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FACTOR-64試験:立案段階から疑問の残るスタディ(解説:野間 重孝 氏)-286

 糖尿病の治療目標はその合併症の発症・進展を予防することにより生命予後の改善を図ることにある。しかしながら、現代医学はいまだ糖尿病をコントロールし、その生命予後に対する影響を十分に小さくすることに成功しているとはいえない。 糖尿病の合併症の中でも、生命予後に最も大きな影響を及ぼすのは心血管疾患であり、欧米の報告では、一般人口に比して糖尿病患者では心血管疾患発症リスクが2~4倍程度とする報告が多い。 多くの介入試験が行われているが、その結果をみわたしてみると次の2点が重要である。一口に強化療法というが、標準療法との有意差を認めるには10年程度のフォローが必要であって、比較的短い期間の介入試験では心血管系疾患の発症予防に有意差を出した研究はきわめて少数であること、また発症後10年以上経過してから介入を始めた臨床試験では、強化血糖コントロールの効果は現在のところ認められていないことである。 強化療法の有用性が予想以上に低い(場合によってはかえって有害な)理由としては、無症候性の低血糖の関与が考えられているが、結論が出ていない。 冠動脈造影CT検査(CCTA)は非侵襲的に冠動脈病変の評価を可能にした検査であり、その結果は従来の冠動脈造影所見とよく相関することが証明されている。今回の無作為化試験FACTOR-64では、64列multidetector CT angiographyを用いて無症候の糖尿病患者に無作為にCCTAを行うことにより、high risk groupを抽出することができることを前提として計画された無作為化介入試験である。 対象はユタ州のIntermountain Healthcare傘下の45のクリニックおよび開業医がフォローする、冠動脈疾患関連徴候を有しない900例の患者である。患者群をCCTA を行う群と行わない群に無作為にまず2分し、非施行群に対しては全例標準治療を、施行群ではCCTAで何らかの所見のあった群に対しては強化療法を、なかった群に対しては標準療法を施し、4.0±1.7年フォローアップした。割付と治療目標の詳細についてはオリジナルニュースを参考にしていただきたいが、結果的に両群で主要アウトカム、副次エンドポイントともに差がみられなかったというのが結論であった。 有名誌に掲載された論文であるからお読みになった方も多いと思うが、評者はこのスタディをみたとき、少なくとも2つの問題点が指摘されなければならないと思った。1つは本文の最初にまとめた現在までの一連の糖尿病介入試験の成果を無視している点であり、もう1つはデザインの問題である。 種々の介入試験の結果から強化療法の結果が明らかになるためには、10年程度のフォローアップ期間が必要であることがほぼ結論付けられている。本スタディの4年というフォローアップ期間は明らかに短すぎる。さらに論文中の患者プロファイルからいずれの群においても糖尿病罹病期間が平均12~13年であることは、強化療法の効果が期待できにくい患者を対象としていることがわかる。さらに無症候性CAD群をみると重症狭窄があるにもかかわらず無症候の症例が含まれていることがわかる。無症候性心筋虚血の原因についてはすべて解明されているわけではないが、糖尿病性自律神経障害によるものが多いとされ、当然罹病期間も長く、重症度も高い症例にみられやすいことが知られている。このように考えてみるとこの対象患者選択は正しかったのだろうか。 スタディデザインに言及するならば、非CCTA群は標準治療を受けた非CAD群と標準治療を受けた無症候性CAD群の和であり、同じくCCTA群は標準治療を受けた非CAD群と強化療法を受けた無症候性CAD群の和となっている。この場合非CCTA群ではCADの有無にかかわらず非標準治療を受けるため、結局両群の治療成績の差はCCTA群において強化療法を受けた無症候性CAD群の治療成績のいかんにより決定される。このデザインははたして妥当なものだったのだろうか。強化療法による成績が非常に優れたものであった場合には両群で差が出るが、もし効いていてもそれほど顕著ではなかった場合には差がみえにくくなってしまう可能性が考えられるからである。CCTAは治療手段ではないから、第2段階で無作為に振り分けることに意味があったのかが問われなければならないのである。 すなわち、CCTAによる振り分けの意義を検証しようとするならば、まず全例にCCTAを指向し、何らかの所見のあった群を対象として標準的治療と強化療法に無作為に振り分けるべきであった。さらにこれに標準療法を施した非CAD群の成績を対象として加えればデータはさらに有用なものになったと思われるのである。観察期間をもっと長く取れば、さらに有用性は増したであろう。介入試験のデザインには倫理的な考察が必要であるが、強化療法の有用性が確立していない現在、上記のような振り分けに倫理的な問題はないと思われる。 以上のようにこの介入試験はその計画段階から問題を抱えていたスタディであるといわざるを得ない。臨床医が何らかの理由でCADの存在を疑った場合、CCTAによるスクリーニングを行うことが有用であることはいうまでもない。しかしながら、単に危険因子を有するというだけでCCTAを行うことは、医学的に意味がないのみならず、医療経済的観点からも望ましい行為ではない。この点に評者は疑問を差し挟むものではないが、CCTAが高額(とくに米国では)の検査であり、このスタディが計画される背景に何とか医療費の抑制を図りたいとする意図があったとするならば、一連の介入試験立案の悪い前例となる可能性を危惧するものである。

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67)上手な水中運動の勧め方のコツ【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者膝が痛くて、なかなか運動ができません。医師それなら、水中運動がお勧めですよ。近くにプールはありますか?患者あります。まだ、いったことはないんですが・・・。医師水には「浮力」がありますので、へそまでつかると体重は半分くらいになります。患者それなら、膝にも負担がかかりませんね。医師そうですね。水には「抵抗」がありますので、早く大きく動くほど筋肉をよく使います。患者なるほど。水中で歩く時に手を使うといいんですね。 医師そうです。それに、ちょうどよい「水温」は身体に心地よい刺激を与えますし、体温が奪われるので消費エネルギーもアップします。それに・・・。患者それに、なんですか? 医師「水圧」の影響で、運動中の血圧上昇も少なくなるそうです。患者なるほど。頑張って、運動にプールにいってみます。●ポイント浮力、抵抗、水温、水圧など水中運動の長所を、上手に説明できるといいですね

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アリスミアのツボ Q16

Q16心室性二段脈、三段脈がどうしても気になる…。むかし、医学生の時に覚えた印象が強いのでしょう。見た目が派手な心電図12誘導心電図で、心室性二段脈、三段脈を見ると、なかなか見た目は派手です。医学生の時にすんなりと頭に入ってきた理由も、そこにあるのかもしれません。では、二段脈、三段脈の患者さんに聞いてみましょう。「今、調子はどうですか?」多くの患者さんで「とくに変わったところはありません。」という答えが返ってきそうです。医師にとっては派手な検査所見、患者にとっては何ともない・・・このアンバランスさがかえって医師に危機感を覚えさせるのでしょうか。見た目は正常なのに、病気は重いこの逆を彷彿させる状態もあります。患者さんは胸痛を訴えている、しかし12誘導心電図は正常でST変化もまったくない・・・この一部は確実に急性冠症候群です。急性冠症候群の一部はこのように見逃され、後で大変なことになっているはずです。教科書には載っているが、PubMedの扱いは小さいちなみにPubMedで、「ventricular bigeminy」と「prognosis」をかけあわせると32件、「ventricular trigeminy」とかけあわせるとわずか9件しか文献がヒットしません。心電図が派手なので、記憶に残る・・・これは確かなのですが、それが医療上意味を持っているかどうかとはまったく別物です。こんなこともあるよねという気構えで、基礎心疾患がなければ、また症状がなければ、無視してもよいのではないでしょうか。

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働き盛りを襲う難渋する腰痛の正体

 12月3日、アッヴィ合同会社とエーザイ株式会社は、都内で「長引く腰痛を見過ごさない!」をテーマに共催でプレスセミナーを開催した。セミナーでは、「“怠け病”ともみられがちな男性若年層に潜む難病『強直性脊椎炎』とは?」と題し、疾患に関するレクチャーが行われた。国民病である腰痛を分析する はじめに「国民病の腰痛と知られていない強直性脊椎炎について」と題し、織田 弘美氏(埼玉医科大学医学部整形外科学 教授)より、いわゆる「腰痛」に関する概要と「強直性脊椎炎」に関する説明が行われた。 「腰痛」は、厚生労働省の調査によると、男性では有訴者率の1位、女性では「肩こり」に続く2位となっており、身近な疾患として知られている。ただ、その定義については、確立したものはなく、主に疼痛部位(解剖的な位置)、有症期間(急性、亜急性、慢性)、原因などから総合して診断される。たとえば、原因別分類であれば、脊椎由来、神経由来、内臓由来、血管由来、心因性、その他に分類され、整形外科をはじめとしてさまざまな専門領域で診療されているとのことである。 そして、鑑別診断では、動作に関係ない痛みであれば整形外科以外の疾患が考えられること、動作に関係のある痛みの場合、安静でも痛みがあれば炎症や腫瘍が、動作時だけ痛めば腰痛症、骨粗鬆症、腰椎分離・すべり症などが考えられると説明した。 次に、腰痛を起こす整形外科疾患として、腰痛症、変形性腰椎症、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎分離症・腰椎すべり症、骨粗鬆症などを紹介、その原因と症状を述べた。そのうえで、腰痛を呈するその他の疾患として、脊椎関節炎、乾癬性関節炎、急性ぶどう膜炎、反応性関節炎などを挙げ、これらを網羅する形で強直性脊椎炎が存在すると解説した。 強直性脊椎炎の診断では、(1)発症年齢40歳未満、(2)潜行性に発症、(3)体操で改善、(4)安静では改善しない、(5)夜間疼痛(起き上がると改善する)の5項目のうち、4項目に該当する場合は本症が疑われる。とくに動作を行うと軽快するのは、他の腰痛と異なるポイントとのことである。 織田氏は「腰痛患者の中に慢性で長引く患者がいた場合、本症も疑ってもらいたい」とレクチャーを終えた。痛みを我慢して仕事を続ける患者像 続いて「長引く腰痛に関連する強直性脊椎炎について」と題し、門野 夕峰氏(東京大学医学部整形外科・脊椎外科 講師)が、強直性脊椎炎の具体的な診療内容や、本症がQOLに及ぼす影響について説明を行った。 強直性脊椎炎は、社会的に広く知られていないことから、初発から確定診断まで9年程度要している現状を紹介。患者は、症状が進行すると外見的に問題が無いようでも脊椎のこわばりから動作が不自然になったり(たとえば首の可動ができないなど)、周囲の期待する動きができなかったりすることで、誤解を受けているといった状況を説明した。 強直性脊椎炎の具体的な症状については、背部痛、関節炎などのほか、画像所見はMRIでの仙腸関節炎陽性やX線での仙腸関節炎が観察されると解説。 また、3ヵ月以上続く腰痛を有する人(n=1,236)へのアンケート調査を紹介し、約8割の人が痛みの程度を「かなりつらい」「つらい」と感じているにもかかわらず、現在、医療機関を受診している人は10%にとどまり、多くの人が「痛み」を我慢しているという状況を指摘した。また、その「痛み」により、約60%の人が仕事のモチベーションが低下したとしており、休職などで労働生産性が低下している現状が明らかになった。 強直性脊椎炎の治療では、痛みにはNSAIDsを使用した対症療法と脊椎病変への運動療法、理学療法が行われているが、近年ではTNF阻害薬も使用されていると説明。CRP正常値群と高値群におけるNSAIDsの効果を比較した試験では、NSAIDs治療継続群のほうが同間欠群よりも予後良好との報告や、TNF阻害薬とNSAIDsの比較では、TNF阻害薬処方群のほうがmSASSS変化で4年目以降に効果発現することなどが報告された。 最後に門野氏は、強直性脊椎炎を疑ったら、まずはリウマチや整形外科の専門医を探すこと、WEBなどで情報を収集することを勧め、早期に治療を受けてもらいたいとレクチャーを終えた。

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腎移植後のBKウイルス尿症、キノロンで予防できるか/JAMA

 腎移植後レシピエントの重大合併症であるBKウイルス感染症に対して、移植後早期開始のレボフロキサシン(商品名:クラビットほか)療法(3ヵ月間投与)は、BKウイルス尿症発症を予防しなかったことが、カナダ・オタワ大学のGreg A. Knoll氏らによる、前向き二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果、判明した。BKウイルスの一般集団保有率は60~80%であり、移植後免疫療法は同ウイルスを再活性化することが知られる。ウイルス尿症に始まり、ウイルス血症、最終的にウイルス腎症に至る感染症の進行は、レシピエントの移植失敗に結びつくこと(10~100%)から問題視されている。今のところ同感染症に対する有効な治療戦略はないが、後ろ向き検討において、キノロン系抗菌薬の抗ウイルス効果が示されたことから、前向き試験による予防的投与の効果を検討する本試験が行われた。JAMA誌2014年11月26日号掲載の報告。移植後5日以内に3ヵ月間投与、プラセボ群と比較 試験は、2011年12月~2013年6月にカナダの7つの移植医療施設で行われた。被験者は、死体または生体腎移植を受けた154例で、移植後5日以内に開始する3ヵ月間のレボフロキサシン投与(500mg/日、76例)を受ける群と、プラセボ群(78例)に無作為に割り付けられ追跡を受けた。 主要アウトカムは、移植後1年以内のBKウイルス尿症発症(定量リアルタイムPCR法で検出)までの期間。副次アウトカムは、BKウイルス血症の発生率、ウイルス量最大値、拒絶反応、患者死亡率および移植片生着失敗率などであった。BKウイルス尿症発生のハザード比0.91で有意差なし、むしろ耐性菌リスク増大 本試験は、被験者154例のうち38例が追跡予定期間(12ヵ月)を完遂できなかった。38例のうち11例はウイルス尿症を発症したため、また27例はリスクが認められ、試験を早期に終了した(全被験者が完了した追跡期間は8ヵ月間)。全体の平均追跡期間は、レボフロキサシン群46.5週、プラセボ群46.3週であった。 BKウイルス尿症の発生は、レボフロキサシン群22例(29%)、プラセボ群26例(33.3%)で、両群に有意差は認められなかった(ハザード比:0.91、95%信頼区間[CI]:0.51~1.63、p=0.58)。また、各副次エンドポイントについても、両群間で有意差はみられなかった。 一方で、レボフロキサシン群でキノロン耐性菌感染症のリスク増大が認められた(58.3%vs. 33.3%、リスク比:1.75、95%CI:1.01~2.98)。また、有意ではなかったが腱炎リスクの増大も認められた(7.9%vs. 1.3%、リスク比:6.16、95%CI:0.76~49.95)。 試験期間中の腎機能は両群で同等であった。

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コレステロール流出能と心血管イベントは逆相関/NEJM

 アテローム硬化性心血管疾患の新たなバイオマーカーとして、コレステロール流出能(cholesterol efflux capacity)が有望であることが、米国・テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターのAnand Rohatgi氏らによる検討の結果、明らかにされた。一般健康集団(心血管疾患のない)を対象とした検討において、コレステロール流出能とイベント発生が逆相関の関連性を有することが示され、同関連性は伝統的な心血管リスク因子、HDLコレステロール(HDL-C)値、HDL粒子数で補正後も維持されたことが示された。NEJM誌オンライン版2014年11月18日号掲載の報告より。コレステロール流出能とアテローム硬化性心血管疾患発生との関連を調査 HDL-C値がアテローム硬化性心血管疾患の原因と関連しているかどうかは明らかではなく、先行研究において、HDLコレステロール流出能(マクロファージからコレステロールを受け入れるHDL能でコレステロール排出におけるキーステップ)が、より重要な因子である可能性が示唆されていた。 研究グループは、大規模な多民族集団において、コレステロール流出能の疫学調査を行うとともに、アテローム硬化性心血管疾患発生との関連を調べた。 対象は、Dallas Heart Studyの被験者で心血管疾患のない2,924例。ベースラインでHDL-C値、HDL粒子数、コレステロール流出能を測定し追跡調査を行った。 主要エンドポイントは、アテローム硬化性心血管疾患(初発の非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、冠動脈再建術、心血管系による死亡で定義)とした。追跡期間中央値は9.4年であった。コレステロール流出能最高四分位範囲1.19~3.93群ではリスクが67%低い 被験者のベースライン時特性は、年齢は42歳、女性は57%であった。コレステロール流出能は0.21~3.93にわたり、4分位(0.21~0.83、0.84~0.99、1.00~1.18、1.19~3.93)に層別化して分析が行われた。 分析の結果、HDL-C値が複数の伝統的なリスク因子や代謝変数と関連していたのに対し、コレステロール流出能は、それらとはわずかな関連性しか示さなかった。 ベースライン時のHDL-C値は、心血管イベントとの関連が認められなかった(補正後分析におけるハザード比[HR]:1.08、95%信頼区間[CI]:0.59~1.99)。 一方、伝統的リスク因子、HDL-C値、HDL粒子数を含む完全補正後モデルにおいて、コレステロール流出能最高四分位範囲群は同最低四分位範囲群と比べて心血管リスクが67%低かった(HR:0.33、95%CI:0.19~0.55)。 コレステロール流出能を伝統的リスク因子に加えることで、統合識別改善指数や再分類指数は改善が示された。

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気管支喘息、スピリーバ レスピマットへの期待

 2014年12月3日、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社によるスピリーバ レスピマット喘息適応追加記者発表会が都内にて行われた。当日は足立 満氏(国際医療福祉大学 臨床医学研究センター山王病院アレルギー内科)が「喘息治療の現状とスピリーバ レスピマットへの期待」と題し講演した。■本邦における喘息コントロールの課題 本邦における喘息死は大きく減少し2012年には1,728人と2000人を下回っている。だが、一見コントロールされているようでも、実際は症状が残る患者は少なくない。 2012年の本邦の報告によれば、ICS(吸入ステロイド薬)またはICS/LABA(吸入ステロイド・長時間作用性β刺激薬合剤)を継続使用しても喘息症状が発現・悪化する患者は86.2%、そのうち31.5%は緊急受診や入院などの喘息増悪を起こしている1)。このように患者のコントロールレベルは万全とはいえない状況である。さらにコントロール不十分・不良患者は重症例だけでなく軽症例でも6~7割みられる2)。■喘息治療薬として見直される抗コリン薬 抗コリン薬は喘息治療薬としては本邦では主流の位置付けとはいえない。しかし、海外では中等症から重症例の救急治療において使用が推奨されるなど、その位置付けは本邦以上に確立しているという。抗コリン薬の作用機序はβ刺激薬をはじめとする気管支拡張薬とは異なる。また気管支拡張による肺機能改善以外にも、入院の減少などの効果も認められることから、近年は治療選択肢の1つとして期待されている。 そのようななか、COPD治療薬の定番である長時間作用性抗コリン薬(LAMA)チオトロピウムについても、気管支喘息の臨床エビデンスが続々と報告されている。ICS/LABAでコントロール不能な中等~重症の喘息患者におけるチオトロピウム(スピリーバ レスピマット)の有用性を明らかにした国際大規模試験PrimoTinA3)に続き、本邦の国内長期試験であるCadenTinA試験の結果が紹介された。本試験は、中用量のICSによっても症状が持続する軽~中等症の喘息患者を対象に行われた無作為化並行群間比較試験である。結果、最も薬剤効果の低下するトラフ値の評価において、ICS/チオトロピウム(レスピマット5μg/日)併用群は、ICS単独群に比べ110mL以上の有意なFEV1の上昇を認め、喘息関連QOLも改善している。■重症持続型喘息とはいえ適応は広い スピリーバ レスピマットの本邦での喘息の適応は重症持続型に限られる。ただし、この重症持続型とは、現在の治療ステップに、その治療による現状の症状を加味した評価である。つまり、ステップ2の軽症持続型の治療を行っていても、「症状が毎日ある」など現治療に対する症状が中等症持続型の基準を満たすほど不良な場合、重症持続型の治療適応となる(詳しくは喘息予防・治療ガイドラインを参照)。重症持続型の治療といっても、その適応範囲は広い。「調査データはないものの、現在の治療ステップに治療を加味した“真の重症持続型”はけっして少なくないであろう」と足立氏は述べた。 最後にレスピマット吸入デバイスのデモンストレーションが行われた。レスピマットは噴霧速度が遅く霧の状態が長く保たれることが、記者にも印象的であった。薬剤の効果以外にも薬剤噴霧と吸気を同調しやすいというメリットもありそうだ。【参考文献】1) 秋山一男. アレルギー・免疫. 2012; 19: 1120-1127.2) 大田健ほか. アレルギー. 2010; 59: 2010-2020.3)Kerstjens HA, et al. N Engl J Med. 2012; 367: 1198-1207.

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抗精神病薬は統合失調症患者の死亡率を上げているのか

 一般的に、抗精神病薬の長期使用は死亡率、とくに心血管死のリスクを増加させるといわれているが、この知見を実証する明確なデータは存在しない。フィンランド・国立健康福祉センターのMinna Torniainen氏らは、初回エピソード統合失調症患者を対象に、抗精神病薬曝露と死亡率との関係を検討した。Schizophrenia bulletin誌オンライン版2014年11月24日号の報告。 2006年以前にスウェーデンで統合失調症と診断された2万1,492例のうち、17~65歳の初回エピソード統合失調症患者1,230例を、2006~2010年までフォローアップした。患者情報は、全国レジスターを通じて収集した。全死亡率および原因別死亡率は、2006年1月~2010年12月までの累積抗精神病薬曝露の関数として計算した。1日当たりの抗精神病薬の用量はDDD(defined daily dose)/日で示し、高曝露群(>1.5DDD/日)、中間曝露群(0.5~1.5DDD/日)、低曝露群(<0.5DDD/日)、未曝露群(0DDD/日)とした。 主な結果は以下のとおり。・一般集団から年齢、性別をマッチさせた対照群(21万4,920人)と比較すると、全死亡率は、未曝露群で最も高かった(HR 6.3、95%CI:5.5~7.3)。・次いで、全死亡率が高かったのは、高曝露群(HR 5.7、95%CI:5.2~6.2)、低曝露群(HR 4.1、95%CI:3.6~4.6)、中間曝露群(HR 4.0、95%CI:3.7~4.4)の順であった。・高曝露群(HR 8.5、95%CI=7.3~9.8)と未曝露群(HR 7.6、95%CI:5.8~9.9)では、低曝露群(HR 4.7、95%CI=3.7~6.0)、中間曝露群(HR 5.6、95%CI:4.8~6.6)のいずれかよりも、高い心血管死亡率との関連が認められた。・初回エピソード統合失調症患者では、超過死亡率は未曝露群で最も高かった(HR 9.9、95%CI:5.9~16.6)。 結果を踏まえ著者らは、「統合失調症患者の死亡リスクは、抗精神病薬を使用しない場合に最も高く、全死亡と累積抗精神病薬曝露との相関はU字型の曲線を示す。適切な用量で使用する限りは、全死亡および心血管死亡とも抗精神病薬以外の要因に起因するものである」とまとめている。関連医療ニュース 自殺念慮と自殺の関連が高い精神疾患は何か 統合失調症患者の突然死、その主な原因は 統合失調症患者、合併症別の死亡率を調査

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ALK陽性肺がんに対する標準治療を確立した重要な試験(解説:倉原 優 氏)-285

 このPROFILE 1014試験は、未治療のALK陽性進行非扁平上皮非小細胞肺がんの患者343例を、クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)250mg1日2回(3週間1サイクル)投与する群(172例)と標準化学療法を行う群(171例)にランダムに割り付けたものである。標準化学療法群は、3週間おきにペメトレキセド500mg/m2、シスプラチン75mg/m2あるいはカルボプラチンAUC5~6を最長6サイクルまで投与している。重要な点は、両群とも増悪後にクロスオーバーが認められている点である。プライマリエンドポイントは無増悪生存期間(PFS)、セカンダリエンドポイントは奏効率、全生存期間(OS)などである。 試験の結果、PFSはクリゾチニブ群が有意に優れており、PFS中央値はクリゾチニブ群が10.9ヵ月、標準化学療法群が7.0ヵ月、ハザード比は0.45(95%信頼区間:0.35~0.60、p<0.0001)だった。クロスオーバーが認められているため、OSには差はみられなかった。奏効率もクリゾチニブ群が74%(95%信頼区間:67~81)、化学療法群が45%(95%信頼区間:37~53)で、群間差29%(95%信頼区間:20~39、p<0.0001)とクリゾチニブ群が有意に良好であった。 この試験は、ALK陽性非小細胞肺がんのファーストラインにクリゾチニブを用いることが標準治療と位置付けた歴史的な研究である。クロスオーバーが可能であるためOSには差は出なかったものの、PFSに大きな差が出たことは臨床医にとってインパクトが大きかった。過去のレトロスペクティブ解析によれば、ALK陽性例ではクリゾチニブ単剤投与の有無によってOSが大きく異なるのではないかと考えられており1)、本研究と併せて考えると、ALK陽性例に対してクリゾチニブを投与しないという選択肢は現時点ではないだろう。 ただし、現行の日本のガイドラインではパフォーマンスステータス(PS)不良例に対するクリゾチニブの使用は推奨されていない。今後、PS不良例に対するエビデンスが蓄積されれば、クリゾチニブを現場で使用する頻度が増えてくるかもしれない。 クリゾチニブはMET阻害薬として開発された経緯があるため、ALKのみを阻害するわけではない。これまでの肺がんに対する抗がん剤の歴史においてマルチターゲット阻害薬は結果が芳しくないが、ALK阻害薬に関しては期待ができそうな報告が多い。とりわけROS1阻害作用がホットトピックであり2)、最近取り沙汰されるアレクチニブ(商品名:アレセンサ)とクリゾチニブの位置付けが今後どうなるのか注目である。

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日常生活でのポイント

【関節リウマチ】ケア(まとめ)⽇常⽣活の7つのポイント〜⽇々の積み重ねが⼤切!ストレスをためず、安定した精神状態を保とう。住まいの環境を整えよう(段差を少なく)。運動と安静の両⽅が⼤切。冷えや湿気は、痛みやはれを強めるので要注意。食事はバランスよく、3食規則正しく。関節に負担をかけない動作を身につけよう。できることはできるだけ自分で。監修:慶應義塾大学医学部リウマチ内科 ⾦⼦祐⼦⽒Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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補助具や便利グッズの紹介

【関節リウマチ】関節破壊を予防し、関節への負担を減らす!補助具・便利グッズ①●手が届かないときリーチャー孫の手トングソックスエイド監修:慶應義塾大学医学部リウマチ内科 ⾦⼦祐⼦⽒Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.【関節リウマチ】関節破壊を予防し、関節への負担を減らす!補助具・便利グッズ②●つまむ⼒、握⼒を補助するペットボトルオープナー 缶オープナードアノブ回し監修:慶應義塾大学医学部リウマチ内科 ⾦⼦祐⼦⽒Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.【関節リウマチ】関節破壊を予防し、関節への負担を減らす!補助具・便利グッズ③●⽴ち上がりを補助する補⾼ざぶとん補⾼便座椅子の⾼さや⽴ち上がりやすい⾼さに合わせて作る。市販の取り付けタイプと、患者さんの⾼さに合わせて作製するタイプがある。監修:慶應義塾大学医学部リウマチ内科 ⾦⼦祐⼦⽒Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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推奨される食事

【関節リウマチ】食事では、筋肉をつくるタンパク質 を積極的にとろう!メモ関節リウマチでは、全⾝の筋肉量が落ちやすいので、良質なタンパク質(肉、⿂、卵、⼤⾖製品など)をとる。・動物性タンパク質は貧血予防にも効果的。・タンパク質を中心に、ビタミン、ミネラルをバランスよく。監修:慶應義塾大学医学部リウマチ内科 ⾦⼦祐⼦⽒Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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師走の選挙【Dr. 中島の 新・徒然草】(045)

四十五の段 師走の選挙出勤途中の自動車の中から見えるのは、声を張り上げる選挙カー。考えてみれば12月14日は衆議院選挙、各陣営とも力が入っています。外来患者さんの中にも選挙に関わっている人がおられます。先日、脳外科を受診した三叉神経痛の方もその1人。顔は痛いけど選挙運動も忙しいので大変です。患者「なんせ12月14日までは選挙にかかりっきりなんで、入院とか手術とか、そんなん後回しです。イテテ」中島「ちなみにどこを支持しているのですか?」患者「〇〇党です」中島「なるほどねえ」患者「定年退職したらのんびり暮らそうと思ってたんですけど、選挙のことやら家族のことやらで大変ですわ。アイタタタタ」思想信条は違えども、人生に対して前向きに生きている人を見ると、こちらも応援してあげたくなります。中島「ぜひ頑張ってください」患者「ええ、大勝利を目指します!」そういえば、元議員さんが入院していたことがありました。ベッドの上で弱っておられたのですが、話題が選挙のことになると途端に声の張りが戻ったのには驚かされました。中島「このたびは見事に息子さんが当選されたんですね」患者「ええ、現職を倒しましたよ。わっはっは!」中島「おめでとうございます」患者「ありがとう、ありがとう(泣)」御主人の横で深々と頭を下げる奥さん。やはりサマになっています。ということで、12月14日にはできるだけ投票に行こうと思っています。自分が投票すればこそ、夜の開票速報も見応えがあるというモンです。

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院外心停止時の機械的心肺蘇生、生存率改善せず/Lancet

 院外心停止時の心臓マッサージについて、機械的心肺蘇生(CPR)vs.徒手的CPRのアウトカムを比較した結果、両群の30日生存率は同等であったことが、英国・ウォーリック大学のGavin D Perkins氏らによる検討の結果、示された。心マは質の高い胸骨圧迫を維持したCPRが求められることから、機器使用のほうが有効ではないかとして普及が進んでいる。しかし、有効性のエビデンスはほとんど示されておらず、先行研究でもアウトカムを改善しないと報告されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「先行研究の報告とも合わせて、機械的CPR法を普及させても、生存は改善しないことが示された」と述べ、「本研究により、機械的CPRが優位である点は認められないこと、および救急医療についての訓練および実践の難しさを強調するものとなった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年11月16日号掲載の報告より。LUCAS-2による心肺蘇生と徒手的心肺蘇生の30日生存率を比較 研究グループは、救急医療の最前線への自動心臓マッサージシステム「LUCAS-2」を導入したCPRが、院外心停止の生存を改善するかを評価する、プラグマティックな集団無作為化非盲検試験PARAMEDIC(pre-hospital randomised assessment of a mechanical compression device in cardiac arrest)を行った。 試験には、英国内4つの救急サービスシステム(ウェストミッドランズ、北東イングランド、ウェールズ、サウスセントラル)内にある91ヵ所の都市部および都市近郊部の救急サービスステーションが参加。集団無作為化にて1対2の割合で、LUCAS-2または徒手的CPRを実施する群に割り付けられた。患者は、現場に最初に到着した割り付けサービスステーションの救急隊に従いLUCAS-2による機械的CPRもしくは徒手的CPRを受けた。 主要アウトカムは、intention to treat解析によるCPR後30日時点の生存であった。 救急隊および主要アウトカム集約スタッフは、割り付けについてマスキングされていたが、CPR処置と処置への初期反応を報告するスタッフにはマスキングはできなかった。LUCAS-2割り付け群の実施率60%、打撲や裂傷といった有害事象も 試験は2010年4月15日~2013年6月10日に、418の救急隊が参加して行われた。試験に登録された適格患者は4,471例(LUCAS-2群1,652例、徒手的CPR群2,819例)。自動心臓マッサージシステムであるLUCAS-2群に割り付けられた患者のうち実際に機械的CPRを受けたのは985例(60%)、一方、徒手的CPR群で機械的CPRを受けたのは11例(1%未満)だった。LUCAS-2群で、機械的CPRが行われなかった理由は、試験関連272例(隊員の間違い168例、隊員が訓練を受けていなかった78例、装置がなかった26例)、使用不可256例(患者が不適当102例、装置に問題14例、装置使用不可140例)、理由不明110例であった。徒手的CPR群で機械的CPRが使用された理由は全例、隊員の間違いによるものだった。 intention to treat解析の結果、30日時点の生存率は、LUCAS-2群6%(104/1,652例)、徒手的CPR群7%(193/2,819例)であり、両群で同等だった(補正後ハザード比[HR]:0.86、95%信頼区間:0.64~1.15)。 重篤有害事象は報告されなかったが、LUCAS-2群で臨床的有害事象が7件報告された(胸部打撲3例、胸部裂傷2例、口腔内出血2例)。また、機器使用中に装置に関する問題が15件発生した。一方、徒手的CPR群では有害または重篤有害事象の報告はなかった。

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1型糖尿病、コントロール良でも死亡リスク2倍/NEJM

 血糖コントロール(糖化ヘモグロビン値)6.9%以下であった1型糖尿病患者の全死因死亡/心血管系の原因による死亡は、適合一般集団の2倍であることが、スウェーデン・NU-Hospital OrganizationのMarcus Lind氏らによる検討の結果、明らかにされた。同国で1998年1月1日以降に登録された1型糖尿病患者(罹病期間 20.4年)を対象とした8.0年追跡した観察研究の結果で、同リスクは血糖コントロールが不良であったほど高く、9.7%以上の患者では全死因死亡は8.51倍、心血管系死亡は10.46倍であったという。これまで、1型糖尿病患者のレベル別血糖コントロールと全死因死亡/心血管系死亡との関連は明らかになっていなかった。NEJM誌2014年11月20日号掲載の報告より。血糖コントロールレベルの違いによる過剰死亡リスクを調査 研究グループは、血糖コントロールレベルの違いによる過剰死亡リスクを明らかにするため、スウェーデン糖尿病患者集団におけるレジストリベースの観察研究を行った。 レジストリから1型糖尿病患者を本検討に組み込み(患者群)、年齢、性別、居住県で適合した一般住民から、患者1例に対し5例の対照群を選び、両群について、スウェーデン死因別死亡登録を用いて2011年12月31日まで追跡した。 被験者数は患者群3万3,915例、対照群16万9,249例。ベースライン時の両群特性のうち、平均年齢は患者群35.8歳、対照群35.7歳、女性被験者は両群とも45.1%で、患者群の平均糖化ヘモグロビン値は8.2%、平均糖尿病罹病期間は20.4年だった。 なお患者群について血糖コントロール状態(糖化ヘモグロビン値)で分類すると、6.9%以下群6,142例(33.9歳、44.1%、16.4年)、7.0~7.8%群7,759例(37.2歳、44.7%、22.0年)、7.9~8.7%群8,951例(37.5歳、44.5%、22.8年)、8.8~9.6%群5,442例(36.1歳、45.0%、21.5年)、9.7%以上群4,000例(32.8歳、48.6%、18.3年)、不明1,621例だった。適合一般集団と比較し、1型DM群の全死因死亡3.52倍、心血管系死亡4.60倍 平均追跡期間は、患者群8.0年、対照群8.3年。同期間中の全死因死亡の発生は、患者群が8.0%(2,701/3万3,915例)、対照群2.9%(4,835/16万9,249例)で、患者群の補正後ハザード比(HR)は3.52(95%信頼区間[CI]:3.06~4.04)だった。心血管系死亡は、患者群2.7%(927例)、対照群0.9%(1,444例)で、患者群HRは4.60(95%CI:3.47~6.10)だった。 対照群と比較した患者群の血糖コントロール状態別の多変量補正後ハザード比は、全死因死亡については、6.9%以下群2.36(95%CI:1.97~2.83)、7.0~7.8%群2.38(同:2.02~2.80)、7.9~8.7%群3.11(同:2.66~3.62)、8.8~9.6%群3.65(同:3.11~4.30)、9.7%以上群8.51(95%CI、7.24~10.01)であった。 同じく心血管系死亡については、2.92(同:2.07~4.13)、3.39(同:2.49~4.61)、4.44(同:3.32~5.96)、5.35(同:3.94~7.26)、10.46(同:7.62~14.37)であった。

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骨粗鬆症に好ましい注射製剤は?

 近年、数ヵ月~1年に1回の投与で治療が行える注射用骨粗鬆症治療薬が登場し、その有効性と利便性から人気が高まっている。米国・ロヨラ大学のKellen C. Sheedy氏らは、デノスマブ(商品名:プラリア)とゾレドロン酸(Reclast、国内未承認)の有効性および忍容性についてレトロスペクティブに調査を行った。その結果、デノスマブは脊椎の骨密度平均増加量が大きく、ゾレドロン酸ではインフルエンザ様症状の有害事象が多かったものの、両剤に関する患者の満足度は統計的に同等であったことを報告した。なお著者は、今回の検討は症例数が限られていたことから、今後さらなる詳細な検討が必要であると述べている。Endocrine Practice誌オンライン版2014年11月4日号の掲載報告。 研究グループは、ロヨラ大学病院でデノスマブまたはゾレドロン酸の投与を受けた患者107例(デノスマブ群51例、ゾレドロン酸群56例)を対象に、カルテをレトロスペクティブに調査して有効性および安全性を比較検討した。 有害事象については、とくに筋肉痛、インフルエンザ様症状、腰痛および骨折に注目した。また、有効性・忍容性・治療費に関するアンケート調査もカルテの補足として用いた。 主な結果は以下のとおり。・1年後における脊椎骨密度の平均変化量は、デノスマブ群0.060g/cm2、ゾレドロン酸群0.021g/cm2であった(p=0.04)。・1年後の脊椎骨密度ならびに大腿骨骨密度の平均変化量は、両群間で有意差はみられなかった。・軽度のインフルエンザ様症状の発現率が、ゾレドロン酸群では29%であったのに対し、デノスマブ群は0%であった(p=0.04)。

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自殺念慮と自殺の関連が高い精神疾患は何か

 さまざまな精神疾患患者を対象に、自殺念慮とその後の自殺との関連性を調べた結果、統合失調症スペクトラム患者での関連性が気分障害患者よりも強いことが示された。オーストラリア・Prince of Wales HospitalのC. L. Chapman氏らがメタ解析の結果、報告した。なお著者は結果について、試験間の不均一性や、自殺念慮と自殺の関連を誇張するような手法の試験も含まれている点を考慮して、慎重に解釈すべきと述べている。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2014年10月31日号の掲載報告。 最近の検討において、複数の精神疾患を有する患者について自殺念慮とその後の自殺との間に、わずかな、または弱い関連性があることが示唆されていた。本検討で研究グループは、さまざまな精神疾患と診断された患者を対象に両者の関連を調べた。「気分障害」(大うつ病、気分変調症、双極性障害を含むと定義)または「統合失調症スペクトラム」(統合失調症、統合失調症様障害、妄想性障害を含むと定義)を有する患者における、自殺念慮とその後の自殺との関連性を報告していた試験を系統的メタ解析にて特定・分析した。 主な結果は以下のとおり。・自殺念慮とその後の自殺の関連は、統合失調症スペクトラム患者において強かった[14試験で報告された自殺は567例、OR:6.49、95%信頼区間[CI]:3.82~11.02]。・気分障害患者において、自殺念慮と自殺との関連は、有意ではなかった(11試験で報告された自殺は860例、OR:1.49、95%CI:0.92~2.42)。・精神疾患の診断群は、試験間の不均一性に有意に関与していた(Q値=16.2、df=1、p<0.001)。それにより2つの診断群間の自殺念慮と自殺との関連の強さについて、有意な差が示された。・メタ回帰分析および多重メタ回帰分析により、主要研究における方法論的な問題のために、所見は支持できないことが示唆された。・追跡期間10年未満の気分障害患者の試験において、自殺念慮と自殺の関連性は弱いものではあったが有意であった。関連医療ニュース 日本人統合失調症患者の自殺、そのリスク因子は:札幌医大 日本人統合失調症患者における自殺企図の特徴は?:岩手医科大学 双極性障害、退院後の自殺リスクが高いタイプは  担当者へのご意見箱はこちら

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