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ホジキンリンパ腫初回治療、ニボルマブ+AVD療法がPFSを改善(SWOG S1826)/ASCO2023

 成人の古典的ホジキンリンパ腫の初回治療は、長らくABVD(ブレオマイシン+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)療法が標準治療であったが、2022年にA+AVD(ブレンツキシマブ ベドチン+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)療法がABVD療法と比較して全生存期間(OS)を延長したことが報告された。しかし、若い患者を中心に、長期間続く治療による毒性の問題が依然として残っている。 米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)のプレナリーセッションとして、新たな標準療法となったA+AVD療法と、再発難治ホジキンリンパ腫の治療で有効性を示した抗PD-1抗体ニボルマブをAVD療法に加えたN-AVD療法を比較した第III相SWOG S1826試験の結果が、米国・シティ・オブ・ホープ総合がんセンターのAlex Francisco Herrera氏によって報告された。・対象:12歳以上、StageIII~IVのホジキンリンパ腫患者・試験群(N-AVD群):ニボルマブ+AVDを6サイクル。G-CSF製剤による好中球減少症予防治療は任意・対照群(A+AVD群):ブレンツキシマブ ベドチン+AVDを6サイクル。G-CSF製剤投与は必須・評価項目:[主要評価項目]無増悪存期間(PFS)[副次評価項目]OS、無イベント生存期間(EFS)、患者報告アウトカム(PROs)、安全性 主な結果は以下のとおり。・2019年7月19日~2022年10月5日に976例が組み入れられ、N-AVD群(489例)とA+AVD群(487例)に無作為に割り付けられた。年齢中央値は27歳(12~83歳)、56%が男性、76%が白人であった。24%が18歳未満、10%が60歳以上、32%がIPSスコア4~7であった。・N-AVD群では30件のPFSイベントが発生し、A+AVD群では58件のPFSイベントが発生した。・追跡期間中央値12.1ヵ月時点で、PFSはN-AVD群で優れていた(ハザード比[HR]:0.48、99%信頼区間[CI]:0.27~0.87、p=0.0005)。1年PFS率はN-AVD群94%、A+AVD群86%だった。年齢、IPSスコア、Stage別のサブグループ解析でも同様の結果が得られた。・試験期間中の死亡はN-AVD群4例、A+AVD群11例、放射線治療を受けたのはN-AVD群2例、A+AVD群4例だった。・Grade3以上の血液関連の有害事象はN-AVD群48.4%(うち好中球減少症47%)、A+AVD群30.5%(同25%)、全Gradeの骨の痛みはN-AVD群8%、A+AVD群20%だった。発熱性好中球減少症、敗血症、感染症、ALT上昇、甲状腺機能低下症などの発生率は低く、両群で同等であった。 Herrera氏は「N-AVDはA+AVDに比べPFSを改善した。免疫関連の有害事象はほとんど観察されず、放射線療法を受けた患者は1%未満であった。OSとPROを評価するためにはより長いフォローアップが必要だが、本試験はホジキンリンパ腫の小児と成人の治療を進化させるための重要なステップである」とした。

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膵頭十二指腸切除後の手術部位感染予防、TAZ/PIPCが有用/JAMA

 適応症を問わず、開腹による膵頭十二指腸切除術後の手術部位感染(SSI)の予防において、セフォキシチン(国内販売中止)と比較して、広域スペクトラム抗菌薬ピペラシリン・タゾバクタムは、術後30日の時点でのSSIの発生率を有意に抑制し、術後の敗血症や膵液瘻の発生頻度も低いことが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのMichael I. D'Angelica氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2023年5月9日号に掲載された。北米のレジストリ連携型非盲検多施設無作為化第III相試験 本研究は、レジストリ連携の実践的な非盲検多施設無作為化第III相試験であり、2017年11月~2021年8月の期間に、米国とカナダの26施設(外科医86人)で患者の登録が行われた(米国NIH/NCIがんセンター研究支援助成などの助成を受けた)。 年齢18歳以上で、適応症を問わず待機的な開腹膵頭十二指腸切除術を受けた患者が、ピペラシリン・タゾバクタム(各施設の基準に従い3.375または4.5g、静脈内投与)またはセフォキシチン(2g、静脈内投与、対照)の投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。試験薬は、切開開始から60分以内に初回投与が行われ、手術終了まで2~4時間ごとに追加投与され、術後は24時間以内に投与を終えることとされた。 主要アウトカムは、術後30日以内のSSIの発現であった。30日死亡率、臨床的に重要な術後の膵液瘻、敗血症の発生などが、副次アウトカムに含まれた。 本試験は、事前に規定された中止基準に従い、2回目の中間解析により有効中止となった。30日死亡率には差がない 778例が登録され、ピペラシリン・タゾバクタム群に378例(年齢中央値66.8歳、男性61.6%)、セフォキシチン群に400例(68.0歳、55.8%)が割り付けられた。456例(58.6%)が術前に胆管ステントを留置され、273例(35.1%)が術前化学療法もしくは放射線療法を、488例(62.7%)が膵がんの切除術を受けていた。 30日の時点におけるSSIの発生率は、セフォキシチン群が32.8%(131/400例)であったのに対し、ピペラシリン・タゾバクタム群は19.8%(75/378例)と有意に低かった(絶対群間差:-13.0%[95%信頼区間[CI]:-19.1~-6.9]、オッズ比:0.51[95%CI:0.38~0.68]、p<0.001)。 術後の敗血症(4.2% vs.7.5%、群間差:-3.3%[95%CI:-6.6~0.0]、p=0.02)および臨床的に重要な術後の膵液瘻(12.7% vs.19.0%、-6.3%[-11.4~-1.2]、p=0.03)の発生率は、いずれもピペラシリン・タゾバクタム群で有意に低かった。 一方、30日死亡率(1.3% vs.2.5%、群間差:-1.2%[95%CI:-3.1~0.7]、p=0.32)には、両群間に有意な差はみられなかった。 著者は、「術後SSIリスクの低減は、術前の胆道ステント留置の有無にかかわらず認められた。本試験の結果は、開腹膵頭十二指腸切除術後のSSI予防における標準治療としてのピペラシリン・タゾバクタムの使用を支持する」としている。

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非小細胞肺がん免疫併用療法の多施設共同臨床試験に係る現状と重要な注意事項について/国立がん研究センター

 日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)は、全国59施設で実施していた、未治療の進行・再発非小細胞肺がんに対する、化学療法+ペムブロリズマブ療法と化学療法+ニボルマブ+イピリムマブ療法の有効性比較第III相試験(JCOG2007試験、特定臨床研究)において、化学療法+ニボルマブ+イピリムマブ療法患者で、予期範囲を超える約7.4%(148例中11例)の治療関連死亡が認められたため、試験継続困難と判断して2023年3月30日に同試験を中止した、と発表した。 同試験は2021年4月~2022年4月に261例の患者を登録したが、化学療法+ニボルマブ+イピリムマブ療法において、9例(6.9%)に治療関連死亡(肺臓炎3例、サイトカイン放出症候群2例、敗血症1例、心筋炎2例、血球貪食症候群1例)が起きたため登録を一時停止。その後、治療関連死亡患者に多く見られる特徴を見いだし、登録規準を変更したうえで2022年10月3日に登録を再開したが、化学療法+ニボルマブ+イピリムマブ療法患者に新たな治療関連死亡が起きた。安全性を高めた変更後の登録の規準をもってしても防げなかった治療関連死亡と考え、2023年3月30日にこの試験の中止を決定した、としている。 現在、同試験以外でニボルマブ+イピリムマブ併用療法を受けている未治療進行・再発非小細胞肺がんの患者に対しては、治療の効果や副作用を勘案した慎重な判断が必要なため、自己判断で治療を中断せず、必ず主治医と相談するよう勧告している。 詳細は国立がん研究センタープレスリリースを参照

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サル痘とは?(2023年4月更新版)

サル痘とは?2023年4月版出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.サル痘とは? オルソポックスウイルス属のサル痘ウイルスによる感染症 1970年にザイール(現在のコンゴ民主共和国)でヒトでの初めての感染が確認され、中央アフリカ~西アフリカにかけて流行している。 国内では感染症法上の4類感染症に指定されている。 2022年5月以降、従前のサル痘流行国への海外渡航歴のないサル痘患者が世界各地で報告されているが、2023年3月時点では全体の症例の報告数は減少傾向にある。 国内では2022年7月に1例目の患者が確認され、その後散発的に発生が報告されていたが、2023年に入り患者の報告数が増加している。出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.感染経路は? アフリカに生息するリスなどの齧歯類をはじめ、サルやウサギなどウイルスを保有する動物との接触によりヒトに感染する。 感染した人や動物の皮膚の病変・体液・血液との接触(性的接触を含む)、患者と接近した対面での飛沫への長時間の曝露、患者が使用した寝具などとの接触などにより感染する。 皮疹の痂皮をエアロゾル化することで空気感染させた動物実験の報告があるものの、実際に空気感染を起こした事例は確認されていない。出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.発生状況は?<国内> 2022年7月25日に1例目の患者が報告された。 2023年以降、患者の発生が増加しており、2023年4月25日時点で120例が報告されている。<世界> 2022年5月以降の流行で8万6千人以上の感染例が報告されている(2023年3月24日時点)。 WHOによると、現在報告されている患者の大部分は男性であるが、小児や女性の感染も報告されている。※特定の集団や感染者、感染の疑いのある者等に対する差別や偏見は人権の侵害につながります。出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.症状は? 発熱、頭痛、リンパ節腫脹などの症状が0~5日程度持続し、発熱1~3日後に発疹が出現する。 リンパ節腫脹は顎下、頸部、鼠径部に見られる。 皮疹は顔面や四肢に多く出現し、徐々に隆起して水疱、膿疱、痂皮となる。 多くの場合2~4週間持続し自然軽快するが、小児、曝露の程度・健康状態・合併症などにより、重症化することがある。 皮膚の2次感染、気管支肺炎、敗血症、脳炎、角膜炎などの合併症を起こすことがある。 手掌や足底にも各皮疹が出現する。出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.症状は?(続き)2022年5月以降の欧米を中心とした流行では、従来の報告とは異なる症状が指摘されている。 発熱やリンパ節腫脹などの前駆症状が見られない場合がある。 病変が局所(会陰部、肛門周囲や口腔など)に集中しており、全身性の発疹が見られない場合がある。 異なる段階の皮疹が同時に見られる場合がある。出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.Q. 治療方法は? 対症療法(症状に応じた治療) 国内で承認された治療薬はない。 欧州では、特異的治療薬としてテコビリマットが承認されており、日本でも同薬を用いた特定臨床研究が実施されている。出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.Q.予防法は? 天然痘ワクチンによって約85%発症予防効果があるとされている。 流行地では感受性のある動物や感染者との接触を避けることが大切である。出典:厚生労働省ホームページ(2023年4月25日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.htmlCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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GLP-1受容体作動薬・TAZ/PIPC、重大な副作用追加で添文改訂/厚労省

 厚生労働省は2023年2月14日、GLP-1受容体作動薬含有製剤およびGIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチドの添付文書について、改訂を指示した。改訂内容は、『重要な基本的注意』の項への「胆石症、胆嚢炎、胆管炎または胆汁うっ滞性黄疸に関する注意」の追記(チルゼパチドは「急性胆道系疾患に関する注意」からの変更)、『重大な副作用』の項への「胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸」の追加である。本改訂は、GLP-1受容体作動薬含有製剤投与後に発生した「胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸」の国内症例の評価、GLP-1受容体作動薬と急性胆道系疾患との関連性を論じた公表文献の評価に基づくもの。なお、チルゼパチドについては関連する症例集積はないものの、GLP-1受容体に対するアゴニスト作用を有しており、GLP-1受容体作動薬と同様の副作用が生じる可能性が否定できないことから、使用上の注意の改訂が適切と判断された。『重要な基本的注意』が新設・変更<新設>リラグルチド(遺伝子組換え)、エキセナチド、リキシセナチド、デュラグルチド(遺伝子組換え)、セマグルチド(遺伝子組換え)、インスリン デグルデク(遺伝子組換え)/リラグルチド(遺伝子組換え)、インスリン グラルギン(遺伝子組換え)/リキシセナチド<変更>チルゼパチド 改訂後の添付文書において追加された記載、変更後の記載は以下のとおり。8. 重要な基本的注意 胆石症、胆嚢炎、胆管炎又は胆汁うっ滞性黄疸が発現するおそれがあるので、腹痛等の腹部症状がみられた場合には、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮するなど、適切に対応すること。『重大な副作用』が新設 該当医薬品は、リラグルチド(遺伝子組換え)、エキセナチド、リキシセナチド、デュラグルチド(遺伝子組換え)、セマグルチド(遺伝子組換え)、インスリン デグルデク(遺伝子組換え)/リラグルチド(遺伝子組換え)、インスリン グラルギン(遺伝子組換え)/リキシセナチド、チルゼパチド。 改訂後の添付文書において追加された記載は以下のとおり。11. 副作用11.1 重大な副作用胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸「急性胆道系疾患関連症例」*の国内症例の集積状況(1)13例[うち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例8例](2)、(5)3例[うち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例1例](3)4例[うち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例1例](4)23例[うち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例6例](6)、(7)1例[うち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例0例](8)0例いずれも死亡例はなかった。(1)リラグルチド(遺伝子組換え)[販売名:ビクトーザ皮下注18mg](2)エキセナチド[販売名:バイエッタ皮下注5/10μgペン300、ビデュリオン皮下注用 2mgペン](3)リキシセナチド[販売名:リキスミア皮下注300μg](4)デュラグルチド(遺伝子組換え)[販売名:トルリシティ皮下注0.75mgアテオス](5)セマグルチド(遺伝子組換え)[販売名:オゼンピック皮下注0.25/0.5/1.0mgSD、同皮下注2mg、リベルサス錠3/7/14mg](6)インスリン デグルデク(遺伝子組換え)/リラグルチド(遺伝子組換え)[販売名:ゾルトファイ配合注フレックスタッチ](7)インスリン グラルギン(遺伝子組換え)/リキシセナチド[販売名:ソリクア配合注ソロスター](8)チルゼパチド[販売名:マンジャロ皮下注2.5/5/7.5/10/12.5/15mgアテオス]*:医薬品医療機器総合機構における副作用等報告データベースに登録された症例タゾバクタム・ピペラシリン水和物にも『重大な副作用』が新設 同日、タゾバクタム・ピペラシリン水和物の添付文書についても改訂が指示され、『重大な副作用』の項へ「血球貪食性リンパ組織球症(血球貪食症候群)」が追加された。改訂後の添付文書に追加された記載は以下のとおり。<旧記載要領>4. 副作用(1)重大な副作用(頻度不明)11)血球貪食性リンパ組織球症(血球貪食症候群)血球貪食性リンパ組織球症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、発疹、神経症状、脾腫、リンパ節腫脹、血球減少、LDH上昇、高フェリチン血症、高トリグリセリド血症、肝機能障害、血液凝固障害等の異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。<新記載要領>11. 副作用11.1 重大な副作用11.1.11 血球貪食性リンパ組織球症(血球貪食症候群)(頻度不明)発熱、発疹、神経症状、脾腫、リンパ節腫脹、血球減少、LDH上昇、高フェリチン血症、高トリグリセリド血症、肝機能障害、血液凝固障害等の異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

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敗血症-感染症と臓器障害への対応

敗血症のさまざまな病態に対応できる実践力をつける1冊!敗血症の原因となるさまざまな細菌やウイルスなどによる感染症の管理と、敗血症性ショックや急性腎障害などの臓器障害の管理について解説。抗菌薬のTDM、血液浄化法などの敗血症を管理するための工夫を取り上げ、「日本版敗血症診療ガイドライン」やCOVID-19についても盛り込んだ。本書の特長として(1)集中治療の現場で対応が求められる急性期の病態を中心に取り上げ、実際の診療をサポート。(2)写真・イラスト・フローチャート・表を多用し、視覚的にも理解しやすく構成。(3)ポイントを簡潔かつ具体的に提示。(4)関連する診療ガイドラインの動向を踏まえた内容。(5)最近の傾向、最新のエビデンスに関する情報もわかりやすく解説。(6)専門医からのアドバイスや注意点などを適宜コラムで紹介。(7)サイドノートや補足情報も充実。が挙げられる。敗血症をより深く理解して、敗血症による臓器障害を早期発見し重症化させない、これからの敗血症診療を見据える1冊。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する敗血症-感染症と臓器障害への対応シリーズ名 救急・集中治療アドバンス定価13,200円(税込)判型B5判頁数512頁発行2023年1月専門編集松田 直之(名古屋大学)ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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短腸症候群患者の声は社会に届いているか/武田

 社会にはなかなか認知されていない希少疾病や難病も多く「短腸症候群」もその1つである。本症は指定難病ではないが、小児から成人まで患者層は幅広く、患者のQOLにも大きな負担をもたらしている。武田薬品工業は「短腸症候群(SBS)を知っていますか?」をテーマにメディアセミナーを開催した。 セミナーでは、前半でSBSの病態や診療と治療について説明するとともに、後半では患者のリアルな声が届けられた。成人でもSBSになる はじめに「短腸症候群の特徴」をテーマに千葉 正博氏(昭和大学薬学部臨床薬学講座臨床栄養代謝学部門 教授/同病院外科学講座小児外科学部門兼担)が、疾患概要を説明した。 SBSとは「生まれつき、あるいは生活する中で腸が通常より短くなった方々」とされ、明確な学術的な定義がない。通常、小腸は成人で約6m(小児で約2m)ほどあるが、わが国では(1)小腸の75%以上切除、(2)成人1.5m未満(小児75cm未満)、(3)静脈栄養から離脱困難のうち1つでも該当する患者をSBSと診断している。 SBSで問題となるのは、毎日の食事制限や必要な栄養の摂取ができないことと、吸収不良による排便回数の多さである(下痢便になる)。また、この状態が長期に及ぶことで患者の心理社会的な負担や慢性疲労、QOLの低下などがある。そして、身体的には腸管不全関連肝障害やカテーテル関連血流感染症を合併するリスクも指摘されている。 患者を苦しめるのは、日々の食事制限であり、もし食べすぎた場合、消化・吸収不良に容易になってしまうことである。腸蠕動が亢進することで腸液分泌も亢進する。そして、腸粘膜が荒れることで吸収障害がさらに悪化し、負のスパイラルに陥る懸念がある。 その一方で、腸には自己修復能力(馴化)があることも知られ、小腸の維持・再生には腸管栄養素、GLP-1などの消化管ホルモン、EGFなどの血液関与ホルモンの3要素をいかに関与させて成長を促すかが保存的療法のカギとなる。 保存的治療では、十二指腸、空腸、回腸、結腸など残存部位により消化吸収できる糖、ビタミン、ナトリウムなどに違いがあるため、理解しておく必要がある。例えば、ほぼ十二指腸しか残存していない場合、ビタミンB12や胆汁酸の吸収はむずかしく、中心静脈カテーテルなどでの栄養補給を行う必要がでてくる。 注意すべきこととして中心静脈カテーテルは、腸が弱っている腸管機能不全の患者では、腸壁に腸内細菌が入り込むことで、敗血症などを容易に起こすので、可能な限り早く腸管を強く育てることが重要となる。 SBSの治療は1960年代後半に中心静脈栄養法が開発され、以降、腸管延長手術、そして、2000年代の内科治療と着実に進化している。そして、治療では、変化がみえるまで非常に長い時間がかかることを踏まえ、「ある程度先を予想し、先手を打ちつつ、限界を見極めた管理を行うこと」で患者を見守ってもらいたいと同氏は語り、レクチャーを終えた。自分の病気と体調を周りに話すことが大事 後半では、SBSの患者3人と千葉氏が登壇し、患者側からみた疾患への悩みや医療者、行政への要望などのトークセッションが行われた。 登壇した患者の発症背景もさまざまで、新生児としてすでにSBSの患者や10代で腸管壊死を来しSBSに進展した患者、30代でクローン病から腸切除を受けSBSとなった患者がセッションに参加し、生活面で旅行や学校・職場の行事に参加できない悩みや人工肛門での苦労などが語られた。 周囲のサポートで患者が期待することでは、体力がないので患者にできないことがあること、毎日点滴が必要なこと、トイレの回数が多いことなど理解して欲しいと希望を述べた。また、周囲に自分の病気を隠すことなく伝える重要性、自分の状態の様子を伝えることで周囲のサポートが得られた実情などが語られた。 最後に患者からは「新しい薬や治療法に期待している一方で完治する疾患ではないので、ポジティブに病気と向かい合っていきたい」、「国の支援では制度からこぼれている患者もいる、情報をどう届けるのかが課題」、「患者の雇用が進んでいないのが問題だし、ストーマの支援や助成が患者の要望と合っていない問題もある」などの声が聞かれ、トークセッションを終えた。

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週1回のrezafungin、侵襲性カンジダ症治療に有望/Lancet

 カンジダ血症または侵襲性カンジダ症の成人患者の治療において、週1回投与の次世代エキノカンジン系抗真菌薬rezafunginは、2つの有効性の主要評価項目について、毎日1回投与のカスポファンギンに対し非劣性であることが、米国・カリフォルニア大学デービス校医療センターのGeorge R. Thompson III氏らが実施した「ReSTORE試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年11月25日号で報告された。15ヵ国の無作為化非劣性試験 ReSTORE試験は、15ヵ国66施設が参加した多施設共同二重盲検ダブルダミー無作為化非劣性第III相試験であり、2018年10月~2021年8月の期間に患者のスクリーニングが行われた(Cidara TherapeuticsとMundipharmaの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、カンジダ血症または侵襲性カンジダ症に起因する感染症の全身性の徴候(発熱、低体温、低血圧、頻脈、頻呼吸)が認められ、真菌学的に血液または通常は無菌と考えられる部位の検体からカンジダ血症または侵襲性カンジダ症と確定された患者であった。 被験者は、rezafungin(1週目に400mg、2週目以降は200mg、2~4回投与)を週1回(残りの6日はプラセボを投与)、またはカスポファンギン(1日目に負荷投与量70mg、2日目以降は50mg)を毎日1回、いずれも最長4週間、静脈内投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。 有効性の主要評価項目は2つで、(1)14日の時点での欧州医薬品庁(EMA)の総合的治癒(臨床的治癒、画像的治癒、真菌学的消失)、(2)30日の時点での米国食品医薬品局(FDA)の全死因死亡(死亡または生死不明)とされ、いずれも非劣性マージンは20%であった。安全性も両群で同程度 199例が登録され、rezafungin群に100例、カスポファンギン群に99例が無作為に割り付けられた。全体の平均年齢は61(SD 15.2)歳、女性が41%であった。 EMAの主要評価項目である14日時の総合的治癒は、rezafungin群が93例中55例(59%)、カスポファンギン群は94例中57例(61%)で達成された(重み付け群間差:-1.1%、95%信頼区間[CI]:-14.9~12.7)。 また、FDAの主要評価項目である30日時の全死因死亡は、rezafungin群が93例中22例(24%)、カスポファンギン群は94例中20例(21%)であった(群間差:2.4%、95%CI:-9.7~14.4)。 総合的治癒は群間差の95%CI下限値が-20%より大きく、全死因死亡は群間差の95%CI上限値が20%より小さかったことから、いずれもrezafungin群のカスポファンギン群に対する非劣性が示された。 試験期間中に少なくとも1件の有害事象が、rezafungin群の98例中89例(91%)、カスポファンギン群の98例中83例(85%)で発現した。いずれかの群で5%以上の頻度で発現した有害事象のうちrezafungin群で高頻度であったのは、発熱(rezafungin群14%、カスポファンギン群5%)、低カリウム血症(13%、9%)、肺炎(10%、3%)、敗血症性ショック(10%、9%)、貧血(9%、9%)であった。重篤な有害事象は、それぞれ55例(56%)および52例(53%)で認められた。 著者は、「安全で有効な週1回投与のエキノカンジン系抗真菌薬が使用可能になれば、投与回数が減少することで、カテーテル留置の必要性やその関連費用が削減され、カテーテル関連の有害な転帰が減少する可能性がある」としている。

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黄色ブ菌、大腸菌などの感染症関連死は依然多い/Lancet

 2019年の世界の感染症関連死は推定1,370万人で、うち黄色ブドウ球菌、大腸菌など33の細菌属・種が原因の死亡は770万人だった。また、同細菌による年齢標準化死亡率はサハラ以南アフリカのスーパーリージョンで最も高かった。米国・ワシントン大学のMohsen Naghavi氏ら、薬剤耐性の世界疾病負担(Global Burden of Antimicrobial Resistance)に関する研究グループ「GBD 2019 Antimicrobial Resistance Collaborators」が解析結果を報告した。先行研究により、薬剤耐性感染症と敗血症関連の死亡数が推定され、感染症が依然として世界の主要な死因を占めることが明らかになっている。公衆衛生上の最大の脅威を特定するためには、一般的な細菌(抗菌薬への耐性あり/なしの両者を含む)の世界的負荷を理解することが求められている中、本検討は、33の細菌属・種による11の重大感染症と関連する死亡について世界的な推算値を求めた初となる研究で、Lancet誌オンライン版2022年11月18日号で発表された。204の国と地域の33の細菌属・種による死亡数を推定 研究グループは、世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)2019のメソッドと、薬剤耐性の世界疾病負担2019で記述されている特定条件を満たした部分集合データを用いて、2019年に発生した33の細菌属・種による11の感染症に関連する死亡数を推算した。本検討には、1万1,361調査地域年にわたる3億4,300万人の記録と分離株が包含された。 各病原体に関連した死亡数を3段階モデル(感染による死亡、感染症に起因する死亡のうち特定の感染症による死亡割合、感染症に起因する死亡のうち特定の病原体による死亡割合)を用いて推定した。推定値は、2019年における204の国と地域、全年齢、男女について算出。標準的なGBDメソッドに従って、対象の各数量の事後分布から1,000の2.5パーセンタイルと97.5パーセンタイルを抽出し、33の細菌属・種に関連する死亡と感染の最終推定値について95%不確実性区間(UI)を算出した。33細菌属・種の関連死、世界全死亡の約14% 2019年の感染症関連死は推定1,370万人(95%UI:1,090万~1,710万)で、そのうち33の細菌属・種(抗菌薬への耐性あり/なしの両者を含む)による11の感染症関連死は、770万人(570万~1,020万)だった。 2019年の33細菌属・種の関連死は、世界全死亡の13.6%(95%UI:10.2~18.1)を占め、敗血症関連の全死亡の56.2%(52.1~60.1)を占めると推定された。なかでも黄色ブドウ球菌、大腸菌、肺炎球菌、肺炎桿菌、緑膿菌の5種の病原菌が、調査対象とした細菌による死因の54.9%(52.9~56.9)を占めた。 死因となった感染症や病原菌は、地域や年齢により異なった。また、調査対象細菌による年齢標準化死亡率は、サハラ以南アフリカのスーパーリージョンで最も高く230人/10万人(95%UI:185~285)だった一方、高所得のスーパーリージョンで最も低く52.2人/10万人(37.4~71.5)だった。 黄色ブドウ球菌は、135ヵ国において細菌による死亡の最大の原因で、また、世界的にみて15歳超で最も多く死亡と関連していた。5歳未満の小児では、肺炎球菌が細菌による死亡の最大の原因だった。 2019年に、600万人以上が3種の細菌感染症で死亡しており、200万人超が死亡した感染症は下気道感染症(400万人)と血流感染症(291万人)の2種で、100万人超の死亡は腹膜・腹腔内感染症(128万人)によるものだった。 著者は、「今回調査した33細菌属・種は、世界的な健康ロスの実質的な原因であるが、感染症や地域によって分布にかなりのばらつきがあった。GBDレベル3の根本的な死因と比較すると、これら細菌関連死は2019年の世界で2番目に多い死因に分類される」と述べ、国際保健コミュニティで緊急に介入を優先すべき事項とみなすべきで、対応戦略として、感染予防、抗菌薬の最適使用、微生物学的分析能力の改善、ワクチン開発・改良、利用可能なワクチンのより広範な使用などを提言している。

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大腸手術前の予防的抗菌薬、経口・静注併用で手術部位感染減少/BMJ

 大腸手術を受ける患者では、予防的な抗菌薬の静脈内投与と経口投与の併用により手術部位感染が低下することが、最近の研究で示唆されている。フランス・Centre Hospitalier Universitaire de Clermont-FerrandのEmmanuel Futier氏らは、「COMBINE試験」において、待機的大腸手術を受ける成人患者では、術前に抗菌薬静脈内投与に加え経口ornidazoleの1g用量を単回投与すると、プラセボと比較して術後の手術部位感染が有意に減少し、術後の重度合併症も少ないことを示した。研究の成果は、BMJ誌2022年11月3日号に掲載された。フランスの無作為化プラセボ対照試験 COMBINE試験は、フランスの11施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照試験であり、2016年5月~2019年8月の期間に患者の登録が行われた(フランス保健省の助成を受けた)。 対象は、待機的に腹腔鏡または開腹による大腸手術を受ける成人患者であった。被験者は、術前の抗菌薬静脈内投与による感染予防処置の補助として手術の12時間前に、経口ornidazole 1gを単回投与する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、術後30日以内に手術部位感染(表層切開創、深部切開層、臓器/体腔)を発症した患者の割合とされた。副次アウトカムは、術後30日以内の手術部位感染の個々の感染の種類および重度の術後合併症(Clavien-Dindo分類のGrade3以上)などであった。縫合不全、敗血症/敗血症性ショックも低下 926例(平均年齢63歳、男性60%)が解析に含まれた。ornidazole群が463例、プラセボ群も463例だった。64%が結腸切除術、36%が直腸切除術を受け、74%は腹腔鏡手術だった。 術後30日以内の手術部位感染は、ornidazole群が463例中60例(13.0%)で発生し、プラセボ群の463例中100例(21.6%)に比べ有意に少なかった(絶対群間差:-8.6%[95%信頼区間[CI]:-13.5~-3.8]、相対リスク:0.60[95%CI:0.45~0.80]、p=0.001)。 手術部位感染のうち、深部切開層感染(4.8% vs.8.0%、絶対群間差:-3.2%[95%CI:-6.4~-0.1、相対リスク:0.54[95%CI:0.31~0.92]、p=0.03)と、臓器/体腔感染(5.0% vs.8.4%、-3.4%[-6.7~-0.2]、0.53[0.31~0.91]、p=0.02)はornidazole群で患者の割合が有意に低かったが、表層切開創感染(3.2% vs.5.2%、p=0.09)は両群間に有意な差は認められなかった。 術後30日以内の重度合併症(9.1% vs.13.6%、絶対群間差:-4.5%[95%CI:-8.6~-0.5]、相対リスク:0.63[95%CI:0.41~0.97]、p=0.03)もornidazole群で少なく、術後縫合不全(4.8% vs.8.0%、相対リスク:0.59[95%CI:0.36~0.99]、p=0.046)や、敗血症/敗血症性ショック(5.6% vs.9.1%、0.62[0.39~0.99]、p=0.046)にも臨床的に意義のある差がみられた。 死亡には差がなかった(30日時:0.4%[2例]vs.1.1%[5例]、p=0.27、90日時:1.1%[5例]vs.2.2%[10例]、p=0.20)。また、試験薬による重篤な有害事象は両群とも報告がなかった。 著者は、「これらの知見により、予防的経口抗菌薬投与の効果は、主に深部切開層感染と臓器/体腔感染の発生率の低減に起因すると示唆された」としている。

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この仕事量はミッション・インポッシブル!? 1年目フェローだけの24時間オンコール【臨床留学通信 from NY】第35回

第35回:この仕事量はミッション・インポッシブル!? 1年目フェローだけの24時間オンコールさて、前回までは講義やローテーションの仕組みの概要を説明いたしました。今回からもっと実務的な内容をご紹介したいと思います。その中でも、24時間当直について説明したいと思います。米国では、医学教育プログラムのトレーニング内容は施設によって差はありますが、ACGME(Accreditation Council for Graduate Medical Education、米国卒後医学教育認定評議会)という団体が、内科レジデントや、循環器フェローなど、各教育プログラムをおおむね管理しており、施設の大きさや教育の仕組みなどによって、病院が雇えるレジデント、フェローに制限を設けています。全米でのフェローの枠が一定数に決まっているため、内科の中でも人気のある循環器フェローには、希望者の6割程度の人しか進むことができません。さらにACGMEは、当直したその次の日に働くことを原則禁止しており、24時間を最大の連続勤務時間とし、週80時間を最大勤務時間としています。抜け道として、自宅待機で電話でのオンコール対応をメインとしている病院のフェローは、次の日も働かなければならないようです。それはさておき、そのような時間制限が可能なのは、豊富な数のレジデントないしフェローがいるからなのです。日本より楽!?と思うかもしれませんが、やはりここはアメリカ。日本の忙しい病院で寝る暇もなく夜通し働いて、次の日も通常の8時間、いや12時間勤務、ということまでは確かにありません。しかし、瞬間的に裁く仕事量は日本より多く、物理的にほぼ不可能な量(医療ミスが起きてもおかしくないレベル)の処理をしなければならないこともあります。私は卒後10年以上経っていて、医学的判断に問題はないといっても、瞬間的な量が一気に降りかかってしまう時のストレスは、日本の時以上です。しかも英語ということで、疲れも倍増している気がします。24時間オンコールについて、具体的に説明します。土曜から日曜の勤務の場合、朝7時半に病院に来て、その前の晩に泊まっていたオンコールフェローから引き継ぎを受けます。そして、CCUの12人の患者のラウンドが8時半から2~3時間ほどあり、必要な中心静脈カテーテルやスワンガンツカテーテルを入れるのはフェローの仕事です。さらには、病院の中のすべてのコンサルテーションを一手に引き受けます。胸痛があってトロポニンが陽性なら循環器内科の介入が必要で、コンサルテーションは妥当だとわかりますが、敗血症に伴ったトロポニン陽性で、大した介入が必要でない人もいます。介入が不要な患者でもコンサルテーションしてくるのは、訴訟対策のためかもしれません。一方で、不整脈や心不全のサブスペシャリティもカバーしなければならず、ICD(植込み型除細動器)の誤作動、頸静脈ペーシングが必要な人への対応や、LVAD(左室補助ポンプ)のトラブルや、移植後の拒絶反応への対応などさまざまです。そのような対応が1日平均で15~20件あり、STEMI(ST上昇型心筋梗塞)が来たらその判断をして、STEMIチームを始動することなどもフェローの仕事です。正直、アメリカのレジデントを終わりたてのフェロー1年目には手に負えるわけもなく(多くは中心静脈カテーテルを数回入れたかどうかの経験です)、2~3年目フェローのバックアップや、それぞれの分野の指導医に電話で指示を仰ぎながら、なんとかこなしていくことで経験を積んでいきます。経験の浅い1年目フェローに経験を積ませることが目的だとしても、1年目フェローしかいない最も大変な土日の24時間オンコールは、ちょっと野蛮な仕組みではないかな、と思う次第です。Column画像を拡大する祝日を利用して、2泊3日で同じニューヨーク州のナイアガラの滝に行ってきました。手前がアメリカ滝、奥がカナダ滝、対岸がカナダです。きれいに2本の虹がかかっていました。同じ州といってもマンハッタンから650kmほど離れているので、車で7時間ほどかかりました。カメラはLeica M9を使用しています。

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liso-cel、再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫の2次治療に有効か?/Lancet

 早期再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の2次治療において、CD19を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel)は従来の標準治療と比較して、無イベント生存期間を約8ヵ月延長することが、米国・コロラド大学がんセンターのManali Kamdar氏らが進めている「TRANSFORM試験」の中間解析で示された。安全性に関する新たな懸念は認めなかったという。研究の成果は、Lancet誌2022年6月18日号に掲載された。47施設の無作為化第III相試験の中間解析 TRANSFORMは、再発・難治性LBCLの2次治療におけるliso-celの有効性と安全性の評価を目的とする非盲検無作為化第III相試験であり、2018年10月23日~2020年12月8日の期間に、米国、欧州、日本の47施設で参加者のスクリーニングが行われた(CelgeneとBristol-Myers Squibb Companyの助成を受けた)。この試験は進行中で、今回は中間解析の結果が報告された。 対象は、年齢18~75歳、1次治療に抵抗性、またはアンスラサイクリン系薬剤と抗CD20モノクローナル抗体を含む1次治療で初回奏効が得られてから12ヵ月以内に再発したLBCLで、全身状態の指標であるEastern Cooperative Oncology Group performance status(ECOG PS)のスコアが0または1、自家造血幹細胞移植(HSCT)の適応があり、Lugano基準(2014年)でPET陽性の病変を有する患者であった。 被験者は、liso-celの投与群または標準治療を受ける群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。liso-cel群は、リンパ球除去化学療法(フルダラビン+シクロホスファミド)を3日間受けたのち、総用量100×106 CAR+T細胞を目標に、CD8+とCD4+のCAR+T細胞を2回連続で静脈内投与された。 標準治療群は、救援免疫化学療法として、担当医の裁量でR-DHAP(リツキシマブ+デキサメタゾン+シタラビン+シスプラチン)、R-ICE(リツキシマブ+イホスファミド+エトポシド+カルボプラチン)、R-GDP(リツキシマブ+デキサメタゾン+ゲムシタビン+シスプラチン)のうちいずれか1つを3サイクル施行され、このうち奏効(完全奏効、部分奏効)が得られた患者が、大量化学療法(カルムスチン+エトポシド+シタラビン+メルファラン)を1サイクルと自家HSCTを受けた。 主要エンドポイント、は無イベント生存期間とされた。奏効の評価は、独立の審査委員会がLugano基準(2014年)を用いて行った。完全奏効割合や無増悪生存期間も良好 184例が登録され、liso-cel群に92例(年齢中央値60歳[IQR:53.5~67.5]、女性52%)、標準治療群にも92例(58.0歳[42.0~65.0]、34%)が割り付けられた。多くの患者(160例[87%])が、びまん性LBCL(DLBCL)(DLBCL-NOSまたは濾胞性リンパ腫からの形質転換が117例[64%])あるいは高悪性度B細胞リンパ腫(43例[23%])であり、135例(73%)は1次治療に抵抗性、61例(33%)は65歳以上で、73例(40%)はsAAIPI≧2であった。追跡期間中央値は6.2ヵ月(IQR:4.4~11.5)だった。 無イベント生存期間中央値は、liso-cel群が10.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:6.1~未到達)と、標準治療群の2.3ヵ月(2.2~4.3)に比べ有意に改善された(層別ハザード比:0.35、95%CI:0.23~0.53、層別Cox比例ハザードモデルの片側検定のp<0.0001)。 完全奏効割合(66% vs.39%、p<0.0001)、無増悪生存期間中央値(14.8ヵ月vs.5.7ヵ月、p=0.0001)、全生存期間中央値(未到達vs.16.4ヵ月、p=0.026)は、いずれもliso-cel群で良好であった。 最も頻度の高いGrade3以上の有害事象は、好中球数減少(liso-cel群80%[74/92例]vs.標準治療群51%[46/91例])、貧血(49%[45例]vs.49%[45例])、血小板減少(49%[45例]vs. 64%[58例])、遷延性血球減少(43%[40例]vs.3%[3例])であった。liso-cel群で、とくに注目すべき有害事象として、CAR-T細胞療法関連のGrade3のサイトカイン放出症候群が1%(1例)、神経学的事象が4%(4例)で発現した(Grade4、5は認めなかった)。 試験薬投与下の有害事象(無作為化の日から最終投与後90日までに発現または悪化した有害事象)のうち重篤な事象は、liso-cel群で48%(44例)、標準治療群で48%(44例)に認められた。2次治療におけるliso-celの安全性に関する新たな懸念は確認されなかった。また、治療関連死は、liso-cel群ではみられず、標準治療群では1例(敗血症)で認められた。 著者は、「これらの結果は、早期再発または難治性のLBCL患者における、新たな2次治療の推奨レジメンとして、liso-celを支持するものである」としている。

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ICUでのビタミンC投与は敗血症に有効か/NEJM

 敗血症では、ビタミンC投与による抗酸化作用が酸化ストレスによる組織障害を軽減すると考えられているが、集中治療室(ICU)で昇圧薬治療を受けている敗血症の成人患者への、ビタミンC静脈内投与を評価した先行研究の結果は、相反するものだという。カナダ・シャーブルック大学のFrancois Lamontagne氏らは今回「LOVIT試験」において、ICUでの敗血症患者へのビタミンC投与はプラセボと比較して、28日の時点での死亡または持続的な臓器障害のリスクが有意に高いという、予想外の結果を確認した。研究の詳細は、NEJM誌2022年6月23日号で報告された。3ヵ国35のICUで、プラセボ対照無作為化第III相試験 LOVIT試験は、ICUで昇圧薬治療を受けている敗血症の成人患者への高用量ビタミンC投与の有効性の評価を目的とする多施設共同プラセボ対照無作為化第III相試験であり、2018年11月~2021年7月の期間に、3ヵ国(カナダ、フランス、ニュージーランド)の35ヵ所のICUで参加者の登録が行われた(カナダ・Lotte and John Hecht記念財団の助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、ICU入室から24時間以内で、主診断として感染症が証明または疑われ、昇圧薬の投与を受けている患者であった。被験者は、最長96時間にわたり6時間ごとに1回30~60分でビタミンC(50mg/kg)またはプラセボの静脈内投与を受ける群(すなわち200mg/kg/日、最大16回)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、28日の時点における死亡または持続的な臓器障害(昇圧薬、侵襲的人工呼吸器、腎代替療法の使用と定義)の複合とされた。主要アウトカム:44.5% vs.38.5% 863例が主解析の対象となり、ビタミンC群が429例(平均[±SD]年齢65.0±14.0歳、女性35.2%)、プラセボ群は434例(同意前に無作為化され、同意前に死亡した1例を除く433例で、65.2±13.8歳、40.0%)であった。全体の96.7%の患者が、予定された用量の90%以上の投与を受け、入室期間中央値は6日(IQR:3~12)、入院期間中央値は16日(IQR:8~32)だった。ICU入室中に併用された介入や生命維持療法の使用状況や期間は両群で同程度であった。 試験開始から28日の時点での複合アウトカム(死亡または持続的な臓器障害)の発現は、ビタミンC群が429例中191例(44.5%)で認められ、プラセボ群の434例中167例(38.5%)と比較して、リスクが有意に高かった(リスク比:1.21、95%信頼区間[CI]:1.04~1.40、p=0.01)。 複合アウトカムの個々の構成要素については、28日時点の死亡はビタミンC群が429例中152例(35.4%)、プラセボ群は434例中137例(31.6%)で発生し(リスク比:1.17、95%CI:0.98~1.40)、持続的な臓器障害はそれぞれ429例中39例(9.1%)および434例中30例(6.9%)でみられた(リスク比:1.30、95%CI:0.83~2.05)。 また、臓器障害スコア、バイオマーカー(組織低酸素症、炎症、血管内皮細胞傷害)、6ヵ月生存率、健康関連の生活の質(6ヵ月時のEQ-5D-5Lスコア)、ステージ3の急性腎障害、低血糖の発現に関しては、両群でほぼ同様であった。 事前に規定された安全性のアウトカムに、重大な群間差はなかった。有害事象は、ビタミンC群で4件、プラセボ群で1件みられた。ビタミンC群では、重篤なアナフィラキシーと重症低血糖が1例ずつ発現した。 著者は、「これらは予想外の知見であり、7日目までに測定された5つのバイオマーカーの評価を含む2次解析では、有害性について推定されるメカニズムは確認されなかった」としている。

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心原性ショックへの体外式膜型人工肺、低体温管理は死亡率を改善せず /JAMA

 難治性心原性ショックに対し静脈-動脈方式の体外式膜型人工肺(VA-ECMO)を導入した患者において、早期に24時間中等度低体温(33~34度)管理を行っても正常体温(36~37度)管理と比較し、生存率は改善しなかった。フランス・CHRU NancyのBruno Levy氏らが、同国の20施設で実施した無作為化臨床試験「Hypothermia During ECMO trial:HYPO-ECMO試験」の結果を報告した。標準治療と標準治療+ECMOを比較した無作為化臨床試験はないにもかかわらず、難治性心原性ショックの管理におけるECMOの使用が世界的に増加しているが、心原性ショック時のVA-ECMOの最適な方法は不明であった。今回の結果について著者は、「95%信頼区間(CI)が広く、臨床的に重要な差が存在する可能性もあり、今回の結果で結論付けるべきではないと考えられる」との見解を示した。JAMA誌2022年2月1日号掲載の報告。VA-ECMO導入後6時間未満の患者で、24時間低体温管理vs.正常体温管理 研究グループは、2016年10月~2019年7月の期間に、心原性ショックに対してVA-ECMOを導入後6時間未満の適格患者374例を、24時間中等度低体温(33~34度)管理群(168例)または厳格な正常体温(36~37度)管理群(166例)に割り付けた。最終追跡調査年月は2019年11月であった。 主要評価項目は30日死亡。副次評価項目は、7日・60日・180日死亡、30日・60日・180日時点の死亡/心臓移植/左室補助人工心臓植込みへの移行/脳卒中の複合アウトカム、30日・60日・180日時点での人工呼吸器または腎代替療法を必要としない日数などを含む31項目であった。有害事象の評価には、重度出血、敗血症、VA-ECMO導入中の赤血球輸血単位数なども含まれた。30日死亡率は42% vs.51%で有意差なし 無作為化された374例のうち、334例(平均[±SD]年齢58±12歳、女性24%)が試験を完遂し、主要解析に組み込まれた。 30日死亡は、低体温管理群で71例(42%)、正常体温管理群で84例(51%)に認められ、補正後オッズ比(OR)は0.71(95%CI:0.45~1.13、p=0.15)、リスク差は-8.3%(95%CI:-16.3~-0.3)であった。また、30日時点の複合アウトカムの補正後ORは0.61(95%CI:0.39~0.96、p=0.03)、リスク差は-11.5%(95%CI:-23.2%~0.2%)であった。 31の副次評価項目のうち、30項目については両群間で有意差はみられなかった。 有害事象の発現率は、中等度または重度出血が低体温管理群41%、正常体温管理群42%、感染症が両群ともに52%、菌血症がそれぞれ20%および30%であった。

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コロナ流行開始以降、小児の感染症による入院・死亡が減少/BMJ

 イングランドの小児では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行の発生以降、重度の侵襲性感染症や呼吸器感染症、ワクチンで予防可能な感染症による入院が大幅かつ持続的に減少し、このうち敗血症や髄膜炎、細気管支炎、肺炎、ウイルス性喘鳴、上気道感染症による入院から60日以内の死亡数も減少したことが、英国・オックスフォード大学のSeilesh Kadambari氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2022年1月12日号で報告された。イングランドの0~14歳の観察研究 本研究は、イングランドにおける小児の呼吸器感染症、重度の侵襲性感染症、ワクチンで予防可能な感染症による、入院および死亡に及ぼしたCOVID-19の世界的大流行の影響の評価を目的とする住民ベースの観察研究である(Office for Health Improvement and Disparitiesなどの助成を受けた)。 研究グループは、イングランドのすべての国民保健サービス(NHS)病院から、2017年3月1日~2021年6月30日の期間における0~14歳の小児の入院データを入手し、全国的な死亡データと関連付けた。19種の感染症(重度の侵襲性感染症6種、呼吸器感染症8種、ワクチンで予防可能な感染症5種)について、COVID-19の世界的大流行の発生前後で、入院率および死亡転帰を比較した。 個々の感染症について、毎月の入院数、2020年3月1日の前後での入院数の変化率、同日前後での60日死亡率の補正後オッズ比(OR)を算出した。インフルエンザ入院が94%、麻疹入院が90%減少 2020年3月1日以降の12ヵ月間に、それ以前の36ヵ月間と比較して、腎盂腎炎を除く18種の感染症で、入院数の顕著な減少が認められた。 呼吸器感染症では、インフルエンザによる入院の減少率が最も高く、平均年間入院数は2017年3月1日~2020年2月29日に5,379件であったのに対し、2020年3月1日~2021年2月28日には304件となり、減少率は94%(95%信頼区間[CI]:89~97)に達した。次いで同期間の入院は、細気管支炎が5万1,655件から9,423件へと82%(79~84)減少し、続いてクループ(減少率78%、95%CI:65~87)、中耳炎(74%、71~77)の順であった。 重度の侵襲性感染症による入院の減少率は、髄膜炎(減少率50%、95%CI:47~52)が最も高く、次いで蜂巣炎(43%、39~48)、感染性関節炎(35%、28~41)、敗血症(33%、30~36)の順であった。また、ワクチンで予防可能な感染症による入院の減少率は、流行性耳下腺炎(ムンプス)の53%(95%CI:32~68)から麻疹の90%(80~95)までの幅がみられた。 このようなCOVID-19以外の感染症による入院の減少は、すべての人口統計学的サブグループと基礎疾患を有する小児で確認された。 6つの感染性疾患(敗血症、髄膜炎、細気管支炎、肺炎、ウイルス性喘鳴、上気道感染症)では、入院数の減少に伴い60日死亡数も減少した。ただし、肺炎については、60日の絶対死亡数は減少したが(2017~20年の3年の年間平均193件、2020年3月1日以降156件)、入院から60日以内の死亡率は2020年3月1日以降に増加していた(年齢・性別で補正したOR:1.73、95%CI:1.42~2.11、p<0.001)。 著者は、「COVID-19の世界的大流行期に、SARS-CoV-2感染を抑制するために多様な行動変容(非薬物的介入)や社会的施策(学校閉鎖、都市封鎖、旅行制限)が採択され、これが小児の一般的な感染症や重篤な感染症をも低下させたと考えられる。社会的制約の進展とともに、これらの感染症の持続的なモニタリングが求められる」としている。

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咳嗽も侮れない!主訴の傾聴だけでは救命に至らない一例【Dr.山中の攻める!問診3step】第10回

第10回 咳嗽も侮れない!主訴の傾聴だけでは救命に至らない一例―Key Point―咳は重大な疾患の一つの症状であることがある詳細な問診、咳の持続時間、胸部レントゲン所見から原因疾患を絞り込むことができる慢性咳に対するアプローチを習得しておくと、患者満足度があがる症例:45歳 男性主訴)発熱、咳、発疹現病歴)3週間前、タイのバンコクに出張した。2週間前から発熱あり。10日前に帰国した。1週間前から姿勢を変えると咳がでる。38℃以上の発熱が続くため紹介受診となった。既往歴)とくになし薬剤歴)なし身体所見)体温:38.9℃ 血圧:132/75mmHg 脈拍:88回/分 呼吸回数:18回/分 SpO2:94%(室内気)上背部/上胸部/顔面/頭部/手に皮疹あり(Gottron徴候、機械工の手、ショールサインあり)検査所見)CK:924 IU/L(基準値62~287)経過)胸部CT検査で両側の間質性肺炎ありCK上昇、筋電図所見、皮膚生検、Gottron徴候、機械工の手、ショールサインから皮膚筋炎1)と診断された筋力低下がほとんど見られなかったので、amyopathic dermatomyositis(筋無症候性皮膚筋炎)と考えられるこのタイプには、急性発症し間質性肺炎が急速に進行し予後が悪いことがある2)本症例ではステロイドと免疫抑制剤による治療を行ったが、呼吸症状が急速に悪化し救命することができなかった◆今回おさえておくべき臨床背景はコチラ!急性の咳(<3週間)では致死的疾患を除外することが重要である亜急性期(3~8週間)の咳は気道感染後の気道過敏または後鼻漏が原因であることが多い慢性咳(>8週間)で最も頻度が高い原因は咳喘息である【STEP1】患者の症状に関する理解不足を解消させよう【STEP2】緊急性のある疾患かどうか考えよう咳を伴う緊急性のある疾患心筋梗塞、肺塞栓、肺炎後の心不全悪化重症感染症(重症肺炎、敗血症)気管支喘息の重積肺塞栓症COPD (慢性閉塞性肺疾患)の増悪間質性肺炎咳が急性発症ならば、心血管系のイベントが起こったかをまず考える心筋梗塞や肺塞栓症、肺炎は心不全を悪化させる心筋梗塞や狭心症の既往、糖尿病、高血圧、喫煙、脂質異常症、男性、年齢が虚血性心疾患のリスクとなる3つのグループ(高齢、糖尿病、女性)に属する患者の心筋梗塞は非典型的な症状(息切れ、倦怠感、食欲低下、嘔気/嘔吐、不眠、顎痛)で来院する肺塞栓症のリスクは整形外科や外科手術後、ピル内服、長時間の座位である呼吸器疾患(気管支喘息、COPD、間質性肺炎、結核)の既往に注意するACE阻害薬は20%の患者で内服1~2週間後に咳を起こす【STEP3-1】鑑別診断:胸部レントゲン所見と咳の期間で行う胸部レントゲン写真で肺がん、結核、間質性肺炎を確認する亜急性咳嗽(3~8週間)の原因の多くはウイルスやマイコプラズマによる気道感染である細菌性副鼻腔炎では良くなった症状が再び悪化する(二峰性の経過)。顔面痛、後鼻漏、前かがみでの頭痛増悪を確認する百日咳:咳により誘発される嘔吐とスタッカートレプリーゼが特徴的である2)【STEP3-2】鑑別診断3):慢性咳か否か8週間以上続く慢性咳の原因は咳喘息、上気道咳症候群(後鼻漏症候群)、逆流性食道炎、ACE阻害薬、喫煙が多い上記のいくつかの疾患が合併していることもある咳喘息が慢性咳の原因として最も多い。冷気の吸入、運動、長時間の会話で咳が誘発される。ほかのアレルギー疾患、今までも風邪をひくと咳が長引くことがなかったかどうかを確認する非喘息性好酸球性気管支炎(NAEB:non-asthmatic eosinophilic bronchitis)が慢性咳の原因として注目されている3)上気道咳症候群では鼻汁が刺激になって咳が起こる。鼻咽頭粘膜の敷石状所見や後鼻漏に注意する夜間に増悪する咳なら、上気道咳症候群、逆流性食道炎、心不全を考える【治療】咳に有効な薬は少ないハチミツが有効とのエビデンスがある4)咳喘息:吸入ステロイド+気管支拡張薬上気道咳症候群:アレルギー性鼻炎が原因なら点鼻ステロイド、アレルギー以外の原因なら第一世代抗ヒスタミン薬3)逆流性食道炎:プロトンポンプ阻害薬<参考文献・資料>1)Mukae H, et al. Chest. 2009;136:1341-1347.2)Rutledge RK, et al. N Engl J Med. 2012;366:e39.3)ACP. MKSAP19. General Internal Medicine. 2021. p19-21.4)Abuelgasim H, et al. BMJ Evid Based Med. 2021;26:57-64.

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切除不能悪性黒色腫の1次治療、relatlimab・ニボルマブ併用が有効/NEJM

 未治療の転移のあるまたは切除不能の悪性黒色腫患者の治療において、2つの免疫チェックポイント阻害薬relatlimab(抗リンパ球活性化遺伝子3[LAG-3]抗体)とニボルマブ(抗プログラム細胞死1[PD-1]抗体)の併用は、標準治療であるニボルマブ単剤と比較して、無増悪生存期間を有意に延長し、併用による新たな安全性への懸念は認められないことが、米国・テキサス大学MD AndersonがんセンターのHussein A. Tawbi氏らが実施した「RELATIVITY-047試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年1月6日号で報告された。国際的な無作為化第II/III相試験 研究グループは、未治療の転移のあるまたは切除不能の悪性黒色腫における、relatlimabとニボルマブの併用によるLAG-3とPD-1の阻害の有効性と安全性を評価する目的で、二重盲検無作為化第II/III相試験を行った(Bristol Myers Squibbの助成による)。本試験には、北米、中米、南米、欧州、オーストラリア、ニュージーランドの111施設が参加し、2018年5月~2020年12月の期間に患者の登録が行われた。 対象は、年齢12歳以上、StageIII/IVの切除不能の悪性黒色腫で、腫瘍組織の評価でLAG-3とPD-L1の発現が認められ、治療歴のない患者であった。術後または術前治療として、PD-1阻害薬、CTLA-4阻害薬、BRAF阻害薬、MEK阻害薬、BRAF阻害薬+MEK阻害薬併用の投与を受けた患者は、再発の6ヵ月以上前に治療を終了している場合、インターフェロンの投与を受けた患者は、最終投与が無作為化の6週間以上前の場合に、対象に含まれた。 被験者は、固定用量のrelatlimab(160mg)+ニボルマブ(480mg)またはニボルマブ(480mg)単剤を、4週ごとに60分間で静脈内投与する群に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、無増悪生存期間(無作為化の日から病勢進行または死亡の日までの期間)とされ、独立の中央判定委員会が盲検下に評価した。無増悪生存期間が約2倍に、リスクは25%減少 714例(年齢中央値63.0歳[範囲:20~94]、女性298例[41.7%])が登録され、relatlimab+ニボルマブ併用群に355例、ニボルマブ単剤群に359例が割り付けられた。データベースのロックの時点(2021年3月9日)で、追跡期間中央値は13.2ヵ月であった。治療中止の割合は65.8%(併用群66.8%、単剤群64.9%)で、最も多い中止の理由は病勢進行(36.3%、46.0%)だった。 無増悪生存期間中央値は、併用群が10.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:6.4~15.7)と、単剤群の4.6ヵ月(3.4~5.6)に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.75、95%CI:0.62~0.92、p=0.006[log-rank検定])。また、12ヵ月時の無増悪生存率は、併用群が47.7%(95%CI:41.8~53.2)、単剤群は36.0%(30.5~41.6)であった。 主なサブグループのすべてで、無増悪生存期間中央値は併用群のほうが良好であった。LAG-3発現率が≧1%の患者では、無増悪生存期間中央値は併用群で有意に優れ(12.58ヵ月vs.4.76ヵ月、HR:0.75、95%CI:0.59~0.95)、LAG-3発現率<1%の患者では併用群で良好な傾向がみられたものの有意差はなかった(4.83ヵ月vs.2.79ヵ月、0.78、0.54~1.15)。 Grade 3/4の治療関連有害事象は、併用群が18.9%、単剤群は9.7%で発現した。併用群で最も頻度の高いGrade 3/4の治療関連有害事象は、リパーゼ値上昇(1.7%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ値上昇(1.4%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ値上昇(1.4%)、疲労(1.1%)であった。治療中止の原因となった治療関連有害事象は、併用群が14.6%、単剤群は6.7%で認められた。 死亡例は、併用群が3例(0.8%、血球貪食性リンパ組織球症、急性肺水腫、肺臓炎)、単剤群は2例(0.6%、敗血症/心筋炎、肺炎)であり、いずれも担当医によって治療関連死と判定された。併用群で最も頻度の高い免疫関連有害事象は、甲状腺機能低下症/甲状腺炎(18.0%)、皮疹(9.3%)、下痢/大腸炎(6.8%)だった。併用群の1.7%で心筋炎が発現したが、全例が完全に回復した。 著者は、「併用群では、無増悪生存期間中央値の延長に伴って有害事象がわずかに増加したが、健康関連QOLは両群で同程度であった」とし、「本試験の結果は、悪性黒色腫患者における、PD-1とともにLAG-3を遮断する治療の妥当性を示しており、LAG-3はPD-1とCTLA-4に続く、臨床的有益性をもたらす第3の免疫チェックポイント経路として確立されたと考えられる」としている。

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双極性障害の自殺死亡率に対する性別固有のリスクプロファイル

 双極性障害患者の自殺リスクに対する性差および併存疾患の影響についてのエビデンスは十分ではない。台湾・台北医学大学のPao-Huan Chen氏らは、自殺の発生率、医療利用状況、併存疾患の観点から、双極性障害患者における自殺リスクに対する性別固有のリスクプロファイルについて調査を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2021年8月11日号の報告。 2000年1月~2016年12月の台湾の全民健康保険研究データベースを用いて、コホート研究を実施した。対象は、双極性障害患者4万6,490例および年齢、性別を1:4の割合でマッチさせた一般集団18万5,960例。自殺死亡率の比率(MRR)は、双極性障害コホートと一般集団の自殺率で算出した。また、双極性障害コホートにおける医療利用状況、併存疾患の性別固有のリスクを調査するため、ネストされたケースコントロール研究(自殺死亡患者:1,428例、生存患者:5,710例)を実施した。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者の自殺リスクは、一般集団と比較し、非常に高かった(MRR:21.9)。とくに女性において顕著であった(MRR:35.6)。・性別層別分析では、性別間での医療利用パターンおよび身体的併存疾患のリスクプロファイルの違いが明らかであった。・女性の自殺死亡患者は、生存患者と比較し、非高血圧性心血管疾患、肺炎、慢性腎臓病、消化性潰瘍、過敏性腸症候群、敗血症のリスクが高かった。一方、男性では、慢性腎臓病と敗血症のリスクが高かった。 著者らは「双極性障害患者の自殺死亡リスクは、発生率および身体的併存疾患において、性別固有のリスクプロファイルを有していると考えられる。これらの修正可能なリスク因子を特定することは、双極性障害患者の自殺リスク減少につながる可能性がある」としている。

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転移のない前立腺がん、アビラテロン+エンザルタミドで無転移生存期間延長/Lancet

 転移のない高リスク前立腺がん男性の治療において、アンドロゲン除去療法(ADT)による3年間の標準治療にアビラテロン酢酸エステル(アビラテロン)+プレドニゾロンまたはアビラテロン+プレドニゾロン+エンザルタミドを併用すると、標準治療単独と比較して、全生存期間の代替指標とされる無転移生存期間が延長し、前立腺がん特異的生存期間や生化学的無再発生存期間も改善されることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのGerhardt Attard氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年12月23日号で報告された。2つの第III相STAMPEDE試験のメタ解析 研究グループは、非転移性前立腺がん男性の治療における、ADTへのアビラテロン+プレドニゾロンまたはアビラテロン+プレドニゾロン+エンザルタミド併用の有効性を評価する目的で、STAMPEDEプラットホームプロトコールに基づく2つの第III相非盲検無作為化対照比較試験のメタ解析を行った(Cancer Research UKなどの助成を受けた)。これら2つの試験は、英国とスイスの113施設が参加し、2011年11月~2016年3月の期間に実施された。 対象は、年齢制限はなく、高リスク(リンパ節転移陽性、または陰性の場合は次の要件のうち少なくとも2つを有する:腫瘍Stage T3/T4、Gleasonスコア8~10点、前立腺特異抗原[PSA]値40ng/mL以上)あるいは、高リスクの特徴(ADTの全期間が12ヵ月以下で治療なしの間隔が12ヵ月以上でありPSA値4ng/mL以上で倍加時間が6ヵ月未満、またはPSA値20ng/mL以上、またはリンパ節再発)を持つ再発の非転移性前立腺がんで、WHO performance statusが0~2の患者であった。放射線療法は、リンパ節転移陰性例では行い、陽性例では推奨された。 2つの試験(第1試験、第2試験)とも、被験者は、ADT単独(手術、黄体形成ホルモン放出ホルモンの作動薬と拮抗薬)による治療を受ける群(対照群)、またはADT+経口アビラテロン酢酸エステル(1,000mg/日)+経口プレドニゾロン(5mg/日)を受ける群(併用群)に1対1の割合で無作為に割り付けられた。第2試験の併用群は、さらにエンザルタミド(160mg/日、経口投与)が追加された。ADTは3年間、併用治療は2年間行われたが、放射線療法を受けなかった患者では、病勢が進行するまで治療を継続できることとされた。 主要エンドポイントは無転移生存期間とし、無作為化の時点から全死因死亡または遠隔転移(画像で確定)の発現までの期間と定義された。両群とも期間中央値には未到達だが、併用群で47%延長 1,974例が解析に含まれた。第1試験(2011年11月~2014年1月)では、併用群に459例、対照群に455例が、エンザルタミドを含む第2試験(2014年7月~2016年3月)では、それぞれ527例および533例が割り付けられた。全体の年齢中央値は68歳(IQR:63~73)、PSA中央値は34ng/mL(IQR:14.7~47)であった。また、39%がリンパ節転移陽性で、85%は標準治療として放射線療法を受けていた。 追跡期間中央値は72ヵ月(IQR:60~84)で、この間に無転移生存イベントが併用群で180件、対照群で306件発生した。 無転移生存期間中央値(月)は、両群とも未到達(IQRは併用群が評価不能[NE]~NE、対照群は97~NE)であり、併用群で有意に延長していた(ハザード比[HR]:0.53、95%信頼区間[CI]:0.44~0.64、p<0.0001)。6年無転移生存率は、併用群が82%(95%CI:79~85)、対照群は69%(65~72)であった。 また、全生存期間(両群とも中央値には未到達で、IQRは併用群がNE~NE、対照群は103~NE、HR:0.60[95%CI:0.48~0.73]、p<0.0001)、前立腺がん特異的生存期間(両群とも中央値には未到達で、IQRは併用群がNE~NE、対照群はNE~NE、HR:0.49[0.37~0.65]、p<0.0001)、生化学的無再発生存期間(併用群は中央値未到達でIQRはNE~NE、対照群は中央値86ヵ月でIQRは83~NE、HR:0.39[0.33~0.47]、p<0.0001)、無増悪生存期間(両群とも中央値には未到達で、IQRは併用群がNE~NE、対照群は103~NE、HR:0.44[0.36~0.54]、p<0.0001)は、いずれも併用群で有意に長かった。 治療開始から24ヵ月の期間に、Grade3以上の有害事象は、第1試験の併用群で37%(169/451例)、対照群で29%(130/455例)に、第2試験ではそれぞれ58%(298/513例)および32%(172/533例)に認められた。併用群で頻度の高かったGrade3以上の有害事象は、高血圧(第1試験の併用群は5%[23/451例]、対照群は1%[6/455例]、第2試験はそれぞれ14%[73/513例]および2%[8/533例])と、高アラニントランスアミナーゼ血症(第1試験の併用群は6%[25/451例]、対照群は<1%[1/455例]、第2試験はそれぞれ13%[69/513例]および1%[4/533例])であった。 Grade5の有害事象は7件が報告された。第1試験の併用群で3件(直腸腺がん、肺出血、呼吸不全)、第2試験の併用群で4件(敗血症性ショック2件、突然死2件)であり、2つの試験とも対照群では発現しなかった。 著者は、「アビラテロン+プレドニゾロンは、転移のない高リスク前立腺がんの新たな治療法として考慮すべきである」としている。

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アトピー性皮膚炎を全身治療する経口JAK阻害薬「サイバインコ錠50mg/100mg/200mg」【下平博士のDIノート】第89回

アトピー性皮膚炎を全身治療する経口JAK阻害薬「サイバインコ錠50mg/100mg/200mg」今回は、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬「アブロシチニブ(商品名:サイバインコ錠50mg/100mg/200mg、製造販売元:ファイザー)」を紹介します。本剤は、全身療法が可能な経口剤であり、既存治療で効果不十分な中等症~重症のアトピー性皮膚炎の新たな選択肢として期待されています。<効能・効果>本剤は、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎(AD)の適応で、2021年9月27日に承認され、同年12月13日に発売されました。なお、ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬などの抗炎症外用薬による適切な治療を一定期間施行しても十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ患者に使用します。<用法・用量>通常、成人および12歳以上の小児には、アブロシチニブとして100mgを1日1回経口投与します。患者の状態に応じて200mgを1日1回投与することもできます。なお、中等度の腎機能障害(30≦eGFR<60)では50mgまたは100mgを1日1回投与し、重度の腎機能障害(eGFR<30)では50mgを1日1回経口投与します。本剤投与時も保湿外用薬は継続使用し、病変部位の状態に応じて抗炎症外用薬を併用します。なお、投与開始から12週までに治療反応が得られない場合は中止を考慮します。<安全性>AD患者を対象に本剤を投与した臨床試験の併合解析において、発現頻度2%以上の臨床検査値異常を含む有害事象が確認されたのは3,128例中2,294例でした。主な副作用は、上咽頭炎、悪心、アトピー性皮膚炎、上気道感染、ざ瘡、筋骨格系および結合組織障害などでした。なお、重大な副作用として感染症(単純ヘルペス[3.2%]、帯状疱疹[1.6%]、肺炎[0.2%])、静脈血栓塞栓症(肺塞栓症[0.1%未満]、深部静脈血栓症[0.1%未満])、血小板減少(1.4%)、ヘモグロビン減少(ヘモグロビン減少[0.9%]、貧血[0.6%])、リンパ球減少(0.7%)、好中球減少症(0.4%)、間質性肺炎(0.1%)、肝機能障害、消化管穿孔(いずれも頻度不明)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、皮膚バリア機能を低下させたり、アレルギー炎症を悪化させたりするJAKという酵素の産生を抑えることで、アトピー性皮膚炎の症状を改善します。2.本剤には免疫を抑制させる作用があるため、発熱や倦怠感、皮膚の感染症、咳が続く、帯状疱疹や単純ヘルペスなどの感染症の症状に注意し、気になる症状が現れた場合は、すみやかにご相談ください。3.この薬を服用している間は、生ワクチン(麻疹、風疹、おたふく風邪、水痘・帯状疱疹、BCGなど)の接種ができません。接種の必要がある場合は主治医に相談してください。4.(女性に対して)この薬を服用中、および服用中止後一定期間は適切な避妊をしてください。5.これまで使用していた保湿薬は続けて使用してください。<Shimo's eyes>近年、ADの新しい治療薬が次々と発売されており、難治例における治療が大きく変化しつつあります。本剤と同じ経口JAK阻害薬のほかにも、ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体製剤や外用JAK阻害薬などがすでに発売されています。本剤は、ADの適応を得た経口JAK阻害薬として、バリシチニブ(商品名:オルミエント錠)、ウパダシチニブ水和物(同:リンヴォック錠)に続く3剤目となります。また、12歳以上のアトピー性皮膚炎患者に使用できる製剤としてはウパダシチニブに続いて2剤目となります。相互作用については、フルコナゾール、フルボキサミンなどの強力なCYP2C19阻害薬、あるいはリファンピシンのような強力なCYP2C19および CYP2C9誘導薬との併用に注意が必要です。これらの薬剤と併用する場合、可能な限りこれらの薬剤をほかの類薬に変更する、または休薬するなどの対応を考慮します。経口JAK阻害薬は、肺炎、敗血症、ウイルス感染などによる重篤な感染症や結核の顕在化および悪化への注意が警告に記載されています。生ワクチンの接種は控え、帯状疱疹やB型肝炎ウイルスの再活性化にも注意する必要があります。調剤時の注意に関しては、抗うつ薬/慢性疼痛治療薬デュロキセチン(商品名:サインバルタカプセル)と販売名が類似していることから、取り違え防止案内が発出されています。薬剤の登録名や調剤棚の表示などを工夫して、取り違えを防ぎましょう。本剤は、米国においてブレークスルー・セラピー(画期的治療薬)の指定を受け、優先審査品目に指定されています。参考1)PMDA 添付文書 サイバインコ錠50mg/サイバインコ錠100mg/サイバインコ錠200mg

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