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月1回投与のミノドロン酸、骨粗鬆症治療のアドヒアランス向上

 ビスホスホネート系薬剤は骨粗鬆症治療の第1選択薬である。服用方法が面倒であることが治療継続の大きな問題であったが、2011年、国内初となる月1回経口製剤のミノドロン酸50mg錠(商品名:ボノテオ、リカルボン)が登場した。産業医科大学整形外科学教室教授の酒井 昭典氏らは、従来のビスホスホネート系薬剤を継続するかミノドロン酸50mgに切り替えるかを患者の希望で選択してもらい、その後の治療継続性と効果などについて検討した。結果、ミノドロン酸50mgのほうが継続率も高く骨代謝も改善し上部消化管症状は少ないなど有用であることを報告した。Osteoporosis International誌オンライン版2014年6月5日号の掲載報告。週1回ビスホスホネートの月1回ミノドロン酸への切り替えで服薬継続率向上 研究グループの目的は、従来の1日1回または週1回投与のビスホスホネート系薬剤による治療を受けている骨粗鬆症患者を対象として、月1回製剤(ミノドロン酸50mg)への選好と、ミノドロン酸50mgの有効性および副作用について調査することであった。 従来のビスホスホネート系薬剤で治療中の骨粗鬆症患者を、患者自身の希望により月1回のミノドロン酸50mgへの切り替え群か継続群かに分けて6ヵ月間治療を行い、服薬状況や治療満足度を自己記入式アンケートにて評価するとともに、骨密度、骨代謝マーカー(血清TRACP-5b、血清P1NP)、腰痛および上部消化管症状を調査した。 週1回のビスホスホネート系薬剤による治療を月1回のミノドロン酸に切り替えた場合の有効性を評価した主な結果は以下のとおり。・月1回のミノドロン酸への切り替えを希望した患者(切り替え群)は264例、切り替え希望せずに週1回投与のビスホスホネート系薬剤による治療を継続した患者(継続群)は133例で、約3分の2の患者が切り替えを希望した。・月1回のミノドロン酸へ切り替えを希望した主な理由は、「服薬回数が少なく簡便である」ことであった。・服薬継続率は、切り替え群が継続群より有意に高かった。・切り替え群では、骨代謝マーカーが切り替え前異常値の場合は切り替え後に基準値範囲内に改善し、切り替え前基準値範囲内の場合はそれを維持した。・切り替え群では、腰痛と上部消化管症状が減少した。

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うつ病診療:混乱から地域連携へ 第110回日本精神神経学会学術総会

 第110回日本精神神経学会学術総会(会長:北里大学精神科学 宮岡 等氏)が、2014年6月26日(木)より、神奈川県横浜市にて開催された。会長の宮岡氏は、冒頭の会長講演「うつ病診療:混乱から地域連携へ」で、うつ病診療の現状の課題について同大学の取り組みも併せて紹介した。精神科医療にとって地域連携は今まで以上に重要になるようである。 同氏が北里大学に着任した当時の状況は、混乱と呼ぶにふさわしいものであったという。同大学のある相模原市は、精神科の大病院はもとより総合病院の精神科もなく、北里大学精神科が唯一の精神科大型入院施設という医療状況だった。こうした地域において、精神科クリニックは予約診療が主体であり、プライマリ・ケアクリニックで精神科医療を受けるべき患者がいても、十分に紹介できない。おのずと患者は同大学の精神科に紹介されることになる。その結果、大学の精神科で診るべき患者が診られない。さらに、回復した患者を地域に帰そうとしてもフォローアップする受け皿がない、という悪循環に陥っていたという。 そのような中、北里大学精神科では、「県北うつ病地域ネットワーク」を立ち上げた。地域での参加医師を集め、定期的な勉強会で診断や治療について検討し、また、患者さんの相互紹介の円滑化を図っている。この活動を通し、組織が整うのを待つのではなく、連携できる医師から活動を始めること、グループ内でコンセンサスを求め不適切な治療を減らしていくことが重要であるということが明らかになったそうだ。 宮岡氏は、今後解決すべき精神科診療の課題として、「医療機関の連携」、「精神医療の質の向上と均てん化」、「精神科救急」、「身体合併症医療」の4点を挙げている。とくに医療機関の連携については、「地域連携パスを早期に作成し、医療者が相互に担い合うことで、うつ病医療を推進していく必要がある」と述べた。

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APOC3遺伝子変異による低TG値でも虚血性血管疾患リスク減/NEJM

 APOC3遺伝子の機能欠失型変異により血漿トリグリセライド(TG)値が低下し、虚血性血管疾患のリスクが減少することが、デンマーク・コペンハーゲン大学のAnders Berg Jorgensen氏らの検討で示された。非空腹時の血漿TG高値は虚血性心血管疾患のリスクを増大させることが知られている。APOC3遺伝子はアポリポ蛋白C3(APOC3)をコードする遺伝子で、その変異により非空腹時血漿TG値が低下するが、APOC3遺伝子変異を保因するため生涯にわたり低TG値の集団は、虚血性心血管疾患のリスクが低いか否かは、これまで明らかにされていなかった。NEJM誌2014年6月18日号掲載の報告。約7万6,000人を34年追跡し、変異とTG値、疾患の関連を解析 研究グループは、非空腹時TG低値と虚血性心血管疾患のリスク減少との関連を検討し、次いでAPOC3遺伝子の機能欠失型変異とこれらの疾患の関連を調査した。 解析には、デンマークで行われた2つの地域住民を対象とした前向き調査(Copenhagen City Heart Study[CCHS]、Copenhagen General Population Study[CGPS])に参加した7万5,725人(CCHS:1万333人、CGPS:6万5,392人)のデータを用いた。虚血性血管疾患は、虚血性心疾患または虚血性脳血管疾患と定義した。 フォローアップ期間中央値は34年で、この間に1万797人の被験者が虚血性血管疾患を発症し、このうち虚血性心疾患は7,557人であった。DNA検査は被験者全員で行われ、脂質検査は98%以上で実施された。TGだけでなく、HDLコレステロールやアポリポ蛋白A1、Bも良好 虚血性血管疾患および虚血性心疾患のリスクは、ベースラインの非空腹時TG値が低下するに従って段階的に減少し、<1.00mmol/L(90mg/dL)の被験者は≧4.00mmol/L(350mg/dL)の場合に比べ発症率が有意に低かった(虚血性血管疾患のハザード比[HR]:0.43、95%信頼区間[CI]:0.35~0.54、虚血性心疾患のHR:0.40、95%CI:0.31~0.52)。 APOC3遺伝子の3つのヘテロ接合型変異(R19X、IVS2+1G→A、A43T)が、非空腹時TG低値と実質的に関連していた(保因者260人、290人に1人の割合)。なお、CCHSの被験者の解析では、IVS2+1G→AとA43TはHDLコレステロールおよびアポリポ蛋白A1の増加とも関連していた。 これらAPOC3遺伝子のヘテロ接合性の機能欠失型変異の保因者は、APOC3遺伝子に変異のない被験者に比べ、非空腹時TG値が平均44%(0.77mmol/L[70mg/dL])低かった(p<0.001)。このTG値低下率は3つの変異型でほぼ同じだった(44~48%、いずれもp<0.001)。また、保因者は非保因者に比し、アポリポ蛋白Bが平均16%(17mg/dL)低く、HDLコレステロールが24%(0.38mmol/L[15mg/dL])、アポリポ蛋白A1が9%(15mg/dL)高かった。 虚血性血管疾患および虚血性心疾患の発症は、ヘテロ接合型変異の保因者で有意に少なく(それぞれp=0.009、p=0.05)、リスク減少率はそれぞれ41%(HR:0.59、95%CI:0.41~0.86、p=0.007)、36%(HR:0.64、95%CI:0.41~0.99、p=0.04)であった。 著者は、「APOC3遺伝子の機能欠失型変異は、TG値の低下および虚血性血管疾患のリスク減少と関連する」と結論し、「APOC3遺伝子は、心血管リスクの低減を目的とする薬剤の標的として有望と考えられる」と指摘している。最近、アンチセンス・オリゴヌクレオチドによりAPOC3遺伝子を阻害すると、アポリポ蛋白C3とTGが低下することが、動物実験やヒトの第I相試験で確認されているという。

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トファシチニブ単剤療法、活動性関節リウマチに対する有用性を確認/NEJM

 2年間のトファシチニブ単剤療法は、関節リウマチの徴候や症状の改善効果および関節の構造的損傷の進行の抑制効果が、メトトレキサートよりも良好であることが、韓国・ソウル大学校医科大学のEun Bong Lee氏らが行ったORAL Start試験で示された。メトトレキサートは関節リウマチの1次治療において最も使用頻度の高い抗リウマチ薬である。トファシチニブはヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬と呼ばれる新たなクラスの薬剤で、既存の生物学的製剤が静注薬であるのに対し本薬剤は経口薬であり、すでにいくつかの第III相試験でその有用性が確認されているが、重症感染症や検査値異常などが問題とされる。NEJM誌2014年6月19日号掲載の報告。2年間の単剤療法の有用性を無作為化試験で評価 ORAL Start試験は、トファシチニブ単剤療法の有用性をメトトレキサート単剤療法と比較する二重盲検無作為化第III相試験。対象は、メトトレキサート投与歴がない、または投与歴はあるが治療用量に達していなかった中等度~重度の活動性関節リウマチ患者であった。 試験参加者は、トファシチニブ5mg(1日2回)を投与する群、同10mg(1日2回)を投与する群、メトトレキサートを8週間で20mg/週まで漸増する群に無作為に割り付けられた。1~3ヵ月は毎月1回、その後は3ヵ月に1回、24ヵ月まで受診することとした。 複合主要評価項目は、6ヵ月時のvan der Heijdeの改変による総Sharpスコア(0~448点、スコアが高いほど関節の構造的損傷が重度)のベースラインからの変化および米国リウマチ学会(ACR)判定基準の70%の改善(ACR70)の達成率とした。 ACR70は、圧痛関節数と腫脹関節数の双方が70%以上減少し、以下の5項目の基準のうち3項目が70%以上改善した場合とした。1)患者による疼痛の評価、2)身体機能障害の程度、3)C反応性蛋白(CRP)または赤血球沈降速度(ESR)、4)患者による病態の全般的な評価、5)担当医による病態の全般的な評価。6、12、24ヵ月時の改変総Sharpスコアの変化、ACR70達成率がいずれも良好 試験期間は2010年1月25日~2013年3月13日であった。登録された958例のうち実際に治療を受けたのは956例で、トファシチニブ5mg群が373例(平均年齢50.3歳、女性76.7%)、同10mg群が397例(49.3歳、82.4%)、メトトレキサート群は186例(48.8歳、78.0%)であった。 改変総Sharpスコアのベースラインから6ヵ月までの変化の平均値は、2つのトファシチニブ群がメトトレキサート群に比べ有意に低値であったが、変化の幅は3群ともに小さかった(トファシチニブ5mg群:0.2点、10mg群:<0.1点、メトトレキサート群:0.8点[メトトレキサート群との比較でいずれもp<0.001])。 12ヵ月時の変化の幅はそれぞれ0.4点、0.2点、1.2点(いずれの比較ともp<0.001)、24ヵ月時は0.6点、0.3点、2.1点(同p<0.001)と経時的に大きくなったが、群間の差には6ヵ月時と同様の傾向が認められた。 6ヵ月時のACR70の達成率は、トファシチニブ5mg群が25.5%、10mg群が37.7%であったのに対し、メトトレキサート群は12.0%であった(メトトレキサート群との比較でいずれもp<0.001)。12ヵ月時の達成率はそれぞれ28.7%、38.1%、15.2%(いずれの比較ともp<0.001)、24ヵ月時は34.4%、37.6%、15.2%(同p<0.001)であった。 24ヵ月間の重篤な有害事象の発現率は、トファシチニブ5mg群が10.7%、10mg群が10.8%、メトトレキサート群は11.8%であった。重篤な感染症はそれぞれ3.0%、2.0%、2.7%に認められた。有害事象による治療中止率は10.7%、10.3%、13.4%だった。 トファシチニブを投与された770例のうち31例(4.0%)に帯状疱疹が認められた。メトトレキサート群の186例では2例(1.1%)だった。6例でがん(3例はリンパ腫)が確定され、トファシチニブ投与例が5例、メトトレキサート群は1例であった。トファシチニブ投与例で4例が死亡した。 トファシチニブの投与は、好中球数および白血球数の減少、クレアチニン値の上昇、LDLおよびHDLコレステロールの上昇と有意な関連を示した。 著者は、「トファシチニブ単剤療法は中等度~重度の活動性関節リウマチ患者にベネフィットをもたらすが、有害事象のリスクとのバランスを考慮する必要がある」と指摘している。

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高血圧は全ての心血管疾患発症リスク:英国プライマリケア医登録研究(解説:桑島 巌 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(219)より-

日本の「高血圧治療ガイドライン2014」では中年層の降圧目標が根拠が乏しいまま緩和されたが、それを再び見直す必要を思わせる英国プライマリ・ケア医登録追跡研究データである。 本研究の大きな特徴は英国でのプライマリ・ケア医に登録された患者の長期追跡であり、一般住民での検診をベースとした追跡研究と大きく異なる。したがっていわゆる虚弱体質や慢性炎症性疾患を有する例は含まれておらず、またすでに心筋梗塞、脳梗塞などの既往例も除外されており、あくまでも心血管疾患を初発するまでの追跡である。 結果は血圧が高いことが30歳から90歳までのどの年齢層にとっても、心血管疾患の発症のリスクであり、血圧が心血管系の大きな負荷であることをあらためて示した。心血管イベントにとって最も負担が少ない血圧レベルは収縮期血圧90~114 / 拡張期血圧60~74mmHgであり、J曲線はみられないことを示したが、至適血圧が120mmHgであることを確認した成績といえよう。 とくに収縮期血圧上昇と関連が深いのは脳出血、くも膜下出血、安定狭心症、心筋梗塞であり、拡張期血圧上昇と関連が深いのは腹部大動脈瘤であったという。とくに大動脈瘤は拡張期高血圧、脈圧が小さいことと関連していたのは意外である。 30歳代での高血圧患者における生涯心血管発症リスクは63.3%、正常血圧では46.1%であり、この世代で高血圧を有することは心血管発症を5年早める、という結果である。生活習慣病に関心をもたない健康過信世代の高血圧リスクに対する注意喚起を促す貴重なエビデンスである。 英国の医療制度は、国民の99%以上がプライマリ・ケア医に登録されて、プライマリ・ケア医から基幹病院へ紹介された場合も電子カルテで厳格に追跡されている。 患者はどの医療機関も選ぶことができるというわが国の医療システムとは根本的な違いがあるものの本研究の結果は、高血圧を降圧不十分なまま放置した場合の長期的予後を示す有用なエビデンスといえる。 最近、単年度の検診、人間ドック受診者150万人のデータから血圧基準を147mmHgと誤解を招くような発表を行った、日本人間ドック学会データとは根本的に異なるものである。

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酩酊患者の胸腔内出血を診断できずに死亡したケース

救急医療最終判決判例時報 1132号128-135頁概要酩酊状態でオートバイと衝突し、救急隊でA病院に搬送された。外観上左後頭部と右大腿外側の挫創を認め、経過観察のため入院とした。病室では大声で歌を歌ったり、点滴を自己抜去するなどの行動がみられたが、救急搬送から1時間後に容態が急変して下顎呼吸となり、救急蘇生が行われたものの死亡に至った。死体解剖は行われなかったが、視診上右第3-第6肋骨骨折、穿刺した髄液が少量の血性を帯びていたことなどから、「多発性肋骨骨折を伴う胸腔内出血による出血性ショック」と検案された。詳細な経過経過1979年12月16日16:15頃相当量の飲酒をして道路を横断中、走行してきたオートバイの右ハンドル部分が右脇腹付近に強く当たる形で衝突し、約5mはねとばされて路上に転倒した。16:20近くの救急病院であるA病院に救急車で搬送される。かなりの酩酊状態であり、痛いというのでその部位を質問しても答えられず、処置中制止しても体を動かしたりした。外観上は、左後頭部挫傷、右大腿外側挫傷、左上腕擦過傷、右外肘擦過傷を認めたが、胸部の視診による皮下出血、頻呼吸、異常呼吸、ならびに触診による明らかな肋骨骨折なし。血圧90/68、呼吸困難なし、腹部筋性防御反応なし、神経学的異常所見なしであった。各創部の縫合処置を行ったのち、血圧が低いことを考慮して血管確保(乳酸加リンゲル500mL)を行ったが、格別重症ではないと判断して各種X線、血液検査、尿検査、CT撮影などは実施しなかった。このとき、便失禁があり、胸腹部あたりにしきりに疼痛を訴えていたが、正確な部位が確認できなかったため経過観察とした。17:20病室に収容。寝返りをしたり、ベッド上に起き上がったりして体動が激しく、転落のおそれがあったので、窓際のベッドに移してベッド柵をした。患者は大声で歌うなどしており、体動が激しく点滴を自己抜去するほどであり、バイタルサインをとることができなかったが、喘鳴・呼吸困難はなかった。17:40容態が急変して体動が少なくなり、下顎呼吸が出現。当直医は応援医師の要請を行った。17:50救急蘇生を開始したが反応なし。18:35死亡確認となった。■死体検案本来は死体解剖をぜひともするべきケースであったが行われなかった。右頭頂部に挫創を伴う表皮剥脱1個あり髄液が少量の血性を帯びていた右第3-第6肋骨の外側で骨折を触知、胸腔穿刺にて相当量の出血あり肋骨骨折部位の皮膚表面には変色なし以上の所見から、監察医は「死因は多発肋骨骨折を伴う胸腔内出血による出血性ショック」と判断した。当事者の主張患者側(原告)の主張初診時からしきりに胸腹部の疼痛を訴え、かつ腹部が膨張して便失禁がみられたにもかかわらず、酩酊していたことを理由に患者の訴えを重要視しなかった受傷機転について詳細な調査を行わず、脈拍の検査ならびに肋骨部分の触診・聴診を十分に実施せず、初診時の血圧が低かったにもかかわらず再検をせず、X線撮影、血液検査、尿検査をまったく行わなかった初診時に特段の意識障害がなかったことから軽症と判断し、外見的に捉えられる創部の縫合処置を行っただけで、診療上なすべき処置を執らなかった結果、死亡に至らしめた病院側(被告)の主張胸腹部の疼痛の訴えはあったが、しきりに訴えたものではなく、疼痛の部位を尋ねても泥酔のために明確な指摘ができなかった初診時には泥酔をしていて、処置中も寝がえりをするなど体動が激しく、血圧測定、X線検査などができる状態ではなかった。肋骨骨折は、ショック状態にいたって蘇生術として施行した体外心マッサージによるものである初診時に触診・聴診・視診で異常がなく、喀血および呼吸困難がなく、大声で歌を歌っていたという経過からみて、肋骨骨折や重大な損傷があったとは認められない。死体検案で髄液が血性であったということから、頭蓋内損傷で救命することは不可能であった。仮に胸腔内出血であったとしても、ショックの進行があまりにも早かったので救命はできなかった裁判所の判断1.初診時血圧が90と低く、胸腹部のあたりをしきりに痛がってたこと、急変してショック状態となった際の諸症状、心肺蘇生施行中に胸部から腹部にかけて膨満してきた事実、死体検案で右第3-第6肋骨骨折がみられたことなどを総合すると、右胸腔内出血により出血性ショックに陥って死亡したものと認めるのが相当である2.容態急変前には呼吸困難などなく、激しい体動をなし、歌を歌っていたが、酩酊している場合には骨折によって生じる痛みがある程度抑制されるものである3.肋骨骨折部位の皮膚に変色などの異常を疑う所見がなかったのは、衝突の際にセーターやジャンパーを着用していたため皮下出血が生じなかった4.体外式心マッサージの際生じることのある肋骨骨折は左側であるのに対し、本件の肋骨骨折は右外側であるので、本件で問題となっている肋骨骨折は救急蘇生とは関係ない。一般に肋骨骨折は慎重な触診を行うことにより容易に触知できることが認められるから、診療上の過失があった5.胸腔内への相当量の出血を生じている患者に対して通常必要とされる初診時からの血圧、脈拍などにより循環状態を監視しつつ、必要量の乳酸加リンゲルなどの輸液および輸血を急速に実施し、さらに症状の改善がみられない場合には開胸止血手術を実施するなどの処置を行わなかった点は適切を欠いたものである。さらに自己抜去した点滴を放置しその後まもなく出血性ショックになったことを考えると、注射針脱落後の処置が相当であったとは到底認めることができない6.以上のような適切な処置を施した場合には、救命することが可能であった原告側合計6,172万円の請求に対し、5,172万円の判決考察ここまでの経過をご覧になって、あまりにも裁判所の判断が実際の臨床とかけ離れていて、唖然としてしまったのは私だけではないと思います。その理由を説明する前に、この事件が発生したのは日曜日の午後であり、当時A病院には当直医1名(卒後1年目の研修医)、看護師4名が勤務していて、X線技師、臨床検査技師は不在であり、X線撮影、血液検査はスタッフを呼び出して、行わなければならなかったことをお断りしておきます。まず、本件では救急車で来院してから1時間20分後に下顎呼吸となっています。そのような重症例では、来院時から意識障害がみられたり、身体のどこかに大きな損傷があるものですが、経過をみる限りそのようなことを疑う所見がほとんどありませんでした。唯一、血圧が90/68と低かった点が問題であったと思います。しかも、容態急変の20分前には(酩酊も関係していたと思われますが)大声で歌を歌っていたり、病室で点滴を自己抜去したということからみても、これほど早く下顎呼吸が出現することを予期するのは、きわめて困難であったと思われます。1. 死亡原因について本件では死体解剖が行われていないため、裁判所の判断した「胸腔内出血による失血死」というのが真実かどうかはわかりません。確かに、初診時の血圧が90/68と低かったので、ショック状態、あるいはプレショック状態であったことは事実です。そして、胸腹部を痛がったり、監察医が右第3-第6肋骨骨折があることを触診で確認していますので、胸腔内出血を疑うのももっともです。しかし、酩酊状態で直前まで大声で歌を歌っていたのに、急に下顎呼吸になるという病態としては、急性心筋梗塞による致死性不整脈であるとか、大動脈瘤破裂、もしくは肺梗塞なども十分に疑われると思います。そして、次に述べますが、肋骨骨折が心マッサージによるものでないと断言できるのでしょうか。どうも、本件で唯一その存在が確かな(と思われる)肋骨骨折が一人歩きしてしまって、それを軸としてすべてが片付けられているように思えます。2. 肋骨骨折についてまず、「一般に肋骨骨折は慎重な触診を行うことにより容易に触知できる」と断じています。この点は救急を経験したことのある先生方であればまったくの間違いであるとおわかり頂けると思います。外観上異常がなくても、X線写真を撮ってはじめてわかる肋骨骨折が多数あることは常識です。さらに、「肋骨骨折部位の皮膚に変色などの異常を疑う所見がなかったのは、衝突の際にセーターやジャンパーを着用していたため皮下出血が生じなかった」とまで述べているのも、こじつけのように思えて仕方がありません。交通外傷では、(たとえ厚い生地であっても)衣服の下に擦過傷、挫創があることはしばしば経験しますし、そもそも死亡に至るほどの胸腔内出血が発生したのならば、胸部の皮下出血くらいあるのが普通ではないでしょうか。そして、もっとも問題なのが、「体外式心マッサージの際生じることのある肋骨骨折は左側であるのに対し、本件の肋骨骨折は右外側であるので、本件で問題となっている肋骨骨折は救急蘇生とは関係ない」と、ある鑑定医の先生がおっしゃったことを、そのまま判決文に採用していることです。われわれ医師は、科学に基づいた教育を受け、それを実践しているわけですから、死体解剖もしていないケースにこのような憶測でものごとを述べるのはきわめて遺憾です。3. 点滴自己抜去について本件では初診時から血算、電解質などを調べておきたかったと思いますが、当時の状況では血液検査ができませんでしたので、酩酊状態で大声で歌を歌っていた患者に対しとりあえず輸液を行い、入院措置としたのは適切であったと思います。そして、病室へと看護師が案内したのが17:20、恐らくその直後に点滴を自己抜去したと思いますが、このとき寝返りをしたりベッド上に起き上がろうとして体動が激しいため、転落を心配して窓際のベッドに移動し、ベッドに柵をしたりしました。これだけでも10分程度は経過するでしょう。恐らく、落ち着いてから点滴を再挿入しようとしたのだと思いますが、病室に入ったわずか20分後の17:40に下顎呼吸となっていますので、別に点滴が抜けたのに漫然と放置したわけではないと思います。にもかかわらず、「さらに自己抜去した点滴を放置しその後まもなく出血性ショックになったことを考えると、注射針脱落後の処置が相当であったとは到底認めることができない」とまでいうのは、どうみても適切な判断とは思えません。4. 本件は救命できたか?裁判所(恐らく鑑定医の判断)は、「適切な処置(輸血、開胸止血)を施した場合には、救命することが可能であった」と断定しています。はたして本件は適切な治療を行えば本当に救命できたのでしょうか?もう一度時間経過を整理すると、16:15交通事故。16:20病院へ救急搬送、左後頭部、右大腿外側の縫合処置、便失禁の処置、点滴挿入。17:20病室へ。体動が激しく大声で歌を歌う。17:40下顎呼吸出現。18:35死亡確認。この患者さんを救命するとしたら、やはり下顎呼吸が出現する前に血液検査、輸血用のクロスマッチ、場合によっては手術室の手配を行わなければなりません。しかしA病院では日曜日の当直帯であったため、X線検査、血液検査はできず、裁判所のいうように適切に診断し治療を開始するとしたら、来院後すぐに3次救急病院へ転送するしか救命する方法はなかったと思います。A病院で外来にて診察を行っていたのは60分間であり、その時の処置(縫合、点滴など)をみる限り、手際が悪かったとはいえず(血圧が低かったのは気になりますが)、この時点ですぐに転送しなければならない切羽詰まった状況ではなかったと思います。となると、どのような処置をしたとしても救命は不可能であったといえるように思えます。では最初から救命救急センターに運ばれていたとしたら、どうだったでしょうか。初診時に意識障害がなかったということなので、簡単な問診の後、まずは骨折がないかどうかX線写真をとると思います。そして、胸腹部を痛がっていたのならば、腹部エコー、血液検査などを追加し、それらの結果がわかるまでに約1時間くらいは経ってしまうと思います。もし裁判所の判断通り胸腔内出血があったとしたら、さらに胸部CTも追加しますので、その時点で開胸止血が必要と判断したら、手術室の準備が必要となり、入室までさらに30分くらい経過してしまうと思います。となると、来院から手術室入室まで早くても90分くらいは要しますので、その時にはもう容態は急変(下顎呼吸は来院後80分)していることになります。このように、後から検証してみても救命はきわめて困難であり、「適切な処置(輸血、開胸止血)を施した場合には、救命することが可能であった」とは、到底いえないケースであったと思います。以上、本件の担当医には酷な結末であったと思いますが、ひとつだけ注意を喚起しておきたいのは、来院時の血圧が90/68であったのならば、ぜひともそのあと再検して欲しかった点です。もし再検で100以上あれば病院側に相当有利になっていたと思われるし、さらに低下していたらその時点で3次救急病院への転送を考えたかも知れません。救急医療

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自分が欲しい物をつくる【Dr. 中島の 新・徒然草】(023)

二十三の段 自分が欲しい物をつくる最近、空き時間に「スティーブ・ジョブズ(ウォルター・アイザックソン 著、井口 耕二 訳、講談社)」を読んでいるのですが、ヒントになることがたくさんあります。その1つに「みんな、iPod を自分のために作ったんだ」というスティーブ・ジョブズの言葉がありました。つまり iPod というのは音楽を愛するアップルの技術者たちが、「こんなものがあったらいいな、こんなものが欲しいな」と思いながら開発したのだそうです。これに対して他の会社は、それぞれにMP3プレイヤー製造技術やソフトウェア開発技術を持ち、似たような製品を発表したにもかかわらず、アップルの iPod に敗れ去ってしまいました。やはり「自分が欲しい物をつくる」人たちは、細部にわたるまで妥協することがないので、結果的に無敵の製品を作ってしまうわけです。われわれも、医師として自分の受けたい医療を実現する、市民として自分の住みたい社会を実現する、と考えて毎日を生きていくべきですね。もう少し現実的に考えれば、日々、高齢患者さんたちの訴えに耳を傾け、治療に創意工夫をこらすことが、自分自身の健康増進にも役立つ、といったところかもしれません。

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血圧変動は心血管イベントや死亡率を予測するか:日本を含む国際研究

 自由行動下血圧の血圧変動と死亡率や心血管イベントとの関連が議論されているが、血圧変動が高血圧患者における心血管イベントおよび死亡率を予測するかどうか、日本を含む国際研究において検討された。その結果、夜間の血圧変動が全死因死亡率、心血管疾患死亡率、心血管イベントの独立した予測因子であったことをイタリア・パドヴァ大学のPaolo Palatini氏らが報告した。Hypertension誌オンライン版2014年6月16日号に掲載。 本研究には、6つの前向き研究に登録された未治療高血圧患者7,112例(男性3,996例、52±15歳)が参加し、追跡期間中央値は5.5年であった。 主な結果は以下の通り。・夜間血圧の標準偏差(SD)は、年齢、BMI、喫煙、糖尿病、夜間血圧の平均との間に正の相関がみられた(すべてp<0.001)。・夜間の血圧変動は、多変量Coxモデルにおいて、全死因死亡率(収縮期血圧:p<0.001/拡張期血圧:p<0.0001)、心血管疾患死亡率(p=0.008/p<0.0001)、心血管イベント(p<0.001/p<0.0001)の独立した予測因子であった。一方、日中の血圧変動は、どのモデルにおいても独立した予測因子ではなかった。・完全に調整されたモデルにおいて、夜間収縮期血圧のSD 12.2mmHg以上は、同12.2mmHg未満と比べて、心血管イベントの41%増加、心血管疾患死亡リスクの55%増加、全死因死亡リスクの59%増加に関連していた。また、拡張期血圧のSD 7.9mmHg以上でのリスク増加はそれぞれ48%、132%、77%であった。

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乳がんリスクが上がるタンパク源は?~約9万人の前向き研究/BMJ

 乳がんリスクへの高タンパク摂取の影響が報告されているが、タンパク源となる食物は栄養プロファイルがさまざまであり、乳がんリスクへの影響が異なる可能性がある。米国ハーバード大学のMaryam S Farvid氏らは、成人早期の食事性タンパクと乳がんリスクとの関連を調べるため、米国の看護師における前向きコホート研究を実施した。その結果から、成人早期の赤肉(red meat;牛、羊、豚などの成獣肉)の多量摂取が乳がんの危険因子であり、赤肉を豆類・鶏肉(七面鳥も含む)・ナッツ類・魚の組み合わせに置き換えることで乳がんリスクが減少する可能性が示唆された。BMJ誌オンライン版2014年6月10日号に掲載。ナッツ類の摂取量の多さは乳がんリスクに関連せず 対象は、Nurses' Health Study IIより、1991年に食生活に関するアンケートを完遂した閉経前女性8万8,803人(1991年での平均年齢36.4歳、範囲26~45歳)。浸潤性乳がんの発症については、自己申告により同定し、病理学的に確認を行った。 食事性タンパクと乳がんリスクとの関連を調べた主な結果は以下のとおり。・20年(1991年~2011年)の追跡期間中に乳がんが2,830例に発症した(閉経前1,511例、閉経後918例、不明401例)。・赤肉摂取量の多さが全体の乳がんリスク増加と関連していた(摂取量で分類した5群での最低摂取量群に対する最高摂取量群の相対リスク1.22、95%CI:1.06~1.40、傾向のp=0.01)。鶏肉、魚、卵、豆類、ナッツ類の摂取量の多さは全体の乳がんリスクに関連していなかった。・この関連性を閉経状態により評価したところ、閉経後の女性では鶏肉の摂取量の多さと乳がんリスク減少が関連していた(同リスク0.73、95%CI:0.58~0.91、傾向のp=0.02)が、閉経前の女性では関連していなかった(同リスク0.93、95%CI:0.78~1.11、傾向のp=0.60)。・異なるタンパク源への変換効果の推計では、赤肉1食分/日の豆類1食分/日への置き換えは、全体では15%の乳がんリスク減少と関連し(同リスク0.85、95%CI:0.73~0.98)、また閉経前女性では19%の減少と関連した(同リスク0.81、95%CI:0.66~0.99)。・赤肉1食分/日の鶏肉1食分/日への置き換えは、全体では17%の乳がんリスク減少と関連し(同リスク0.83、95%CI:0.72~0.96)、閉経後女性では24%の減少と関連した(同リスク0.76、95%CI:0.59~0.99)。・赤肉1食分/日を「豆類・ナッツ類・鶏肉・魚」の組み合わせ1食分/日に置き換えた場合、全体(同リスク0.86、95%CI:0.78~0.94)および閉経前女性(同リスク0.86、95%CI:0.76~0.98)の14%の乳がんリスク減少と関連した。

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がんの痛みは我慢しない! 疼痛管理の現状と問題点を第一人者がレクチャー

 6月24日、金原出版は、患者向けの解説書である『患者さんと家族のためのがんの痛み治療ガイド(第1版)』(特定非営利活動法人 日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン委員会編)の出版を記念し、編者の1人である佐藤 哲観氏(弘前大学医学部附属病院 麻酔科 緩和ケア診療室)を講師に迎え、「がんの痛みはとれるんです!」と題するプレスセミナーを開催した。同書は、患者にがん性疼痛管理の内容を知ってもらうために制作されたものである。 セミナーで佐藤氏は、男女ともに毎年増加を続けるがん患者の動向などを前置き後、患者が抱える4つの痛み(がん疼痛、治療の際の痛み、身体衰弱による痛み、他の疾患の痛み)、そしてこれらの痛みはWHO方式のがん疼痛治療の手引きに従えば、80%以上は除痛可能であることを解説した。 しかしながら、除痛可能にもかかわらず、わが国では、医療者側の痛みへの認識不足や知識・治療のスキル不足、医療システム上の医療用麻薬管理の煩雑さや保険上の査定の問題、患者側のさまざまな誤解や迷信などの障壁があり、まだまだ臨床現場で疼痛管理の薬物使用が低調であると問題点を指摘した。また、医療用麻薬の消費量でみると欧米先進国と比較し、わが国は1/10~1/40とかなり低いレベルにあると一例を挙げた。 現状のこうしたさまざまなバリアを克服するために佐藤氏は、医療者には卒前教育の充実やがん診断時からの疼痛管理介入の教育活動を行っており、とくに医師に対しては、日本緩和医療学会における2日間のワークショップで、緩和ケアの知識の普及を目指す「PEACE project」(http://www.jspm-peace.jp/)を推進していることなどを紹介した。また、患者に対しては、「医療用麻薬を使うと中毒になる」や「がんの痛みは治療できない」などの誤解を払しょくするために、本書のような書籍を用いて広く啓発活動を行っていきたいと今後の展開を示した。 現在、WHOの手引では、3段階の鎮痛薬による「除痛ラダー」が示されている。その中でわが国で使用できるオピオイド鎮痛薬は、コデイン、トラマドール、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニル、メサドン、タペンタドール(2014年3月製造販売承認)の7種類があり、錠剤だけでなく、注射薬、貼付薬などのほかに舌下錠や頬粘膜吸収錠と剤形も豊富にそろい、使いやすくなっていると紹介した。また、頬粘膜に塗布するスティック型や頬粘膜吸収型フィルムなどわが国未発売の製品の存在、鼻噴射型の薬剤も海外で開発途上にあることなど最新のオピオイドの現状を披露した。 今後の課題としては、医療者には、早い段階からのがん性疼痛への介入と患者の痛みの汲み取り、積極的な医療用麻薬の使用などを教育するとともに、患者には、痛みを我慢せずに医療者に伝えること(そのためのメモや「痛み日記」の励行など)、鎮痛薬使用を恐れないことを啓発していきたいとまとめ、セミナーを終了した。 なお医療者向けには『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2014年版 (第2版)』も同時出版されている。詳しくは金原出版まで

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抗精神病薬服用が骨密度低下を引き起こすのか:千葉大学

 これまでに、統合失調症患者において長期の抗精神病薬服用により骨粗鬆症/骨減少症の高リスクが引き起こされる可能性を示唆するエビデンスが蓄積されてきた。しかし、抗精神病薬服用がどの程度、骨密度(BMD)低下を引き起こすのかについては明らかになっていなかった。千葉大学の沖田 恭治氏らは、統合失調症患者における第二世代抗精神病薬と骨代謝との関連について検討した。その結果、統合失調症患者のBMD低下について複雑な原因を示唆する知見が得られたことを報告した。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年5月30日号掲載の報告。 研究グループは、精神疾患患者を対象として、骨状態の進行を正確に予測できる骨代謝マーカーを用いて試験を行った。被験者(統合失調症患者167例、健常対照60例)のプロラクチン、エストラジオール、テストステロン、骨吸収マーカー(TRACP-5b)を測定し評価した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者は健常対照と比較して、プロラクチン値が有意に高値であり、TRACP-5b値は有意に低値であった。・さらに、すべての男性被験者群および男性患者において、プロラクチンとエストラジオールおよびテストステロンとの間に、負の関連性が認められた。・TRACP-5bは、女性患者ではプロラクチンと正の関連性が、すべての女性被験者群ではエストラジオールと負の関連性が認められた。・骨吸収率は、健常対照と比べて患者のほうでかなり低かったことが示され、統合失調症患者におけるBMD低下の原因は複雑であることが示唆された。・本研究によりキーとなる因子間でいくつかの意味がある関連が確認された。すなわち高プロラクチン血症が性ホルモンの抑制を誘発し、高骨代謝に結びついている可能性が示された。・これらの結果を踏まえて著者は、「骨吸収マーカーであるTRACP-5b測定が、BMD低下の病理を明らかにするのに役立つ可能性があることが示唆された」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症患者は“骨折”しやすいって本当? 抗てんかん薬の長期服用者、80%が骨ミネラル障害 抗精神病薬誘発性持続勃起症への対処は  担当者へのご意見箱はこちら

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off-pump CABGは長期の腎機能保護に寄与するか/JAMA

 off-pump冠動脈バイパス術(CABG)は、on-pump CABGと比べて、術後急性腎障害のリスクを低下するが、腎機能保護には影響しなかったことが示された。カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のAmit X. Garg氏らが、無作為化試験CORONARYの腎機能サブスタディから報告した。入院中の急性腎障害は、おもに血清クレアチニン値の突然の軽度~中等度の上昇によって定義づけられ、症状は数日間にわたって持続する。また長期的な腎機能の低下と関連している。しかし、急性腎障害のリスクを低下する介入が、長期にわたって腎機能保護に寄与するのかは明らかではなかった。JAMA誌2014年6月4日号掲載の報告より。off-pump vs. on-pump CABGの急性腎障害リスク、1年後腎機能を評価 研究グループは、無作為化試験における介入(off-pump vs. on-pump CABG)の急性腎障害リスクへの影響を明らかにすること、また両介入群の1年後の腎機能に差がみられるかをCORONARY試験のデータを分析して調べた。 CORONARY試験(Coronary Artery Bypass Grafting Surgery Off- or On-pump Revascularisation Study)は、19ヵ国79施設で4,752例の初回単独のoffまたはon-pump CABGを受けた患者が登録されていた。 腎機能サブスタディには、そのうち2010年1月~2011年11月までに登録された2,932例(16ヵ国63施設)が登録され、術後および1年後の血清クレアチニン値が記録された(1年後血清クレアチニン値の最終記録日は2013年1月18日)。 主要評価項目は、術後30日間の急性腎障害(血清クレアチニン値が無作為化前から50%以上上昇)、1年後の腎機能の低下(推定糸球体濾過量[eGFR]が無作為化前から20%以上低下)であった。off-pump群の相対リスク、急性腎障害リスク0.83、1年後腎機能低下1.10 急性腎障害リスクの低下は、off-pump CABG群(1,472例)が17.5%、on-pump CABG群(1,460例)が20.8%だった(相対リスク:0.83、95%信頼区間[CI]:0.72~0.97、p=0.01)。 1年後の腎機能低下は、off-pump CABG群17.1%、on-pump CABG群15.3%で、両群間に有意な差はみられなかった(同:1.10、0.95~1.29、p=0.23)。 これらの結果は、急性腎障害や腎機能の異なる定義においても一致していた。またベースライン時に慢性腎臓病を有していた被験者群においても変わらなかった。 上記の結果を踏まえて著者は、「今回の試験設定において、off-pump介入は軽度~中等度の急性腎障害リスクを低下したが、長期の腎機能には影響をもたらさなかった」とまとめている。

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高齢肺炎入院患者へのアジスロマイシン、心イベントへの影響は?/JAMA

 高齢の肺炎入院患者へのアジスロマイシン(商品名:ジスロマックほか)使用は他の抗菌薬使用と比較して、90日死亡を有意に低下することが明らかにされた。心筋梗塞リスクの増大はわずかであった。肺炎入院患者に対して診療ガイドラインでは、アジスロマイシンなどのマクロライド系との併用療法を第一選択療法として推奨している。しかし最近の研究において、アジスロマイシンが心血管イベントの増大と関連していることが示唆されていた。米国・VA North Texas Health Care SystemのEric M. Mortensen氏らによる後ろ向きコホート研究の結果で、JAMA誌2014年6月4日号掲載の報告より。65歳以上入院患者への使用vs. 非使用を後ろ向きに分析 研究グループは、肺炎入院患者におけるアジスロマイシン使用と、全死因死亡および心血管イベントの関連を明らかにするため、2002~2012年度にアジスロマイシンを処方されていた高齢肺炎入院患者と、その他のガイドラインに則した抗菌薬治療を受けていた患者とを比較した。 分析には、全米退役軍人(VA)省の全VA急性期治療病院に入院していた患者データが用いられた。65歳以上、肺炎で入院し、全米臨床診療ガイドラインに則した抗菌薬治療を受けていた患者を対象とした。 主要評価項目は、30日および90日時点の全死因死亡と、90日時点の不整脈、心不全、心筋梗塞、全心イベントの発生とした。傾向スコアマッチングを用い、条件付きロジスティック回帰分析で既知の交絡因子の影響を制御した。使用患者の90日死亡オッズ比は0.73 対象患者には118病院から7万3,690例が登録され、アジスロマイシン曝露患者3万1,863例と非曝露の適合患者3万1,863例が組み込まれた。適合群間の交絡因子について有意差はなかった。 分析の結果、90日死亡について、アジスロマイシン使用患者について有意な低下が認められた(曝露群17.4%vs. 非曝露群22.3%、オッズ比[OR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.70~0.76)。 一方で曝露群では、有意なオッズ比の増大が、心筋梗塞について認められた(5.1%vs. 4.4%、OR:1.17、95%CI:1.08~1.25)。しかし、全心イベント(43.0%vs. 42.7%、1.01、0.98~1.05)、不整脈(25.8%vs. 26.0%、0.99、0.95~1.02)、心不全(26.3%vs. 26.2%、1.01、0.97~1.04)についてはみられなかった。 結果について著者は、「肺炎入院患者に対するアジスロマイシン使用は、リスクよりも有益性が上回る」とまとめている。

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冬季の血圧は外気温より室温に強く関連~日本における大規模研究

 冬季における脳心血管疾患による死亡率上昇は、冬季の気候が厳しい地域より外気温の低下が少ない地域で大きいことが報告されている。このことから、冬季の死亡率上昇は外気温よりも室温による影響が考えられる。これまで、皮膚温低下による血圧上昇、外気温低下による血圧上昇は報告されているが、室温が自由行動下血圧に及ぼす影響は明らかになっていない。奈良県立医科大学の佐伯 圭吾氏らは、室温および外気温と自由行動下血圧との関連性を比較し、寒い時期において外気温より室温のほうが血圧との関連が強いことを報告した。Journal of Hypertension誌オンライン版2014年6月16日号に掲載。 著者らは、高齢者868人において寒い時期(10月~4月)に48時間連続で自由行動下血圧や室温などを測定し、各参加者のランダム切片でのマルチレベル分析を用いて室内・屋外温度と自由行動下血圧との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・外気温が高い日は室温と外気温が強く相関するが、外気温の低下に伴って相関は低下した。・外気温と自由行動下血圧との間に有意な関連性はなかった。・身体活動など潜在的な交絡因子の調整後、室温1℃の低下は、日中(起床~就寝)の平均収縮期血圧(SBP)0.22 mmHgの上昇、夜間血圧降下率[(日中平均SBP-夜間平均SBP)/日中平均SBP×100]の0.18%増加、起床後2時間平均血圧-夜間最低血圧の0.34 mmHg上昇と有意な関連がみられた。・夜間の平均SBPは、室温・外気温と有意な関連はなかったが寝室温との関連がみられた。 これらの結果から、住宅内の温熱環境改善により冬季の脳心血管疾患死亡増加を減少できるかどうかを判断するには、室温と脳心血管疾患死亡との関連を評価することが重要であることが示唆される。

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日本発! 大豆・イソフラボンの摂取は子宮内膜がん発症予防に関与するか

 日本人女性の集団ベース前向きコホート研究では、大豆やイソフラボンの摂取が子宮内膜がんの発症リスクを防ぐ関連性は認められないことが、国立がん研究センター・がん予防・検診研究センターのSanjeev Budhathoki氏らの報告によって明らかとなった。BJOG誌オンライン版2014年6月18日号掲載の報告。 西洋人と比較し、日本人の大豆食品の消費量は非常に高く、子宮内膜がんの発症率も低い。そこで、日本人女性において、子宮内膜がんと大豆食品およびイソフラボンの摂取の間に関連性があるかについて調査を行った。 研究デザインは、前向きコホート試験であり、日本国内の10の保健所の管轄地域において試験を行った。対象は、5年間の追跡アンケート調査を行った45歳から74歳の女性4万9,121人である。1995年から1998年の間に、自記式の食物摂取頻度調査票によって、大豆食品だけでなく他の食品の摂取についても評価した。Cox比例ハザード回帰モデルは、ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定するために使用した。主なアウトカム指標は、子宮内膜がんの発症率である。 主な結果は以下のとおり。・平均12.1年の追跡期間の間、新たに112人が子宮内膜がんと診断された。・大豆食品やイソフラボンのエネルギー調整後の摂取量は、子宮内膜がんの発症リスクと関連していなかった。・大豆食品の摂取量が1日25gの増加当たりの多変量調整後HRは1.02 (95%CI:0.94~1.10)であり、1日15g当たりのイソフラボン摂取量に対応する値では、1.01(95%CI::0.84~1.22)であった。

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ADHD女性に対する薬物治療、その課題は

 英国・南エセックスパートナーシップ大学NHS財団トラストのFrank M C Besag氏は、出産可能年齢女性の注意欠如・多動症(ADHD)薬物治療に関する課題を提起した。ADHDに対する薬物治療が胎児や新生児に及ぼす影響に関する情報が少ないとしたうえで、治療継続あるいは治療中止が母子に及ぼす影響を慎重に考慮することの重要性を強調している。Drug Safety誌2014年6月号の掲載報告。 著者は、「ADHDは小児およびティーンエージャーだけでなく、成人でも一般的という認識が浸透しつつある。このため、本疾患の治療を受けている出産可能年齢女性の数が増えているが、妊娠中および授乳中の薬物治療が懸念されるなか、ADHDに対する薬物治療が胎児や新生児に及ぼす影響に関する情報があまりに少ない点は注目に値する」として、下記のような提言を行った。・ADHDに関連する衝動性は予期せぬ妊娠の増加を招くであろう。妊娠中および授乳中のADHD治療は乳児に不利な影響を及ぼすと推察されるが、治療中止や不適切な治療もまた母子を危険な状態に陥らせる可能性がある。・妊娠期間中の薬力学と薬物動態の変化は、有効性と薬剤濃度の両方に影響しうる。しかし繰り返しとなるが、これに関して利用可能な指針はない。米国FDAはADHD薬物治療を胎児危険度分類の「カテゴリーC」とし、有害または有害でないことを確定するには十分な情報がないとしている。・公開情報は限定的だが、少なくともメチルフェニデートにおいて、胎児奇形のリスク、薬剤の乳汁排泄量、新生児摂取量はきわめて低いようである。・臨床医と患者には、以下のような3つの疑問が起こると思われる。 「妊娠前、妊娠中にADHD薬物治療を中止すべきか、あるいは継続すべきか?」 「妊娠経過中または出産後にADHDに対する治療用量を調整すべきか?」 「授乳してよいか、それとも控えるべきか?」・ADHDに対する薬物治療の中止は母子をリスクにさらしうることから、子供へのリスクを考えて治療継続を考慮すべきである。・データは依然として不十分であるが、子供へのリスクは少なくともメチルフェニデートについてはきわめて小さいと思われる。ただし最近、メチルフェニデートより流産により胎児を失う割合が増加するというエビデンスが示されている。・出産可能年齢女性のADHD治療に関する議論はオープンかつ正直にバランスをとりながら行うべきで、治療継続が子供にもたらす可能性のあるリスクに関する情報不足を認め、また治療中止に伴って母子に起こりうるリスクにも注意を払うべきである。 関連医療ニュース 成人ADHDをどう見極める メチルフェニデートへの反応性、ADHDサブタイプで異なる 抗精神病薬治療中の若者、3割がADHD  担当者へのご意見箱はこちら

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パーキンソン病初期治療は、レボドパ単独が長期的に有益/Lancet

 パーキンソン病の初期治療は、レボドパ単独療法がレボドパ併用療法(ドパミンアゴニストまたはモノアミン酸化酵素B阻害薬[MAOBI])よりもごくわずかではあるが、患者評価の運動能スコアについて持続的有益性があることが示された。また初回併用療法としてはMAOBI併用がドパミンアゴニスト併用よりも有効であった。英国・バーミンガム大学PD MED共同研究グループが非盲検プラグマティック無作為化試験の結果、報告した。これまでパーキンソン病の早期患者について、レボドパ、ドパミンアゴニスト、MAOBIの3種のうちどれを初期治療として用いることが有用なのか確認されていなかった。Lancet誌オンライン2014年6月11日号掲載の報告。レボドパvs.ドパミンアゴニストvs. MAOBI 研究グループは3種のうち、どれが長期の症状コントロールおよび最良のQOLに有効なのかを明らかにするため、新規にパーキンソン病を診断された患者を対象に試験を行った。 被験者はバーミンガム大学の電話コールセンターサービスにより無作為に1対1対1の割合で、レボドパ併用療法(ドパミンアゴニストまたはMAOBI)もしくはレボドパ単独療法に割り付けられた。 主要アウトカムは、39項目からなる患者評価パーキンソン病質問票(PDQ-39)で評価した運動能力であった。またパーキンソン病のQOLへの影響を評価(範囲:0~100、6ポイント差以上を意味があると規定)し、費用対コストも評価した。分析はintention to treatにて行われた。7年間の運動能スコアの平均差、レボドパ単独群が有意に高値を維持 2000年11月9日~2009年12月22日に、1,620例の患者が各試験群に割り付けられた(レボドパ群:528例、ドパミンアゴニスト群632例、MAOBI群460例)。 追跡期間中央値3年においてPDQ-39運動能スコアは、レボドパ単独群がレボドパ併用療法群よりも平均1.8点(95%信頼区間[CI]:0.5~3.0、p=0.005)良好で、7年の観察期間中、この有益性についての増減はみられなかった。またMAOBI群とドパミンアゴニスト群の比較では、MAOBI群が平均1.4点(同:0.0~2.9、p=0.05)良好であった。 副次アウトカムのEQ-5Dスコア(一般的なQOL測定指標)は、レボドパ単独群がレボドパ併用群よりも平均0.03点(95%CI:0.01~0.05、p=0.0002)良好だった。認知機能障害(ハザード比[HR]:0.81、95%CI:0.61~1.08、p=0.14)、施設への入所(同:0.86、0.63~1.18、p=0.4)、死亡(同:0.85、0.69~1.06、p=0.17)とも有意差はみられなかったが、いずれのCI上限値ともにレボドパ単独群がレボドパ併用群よりも大幅に高値であった。 副作用により試験薬を中断したのは、レボドパ群11/528例(2%)であったのに対し、ドパミンアゴニスト群は179/632例(28%)、MAOBI群は104/460例(23%)であった(p<0.0001)。

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閉塞性睡眠時無呼吸、CPAP vs. 夜間酸素補給/NEJM

 心血管疾患または複数の心血管系リスク因子を有する閉塞性睡眠時無呼吸患者に対して、夜間酸素補給ではなく持続的気道陽圧(CPAP)療法を行うことで、血圧の有意な低下に結びつくことが示された。米国・退役軍人ボストンヘルスケアのDaniel J. Gottlieb氏らが無作為化試験の結果、報告した。閉塞性睡眠時無呼吸は、高血圧、炎症、心血管リスクの増大と関連している。CPAPは血圧を低下するが、アドヒアランス不良の頻度が高く、その有益性について従来リスク因子の管理を上回るのか不明であった。NEJM誌2014年6月12日号掲載の報告より。心血管リスクマーカーに及ぼす効果を評価 研究グループは、睡眠時無呼吸に続発する心血管疾患は、間欠的な低酸素血症が原因となっている可能性があるとして、夜間酸素補給vs. CPAPの心血管リスクマーカーに及ぼす効果を評価した。 試験は2010年2月~2012年1月に4施設で行われ、冠動脈疾患または複数の心血管リスク因子を有し、睡眠時無呼吸が認められた45~75歳の患者を登録して行われた。 睡眠時無呼吸スクリーニングはベルリン質問票を用いて行い、また診断を確定するため在宅睡眠検査も行われた。 上記適格患者のうち、1時間当たりの無呼吸低呼吸指数(AHI)が15~50の患者を、睡眠衛生および健康的なライフスタイルについての教育のみを受ける群(対照群)と、同教育に加えてCPAPまたは夜間酸素補給を受ける群に無作為に割り付けた。 ベースライン時と試験介入開始後12週時点で、心血管リスクの評価を行った。主要アウトカムは、24時間の平均動脈圧とした。12週時点、CPAP群の血圧が有意に低下 318例が無作為化を受け、281例(88%)がベースライン時と追跡調査時の血圧評価(ABPMによる)を完了した(対照群97例、CPAP群90例、夜間酸素補給群94例)。 12週時点の24時間平均動脈圧はCPAP群が、対照群よりも低く(-2.4mmHg、95%信頼区間[CI]:-4.7~-0.1、p=0.04)、また夜間酸素補給群と比べても低かった(-2.8mmHg、95%CI:-5.1~-0.5、p=0.02)。 24時間平均動脈圧について、対照群と夜間酸素補給群との間に有意差は認められなかった。 また欠測データの影響を評価するため、複数の外挿法を用いて感度分析を行ったが、主要解析の結果に変化はみられなかった。

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母斑数は乳がんの独立予測因子?

 母斑はホルモンに関連することが示唆されている。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMingfeng Zhang氏らは、母斑は血漿ホルモン値の表現型マーカーとなり、乳がんリスクを予測するのではないかと仮説を立て検証研究を行った。その結果、母斑数は血漿ホルモン値を反映し、既知の因子とは独立した乳がんリスクの予測因子となりうることを報告した。PLOS Medicine 誌2014年6月10日号の掲載報告。 検討は、「看護師健康調査」に参加し24年間(1986~2010年)追跡を受けた7万4,523例を対象に行われた。 乳がんを診断された被験者を特定し、母斑数を調べ、既知の乳がんリスク因子で補正したモデルを用いて、母斑数別に乳がんの相対リスクを推算した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中、侵襲性乳がんを診断された被験者は、総計5,483例であった。・母斑がなかった被験者と比較して、その数が多くなるほど、乳がんリスクは増大することが明らかになった。・多変量補正ハザード比は、母斑数1~5個で1.04(95%信頼区間[CI]:0.98~1.10)、6~14個で1.15(同:1.00~1.31)、15個以上で1.35(同:1.04~1.74)であった(連続傾向p=0.003)。・追跡期間24年間における乳がん発生の絶対リスクは、母斑なしの8.48%から、母斑数増大に伴い増大がみられた。すなわち、母斑数1~5個で8.82%(95%CI:8.31~9.33%)、6~14個で9.75%(同:8.48~11.11%)、15個以上で11.4%(同:8.82~14.76%)であった。・また、母斑数と乳がんリスク増大との関連性は、エストロゲン受容体(ER)陽性腫瘍例においてのみ認められた。母斑数5個についての多変量ハザード比は、ER+/プロゲステロン受容体(PR)陽性腫瘍では1.09(95%CI:1.02~1.16)、ER+/PR-腫瘍では1.08(同:0.94~1.24)、ER-/PR-腫瘍では0.99(同:0.86~1.15)であった。・また、閉経後でホルモン補充療法を受けていなかった被験者(611例)のサブグループにおいて、血漿ホルモン値を母斑数別に調べた結果、閉経後では6個以上の母斑があると、母斑がない被験者と比べて、遊離エストラジオール値が45.5%高く、遊離テストステロン値は47.7%高かった。・362例の乳がん被験者と適合対照611例のサブグループ解析において、母斑5個ごとの多変量補正後オッズ比は1.25(95%CI:0.89~1.74)から、血漿ホルモン値補正後は1.16(同:0.83~1.64)に低下した。・なお本研究は、母斑数が自己申告であること、試験が白人女性に限られており限定的で、試験結果がすべての集団に適用できるとは限らない。

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