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中等度虚血性MR合併CABG症例の治療戦略:MVP併施は有効か?(解説:許 俊鋭 氏)-289

 Cardiothoracic Surgical Trial Network(CTSN)のSmith PKらは、中等度の虚血性僧帽弁逆流(MR)を合併した冠動脈バイパス(CABG)症例を対象としたRCT(Randomized Controlled Trial)により、CABG単独手術とCABG+僧帽弁形成(MVP)を比較しMVP併施の利点の有無を検討した。 primary end pointを1年後の左室reverse remodeling によるleft ventricular end-systolic volume index (LVESVI)の縮小の程度とした。1年後の生存者のLVESVIは、CABG単独手術群46.1±22.4mL/m2、合併手術群49.6±31.5mL/m2で、ベースラインからの縮小はそれぞれ−9.4mL/m2、−9.3mL/m2で差はなかった。1年死亡率はCABG単独手術群7.3%、合併手術群6.7%で有意差(p=0.61)はなかったが、MVP併施は体外循環時間(p<0.001)と術後入院日数(p=0.002)を長引かせ、神経学的合併症を増加させた(p=0.03)。 しかし、中等度~高度のMRの遺残は合併手術群で少なく(11.2% vs. 31.0%、p<0.001)、主要な心臓や脳血管性の合併症、死亡、再入院、心機能評価、生活の質(QOL)は両群間に差はなかった。中等度の虚血性MR合併CABG症例でMVP併施は1年後の評価でより効果的な左室reverse remodelingをもたらさなかったが、MVP併施は中等度~高度のMRの遺残を減少せしめた。本論文では、以上結果から、中等度MR合併CABG術後1年の経過ではMVP併施による臨床的に有意義な利点は見いだせなかったと結論した。 MRを合併した虚血性心疾患の予後が不良であることは広く認知されている。一方、虚血性MR合併CABG症例において、MVP併施が有効か否かは議論の分かれるところであるが、長期成績においてMVP併施の有用性を示唆する報告は多い1) ~4)。血行再建のみによって消失する可能性のある虚血に起因した一過性MRはもちろんCABG単独手術で十分であろう5) 6)。 しかし、多くのMR合併CABG症例では術後に有意なMRが遺残するため、MR遺残の可能性が高い症例ではMVP併施することの有用性があるとする報告も多々見られる7) ~10)。MVPは通常サイズダウンした僧帽弁輪形成(MAP=ring annuloplasty)が行われてきたが遠隔期のさらなる心機能低下によりtetheringが進行しMRが再発するため、長期成績の向上を目的に、二次腱索切断11)や、edge to edge repair12)、乳頭筋間の縫縮13) 14)、乳頭筋吊り挙げ15)が試みられてきた。10mm以上の高度のtetheringを伴った症例では遠隔期MR再発のリスクが高く検索温存の僧帽弁置換(MVR)が推奨される16) ~18)。 要は、遺残MRを残さないことであり、tethering 高度例はMRの再発リスクが高いのでMAPに加えてさまざまなMR再発防止策を併用したMVPが試みられてきたが、いずれも有効性の証明はない。むしろ、MR再発回避には腱索温存の僧帽弁置換が確実と考えられる。本論文と同じCTSNの高度虚血性MR を対象としたCABG+MVPとCABG+腱索温存MVRとのRCTでは、両群間に12ヵ月後のLVESVIの縮小の程度(6.6mL/m2 vs 6.8mL/m2)や死亡率(14.3% vs 17.6%)に有意差はなかったが、MRの遺残率(32.6% vs 2.3%)はMVP群で有意に高かった19)。 MR遺残による生命予後や遠隔期QOLに対する影響は1年の比較ではその差が明らかにならないとしても、これまでの虚血性MRの予後に関する内科・外科の多くの臨床知見から、長期予後はMRの遺残ならびに程度に大きく左右されることは明らかである。本研究でもCABG単独手術群と合併手術群のMR遺残率(31.0% vs 11.2%)と高度遺残MR症例の比率(5.2% vs 0.8%)の差から、長期予後は両群間で差が出るものと予測される。CABG症例を対象とした臨床研究は、少なくとも血行再建が短期予後に良い効果を与えることは明白であり、1年という短期間評価でMVP併施の有無による予後の差が明らかになるとは考えにくい。そうした観点からMRの遺残の長期予後に対する影響の評価が重要であり、少なくとも5年の経過観察は必要であろう。著者らの経験でも虚血性MR手術症例でMR再燃により5~10年の経過観察で、高度心不全に陥り腱索温存MVRが必要となる症例を多く経験している。 今回の報告の重要なポイントは、CABG単独手術群と合併手術群で1年の経過観察では、左室reverse remodelingの程度や死亡率に差がなかったものの、合併手術群で有意に遺残MRの頻度ならびに程度が低い結果が出ており、長期成績においてMVP併施が有効である可能性はきわめて高い。今回の報告は術後1年までの結果であるが、今後Studyの継続による今後の経過観察報告が期待される。【参考文献】1)Harris KM, Ann Thorac Surg. 2002; 74: 1468-1475.2)Lam BK, et al. Ann Thorac Surg. 2005; 79:462-470.3)Prifti E, et al. J Card Surg. 2001; 16: 473-483.4)Schroder JN, et al. Circulation. 2005; 112(9 Suppl):I293-298.5)Duarte IG, et al. Ann Thorac Surg. 1999; 68: 426-430.6)Tolis GA Jr, et al. Ann Thorac Surg. 2002; 74:1476-1480.7)Aklog L, et al. Circulation. 2001; 104(12 Suppl 1): I68-75.8)Levine RA, et al. Circulation. 2005; 112: 745-758.9)Campwala SZ, et al. Eur J Cardiothorac Surg. 2005; 28: 783-787.10)Fattouch K, et al. J Thorac Cardiovasc Surg. 2009; 138: 278-285. 11)Messas E, et al. Circulation. 2003; 108 Suppl 1: II111-115.12)Alfieri O, et al. J Thorac Cardiovasc Surg. 2001; 122: 674-681.13)Hvass U, et al. Ann Thorac Surg. 2003; 75: 809-811.14)Matsui Y, et al. J Thorac Cardiovasc Surg. 2004 ; 127: 1221-1223.15)Abe T, et al. Ann Thorac Cardiovasc Surg. 2011; 17: 194-197.16)Calafiore AM, et al. Ann Thorac Surg. 2004; 77: 1989-1997.17)Al-Radi OO , et al. Ann Thorac Surg. 2005; 79: 1260-1267.18)Magne J, et al. Circulation. 2009; 120(11 Suppl): S104-111. 19)Acker MA, et al. N Engl J Med. 2014; 370: 23-32.

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【医療ニュース トップ100】2014年、最も読まれた「押さえておくべき」医学論文は?

今年も、4大医学誌の論文を日本語で紹介する『ジャーナル四天王』をはじめ、1,000本以上の論文をニュース形式で紹介してきました。その中で、会員の先生方の関心の高かった論文は何だったのでしょう? ここでは、アクセス数の多いものから100本を紹介します。 1位 日本男性の勃起硬度はアレと関連していた (2014/11/13) 2位 日本人若年性認知症で最も多い原因疾患は:筑波大学 (2014/1/7) 3位 子供はよく遊ばせておいたほうがよい (2014/3/28) 4位 思春期の精神障害、多くは20代前半で消失/Lancet (2014/1/27) 5位 なぜコーヒーでがんリスクが低下? (2014/7/31) 6位 メロンでかゆくなる主要アレルゲンを確認 (2014/4/15) 7位 新たな輸液プロトコル、造影剤誘発急性腎障害の予防に有効/Lancet (2014/6/9) 8位 体幹を鍛える腹部ブレーシング、腰痛に効果 (2014/5/7) 9位 コーヒーを多く飲む人は顔のシミが少ない (2014/8/7) 10位 スタチンと糖尿病リスク増大の関連判明/Lancet (2014/10/9) 11位 スルピリドをいま一度評価する (2014/5/16) 12位 米国の高血圧ガイドライン(JNC8)のインパクト/JAMA (2014/4/16) 13位 インフルエンザワクチン接種、無針注射器の時代に?/Lancet (2014/6/16) 14位 新規経口抗凝固薬4種vs.ワルファリン-心房細動患者のメタ解析-/Lancet (2013/12/25) 15位 アルコール依存症、薬物治療の減酒効果は?/JAMA (2014/5/29) 16位 SGLT2阻害薬「トホグリフロジン」の日本人への効果 (2014/2/28) 17位 大人のリンゴ病 4つの主要パターン (2014/7/29) 18位 脳動脈瘤、コイルvs. クリッピング、10年転帰/Lancet (2014/11/12) 19位 ACE阻害薬を超える心不全治療薬/NEJM (2014/9/8) 20位 アルツハイマーに有用な生薬はコレ (2014/11/14) 21位 塩分摂取と死亡リスクの関係はJカーブ/NEJM (2014/8/25) 22位 スタチン投与対象者はガイドラインごとに大きく異なる/JAMA (2014/4/14) 23位 食後血糖によい食事パターンは?(低脂肪vs低炭水化物vs地中海式) (2014/3/27) 24位 成人ADHDをどう見極める (2014/5/21) 25位 各種ダイエット法の減量効果/JAMA (2014/9/16) 26位 牛乳1日3杯以上で全死亡リスクが2倍/BMJ (2014/11/13) 27位 腰痛持ち女性、望ましい性交体位は? (2014/11/21) 28位 ロマンチックな恋愛は幸せか (2014/3/26) 29位 無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与 (2014/5/8) 30位 下肢静脈瘤、ベストな治療法は?/NEJM (2014/10/10) 31位 せん妄管理における各抗精神病薬の違いは (2014/9/18) 32位 降圧薬投与量の自己調整の有用性/JAMA (2014/9/11) 33位 深部静脈血栓症の除外診断で注意すべきこと/BMJ (2014/3/20) 34位 StageII/III大腸がんでのD3郭清切除術「腹腔鏡下」vs「開腹」:ランダム化比較試験での短期成績(JCOG 0404) (2014/2/26) 35位 たった1つの質問で慢性腰痛患者のうつを評価できる (2014/2/21) 36位 スタチン時代にHDL上昇薬は必要か/BMJ (2014/8/7) 37位 就寝時、部屋は暗くしたほうがよいのか:奈良医大 (2014/8/29) 38位 認知症のBPSD改善に耳ツボ指圧が効果的 (2014/10/28) 39位 統合失調症患者の突然死、その主な原因は (2014/4/18) 40位 うつ病と殺虫剤、その関連が明らかに (2014/7/9) 41位 帯状疱疹のリスク増大要因が判明、若年ほど要注意/BMJ (2014/5/26) 42位 慢性のかゆみ、治療改善に有用な因子とは? (2014/7/1) 43位 女性の顔の肝斑、なぜ起きる? (2014/5/8) 44位 DES1年後のDAPT:継続か?中断か?/Lancet (2014/7/30) 45位 駆出率が保持された心不全での抗アルドステロン薬の効果は?/NEJM (2014/4/23) 46位 レビー小体型認知症、パーキンソン診断に有用な方法は (2014/10/30) 47位 アトピー性皮膚炎患者が避けるべきスキンケア用品 (2014/2/6) 48位 タバコの煙を吸い込む喫煙者の肺がんリスクは3.3倍:わが国の大規模症例対照研究 (2014/6/18) 49位 世界中で急拡大 「デング熱」の最新知見 (2014/10/17) 50位 円形脱毛症とビタミンDに深い関連あり (2014/4/10) 51位 不眠の薬物療法を減らすには (2014/7/23) 52位 オメプラゾールのメラニン阻害効果を確認 (2014/11/6) 53位 タバコ規制から50年で平均寿命が20年延長/JAMA (2014/1/16) 54位 ICUでの栄養療法、静脈と経腸は同等/NEJM (2014/10/15) 55位 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット (2014/3/17) 56位 COPDにマクロライド系抗菌薬の長期療法は有効か (2014/1/13) 57位 座りきりの生活は心にどのような影響を及ぼすか (2014/5/12) 58位 PSA検診は有用か:13年後の比較/Lancet (2014/8/22) 59位 気道感染症への抗菌薬治療 待機的処方 vs 即時処方/BMJ (2014/3/17) 60位 血圧と12の心血管疾患の関連が明らかに~最新の研究より/Lancet (2014/6/19) 61位 マンモグラフィ検診は乳がん死を抑制しない/BMJ (2014/2/21) 62位 機能性便秘へのプロバイオティクスの効果 (2014/8/14) 63位 超高齢の大腸がん患者に手術は有用か:国内での検討 (2014/2/14) 64位 糖尿病予防には歩くよりヨガ (2014/8/4) 65位 乳がん術後リンパ節転移への放射線療法、効果が明確に/Lancet (2014/3/31) 66位 75歳以上でのマンモグラフィ検診は有効か (2014/8/11) 67位 大腸がん術後の定期検査、全死亡率を減少させず/JAMA (2014/1/23) 68位 「歩行とバランスの乱れ」はアルツハイマーのサインかも (2014/5/13) 69位 食事由来の脂肪酸の摂取状況、国によって大きなばらつき/BMJ (2014/4/28) 70位 心房細動合併の心不全、β遮断薬で予後改善せず/Lancet (2014/9/19) 71位 薬剤溶出ステントの直接比較、1年と5年では異なる結果に/Lancet (2014/3/24) 72位 ピロリ除菌、糖尿病だと失敗リスク2倍超 (2014/8/21) 73位 認知症にスタチンは有用か (2014/7/25) 74位 RA系阻害薬服用高齢者、ST合剤併用で突然死リスク1.38倍/BMJ (2014/11/20) 75位 腰痛へのアセトアミノフェンの効果に疑問/Lancet (2014/8/6) 76位 食べる速さはメタボと関連~日本の横断的研究 (2014/9/12) 77位 うつになったら、休むべきか働き続けるべきか (2014/9/16) 78位 英プライマリケアの抗菌治療失敗が増加/BMJ (2014/10/1) 79位 総胆管結石疑い 術前精査は必要?/JAMA (2014/7/21) 80位 歩くスピードが遅くなると認知症のサイン (2014/10/8) 81位 前立腺がん、全摘vs.放射線療法/BMJ (2014/3/10) 82位 緑茶が認知機能低下リスクを減少~日本の前向き研究 (2014/6/3) 83位 高力価スタチンが糖尿病発症リスクを増大させる/BMJ (2014/6/16) 84位 乳がんの病理学的完全奏効は代替エンドポイントとして不適/Lancet (2014/2/27) 85位 Na摂取増による血圧上昇、高血圧・高齢者で大/NEJM (2014/8/28) 86位 抗グルタミン酸受容体抗体が神経疾患に重大関与か (2014/8/15) 87位 歩数を2,000歩/日増加させれば心血管リスク8%低下/Lancet (2014/1/8) 88位 肩こりは頚椎X線で“みえる”のか (2014/3/19) 89位 地中海式ダイエットと糖尿病予防 (2014/4/7) 90位 閉塞性睡眠時無呼吸、CPAP vs. 夜間酸素補給/NEJM (2014/6/26) 91位 揚げ物は肥満遺伝子を活性化する?/BMJ (2014/4/3) 92位 6.5時間未満の睡眠で糖尿病リスク上昇 (2014/9/4) 93位 セロトニン症候群の発現メカニズムが判明 (2014/3/14) 94位 日本発!牛乳・乳製品を多く摂るほど認知症リスクが低下:久山町研究 (2014/6/20) 95位 肥満→腰痛のメカニズムの一部が明らかに (2014/8/8) 96位 低炭水化物食 vs 低脂肪食 (2014/8/7) 97位 認知症患者の調子のよい日/ 悪い日、決め手となるのは (2014/3/21) 98位 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか (2014/7/2) 99位 血糖降下強化療法の評価―ACCORD試験続報/Lancet (2014/8/20) 100位 小児BCG接種、結核感染を2割予防/BMJ (2014/8/21) #feature2014 .dl_yy dt{width: 50px;} #feature2014 dl div{width: 600px;}

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肛門症状は言いづらい

 約6分の5の患者が肛門症状を隠しており、肛門医の役割が非常に重要であることが、フランス・ビシャ=クロード・ベルナール病院のLaurent Abramowitz 氏らによって明らかとなった。 また著者らは、肛門に症状を持っているが未診断の患者の多くには、おそらくさまざまな要因が含まれているのだろう、として、それらの因子を明らかにし、肛門疾患の診断・治療の環境改善を図るためにもさらなる研究が必要だと述べている。The European journal of general practice誌2014年12月号掲載の報告。背景  患者は、なかなか肛門症状について話さないため、肛門機能障害の診断が遅れ、健康に悪影響を来す。また、診断の遅れに寄与する因子に関する疫学的な知見は乏しいため、一般医学における重大な問題になりつつある。 そこで著者らは、肛門機能障害の患者が自然発生的に診断される数と患者にアンケートを取った後に診断される数を評価することによって、肛門機能障害における家庭医の役割を評価した。方法  39人の一般開業医が、前向きに2.5日間の間に診療したすべての患者に対してアンケートを実施した。結果 ●計1,079人が研究に参加した。●621人(58%)が女性で、458人(42%)が男性であり、年齢中央値は54歳だった。●22人(2%)の患者は、肛門症状を主訴に来院した。●その後のアンケートによって、新たに肛門症状が認められたのは153人(14%)だった。●症状は、出血(32%)、疼痛(31%)、肛門の痒み(22%)、腫脹(22%)、滲出(14%)および肛門分泌物(14%)として報告された。●医師の診断は、痔、裂肛、肛門分泌物、肛門皮膚疾患および肛門機能障害であった。●患者の35%は、アンケートのみを用いて診断されていた。●便失禁は、専門医への紹介に関連する唯一の因子であった(オッズ比=5、 95%信頼区間:1.4~17.8)。

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STEMI患者の53%に非IRA閉塞性疾患/JAMA

 ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者において、非梗塞関連動脈(IRA)での閉塞性疾患発症者は約53%に上り、疾患発症が認められた患者の30日死亡率は非発症患者と比べて有意に高いことが明らかにされた。韓国・蔚山大学校医学部のDuk-Woo Park氏らが、約3万例のSTEMI患者が参加した8試験について後ろ向きプール解析を行い、報告した。これまでSTEMI患者におけるIRA疾患の特性についてはほとんどわかっていなかったが、今回の結果について著者は、「前向き試験で確認が必要だが、所見はSTEMI患者における非IRA血行再建術を行うことの妥当性およびタイミングについて疑問を呈するものであった」と指摘している。JAMA誌2014年11月19日号掲載の報告より。1993~2007年公表の8試験について後ろ向きプール解析 研究グループは、STEMI患者を対象に行われた国際無作為化試験で、1993~2007年に発表された8試験について後ろ向きプール解析を行った。STEMI患者における非IRAの閉塞性疾患の発症と30日死亡との関連を調べた。 被験者は全体で6万8,765例であった。そのうち適切な血管造影に関する情報が得られた2万8,282例について分析を行った。追跡期間は1ヵ月~1年だった。 閉塞性冠動脈疾患の定義は、主要心外膜動脈径の50%以上の狭窄とした。補正後30日死亡率、非IRA疾患群が3.3%、無発症群が1.9% 結果、非IRAの閉塞性疾患発症率は52.8%(1万4,929例)であった。閉塞血管が1枝の人は29.6%、2枝の人は18.8%だった。 補正前・補正後共に、30日死亡率は非IRAの閉塞性疾患発症群のほうが、非発症群に比べ高かった。補正前30日死亡率は、疾患発症群4.3%に対し非発症群が1.7%(リスク差:2.7ポイント、p<0.001)、補正後はそれぞれ3.3%と1.9%(リスク差:1.4ポイント、p<0.001)だった。 なおこの傾向は、STEMI患者を対象にした別の観察データ、「Korea Acute Myocardial Infarction Registry」(KAMIR、患者総数1万8,217例)とは一貫していたが、「Duke Cardiovascular Databank」(患者総数1,812例)とでは一貫性が認められなかった。

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慢性非弁膜症AF、専門看護師による訪問ケアで生存延長/Lancet

 心不全のない慢性非弁膜症心房細動患者に対し、退院後、心臓専門看護師による家庭訪問を含む、心房細動に特異的なケアを行うことで、非入院生存日数が有意に長期化することが示された。オーストラリア・カトリック大学のSimon Stewart氏らが、335例の患者を対象に行った無作為化比較試験「SAFETY」の結果、報告した。慢性心房細動患者の入院は増加している。疾患特有の“マネジメント”が入院を減らし、生存を延長する可能性はあるが、そうした“治療アプローチ”の有用性を裏付けるエビデンスはなく、研究グループは本検討を行った。Lancet誌オンライン版2014年11月17日号掲載の報告より。心臓専門看護師による家庭訪問とホルターモニタリング Stewart氏らは、オーストラリア3ヵ所の三次医療機関を通じて、慢性非弁膜症心房細動で心不全のない患者335例を対象に、無作為化比較試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方(167例)には、退院後、ルーチンのプライマリケアと外来診察によるフォローアップから成る標準ケアを、もう一方(168例)には心房細動に特異的な「SAFETYケア」を行った。SAFETYケアでは、退院後7~14日間、心臓専門看護師による家庭訪問とホルターモニタリングと、長期にわたるフォローと必要に応じた多面的サポートを提供した。臨床的評価の記録は12ヵ月および24ヵ月時点で行われた(最小追跡期間とした)。 主要評価項目は2つで、全死因死亡または予期しないあらゆる入院だった。非入院生存日数中央値、SAFETYケア群で有意に長期化 追跡期間の中央値は、905日(四分位範囲:773~1,050日)だった。その間の死亡は49例であり、予期せぬ入院は987例(延べ入院日数5,530日)だった。 標準ケア群の、最長生存日数に占める最長イベントフリー日数の割合は99.2%であった。また、最長生存日数937日における非入院生存日数中央値は860日であった。一方、SAFETYケア群はそれぞれ99.5%、900日であり、有意に良好だった(効果量:0.22、p=0.039) 主要評価項目の全死因死亡または予期せぬあらゆる入院の発生は、標準ケア群137例(82%、イベントフリー生存日数:199日)に対し、SAFETYケア群は127例(76%、同:183日)であり、同等だった(ハザード比:0.97、p=0.851)。 著者は「退院後、心房細動に特異的なケアプログラムは、標準ケアマネジメントと比べて、イベントフリー生存日数は同等だったが、生存および非入院日数の延長と関連していた。疾患特異的なケアマネジメントは、慢性心房細動で入院した患者の不良な健康アウトカムを改善する戦略となるだろう」とまとめている。

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おむつかぶれ対策、クリームやウェットシートは有効か?

 ドイツ・ベルリン大学シャリテ病院のNatalie Garcia Bartels氏らは、乳児における、おむつクリームおよびウェットシートといったおむつケア商品の皮膚バリアへの影響を、濡れタオル処置とを加えた3群による比較で、前向き無作為化試験にて調べた。結果、ケア商品を使うと皮膚の水和が減少することや、一方で、おむつ皮膚炎の発生および経過は3群で変わらなかったことなどを報告した。Pediatric Dermatology誌2014年11月号の掲載報告。 さまざまなおむつケア商品の、乳児の皮膚バリア機能への影響を調べた検討は、これまでにわずかしかないが、客観的な方法を用いた評価は可能である。 研究グループは、単施設にて、健康な生後9ヵ月(±8週間)の乳児89例を3群に無作為に割り付けて検討した。グループ1は、おむつ交換時に濡れタオルを使用する群(30例)、グループ2は、さらにおむつクリームを1日2回の頻度で塗布する群(28例)、グループ3は、おむつ交換時にウェットシートを用い、おむつクリーム1日2回塗布する群(31例)であった。 おむつが当たっていた皮膚(臀部の上部外側部分)、おむつが当たっていない皮膚(大腿部)、おむつ皮膚炎(DD)が生じていた部位について、1日目、4週目、8週目に最も影響が認められた皮膚領域を用いて経表皮水分蒸散量(TEWL)、皮膚の水和(SCH)、皮膚pH、インターロイキン1α(IL-1α)値、微生物学的コロニー形成の測定評価を行った。また皮膚の状態を、新生児スキンコンディションスコア、おむつかぶれの程度で評価した。 主な結果は以下のとおり。・おむつが当たっていた皮膚において、SCHがグループ2と3では減少していた。一方でTEWL値の低下がグループ2でのみみられた。・皮膚pHは、グループ2と3では上昇した。・全体に、SCH、皮膚pH、IL-1値は、おむつが当たっていない皮膚よりも当たっていた健常な皮膚で上昇していた。・DDの発生および経過は、3群で類似していた。・DD部位は、TEWLや皮膚pHが、影響のなかった皮膚と比べて高値であった。・おむつクリーム塗布を受けた乳児のおむつが当たっていた部分の皮膚は、おむつが当たっていなかった部分の皮膚と比べて、SCHとTEWLは低値であり、皮膚pHは高値であった。・DD発生との相関性は認められなかった。

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認知症によいサプリメント、その効果は

 大豆レシチンより生成したホスファチジルセリン(PS)とホスファチジン酸(PA)を配合したサプリメントは、高齢者において記憶、気分、認知機能を改善すること、アルツハイマー病(AD)患者の日常機能や感情に対して有益な影響を及ぼすことが明らかにされた。ドイツ・Analyze & realize GmbHのMargret I. More氏らによる検討の結果、示された。Advances in Therapy誌オンライン版2014年11月21日号の掲載報告。 研究グループは、大豆レシチンより生成したPS 100mgとPA 80mgを配合した脳の健康を保つための食物サプリメントの有用性を検討するため、早期パイロットスタディを実施した。同様の検討はこれまで行われていない。 はじめに、健常ボランティアにおいてPS+PA単回摂取後の血清分析を実施。次に、機能障害や抑うつを認めないが記憶に問題のある高齢者(記憶および気分に及ぼす影響をウエクスラー記憶検査とうつ症状リストを用いて評価)を対象とし、3ヵ月間の二重盲検プラセボ対照試験にて、PS+PA 3カプセル/日(300mg PS+240mg PA/日)とプラセボの有用性を比較評価した。さらに、AD患者を対象とした2ヵ月間の無作為化二重盲検プラセボ対照試験において、PS+PA 3カプセル/日(300mg PS+240mg PA/日)とプラセボの、日常機能、メンタルヘルス、感情、自己報告による全身状態に及ぼす影響を比較評価した。 主な結果は以下のとおり。・血清中PS濃度は、摂取後90分でピークに達し、180分後にベースライン値に回復した。・高齢者において、PS+PA群(per protocol[PP]のn=31)ではプラセボ群(PPのn=26)と比べて記憶力の有意な改善が認められ、摂取前後の比較において冬季うつ病(ウインターブルー)の抑制が認められた。・AD患者において、PS+PA群(PPのn=53)では日常生活機能(日常生活における7つの活動)が維持されていたが、プラセボ群(PPのn=39)では5.62から4.90へと低下し(p=0.035)、有意な群間差を認めた(p=0.021)。・日常生活機能について、PS+PA群では悪化が3.8%、安定が90.6%であったのに対し、プラセボ群ではそれぞれ17.9%、79.5%であった(p=0.066)。・PS+PA群では、自己報告による全身状態の改善を認めた患者は49%であったが、プラセボ群では26.3%にとどまった(p=0.084)。・PS+PA群では、試験後もサプリメント摂取(二重盲検期間中)を継続した患者が約43%いたが、プラセボを受けた患者はいなかった。ネガティブな副作用は認められなかった。・以上のことから、PSは、経口摂取により効果的に吸収されることが示された。また、高齢者を対象とした試験により、PS+PAの記憶、気分、認知機能に対する有益な効果が示された。AD患者に対する短期間のPS+PA摂取は、日常機能、感情、自己報告による全身状態に対し、安定した効果を示した。・本パイロット研究の結果は、AD患者そして記憶や認知機能に問題のある高齢者に対するPS+PAの長期試験の実施を促すものであった。関連医療ニュース 認知症にイチョウ葉エキス、本当に有効なのか アルツハイマーに有用な生薬はコレ 認知症タイプ別、各認知機能の経過を比較  担当者へのご意見箱はこちら

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Bare metal stentは本当に劣っているのか?(解説:上田 恭敬 氏)-288

 従来のメタ解析とは異なり、対象となる試験内の個々の症例データを用いて解析する新しいメタ解析の手法で、5つの無作為比較試験(RCT)の4,896症例のデータを用いて、bare metal stent(BMS)とcobalt-chromium everolimus eluting stents(EES)の成績を比較検討した報告である。各試験のPIによって、それぞれの試験の対象症例個々のデータがこの解析のために提供されている。対象となる試験の選択基準は、BMSとEESの無作為比較が行われた試験で1年以上のフォローアップ期間があるものとしている。あらかじめ決められた主要評価項目は心臓死で、副次評価項目は全死亡、心筋梗塞、ステント血栓症、標的血管再血行再建(TVR)、心臓死+心筋梗塞、全死亡+心筋梗塞である。 2年時点の全死亡は、BMSで4.0%であったのに対して、EESでは2.7%と有意に低値(HR:0.67、p=0.01)であった。同様に心筋梗塞(4.0% vs. 5.6%; HR:0.71、p=0.01)、ステント血栓症(1.3% vs. 2.6%; HR:0.48、p=0.001)、TVR(4.3% vs. 10.2%; HR:0.29、p<0.001)も有意にEESで低値であった。これは、特定のDESによって心臓死を減少させることを初めて示した報告であり、DESよりもBMSのほうが安全なステントであるとの考えを変えうる結果であると著者らは強調している。 確かに解析結果は妥当なものであるが、注意すべき点もいくつかあるように思われる。まず、検討した期間が2年間と短いことが問題である。ENDEAVOR III試験とSORT OUT III試験において、Cypher stentとEndeavor stentの成績が5年間の長期成績において逆転したことから考えても、PCI手技の影響を強く受ける短期の成績とステント特性の影響が出る長期の成績は分けて考える必要があり、2年間ではステント特性の影響を十分に評価できているとは言えない。 さらに、PCIの大部分の症例でIVUSをガイドとして使用している日本の現状では、短期成績はこれらの試験よりも良好と考えられ、その影響が異なるステント間で同等に出るとは限らない。また、冠動脈造影や冠動脈CT、負荷試験などによって濃厚にフォローアップされ、有意な再狭窄が出現すれば即座に再PCIが行われる可能性が高い日本の医療体制においては、重篤なイベントが未然に防がれている可能性も否定できない。 TVRにおいてBMSが劣っていることに異論はないが、死亡や心筋梗塞の発症においてもBMSが劣っているとの結果には違和感を覚える。やはり、欧米のデータと比較できる日本データを出すためには、日本においてもこのようなメタ解析に役立てる多くの良質なRCTが必要と思われる。

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がん生存率の動向~日本含む67ヵ国2,570万例のデータ/Lancet

 CONCORDワーキンググルーブでは、1995~2009年における67ヵ国のがん登録データを調査し、がん種別、国・地域別、期間別に5年生存率を推定した結果を報告した。生存率の大きな違いは、早期診断と最適な治療へのアクセスの差による可能性が高い。著者らは、「継続的な世界的サーベイランスは、がん患者と研究者において不可欠な情報源となり、また保健政策と医療システム改善のための政治家への刺激となるだろう」と述べている。Lancet誌オンライン版2014年11月26日号に掲載。 本サーベイランスには、67ヵ国279集団のがん登録から、1995~2009年にがんと診断され、2009年12月31日以降まで追跡された成人(15~99歳)2,570万例および小児(0~14歳)7万5千例の記録が提出された。ワーキンググループは、胃がん、結腸がん、直腸がん、肝臓がん、肺がん、乳がん(女性)、子宮頸がん、卵巣がん、前立腺がん(成人)、白血病(成人・小児)について、年齢(1歳毎)、性別、暦年、人種や民族(一部の国において)によって調整した5年生存率を推定した。計算にあたっては、年齢で調整した生存率計測のための世界標準人口(International Cancer Survival Standard)に沿って行った。 2005~2009年に診断された各がん患者における5年生存率は以下のとおり。【結腸がん・直腸がん・乳がん】ほとんどの先進国で着実に上昇している。結腸がん・直腸がんでは22ヵ国で60%以上に達し、乳がんでは17ヵ国で85%以上に上昇した。【肝臓がん・肺がん】すべての国で低いままである。ヨーロッパではどこの国も20%未満、北米では15~19%、モンゴルとタイでは7~9%と低い。【前立腺がん】多くの国で著しく上昇した。南米、アジア、ヨーロッパの22ヵ国で、1995~1999年から2005~2009年の間に10~20%上昇した。しかし、ブルガリアやタイでは60%未満、ブラジルやプエルトリコ、米国では95%以上と、国によって開きがある。【子宮頸がん】50%未満から70%以上と地域によって大きな差がある。1995~1999年から2005~2009年の間の改善はわずかである。【卵巣がん】エクアドル、米国、アジアおよびヨーロッパの17ヵ国のみ、40%以上であった。【胃がん】他の国が40%未満であるのに比べて、日本(54.0%)と韓国(57.9%)が高かった。【成人白血病】胃がんと対照的に、日本(18.9%)と韓国(23.4%)が他のほとんどの国に比べて低かった。【小児急性リンパ芽球性白血病】いくつかの国で60%未満だが、カナダ、欧州の4ヵ国では90%と高い。

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プライマリPCIのD2B時間短縮、どう解釈すべきか/Lancet

 プライマリ経皮的冠動脈インターベンション(pPCI)は、入院から再灌流までの時間(door-to-balloon:D2B)が短いほど、患者個人レベルでは入院死亡率や6ヵ月死亡率は低下することが明らかにされた。D2Bが10分短縮するごとに、入院死亡率は8%低下、6ヵ月死亡率は6%低下することが示されたという。米国・ミシガン大学のBrahmajee K. Nallamothu氏らが、423病院15万例超のpPCI実施症例について行った後ろ向き試験の結果、明らかにした。近年、D2Bは徐々に短縮しているが集団レベルの死亡率は低下していなかった。今回の分析でも集団レベルでは、永続的な死亡増大傾向が示され、著者は、「D2B短縮の重大性は変わらないこと、および集団レベルの傾向を個人レベルの傾向として解釈すべきではないことが示された」と述べている。Lancet誌オンライン版2014年11月19日号掲載の報告より。D2Bと死亡率の関連を、個人・集団レベルでそれぞれ分析 本検討では、D2B短縮と死亡率との関連について、各死亡率の項目について集団レベルと個人レベルでみた場合に、異なる相関性がみられないかを調べた。具体的に、pPCIを受けた患者集団が変化しても、死亡リスクの増大傾向は変わらないが、個人レベルでみると、D2Bが短い患者ほど死亡リスクは低下すると仮定して検証を行った。 全米心血管データ登録名簿(National Cardiovascular Data Registry)を基に、2005年1月1日~2011年12月31日にpPCIを行ったST上昇型心筋梗塞患者15万116例を対象として、入院から再灌流までの時間と、死亡率との関連について後ろ向きに年単位で分析し変化の動向を調べた。 分析では、入院から再灌流までの時間が15分未満、または3時間超の人は除外した。 マルチレベルモデルを用いて、D2Bと入院死亡率、65歳以上については6ヵ月死亡率との関連を、個人レベルと集団レベルで調べた。D2Bが10分短縮で入院死亡率は0.92倍、6ヵ月死亡率は0.94倍に 対象期間中、pPCIを受けた患者は、2005年1万5,730例から2011年2万4,449例へとおよそ1.5倍(55%増)となっていた。 D2Bの年間中央値は、2005年の86分から2011年は63分に有意に短縮していた(p<0.0001)。同期間中、リスク補正後の入院死亡率は4.7%から5.3%に有意ではないが上昇し(p=0.06)、同6ヵ月死亡率は12.9%から14.4%に有意に上昇していた(p=0.001)。 マルチレベルモデル分析の結果、個人レベルでは、D2B短縮と入院死亡率、6ヵ月死亡率の低下に一貫した関連がみられた。D2Bの10分短縮につき、入院死亡率は0.92倍(補正後オッズ比:0.92、95%信頼区間[CI]:0.91~0.93、p<0.0001)、6ヵ月死亡率は0.94倍(同:0.94、0.93~0.95、p<0.0001)と有意に低下することが示された。 しかし、集団レベルでみた補正後入院死亡率、6ヵ月死亡率は、患者個人レベルでみたD2Bとの関連とは異なり、試験期間中のpPCIを受けた患者集団の規模および変化とともに増大することが示された。D2Bが年単位で変化(短縮)するごとに、入院死亡率は1.12倍(同:1.12、1.09~1.15、p<0.0001)、6ヵ月死亡率は1.11倍(同:1.12、1.07~1.14、p<0.0001)と有意に増大した。

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腹部触診の追加、腰痛の長期予後改善に有用

 オーストラリア・マッコーリー大学のJohn Panagopoulos氏らは、腰痛に対する標準的な理学療法に腹部触診(visceral manipulation)を加えることで腰痛は改善するのか、無作為化プラセボ対照比較試験を行い検討した。その結果、腹部触診の追加は短期的には腰痛を改善しないものの、1年後の評価では臨床的に意義のある改善が認められたという。European Journal of Pain誌オンライン版2014年11月7日号の掲載報告。 検討は、理学療法クリニックで治療を受けている腰痛患者64例で、標準的な理学療法+腹部触診群(32例)および標準的な理学療法+プラセボ腹部触診(32例)に無作為に割り付けて追跡評価を行った。 主要評価項目は、6週後の疼痛強度(数値的評価スケール0~10で測定)とし、副次的評価項目は、2週・52週後の疼痛強度、2週・6週・52週後の機能障害(ローランド・モリス障害質問票で測定)、および2・6・52週後の機能(患者特異的機能スケールで測定)であった。 主な結果は以下のとおり。・腹部触診の追加は、主要評価項目である6週後の疼痛に影響しなかった(-0.12、95%信頼区間[CI]:-1.45~1.21)。・2週後の疼痛、2・6・52週後の機能障害および機能については、治療群間で有意差は認められなかった。・52週後は、理学療法+腹部触診群が、+プラセボ群よりも疼痛が軽減していた(平均1.57、95%CI:0.32~2.82)。・いずれの治療群も、有害事象は報告されなかった。

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最新、抗精神病薬の体重増加リスクランキング

 第二世代抗精神病薬(SGA)は、いくつかの精神疾患に対し広く使用されている。その際、抗精神病薬誘発性の体重増加が問題となるが、そのリスクは薬剤間で異なる。抗精神病薬誘発性の体重増加は、メタボリックシンドロームや心血管イベントの増加と関連しており、これらのリスクに対する知識は、さらなるモニタリングや対策を行ううえで重要である。ドイツのルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのRichard Musil氏らは、関連する直接比較試験についてシステマティックレビューとメタアナリシスを行った。Expert opinion on drug safety誌オンライン版2014年11月15日号の報告。 著者らは、PubMed、Web of Scienceから、2010~2014年に公表されたサンプルサイズが100例以上、ゾテピン以降に発売されたSGA、体重増加に関するデータが含まれた無作為化対照試験、自然観察研究を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・最近公表されたデータは、これまでにレビューされていたSGAのランク付けを支持するものであった。高リスク:クロザピン、オランザピン中リスク:アミスルプリド、アセナピン、イロペリドン、パリペリドン、クエチアピン、リスペリドン、セルチンドール低リスク:アリピプラゾール、ルラシドン、ジプラシドン・NNH(何人の患者を治療すると1例の有害症例が出現するかを示す指標)は、本メタアナリシスでは大きく変動した。・若年患者とベースラインのBMIが低い患者が、最も影響を受けやすかった。・体重増加の大半は、治療開始1週以内に認められた。・抗精神病薬誘発性の体重増加は、すべての診療群で発生し、第一世代抗精神病薬による治療でも一般的に認められる。そのため、体重増加への注意はどの抗精神病薬を使用する場合においても不可欠である。関連医療ニュース 抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学 最初の1年がピーク、抗精神病薬による体重増加と代謝異常 オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学

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FLINT試験:FXRリガンドであるオベチコール酸はNASH治療薬となりうるか? (解説:中村 郁夫 氏)-287

 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の本邦における患者数は、200万人を超えると推定されている。さらに、NASHの病態の進行により、肝硬変・肝がんが生じることが明らかにされている。 本研究は、NASHに対するオベチコール酸(ファルネソイドX受容体[FXR]のリガンド)の治療効果に関する多施設無作為化試験[Farnesoid X nuclear receptor ligand obeticholic acid for non-cirrhotic, non-alcoholic steatohepatitis (FLINT試験)]の報告である。 オベチコール酸投与群 141例:対照群 142例を対象とし、投与前と投与開始後72週において肝生検を行い、病理所見の改善(NAFLD Activity Score [NAS]において、線維化の悪化がなく、2点以上の改善を呈する)を主要評価項目とした。その結果、オベチコール酸投与群 50例/110例(45%)において病理所見の改善を認め[対照群 23例/109例(21%)]、オベチコール酸がNASHにおいて病理所見を改善させたことを報告した。 本邦では、同様のプロトコールによる第II相試験が行われており、その報告が待たれる。

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事例31 処方せん料(7種類以上)への査定【斬らレセプト】

解説事例ではF400「処方せん料(その他)」が、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)として「処方せん料(7種以上)」へと査定となった。レセプトをみてみると月2回来院されているが、処方せん料の算定が1回のみである。処方せんの内容確認用に印字された薬剤すべてが、1回の処方せん発行にて処方されていることがわかる。薬剤の種類を数えてみると8種類が数えられる。処方せん料の第2項には「7種類以上の内服薬の投薬を行なった場合の所定点数」が定められている。そのため今回の処方せん料は、7種類以上の項目を算定することが妥当であるとして査定となったものと推測できる。計算担当者に確認したところ、一包化を指定した場合には一包化の範囲内で1種類と数えると考えていた。F200薬剤の留意事項に7種類の数え方が定められており、そのうちの1項目に「処方料の算定単位となる1処方において剤型が変わらない場合は1銘柄ごとに1種類と計算する」とある。臨時投薬と剤型の区別がつかなくなる散剤などの混合以外は、銘柄ごとに1種類と数えることを説明して査定対策とした。

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リクシアナ効能追加で静脈血栓症、心房細動に広がる治療選択肢

 2014年11月26日、都内にて「経口抗凝固療法の新潮流」をテーマにプレスセミナー(主催:第一三共株式会社)が開催された。本セミナーは、今年9月に同社のリクシアナ(一般名:エドキサバン)が、「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制(AF)」および「静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制(VTE治療・二次予防)」に対する、効能追加承認を取得したことを受けて行われたものである。ここでは、孟 真氏(横浜南共済病院 心臓血管外科部長)によって講演された静脈血栓塞栓症にフォーカスし、レポートする。静脈血栓塞栓症とは 「静脈血栓塞栓症」は深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症に大別される。静脈壁損傷、血流停滞、凝固異常などが原因となって脚部、下腹部などに血栓が発生する疾患が、深部静脈血栓症である。血栓が血流に乗って肺へ到達し、肺動脈が詰まると、致死的な肺塞栓症となる。現在の静脈血栓治療の課題 静脈血栓塞栓症は抗凝固療法で予後が改善するというエビデンス1)に基づき、これまで本邦では注射薬(へパリン、Xa阻害薬)と経口薬(ワルファリン)による治療が行われてきた。しかし、効果に個人差があり、細やかな用量調節が必要、頻回な採血が必要、経口薬は効果発現に時間がかかる、薬物・食物間に相互作用が多い、などの課題が存在する。リクシアナへの期待 リクシアナは日本で2011年7月に発売された。これまで「下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制」の適応があったが、本年9月26日、「静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制」もリクシアナの適応となった。 この適応拡大の科学的根拠となった第III相臨床試験がHokusai-VTE study2) だ。Hokusai-VTE study は37ヵ国439施設から8,292例の急性静脈血栓塞栓症患者(初期治療としてへパリン投与)が登録された無作為化二重盲検非劣性国際共同治験。対象はエドキサバン60mgまたは30mgを1日1回投与する群と、ワルファリンを投与する群のいずれか2群に無作為に割り付けられた。主要有効性評価項目は症候性静脈血栓塞栓症の再発、主要安全性項目は、重大な出血または重大ではないが臨床的に意義のある出血とされた。 本試験の結果、有効性の1次エンドポイントと設定された症候性静脈血栓塞栓症の再発は、エドキサバン群 130/4,118例(3.2%)とワルファリン群 146 /4,122例(3.5%)に発生し、ワルファリンに対するエドキサバンの非劣性が示された(ハザード比 0.89、95%信頼区間0.70~1.13、非劣性の p<0.001)。安全性の1次エンドポイントと設定された重大または臨床的意義のある出血は、エドキサバン群 349/4,118 例(8.5%)とワルファリン群 423 /4,122例(10.3%)に発生した(ハザード比 0.81、95%信頼区間0.71~0.94、優越性の p=0.004)。 この臨床試験の結果より、リクシアナは静脈血栓塞栓症再発における効果は標準治療であるワルファリンと同等で、重大または臨床的意義のある出血が有意に少ないことが示された。 また、リクシアナを使用することで、効果はモニタリングが不要で、頻回な採血を必要としないため患者の身体的・経済的な負担が軽減される、薬物・食事間の相互作用が少ない、など前述のような課題が解決することが期待される。 今回のリクシアナの適応拡大により、静脈血栓塞栓症における治療が大きく変わる可能性が示唆される。リクシアナの適応拡大における問題点 前述のとおり、リクシアナは2011年より、「下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制」を目的に、整形外科領域では20万例以上の投与経験がある。 しかし、今回承認された適応症への投与は、特定の基準を満たし、限定された医療機関で、徹底した治療管理を受けた、治験という特殊な集団におけるデータであり、リアルワールドでどのような結果になるかは予測できない。Xa阻害薬は、大出血などの重大な有害事象を発現する恐れがあり、リクシアナも、まずは専門医が使用経験を積み、投与データを収集・蓄積していくことが望まれる。

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ステント留置後の2剤併用抗血小板療法、1年超は有用か/NEJM

 薬剤溶出ステント(DES)留置後に、チエノピリジン系薬とアスピリンによる2剤併用抗血小板療法を1年を超えて行うことは、ステント血栓症発症率や心血管イベント発生率を有意に減少するが、中程度~重度出血率も増大することが明らかにされた。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のLaura Mauri氏らが、DESを留置した1万例弱について行った無作為化比較試験「DAPT」の結果、報告した。冠動脈ステント留置後には、血栓性合併症予防のため2剤併用抗血小板療法が推奨されているが、1年を超えて行うことのベネフィットやリスクについて不明であった。NEJM誌2014年12月4日号(オンライン版2014年11月16日号)掲載の報告より。術後12~30ヵ月のステント血栓症と主な有害心血管・脳血管イベントを比較 試験は、DESを留置した9,961例を対象に行われた。被験者全員に対し、2剤併用抗血小板療法(チエノピリジン系薬+アスピリン)を12ヵ月間行った後、無作為に2群に分け、一方の群にはさらに18ヵ月間にわたり同治療を継続し(チエノピリジン継続群)、もう一方の群にはプラセボ+アスピリン(プラセボ群)を投与した。 主要有効性評価項目は2つで、術後12~30ヵ月のステント血栓症と主な有害心血管・脳血管イベントのそれぞれの発生率だった。安全性に関する主要評価項目は、中程度~重度出血だった。1年超継続群、ステント血栓症リスクは約7割減だが 結果、ステント血栓症発生率は、プラセボ群1.4%に対し、チエノピリジン継続群で0.4%と、有意に低率だった(ハザード比[HR]:0.29、95%信頼区間[CI]:0.17~0.48、p<0.001)。 また、主な有害心血管・脳血管イベントの発生率も、プラセボ群5.9%に対し、チエノピリジン継続群で4.3%と低率だった(HR:0.71、95%CI:0.59~0.85、p<0.001)。なかでも心筋梗塞発生率が、プラセボ群4.1%に対しチエノピリジン継続群2.1%と、有意に低かった(HR:0.47、95%CI:0.37~0.61、p<0.001)。 一方で中程度~重度出血率は、プラセボ群で1.6%に対し、チエノピリジン継続群で2.5%と、有意に増大した(p=0.001)。 全死因死亡の発生率は、プラセボ群1.5%、チエノピリジン継続群2.0%で、プラセボ群で有意に低かった(HR:1.36、95%CI:1.00~1.85、p=0.05)。

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アトピー治療にDHAが有用?

 アトピー性皮膚炎モデルマウスの実験において、ドコサヘキサエン酸(DHA)が治療戦略として有効であることを示唆する所見が得られた。韓国・済州大学校のSang-Chul Han氏らが報告した。DHAの薬効は多くの疾患について報告されているが、これまで免疫系を調節する機序については十分には解明されていなかった。今回の所見を踏まえて著者は、「DHAは、慢性炎症性疾患に対して有用な治療戦略となると思われた」とまとめている。Journal of Investigative Dermatology誌オンライン版2014年11月18日号の掲載報告。 制御性T細胞(Tregs)は、さまざまな免疫細胞の分化や増殖を抑制し、免疫応答においてカギとなる役割を果たす。研究グループはDHAが、アレルギー反応を抑制するのか、またCD4+Foxp3+T細胞生成を上方制御するのかを検討した。また、アトピー性皮膚炎モデルマウスに、DHAとともにIL-10/TGF-β修飾マクロファージ(M2マクロファージ)を注入した場合の効果についても調べた。 主な結果は以下のとおり。・DHA投与は、TGF-β依存性CD4+Foxp3+Tregs生成を上方制御することが示された。・DHAは、T細胞反応低下と、Tヘルパー(Th)-1とTh2およびTh17細胞と関連するサイトカインを下方制御した。・CD4+T細胞へのFoxp3+Tregsの分化は、DHA-M2マクロファージによって直接的に媒介されたものであり、作動因子のマクロファージを不活化し、CD4+T細胞の増殖を阻害した。・DHAは、アトピー性皮膚炎モデルマウスで治療効果を示した。・これらの結果は、DHAがM2マクロファージの機能を強化し、Tregs生成が炎症性免疫障害からマウスを効果的に保護することを示すものであった。・以上から、DHAは慢性炎症性疾患の有用な治療戦略になりうると考えられた。

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抗うつ薬と妊娠中絶との関連は

 抗うつ薬の使用は選択的妊娠中絶と関連するのであろうか。また、薬剤間で差はあるのだろうか。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や三環系抗うつ薬、ミルタザピン、ベンラファキシン、その他の抗うつ薬が妊娠後の中絶にどのような影響を与えるかを、スウェーデン・カロリンスカ研究所のH Kieler氏らが評価した。BJOG誌オンライン版2014年11月14日号の報告。 1996年~2007年のデンマーク、フィンランド、ノルウェーの全国レジスターのデータを利用したケースコントロール試験。対象は、妊娠12~23週に人工妊娠中絶を行った女性1万4,902例。コントロール群は、妊娠を継続し、かつ主要な因子をマッチングした14万8,929例。主要評価項目は、妊娠中の抗うつ薬使用と妊娠12~23週における中絶(胎児異常、母体の健康障害、社会経済的問題による)との関連とした。 主な結果は以下のとおり。・少なくとも1つの抗うつ薬が処方されていた女性は、中絶群で3.7%、コントロール群で2.2%であった。・いずれかの抗うつ薬の使用と、母体の健康状態または社会経済的問題による中絶との間に関連が認められた(オッズ比[OR]:2.3、95%CI:2.0~2.5)。・胎児異常による中絶はミルタザピンの使用と関連していた(OR:2.2、95%CI:1.1~4.5)。他の抗うつ薬の使用と胎児異常による中絶との間には関連が認められなかった。関連医療ニュース 統合失調症女性の妊娠・出産、気をつけるべきポイントは 妊娠初期のうつ・不安へどう対処する 新規抗てんかん薬の催奇形性リスクは  担当者へのご意見箱はこちら

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クリゾチニブ、ALK陽性NSCLCの1次治療薬へ/NEJM

 治療歴のないALK遺伝子陽性非小細胞肺がん(以下、ALK陽性NSCLC)に対し、ALKチロシンキナーゼ阻害薬クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)は、標準的な化学療法よりも優れた有用性を持つことが、オーストラリア・メルボルンのPeter MacCallum Cancer CentreのBenjamin J Solomon氏らの研究で示された。 ALK陽性(ALK遺伝子の再配列)は、NSCLCの3~5%にみられ、若年者、非(軽度)喫煙者、腺がんに多くみられることが特徴である。一方、クリゾチニブはALK、ROS1、METを標的とするチロシンキナーゼ阻害薬である。すでにALK陽性NSCLCの2次治療に対する第III相試験(PROFILE 1007)では、単剤の化学療法に比べたクリゾチニブの有意な効果が示されている。しかしながら、同疾患の1次治療における標準化学療法(プラチナダブレット)との比較はなかった。NEJM誌2014年12月4日号掲載の報告より。オープンラベル無作為化試験で標準化学療法と比較 著者らは、進行性ALK陽性NSCLCの1次治療におけるクリゾチニブの有用性を標準化学療法と比較する、多施設国際オープンラベル無作為化比較第III相試験「PROFILE 1014」を開始した。対象は、全身療法治療歴のない進行性ALK陽性NSCLCであった。これらの患者は無作為にクリゾチニブ群(250mgx2/日投与)と標準的化学療法群(ペメトレキセド500mg/m2+シスプラチン75mg/m2またはカルボプラチンAUC5~6)に割り付けられ、3週毎6サイクルの治療を受けた。病勢進行(PD)した化学療法群患者については、クリゾチニブへのクロスオーバーが許容された。主要評価項目は、放射線学的評価によるPFS(無増悪生存期間)であった。PFS中央値は10ヵ月以上に延長、肺がん症状、QOLも改善 2011年1月~2013年7月に343例が登録され、クリゾチニブ群172例、化学療法群171例に割り付けられた。両群間の患者背景に差はなく、被験者にはアジア人も含まれた(クリゾチニブ群45%、化学療法群47%)。PFS中央値は、クリゾチニブ群で10.9ヵ月と化学療法群の7.0ヵ月に比べ有意に延長した(HR:0.45、95%CI:0.35~0.60、p<0.001)。この傾向は、プラチナ製剤の種類、患者のPS、人種、脳転移の有無といったすべてのサブグループで同様であった。奏効率は、クリゾチニブ群で74%(95%CI:67~81)と化学療法群の45%(95%CI:37~53)に比べ有意に良好であった(p<0.001)。生存期間中央値は被験者の約7割がPFS評価時に追跡中であったことから、両群とも到達していない。1年生存率はクリゾチニブ群で84%(95%CI:77~89)、化学療法群では79%(95%CI:71~84)である。また、化学療法群の被験者の70%がクリゾチニブにクロスオーバーしている。 有害事象は、クリゾチニブへのクロスオーバーの影響で、両群の投与期間中央値に差がある状態で集計している(クリゾチニブ群10.9ヵ月、化学療法群4.1ヵ月)。両群の有害事象の大部分は、グレード1~2であった。クリゾチニブ群で多く報告された有害事象は、視覚障害(71%)、下痢(61%)、浮腫(49%)など。化学療法群で多く報告された有害事象は、疲労感(38%)、貧血(32%)、好中球減少(30%)などであった。2群間で同程度の発現率を示した事象は、嘔気(クリゾチニブ56%、化学療法59%)、食欲減退(クリゾチニブ30%、化学療法34%)などであった。グレード3~4のアミノトランスフェラーゼ上昇がクリゾチニブ群の14%(化学療法群では2%)に認められたものの、投薬中断または減量によって管理可能であった。グレード3~4の好中球減少症は、クリゾチニブ群11%、化学療法群15%で認められた。研究者の評価による治療関連死は認められていない。 患者のQOLは、クリゾチニブ群で有意に改善し(p<0.001)、患者の自己申告による肺がん症状(咳嗽、呼吸困難、胸痛など)もクリゾチニブ群で有意に減少している(p<0.001)。 著者は、「クリゾチニブの1次治療は、NSCLCの標準化学療法(ペメトレキセド+プラチナレジメン)に比べ、ALK陽性NSCLCのPFSを有意に改善した。この1次治療の成績は、既報の2次治療の成績よりも優れている。1次治療としてクリゾチニブを投与することでALK陽性NSCLC患者の治療ベネフィットを最大にできる可能性がある」と指摘している。

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