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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第40回

第40回:失神の鑑別診断監修:表題翻訳プロジェクト監訳チーム 失神は日常診療で遭遇する病態の1つであるが、ほとんどの場合は神経調節性失神などの良性疾患である。しかし心原性失神など入院精査を要する場合もあり、的確な診断と必要に応じた適切な治療が求められる。国内のガイドラインとしては日本循環器学会などが合同で作成した「失神の診断・治療ガイドライン2012年改訂版」があり1)、「診断へのアプローチ」や「救急での対応」という項目で具体的対応についても記載されている。なお、米国心臓病学会(ACC)、米国心臓協会(AHA)、米国不整脈学会(HRS)が合同で、失神の評価・管理に関するガイドラインを2017年3月9日にオンライン公開しており、こちらも参考になる2)。 以下、American family physician 2017年3月1日号3)より失神とは、脳血流の低下によって招かれる突然の一過性の意識消失である。救急外来患者の1~1.5%を占めており、入院率が高く、医療費への影響も大きい。失神は神経調節性失神、心原性失神、起立性低血圧に分類される。このうち、神経調節性失神はもっとも頻度が多く、予後良好である一方、心原性失神は死亡へ繋がることもある。前失神を伴うものは失神と同様の転帰を辿るため、失神と同じように評価を行うべきである。標準化されたアプローチで失神を評価することは、入院や医療費を抑えつつ、診断精度を高めることができる。すべての失神患者に対して、詳細な病歴、身体診察、心電図を最初に行うことにより、半数を診断することができ、またリスク分類を図ることもできる。血液検査や頭部画像検査はあまり診断へ寄与しないため、臨床的に適応がある場合に限定すべきである。短期予後や入院の必要性を判断するために有用な臨床判断ツールが幾つかある。San Francisco Syncope Rule, Evaluation of Guidelines in Syncope Study, Osservatorio Epidemiologico sulla Sincope nel Lazioは妥当性確認がされているツールである。過去に失神歴がない低リスク群では、追加検査を必要としないことが多い。心血管疾患や不整脈の既往、心電図異常所見、重度の合併症をもつ高リスク群(表1)では、入院精査すべきである。原因不明の失神では、誘発試験、長時間心電図モニタリングを行うこと。神経調節性失神と起立性低血圧の多くは保存的に管理するが、重篤な場合は薬物治療を必要とすることもある。心原性失神はICD埋め込みやアブレーションを必要とすることがある。<推奨事項>前失神症状を呈する患者は、失神患者と同様に評価すること(推奨レベル:C)。うっ血性心不全や器質的心疾患、心電図異常所見、突然死の家族歴のいずれかを伴う失神では、入院精査を緊急で要する(推奨レベル:C)。失神患者では起立試験と12誘導心電図を行うこと(推奨レベル:C)。病歴と身体所見から臨床的に適応あるときのみ、血液検査と画像検査を行うこと(推奨レベル:C)。心原性失神が疑われる場合や原因が分からない失神では、植込み型ループ式心電計が診断に有用であり、コストパフォーマンスも高い(推奨レベル:C)。神経調節性失神または起立性低血圧による失神で、心疾患の既往がなく、突然死の家族歴もなく、心電図正常の場合は、追加検査をせず経過観察する(推奨レベル:C)。※推奨レベルはSORT evidence rating systemに基づくA:一貫した、質の高いエビデンスB:不整合、または限定したエビデンスC:直接的なエビデンスを欠く<リスク分類(表1)>高リスク群:下記項目のいずれかに該当する場合は、入院精査を推奨病歴から不整脈による失神が疑われる場合(例:労作時失神、動悸、前駆症状を伴わない失神)併存疾患を伴う場合(例:高度貧血、電解質以上)心電図で失神を起こしうる不整脈を認める(例:2度ブロック、HR

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留学体験その4【Dr. 中島の 新・徒然草】(193)

百九十三の段 留学体験その4今回は留学中に最も苦労した英語の壁について述べたいと思います。まず、聴く、読む、話す、書くという4技能のうち、1番苦労したのは聴くということでした。在米中、色々な「攻撃」に悩まされました。 会話が速すぎるスピード攻撃音が連結して別の音になるリエゾン攻撃(例)"アネン" は and then語彙の少なさを思い知らされるボキャブラリー攻撃(例)makeshift は「その場しのぎ」。ニュースにはしばしば出てくる聞いたことのない言い回しのスラング攻撃(例)10 bucks は「10ドル」のこと音そのものが聴き取れない/区別できないRL攻撃強烈な訛りに手も足も出ないアクセント攻撃(例)オーストラリア人が "ダイターバイス" と言ったら data base、ニュージーランド人が "フッシュンチュプス" と言ったら fish and chips のこと 1つだけ原因があるというより、大小の違いはあれど毎回これらが束になって攻撃してくるので歯が立たない、というのが現実でした。また、実生活での英語の聴き取りレベルにもいくつかの段階がありました。入門レベル:ラボの非アメリカ人との対面の会話。相手の語彙も限られているしスピードも速くないので、さほど苦労はしない。ラボのアメリカ人やイギリス人との対面の会話も、こちらのレベルに合わせてしゃべってくれるので何とかなる。中級レベル:電話対応。ホテルの予約で電話するのは定型文なのでさほど難しくない。しかし、ラボにかかってきた電話に対応するのは、恐怖以外の何物でもない。相手の顔が見えないし、会話の行き先の予想もつかない。上級レベル:アメリカ人同士の会話についていく。これは無茶苦茶難しい。超高速の上にスラング満載なので、何が何やらさっぱり分からない。なぜかヨーロッパやアジアの出身者がその会話に参加して一緒に盛り上がっているので、こちらの能力のなさを思い知らされる。で、どう対策していたのか? (1)しゃべっている相手の口元を見る。3割ほど聴き取り能力が上がる気がする。(2)カタカナで聴こえる音で覚える。「カロミター」と聴こえたら kilometer、「カナマジン」と聴こえたら can imagine、「コノミー」と聴こえたら economy。(3)地道な努力を繰り返す。スクリプトのある英会話やニュースを聴いて、聴き取れなかった部分を後でチェックする。そして「あっ、そうだったのか!」を繰り返す。 聴き取りさえできれば、こちらは yes, no, thank you くらいを言っておけば最低限のコミュニケーションは成立します。帰国してからも英語の勉強は続けていますが、私にとっては永遠の課題です。現在、心掛けていることを挙げておきましょう。 自分のレベルに合った教材を選んで勉強する。難しすぎるものに挑戦すると心が折れてしまう聴き取れない部分をカタカナで書きとり、スクリプトでチェックする出くわした知らない単語を覚えるスクリプトを何度も音読する1つの教材に飽きたら迷わず新しいものに移るインド英語やシンガポール英語などの聴き取りにも挑戦する「聴き取れないフレーズは有限である」と信じる 私にとってはあまり近道はないようで、これらの手順をひたすら繰り返しています。そのせいか、以前よりは少し聴き取りがマシになりました。私の経験した苦労が読者の皆様の参考になれば幸いです。最後に1句できるはず 努力次第で リスニング

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うつ病リスクが低下する日本人に適切な魚類の摂取量は

 魚類の消費やイコサペント酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などのn-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)レベルがうつ病のリスク低下と関連していることが、観察研究のシステマティックレビューにより明らかとなっている。また、n-3PUFAの逆J字型効果が示唆されている。しかし、魚類の消費量の多い集団からのエビデンスは限られており、うつ病の標準的な精神医学的ベースの診断を用いた研究はない。国立がん研究センターの松岡 豊氏らは、日本人における魚類、n-3PUFA、n-6PUFAの消費とうつ病リスクとの関連を、集団ベースのプロスペクティブ研究にて調査を行った。Translational psychiatry誌2017年9月26日号の報告。 長野県佐久地域住民1万2,219例(1990年)を対象に、1995、2000年に食物摂取頻度調査を完了し、2014~15年にメンタルヘルス検査を受けた63~82歳の参加者1,181例を抽出した。魚類の摂取量およびPUFAの四分位に基づき、うつ病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・95例が現在うつ病と診断されていた。・うつ病リスクが低下していたのは、魚類の摂取量の第3四分位(111.1g/日、OR:0.44、95%CI:0.23~0.84)、EPAの第2四分位(307.7mg/日、OR:0.54、95%CI:0.30~0.99)、ドコサペンタエン酸(DPA)の第3四分位(123.1mg/日、OR:0.42、95%CI:0.22~0.85)であった。・がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病で調整後のORは、魚類およびDPA摂取において有意なままであった。 著者らは「高齢者のうつ病予防に対し、中程度量の魚類の摂取が推奨される」としている。■関連記事たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能魚を食べると認知症は予防できるのか統合失調症とω3脂肪酸:和歌山県立医大

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日本人男性、ストレスでがんリスクが増加~JPHC研究

 がん発症リスク因子としてのストレスについての報告は一貫していない。今回、1990~94年に40~69歳の10万1,708人を登録したJPHC研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study)のデータから、知覚されたストレスレベルが高いと男性のがん罹患率が増加する可能性が示唆された。Scientific Reports誌2017年10月11日号に掲載。 ベースライン時に知覚されたストレスのレベルについて自己申告したものを収集し、5年間の追跡期間を通じてアップデートした。知覚されたストレスとがんリスクの間の関連について、既知の交絡因子すべてで調整したCox比例ハザード回帰モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間(平均17.8年)中に、1万7,161例のがん症例を同定した。・ベースライン時での知覚されたストレスのレベルとがん発症率との間に関連は認められなかった。しかし、知覚されたストレスの動的変化を考慮すると、ストレスレベルが低かった群と比較して、ストレスレベルが上昇した被験者ではがん全体の発症リスクがわずかに(4~6%)増加することが、時変分析で認められた。・知覚されたストレスレベルの長期分析により、常にストレスレベルが低かった被験者と比較して、常にストレスレベルが高かった被験者の過剰リスクは11%(95%信頼区間:1~22%)であった。この関連は男性(20%の過剰リスク)に限定され、とくに、喫煙者、飲酒者、肥満者、がんの家族歴のない被験者で強かった。

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脊髄性筋萎縮症治療における新たな選択肢が登場

 2017年10月6日、バイオジェン・ジャパン株式会社は、メディアセミナー「日本初のアンチセンス核酸医薬品であるスピンラザ髄注12mg 最新技術の登場で変わる医療現場と治療方法」を開催した。 セミナーの前半では竹島 泰弘氏(兵庫医科大学 小児科学講座 主任教授)が「アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたスプライシング制御による遺伝性神経筋疾患治療」と題した講演を行い、後半では、バイオジェン・ジャパン社の飛田 公理氏(メディカル本部 希少疾患領域[SMA]部長)が「スピンラザ髄注12mg」の概要を解説した。 常染色体劣性遺伝性神経筋疾患である脊髄性筋萎縮症(SMA)は、5番染色体長腕内のSMN1遺伝子の欠乏・変異からSMNタンパク質の不足が起こり、脊髄前角運動ニューロンの変性によって進行性の筋萎縮や筋力低下を来す疾患であり、乳児の遺伝性疾患による主要な死因となっている。 SMNタンパク質を作る遺伝子としては、SMN1遺伝子のほかにSMN1遺伝子の重複遺伝子であるSMN2遺伝子が挙げられるが、SMN2遺伝子から作られるSMNタンパク質は約9割が非機能性であり、通常SMN2遺伝子から作られる機能性SMNタンパク質の割合は全体の約1割にすぎない。 SMAには根本的な治療法はなく、これまで対症療法として栄養、呼吸器、筋骨格系合併症に対する包括的ケアや緩和ケアが行われてきたが、今夏、新たな選択肢としてヌシネルセンナトリウム(商品名:スピンラザ)が登場した。 スピンラザはSMN2遺伝子のmRNA前駆体に結合することで、機能性SMNタンパク質の産生を増加させる日本初のアンチセンス核酸医薬品であり、乳児型SMAを対象としたENDEAR試験および乳児型以外のSMAを対象としたCHERISH試験の中間解析において、臨床的に有意な有効性と忍容可能な安全性が認められている。 今後の課題として、脊髄性筋萎縮症という疾患自体は多くの医師に知られているが、一般小児科や産婦人科では見逃されている可能性もあるという。竹島氏は「乳幼児健診等では脊髄性筋萎縮症の可能性を念頭に置き、診察していただきたい」と要望を述べて会を締めくくった。■参考医療関係者向け情報サイト:スピンラザ髄注12mg患者向け情報サイト:TOGETHER IN SMA

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lorlatinibのALK/ROS1陽性NSCLCにおける成績発表/WCLC2017

 lorlatinibは、高い選択性と強力な活性を持ち、良好な脳浸透性を示す次世代ALK/ROS1-TKIである。とくにALKキナーゼ領域の変異に対する活性が知られており、第1世代、第2世代ALK-TKI後に発現するG1202Rなどの耐性変異に対し、最も広いスペクトラムを有する。横浜で開催された第18回世界肺がん学会(WCLC)では、オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのBenjamin J Solomon氏が、lorlatinibの第II相試験の主要な結果について発表した。 この第II相試験(NCT 01970865)は、6つの拡大コホート(EXP1~6)で行われている。ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)は前治療歴に応じてEXP1~5で評価され、ROS1陽性NSCLCは前治療歴にかかわらずEXP6で評価された。今回の発表は、EXP6を含む全コホートの解析である。同試験の主要評価項目は、独立評価委員会(IRC)による客観的奏効率(ORR)と頭蓋内ORR(IC ORR)。副次評価項目は、安全性と忍容性、患者報告アウトカム(PRO)などであった。 全体で275例の患者が登録され、ベースライン時に165例が脳転移を有していた。コホート別、またクリゾチニブとその他のTKIによる前治療歴ごとに解析されたORR、IC ORRは以下の通り。・ALK陽性、未治療(EXP1):ORR 90%、IC ORR 75%・ALK陽性、前治療クリゾチニブ±化学療法(EXP2+EXP3A):ORR 69%、IC ORR 68%・ALK陽性、前治療クリゾチニブ以外のTKI±化学療法(EXP3B):ORR 33%、IC ORR 42%・ALK陽性、前治療クリゾチニブ以外のTKIを2~3ライン±化学療法(EXP4+EXP5):ORR 39%、IC ORR 48%・ROS1陽性(EXP6):ORR 36%、IC ORR 56% なお、EXP2~5で19例がG1202R変異を有しており、11 例(58%)で応答が確認された。 全コホートの治療関連有害事象(AE)発現率は、95%。Grade3/4のAEは41%の患者で発現した。AEによる投与延期は30%、減量は22%、治療中止は7例(3%)、死亡例はなかった。発現頻度が高い項目は、高脂血症(81%)、高トリグリセライド血症(60%)であった。 現在、ALK陽性NSCLC の1次治療での有効性をクリゾチニブと比較する、第III相試験(NCT 03052608)が進行中である。■参考NCT 01970865(Clinical Trials.gov)NCT 03052608(Clinical Trials.gov)■関連記事第2世代ALK-TKI既治療のNSCLCにおけるlorlatinibの成績/ESMO2017 第3世代ALK阻害薬lorlatinibの成績発表/ASCO2017 次世代ALK/ROS1阻害剤lorlatinib、ALK肺がんでFDAのブレークスルー・セラピー指定

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トファシチニブは乾癬性関節炎にも有益か/NEJM

 腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬の効果が不十分だったコントロール不良の乾癬性関節炎の患者に対し、トファシチニブはプラセボと比較して、3ヵ月後のACR20改善率が向上するなど、疾患活動性の低下に有効であることが示された。有害事象の頻度は、トファシチニブがプラセボよりも高かった。カナダ・トロント大学のDafna Gladman氏らが、395例を対象に行った試験の結果で、NEJM誌2017年10月19日号で発表した。トファシチニブは、経口ヤヌスキナーゼ阻害薬で、乾癬性関節炎の治療薬として検討されていた。トファシチニブ5mg、10mgを1日2回投与 研究グループは、TNF阻害薬に対し反応性が不十分でコントロール不良の乾癬性関節炎の患者395例を対象に、6ヵ月間の第III相の無作為化プラセボ対照二重盲検試験を行った。 被験者を、2対2対1対1の割合で4群に分け、(1)トファシチニブ5mgを6ヵ月1日2回経口投与(132例)、(2)トファシチニブ10mgを6ヵ月1日2回投与(132例)、(3)プラセボを投与し3ヵ月以降はトファシチニブ5mgを1日2回投与(66例)、(4)プラセボを投与し3ヵ月以降はトファシチニブ10mgを1日2回投与(65例)した。 主要エンドポイントは、米国リウマチ学会基準による20%以上の改善(ACR20改善)の達成率と、健康評価質問票の機能障害指数(HAQ-DI、スコア0~3:スコアが高いほど障害が重度であることを示す)のベースラインからの変化だった。トファシチニブ投与群のACR20改善率は約50% 3ヵ月時点におけるACR20改善率は、プラセボ群24%に対し、トファシチニブ5mg群は50%、トファシチニブ10mg群は47%と、いずれも有意に高率だった(各トファシチニブ群のプラセボ群に対するp<0.001)。 ベースラインからのHAQ-DIスコア変化の平均値も、プラセボ群-0.14に対し、トファシチニブ5mg群は-0.39、トファシチニブ10mg群は-0.35と改善幅が有意に大きかった(各トファシチニブ群のプラセボ群に対するp<0.001)。 重篤な有害事象は、トファシチニブ5mg継続投与群の4%、トファシチニブ10mg継続投与群の6%で認められた。また、6ヵ月の試験期間中に、重篤な感染症が4件、帯状疱疹が3件、心筋梗塞と虚血性脳卒中がそれぞれ1件報告された。また、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ値とアラニンアミノトランスフェラーゼ値が、正常上限値の3倍以上に達した被験者が、プラセボ投与後にトファシチニブを投与した群に比べ、トファシチニブ継続投与群で多かった。

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DOAC、静脈血栓塞栓症でワルファリンと同等の安全性/BMJ

 静脈血栓塞栓症を呈した患者に対する直接経口抗凝固薬(DOAC)の投与は、ワルファリン投与に比べ、治療開始90日以内の大出血リスクや全死因死亡リスクを増大しないことが示された。カナダ・カルガリー大学のMin Jun氏らが、6万人弱を対象に行った大規模コホート試験で明らかにしたもので、BMJ誌2017年10月17日号で発表した。これまでに、無作為化試験でDOACのワルファリンに対する非劣性は示されていたものの、臨床試験の被験者は高度に選択的であるため、実際の臨床現場におけるルーチン投与の状況を反映したものなのか疑問の余地があった。90日以内の大量出血、総死亡リスクを比較 研究グループは、2009年1月1日~2016年3月31日にかけて、カナダと米国の6州のヘルスケアデータを用いて傾向スコアでマッチングした、住民ベースの後ろ向きコホート試験を行った。試験対象期間中に静脈血栓塞栓症の新規診断を受け、診断後30日以内にDOACまたはワルファリンの処方を受けた5万9,525例のデータを分析し、DOACの安全性についてワルファリンと比較検討した。 アウトカムは、大出血による入院または救急部門受診と、治療開始後90日以内の全死因死亡率などだった。傾向スコアマッチング法と共用異質性モデルにより、DOACとワルファリンの補正後ハザード比を推定した。CKDの有無、年齢、性別で分けても安全性は同等 5万9,525例について、追跡期間平均値85.2日の間に、1,967例(3.3%)が大出血を呈し、死亡は1,029例(1.7%)だった。 大出血リスクは、DOAC服用群とワルファリン服用群で同程度だった(プールハザード比:0.92、95%信頼区間[CI]:0.82~1.03)。また、死亡リスクも、両群間の差は認められなかった(同:0.99、0.84~1.16)。 なお、試験を実施した医療施設間に不均一性はなく、示された結果について、患者の慢性腎臓病(CKD)の有無、年齢、性別などによる違いは認められなかった。

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双極性障害に対するアリピプラゾールの評価~メタ解析

 双極性障害(BD)に対するアリピプラゾールによる治療については多くの研究が行われている。台湾・高雄医学大学のDian-Jeng Li氏らは、BD治療におけるアリピプラゾールの有効性および安全性プロファイルを調査するため、総合的なメタ解析を実施した。Progress in neuro-psychopharmacology & biological psychiatry誌2017年10月3日号の報告。 著者2名により2017年5月14日までのBD患者を対象としたアリピプラゾールのランダム化比較試験(RCT)を、PubMed、ScienceDirectを用いてシステマティックに検索を行った。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たしたRCTは20件であった。その内訳は、ハロペリドールとの有効性比較2件(アリピプラゾール群:340例、ハロペリドール群:337例)、リチウムとの有効性比較3件(アリピプラゾール群:208例、リチウム群:212例)、プラセボとの複合比較15件(アリピプラゾール群:1,923例、プラセボ群:1,499例)であった。・アリピプラゾール群はプラセボ群と比較し、急性躁状態における急性躁症状(Hedges' g:-0.299、p=0.001)および精神症状(Hedges' g:-0.296、p<0.001)の改善が認められたが、急性うつ状態におけるうつ症状(Hedges' g:-0.127、p=0.054)の改善は認められなかった。・維持療法においてアリピプラゾールを併用した場合、プラセボ群と比較し、双極性躁症状の再発率の低さとの関連が認められた(OR:0.522、p<0.029)。・アリピプラゾール群は、プラセボや他の薬物療法群(ハロペリドール群、リチウム群)と比較し、維持期における高比重リポ蛋白(HDL)高値や、脱落率の低さと関連が認められたが、錐体外路症状に差は認められなかった。 著者らは「アリピプラゾールは、双極性障害の躁症状の治療において有効かつ安全であることが示唆された。有効性、忍容性に関して、他の薬剤と比較評価するためには、さらなる研究が必要である」としている。■関連記事アリピプラゾールは急性躁病治療のファーストラインになりうるか日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの長期効果はアリピプラゾール維持治療の52週RCT結果

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BRCA1レベルに基づくNSCLCアジュバントは生存率を上昇させたか(SCAT)/WCLC2017

 Stage II~IIIAの非小細胞肺がん(NSCLC)切除患者では、プラチナベースの術後補助化学療法が標準治療である。しかし、他レジメンとの直接比較研究はない。一方、BRCA1は、二本鎖DNA切断を修復する作用を有し、またその発現レベルにより予後および効果予測因子ともなる。SCAT研究は、BRCA1発現レベルに基づき個別化した術後補助化学療法が上記患者の生存率を改善するかを評価したSpanish Lung Cancer Cooperative Groupの試験。横浜市で開催された第18回世界肺会議(WCLC)において、スペイン・Alicante University HospitalのBartomeu Massuti氏が結果を発表した。 BRCA1低発現ではシスプラチン感受性を示し、BRCA1高発現ではシスプラチン耐性、タキサン感受性を示すといわれる。この研究では、完全切除したStage II~IIIAのNSCLC患者500例を、コントロール群(108例)と試験群(392例)に、無作為に割り付けた。コントロール群には標準治療のシスプラチン+ドセタキセル治療を、試験群はBRCA1発現レベルにより異なる化学療法治療を行った。BRCA1低発現患者にはシスプラチン+ゲムシタビン、BRCA1中程度発現患者にはシスプラチン+ドセタキセル、高BRCA1高発現患者にはドセタキセル単独治療を行った。主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は無病生存期間、毒性などであった。 追跡期間中央値53ヵ月後のコントロール群のOSは69.3ヵ月、試験群では82.4ヵ月(HR:0.946)、5年OSは54%と56%と両群で同等であった。両群のBRCA1発現によるサブ解析の結果、BRCA1低発現群において、シスプラチン+ゲムシタビンのOSは74ヵ月、シスプラチン+ドセタキセルは40.1ヵ月と、シスプラチン+ゲムシタビンで有意に良好(HR:0.622、p=0.005)であった。一方、BRCA1高発現において、ドセタキセル単独のOSは80.2ヵ月、シスプラチン+ドセタキセルは未到達(HR:1.289、p=0.436)と、レジメンによる差は示されなかった。 結果として、BRAC1発現レベルに基づいた化学療法による生存率の上昇は示されなかったものの、BRCA1はコントロール群における唯一の予後因子であった。また、ドセタキセル単独療法は他の療法と比べ、コンプライアンスが良好で(p<0.001)、減量も少なく(p<0.01)、がんによる死亡発生率も同等であった。Massuti氏は最後に、高BRCA1患者において、プラチナを用いないタキサン単独による術後補助療法は、プラチナの短期・長期毒性を回避できる可能性があると述べた。■参考SCAT試験(Clinical Trials.gov)WCLC2017プレスリリース

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緑内障進行の早期発見、OCT vs.視野検査

 緑内障の進行を早期に発見するためには、光干渉断層法(OCT)と視野検査のどちらが有用だろうか。米国・オレゴン健康科学大学のXinbo Zhang氏らは、Advanced Imaging for Glaucoma Studyに登録された患者について解析し、初期緑内障の進行を検出する感度は視野検査よりOCTが良好であることを示した。特に、乳頭周囲網膜神経線維層(NFL)厚は進行した緑内障で減少するのに対して、神経節細胞複合体層(GCC)厚は初期から進行期にわたって緑内障の進行を検出するのに役立つことも示した。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2017年9月27日号掲載の報告。 研究グループは、多施設共同研究であるAdvanced Imaging for Glaucoma Studyにおいて、6ヵ月ごとに5回以上受診した患者を対象に、フーリエ-ドメインOCTによるNFL厚とGCC厚、ならびに視野について分析した。 進行の定義は、OCTではNFLまたはGCCが有意に減少する傾向が見られた場合とし、視野検査ではイベントまたは傾向分析で有意に達した場合とした。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、緑内障疑い/極早期緑内障(GS/PPG)417眼、早期緑内障(PG)377眼であった。・GS/PPG群において、進行はOCTで38.9%に検出され、視野検査による18.7%より有意に高かった(p<0.001)。・PG群では、重症度別解析で、初期PGにおいてはOCTが視野検査より進行の検出率が有意に高かった(49.7% vs.32.0%、p=0.02)。しかし、中等度および高度PGにおいては有意差はなかった。・NFL菲薄化の割合は高度PGで劇的に減少したが、GCC菲薄化の割合は比較的安定したままで、高度PGでも進行を良好に検出し得た。・GS/PPG群とPG群の両方において進行検出の偽陽性率は、視野の傾向分析が10%を超えたが、GCCとNFLに関しては7%未満であった。

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エボラウイルスは生存者精液中に長期残存/NEJM

 エボラウイルス病(EVD)の男性生存者では、エボラウイルスRNAが精液中に長期に残存し、時間が経過するに従って徐々に減少することが、シエラレオネ保健衛生省のGibrilla F. Deen氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2017年10月12日号に最終報告として掲載された。西アフリカのエボラ流行を根本的にコントロールするには、EVD生存者におけるエボラウイルス排出の期間を理解し、さらなる感染を予防することが不可欠とされる。すでに本研究の準備報告に基づき、世界保健機関(WHO)と米国疾病管理予防センター(CDC)、中国CDCが、被災3国(シエラレオネ、ギニア、リベリア)の保健省との協働で精液検査プログラムと予防的行動カウンセリングを確立し、実行に移している。220例を登録、RT-PCR法で解析 本研究は、シエラレオネのEVDの成人男性生存者220例を便宜的標本とし、エボラ治療施設(ETU)を退院後の精液中のエボラウイルスRNAの存在を評価する観察的コホート試験である(WHOなどの助成による)。 患者登録は、ETUを退院後の種々の時点で、2期に分けて行った。第1期(2015年5月27日~7月7日)は首都フリータウン市の都市部で100例、第2期(2015年11月11日~2016年5月12日)はフリータウン市の都市部(60例)と準都市部のルンギ地区(60例)で120例を登録した。 第1期はエボラウイルスのNPとVP40遺伝子、第2期はNPとGP遺伝子を標的配列とし、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法を用いてベースライン時に採取した精液検体を検査した。第1期の検査はCDCが、第2期は中国CDCが行い、データ解析と管理はWHO、CDC、中国CDCが行った。 第2期は精液以外の体液の検査も行ったが、今回は精液のみの結果が報告された。また、この研究ではEVDの性行為感染リスクの直接的な評価は行われなかった。初回陽性率は27%、3ヵ月時の検出率100%から19ヵ月以降は0%に ベースラインの全体の平均年齢は31.5±9.5歳、ETU退院から検体採取までの平均期間は10.0±4.9ヵ月であった。フリータウン市都市部の参加者に比べ、ルンギ地区の参加者はわずかに年齢が高く、正規の教育をまったく受けていない者や、婚約、結婚している者の割合が高かった。また、世帯人数や世帯内のエボラウイルス感染者数も多かった。HIV検査に同意した195例のうち1例が陽性だった。 初回精液検体を提供した210例のうち、57例(27%)が定量的RT-PCRでエボラウイルスRNAが陽性であった。ETU退院後の期間別のエボラウイルスRNAの検出率は、退院後3ヵ月以内に検体が採取された7例では100%、4~6ヵ月後に採取された42例は62%(26例)、7~9ヵ月後の60例は25%(15例)、10~12ヵ月後の26例は15%(4例)、13~15ヵ月の38例は11%(4例)、16~18ヵ月後の25例は4%(1例)であり、19ヵ月以降に採取された12例では検出されなかった。 第1期にエボラウイルスRNA陽性であった46例では、標的となったNPとVP40のベースラインのサイクル閾値(cycle-threshold value、数値が高いほどRNA量が少ない)の中央値が、ETU退院後3ヵ月以内の検体採取例(7例)ではNPが32.4、VP40が31.3であり、4~6ヵ月の採取例(25例、それぞれ34.3、33.1)、7~9ヵ月(13例、37.4、36.6)、10~12ヵ月(1例、37.7、36.9)と比べて低かった。 第2期に、標的となったNPとGPが陽性であったのは11例であり(ETU退院後4.1~15.7ヵ月に検体採取)、サイクル閾値はNPが32.7~38.0、GPが31.1~37.7であった。 著者は、「生存者に付与されたさらなるスティグマの悪影響を軽減するには、地域社会の、内なる強力で持続的な支援が伴う、相応の敬意や継続的な努力がきわめて重要である」と指摘している。

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既存の抗アレルギー薬が多発性硬化症の慢性脱髄病変を回復させるかもしれない(解説:森本悟氏)-752

 多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)は若年成人に発症し、重篤な神経障害を来す中枢神経系の慢性炎症性脱髄性疾患である。何らかの機序を介した炎症により脱髄が起こり、軸索変性が進行する。急性炎症による脱髄病変には一部再髄鞘化が起こるが、再髄鞘化がうまくいかないと慢性的な脱髄病変となり、不可逆的な障害につながる。現在MSの治療は急性炎症の抑制、病態進行抑制が中心であり、慢性脱髄病変を回復させる治療はない。これまでの研究で、第一世代の抗ヒスタミン薬であるクレマスチンフマル酸(clemastine fumarate:CF)が、前駆細胞(oligodendrocyte precursor cell:OPC)からオリゴデンドロサイトへの分化促進、髄鞘膜の伸展、マイクロピラーの被覆、を介した再髄鞘化効果を有することが、疾患動物モデルにより証明されている1,2) 。 本研究は、CFがMSの慢性脱髄病変を回復させる可能性を示した初めての臨床報告である。単施設でのdouble-blind、randomized、placebo-controlled、crossover trialであり、MS患者50例(平均罹病期間約5年、平均年齢40歳)を25例ずつ2群に分け、CFまたはプラセボを3ヵ月間投与し、その後入れ替えて2ヵ月間投与した。主要評価項目には、視覚誘発電位(VEP)における遠位潜時を用いている。VEP検査は網膜から後頭葉の視覚野にかけての視覚経路における神経伝達を評価する検査であり、一般的にP100(一次視覚野由来の波形)の潜時が延長していると、その経路に脱髄をはじめとした障害があることが示唆される。本研究では、P100潜時の延長のある症例のみ登録され、その短縮効果を評価している。 結果、CF投与期間にはプラセボ投与期間に比べ、VEPのP100潜時が平均1.7ms短縮し、さらに6ms以上改善した例もプラセボ投与期間に比べてCF投与期間で有意に多かった。しかし、臨床的な神経症状の改善効果やMRIにおける病変の変化は証明できなかった。有害事象としては疲労感の増悪が報告されたのみであった。 本研究では、MRIによる視覚路病変の詳細な質的評価を行っていないこと、主要評価項目であるVEPの改善効果が小さく、臨床症状やMRI画像所見の改善が証明できなかったことから、脱髄病変が回復したと結論付けるには慎重を要する。さらに、MS患者における総合障害度の評価基準であるExpanded Disability Status Scale(EDSS[0:無症状~10:死亡])は、対象患者で2程度と障害の比較的軽度な患者が対象となっている点は、治療反応性の観点から(残存するOPCやオリゴデンドロサイト、神経軸索の数などが治療反応性の因子として推測されるが)留意すべきと思われる。また、CFは日本においても抗ヒスタミン薬として臨床的に使用されており、その用量は2mg/日である。しかしながら、本研究での投与量は10.72mg/日と約5倍量を使用しており、長期的に投与した場合の副作用や他の薬剤との相互作用が懸念される。 考慮すべき点は残るものの、in vitro/in vivoモデルにおいてしっかりとした有効性が確認された薬剤であり、慢性の脱髄病変が回復する可能性が見いだされた重要な臨床試験報告であるため、今後の研究が期待される。 余談だが、MSの亜型と言われ、視神経に病変が強調される視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD:neuromyelitis optica spectrum disorder)という概念が存在する。これらは、病変の首座がオリゴデンドロサイトではなくアストロサイトにあるとされているが、二次的な脱髄を伴うため、NMOSDに対してのCFの応用なども興味深い点である。

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HTLV-1関連脊髄症〔HAM:HTLV-1-associated myelopathy〕

1 疾患概要■ 概念・定義HTLV-1関連脊髄症(HTLV-1-associated myelopathy:HAM)は、成人T細胞白血病・リンパ腫(Adult T-cell leukemia/lymphoma:ATL)の原因ウイルスであるヒトTリンパ球向性ウイルス1型(human T-lymphotropic virus type 1:HTLV-1)の感染者の一部に発症する、進行性の脊髄障害を特徴とする炎症性神経疾患である。有効な治療法に乏しく、きわめて深刻な難治性希少疾病であり、国の指定難病に認定されている。■ 疫学HTLV-1の感染者は全国で約100万人存在する。多くの感染者は生涯にわたり無症候で過ごすが(無症候性キャリア)、感染者の約5%は生命予後不良のATLを発症し、約0.3%はHAMを発症する。HAMの患者数は国内で約3,000人と推定されており、近年は関東などの大都市圏で患者数が増加している。発症は中年以降(40代)が多いが、10代など若年発症もあり、男女比は1:3と女性に多い。HTLV-1の感染経路は、母乳を介する母子感染と、輸血、臓器移植、性交渉による水平感染が知られているが、1986年より献血時の抗HTLV-1抗体のスクリーニングが開始され、以後、輸血後感染による発症はない。臓器移植で感染すると高率にHAMを発症する。■ 病因HAMは、HTLV-1感染T細胞が脊髄に遊走し、そこで感染T細胞に対して惹起された炎症が慢性持続的に脊髄を傷害し、脊髄麻痺を引き起こすと考えられており、近年、病態の詳細が徐々に明らかになっている。HAM患者では健常キャリアに比べ、末梢血液中のプロウイルス量、すなわちHTLV-1感染細胞数が優位に多く、また感染細胞に反応するHTLV-1特異的細胞傷害性T細胞や抗体の量も異常に増加しており、ウイルスに対する免疫応答が過剰に亢進している1)。さらに、脊髄病変局所で一部の炎症性サイトカインやケモカインの産生が非常に高まっており2)、とくにHAM患者髄液で高値を示すCXCL10というケモカインが脊髄炎症の慢性化に重要な役割を果たしており3)、脊髄炎症のバイオマーカーとしても注目されている。■ 症状臨床症状の中核は進行性の痙性対麻痺で、両下肢の痙性と筋力低下による歩行障害を示す。初期症状は、歩行の違和感、足のしびれ、つっぱり感、転びやすいなどであるが、多くは進行し、杖歩行、さらには車椅子が必要となり、重症例では下肢の完全麻痺や体幹の筋力低下により寝たきりになる場合もある。下半身の触覚や温痛覚の低下、しびれ、疼痛などの感覚障害は約6割に認められる4)。自律神経症状は高率にみられ、とくに排尿困難、頻尿、便秘などの膀胱直腸障害は病初期より出現し、初めに泌尿器科を受診するケースもある。また、起立性低血圧や下半身の発汗障害、インポテンツがしばしばみられる4)。神経学的診察では、両下肢の深部腱反射の亢進や、バビンスキー徴候などの病的反射がみられる4)。■ 分類HAMは病気の進行の程度により、大きく3つの病型に分類される(図)。1)急速進行例発症早期に歩行障害が進行し、発症から2年以内に片手杖歩行レベルとなる症例は、明らかに進行が早く疾患活動性が高い。納の運動障害重症度(表)のレベルが数ヵ月単位、時には数週間単位で悪化する。急速進行例では、髄液検査で細胞数や蛋白濃度が高いことが多く、ネオプテリン濃度、CXCL10濃度もきわめて高い。とくに発症早期の急速進行例は予後不良例が多い。2)緩徐進行例症状が緩徐に進行する症例は、HAM患者の約7~8割を占める。一般的に納の運動障害重症度のレベルが1段階悪化するのに数年を要するので、臨床的に症状の進行具合を把握するのは容易ではなく、疾患活動性を評価するうえで髄液検査の有用性は高い。髄液検査では、細胞数は正常から軽度増加を示し、ネオプテリン濃度、CXCL10濃度は中等度増加を示す。3)進行停滞例HAMは、発症後長期にわたり症状が進行しないケースや、ある程度の障害レベルに到達した後、症状がほとんど進行しないケースがある。このような症例では、髄液検査でも細胞数は正常範囲で、ネオプテリン濃度、CXCL10濃度も低値~正常範囲である。■ 予後一般的にHAMの経過や予後は、病型により大きく異なる。全国HAM患者登録レジストリ(HAMねっと)による疫学的解析では、歩行障害の進行速度の中央値は、発症から片手杖歩行まで8年、両手杖歩行まで12.5年、歩行不能まで18年であり5)、HAM患者の約7~8割はこのような経過をたどる。また、発症後急速に進行し2年以内に片手杖歩行レベル以上に悪化する患者(急速進行例)は全体の約2割弱存在し、長期予後は明らかに悪い。一方、発症後20年以上経過しても、杖なしで歩行可能な症例もまれであるが存在する(進行停滞例)。また、HAMにはATLの合併例があり、生命予後に大きく影響する。6)2 診断 (検査・鑑別診断も含む)HAMの可能性が考えられる場合、まず血清中の抗HTLV-1抗体の有無についてスクリーニング検査(EIA法またはPA法)を行う。抗体が陽性の場合、必ず確認検査(ラインブロット法:LIA法)で確認し、感染を確定する。感染が確認されたら髄液検査を施行し、髄液の抗HTLV-1抗体が陽性、かつ他のミエロパチーを来す脊髄圧迫病変、脊髄腫瘍、多発性硬化症、視神経脊髄炎などを鑑別したうえで、HAMと確定診断する。髄液検査では細胞数増加(単核球優位)を約3割弱に認めるが、HAMの炎症を把握するには感度が低い。一方、髄液のネオプテリンやCXCL10は多くの患者で増加しており、脊髄炎症レベルおよび疾患活動性を把握するうえで感度が高く有益な検査である7)。血液検査では、HTLV-1プロウイルス量がキャリアに比して高値のことが多い。また、血清中の可溶性IL-2受容体濃度が高いことが多く、末梢レベルでの感染細胞の活性化や免疫応答の亢進を非特異的に反映している。また、白血球の血液像において異常リンパ球を認める場合があり、5%以上認める場合はATLの合併の可能性を考える。MRIでは、発症早期の急速進行性の症例にT2強調で髄内強信号が認められる場合があり、高い疾患活動性を示唆する。慢性期には胸髄の萎縮がしばしば認められる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)1)疾患活動性に即した治療HAMは、できるだけ発症早期に疾患活動性を判定し、疾患活動性に応じた治療内容を実施することが求められる。現在、HAMの治療はステロイドとインターフェロン(IFN)αが主に使用されているが、治療対象となる基準、投与量、投与期間などに関する指針を集約した「HAM診療ガイドライン2019」が参考となる(日本神経学会のサイトで入手できる)。(1)急速進行例(疾患活動性が高い)発症早期に歩行障害が進行し、2年以内に片手杖歩行レベルとなる症例は、明らかに進行が早く疾患活動性が高い。治療は、メチルプレドニゾロン・パルス療法後にプレドニゾロン内服維持療法が一般的である。とくに発症早期の急速進行例は治療のwindow of opportunityが存在すると考えられ、早期発見・早期治療が強く求められる。(2)緩徐進行例(疾患活動性が中等度)緩徐進行例に対しては、プレドニゾロン内服かIFNαが有効な場合がある。プレドニゾロン3~10mg/日の継続投与で効果を示すことが多いが、疾患活動性の個人差は幅広く、投与量は個別に慎重に判断する。治療前に髄液検査(ネオプテリンやCXCL10)でステロイド治療を検討すべき炎症の存在について確認し、有効性の評価についても髄液検査での把握が望まれる。ステロイドの長期内服に関しては、常に副作用を念頭に置き、症状や髄液所見を参考に、できるだけ減量を検討する。IFNαは、300万単位を28日間連日投与し、その後に週2回の間欠投与が行われるのが一般的である。(3)進行停滞例(疾患活動性が低い)発症後長期にわたり症状が進行しないケースでは、ステロイド治療やIFNα治療の適応に乏しい。リハビリを含めた対症療法が中心となる。2)対症療法いずれの症例においても、継続的なリハビリや排尿・排便障害、疼痛、痙性などへの対症療法はADL維持のために非常に重要であり、他科と連携しながらきめ細かな治療を行う。4 今後の展望HAMの治療は、その病態から(1)感染細胞の制御、(2)脊髄炎症の鎮静化、(3)傷害された脊髄の再生、それぞれに対する治療法開発が必要である。1)HAMに対するロボットスーツHAL(医療用)HAMに対するロボットスーツHAL(医療用)のランダム化比較試験を多施設共同で実施し、良好な結果が得られている。本試験により、HAMに対する保険承認申請がなされている。2)感染細胞や過剰な免疫応答を標的とした新薬開発HAMは、病因である感染細胞の根絶が根本的な治療となり得るがまだ実現していない。HAMにおいて、感染細胞は特徴的な変化を来しており、その特徴を標的とした治療薬の候補が複数存在する。また神経障害を標的とした治療薬の開発も重要である。治験が予定されている薬剤もあり、今後の結果が期待される。3)患者登録レジストリHAMは希少疾病であるため、患者の実態把握や治験などに必要な症例の確保が困難であり、それが病態解明や治療法開発が進展しない大きな要因になっている。患者会の協力を得て、2012年3月からHAM患者登録レジストリ(HAMねっと)を構築し、2022年2月時点で、約630名の患者が登録している。これにより、HAMの自然史や患者を取り巻く社会的・医療的環境が明らかになると同時に、治験患者のリクルートにも役立っている。また、髄液ネオプテリン、CXCL10、プロウイルス量定量の検査は保険未承認であるがHAMねっと登録医療機関で測定ができる。HAMねっとでは患者向けの情報発信も行っているため、未登録のHAM患者がいたら是非登録を勧めていただきたい。5 主たる診療科脳神経内科6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター HTLV-1関連脊髄症(HAM)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)HAMねっと(HAM患者登録サイト)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)HTLV-1情報サービス(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)厚生労働省「HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)に関する情報」(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)JSPFAD HTLV-1感染者コホート共同研究班(医療従事者向けのまとまった情報)日本HTLV-1学会(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報NPO法人「スマイルリボン」(患者とその家族および支援者の会)1)Jacobson S. J Infect Dis. 2002;186:S187-192.2)Umehara F, et al. J Neuropathol Exp Neurol. 1994;53:72-77.3)Ando H, et al. Brain. 2013;136:2876-2887.4)Nakagawa M, et al. J Neurovirol. 1995;1:50-61.5)Coler-Reilly AL, et al. Orphanet J Rare Dis. 2016;11:69.6)Nagasaka M, et al. Proc Natl Acad Sci USA. 2020;117:11685-11691.7)Sato T, et al. Front Microbiol. 2018;9:1651.8)Yamano Y, et al. PLoS One. 2009;4:e6517.9)Araya N, et al. J Clin Invest. 2014;124:3431-3442.公開履歴初回2017年10月24日更新2022年2月16日

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007)紙カルテの良い所【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第7回 紙カルテの良い所最近は電子カルテが普及し、アルバイトの求人を見ていても「電カル」導入のクリニックを多く見かけます。しかし、田舎の診療所である当院では、まだまだ紙カルテが現役です。「紙カルテっていいな~」と思うのは、シェーマやちょっとした図などを書くのに便利その日の字で自分のコンディションが読みとれるなんだかんだで紙カルテは早い!(PC操作よりもアナログが早い←個人的所感)逆に「電カルに劣るな~」と思うのは、内容のコピペができない(再診の場合)悪筆が読めない運用に人手が必要(カルテ出し)かつ収納スペースの問題とまあ、こんなところかなと思います。個人的にはPC操作も得意ですが、「電カル」では患者切り替えなどのタイムラグ、検査、処方や所見の入力に逐一操作が必要なこともあり、やっぱりアナログの方が早い気がします。一番早いのは、電カル操作に人を雇い、2診で自分が移動する技ですが…。もし自分が開業するなら、オーソドックスに1診電カルかなと思います。以上、場末の勤務医の一人言でした。

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ドネペジル+コーヒーで治療効果が高まる可能性

 アルツハイマー型認知症(AD)に一般的に用いられる塩酸ドネペジルは、アセチルコリンエステラーゼおよびブチリルコリンエステラーゼ活性に対する阻害作用を示し、認知機能を高める。ヒドロキシケイ皮酸のカフェイン酸(Caffeic acid)成分は、ヒトの食生活に広く存在する。ナイジェリア・Federal University of TechnologyのOdunayo Michael Agunloye氏らは、ドネペジルのアセチルコリンエステラーゼおよびブチリルコリンエステラーゼ阻害活性に及ぼすカフェイン酸の影響についてin vitroでの検討を行った。Journal of complementary & integrative medicine誌オンライン版2017年9月22日号の報告。 ドネペジル5mgを50mLの蒸留水に溶解し、カフェイン酸10mgを100mLの蒸留水に溶解した。サンプルの混合物はA2(ドネペジル0.075mg/mL+カフェイン酸0.025mg/mL)、A3(ドネペジル0.050mg/mL+カフェイン酸0.050mg/mL)、A4(ドネペジル0.025mg/mL+カフェイン酸0.075mg/mL)に調整した。分析のために、すべてのサンプルは4℃で冷蔵庫に保存した。 主な結果は以下のとおり。・すべてのサンプルにおいて、in vitroのアセチルコリンエステラーゼおよびブチリルコリンエステラーゼ活性に対する阻害作用を示し、A4において、最も高い阻害作用を示した(p<0.05)。・すべてのサンプルにおいて、ラットの脳ホモジネート中のプロオキシダント(FeSO4、ニトロプルシドナトリウム[SNP])誘発性脂質過酸化を防ぐことができ、A3およびA4は、FeSO4、SNP誘発性脂質過酸化に対して最も高い阻害作用を示した。・すべてのサンプルは、鉄(II)イオン(Fe2+)のキレート能、ヒドロキシルラジカル(OH・)ラジカル消去能、第二鉄還元力(FRAP)に代表される、抗酸化特性を示した。 著者らは「ドネペジルとカフェイン酸との組み合わせは、ドネペジルの抗酸化特性を高め、副作用が少なく、AD管理における治療補助となる可能性がある。ドネペジル0.025mg/mL+カフェイン酸0.075mg/mLの組み合わせは有望である」としている。■関連記事ドネペジルの治療反応、投与前に予測可能かなぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのかたった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能

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総コレステロールは晩年に低下する~10万人のコホート研究

 疫学研究では、総コレステロール(TC)が低いほど死亡率が高いことが示唆されている。今回、英国・ロンドン大学のJudith Charlton氏らが、80歳超のTCと死亡率との関連について死亡前のTCの低下で説明できるかを約10万人のコホート研究で検討したところ、TCは晩年に終末期の衰退を示すことがわかった。著者らは「逆の因果関係が、非無作為化研究での低TCと高死亡率の関連をもたらしているかもしれない」と考察している。The Journals of Gerontology誌オンライン版2017年9月27日号に掲載。 本研究は、UK Clinical Practice Research Datalink(CPRD)における80~105歳の9万9,758人について、プライマリケア電子健康記録を用いたコホート研究。全死亡のハザード比(HR)は、年齢、性別、フレイル、合併症、血圧、喫煙で調整した。fractional polynomialモデルを用いて、死亡前または研究終了前のTCの縦断的傾向を評価した。調整オッズ比は一般化推定方程式を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・参加者は女性6万3,630人、男性3万6,128人で、平均年齢86歳、死亡人数は2万9,200人であった。エントリー時に4万1,164人がスタチンで治療されていた。・TCが3.0mmol/L未満の人は4,5~5.4mmol/Lの人と比較して、死亡率が高かった。  スタチン治療者-HR:1.53、95%信頼区間:1.43~1.64、p<0.001  無治療者-HR:1.41、95%信頼区間:1.29~1.54、p<0.001・TCの経年的低下は、死亡前の2年間で速まった。・フォローアップ終了前3ヵ月間での、生存者と比較した、死亡者におけるTC 3.0mmol/L未満の調整オッズ比は、無治療者では3.33(2.84~3.91、p<0.001)、スタチン治療者では1.88(1.68~2.11、p<0.001)であった。

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5~19歳のBMI値の世界的動向は?/Lancet

 1975~2016年の未成年者(5~19歳)のBMI値の世界的な動向について、成人の動向と比較分析した結果、多くの高所得国では高止まりの傾向がみられるが、アジアの一部で高値ではないが加速度的な上昇がみられ、成人の動向とは相関していないことなどが明らかになった。世界200ヵ国の非感染性疾患(NCD)について調査を行っている科学者ネットワーク「NCD Risk Factor Collaboration」(NCD-RisC)が、住民ベース試験2,416件のデータをプール解析し、Lancet誌オンライン版2017年10月10日号で発表した。約1億3,000万例のデータをプール解析 未成年者の低体重、過体重、肥満は生涯にわたって健康を損なう結果を招くとされる。研究グループは、未成年者の平均BMI値と低体重から肥満をカバーするBMIカテゴリーの統合セットで、世界的な動向を推定し、また成人の同値動向との比較を行った。 参加者が5歳以上で身長と体重の測定が行われていた2,416件の住民ベース試験をプール(被験者1億2,890万例、うち5~19歳は3,150万例)。階層ベイズモデルを用いて、200ヵ国における5~19歳の1975~2016年の平均BMI値と、BMIカテゴリー分類―WHOの示す発育参照中央値より、「-2 SD未満(将来的に中等度~重度の低体重)「-2 SD~-1 SD未満(軽度の低体重)」「-1 SD~1 SD(健常体重)」「1 SD超~2 SD(肥満ではないが過体重)」「2 SD超(肥満)」―での有病率の傾向を推定した。東および南アジアでは男子女子ともにBMI値が上昇の傾向 1975~2016年の、女子の年齢標準化平均BMI値の各地における動向をみると、東ヨーロッパでは実質的に変化がみられなかった(-0.01kg/m2/10年、95%信用区間[CrI]:-0.42~0.39、観察された正確な減少の事後確率[posterior probability:PP]=0.5098)。一方で、中南米の中央地方では1.00kg/m2/10年(0.69~1.35、PP>0.9999)の上昇が、ポリネシアおよびミクロネシアでは0.95 kg/m2/10年(0.64~1.25、PP>0.9999)の上昇がみられた。 男子の動向は、東ヨーロッパで有意ではないが0.09kg/m2/10年(-0.33~0.49、PP=0.6926)の上昇がみられたものから、ポリネシアおよびミクロネシアの0.77kg/m2/10年(0.50~1.06、PP>0.9999)の上昇にわたっていた。 平均BMI値の傾向は、直近の北西ヨーロッパおよび高所得の英語圏、アジア太平洋地域では男子女子ともに安定的に推移しており、南西ヨーロッパの男子、中南米の中央およびアンデス地方では女子について安定的な推移が認められた。対照的に、東および南アジアでは男子女子ともにBMI値の上昇がみられ、東南アジアでは男子についてBMI値の上昇がみられた。 世界の肥満の年齢標準化有病率は、女子は1975年の0.7%(0.4~1.2)から2016年5.6%(4.8~6.5)に上昇し、男子は同0.9%(0.5~1.3)から7.8%(6.7~9.1)に上昇した。中等度~重度の低体重の有病率は、女子は同9.2%(6.0~12.9)から8.4%(6.8~10.1)に減少し、男子は同14.8%(10.4~19.5)から12.4%(10.3~14.5)に減少した。 2016年の中等度~重度の低体重の有病率はインドで最も高く、女子22.7%(16.7~29.6)、男子30.7%(23.5~38.0)であった。また、女子の肥満の有病率が30%超であったのは、ナウル、クック諸島、パラオで、男子ではクック諸島、ナウル、パラオ、ニウエ、米国領サモアであった。 2016年現在、世界で中等度~重度の低体重の女子は7,500万例(4,400万~1億1,700万)、男子は1億1,700万例(7,000万~1億7,800万)であり、肥満の女子は5,000万例(2,400万~8,900万)、男子は7,400万例(3,900万~1億2,500万)と推定された。

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血小板機能検査に基づく抗血小板療法の調節は意味がない?(解説:上田恭敬氏)-751

 本試験(TROPICAL-ACS)は、急性冠症候群(ACS)に対してPCIを施行した症例(2,610症例)を対象として、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の2剤目の薬剤を、プラスグレル(添付文書およびガイドラインに従って10mgまたは5mg/日)12ヵ月間とする対照群(control group)と、プラスグレル1週間、その後クロピドグレル(75mg/日)1週間、さらにその後は血小板機能検査の結果に基づいてプラスグレルかクロピドグレルを選択する調節群(PFT-guided de-escalation group)に無作為に割り付け、12ヵ月間の心血管死亡、心筋梗塞、脳卒中、BARC分類class 2以上の出血を主要評価項目として比較して、調節群の非劣性を検討している多施設試験である。 血小板機能検査としては、Multiplate analyser(ロシュ・ダイアグノスティックス社、スイス)によって、抗血小板効果不十分を意味するhigh on­treatment platelet reactivity(HPR)であるかどうかを判定し、HPRであればクロピドグレルからプラスグレルへ戻すとしている。実際、調節群の39%の症例でHPRを認め、その99%の症例でプラスグレルに戻されている。また、プラスグレルの投与量については、FDAの添付文書では体重60kg未満では5mgを考慮することと記載されている。 結果は、群間にイベントの有意な差はなく、非劣性が証明されている。著者らは、統計的な差はないものの、調節群でイベントがやや少なく見えることも考慮して、血小板機能検査に基づいて抗血小板療法を減弱させることは、通常のDAPTに対して代替的治療手段となりうると結論している。 確かに、理論的には、血小板機能検査に基づいて抗血小板療法を調節することがイベントを減少させる可能性はあると思われるが、これまでの各種試験では、その有用性は証明されておらず、本試験でもその有用性は示されなかった。労力をかけて調節しても、決まった量を投与しても、アウトカムに影響しないのであれば、調節する意味はないという結論になる。 本試験で抗血小板療法を調節することの優位性が示されなかった1つの理由として、クロピドグレルへ変更(減弱)したままの症例が調節群の60%程度しかなかったことが挙げられているが、抗血小板効果が強過ぎるものも弱過ぎるものも、血小板機能検査に基づいて適切に調節するようなプロトコールであれば優位性が示されたのかもしれない。また、クロピドグレルの効果が常にプラスグレルよりも弱いわけでもなく、各薬剤の投与量が抗血小板効果に影響することは言うまでもない。各群で抗血小板効果が、実際どの程度に調節されていたかの比較も必要であろう。そもそも日本ではプラスグレルの標準投与量が日本人向けに設定されているため、本試験のデザインも結果も日本人には当てはまらない。「血小板機能検査に基づいて抗血小板療法を調節すること」の有用性を証明して、各個人に最適な治療を届けるという夢は、まだ夢のままである。

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メラノーマ画像診断、皮膚科医 vs.ディープラーニング

 ディープラーニング・コンピュータ画像認識システムは、メラノーマのダーモスコピー画像を正確に分類し、すべてではないが皮膚科医の精度を上回ることが、ISIC(International Skin Imaging Collaboration)主催の国際コンテスト「ISBI(International Symposium on Biomedical Imaging)チャレンジ2016」で示された。ただし著者は、「今回の研究デザインで得られた結果は、臨床診療に外挿することはできない限定的なものである」としている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年9月29日号掲載の報告。 研究グループは、ダーモスコピー画像によるメラノーマの診断精度をコンピュータアルゴリズムと皮膚科医とで比較する目的で、25チームの個々のアルゴリズムの結果と、international computer vision melanoma challengeのデータセットからランダムに選択したダーモスコピー画像100例(メラノーマ50例、母斑44例、黒子6例)を用いて検討した。 個々の自動予測を5つの方法(非学習および機械学習)を用いて「融合」アルゴリズムに統合し、また、8人の皮膚科医が100例の画像について病変の良性・悪性を分類した。 主な結果は以下のとおり。・皮膚科医による分類の平均感度は82%、特異度は59%であった。・分類感度82%における皮膚科医の特異度は、チャレンジアルゴリズムのトップと同程度であり(59% vs.62%、p=0.68)、最良パフォーマンスの融合アルゴリズムよりは低かった(59% vs.76%、p=0.02)。・ROC面積を比較すると、最良融合アルゴリズムのほうが皮膚科医よりも大きかった(0.86 vs.0.71、p=0.001)。・今回の研究では、データセットに臨床診療で遭遇する皮膚病変、とくにびまん性病変が含まれていなかった。また、読影者とアルゴリズムに臨床データ(年齢、既往歴、症状など)が提供されていなかった。

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