サイト内検索|page:1338

検索結果 合計:35667件 表示位置:26741 - 26760

26741.

AMI発症に「4日前の黄砂曝露」が関連

 急性心筋梗塞(AMI)の発症は、発症数日前の黄砂曝露と関連することが、済生会福岡総合病院の松川 龍一氏らの研究により明らかになった。Circulation. Cardiovascular quality and outcomes誌2014年9月号の報告。 黄砂は、中国やモンゴルの砂漠や乾燥地域の砂塵が強風によって上空に巻き上げられ、春を中心に日本にも飛散する。最近、この黄砂の曝露による健康被害への懸念が高まっている。 本研究では、黄砂がAMIの発症率と関連しているかどうかを明らかにするために検討を行った。 福岡県の4施設でAMI発症から24時間以内に入院した心筋梗塞症例連続3,068例のカルテと、2003年4月から2010年12月に黄砂が観測された日のデータを用いて時間層別化症例クロスオーバー試験を実施し、黄砂と急性心筋梗塞の発症率との関連性を検討した。条件付きロジスティック回帰分析を用い、周囲温度および相対湿度をコントロールした後、黄砂に関連するAMIのオッズ比を推定した。 主な結果は以下のとおり。・入院4日前の黄砂発生は、AMIの発症と有意な関連が認められた(オッズ比:1.33、95%CI:1.05~1.69)。・入院0~4日前の黄砂発生は、AMIの発症と有意な関連が認められた(オッズ比:1.20、95%CI:1.02~1.40)。

26742.

心房細動においても多職種が介入する疾病管理の概念が重要(解説:小田倉 弘典 氏)-346

 多職種が介入する慢性心不全の疾病管理プログラムは、国内外のガイドラインにおいても推奨度が高く、Class Iに位置付けられている。疾病管理とは、具体的には多職種(医師・看護師・薬剤師・栄養士など)によるチーム医療、退院時指導、フォローアップ計画(病診連携)、ガイドラインに沿った薬物治療、十分な患者教育・カウンセリング、患者モニタリングによる心不全増悪の早期発見などが挙げられる1)。しかしながら、心房細動においてはいくつかの報告があるものの、レベルの高いエビデンスに乏しかった。 本論文は、オーストラリアの三次医療機関において施行された、心房細動に特異的な疾病管理の有効性を検討したものである。 対象は、オーストラリア3ヵ所の三次医療機関において、新規に慢性心房細動と診断された心不全のない非弁膜症性心房細動335例。無作為割り付けにより、退院後ルーチンのプライマリケアと外来診察によるフォローアップから成る標準管理群(167例)と、心房細動に特異的な管理を行った「SAFETY管理群」(168群)に振り分けた。SAFETY管理の内容は、退院後7~14日間、心臓専門看護師による家庭訪問とホルターモニタリング、訪問時の家庭環境、症状、薬剤処方計画の確認、プライマリケア医、救急病院の連携、必要に応じた運動プログラム、ソーシャルワーカーや地域薬剤師のサポートなどから成る。 最低12~24ヵ月ごとに臨床的評価を施行。主要評価項目は全死亡、予期せぬすべての入院、副次評価項目としてイベントフリー時間、生存および非入院期間の実期間と最大期間の比率が設定された。 結果は、以下のとおりであった。 1)平均追跡905日、2)死亡49例、予期せぬ入院987例(全入院5,530日)、3)死亡+予期せぬ入院:SAFETY管理群76%・平均イベントフリー時間183日 vs. 標準管理群82%・199日;ハザード比0.97、p=0.851、4)生存および非入院時間の最大値に占める実測値の理合:SAFTY管理群99.5% vs. 標準管理群99.2%;p=0.039。心房細動に特化した管理は、標準管理に比べ生存日数や非入院日数の延長に関連し、疾患特異的な管理は慢性心房細動患者の乏しい健康アウトカムの改善戦略として有望と結論付けられている。 それぞれのケアの内容が重要なのでもう少しみてみると、標準管理とは、不具合時の対処や心房細動管理のキーポイントを記載した退院時の教育的ブックレット(「心房細動と共に生きる」)配布や、退院時の医師のサマリーおよび各種トライアルの情報の提供などであった。一方SAFETY管理は、退院後のナースの家庭訪問、GARDENメソッドによる個々の包括的な環境やセルフケアの能力の把握、臨床状況やガイドラインに基づいての管理の記録などである。ナースはこれら包括的なレポートを医療チームに送り、適切な抗凝固薬を選択し、心機能低下の進行を遅らせ、臨床的安定を図るとされている。 心房細動治療の慢性管理の目標は、心原性脳塞栓と心不全の予防である。とくに前者では抗凝固薬服用のアドヒアランスの維持、出血などのトラブルシューティング、後者では心不全症状の早期発見、食事運動といった管理などが主眼と考えられる。こうした管理は、医師だけで完結できるものではない。慢性心不全の管理同様、多職種で多角的に介入することにより管理の精度が向上することは容易に予想される。そのことが無作為割付試験で明確化された点で意義のある研究といえる。 ただし、死亡・入院といったイベント数だけをみると、標準管理と比べ有意差はなく、非入院期間の延長が複合評価項目の改善に寄与していた。本論文では看護師チームの定期的訪問が最大の特徴だが、この訪問により、抗凝固薬の服薬アドヒアランスや出血時の対処能力などの高まりが予測される。一方、大きなイベントを回避するまでのパワーには、いまだに不足している可能性がある。 また、訪問看護によるコストに関しては考慮されていない。現時点では、日本では心不全のない軽症の心房細動患者に対する訪問看護は保険償還されない。 しかしながら、看護師主導の心房細動ケアが心血管イベントを減らすとする別の無作為化試験も報告されており2)、医師だけでなく、多職種が介入することにより包括的に心房細動の慢性期を管理するという考え方は、非ビタミンK阻害経口抗凝固薬が出揃った現在、新たな心房細動治療の概念として重要視されることは間違いないと思われる。

26743.

Vol. 3 No. 3 経カテーテル大動脈弁植え込み術(TAVI) 手技と治療成績

髙木 健督 氏新東京病院心臓内科治療手技Edwards SAPIEN(Edwards Lifesciences Inc, Irvine, CA)は、経大腿動脈、経心尖部アプローチが可能である(本誌p.27図1を参照)。(1) 経大腿動脈アプローチ(transfemoral:TF)(図1)現在、Edwards SAPIENの留置は16、18FrのE-Sheathを用いて行っている。E-Sheath挿入は、外科的cutdown、またはpunctureで行う2つの方法があり、どちらの場合も術前の大動脈造影、造影CTを用いて石灰化の程度、浅大腿動脈と深大腿動脈の分岐位置を確認することが大切である。TAVIに習熟している施設では、止血デバイス(パークローズProGlideTM)を2~3本使用し、経皮的に止血するケースも増えてきている。しかしながら、血管の狭小化、高度石灰化を認める場合、またTAVIを始めたばかりの施設ではcutdownのほうが安全に行うことができる。E-Sheathは未拡張時でも5.3~5.9mmあり、通常ExtrastiffTMのような固いワイヤーを用いて、大動脈壁を傷つけないよう慎重に進める。ガイドワイヤーの大動脈弁通過は、Judkins Right、Amplatz Left-1、Amplatz Left-2カテーテルを上行大動脈の角度に応じて使い分ける。また、ストレートな形状(TERUMO Radifocus、COOK Fixed Core wire)を用いると通過させやすい。ガイドワイヤーを慎重に心尖部に進めたあと、カテーテルも注意深く左室内に進める。その後、通常のコイルワイヤーを用いてPigtailカテーテルに入れ替える。さらに、Pigtailの形を用いながら、心尖部にStiffワイヤーを進める。StiffワイヤーはAmplatz Extra Stiff Jカーブを用いることが多い。左室の奥行きを十分に観察するため、RAO viewで可能な限りガイドワイヤーの先端を心尖部まで進めるが、経食道エコーを用いるとより正確に心尖部へ進めることが可能である。Edwards SAPIEN23mmには20/40mm、26mmには23/40mmのバルーンが付随しており、通常はこれを使用する。バルーン内の造影剤は15%程度に希釈すると粘度が下がり、バルーン自体の拡張、収縮をスムーズにする。バルーンを大動脈弁まで進め、一時的ペースメーカーにて180~200ppmのrapid pacingを行い、血圧を50mmHg以下にし、バルーンをinflation、そしてdeflationする。Rapid pacingは、血圧が50mmHg以下になるように心拍を調整する。一時pacingが1:2になるときは、160〜180ppmの低めからスタートし徐々に回数を上げるとよい。Pigtailカテーテルからの造影は、バルーンinflationの際に、冠動脈閉塞の予測、valveサイズの決定に有用である(図2a)。大動脈内にデリバリーシステムを進め、E-Sheathから出たところで、バルーンを引き込み、ステントバルブをバルーン上に移動させる。デバイスのalignment wheelを回転させバルーンのマーカー内にステントバルブの位置を調整する(図2b)。大動脈弓でデバイスのハンドルを回し、デバイスを大動脈に添わせるように進めていく(LAO view)。デバイスを左室内に進めたあと、システムの外筒をステントバルブから引き離し、Pigtailからの造影剤で位置を確認し、rapid pacing下で留置する(図2c, d)。留置後、経食道エコー、大動脈造影でparavalvular leakがないことを確認し、問題なければE-Sheathを抜去、止血を行う。図1 経大腿動脈アプローチ画像を拡大する(1)画像を拡大する(2)画像を拡大する(3)画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する図2 経大腿動脈アプローチの画像a 画像を拡大するb 画像を拡大するc 画像を拡大するd 画像を拡大する(2) 経心尖部アプローチ(transapical:TA)(図3)左胸部に5~7cmの皮膚切開をおき、第5、6肋間にて開胸を行う。ドレーピング後に清潔なカバーをした経胸壁エコーを用いてアクセスする肋間を決定する。心膜越しに心尖部をふれ、心尖部であることを経食道エコーで確認する。心尖部の心膜を切開し、心膜を皮膚に吊り上げる。穿刺部位を決定したら、その周囲にマットレス縫合またはタバコ縫合をかける。縫合の中央より穿刺し、透視下にガイドワイヤーを先行させる。その後、Judkins Rightを用いて下行大動脈まで進め、Stiffワイヤーに変更する。さらに、24Frデリバリーシースに変更し、20mmバルーンで拡張したあとにスタントバルブを留置する(図4a, b)。図3 経心尖部アプローチ画像を拡大する(1)画像を拡大する(2)画像を拡大する(3)画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する図4 経心尖部アプローチの画像a 画像を拡大するb 画像を拡大する治療成績症候性重症大動脈弁狭窄症(symptomatic severe AS:s AS)に対して、効果的な薬物療法がないため、保存的治療を選択した患者の予後が悪く、手術可能である患者には、外科手術(sAVR)が標準治療となっている1-3)。しかしながら、30%以上のs ASは、さまざまな理由で、sAVRは見送られているのが現状である4,5)。TAVIは、ハイリスクs ASに対して、sAVRの代替治療として2002年にDr. Alain CribierによってFirst In Man(FIM)が施行され6)、現在はヨーロッパを中心に10万例以上の治療が施行されている。TAVIは、balloon expandableタイプのEdwards SAPIEN、self expandableのCoreValve system(Medtronic, Minneapolis, MN)といった2つのシステムが、欧州を中心に用いられている。(1) Edwards' Registries現在までにEdwards SAPIENを用いたregistryでは、さまざまな報告がなされているが、有害事象が施設ごとに異なり統一された基準を用いていなかった。そうした状況を踏まえ、2011年には統一評価基準を定めたValve Academic Research Consortium (VARC)guidelines7)が発表され、その後はVARCを用いた治療成績が発表されるようになった。2012年に報告されたFrance 2 registryでは、3,195例の初期成績と1年成績が報告された(平均82.7歳、logistic EuroSCORE 21.9±14.3%、STS score 14.4±12.0%)。Edwards SAPIENが66.9%で用いられ、CoreValveは33.1%であった。アプローチはTF 74.6%、TS 5.8%、TA 17.8%であり、手技成功は96.9%で得られた。また、30日全死因死亡率9.7%、1年死亡率24.0%、30日心血管死亡率7.0%、1年心血管死亡率13.6%であり、手術ハイリスクであるs ASに対してTAVIは妥当な治療法であることが示された8)。また、長期予後に関しては、Webbら9)が、84人のTAVI施行後5年成績を発表しており、5年間で3.4%の中等度valve dysfunctionを認めたものの重篤なvalve dysfunctionを引き起こした症例は認めず、SAPIEN valveの長期耐久性が優れていることを証明した。またそのなかで、生存率は1年83%、2年74%、3年53%、4年42%、5年35%であり、COPD、中等度以上のmoderate paravalvular aortic regurgitation(PR)が全死因死亡に与える影響が大きいことを示した。(2) 無作為化比較試験PARTNER試験(Placement of AoRtic Tra-NscathetER Valves)はs ASにおけるハイリスク手術、手術不適応症例において、TAVIと標準治療(バルーン拡張術+薬物療法)、外科手術を比較した初めての多施設無作為試験である。Cohort Aは、手術ハイリスクのs AS患者をTAVIとsAVRに割りつけ、cohort Bにおいては手術適応がないと判断されたs AS患者をTAVIと標準治療(バルーン拡張術)に割りつけた。手術ハイリスクとは、(1) STSスコアが10%以上、(2)予想30日死亡率が15%以上、(3)予測30日死亡率が高く、また50%以上の死亡率の併存疾患がある状態、と考えられた。除外基準は、2尖弁、非石灰化大動脈弁、クレアチニン3.0mg/dLまたは透析の重症腎不全、血行再建が必要な冠動脈疾患、左室機能低下(EF 20%以下)、大動脈弁径18mm以下または25mm以上、重症僧帽弁逆流症(>3+)、大動脈弁逆流症(>3+)、そして6か月以内に起きた一過性脳虚血発作または脳梗塞であった。2つのコホートの主要エンドポイントは研究期間中の全死亡であり、全死亡、再入院を合わせた複合イベントも検討された。PARTNER trial -cohort A-PARTNER trial cohort Aでは、手術ハイリスク(STS平均スコア11.8%)と判断されたs AS患者(25施設、699例)をTAVIとsAVRに割りつけ、術後1年時(中央値1.4年)の全死因死亡、心血管死亡、NYHA分類のクラス、脳卒中、血管合併症、出血を比較した。TA 104人に対しsAVRから103人、TF 244人に対しsAVRから248人が割りつけられた。30日全死因死亡率はTAVI群全体で3.4%、sAVR群で6.5%(p=0.07)であった。またTF群3.3%に対しsAVR群は6.2%(p=0.13)、TA群3.8%に対しsAVR群は7.0%(p=0.32)で有意差は認めなかった。主要エンドポイントに設定された1年時死亡率は、TAVI群24.2%とsAVR群26.8%(p=0.44)であり、TAVIの非劣性が確認された(非劣性のp=0.001)。TF、TAに分けて分析しても、sAVRと比較し非劣性が確認された。脳卒中または一過性脳虚血発作の発生率はTAVI群で高かった(30日TAVI 5.5% vs. sAVR 2.4% p=0.04、1年時8.3% vs. 4.3% p=0.04)。しかしながら、重症の脳卒中(修正Rankinスケールが2以上)では、有意差はみられなかった(30日TAVI 3.8% vs. sAVR 2.1% p=0.20、1年5.1% vs. 2.4% p=0.07)。全死因死亡または重症脳卒中を合わせた複合イベントの発生率に差はなかった(30日TAVI 6.9% vs. sAVR 8.2% p=0.52、1年26.5% vs. 28.0% p=0.68)。主要血管合併症は、TAVI群に有意に多かったが(11.0% vs. 3.2% p<0.001)、大出血と新規発症した心房細動はsAVR群で多かった(出血9.3% vs. 19.5% p<0.001、心房細動8.6% vs. 16.0% p=0.006)。TAVI群では、sAVR群より多くの患者が30日時点で症状の改善(NYHA分類でクラスII以下)を経験していたが、1年経つと有意差がなくなった。TAVI群のICU入院期間、全入院期間はsAVR群より有意に短かった(3日 vs. 5日 p<0.001、8日間 vs. 12日間 p<0.001)。以上のように、PARTNER trial -cohort A-より、1年全死因死亡率においてTAVIはsAVRに劣らないことが証明された10)。PARTNER trial -cohort B-PARTNER trial cohort Bでは、手術不適応と判断されたs AS患者(21施設、358例)を、バルーン大動脈弁形成術を行う標準治療群(control群)と、TAVI群に無作為に割りつけ比較検討を行った。1年全死因死亡率はTAVI群30.7%、control群50.7%であり(p<0.001)、全死因死亡または再入院の複合割合は、TAVI群42.5%、control群71.6%であった(p<0.001)。1年生存は、NYHA分類でⅢ/Ⅳ度を示した症例はTAVI群のほうが有意に少なかった(25.2% vs. 58.0% p<0.001)。しかし、TAVI群はcontrol群と比較して30日での脳卒中(5.0% vs. 1.1% p=0.06)と血管合併症(16.2% vs. 1.1% p<0.001)を多く発症した。血管、神経合併症が多いものの、全死因死亡率、全死因死亡または再入院の複合割合は有意に低下し、心不全症状は有意に改善した10)。その後、2年成績も報告され、2年全死因死亡(TAVI群43.3% vs. control群68.0% p<0.001)、心臓関連死(31.0% vs. 68.4% p<0.001)はTAVI群で著明に少なく、TAVIで得られたadvantageは2年後も継続していることが示された11)。上記2つの試験により、現時点では手術不適応、手術がハイリスクであるs AS患者に対するTAVIはsAVRの代替療法になることが示されたが、中等度リスク患者においては、未だエビデンスが不十分である。そのため、中等度手術リスクのs AS患者に対する、TAVIの有効性、安全性を証明するには、TAVIとsAVRを比較したPARTNER2 trialの結果が待たれるところである。TAVIに関連する特記事項血管合併症(vascular complication)血管合併症はTFアプローチのTAVIの大きな問題であり、大口径カテーテルを用いること、治療対象がハイリスク症例であることから高率に発生する。小血管径、重篤な動脈硬化、石灰化、蛇行した血管はTAVIにおける血管合併症の主な原因である。最新の報告であるFrance 2 registryでは、デバイスは18Fr Edwards SAPIEN XTを含んではいるものの、全体で4.7%、TF群で5.5%と主要血管合併症の発生頻度は減少している8)。主要血管合併症、または主要出血と生存の関係は、何人かの著者によって証明されており、この合併症を予防するために、十分なスクリーニングが最も重要である。脳卒中(stroke)TAVIにおける有症状の脳梗塞は、致命的合併症である(1.7~8.3%)10-17)。脳梗塞発症の機序ははっきりしていないが、大口径のカテーテルが大動脈弓を通過するとき、高度狭窄した大動脈弁を通過させるとき、大動脈弁拡張時、rapid pacing中の血行動態に伴うもの、デバイス留置など、手技中のさまざまな因子によって引き起こされている可能性が示唆されている。現在のTAVI症例は、高齢であり心房細動、そして動脈硬化病変の割合が高く、脳梗塞イベントを増加させている。Diffusion-weighted magnetic resonance imaging(DW-MRI)を用いた2つの研究において、TFアプローチTAVI後に、新規に発症した脳梗塞が70%以上の患者に発生していたことが報告された18,19)。また、Rodés-CabauらはDW-MRIによってTAで71%、TFでも66%と同じように、脳梗塞を発症していることを報告した20)。しかしながら、ほとんどの症例が症状を伴わないため、臨床的なインパクトを決定するにはさらなる研究が必要である。脳梗塞予防デバイスが開発中であり、TAVI後の無症候性、症候性脳梗塞を減少させると期待されていたが、満足できる結果は報告されていない。また、術後の抗血小板療法については、抗血小板薬2剤併用療法を3か月以上行うのが主流だが、はっきりとした薬物療法の効果については報告されておらず、議論の余地がある。調律異常(rhythm disturbance)文献により新規ペースメーカー植え込み率は異なっているものの(CoreValve 9.3~42.5% vs. Edwards SAPIEN 3.4~22%)、CoreValveは、左室流出路深くに留置し、長期間つづく強いradial forcesを生じることから、Edwards SAPIENよりも新規ペースメーカー留置を必要とする頻度が高いと報告されている。持続する新しい左脚ブロックの新規発現は、TAVI後の最も明らかな心電図上の所見であると報告されており、CoreValve留置後1か月の55%の症例で、そしてSAPIEN留置後1か月の20%の症例において認められ21)、その出現は全死因死亡の独立した因子であることが報告されている22)。一方で、TAVI後の完全房室ブロックの予測因子は、右脚ブロック、低い位置での弁の留置、植え込まれた弁と比較して小さな大動脈弁径、手技中の完全房室ブロック、そしてCoreValveと報告されており23,24)、一般的に心電図モニター管理は最低72時間、TAVI後の患者すべてに行われるが、この合併症の高リスク患者は退院するまでのモニター管理が必要である。弁周囲逆流(paravalvular regurgitation)Paravalvular regurgitation(PR)は、TAVI後に一般的にみられる。多くの症例では、mild PRを認め、7~24%の患者でmoderate以上のPRが観察される12,25-28)。SAPIEN Valveにおいて、moderate以上のPRの割合に経年的変化は認められない12,28)。一方、CoreValveは強いradial forcesによりPRが改善したと報告があるが25)、はっきりとしたコンセンサスは得られていない。TAVI後のmoderate PRは(PARTNER試験ではmild PRであっても)長期成績に影響を与えることがわかっており29-31)、PRを減らすことが非常に重要な問題となっている。PRを減らすためには、より大きなvalve sizeを選択する必要があるが32,33)、致命的な合併症である大動脈弁破裂を引き起こす可能性が増える。そのため、慎重なCT、エコーでの大動脈弁径、石灰化分布の評価が必要である。冠動脈閉塞(coronary obstruction)左冠動脈主幹部閉塞は稀であるが、BAV、TAVIの最中に起こりうる重篤な合併症である。急性冠動脈閉塞に対して迅速なPCI、またはバイパス手術で救命されたという報告がされている34-36)。大動脈弁輪と冠動脈主幹部の距離は、分厚い石灰化弁と同様に重要な予測因子となり、3Dエコー、CTでの正確な評価がこの致命的な合併症を避けるために必要である37)。ラーニングカーブTAVIにはラーニングカーブがあり、正確な大動脈弁径、腸骨大腿動脈径の測定、リスク評価、適切な症例選択、手技の習熟により、治療成績は劇的に改善することが報告されている。Webbらは168例の成績を報告し、初期の30日死亡率がTF 11.3%、TA 25%から、後半でTF 3.6%、TA 11.1%と改善したことを示し、TAVIにおけるラーニングカーブの重要性を明らかにした38)。おわりに本邦でも、Edwards SAPIEN XTを用いたPREVAIL JAPAN試験の良好な成績が発表され、2013年から保険償還され、本格的なTAVIの普及が期待されている。しかしながら、現在の適応となる患者群のTAVI治療後の1年全死因死亡率は20%以上であり、TAVIの適応については、議論の余地がある。特にADLの落ちている高齢者、frailtyの高い患者は、ブリッジ治療としてBAVを行い、心機能だけでなくADLが改善することを確認したうえで、TAVI治療を選択するといったstrategyも考慮する必要があるのではないだろうか。文献1)Bonow RO et al. ACC/AHA 2006 Guidelines for the Management of Patients With Valvular Heart Disease: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines (Writing Committee to Revise the 1998 Guidelines for the Management of Patients With Valvular Heart Disease): Developed in Collaboration With the Society of Cardiovascular Anesthesiologists: Endorsed by the Society for Cardiovascular Angiography and Interventions and the Society of Thoracic Surgeons. Circulation 2006; 114: e84-e231.2)Vahanian A et al. Guidelines on the management of valvular heart disease (version 2012): The Joint Task Force on the Management of Valvular Heart Disease of the European Society of Cardiology (ESC) and the European Association for Cardio-Thoracic Surgery (EACTS). Eur J Cardiothorac Surg 2012; 42: S1-44.3)Bonow RO et al. 2008 Focused update incorporated into the ACC/AHA 2006 guidelines for the management of patients with valvular heart disease: A report of the American College of Cardiology/American Heart Association task force on practice guidelines (Writing committee to revise the 1998 guidelines for the management of patients with valvular heart disease) endorsed by the Society of Cardiovascular Anesthesiologists, Society for Cardiovascular Angiography and Interventions, and Society of Thoracic Surgeons. J Am Coll Cardiol 2008; 52: e1-142.4)Iung B et al. A prospective survey of patients with valvular heart disease in Europe: the Euro heart survey on valvular heart disease. Eur Heart J 2003; 24: 1231-1243.5)Pellikka PA et al. Outcome of 622 adults with asymptomatic, hemodynamically significant aortic stenosis during prolonged follow-up. Circulation 2005; 111: 3290-3295.6)Cribier A et al. Percutaneous transcatheter implantation of an aortic valve prosthesis for calcific aortic stenosis: first human case description. Circulation 2002; 106: 3006-3008.7)Leon MB et al. Standardized endpoint definitions for transcatheter aortic valve implantation clinical trials: a consensus report from the Valve Academic Research Consortium. Eur Heart J 2011; 32: 205-217.8)Gilard M et al. Registry of transcatheter aorticvalve implantation in high-risk patients. N Engl J Med 2012; 366: 1705-1715.9)Toggweiler S et al. 5-year outcome after transcatheter aortic valve implantation. J Am Coll Cardiol 2013; 61: 413-419.10)Smith CR et al. Transcatheter versus surgical aortic-valve replacement in high-risk patients. N Engl J Med 2011; 364: 2187-2198.11)Makkar RR et al. Transcatheter aortic-valve replacement for inoperable severe aortic stenosis. N Engl J Med 2012; 366: 1696-1704.12)Leon MB et al. Transcatheter aortic-valve implantation for aortic stenosis in patients who cannot undergo surgery. N Engl J Med 2010; 363: 1597-1607.13)Ducrocq G et al. Vascular complications of transfemoral aortic valve implantation with the Edwards SAPIEN prosthesis: incidence and impact on outcome. EuroIntervention 2010; 5: 666-672.14)Tchetche D et al. Thirty-day outcome and vascular complications after transarterial aortic valve implantation using both Edwards Sapien and Medtronic CoreValve bioprostheses in a mixed population. EuroIntervention 2010; 5 :659-665.15)Généreux P et al. Vascular complications after transcatheter aortic valve replacement: insights from the PARTNER (Placement of AoRTic TraNscathetER Valve) trial. J Am Coll Cardiol 2012; 60: 1043-1052.16)Rodés-Cabau J et al. Transcatheter aortic valve implantation for the treatment of severe symptomatic aortic stenosis in patients at very high or prohibitive surgical risk: acute and late outcomes of the multicenter Canadian experience. J Am Coll Cardiol 2010; 55: 1080-1090.17)Thomas M et al. One-year outcomes of cohort 1 in the Edwards SAPIEN Aortic Bioprosthesis European Outcome (SOURCE) Registry: the European registry of transcatheter aortic valve implantation using the Edwards SAPIEN valve. Circulation 2011; 124: 425-433.18)Kahlert P et al. Silent and apparent cerebral ischemia after percutaneous transfemoral aortic valve implantation: a diffusion-weighted magnetic resonance imaging study. Circulation 2010; 121: 870-878.19)Ghanem A et al. Risk and fate of cerebral embolism after transfemoral aortic valve implantation: a prospective pilot study with diffusion-weighted magnetic resonance imaging. J Am Coll Cardiol 2010; 55: 1427-1432.20)Rodés-Cabau J et al. Cerebral embolism following transcatheter aortic valve implantation: comparison of transfemoral and transapical approaches. J Am Coll Cardiol 2011; 57: 18-28.21)Zahn R et al. Transcatheter aortic valve implantation: first results from a multi-centre real-world registry. Eur Heart J 2011; 32: 198-204.22)Houthuizen P et al. Left bundle-branch block induced by transcatheter aortic valve implantation increases risk of death. Circulation 2012; 126: 720-728.23)Erkapic D et al. Electrocardiographic and further predictors for permanent pacemaker requirement after transcatheter aortic valve implantation. Europace 2010; 12: 1188-1190.24)Ferreira ND et al. Incidence and predictors of permanent pacemaker requirement after transcatheter aortic valve implantation with a self-expanding bioprosthesis. Pacing Clin Electrophysiol 2010; 33: 1364-1372.25)Rajani R et al. Paravalvular regurgitation one year after transcatheter aortic valve implantation. Catheter Cardiovasc Interv 2010; 75: 868-872.26)Godino C et al. Outcomes after transcatheter aortic valve implantation with both Edwards-SAPIEN and CoreValve devices in a single center: the Milan experience. JACC Cardiovasc Interv 2010; 3: 1110-1121.27)Detaint D et al. Determinants of significant paravalvular regurgitation after transcatheter aortic valve: implantation impact of device and annulus discongruence. JACC Cardiovasc Interv 2009; 2: 821-827.28)Gurvitch R et al. Transcatheter aortic valve implantation: durability of clinical and hemodynamic outcomes beyond 3 years in a large patient cohort. Circulation 2010; 122: 1319-1327.29)Kodali SK et al. Two-year outcomes after transcatheter or surgical aortic-valve replacement. N Engl J Med 2012; 366: 1686-1695.30)Hayashida K et al. Impact of post-procedural aortic regurgitation on mortality after transcatheter aortic valve implantation. JACC Cardiovasc Interv 2012; 5: 1247-1256.31)Vasa-Nicotera M et al. Impact of paravalvular leakage on outcome in patients after transcatheter aortic valve implantation. JACC Cardiovasc Interv 2012; 5: 858-865.32)Takagi K et al. Predictors of moderate-to-severe paravalvular aortic regurgitation immediately after CoreValve implantation and the impact of postdilatation. Catheter Cardiovasc Interv 2011; 78: 432-443.33)Hayashida K et al. Impact of CT-guided valve sizing on post-procedural aortic regurgitation in transcatheter aortic valve implantation. EuroIntervention 2012; 8: 546-555.34)Stabile E et al. Acute left main obstructions following TAVI. EuroIntervention 2010; 6: 100-105.35)Gogas BD et al. Acute coronary occlusion following TAVI. Catheter Cardiovasc Interv 2011; 77: 435-438.36)Wendler O et al. Transapical aortic valve implantation: mid-term outcome from the SOURCE registry. Eur J Cardiothorac Surg 2013; 43: 505-512.37)Tamborini G et al. Feasibility and accuracy of 3DTEE versus CT for the evaluation of aortic valve annulus to left main ostium distance before transcatheter aortic valve implantation. JACC Cardiovasc Imaging 2012; 5: 579-588.38)Webb JG et al. Transcatheter aortic valve implantation: impact on clinical and valve-related outcomes. Circulation 2009; 119: 3009-3016.

26744.

【GET!ザ・トレンド】脳神経細胞再生を現実にする(3)

近年の研究で、ヒトの脳にも“神経幹細胞”が存在し、新たな神経細胞をつくっていることが証明された。この神経幹細胞を有効に活用することで、脳神経を再生させる。それを実現する再生医薬品、SB623が開発されている。すでに米国での臨床試験も終了し、著しい効果を示しているという。今回は米国でその臨床試験を統括したスタンフォード大学 神経外科 総責任者である Gary Steinberg氏に聞いた。喜ばしい結果をもたらした初回の臨床試験今回の臨床試験では18人の移植患者に対し、SB623の影響をみた。当初は安全性試験であったが、同時に効果もみることとなった。まず安全性の結果を振り返ると、重篤な有害事象はみられず、また軽度なものも薬剤関連のものはみられなかった。一方、効果の1次評価項目はESS、2次評価項目としてその他の脳卒中評価指標および画像所見も取り入れている。その結果、統計学的にもベースラインからの有意な神経学的な改善が、投与1ヵ月後からみられている。改善は3ヵ月後にはさらに上昇し、6ヵ月後および12ヵ月後も有意な改善が維持されている。この改善効果は、ESS以外の神経評価指標でも確認された。Steinberg氏は「この一連の効果はわれわれの予測を大きく上回り、非常に喜ばしい驚きを与えてくれた」と述べた。予想外 画像所見と神経学的回復が相関したまた、予想外の事実の1つとして、脳MRI所見の変化がある。この所見は投与1週間後にみられた新しいシグナル変化である。この変化は1~2ヵ月後には消失するものの、患者の神経機能は改善し続ける。このシグナルは脳卒中のシグナルではない。このシグナルは運動機能に影響する前運動野に出現する。驚くべきことは、この所見の変化が6ヵ月と12ヵ月の神経学的回復と統計学的に有意に相関する。今後さらに探索する必要があるが、細胞にとって有益な何らかの炎症反応という可能性がある。もう1つ興味深い所見がある。脳のグルコース代謝をみているPETスキャンで脳卒中の病変部位と反対側の領域の代謝活性が上がっていたのである。そして、この代謝活性の上昇は6ヵ月と12ヵ月の神経機能改善と相関している。動物やヒトの研究が今盛んに行われているが、この反対側は卒中部位の回復促進に非常に重要で、卒中側の機能を引き継ぐ、あるいは卒中域を調整できることがわかっている。講演で紹介した患者は非常に印象的な回復をみせた。回復は投与1日で確認された。このようなケースは体験したことがなく、その驚きはショックと表現したほうが適切であった。とはいえ、すべての患者がこのように急速に回復するわけではない。18人の患者の全体像をみると、早期は1ヵ月程度で回復がみられ、3ヵ月で改善が増加し、6ヵ月、12ヵ月においても持続している。24ヵ月観察している患者は多くはないが、同様に改善が持続している。ちなみに、神経学的改善は年齢、用量、罹病期間とも相関せず、前述のフレアシグナルの出現と相関する。脳卒中発症後6ヵ月経過すると脳神経回路は死んで回復できないというのが、従来の定説である。しかし、この試験の結果は考え方を変えさせるものだ。個人的な推察ではあるが、脳卒中になっても脳の神経回路は死んでおらず、大きな阻害により働かない状態になっているが、再活性化されることで回路が再び働き始めるのではないだろうか。SB623の今後の可能性脳卒中においては、さまざまな幹細胞が研究されている。SB623はすでに臨床プログラムに進んでおり、またこれほどの効果を示せたことは画期的である。他の細胞は臨床に入ったばかりであり、それらと比べると明らかにアドバンテージがある。また、慢性脳卒中で効果をみせた意味は大きく、これは時間が経つとともに大きなベネフィットを生むだろう。この試験結果はわれわれに希望を与えるものだった。しかし、症例数は少なく対照群もない。解明すべき点も多々ある。次の段階として150人のアームで対照群と比較するPhase2B試験に進む。そして、より多くの被験者で効果を確認するPhase3試験へとさらに発展させる必要がある。脳卒中は破壊的な病気である。世界では1500万人の患者がいる。この薬剤の効果が証明されれば非常に多くの患者の人生が変化する。脳卒中の治療においては飛躍的進歩になると考えられる。日本の臨床医へのメッセージSteinberg氏メッセージ:2’11″

26745.

【GET!ザ・トレンド】脳神経細胞再生を現実にする(3)

近年の研究で、ヒトの脳にも“神経幹細胞”が存在し、新たな神経細胞をつくっていることが証明された。この神経幹細胞を有効に活用することで、脳神経を再生させる。それを実現する再生医薬品、SB623が開発されている。すでに米国での臨床試験も終了し、著しい効果を示しているという。今回は米国でその臨床試験を統括したスタンフォード大学 神経外科 総責任者である Gary Steinberg氏に聞いた。喜ばしい結果をもたらした初回の臨床試験今回の臨床試験では18人の移植患者に対し、SB623の影響をみた。当初は安全性試験であったが、同時に効果もみることとなった。まず安全性の結果を振り返ると、重篤な有害事象はみられず、また軽度なものも薬剤関連のものはみられなかった。一方、効果の1次評価項目はESS、2次評価項目としてその他の脳卒中評価指標および画像所見も取り入れている。その結果、統計学的にもベースラインからの有意な神経学的な改善が、投与1ヵ月後からみられている。改善は3ヵ月後にはさらに上昇し、6ヵ月後および12ヵ月後も有意な改善が維持されている。この改善効果は、ESS以外の神経評価指標でも確認された。Steinberg氏は「この一連の効果はわれわれの予測を大きく上回り、非常に喜ばしい驚きを与えてくれた」と述べた。予想外 画像所見と神経学的回復が相関したまた、予想外の事実の1つとして、脳MRI所見の変化がある。この所見は投与1週間後にみられた新しいシグナル変化である。この変化は1~2ヵ月後には消失するものの、患者の神経機能は改善し続ける。このシグナルは脳卒中のシグナルではない。このシグナルは運動機能に影響する前運動野に出現する。驚くべきことは、この所見の変化が6ヵ月と12ヵ月の神経学的回復と統計学的に有意に相関する。今後さらに探索する必要があるが、細胞にとって有益な何らかの炎症反応という可能性がある。もう1つ興味深い所見がある。脳のグルコース代謝をみているPETスキャンで脳卒中の病変部位と反対側の領域の代謝活性が上がっていたのである。そして、この代謝活性の上昇は6ヵ月と12ヵ月の神経機能改善と相関している。動物やヒトの研究が今盛んに行われているが、この反対側は卒中部位の回復促進に非常に重要で、卒中側の機能を引き継ぐ、あるいは卒中域を調整できることがわかっている。講演で紹介した患者は非常に印象的な回復をみせた。回復は投与1日で確認された。このようなケースは体験したことがなく、その驚きはショックと表現したほうが適切であった。とはいえ、すべての患者がこのように急速に回復するわけではない。18人の患者の全体像をみると、早期は1ヵ月程度で回復がみられ、3ヵ月で改善が増加し、6ヵ月、12ヵ月においても持続している。24ヵ月観察している患者は多くはないが、同様に改善が持続している。ちなみに、神経学的改善は年齢、用量、罹病期間とも相関せず、前述のフレアシグナルの出現と相関する。脳卒中発症後6ヵ月経過すると脳神経回路は死んで回復できないというのが、従来の定説である。しかし、この試験の結果は考え方を変えさせるものだ。個人的な推察ではあるが、脳卒中になっても脳の神経回路は死んでおらず、大きな阻害により働かない状態になっているが、再活性化されることで回路が再び働き始めるのではないだろうか。SB623の今後の可能性脳卒中においては、さまざまな幹細胞が研究されている。SB623はすでに臨床プログラムに進んでおり、またこれほどの効果を示せたことは画期的である。他の細胞は臨床に入ったばかりであり、それらと比べると明らかにアドバンテージがある。また、慢性脳卒中で効果をみせた意味は大きく、これは時間が経つとともに大きなベネフィットを生むだろう。この試験結果はわれわれに希望を与えるものだった。しかし、症例数は少なく対照群もない。解明すべき点も多々ある。次の段階として150人のアームで対照群と比較するPhase2B試験に進む。そして、より多くの被験者で効果を確認するPhase3試験へとさらに発展させる必要がある。脳卒中は破壊的な病気である。世界では1500万人の患者がいる。この薬剤の効果が証明されれば非常に多くの患者の人生が変化する。脳卒中の治療においては飛躍的進歩になると考えられる。日本の臨床医へのメッセージSteinberg氏メッセージ:2’11″

26746.

タコ部屋パワー【Dr. 中島の 新・徒然草】(063)

六十三の段 タコ部屋パワー私は健康のために、もっぱら自宅周辺を歩いております。問題は、いつも同じ景色を見ていると飽きてしまうということです。そこで YouTube を聴きながら歩くということをしています。そうすると飽きません。1時間とか、あっという間です。私の場合は音楽よりもお話系の方が好きです。特に面白いと思うのが「みなさん、こんにちは。あおば会計のタナカでございます」のセリフで始まる「キミアキ先生の起業酔話」というもの。これは東京の会計事務所の代表で起業コンサルタントのタナカ キミアキ氏が起業にまつわるあれこれを語っている、5分から10分くらいの動画です。200ほどある起業酔話の中でも特に感心したのが「タコ部屋&年収200万円からの出発」というタイトルのものです。紹介されていたのは10年生存率6%といわれる起業の中でも、どんどん大きくなっていった会社の1つです。立派な会社でも出発は30平米のタコ部屋。そこに何人かの若者が詰め込まれてソフトウエアの開発をしていたそうです。床に座ってプログラミングをしたり、ベッドで寝ていたり。皆、会社の周辺に住んでいるので出勤が簡単! というか、時々寝るために家に帰っていたという方が正しいわけです。ほとんど大学生の合宿みたいで、常時一緒にいるので、個々のスキルの相乗効果でどんどん成果が出ました。10年経った今は社員100人、売上10億の会社に成長し、西新宿の高層ビルに移ったのだとか。何となく既視感のある話だと思ったら、我々の研修医時代も同じような感じでしたね。病院に合宿していて時々自宅に帰っていたような感覚です。研修医の誰かがやらかしたことは、たちまち同期の研修医全員の知るところとなり、皆の戒めにもなっていました。時代によって少しずつ形は変わりますが、そのようにして過ごす人生の一時期はあってもいいんじゃないでしょうか。今思えば、最高に幸せな時だったと思います。最後に1句タコ部屋の パワー絶大 侮るな

26747.

CADへのエベロリムスPCI vs.CABG~アジアでのRCT/NEJM

 多枝冠動脈疾患の患者へのエベロリムス溶出ステントによる経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、冠動脈バイパス術(CABG)に比べ、長期アウトカムが不良であることが明らかにされた。韓国・蔚山大学校のSeung-Jung Park氏らが、880例の患者について行った無作為化非劣性試験の結果、報告した。これまで多くのPCI対CABG比較試験が行われているが、第2世代薬剤溶出ステントを用いた検討は行われていなかった。NEJM誌2015年3月26日号(オンライン版2015年3月16日号)掲載の報告より。死亡、心筋梗塞、標的血管血行再建術のいずれかの発生率を比較 研究グループは、2008~2013年にかけて、東アジア27ヵ所の医療機関を通じて、多枝冠動脈疾患の患者を対象に、エベロリムス溶出ステントによるPCIとCABGについて無作為化非劣性試験を行った。 主要エンドポイントは、無作為化2年時点での死亡、心筋梗塞、標的血管血行再建術の複合だった。 試験は当初、1,776例の患者を無作為化するよう計画されたが、880例の患者(PCI群438例、CABG群442例)が登録された時点で、登録の遅延により試験は早期に終了となった。2年後のイベント発生率、PCI群で3.1%ポイント高率 結果、2年時点で、主要複合評価イベントが発生したのは、CABG群で7.9%に対し、PCI群は11.0%で、両群間の絶対リスク差は3.1ポイントで有意差はみられなかった(95%信頼区間[CI]:-0.8~6.9、非劣性に関するp=0.32)。 中央値4.6年の追跡期間中、主要複合評価エンドポイントが発生したのは、CABG群10.6%に対し、PCI群は15.3%の発生であった(ハザード比:1.47、95%CI:1.01~2.13、p=0.04)。 安全性に関する複合評価イベントの、死亡、心筋梗塞、脳卒中の発生率については、両群で同等だった。一方、再度の血行再建術の発生率は、PCI群11.0%に対しCABG群は5.4%(p=0.003)、自然発症心筋梗塞の発生率はそれぞれ4.3%と1.6%(p=0.02)と、いずれもPCI群で有意に高率だった。

26748.

僧帽弁術中のアブレーション、術後に好影響/NEJM

 僧帽弁手術を受ける持続性心房細動患者に対し、術中に外科的心房細動アブレーションを行うことで、術後6ヵ月および12ヵ月の心房細動の無発生率が大幅に増大することが示された。ただし、永久ペースメーカー植込みリスクも上昇が示された。米国・クリーブランドクリニックのA. Marc Gillinov氏らが、260例の心房細動患者について行った無作為化比較試験の結果、報告した。僧帽弁手術を受ける患者のうち30~50%に心房細動がみられる。心房細動に対する外科的アブレーションは広く行われているが、安全性、有効性に関するエビデンスは限定的であった。NEJM誌2015年4月9日号(オンライン版2015年3月16日号)掲載の報告より。術後6、12ヵ月後の心房細動症状を3日間モニタリング 研究グループは、僧帽弁手術を要する持続性または長期持続性心房細動患者260例を対象に無作為化比較試験を行った。無作為に2群に割り付けて、一方の群には僧帽弁手術中に心房細動の外科的アブレーションを行い、もう一方の群には行わなかった。 アブレーション群についてはさらに無作為に2群に分け、肺静脈隔離術または両心房メイズ手術のいずれかを行った。 主要エンドポイントは、6ヵ月と12ヵ月後の心房細動の無発生で、3日間のホルター心電図モニタリングにより評価した。心房細動無発生はアブレーション群でおよそ2倍 結果、6ヵ月後と12ヵ月後に心房細動が無発生だった人の割合は、アブレーションなしの対照群が29.4%に対し、アブレーション群は63.2%と、大幅に増大した(p<0.001)。 また、ペースメーカー植込みの発生率については、対照群8.1/100患者年に対して、アブレーション群は21.5/100患者年と有意に高率だった(p=0.01)。 一方で1年生存率については、対照群が8.7%でアブレーション群が6.8%と、有意差はなかった(p=0.55)。 なお、アブレーション群のうち肺静脈隔離術を行った群と、両心房メイズ手術を行った群では、心房細動の無発生率について有意差はみられなかった(p=0.60)。

26749.

黄砂はスギ花粉症の症状に影響するのか

 黄砂は、スギ花粉のシーズン中における鼻および眼のアレルギー症状に影響を及ぼさないことが、真生会富山病院の扇和 弘氏らによる研究で明らかになった。黄砂は、スギ花粉のシーズン前にくしゃみや鼻水、シーズン後に結膜炎の症状を誘発したが、スギ花粉シーズン中のアレルギー症状に対する悪影響は観察されなかった。Auris nasus larynx誌2014年12月号の報告。 黄砂は、モンゴルや中国の砂漠の砂塵が強風によって舞い上がって広範囲に飛散し、東アジアの人々に喘息や心臓病やアレルギー性疾患など健康への悪影響をもたらすことが明らかになっている。しかし、日本のスギ花粉によって引き起こされる花粉症患者における黄砂の影響は不明なままである。そのため本研究では、花粉症患者に対する黄砂の影響を調査した。 花粉症患者41例に鼻および眼のアレルギー症状スコアを毎日記録してもらい、スギ花粉シーズン中とシーズン前後における黄砂イベントの影響を評価した。 主な結果は以下のとおり。・黄砂イベントは、スギ花粉のシーズン中における鼻および眼のアレルギー症状に影響を及ぼさなかった。・くしゃみや鼻水のスコアは、スギ花粉シーズン前の黄砂イベントで有意に増加した。・眼症状スコアは、スギ花粉シーズン後の黄砂イベントで有意に増加した。

26750.

NIRS、抗うつ効果の予測マーカーとなりうるか:昭和大

 最近の研究で、近赤外分光法(NIRS)が大うつ病性障害(MDD)の診断支援ツールとして臨床使用可能であることが示されている。しかし、認知タスク施行中のNIRSシグナルの変化がうつ病の状態に依存しているのか、あるいはうつ病の特性に依存しているのか、またNIRSにより治療反応の神経学的予測が可能か否かは明らかとなっていない。昭和大学の富岡 大氏らは、うつ病の診断と治療におけるNIRSの使用意義を明らかにするため、MDD患者を対象に、抗うつ薬治療後の機能的神経画像の縦断的研究を行った。その結果、NIRSシグナルの変化がうつ病の疾患特異的マーカーになりうること、および抗うつ薬の効果を予測するバイオマーカーになり得る可能性を示した。PLoS One誌オンライン版2015年3月18日号の掲載報告。 研究グループは、52チャンネルNIRSを使用し、薬物未治療のMDD患者における抗うつ薬治療後の前頭部血行動態の変化を、縦断研究にて調べた。薬物未治療のMDD患者25例および健常対照(HC)62例を対象とした。抗うつ薬治療前後にNIRSスキャンを実施し、治療後の言語流暢性課題(VFT)実施中のオキシ-ヘモグロビン濃度[oxy-Hb]の変化を測定した。 主な結果は以下のとおり。・MDD患者では、ベースライン期の両側前頭葉および側頭葉におけるVFT実施中の[oxy-Hb]値が、HCに比べ有意に減少した。・MDD患者は抗うつ薬投与後にうつ症状が有意に改善したにもかかわらず、抗うつ薬治療前後で[oxy-Hb] 値に変化は認められなかった。・MDD患者では、ベースライン期の両側下前頭回および中側頭回におけるVFT実施中の平均[oxy-Hb]値とうつ症状改善との間に有意な関連が認められた。・これらの結果は、VFTに対応する前頭葉機能低下は、うつ病の状態像マーカーというよりも、うつ病の疾患特異的マーカーとなる可能性を示唆する。・さらに、治療開始前のNIRSシグナルが、患者の抗うつ薬治療に対する臨床反応を予測するバイオマーカーとなりうる可能性が相関分析により示された。・本研究により、NIRSがうつ病の診断と治療に応用可能であることを支持するさらなるエビデンスが提供された。 関連医療ニュース うつ病治療、概念や診断方法の相違が課題 統合失調症の新たなバイオマーカー:順天堂大学 アルツハイマー病とレビー小体型認知症、共通のバイオマーカー  担当者へのご意見箱はこちら

26751.

Dr.桑島の動画でわかる「エビデンスの正しい解釈法」

J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)とはJ-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、わが国の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しています。本企画では、J-CLEARの活動の一環として、CareNet.comで報道された海外医学ニュース「ジャーナル四天王」に対し、臨床研究の適正な解釈を発信するものです。詳しくはこちら1月~3月の3ヵ月間で最も読まれたJ-CLEAR発信記事 TOP51位)FINGER試験:もしあなたが、本当に認知症を予防したいなら・・・(解説:岡村 毅 氏)-3212位)LancetとNEJM、同じデータで割れる解釈; Door-to-Balloon はどこへ向かうか?(解説:香坂 俊 氏)-3003位)DAPT試験を再考、より長期間(30ヵ月)のDAPTは必要か?(解説:中川 義久 氏)-2994位)治療抵抗性高血圧の切り札は、これか?~ROX Couplerの挑戦!(解説:石上 友章 氏)-3135位)市中肺炎患者に対するステロイド投与は症状が安定するまでの期間を短くすることができるか?(解説:小金丸 博 氏)-311J-CLEARのメンバーが評論した論文を紹介したコーナー「CLEAR!ジャーナル四天王」記事一覧はこちらをクリック

26753.

疼痛管理の改善が認知症患者の問題行動を減らす?

 認知症患者の痛みは、気付かれることが少なく治療が不十分である。英国・ロンドン大学のElizabeth L Sampson氏らは、急性期総合病院に入院中の認知症患者を対象とした縦断的コホート研究において、疼痛が認知症の行動・心理症状(BPSD)と関連しており、疼痛管理の改善が問題行動を減少させ、認知症患者に対する入院ケアの質を向上させる可能性があることを示した。Pain誌2015年4月号の掲載報告。 研究グループは、認知症患者における疼痛の有病率、ならびに疼痛とBPSDとの関連を調べるため、英国の急性期総合病院2施設に入院した70歳超の認知症患者230例を対象に縦断的コホート研究を行った。 ベースライン、および4日ごとに、疼痛の有無と程度(はい/いいえの質問票、およびFACESスケールによる)、運動時ならびに安静時の疼痛(Pain Assessment in Advanced Dementia[PAINAD]による)、焦燥性興奮(agitation)(Cohen-Mansfield Agitating Inventory[CMAI]による)、BPSD(Behavioural Pathology in Alzheimer Disease Scale [BEHAVE-AD]による)について評価した。 主な結果は以下のとおり。・疼痛有病率は、入院時が27%で、入院中は39%まで増加した時期もあった。・FACESスケールを完全に実施できたのは5割で、重度の認知症患者ではこの割合が減少した。・PAINADでは、少なくとも1度は安静時疼痛あり19%、同様に運動時疼痛あり57%であった(うち16%は入院期間中を通して持続していた)。・疼痛は、CMAIスコアとは関連していなかった。・疼痛は、BEHAVE-AD合計スコアとは強く関連していた(運動時疼痛:β=0.20、95%信頼区間[CI]:0.07~0.32、p=0.002/安静時疼痛:β=0.41、95%CI:0.14~0.69、p=0.003)。関連性は、攻撃性および不安に関して最も強かった。

26754.

アリロクマブ併用による長期のLDL-C改善効果/NEJM

 米国・アイオワ大学のJennifer G Robinson氏らODYSSEY LONG TERM試験の研究グループは、心血管リスクの高い患者の治療において、新規LDLコレステロール(LDL-C)低下薬アリロクマブ(alirocumab、国内未承認)を最大耐用量のスタチンと併用すると、長期にわたりLDL-C値が有意に減少し、心血管イベントが抑制されることを確認した。アリロクマブは、前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に対するモノクローナル抗体であり、第II相試験では短期的投与(8~12週)により、スタチン治療を受けている患者のLDL-C値を40~70%減少させることが示されている。NEJM誌オンライン版2015年3月15日号掲載の報告より。長期の上乗せ効果をプラセボ対照無作為化試験で評価 ODYSSEY LONG TERM試験は、スタチン治療を受けている高リスク例に対するアリロクマブ追加の長期的な有用性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験(Sanofi社などの助成による)。対象は、年齢18歳以上、ヘテロ型家族性高コレステロール血症(FH)または冠動脈心疾患(CHD)、あるいはCHD相当のリスクを有し、LDL-C値≧70mg/dLであり、高用量または最大耐用量のスタチン治療を受けている患者であった。 被験者は、アリロクマブ(150mg含有1mLシリンジで皮下投与)またはプラセボを2週ごとに投与する群に2対1の割合で無作為に割り付けられ、78週の治療が行われた。主要有効性評価項目は、ベースラインから24週までのLDL-C値の変化率であった。 27ヵ国320施設に2,341例が登録された。アリロクマブ群に1,553例、プラセボ群には788例が割り付けられ、それぞれ1,530例、780例が解析の対象となった。LDL-C値が62%減少、重度の心血管有害事象は48%抑制 全体の平均年齢は60歳、女性が37.8%で、CHDの既往歴は68.9%にみられ、ヘテロ型FHが17.7%含まれた。46.8%が高用量スタチンの投与を受け、28.1%はエゼチミブなどの他の脂質降下薬を併用していた。ベースラインの平均LDL-C値は122mg/dLであった。 24週時のベースラインからのLDL-C値の平均変化率の両群間の差は-62%であり、アリロクマブ群で有意に減少した(48.3 vs. 118.9mg/dL、p<0.001)。ヘテロ型FHとそれ以外の患者の間に差はみられなかった。また、この治療効果は4週時には達成され、78週時(57.9 vs. 122.6mg/dL)も維持されていた。 24週時のLDL-C<70mg/dLの達成率は、アリロクマブ群が79.3%、プラセボ群は8.0%であった(p<0.001)。また、LDL-C以外の脂質の24週時の変化率の差は、非HDL-Cが-52.3%、アポリポ蛋白Bが-54.0%、総コレステロールが-37.5%、リポ蛋白(a)が-25.6%、空腹時トリグリセライドが-17.3%とアリロクマブ群で有意に減少し、HDL-Cは4.6%、アポリポ蛋白A1は2.9%と有意に増加した(いずれもp<0.001)。 重篤な有害事象は、アリロクマブ群が18.7%、プラセボ群は19.5%に発現し、有害事象による試験薬の中止はそれぞれ7.2%、5.8%に認められた。アリロクマブ群で頻度の高い有害事象として、注射部位反応(5.9 vs. 4.2%)、筋肉痛(5.4 vs. 2.9%、p=0.006)、神経認知障害(譫妄、認知/注意障害、認知症、健忘症など、1.2 vs. 0.5%)、眼イベント(視神経/網膜/角膜の障害、2.9 vs. 1.9%)がみられた。 事後解析では、重度の心血管有害事象(CHDによる死亡、非致死的心筋梗塞、致死的/非致死的虚血性脳卒中、入院を要する不安定狭心症)の発現率はアリロクマブ群で有意に低かった(1.7 vs. 3.3%、ハザード比:0.52、95%信頼区間:0.31~0.90、p=0.02)。 著者は、「これらの知見は、既報の他のPCSK9阻害薬(エボロクマブ)の臨床試験(N Engl J Med. 2014;370:1809-1819、Circulation. 2014;129:234-243)の結果と類似する」と指摘している。

26755.

C型肝炎治療最前線 経口薬への期待

 C型肝炎の治療に新たな変化が起きている。ダクルインザ・スンベプラ併用療法のインターフェロン未治療・再燃患者への適応拡大に伴い、2015年4月8日、都内にてプレスセミナー(主催:ブリストル・マイヤーズ株式会社)が開催された。今回は、茶山 一彰氏(広島大学大学院 医歯薬保健学研究院 応用生命科学部門 消化器・代謝内科学 教授)の講演内容を中心にセミナーの内容を紹介する。インターフェロンの副作用が大きな負担 従来、本邦におけるC型肝炎根治療法の主体はインターフェロン(IFN)であった。1992年にIFN単独療法が、2004年にペグIFN・リバビリン併用療法が承認された。さらに、2013年には経口プロテアーゼ阻害薬が承認され、3剤併用療法が開始された。しかし、依然として治療の主体はIFNであり、うつ・全身倦怠感をはじめとする重い副作用が患者にとって大きな負担となってきた。ダクルインザ・スンベプラ療法 昨年9月に発売されたダクルインザ(一般名:ダクラタスビル)とスンベプラ(同:アスナプレビル)は日本初のIFNフリーで治療可能な経口C型肝炎治療薬である。ダクルインザ・スンベプラ療法は、日本におけるC型肝炎の約70%を占めるセログループ1(ジェノタイプ1)型またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症を改善する効果がある。本剤の登場により、これまで高齢や合併症リスク、副作用などでIFNを含む既存の治療を受けられない患者、あるいは十分な効果が得られなかった患者さんに、新たな治療選択肢が加わった。経口2剤併用療法が適応拡大 また、これまでダクルインザ・スンベプラ療法の適応は、「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変で、(1)IFNを含む治療法に不適格の未治療あるいは不耐容の患者、(2)IFNを含む治療法で無効となった患者」であった。 しかし、今回(2015年3月)の適応拡大に伴い、IFNの治療歴にかかわらず、日本人で最も多いジェノタイプ1型C型肝炎のすべての患者がこの治療法を選択できるようになった。さらに、第III相試験において、本療法の貧血・皮疹などの副作用は、3剤併用療法例よりも有意に低発現であり、安全性の面でも期待されている。IFNフリー療法への期待 ダクルインザ・スンベプラ療法はその安全性と有効性の観点から、現在約2万6,000例に投与されているという。第III相試験では、ウイルスの遺伝子変異がなければ本療法は98%と高い著効率を示している。茶山氏は「投与前のウイルス遺伝子検査を徹底し適切に使用すれば、患者に優れた有効性と安全性をもたらすことができる」と強調し、講演を結んだ。

26756.

認知症への抗精神病薬、用量依存的に死亡リスクが増加

 抗精神病薬治療は認知症高齢者における死亡率上昇と関連がある。しかし、無治療またはその他の向精神性の薬剤と比べた場合のリスクに対する絶対的影響については明確にされていない。米国・ミシガン大学のDonovan T. Maust氏らは、認知症高齢者における抗精神病薬による死亡リスクを明らかにするため、後ろ向きケースコントロール研究を実施した。その結果、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンなどの非定型抗精神病薬による治療は、無治療および抗うつ薬治療と比べ死亡リスクが大きく、用量依存的に死亡リスクが増大することを報告した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年3月18日号の掲載報告。 研究グループは、無治療、あるいは抗うつ治療と比較した認知症患者における抗精神病薬、バルプロ酸およびバルプロ酸製剤、抗うつ薬使用における、絶対死亡リスクの上昇と有害必要数(NNH)(何人の患者を治療するごとに死亡1例が発生するかを示す指標)を明らかにする検討を行った。1998年10月1日~2009年9月30日に、米国退役軍人健康庁(VHA)にて後ろ向きケースコントロール研究を実施した。対象は、65歳以上の認知症患者9万786例で、最終分析は2014年8月に実施された。抗精神病薬(ハロペリドール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン)、バルプロ酸およびバルプロ酸製剤、あるいは抗うつ薬の新規処方(薬剤使用者4万6,008例)について検討した。フォローアップ期間180日における死亡リスクおよびNNHの絶対変化を、複数のリスク因子をマッチングさせた非薬剤治療患者と比較した。薬剤治療開始患者では、各薬剤関連の死亡リスクを、年齢、性別、認知症罹患年数、せん妄の有無、その他の臨床的・人口学的特性を調整したうえで、抗うつ薬投与群を対照として用い、比較した。副次的分析ではオランザピン、クエチアピン、リスペリドンそれぞれに関する用量調整絶対死亡リスクを比較した。 主な結果は以下のとおり。・各要素をマッチさせた非薬剤治療群との比較において、ハロペリドール群では死亡リスクが3.8%(95%信頼区間[CI]:1.0~6.6%、p<0 .01)増加し、NNHは26(95%CI:15~99)であった。・次にリスペリドンの3.7%(同:2.2~5.3%、p<0 .01)、NNH 27(同:19~46)と続き、オランザピンは増加率2.5%(0.3~4.7%、p=0 .02)、NNH 40(21~312)、クエチアピンは2.0%(0.7~3.3%、p<0 .01)、NNH 50(30~150)であった。・抗うつ薬使用患者との比較において、死亡リスクの上昇およびNNHはハロペリドール群の増加率12.3%(8.6~16.0%、p<0 .01)およびNNH 8(6~12)から、クエチアピン群の3.2%(1.6~4.9%、p<0 .01)およびNNH 31(21~62)までの範囲にあった。・非定型抗精神病薬(オランザピン、クエチアピン、リスペリドン)のグループ全体では、高用量群における死亡率が低用量群に比べて3.5%高く(0.5~6.5%、p=0 .02)、死亡リスクにおける用量反応関係が示された。・クエチアピンとの直接比較において、リスペリドン(1.7%、95%CI:0.6~2.8%、p=0 .003)およびオランザピン(1.5%、95%CI:0.02~3.0%、p=0.047)はいずれも用量調整死亡リスクの増加を認めた。・以上より、認知症高齢者における抗精神病薬の死亡率に与える絶対的影響は、これまでの報告より大きく、用量に伴い増加する可能性が示された。関連医療ニュース 認知症への抗精神病薬使用は心臓突然死リスクに影響するか 日本では認知症への抗精神病薬使用が増加 抗精神病薬は統合失調症患者の死亡率を上げているのか  担当者へのご意見箱はこちら

26757.

βブロッカーは心房細動合併心不全の予後を改善しない(解説:小田倉 弘典 氏)-345

 収縮能が低下した慢性心不全患者に対するβ遮断薬の有効性は、多数の無作為化比較試験(RCT)により証明されている。代表的なものとして、カルベジロールではUS-Carvedilol試験1)、ビソプロロールではCIBIS II試験2)、メトプロロールではMERIT-HF試験3)において、生命予後の改善が示され、これらを基に国内外のガイドラインでも収縮性心不全に対するβ遮断薬投与は強く推奨されている。 しかし、これらの試験の対象は洞調律患者が主であり、心房細動患者を対象としたCIBIS II試験のサブ解析では、心房細動患者にはβ遮断薬の効果は認められないことが報告されていた4)。 そこで、心房細動を合併した収縮性心不全例と合併しない例に対するβ遮断薬の効果を、心房細動を合併しない心不全例と比較したメタ解析が本論文である。 方法は、心不全患者に対するβ遮断薬とプラセボを比較したRCTの個人レベルのデータを抽出。心房細動か洞調律かの確認は、ベースラインの心電図で確認した。主要アウトカムは全死亡。 結果は、1万8,254例の患者が対象となり、ベースラインでは1万3,946例(76%)が洞調律、3,066例(17%)が心房細動だった。平均follow up1.5年の粗死亡率は、洞調律群で16%(2,237/1万3,945例)、心房細動群で21%(633/3,064例)だった。β遮断薬内服は、洞調律群では全死亡を有意に減らした(HR 0.73、95%CI:0.67~0.80、p<0.001)が、心房細動群では、全死亡を減らさなかった(HR 0.97、95%CI:0.83~1.14)。 心房細動群のサブグループ解析では、年齢、性別、左室機能、NYHA分類、心拍数、ベースラインの治療を調整してもすべての群で有意差を認めなかった。「β遮断薬は心不全と心房細動を合併している患者の予後を改善するために、ほかの心拍コントロール薬剤より優先して用いるべきではない」と結論付けている。 まず批判的吟味だが、心房細動群は平均年齢65歳、左室駆出分画平均は25%、平均心拍数80/分であった。メタ解析としては個人レベルのデータを取り出していて、研究異質性はI2=0%ときわめて低い。心電図診断はベースライン時のもののみである点や、心不全の定義が試験間で異なることが指摘されるが、総合的にみると比較的良質なメタ解析と思われる。 では、この結果をどう解釈したらよいだろう? 心房細動は、心房患者の14~50%に合併するといわれている5)。心不全に心房細動が合併した場合、予後が悪化するか否かに関しては相反するデータもあるが、2009年のメタ解析では心房細動がある心不全例は、心房細動がない例に比べ死亡率が1.4倍であった6)。心房細動が血行動態悪化に影響する要因は、(1)頻脈または徐脈、(2)脈の不整、(3)心房収縮の欠如、(4)神経体液性因子の活性化などが挙げられる。このうち、脈の不整および心房収縮の欠如については、β遮断薬の効果は得られない。また頻脈を改善し血行動態の改善が期待できるが、本解析で取り上げられた試験のベースラインの心拍数は80/分とすでに低いものであり、β遮断薬の恩恵は少ないのかもしれない。また、β遮断薬のadverse effectとして、急性期での心機能低下や過度の徐脈なども危惧される。 洞調律のときのように、第1選択薬として無条件に考えるのではなく、あくまで個々の症例の心機能や心拍数を十分検討したうえでβ遮断薬の使用を決めようというのが、本解析から得られる教訓と思われる。【参考文献はこちら】1)Colucci WS, et al. Circulation. 1996;94:2800-2806.2)CIBIS-II Investigators and Committees. Circulation. Lancet. 1999;353:9-13.3)MERIT-HF Study Group. Lancet. 1999;353:2001-2007.4)Lechat P, et al. Circulation. 2001;103:1428-1433.5)Maisel WH, et al. Am J Cardiol. 2003;91:2D-8D.6)Mamas MA, et al. Eur J Heart Fail. 2009;11:676-683.

26758.

症例から学ぶ 輸入感染症 A to Z

対話形式だからサクサク読める!輸入感染症診療の今を学習海外渡航者が増加の一途をたどる現代社会において、いかなる医療機関においても輸入感染症に遭遇する可能性は少なくありません。マラリアや腸チフスなどのメジャーな疾患から近年話題のデング熱やエボラ出血熱、さらには見落としてはいけないマイナーな感染症まで、「日本で」診る可能性のある輸入感染症の適切な診療について忽那、上村の師弟コンビが対話形式でゆる~く解説します。感染症と戦う最前線からのレポート、ぜひご覧ください!画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。   症例から学ぶ 輸入感染症 A to Z定価 4,000円 + 税判型 A5判頁数 302頁発行 2015年4月著者 忽那賢志Amazonでご購入の場合はこちら

26759.

事例48 APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)の査定【斬らレセプト】

解説事例では、D006 2 PT(プロトロンビン時間)とD006 7 APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)を実施したところ、APTT がD事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの: 社保)にて査定となった。医師から、「ワーファリン®錠の添付文書には、『本剤は、血液凝固能検査(プロトロンビン時間及びトロンボテスト)の検査値に基づいて、本剤の投与量を決定し、血液凝固能管理を十分に行いつつ使用する薬剤である』とあったために、PTとAPTTの組み合わせで血液凝固能管理を行っていたが、なぜAPTTが査定となったのか」と問い合わせがあった。添付文書で示されている検査は、PTとTT(トロンボテスト)であり、APTTは含まれていない。また、ワーファリン®錠投与中はコントロールされた血液凝固異常状態である。したがって、投与量をモニタリングするために認められるPT以外は、定期的検査として認めないとされたものであろう。しかし、術前検査や副作用チェックなど、医学的に必要としたコメントがある場合には査定となっていないことも申し添える。

26760.

「明日から役立つ内科診療ベストライブ」のご案内

 創業140周年を迎えた医学書の老舗出版社、金原出版では、『こんなとき、フィジカル』『テーブル回診LIVE@神戸大学感染症内科』『Fever』を刊行するとともに、その出版を記念して、「明日から役立つ 内科診療ベストライブ」と題した講演会を4月30日に開催する。 当日は、 それぞれの書籍の著者が、書籍内容に関連したテーマで“ここでしか聴けない”“すぐに役立つ” 内科診療の秘訣をレクチャーする予定。 「明日から役立つ 内科診療ベストライブ」の概要、申込みは次の通りである。■開催概要日 時 2015年4月30日(木)    18:00開場  18:30開演(21:00終了予定)場 所 紀伊國屋サザンシアター    (新宿タカシマヤタイムズスクエア 紀伊國屋書店 新宿南店7階)内 容 プロフェッショナルが贈る! 明日から役立つ 内科診療ベストライブ    (トークショー&パネルディスカッションほか) 講演者 徳田安春氏・岩田健太郎氏・忽那賢志氏・國松淳和氏・佐田竜一氏・狩野俊和氏     (敬称略)料 金 1,000円(税込)全席指定(先着順)※特典として素敵なグッズを来場者全員にプレゼント!●チケットのお申込みは (電話予約)紀伊國屋サザンシアター 03-5361-3321(10:00~18:30)●詳しくは金原出版 特設サイトまで画像を拡大する

検索結果 合計:35667件 表示位置:26741 - 26760