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BMJは権威ある“一流”雑誌?〜大規模試験の意義を考える〜(解説:西垣 和彦 氏)-553

BMJは? 『ありがとう、センテンス・スプリング…』。今年前半にはやった“ゲスの極み”と化した大衆雑誌に掲載された記事であるが、これが信じられないほど売れた。この記事からは、何ら自身の生産性を上げるものでも、何ら知識欲を満たすものでもなく、単に時間を浪費させるだけのものに過ぎないことは明白であるが、現実として、とにもかくにもこの雑誌の当該号は売れたのである。以後、ゴシップネタはエスカレートし、ついに他誌でも都知事を辞任まで追い込み、“sekoi”という英単語を創作するまでに至った。この偏狭な営利主義とも思えることが、残念なことではあるが医学雑誌にも持ち込まれているのが現実である。 ご存じのように、BMJ誌はイギリス医師会雑誌であり、British Medical Associationが監修し、BMJ Groupから発行されている。国際的にも権威が高く、いわゆる“一流”雑誌といわれ、世界五大医学雑誌の1つなどとも呼ばれている。BMJ誌の特徴として、根拠に基づく医療(EBM)を推進していることが挙げられるが、多分に論説は英国医師会の立場を堅持した“sekoi”ものであり、アンチ製薬会社の立場から新規薬剤に対する非情なまでの批判論説が多いといわざるを得ない。 そうかと思うと、年末特集号ではイギリス的な皮肉を込めたジョーク論文を何本か載せるのが恒例であり、小学生レベルの日常ネタや夫婦生活に関するどうでも良い“ゲス”なネタなど、まさに完全に“娯楽化した雑誌”といわざるを得ない号もある。 本論文は、心房細動患者に対するダビガトランとワルファリンの無作為ランダム化比較試験を用いて新たなリスクモデルを開発し、当該薬剤の重大リスクの発生を正確に補足できるかを評価したものであるが、この論文に賛同できた人がどれだけいるのかまったく疑わしく、“またBMJか…”といったため息しか聞こえてこない。その理由を、大規模試験の意義を含めて概説する。本論文のポイントは? ダビガトランのような直接的な経口抗凝固薬(DOAC)は、ワルファリンと比較して心房細動患者の死亡率を低下させ、ワルファリンと少なくとも遜色なく安全であることが、これまでの大規模試験で示されてきた。 本論文では、試験データによって予測されるリスクが、医療で実際に観察されるリスクと類似しているかどうかを比較検討するために、市販ヘルスケア請求データベースより、心房細動のためダビガトランまたはワルファリンを処方された2万1,934例の患者の血栓症と出血のベースライン・リスクを算出した。その結果、血栓塞栓症推定発症率は、予測モデルとRCTでほぼ同等であったが、大出血の推定発症率は大規模試験では過小評価されていた。HAS-BLEDスコア高値のワルファリン服用例ではとくに顕著であり、過小評価分は最大4.0/100人年にも達するものであったと結論している。大規模試験の意義と読み方 医師個人で経験できる症例数は限られている。したがって、治療薬や治療法を選択する際には、多くの症例が組み込まれた大規模試験から得られた結果を参考にする。つまり、大規模試験の結果あるいは解釈は、医師個人で行われたわずかな症例から得られたものより尊重されるべきである。これが、根拠に基づく医療(EBM)であり、この点で大規模試験には大きな意義があるが、大規模試験のピットフォールをよく理解していないと、この論文のように誤認することがある。 大規模試験のピットフォールで最も気をつけたいことは、対象は、数々の除外項目で除かれた対象群であるということである。除外項目は、年齢制限だけでなく、基礎疾患や合併症、他の治療の有無など細かく設定されており、これら多くの除外項目で除かれたほんのわずかな、非常に特殊な症例から得られた結果であるという認識が必要となる。 したがって、大規模試験に登録された症例は、実臨床での患者母集団とまったく異なる“特別な母集団”であり、適応条件を満たす最も軽症な患者で、除外項目に引っかからない最も純粋な症例群である。このことは暗黙の了解であるが、本論文が指摘している、“実際の出血と比較し、出血の頻度を過小評価している”との結論に関しては、14日以内の脳卒中または6ヵ月以内の重症脳卒中、出血リスク上昇、クレアチニンクリアランス<30mL/分、活動性肝疾患など出血性因子の高い患者を登録時から除外している以上、当然といえば当然の結論ではないだろうか。 ダビガトラン群、ワルファリン群ともに同じ除外条件で選抜された対象群であることから、実地臨床を行っている臨床医においては、大規模試験から得られた結果を評価したうえで、実臨床にどの程度反映できるものかを吟味することが当然求められる。結論として 最近のBMJ誌を読むたびに、何か商業主義に席巻された医学雑誌という残念な印象を拭い去ることはできず、誠に遺憾である。衝撃的な、扇動的な巻頭表紙の挿絵程度ならまだしも、その本文までもとなるならば、没落の一途は否めないであろう。権威ある“一流”雑誌への復活を願うばかりである。

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慢性リンパ性白血病〔CLL : chronic lymphocytic leukemia〕

1 疾患概要■ 定義慢性の小型成熟Bリンパ球の単クローン性の腫瘍であり、末梢血、骨髄、リンパ節で増殖する。リンパ節外の病変はなく、末梢血では5,000/mm3以上の腫瘍細胞が観察される。通常腫瘍細胞はCD5とCD23との両者を発現する。■ 疫学欧米の成人の白血病のなかでは最も多く、10万人当たり3.9人の発症率であるが、東アジアでは少なく、日本では、およそ0.48人とする報告がある1)。欧米のアジア系移民でも少ないので、遺伝的素因が考えられている。■ 病因他の白血病、リンパ性腫瘍と同様、ゲノム異常によると考えられている。第13番染色体のmiR 15、16の欠失によるBCL2の活性化を始めとして、NOTCH1、MYD88、TP53、ATM、SF3B1などの遺伝子異常が複数関与している2)。■ 症状多くはまったく無症状であり、血液検査による異常値で発見される。一部、リンパ節腫脹、肝脾腫、体重減少、発熱、全身倦怠感、貧血症状を呈する例や繰り返す感染症から発見される例がある。また頻度は低いが、自己免疫性溶血性貧血、赤芽球癆、自己免疫性血小板減少症、無顆粒球症、低γグロブリン血症を合併することが知られている。■ 分類近縁疾患に、単クローン性B細胞リンパ球増加症(monoclonal B-cell lymphocytosis: MBL)と小リンパ球性リンパ腫(small lymphocytic lymphoma : SLL)がある。MBLは、健常人に認められるモノクローナルなBリンパ球の増殖である。臨床症状はなく、Bリンパ球は、CLLと同様の細胞表面抗原を呈していることが多いが、5,000/μL以下であるのでCLLの定義は満たさない。CLLへ進行することが知られている。SLLは、末梢血や骨髄への浸潤がないCLLと同一の腫瘍と考えられ病期や治療は低悪性度B細胞リンパ腫として扱われる。■ 予後一般に緩徐な経過をたどることが知られているが、初回診断時からの生存期間は症例により2~20年と大きなばらつきがあり、生存期間中央値は約10年といわれている。そのため治療開始時期の決断が困難であり、病勢を評価し、予後を予測するための臨床病期分類がいくつか報告されている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 診断基準末梢血中のリンパ球絶対数が3ヵ月以上にわたって、継続的に5,000/mm3を超えている。末梢血塗抹標本では、細胞質をほとんど持たない成熟小型リンパ球が一様に増加しており、フローサイトメトリーで、Bリンパ球がモノクローナルに増殖している。細胞表面抗原は、Tリンパ球抗原であるCD5およびBリンパ球抗原であるCD19、CD20、CD23が発現している。細胞表面免疫グロブリンやCD20の発現レベルは、正常Bリンパ球に比べて低いことが多い。免疫グロブリン軽鎖はκ型またはλ型のいずれかのみを発現している。■ 鑑別診断リンパ球数が増加する他の疾患との鑑別が問題となる。結核、梅毒、伝染性単核球症、百日咳、トキソプラズマ症などの感染症では、リンパ球増多を呈するが、いずれも反応性であり数週間で正常化する。CLL以外のリンパ増殖性疾患との鑑別も重要であり、hairy cell leukemia、prolymphocytic leukemia、large granular cell lymphocyte leukemia、mantle cell lymphomaを代表とする、リンパ腫の白血化などがある。■ 病期分類現在広く使われている病期分類には2種類ある。Rai分類(表1)は米国で、Binet分類(表2)は欧州で用いられており、リンパ節病変数および貧血、血小板減少の有無により分類する。画像を拡大する画像を拡大する■ その他の予後予測因子RaiおよびBinet分類により予後分類を行うが、low risk群に分類された症例のなかでも急速に進行する例がある。そのため、分子生物学的研究により、新たな予後因子も近年では提唱されている。(1)短いLymphocyte doubling time(LDT)(2)高い血清マーカー(LDH、β2 microglobulin、β2M)(3)免疫グロブリン重鎖変異(IgVH mutation)がない(4)CD38陽性(5)ZAP70(Zeta chain associated protein 70)が発現している(6)細胞遺伝学的検査での11q欠失・17p欠失が予後不良とされる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 治療開始時期Rai分類low risk群およびBinet分類A群の症例では、診断早期の治療が推奨されない。Rai分類intermediate・high risk群およびBinet分類B・C群の症例で治療開始が勧められる。ただし、intermediate risk群・B群においては、症状の出現まで経過観察が一般的である。一方で、リヒター症候群と呼ばれるトランスフォームを起こし、急速にリンパ節腫大を生じ、予後不良となることがある。無治療経過観察中に一転して、治療が無効となるので、患者説明の際に留意する。■ 治療薬剤現状ではCLLに対する標準治療は確立されていない。治療の選択肢が広がり、アルキル化剤に加えプリンアナログ、モノクローナル抗体が登場している。1)アルキル化剤クロラムブチルは、わが国では本疾患には未承認である。単剤治療について奏効率は40~60%で、完全寛解(complete response:CR)は4~10%であった3)。わが国では、シクロホスファミド(商品名: エンドキサン)が使用される。差違はほとんどないとされており、伝統的に併用療法中で用いられることが多いが、アントラサイクリンを加えるメリットはない4)。2)プリンアナログフルダラビンは(同: フルダラ)、わが国では静注薬に加え経口薬も承認されており、同等の効果が知られている。北米のintergroup studyでの、未治療CLLに対するフルダラビン単剤治療の第III相比較試験の結果5)では、奏効率60~70%であり、CR率も20~40%と良好なものであった。奏効率は有意差をもってクロラムブチルに優っており、無増悪生存期間(PFS)も有意に延長していた。しかし、クロスオーバーデザインであったためか、生存率の有意差は得られていない。3)モノクローナル抗体CD20に対する抗体のリツキシマブ(同: リツキサン)は、CLLに対しては単剤では奏効率10~15%と結果は乏しい6)。毒性として輸注関連反応が強く出現する可能性がある。オファツムマブ(同: アーゼラ)は、再発・難治性の場合に使用される。リツキシマブに比べてCD20エピトープに高い親和性で結合することと、結合後の解離速度が遅いことが特徴である7)。CD52に対するモノクローナル抗体であるアレムツズマブ(同:マブキャンパス)も再発・難治性の場合に用いられる。クロラムブチルとの第III相比較試験が行われ、奏効率83%、CR率24%でより高かったが、T細胞も抑制するためサイトメガロウイルスを始めとするウイルス感染の管理が重要である8)。4)併用療法フルダラビンとシクロホスファミドとの併用(FC療法)は、奏効率80~90%、CR率30~40%とフルダラビン単剤と比較して有効性が高い。PFSも有意に延長していたが、全生存期間(OS)については、観察期間が短い影響か、有意差は認められていない9)。フルダラビンとリツキシマブの併用(FR療法)も同様にフルダラビン単剤と比較して優れていることが示されている。リツキシマブとフルダラビンの同時投与法と連続的投与法の比較では、前者で奏効率90%(CR率47%)、後者で77%(CR率28%)であり、同時投与法が有意に優れていた10)。さらにフルダラビン、シクロホスファミド、リツキシマブの3剤併用(FCR療法)は、FC療法と比較され、CR率、OSで有意に優れていた11)。5)新規抗がん剤ベンダムスチン(同:トレアキシン)は、アルキル化剤とプリンアナログの両者の作用特徴を有する静注薬である。悪性リンパ腫に対する有効性が報告されているが、CLLに対しても第III相比較試験にてクロラムブチルよりも優れた有効性を示している12)。わが国でも、再発例に対して承認申請され認可待ちである(平成28年5月末現在)。BTKシグナルの抑制薬であるイブルチニブ(同:インブルビカ)が欧米だけではなく、わが国でも再発・難治例に対して承認され、米国ではPI3Kδを抑える idelalisibが認可されている。いずれも経口薬である。イブルチニブ13)は、オファツムマブに対して第III相比較試験で有効性のため中途終了、 idelalisibはリツキシマブ単独に比べて14)リツキシマブとの併用療法でPFSで優っていた。さらに高齢化などのために全身状態の悪い症例でchlorambucilとの併用で、あらたなCD20抗体であるobinutuzumab(GA101)は、リツキシマブよりPFSで有意に優っており15)、米国で承認されている。6)造血幹細胞移植若年者を主体に治癒を目指して同種造血幹細胞移植が行われ、40~50%の長期生存が報告されている。リツキシマブ、フルダラビン、ベンダムスチンを用いた骨髄非破壊的前処置を用いた移植成績は、第II相比較試験の結果ではきわめて良好であった16)。■ 合併症治療CLL患者では、正常リンパ球が低下しており、免疫不全状態にあることが多く、感染症の合併には常に注意を払う必要がある。P. jiroveciによるニューモシスチス肺炎、CMV感染、帯状疱疹を発症する危険性が高く、ST合剤や抗ウイルス薬の予防内服を検討する。4 今後の展望わが国でも米国発の経口薬である新薬が、使用できるように期待したい。5 主たる診療科血液内科、血液腫瘍科、血液・腫瘍科、造血器科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)アメリカ国立がん研究所のCLLの総合情報のページ(医療従事者向けの情報)1)Tamura K, et al. Eur J Haematol.2001;67:152-157.2)Puente XS, et al. Nature.2011;475:101-105.3)Dighiero G, et al. N Engl J Med.1998;338:1506-1514.4)CLL Trialists' Collaborative Group. J Natl Cancer Inst.1999;91:861-868.5)Rai KR, et al. N Engl J Med.2000;343:1750-1757.6)O'Brien SM, et al. J Clin Oncol.2001;19:2165-2170.7)Cheson BD. J Clin Oncol.2010;28:3525-3530.8)Lemery SJ, et al. Clin Cancer Res.2010;16:4331-4338.9)Flinn IW, et al. J Clin Oncol.2007;25:793-798.10)Byrd JC, et al. Blood.2005;105:49-53.11)Tam CS, et al. Blood.2008;112:975-980.12)Hillmen P, et al. J Clin Oncol.2007;25:5616-5623.13)Byrd JC, et al. N Engl J Med.2013;369:32-42.14)Furman RR, et al. N Engl J Med.2014;370:997-1007.15)Goede V, et al. N Engl J Med.2014;370:1101-1110.16)Kahr WH, et al. Blood.2013;122:3349-3358.公開履歴初回2014年07月01日更新2016年06月21日

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中枢神経系作用薬による高齢者入院リスクは

 認知障害に対する中枢神経系(CNS)作用薬の効果を評価したほとんどの研究は、個々の薬剤使用に焦点を当ててきた。他のCNS作用薬を追加した際の認知機能への影響は、よくわかっていない。南オーストラリア大学のLisa M Kalisch Ellett氏らは、CNS作用薬の併用薬剤数および標準用量(1日用量)の増加と高齢患者における錯乱、せん妄、認知症による入院リスクとの関連を検討した。Journal of the American Medical Directors Association誌2016年6月1日号の報告。 2011年7月~2012年6月までのhealth claimsデータを用いた、後ろ向きコホート研究。対象は、試験開始前に少なくとも年1回はCNS作用薬を使用した、65歳以上のオーストラリア住民7万4,321例。錯乱、せん妄、認知症、緩和ケアを受けるための入院歴のある患者は除外された。主要アウトカムは、錯乱、せん妄、認知症による入院とした。 主な結果は以下のとおり。・1年間の研究期間中、401例が錯乱、せん妄、認知症のために入院した。・調整後の分析による入院リスクは、CNS作用薬未使用患者と比較し、2剤使用していた患者では、2.4倍(発生率比[IRR]:2.39、95%CI:1.79~3.19、p<0.001)、5剤以上使用していた患者で19倍以上(IRR:19.35、95%CI:11.10~33.72、p<0.001)であった。・同様に、入院リスクは、未使用患者と比較し、標準1日用量が1.0~1.9(IRR:2.64、95%CI:1.99~3.50、p<0.001)および2.0~2.9(IRR:3.43、95%CI:2.07~5.69、p<0.001)で有意に増加していた。 著者らは「CNS作用薬の多剤併用または高用量での使用は、錯乱、せん妄、認知症による入院リスク増加と関連していた。専門医は、錯乱やせん妄を呈した患者におけるCNS作用薬の影響を考慮し、治療負担を軽減しうる治療戦略を検討する必要がある」とまとめている。関連医療ニュース せん妄治療への抗精神病薬投与のメタ解析:藤田保健衛生大 認知症者への抗精神病薬投与の現状は 注意が必要、高齢者への抗コリン作用

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ESS留置後のDAPT、6ヵ月と12ヵ月の比較

 薬剤溶出ステント(DES)留置後は、ステント血栓症を防ぐため、12ヵ月間の抗血小板薬2剤併用療法(dual antiplatelet therapy:DAPT)が推奨されている。近年の無作為化試験では、新世代のDES留置後のDAPTの3~6ヵ月投与は12ヵ月投与と同等の成績が得られることが報告されており、また新世代DESの死亡、心筋梗塞、ステント血栓症のリスクがベアメタルステントや第1世代のDESと比べて低いことも示唆されている。しかし、新世代のエベロリムス溶出ステント留置後のDAPTの最適な投与期間について、適切に計画、実施された試験は少ない。 今回、韓国の20施設で、エベロリムス溶出ステント(商品名:Xience Prime)留置後のDAPT 6ヵ月投与を12ヵ月投与と比較する医師主導型の前向き無作為化試験が実施され、JACC Cardiovascular Interventions誌オンライン版2016年5月11日号に発表された。主要評価項目に有意差なし 本試験では、2010年10月~2014年7月の間に、エベロリムス溶出ステントを留置した1,400例(平均ステント長45mm超)のうち、699例をDAPT(アスピリン100mg/日とクロピドグレル75mg/日)6ヵ月投与群に、701例を12ヵ月投与群に無作為に割り付けた。 主要評価項目は1年後の心臓関連死亡、心筋梗塞、脳卒中、およびTIMI基準による大出血の複合とし、intention-to-treatを用いて解析を行った。 主要評価項目の発生は、6ヵ月群で15例(2.2%)、12ヵ月群で14例(2.1%)であった(HR:1.07、p=0.854)。definiteもしくはprobableのステント血栓症は6ヵ月群で2例(0.3%)、12ヵ月群でも2例(0.3%)発症した(HR:1.00、p=0.999)。686例の急性冠動脈症候群の患者(両群とも2.4%、HR:1.00、p=0.994)と糖尿病を有する506例(6ヵ月群 2.2% vs. 12ヵ月群 3.3%、HR:0.64、p=0.428)の間で、主要評価項目の有意な差は認められなかった。 2014年にThe New England Journal of Medicine誌に発表された大規模無作為化試験であるDAPT試験では、新世代のDES後でも12ヵ月を超えるDAPTの有用性が示されており、DAPTの最適な使用期間については答えが出ていない。報告者らは、今後、大規模な無作為化試験での1年超の追跡が必要であると結論付けている。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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未成年者の肥満、過去20年の動向/JAMA

 米国の小児・思春期青少年(2~19歳)の肥満の有病率は、2011~14年は17.0%であり、極度の肥満(extreme obesity:年齢性特異的BMI値が95パーセンタイル以上の120%以上)の割合は5.8%であることが、米国疾病予防管理センター(CDC)のCynthia L. Ogden氏らにより報告された。1988~94年から2013~14年の動向を調査した結果で、肥満の有病率は、2~5歳児では2003~04年までは上昇、以降は減少したことや、6~11歳児では2007~08年までは上昇し、以降は横ばい、12~19歳では調査期間中は上昇していたという。JAMA誌2016年6月7日号掲載の報告。1988~94年から2013~14年の米国民健康・栄養調査の2~19歳のデータを分析 調査は、1988~94年から2013~14年の米国民健康・栄養調査で体重と身長を測定した2~19歳の小児と思春期青少年を対象に行われた。2011~14年の肥満および極度の肥満の有病率を示すとともに、調査期間中の動向を明らかにすることが目的であった。 主要評価項目は、肥満で、性別にみたCDCの発育期BMI評価チャートで95パーセンタイル以上と定義した。極度の肥満は、同95パーセンタイルの120%以上と定義した。詳細推定値は2011~14年について算出し、有病率の線形・二次傾向の分析は、9つの調査対象期間(1988~94、1999~2000、2001~02、2003~04、2005~06、2007~08、2009~10、2011~12、2013~14年)で行った。また、2005~06年と2013~14年の間の動向も分析した。2011~14年の有病率は17.0%、極度の肥満5.8% 分析には、4万780人の小児・思春期青少年が含まれた。平均年齢は11.0歳、女子が48.8%であった。 2~19歳において、2011~14年の肥満有病率は17.0%(95%信頼区間[CI]:15.5~18.6)であり、極度の肥満は5.8%(同:4.9~6.8)であった。 2~5歳の有病率は、1988~94年の7.2%(同:5.8~8.8)から2003~04年は13.9%(同:10.7~17.7)に上昇し(p<0.001)、その後2013~14年の9.4%(同:6.8~12.6)へと減少(p=0.03)がみられた。 6~11歳では、1988~94年の11.3%(95%CI:9.4~13.4)から2007~08年19.6%(同:17.1~22.4)へと上昇したが(p<0.001)、その後は変化がみられず、2013~14年は17.4%(同:13.8~21.4)であった(p=0.44)。 12~19歳では、1988~94年10.5%(95%CI:8.8~12.5)から2013~14年20.6%(同:16.2~25.6%)まで上昇が認められた(p<0.001)。 極度の肥満については、6~11歳は1988~94年3.6%から2013~14年4.3%に上昇(p=0.02)、12~19歳は同2.6%から9.1%へと上昇(p<0.001)していた。 なお、2005~06年と2013~14年の間について有意な変化の傾向はみられなかった(p値範囲0.09~0.87)。

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131)暑い季節は減塩しなくてもOK?【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 医師暑くなってきましたね。夏バテとかしていませんか? 患者ありがとうございます。夏バテはしていないんですが、熱中症が心配で…。 医師普段はどうされているんですか? 患者普段、水分を摂るときに塩分には気を付けているんですが…テレビで「高齢者は熱中症になりやすいので、塩分を摂った方がいい」って言ってて…私の場合、どうしたらいいですか? 医師確かに、悩みますよね。夏は汗をよくかくので、水分が失われやすくなります。血圧が正常な人も、血圧が高い人も汗をよくかくときは、水分を十分に摂ってください。 患者塩分はどうしたらいいですか? 医師血圧が高い人は、夏でも減塩を続けてください。ただし、よく汗をかいたときには、水分とともにスポーツドリンクなどで塩分やミネラルも補給してください。 患者なるほど。まずは汗のかき具合をチェックですね。よくわかりました。●ポイント高血圧の人には、夏場に意識的に食塩摂取を増やす必要がないことを、「よく汗をかく」をキーワードにわかりやすく説明することで、理解が深まります。ただし、その際水分はしっかり摂るよう補足します参考資料1)夏の日常生活における水分と塩分の摂取について(日本高血圧学会:一般のみなさま向けの情報)

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各種非定型抗精神病薬、プロラクチンへの影響を比較

 非定型抗精神病薬がマクロプロラクチンとプロラクチンの血清レベルを上昇させるか、またマクロプロラクチンレベルは非定型抗精神病薬の種類により異なるのかを、韓国・仁済大学のYoung-Min Park氏らが検討を行った。Psychiatry research誌2016年5月30日号の報告。 6病院より、連続登録方式で合計245例が抽出された。血清プロラクチンおよびマクロプロラクチンレベルは、抗精神病薬単独療法の単一ポイントで測定した。 主な結果は以下のとおり。・マクロプロラクチンレベルを含めた平均総血清プロラクチン値は、アリピプラゾール11.91ng/mL、ブロナンセリン20.73 ng/mL、オランザピン16.41 ng/mL、パリペリドン50.83 ng/mL、クエチアピン12.84 ng/mL、リスペリドン59.1 ng/mLであった。・マクロプロラクチンは、アリピプラゾール1.71ng/mL、ブロナンセリン3.86 ng/mL、オランザピン3.73 ng/mL、パリペリドン7.28 ng/mL、クエチアピン2.77 ng/mL、リスペリドン8.0 ng/mLであった。・パリペリドンおよびリスペリドンの総プロラクチン、マクロプロラクチンレベルは、他の抗精神病薬の中央値と比較し、有意に高かった(p<0.01)。・プロラクチンとマクロプロラクチンの血清レベルとの間に強い正の相関が認められた。・性機能不全は、全体の35.5%(87/245例)で認められた。・しかし、総プロラクチンレベルは、女性化乳房を除く性機能不全の有無との間に有意な差はなかった。関連医療ニュース リスペリドン誘発性高プロラクチン血症への補助療法 抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症、乳がんリスクとの関連は プロラクチン上昇リスクの低い第二世代抗精神病薬はどれか

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未成年者への抗うつ薬は有益か?14薬剤のメタ解析/Lancet

 大うつ病急性期治療における抗うつ薬のリスク・ベネフィットを考えた場合、小児および思春期青少年には明らかな利点はないようだとの見解を、英国・オックスフォード大学のAndrea Cipriani氏らが、ネットワークメタ解析の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「薬物治療が必要な場合のベスト選択肢は、おそらくfluoxetineだろう」と述べている。大うつ病は、小児・思春期青少年において最もよくみられる精神疾患であるが、同集団に薬物治療による介入を行うべきかどうか、どのような薬物を処方すべきかは、なお議論の的となっている。研究グループは、プラセボとの比較による抗うつ薬のランク付けを意図し本検討を行った。Lancet誌オンライン版2016年6月7日号掲載の報告より。ネットワークメタ解析で、14の抗うつ薬に関するプラセボ比較試験結果を分析 検討は、関連試験から直接比較および間接比較によるエビデンスを集約するためネットワークメタ解析法を用いた。PubMed、Cochrane Library、Web of Science、Embase、CINAHL、PsycINFO、LiLACSなどを介して、公表・未公表両者を含む二重盲検無作為化対照試験を検索した。2015年5月31日時点で、小児および思春期青少年における大うつ病急性期治療について評価した、アミトリプチリン、citalopram、クロミプラミン、desipramine、デュロキセチン、エスシタロプラム、fluoxetine、イミプラミン、ミルタザピン、nefazodone、ノルトリプチリン、パロキセチン、セルトラリン、ベンラファキシンに関する試験を適格とした。難治性うつ病、治療期間が4週未満、被験者10例未満の試験は除外した。 事前規定のデータ抽出シートを用いて発表された報告から情報を入手し、バイアスリスクは、Cochraneバイアスリスクツールを用いて評価した。 主要アウトカムは、有効性(うつ症状の変化)および忍容性(有害事象による治療中断)であった。ランダム効果モデルを用いてペアワイズメタ解析を行い、その後にベイズ法でランダム効果ネットワークメタ解析を行った。それぞれのネットワークに関連したエビデンスの質はGRADEフレームワークを用いて推算した。統計的に有効性が有意であったのはfluoxetine 34試験が適格基準を満たし、被験者5,260例、14の抗うつ薬治療に関するデータを包含した。質的エビデンスは、大半の比較で「非常に低い」と判定された。 有効性に関しては、fluoxetineのみがプラセボと比較して統計的に有意な効果が認められた(標準化平均差:-0.51、95%信用区間[CrI]:-0.99~-0.03)。 忍容性に関しても、fluoxetineは統計的に良好であることが示された。デュロキセチンと比較してのオッズ比(OR)0.31(95%CrI:0.13~0.95)、イミプラミンとの同0.23(0.04~0.78)。 イミプラミン、ベンラファキシン、デュロキセチンを投与されていた患者は、プラセボを投与されていた患者との比較において、有害事象による治療中断が有意に高率であった。それぞれ5.49(1.96~20.86)、3.19(1.01~18.70)、2.80(1.20~9.42)。 不均一性に関しては、全体的に有効性のI2値は33.21%、忍容性は0%であった。

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米国医師の年収格差、男女間で1千万円強/BMJ

 米国医師の年収について、男性医師では人種間(白人と黒人)に有意な格差がみられる一方、女性医師では人種間に有意差はみられないが、全体的に男性医師よりも有意に低いことが、米国ハーバード・メディカル・スクールのDan P Ly氏らによる断面サーベイ調査の結果、明らかにされた。結果について著者は、「さらなる検討を行い、これらの格差が、就業機会の格差によって生じているのかを調べる必要がある」と提言している。米国社会では、黒人と白人の経済格差がみられるが、医師に関する人種間格差については限定的な推察にとどまっていたという。BMJ誌オンライン版2016年6月7日号掲載の報告より。全米医師を対象にした2つのサーベイで分析 調査は、全米の代表的なサンプル医師を含んだ2000~13年全米コミュニティ・サーベイ(American Community Survey:ACS)の対象者で、白人男性医師4万3,213人、黒人男性医師1,698人、白人女性医師1万5,164人、黒人女性医師1,252人。また、2000~08年保健制度改革研究センター(Center for Studying. Health System Change:HSC)のサーベイ対象医師で、白人男性医師1万2,843人、黒人男性医師518人、白人女性医師3,880人、黒人女性医師342人であった。 主要評価項目は年収で、ACS対象者については年齢、労働時間、調査年、居住状況を補正して算出。HSC医師サーベイ対象者については、年齢、専門分野、労働時間、調査年、診療経験、診療タイプ、メディケア/メディケイドからの収入が占める割合を補正して算出し、評価した。白人と黒人の男性医師の年収差は6万ドル、男性と女性の年収差は10万ドル 白人男性医師は、黒人男性医師よりも、年収中央値が有意に高かった。一方で、女性医師の収入中央値について、人種との関連性は一貫して認められなかった。 具体的には、ACS対象者では、白人男性医師の補正後年収中央値は25万3,042ドル(95%信頼区間[CI]:24万8,670~25万7,413ドル)であったのに対し、黒人男性医師は18万8,230ドル(同:17万844~20万5,616ドル)であった(差:6万4,812ドル、p<0.001)。 一方、白人女性医師は16万3,234ドル(95%CI:15万9,912~16万6,557ドル)で、黒人女性医師は15万2,784ドル(同:13万7,927~16万7,641ドル)であり、有意な差はなかった(差:1万450ドル、p=0.17)。 10万ドルは、換算すると約6万9,000ポンド(8万9,000ユーロ)である。格差のパターンについて、HSC医師サーベイ対象者で専門性や診療特性で補正して調べたが、変化はみられなかった。

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乾癬とうつ病はどう関連する?

 乾癬は、うつ病のリスク因子である。うつ病もまた、乾癬のトリガーや悪化要因となる可能性があるが、乾癬とうつ病との関係は、いまだ完全には明らかにされていない。そこで米国・ニューヨーク大学のCohen BE氏らでは、米国民における乾癬と大うつ病の関係性を調査した。JAMA Dermatology誌2016年1月号に掲載の報告。 本研究は2009~12年の米国国民健康栄養調査(NHANES)への参加者を対象とした集団ベース研究である。大うつ病の診断はPatient Health Questionnaire-9(PHQ-9)を用いた。  主な結果は以下のとおり。・研究対象となった米国市民1万2,382人のうち、351例(2.8%)が乾癬、968例(7.8%)が大うつ病と診断された。・351例の乾癬患者のうち58例(16.5%)が大うつ病の診断基準を満たした。・乾癬の既往患者は、乾癬の既往がない患者と比較して平均PHQ-9スコアが有意に高かった(4.54 [5.7] vs.3.22 [4.3]、p<0.001)。・性別、年齢、人種、BMI、身体活動、喫煙歴、アルコール摂取、心筋梗塞(MI)の既往、脳梗塞の既往、糖尿病の既往の調整後においても、乾癬と大うつ病との間に有意な関連性があることが認められた(オッズ比[OR] 2.09 [95%CI:1.41~3.11]、p<0.001)。・乾癬の既往と心血管イベントの既往(とくにMIまたは脳梗塞)を有する患者との相互作用項を含む解析においては、相乗的な大うつ病のリスク上昇は示されなかった(乾癬とMI: OR 1.09 [95 % CI:0.28~3.60]、p=0.91;乾癬と脳卒中:OR 0.67 [95%CI:0.12~3.66]、p=0.63)。・多変量調整モデルにおける大うつ病のリスクは、限局型の乾癬と汎発型の乾癬の患者間で有意差は認められなかった(OR 0.66 [95%CI:0.18~2.44]、p=0.53)。 以上の結果より、自己申告に基づく乾癬の既往は、併存疾患による差の調整後においても、評価ツール(PHQ-9)による大うつ病の診断との間に独立した相関関係が認められた。ただし、心血管イベントの既往は乾癬患者の大うつ病リスクを増加させなかった。また、乾癬の重症度は、大うつ病のリスクとは無関係であった。したがって重症度に関係なく、乾癬を有するすべての患者は、大うつ病のリスクを有する可能性があると考えられる。

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MESA Air試験:批判しづらい研究?(解説:野間 重孝 氏)-551

 この研究は、大都市圏(ボルチモア、シカゴ、ロサンゼルス、ニューヨーク、セントポール、ウィンストン・セーレムの6都市)において、一定量のPM2.5とNOxに曝露し続けることが、冠動脈の石灰化をもたらす可能性があることを、約7,000例を対象とした10年間にわたる追跡調査によって明らかにした研究として、環境問題を取り上げる運動家の間で話題になっているようだ。もっともこの研究では、冠動脈硬化と比較的相関性が高いといわれる内頸動脈内膜の肥厚については明確な結果を出すことができなかったため、こういった調査研究に懐疑的な向きからは、また状況証拠を1つ追加しただけだ、と冷ややかな反応があることも事実であるようだ。加えて、冠動脈CTが普及するにつれて、CT上の冠動脈石灰化はある一定年齢以上の患者にとっては必ずしも珍しい所見ではなく、その多くがイベントと結び付かないことが次第に明らかになってきていることも、彼らには不利に働いているのだろう。 まず、粒状物質の定義から振り返っておくと、第一は浮遊粒状物質(suspended particulate matter)という考え方で、この場合「大気中に比較的長く浮遊し、呼吸器系に吸入される粒径10μm以下の粒子」と定義される。最近問題になっているPM2.5というのは、これに対して微小粒子状物質と呼ばれ、粒子状物質の中でも粒径2.5μm以下の微小なものを指し、「呼吸器系の深部まで到達しやすく、粒子表面にさまざまな有害成分が吸収・吸着されていることなどから健康被害が懸念される」とされている。前者の場合は、植物粒子や火山灰なども含まれるが、後者では純粋に公害物質を指していると理解すれば良いだろう。 わが国では、PM2.5といえばもっぱら中国から黄砂に乗ってやってくる汚染物質と認識されて有名になったが、米国ではすでに90年代に相次いで報告されたコホート研究によって注目されており、幅広い健康エンドポイントによる研究結果が報告されている。ただ、評者などが疑問に思うのは、呼吸器系疾患のように汚染物質の吸引と疾病の発生の因果関係が明らかなものだけでなく、こういった研究の最初の段階から動脈硬化や虚血性心疾患に対する影響が検討されていることである。 こうした研究の幾つかを紐解いてみると、PM2.5の心血管系に対する作用経路は3つ考えられているようである。第一は肺から全身への炎症を介する経路、第二は自律神経のバランスを崩すことによる経路、第三が直接血液に移行する経路である。実際PM2.5の濃度上昇により、心拍数の増加、心拍変動の低下、安静時血圧の上昇、不整脈の発生などがみられると主張する研究者たちがいるのだが、重要なことはこれらの事実は実験的に確かめられてはいないし、もちろんそのメカニズムも不明であるということである。 そのような眼で今回の研究を見直したとき、確かに大変に手間暇のかかった研究ではあるが、そういった根本部分には何一つ迫っていないことに気付かざるを得ない。 私たち日本人は、高度成長時代を駆け抜ける中で、大量のじん肺患者の発生、阿賀野川、水俣の水質汚染、川崎の大気汚染と呼吸器疾患の大量発生など、多くの環境汚染問題を経験してきた。それだけに、今回の研究のように大気汚染に対して警鐘を鳴らす研究には、つい一票を投じたくなるのであるが、私たち科学者は情緒に流されない批判精神を保持しなければならないのではないかと思う。 歯に衣を着せずに申し上げて、今回の研究は疫学調査研究として大変によくできた研究とはいえないと思う。それでも大気汚染問題といった、誰もが反対、無視しづらい問題が取り上げられることにより論文が話題になることに、評者はいささか反発を感じるのだが、これは評者の感じ方が特別なせいなのだろうか。

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喫煙者は被害者!?

喫煙者は被害者?! 禁煙化が進む欧米では、喫煙者をタバコの被害者と見なし、その救済に社会全体で取り組む姿勢を見せています。 ニコチン依存症は、社会が責任を持って治療支援すべき疾患であるという考えの下、政府が無料の電話相談窓口、クイットライン(Quitline)を設け、禁煙の支援を受けるよう促しています。タバコ販売店舗ではクイットラインの案内板表示が義務付けられている(オーストラリア)禁煙は治療です。積極的に支援を受け、禁煙に取り組みましょう!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニック 清水 隆裕氏Copyright © 2016 CareNet, Inc. All rights reserved.

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Vol. 4 No. 4 心房細動患者におけるDAPTを考える

掃本 誠治 氏熊本大学大学院生命科学研究部循環器内科学はじめに高齢化で増加している心房細動には、抗凝固薬が必須である。経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行症例、心筋梗塞、それぞれに合併する心房細動頻度は、海外では約10%、本邦では6~8%程度と報告されている1-3)。心房細動とステントを伴うPCIを合併すれば、DAPT+抗凝固薬の3剤併用と考えるが、出血リスクが上昇する4-6)。心房細動合併PCIあるいは急性冠症候群(ACS)患者に対する抗凝固薬と抗血小板薬の組み合わせは、原疾患による血栓塞栓症リスクと抗血栓薬による出血リスクの有効性と安全性を考慮することが重要である。WOEST試験WOEST試験7)は、心房細動や機械弁留置後に抗凝固薬を服用する患者で、冠動脈ステント挿入後、クロピドグレルと抗凝固薬の2剤併用群[経口抗凝固薬(ワルファリン)+クロピドグレル284例]と、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)と抗凝固薬の3剤併用群(ワルファリン+クロピドグレル+アスピリン289例)で、安全性と有効性を比較した試験で、平均年齢70歳、男性80%、抗凝固薬投与の理由として、心房細動が2剤併用群で69.5%、3剤併用群では69.2%、機械弁はそれぞれ10.2%と10.7%だった。結果として、1年間の出血イベントは、3剤併用群が有意に高値だった(3剤44.4% vs. 2剤19.4%)。また心血管イベントは、2剤併用群が有意に低かった(複合エンドポイント;1次エンドポイント+脳卒中+全死亡+心筋梗塞+ステント血栓症+標的血管再血行再建術;3剤併用群17.6% vs. 2剤併用群11.1%)。抗凝固薬を服用している患者でステント留置術を受けたとき、アスピリンを止めてチエノピリジン系抗血小板薬単剤と抗凝固薬の合計2剤にするというこれまでの発想とは異なることが不可能ではないことを示した意義は大きい。また、心房細動合併のステント留置術後の患者において、CREDO-Kyoto PCI/CABG Registryコホート2が日本の実情を表している3)。2005年~2007年、26施設、1,057例、退院時ワルファリン群506例(48%)、非ワルファリン群551例(52%)を5年間フォローし、脳卒中(虚血性、出血性)、全死亡、心筋梗塞、大出血を評価。非ワルファリン群は、高齢、急性心筋梗塞、頭蓋内出血、貧血が多く、男性、薬剤溶出性ステント(DES)、末梢動脈疾患(PAD)が少なかった。そもそも、心房細動があってもDAPTで上記の因子が複数あれば、臨床現場においてはワルファリンを躊躇するのかもしれない。脳卒中は、ワルファリン群と非ワルファリン群で有意差がなく、虚血性、出血性でも有意差はみられず、心筋梗塞は、ワルファリン群で少なかった。プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)治療域内時間(TTR)が65%以上群では、65%未満群に比し脳卒中発症率が低値だった。非弁膜症性心房細動(NVAF)ACSやPCI直後ではない非弁膜症性心房細動(NVAF)患者を対象として、本邦からJAST試験においてNVAF患者へのアスピリン150~200mg/日投与は、大出血が多く、無効と報告されている8)。海外では、ACTIVE W試験において、脳卒中リスクの高い心房細動患者に対し(17.4%に心筋梗塞既往)、DAPT(クロピドグレル+アスピリン)は、OAC(経口抗凝固薬)に比し心血管イベント抑制効果を示せなかった9)。さらに、NVAFでワルファリン不適合者に対するアスピリンとクロピドグレルのDAPTはアスピリン単独に比し脳梗塞抑制効果がみられたが、心筋梗塞死、血管死は差がなく、大出血イベントが多かった10)。以上の結果は、心房細動には抗血小板薬より抗凝固薬が必要であることを示している。ワルファリンのエビデンス冠動脈疾患には低用量アスピリンを終生投与するのが現在のガイドラインであるが、ワルファリンは50年以上日常臨床で使用されている薬剤で、急性心筋梗塞後のワルファリン vs. プラセボの大規模臨床研究でワルファリンの有効性が示されている11)。さらに心筋梗塞後、アスピリン vs. ワルファリン vs. アスピリン+ワルファリンの3群での比較研究では、アスピリン+ワルファリン併用群、ワルファリン群、アスピリン群の順に心血管イベント抑制効果が優れていた12)。しかし、この試験でのPT-INRは2.8~4.2と現在の実臨床より高値で設定されており、出血合併症が多かったこともあり推奨されなかった。安定冠動脈疾患を合併した心房細動患者のデンマークでのコホート研究では、ワルファリンに抗血小板薬を追加しても心血管イベントリスクは減少せずに出血リスクが増加した13)。以上は、出血リスクが低ければ、抗凝固薬が冠動脈疾患にも有効であることを示唆するものである。実臨床においては、本来抗凝固療法の適応でありながら、あえてコントロール不要の抗血小板薬を投与して、ワルファリンが躊躇される症例が存在した。そのようななかで、脳出血が少なく、PT-INRのコントロールが不要なNOACの登場は実臨床においては魅力的である。心房細動患者におけるACS合併またはステント留置時のガイドライン欧州心臓病学会からACS合併あるいはPCI施行の心房細動患者での抗血栓薬のjoint consensus documentが2014年に発表された14)。(1)脳卒中リスク CHA2DS2-VAScスコア(2)出血リスク HAS-BLEDスコア(3)病態 安定冠動脈疾患か急性冠症候群(待機的か緊急か)(4)抗血栓療法 どの抗血栓薬をどのくらい使用するか基本的には、出血リスクの高い3剤併用(DAPT+抗凝固薬)の期間を上記の条件にしたがって層別化し、可能なら抗血小板薬単剤+抗凝固薬に減量し、12か月以上では、左冠動脈主幹部病変などを除き可能なら抗凝固薬単剤への切り替えが推奨されている。また、VKAはTTR70%以上が推奨されており、VKAとクロピドグレルand/orアスピリンの症例ではINRは2.0~2.5が推奨されている。また、アクセス部位は橈骨動脈穿刺が推奨されている。AHA/ACC/HRSの心房細動ガイドライン2014でも、PCI後CHA2DS2-VAScスコアが2点以上では、慢性期にはアスピリンを除いて、抗凝固薬+抗血小板薬単剤が合理的であると記載されている15)。現在進行中の試験ACSあるいはPCIを受けた心房細動患者に対するNOACの臨床試験が進行中である(本誌p16の表を参照)16)。 RE-DUAL PCI試験は、ステント留置を伴うPCIを受けた非弁膜性心房細動患者を対象に、ダビガトランの有効性および安全性を評価する試験である。PIONEER AF-PCI試験は、ACS合併心房細動患者において、抗血小板薬に追加するリバーロキサバンの用量を検討する試験で、アピキサバンでも同様の試験が進行している。これらはステント留置術後急性期からの試験だが、本邦ではステント留置術後慢性安定期の心房細動合併患者を対象としたOAC-ALONE試験やAFIRE試験が進行しており、結果が待たれるところである。今後現在進行中の試験から新たなエビデンスが創出されるが、個々の患者において最適な治療法を見つけ出す努力は常に必要とされる(表)。表 ステント留置AF患者における抗血栓療法画像を拡大する文献1)Kirchhof P et al. Management of atrial fibrillation in seven European countries after the publication of the 2010 ESC Guidelines on atrial fibrillation: primary results of the PREvention oF thromboemolic events--European Registry in Atrial Fibrillation (PREFER in AF). Europace 2014; 16: 6-14.2)Akao M et al. Current status of clinical background of patients with atrial fibrillation in a community-based survey: the Fushimi AF Registry. J Cardiol 2013; 61: 260-266.3)Goto K et al. Anticoagulant and antiplatelet therapy in patients with atrial fibrillation undergoing percutaneous coronary intervention. Am J Cardiol 2014; 114: 70-78.4)Toyoda K et al. Dual antithrombotic therapy increases severe bleeding events in patients with stroke and cardiovascular disease: a prospective, multicenter, observational study. Stroke 2008; 39: 1740-1745.5)Uchida Y et al. Impact of anticoagulant therapy with dual antiplatelet therapy on prognosis after treatment with drug-eluting coronary stents. J Cardiol 2010; 55: 362-369.6)Sørensen R et al. Risk of bleeding in patients with acute myocardial infarction treated with different combinations of aspirin, clopidogrel, and vitamin K antagonists in Denmark: a retrospective analysis of nationwide registry data. Lancet 2009; 374: 1967-1974.7)Dewilde WJ et al. Use of clopidogrel with or without aspir in in patients taking oral anticoagulant therapy and under going percutaneous coronary intervention: an openlabel, randomised, controlled trial. Lancet 2013; 381: 1107-1115.8)Sato H et al. Low-dose aspirin for prevention of stroke in low-risk patients with atrial fibrillation: Japan Atrial Fibrillation Stroke Trial. Stroke 2006; 37: 447-451.9)Connolly S et al. Clopidogrel plus aspirin versus oral anticoagulation for atrial fibrillation in the Atrial fibrillation Clopidogrel Trial with Irbesartan for prevention of Vascular Events (ACTIVE W): a randomised controlled trial. Lancet 2006; 367: 1903-1912.10)Connolly SJ et al. Effect of clopidogrel added to aspirin in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med 2009; 360: 2066-2078.11)Smith P et al. The effect of warfarin on mortality and reinfarction after myocardial infarction. N Engl J Med 1990; 323: 147-152.12)Hurlen M et al. Warfarin, aspirin, or both after myocardial infarction. N Engl J Med 2002; 347: 969-974.13)Lamberts M et al. Antiplatelet therapy for stable coronary artery disease in atrial fibrillation patients taking an oral anticoagulant: a nationwide cohort study. Circulation 2014; 129: 1577-1585.14)Lip GY et al. Management of antithrombotic therapy in atrial fibrillation patients presenting with acute coronary syndrome and/or undergoing percutaneous coronary or valve interventions: a joint consensus document of the European Society of Cardiology Working Group on Thrombosis, European Heart Rhythm Association (EHRA), European Association of Percutaneous Cardiovascular Interventions (EAPCI) and European Association of Acute Cardiac Care (ACCA) endorsed by the Heart Rhythm Society (HRS) and Asia-Pacific Heart Rhythm Society (APHRS). Eur Heart J 2014; 35: 3155-3179.15)January CT et al. 2014 AHA/ACC/HRS Guideline for the Management of Patients With Atrial Fibrillation: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines and the Heart Rhythm Society. Circulation 2014; 130: 2071-2104.16)Capodanno D et al. Triple antithrombotic therapy in atrial fibrillation patients with acute coronary syndromes or undergoing percutaneous coronary intervention or transcatheter aortic valve replacement. EuroIntervention 2015; 10: 1015-1021.

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夏生まれは初潮が早い【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第69回

夏生まれは初潮が早い >FREEIMAGESより使用 女性の初潮が具体的にいつごろ起こるものなのか、医学部を卒業したわりにはあまり知らない人が多いと思います。小学生のころ、女子だけ体育館に集められて講義を受けていたような記憶が…。 Klis K, et al. Season of birth influences the timing of first menstruation. Am J Hum Biol. 2016 4;28:226-232. この論文は、生まれた季節が初潮開始時期に影響を与えるかどうか調べたポルトガルの研究です。コホートは2つの時期に設定しました。最初のコホートには1,008人の中高生の女子、次のコホートには671人の大学生の女子を登録しました。それぞれに誕生日、社会経済的ステータス、初潮年齢についてアンケートを実施しました。登録者は、春夏秋冬の4群に分けられました。すなわち、春生まれ群、夏生まれ群、秋生まれ群、冬生まれ群です。解析の結果、いずれのコホートでも夏生まれが他の季節よりも初潮が早くなることがわかりました。初潮の時期については、2014年のあるシステマティックレビューによれば実にさまざまな因子が影響しているようです1)。たとえば、家族内での問題。シングルマザーであったり、母親が抑うつ状態であったり、経済的に困窮していたり…。そういった家庭環境で育つと、初潮が早くなるとされています。また、出生体重が低い場合や、ビタミンD不足・早期の大豆摂取などの栄養面の影響についても報告されています。かといって、夏生まれが何かしら外的ストレスを受けているとは考えにくいと思いますが。参考文献1)Yermachenko A, et al. Biomed Res Int. 2014;2014:371583.インデックスページへ戻る

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子供の運動能力とADHDは相関するのか

 運動能力と過体重/肥満との重要な関連が示唆されている。運動困難な多くの子供たちは、ADHD症状を経験し、それは過体重/肥満と関連している。これまでの研究では、過体重/肥満との関連を調査する際、ADHDと運動能力の両方について考えられていなかった。ブラジル・サンパウロ大学のJuliana B Goulardins氏らは、子供の運動能力とADHD症状、肥満との関連を調査した。Research in developmental disabilities誌オンライン版2016年5月20日号の報告。 6~10歳児189例について、横断的研究を行った。ADHD症状は、SNAP-IV評価尺度を用いて評価した。運動障害(MI)は、Movement Assessment Battery for Children-2(M-ABC-2)を用いて評価した。身体組成は、WHOのChild Growth Standardsに基づいたBMIから推定した。 主な結果は以下のとおり。・性別やADHDで調整した後、BMIと関連した唯一の運動技術はバランスであった。・グループ間比較では、過体重ADHD児の割合は、過体重コントロール群や過体重MI群と比較し有意に低かった。また、低体重ADHD児の割合は、低体重MI児の割合より有意に高かった。 結果を踏まえ、著者らは「ADHD症状と運動困難の両方を考慮し、ADHDや運動問題を有する子供たちの身体健康アウトカムに対する評価や介入を行うことが重要である」としている。関連医療ニュース 日本でのADHDスクリーニング精度の評価:弘前大学 子供はよく遊ばせておいたほうがよい 小児ADHD、食事パターンで予防可能か

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急性期脳出血に対する積極的降圧療法は有効か?/NEJM

 超急性期脳出血患者において、ニカルジピンによる収縮期血圧140mmHg以下への積極的降圧療法は、140~179mmHgを目標とした標準降圧療法と比較し、死亡や高度障害は減少しなかった。米国・ミネソタ大学のAdnan I. Qureshi氏らが、多施設共同無作為化非盲検比較試験ATACH-2(Antihypertensive Treatment of Acute Cerebral HemorrhageII)の結果、報告した。脳出血急性期の収縮期血圧の降圧目標については、INTERACT-2試験にて、発症後1時間以内に140mmHg未満に下げることで3ヵ月後の転帰を改善する傾向が示されたが(急性脳内出血後の降圧治療、積極的降圧vs.ガイドライン推奨/NEJM)、これまで推奨の根拠となるデータには限りがあった。NEJM誌オンライン版2016年6月8日号掲載の報告より。脳出血急性期の降圧、収縮期血圧110~139mmHgと140~179mmHgを比較 ATACH-2試験は2011年5月~2015年9月に、米国・日本・中国・台湾・韓国・ドイツの110施設で実施された。 対象は、発症後4.5時間以内に治療開始可能で、出血量60cm3未満、グラスゴー・コーマ・スケール(GCS:3~15、数値が低いほど状態は不良)5点以上、発症~治療開始までの測定時の収縮期血圧が180mmHg以上の脳出血患者であった。 積極的降圧群(無作為化後24時間以内に収縮期血圧値目標110~139mmHg)と標準降圧群(同140~179mmHg)に無作為化し、速やかに(発症後4.5時間以内)ニカルジピンを静脈投与した(5mg/時から開始し、15分ごとに2.5mg/時増量、最大量15mg/時)。 主要評価項目は、評価者盲検下における無作為化後3ヵ月時の死亡および重度の障害(修正Rankinスケール[0:無症状、6:死亡]で4~6)とした。3ヵ月後の死亡・重度の障害に差はない 1,000例が登録され(積極的降圧群500例、標準降圧群500例)、ベースラインの収縮期血圧(平均±SD)値は200.6±27.0mmHg、平均年齢は61.9歳、56.2%がアジア人であった。 主要評価項目である死亡・重度の障害の割合は、積極的降圧群38.7%(186/481例)、標準降圧群37.7%(181/480例)で、年齢・ベースラインのGCSスコア・脳室内出血の有無で調整後の相対リスクは1.04(95%信頼区間:0.85~1.27)であった。 治療に関連した重篤な有害事象の発現頻度(無作為化後72時間以内)は、積極的降圧群1.6%、標準降圧群1.2%であった。また、無作為化後7日以内の腎臓の有害事象の発現頻度は、それぞれ9.0%および4.0%で、積極的降圧群が有意に高値であった(p=0.002)。 なお、本試験は事前に計画された中間解析において無益性が認められたため、その後の登録は中止となっている。

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早期リウマチへのトシリズマブ、単独・MTX併用でも寛解維持2倍/Lancet

 新たに関節リウマチ(RA)と診断された患者において、メトトレキサート(商品名:リウマトレックスほか、MTX)併用の有無を問わず、ただちにトシリズマブ(商品名:アクテムラ)の投与を開始し寛解維持を目指す治療戦略は、より効果的であることが示された。安全性プロファイルは現在の標準治療であるMTXと類似していた。オランダ・ユトレヒト大学メディカルセンターのJohannes W J Bijilsma氏らが、トシリズマブの単独またはMTXとの併用療法の有効性と安全性を、MTX単独療法と比較したU-Act-Early試験の結果、報告した。早期RA患者にとって、治療の目標は速やかな持続的寛解を得ることだが、目標達成に向けた治療戦略の検討はされていなかった。Lancet誌オンライン版2016年6月7日号掲載の報告。トシリズマブの単独またはMTX併用療法とMTX単独療法の寛解維持達成を比較 U-Act-Early試験は、MTXとの併用または単独でのトシリズマブの有効性と安全性を、MTX単独療法と比較する、2年間の多施設共同無作為化二重盲検比較試験。オランダのリウマチ外来21施設で実施された。 対象は、1年以内にRAと診断され、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)の治療歴がなく、疾患活動性スコア(DAS28)が最低2.6の18歳以上の患者であった。 被験者は、トシリズマブ+MTX(併用)群、トシリズマブ+プラセボ(トシリズマブ)群、プラセボ+MTX(MTX)群に1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。トシリズマブは4週ごとに8mg/kg(最大800mg)静脈投与、MTXは10mg/週経口投与より開始し、4週ごとに5mgずつ、最大30mg/週まで増量し、寛解または用量制限毒性が現れるまで継続した。割り付けた治療で寛解に至らない場合は、プラセボは実薬に、併用群は標準治療(MTX+TNF阻害薬併用)に変更した。 主要評価項目は、寛解維持(腫脹関節数≦4かつDAS28<2.6が最低24週持続)を得られた患者の割合であった。寛解維持達成はトシリズマブ単独84%、併用86%、MTX単独44% 2010年1月13日~2012年7月30日に適格とされた患者317例が登録された(併用群106例、トシリズマブ群103例、MTX群108例)。試験を完了した患者の割合は72~78%で、3群間で類似していた。中途脱落理由で最も多かったのは、有害事象または他疾患を併発27例(34%)、効果不十分26例(33%)であった。 最初の割り付け治療での寛解維持達成は、併用群91例(86%)、トシリズマブ群86例(84%)、MTX群48例(44%)で得られた。相対リスクは、併用群 vs.MTX群が2.00(95%信頼区間[CI]:1.59~2.51、p<0.0001)、トシリズマブ群 vs.MTX群1.86(同:1.48~2.32、p<0.0001)であった。 また、全治療における寛解維持達成は、併用群91例(86%)、トシリズマブ群91例(88%)、MTX群83例(77%)であった。相対リスクは、併用群 vs.MTX群1.13(95%CI:1.00~1.29、p=0.06)、トシリズマブ群 vs.MTX群1.14(同:1.01~1.29、p=0.356)、併用群 vs.トシリズマブ群p=0.59であった。 全体で最も発現頻度の高い有害事象は鼻咽頭炎で、併用群38例(36%)、トシリズマブ群40例(39%)、MTX群37例(34%)であった。重篤な有害事象の発症に治療群間で差はなく(併用群17例[16%] vs.トシリズマブ群19例[18%]、MTX群13例[12%])、試験期間中に死亡例の報告はなかった。

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