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食物中のファイバー摂取量の多寡が生命予後に影響するとの認識は広く世間に周知されているが、エビデンスは乏しい。 BMJ. 2014; 348: g2659に掲載された本論文は、2つの長期にわたる前向きコホート研究[The Nurses’ Health Study(NH研究:女性のみ12万1,700人)、The Health Professional Follow-up Study(HP研究:男性のみ5万1,529人)]を利用した研究で、研究開始時に心血管疾患、脳卒中、がんに罹患していない参加者中、フォローアップ期間中に心筋梗塞を発症し、心筋梗塞発症前後で食物調査アンケート用紙に答えた記録を有する参加者(選択基準)を本研究の対象とした。 解析対象となったのは各2,258人、1,840人であった。追跡期間中にNH研究では682人(30.2%)の総死亡、336人(14.9%)の心血管死が確認され、HP研究では451人(24.5%)の総死亡、222人(12.1%)の心血管死が確認された。 年齢調整済みCox比例ハザードモデルによる生存分析の結果、両研究とも高ファイバー摂取が総死亡、心血管死亡を有意に低下させた。生活習慣および食物因子を加えて再調整後、この影響は減弱したがプールハザード比の有意は変わらなかった。食物ファイバーを連続変量とするモデルによる解析の結果、プールハザード比は1日10グラムの食物ファイバーの摂取増加で総死亡オッズ比は0.85(95%信頼区間: 0.74~0.97)と有意に低下した。 研究デザインに内在する潜在的選択バイアスを補正する目的で傾向分析(IPTW法)を用いて再検討したが、結果は変わらなかった。 本研究は初めから計画された研究というよりも既存の長期にわたる前向きコホート研究に便乗した形での臨床研究であり、方法論的には多少のバイアス、交絡があるのはやむを得ないが、目的達成がかなり難しいテーマをとりあげた貴重な研究であり、年月を必要とすることを考慮すれば貴重な情報源であることには変わりない。この研究の成果を前向きに受け止めて臨床現場にフィードバックすることにより、最終的真実を明らかにすることができると考える。