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カナグリフロジン、心不全入院を低下も心血管系入院は同等/BMJ

 2型糖尿病の治療において、SGLT2阻害薬カナグリフロジンは、クラスが異なる他の3つの経口薬(DPP-4阻害薬[DPP-4i]、GLP-1受容体作動薬[GLP-1RA]、スルホニル尿素[SU]薬)と比べて、心不全による入院リスクは30~49%低いことが、また急性心筋梗塞/脳卒中による入院リスクは同程度であることが示された。米国・ハーバード大学医学大学院のElisabetta Patorno氏らが、大規模な住民ベースの後ろ向きコホート試験を行い明らかにしたもので、BMJ誌2018年2月6日号で発表した。これまで、カナグリフロジンの心血管安全性を評価した「CANVAS試験」などの結果において、同薬は心不全による入院リスクの低減効果を示しており、今回3種の糖尿病治療薬と直接比較を行うことで、その効果が確認された。米国の民間医療データベースで検証 研究グループは、米国の民間医療データベース「Optum Clinformatics Datamart」を基に、18歳以上の2型糖尿病の患者で、2013年4月~2015年9月にかけて、カナグリフロジンまたはDPP-4i、GLP-1RA、SU薬の服用を開始した患者を対象に、後ろ向きコホート試験を行った。 主要アウトカムは、心不全による入院と複合心血管エンドポイント(急性心筋梗塞、虚血性脳卒中、出血性脳卒中による入院)だった。100以上のベースライン特性を調整した傾向スコアでマッチング法を用い、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推算した。SU薬群との比較では、心不全入院リスクおよそ半減 30ヵ月の追跡期間中、カナグリフロジン群の心不全による入院に関するHRは、DPP-4i群との比較で0.70(95%CI:0.54~0.92、比較対象:1万7,667組)、GLP-1RA群との比較で0.61(0.47~0.78、2万539組)、SU薬群との比較で0.51(0.38~0.67、1万7,354組)だった。 複合心血管エンドポイントに関するカナグリフロジン群のHRは、DPP-4i群との比較で0.89(0.68~1.17)、GLP-1RA群との比較で1.03(0.79~1.35)、SU薬群との比較で0.86(0.65~1.13)だった。 なお、ベースライン時のHbA1c値による追加補正を行った感度分析や、心血管疾患または心不全の既往歴の有無によるサブグループ解析の結果も同様なものだった。

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敗血症性ショックに対するグルココルチコイドの投与:長い議論の転機となるか(解説:吉田 敦 氏)-813

 敗血症性ショックにおいてグルココルチコイドの投与が有効であるかについては、長い間議論が続いてきた。グルココルチコイドの種類・量・投与法のみならず、何をもって有効とするかなど、介入と評価法についてもばらつきがあり、一方でこのような重症病態での副腎機能の評価について限界があったことも根底にある。今回大規模なランダム化比較試験が行われ、その結果が報告された。 オーストラリア、英国、ニュージーランド、サウジアラビア、デンマークのICUに敗血症性ショックで入室し、人工呼吸器管理を受けた18歳以上の患者3,800例を、無作為にヒドロコルチゾン(200mg/日)投与群とプラセボ投与群とに割り付けた。この際、SIRSの基準を2項目以上満たすこと、昇圧薬ないし変力作用のある薬剤を4時間以上投与されたことを条件とした。ヒドロコルチゾンは200mgを24時間以上かけて持続静注し、最長で7日間あるいはICU退室ないしは死亡までの投与とした。ランダム化から90日までの死亡をプライマリーアウトカム、さらに28日までの死亡、ショックの再発、ICU入室期間、入院期間、人工呼吸器管理の回数と期間、腎代替療法の回数と期間、新規の菌血症・真菌血症発症、ICUでの輸血をセカンダリーアウトカムとし、原疾患による死亡は除いた。 患者の平均年齢は約62歳、外科手術が行われた後に入室した患者は約31%、感染巣は肺(35%)、腹部(25%)、血液(7%)、皮膚軟部組織(7%)、尿路(7%)の順であり、介入前の基礎パラメーターや各検査値に2群間で差はなかった。なおショック発症からランダム化までは平均約20時間、ランダム化から薬剤投与開始までは0.8時間(中央値)であり、ヒドロコルチゾンの投与期間は5.1日(中央値)であった。 まずプライマリーアウトカムとしての90日死亡率は、ヒドロコルチゾン投与群では27.9%(1,832例中511例)、プラセボ投与群では28.8%(1,826例中526例)であり、有意差はなかった。次いでセカンダリーアウトカムでは、ショックから回復するまでの期間も、ICU退室までの期間も、さらに1回目の人工呼吸器管理の期間もヒドロコルチゾン投与群で有意に短かった(それぞれ3日と4日、p<0.001、10日と12日、p<0.001、6日と7日、p<0.001)。ただし再度人工呼吸器管理が必要な患者もおり、人工呼吸器を要しなかった期間としてみると差はなかった。輸血を要した割合も前者で少なかったが(37.0%と41.7%、p=0.004)、その他、28日死亡率やショックの再発率、退院までの日数、ICU退室後の生存期間、人工呼吸器管理の再導入率、腎代替療法の施行率・期間、菌血症・真菌血症発生率に差はなかった。 これまでの検討では、グルココルチコイドは高用量よりは低用量のほうが成績がよかったものの、二重盲検ランダム化比較試験では一致した結果が得られなかった1,2)。現行のガイドラインでも“十分な輸液と昇圧薬の投与でも血行動態の安定が得られない例”に対し、エビデンスが弱い推奨として記載されている3)。本検討は、上記のランダム化比較試験よりも症例数がかなり増えているのが特徴であり、2群で比較が可能であった項目も多い。したがって、グルココルチコイド投与の目的—改善を目指す指標—をより詳しく評価できたともいえる。一方で21例対6例と少数ではあるが、グルココルチコイド群で副作用が多く、中にはミオパチーなど重症例も存在した。グルココルチコイドとの相関の可能性を含んで、この結果は解釈したほうがよいであろう。本検討は、これまでの議論の転機となり、マネジメントや指針の再考につながるであろうか。これからの動向に注目したい。

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インデックス投資で果実を得る方法【医師のためのお金の話】第5回

インデックス投資で果実を得る方法こんにちは、自由気ままな整形外科医です。前回は、VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)をドル・コスト平均法で購入するという、世界の株式に毎月定額で投資する方法をお話ししました。最初に毎月定額購入する設定にしてしまえば、あとは何も考える必要がないため、簡単で楽な投資手法だなと思っている先生も多いことでしょう。しかし、海千山千の猛者が跋扈する投資の世界は、そんなに甘くありません。インデックス投資は60点の投資手法前回お話したように、VTは約8,000銘柄で構成される世界株価指数をベンチマークにしているETFです。このような特定の株価指数(インデックス)と同じ値動きを目指す投資方法をインデックス投資といいます。私が金融資産投資を開始したのは2000年ですが、当時はまだ一般的ではありませんでした。その頃に、VTを運営しているバンガード社の創始者であるJ・C・ボーグル著『インデックス・ファンドの時代』(東洋経済新報社)という書籍を読んで、感銘を受けた記憶があります。それからリーマンショックを経て、一般の個人投資家の間でもインデックス投資がはやるようになりました。インデックス投資は市場平均(≒株価指数)を目指す投資手法なので、大勝ちできないものの大負けすることはありません。そのうえ、維持コストが安価なので「負けにくい」投資方法として注目を集めています。勝てないまでも負けなければ良いのではないのか? と思う方が多いと思います。しかし、ここに大きな落とし穴があります。それは、株価指数は常に割高な銘柄の影響を強く受ける点です。わかりやすい例が日経平均株価です。日経平均株価は日本を代表する株価指数であり、日経平均=日本経済とイメージする方も多いと思います。しかし実際には、ファーストリテイリング(ユニクロ)、ソフトバンク、ファナックの3社だけで日経平均株価の16~20%も占めています(平成30年1月現在)。この3社は優良企業ですが、さすがに3社だけで日本経済の16~20%も占めているはずがありません。このように株価指数は割高な銘柄の影響を強く受けるため、インデックス投資を実践すると常に割高な買い物をしていることになります。そして、日経平均株価ほど酷くはないものの、VTもやはり割高な銘柄の影響を受けています。このようなことから、私はインデックス投資を60点(及第点)の投資だと考えています。ドル・コスト平均法の問題点ドル・コスト平均法はまずまずの投資手法ですが、やや机上の空論的なところがあります。この投資手法の最大の問題点は、単なる高値掴みの投資法になってしまう可能性が高いことです。理論的には相場暴落時に購入する株数が多くなるため、ドル・コスト平均法は有利な投資手法に見えます。しかし、ほとんどの人は暴落時に投資をストップしてしまうのが現実です。たとえば、2001年のアメリカ同時多発テロや2008年のリーマンショックでは、金融市場が阿鼻叫喚の状況となりました。価格のつかない自由落下のような相場環境において、冷静に投資を続けることができた人はどれほどいたことでしょうか? 不謹慎ですが、北朝鮮の核爆弾が日本に投下されたとしても、ドル・コスト平均法を続けることができる人はどれほど居るでしょう? このように考えると、普通の人がドル・コスト平均法を敢行することは、少しハードルが高いと言わざるを得ません。それでもやはり「VT+ドル・コスト平均法」がお勧めここまでVTをドル・コスト平均法で投資する手法は、けっして手放しでお勧めできるものではないことを説明しました。しかし、医師のように忙しい職種の人にとって、魅力的な投資手法であることに間違いはありません。この投資手法で大きな果実を得るためには、「(1)何があっても (2)毎月定額のVTを (3)購入し続ける」ことを誓うべきでしょう。

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チョコレートは心血管リスクを減らすか~メタ分析

 イタリア・ペルージャ大学のVincenza Gianfredi氏らが、一般集団でのチョコレート摂取と心血管リスクの関連について、系統的レビューおよびメタ分析で評価。その結果、とくに女性における心血管リスクや、男女における急性心筋梗塞に対して、チョコレートの適度な摂取による潜在的な保護効果が示された。Nutrition誌2018年2月号に掲載。 著者らは、PubMedで所定のキーワードでの構造化検索を2016年9月26日まで実施し、チョコレート摂取率の違いによる心血管疾患(脳卒中・急性心筋梗塞・心不全・冠動脈疾患、以下CVD)のリスクを評価した。メタ分析はソフトウェアProMeta 3を使用した。 主な結果は以下のとおり。・系統的レビューにより適格研究が16件同定された。・大部分の研究で、チョコレートを摂取しない人と比較したチョコレート摂取の保護効果を示していた。・チョコレート摂取の最も少ないカテゴリーに対する最も多いカテゴリーのCVD全体のリスク比(効果量[ES])は0.77(95%信頼区間[CI]:0.71~0.84、p=0.000)であった。異質性はmoderateであった。・CVDのサブグループに関連するリスクを分析したところ、急性心筋梗塞のESは0.78(95%CI:0.64~0.94、p=0.009)であった。統計学的な異質性はなかった(I2=46.56%、p=0.13)・性別ごとの分析によると、女性におけるESが0.85(95%CI:0.77~0.95、p=0.003)であった。異質性はvery lowであった(I2=62.21%、p=0.005)。

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てんかんと献血に関する世界の方針

 てんかんは、発作を特徴とする神経障害である。てんかん患者は多くの場合、献血対象者から一時的または永久に除外される。ベルギー赤十字のA. Kellens氏らは、現在適用されている献血方針をより把握するために、世界の血液事業について調査を行った。Vox sanguinis誌オンライン版2018年1月4日号の報告。 世界各国の血液事業担当者46名を対象に、オンラインQuestbackツールを使用したWebベースのアンケートを行った。アンケートは、9つの質問で構成されていた。 主な結果は以下のとおり。・5大陸26ヵ国から27名の担当者が、この調査に参加した。・現在の献血方針は、「一時的な除外を永久に受け入れる」から「永久に除外」の範囲であった。・これらの異なる方針の合理性は、多様であった。・血液事業の大多数(59.3%)は、その方針として一時的な除外を適用しており、献血を行う際には、てんかん患者が投薬を受けていないまたは発作を起こしていないようにする必要があるが、その期間に関しては言及されていない。・献血中のてんかん患者の有害事象に関するデータは、収集できなかった。 著者らは「この調査結果より、世界中で適用されている献血方針には、大きな差異があることを示している。その理由の1つとして、科学的根拠の不足が考えられる。そのため、てんかん患者の献血に関するドナーとレシピエントの潜在的なリスクについて、さらに研究することが最も重要である。これが、エビデンスベースの方針決定の基礎となり、より安全で効果的な輸血プログラムにつながる」としている。■関連記事てんかん重積状態に対するアプローチはてんかん再発リスクと初回発作後消失期間医学の進歩はてんかん発症を予防できるようになったのか

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長期宇宙滞在で、視神経乳頭に異常

 長期間の宇宙滞在により、視神経乳頭および周囲組織に形態学的な変化がみられることが報告された。米国・ヒューストン大学のNimesh Patel氏らは、国際宇宙ステーションに約6ヵ月間滞在した宇宙飛行士の、飛行前後の光干渉断層撮影(OCT)のデータを後ろ向きに解析し、長期間の無重力状態曝露により視神経乳頭および周囲組織の乳頭浮腫状変化が生じていることを明らかにした。著者は、「今回検討した定量化法は、宇宙飛行による長期的な視神経乳頭の変化と宇宙飛行士のための対策、および地球上での乳頭浮腫の原因の評価に役立つだろう」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年1月11日号掲載の報告。 研究グループは、視神経乳頭および周囲組織の変化を定量化する方法を開発することを目的に、飛行前後の視神経乳頭領域のOCTデータを後ろ向きに解析した。解析は、飛行前と対照群との比較と、飛行前と飛行後との比較の2回に分けて行った。 参加者は、過去に約6ヵ月間、国際宇宙ステーションに滞在し、飛行前後のOCTデータがある宇宙飛行士15例(飛行前の平均[±SD]年齢48.7±4.0歳)。すべての宇宙飛行士のデータは、NASA Lifetime Surveillance of Astronaut Healthより得た。対照群は、眼症状の既往歴ならびに無重力状態に曝露された経験のない43例で、対照群のデータはすべてヒューストン大学にて測定した。アルゴリズムの開発とデータ解析は、2012~15年に行われた。 OCTデータの分析には、カスタムMATLABプログラム(MathWorks)を用い、手動で描出したBruch membrane opening(BMO)をすべての形態学的な測定の基準とした。網膜色素上皮の位置はBMOの中央から2mmとし、BMO高を算出。全体および象限の全網膜厚と網膜神経線維層(RNFL)厚は、BMOに対応した楕円環状領域に対して算出し、標準的な乳頭周辺の円形スキャンを用いRNFL厚と脈絡膜厚を定量化した。 主な結果は以下のとおり。・BMOは、健常対照者と比較し飛行前の宇宙飛行士群において陥凹が認められ、長期間の無重力状態曝露後にさらに深くなった(変化量中央値:-9.9μm、差の95%信頼区間[CI]:-16.3~3.7、p=0.03)。・長期間滞在後、全網膜厚は1,000μmまで、RNFLは500μmまで増し(BMOを基準)、RNFL厚は中央値で2.9μm増したが(差の95%CI:1.1~4.4、p<0.01)、脈絡膜厚には変化がなかった(変化の中央値:9.3μm、差の95%CI:-12.1~19.6、p=0.66)。

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片頭痛は脳出血や心房細動とも関連/BMJ

 片頭痛は、虚血性脳卒中や心筋梗塞との関連が知られている。デンマーク・オーフス大学病院のKasper Adelborg氏らは、一般集団ベースのコホート研究を行い、片頭痛は出血性脳卒中や静脈血栓塞栓症、心房細動/粗動とも関連することを示した。BMJ誌2018年1月31日号掲載の報告。片頭痛患者と一般集団で心血管疾患リスクを比較 研究グループは、片頭痛患者と一般集団において、7つの心血管疾患のリスクを比較する全国的な一般集団ベースのコホート研究を実施した(オーフス大学などの助成による)。 1995~2013年に、デンマーク全国患者登録(DNPR)に記録された片頭痛患者5万1,032例と、年齢、性別、暦年をマッチさせた一般集団51万320例が解析の対象となった。主要評価項目は、Cox回帰分析に基づく、併存疾患としての心血管アウトカムの補正後ハザード比(HR)とした。 片頭痛群の診断時の年齢中央値は35歳(IQR:22~47)であり、全体の71%が女性であった。片頭痛群は、わずかに心血管疾患リスク因子や併存疾患が多かった。 解析の結果、ほとんどのアウトカムの絶対リスクは、フォローアップ期間を通じて、片頭痛群が一般集団に比べて高かった。脳卒中は片頭痛診断後早期のリスクが高い フォローアップ期間19年時における心筋梗塞の累積発生件数(1,000人当たり)は、片頭痛群が25件、一般集団は17件であり、虚血性脳卒中はそれぞれ45件、25件、出血性脳卒中は11件、6件、末梢動脈疾患は13件、11件、静脈血栓塞栓症は27件、18件、心房細動/粗動は47件、34件、心不全は19件、18件であった。 これらの発生率に対応して、片頭痛群は一般集団に比べ、心筋梗塞(補正後HR:1.49、95%信頼区間[CI]:1.36~1.64)、虚血性脳卒中(2.26、2.11~2.41)のリスクが有意に高く、さらに出血性脳卒中(1.94、1.68~2.23)、静脈血栓塞栓症(1.59、1.45~1.74)、心房細動/粗動(1.25、1.16~1.36)とも有意な関連を示した。一方、末梢動脈疾患(補正後HR:1.12、95%CI:0.96~1.30)と心不全(1.04、0.93~1.16)には、片頭痛との意味のある関連を認めなかった。 心不全を除く6つの心血管疾患は、いずれも片頭痛診断後1年以内の補正後HRが高い傾向がみられ、とくに脳卒中は、診断後1年以内の補正後HRが、全フォローアップ期間(0~19年)に比べて高く(虚血性脳卒中の補正後HR:8.37 vs.2.26、出血性脳卒中の補正後HR:7.89 vs.1.94)、診断後早期の発症に注意を要することが示唆された。 静脈血栓塞栓症と心不全を除く5つの心血管疾患については、前兆のある片頭痛群は前兆のない群に比べ補正後HRが高かった。また、前兆のある片頭痛群は、心筋梗塞、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、静脈血栓塞栓症の長期リスクとの関連が認められた。 片頭痛と心血管疾患の関連は、女性が男性よりもやや強かったが、男女とも長期に持続しており、全般に加齢に伴って減弱した。また、予想どおり、若年層ではすべての心血管疾患の絶対リスクが低かった。さらに、喫煙とBMIを加えて補正しても、片頭痛と心血管疾患の関連は保持されていた。 著者は、「これらの知見は、男女ともに、片頭痛はほとんどの心血管疾患の強力かつ持続的なリスク因子であることを示唆する」と結論している。

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イスラム圏の健康状態、国家間格差の要因は?/Lancet

 乳幼児と妊産婦の健康改善を目標とした、ミレニアム開発目標(MDG)の項目4および5の推進は、世界的には大きな成果をもたらした。しかし、南アジア・中東・アフリカの多くのイスラム国家では、遅れをとっていることも明らかになっている。カナダ・トロント小児病院のNadia Akseer氏らは、イスラム国家間における、生殖や妊産婦・新生児・小児・青少年の健康状態および、その進展状況を評価する検討を行った。その結果、国家間の格差が認められ、そうした格差に関して、地域性や慣習の影響は認められなかったという。Lancet誌オンライン版2018年1月30日号掲載の報告。47のイスラム国家について調査 検討でとくに目的としたのは、イスラム国家における生殖や妊産婦・新生児・小児・青少年の健康状態および、それらの進展の現状と、開発が進んでいる先進イスラム国家における小児生存の決定因子を明らかにすることであった。そのために、イスラム国家と非イスラム国家の健康におけるアウトカムの差とキー決定因子を探るとともに、MDG4/5の達成程度(最良/不良/中程度)が異なるイスラム国家間の公的医療サービスのカバー率および決定因子を調べた。 具体的には、1990~2015年の複数の公表データ・レポジトリを基に、47のイスラム国家について調査した。そのうち26ヵ国が、Countdown to 2015 countriesと呼ばれるMDG4/5介入の最優先対象国(計75ヵ国)であった。これら26ヵ国について、非イスラムのCountdown国家48ヵ国と比較した。また、MDG4を達成するなど、小児生存率が大きく改善した、最も達成度が高かった8ヵ国の特徴も調べた。 青少年、妊産婦、5歳未満児、新生児の死亡率、死産率、死因別死亡、基本的な医療サービスのカバー率、決定因子の推算は、標準的手法を用いて行われた。 また、低所得および中所得のイスラム国家における、5歳未満児の死亡率と新生児の死亡率の決定因子について、階層的多変量解析も行った。貧しい国でも健康アウトカムの進展がみられる 1990~2015年の死亡率は、世界的には顕著な減少がみられたにもかかわらず、イスラム国家では全世界の推計値と比較して高く、Countdown国家間(イスラム国家と非イスラム国家)の比較においても高かった。基本的な公共医療サービスのカバー率も平均以下で、とくにリプロダクティブ・ヘルス、妊婦管理、出産・分娩、小児ワクチンの指標が低かった。 イスラム国家間において、死亡率および、生殖、妊産婦、新生児、小児、青少年に関する多数の健康アウトカム指標で、かなりのばらつきがあることが認められた。Countdown国家間の比較においては、構造的因子およびコンテキスト因子のうち、とくにガバナンス、コンフリクト、女性・少女のエンパワメント指標が、非イスラム国家と比較してイスラム国家では有意に不良であった。また、それらと小児・新生児の死亡率には、低所得および中所得のイスラム国家では強い関連性が認められた。 調整後の階層的モデルにおいて、その他の因子に関しても有意な関連性が認められている。イスラム国家における5歳未満児の死亡率は、難民の発生状況が高い国では上昇しているが(β=23.67、p=0.0116)、政情が安定しテロのない国(β=-0.99、p=0.0285)、政治力が強く政府が機能している国(β=-1.17、p<0.0001)、1人当たりの国民総所得が改善している国(β=-4.44、p<0.0001)、成人のリテラシーが高い国(β=-1.69、p<0.0001)、成人女性のリテラシーが高い国(β=-0.97、p<0.0001)、中等教育への進学者が男子よりも女子が多い国(β=-16.1、p<0.0001)においては低かった。 最良のパフォーマンスを示したイスラム国家は、アゼルバイジャン、バングラデシュ、エジプト、インドネシア、キルギス、モロッコ、ニジェール、セネガルで、パフォーマンスが中程度または不良のイスラム国家と比べて、家族計画介入や新生児あるいは小児のワクチン接種のカバー率が高く、またコンテキスト因子の大半で優れていた。 結果について著者は、「ニジェールやバングラデシュのように、貧困国でも進展がみられた」と指摘し、「今回の検討から得られたキー所見を政策やプログラムに適用し、統治者や政策立案者、開発パートナー、資金提供者、イスラム協力機構(Organization of the Islamic Cooperation)が優先的な割り当てを行うことで、2015年以降のイスラム国家の健康アウトカムのスケールアップおよび改善が可能になるだろう」とまとめている。

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ARREST試験:黄色ブドウ球菌菌血症に対するリファンピシン併用療法(解説:小金丸博氏)-811

 黄色ブドウ球菌菌血症は、市中でも院内でもみられるありふれた疾患である。他臓器への転移病巣形成や深部臓器感染の原因となり、死亡率は約20%と高率である。頻度や重症度が高い疾患であるにもかかわらず、いまだに最適な治療方法は定まっていない。 黄色ブドウ球菌感染症に対する併用薬の候補の1つにリファンピシンが挙げられる。リファンピシンは消化管からの吸収率が高く、細胞、組織、バイオフィルムによく浸透するため、βラクタム薬やグリコペプチド系薬と併用することで黄色ブドウ球菌感染症の予後を改善する可能性があると考えられてきた。主に感染性心内膜炎や人工物感染に対して世界中でリファンピシン併用が行われているが、高いエビデンスのある研究は存在しなかった。 本研究は、黄色ブドウ球菌菌血症に対するリファンピシン併用投与の効果を検証した多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対象比較試験である。標準的な抗菌薬治療開始から96時間以内の成人(18歳以上)を対象に、リファンピシン併用投与群とプラセボ併用投与群に分けて評価した。プライマリアウトカムは細菌学的治療失敗、再発、あらゆる原因による死亡までの時間とした。その結果、試験開始から12週までに、これらいずれかのアウトカムを経験した患者割合は、リファンピシン投与群17%、プラセボ投与群18%であり、両群間で有意差は認めなかった(絶対リスク差:-1.4%、95%信頼区間:-7.0~4.3、ハザード比:0.96、p=0.81)。アウトカムを個別にみてみると、リファンピシンを併用しても死亡率は減少しなかったものの、再発率は有意に減少した。細菌学的再発を1例防止するのに必要な治療数(number needed to treat:NNT)は29だった。 本試験では、黄色ブドウ球菌菌血症に対してリファンピシンを併用しても全体的なベネフィットは変わらないことが確認された。本試験は過去の試験よりサンプルサイズが大きいことが特徴の1つである。本試験の結果から、黄色ブドウ球菌菌血症と診断した全例に対してリファンピシンを併用する根拠は乏しいといえる。 黄色ブドウ球菌は、薬剤感受性パターンからMSSAとMRSAに分類される。本試験に組み込まれた患者の原因菌のうちMRSAは全体の6%しか占めておらず、MRSA菌血症に対するリファンピシンの併用効果を評価することは困難と考える。また、人工弁あるいは人工関節を有する患者は2%と少なく、本試験の結果のみでは人工物感染に対する併用効果を評価することも難しい。 MSSA感染症に対する世界標準薬は抗黄色ブドウ球菌用ペニシリンである。英国、オーストラリアではFlucloxacillin、米国ではNafcillinやクロキサシリンが好んで利用され、本試験では82%でFlucloxacillinが選択されている。ところが、日本では純粋な抗黄色ブドウ球菌用ペニシリンは認可されておらず、MSSA感染症に対しては第一世代セフェム系抗生物質であるセファゾリンが選択されることが多いため、本試験の結果を日常臨床にそのまま当てはめることはできない。本邦でも、世界標準薬が利用できる日がくることを希望する。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問25

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問25 F検定とは?前回は、カイ2乗分布による検定、カイ2乗検定についてご説明してきました。今回は、相関比「F検定」についてご説明いたします。■相関比(F検定)質問10(その2)で相関比について学びました。F検定は、母集団における相関比が無相関であるかないかを調べる検定方法です。その方法を説明します。2つの母集団があり、両者の相関比は0(無相関)とします。この母集団にサンプルサイズnの標本調査を行い、次に示す検定統計量Tを求めます。上の数式のVA、VE の求め方は後ほどご説明します。現実的にはありえませんが、無相関である母集団について標本調査を無限回繰り返し行い、無限個のT値を得たとします。T値の度数分布を作成し、度数分布に近似曲線を当てはめます。近似曲線は、統計学が定めた理論的分布(F分布)になることが、理論的にも実験的にもわかっています。F分布は、カイ2乗分布同様に左に偏った形状の分布です。どちらも、サンプルサイズが大きくなるほど、左右対称の分布に近づきます。T値がF分布になることを実験によって確認できます。F分布を適用する検定を「F検定」といいます。では、一般的な事例で説明していきます。■検定統計量T検定統計量T値の求め方を説明します。医学的なデータだと難しくなりがちですので、なじみやすい一般的なデータでご説明していきます。表1は、「血液型とホームラン数」のデータとカテゴリー別平均です。表1 「血液型とホームラン数」のデータとカテゴリー別平均血液型とホームラン数は関連性があるかを調べてみましょう。次の方法によって、表2に全体変動、群間変動、誤差変動、それぞれの偏差平方和を求めます。表2 全体変動の元データ画像を拡大する全体変動の偏差平方和:ST=1,167群間変動の偏差平方和:SA= 807誤差変動の偏差平方和:SE= 360自由度を求めます。全体変動の自由度:fT=n-1=12-1=11群間変動の自由度:fA=血液型カテゴリー数-1=4-1=3誤差変動の自由度:fE=n-血液型カテゴリー数=12-4=8留意点:必ず、ST=SA+SE、fT=fA+fE となります。不偏分散を求めます。全体変動の不偏分散:VT=ST/fT=1,167÷11=106.1群間変動の不偏分散:VA=SA/fA=807÷3=269.0誤差変動の不偏分散:VE=SE/fE=360÷8=45.0分散分析表計算された結果を表3のようにまとめた表を分散分析表といいます。分散比を求めます。分散比が検定統計量T値です。F分布の有意水準5%の棄却限界値を求めます。Excel関数 =FINV(有意水準,fA,fE)=FINV(0.05,3,8)→ Enterキー → 4.07F分布のT値=5.98となるp値を求めます。Excel関数 =FDIST(T値,fA,fE)=FDIST(5.98,3,8) → Enterキー → 0.019表3 分散分析表相関比は次によって求められます。●公式【相関比無相関の検定】F検定帰無仮説:母集団の相関比は0である対立仮説:母集団の相関比は0でない留意点 この解析は一元配置法とも呼ばれ、下記の仮説にも適用できる帰無仮説:母集団のカテゴリー平均はすべて等しい対立仮説:母集団のカテゴリー平均は異なる1)T値による検定T値=分散比>棄却限界値帰無仮説を棄却でき、対立仮説を採択できる2)p値による検定p値<有意水準帰無仮説を棄却でき、対立仮説を採択できる今回のポイント1)F検定は、母集団における相関比が無相関であるかないかを調べる検定方法!2)関連性判定1)T値による方法T値=分散比>棄却限界値のとき、帰無仮説を棄却して対立仮説を採択し、母集団の相関比は0ではないといえる!3)関連性判定2)p値による方法p値<有意水準のとき、帰無仮説を棄却して対立仮説を採択し、母集団の相関比は0ではないといえる!インデックスページへ戻る

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私が出合ったマジヤバイ胸部画像読本【Dr.倉原の“俺の本棚”】第2回

【第2回】私が出合ったマジヤバイ胸部画像読本書評のタイトルに「マジヤバイ」なんて死語を書いた医師がこれまでいたでしょうか、いやいない。最近は「マジヤバイ」じゃなくて、「マジ卍(マンジ)」って言うらしいですよ。もうオジサンついていけませんよ。『誰も教えてくれなかった胸部画像の見かた・考えかた』小林 弘明/著. 医学書院. 2017さて、世の中には、腐るほど胸部画像の本があります。あ、腐るなんて書いたら怒られる。すいません。いや、でも大手本屋さんに行ってごらんなさいよ、胸部レントゲンの本だけで10冊…いや20冊はありますよ。ここからどうやって選べばいいんですか。Amazonのレビューで一番★が多い本を買うんですか? いやいや、あんなのアテになりませんぜ、旦那(←Amazonで低評価を受けたことがある著者の恨み節)。そんな悩みを吹き飛ばす1冊が出ました。その名も、『誰も教えてくれなかった胸部画像の見かた・考えかた』。これといったヒネリは入っていない、正統派なタイトルです。超大手の医学書院から出版されています。266ページ、5,000円(税別)。うん、よくある値段だ。高過ぎず、安過ぎず。著者に目を向けてみましょう。小林 弘明先生。なんと呼吸器外科部長です。これはちょっと驚きました。胸部レントゲンの本って、ほとんどが放射線科医、残りは呼吸器内科医が書いていることが多いんですよね。呼吸器外科医というのはなかなか珍しいと思います。さて、何百冊と胸部レントゲン本を読んできた呼吸器内科医として言っておきたいことがあります。現時点で、胸部レントゲンの教科書は本書が最高です。福本先生風に書くなら、「悪魔的ッ…!」「圧倒的ッ…!」です(わからない人スイマセン)。この本、読んでて驚きました。胸部レントゲン写真の本って、右傍気管線、右傍食道線、みたいなナントカ線ってのがいっぱい書いてあるじゃないですか。この本のすごいところは、フルカラーで見やすいだけでなく、ナントカ線についてちゃんと説明してくれている点です。初心者用に、レントゲン読影用シートまで中に入ってる。さらに、レントゲンで同定された異常が、胸腔鏡や3DCTでは実際にどう見えるか、外科的な観点のフィードバックまでついています。そう、これまでは読者に立体構造をイメージしてもらわなければならなかったところを、小林先生はちゃんと胸腔鏡や3DCTの画像を使って補完されているんですよ。だから、ページをめくるたびに「なるほど!」「すげぇ!」を連発してしまいます。私は、医学書院の回し者でも、小林先生の弟子でもありません。このコラムは、利益相反ゼロです。ただ1つ言えるのは、本書を上回る胸部レントゲンの本なんて、誰にも出せないでしょう、ということです。間違いなく、殿堂入りの1冊です。『誰も教えてくれなかった胸部画像の見かた・考えかた』小林 弘明/著出版社名医学書院定価本体5,000円+税頁数 縦266P 26cm刊行年月2017年10月

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境界性パーソナリティ障害治療におけるω3脂肪酸とバルプロ酸併用

 境界性パーソナリティ障害(BPD)患者に対するオメガ3(ω3)脂肪酸の有効性について、いくつかのエビデンスが報告されている。以前行われたBPD患者43例を対象とした12週間のランダム化比較試験において、バルプロ酸単独療法と比較し、イコサペント酸エチル(EPA)およびドコサヘキサエン酸エチル(DHA)とバルプロ酸の併用療法の有効性が評価されている。併用療法は、バルプロ酸単独療法(対照群)との比較で、衝動性行動制御、怒りの噴出、自傷行為など、いくつかのBPD症状に対し、より有効であった。イタリア・トリノ大学のPaola Bozzatello氏らは、ω3脂肪酸の投与中止後、両群間の有効性の差が維持されているかを評価するため、24週間のフォローアップ試験を行った。Clinical drug investigation誌オンライン版2018年1月5日号の報告。 12週間のランダム化比較試験を完了した34例に対し、フォローアップを行った。12週間の試験後に両群間で有意な差を認めた評価尺度を用い、フォローアップ期間の開始時および終了時に評価を行った。評価尺度には、境界性パーソナリティ障害重症度指数(Borderline Personality Disorder Severity Index:BPDSI)の「衝動性(impulsivity)」および「怒りの噴出(outbursts of anger)」の項目、バラット衝動性尺度(Barratt Impulsiveness Scale-Version 11:BIS-11)、自傷行為インベントリ(Self Harm Inventory:SHI)が含まれた。統計分析には、反復測定による分散分析(ANOVA)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間終了時、併用療法群内では、評価を行った4つの尺度すべてにおいて有意な差が維持されていたが、群間比較では、怒りの噴出のみで有意な差が維持されていた。・フォローアップ期間中の忍容性に関しては、臨床的に有意な副作用は認められなかった。 著者らは「BPD患者に対するバルプロ酸とω3脂肪酸の併用療法は、怒りのコントロールに関して、併用中止後も継続的な効果を示した」としている。■「DHA効果と脳」関連記事EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすか

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再発性B細胞性ALL、CAR-T療法での長期転帰/NEJM

 新たな細胞免疫治療であるCD19特異的キメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞療法は、再発性B細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)の小児および成人患者で、70~90%という良好な完全寛解率が示されている。しかし、これらの試験の多くはフォローアップ期間が相対的に短く、長期的な寛解の予測因子と考えられる背景因子の解析は行われていない。そこで、米国・メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(MSKCC)のJae H. Park氏らは、CD19 CAR T療法を受けたALL成人患者の第I相試験の長期フォローアップを行い、その結果をNEJM誌2018年2月1日号で報告した。単施設での再発性B細胞性ALLの第I相試験 研究グループは、MSKCCにおいて、再発性B細胞性ALLの成人患者を対象に、19-28z CAR発現自己T細胞注入の第I相試験を行った(Commonwealth Foundation for Cancer Researchなどの助成による)。 安全性および長期転帰の評価を行い、これらと人口統計学的特性、臨床的特性、疾患特性との関連を評価した。2010年2月~2016年6月に再発・難治性B細胞性ALLの成人登録患者53例が、MSKCCで作製された19-28z CAR T細胞の注入を受けた。 ベースラインの年齢中央値は44歳(範囲:23~74)で、18~30歳が14例(26%)、31~60歳が31例(58%)、60歳超は8例(15%)であった。前治療数は2が21例(40%)、3が13例(25%)、4以上は19例(36%)であった。同種造血幹細胞移植歴のある患者は19例(36%)、フィラデルフィア染色体陽性は16例(30%)だった。疾患負荷が小さい患者は、安全性と有効性が良好 完全寛解は44例(83%、95%信頼区間[CI]:70~92)で得られた。微小残存病変(MRD)の評価が可能であった48例のうち、MRD陰性の完全寛解例は32例(67%、95%CI:52~80)であった。移植の有無、前治療数、移植前化学療法のレジメン、年齢、CAR T細胞の用量の違いによる、完全寛解率の有意な差はなかった。 サイトカイン放出症候群は45例(85%)で発現し、そのうち重度(Grade≧3)は14例(26%)で、多臓器不全を併発した1例が死亡した。神経毒性は、Grade2が1例(2%)、Grade3が19例(36%)、Grade4が3例(6%)に認められたが、Grade5や脳浮腫はみられなかった。 疾患負荷が大きい(骨髄芽球≧5%または髄外病変を有する)患者は、小さい(骨髄芽球<5%)患者に比べ、重度のサイトカイン放出症候群(p=0.004)および神経毒性イベント(p=0.002)のリスクが高かった。 フォローアップ期間中央値29ヵ月(範囲:1~65)の時点で、無イベント生存期間中央値は6.1ヵ月(95%CI:5.0~11.5)、全生存期間中央値は12.9ヵ月(95%CI:8.7~23.4)であった。MRD陰性完全寛解例はMRD陽性完全寛解例/非奏効例に比べ、無イベント生存期間中央値(p<0.001)および全生存期間中央値(p<0.001)が有意に優れた。 治療前の疾患負荷が小さい患者では、大きい患者に比べ、無イベント生存期間中央値(10.6ヵ月[95%CI:5.9~未到達]vs.5.3ヵ月[95%CI:3.0~9.0]、p=0.01)および全生存期間中央値(20.1ヵ月[95%CI:8.7~未到達]vs.12.4ヵ月[95%CI:5.9~20.7]、p=0.02)が有意に延長した。 著者は、「コホート全体の全生存期間中央値は12.9ヵ月で、疾患負荷が小さい患者では20.1ヵ月であった。また、疾患負荷が小さい患者では、サイトカイン放出症候群と神経毒性イベントの発現率が著明に低かった」とまとめている。

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左脚ブロックを伴う心筋症患者は左室機能が回復しにくい

 左脚ブロックの患者は、心臓再同期療法(CRT)によって左室駆出率(LVEF)が改善することがある。ところが、左脚ブロックを伴うLVEF低下患者に対し最初に行われる治療は、ガイドラインに準じた薬物療法であり、CRTではない。一方で、LVEFの低下および左脚ブロックが、ガイドラインに準じた薬物療法にどの程度影響するかについてのデータは少ない。現在、CRT植込みの前に、少なくとも3ヵ月のガイドラインに準じた薬物療法が勧められており、これは薬物療法のみでもLVEF改善が期待されているからと考えられる。米国・Duke大学のEdward Sze氏らのグループによる本研究は、心筋症患者について、左脚ブロックの患者とその他のQRS波形を呈する患者におけるLVEFの改善率を評価した。Journal of American College of Cardiology誌2018年1月号に掲載。左脚ブロック、その他のwide QRSとnarrow QRSでLVEFの変化を比較 本研究では、Duke大学のエコーラボのデータベースを用いてベースラインの心電図が記録され、LVEFが35%以下で、3~6ヵ月後にLVEFがフォローアップされている患者を特定した。なお、重症な弁膜症患者と、心臓デバイス、左室補助デバイスもしくは心移植患者を除外した。QRS波形は(1)左脚ブロック、(2)QRS 120ms未満、(3)QRS 120ms以上で左脚ブロックではない、という3つのカテゴリーに分類し、3群間におけるLVEFの平均変化を、重要な併存疾患とガイドラインに準じた薬物療法で調整して分散分析を行った。ガイドラインに準じた薬物療法の有無でLVEFの改善度は変わらず 659例が試験の基準に適合した。このうち左脚ブロックは111例(17%)、wide QRS(≧120ms)で左脚ブロックではない患者は59例(9%)、そしてnarrow QRS(<120ms)は489例(74%)であった。3~6ヵ月におけるLVEFの増加は、それぞれ2.03%、5.28%、8.00%であった(p<0.0001)。その間における再灌流療法、心筋梗塞の有無で調整した結果も同様であった。左脚ブロック患者では、ガイドラインに準じた薬物療法実施の有無にかかわらず、LVEFの改善は同程度であった(3.50%vs. 3.44%)。心不全による入院と死亡率は、左脚ブロックで最も高かった。 左脚ブロックは、その他のQRS波形と比べて、ガイドラインに準じた薬物療法を行っていてもLVEF改善の程度が少なかった。左脚ブロック患者の一部は、現在のガイドラインが推奨するよりも早くCRTの恩恵を受けられる可能性がある。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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がん5年生存率、世界3,700万例調査/Lancet

 2015年、CONCORD-2プログラムは、世界のがんコントロール対策への情報提供に向け、医療システムの有効性の評価基準としての「がん生存率」に関して、世界的なサーベイランスを行うことを定めた。これを受けて、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のClaudia Allemani氏らCONCORDワーキンググループは、2014年までのがん生存率に関する最新データであるCONCORD-3の解析を行い、その結果をLancet誌オンライン版2018年1月30日号で報告した。世界322件のがん登録の約3,750万例の5年生存率を推算 CONCORD-3には、2000~14年の15年間にがんと診断された3,751万3,025例の記録が含まれる。データは、71の国と地域の322件の地域住民ベースのがん登録から提供され、そのうち47件は全住民を網羅している。この研究は、米国がん協会(ACS)、米国疾病管理予防センター(CDC)などの助成によって実施された。 対象は、18のがんまたは腫瘍群であった(成人の食道、胃、結腸、直腸、肝、膵、肺、乳房[女性]、子宮頸部、卵巣、前立腺、皮膚悪性黒色腫、および成人と小児の脳腫瘍、白血病、リンパ腫)。これらのがんは、世界で毎年診断されているすべてのがんの75%に相当する。 解析は、標準化された品質管理手順に従って進められた。5年生存率を推算し、推定値はInternational Cancer Survival Standard(ICSS)weightsで年齢調整を行った。東アジアは消化器がんの生存率が高い ほとんどのがんの5年生存率は、依然として米国/カナダ、オーストラリア/ニュージーランド、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンで最も高かった。またデンマークは、多くのがんに関して、他の北欧諸国との差が縮まりつつあった。 生存率は、比較的致死性の高いがんの一部を含め、全般に上昇傾向にあり、肝、膵、肺のがんの生存率が最大5%上昇した国もあった。2010~14年に診断を受けた乳がん女性の5年生存率は、オーストラリアが89.5%、米国は90.2%と高い値を示したが、インドでは66.1%と低い値を示し、依然として国によって大きな差が認められた。 2010~14年の消化器がんの年齢調整5年生存率は、東アジア諸国が最も優れていた。胃がんは韓国が68.9%(日本は60.3%)、結腸がんも韓国が71.8%(日本は67.8%)、直腸がんも韓国が71.1%(日本は64.8%)で最も高く、食道がんは日本が36.0%(韓国は31.3%)、肝がんは台湾が27.9%(日本は30.1%だがデータの信頼性が低かった)であり、最も良好な結果であった。 これに対し、東アジアの国は皮膚悪性黒色腫(韓国:59.9%、台湾:52.1%、中国:49.6%)、リンパ性悪性腫瘍(52.5%、50.5%、38.3%)、骨髄性悪性腫瘍(45.9%、33.4%、24.8%)の5年生存率が、他の地域に比べて低かった。 2010~14年に診断を受けた小児では、急性リンパ芽球性白血病の5年生存率が、エクアドルの49.8%からフィンランドの95.2%まで大きな差があることが認められた。また、小児の脳腫瘍の5年生存率は、成人よりも高かったが、ブラジルの28.9%からスウェーデン/デンマークのほぼ80%まで、国によって大きな差がみられた。 2017年以降、経済協力開発機構(OECD)は、世界48ヵ国の保健医療の質の指標のうち、がん生存率に関する公式の評価基準として、CONCORDプログラムの知見を使用している。「政府は、地域住民ベースのがん登録を、がんと診断されたすべての患者における、がん予防戦略の効果と医療システムの有効性の双方の評価に使用できる、重要な施策立案ツールとして認識すべきである」と、著者は指摘している。

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極寒の影響で今シーズンの花粉飛散開始時期はどうなる?

 日本気象協会は2018年2月8日、2018年春の花粉飛散予測を発表。記録的な寒波により、これまで極端な低温が続き、都心の1月1日からの積算気温は、飛散時期の目安となる数字(およそ400度)に達しておらず、飛散開始時期が遅れる可能性がある。 一方、これまでは強い寒気が長く居座り、厳しい寒さの日が長く続いたが、この先は寒気が流れ込んでも一時的で、気温の上がる日がでてきそうだ。関東でも、すでにわずかながら花粉が飛んでいる所があり、風の強まる日があれば、本格的な花粉シーズンへと突入するかもしれないとのこと。■参考tenki.jp

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NOACで頭蓋内出血は少なくなる?(解説:後藤信哉氏)-810

 各種NOACの第III相ランダム化比較試験にて、INR 2-3を標的としたワルファリン群に比較してNOAC群にて頭蓋内出血が少ないとされても、筆者の心には響かなかった。INR 1.9であればワルファリンを増量し、INR 2.9であってもワルファリンを減量しないような治療は、自らの日常診療と大きく乖離していたためである。また、NOAC登場前の観察研究にて、日本も世界もワルファリン使用時の頭蓋内出血発現率は0.2%程度とされていたので、その3倍も頭蓋内出血が起こることを示した第III相試験のメッセージは「INR 2-3を標的としたワルファリン治療は頭蓋内出血を増やす」のみであった。 米国には各種registryがある。本研究はAHAが主導するGet With The Guidelines-Strokeのデータベースを用いた。第一著者はDuke大学に留学している日本人である。データベースはしっかり構築されており、Duke大学の解析チームのデータ解析は信頼できる。後ろ向きの解析であるためN Engl J Med, Circulationには届かない。JAMAではデータベースの大きさと質、トピックの重要性が重視されたと考える。 頭蓋内出血にて入院した141,311例の対象症例のうち、15%弱は抗凝固薬使用中の症例であった。抗凝固薬使用中の症例のほうが高齢で、心房細動の合併も多かった。しかし、これらのリスク因子を補正しても、院内死亡率は抗凝固療法使用歴のある患者で高かった。ワルファリン使用歴の長い私はINR 2-3を標的としたワルファリン治療をしたことがない。多くの症例はINR 1.7前後で2を超える症例も少ない。ワルファリン群に比較してNOAC群のほうが、院内死亡率が低いとしているが、私のように低いINRにコントロールしている場合はNOACと差がない。 4つのNOACの開発試験に強く寄与して、また実臨床においてNOACが広く使用されていく現状を観察して、一貫して自らの中で変化しなかったNOACの評価は「NOACは頭蓋内出血を増加させる」「INR 2-3を標的としたワルファリン治療では容認できない重篤な出血リスクをもたらす」の2つであった。抗凝固療法は、重篤な出血リスクを増やす怖い介入である。禁煙して運動習慣をつけ、各種リスク因子を補正して総合的に脳卒中、血栓塞栓イベントを減らす努力を継続すべきである。

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初期アルツハイマー病におけるエアロビクスエクササイズの影響

 アルツハイマー病患者は、自立した日常生活動作が妨げられる。アルツハイマー病患者の自立を支えるための介入を特定し、介護の経済的および心理的な負担を軽減することは不可欠である。米国・カンザス大学のEric D. Vidoni氏らは、初期アルツハイマー病患者の機能障害および介護の時間について調査を行った。Journal of geriatric physical therapy誌オンライン版2017年12月28日号の報告。 本調査は、アルツハイマー病患者に対する26週間の有酸素運動(AEx群)とストレッチやトーニング(toning)(ST群)の効果を比較したランダム化比較試験の二次解析である。機能依存性、非公式な介護の時間、認知機能の評価にはそれぞれ、認知症のための障害評価表(Disability Assessment for Dementia:DAD)、認知症に対するリソース使用率(Resources Utilization in Dementia Lite:RUD Lite)、認知機能評価バッテリー(standard cognitive battery)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・ST群の有意な機能低下(4%、F=4.2、p=0.04)と比較し、AEx群では機能が安定していた。・これは、とくに手段的日常生活動作においてより複雑であり、26週以上でST群が8%減少(F=8.3、p=0.006)したのに対し、AEx群では1%の上昇が認められた。・記憶の変化は、手段的日常生活動作のパフォーマンス低下を有意に予測する因子であった(r=0.28、95%CI:0.08~∞、p=0.01)。・非公式な介護の時間は、両群間で差は認められなかった。 著者らは「この分析では、初期アルツハイマー病患者の手段的日常生活動作の具体的な利点を明らかにすることにより、最近の研究結果を補完し、認知障害を有する患者に対する運動介入の価値を裏付けている」としている。■関連記事日本人高齢者、運動でアルツハイマー病リスク軽減:九州大学認知症への運動療法、効果はあるのかアルツハイマー介護負担、日本と台湾での比較:熊本大学

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