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H7N9型インフル、ヒト-ヒト感染の可能性依然残る/NEJM

 2013年に中国で発生した新型鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染例のほとんどでは疫学的な関連性が認められず、ヒト-ヒト間伝播の可能性は除外できないことが、中国・公衆衛生救急センターのQun Li氏らの調査で判明し、NEJM誌2014年2月6日号で報告された。2013年2~3月に、中国東部地域でH7N9ウイルスのヒトへの感染が初めて確認された。これまでに急速に進行する肺炎、呼吸不全、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、死亡の転帰などの特性が報告されているが、研究者はその後も詳細な実地調査などを進めている。2013年12月1日までの感染者の疫学的特性を実地調査データで検討 研究グループは、今回、2013年12月1日までに確認されたH7N9ウイルス感染例の疫学的特性を検討する目的で、実地調査で得られたデータの解析を行った。 H7N9ウイルスの感染は、リアルタイムPCR(RT-PCR)、ウイルス分離または血清学的検査で確定し、個々の確定例について実地調査を行った。人口統計学的特性、曝露歴、疾患の臨床経過に関する情報を収集した。 患者との濃厚接触者は7日間、経過を観察し、症状がみられた場合は咽頭スワブを採取してリアルタイムRT-PCRでH7N9ウイルスの検査を行った。82%が動物と接触、99%入院、90%下気道疾患、34%院内死亡、濃厚接触者すべて陰性 H7N9ウイルス感染が確定した139例が解析の対象となった。年齢中央値は61歳(2~91歳)、58例(42%)が65歳以上、4例(3%)は5歳未満であり、98例(71%)が男性、101例(73%)は都市部の住民であった。感染例は中国東部の12地域にみられ、9例(6%)が家禽業従事者であった。 データが得られた108例中79例(73%)に基礎疾患(高血圧32例、糖尿病14例、心疾患12例、慢性気管支炎7例など)が認められた。動物との接触は、データが得られた131例のうち107例(82%)に認められ、ニワトリが88例(82%)、アヒルが24例(22%)、ハトが13例(12%)、野鳥が7例(7%)などであった。これらの知見からは、疫学的な関連性はとくに認められなかった。 137例(99%)が入院し、125例(90%)に肺炎または呼吸不全がみられた。データが得られた103例中65例(63%)が集中治療室(ICU)に収容された。47例(34%)が院内で死亡し(罹患期間中央値21日)、88例(63%)は退院したが、重症の2例は入院を継続した。 4つの家族内集積例では、H7N9ウイルスのヒト-ヒト間伝播の可能性を否定できなかった。家族内の2次感染例を除く濃厚接触者2,675人が7日間の観察期間を終了した。このうち28例(1%)に呼吸器症状の発現がみられたが、全員がH7N9ウイルス陰性だった。 著者は、「H7N9ウイルス感染確定例のほとんどが重篤な下気道疾患を発現し、疫学的な関連性は認められず、家禽への直近の曝露歴を有していたが、4家族ではH7N9ウイルスの限定的で非持続的なヒト-ヒト間伝播の可能性が除外できなかった」としている。なお、最近、香港や台湾でも感染例が見つかっており、同誌のエディターは「2014年1月21日現在、確定例は200例を超え、2013年12月1日以降に発見された症例は65例以上にのぼり、アウトブレイクは進行中である」と補足している。

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変形性関節症の痛み、天候との関連は患者の訴えどおりだが…

 オランダ・エラスムス大学医療センターのDesiree M.J. Dorleijn氏らは、2年間にわたるコホート研究の結果、気圧と相対湿度が変形性股関節症(股関節OA)の臨床症状と関連していることが示されたと発表した。ただし、そのような気象変数が症状の重症度に寄与している程度は小さく、臨床的に重要とはみなされない、とまとめている。PAIN誌オンライン版2014年1月24日号の掲載報告。 研究グループは、股関節OAのプライマリ・ケア患者222例を対象に、臨床症状と天候との関連を評価する2年間の前向きコホート研究を行った。 気象変数は、気温、風速、総日照時間、降水量、気圧、相対湿度であった。主要評価項目は、股関節痛の重症度と股関節機能障害で、WOMACスコアを用いて3ヵ月ごとに評価した。 主な結果は以下のとおり。・反復測定の多変量調整線形混合モデル分析の結果、アンケート完了日の平均相対湿度とWOMAC疼痛スコア(推定値:0.1、95%信頼区間[CI]:0.0~0.2、p=0.02)、平均気圧とWOMAC機能スコア(同:0.1、0.0~0.1、p=0.02)との関連が認められた。・その他の気象変数とWOMAC疼痛スコアまたは機能スコアとの関連はなかった。・今回の検討の結果は、気圧と相対湿度がOAの臨床症状に影響するという、OA患者の意見を裏付けるものであった。しかし、これら気象変数によるOA症状の重症度への寄与は1%未満であり、臨床的に重要とはみなされないものであった。

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殺虫剤でアルツハイマー病リスクが増加

 米国・ラトガース大学のJason R. Richardson氏らは、アルツハイマー病(AD)患者では殺虫剤成分の代謝物であるジクロロジフェニルジクロロエチレン(DDE)濃度が上昇していることに着目し、血清DDE濃度とADとの関連、およびアポリポ蛋白E(APOE)遺伝子型の関与を明らかにするためケースコントロール研究を行った。その結果、血清DDE高値はADのリスク上昇と関連していること、APOEε4アレルを保有する例でその関連が強くみられることを報告した。JAMA neurology誌オンライン版2014年1月27日号の報告。 遅発性ADの原因はいまだ不明であるが、遺伝的、環境的およびライフスタイルなどの要因が複合して発症に関与していると思われる。これまで、限られた疫学研究により、職業上の殺虫剤への曝露がADと関連していることが示唆されていることから、研究グループは以前、20例という少数例の検討ではあるが、AD患者で殺虫剤のジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)の代謝物であるDDEの血清濃度が上昇していることを報告した。本研究では、血清DDE濃度とADとの関連、およびその関連にAPOE遺伝子型が関与しているか否かを検討した。エモリー大学アルツハイマー病研究センターおよびテキサス大学サウスウェスタンメディカルスクール・アルツハイマー病センターから、AD例ならびに対照例を抽出しケースコントロール研究を行った。AD86例と対照79例において、血清DDE濃度を測定。Mini-Mental State Examination(MMSE)スコアによりADの診断と重症度を評価し、APOE4との関連を検討した。 主な結果は以下のとおり。・AD例の血清DDE濃度(平均[SEM]:2.64[0.35]ng/mgコレステロール)は、対照(同:0.69[0.1]ng/mgコレステロール、p<0.001)と比較して3.8倍高かった。・DDE値の最高三分位におけるAD発症のオッズ比は、4.18(95%CI:2.54~5.82、p<0 .001)で、MMSEスコアは、より低スコアであった(-1.605、範囲:-3.095~-0.114、p<0 .0001)。・APOEε4アレルを保有するサブ集団のDDE値の最高三分位におけるMMSEスコアは、 APOEε3アレルを保有するサブ集団に比較して、-1.753ポイント低かった(相互作用p=0.04)。・血清DDE濃度と脳内DDE濃度との間に強い関連がみられた(ρ=0.95)。・ヒト神経芽細胞腫細胞にDDTまたはDDEを曝露させると、アミロイド前駆体蛋白レベルの増加がみられた。・以上のことから、血清DDE濃度の上昇はADリスクの増加と関連し、APOEε4アレルがより強く関与していることが推察された。DDTとDDEがアミロイド前駆体蛋白レベルを上昇させたことは、DDE曝露とADとの関連の妥当性を裏付ける知見と言える。血清DDE濃度が高く、APOEε4アレルを保有している例の特定が、ADの早期発見につながる可能性がある。関連医療ニュース アルツハイマー病、アミロイドβ蛋白による“炎症反応”が関与 日本人の認知症リスクに関連する食習慣とは 複雑な薬物療法レジメン、認知症介護者の負担増加

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大酒飲みは早死する/Lancet

 ロシアの喫煙男性は、ウオッカ摂取量が多いほど死亡リスクが増大することが、ロシアがん研究センターのDavid Zaridze氏らが、約20万人を対象に行った前向き観察試験で明らかになった。また、その主な原因は、これまでの研究結果で特定されていた事故や自殺といった外因や、上部気道消化管がん、肝臓がんなどの疾患であることも確認されたという。Lancet誌オンライン版2014年1月31日号掲載の報告より。35~54歳20年死亡リスク、ウオッカ摂取量週3本以上は1本未満の2倍超 研究グループは、1999~2008年にかけて、ロシアの3都市で、成人20万例に聞き取り調査を行い、2010年まで追跡して死因別死亡率を調べた。既往歴のない15万1,000例について35~74歳までフォローアップし、ポアソン回帰分析にて、ウオッカ摂取量と死亡リスクとの関連を分析した。 被験者のうち、既往歴のない男性喫煙者5万7,361人について分析した結果、35~54歳での20年死亡リスクは、ベースライン時の週当たりのウオッカ摂取量が1本未満の人が16%(95%信頼区間:15~17%)、1~2.9本が20%(同:18~22%)、3本以上が35%(同:31~39%)と、摂取量が増えるに従ってリスクが増大した(傾向p<0.0001)。超過死亡の原因は外因と上部気道消化管がん、肝臓がん、肝疾患など また、55~74歳での同死亡リスクも、ウオッカ摂取量が少ないほうから、それぞれ50%(同:48~52%)、54%(同:51~57%)、64%(同:59~69%)だった(傾向p<0.0001)。 ウオッカ摂取量が多い人の超過死亡率は、事故や自殺といった外因によるもの、または、別の後ろ向き試験の結果から明らかになった上部気道消化管がん、肝臓がん、その他の肝疾患などのアルコール摂取と関連する8つの疾患が主な原因だった。 一方で、自己申告のウオッカ摂取量については減少傾向の変動がみられた。週3本以上飲んでいると申告した人も数年後に再インタビューした時には、その半数以上が1本未満に減量していた(185/321例)。そのため、大量飲酒のハザードは減ると思われたが、ベースライン時の自己申告によるウオッカ摂取量は死亡リスクの強力な予測因子であった。また、男性の非喫煙者や女性では、自己申告による大量飲酒はまれだったが、同様の絶対超過死亡リスクがあることも示唆されたという。

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心血管疾患リスク、妊娠第1期の発育が重要/BMJ

 妊娠第1期の胎児頭殿長が大きいほど、小児期の心血管リスクは低いことが、約1万2,000例の妊婦の胎児を対象にした前向きコホート試験の結果、明らかになった。オランダ・エラスムス大学医療センターのVincent W V Jaddoe氏らが報告した。出生時体重が小さいと、成人してからの心血管疾患リスクが増大することは知られていたが、胎児または乳児のどの時期が重要なのかは不明だった。今回の結果を踏まえて著者は、「胎児期早期が後年の心血管系の健康に関して重要な時期のようだ」と述べている。BMJ誌オンライン版2014年1月23日号掲載の報告。年齢中央値6歳時点で心血管リスクを測定 研究グループは、オランダ在住で妊娠直前の月経初日が明らかだった妊婦1,184例の胎児について、前向き追跡調査を行った。妊娠第1期の胎児頭殿長と小児期の心血管リスクについて、その関連を分析した。 具体的には、被験児の年齢中央値が6歳の時点で、BMI、体脂肪分布、腹部脂肪分布、血圧、血中コレステロール値、トリグリセリド値、インスリン値、Cペプチド値などを測定した。妊娠第1期の胎児頭殿長が大きいほど、総・LDLコレステロール値が低値 結果、妊娠第1期の胎児頭殿長が大きいほど、心血管リスク因子の集積が少なかった(1標準偏差増大による相対リスク:0.81、95%信頼区間:0.66~1.00)。 胎児頭殿長が1標準偏差大きいと、小児期の体脂肪量(-0.30%、同:-0.57~-0.03)、アンドロイド脂肪量(-0.07%、同:-0.12~-0.02)、アンドロイド/ガイノイド脂肪量比(-0.53、同:-0.89~-0.17)、拡張期血圧(-0.43mmHg、同:-0.84~-0.01)、総コレステロール値(-0.05mmol/L、同:-0.10~0)、LDLコレステロール値(-0.04mmol/L、同:-0.09~0)がいずれも低値だった。これらの関連は、在胎齢、出生時体重で補正してもわずかに変化しただけだった。 小児期のBMIは、妊娠第1期の胎児頭殿長と小児期総体脂肪量との関連を示すものだった。妊娠第1期の胎児発達は、他の心血管アウトカムとは関連していなかった。 縦断的成長分析の結果では、心血管リスク因子の集積がない学齢期小児と比較して、同リスクの集積がある学齢期小児は、妊娠第1期の胎児頭殿長が小さく、妊娠第2~3期の胎児体重が低かったが、月齢6ヵ月以降は体重増が大きかった。

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発毛効果の比較:フィナステリドvs.デュタステリド

 チリ・Centro Medico SkinmedのWalter Gubelin Harcha氏らは、男性型脱毛症の治療の有効性と安全性について、デュタステリド(商品名:アボルブ、わが国では前立腺肥大症治療薬として承認)とプラセボ、フィナステリド(同:プロペシア)を比較する無作為化試験を行った。その結果、24週時点の評価で、デュタステリドの発毛・育毛が、フィナステリドおよびプラセボよりも有意に増大し、忍容性も比較的良好であったことを報告した。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2014年1月10日号の掲載報告。 試験は、男性型脱毛症の20~50歳男性を対象とし、デュタステリド投与を受ける群(0.02、0.1、0.5mg/日)、フィナステリド投与を受ける群(1mg/日)、プラセボを受ける群に無作為に割り付けられ、24週間治療を受けた。 主要エンドポイントは、24週時点の直径2.54cmにおける毛髪数であった。また直径1.13cmにおける毛髪数と太さ、研究者とパネルによる写真評価、ステージの変化、健康アウトカムなども評価した。 主な結果は以下のとおり。・総計917例の男性が無作為化を受けた。・毛髪数と太さは、デュタステリド群で用量依存的に増大した。・デュタステリド0.5mg群は、24週時点で、フィナステリド群およびプラセボ群と比較して、直径2.54cmにおける毛髪数と太さが有意に増大し、発毛の改善(正面撮影像:パネル写真評価)も認められた(フィナステリド群:p=0.003、p=0.004、p=0.002、プラセボ:すべてp<0.001)。・有害事象の発生数および重症度は、治療間で同程度であった。・以上のように、デュタステリドは、男性型脱毛症の男性において発毛と育毛を増大し忍容性も比較的良好であった。

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統合失調症の新たなバイオマーカー:順天堂大学

 順天堂大学の勝田 成昌氏らは、急性期統合失調症患者における末梢血のカルボニルストレスマーカー測定の意義について、横断および縦断的研究にて検討した。これまで、慢性統合失調症患者について横断研究による同検討は行われており、末梢カルボニルストレスマーカーの変化、すなわち血清ペントシジンが高値であることはカルボニルストレスが蓄積されていることを示し、またピリドキサール(ビタミンB6)が低値であることはカルボニル化合物活性の緩和を示すことが知られていた。しかし、そうした変化について縦断的な検討はされていなかった。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2014年1月21日号の掲載報告。 本検討は、日本人急性期統合失調症患者を対象に、カルボニルストレスマーカーが統合失調症の臨床経過のバイオマーカーとして有用であるかについて、横断および縦断的研究にて明らかにすることが目的であった。 主な結果は以下のとおり。・137例の患者が登録され、53例について急性期から寛解期まで経過観察した。・急性期において一部の患者(14例、10.2%)で、血清ペントシジン値が極度に高値であった。・同値は、症状の重症度とは関連していなかったが、抗精神病薬の用量総計と関連していた。・ピリドキサール値は、統合失調症では低値であり、臨床経過とともに増加がみられた。・また、同値が臨床経過とともに減少した18例は、減少値が大きいほど症状改善が乏しいことが認められた。・以上のように、一部の患者におけるペントシジン値の極端な高値は、抗精神病薬の1日服薬量が高値であることによって引き起こされた可能性があった。一方で、ピリドキサール値は統合失調症では低値であり、臨床経過とともに増加した。臨床経過中にピリドキサール値が低下した患者では、症状の改善が乏しかった。・カルボニルストレスマーカーは、統合失調症患者において治療のためのバイオマーカーとなる可能性が示唆された。関連医療ニュース 統合失調症の診断・治療に期待!新たなバイオマーカー 統合失調症の発症は予測できるか、ポイントは下垂体:富山大学 統合失調症患者の再発を予測することは可能か?

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破裂性腹部大動脈瘤に対する開腹手術 vs. 血管内修復術(コメンテーター:中澤 達 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(172)より-

英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのJanet T Powell氏らのIMPROVE(Immediate Management of Patients with Rupture: Open Versus Endovascular repair)試験研究グループが、30施設・613例の無作為化試験の結果から、破裂性腹部大動脈瘤に対する治療戦略について、開腹手術と血管内修復術とでは30日死亡率低下およびコスト削減に有意差はないことを示した。 これまで、同治療戦略について、選択的患者を対象とした英国内単施設の検討では、血管内修復術が開腹手術よりも30日死亡率が約30%低いことが示されていた。また、他施設や他国の多施設で行われた小規模試験では、両者間の違いは示されていなかった。これらの先行研究は、破裂性腹部大動脈瘤が、常に緊急の血管内修復術適応の形態を有してはいないこと、また同施術を常時提供するには人的・物的整備が必要で、現状では多くの施設がその基準を満たせないことなどの問題があった。 IMPROVE無作為化試験では、破裂性腹部大動脈瘤が疑われる患者について、血管内修復術(形態が適切な場合に施行し、不適な場合は開腹手術に切り替える)と開腹手術の術後早期死亡率について検討した。2009~2013年に、30施設にて613例(男:女 480例:133例)を対象に行われた。被験者は無作為に、316例が血管内修復術を受ける群に(275例が破裂性腹部大動脈瘤と確認、血管内修復術適応は174例)、297例が開腹修復術を受ける群に(261例が確認例)割り付けられた。主要アウトカムは30日死亡率。また、24時間死亡率、院内死亡率、入院コスト・期間、退院先などを2次アウトカムとした。 結果、30日死亡率は、血管内修復術群35.4%(112/316例)、開腹手術群37.4%(111/297例)であった。オッズ比は、補正後0.94(同:0.67~1.33、p=0.73)で両群間に有意差はみられなかった。性別にみたオッズ比は、女性が0.44(同:0.22~0.91)に対し男性は1.18(0.80~1.75)で、女性のほうが男性よりも血管内修復術を受けるベネフィットがみられた(p=0.02)。破裂性と確認された患者の30日死亡率は、血管内修復術群36.4%(100/275例)、開腹手術群40.6%(106/261例)で、有意差はみられなかった(p=0.31)。  24時間死亡率については補正前オッズ比1.15であり、院内死亡率は30日死亡率と同程度だった(オッズ比:0.92)。一方で平均入院期間は血管内修復術群で短く(9.8日vs. 12.2日)、退院先について、自宅に直接退院できた人が同群で有意に多かった(94%vs.77%、p<0.001)。しかし医療コストの有意な削減効果はみられなかった。 EVAR trialでは、腹部大動脈瘤に対する待機的血管内修復術と開腹手術を比較し、血管内修復術群の死亡率は3年後まで低いが、それ以降は差がなくなっていた。このことから考えると、破裂という厳しい周術期を乗り越えた30日以降は、血管内修復術群がendoleakによる晩期破裂が発生し死亡率は上昇する、とも考えられる。 一方、医療コストに関しても、血管内修復術はICU入室期間が短く、自宅退院率が高いことで高額デバイスコストを吸収したが、30日以降は血管内修復術のendoleakにより追加治療症例が増加し、血管内修復術群の医療費が高騰するのは確実である。また、女性に血管内修復術のベネフィットがある理由も不明であるため、長期にわたる死亡率と費用対効果の検討を男女共に行う必要がある。

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急性心筋梗塞アウトカム、国家間で格差/Lancet

 急性心筋梗塞の治療およびアウトカムについて、英国とスウェーデンの国家間の違いを検証した結果、プライマリ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の施行率や使用頻度の高い薬物の傾向、30日死亡率などに大きな格差があることが、英国・ロンドン大学のSheng-Chia Chung氏らによる検討で明らかにされた。これまで急性心筋梗塞について、医療システムが異なる国家間での比較という観点が欠落していたという。著者は、「このような国家間の比較研究は、医療システムの改善と死亡抑制に役立つと思われる」とコメントしている。Lancet誌オンライン版2014年1月23日号掲載の報告より。スウェーデンと英国を比較、主要アウトカム30日死亡率 スウェーデンと英国の、急性心筋梗塞の治療およびアウトカムの傾向についての評価は、両国のアウトカムレジストリ(スウェーデン:SWEDEHEART、RIKS-HIA、英国:MINAP)の短期生存データを比較して行われた。レジストリには、両国の急性心筋梗塞に対する治療を提供している全病院のデータが登録されており、研究グループは、2004~2010年に登録された連続患者(スウェーデン:11万9,786例、英国:39万1,077例)を評価した。 主要アウトカムは、入院後全死因30日死亡率であった。また、間接的なケースミックス標準化を用いて治療の有効性について比較した。スウェーデン7.6%、英国10.5%、プライマリPCI実施率や薬物療法の傾向にも違いが 分析の結果、30日死亡率は、スウェーデン7.6%(95%信頼区間[CI]:7.4~7.7%)、英国は10.5%(同:10.4~10.6%)であった。死亡率は臨床的にみたサブグループ(トロポニン値、ST部分上昇、年齢、性別、心拍数、収縮期血圧、糖尿病の病状、喫煙状況によって定義)においても、英国のほうが、より高率だった。 治療の傾向では、スウェーデンでは英国と比較して、プライマリPCIの施行が早期に広範に行われており(59%対22%)、また退院時のβ遮断薬の使用頻度が高かった(89%対78%)。 ケースミックス補正後の比較で、英国のスウェーデンに対する30日死亡率比は、1.37(95%CI:1.30~1.45)だった。これは過剰死亡1万1,263例(95%CI:9,620~1万2,827)に相当する。一方で、両国間の死亡率比は経年的には縮小している傾向がみられた(2004年:1.47、95%CI:1.38~1.58/2010年:1.20、1.12~1.29、p=0.01)。

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最重症COPDに低用量オピオイドは安全か/BMJ

 低用量オピオイド(経口モルヒネ30mg/日以下相当)は、COPD患者の入院や死亡を増大せず、重度呼吸器疾患における症状軽減への使用は安全である可能性が報告された。スウェーデン・ルンド大学のMagnus P Ekstrom氏らが行った同国住民ベースの前向き連続患者コホート研究の結果で、一方で、高用量オピオイドは死亡を増大する可能性も示された。重度呼吸器疾患の患者では慢性の息切れ(呼吸困難)がみられるが、オピオイドによる緩和が可能である。またCOPD患者では一般に不安解消のためにベンゾジアゼピン系薬が用いられているが、これらの単独または併用使用が、呼吸抑制や入院、早期死亡を招くのではないかという懸念があった。BMJ誌オンライン版2014年1月30日号の掲載報告。スウェーデン最重症COPD患者2,249例への使用を評価 研究グループは、最重症のCOPD患者に対するベンゾジアゼピン系薬とオピオイド使用の安全性について評価することを目的に、2005~2009年にスウェーデンでCOPDの長期酸素療法を受けたSwedevox Register登録患者2,249例について分析した。 主要評価項目は、ベンゾジアゼピン系薬とオピオイドの入院率または死亡率への影響で、年齢、性別、動脈血ガス、BMI、呼吸機能状態、入院歴、併存疾患、併用薬で補正し評価した。 2,249例(うち女性59%)のうち、ベンゾジアゼピン系薬使用患者は535例(24%/74.2歳、FEV1 30.0%)、オピオイド使用患者は509例(23%/74.3歳、33.2%)だった。また200例(9%)がベースライン時に両種の薬物を併用していた。高用量は死亡を増大するが、低用量は死亡を増大しない 入院については、2,214例(試験開始時に入院しており退院せずに死亡した35例を除外)を対象に分析した。そのうち1,681例(76%)が入院となったが(追跡期間中央値76日後)、ベンゾジアゼピン系薬もオピオイドも入院率増大との関連はみられなかった。それぞれのハザード比(HR)は0.98(95%信頼区間[CI]:0.87~1.10)、0.98(同:0.86~1.10)だった。また、入院率増大との関連は、高用量投与でもみられなかった。一方、両薬剤の併用は入院率低下と関連していた(HR:0.67、p=0.003)。 観察期間中(2009年末まで)の死亡は、1,129例(50%)だった(追跡期間中央値1.1年)。 ベンゾジアゼピン系薬は、補正後死亡率増大と関連していた(HR:1.21、95%CI:1.05~1.39)。また、高用量であるほど死亡率が上昇する用量依存の傾向がみられた(1日定義用量0.1増大につきHR:1.01、p=0.082)。 一方、オピオイドは、死亡率増大と用量依存の直線的な関連を示し、低用量オピオイド(経口モルヒネ30mg/日以下相当)は死亡率増大と関連していなかった(HR:1.03、95%CI:0.84~1.26)。対照的に高用量は死亡率増大と関連していた(同:1.21、1.02~1.44)。また併用と死亡の関連についても、オピオイドの高用量使用は死亡率増大と関連していたが、低用量使用では死亡リスクは増大しなかった。 これらの関連は、以下の影響を考慮しても変わらなかった。他の薬物との併用(p=0.400)、高炭酸ガス血症(ベンゾジアゼピン系薬p=0.26、オピオイドp=0.22)、各薬剤にナイーブであったこと(それぞれp=0.22、p=0.25)、不安症/うつ病の併存(ベンゾジアゼピン系薬p=0.34)、既往外傷(オピオイドp=0.53)。

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脊椎変性疾患の慢性腰痛にパミドロン酸は有効か

 ビスホスホネート静脈内投与は、骨パジェット病、転移性骨疾患、多発性骨髄腫などの疼痛緩和に用いられるが、慢性腰痛に対する症例報告も散見される。米国・Grunenthal社のMarco Pappagallo氏らは、慢性腰痛を伴う脊椎変性疾患患者を対象に、パミドロネート(パミドロン酸二ナトリウム、商品名:アレディアほか)静脈内投与の有効性を検討するパイロット試験を行った。結果、パミドロネート180mg投与において、プラセボと比較して有意な改善効果がみられることが示されたという。PAIN誌2014年1月号(オンライン版2013年9月23日号)の掲載報告。 本研究は、無作為化プラセボ対照比較試験として実施された。対象は慢性腰痛を伴う脊椎の変性疾患患者で、11例ずつ(パミドロネート投与7例、プラセボ投与4例)の4グループが登録され、それぞれパミドロネート30mg、60mg、90mgおよび180mg(90mgを2回)を静脈内投与した。 電子日記を用いて疼痛スコアを毎日記録してもらい、投与1ヵ月後、2ヵ月後、3ヵ月後および6ヵ月後に評価した。主要評価項目は、安全性および試験開始時からの平均疼痛スコアの変化量であった。 主な結果は以下のとおり。・パミドロネートの投与に関連する、重篤な有害事象などは認められなかった。・6ヵ月後の平均疼痛スコアの変化量(最小二乗平均±標準誤差)は、プラセボ群-1.39±0.43、パミドロネート30mg群-1.53±0.71、60mg群-1.26±0.81 、90mg群-1.42±0.65、180mg群-4.13±0.65であった(p=0.012、パミドロネート180mg vs プラセボ)。・パミドロネート180mg群ではプラセボ群と比較して、副次的評価項目(有効率、最悪な疼痛の変化、疼痛による日常生活機能の阻害度)の有意な改善がみられた。

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小児・思春期の双極性障害に対する非定型抗精神病薬vs気分安定薬

 米国・ヒューストン薬科大学のHua Chen氏らは、小児および思春期の双極性障害患者に対する非定型抗精神病薬と気分安定薬の有効性と安全性を比較検討する、後ろ向きコホート研究を実施した。その結果、非定型抗精神病薬は気分安定薬に比べ、治療中止や治療増強が少なく、より効果的で安全な治療選択肢となりうることが判明したと報告した。Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌オンライン版2014年1月24日号の掲載報告。 小児および思春期の双極性障害患者における非定型抗精神病薬(SGA)と従来薬である気分安定薬(MS)の、有効性と安全性の検討は、2003~2007年の5年間の、地域特性の異なる4州の医療請求書を基に後ろ向きコホート研究にて実施された。双極性障害に対してSGAまたはMSによる新たな治療を開始した6~18歳の小児および思春期患者を対象とし、12ヵ月間追跡して小児双極性障害(PBD)における2つの治療群の有効性と安全性を比較した。主要評価項目は、精神科病院への入院、あらゆる原因による治療中止および治療増強とした。未観察の交絡に起因する選択バイアスの可能性を、医師の処方傾向およびコホート登録時の年齢などの変数を用いて操作変数法で検討した。また、感度分析にて、PBD診断の不確実性に対する頑健性を検討した。 主な結果は以下のとおり。・小児および思春期の双極性障害は、7,423例が特定された。そのうち66.60%がSGA、33.40%がMSにより治療を開始していた。・MS群とSGA群で、精神科病院への入院リスクは同程度であった(HR:1.172、95%信頼区間[CI]:0.827~1.660)。・SGA群はMS群に比べ、治療中止(HR:0.634、95%CI:0.419~0.961)および治療増強(同:0.223、0.103~0.484)が少ない傾向にあった。・以上より、PBDにおいては、MS単独療法に比べてSGA単独療法のほうがより効果的で安全な治療選択肢になりうると考えられた。関連医療ニュース 小児双極I型障害に対するアリピプラゾールの効果は? うつ病から双極性障害へ転換するリスク因子は 双極性障害の診断、DSM-IV-TRでは不十分

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外傷性気胸後の処置に問題があり死亡したケース

救急医療最終判決判例タイムズ 988号258-264頁概要オートバイで直進中、右折車と衝突して受傷し、救急車でA病院へ搬送された27歳男性。胸部X線写真で左側の気胸、肋骨骨折を認めたため、エラスター針にて脱気を試みた。しかし改善が得られなかったために胸腔ドレーンを留置し、中からの脱気を確認したので、ドレーンの外側には詮をするなどの処置はせず、そのまま外気に開放とした。ところが、受傷から2時間半後に全身けいれん、硬直を呈して呼吸停止となり、死亡に至った。詳細な経過患者情報27歳男性経過1995年7月19日20:00頃オートバイ走行中に反対車線を走行してきた右折車と衝突、路上を数メートル滑走したのち、別の自動車とも衝突した。20:20頃最寄りのA病院に救急搬送。来院時意識は清明でバイタルサインに問題なし。痛みの訴えもなかったが、事故前後の記憶がはっきりとしなかった。21:00胸部X線写真で多発肋骨骨折と左肺の気胸を確認したため、まずはエラスター針を挿入したところ、一応の脱気をみた(のちの鑑定では、頸部皮下気腫、気管の健側への偏位、中等度の肺虚脱、左肺に境界不鮮明な斑状陰影:肺挫傷が確認された)。後方病院へ連絡をとりつつ、左上腕部の刺創に対する縫合処置を行ったのち、透視室で肺の膨張をみたが、改善はないため胸腔ドレナージを挿入した。その際、中からの脱気がみられたので外部から空気が入ることはないと判断し、ドレーンの外側には詮をするなどの処置は行わなかった。また、この時、血尿と吐血が少量みられた。23:30全身けいれん、硬直を呈して呼吸停止、心停止。ただちに心臓マッサージを開始。22:54動脈血ガス分析でpO2 54.3mmHgと低酸素血症あり。救急蘇生が続けられた。1995年7月20日01:33死亡確認。当事者の主張患者側(原告)の主張外傷性気胸に対して挿入した胸腔ドレーンを持続吸引器に接続したり、ウォーターシールの状態にする措置を講じることなく、外気に開放したままの状態にし、気胸の増悪を惹起した。呼吸障害が疑われるのに、早期に動脈ガス分析をすることを怠り(はじめて行ったのが呼吸停止・心停止後)、気管挿管や人工呼吸器管理をするなどして死亡を防止することができなかった。死亡原因は、左側気胸が緊張性気胸に進展したこと、および肺挫傷による低酸素血症である。病院側(被告)の主張いわゆる持続吸引がなされなかったことは不適切であると認めるが、当時病棟では持続吸引の準備をしていた。搬入後酸素投与は続けており、肺挫傷の出血などにより気道確保を必要とする症状はなく、呼吸障害も出現していないので、血液ガス分析をする必要はなかった。容態が急変して死亡した原因は、気胸の進行と肺挫傷に限定されず、胃、肝臓など多臓器損傷の関与した外傷性の二次性(不可逆性)ショックである。裁判所の判断1.可及的速やかに胸腔内の空気を胸腔外に誘導する目的の胸腔ドレーンを正しく胸腔内に挿入し、持続吸引器に接続したり、またはドレーンにウォーターシールを接続して外気との接触を遮断し、空気が胸腔内に流入しないようにして、緊張性気胸にまで悪化することを防ぐ必要があったのに、診療上の過失があった2.肺挫傷の治療は、気道内出血に対して十分なドレナージをするとともに、酸素療法すなわち動脈血ガス分析を行い、低酸素血症や呼吸不全の徴候が認められた場合には、ただちに人工呼吸を開始することが必要であって、動脈ガス分析は胸部外傷による呼吸や循環動態を把握するために不可欠な検査の一つ(診療契約上の重要な義務)であった3.確かに胃、腎臓などの多臓器損傷の可能性は否定できないが、一般に外傷性出血が原因で短時間のうちに死亡する場合には、受傷直後から重篤な出血性ショックの状態で、大量で急速の輸血・輸液にもかかわらず血圧の維持が困難で最終的には失血死に至るのが通常である。本件では受傷後2時間以上も出血性ショック状態を呈していないため、死因は左側気胸が緊張性気胸に進展したこと、および(または)肺挫傷による低酸素血症である原告側合計2,250万円の請求に対し、1,839万円の判決考察本件は救急外来を担当する医師にとっては教訓的な事例だと思います。救急外来でせっかく胸腔ドレナージを挿入しても、ドレナージの外側を外気にさらすと致命的な緊張性気胸に発展する恐れがある、ということです。胸腔ドレナージ自体は、比較的簡単にできるため、通常は研修医でも行うことができる処置だと思います。そして、この胸腔ドレナージはほかのドレナージ法とは異なり、必ず低圧持続吸引やウォーターシール法のバッグにつなげなければいけないと肝に命じておく必要があります。最近ではプラスチック製のデイスポーザブル製品が主流であり、それを低圧持続吸引器(気胸の場合には-7~-10cmH2Oの吸引圧)に接続するだけで緊張性気胸の危険は避けられます。もし専用の器具がなくても、広口ビンや三角コルベンに水を入れてベッド下の床に置くだけで、目的を達することができます。本件は当時救急当番であったため、救急患者で多忙をきわめており、必要な処置だけをすぐに行ってほかの患者の対応に追われていたことが考えられます。そのような状況をも考慮に入れると、有責とされた病院側には気の毒な面もないわけではありませんが、やはり基本的な医療処置を忠実に実践することを常に心掛けたいと思います。救急医療

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カルシウム拮抗薬の酒さリスク増大は都市伝説

 スイス・バーゼル大学のJ. Spoendlin氏らは、カルシウム(Ca)拮抗薬、β遮断薬およびそのほかの降圧薬服用と酒さ発症との関連について調査を行った。その結果、Ca拮抗薬は酒さのリスクを増大するという一般的な概念を否定するデータが得られたこと、またβ遮断薬についてはわずかに酒さのリスクを低下し、その効果は紅斑毛細血管拡張性酒さの患者においてやや強い可能性があることを報告した。降圧薬と酒さのリスクについては、エビデンスが不足しているにもかかわらず、Ca拮抗薬の使用は酒さ患者を失望させるものとされる一方、β遮断薬は紅斑毛細血管拡張性酒さの適応外治療として推奨されている。British Journal of Dermatology誌オンライン版2014年1月16日号の掲載報告。 研究グループは、英国のGeneral Practice Research Databaseを活用して、1995~2009年に初発の酒さが記録されていた症例を対象に降圧薬と酒さ発症との適合症例対照研究を行った。 各症例と対照は、年齢、性別、かかりつけ医(GP)、インデックス日付前のデータベースにおける既往歴の年数で適合された。被験者を、多変量条件付きロジスティック回帰モデルにて、降圧薬服用の開始時期(あるいはインデックス日付より180日超前)および期間(処方回数)で層別化して評価した。 主な結果は以下のとおり。・症例5万3,927例と対照5万3,927例について評価した。・全層別群でのCa拮抗薬服用者について統一オッズ比(OR)を用いて評価した結果、処方回数40回以上のジヒドロピリジン系Ca拮抗薬の現在服用者について、わずかであるがORの減少が認められた(OR:0.77、95%信頼区間[CI]:0.69~0.86)。・服用開始時期や期間にかかわらず、β遮断薬のアテノロール(商品名:テノーミンほか)、ビソプロロール(同:メインテートほか)も、わずかだが全層別群にわたってORを低下した。プロプラノロール(同:インデラルほか)のORは1.0であった。・ACE阻害薬やARBの酒さリスクとの関連はいずれも変わらなかった。・著者は、「われわれのデータは、Ca拮抗薬は酒さのリスクを増すという一般的な概念を否定するものであった。β遮断薬は酒さのリスクをわずかに減少した。その効果は、紅斑毛細血管拡張性酒さの患者においてやや強い可能性がある」とまとめている。

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認知症患者への精神療法、必要性はどの程度か

 英国・ロンドン大学のVasiliki Orgeta氏らは、認知症に対する標準的ケアに精神療法を追加することで、併存することの多い不安や抑うつに有効であるか否かを明らかにするため、システマティックレビューを行った。その結果、抑うつおよび医師評価による不安は精神療法により軽減すること、その一方で自己評価あるいは介護者評価による不安の軽減には有効性を認めなかったことを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2014年1月22日号の掲載報告。 認知症および軽度認知障害(MCI)を有する者は不安や抑うつを非常によく経験するため、精神的な介入が有用な治療とされてきた。また最近の研究で、認知症およびMCIではwell-beingの改善を目的とした精神療法の機会が限られていることが示唆されている。したがって、アウトカム改善および将来的な実臨床での推奨という観点から、精神療法の有効性に関するエビデンスを把握するためのシステマティックレビューは有用だと考えられる。このような背景からOrgeta氏らは、認知症またはMCIにおける不安および抑うつの軽減を目的とした精神療法の有効性を評価するため、レビューを行った。 Cochrane Dementia and Cognitive Improvement Group Specialized Registerおよび公開・未公開データの情報も検索し、認知症またはMCIに対する標準的ケアまたはプラセボ(計画的でない突発的な対応:コントロール群)と、それらに精神療法を追加した場合を比較検討する無作為化対照試験(RCT)をレビューの対象として選択した。試験の選択、データの抽出、試験のバイアス評価は、2名のレビュワーが独立して行った。公表されている記事から情報が得られない場合は、著者をたどってさらに調査した。 主な結果は以下のとおり。・RCT 6件の認知症被験者439例についてレビューを行った。MCIはいずれの試験にも含まれていなかった。試験実施国は数ヵ国にわたり、認知症患者は地域在住または施設に入所中であった。・試験のバイアスが低かったのは1件のみで、残りの5件については、無作為化、盲検化、結果の報告に関する偏りなどのためバイアスリスクは不明または高かった。・認知行動療法(CBT)、対人関係療法およびカウンセリングの方法は、試験によりさまざまであった。・特別な精神療法を含め、数種類の介入を行っていた試験が2件あった。精神療法を追加した比較群では、標準的ケアに加えて注意-制御教育プログラム、診断のフィードバックや診断サービスなど、標準的ケアに比べやや多くのサービスが提供された。・メタ解析により、うつ(6試験、439例、平均標準差[SMD]:-0.22、95%信頼区間[CI]:-0.41~-0.03、エビデンスの質中等度)および医師評価による不安(2試験、65例、平均差[MD]:-4.57、95%CI:-7.81~-1.32、エビデンスの質は低)において、精神療法のポジティブな効果が示された。・一方、自己評価による不安(2試験、SMD:0.05、95%CI:-0.44~0.54)、介護者評価による不安(1試験、MD:-2.40、95%CI:-4.96~0.16)においては、精神療法のポジティブな効果は示されなかった。・患者QOL、日常生活動作(ADL)、神経精神症状、認知機能、介護者評価による抑うつ症状などの副次評価項目については、ベネフィットとハームのバランスがとれていた。ただし、試験の大半はこれらアウトカムの評価を行っていなかった。・有害事象の報告はなかった。・認知症の標準的ケアに精神療法を追加することで、うつ症状の軽減、医師評価による不安の軽減につながるというエビデンスが認められ、精神療法は患者のwell-beingを改善しうると考えられた。最も効果的な治療法の検討、ならびにMCIへの精神療法の有効性を評価するには、さらに質の高い研究が求められる。関連医療ニュース 認知症高齢者5人に1人が抗コリン薬を使用 認知症患者の約2割にせん妄が発現 日本人若年性認知症で最も多い原因疾患は:筑波大学

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