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心房細動へのワルファリン、腎機能低いと大出血リスク増/BMJ

 心房細動でワルファリン服用を開始した高齢患者について、腎機能が低下しているほど、大出血リスクが増大することが明らかにされた。とくに服用開始30日以内でその傾向は顕著で、また消化管出血により増大することも示された。カナダ・カルガリー大学のMin Jun氏らが、アルバータ州の患者登録データを基に、約1万2,000例の患者について行った後ろ向きコホート試験により明らかにした。BMJ誌オンライン版2015年2月3日号掲載の報告より。eGFRにより被験者を6分類 研究グループは2003年5月1日~2010年3月31日の間に、心房細動でワルファリンの服用を開始した66歳以上の患者で、ベースライン時に腎機能測定を行った1万2,403例について調査を行った。 被験者について、推定糸球体濾過量(eGFR)に基づき、90以上、60~89、45~59、30~44、15~29、15(mL/分/1.73m2)未満、の6群に分類し評価した。なお、末期腎不全患者については除外した。 主要評価項目は、頭蓋内や上部・下部消化管などの大出血による入院や救急外来の受診だった。服用30日の大出血率、eGFR値15mL/分/1.73m2未満群で63.4/100人年 被験者の平均年齢は77歳、49.3%が女性で、45%がeGFR値60mL/分/1.73m2未満だった。中央値2.1年の追跡期間中、大出血を呈したのは1,443例(11.6%)だった。 ワルファリン服用30日間の補正後出血率は、eGFR値が90mL/分/1.73m2超の人で6.1/100人年(95%信頼区間:1.9~19.4)だったのに対し、15mL/分/1.73m2未満の人で63.4/100人年(同:24.9~161.6)と高率だった。ワルファリン服用30日超の出血率についても同様な傾向が認められたが、その差は小さかった。この傾向は、主に消化管出血によるもので、eGFR値が15mL/分/1.73m2未満の人の同発症リスクは、90mL/分/1.73m2超の人の3.5倍に上った。頭蓋内出血については、腎機能低下によるリスクの増大は認められなかった。 また、eGFR値にかかわらず、ワルファリン服用開始30日以内の重大出血の発生率は、それ以降の追跡期間に比べ高率だった。

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報告システムでは術後転帰は改善せず/JAMA

 米国外科学会の手術の質改善プログラム(National Surgical Quality Improvement Program:NSQIP)への参加有無により、術後合併症や死亡率などのアウトカムに有意な差はみられないことが判明した。米国・メイヨークリニックのDavid A. Etzioni氏らが、35万件弱の入院データを分析し、明らかにした。JAMA誌2015年2月3日号掲載の報告より。待機的一般・血管手術後のアウトカムを比較 Etzioni氏らは、米国の大学病院などが所属するUniversity HealthSystem Consortiumの2009年1月~2013年7月のデータを基に、待機的一般・血管手術について調査を行った。NSQIPに参加する病院としない病院で、術後アウトカムの変化の有無について分析を行った。 主要評価項目は、待機的一般・血管手術後の入院中の補正後合併症や死亡率だった。術後院内合併症や死亡率に有意差なし 分析の対象としたのは、113ヵ所の大学病院における入院34万5,357件だった。そのうち50.1%にあたる17万2,882件がNSQIP参加病院分だった。 対象入院患者の61.5%が女性で、平均年齢は55.7歳だった。最もよく行われていた手術は、ヘルニア修復術(15.7%)、肥満外科手術(10.5%)、乳房切除術(9.7%)、胆嚢摘出術(9.0%)だった。 患者リスクや手術の種類、病院の治療成績や時間的傾向で補正後、NSQIP参加病院と非参加病院で、入院中の術後合併症や重度合併症の発生率(それぞれ補正後オッズ比:1.00、0.98)、死亡率(同:1.04)のいずれについても、有意差はみられなかった。 研究グループはこの結果について、「術後アウトカム報告システムは、質改善をもたらす明白な仕組みとはならないことを示すものだ」とまとめている。

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SGLT2阻害薬のさらなる安全使用に必要なこと

 2月9日、「糖尿病薬物治療の現状と課題」と題し、生命科学フォーラム主催のセミナーが加来 浩平氏(川崎医科大学 内科学 特任教授)を講師に迎え、東京都内で開催された。患者は増加しているものの予備軍は減少 はじめにわが国の糖尿病における患者数の推移や発症機序の説明が行われた。 最近の調査では、メタボ健診などによる予防策が功を奏し、糖尿病予備軍は減少した。しかし、患者数は増加し、若年化、肥満化傾向を示し、それは運動不足や日常生活での活動量不足が原因と考えられる。また、30~40代の働き盛りの患者の増加と受診回避が問題となっており、早期の治療介入をいかに行うべきかが今後の課題であると述べた。 早期治療介入に関連し、最近の研究では、糖尿病の合併症として「認知症」と「がん」がクローズアップされており、これら合併症阻止に向け、早急なエビデンスの構築が必要であると強調するとともに、DCCT/EDICスタディ、UKPDSなどのエビデンスを示し、大血管障害予防のためにも早期介入が求められ、とくに治療の最初の10年をいかに過ごすかが重要だと解説を行った。SGLT2阻害薬のベネフィットを考える 糖尿病の治療薬は、1950年代のSU薬から2014年のSGLT2阻害薬まで非常に多くの薬剤が開発され、使用されている。今回は1番新しい治療薬であるSGLT2阻害薬にとくに焦点をあて解説を行った。 SGLT2阻害薬は、余分な糖を尿により体外に排出させ、血糖値を下げる糖尿病治療薬であり、現在わが国では6成分7製剤(うち4製剤は日本製)と幅広く使用できる。その作用機序は従来の糖尿病治療薬と異なるため、糖尿病のどの段階でも使用でき、他剤と併用ができるのも大きな特徴である。 そして、SGLT2阻害薬の効果としては、急激な血糖降下を抑えるために低血糖が起きにくく、安全に使用できること、糖が体外へ排出されるので体重減少を来すこと、HbA1cの改善は先行のDPP-4阻害薬ほど効果は高くないが、全体的に0.7%程度下げること、また、心血管イベントの発生を予防する可能性につき、現在研究が進められていることなどが報告された。SGLT2阻害薬の処方率は10%に届かず SGLT2阻害薬のリスクとしては、尿量の増加とそれに伴う頻尿、脱水のほか、糖排出による尿路感染症が報告されている。また、他剤併用(たとえばSU薬など)による低血糖の発生、皮膚障害などもある。ただ、いずれも臨床試験で予想された範囲内の副作用、有害事象であり、特段大きなリスクを伴う治療薬ではないことを強調した。 しかしながら、昨年の発売以降SGLT2阻害薬の処方シェア率は10%に届くことがなく(参考までにDPP-4阻害薬は60%強)、臨床現場でかなり慎重に処方されていると報告した。 その原因として、わが国ではSGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会より『SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation』が発出されたことや、65歳以上の患者処方の際の全例調査実施などが影響していると指摘した。 その一方で海外の動きをみてみると、わが国で報告されているリスクは大きな問題となっておらず、広く処方されており、着々とエビデンスの蓄積、研究が行われている。現在の状態が続けば、さらに安全に処方するためのエビデンスなどの蓄積(たとえば、長期有効性・安全性、休薬後のリバウンドリスク、多面的作用など)ができなくなると懸念を示した。 最後に、これからの糖尿病治療と研究の方向性について、「肥満」と「加齢」がキーワードになると示唆。具体的なターゲットとして血管病防止、認知症防止、がん防止、骨関節疾患防止のため、壮年・中年からの早期治療介入、ベネフィットとリスクを考えた治療薬剤の選択が重要となり、治療薬ではDPP-4阻害薬が今後も大きな役割を担うことになる。同時に、SGLT2阻害薬も正しい患者像を見据え、適正使用の推進による安全確保の確立のためにも、患者のベネフィットを考えた処方が望まれるとレクチャーを終了した。■関連記事ケアネット特集 糖尿病 SGLT2阻害薬SGLT2阻害薬、CV/腎アウトカムへのベースライン特性の影響は/Lancet

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もう我慢しない 俺の“おしっこ”トラブル

 2月5日、東京都内にて「男性の“おしっこ”トラブル最前線 見過ごせない!前立腺肥大症」と題して、日本大学医学部 泌尿器科学系泌尿器科学分野 主任教授 高橋 悟氏による講演が行われた。 「排尿障害」「残尿感」「尿漏れ」「蓄尿障害」といった“おしっこ”トラブルは加齢に伴い増加傾向にあるが、生命に関わる疾患ではなく、また周囲には言いにくい症状ということもあり、治療せずに諦めているケースが少なくない。 その結果、外出を控えるなど行動が制限されたり、QOLが低下するなど日常生活に大きな影響を及ぼしている。 “おしっこ”トラブルが生じる背景には、多くの場合原因となる疾患が存在するが、中高年男性で最も多い原因は前立腺肥大症である。 前立腺肥大症は55歳以上の男性の5人に1人、すなわち約400万人が罹患していると推測されており、高齢化社会の進展に伴い、その患者数は増加傾向にある。しかし実際に通院しているのは約10分の1にすぎず、多くの患者が治療を受けていない、または治療を中断してしまった現状がある。 前立腺肥大症の自覚症状を評価する代表的な方法として前立腺肥大症ガイドラインで推奨されている「国際前立腺症状スコア(IPSS)」と「QOLスコア」が挙げられる。 「前立腺肥大症は治療により症状の改善が期待できる疾患であり、重症化前に受診することが重要である。図のようなチェックシートを用いて前立腺肥大症の徴候を見逃さず、泌尿器科の受診を促していただきたい」と高橋氏は強調した。図画像を拡大する

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持効性注射剤の歴史を振り返る

 フランス・ロウファッハ総合病院のM. A. Crocq氏は、抗精神病薬の持効性注射剤(LAI)による統合失調症治療について歴史的観点からまとめた。L'Encephale誌オンライン版2015年1月15日号の掲載報告。 報告の概要は次のとおり。・1952年、クロルプロマジン(フェノチアジン誘導体)が統合失調症の治療薬として導入された。・その後、間もなく抗精神病薬LAIが開発され、1966年には最初のLAIとしてエナント酸フルフェナジンが誕生し、1968年にはデカン酸フルフェナジンも登場した。他の第1世代抗精神病薬のLAIも1960~1970年代に相次いで開発された。・第1世代抗精神病薬のLAIは、地域精神医学の発展に貢献した。潜在的なノンコンプライアンスを予防し、患者への社会的・精神的支援がコンプライアンスをさらに高めた。・しかし、第2世代抗精神病薬が登場すると、LAIへの関心は失われていった。・2003年、第2世代抗精神病薬LAIが誕生した。これをきっかけに再びLAIへの関心が高まり、2003〜2013年の10年間で4つの第2世代抗精神病薬LAIが承認された。・第2世代抗精神病薬LAIは、第1世代抗精神病薬LAIとはデポ技術(薬剤を貯留し徐々に放出する技術)が異なるだけではなく、治療の目的も異なっている。・第2世代抗精神病薬LAIを用いることによって、治療の自己中断による再発を予防できるだけではなく、一定した血中濃度が得られるため血中濃度上昇による副作用や血中濃度低下による効果減弱を低減できる。さらに、急性症状のコントロールに限らず、予後の鍵を握る陰性症状や認知障害の軽減を目指すことができる。関連医療ニュース アリピプラゾール持効性注射薬の安全性は 抗精神病薬の種類や剤形はアドヒアランスに影響するのか 抗精神病薬注射剤を患者は望んでいるのか  担当者へのご意見箱はこちら

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安易な処方は禁物、リスク・ベネフィットを十分に評価すべき~分化型甲状腺がんに対するLenvatinib~(解説:勝俣 範之 氏)-312

 乳頭腺がん、濾胞腺がんは、甲状腺がんの80~90%を占め、分化型甲状腺がんと呼ばれる。一般に分化型甲状腺がんは、転移があっても緩徐な進行を示し、予後が良好とされる。一方、遠隔転移のある分化型甲状腺がんで、高齢者、ヨード治療に抵抗性になった場合には、予後不良となる。その場合、これまではこれといった有効な治療法はなかった。発育がきわめて緩徐であるため、化学療法剤にはほとんど反応せず、化学療法の適応になることはなかった疾患である。 しかし、ここ数年間で、分化型甲状腺がんに期待できる薬剤が開発されている。1つはSorafenibであり、もう1つが、今回New England Journal of Medicine誌に掲載されたLenvatinibである1)。両者とも、VEGFR(血管内皮細胞増殖因子受容体)に対するチロシンキナーゼ阻害剤で、VEGFRを阻害することにより、腫瘍増殖を抑制する。Sorafenibは、ヨード耐性分化型甲状腺がん患者に対し、無増悪生存期間(Progression-free Survival: PFS)をプラセボ群5.8ヵ月に対して、10.8ヵ月と有意に延長した結果をもたらした(hazard ratio [HR] 0.587、95% CI 0.454~0.758)2)。   この結果をもって、分化型甲状腺がんに対して、Sorafenibはわが国でも承認となった(2014年6月)。Lenvatinibは、VEGFRだけでなく、分化型甲状腺がんの増殖に関わるfibroblast growth factor receptors (FGFR)、BRAFにも作用し、作用の増強が期待される薬剤である。Sorafenibの試験と同様のヨード耐性分化型患者を対象として、臨床試験が行われ、プラセボ群3.6ヵ月と比較して、18.3ヵ月と大幅に無増悪生存期間を延長させた。ハザード比も、0.21(99%信頼区間0.14~0.31)というのは、 かなり驚異的な数字である。 注意しなければならないのは、副作用である。半数以上の患者に、高血圧、下痢、食欲不振、疲労、体重減少などが出現する。重篤な副作用として、肺塞栓なども出現した。加えて、Lenvatinib投与群では、副作用によると思われる治療関連死が6例(2.3%)あった。 前述のSorafenibと同様、この臨床試験のプライマリーエンドポイントが、真のエンドポイントであるOverall survivalではなく、PFSであったことは、この研究のウィークポイントである。プラセボ群の患者は、倫理的な面も配慮し、病状が悪化した際に、Lenvatinib投与、すなわち、クロスオーバーが認められている。クロスオーバーを認めたせいもあり、Overall survivalには、有意差を認めていない。著者らは、クロスオーバーを調整した解析も行っている(RPSFT解析)が、完全にクロスオーバーした影響を排除できるものではない。クロスオーバーしたことによりOverall survivalに影響を与える(プラセボ群の治療効果がよくなる)ということは、この対象患者に対して、すぐに治療を開始する必要がないとも考察できる。患者のQOLを評価していないことは、この研究のもう1つのウィークポイントである。 分化型甲状腺がんに対するLenvatinibは、2014年6月に承認申請されており、早ければ今年中にも承認される可能性がある。有効性に関しては、期待がされるものの、Overall survivalには影響を与えていないということ、重篤な副作用が報告されていて、治療関連死も存在することを認識すべきであり、決して安易に投与すべき薬剤ではない。投与を考慮する際にも、個々の患者に対して、十分にリスク・ベネフィットを考慮すべきである。 投与に際しては、分子標的薬に知識・経験が豊富な腫瘍内科医(がん薬物療法専門医)によって、投与されることが望ましい。すでに、Sorafenib投与に際して、日本甲状腺外科学会、日本内分泌外科学会、日本臨床腫瘍学会が連携して、甲状腺診療連携プログラムを施行することにより、患者に不利益がないように考慮されている。こうしたプログラムは有益なものと考えるが、より幅広く認知してもらうための工夫も必要と考えられる。

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甲状腺がん治療薬レンバチニブをFDAが承認

 エーザイ株式会社は16日、米国子会社であるエーザイ・インクが、自社創製の新規抗がん剤「Lenvima」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)について、局所再発又は転移性、進行性、放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がんに係る適応で、米国食品医薬品局( FDA)より承認を取得したことをお知らせします。同剤は優先審査品目に指定されていたが、優先審査終了目標日より約 2ヵ月早い迅速な承認となったという。なお、今回の米国での承認が同剤に関する世界で初めての承認となる。 「Lenvima」は、血管新生や腫瘍増殖に関わるVEGFR、FGFR、RET、KIT、PDGFRなどに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な分子標的治療薬であり、とくに甲状腺がんの増殖、腫瘍血管新生に関与するVEGFR、FGFR およびRETを同時に阻害する。また、本剤は、VEGFR2 とのX線結晶構造解析から、新たな結合様式(タイプV)を有することが確認された最初の薬剤であり、速度論的解析からは、素早く強力なキナーゼ阻害作用を示すことが確認されている。 今回の承認は、392人の進行性放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がんの患者を対象とした多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床第III相試験(SELECT試験)の結果に基づいているという。同試験において、「Lenvima」投与群はプラセボ投与群に比べ、主要評価項目である無増悪生存期間 (progression free survival: PFS)を統計学的に有意に延長した[p<0.001、Lenvima18.3ヵ月 vs プラセボ 3.6ヵ月(中央値)、ハザード比 0.21(99%信頼区間=0.14-0.31)]。また、Lenvimaは、プラセボに対して統計学的に有意に高い奏効率(完全奏効および部分奏効の割合)を示した(p<0.001、Lenvima 64.8% vs プラセボ 1.5%)。とくに、Lenvima投与群では、完全奏効が 1.5%(4例)確認されました(プラセボ投与群では0例)。Lenvima投与群において高頻度(頻度40%以上)に認められた副作用は、高血圧(67.8%)、下痢(59.4%)、疲労・無力症(59.0%)、食欲減退(50.2%)、体重減少(46.4%)、悪心(41.0%)でした。 同剤は、現在、日本、欧州のほか、スイス、韓国、カナダ、シンガポール、ロシア、オーストラリア、ブラジルで承認申請中であり、欧州では迅速審査品目に指定されている。引き続き、世界各国で承認申請を進め、承認取得後には同社が各国での販売を行なう予定。また、同剤に関しては、肝細胞がんを対象としたグローバル臨床第III相試験や腎細胞がん、非小細胞肺がんなど複数のがん腫を対象にした臨床第II相試験が進行中とのこと。詳細はプレスリリース(PDF)へ

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統合失調症患者は血栓症リスク大

 オーストラリア・シドニー大学のVincent Chow氏らによる検討の結果、統合失調症患者について、静脈血栓塞栓症のリスク増大に寄与する可能性がある、複数要因から成る凝固亢進状態および線溶低下状態を有するとのエビデンスが示された。これまで、同患者では静脈血栓塞栓症のリスク増大がみられていたが、その機序についてはほとんどわかっていなかった。Schizophrenia Research誌オンライン版2015年1月26日号の掲載報告。 研究グループは、統合失調症患者において、血液凝固能が亢進状態にあるのか否かを調べるため、総合的止血能(OHP)アッセイを用いて、総合的凝固能(OCP)、総合的止血能(OHP)、総合的線溶能(OFP)を評価した。アッセイは、抗精神病薬治療を長期間受けている統合失調症患者からクエン酸添加血漿を採取し、血漿に組織因子および組織プラスミノーゲンアクチベータを添加した後、フィブリン形成および分解の時間的経過を分光分析法(405nmの吸光)により測定し、年齢、性別をマッチさせた健常対照と比較した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者90例(抗精神病薬治療期間15.9±9.7年)と、対照30例が登録された。・統合失調症患者では、喫煙率と炎症マーカーの値が健常対照と比較して高かった(高感度CRP、好中球/リンパ球比)。・D-ダイマー、フィブリノゲン、血小板数については、統合失調症患者と健常対照の間に差はなかった。・しかし、統合失調症患者において、OCP(54.0±12.6 vs 45.9±9.1、p=0.002)およびOHP(12.6±5.8 vs 7.2±3.7、p<0.001)が高く、OFP(76.6±9.8% vs 84.9±6.4%、p<0.001)は低いことが示された。これらの結果から、統合失調症患者において凝固亢進状態と線溶低下状態の両方が存在することが示唆された。・さらに、総合的な凝固異常が、プラスミノーゲンアクチベータ‐1、フィブリノゲン、血小板数、炎症マーカー、血漿トリグリセリドの各数値により独立して予測された点は重要な知見であった。すなわち原因となる因子は複数あることが示唆された。関連医療ニュース 統合失調症患者の突然死、その主な原因は 統合失調症の心血管リスク、その出現時期は 抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大

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新開発の血管デバイス、難治性狭心症に有効/NEJM

 開発中の冠静脈洞径縮小デバイス(coronary-sinus reducing device)は、血行再建が適応外の難治性狭心症患者の症状およびQOLを有意に改善することが、ベルギー・Ziekenhuis Netwerk AntwerpenのStefan Verheye氏らが行ったCOSIRA試験で示された。血行再建が適応とならない冠動脈疾患患者の多くは、標準的薬物療法を行っても難治性狭心症を来す。このような患者は世界的に増加しており、新たな治療選択肢が求められている。本デバイスは、15例の非無作為化試験ですべてのクラスの難治性狭心症に対する効果が確認され、全デバイスが3年後も開存し、移動もしておらず、また最近の21例の試験では症状および虚血の改善が報告されている。NEJM誌2015年2月5日号掲載の報告。径縮小デバイスの効果を無作為化第II相試験で評価 冠静脈洞径縮小デバイスは、バルーンカテーテルに装着されたステンレス製のメッシュ状デバイスで、拡張すると中央部が細い砂時計様の形状を呈する。冠静脈洞に留置すると、局所的な血管壁の肥厚性反応が誘導されてメッシュ孔が塞がれ、限局的に血管腔が狭くなり、内圧が上昇して虚血心筋に血液が再供給されるという。 COSIRA試験は、難治性狭心症に対する本デバイスの安全性と有効性を評価する多施設共同二重盲検無作為化擬似対照比較第II相試験(Neovasc社の助成による)。対象は、年齢18歳以上、カナダ心臓血管学会(CCS)分類のクラスIII/IV度の狭心症と心筋梗塞を有し、薬物療法を30日以上行っても症状がコントロールできない患者であった。CCSクラスはI~IV度に分けられ、クラスが高いほど狭心症による身体活動性の制限が大きい。 被験者は、本デバイスを留置する群または擬似的処置を行う群(対照群)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、6ヵ月時にCCS狭心症分類で2度以上の改善を達成した患者の割合とした。分類クラス2度以上の改善率が約2.4倍に 2010年4月~2013年4月に104例が登録され、デバイス群に52例、対照群にも52例が割り付けられた。全体の平均年齢は67.8歳(35~87歳)、男性が81%で、リスク因子や併存疾患の有病率が高かった。デバイス群の2例で、デバイスが冠静脈弁を通過できず留置できなかった。 6ヵ月時のCCS狭心症クラス2度以上の改善率は、デバイス群が35%(18/52例)であり、対照群の15%(8/52例)に比べ有意に優れていた(p=0.02)。1度以上の改善も、デバイス群が71%(37/52例)と対照群の42%(22/52例)に比し有意に良好であった(p=0.003)。 狭心症関連QOL(シアトル狭心症質問票:0~100点、点数が高いほど症状が少なく健康状態が良好)は、デバイス群が17.6点改善し、対照群の7.6点よりも優れていた(p=0.048)。狭心症の安定性(p=0.16)や狭心症の頻度(p=0.44)は両群間に差はみられなかった。 運動負荷試験では、平均運動時間がデバイス群で59秒(13%)、対照群で4秒(1%)延長したが、この差は有意ではなかった(p=0.07)。ドブタミン負荷心エコー検査で評価した壁運動指数の改善率は、デバイス群が14%、対照群は8%であり、有意な差は認めなかった(p=0.20)。 周術期にデバイス群の1例に心筋梗塞が認められた。他の周術期の重篤な有害事象として、デバイス群で不安定狭心症とクローン病のフレアが、対照群では不安性狭心症と上腹部痛が1例ずつ認められた。1つ以上の有害事象を発症した患者は、デバイス群が64%、対照群は69%であり(p=0.68)、デバイス群で76件、対照群では93件の有害事象が報告された。 6ヵ月時には、デバイス群で1例が心筋梗塞を発症し、対照群では1例が死亡、3例が心筋梗塞を発症した。重篤な有害事象は試験期間中に34件(デバイス群:10件、対照群:24件)発現した。CT血管造影を受けた36例にデバイスの移動や閉塞は認めなかった。 著者は、「デバイスによる虚血の改善のベネフィットを運動負荷試験や壁運動指数で評価するには、より大規模な試験を行う必要がある。第III相試験を行う場合は、MRIやPETなど、より正確に虚血を評価できるツールを用いるのがよいだろう」と指摘している。

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市中肺炎患者に対するステロイド投与は症状が安定するまでの期間を短くすることができるか?(解説:小金丸 博 氏)-311

 市中肺炎では過剰な炎症性サイトカインによって肺が障害され、肺機能が低下すると考えられている。そのため、理論的には抗炎症効果を有するステロイドを併用することが有効と考えられ、肺炎の治療に有益かどうか1950年代から議論されてきた。しかしながら、最近報告された2つのランダム化比較試験においても相反する結果が得られており、いまだにステロイド併用の有益性について結論が出ていない1)2)。 本研究は、入院が必要な市中肺炎患者に対し、ステロイドを併用投与することの有用性を調べるために行った、多施設共同二重盲検ランダム化プラセボ対照比較試験である。18歳以上の市中肺炎患者785例を、(1)プレドニゾン50mg/日を7日間投与する群(392例)と、(2)プラセボ投与群(393例)に割り付けた。プライマリエンドポイントは、症状が安定化(バイタルサインが少なくとも24時間安定)するまでの日数とした。 その結果、症状が安定化するまでの期間の中央値は、プレドニゾン投与群が3.0日、プラセボ投与群が4.4日であり、プレドニゾン投与群のほうが有意に短かった(ハザード比1.33、95%信頼区間:1.15~1.50、p<0.0001)。プライマリエンドポイント以外の結果では、入院期間はプレドニゾン投与群のほうが約1日短かった。抗菌薬の総投与期間に有意差はなかったが、静脈注射での投与期間はプレドニゾン投与群で0.89日短かった。30日目までの肺炎関連合併症の発症率は両群間で有意差はなかったものの、プレドニゾン投与群で低い傾向がみられた。30日時点での総死亡率に差はなかった。 プレドニゾン投与群では、インスリンを要する高血糖の頻度が有意に高かった(19% vs 11%、オッズ比1.96、95%信頼区間:1.31~2.93、p=0.0010)。ステロイドによるその他の有害事象はまれであり、両群間で差はなかった。 適切な抗菌薬にステロイドを短期間併用することで、全身状態が早く安定化するのは理解できる結果である。ステロイドを併用することによって、入院期間や抗菌薬の静注投与期間を短縮できるのであれば、結果として入院費を抑制でき、患者にとってメリットになるかもしれない。 しかし、この研究を根拠に、入院を要する市中肺炎患者全例にステロイドを併用するかどうかを決めることは難しいと思う。ステロイドは、高血糖以外にも多くの副作用がある薬剤であり、死亡率の改善など誰もが納得できる理由がなければ全例に投与する必然性は乏しい。本研究の「症状が安定化するまでの日数」というプライマリエンドポイントの設定には疑問が残る。 最後に、実臨床ではステロイドの併用が必要と思われる肺炎患者がいるのも事実である。現時点では患者の基礎疾患、重症度、肺障害の程度などから総合的にステロイドの適応を判断することが多いと思われる。とくにICUに入室するような超重症肺炎患者にステロイドを併用すべきかどうかのデータは不足しており、今後のさらなる研究が待たれる。

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事例40 静脈麻酔に対する深夜加算の査定【斬らレセプト】

解説事例では、深夜に緊急のために静脈麻酔下にてカウンターショックを実施、J047 カウンターショックとともにL001-2 静脈麻酔に対して深夜加算を算定したところ、静脈麻酔のみD(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)を理由に、深夜加算部分が査定となった。麻酔料の通則3には、「入院中の患者以外の患者に対し、緊急のために診療時間外等加算が算定できる時間に行った手術に伴う麻酔料に診療時間外等加算が算定できる」と記載されている。時間外等加算は、緊急手術に伴う麻酔に限り算定ができるのである。緊急に行われたカウンターショックは、救急処置であって緊急手術ではないため、麻酔料に診療時間外等加算の算定ができないのである。カウンターショックに対しては、処置料の通則により時間外等加算(事例では深夜)が算定できる。算定担当者は、処置に伴う麻酔料にも加算できるものと思い込んで算定していた。会計担当者への周知とコンピュータレセプトチェックシステムにてエラーを表示する対策をとった。

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IFNフリーレジメン、4つの遺伝子型のHCVとHIV重複感染に有効/Lancet

 C型肝炎ウイルス(HCV)とヒト免疫不全ウイルス(HIV)の重複感染患者の治療において、インターフェロン(IFN)フリーレジメンであるソホスブビル+リバビリン併用療法は、HCVの4つの遺伝子型のいずれに対しても高い有効性を発揮することが、フランス・パリ第7大学(ディドロ)のJean-Michel Molina氏らが行ったPHOTON-2試験で示された。欧州ではHIV感染例の25%にHCVの重複感染が認められ、遺伝子型2および3型HCVとHIVの重複感染例にはIFNフリーレジメンが承認されているが、1および4型HCV重複感染例の治療選択肢はIFNベースレジメンに限られる。PHOTON-1試験では、未治療の1~3型および既治療の2および3型HCVの重複感染例に対する本レジメンの有効性が確認されている。Lancet誌オンライン版2015年2月3日号掲載の報告。遺伝子型別に非無作為化非対照試験で評価 PHOTON-2試験は、PHOTON-1試験で除外された遺伝子型4型を含むHCVとHIVの重複感染例に対するIFNフリーの経口レジメンとしてのソホスブビル+リバビリン併用療法の安全性および有効性を評価する非盲検非無作為化非対照第III相試験(Gilead Sciences社の助成による)。対象は、年齢18歳以上、遺伝子型1~4型(既治療例は2および3型のみ)のHCVとHIV-1に重複感染し、病態の安定した症例であり、代償性肝硬変を有する患者も含めた。 全例にソホスブビル(400mg、1日1回)+リバビリン(体重<75kg:1,000mg、≧75kg:1,200mg、1日2回)併用療法が行われた。未治療の遺伝子型2型HCV感染例には12週投与が行われ、それ以外の患者には24週投与が施行された。主要評価項目は、治療終了後12週時の持続性ウイルス学的著効(SVR、HCV RNA濃度<定量下限値[LLOQ]と定義)とした。 2013年2月7日~2013年7月29日までに、7ヵ国(オーストラリア、フランス、ドイツ、イタリア、ポルトガル、スペイン、イギリス)の45施設から275例が登録され、262例(95%)が治療を完遂し、274例が解析の対象となった。4型への高い有効性を示した初のIFNフリーレジメン HCVの遺伝子型および前治療の有無別の内訳は、未治療の1型が112例、未治療の2型が19例(治療期間12週)、既治療の2型が6例、未治療の3型が57例、既治療の3型が49例、未治療の4型が31例であった。 各群の年齢中央値は45~55歳、男性が67~100%で、89~100%が抗レトロウイルス薬の投与を受けていた。全体の20%(54例)に肝硬変がみられ、既治療例(33~47%)のほうが併発率が高かった。 治療終了後12週時のSVR率は、遺伝子型1型感染群が85%、2型が88%、3型が89%、4型が84%であった。また、2型の未治療例は89%、3型の未治療例は91%であり、SVR率は両群で類似していた。治療終了後4週時のSVR率は83~91%だった。 各群の治療期間中のSVR達成率は、4週時が96~100%、12週時が95~100%、24週時は100%(未治療の2型群以外の全群)であった。治療期間中のウイルス学的再燃が、既治療の3型群の1例(2%)に認められた。SVR達成例における治療終了後のウイルス学的再発率は4~20%であり、再発例にソホスブビル抵抗性の遺伝子変異は認めなかった。 全体で、6例(2%)が有害事象により治療中止となった。最も頻度の高い有害事象は、疲労感(20%)、不眠(16%)、脱力感(16%)、頭痛(16%)であった。また、重篤な有害事象は15例(5%)に認められ、4例(1%)が治療関連(貧血が2例、血小板減少と点状出血が1例、躁病が1例)であったが、フォローアップ終了までに全例が回復した。試験期間中の死亡例はなかった。 抗レトロウイルス薬投与中の患者のうち4例(1%)にHIVの一過性のウイルス学的再燃がみられたが、抗レトロウイルス薬のレジメンの変更を要する患者はいなかった。 著者は、「本併用療法は、4つの遺伝子型のHCVとHIVに重複感染した未治療および既治療の患者に有効であった」とまとめ、「本試験は、遺伝子型4型HCVとHIVの重複感染例にIFNフリーレジメンが高い有効性を発揮するとのエビデンスを示した初めての臨床研究である。本併用療法は、HIV治療に使用される抗レトロウイルス薬と臨床的に問題となる相互作用を示さないため、HCVとHIVの重複感染者の有用な治療選択肢となる可能性がある」と指摘している。

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抗てんかん薬Banzel、1~3歳小児への適応追加をFDAが承認

 エーザイ株式会社は16日、同社の米国子会社であるエーザイ・インクが、抗てんかん薬「Banzel」(一般名:ルフィナミド)に関する小児適応の追加申請について、米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したことを発表した。今回の承認により、これまでの適応症である「4歳以上の小児および成人における、レノックス・ガストー症候群(Lennox-Gastaut Syndrome: LGS)に伴うてんかん発作の併用療法」に、1~3歳までの小児患者への適応が追加された。 今回の追加適応症の承認は、1~3歳のLGS患者を対象にしたBanzelと既存の抗てんかん薬を比較対照とした上乗せ治療の臨床第III相試験(303試験)の中間解析に基づくもの。本試験におけるBanzelの薬物動態と安全性のプロファイルが、4歳以上の患者を対象にしたこれまでの臨床試験結果と整合性があることが確認されたとのこと。また、Banzel投与群で確認された主な副作用は、嘔吐および眠気であったという。 また、本臨床データは、FDAからの小児臨床試験実施要請書(Written Request)の要件を満たしていることが認められ、本剤の米国における特許期間は 6 カ月間延長され、最長で2023年5月まで存続するとのこと。詳細はプレスリリース(PDF)へ

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うつ病急性期治療、どの抗うつ薬でも差はない

 抗うつ薬治療による急性期からのアウトカムを評価した結果、薬物間で差はみられなかったことが明らかにされた。米国・オハイオ州立大学医学部のRadu Saveanu氏らによる、最適なうつ病治療予測のための国際研究(International Study to Predict Optimized Treatment in Depression:iSPOT-D)からの報告で、今回の結果について著者は、「治療アウトカムの神経生物学的および遺伝子的な予測因子を明らかにする根拠となり得るものだ」と述べている。Journal of Psychiatric Research誌2015年2月号の掲載報告。 本検討で研究グループは、プラクティカルなデザインの大規模国際コホート試験に参加した、大うつ病性障害(MDD)を有する外来患者の特徴づけを行った。目的は、MDD急性期治療に用いられる一般的な3つの抗うつ薬治療に伴うアウトカムの、臨床的に有用な予測因子を特定するためであった。 iSPOT-Dには、5ヵ国・17地点で治療を必要としていた外来患者(18~65歳)1,008例が登録された。治療前に、症状、病歴、機能的状態、併存疾患による特徴づけが行われた。被験者は、エスシタロプラム、セルトラリン、徐放性ベンラファキシンを受ける群に無作為に割り付けられ、医師による各治療と通常診療が行われた。8週後に、症状、機能、QOL、副作用のアウトカムを評価した。また、不安症と治療反応および寛解との関連を、Axis I診断、不安症状の存在/消失、不安症状重症度により複合的に評価した。 主な結果は以下のとおり。・評価対象者は、中等度~重度の症状を有しており、重大な併存疾患および機能障害もみられた。・8週時点の評価が完了した参加者のうち、うつ病に関する17項目ハミルトン評価尺で、62.2%が治療反応を示し、45.4%が寛解を達成していた。16項目簡易抑うつ症状評価尺度では、それぞれ53.3%、37.6%であった。機能的改善は、全領域の評価について認められた。・大部分の被験者で副作用がみられ、発生頻度は25%弱であった。一方で大部分の被験者は、わずかな/軽度の強度や負荷については「なし」と報告した。・アウトカムは、治療薬間で差はみられなかった。・治療前に不安症状がより重度であることと寛解率が低いこととの関連が、すべての治療において認められた。抑うつ症の重症度、併存疾患や副作用との関連はみられなかった。・すべての治療薬において、症状、機能、および併存した不安症の予後で一貫した同程度の改善がみられた。関連医療ニュース 各種抗うつ薬の長期効果に違いはあるか 新規抗うつ薬の実力、他剤比較で検証 なぜSSRIの投与量は増えてしまうのか  担当者へのご意見箱はこちら

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本当にあった医学論文

真面目な内容で、思わず吹き出してしまう1冊!「70年間心臓に残っていた弾丸」「体温13.7℃から生還した女性」といった驚きの症例報告から、「床に落ちた食べ物は安全か?」「指の関節を鳴らしすぎると関節炎になる?」という素朴な疑問を大真面目に調べた臨床試験、「直腸マッサージでしゃっくりが止まる!?」のような臨床に役立つ(かもしれない)論文まで、実在するふしぎな医学論文の数々を紹介。さまざまな領域のがんに対し、エビデンスに基づく最良のリハビリテーション(=ベストプラクティス)の紹介を試み、他に例のない意欲的なプラクティカルガイドといえます。これを読めば、あなたも明日から医学論文の検索が日課になるかも!?画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。   本当にあった医学論文定価 2,300円 + 税判型 A5判頁数 150頁発行 2014年11月著者 倉原 優Amazonでご購入の場合はこちら

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77)ちょっと一口と甘い考えの患者への指導法【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者頭ではわかっているんですが、つい甘いものが欲しくなって・・・。医師甘いものというと、饅頭などの和菓子ですか、それともケーキ?患者和菓子です。本当にあずきが大好きで・・・。医師なるほど。このくらいのお饅頭なら食べるのに、どのくらい時間がかかりますか?(小さな饅頭の大きさをOKサインで示して)患者ペロリと2口ですね。医師ハハハ・・・。ゆっくりと食べても、60秒くらいでしょうか。そうすると、1時間くらい散歩してもらわないと、食べたカロリーは消費できないかもしれませんね。患者なるほど。そりゃ、血糖値が上がるわけですね(気づきの言葉)。●ポイント食べたカロリーに相当する運動量を示すことで、間食の食べ過ぎに気づきが生まれます●解説消費カロリー(kcal)=1.05 × メッツ × 時間 × 体重(kg)例)散歩は2.5メッツなので、座っている(1メッツ)に比べ、1.05 × (2.5 - 1.0) メッツ × 1時間 × 55㎏ ≒ 80kcal(小さな饅頭1個分)

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健康的な食事はCOPDリスクも減らす/BMJ

 先行研究で、食事の質を測る新たな代替健康食指数(Alternate Healthy Eating Index 2010:AHEI-2010)が、心血管疾患や糖尿病などの慢性疾患やがんのリスクに関連していることが報告されている。フランス・国立保健医学研究所(Inserm)のRaphaelle Varraso氏らは、米国人男女対象の前向きコホート研究を行い、同指数高値と慢性閉塞性肺疾患(COPD)リスク低下が関連することを明らかにした。AHEI-2010とは、全粒穀物、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、ナッツ、長鎖オメガ3脂肪酸の摂取量が高く、赤身/加工肉、精製粉、甘味料入飲料の摂取量が低い食事を反映した健康食指数である。これまでCOPDリスクへの食事スコアの寄与については不明であったが、今回の結果を踏まえて著者は、「COPD予防には、多面的な介入プログラムが重要であることが支持された」とまとめている。BMJ誌オンライン版2015年2月3日号掲載の報告。女性7万3,228例、男性4万7,026例を対象に検討 先行研究では、COPDリスク低下と抗酸化物質摂取の増大、およびCOPDリスク上昇と加工肉摂取増大との関連が明らかになっている。 研究グループは、米国で行われた健康調査「Nurses' Health Study」と「Health Professionals Follow-up Study」の参加者について前向きコホート研究を行った。 被験者は、隔年実施の調査を完了していた、前者参加女性7万3,228例(1984~2000年)、後者参加男性4万7,026例(1986~1998年)で、主要アウトカムは、自己申告によるCOPD発症の新規診断とした。 評価は多変量Cox比例ハザードモデルを用いて行った。モデルは、年齢、身体活動度、BMI、総エネルギー摂取量、喫煙、人種/民族、受診歴、米国内居住地と、女性被験者についてのみ受動喫煙、配偶者の最終学歴、閉経有無について補正を行った。スコアが高い食事ほどCOPD新規診断リスク低下 対象期間中に女性723例、男性167例が、COPDの新規診断を受けたことを報告した。 男女合わせたプール解析の結果、COPD新規診断リスクとAHEI-2010スコア5分位範囲群との、有意な負の相関が明らかになった。5分位の最低位群を参照値とした場合のハザード比(HR)は、第2分位群が0.81、第3分位群が0.98、第4分位群が0.74、そしてスコア最高位の第5分位群は0.67であった(傾向のp<0.001)。 なお男女別にみた場合、逆相関の関連は女性では有意であり(傾向のp<0.001)、男性では有意ではなかったが(傾向のp=0.27)、最も健康的な第5分位の食事は最低位の食事と比べて、男女ともCOPD新規診断リスクを低下することが示されている(同群のHRは女性0.69、男性0.60)。 同様の傾向は、元喫煙者(男女合わせたプール解析の傾向のp<0.002)、現在喫煙者(同p<0.03)の別に分析した結果においても観察された。男女別にみた場合も、同様であった。なお、非喫煙者については、COPD新規診断例が少数であったため分析は行われていない。

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