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薬剤性アナフィラキシー

概説 アナフィラキシーのtrigger(誘因)は蜂毒、食物、薬剤、運動など多彩であり、頻度が最も高いものは食物である。それに対し、アナフィラキシーによる死亡例に限ると、最も多い誘因は薬剤である。薬剤がアナフィラキシーを起こす場合には、投与直後から症状を生じ重症化しやすい(誘因に曝露されてから速やかにアナフィラキシーを発症するほど、重症化しやすいという一般的傾向がある)ということに加えて、過去に既往がなく不意打ちの形で生じるため、アドレナリン自己注射薬を携帯していないことがほとんどであるという特徴がある。 欧米の疫学調査においても、薬剤性アナフィラキシーによる死亡例は漸増傾向にあり、これは、世界的に薬剤が多様化し、薬剤総数が増加の一途をたどっていることが背景に挙げられている。薬剤によりアナフィラキシーを起こさないのは水と塩分くらいのものであり、われわれが処方する薬剤や日常の処置で曝露される物質(薬剤としては認識されない、皮膚消毒液、ラテックス、器具の消毒薬の残留にも配慮する)は無数に存在する。常識的なことであるが、必要性が曖昧な処置は行わない・薬剤は投与しないことが基本姿勢として重要である。 発症機序と分類 IgEが関与するI型反応が典型的であるが、X線造影剤やNSAIDsなどはIgEが通常関与することなくアナフィラキシーを起こす。従来は、前者(IgEが関与するもの)をアナフィラキシー、後者(IgEが関与しないもの)をアナフィラキシー様反応(anaphylactoid reaction)と呼んだが、世界的な趨勢で両者ともアナフィラキシーと呼ばれるようになってきており、日本アレルギー学会の「アナフィラキシーガイドライン1)」でもこの立場をとっている。今でもアナフィラキシーとアナフィラキシー様反応に区別する方法が用いられることはあるが、将来的にはアナフィラキシーの診断名の下でアレルギー性(IgEが関与するもの・IgE以外の免疫機構が関与するものに分けられる)、非アレルギー性に大別される方向に向かうと考えられる。 たとえば、ペニシリンとNSAIDを内服してアナフィラキシーを発症した場合、従来はアナフィラキシー(様)反応とまず診断し、後日の精査で原因がペニシリンであればアナフィラキシー、NSAIDであればアナフィラキシー様反応と診断名を書き換えていたが、「様反応」を用いないことにしておけば、救急診療で付けられたアナフィラキシーの診断名は、後日原因薬が特定されても書き換えられることなく、踏襲されていくことになる。 診療上の注意点アナフィラキシー発症時は、原因の可能性がある薬剤の中止(たとえば、点滴投与中の抗菌薬を中止し、薬剤を含まない輸液に変更する)とアドレナリン筋注を行い、循環と呼吸の状態を把握する。アナフィラキシーから回復後、あるいは既往を有する患者に対しては、再発を回避するよう、適切な指導を行う。「アナフィラキシーガイドライン」では誘因となる医薬品として、抗菌薬、解熱鎮痛薬(NSAIDs等)、抗腫瘍薬、局所麻酔薬、筋弛緩薬、造影剤、輸血等、生物学的製剤、アレルゲン免疫療法を挙げ、これらによるアナフィラキシーの特徴を簡潔に述べるとともに、手術中に生ずるアナフィラキシーの主な誘因(とくに筋弛緩薬、抗菌薬、ラテックス)にも触れているので、それらに関してはガイドラインを参照されたい。実地診療に当たっておられる先生方に留意していただきたいこととしては、以下のものが挙げられる。 内服薬を誘因とするアナフィラキシーについては、複数薬剤が誘因に挙げられ、病歴だけでは特定に至らないことが多い。また、食後に内服した場合、食事内容が誘因である可能性も念頭に置く必要がある。 医療処置に伴ってアナフィラキシーを発症した場合には、ラテックスが原因候補の1つに挙げられることが多い。ラテックスおよび交差反応性のあるシラカンバ、ハンノキ花粉の特異的IgEは、どの医師においても測定が可能であり参考になる(診断が確定するわけではないが)。 アナフィラキシーの発症前に投与された薬剤、摂取した食品と摂取時刻、症状の経過を、詳細に患者に記録しておいていただくことが重要。この情報は誘因の特定に大変に役立つ。 誘因の特定や安全に使用可能な薬剤の選定、あえて誘因となった薬剤を使わざるを得ない(脱感作が必要)といった場面では、ぜひアレルギー専門医に紹介いただきたい。アレルギー専門医にとって薬剤アレルギーへの対応は時間と労力を要するのだが、薬剤性アナフィラキシーは患者のQOLのためにも、生命予後のためにも重要な疾患であることは昔から一貫している。なお、薬剤を用いた即時型皮膚反応検査(プリックテストや皮内テスト)は、IgEが関与する反応において有用性が高いが、アナフィラキシーを起こした患者に不用意に行うとアナフィラキシーを誘発する可能性があるため、外来ですぐに施行できるわけではないことをご承知おきいただきたい。1)日本アレルギー学会監修.Anaphylaxis対策特別委員会編.アナフィラキシーガイドライン.日本アレルギー学会;2014.

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レジデントのための やさしイイ胸部画像教室

あッ、そういうことだったのか・・・目からウロコの入門書ベストティーチャー賞受賞の長尾大志氏が、胸部X線とCTの読み方を「わかりやすさ最優先」でお教えします。抜群のティーチングセンスと、ステップ・バイ・ステップの構成で、画像診断の基礎から確実にマスターしていただきます。具体的には、第1章では「読影を始める前に知っておくべきこと」を、第2章では「胸部X線写真のどこを見るか」、第3章では「X線で黒くなる病態と白くなる病態」、第4章では「胸部CTで見えるもの」、第5章では「CTで飛び飛びに白くなる病変」を解説後、第6章では「読影クイズ」で知識の確認が行えます。「なんでこう見えるか」陰影の成り立ちをしっかりと解説。ここが理解できると、患者さんに何が起こっているかがわかり、画像診断がどんどん面白くなるとのことです。画像診断を行う医師、医療従事者には必携の1冊!画像をクリックすると、内容の一部をPDFでご覧いただけます。   レジデントのためのやさしイイ胸部画像教室-ベストティーチャーに教わる胸部X線の読み方考え方 定価 4,200円 + 税判型 B5判/カラー刷頁数 288頁発行 2014年4月著者 長尾大志(滋賀医科大学呼吸器内科)Amazonでご購入の場合はこちら

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ICDの初移植、除細動テストなしでも転帰同等/Lancet

 植込み型除細動器(ICD)の初移植の際、除細動テストを実施しなくても、実施した場合と比べて、その後のアウトカムについて非劣性であることが明らかにされた。カナダ・マックマスター大学のJeff S Healey氏らが、2,500例について行った単盲検無作為化非劣性試験「SIMPLE」の結果、報告した。除細動テストは広く行われているが、その有効性と安全性について検討した試験はこれまで行われていなかったという。Lancet誌オンライン版2015年2月20日号掲載の報告より。18ヵ国、85ヵ所の病院で試験を実施 研究グループは、2009年1月13日~2011年4月4日にかけて、18ヵ国、85ヵ所の病院を通じ、ICDを初めて移植する患者2,500例を対象に調査を行った。被験者は無作為に2群に割り付けられ、一方にはICD移植に当たり除細動テストを行い(1,253例)、もう一方の群では除細動テストを行わなかった(1,247例)。 主要有効性分析における評価項目は、不整脈死または適切なショック無効の複合アウトカムだった。非劣性マージンは、非テスト群vs. テスト群の比例ハザードモデルで算出したハザード比が1.5であった場合とし、95%信頼区間(CI)上限値が1.5未満であれば非テスト群は非劣性とした。 また、安全性について、2日、30日時点で有害事象アウトカム集団を評価した。主要アウトカム発生率、安全性アウトカムともに両群で同等 被験者の平均年齢は63歳、男性は81%、追跡期間の平均値は3.1年(SD:1.0)だった。 結果、不整脈死または適切なショックの失敗の発生率は、テスト群が年間8%(104例)に対し、非テスト群が7%(90例)と、非テスト群の非劣性が示された(ハザード比:0.86、95%信頼区間:0.65~1.14、非劣性のp<0.0001)。 死亡、脳卒中、心筋梗塞などの有害事象でみた安全性に関する主要複合アウトカムの初回発生率は、テスト群で6.5%(1,242例中81例)、非テスト群で5.6%(1,236例中69例)と、両群で同等だった(p=0.33)。 除細動テストが直接の原因であると考えられる有害事象のみを対象にした安全性に関する2次複合アウトカムの発生率は、テスト群が4.5%、非テスト群が3.2%だった(p=0.08)。 最も多く認められた有害事象は、強心薬や利尿薬の静注療法を要する心不全で、同発症率はテスト群が2%(1,242例中28例)、非テスト群が2%(1,236例中20例)だった(p=0.25)。

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慢性腰痛は神経障害性疼痛の有無で治療薬を使い分け

 慢性腰痛の治療にプレガバリン(商品名:リリカ)やオピオイドが用いられることがあるが、これまで両者の有効性を比較した研究はない。独立行政法人 国立長寿医療研究センター 整形外科脊椎外科医長の酒井 義人氏らは高齢患者において検討し、全体の有効率に差はないものの神経障害性疼痛や下肢症状の有無で、効果に違いがみられることを示した。著者は、「鎮痛か日常生活動作(ADL)の改善かなど、治療の主たる目的を明確にしておくことが大切」とまとめている。European Spine Journal誌オンライン版2015年2月15日号の掲載報告。 対象は65歳以上の慢性腰痛で治療を継続している患者65例で、プレガバリン投与期とオピオイド投与期を実施し、いずれも4週間投与した後、疼痛およびADLについて視覚アナログスケール(VAS)、日本整形外科学会腰痛治療判定基準(JOAスコア)、ローランド・モリス障害質問票(RDQ)、簡易版マックギル疼痛質問票(SF-MPQ)、EuroQOL-5D、高齢者用うつ尺度(GDS)を用い評価した。また、神経障害性疼痛スクリーニング質問票も神経障害性疼痛の評価に用いた。 主な結果は以下のとおり。・有効率は、プレガバリン73.3%、オピオイド83.3%で、有意差は認められなかった。・効果発現までの平均日数は、プレガバリン10.2日、オピオイド6.1日で、有意差はなかった。・プレガバリンは神経障害性疼痛、オピオイドは非神経障害性疼痛を伴う腰痛患者で、より有効であった。・ADLの改善は、プレガバリンよりオピオイドで大きかった。・プレガバリンは下肢症状を有する腰痛患者、オピオイドは下肢症状を有さない腰痛患者で、より効果的であった。

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双極性障害ラピッドサイクラーの特徴は

 双極性障害のラピッドサイクラーに関連する臨床的要因や抗うつ薬の役割を解明するため、スペイン・バルセロナ大学のMarc Valenti氏らは検討を行った。Bipolar disorders誌オンライン版2014年2月12日号の報告。 本研究は、最大14年間症状や治療が継続された双極性障害患者289例を対象とした、前向き自然主義的コホート研究として実施された。対象患者をラピッドサイクラー群48例、非ラピッドサイクラー群241例に分類し、社会人口統計学的、臨床的、アウトカム変数に関して比較した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者289例のうち、フォローアップ中にラピッドサイクルが認められた患者は48例(16.6%)であった。・2群間でいくつかの違いがみられたが、Cox回帰分析の結果、非定型うつ症状のみ(p=0.001)、発症年齢(p=0.015)、自殺未遂数(p=0.030)がラピッドサイクラー群と有意に関連していた。・双極性障害患者のラピッドサイクラー化は、慢性化傾向、アウトカム不良、非定型うつ症状に関連していた。また、抗うつ薬の使用率の高さと関連していた。関連医療ニュース 双極性障害に抗うつ薬は使うべきでないのか 重症うつ病と双極性障害の関係:徳島大 双極性障害、退院後の自殺リスクが高いタイプは  担当者へのご意見箱はこちら

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事例43 アスピリン/ランソプラゾール(商品名: タケルダ)配合錠の査定【斬らレセプト】

解説事例では、不安定狭心症で通院中の患者に、アスピリンにランソプラゾールが配合されたタケルダ®を投与したところA事由(医学的に適応と認められないもの)を理由に査定となった。同剤の剤添付文書の「効能または効果」を見てみると、「次の疾患または術後における血栓・塞栓形成の抑制(胃潰瘍または十二指腸潰瘍の既往がある患者に限る)に適用がある」として、狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作[TIA]、脳梗塞)、冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後が、対象疾患として掲げられている。同剤投与の前提条件には「胃潰瘍または十二指腸潰瘍の既往」があることが、定められているのである。事例では、レセプト上からは既往の有無の判断がつかないことから、査定となったものと推測できる。対応として、投与対象者は胃潰瘍もしくは十二指腸潰瘍の既往のある患者に限定し、レセプトに「胃潰瘍もしくは十二指腸潰瘍の既往あり」のコメント記入を行っていただくよう医師にお願いした。なお、アスピリン薬とランソプラゾール薬の併用投与の場合の取り扱いも同様である。支払基金などでは、この取り扱いに対して、当分の間は返戻対応を行うとされているようであるが、査定となった事例も確認している。

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医療事故調査報告書は医療安全のためにある 第5回 医療法学シンポジウム開催(後編)

 2月15日、東京都内にて第5回医療法学シンポジウムが「医療事故調査報告書、及び、聞き取り調査書等内部資料と文書提出命令等証拠開示手続との関係」をテーマに開催された。今回はパネルディスカッションを中心に後編をお届けする。証拠の開示手続きは患者側が有利 米山 隆一氏(おおたか総合法律事務所/医師・弁護士)は、「患者側弁護士からの視点」をテーマに実務的な視点からレクチャーを行った。 原告(患者)側からみた医療訴訟の特徴として、原告側は独自の証拠がほぼない状態で立証責任が課せられているが、これを補うためにカルテ開示などが用いられることから、証拠収集では原告側にやや有利に運用されていること、また、「カルテ開示」は、実質上権利化されていること、そのため証拠保全手続きでは、原告側請求を認めるハードルが低くなっていることなどが説明された。 証拠調べに関連して、被告(医療)側が、文書などの提出を著しく拒むことは原告側の主張を強くし、被告側に不利であること、証拠提出などでつまずくとマスコミにネガティブに報道され、さらに対応が必要となるなどデメリットも指摘した。 これらの現状を踏まえ「事故調査報告書」については、医療機関のリスク管理も考慮し、開示部分と非開示部分に分けて作成する必要があり、訴訟の際、速やかに開示したほうが裁判所の判断に寄与するなどの提言がなされた。医療事故調査報告書の目的外使用は医療を萎縮させる 大磯 義一郎氏(浜松医科大学医学部医療法学 教授、帝京大学医療情報システム研究センター 客員教授/医師・弁護士)は、「各手続に対する対応方法」をテーマにレクチャーを行った。 今回始まる医療事故調査制度の目的は、責任追及ではなく「医療安全」である(責任追及は別の場で行うべきこと)。しかし、司法サイド、とくに弁護士は医療訴訟でも利用しようと考えているようだと現在の様子を説明した。こうした資料が目的外で利用され、医療が再び萎縮することがないように、たとえば報告書の冒頭には「本報告書は開示をしないこと」「報告書の目的は医療安全であること」をうたう一文を記載することで、医療訴訟などで証拠として利用されないよう工夫することが重要だと語った。また、こうした報告書が目的外に利用された場合、厚生労働省や医療関係団体が協力して、抗議を行うべきであり、そうしなくては、憲法で保障された医師のさまざまな人権(たとえば黙秘権など)は空文化し、医療の安全もさらに後退することになると問題を指摘した。医療事故調査を医療安全に役立てるために パネルディスカッションでは、前半のレクチャーを踏まえ、大磯氏をコーディネーターに、他の演者がパネリストとして登壇し、活発な意見交換が行われた。 より具体的な内容に踏み込み、「医療事故調査実施の意思決定」については、医療安全を担うセクションが行うべきであること、「医療事故調査・支援センター」への相談では、当事者個人を匿名化すること、事実のみ記載して主観的な内容などは記載しないこと、「記者会見について」は、あらかじめ医療機関で発表内容の範囲と会見方針を決め、会見を行うことが重要であり、マスコミに予断を抱かせないために逐次ホームページなどで情報公開をする必要性や公表内容の文書配布など、細かい点まで話し合いが行われた。 また、「医療紛争対応、医療安全対策」としては、事実の確定が重要であり、不確実な内容は患者・患者家族に伝えないことが求められる。今後は、患者などから寄せられた共通するクレーム事項を分析し、将来に役立てる研究も必要となると提案されたほか、「院内事故調査」では、現場の保全(たとえば関係当事者の聴取録の作成)、関わった医師、医療従事者のケアや人権保護を行うことが重要であり、これらは普段からガイドライン化しておく必要があること。内部文書についても、事故報告書と聞き取り調書やカンファレンスレポートは別物であり、とくに後者は公開を前提にしていない文書であるため、公開の可否を定めた院内規定を医療機関が策定する必要があることなど、実務に直結する話し合いが行われた。参考 厚生労働省 医療事故調査制度について関連コンテンツ MediLegal 医療従事者のためのワンポイント・リーガルレッスン

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喫煙は、手の皮膚炎と関係がある?

 喫煙はさまざまな炎症性皮膚疾患に影響することが知られている。ドイツ・イエナ大学のJudit Lukacs氏らは、喫煙と手の皮膚炎との関連を調べるためシステマティックレビューを行った。今回、喫煙が手の皮膚炎の危険因子であることは示されなかったが、喫煙が手の皮膚炎に関与する可能性が除外されたわけではなく、著者は「依然として喫煙が皮膚疾患の経過に負の影響を及ぼす可能性はある」とまとめている。Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology誌オンライン版2015年2月4日号の掲載報告。 研究グループは、MEDLINE、EMBASE、Cochrane Central Register(CENTRAL)を用い、1980年1月1日~2013年12月31日に研究が行われた英語およびドイツ語の論文を検索し評価した。 主な結果は以下のとおり。・コホート研究1件および横断研究2件の計3件、手の皮膚炎患者4,113例、手の皮膚炎を有していない対照者3万4,875例が本レビューに組み込まれた。・これらは、一般集団および高リスク集団(パン屋、美容師、歯科技工士など)における手湿疹に関する危険因子を調査したもので、1件のみ、喫煙と手の皮膚炎との有意な関連が示されていた。・メタ解析の結果、喫煙と手の皮膚炎との関連は確認されなかった(OR:0.99、95%CI:0.88~1.11)。・なお対象とした研究は不均一性が高く(I2=72%)、3件のうち2件の大規模研究は同じ国で行われたものであった。

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メール/電話によるHIV治療継続 その費用対効果は?

 HIV/AIDS患者の健康や良好な治療成績を維持するためには、抗レトロウイルス療法(ART)のアドヒアランスが重要である。そのアドヒアランス向上に、携帯電話を用いたリマインド(週次の電話・メール)が有効であることを示した研究はいくつかあるが、国家AIDS管理プログラムで採用した際の費用に関する研究報告はほとんどない。 そこで、スウェーデン・カロリンスカ研究所のRashmi Rodrigues氏らは、インドの国家エイズ管理プログラムにおいて、アドヒアランス向上のため携帯電話を用いたリマインダー戦略を導入した際、どれくらいの費用がかかるのかを調査した。Journal of the International AIDS Society誌 オンライン版2014年9月2日号掲載の報告。 主な結果は以下のとおり。・1患者あたり年間79~110インドルピー(USD 1.27~1.77)と比較的安価にできることがわかった。・2017年までの5年間で100万人の患者に対して実施する費用は、5年分のプログラム予算の0.36%と試算されている。

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降圧薬に認知症予防効果は期待できるのか

 慢性高血圧、とくに中年期の高血圧は、認知機能低下や認知症のリスク増加と関連することが知られている。しかし、降圧薬の予防効果についてはあまり解明されていなかった。フランス・INSERMのLaure Rouch氏らは、システマティックレビューを行い、カルシウム(Ca)拮抗薬やレニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬は認知機能低下および認知症の予防に有効である可能性を示した。ただし、「今回の知見を確認するためには、認知症を主要評価項目としたより長期の無作為化試験が必要」とまとめている。CNS Drugs誌2015年2月号の掲載報告。 研究グループは、MEDLINE、Embase、the Cochrane Libraryを用い、高血圧、降圧薬、認知機能低下、認知症に関する1990年以降の論文を検索した。 結果は以下のとおり。・検索論文1万251件から、縦断的研究18件、無作為化試験11件、メタ解析9件、計38件の研究が特定され解析に組み込んだ(合計134万6,176例、平均年齢74歳)。・認知障害あるいは認知機能低下に対する降圧薬の作用を評価した7件の縦断的研究において、降圧薬は有効であることが示唆された。・認知症の発症に対する降圧薬の作用を評価した11件の縦断的研究において、有意な予防効果が認められなかったのは3件のみであった。・降圧薬は、血管性認知症だけでなくアルツハイマー病のリスクも減少できることが示された。・4件の無作為化試験において、降圧薬が認知機能低下または認知症の発症予防効果を有する可能性が示された。 - SYST-EUR(Systolic Hypertension in Europe Study)IおよびII:認知症のリスクが55%低下(3.3 vs 7.4例/1,000人年、p<0.001)。 - HOPE(Heart Outcomes Prevention Evaluation):脳卒中関連の認知機能低下が41%減少(95%CI:6~63)。 - PROGRESS(Perindopril Protection against Recurrent Stroke Study):認知機能低下が19%減少(95%CI:4~32、p=0.01)。・メタ解析による本検討は、研究デザイン、対象、曝露因子、評価項目および追跡期間が均一でないなど方法論的な問題が原因で矛盾した結果が示され、限定的なものである。関連医療ニュース 認知症予防効果を降圧薬に期待してよいのか 認知症によいサプリメント、その効果は 認知症にイチョウ葉エキス、本当に有効なのか  担当者へのご意見箱はこちら

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抗凝固薬による脳内出血、血腫増大の分岐点/JAMA

 抗凝固療法の合併症で脳内出血を発症した人は、4時間以内の国際標準比(INR)が1.3未満で、収縮期血圧が160mmHg未満だと、血腫増大リスク、院内死亡リスクともに減少することが明らかにされた。オッズ比はそれぞれ0.28、0.60であった。ドイツ・エアランゲン-ニュルンベルク大学のJoji B. Kuramatsu氏らが、約1,200例の患者について行った後ろ向きコホート試験の結果、明らかにした。同発症患者について、経口抗凝固薬の再開についても分析した結果、再開は虚血イベントの低下につながることが示されたという。なお、これらの結果について著者は、前向き試験での再現性と評価の必要性を指摘している。JAMA誌2015年2月24日号掲載の報告より。血腫増大リスクや経口抗凝固薬の再開について分析 研究グループは2006~2012年にかけて、ドイツ19ヵ所の三次医療機関を通じ、抗凝固療法の合併症で脳内出血を発症した患者1,176例について追跡した。そのうち853例については血腫増大、719例については経口抗凝固薬の再開について、それぞれ分析を行った。 主要評価項目は、INR値や血圧値と血腫増大発症率との関連などだった。INR値1.3未満の血腫増大発症率は19.8%、1.3以上では41.5% その結果、血腫増大が発症したのは、853例中307例(36.0%)だった。血腫増大率低下と関連がみられたのは、入院4時間以内のINR値が1.3未満と、同じく4時間以内の収縮期血圧160mmHg未満だった。具体的には、INR値1.3未満の血腫増大率は19.8%に対し、INR値1.3以上の同発症率は41.5%(p<0.001)。収縮期血圧160mmHg未満の同発症率は33.1%に対し、収縮期血圧160mmHg以上では52.4%だった(p<0.001)。 入院4時間以内のINR値が1.3未満で収縮期血圧160mmHg未満だった場合、血腫増大に関するオッズ比は0.28(95%信頼区間[CI]:0.19~0.42、p

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80)簡単にできるアルコール依存症テストで生活指導【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者尿酸値が高いといわれて、ビールから焼酎に変えてみたんですけど……。医師なるほど。アルコールの種類も大切ですが、アルコールに飲まれていないかどうかも大切ですね。ちょっと、チェックしてみましょう。まず、飲酒量を減らさなければならないと思ったことがありますか?(Cut down=減酒)患者いいえ。楽しく飲んでますが、ちょっと尿酸値は気になります。医師次は、他人から飲酒を非難され、気に障ったことがありましたか?(Annoyed=他者からの批判への煩わしさ)患者それはしょっちゅうですね。女房がうるさくて……。医師次は、飲酒について罪悪感を感じたことがありますか?(Guilty=飲酒への罪悪感)患者それはありません。医師最後に迎え酒をして、神経を鎮めたり、二日酔いを治そうとしたことがありますか?(Eye-opener=朝の迎え酒)患者それもありません。医師わかりました。アルコール依存症の可能性は低いようです。アルコール依存の方は禁酒、それ以外の方は節酒が基本となります。●ポイントアルコール依存症の人は禁酒、それ以外の人は節酒であると伝える!●資料【CAGEの質問】 アルコール依存症のスクリーニング検査1、2)。4項目のうち2項目以上当てはまればアルコール依存症の可能性が高い(敏感度77.8%、特異度92.6%)3)。 他に、KAST(男性版、女性版)やAUDITがある。 参考文献 1) McCusker MT, et al. QJM. 2002; 95: 591-595. 2) Burns E, et al. Addiction. 2010; 105: 601-614. 3) 廣尚典. 日本臨床. 1997; 55: 589-593.

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うつ病にダンスセラピー、その効果は

 英国・リーズ大学のBonnie Meekums氏らは、うつ病に対するダンス・ムーブメントセラピー(DMT)の効果を明らかにするため、3件の無作為化対照試験(RCT)の解析を行った。その結果、DMTのうつ病に対する確実な効果は認められなかったことを報告した。DMTは広範囲の文化的、知的バックグランドを持つ人が活用しているが、その効果は十分にわかっていなかった。Cochrane Database Systematic Reviews2015年2月19日号の掲載報告。 研究グループは、うつ病に対するDMTの効果を調べるため、未治療、標準治療単独、精神療法、薬物治療、その他の身体的介入と比較した。また、異なるDMTアプローチについてもその効果を比較検討した。Cochrane Depression, Anxiety and Neurosis Review Group's Specialised Register (CCDANCTR-Studies and CCDANCTR-References)およびCINAHLを、WHO International Clinical Trials Registry Platform(WHO ICTRP)および ClinicalTrials.govと合わせて検索した(2014年10月2日時点)。さらに、Allied and Complementary Medicine Database(AMED)、Education Resources Information Center(ERIC)、Dissertation Abstractsを検索し(2013年8月まで)、手動による検索で、関連する研究者、教育プログラム、世界的ダンスセラピーの専門家を調査した。 試験適格基準は、少なくとも1群をDMT群として設定し、年齢にかかわらずうつ病患者に対するアウトカムを検討しているRCTとした。DMTの定義としては、精神療法を目的としていることが明確な一般参加型のダンスで、試験実施国において承認されるレベルの訓練を経た個人により進められているものとした。国において承認される訓練を経た個人とは、たとえば米国では、American Dance Therapy Association (ADTA)のトレーナーあるいは資格認定者、英国では、Association for Dance Movement Psychotherapy(ADMP)のトレーナーあるいは認定を受けた者とした。同様の専門機関がヨーロッパには存在するが、このような専門分野がまだ発展途上であるいくつかの国(たとえば中国)では、その質の低さが米国や英国における数十年前の状況だとして、レビュワーは、関連する専門的資格(たとえば看護や精神力動療法)や、Levy 1992、ADMP UK 2015、Meekums 2002、Karkou 2006といった、公表されているガイドラインに準ずる療法であることが明記されていれば組み入れることとした。試験の方法論的な質を評価し、3人のレビュアーのうち2人がデータ抽出フォームを用いてデータを抽出した。残りの1人は判定者としての役割を担った。 主な結果は以下のとおり。・3件の試験の被験者合計147例(成人107例、未成年40例)が包含基準を満たした。DMT療法群74例、対照群は73例であった。・2件の試験は、成人男性と成人女性のうつ病患者を対象としていた。そのうち1試験は外来患者も対象としていたが、もう一方の試験は都市部の病院の入院患者のみを対象としていた。・3件目の試験は、中学校に通う未成年女子を対象とした調査結果を報告していた。・これらの試験はすべて、2種類のうつ病評価基準、すなわち医師によるハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)およびSymptom Checklist-90-R(SCL-90-R)(自己評価スケール)を用いて、継続的なデータ収集が行われていた。・3件の試験の間に統計学的な不均一性が確認された。・DMTのうつ病に対する確実な効果は認められなかった(SMD:-0.67、95%CI:-1.40~0.05、エビデンスの質は非常に低い)。・予定されたサブグループ解析において、2件の試験の成人107例において好ましい効果が示されたが、臨床的有意差を認めるに至らなかった(SMD:-7.33、95%CI:-9.92~-4.73)。・成人を対象とした1件の試験は脱落率を報告しており、そのオッズ比は1.82(95%CI:0.35~9.45)で有意差なしと判断された(エビデンスの質は低い)。・社会的機能を評価した1件の試験において、非常に有効な結果が認められたが(MD:-6.80、95%CI:-11.44~-2.16、エビデンスの質は非常に低い)、結果の正確性に問題があった。・1件の試験において、QOL(同:0.30、-0.60~1.20、エビデンスの質は低い)あるいは自尊感情(1.70、-2.36~5.76、エビデンスの質は低い)に関して好ましい影響、悪影響のいずれもみられなかった。・3件の小規模試験の147例で得られたエビデンスは質が低かったため、うつ病に対するDMTの効果に関して確固たる結論を導くことはできなかった。・うつ病に対するDMTの効果を評価するには、より大規模で方法論的に質の高い試験が必要である。その際には、経済的分析および受容性についても評価し、あらゆる年齢群を対象とすることも必要である。関連医療ニュース ヨガはうつ病補助治療の選択肢になりうるか 少し歩くだけでもうつ病は予防できる 高齢者うつ病患者への運動療法は有効  担当者へのご意見箱はこちら

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糖尿病予防の介入、リスク別が効果的/BMJ

 先行研究の無作為化試験で、メトホルミンと生活習慣改善の介入による糖尿病予防プログラムは糖尿病の発症を減少することが示されていたが、その介入効果は糖尿病発症リスクが高い人と低い人では異なることが明らかにされた。米国・ミシガン大学のJeremy B Sussman氏らによる事後分析の結果、メトホルミンの介入効果は高リスクの人に集中してみられること、また生活習慣への介入は高・低リスク群を問わず効果がみられるが、糖尿病発症リスクの最高四分位群で最低四分位群の6倍だった。結果を踏まえて著者は、「予防的治療はリスク層別化をすることで、より効果的に行うことができる」と述べている。BMJ誌オンライン版2015年2月19日号掲載の報告より。糖尿病予防プログラム試験データを事後分析 糖尿病ではないが糖代謝異常が認められる外来治療中の患者が参加した糖尿病予防プログラムの無作為化試験の事後分析を行い、プログラムで行われたメトホルミンまたは生活習慣改善の介入のベネフィットが被験者により異なるかを調べた。 主要評価項目は、糖尿病リスク予測モデルで発症リスクについて層別化したうえで評価した、糖尿病の発症であった。メトホルミン介入は高リスク群のみで有効、生活習慣改善介入は全リスク群に有効 ベースライン時の被験者3,081例のうち、追跡期間中央値2.8年の間に655例(21%)が糖尿病へと進行した。 糖尿病リスク予測モデルの識別能(C統計量0.73)と検定能は良好であった。四分位範囲で最低リスク群に分類された人が3年間で糖尿病を発症すると予測された確率は1.1~9.5%(平均6.9%)、最高リスク群の人は27~99%(同45%)であった。すなわち、最高リスク群は最低リスク群の6.5倍リスクが高いことを意味するものであった。 分析の結果、生活習慣改善介入による絶対リスク低下は、最高四分位群が最低四分位群より6倍大きかった。しかし、最低リスク群における絶対リスク低下もかなり大きく、それぞれ4.9% vs. 28.3%で、必要治療数(NNT)は20.4、3.5であった。 一方、メトホルミン介入のベネフィットは、最高リスク群に集中していた(対プラセボのハザード比0.44)。最高リスク群の3年間の絶対リスク低下は21.4%(NTT 4.6)であった。一方、第3四分位リスク群(同0.82)、第2四分位リスク群(同0.79)では低下がみられたもののわずかで、最低リスク群では介入のベネフィットがみられなかった(同1.07)。 著者は、「この知見を生かすことで、また、正確なリスク予測ツールに基づく意思決定により、過剰治療を減らすことができ、より効率的、効果的で患者中心の予防治療ができるだろう」とまとめている。

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5歳までのピーナッツ摂取でアレルギー回避?/NEJM

 ピーナッツアレルギー高リスクの小児は、早期よりピーナッツに曝露されたほうが、同アレルギー発症頻度が有意に低減することが、英国キングス・カレッジ・ロンドンのGeorge Du Toit氏らによる無作為化試験の結果、明らかにされた。西欧諸国では、ピーナッツアレルギーの子供の有病率は、過去10年間で2倍になっており、またアフリカやアジアでも出現してきているという。研究グループは、アレルギーリスクが高い乳児でピーナッツアレルギーを発症させないための最も効果的な戦略を確立するために、ピーナッツの摂取と回避の戦略を検討した。NEJM誌2015年2月26日号(オンライン版2015年2月23日)掲載の報告より。乳児640例をSPT陽性・陰性に分類し、無作為化試験 試験は、重症の湿疹、卵アレルギーのいずれかまたは両方を有する640例の乳児を対象とした。無作為化時点の被験児の年齢は、生後4ヵ月以上、11ヵ月未満であった。 皮膚プリックテスト(SPT)でピーナッツに対する感受性を調べ、SPT陰性(測定できる膨疹がなかった)コホート(542例)と、SPT陽性(直径1~4mmの膨疹が認められた)コホート(98例)に分類し、60ヵ月齢までピーナッツを摂取する群と回避する群に無作為に割り付けて評価が行われた。 主要アウトカムは、各コホートにおける、60ヵ月齢時点でのピーナッツアレルギー発症者の割合とした。ピーナッツ摂取群のほうがアレルギー発症が有意に低下 intention-to-treatに含まれたSPT陰性コホートは530例であった。そのうち、60ヵ月齢時のピーナッツアレルギー有病率は、回避群13.7%に対し摂取群1.9%であった(p<0.001)。 一方、intention-to-treatに含まれたSPT陽性コホート98例についても、有病率は回避群35.3%、摂取群10.6%であった(p=0.004)。 主に摂取群では、ピーナッツ特異的IgG4抗体値の上昇がみられ、回避群ではピーナッツ特異的IgE抗体価の上昇がみられた。 ピーナッツアレルギーは、SPTにおいて大きな膨疹がみられたこと、ピーナッツ特異的IgG4:IgEの率比の低下と関連していた。 著者は結果を踏まえて、「ピーナッツの早期曝露はアレルギーリスクの高い小児での発症頻度を有意に低下し、ピーナッツに対する免疫応答を変化させた」とまとめている。

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医療事故調査報告書が裁判で使われたら!? 第5回 医療法学シンポジウム開催(前編)

 2月15日、東京都内にて第5回医療法学シンポジウムが「医療事故調査報告書、及び、聞き取り調査書等内部資料と文書提出命令等証拠開示手続との関係」をテーマに開催された。今回は前編として、レクチャーを中心にお届けする。 2014年6月に「医療事故調査制度」が創設され、本年(2015年)10月の施行に伴い「医療事故調査・支援センター」において事故調査が行われることが決定した。この制度の目的は、あくまでも「医療安全の確保」であるが、その事故調査報告書が、医療訴訟で証拠として使用され、医師などへの個人責任追及につながるとも限らない。そうなると医師、医療関係者が、事故調査で真実を語ることが期待できず、制度自体の崩壊を招くと危惧されている。 今回のシンポジウムは、こうした背景の下、事故調査報告書の取り扱いと医療訴訟との接点について、医師と弁護士が今後予想される問題点を浮き彫りにし、理解を深めるために開催されたものである。カルテはもう開示の時代へ 小島 崇宏氏(大阪A&M法律事務所/医師・弁護士)は、「個人情報保護法に基づく開示手続」をテーマに、個人情報保護法の観点から患者などより医療機関に開示請求があった場合の問題点についてレクチャーを行った。 医療機関などで関係する個人情報としては、診療録(以下「カルテ」とする)、処方箋、手術記録、画像所見などが挙げられる。そして、個人情報保護法25条では、3つの例外規定を設け、開示しないことができる場合を定めている。しかし、医療機関などが完全に開示拒否を行うことは難しく、たとえば国公立病院などは、行政手続きに関連して裁判上で開示が命令される場合も予想される。そのため、日常より開示を前提に、たとえばカルテには事実関係だけの記載を行い、主観的な内容は記載しないなどの作成時の意識付けが重要であると語った。加害医師などの保護、ケアも重要 山田 奈美恵氏(東京大学医学部附属病院総合研修センター 特任助教/医師)は、「医療事故調査の実際 医療安全を目指す上で必要な事項」をテーマに、実際に医療機関で医療事故が発生した場合の事後対応とフォロー体制について説明を行った。 事故が発生した場合、大切なことは患者の救命と健康被害拡大を阻止することであり、同時に「誰が、誰に、どのような事故が発生したか」複数のラインからの連絡・報告が一元化されることが重要と語る。次に、患者および患者家族へ経緯の説明と謝罪などが行われるが、その際、医療メディエーターなどの活用が期待される。さらに、必要によりマスコミ、メディアへの説明、警察や保健所などへの報告が行われる場合があり、そこで混乱が起きないよう、院内で報告範囲について事前に話し合い、決めておくことが求められる。その他、事故当事者には、保護を含めたケアとフォローが必要であり、関係者における事故の経緯聴取後の検討会と事故調査報告書の作成も必要、と具体的な流れについて説明した。文書提出命令で全部開示しなくていい場合とは 山崎 祥光氏(井上法律事務所/弁護士・医師)は、「民事訴訟・保全において用いられる開示手続」をテーマにレクチャーを行った。 医療訴訟で証拠の乏しい原告(患者)側が、医療機関が持つカルテや関係する書類を手元で調べて、証拠とするために裁判所を通じて被告(医療)側に関係書類を提出させるのが証拠保全・文書提出命令である。 過去の裁判例では、「医師賠償責任保険事故・紛争通知書」について、秘密性・内部性、開示による重大な不利益を理由に開示を否定した裁判例や、院内の「医療事故報告書」について全部を開示するのではなく、提言部分だけの部分開示を命じた裁判例などを紹介するとともに、実務では文書開示に関して、裁判所も文書の性質とその内容をよく考慮して判断をしていると説明された。刑事事件化すると抵抗のすべがない 大滝 恭弘氏(帝京大学医学部 准教授/医師・弁護士)は、「刑事捜査・訴訟において用いられる開示手続」をテーマにレクチャーを行った。 はじめに刑事における医療事件の概要を説明し、2000年以降急激に増加、現在も年間70件程度あること、患者からの訴えが依然として多いことを報告した。 そして、業務上過失致死傷など刑事事件となった場合、刑事訴訟法上の強制捜査による捜索・差押えでは、関係するカルテ、処方せん(電子画像があればそのサーバー一式)などすべてが有無を言わさず押収される。これにより、事故調査と刑事捜査が並行して行われることで、事故調査は萎縮したものとなり、医療事故調査制度そのものが危うくなるおそれがあると、日航機ニアミスによる業務上過失傷害事件の裁判例を基に、予想される問題点を指摘した。 今後、医療事故調査の制度構築に当たっては、制度が形骸化しないよう明らかな犯罪行為による医療事件を除き、「医療事故調査が優先」、「刑事介入の排除」、「医療事故調査報告書の目的外使用の禁止」などが必要と提言が行われた。(後編へ続く)参考 厚生労働省 医療事故調査制度について関連コンテンツ MediLegal 医療従事者のためのワンポイント・リーガルレッスン

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整形外科医はオペ室での携帯電話使用に注意

 昨今、携帯電話は病院内で一般的に使われるようになった。 そこで、セントルイス大学のShakir IA氏らが整形外科医が手術室で使用している携帯電話の病原菌汚染について調査したところ、携帯電話は高確率で汚染されており、殺菌した後も多くの場合、再汚染することがわかった。そのため、手術室には携帯電話を持ち込まないか、持ち込む場合には1週間に1度以上定期的に殺菌することを勧めている。J Bone Joint Surg Am誌 2015年2月号の報告。 主な結果は以下のとおり。・整形外科医が手術室内に持ち込んだ携帯電話53台を対象とした。・全体の83%に病原菌が検出され、殺菌後も8%で病原菌が検出された。・殺菌1週間後に再度病原菌の有無を調べたところ、75%で病原菌が検出された。

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