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エキスパートへのQ&A ~エキスパートDrに聞く~

慢性腎臓病(CKD)の概念が提唱され、10年が経ちました。この間、本疾患に対する注目度や臨床医の治療経験が飛躍的に向上し、今では、コモン・ディジーズの一つとなりました。このCKD診療の浸透に大きな役割を果たした『CKD診療ガイド』が、2012年6月に改訂されました。ケアネットでは、『CKD診療ガイド』改訂を機に、CKD診療に関する質問を会員の医師より募集しました。この質問に、常喜信彦先生(東邦大学医療センター大橋病院 腎臓内科 准教授)が回答します。常喜信彦先生東邦大学医療センター大橋病院 腎臓内科 准教授CKD患者を専門医に紹介するにしても、腎臓専門医の人数は少なく、それほど多くの患者を診療することは難しいかと思います。どのような患者であれば、専門医に紹介すべきでしょうか?とくに軽症の患者さんを専門医に送るときの判断について教えてください。たとえ蛋白尿が認められていても、またeGFRが45 mL/分/1.73m2と低下していたとしても、極論を言えばそれ以上悪くならなければ、臨床上まったく問題はないわけですが、進行性のCKDが疑われるならば、専門医への紹介が望まれます。進行性を疑う最も強力なマーカーは蛋白尿の量になります。1日換算量で0.5 g以上認められ、かつその量が半年から1年の経過で増加傾向を示す時には積極的に専門医に紹介すべきです。eGFRについても進行性に低下する場合は同様です。尿蛋白の測定は、どのようにしていますか? 自費で行う場合もありますか? 対象となる患者を教えてください。最も一般的な方法は、随時尿の蛋白尿量を尿中Cr値で割った1日換算量を求める方法です。この方法で算出された1日換算量は、24時間畜尿により求められた蛋白尿と非常によく相関することがわかっています。高血圧、糖尿病、高脂血症といったいわゆる古典的な動脈硬化危険因子で診療中の患者、メタボリックシンドロームの患者には積極的に尿蛋白の測定を行うことを推奨します。蛋白尿をきたす原因として、若年では慢性糸球体腎炎も頻度が高くなります。微量アルブミン尿は保険診療の上では、糖尿病性腎症が疑われる時に適応となります。日常診療の中で、それ以外の疾患にまで微量アルブミン尿を計測拡大させる必要はないと思います。それよりも、まず通常の尿蛋白1日換算量を忘れずに確実に測ることが推奨されます。病状評価にあたり、初診時に何を行いますか? 定期検査の頻度についても教えてください。慢性腎臓病の診断、重症度の評価をするときに必須の検査は、1日換算量の蛋白尿ないしアルブミン尿とeGFR値になります。この2つの検査は必須とお考えください。加えて、腎の形態的異常の把握のために腎臓超音波を行えば、慢性腎臓病の病状評価としては必要な検査はそろいます。今回renewalされたCKD診療ガイドでは、尿蛋白1日換算量とeGFR値から、腎臓専門医への受診間隔の目安が示されています。ご参考いただければと思います。腎臓専門医への受診間隔(月)画像を拡大する血圧やコレステロールもそれほど高くない患者の場合、尿所見とeGFRのみで患者さんの受診を持続させられるものでしょうか? 患者さんの受診モチベーションをあげる方法などありますか?CKD診療ガイドに示されている、慢性腎臓病の重症度評価の色別表を使用されてはいかがでしょうか。将来、末期腎臓病に至るリスクや心血管イベントを起こすリスクが色別に表記されており、患者さんにお見せしても非常にわかりやすい表かと思います。今回、同時に、その表をもとにした、診療間隔目安表も公開されました。ご参考いただければと思います。CKDの重症度分類画像を拡大するLDL-Cと中性脂肪の両方が高いCKD患者さんには、フィブラートとスタチンのいずれを用いればよいでしょうか?まだ、答えの出ていない分野かもしれません。まずフィブラート系の治療薬はeGFR30 mL/分/1.73m2未満では使用できませんので、CKDステージ3までの患者でどう考えるべきか、ということになります。CKD患者における脂質代謝異常の治療に関する証拠はかなり限られたものになり、不十分と言わざるを得ません。しかしながらLDL-CとTGを比較したとき、どちらのパラメーターに関する治療成績が多いかと言えばLDL-Cになるかと思われます。選択するとなれば、LDL-C低下作用に秀でたスタチンになるかと思います。参考までに、スタチンとフィブラートの併用は横紋筋融解症の危険が高まるため、原則禁忌とされています。必然的にCKD患者の高TG血症へはニコチン酸系薬剤を使用することが多くなります。高尿酸血症の管理について、管理する患者や介入開始尿酸値、管理目標値などについて教えてください。高尿酸血症がCKDの発症、進行に深くかかわる因子であることが明らかとなってきました。わが国の報告で、住民健診で尿酸値について男性7.0mg/dL以上、女性6.0mg/dL以上を高尿酸血症と定義したとき、高値群で末期腎臓病への移行リスクが高くなることが報告されています。男性7.0mg/dL未満、女性6.0mg/dL未満を管理目標値と考えてよいでしょう。管理の第一段階は、過食、高プリン・高脂肪・高たんぱく質食の嗜好、常習飲酒、運動不足などを是正する生活習慣の改善です。一方、CKD ステージ 4~5 において生活習慣改善にもかかわらず血清尿酸値が9.0mg/dL 超える無症候性高尿酸血症では、証拠はないものの薬物治療が考慮される場合が多いです。結局は血圧、血糖、脂質を良好にコントロールすることがCKD進行の予防になると考えます。血清クレアチニン正常の患者さんをあえて混んでいる大病院腎臓内科に紹介するメリットは何でしょうか?ひとつは潜在する腎炎の合併を除外するためです。とくに蛋白尿量が多い患者さんでは、その疑いが強くなります。たとえ腎炎であっても、血圧、血糖、脂質の管理を厳密に行うことに変わりはありませんが、腎炎を併発していれば、その腎炎に介入治療することで、腎障害の進行を抑えられる可能性もあります。また、栄養指導、食事療法を行うという意味では、基幹病院の方が有利かもしれません。eGFR60以上でも、3-6ヵ月に1回、腎臓専門医を受診することが推奨されています。

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関節リウマチ患者が求める治療とは? ~患者パネルを用いた実態調査~

関節リウマチ(RA)治療は、痛みを取ることしかできなかった“care”の時代から、メトトレキサート(MTX)と生物学的製剤の登場によって、臨床的寛解や生命予後改善を目指す“cure”の時代へとめざましい進歩を遂げている。現在は、5年後10年後を考えて治療することが重要となってきているが、現在の薬物治療の実態や患者さんの意識はどうなのか? ここでは、2011年11月24日に開催されたセミナー「リウマチ治療が抱える課題:治療が遅れ、痛みがとりきれない患者さんも ~早期診断・治療が十分でない現状が明らかに~」(主催:ファイザー株式会社)から、RA患者を対象としたインターネット調査結果に関する山中 寿氏(東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター 所長)の講演をレポートする。■500名のRA患者を対象としたインターネット調査今回のインターネット調査は、電通リサーチ・ミリオネットのパネル登録者から、RA治療のために医療機関に通院中で、薬剤によるRA治療が行われているRA患者500名(RA罹患率に合わせ、男女比を1:4に調整)を対象に2011年6月に実施された。患者背景は、年齢49.8±10.6歳、JHAQスコア0.55±0.64、生物学的製剤使用患者割合24%であった。 本調査の対象患者は、自らパネルに登録していることを考慮すると、治療や情報収集におけるモチベーションはより高いと考えられる。しかしながら、山中氏によると、同氏が2000年から実施し、毎回約5,000名のRA患者の情報を集積している前向き観察研究のJ-ARAMIS(Japanese Arthritis Rheumatism and Aging Medical Information System、2006年にIORRA;Institute of Rheumatology, Rheumatoid Arthritisと改称)とほぼ同様な結果が得られたとのことである。■発症から確定診断・薬物治療までの現状自覚症状発現から確定診断までの期間は、3ヵ月以上が53.6%、4割近くが6ヵ月以上であった。自覚症状発現からMTX開始までの期間は2年以上が56.5%を占め、またMTX無効な場合に投与できる生物学的製剤使用までの期間は、78.5%が自覚症状発現から2年以上の期間を要していた。なおMTXについては、2011年2月に添付文書が改訂され、治療の最初から使用できるようになったため、今後、この期間は短くなるものと思われる。 また本調査では、RAの確定診断やMTXおよび生物学的製剤の投与は、整形外科よりも膠原病・リウマチ科で積極的に実施されている傾向が認められた。診療科におけるこれらの差は、地域の医療環境に差がある可能性が高い、と山中氏は推察している。■生物学的製剤による治療状況生物学的製剤の使用状況については、エタネルセプト(商品名:エンブレル)が45.0%ともっとも多く、次いでインフリキシマブ(商品名:レミケード)が27.5%であった。IORRAのデータ(2011年4月時点)でも、エタネルセプトが47.6%であり、同様の傾向を示していた。 RA治療に対する満足度では、生物学的製剤使用患者では72.5%、非使用患者では49.7%が「満足である」と回答し、生物学的製剤を使用している患者のほうが治療満足度が高いことが示された。しかし、生物学的製剤使用患者では、二次無効や副作用などで薬剤変更経験がある患者は31.6%存在していた。 実際の生物学的製剤の選定においては、71.7%が医師主導で薬剤を選定しており、投与方法や投与回数などの使い方はよく理解しているものの、長期にわたる効果や安全性については理解が十分ではないことが明らかとなった。その一方で、生物学的製剤使用患者は長期的な治療効果の維持を望んでいることが示されたことから、長期的な治療効果や副作用についてもしっかりと情報提供を行い、長期的な治療の必要性を伝えていくことが必要である、と山中氏は指摘した。■就労・医療費における問題RAの発症によって、仕事を辞めたり変更したりしたことのある患者は4割を超え、とくに女性は5割近くにのぼり、就労に支障を来たしていることが示された。 医療費に関する調査結果からは、医療費の問題で生物学的製剤を使用していない患者さんが存在する可能性が示唆された。現在、生物学的製剤を使用する場合の薬剤費が年間約140万円であり、3割負担でも月々4~5万円かかることが生物学的製剤使用のネックとなっていることがうかがわれる。また、世帯年収別の生物学的製剤の使用状況を調べたところ、300万円未満の世帯を除くと、年収の増加に伴って使用患者の割合が増加していた(300万円未満の世帯での使用割合は、生活保護などのサポート制度などの影響が推察される)。山中氏は薬剤選定の際には患者さんに治療費用を含めて選択肢を示しているが、ほとんどの患者さんがその場では決められないという。■RA患者が求める情報提供情報の入手度に関する質問には、半数以上のRA患者が「適切な治療や薬剤に関する情報」や「RAに関する一般疾病情報」については「得られている」と回答している。しかし、「研究成果などに関する最新診療情報」や「医療機関およびサービスの選択に関わる情報」については3割前後であり、今後はこれらについての情報提供が望まれる。■「壁抜け」まであと少し今回の調査結果について、山中氏は、「これらのRA治療における問題点を今後の診療に生かし、RA患者さんが少しでも楽な生活、楽しい人生を送るためによい方向に向けていきたい」と語り、さらにRA診療について「かなり進歩したが、まだ壁を抜けきったわけではない。半分は壁の向こうにあり、まだまだ解決すべき問題は多い。それを自覚して努力していきたい」と述べて講演を締めくくった。(ケアネット 金沢 浩子)

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田中良哉教授が語る関節リウマチ治療の展望

2011年10月27日、東京で開催された関節リウマチ治療に関するプレスセミナー(主催:アボット ジャパン株式会社/エーザイ株式会社)において、産業医科大学医学部第1内科学講座教授 田中良哉氏=写真=による講演が行われた。講演では、2010年に発表された関節リウマチ治療における新分類基準および寛解基準、治療のあり方を示す「Treat to Target(T2T)」などについて解説したが、田中氏は、新分類基準を治療の「入り口」、新寛解基準を「ゴール」、そしてT2Tを「入り口」から「ゴール」へ至る「道筋」に例え、関節リウマチ診療における意義を強調した。また、最新関節リウマチ治療研究の1つとして、国内4施設(慶應義塾大学医学部内科、埼玉医科大学総合医療センター リウマチ・膠原病内科、産業医科大学医学部第1内科学、東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風センター)が共同で行った「HARMONY Study」を取り上げた。本試験は、平均罹患年数9年の関節リウマチ患者に生物学的製剤「アダリムマブ」(商品名:ヒュミラ)を投与、その治療効果を検証したレトロスペクティブ試験で、検証の結果、投与1年後には約4割の患者が臨床的寛解に入り、約6割の患者で関節破壊進行が止まったことが明らかになっている 1)。講演の最後、田中氏は「関節破壊を進行させないためには、まず臨床的寛解を達成すべきであり、その寛解を維持することが重要である」と強調した。また、寛解に向けた治療について、「ステロイド薬などによる対症療法は最小限にとどめ、MTXや生物学的製剤などによる根本療法を徹底的に行うべき」と述べ、本講演を締めくくった。 参考文献:1)T Takeuchi, Y Tanaka et al. Mod Rheumatol. 2011 Sep 7.(ケアネット 呉 晨)

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治療抵抗性の慢性痛風に対するpegloticase、プラセボ群に比べ尿酸値低下

慢性痛風で従来療法に治療抵抗性の患者に対する、新規痛風治療薬のpegloticaseについて、有効性と耐用性に関する、投与間隔が異なる2つの無作為化プラセボ対象試験の結果が報告された。8mg投与を2週間ごとまたは4週間ごとに6ヵ月間投与した結果は、いずれもプラセボ群と比べ血漿尿酸値低下に結びついたという。米国・デューク大学医療センターJohn S. Sundy氏らが、2つの無作為化試験の結果を、JAMA誌2011年8月17日号で発表した。pegloticaseは、従来療法に代わる酵素として、モノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)結合の哺乳類組み換え型ウリカーゼが特徴の尿酸降下薬である。隔週投与群、月1回投与群、プラセボ群の、3、6ヵ月時点の尿酸値降下達成を比較2つの反復無作為化二重盲検プラセボ対照試験(C0405とC0406)は2006年6月~2007年10月の間に、米国、カナダ、メキシコから56のリウマチ診療所で行われた。被験者は、重度の痛風で、標準薬となっているアロプリノール(商品名:ザイロリックほか)に不耐性または不応性であり血清尿酸値8.0mg/dL以上の患者であった。両試験合計225例(C0405試験109例、C0406試験116例)の患者は、隔週投与群(8mg投与を2週間に1回静注、これを12回行う)、月1回投与群(前述投与スケジュールで2回に1回はプラセボに替えて静注)、プラセボ群に割り付けられ、主要評価項目を3~6ヵ月の間の5つの事前特定測定ポイントにおける、血漿尿酸値6.0mg/dL未満達成とし評価が行われた。プール解析で、隔週投与群42%、月1回投与群35%、プラセボ群0%C0405試験での主要エンドポイント達成は、隔週投与群で20/43例(47%、95%信頼区間:31~62)、月1回投与群8/41例(20%、同:9~35)、プラセボ群0/20例(0%、同:0~17)であった(隔週投与群と月1回投与群vs. プラセボ群の比較はそれぞれP<0.001、P<0.04)。C0406試験では、隔週投与群で16/42例(38%、95%信頼区間:24~54)、月1回投与群21/43例(49%、同:33~65)、プラセボ群0/23例(0%、同:0~15)であった(それぞれP=0.001、P<0.001)。2試験データのプール解析の結果、隔週投与群で36/85例(42%、95%信頼区間:32~54)、月1回投与群29/84例(35%、同:24~46)、プラセボ群0/43例(0%、同:0~8)であった(それぞれのP<0.001)。無作為化から研究データベース締め切り時点まで(2008年2月15日)の間の死亡発生は、7例(pegloticase投与群4例、プラセボ投与群3例)であった。(武藤まき:医療ライター)

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エベロリムスベースの免疫抑制療法、腎移植におけるカルシニューリン阻害薬回避戦略として有望:ZEUS試験

 腎移植患者に対する免疫抑制療法として、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)阻害薬エベロリムス(商品名:サーティカン)をベースとするレジメンは、標準治療であるカルシニューリン阻害薬と同等の有効性および安全性を維持しつつ、12ヵ月後の腎機能を有意に改善し、長期予後の改善をさらに促進する可能性があることが、ドイツ・Charite大学のKlemens Budde氏らが実施したZEUS試験で示された。腎移植では、免疫抑制療法による予後の改善が示されているが、標準的な免疫抑制薬であるカルシニューリン阻害薬には急性/慢性の腎毒性がみられ、心血管リスク因子の増悪という長期予後に悪影響を及ぼす有害事象も認められる。そのため、腎毒性を伴わない免疫抑制療法として、カルシニューリン阻害薬と同等の有効性と安全性を維持しつつ、その使用を回避する治療戦略の開発が求められているという。Lancet誌2011年3月5日号(オンライン版2011年2月21日号)掲載の報告。エベロリムスベースのレジメンの有用性を移植後12ヵ月の腎機能で評価 ZEUS試験の研究グループは、腎移植後の免疫抑制療法において、カルシニューリン阻害薬と同等の効果を維持しつつ、これを使用せずに移植腎の機能を最適化する治療戦略として、エベロリムスベースのレジメンの有用性を評価するプロスペクティブな多施設共同オープンラベル無作為化試験を実施した。 2005年6月~2007年9月までに、17施設(ドイツ15施設、スイス2施設)から、18~65歳の新規腎移植患者503例が登録された。 4.5ヵ月間のシクロスポリン、腸溶性ミコフェノール酸ナトリウム、コルチコステロイド、バシリキシマブによる導入療法を施行後に、300例(60%)がエベロリムスベースのレジメンを施行する群あるいは標準的なシクロスポリン療法を継続する群に無作為化に割り付けられた。 主要評価項目は、移植後12ヵ月における腎機能[Nankivell式で評価した糸球体濾過量(GFR)]とし、intention-to-treat解析を行った。エベロリムス群でGFRが有意に改善 シクロスポリン群に146例(実際に投与されたのは145例)、エベロリムス群には154例(同155例)が割り付けられ、そのうち移植後12ヵ月間の免疫抑制療法を完遂したのはそれぞれ118例(76%)、117例(81%)であった。 移植後12ヵ月におけるGFRは、シクロスポリン群の61.9mL/分/1.73m2に比べ、エベロリムス群は71.8mL/分/1.73m2と有意に良好であった(平均差:-9.8mL/分/1.73m2、95%信頼区間:-12.2~-7.5、p<0.0001) 無作為割り付け後の期間(4.5ヵ月の導入療法後~12ヵ月)に生検で確認された急性拒絶反応率は、シクロスポリン群の3%(5/146例)に比べエベロリムス群は10%(15/154例)と有意に高かった(p=0.036)が、試験期間全体(ベースライン~12ヵ月)では両群で同等であった(15% vs. 15%)。 シクロスポリン群に比べエベロリムス群で頻度の高い有害事象として、血小板減少(全試験期間:3% vs. 11%、p=0.0144、無作為割り付け後:0% vs. 6%、p=0.0036)、アフタ性口内炎(3% vs. 17%、p<0.0001、1% vs. 15%、p<0.0001)、下痢(27% vs. 36%、p=0.1063、8% vs. 21%、p=0.0030)が認められた。高尿酸血症はシクロスポリン群で高頻度であった(14% vs. 6%、p=0.0527、3% vs. 0%、p=0.0254)。 著者は、「カルシニューリン阻害薬回避戦略としてのエベロリムスベースの免疫抑制療法は、有効性および安全性を維持しつつ12ヵ月後の腎機能を改善したことから、腎移植患者の長期予後の改善をさらに促進する可能性がある」と結論している。

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果糖を多く含む飲料摂取で女性の痛風リスクが増大、1日1杯で1.74倍に

加糖炭酸飲料やオレンジジュースのような果糖(フルクトース)を多く含む飲料の摂取量が多いと、女性の痛風発症リスクが増大することが報告された。米国ボストン医科大学リウマチ・臨床疫学部門のHyon K. Choi氏らが、大規模前向きコホート試験「Nurses’ Health Study」の中から、8万人弱の女性について調べた結果明らかにしたもので、JAMA誌2010年11月24日号(オンライン版2010年11月10日号)で発表した。果糖を多く含む飲料摂取が尿酸値の増加につながることは知られていたが、痛風発症との関連についての前向き試験データはほとんどなかったという。1日2杯以上なら痛風リスクは約2.4倍に研究グループは、Nurses’ Health Studyの被験者のうち、痛風歴がなく、食事に関する必要データが得られた7万8,906人について、1984~2006年まで22年間追跡した。追跡期間中、痛風を発症したのは778人だった。加糖炭酸飲料の摂取量と痛風発症リスクについてみてみると、1日1杯(serving)摂取する人は、1ヵ月に1杯未満しか摂取しない人に比べ、痛風の発症に関する多変量相対リスクは1.74(95%信頼区間:1.19~2.55)に増加した。1日に2杯以上摂取する人はさらにリスクが増大し、同多変量相対リスクは2.39(同:1.34~4.26)だった(傾向p<0.001)。オレンジジュースとの関連についてみてみると、1日1杯摂取する人の同多変量相対リスクは、1ヵ月に1杯未満しか摂取しない人に比べ1.41(95%信頼区間:1.03~1.93)、1日2杯以上摂取する人は2.42(95%信頼区間:1.27~4.63)だった(傾向p=0.02)。ダイエット飲料は痛風リスクを増大せず痛風発症に関する絶対格差は、加糖炭酸飲料1日1杯摂取では36人/10万人年、1日2杯以上摂取では68人/10万人年だった。オレンジジュースでは、1日1杯摂取では14人/10万人年、1日2杯以上摂取では47人/10万人年だった。果糖摂取量が多くなるほど痛風発症に関する多変量相対リスクは増大し、摂取量上位五分位範囲の群は、下位五分位範囲の群に比べ、同リスクは1.62(同:1.20~2.19、傾向p=0.004)だった。なお、ダイエット飲料の摂取は、痛風発症リスクの増大には関与していなかった(傾向p=0.27)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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高尿酸血症治療薬アロプリノール、慢性安定狭心症患者の運動能を改善

痛風高尿酸血症の治療薬として用いられているアロプリノール(商品名:ザイロリックなど)の高用量投与により、慢性安定狭心症患者の運動能が有意に改善することが、イギリスDundee大学Ninewells病院のAwsan Noman氏らが行った無作為化試験で明らかとなった。実験的な研究では、キサンチンオキシダーゼ阻害薬は1回拍出量当たりの心筋酸素消費量を低下させることが示されている。このような作用がヒトでも起きるとすれば、アロプリノールなどこのクラスのキサンチンオキシダーゼ阻害薬が狭心症患者における心筋虚血の新たな治療薬となる可能性があるという。Lancet誌2010年6月19日号(オンライン版2010年6月8日号)掲載の報告。高用量アロプリノールの運動能改善効果を評価する二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験研究グループは、高用量アロプリノールによる慢性安定狭心症患者の運動能の延長効果について検討する二重盲検プラセボ対照クロスオーバー無作為化試験を行った。イギリスの1病院と2診療所に、血管造影にて冠動脈疾患を認め、運動負荷試験で冠動脈の狭窄が確認された18~85歳の慢性安定狭心症患者(2ヵ月以上が経過)65例が登録された。これらの患者が、アロプリノール600mg/日を投与する群あるいはプラセボ群に無作為に割り付けられ、6週間の治療ののち治療法のクロスオーバーが行われた。主要評価項目はST低下までの時間とし、副次評価項目は総運動時間および胸痛発現までの時間とした。ST低下までの時間が43秒、総運動時間が58秒、胸痛発現までの時間は38秒有意に延長クロスオーバー前の6週間の治療においては、アロプリノール群に割り付けられた31例のうち28例が、プラセボ群の34例のうち32例が評価可能であった。クロスオーバー後の治療では、60例全例で評価が可能であった。ST低下までの時間の中央値は、アロプリノール群がベースラインの232秒から6週後には298秒にまで延長したのに対し、プラセボ群の延長は249秒までであり、有意な差が認められた(p=0.0002)。両群間の絶対差は43秒(95%信頼区間:31~58秒)であった。総運動時間の中央値は、アロプリノール群がベースラインの301秒から393秒にまで延長したのに対し、プラセボ群の延長は307秒までであり、有意な差を認めた(p=0.0003)。両群間の絶対差は58秒であった(95%信頼区間:45~77秒)。胸痛発現までの時間の中央値は、アロプリノール群が234秒から304秒へ、プラセボ群は272秒まで延長し、やはり有意な差が確認された(p=0.001)。両群間の絶対差は38秒であった(95%信頼区間:17~55秒)。治療に関連した有害事象は両群ともにみられなかった。著者は、「アロプリノールは、狭心症患者の運動能の改善薬として有用であり、安価で耐用性にも優れ高い安全性を有する可能性が示唆された」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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尿酸分解酵素製剤「ラスリテック」の製造販売承認を取得

サノフィ・アベンティス株式会社は16日、尿酸分解酵素製剤「ラスリテック」(一般名:ラスブリカーゼ(遺伝子組換え))について、「がん化学療法に伴う高尿酸血症」を効能又は効果として、厚生労働省より医薬品製造販売承認を取得したと発表した。ラスリテックは、遺伝子組み換え型の尿酸オキシダーゼで、がんを化学療法で治療する際に引き起こされる高尿酸血症に対して用いられる。ラスリテックはサノフィ・アベンティス(本社:フランス、パリ)が創薬から開発まで一貫して自社で行った製品で、2001年のヨーロッパでの承認以来、世界50ヵ国で承認されている。高尿酸血症は、がんで増殖した腫瘍細胞が、腫瘍自身の崩壊や化学療法などにより急激に破壊されることによって、細胞内の核酸やカリウム、リン酸などが大量に血中に放出されて引き起こされる腫瘍崩壊症候群(高尿酸血症、高カリウム血症、高リン酸血症およびそれに引き続く低カルシウム血症の総称)のひとつ。腫瘍崩壊症候群は適切な治療を行わないと急性腎不全に至ることがあり、最悪の場合は、致死的な経過をたどることのある症候群だ。がん化学療法に伴う高尿酸血症では大量の尿酸が血中に存在するため、速やかに治療されない場合、尿酸が腎臓内に蓄積し腎不全を引き起こすことがあるという。ラスリテックは新規作用機序を持ち、尿酸を直接分解することで、水溶性の高いアラントインに変換し、尿中に排泄することができるとのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/medias/5DD2F902-02A0-465D-93DD-2BBB97857943.pdf

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三和化学研究所と富士薬品が高尿酸血症痛風治療薬「FYX-051」に関するライセンス契約を締結

株式会社三和化学研究所は8日、株式会社富士薬品と、高尿酸血症痛風治療薬「FYX-051」について、日本国内での共同開発・商業化に係るライセンス契約を締結したと発表した。現在販売されている高尿酸血症痛風治療薬には、尿酸の生成を抑制して血清尿酸低下効果を示す尿酸生成抑制薬と、尿酸の排泄を促進して血清尿酸低下効果を示す尿酸排泄促進薬がある。FYX-051は、尿酸生成に関与するキサンチンオキシダーゼを阻害して尿酸生成を抑制することにより、血清尿酸値低下作用を示す尿酸生成抑制薬。本剤は、既存の高尿酸血症痛風治療薬とは異なり肝クリアランス型のため、腎機能が低下している患者に対しても使用しやすいという。なお、国内においては、株式会社富士薬品が第II相臨床試験を実施しており、今後は両社共同で開発を進めていくとのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.skk-net.com/new/data/news091008.pdf

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痛風高尿酸血症治療剤「TMX-67」韓国で販売承認取得

帝人ファーマ株式会社は30日、新規痛風高尿酸血症治療剤「TMX-67」(一般名:フェブキソスタット)について、韓国の導出先であるエスケーケミカルズ株式会社が、6月25日に韓国食品医薬品局(KFDA:Korea Food and Drug Administration)より痛風発作を伴う高尿酸血症治療剤として販売承認を取得したことを発表した。帝人ファーマとエスケーケミカルズ社は、2004年8月に「TMX-67」の韓国における独占開発・販売契約を締結しており、今回の承認は、2008年7月にエスケーケミカルズ社がKFDAに販売承認の申請を行っていたもの。エスケーケミカルズ社は、今後1年以内に予想される薬価収載を経て、商標「FEBURIC(フェブリック)」として販売していくという。TMX-67は、すでに欧州では2008年4月に仏イプセン社が、米国では2009年2月に武田ファーマシューティカルズ・ノースアメリカ株式会社が販売承認を取得しており、米国では2009年3月より販売を開始している。また、アジアにおいては2009年5月に台湾アステラス製薬と台湾における独占販売契約を締結してしている。日本国内でも再申請に向けて準備を進めているとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.teijin-pharma.co.jp/information/090630.html

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米国にて、痛風高尿酸血症治療剤ULORIC(TMX-67)販売開始

帝人ファーマ株式会社が創製した新規の痛風高尿酸血症治療剤であるフェブキソスタット(一般名、開発コード:TMX-67、米国登録商標:ULORIC)について、武田薬品工業株式会社の100%子会社である武田ファーマシューティカルズ・ノースアメリカ株式会社(米国イリノイ州、以下、TPNA社)は、このたび、米国における販売を開始したと発表した。フェブキソスタットは、新規のキサンチンオキシダーゼ(痛風の原因となる尿酸生成合成酵素)阻害剤であり、米国では約40年ぶりに発売される痛風高尿酸血症治療剤。同剤は、痛風高尿酸血症患者の血中尿酸値を低下させる効果を有しており、臨床試験において、その有効性と安全性が確認されている。また、軽度から中等度の腎機能障害あるいは肝機能障害を有する患者でも、投与量を調節することなく服薬出来る結果が得られている。詳細はプレスリリースへhttp://www.takeda.co.jp/press/article_32234.html

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痛風高尿酸血症治療剤フェブキソスタット 米国で販売許可取得

帝人ファーマ株式会社が創製した新規の痛風高尿酸血症治療剤であるフェブキソスタット(一般名、開発コード:TMX-67、米国登録商標:ULORIC)について、武田薬品工業株式会社の子会社、米国・武田ファーマシューティカルズ・ノースアメリカ株式会社(TPNA社)は2月13日(米国時間)、米国食品医薬品局(FDA)より販売許可を取得したことを発表した。TPNA社は、米国におけるフェブキソスタットの独占的開発・販売権を有している。フェブキソスタットは、新規のキサンチンオキシダーゼ(痛風の原因となる尿酸生成合成酵素)阻害剤で、米国では約40年ぶりに発売される痛風高尿酸血症治療剤である。同剤は、痛風高尿酸血症患者の血中尿酸値を低下させる効果を有しており、臨床試験において、その有効性と安全性が確認されている。また、軽度から中等度の腎機能障害あるいは肝機能障害を有する患者でも、投与量を調節することなく服薬出来る結果を得ているという。詳細はプレスリリースへhttp://www.takeda.co.jp/press/article_32078.html

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新たな痛風関連遺伝子を同定

3つのコホートを対象としたゲノム関連試験で、新たにABCG2遺伝子、SLC17A3遺伝子が血清尿酸値および痛風と関連することが確認された。オランダErasmus 医療センター疫学科のAbbas Dehghan氏が、Lancet氏2008年12月6日号(オンライン版2008年10月1日号)で報告した。既報のSLC2A9遺伝子の関連も確認痛風は関節炎の形態として最も頻度の高い疾患のひとつである。イギリスでは70万人以上、アメリカでは300万人近くが罹患しており、毎年ほぼ400万人が外来を受診し、複数の国の疫学調査でその有病率および発症率の上昇が報告されているという。また、痛風の主要リスク因子である高尿酸血症は、高度の遺伝形質を有する。研究グループは、血清尿酸値と痛風に関連する新たな遺伝子の同定を目的に検討を行った。Framingham試験のコホート7,699人とRotterdam試験のコホート4,148人を対象に、血清尿酸値のゲノム関連試験を実施した。また、Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC)試験の参加者(白人:1万1,024人、黒人:3,843人)において有意な一塩基多型(SNPs)の解析を行った。Framingham試験あるいはRotterdam試験のコホートにおいて尿酸値と有意な関連を示したSNPsについて痛風との関連を評価し、白人参加者から得られた結果についてメタ解析を行った。Framingham試験コホートでは3つの遺伝子座が、Rotterdam試験コホートでは2つの遺伝子座が、尿酸値との有意な関連を示した。最も高い関連性を示した各遺伝子座のSNPsは、rs16890979(SLC2A9遺伝子のミスセンス変異)、rs2231142(ABCG2遺伝子のミスセンス変異)、rs1165205(SLC17A3遺伝子のミスセンス変異)の3つであった。白人では、これら3つのSNPsがすべて痛風と有意な関連を示した。ARIC試験の黒人ではrs2231142のみが痛風と有意な関連を示した。また、SLC2A9遺伝子は3つの試験とも男性よりも女性で尿酸値との関連が高かった。ARIC試験では、ABCG2遺伝子の尿酸値および通風との関連が女性よりも男性で高かった。3つの試験ともに、3つの遺伝子のリスクスコアは尿酸値、痛風との関連性が高く、いずれも段階的に上昇した。なお、SLC2A9遺伝子については、以前の研究で白人において尿酸値および痛風との関連が報告されている。著者は、「SLC2A9遺伝子、ABCG2遺伝子、SLC17A3遺伝子が尿酸値および痛風と有意な関連を示した。このうちABCG2遺伝子とSLC17A3遺伝子の関連は、今回、初めて確認された」と結論しており、「試験のパワーを考慮すると、これら以外にも痛風に関与する遺伝子が存在する可能性はある」としている。(菅野守:医学ライター)

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Febuxostatの販売承認をFDA諮問委が推奨

武田薬品工業株式会社は25日、米国時間24日に開催された米国食品医薬品局(FDA)の関節炎諮問委員会において、痛風高尿酸血症治療薬Febuxostat(一般名、開発コード:TMX-67)について、FDAでの販売承認を推奨するという見解が示されたと発表した。Febuxostatは、同社の100%子会社である武田グローバル研究開発センター株式会社(米国イリノイ州)が、現在、FDAに販売承認申請を行っており、承認が取得されれば、約40年ぶりに発売される新規の痛風高尿酸血症治療薬となる。今回の諮問委員会での審議結果を踏まえ、FDAは、現在の申請内容について販売承認の可否を最終決定するという。Febuxostatは、帝人ファーマ株式会社が創製した新規のキサンチンオキシダーゼ阻害剤であり、痛風患者の血中尿酸値を低下させる効果を発揮する。臨床試験において、痛風高尿酸血症の治療薬として高い有効性を示したという結果が出ている。詳細はプレスリリースへhttp://www.takeda.co.jp/press/article_31218.html

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痛風性関節炎に対するプレドニゾロンの効果はナプロキセンと同等

痛風性関節炎の導入治療としての経口プレドニゾロンとナプロキセンの効果は同等であることが、オランダRadboud大学Nijmegen医療センター一般診療科のHein JEM Janssens氏らが実施した無作為化試験で明らかとなった。痛風性関節炎に使用されるナプロキセンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やコルヒチンには、消化管、腎、心血管系に対する有害事象が見られる。その一方で、全身コルチコステロイド療法が有用な治療選択肢となる可能性が指摘されていた。Lancet誌2008年5月31日号掲載の報告。2剤の同等性を検証する二重盲検無作為化試験研究グループは、プライマリ・ケアでの単関節痛風の治療におけるプレドニゾロンとナプロキセンの効果の同等性を検証する目的で二重盲検無作為化試験を行った。尿酸一ナトリウム結晶の発現が確認された痛風患者120例が、プレドニゾロン群(35mg/日、5日間投与、60例)あるいはナプロキセン群(500mg×2回/日、5日間投与、60例)に無作為に割り付けられた。治療法は患者および医師の双方ともに知らされなかった。主要評価項目は100mm視覚アナログスケールで測定された疼痛の程度とした。プレドニゾロンも痛風治療の第一選択薬のひとつとみなすべき両群とも1例ずつが治療を完遂できず、それぞれ59例がper protocol解析の対象となった。90時間後の疼痛スコアはプレドニゾロン群が44.7mm、ナプロキセン群が46.0mm低減し(群間差:1.3mm、95%信頼区間:-9.8~7.1)、両群の効果の同等性が示唆された。疼痛の変化の大きさの差は1.57mmであった(95%信頼区間:-8.65~11.78)。有害事象は両群で類似しており、全般に軽度で3週間のフォローアップで軽快した。Janssens氏は、「痛風性関節炎の導入治療としての経口プレドニゾロンの投与4日後における効果は、NSAIDsであるナプロキセンと同等である」と結論し、「プレドニゾロンは、痛風に対する第一選択の治療法のひとつとみなすべきである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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コーラなどのソフトドリンクは男性の痛風リスクを高める

砂糖で甘味を加えたソフトドリンク(コーラ、その他の炭酸飲料など)に多く含まれる果糖は血清尿酸値を上昇させることが知られているが、これらの飲み物や果糖と、痛風リスクの関連は明らかにされていない。カナダBritish Columbia大学バンクーバー総合病院のHyon K. Choi氏らは、大規模なコホート研究によってこれらの飲料が男性の痛風リスクを増大させることを確認、BMJ誌2008年2月9日号(オンライン版1月31日号)で報告した。4万6,393人の男性医療従事者を対象とした12年に及ぶ研究本試験は、進行中の医療従事者追跡研究(health professionals follow-up study)に登録された5万1,529人の男性医療従事者(歯科医、検眼師、整骨医、薬剤師、足治療医、獣医)のうち、ベースライン時に痛風の既往歴がなかった4万6,393人を対象とした12年に及ぶプロスペクティブなコホート研究。登録者の91%が白人で、年齢は1986年時に40~75歳であった。ソフトドリンクおよび果糖の摂取に関する情報は検証食物頻度質問票(validated food frequency questionnaires)を用いて収集した。主要評価項目は、米国リウマチ学会の判定規準を満たす痛風の発生率とした。フルーツジュース、リンゴ、オレンジもリスクを増大12年の追跡期間中に755人が痛風を発症した。砂糖で甘味を加えたソフトドリンクの摂取の増加にともなって痛風のリスクが増大した。ソフトドリンクの摂取が月に1杯未満の群に比べ、週に5~6杯の群の多変量相対リスクは1.29、日に1杯の群では1.45、日に2杯以上の場合は1.85であった(傾向性のp=0.002)。ダイエット用のソフトドリンク(低カロリーのコーラなど)は痛風リスクを増大させなかった(傾向性のp=0.99)。果糖の摂取量を5つの段階に分け、最も少ない群の痛風の多変量相対リスクを1.00とした場合、摂取量が増えるに従って相対リスクは1.29、1.41、1.84、2.02と上昇した(傾向性のp<0.001)。また、果糖の摂取を高めるフルーツジュースや果糖が豊富な果物(リンゴ、オレンジ)も、痛風リスクを増大させた(傾向性のp<0.05)。Choi氏は、「砂糖で甘味を加えたソフトドリンク、フルーツジュース、果糖が豊富な果物は男性の痛風リスクを著明に増大させたが、ダイエット用のソフトドリンクは増大させなかった」と結論したうえで、「従来の痛風予防の食事療法はプリン体の摂取制限に焦点を当てているが、低プリン体食は炭水化物を多く含み、果糖が豊富な食べ物が多いため、全体としてはかえって痛風発作のリスクを高める可能性がある」と注意を促している。(菅野守:医学ライター)

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