガイドラインでは、心血管疾患既往成人についてはコレステロール値を問わず治療を推奨することが示されている。また、一次予防については、LDL値190mg/dL以上の患者についてスタチン治療を推奨することに加えて、70mg/dL以上で糖尿病または心血管疾患10年リスク7.5%以上のすべての成人にスタチン治療を推奨することが盛り込まれた。 Pencina氏らは、全米健康・栄養調査(NHANES)のデータを用いて、脂質異常症治療のサポートガイドラインとして推奨されてきたthe Third Adult Treatment Panel(ATP III)との比較で、新ガイドラインをベースとした場合の、スタチン治療推奨が適格となる米国成人数を推算することを試みた。 具体的には、2005~2010年のNHANESデータと、40~75歳の米国成人1億1,540万人を推定のベースに用いて調べた。スタチン治療適格者、以前より1,280万人増加し米成人の48.6%と推算 結果、スタチン治療適格となる米国成人は、ATP IIIガイドラインでは4,320万人(37.5%)であったが、新ガイドラインでは5,600万人(48.6%)に増大することが示唆された。増大者1,280万人のうち大半(1,040万人)は、心血管疾患を有さない成人だった。 また、心血管疾患を有さずスタチン治療を受けていない60~75歳の高齢者において、スタチン治療適格となる割合は、男性についてはATP IIIでの30.4%から新ガイドラインでは87.4%に、女性については21.2%から53.6%にそれぞれ増加することが示唆された。これらの増大をもたらす要因は、主として治療推奨の層別化要因としての「心血管イベント10年リスク」が単独で盛り込まれたことによるものであった。 新たなスタチン治療適格者は、女性よりも男性が多く、血圧が高めだがLDL値が顕著に低いという特徴が浮かび上がった。 ATP IIIガイドラインと比較して、新ガイドラインは、より高齢で、将来心血管イベントを有する可能性が高いが(感度が高い人)、同時に将来心血管イベントが起きる可能性が低い(特異度が低い)人も多数含まれることが示唆された。

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高齢になるほど下肢の温冷疼痛感度が鈍化

 中高齢者の疼痛感受性に対する年齢と人種の影響について、米国・フロリダ大学のJoseph L. Riley氏らはさまざまな刺激方法を用いて検討を行った。その結果、中年者と高齢者では温熱刺激に対する反応に違いがみられ、加齢に伴い疼痛感受性の低下はとくに下肢で顕著であることを明らかにした。また、温冷刺激に対する疼痛感受性には人種差が認められ、白人よりも黒人のほうが温冷刺激ともに著しく感受性が低下することが明らかになったという。Journal of Pain誌2014年3月号(オンライン版2013年11月14日号)の掲載報告。 研究グループは、侵害刺激への反応に対する年齢および人種の影響を検討するため、45~76歳の非ヒスパニック系黒人53例、非ヒスパニック系白人138例を対象に、温熱、機械および寒冷刺激に対する反応を評価する感覚検査(3時間単回)を行った。 主な結果は以下のとおり。・高齢者は中年者に比べ、温熱刺激に対して鈍く、とくに膝で著しいことが示唆された。・疼痛感受性には人種差がみられ、その差は高齢者においてより顕著であった。・全体的に、本試験の人種差に関するデータは、先行研究において報告されたデータと同様の結果を示した。・その中で新たな所見として、非ヒスパニック系黒人では、時間的加重ならびに温冷両刺激に対する感受性低下が、年齢とともに増大することが示唆された。・本研究により、加齢とともに疼痛感度は下肢で最も大きく低下することが明らかになった。また、より若い年代で観察されていた人種による違いは、本試験における中高年層でもみられることが明らかになった。

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リンパ脈管筋腫症〔LAM : lymphangioleiomyomatosis〕

1 疾患概要■ 概念・定義リンパ脈管筋腫症(lymphangioleiomyomatosis: LAM)は、ほぼ女性に限って発症する性差の著しい疾患である。主として妊娠可能年齢の女性に発症するまれな疾患で、腫瘍抑制遺伝子(TSC遺伝子)の異常により腫瘍化した平滑筋様細胞(LAM細胞)が肺や体軸中心リンパ系(骨盤腔、後腹膜腔および縦隔にわたる)で増殖し、慢性に進行する腫瘍性疾患である。肺では、多発性の嚢胞形成を認める。自然気胸を反復することが多く、女性自然気胸の重要な基礎疾患である。肺病変が進行すると拡散障害と閉塞性換気障害が出現し、労作性の息切れ、血痰、咳嗽などを認める。肺病変の進行の速さは症例ごとに多様であり、比較的急速に進行して呼吸不全に至る症例もあれば、年余にわたり肺機能が保たれる症例もある。肺外では、体軸リンパ流路に沿ってリンパ脈管筋腫(lymphangioleiomyoma)を認めることがある。リンパ脈管筋腫はCT画像では、嚢腫様あるいはリンパ節腫大様に描出され、LAM細胞の増殖により拡張したリンパ管あるいはリンパ節と考えられている。腎臓には、血管筋脂肪腫(angiomyolipoma: AML)を合併する場合もある。常染色体優性遺伝性疾患である結節性硬化症(TSC)を背景として発症する例(TSC-LAM)、TSCとは関連なく発症する例(孤発性LAM)の2つのタイプがある。■ 病名や疾患概念の変遷本疾患は1940年前後から記載され始め、Frack ら(1968年)により初めてpulmonary lymphangiomyomatosis という言葉が用いられ、Corrin ら(1975年)により 28 例の臨床病理学的特徴がまとめられた。Pulmonary lymphangioleiomyomatosis という言葉は、Carrington ら(1977年)が、本疾患の生理学的、病理学的、画像の各所見の関連性を詳細に検討した際に使用された。現在では、主にlymphangioleiomyomatosisが用いられている。日本においては、山中、斎木(1970年)が 2 例の剖検例と 1 例の開胸肺生検例を検討し、びまん性過誤腫性肺脈管筋腫症として報告したのが最初である。一方、症例の集積に伴い、LAMは肺のみに限局した疾患ではなく全身性疾患として認識されるようになり、「肺」を病名から除いて「リンパ脈管筋腫症(lymphangioleiomyomatosis)」という病名で呼ばれるようになった。すなわち、肺外病変としての後腹膜腔や骨盤腔のリンパ脈管筋腫が主体で、肺病変が軽微である症例の存在も認識されるようになったためである。■ 疫学まれな疾患であるため、有病率や罹患率などの正確な疫学データは得られていない。疫学調査の結果から、日本でのLAMの有病率は100万人当たり約1.9~4.5人と推測されている。米国などからの報告でも人口100万人当たり2~5人と推測されている。■ 病因腫瘍抑制遺伝子である TSC 遺伝子の変異が LAM 細胞に検出される。LAMは、Knudson の 2-hit 説が当てはまる腫瘍抑制遺伝子症候群のひとつである。TSC 遺伝子には TSC1 遺伝子と TSC2 遺伝子の2種類があり、TSCはどちらか一方の遺伝子の胚細胞遺伝子変異による遺伝性疾患である。TSC-LAM 症例はTSC1あるいはTSC2遺伝子のどちらの異常でも発生しうるが、sporadic LAM 症例ではTSC2遺伝子異常により発生する。TSC 遺伝子異常により形質転換した LAM 細胞は、病理形態学的にはがんといえる程の悪性度は示さないが、転移してリンパ節や肺にびまん性、不連続性の病変を形成する。 LAM病変に認められる豊富なリンパ管や乳び液中に検出されるLAM細胞クラスターは、LAMの病態進展におけるリンパ行性転移の重要性を示唆する所見である。片肺移植後のドナー肺に LAM が再発した症例では、レシピエントに残存する体内病変からドナー肺に LAM 細胞が転移して、再発したことを示唆する遺伝学的解析結果が報告されている。最近の研究では、必ずしもすべてのLAM細胞がTSC遺伝子変異を有するわけではなく、変異遺伝子のallelic frequencyは約20%前後と報告されている。TSC1、TSC2遺伝子は、それぞれハマルチン(約130kDa)、ツベリン(約180kDa)というタンパク質をコードし、両者は細胞質内で複合体を形成して機能する。ハマルチン/ツベリン複合体は、細胞内シグナル伝達に関与するさまざまなタンパク質からリン酸化を受けることにより、mTORの活性化を制御している。LAMでは、ハマルチン/ツベリン複合体が機能を失い、恒常的にmTORが活性化された状態となるため、LAM細胞の増殖を来す。そのため、mTOR阻害薬のシロリムス(国内未承認)は、LAM細胞増殖を抑制し病状の進行抑制に寄与すると考えられる。■ 症状以下のカッコ内の数値は、呼吸不全に関する調査研究班による平成18年度の全国調査集計において報告された、LAM診断時の頻度である。1)胸郭内病変に由来する症状労作性の息切れ(48%)や自然気胸(51%)で発症する例が最も多い。そのほかに、血痰(8%)、咳嗽(27%)、喀痰(15%)などがある。肺内でのLAM細胞の増殖により生じる肺実質破壊(嚢胞性変化)、気道炎症、などによると考えられる。労作性の息切れは、病態の進行とともに頻度が高くなる。進行例では、血痰、咳嗽・喀痰などの頻度も増加する。気胸は、診断後の経過中を含め患者の約7割に合併するとされる。LAMは、女性気胸の重要な原因疾患である。2)胸郭外病変に由来する症状腹痛・腹部違和感、腹部膨満感、背部痛、血尿など胸郭外病変に由来する症状(16%)がある。腎AML(41%)、後腹膜腔や骨盤腔のリンパ脈管筋腫(26%)、腹水、などによると考えられる。3)リンパ系機能障害による症状乳び胸水(8%)、乳び腹水(8%)、乳び喀痰、乳び尿、膣や腸管からの乳び漏などがある。約3%の症例では、診断時あるいは経過中に下肢のリンパ浮腫を認める。4)無症状人間ドックなどの健診を契機に、偶然発見される場合もある。自覚症状はないが、腹部超音波検査や婦人科健診において腎腫瘍、後腹膜腫瘤、腹水などを指摘され、これを契機としてLAMと診断される例がある。■ 経過と予後LAMは、慢性にゆっくりと進行する腫瘍性疾患であるが、進行の早さには個人差が大きく、その予後は多様である(図1)。わが国での全国調査によると、初発症状や所見の出現時からの予測生存率は、5年後が91%、10年後が76%、15年後が68%であった。予後は診断の契機となった初発症状・所見によって異なり、息切れを契機に診断された症例は、気胸を契機に診断された症例より診断時の呼吸機能が有意に悪く、また、予後が不良であった。画像を拡大する図1では、Aは重症例、Bは中等症例、Cは軽症例、Dは最軽症例と呼ぶ。Aは息切れ発症のLAMを想起すればよい。AにGnRH療法を行っても、A’では肺機能や生存期間の改善に寄与していない。A’’では、肺機能の低下スピードはやや軽減し、そのため生存期間は伸びている。C、Dは気胸発症例、あるいは偶然の機会に胸部CTで多発性肺嚢胞を指摘されたような症例を想起すればよい。これらの症例では、特別な治療を考える必要はないであろう。Bは中間の症例である。B’は、GnRH療法により肺機能の低下速度が緩徐となり、生命予後は延長することが明らかである。この図から読み取れる点は、治療的介入が肺機能の低下速度を緩徐にできるならば、ゆっくりと進行する慢性疾患では比較的長期間の生命予後の延長をもたらすことができる点である。後述するように、シロリムスによる分子標的療法は、肺機能の低下速度を軽減するのではなく、安定化ないしは治療前よりやや改善することが示されており、LAMの自然史を大きく変える治療として期待されるゆえんである。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断にあたっては、特徴的な臨床像と胸部CT所見からLAMを疑い、図2のような手順に沿って診断する。画像を拡大する■ 画像診断診断には高分解能CT(HRCT)が推奨され、境界明瞭な数 mm~1 cm大の薄壁を有する嚢胞が、両肺野にびまん性に、比較的均等に散在しているのが特徴である(図3A)。通常の撮影条件では、肺気腫と鑑別が難しい場合がある(図3B)。診断にあたっては、HRCTで特徴的な所見を確認し、かつ慢性閉塞性肺疾患(COPD)やBirt-Hogg-Dubè(BHD)症候群など他の嚢胞性肺疾患を除外することが重要である。また、腎血管筋脂肪腫、後腹膜腔や骨盤腔のリンパ節腫脹、TSCに合致する骨硬化病変、腹水などの有無について、腹部~骨盤部のCT検査やMRI検査で確認することも診断にあたって有用である(図3C、3D)。可能であれば、経気管支肺生検あるいは胸腔鏡下肺生検により病理診断を得ることが推奨される。画像を拡大する■ 病理診断LAMの病理組織学的特徴は、LAM細胞の増殖とリンパ管新生である(図4)。画像を拡大するLAM細胞はやや未熟で肥大した紡錘形の平滑筋細胞様の形態を示し、免疫染色ではα-smooth muscle actinやHMB45陽性である。女性ホルモンレセプター(エストロゲンレセプターやプロゲステロンレセプター)を発現する。LAM細胞は、集簇して結節性に増殖し、肺では嚢胞壁、胸膜、細気管支・血管周囲、体軸リンパ流路などで不連続性に増殖している。ヘモジデリンを貪食したマクロファージが高頻度に認められ、LAMの肺実質では不顕性に肺胞出血を繰り返していると想像される。乳び胸水や腹水合併例では胸腹水中のLAM細胞クラスター(図5)を証明することで診断可能である。画像を拡大する■ 肺機能検査肺機能検査では、拡散能障害と閉塞性換気障害を認め、経年的に低下する。換気障害よりも拡散障害を早期から認める点が特徴である。MILES試験の偽薬群では、FEV1は-144 ± 24 mL/年の低下率であった。一方、閉経前と閉経後の症例では、平均-204 vs.-36 mL/年(p<0.003)と有意に閉経後症例の低下率が低かった。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)LAMに対する根治的治療法、すなわちLAM細胞を完全に排除し、破壊された肺を元に戻す治療法はない。MILES試験によりLAMの分子標的薬として確立されたmTOR阻害薬のシロリムスは、肺機能を安定化、乳び胸水・腹水・リンパ浮腫などのLAMに合併するリンパ系機能障害の病態の改善、合併する腎血管筋脂肪腫の縮小などの効果が報告されている。そして、その作用はLAM細胞に対して、殺細胞的ではなく静細胞的であると考えられている。すなわち、シロリムス内服を中止すると効果は消失し、元の病態が再来する。したがって、長期に内服することが必要であるが、免疫抑制薬でもあるシロリムスをLAM患者が長期内服した際の安全性についてのエビデンスはない。このような背景から、現時点では、LAMという疾患の自然史(図1)に照らして目の前の患者の状態を評価し、治療介入の利益と損益を熟考して治療方針を立てるべきである。以下に、LAMとその合併病態に対する治療を概説する。■ LAMに対する薬物療法1)シロリムス(国内未承認)肺機能が進行性に低下する場合(目安としてはFEV1<70 %pred)や内科的に管理困難な乳び胸水や腹水の合併例では、シロリムスの投与を考慮する。治験では血中トラフ値5 ~ 15 ng/mLを維持するように投与量が調節され、おおよそ2ないし3 mg/日(分1、朝食後)が必要となった。しかし、シロリムス1 mg/日の低用量(血中トラフ値<5 ng/mL)でも、十分な治療効果が得られたとの報告がある。シロリムスはCYP3A4で代謝されるため、肝障害やCYP3A4活性に影響を与える薬剤との相互作用に注意する。2)GnRH療法(偽閉経療法)女性ホルモンはLAM細胞の増殖に関与するため、gonadotropin-releasing hormone(GnRH)誘導体を投与して偽閉経状態にすることが、従来は経験的に行われてきた。リュープロレリン(商品名: リュープリン)1.88 mg 皮下注/4週ごと(保険適用外)、ゴセレリン(同: ゾラデックス)1.8 mg 皮下注/4週ごと(保険適用外)、ブセレリン(同: スプレキュア)1.8 mg皮下注/4週ごと(保険適用外)などの皮下注薬剤は月1回の投与で利便性が高く、かつ、女性ホルモンを確実に低下させ偽閉経状態をもたらすことができ、点鼻製剤より有用である。シロリムスが何らかの理由により投与できない場合、あるいは乳び漏の管理に難渋するなどの場合にはGnRH療法を考慮する。投与に際しては、更年期症状や骨粗鬆症が生じうるため、これらの治療関連病態を念頭におく必要がある。■ LAMの病態あるいは併存疾患の治療1)気管支拡張療法閉塞性換気障害があり労作性に息切れを認める症例では、COPDと同様に、抗コリン薬チオトロピウム(同: スピリーバ レスピマット)あるいはβ2刺激薬インダカテロール(同: オンブレス)などの長時間作用性気管支拡張薬の吸入を処方する(保険適用外)。2)気胸気胸を繰り返すことが多いため、気胸病態に対する治療とともに再発防止策を積極的に検討する。酸化セルロースメッシュ(同: サージセル)とフィブリン糊による胸腔鏡下全肺胸膜被覆術(カバリング術)は癒着を起こさず、再発防止が可能である。技術的に実施困難な施設では、気胸手術時の胸膜焼灼・剥離術、内科的癒着術[自己血、OK432(同: ピシバニール)ほか]などが行われる。3)乳び漏(乳び胸水や腹水など)に代表されるリンパ系機能障害乳び胸水、乳び腹水、乳び心嚢液、乳び喀痰、乳び尿、膣や腸管からの乳び漏、後腹膜腔や骨盤腔のリンパ脈管筋腫、下肢のリンパ浮腫、肺内のリンパ浮腫像などはLAMにみられる特徴的なリンパ系の機能障害である。LAM細胞の増殖に伴うリンパ管の閉塞・破綻が原因と考えられているが、LAM細胞増殖に伴うリンパ管新生がその背景要因である。脂肪制限食は、腸管からの脂肪吸収に伴うリンパ液の産生を減少させ、結果として乳び漏出を減少させる。下半身の活動量が増加するとリンパ流も増加するため、活動量を制限して安静にすることはリンパ漏を減少させる。リンパ浮腫は後腹膜腔や骨盤腔のリンパ脈管筋腫を合併する症例にみられ、複合的理学療法(弾性ストッキング、リンパマッサージなど)が治療として有用である。これらの食事指導、生活指導、理学療法では乳び漏やリンパ浮腫の管理が困難な場合には、シロリムス投与を考慮する。何らかの理由でシロリムスを投与できない場合には、GnRH療法、胸膜癒着術(乳び胸水例に対して)、Denver® shunt(乳び腹水例に対して)などを適宜、考慮する。乳び漏を穿刺・排液し続けることは、栄養障害、リンパ球喪失に伴う二次性免疫不全状態を招来するので慎むべきである。4)腎血管筋脂肪腫AMLからの出血リスクを予測する因子は、腫瘤径よりもAMLに合併する動脈瘤の大きさのほうが感度・特異度ともに優れている。動脈瘤径≧5 mmでは出血のリスクが高まるため動脈瘤に対する塞栓術を考慮する。腫瘍径≧4 cmもひとつの目安であるが、4 cm以上であっても動脈瘤の目立たない例もあり、このような症例では腫瘍径≧4 cmであっても経過観察可能である。一般に、巨大なAMLを有していても腎機能は良好に保たれるため、安易な腎臓摘出術は慎むべきである。5)慢性呼吸不全在宅酸素療法、COPDに準じた呼吸リハビリテーションを行う。常時酸素吸入が必要な呼吸不全例、あるいはFEV1<30 %predでは肺移植を検討する。6)妊娠・出産妊娠・出産に伴う生理的負荷に耐えうる心肺機能を有することが前提となるが、妊娠・出産は必ずしも禁忌ではない。しかし、妊娠中の症状の増悪や病態の進行、気胸や乳び胸水を合併する可能性などのリスクを説明し、患者ごとの対応が必要である。妊娠・出産に際しては、気流制限が重症であるほどリスクが高い。4 今後の展望シロリムスは、二重盲検比較試験によりLAMに対して有効性が確認された薬剤であり、今後のLAMの自然史を大きく変える治療法として期待される。一方、長期投与による安全性は未確認であり、治療中は効果と有害事象のバランスを慎重に観察する必要がある。シロリムスは、LAM細胞に対して殺細胞的ではないため、シロリムスに他の薬剤を併用し、治療効果を高める基礎研究や臨床研究が考案されている。5 主たる診療科主たる診療科は呼吸器内科となる。また、連携すべき診療科は次のとおりである。産婦人科(妊娠・出産、合併あるいは併存する女性生殖器疾患)放射線科あるいは泌尿器科(腎血管筋脂肪腫の塞栓術)脳神経内科・皮膚科(結節性硬化症に関連したLAM)※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター LAM(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)呼吸不全に関する調査研究班(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)気胸・肺のう胞スタディグループ(医療従事者向けのまとまった情報)The LAM foundation(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった英文情報)患者会情報J-LAMの会(リンパ脈管筋腫症患者と支援者の会)※おもに若年女性に発症するため、仕事、結婚、妊娠・出産、育児などの諸問題に対して、患者のみならず家族を含めた心のケアやきめ細かな対応が望まれる。LAM患者と支援者によるJ-LAMの会は、医療者との連携、疾患についての情報提供や患者同士の交流促進の場として利用されている。1)Hayashida M, et al. Respirology. 2007; 12: 523-530.2)林田美江ほか. 日呼吸会誌. 2008; 46: 428-431.3)Johnson SR, et al. Eur Respir J. 2010; 35: 14-26.4)林田美江ほか. 日呼吸会誌. 2011; 49: 67-74.5)McCormack FX, et al. N Engl J Med. 2011; 364: 1595-1606.

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パーキンソン病の症状は栄養状態と関連しQOLにも影響

 パーキンソン病患者における栄養状態には、罹病期間と運動症状・精神症状(抑うつ・不安)・疲労感の重症度が関連していることが、イラン大学のSeyed-Mohammad Fereshtehnejad氏らによって明らかとなった。著者らはまた、健康関連QOL (HRQOL)のさまざまな側面が患者の栄養状態、とくに精神的安定と可動性領域に影響されることも示唆している。PLos One誌2014年3月7日号掲載の報告。 パーキンソン病患者では、その症状や薬剤、合併症により栄養状態が悪化しやすい環境にある。しかしながら、パーキンソン病における栄養失調の要因とその転帰については、ほとんど知られていない。本研究では、パーキンソン病患者の生活の質(QOL)のさまざまな側面における栄養失調の影響のみならず、栄養状態と運動症状ならびに精神症状、疲労感との関連を調査することを目的とした。 本研究では、150例の特発性パーキンソン病患者を対象とした。人口統計学的特性、統一パーキンソン病評価尺度(UPDRS)、不安と抑うつ尺度(HADS)、疲労重症度スケール(FSS)は、対面での聞き取りや臨床検査を経て行われた。また、HRQOLは、パーキンソン病質問票(PDQ-39)を用いて評価した。栄養状態の評価のために、簡易栄養状態評価表(MNA)アンケートを身体測定と一緒に行った。 主な結果は以下のとおり:・37例(25.3%)の患者で、栄養失調のリスクが高く、他3例(2.1%)は栄養失調を来していた。・UPDRS総スコア(r=-0.613、p<0.001)およびパーキンソン病罹病期間(r=-0.284、p=0.002)とMNA総スコアとの間には、有意な逆相関の関係が認められた。・ホーエン・ヤールの重症度分類の中央値は、栄養状態が悪化しているパーキンソン病患者で有意に高かった(2.5 vs. 2.0、p<0.001)。・より重度の不安(8.8 vs. 5.9、p=0.002)、抑うつ(9.0 vs. 3.6、p<0.001)および疲労(5.4 vs. 4.2、p<0.001)が、栄養状態が悪化しているパーキンソン病患者で観察された。・スティグマ(引け目)を除き、PDQ-39のすべての領域で、MNA総スコアとの有意な相関がみられた。

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成人喘息患者の特徴の変化を分析 今後の課題が浮き彫りに

 名古屋第二赤十字病院呼吸器内科の石原 明典氏らは、急性増悪で入院となった成人喘息患者の特徴をレトロスペクティブに分析し、その変化について調べた。その結果、65歳未満の患者については、吸入ステロイド薬(ICS)の使用が一般的になってきているが喫煙率も上がっているという特徴が、また65歳以上の高齢患者については若い人よりもICSの使用率が高く喫煙率も高くないといった特徴が明らかになった。これらの所見を踏まえて、著者は「高齢者における喘息は、難治例が多い可能性があり、より効果的な治療戦略が必要と思われる」と報告している。 本検討は、自院に入院となった成人喘息患者の特徴を分析することで、喘息の予防と治療に関する残された課題を明らかにすることが目的であった。 研究グループは、2つの期間(A:2004年1月~2005年12月、B:2009年1月~2010年12月)に同院に入院した成人喘息患者を特定し、年齢、喫煙歴、ICS使用(配合剤を含む)などについてレトロスペクティブに分析した。 主な結果は以下のとおり。・各期間の総計患者数は、A群161例、B群88例であった。B期間患者数はA期間患者数と比べて約半減していた。・各群における65歳以上患者の割合は、同程度であった。・年齢で層別化した場合、65歳未満患者のICS使用率は、A群22.9%、B群35.8%であった。また現在喫煙率はA群42.7%、B群49.1%であった。・一方、65歳以上患者のICS使用率は、A群46.2%、B群48.6%であった。また現在喫煙率はA群19.7%、B群22.9%であった。・以上のように、65歳未満の喘息入院患者では、ICSが普及してきている一方で喫煙率が上昇しているとの特徴がみられた。ICSの効果が喫煙により抑制されていることが推察され、急性増悪を減らすために禁煙戦略が必要と思われた。・65歳以上患者では、ICSの使用が相対的に若い人より多いこと、また喫煙率も高くないという特徴がみられた。難治例が多いと推測され、高齢者の喘息におけるより効果的な戦略が必要と思われた。

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双極性障害における神経回路異常が明らかに

 双極性障害にみられる各種の行動異常と神経回路異常との関連について、米国・ピッツバーグ大学のMary L. Phillips氏らは神経画像を用いたこれまでの研究を検証した。その結果、前頭前野皮質と側頭皮質、扁桃体、海馬における灰白質の容量減少や白質路におけるFractional anisotropyの減少などを背景に、感情プロセスや感情制御さらに報酬機能の神経回路に異常が生じていることを報告した。American Journal of Psychiatry誌オンライン版2014年3月14日号の掲載報告。 本批判的レビューでは、双極性障害の神経学的背景に関する最近の知見を明らかにし、神経画像研究の将来への道筋を提供することを目的に、双極性障害の感情プロセス、感情制御、報酬機能の神経回路に関する神経画像所見について検討した。機能MRI、容量分析、拡散画像およびresting-state法を用いた双極性障害に関する主要な研究すべての知見を評価し、神経回路異常の理解を深めることを目的とした。  主な結果は以下のとおり。・双極性障害は、前頭前野皮質(とくに腹外側部前頭前野皮質)-海馬-扁桃体の感情プロセスおよび両側性の感情制御回路において、左側腹部線条体内腹外側および眼窩前頭皮質の報酬回路における“活動亢進”とともに生じている障害として概念化されうることが示唆された。・また、双極性障害に伴う感情易変性、感情制御異常、報酬感受性増加といった行動異常との関連が示唆された。・これらの機能的異常は、前頭前野皮質と側頭皮質、扁桃体、海馬における灰白質の容量減少、ならびに前頭前野および皮質下領域とつながる白質路におけるFractional anisotropyの減少といった構造的背景が基盤にあると考えられた。・双極性障害の神経画像研究により、ある程度の限界はあるものの、感情プロセス、感情制御および報酬回路をサポートする神経回路異常が明らかとなった。・これらを踏まえて著者は、「今後は、ディメンショナルアプローチを用いた研究も導入すべきであろう」と指摘している。・また、若年患者における神経発達過程の検討や双極性障害のリスクなどを検討するより大規模な研究、統合したシステムアプローチを用いた多モード神経画像研究、パターン認識アプローチを用いた研究などにより、臨床的に有用な個体レベルでのデータが明らかになる可能性も指摘し、「それらの研究が、双極性障害患者に対する個別の診断と治療方針決定のための臨床的に有意義なバイオマーカーの同定にも役立つであろう」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症と双極性障害、脳の違いはどこか 統合失調症と双極性障害の違い、脳内の炎症/ストレスに派生 精神疾患におけるグルタミン酸受容体の役割が明らかに:理化学研究所

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ピアレビュー論文、Wiki引用が増加/BMJ

 健康科学系のピアレビュー論文でも、Wikipedia(ウィキペディア、以下Wiki)からの引用が増加していることが明らかにされた。定義に関する引用は31.6%、解説に関する引用は23.5%であったという。カナダ・オタワ大学のM Dylan Bould氏らが2011年に発表された1,008誌1,433論文を調べ報告した。Wikiからの引用については、同サイト発足時から議論の的となっており、近年その引用が増加傾向にあることが指摘されていた。先行研究では、Wikiの内容と妥当性に関する検討は行われていたが、健康科学系論文でWikiがどのように利用されているかについてエビデンスは示されていなかった。BMJ誌オンライン版2014年3月6日号掲載の報告より。Wiki引用率、引用の仕方などを調査 研究グループは、健康科学系雑誌のインデックスを調べ、Wiki引用率を評価し、Wiki引用論文を特定して、どのように引用されているかを調べた。Wiki引用を含む英語で発表された論文を、ScopusとWeb of Scienceのオンラインデータベースを使って検索。健康科学雑誌を特定するために、Ulrich'sデータベースを用いて精査し、Medline、PubMed、Embaseでジャーナルインデックスが付けられた雑誌からの引用を選択した。また、検討対象に含んだ全雑誌の、2011年のインパクトファクター(トムソンロイター雑誌引用レポート)も調べた。 引用結果を、主題内容でコード化し、記述を統計的に算出した。定義、解説で引用、インパクトファクターの高い雑誌でも 結果、Medline、PubMed、Embaseでジャーナルインデックスが付けられた1,008誌1,433のフルテキスト論文より、Wiki引用2,049件が評価された。 Wiki引用率は時間とともに増加しており、大半の引用は2010年12月以降であった。 引用の半分以上は、定義(648件、31.6%)、解説(482件、23.5%)としてコード化された。 引用は、特定の雑誌や、インパクトファクターが低い(またはない)雑誌を問わずみられ、多くのインパクトファクターの高い雑誌でもWikiの引用がみられた。 結果を踏まえて著者は、「多くの刊行物が、普遍でエビデンスベースのソースを利用可能だが、不特定多数が編集可能である三次ソースからの情報を引用していることが判明した。雑誌編集者やレビュワーは、Wiki引用論文を刊行する際は注意すべきであることを提言する」とまとめている。

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妊婦の禁煙にニコチンパッチは有効か?/BMJ

 ヘビースモーカーの妊婦に対するニコチンパッチを用いた禁煙補助療法は、禁煙率の達成および出生児の体重増のいずれにも寄与しなかったことが報告された。フランス・パリ第6大学(ピエール・エ・マリー・キュリー)のIvan Berlin氏らが402例を対象に行った多施設共同無作為化プラセボ対照試験の結果、判明した。ガイドラインでは、ニコチン置換療法(NTR)の一般集団に対する優れた安全性と有効性を踏まえて、妊婦の喫煙者への禁煙介入にNTRを追加することを提案している。しかし、そのエビデンスとして確定的なものは示されていなかった。BMJ誌オンライン版2014年3月11日号掲載の報告より。妊婦の喫煙者402例を対象に無作為化プラセボ対照試験 研究グループは、妊婦の喫煙者に対する16時間のニコチンパッチ療法の有効性を調べるため、2007年10月~2013年1月にかけてフランス国内23の産科施設において、Study of Nicotine Patch in Pregnancy(SNIPP)試験を行った。ニコチンパッチ投与量は、各自の唾液コチニン量(潜在的範囲:10~30mg/日)でニコチン置換率100%となるよう調整して投与した。 試験には18歳以上で妊娠12~20週の喫煙妊婦(5本以上/日)476例がスクリーニングを受け、適格基準を満たした402例を無作為に2群に割り付け、一方にはニコチンパッチを(203例)、もう一方にはプラセボパッチを投与した(199例)。各群とも、禁煙開始日から出産まで介入が続けられた。 被験者は、月1回評価を受け、禁煙行動に関するサポートを受けた。主要アウトカムは、禁煙開始日から出産までの完全禁煙(自己申告の呼気CO濃度8ppm以下)、および出生児体重だった。副次アウトカムには、各評価時点の禁煙率、禁煙脱落(2、3回ふかす程度の喫煙)または再喫煙までの期間、分娩および出生児の特徴などを含んだ。禁煙達成率、出生児体重に有意差みられず 出生児に関するデータは、各群192例で得られた。全データの解析は、intention to treatにて行われた。 結果、完全禁煙の達成率は、ニコチンパッチ群5.5%(11例)、プラセボパッチ群で5.1%(10例)で有意差はみられなかった(オッズ比[OR]:1.08、95%信頼区間[CI]:0.45~2.60)。 禁煙開始日以降、再喫煙日までの中央値は、両群とも15日(四分位範囲:ニコチンパッチ群13~18日、プラセボ群13~20日)だった。 追跡期間中の各評価時点の喫煙達成率は、ニコチンパッチ群は8~12.5%、プラセボ群は8~9.5%で統計的有意差は認められなかった。 パッチ貼付の自己申告のコンプライアンス率(1,016例の受診時評価)は、ニコチンパッチ群85%(四分位範囲:56~99%)、プラセボ群83%(同:56~95%)であった(p=0.39)。 平均出生児体重は、ニコチンパッチ群3,065g(SE 44g)、プラセボ群3,015g(同44g)で有意差はみられなかった(p=0.41)。 拡張期血圧がニコチンパッチ群のほうがプラセボ群よりも有意に高いことが認められた(p=0.01)。ニコチンパッチ群では、0.02mmHg/日(SE 0.009mmHg)の上昇がみられたが、プラセボ群では上昇はみられず、最後の評価時点の分娩前測定値は、ニコチンパッチ群70mmHg(四分位範囲:60~80mmHg)、プラセボパッチ群62mmHg(同:60~70mmHg)だった(p=0.02)。 重大有害イベントの発生頻度は、両群で同程度だったが、主に皮膚に関連した非重大有害反応の頻度がニコチンパッチ群で多かった。

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発毛治療に光明、サーカディアン時計遺伝子を特定

 英国・マンチェスター大学のYusur Al-Nuaimi氏らは、ヒト毛包の発育サイクル(毛周期)を調整するサーカディアン時計遺伝子としてPeriod1とBMAL1を明らかにした。著者は、「今回の所見は、Period1とBMAL1が、ヒトの発毛治療のターゲットとなりうる可能性を確認するものとなった」と報告している。Journal of Investigative Dermatology誌2014年3月号(オンライン版2013年9月4日号)の掲載報告。 毛包は、毛周期と呼ばれる周期的なリモデリングプロセス下にある非常に動的な小型器官である。毛周期は、さまざまな幹細胞集団から豊潤な寄与を受けており、毛包は周期的に細胞死と再生を繰り返す。その循環には、「成長期」「退行期」「休止期」の3相がある。 先行研究において、この毛周期コントロールは、末梢神経の時計機序(すなわち成長期から休止期への転換)が関係していることが確認されている。著者らは、時計機序の詳細を解明することは、薬理学的に同機序をコントロール可能とする有効な治療の開発につながるとして、次の2つの点について検討を行った。 1つが、先行研究で明らかになっている時計遺伝子および蛋白質の、ヒトの頭皮毛包での発現が、サーカディアンおよび/または毛周期依存性を示すかを明らかにすること、2つ目は、核となる調整時計部分を遮断することで、ヒト毛包サイクルおよび発毛に影響が認められるかをin vitroで検証することであった。 主な結果は以下のとおり。・毛周期への影響を遮断した分離培養したヒト毛包において、コア時計遺伝子(CLOCK、BMAL1、Period1)、時計調整遺伝子(c-Myc、NR1D1、CDKN1A)がサーカディアン変化を示し、また、Period1が毛周期に依存していることが示唆された。・成長期のヒト毛包におけるBMAL1、Period1のノックダウンは、成長期を有意に延長した。・すなわち、末梢コア時計遺伝子は、ヒト毛周期を調整するものであり、ヒト毛周期時計に不可欠な要素であるとのエビデンスが示された。具体的には今回の検討により、BMAL1、Period1がヒト発毛治療のターゲットとなりうる可能性を確認できた。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第6回

第6回:無症状の成人における顕微鏡的血尿へのアプローチ 健診において尿試験紙検査は広く行われており、その際に無症候性血尿が認められることはよくあります。血尿の定義は、尿沈渣で赤血球5個/HPF以上とする事が多いです。これは日本の人口からの試算で、500万人近くになります。顕微鏡的血尿の頻度は加齢とともに増加し、男性より女性に多くみられます1)。尿潜血陽性時のアプローチについては悩ましいことが多いですが、患者と相談しつつ精査していくことになります。 以下、本文 American Family Physician 2013年12月1日号2)より顕微鏡的血尿1.背景2011年のUSPSTFによれば、無症状の成人に対しての膀胱がんスクリーニングに十分なエビデンスは認められない。しかし、健診では2%~31%に偶発的な血尿が認められており、エビデンスに則ったアプローチがプライマリ・ケア領域で求められている。大半の患者で原因が不明な事が多い一方、顕微鏡的血尿患者の5%、肉眼的血尿患者の30~40%までに悪性疾患が認められる。(表1) 【表1:顕微鏡的血尿の一般的な頻度】 不明 43~69% 尿路感染症 4~22% 前立腺肥大症 10~13% 尿路結石 4~5% 膀胱がん 2~4% 腎嚢胞性疾患 2~3% 腎臓病 2~3% 腎がん <1% 前立腺がん <1% 尿路狭窄性疾患 <1% 2.手順 1)尿試験紙検査が陽性で尿沈渣は陰性の患者では、6週あけて3回尿沈渣を行い、3回とも陰性であれば、追加の検査は不要である。 2)1回でも陽性であれば、尿路感染症や他の良性疾患(激しい運動、月経、最近の泌尿器科処置など)がないかを確認する。感染症治療後6週あけて、あるいは良性疾患の要因がなくなってから少なくとも48時間あけて、尿沈渣を再検、陰性なら追加検査は不要である。 3)これが陽性で、蛋白尿、赤血球円柱など腎疾患の可能性があれば、腎臓内科へ紹介する。腎疾患の可能性が低ければ、悪性腫瘍のリスクを評価し(表2)、初期評価として、病歴と身体所見、とくに血圧測定と腎機能評価を行う。また女性では内診を考慮し、男性には直腸診を行う。 【表2:危険因子】 35歳以上(日本のガイドラインでは40歳以上) 鎮痛薬の乱用 化学物質や染料への曝露 男性 喫煙者(既往も含む) 以下の既往 慢性的な体内異物留置 慢性的な尿路感染症 既知の発がん性物質や化学療法薬への曝露 肉眼的血尿 排尿時刺激症状 骨盤照射 泌尿器科疾患 3.画像診断【上部尿路評価】尿路造影CTは1回の検査で優れた診断的情報を提供する(感度91~100%、特異度94~97%)。腎機能低下例では、逆行性腎盂造影に単純CTまたは腎臓エコーを組み合わせて評価する(感度97%、特異度93%)。【下部尿路評価】リスク(表2)がある無症候性血尿患者には、年齢によらず膀胱鏡がすすめられる。尿細胞診は、膀胱がんに関して膀胱鏡に比べて感度が低く(48% vs. 87%)、リスクがない場合に、AUAガイドラインにおけるルーチン評価としてはもはや推奨されていない。4.フォローアップ適切な検査でも原因不明の場合には、尿検査を年1回、最低2年間行い、2回とも陰性であれば将来の悪性リスクは1%未満である。血尿が持続する場合は、3~5年以内に精査を繰り返すべきである。※本内容は、プライマリ・ケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) 日本腎臓学会ほか. 血尿診断ガイドライン2013 2) Victoria J.Sharp,et al. Am Fam Physician. 2013;88:747-754.

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怒るから腹が立つ【Dr. 中島の 新・徒然草】(010)

十の段 怒るから腹が立つ女房「それで何時間遅れて来よったん?」中島「1時間ほどかな」女房「そんなに遅れて来たんか!」休日に家の修理を頼んでいたのですが、職人さんが遅れて来たのです。中島「とりあえず怒り飛ばしといたで」女房「嘘ばっかり!アンタはいつもヘラヘラしてるやないの」中島「そやな。腹を立ててもしゃーないしな」女房「何を言うとるねん!」中島「人間ってのは腹が立つから怒鳴るんやない。怒鳴ったりするから腹が立つんやがな」女房「それホンマ?」中島「当ったり前や。人間は泣くから悲しいし、笑うから楽しいわけよ」われわれ医師も人間相手の仕事ですから、患者さん相手にいちいち感情的になっていたら身がもちません。なので、いつも顔だけはニコニコを心掛けています。そうすると不思議なことに、腹も立たなくなり、何となく楽しい気がしてきます。もちろん、腹の立つ状況も起こるし、堪忍袋の緒が切れそうになることもあります。しか~し、そんな時こそギャグをかましましょう。さりげなく相手の非を指摘しつつ、周囲も自分も大笑い! 大阪人として最高の境地といえますが、まだまだ私にも修行が必要です。

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車の排気ガスは学童の喘息発症と関連~日本人学童1万人を調査~

 交通関連の大気汚染は、学童の喘息発症と関係していることが、京都大学大学院医学研究科の山崎 新氏らにより報告された。Journal of exposure science & environmental epidemiology誌オンライン版2014年3月12日の掲載報告。 大気汚染が喘息の増悪を引き起こしうることは広く理解されている。 そこで、交通関連の大気汚染が学童の喘息発症と、どう関係しているのかを調べた。本コホート研究は、環境省そらプロジェクトの一環である。 対象は小学1~3年生(6~9歳)までの学童1万69人。主要アウトカムは、質問票調査から得た喘息の発症率だった。研究終了後の4年間は、毎年フォローアップ調査を行った。交通関連の大気汚染の個別レベルの曝露量を評価するため、家と学校の両方で曝露量を計算するシュミレーションモデルを用いた。交通関連の大気汚染のサロゲート評価指標として、自動車排出ガスの窒素酸化物(NOx)と元素状炭素(EC)の年間個人平均曝露量を推定した。交絡因子は、離散時間ロジスティック回帰分析モデルで調整を行った。 その結果、ECの曝露量と喘息の発症率に関連がみられた。喘息発症のオッズ比は、EC 濃度0.1 μg/m3 増加あたり 1.07(95% CI:1.01~1.14)、NOx濃度1 p.p.b.増加あたり、 1.01(95% CI:0.99~1.03)であった。

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ロマンチックな恋愛は幸せか

 人は恋に落ちる。これまでの研究では青年、成人のどちらもロマンチックな恋愛の喜びや幸せといった精神状態を経験していることが示されている。一方で、思春期のロマンチックな恋愛は抑うつや不安症状と関連しているというエビデンスがあるが、成人におけるこれらのデータは存在しない。イラン・テヘラン大学のHafez Bajoghli氏らは、成人におけるロマンチックな恋愛と抑うつや不安、軽躁症状や睡眠との関連を調査した。International journal of psychiatry in clinical practice誌オンライン版2014年3月10日号の報告。 100人のイラン人成人を対象に調査を行った(平均年齢:26歳、男性比率:53%)。調査対象者はロマンチックな恋愛と抑うつ、不安、軽躁症状、睡眠に関するアンケートへの回答を行った。 主な結果は以下のとおり。・ロマンチックな恋愛の増加状態は、軽躁症状の明るい面、および強い抑うつ症状や不安状態、より良い睡眠の質と関連していた。・睡眠時間との関連は認められなかった。・首尾よく恋をしているごく限られた成人を対象とした精神生物学的研究結果と異なり、成人においてもロマンチックな恋愛は人生の喜びや幸せだけを提供する期間ではないことが示された。・若年成人においても思春期同様に、恋愛は不確実で不快な感情に関連する重要なライフイベントであると考えられる。関連医療ニュース 食生活の改善は本当にうつ病予防につながるか 少し歩くだけでもうつ病は予防できる 1日1杯のワインがうつ病を予防  担当者へのご意見箱はこちら

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EV71ワクチン、乳幼児の手足口病に効果、中国発/NEJM

 中国で開発されたエンテロウイルス71(EV71)ワクチンの、乳幼児における手足口病またはヘルパンギーナに対する有効性、安全性および免疫原性について、中国疾病予防管理センター(CDC)のFengcai Zhu氏らが、第III相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を発表した。プラセボ群との比較で、ワクチンの有効率は94.8%と有意に高く、一方で重篤な有害事象の発生は同程度であり、接種後56日時点で2回接種により98.8%に免疫応答が認められたことを報告した。またEV71関連疾患の入院、および神経合併症を伴う手足口病については100%の予防効果が認められたという。著者は、「乳幼児におけるEV71関連の手足口病またはヘルパンギーナは、EV71ワクチン接種によって予防された」と結論づけている。NEJM誌2014年2月27日号掲載の報告より。健康な6~35ヵ月齢1万7例対象に第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験 試験は2012年1月に、江蘇省の3県・35地点で、健康な乳幼児(6~35ヵ月齢)1万7例を登録して行われた。研究グループは対象児を無作為に2群に分け、一方の群にはEV71ワクチンを、もう一方の群にはプラセボを、28日間隔で2回接種(筋注)し、12ヵ月間にわたりサーベイランスを行った。 主要エンドポイントは、EV71関連の手足口病またはヘルパンギーナの発生だった。ワクチン有効率94.8%、入院・神経合併症は100%予防 intention-to-treat分析の結果、サーベイランス期間12ヵ月間のEV71関連疾患の発生率は、ワクチン接種群0.3%(13/5,041例)、プラセボ群2.1%(106/5,028例)だった。 EV71関連の手足口病またはヘルパンギーナに対するワクチンの有効率は94.8%(95%信頼区間[CI]:87.2~97.9%、p<0.001)、EV71関連入院(0例対24例)、神経合併症を伴う手足口病(0例対8例)に対しては、同100%(95%CI:83.7~100%、42.6~100%)であった。 重大有害事象は、ワクチン接種群2.2%(111/5,044例)、プラセボ群2.6%(131/5,033例)の発生であった。 免疫原性について検討したサブグループ(1,291例)において、2回接種により56日時点で参加者の98.8%で抗EV71免疫応答が誘発された。抗EV71中和抗体力価1:16が、EV71関連の手足口病またはヘルパンギーナの予防と関連していた。

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