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突然やってくる!? 外国人患者さん対応エピソード集 第6回

第6回 予約日に来院しない心不全患者が抱えていた深刻な事情<Case6>甲状腺機能亢進症に心房細動を合併し、かなりの心不全状態の30代外国人女性が診療所に来院。保険証もなければ在留資格も失っており、入院する経済的余裕はとてもないと言います。頻回に観察させて頂くことを条件に外来で治療を継続することにしましたが、患者さんは受診予定の日に来院せず…。対談相手港町診療所所長/シェア=国際保健協力市民の会副代表 沢田 貴志 氏澤田 真弓:今回は、20年以上にわたり在住外国人の診療に当たっている、沢田 貴志 先生にお話を伺います。先生、その後、この患者さんはどうなったのでしょうか。沢田 貴志 氏:予定日に来院がないたび、「支払いは後でもいいから、とにかく来て」と患者さんを呼び出す、といったことを何度も繰り返しました。よくよく事情を聞いてみると、私たちの所に来る前にも、地元の基幹病院を救急受診しては、その後の通院を中断していたことがわかりました。澤田 真弓:その患者さんは、なぜそのような行動をとってしまったのでしょうか。沢田 貴志 氏:在留資格を失って仕事を続けることができなくなり、本当に生活が困窮していたのです。面談をした結果、この患者さんは、日本人との間に子どもがありながらDVを受けて逃げていたために、在留資格が切れていたこともわかりました。こうしたやむを得ない事情で健康保険を喪失した事例を、少なからず経験してきました。澤田 真弓:そのようなときは、どう対応してきたのでしょうか。沢田 貴志 氏:在留資格がない場合でもこの方のようなケースでは、子どもの日本国籍取得など、それぞれの事情に合致した法的手続きを取ることで、在留資格が回復する場合があるのです。この患者さんもソーシャルワーカーの支援の下、法的な立場を回復させて仕事に戻り、健康と安定した生活を手にすることができました。神奈川県の基幹病院では、ソーシャルワーカーが医療通訳の手配も担当しているので、外国人患者さんの抱える社会的な問題が早期に見つかり、病状悪化を防ぐことにも貢献していると思います。医療通訳体制の整備により、患者利益の向上だけでなく、未収医療費も大幅削減澤田 真弓:この患者さんは、前の病院でソーシャルワーカーとの連携がうまくできていなかったのでしょうか。沢田 貴志 氏:時間外救急ばかりの受診だったことや日本語が不自由だったことが災いし、ソーシャルワーカーへの引き継ぎが実現しなかったのかもしれません。こういったケースに対応するためにも、医療機関における多言語体制が重要なのです。神奈川県で1993年から実施されている外国人患者さんの未収医療費を補てんする事業では、2002年に医療通訳体制を整備してからの10年間で、必要になった補てん額が数十分の1に減少したことが確認されています。澤田 真弓:患者さんの課題の早期解決がなされれば、患者さん自身のコストだけでなく、社会の総コストも下がるという、わかりやすい例ですね。沢田 貴志 氏:はい。もちろん日本の制度では解決できず、出身国側の医療につなぐ例もあります。地域医療の現場では、さまざまな立場の外国人の患者さんに遭遇します。これまで診察してきた在住外国人の患者さんには、今回のケースのように、在留資格や健康保険の加入がなく、医療費の支払いが困難であった方も少なくありません。医療機関側が言葉の体制だけ整備をすればすべて解決、とはいかない現状があるのです。また、医師法19条で「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と定められています。「医療費の支払いが困難である」とか、「身分証明書を持っていない」といったことは診療を拒む正当な事由とは言えない、というのが法解釈の通例でしょう。支払い能力を理由とした診療拒否を認めてしまえば多くの病院が追従し、結局患者さんは重症化、最終的には瀕死の状態の患者さんが運び込まれた病院が大きな損失を受けることになります。これでは地域医療は崩壊します。今回のように、人道的であることを最優先に考えることで、結果的に効率の良い医療につながるという事例をしばしば経験してきました。澤田 真弓:そのような人道的な支援を実現するためには、医療コーディネーターなどを配置して積極的に外国人患者さんの受け入れをしていこうとされている医療機関も、さらに一歩踏み込んだ体制の整備が必要な状況に思えます。沢田 貴志 氏:はい。医療コーディネーターの方だけで解決するのは負担が大きいと思います。今回の事例からもわかるように、ここでコーディネーターの方が連携すべきは、ソーシャルワーカーです。ソーシャルワーカーは、患者さんの医療分野に限らない経済的・心理的・社会的な不安や問題を解決するために各所との調整を図り、さまざまな面からサポートするのが仕事です。すでに、ほとんどの基幹病院には配属されているでしょう。自治体を中心にソーシャルワーカーの活用や医療通訳の育成をし、基幹病院や診療所を含めて地域連携が進めば、在住外国人患者さんの円滑な受入れが実現できると思います。澤田 真弓:非常に現実的な仕組みだと思います。大変勉強になりました。<本事例からの学び>人道的であり続けることは、患者を救うだけでなく、医療の効率化にもつながる

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認知症に対する抗精神病薬処方、治療反応の予測因子は:慈恵医大

 東京慈恵会医科大学の永田 智行氏らは、精神病性攻撃的症状を有するアルツハイマー型認知症に対する、非定型抗精神病薬の8週間の治療継続および治療反応を、CATIE-AD(Clinical Antipsychotic Trials of Intervention Effectiveness-Alzheimer's Disease)データを用いて調査した。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2017年8月9日号の報告。 治療介入が必要な精神病性攻撃的症状を有するアルツハイマー型認知症外来患者421例の臨床データを利用した。ベースラインの社会人口統計学的および臨床的特徴が、治療継続および治療反応に及ぼす影響を、ロジスティック回帰分析を用いて調査した。臨床的特徴は、CGI-C(臨床全般印象度の変化)、NPI(Neuropsychiatric Inventory)、BPRS(簡易精神症状評価尺度)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・治療継続率は、48.7%であった。・欠測を直前の値で補完する LOCF法(last observation carried forward method)による治療反応率は、CGI-C 42.7%、NPI 48.6%、BPRS 37.5%であった。・白人患者331例における治療継続については、有意な予測因子が認められなかった。・より良好な治療反応の予測因子は、低MMSE(ミニメンタルステート検査)スコア、リスペリドン治療(オランザピン、クエチアピンと比較して)、糖尿病歴、より健康的な身体状態、より重度な初期精神病症状であった。■関連記事認知症者への向精神薬投与は死亡率を高めているか非定型抗精神病薬は認知症に有効なのか警告後、認知症への抗精神病薬処方は減少したのか

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メタボの予防法は性別によって異なる?~亘理町研究

 日本において、メタボリックシンドローム(MetS)とプレメタボリックシンドローム(preMetS)は男性でより多くみられる。しかし、これらの代謝障害と生活習慣因子との関係に性別による違いがあるかどうかは不明である。東北労災病院の服部 朝美氏らは、30歳以上の一般集団の日本人における、MetSとpreMetSに対する男女別の生活習慣因子との関連を調べた。その結果、MetSとpreMetSに関連する生活習慣因子は男女で異なり、著者は「MetSの効果的な予防には、性別によって特有の生活習慣の変更が必要であることが示唆された」とまとめている。Internal medicine誌2017年8月10日号掲載の報告。 研究グループは、30~79歳の宮城県亘理町在住の3,166人(男性1,280人、女性1,886人)を対象に、腹囲、血圧、空腹時血糖、各種生活習慣因子等を調査した。 MetSは、腹囲により評価された中心性肥満と、2つ以上の心血管代謝リスクの有無(高血圧、高血糖、および脂質異常)という、日本の診断基準に基づいて診断された。また、中心性肥満と心血管代謝リスク1つを有する状態をpreMetSと定義した。 主な結果は以下のとおり。・男性は、女性と比較してMetS(23.3%対8.7%、p<0.001)およびpreMetS(21.2%対10.2%、p<0.001)で有意に高い罹患率を有していた。・年齢を調整したロジスティック回帰分析の結果、男性では大量の飲酒習慣(1日当たりの飲酒量が2合以上)がMetS(オッズ比:1.91、95%信頼区間[CI]:1.29~2.83)およびpreMetS(同:1.69、95%CI:1.11~2.58)と関連していた。・男性では、食べる速さ(質問票で「人と比較して食べる速度が速い」と回答)がMetS(同:1.55、95%CI:1.12~2.15)およびpreMetS(同:1.83、95%CI:1.33~2.55)と関連していた。・男性では、定期的な運動習慣の不足(質問票で「1 年以上、30 分以上の運動を週 2 日以上」“していない”と回答)がPreMetS(同:1.38、95%CI:1.03~1.85)と有意に関連していたが、MetSでは関連していなかった。・女性では、食べる速さと定期的な運動習慣の不足がpreMetSと有意に関連しており(同:1.44、95%CI:1.01~2.07および同:1.41、95%CI:1.02~1.96)、MetSについてもオッズ比の段階的な増加(同:2.02、95%CI:1.40~2.91および同:1.47、95%CI:1.03~2.09)が観察された。

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陰茎移植で自然な生理機能は回復するか/Lancet

 南アフリカ共和国の若い男性では、儀式として行われる包皮切除からの壊疽が、陰茎損失の主な原因になっているという。この文化的行為は社会に深く根ざしており、やめさせることは容易ではない。同国ステレンボッシュ大学のAndre van der Merwe氏らは、従来の遊離皮弁を用いた陰茎整形術は、社会経済的に課題がある集団には好ましくないが、陰茎を損失した若い男性の精神社会学的影響は甚大であり、同一臓器に置き換えることが最大の便益をもたらす可能性があるとして、同種陰茎移植を実施。24ヵ月間のフォローアップの結果を報告した。Lancet誌オンライン版2017年8月17日号掲載の報告。移植後24ヵ月追跡し、生活の質や勃起・排尿機能を評価 研究グループは、試行手技として初めに死体-死体の陰茎移植を行った。Human Research Ethics Committeeの承認を得た後、レシピエントを募り、陰茎断端長、移植に対する情動的な適合性など、身体的および精神的特性をスクリーニング。一方で、適切なドナー(36歳脳死男性)を獲得し、陰茎を採取した。 適切に選択したレシピエント(21歳男性)の陰茎断端を外科的に調整し、陰茎移植片を取り付けた。免疫抑制療法として、antithymyocyteグロブリン、メチルプレドニゾロン、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、prednisoneを用いた。また、1週間後にタダラフィル5mgの1日1回服用を陰茎リハビリテーションとして開始し、3ヵ月間継続した。 評価データとして、移植前とフォローアップ中に、生活の質スコア(Short Form 36第2版[SF-36v2]質問票)を収集。また移植後24ヵ月時点の勃起機能(International Index for Erectile Function[IIEF]スコア)と尿流率を測定した。移植後1ヵ月で退院、その1週間後に満足な性交を行ったと報告 切除後移植片の温阻血時間は4分、冷阻血時間は16時間であった。手術は9時間を要した。手術8時間後に、動脈血栓により緊急処置を必要とした。また、術後6日の時点で、感染性血腫と近位皮膚壊死に対して外科的処置が行われた。 その後、レシピエントは1ヵ月後に退院。その1週間後に、性交を行い(反対のアドバイスにもかかわらず)満足感を得たとの第一報を寄せた。さらに術後3ヵ月からは定期的な性交を行っていることを報告した。 7ヵ月時点で急性腎障害を発症したが、タクロリムス14mgの1日2回投与を減らすことで回復した。 さらに術後8ヵ月時点で、Alternaria alternataによるフェオフィホ真菌症に罹患したが、抗真菌薬の塗布で治療した。 生活の質スコアは、術後大きく改善した。SF-36v2メンタルヘルススコアは、術前25から、移植後6ヵ月時点57、24ヵ月時点で46であった。また身体的ヘルススコアは、ベースライン時37から、移植後6ヵ月時点60、24ヵ月時点59であった。 24ヵ月時点の最大尿流率は標準値を(16.3mL/秒、排尿量109mL)、IIEFスコアも標準値(全体的満足度スコアは最大10のうち8)を示し、排尿機能、勃起機能ともに正常であった。 これらを踏まえて著者は、「陰茎移植は、移植後24ヵ月に重大な合併症を有することなく、レシピエントに自然な生理機能回復をもたらした」と結論している。

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新たな僧帽弁治療デバイス、初期成績は良好/Lancet

 重症僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対し、新たに開発された経カテーテル僧帽弁修復(TMVr)デバイス「エドワーズPASCAL TMVrシステム」は、手術終了時点の成功率が96%、30日時点のデバイス成功率は78%と高いことが示された。スイス・ベルン大学病院のFabien Praz氏らによる、ヒトでは初となる多施設共同前向き観察試験の結果で、「今回の試験で実用可能性は立証された。さらなる試験を行い、デバイスの手技上および長期の臨床的アウトカムへの影響を明らかにする必要がある」と報告している。新デバイスは、従来デバイスの限界を見据えて左心房でのナビゲーションを容易なものとし、セントラルスペーサーの実用化でMRの改善を向上するなどしたものだという。Lancet誌2017年8月19日号掲載の報告。5ヵ国7施設で特例的使用試験で安全性と有効性を評価 試験は、5ヵ国(カナダ、ドイツ、ギリシャ、スイス、米国)7つの3次医療病院で行われ、経カテーテル僧帽弁修復を受ける患者に、特例的にエドワーズPASCAL TMVrシステムを使用するプログラムを用いてデータの収集が行われた。症候性で機能的に重度、器質的または混合型MRで、高リスクもしくは手術不能とみなされた患者を適格とした。 手技の安全性と有効性を、デバイス留置時、退院時、留置後30日時点で前向きに評価。主とした試験エンドポイントは、手術終了時に評価した技術的成功率と、留置後30日時点で評価したデバイス成功率であった。評価にはMitral Valve Academic Research Consortium定義を用いた。手術終了時の技術成功率は96%、30日時点デバイス成功率は78% 2016年9月1日~2017年3月31日の間に、23例(年齢中央値75歳[IQR:61~82])がエドワーズPASCAL TMVrシステムを用いて、中等症~重症(grade 3+)または重症(grade 4+)MRに対する治療を受けた。ベースライン時において、EuroScore IIスコア中央値は7.1%(IQR:3.6~12.8)、MR修復のSTS PROM(Society of Thoracic Surgeons predicted risk of mortality)スコア中央値は4.8%(同:2.1~9.0)、MR置換のSTS PROMスコア中央値は6.8%(同:2.9~10.1)であり、22例(96%)が、NYHA分類IIIまたはIVであった。 全患者において1個以上のデバイス留置が成功し、22例(96%)がgrade2+以下のMRになった。なお、6例(26%)が2個のデバイス留置を受けた。 周術期合併症の発生は、2例(9%)が報告された。1例は小出血イベントで、1例は一過性脳虚血発作であった。 MRの解剖学的複雑さにもかかわらず、22例(96%)で技術的成功が達成された。また、30日時点のデバイス成功例は18例(78%)で認められた。30日フォローアップ中の死亡は3例(13%)で、留置後30日生存した患者20例のうち19例(95%)はNYHA分類がIまたはIIであった。

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血糖測定器「FreeStyle リブレ」、日本で保険適用に

 アボット ジャパン株式会社(本社: 東京都港区、代表取締役会長兼社長:坂本春喜)は9月1日、糖尿病患者向けのグルコースモニタリングシステム「FreeStyleリブレ」(製品名:FreeStyleリブレ フラッシュグルコースモニタリングシステム)が、2017年9月1日より本邦で保険適用となった旨を発表。FreeStyleリブレは、2014年に欧州で発売されて以来、39ヵ国以上、35万人以上の糖尿病患者に使用されている。本邦では、2016年5月25日に承認され、すでに販売が開始されている。 FreeStyleリブレは、組織間質液中のグルコース値を記録するセンサーと、その測定値を読み取り、表示するリーダーから構成され、血糖測定用電極との組み合わせで血糖測定を行う。500円玉大の小型の丸いセンサーを上腕後部に装着することで、センサー中心部に取り付けられた極細のフィラメントが皮下に挿入され、グルコース値が毎分測定される。センサーは最長14日間まで装着可能となっている。 センサーは指先穿刺を伴うキャリブレーションが不要で、リーダーをセンサーにかざしてスキャンするだけで、痛みを伴わずにわずか1秒でグルコース値を測定できる。時間や場所を問わず、1日に何回でも測定することができるほか、衣服の上からでもスキャンできるため、人目を気にせず測定することが可能となっている。 測定されたデータは専用ソフトウェアで読み込むことで、グルコース値や変動データをAGP(Ambulatory Glucose Profile)と呼ばれるレポートとしてパソコン上で表示することができる。患者は自身のグルコースレベルをこれまで以上に把握することができるようになるほか、医療従事者は、患者の状態を深く理解し、治療方針の判断に役立てることができる。 5万人以上のユーザーから得られた実際の使用例から、FreeStyleリブレを使用している患者は、1日平均16回、グルコース値を測定していることが明らかとなっており、頻回に測定する患者ほど、低血糖の時間が短いことが示されている。 なお、日本糖尿病学会からは、2017年7月12日付で「FreeStyleリブレに関する見解」が示されており、本邦における適切な利用の推進が提言されている。■参考アボット ジャパン株式会社

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消化管が髪の毛で埋め尽くされていた女の子【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第98回

消化管が髪の毛で埋め尽くされていた女の子 ぱくたそより使用 皆さんはラプンツェル症候群という疾患をご存じでしょうか。ディズニーの映画で有名になったあのラプンツェルは、グリム童話の中に登場する美しくて長い髪を持つプリンセスです。髪の毛が異常に長いキャラクターなので、記憶に残っている人も多いでしょう。このラプンツェル症候群は、自分の髪の毛だけではなく他人の髪の毛をも食べたい衝動に駆られてしまう珍しい疾患で、胃の中に大きな毛玉が形成されるという特徴があります。ひどい場合、それが消化管を閉塞させてしまい、いろいろな症状を引き起こします。 Islek A, et al.A rare outcome of iron deficiency and pica: Rapunzel syndrome in a 5-year-old child iron deficiency and pica.Turk J Gastroenterol. 2014;25:100-102.5歳の女児が腹痛を訴えて救急外来にやってきました。彼女はヘモグロビンが4.5g/dLという強度の貧血を起こしており、腹部には腫瘤を触れました。詳しく調べてみると、胃から小腸までびっしりと髪の毛の塊が詰まっていたのです。ラプンツェル症候群はお察しのとおり、異食症です。鉄欠乏性貧血のときに氷を食べる患者さんが典型的ですよね。おそらく、この女の子はもともと鉄欠乏性貧血があり、その異食症として髪の毛を食べてしまう症状が発現。そこに胃から小腸の吸収不良によってさらなる二次性貧血を起こし、異食症が悪化…という悪循環に陥っていたのかもしれません。女児は手術を受けて、髪の毛の大きな塊は除去されました。髪の毛って胃の中で溶けてくれるのかと思いきや、そうでもないんですね。皆さんも髪の毛を食べないように注意しましょう。え? おまえには抜くほどの髪の毛はないだろうって? な、な、なんてことを!インデックスページへ戻る

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2017年度 総合内科専門医試験、直前対策ダイジェスト(前編)

【第7回】~【第12回】は こちら【第1回 呼吸器】 全7問呼吸器領域は、ここ数年で新薬の上市が続いており、それに伴う治療方針のアップデートが頻繁になっている。新薬の一般名や承認状況、作用機序、適応はしっかり確認しておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)肺結核について正しいものはどれか?1つ選べ(a)IGRA(QFT-3G・T-SPOT)は、冷蔵保存して提出する(b)医療者の接触者健康診断において、IGRAによるベースライン値を持たない者には、初発患者の感染性期間における接触期間が2週間以内であれば、初発患者の診断直後のIGRAをベースラインとすることが可能である(c)デラマニドはリファンピシン(RFP)もしくはイソニアジド(INH)のどちらかに耐性のある結核菌感染に使用可能である(d)レボフロキサシンは、INHまたはRFPが利用できない患者の治療において、カナマイシンの次に選択すべき抗結核薬である(e)結核患者の薬剤感受性検査判明時の薬剤選択としてINHおよびRFPのいずれも使用できない場合で、感受性のある薬剤を3剤以上併用することができる場合の治療期間は、菌陰性化後24ヵ月間とされている(f)潜在性結核感染症(LTBI)の標準治療は、INH+ RFPの6ヵ月間または9ヵ月間である例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第2回 感染症】 全5問感染症領域では、耐性菌対策とグローバルスタンダード化された部分が出題される傾向がある。また、認定内科医試験に比べて、渡航感染症に関する問題が多いのも特徴である。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)感染症法に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)鳥インフルエンザはすべての遺伝子型が2類感染症に指定されている(b)レジオネラ症は4類感染症に指定されており、届出基準にLAMP法による遺伝子検出検査は含まれていない(c)重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は4類感染症に指定されており、マダニを媒介とし、ヒト‐ヒト感染の報告はない(d)鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除くインフルエンザ感染症はすべて5類定点把握疾患である(e)カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症は5類全数把握疾患に指定されているが、保菌者については届出の必要はない例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第3回 膠原病/アレルギー】 全6問膠原病領域では、ほぼ毎年出題される疾患が決まっている。リウマチと全身性エリテマトーデス(SLE)のほか、IgG4関連疾患、多発性筋炎(PM)、皮膚筋炎(DM)についてもここ数年複数の出題が続いている。アレルギーでは、クインケ浮腫、舌下免疫療法、アスピリン喘息が要注意。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)全身性エリテマトーデス(SLE)について正しいものはどれか?1つ選べ(a)疾患活動性評価には抗核抗体を用いる(b)神経精神SLE(NPSLE)は、血清抗リボゾームP抗体が診断に有用である(c)ヒドロキシクロロキンは、ヒドロキシクロロキン網膜症の報告があり、本邦ではSLEの治療として承認されていない(d)ベリムマブは本邦で承認されており、感染症リスクの少なさより、ステロイド併用時のステロイド減量効果が期待できる(e)ミコフェノール酸モフェチル(MMF)が、2016年5月にループス腎炎に対して承認になり、MMF単独投与によるループス腎炎治療が可能となった例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第4回 腎臓】 全5問腎臓領域では、ネフローゼ症候群はもちろん、急性腎障害、IgA腎症、多発性嚢胞腎についても、症状、診断基準、治療法をしっかり押さえておきたい。また、アルポート症候群と菲薄基底膜病も、出題される可能性が高い。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)次の記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)血清または血漿シスタチンCを用いたGFR推算式は年齢・性差・筋肉量に影響を受けにくい(b)随時尿で蛋白定量500mg/dL、クレアチニン250mg/dL、最近数回での1日尿中クレアチニン排泄量1.5gの場合、この患者の実際の1日尿蛋白排泄量(g)は2g程度と考えられる(c)70歳、検尿で尿蛋白1+、血尿-、GFR 42mL/分/1.73m2(ただしGFRの急速な低下はなし)の慢性腎臓病(CKD)患者を認めた場合、腎臓専門医への紹介を積極的に考える(d)食塩摂取と尿路結石リスクの間に相関はないとされている(e)日本透析医学会による「慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン」2015年版によると、血液透析(HD)・腹膜透析(PD)・保存期CKD患者のいずれにおいても、複数回の検査でHb値10g/dL未満となった時点で腎性貧血治療を開始することが推奨されている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第5回 内分泌】 全5問内分泌領域は、甲状腺疾患、クッシング症候群は必ず出題される。さらに認定内科医試験ではあまり出題されない先端巨大症、尿崩症もカバーしておく必要があり、診断のための検査と診断基準についてしっかりと押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)先端巨大症について正しいものはどれか?1つ選べ(a)重症度にかかわらず、「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」による医療費助成を受けることが可能である(b)診断基準に「血中GH値がブドウ糖75g経口投与で正常域まで抑制されない」という項目が含まれている(c)診断基準に「軟線撮影により9mm以上のアキレス腱肥厚を認める」という項目が含まれている(d)骨代謝合併症として、変形性関節症・手根管症候群・尿路結石・骨軟化症が挙げられる(e)パシレオチドパモ酸塩徐放性製剤は高血糖のリスクがあり、投与開始前と投与開始後3ヵ月までは1ヵ月に1回、血糖値を測定する必要がある  例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第6回 代謝】 全5問代謝領域では、糖尿病、肥満症、抗尿酸血症は必ず出題される。加えて骨粗鬆症とミトコンドリア病を含む、耐糖能障害を来す疾患が複数題出題される。とくに骨粗鬆症は、内科医にはなじみが薄いがよく出題される傾向があるので、しっかりとカバーしておこう。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)肥満に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)本邦における高度肥満は、BMI30以上の肥満者のことをいう(b)肥満関連腎臓病の腎組織病理像は膜性腎症像を示す(c)「肥満症診療ガイドライン2016」 において、減量目標として肥満症では現体重からの5~10%以上の減少、高度肥満症では10~20%以上の減少が掲げられている(d)PCSK9阻害薬であるエボロクマブの効能・効果に、「家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症。ただし、心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害薬で効果不十分な場合に限る」と記載があり、処方にあたってはHMG-CoA還元酵素阻害薬との併用が必要である(e)低分子ミクロソームトリグリセリド転送たん白(MTP)阻害薬であるロミタピドメシルは、ヘテロ接合体家族性高コレステロール血症に適応がある例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第1回~第6回の解答】第1回:(b)、第2回:(e)、第3回:(b)、第4回:(a)、第5回:(b)、第6回:(d)【第7回】~【第12回】は こちら

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ADHD発症しやすい家庭の傾向

 ADHDの有症率は貧困層で高いことが多くの研究で報告されているが、その関係性が親のADHD歴によって、どのように変化するかはほとんど考察されていない。米国・UNM Health Sciences CenterのAndrew S. Rowland氏らは、6~14歳の学生サンプルを用いて、社会経済的地位(socioeconomic status:SES)や親のADHD歴によって有症率が異なるかを評価した。Journal of child psychology and psychiatry誌オンライン版2017年8月12日号の報告。 米国・ノースカロライナ州の1つの群にある17校1~5学年のすべての子供を対象に、教師評価尺度と親1,160人の面接を用いて評価し、これにはADHD構造化インタビュー(DISC)を含んだ。親と教師の評価を組み合わせて、DSM-IVのADHD状態を判定した。データ分析の対象は、親のADHD歴に関する情報を有する967人の子供に絞り込んだ。SESは、家庭の所得と回答者の教育により測定した。 主な結果は以下のとおり。・家庭の所得と親のADHD診断歴との間に、相互の影響が認められた(p=0.016)。・SESの傾度は、親にADHD歴がない家庭で強く、親がADHD歴を持つ子供ではより弱かった。・親にADHD診断歴がない子供のうち、低所得家庭の子供のADHDの割合は、共変量で調整した後、高所得家庭の子供の6.2倍であった。・親がADHD歴を有する子供のADHDのオッズ比は、親にADHD歴がない高所得家庭の子供の10倍以上であったが、高所得と低所得家庭の子供間のSES傾度はそれほど顕著ではなかった(オッズ比:1.4、95%CI:0.6~3.5)。 著者らは「SESと親のADHD歴はそれぞれ、子供のADHDに対する強力なリスク因子であり、相互に影響を及ぼす。ADHDリスクに影響するSESの要因を分析するためには、より多くの調査が必要である。今後のADHDの調査では、他の環境リスク因子の強さが、親のADHD歴によって異なるかどうかを評価すべきである。低いSESの家庭の子供や親がADHD歴を有する子供については、早期の症状発見と早期介入が検討されるべきである」としている。■関連記事母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連かADHD児への併用療法や抗精神病治療の傾向小児ADHDの合併症有病率と治療成績

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フルベストラント単独による乳がん1次治療を承認:FDA

 AstraZenecaは2017年8月28日、米国食品医薬品局(FDA)が、HR陽性HER2陰性で内分泌療法未治療の閉経後進行または転移を有する乳がん(MBC)患者に対する単剤療法としてフルベストラント(商品名:フェソロデックス)の拡大使用を承認したと発表した。当承認は、第III相FALCON試験の結果に基づいている。 FALCON(Fulvestrant and AnastrozoLe COmpared in hormonal therapy-Naïve advanced breast cancer)試験は、上記患者462例を対象に、フルベストラント500mg+プラセボとアロマターゼ阻害剤アナストロゾール1mg+プラセボを比較した無作為化二重盲検多施設試験。試験の結果、治験担当医評価の無増悪生存期間中央値は、フルベストラント群16.6ヵ月、アナストロゾール群13.8ヵ月と、フルベストラント群で有意に増加した(HR:0.797、95%CI:0.637~0.999、p=0.049)。 FDAによるフルベストラントの最初の承認は、2002年の抗エストロゲン療法で進行したHR陽性の閉経後MBCに対する単独療法。その後、2016年にpalbociclibとの組み合わせで、内分泌療法後に進行したHR陽性HER2陰性の進行またはMBCに承認された。欧州では2017年7月26日、内分泌療法未治療の閉経後ER陽性の局所進行乳がんに承認されている。■参考AstraZeneca(グローバル)メディアリリースFALCON試験(Clinical Trials.gov)■関連記事HR陽性乳がんへのフルベストラント、PFSを有意に延長/Lancet

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インスリン療法開始後のスタチンの影響

 スタチンは、糖尿病の新規発症リスクを増大させ、血糖コントロールに悪影響を及ぼす可能性があるが、2型糖尿病患者のインスリン療法開始後の血糖応答および転帰への影響は不明である。今回、英国・ノッティンガム大学のUchenna Anyanwagu氏らの研究で、通常治療中の2型糖尿病患者のインスリン療法開始後、スタチン併用者の短期血糖コントロールはあまり良好ではなかったものの、主要心血管イベントリスクは大幅に低かったことが報告された。Cardiovascular diabetology誌2017年8月22日号に掲載。 本研究は、英国のHealth Improvement Network(THIN)UKデータベースを使用し、インスリン療法を開始した2型糖尿病患者1万2,725例での後ろ向きコホート研究。6、12、24、36ヵ月でのHbA1cの変化、死亡および3-point MACE(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳梗塞)の5年リスクを、新たにインスリン療法を開始した患者において、スタチン使用者(1万682例)と非使用者(2,043例)で比較した。Cox比例ハザードモデルを用いて、異なるアウトカムのハザード比を推定した。 主な結果は以下のとおり。・コホートの平均年齢は58.7±14.0歳(男性51%)であり、ベースラインHbA1cの平均値は8.7±1.8%であった。・インスリン療法開始後初期に、スタチン使用者に比べて非使用者でHbA1c値の大きな減少がみられ、その減少は短期で有意であった(6ヵ月で-0.34% vs.-0.26%、平均差:-0.09%、p=0.004)が、長期では有意ではなかった(3年で-0.31% vs.-0.35%、平均差:0.05%、p=0.344)。・スタチン使用者と非使用者の心血管イベント(3-point MACE)は、それぞれ878件と217件であった(1,000人年当たり20.7 vs.30.9、調整ハザード比:1.36、95%CI:1.15~1.62、p<0.0001)。・各スタチンでのサブグループ解析では、スタチン非使用者に比べて、すべてのスタチンで試験期間を通じてHbA1cが高かった(p<0.05)。・アトルバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチンにおける3-point MACEの調整ハザード比は、それぞれ0.82(95%CI:0.68~0.98)、0.67(同:0.55~0.82)、0.56(同:0.39~0.81)、0.78(同:0.60~1.01)であった。

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非喘息性急性下気道感染症に経口ステロイドは無効/JAMA

 非喘息性急性下気道感染症の成人患者において、経口ステロイド薬は症状の持続期間や重症度を改善せず、使用すべきではないと、英国・ブリストル大学のAlastair D. Hay氏らが、プラセボ対照無作為化比較試験Oral Steroids for Acute Cough(OSAC)試験の結果、報告した。急性下気道感染症は最も一般的な疾患の1つだが、プライマリケアではしばしば抗菌薬による不適切な治療が行われている。その中で、経口ステロイド薬の使用も増加しているが、非喘息性急性下気道感染症に対する有効性については十分なエビデンスがない。JAMA誌2017年8月22・29日号掲載の報告。約400例をプレドニゾロン群とプラセボ群に無作為化 OSAC試験は、2013年7月~2014年10月、英国のプライマリケア54施設において実施された、多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験である。対象は、下気道感染症の症状(喀痰、胸痛、喘鳴、息切れ)のうち1つ以上および急性咳嗽を有し、即時的な抗菌薬治療を必要とせず、慢性肺疾患の既往歴なし、または過去5年間に喘息治療薬の投与歴がない18歳以上の患者401例であった。プレドニゾロン(20mg×2錠)群(199例)またはプラセボ群(202例)に無作為に割り付け、それぞれ1日1回5日間投与した。 主要評価項目は、中等度以上の咳嗽の持続期間(観察期間28日間、臨床的に重要な差の最低値は3.79日と設定)、および2~4日目の症状(咳嗽、喀痰、息切れ、睡眠障害、全体的な体調不良、活動障害)の重症度(0点[影響なし]~6点[最も悪い]、臨床的に重要な差の最低値は1.66点と設定)。副次評価項目は、急性下気道感染症の症状の持続期間と重症度、ピークフロー異常値の持続期間、抗菌薬の使用および有害事象であった。咳嗽持続期間や症状重症度に両群で差はなし 401例中2例は無作為化後すぐに離脱、1例は重複していたため除外となり、解析対象は398例であった(平均年齢47[SD 16.0]歳、女性63%、喫煙者17%、痰77%、息切れ70%、喘鳴47%、胸痛46%、ピークフロー値異常42%)。このうち334例(84%)で咳嗽持続期間が、369例(93%)で症状の重症度に関するデータが得られた。 平均咳嗽持続期間は、プレドニゾロン群で5日(四分位範囲[IQR]:3~8)、プラセボ群で5日(IQR:3~10)であった(補正ハザード比:1.11、95%信頼区間[CI]:0.89~1.39、α=0.05でp=0.36)。また、平均症状重症度は、プレドニゾロン群1.99点、プラセボ群2.16点であった(補正群間差:-0.20、95%CI:-0.40~0.00、α=0.001でp=0.05)。 その他の下気道感染症の持続期間や重症度、ピークフロー異常値の持続期間、抗菌薬の使用、重篤ではない有害事象に関しても、両群で差はなかった。重篤な有害事象は認められなかった。

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STEMIへの線溶療法、薬剤により死亡リスクに差/Lancet

 ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者に対する線溶療法では、薬剤などによって重要な相違点があり、アルテプラーゼ急速投与、tenecteplaseおよびレテプラーゼ(reteplase)は、ストレプトキナーゼ(streptokinase)やアルテプラーゼ非急速投与より優先して考慮されるべきで、線溶療法への糖蛋白IIb/IIIa阻害薬の追加は避けるべきである。タイ・ウボンラーチャターニー大学のPeerawat Jinatongthai氏らが、無作為化試験のシステマティックレビューとネットワークメタ解析の結果を報告した。線溶療法は、医療資源が乏しい環境下のSTEMI患者に対する、機械的再灌流に代わる治療法であるが、各種線溶療法を比較した包括的なエビデンスは不足していた。Lancet誌2017年8月19日号掲載の報告。約13万例を含む計40試験をネットワークメタ解析 研究グループは、PubMed、Embase、the Cochrane Library、ClinicalTrials.gov、WHO-ICTRPを用い、2017年2月28日までに発表された、成人STEMI患者の再灌流療法としての線溶薬の無作為化比較試験(対照は他の線溶薬、プラセボまたは無治療。単独投与または補助的な抗血栓療法との併用投与は問わず)を検索。STEMIに対する再灌流療法の適応が承認されている線溶薬(ストレプトキナーゼ、tenecteplase、アルテプラーゼ、レテプラーゼ)を検証した試験のみを対象に、ネットワークメタ解析を行った。 主要評価項目は、30~35日以内の全死因死亡率、安全性評価項目は大出血(BARC基準の3a、3b、3c)。 選択基準を満たした試験は40件で、12種類の異なる線溶療法を受けた12万8,071例が解析に組み込まれた。死亡リスク増加、出血リスク増加の種類別特性が明らかに アルテプラーゼ急速投与(tPA_acc)+非経口抗凝固薬(PAC)と比較し、ストレプトキナーゼ+PACおよびアルテプラーゼ非急速投与(tPA)+PACは、全死因死亡のリスク増加と有意な関連が認められた。リスク比(RR)は、ストレプトキナーゼ+PACが1.14(95%信頼区間[CI]:1.05~1.24)、tPA+PACが1.26(同:1.10~1.45)であった。一方、tPA_acc+PACと、tenecteplase+PACおよびレテプラーゼ+PACは、死亡リスクに差はなかった。 大出血に関しては、tenecteplase+PACは、他のレジメンと比較して出血リスクの低下と関連している傾向があった(RR:0.79、95%CI:0.63~1.00)。一方、線溶薬+PACへの糖蛋白IIb/IIIa阻害薬(GP)の追加は、tPA_acc+PACと比較して、大出血リスクの増加がみられた。RRは、tPA+PAC+GPが1.27(95%CI:0.64~2.53)、tenecteplase+PAC+GPが1.47(同:1.10~1.98)、レテプラーゼ+PAC+GPが1.88(同:1.24~2.86)、ストレプトキナーゼ+GPが8.82(同:0.52~151.04)であった。 なお著者は、大出血の定義の異質性や、観察期間が短いこと、脳卒中の診断法に関する詳細が不明などを研究の限界として指摘し、「脳卒中の転帰に対する線溶薬の有効性については解釈に注意が必要である」と述べている。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第39回

第39回:眠れない≠睡眠導入剤監修:表題翻訳プロジェクト監訳チーム 眠れないという患者の訴えに対し、睡眠導入剤を処方する医師が多いと思いますが、本当にそれだけでよいのでしょうか?睡眠導入剤内服を開始して、どんどん薬が効かなくなっていって、どんどんお薬の強さや量が増えていって……というケースをよく見ます。 今回取り上げるarticleは、慢性の不眠症に対する薬物療法以外のマネジメントについてです。睡眠導入剤以外の治療について非常に勉強になったため、ご紹介いたします。また本邦でも厚生労働科学研究班 日本睡眠学会のワーキンググループによる「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」が閲覧できるので、ご一読をお勧めします。 以下、American family physician 2015年12月15日号1) より不眠症は、人口の10~30%に影響を与え、年間925~1,075億ドルの医療費が掛かっている。睡眠障害国際分類第3版では、不眠症の診断の基準として、(1)入眠障害、(2)睡眠の維持の障害、(3)早朝覚醒、(4)日中の機能障害―の4項目について、週に3回以上、1ヵ月以上続くこととしている。また、日中の機能障害としては、(1)疲労や倦怠感、(2)注意力や集中力の低下、(3)社会的または職業的・教育的障害、(4)気分障害や過敏症、(5)日中の眠気、(6)モチベーションやエネルギーの低下、(7)エラーや事故の増加、(8)多動性・衝動性または攻撃性などの行動上の問題、(9)睡眠に関する継続的な心配―があり、いずれか1つを満たせばよい。不眠症に寄与する要因として、精神疾患、医学的な問題、薬物の使用、薬物の乱用は除外されるべきである。また、不眠症の非薬理学的療法には、睡眠衛生、認知行動療法、リラクゼーションセラピーなどがある。アメリカ睡眠医療学会によると、慢性の不眠症に対しては、初期治療として睡眠導入剤の使用は避けることが推奨されており、認知行動療法等の非薬物療法の提供を推奨している。またアメリカ老年医学会は、不眠症、せん妄等に対しての初期治療として、ベンゾジアゼピンやその他の鎮静作用のある睡眠薬の使用をしないよう推奨している。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Am Fam Physician. 2015 Dec 15;92:1058-1064. 2) International Classification of Sleep Disorders, 3rd ed. Darien, Ill.: American Academy of Sleep Medicine; 2014. 3) 睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療療ガイドライン―出口を見据えた不眠医療マニュアル―

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バンクーバーの医療安全国際学会【Dr. 中島の 新・徒然草】(185)

百八十五の段 バンクーバーの医療安全国際学会今回はカナダ・バンクーバーの医療安全関連の学会で、先日、我々が発表した内容を紹介いたします。この学会はレジリエント・ヘルス・ケア・ネットワーク・ミーティングというもので、新たな考え方に立って医療安全を推進するものです。つまり、従来の安全の考え方(Safety-I)というのは「物事がうまくいかないのは、正しく行わなかったからだ」という単純な因果律に縛られており、犯人探しに終始してしまっています。現実の世界はそんなに単純なものではなく、因果関係のはっきりしない複雑適応系を前提とした物の見方が重要になってきます。そこでレジリエント・ヘルス・ケア・ネットワーク・ミーティングでは、常にあらゆるものが変動している中で、現在や未来をうまく制御しよう(Safety-II)としているのです。提唱者のエリック・ホルナゲル教授は原子力発電所の安全マネジメントなどで有名な人で、医療にも同じ考え方を応用できるはずだ、ということでずっと活動をしてきました。さて、この学会における日本からの我々の発表は、某病院の薬剤取り違え事件をキッカケにしたものです。薬剤取り違えを起こした某病院院内調剤部門では、(1)2つの薬剤を離して配置する(2)ダブルチェックではなく、トリプルチェックを行う(3)バーコードリーダーを導入するという、極めて Safety-I 的な再発予防策を考えました。このような力業ではなかなかうまくいかない、というのは読者の皆様も薄々感じておられることと思います。そこで、その某病院の医療安全部門が院内調剤部門の日常業務の観察を行いました。その結果分かった事は、膨大な数の院内処方があり、調剤(ピッキング)や鑑査の件数は時間帯によって変動する。その状況に対応するために院内調剤室だけではなく、化学療法室や病棟の薬剤師に応援を要請している。1日3便あるトレインで薬剤を病棟に搬送するため、これに間に合わせる形で業務を行っている。調剤、鑑査の合間に平均3分毎に電話が鳴り、平均11分毎にカウンター業務が割り込む。加えて新人薬剤師への指導や実習薬学生への教育がある。ということで、常に変動する状況の中でも薬剤師さん達はスーパーマンのように働き、また薬剤部の中でのマンパワーのやりくりで何とか凌いでいることが分かりました。で、この観察で我々が潜在的脅威として見出したのは電話への応答とカウンター業務です。院内調剤部門では、電話での問い合わせに対してはテキパキと即答、カウンターもニコニコ対応をしていました。そのこと自体は立派ですが、歯止めのないポジティブフィードバックは得てして暴走しがちです。頻繁にかかってくる電話の内容は、処方した薬剤はいつくるのか、取りに行ってもいいのか、といったものばかりで、薬学の知識を要するものはほとんどありません。その一方、薬剤師さん達はいつも爽やか対応なので、皆が気軽に頼ります。結局、電話とカウンター業務が暴走し、いつしか院内調剤部門が破綻してしまうのではないか、ということが懸念されました。薬剤部もこの状況をよく理解しており、薬剤師をもっと増やして下さい不要不急の電話はやめて下さいというアピールをしているのですが、当然のことながら全く効果はありません。これに対し、Safety-II の観点からの観察を終えた我々は以下の2つの対策を提案しました。処方した薬剤の状況の「見える化」を図る:薬剤の調剤・搬送状況を電子カルテで見ることのできるシステムがサードパーティーから市販されているので、それを利用する。これがあれば、院内調剤部門に電話をかける必要がなくなります。1日3便のトレイン搬送をもっと増やす:担当の業者さんによれば、トレインの便数にはまだまだ余裕があるのだとか。配送の便数が増えれば、病棟から薬をとりにくる必要がなくなり、カウンター業務が激減するはずです。このような考えのもと、試しに医療安全部門所属の薬剤師が院内調剤部門に1週間出向いて、電話対応とカウンター業務をすべて肩代わりしたところ、「なんだか今日は凄く気持ち良く仕事ができた!」と現場の薬剤師さんたちに感謝されたそうです。それなら薬剤師を1人増やせば解決するのかというと、そうではありません。潜在的脅威がなくならない限り、これが暴走して部門が破綻する危険性が残っているからです。したがって、薬剤部だけで何とかしようとするのではなく、薬剤部の業務に影響を与える他部門とともに全体最適化を図りつつ解決するべきだと思います。ということで、英語の苦手な日本人が4人がかりでやった発表が会場から万雷の拍手をいただきました。前夜までスライドを修正し、当日朝まで英語の練習をした甲斐があったというものです。そして、なんと2年後の学会は日本で開催されることになりました。それまでに、英語でのやりとりもスムーズにできるようになっておきたいものです。帰国後の1句ニコニコと 爽やか対応 自滅する

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米国の開業皮膚科医、グループ診療が増加

 米国皮膚科学会(AAD)では、皮膚科医の労働力需給の傾向を評価する目的で診療プロファイル調査を10年以上行っている。米国・ジョージ・ワシントン大学のAlison Ehrlich氏らは最新の解析結果として、新たな技術に基づいた医療記録の実現による部分的な間接費の増大に関連して診療環境の変化がみられ、電子カルテの普及とともに遠隔診療の実施が進んでいることを示した。著者は、「回答バイアスや報告の曖昧さがある可能性があり、調査で得られた回答がすべての地域を代表するわけではない」と調査の限界を述べたうえで、「皮膚科医療への需要は高いままである」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年8月4日号掲載の報告。 研究グループは、皮膚科診療の実態と傾向を調べる目的で、無作為に抽出したAAD会員の皮膚科医を対象に、電子メールおよび郵送でアンケート調査を行った。 主な結果は以下のとおり。・プライマリケアでは、以前より個人開業の皮膚科医が少なくグループ診療を行う皮膚科医が多い、という変化がみられた。・皮膚科遠隔診療の実施は、2012~14年の間に7%から11%まで増加した。・電子カルテの導入は、2011年の51%から2014年には70%まで増加した。

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妊娠中の抗うつ薬治療、注意すべきは

 うつ病は、妊娠中にみられる一般的な合併症である。うつ病と診断されれば、医師は治療計画を作成し、妊婦を援助しなければならない。米国・ノースウェスタン大学のCara Angelotta氏らは、妊娠中のうつ病治療について、検討を行った。Birth defects research誌2017年7月17日号の報告。妊娠中に抗うつ薬治療を決定する際の根拠 妊娠中のうつ病治療について検討した主な内容は以下のとおり。・抗うつ薬を検討する際には、妊婦の疾患管理のための薬物治療のメリットと胎児への薬物療法のリスクのバランスをとることが求められる。・これは、疾患の特徴、妊婦のうつ病への治療反応の可能性、胎児への悪影響の可能性、患者の特性や価値観に応じて、個別に決定しなければならない。・妊娠中のうつ病に対する治療を行う際、リスクをゼロにする解決策はなく、疾患と薬物治療のどちらも、妊婦および胎児へのリスクを伴う。・妊娠中に抗うつ薬治療を決定する際には、疾患リスクが治療リスクよりも大きいことが根拠となる。・妊婦と胎児に対する疾患リスクを最小化するための症状緩和が目的となる。 妊婦に対するSSRI使用の最適化には、以下のような治療ゴールが必要である。(1)妊婦にとって、許容できる副作用とともに最良の治療反応が得られる最適な用量でなければならない。(2)妊娠中の薬物動態の変化を考慮し、症状の継続的な測定を繰り返し、最適な抗うつ効果を維持するための調整が必要となる。(3)出産後、女性が非妊娠期(母乳育児状態)に移行した際には、用量調節が必要である。■関連記事日本人妊婦のうつ病診断、適切なカットオフ値はいくつか母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連か妊娠中、血中濃度変化に注意が必要な抗精神病薬は

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強化降圧 vs.標準降圧、患者にとって差は?/NEJM

 収縮期血圧の目標値を120mmHgとした強化治療を行っても、同目標を140mmHgとした標準治療を行った場合に比べ、患者報告による健康アウトカムや、降圧治療の満足度、降圧薬アドヒランスには有意差がないことが示された。米国・ベッドフォード退役軍人(VA)病院のDan R. Berlowitz氏らが、9,361例を対象に行った無作為化比較試験の結果明らかにし、NEJM誌2017年8月24日号で発表した。これまでに発表されたSystolic Blood Pressure Intervention Trial(SPRINT試験)の結果では、非糖尿病の心血管リスクが高い高血圧症患者において、強化治療のほうが標準治療に比べ、心血管イベントリスクが低いことが示されていた。一方で、そのような強化治療が、患者報告アウトカムにどのような影響を与えるかは不明であった。 PCS、MCS、PHQ-9スコアを比較 研究グループは、高血圧症の患者9,361例を無作為に2群に分け、一方は収縮期血圧目標値を120mmHg(強化治療群)、もう一方は同目標値を140mmHg(標準治療群)とした降圧治療を行った。 患者報告によるアウトカムの指標としては、退役軍人RAND 12項目健康調査票の身体的サマリー(PCS)スコアと、精神的サマリー(MCS)スコア、患者健康質問票の9項目のうつ病評価尺度(PHQ-9)スコア、患者報告による血圧治療と降圧薬に関する満足度、降圧薬のアドヒランスとした。 強化治療群と標準治療群について、全被験者でスコアを比較したほか、身体・認知機能で層別化したグループ間の比較も行った。患者満足度は両群で同程度に高い 強化治療群は標準治療群に比べ、平均1種の降圧薬を多く服用しており、収縮期血圧値は14.8mmHg(95%信頼区間:14.3~15.4)低かった。 中央値3年の追跡期間中、患者報告によるPCS、MCS、PHQ-9のスコア平均値は相対的に安定しており、両群で有意差は認められなかった。ベースライン時の身体・認知機能で階層化したグループで比較しても、同スコアに有意差はなかった。 降圧治療の満足度は両群ともに高く、また降圧薬アドヒランスについても、両群で有意差はなかった。

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