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紹介先への情報欠落を防ぐ―安全な医療のために【紹介状の傾向と対策】第4回

<あるある傾向>患者を紹介されたとき、重要情報の欠落がある<対策>プロブレムや既往歴の取捨選択はご用心!紹介先が誰であれ、持っている情報は漏れなく伝える多忙な臨床業務の中で紹介状(診療情報提供書)の作成は負担の大きな業務の1つです。しかし、紹介状の不備は、依頼先(紹介先)の医師やスタッフに迷惑をかけるだけではなく、患者さんの不利益やトラブルにつながります。このため、できる限り依頼先が困らない紹介状の作成を心がけたいものです。以下は筆者自身が紹介状の記載において留意していることを箇条書きにしたものです。今回は(3)の「プロブレムと既往歴は漏れなく記載」についてお話ししましょう。【紹介状全般に共通する留意点】(1)相手の読みやすさが基本(2)冒頭に紹介する目的を明示する(3)プロブレムと既往歴は漏れなく記載(4)入院経過は過不足なく、かつ簡潔に記載(5)診断根拠・診断経緯は適宜詳述(6)処方薬は継続の要否、中止の可否を明記(7)検査データ、画像データもきちんと引き継ぐ他院に患者さんを紹介する場合も、院内で他科コンサルテーションする際も同様ですが、筆者はプロブレムや既往歴を漏れなく記載することが非常に大切だと考えています。これは、紹介(依頼)する側が把握・認識しているプロブレムを漏れなく伝えることが、紹介先(依頼先)の把握漏れを回避する上で重要だと考えるからです。この際に留意しているのは、“書き手自身の判断でプロブレムとして記載する内容を取捨選択しないこと”です。これは、依頼内容とは関係ないだろうと思った情報が、依頼された側の医師にとって、重要な情報だったことを何度も経験してきたからです。たとえば、緑内障の持病のある高齢者が、肺炎で内科に入院したときを想像してください。ご存じの通り、緑内障は使用できない薬剤が多い疾患の1つです。そんな患者さんが過活動膀胱症状のため内科の担当医が泌尿器科に紹介したとします。紹介された泌尿器科医が緑内障の有無を知らなければ(本来は処方前に泌尿器科医自身が患者さんに確認する必要がありますが)、緑内障に禁忌である薬剤を処方してしまうことが起きうると考えます。依頼側の医師がプロブレムや既往情報として把握している情報をきちんと記載し伝えることは、情報欠落によるトラブルを回避するために重要です。筆者が情報欠落を回避すべく心掛けているのは、日頃からカルテにプロブレムリストを作成することです。他科への受診歴があれば、その情報も確認し、プロブレムリストを作成しています。入院早期のうちに、一旦、しっかりとプロブレムリストやショートサマリーを作成するようにしています。大切なのは、既往疾患や手術歴も1つのプロブレムとして捉えることです。疾患は少なからず過去の既往歴や手術歴と関連があることが多々あります。たとえば胃の部分切除1つを挙げても、手術歴の情報は、謎の貧血データを見た時、それが過去の胃切除に由来するビタミンB12欠乏性貧血の可能性を示唆してくれます。患者が同一の医療機関内を受診しているのであれば、カルテ内を探すことで過去の情報を見つけることも可能です。しかし、患者が異なる医療機関に転院する場合は、それができません。転院の際に情報が引き継がれなければ、転院先も情報不足で困るかもしれません。とくに受け入れる側は、急性期医療機関からの詳細な情報を必要としています。急性期医療機関から回復期リハビリ病院、あるいは療養型病院、かかりつけ医へと、患者の移動に伴い情報も欠落せずにしっかり付いてくることが、その患者にきちんとした医療を提供する上で、とても重要だと考えています。今、患者の医療データは個々の病院の電子カルテに記載されていますが、これではどうしても医療機関ごとに患者情報や検査データが分散することになり、筆者は非常に効率が悪いと考えています。できることなら、患者自身が自らのカルテを保有し、各医療機関がそこにアクセスし、情報や検査結果を追記していくような形が取れれば、患者情報が一元管理できるのではないか…とも考えてしまいます。

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11月24日 いい尿の日【今日は何の日?】

【11月24日 いい尿の日】〔由来〕寒さが本格化してくる時期である11月の「いい(11)にょう(24)」(いい尿)と読む語呂合わせからクラシエ製薬株式会社が制定。寒さが増すと頻尿・夜間尿などの排尿トラブルが増えることから、その啓発や症状に合った治療を広く呼び掛けることが目的。関連コンテンツ女性の頻尿、どう尋ねるべき?【Dr.山中の攻める!問診3step】知っておきたい女性の排尿障害の診療【診療よろず相談TV】頻尿、排尿痛があるときの症状チェック【患者説明用スライド】尿が少ない・出ないときの症状チェック【患者説明用スライド】新・夜間頻尿診療ガイドラインで何が変わるか/日本排尿機能学会

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添付文書改訂:カナグルに2型糖尿病CKD追加/ツートラムにがん疼痛追加/コミナティ、スパイクバックスに4回目接種追加/エムガルティで在宅自己注射が可能に/不妊治療の保険適用に伴う追記【下平博士のDIノート】第100回

カナグル:2型糖尿病患者のCKD追加<対象薬剤>カナグリフロジン水和物(商品名:カナグル錠100mg、製造販売元:田辺三菱製薬)<承認年月>2022年6月<改訂項目>[追加]効能・効果2型糖尿病を合併する慢性腎臓病。ただし、末期腎不全または透析施行中の患者を除く<Shimo's eyes>SGLT2阻害薬については近年、心血管予後・腎予後の改善効果を示した大規模臨床研究が次々と発表されています。本剤は2型糖尿病患者の慢性腎臓病(CKD)に対する適応追加で、用法・用量は既承認の「2型糖尿病」と同じとなっています。2022年6月現在、類薬で「CKD」に適応があるのはダパグリフロジン(同:フォシーガ)、「心不全」に適応があるのはダパグリフロジンおよびエンパグリフロジン(同:ジャディアンス)となっています。ツートラム:がん疼痛が追加<対象薬剤>トラマドール塩酸塩徐放錠(商品名:ツートラム錠50mg/100mg/150mg、製造販売元:日本臓器製薬)<承認年月>2022年5月<改訂項目>[追加]効能・効果疼痛を伴う各種がん<Shimo's eyes>本剤は、速やかに有効成分が放出される速放部と、徐々に有効成分が放出される徐放部の2層錠にすることで、安定した血中濃度推移が得られるように設計された国内初の1日2回投与のトラマドール製剤です。今回の改訂で、がん患者の疼痛管理に本剤が使えるようになりました。本剤を定時服用していても疼痛が増強した場合や突出痛が発現した場合は、即放性のトラマドール製剤(商品名:トラマールOD錠など)をレスキュー薬として使用します。なお、レスキュー投与の1回投与量は、定時投与に用いている1日量の8~4分の1とし、総投与量は1日400mgを超えない範囲で調節します。鎮痛効果が不十分などを理由に本剤から強オピオイドへの変更を考慮する場合、オピオイドスイッチの換算比として本剤の5分の1量の経口モルヒネを初回投与量の目安として、投与量を計算することが望ましいとされています。なお、ほかのトラマドール製剤(商品名:トラマール注、トラマールOD錠、ワントラム錠)は、すでにがん疼痛に対する適応を持っています。参考日本臓器製薬 ツートラム錠 添付文書改訂のお知らせコミナティ、スパイクバックス:4回目接種が追加<対象薬剤>コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)(商品名:コミナティ筋注、製造販売元:ファイザー/商品名:スパイクバックス筋注、製造販売元:武田薬品工業)<承認年月>2022年4月<改訂項目>[追記]接種時期4回目接種については、ベネフィットとリスクを考慮したうえで、高齢者等において、本剤3回目の接種から少なくとも5ヵ月経過した後に接種を判断することができる。<Shimo's eyes>オミクロン株流行期において、ワクチン4回目接種による「感染予防」効果は短期間とはいえ、「重症化予防」効果は比較的保たれると報告されています。それを踏まえ、4回目の追加接種の対象は、60歳以上の者、18歳以上60歳未満で基礎疾患を有する者など、重症化リスクが高い方に限定されました。また、3回目以降の追加免疫の間隔はこれまで「少なくとも6ヵ月」となっていましたが、今回の改訂で「少なくとも5ヵ月」と短縮されました。追加免疫の投与量については、コミナティ筋注は初回免疫(1、2回目接種)と同じく1回0.3mL、スパイクバックス筋注の場合は、初回免疫は1回0.5mLですが、追加免疫では半量の1回0.25mLとなっています。参考ファイザー 新型コロナウイルスワクチン 医療従事者専用サイト武田薬品COVID-19ワクチン関連特設サイト<mRNAワクチン-モデルナ>エムガルティ:在宅自己注射が可能に<対象薬剤>ガルカネズマブ(遺伝子組み換え)注射液(商品名:エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター/シリンジ、製造販売元:日本イーライリリー)<承認年月>2022年5月<改訂項目>[追記]重要な基本的注意、副作用自己投与に関する注意<Shimo's eyes>薬価収載から1年が経過し、本剤の在宅自己注射が可能となりました。承認された経緯としては、日本頭痛学会および日本神経学会から要望書が出されていました。自己注射が可能になることで、毎月の通院が難しかったケースでも抗体医薬を用いた片頭痛予防療法を実施しやすくなることが期待されます。本剤の投与開始に当たっては、医療施設において必ず医師または医師の直接の監督の下で投与を行い、自己投与の適用についてはその妥当性を慎重に検討します。自己注射に切り替える場合は十分な教育訓練を実施した後、本剤投与によるリスクと対処法について患者が理解し、患者自らの手で確実に投与できることを確認したうえでの実施となります。参考日本イーライリリー 医療関係者向け情報サイト エムガルティフェマーラほか:不妊治療で使用される場合の保険適用<対象薬剤>レトロゾール錠(商品名:フェマーラ錠2.5mg、製造販売元:ノバルティス ファーマ)<承認年月>2022年2月<改訂項目>[追加]効能・効果生殖補助医療における調節卵巣刺激[追加]用法・用量通常、成人にはレトロゾールとして1日1回2.5mgを月経周期3日目から5日間経口投与する。十分な効果が得られない場合は、次周期以降の1回投与量を5mgに増量できる。<Shimo's eyes>2022年4月から、不妊治療の経済的負担を軽減するために生殖医療ガイドライン等を踏まえて、人工授精等の「一般不妊治療」、体外受精・顕微授精等の「生殖補助医療」について、保険適用されることになりました。アロマターゼ阻害薬である本剤は、従前の適応は閉経後乳がんでしたが、不妊治療に用いる場合、閉経前女性のエストロゲン生合成を阻害する結果、卵胞刺激ホルモン(FSH)分泌が誘導され、卵巣内にアンドロゲンが蓄積し、卵巣が刺激されて卵胞発育が促進されます。ほかにも、プロゲステロン製剤(商品名:ルティナス腟錠等)は「生殖補助医療における黄体補充」、エストラジオール製剤(同:ジュリナ錠等)は「生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整」「凍結融解胚移植におけるホルモン補充周期」、さらに卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合製剤(同:ヤーズフレックス配合錠、ルナベル配合錠等)は「生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整」の適応がそれぞれ追加されています。バイアグラほか:男性不妊治療に保険適用<対象薬剤>シルデナフィルクエン酸塩錠(商品名:バイアグラ錠25mg/50mg、同ODフィルム25mg/50mg、製造販売元:ヴィアトリス製薬)タダラフィル錠(商品名:シアリス錠5mg/10mg/20mg、製造販売元:日本新薬)<承認年月>2022年4月<改訂項目>[追加]効能・効果勃起不全(満足な性行為を行うに十分な勃起とその維持ができない患者)[追加]保険給付上の注意本製剤が「勃起不全による男性不妊」の治療目的で処方された場合にのみ、保険給付の対象とする。<Shimo's eyes>こちらも少子化社会対策として、従前の勃起不全(ED)の適応は変わりませんが、保険適用となりました。本製剤について、保険適用の対象となるのは、勃起不全による男性不妊の治療を目的として一般不妊治療におけるタイミング法で用いる場合です。参考資料 不妊治療に必要な医薬品への対応(厚労省)

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女性の頻尿、どう尋ねるべき?【Dr.山中の攻める!問診3step】第13回

第13回 女性の頻尿、どう尋ねるべき?―Key Point―1日3L以上の排尿と強い口渇があるかを確認する2回以上の夜間頻尿があると生活に支障をきたす医師が質問をしないと女性は尿失禁を訴えないことが多い症例:76歳 女性主訴)頻尿現病歴)2週間前から頻尿と排尿時痛がある。近くの診療所で抗菌薬の処方を受けたが、症状の改善はない。尿の排出時、下腹部に痛みを生じる。3日前からトイレに間に合わず尿を漏らすことが増えてきたため紙パンツを使用するようになった。夜間の排尿回数は5回。熟眠できない。既往歴)変形性関節症薬剤歴)なし生活歴)機会飲酒、喫煙:5本/日(20歳~)身体所見)体温36.8℃、血圧132/80mmHg、心拍数86回/分、呼吸回数18回/分意識:清明腹部:軟。膨隆なし。下腹部に軽度の圧痛あり経過)尿意切迫感と頻尿、切迫性尿失禁の症状から過活動膀胱を疑い牛車腎気丸を処方した。尿意切迫感は改善を認めた。その後、ナースに「最近、子宮脱が気になっている」との訴えがあった。子宮脱も夜間多尿の原因となっていた可能性がある。◆今回おさえておくべき臨床背景はコチラ!年をとると過活動膀胱に罹患する割合が増加する(70代で20%、80歳以上で35%)1)カルシウム拮抗薬は夜間頻尿を起こす成人女性の25%に尿失禁がある【STEP1】患者の症状に関する理解不足を解消させよう【STEP2】多尿(>3L/日)か確認する2)問診:口渇の程度、飲水量、塩分摂取量、利尿薬、アルコールやカフェイン摂取心因性多飲症では1日3~5Lの飲水により低ナトリウム血症を起こすスポット尿のナトリウム濃度(mmol/L)を17で割ると、尿1LあたりのNaCl量(g)が推定できる。この数値に尿量(L)をかければ1日あたりの推定食塩摂取量となる多尿があれば、尿浸透圧を測定する。250mOsm/kg以下ならば水利尿、300mOsm/kg以上ならば浸透圧利尿である水利尿の原因:尿崩症(中枢性、腎性)、心因性多尿浸透圧利尿の原因:糖尿病、薬剤(マンニトール)、ナトリウム負荷、利尿薬、腎不全【STEP3-1】夜間は何度トイレに起きるか就寝後に2回以上、排尿のため起きなければならない症状を夜間頻尿と呼ぶ健常者では抗利尿ホルモン(バソプレシン)は夜間に多く分泌されるため、夜間尿は少なくなる。<夜間頻尿の原因>夜間のみ尿量が多くなる夜間多尿、膀胱容量の減少(過活動性膀胱、前立腺肥大症、間質性膀胱炎、骨盤臓器脱)、睡眠障害<夜間多尿の原因>高血圧、心不全、腎不全、睡眠時無呼吸症候群、寝る前の水分過剰摂取【STEP3-2】尿失禁はあるか2)3)4)◆新たに出現した尿失禁の鑑別診断(DIAPERS)Drug(薬剤)Atrophic vaginitis(萎縮性膣炎)Endocrine(高血糖、高カルシウム血症)Stool impaction(宿便)Infection(感染症:とくに尿路感染症)Psychological(うつ、認知症、せん妄)Restricted mobility(運動制限)(表)尿失禁のタイプ画像を拡大する<参考文献・資料>1)日本泌尿器科学会:頻尿(ひんにょう)とは2)Harrison’s Principles of Internal Medicine. 2018. p294-295,p3432-3436.3)MKSAP19 General Internal Medicine1. 2021. p95-98.4)山中克郎ほか. UCSFに学ぶ できる内科医への近道. 改訂4版. 2012. p343.

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ファイザーの経口コロナ治療薬「パキロビッドパック」を特例承認/厚労省

 厚生労働省は2月10日、ファイザーが開発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する抗ウイルス剤「ニルマトレルビル錠/リトナビル錠」(商品名:パキロビッドパック、以下パキロビッド)について、国内における製造販売を特例承認した。2021年12月24日に承認されたモルヌピラビル(ラゲブリオ)に続き、本剤は国内における2剤目の経口コロナ治療薬となる。2月27日までは、全国約2,000の医療機関における院内処方およびこれらの医療機関と連携可能な地域の薬局でパイロット的な取り組みを実施し、それ以降は全国の医療機関の入院・外来でも処方可能となる。 パキロビッドは、重症化リスク因子を有する軽症~中等症患者が投与対象。通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児に対し、ニルマトレルビル1回300mgおよびリトナビル1回100mgを同時に1日2回、5日間経口投与する。 本剤を巡っては、高血圧や高脂血症、不眠症などの治療薬において併用禁忌薬が多数あることから、審議会でも専門家から慎重な投与が必要との意見が出たという。本剤の添付文書には、下記39種の薬剤および含有食品について併用禁忌が明示されている。【併用禁忌】▼アンピロキシカム▼ピロキシカム▼エレトリプタン臭化水素酸塩▼アゼルニジピン▼オルメサルタン、メドキソミル・アゼルニジピン▼アミオダロン塩酸塩▼ベプリジル塩酸塩水和物▼フレカイニド酢酸塩▼プロパフェノン塩酸塩▼キニジン硫酸塩水和物▼リバーロキサバン▼リファブチン▼ブロナンセリン▼ルラシドン塩酸塩▼ピモジド▼エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン▼エルゴメトリンマレイン酸塩▼ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩▼メチルエルゴメトリンマレイン酸塩▼シルデナフィルクエン酸塩▼タダラフィル▼バルデナフィル塩酸塩水和物▼ロミタピドメシル酸塩▼ベネトクラクス▼ジアゼパム▼クロラゼプ酸二カリウム▼エスタゾラム▼フルラゼパム塩酸塩▼トリアゾラム▼ミダゾラム▼リオシグアト▼ボリコナゾール▼アパルタミド▼カルバマゼピン▼フェノバルビタール▼フェニトイン▼ホスフェニトインナトリウム水和物▼リファンピシン▼セイヨウオトギリソウ含有食品 また、併用に注意すべき薬剤なども多数記載されているので、処方の際には配慮が必要だ。詳細については、添付文書を参照されたい。

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排尿障害患者の悩み「飛行機に乗るとクラクラするんです」【スーパー服薬指導(5)】

スーパー服薬指導(5)排尿障害患者の悩み「飛行機に乗るとクラクラするんです」講師:近藤 剛弘氏 / 元 ファイン総合研究所 専務取締役動画解説ジスチグミンが処方されている患者が、3週間のニューヨーク出張に。枕が変わると寝つきが悪くなるという、その患者に処方されたのは…

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継続の必要性を評価してトラマドールカスケードを解決【うまくいく!処方提案プラクティス】第44回

 今回は、トラマドールの漫然服用に疑問を持ち、情報収集やモニタリングを行い、減薬につなげた事例を紹介します。トラマドールは弱オピオイドとしてオピオイド受容体に作用するものの、医療用麻薬としての規制を受けないことから、強い鎮痛効果を期待して整形外科や歯科領域で汎用されています。長期継続されている場合もあるため、処方目的や治療効果などから薬剤師の視点でも継続の必要性を評価する必要があります。患者情報70歳、女性(施設入居)基礎疾患高血圧症、認知症、過活動膀胱介護度要介護2服薬管理施設職員処方内容1.トラマドール・アセトアミノフェン配合錠 3錠 分3 毎食後2.ドンペリドン錠10mg 3錠 分3 毎食後3.オルメサルタン錠20mg 1錠 分1 朝食後4.エルデカルシトールカプセル0.75μg 1C 分1 朝食後5.ソリフェナシン錠5mg 1錠 分1 朝食後6.ドネペジル錠5mg 1錠 分1 朝食後7.ゾルピデム錠5mg 1錠 分1 就寝前本症例のポイントこの患者さんは、施設入居前からトラマドール・アセトアミノフェン配合錠を服用していました。初回の訪問診療に同行した際、鎮痛効果の評価のため、どこが痛むのか確認しました。しかし、とくに痛みの訴えはなく、体動時や就寝中の痛みもないことから、トラマドール・アセトアミノフェン配合錠の継続の必要性に疑問が湧きました。施設看護師に確認しても、入居時の申し送りでは触れられなかったそうでわかりませんでした。一方で、患者さんも施設スタッフも服薬する錠数が多くて負担になっていることを聞き取ることができました。さらに気になったことは、制吐薬のドンペリドンも同様に継続されていることでした。トラマドール導入時に嘔気対策として追加されたと推測できますが、お薬手帳を見ると半年以上も処方されていました。トラマドールの副作用である嘔気は数日程度で耐性ができて軽減するため、多くの場合は1~2週間で減量・中止に至ります。また、このまま継続した場合、ドパミン受容体遮断作用の弊害である錐体外路症状(薬剤性パーキンソニズム)や内分泌調節異常などのリスクも懸念されます。そこで、処方契機を調べるため、施設で保管されている診療情報提供書や退院時サマリー、多職種情報共有シート(フェイスシート)などを調査しました。過去の診療情報提供書によれば、約1年前に腰椎圧迫骨折の既往があり、手術後の疼痛コントロールを目的としてトラマドール・アセトアミノフェン配合錠が開始され、退院後は近医でそのまま継続されていたことがわかりました。処方提案と経過手術は1年以上前で経過もよく、現時点では痛みの訴えもないことから、トラマドール・アセトアミノフェン配合錠の中止は可能ではないかと考え、後日の訪問診療後に、医師にトラマドール・アセトアミノフェン配合錠からアセトアミノフェン単剤(900mg/日)への切り替えを提案しました。それに合わせてドンペリドンの中止も相談したところ、両方とも承認を得ることができました。その後、処方変更後の疼痛悪化や嘔気はなく、不安や不眠などの退薬症候の出現などもありませんでした。そのため、アセトアミノフェンを600mg/日(分2、朝夕食後)→300mg/日(分1、朝食後)と徐々に減らし、最終的に中止することを提案して、そのように処方調整していくことになりました。疼痛の出現などの評価は施設看護師にお願いしましたが、とくに問題はなく、患者さんは鎮痛薬から卒業することができました。今回の事例ではうまく減薬ができましたが、長期継続薬を減薬する際は、治療効果や中止の可否を評価するために、薬剤師から医師および多職種への積極的な介入が必要だと感じました。

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抗ムスカリンOAB治療薬と認知症発症リスク

 過活動膀胱(OAB)治療薬の使用による認知症発症リスクへの影響については、明らかになっていない。カナダ・トロント大学のRano Matta氏らは、抗ムスカリンOAB治療薬の使用と認知症発症リスクとの関連について、β-3アゴニストであるミラベグロンと比較し、検討を行った。European Urology Focus誌オンライン版2021年11月3日号の報告。 カナダ・オンタリオ州でOAB治療薬を使用した患者を対象に、人口ベースのケースコントロール研究を実施した。対象は、過去6~12ヵ月間で抗ムスカリンOAB治療薬またはミラベグロンを使用し、2010~17年に認知症およびアルツハイマー病と診断された66歳以上の患者1万1,392例と年齢および性別がマッチした非認知症患者2万9,881例。人口統計学および健康関連の特性に応じて調整し、認知症のオッズ比(OR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・過去6ヵ月間でソリフェナシンおよびdarifenacinを使用した患者は、ミラベグロンを使用した患者と比較し、認知症発症リスクが高かった。 ●ソリフェナシンのOR:1.24(95%信頼区間[CI]:1.08~1.43) ●darifenacinのOR:1.30(95%CI:1.08~1.56)・診断前6ヵ月~1年間でソリフェナシン、darifenacin、トルテロジン、フェソテロジンを使用した患者は、ミラベグロンを投与した患者と比較し、認知症発症率の上昇との関連が認められた。 ●ソリフェナシンのOR:1.34(95%CI:1.11~1.60) ●darifenacinのOR:1.49(95%CI:1.19~1.86) ●トルテロジンのOR:1.21(95%CI:1.02~1.45) ●フェソテロジンのOR:1.39(95%CI:1.14~1.71)・オキシブチニンまたはtrospiumでは、影響が認められなかった。この原因として、プロトパシーバイアスが考えられる。・本研究の限界として、アウトカムの誤分類や健康関連データベース使用による交絡因子の影響が挙げられる。 著者らは「診断6ヵ月前にソリフェナシンおよびdarifenacinを使用した高齢者、診断前年にソリフェナシン、darifenacin、トルテロジン、フェソテロジンを使用した高齢者では、ミラベグロンを投与した患者と比較し、認知症発症リスクが高かった。OAB患者の治療に際して、慎重な薬剤選択が求められる」としている。

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ドイツで産んでみた(3) ドイツの育児制度【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第8回

予定より1ヵ月早く出産切迫早産を乗り切り、36週で双子の女の子が誕生しました(緊急カイザーでした。ドイツでは“Kaiserschnitt”[カイザーシュニット]と言います)。NICUには10日ほど滞在し、無事に退院することができました。生後10分の娘2人とスリーショット子供が産まれた! と言うことを職場に伝えたら、いつもよくしてくれる医事課のおばさんから電話がかかってきました。「“Elternzeit”の申請と、“Elterngeld”の申請はちゃんとできてる? 忘れずに申請しなさい!」とのことでした。“Eltern”はドイツ語で「親」と言う意味です。“Zeit”は「時間」、“Geld”は「お金」です。直訳すると「両親の時間」「両親のお金」、ざっくり言うと「育休」と「両親手当」と言ったところでしょうか。そう言う制度があるのは知っていたのですが…。出産予定日が1ヵ月先だったので、正直あんまり調べてなくて…慌ててネットで調べました。日本も見習って欲しい手厚いドイツの出産育児制度ドイツは両親のどちらも育休を取る権利があります。最大で3年だったかな? 申請すれば必ず取れます。まとめて取らなくてもよい制度です。子供が3歳になるまで、気が向いたときに親はいつでも取れるという、素晴らしいシステムです。育休の後は、育休前のポジションが法律で保証されています。ちなみにその間の給料については、父母のうちの「働く側の親」に関して2ヵ月間は支払われます。「育児に専念する側の親」はもっと長い期間支払われるそうです(うちの奥様は専業主婦だったので請求できなかったんです…)。そして、それとは別に子供1人に対し、ベーシックインカムが支払われます。一人当たり月に200ユーロ(約2万5,000円)が18歳まで支払われます。オムツは安くて病院もタダ。とにかくドイツは育児に費用がかからない国なので、子供ができると黒字になるようにできています。休みも取れて、お金も儲かる。私の同僚は子供ができたときに「休みが取れる!」と言ってガッツポーズをしていました。ドイツも少子化が大きな社会問題となっていますので、国が非常に明解な対策を取っていることがわかります。

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「ブスコパン」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第80回

第80回 「ブスコパン」の名称の由来は?販売名ブスコパン®錠10mg※ブスコパン注20mgは錠剤のインタビューフォームと異なるため、今回は情報を割愛しています。ご了承ください。一般名(和名[命名法])ブチルスコポラミン臭化物 (JAN)効能又は効果下記疾患における痙攣並びに運動機能亢進胃・十二指腸潰瘍、食道痙攣、幽門痙攣、胃炎、腸炎、腸疝痛、痙攣性便秘、機能性下痢、胆のう・胆管炎、胆石症、胆道ジスキネジー、胆のう切除後の後遺症、尿路結石症、膀胱炎、月経困難症用法及び用量通常成人には1回1~2錠 (ブチルスコポラミン臭化物として10~20mg) を1日3~5回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)【禁忌(次の患者には投与しないこと)】(1)出血性大腸炎の患者[腸管出血性大腸菌(O157等)や赤痢菌等の重篤な細菌性下痢患者では、症状の悪化、治療期間の延長をきたすおそれがある。](2)閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。](3)前立腺肥大による排尿障害のある患者[更に尿を出にくくすることがある。] (4)重篤な心疾患のある患者[心拍数を増加させ、症状を悪化させるおそれがある。](5)麻痺性イレウスの患者[消化管運動を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。](6)本剤に対し過敏症の既往歴のある患者※本内容は2021年12月1日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2019年7月(改訂第6版)医薬品インタビューフォーム「ブスコパン®錠10mg」2)サノフィe-MR:製品情報

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新しい作用機序で心血管イベントを抑制するHFrEF治療薬「ベリキューボ錠2.5mg/5mg/10mg」【下平博士のDIノート】第86回

新しい作用機序で心血管イベントを抑制するHFrEF治療薬「ベリキューボ錠2.5mg/5mg/10mg」今回は、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬「ベルイシグアト(商品名:ベリキューボ錠2.5mg/5mg/10mg、製造販売元:バイエル薬品)」を紹介します。本剤は、標準治療を受けている左室駆出率が低下した慢性心不全(HFrEF)患者に対して、新しい作用機序で心血管イベントリスクを低減させることが期待されています。<効能・効果>本剤は、慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)の適応で、2021年6月23日に承認され、9月15日に発売されました。なお、左室駆出率の保たれた慢性心不全(HFpEF)における本剤の有効性および安全性は確立していません。<用法・用量>通常、成人にはベルイシグアトとして、1回2.5mgを1日1回食後経口投与から開始し、2週間間隔で1回投与量を5mgおよび10mgに段階的に増量します。なお、血圧など患者の状態に応じて適宜減量します。<安全性>国際共同第III相試験(VICTORIA、試験16493)において、副作用は本剤投与群2,519例中367例(14.6%)で報告されました。主な副作用は、低血圧172例(6.8%)、浮動性めまい37例(1.5%)、悪心19例(0.8%)、起立性低血圧、消化不良各14例(0.6%)、疲労11例(0.4%)、頭痛10例(0.4%)などでした。なお、重大な副作用として、低血圧(7.4%)が設定されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は心臓や血管の機能を調節し、慢性心不全が悪くなるのを抑えます。2.血管を拡張させる作用によって、めまい・ふらつきが現れることがあります。高い所での作業、自動車の運転や機械の操作には注意してください。3.(女性に対して)本剤を服用中および服用終了後一定期間は確実な方法で避妊してください。妊娠を希望する場合は医師に伝え、今後の方針について相談してください。<Shimo's eyes>本剤は、慢性心不全の適応で承認された初の可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬です。既存のsGC刺激薬としてはリオシグアト(商品名:アデムパス)が肺動脈性肺高血圧症などの適応で承認されています。慢性心不全の病態では、内皮細胞機能不全による一酸化窒素(NO)産生の低下やsGCの機能不全により、cGMPシグナルの低下が引き起こり、その結果として心筋および血管の機能不全の一因、さらには心不全の悪化に寄与していると考えられます。本剤は、NO受容体であるsGCを直接刺激する作用と、内因性NOに対するsGCの感受性を高める作用の2つの機序により、心血管系の重要なシグナル伝達経路であるNO-sGC-cGMP経路を活性化して、慢性心不全の進行を抑制します。日本人を含む国際共同第III相試験(VICTORIA、試験16493)では、慢性心不全の標準的な治療を受けているHFrEF患者に対して本剤またはプラセボが投与されました。前治療として、β遮断薬、ACE阻害薬またはARB、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)の3剤併用療法を受けていた患者が59.7%を占めていました。その結果、本剤群では、心血管死または心不全による初回入院の複合エンドポイント発現の相対リスクが10%減少しました(ハザード比[HR]:0.90、95%信頼区間[CI]:0.82~0.98)。本剤と既存のsGC刺激薬であるリオシグアトは、降圧作用を増強する恐れがあるため併用禁忌であり、シルデナフィルを含むPDE5阻害薬、一硝酸イソソルビドなどの硝酸剤およびNO供与剤も同様の理由から併用注意となっています。なお、本剤投与前の収縮期血圧が100mmHg未満の患者では過度の血圧低下が起こる恐れがあるため血圧の確認も必要です。近年、HFrEFに対する新しい治療薬として、HCNチャネル阻害薬のイバブラジン(商品名:コララン)、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)のサクビトリルバルサルタン(同:エンレスト)、SGLT2阻害薬のダパグリフロジン(同:フォシーガ)などが使用できるようになりました。本剤は既存の治療薬とは異なる作用機序であり、標準治療が効果不十分な患者であっても心血管イベントリスクが低減する可能性があります。参考1)PMDA 添付文書 ベリキューボ錠2.5mg/5mg/10mg

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ドイツで産んでみた(2) 早産で緊急入院【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第7回

困ったときの必殺技「泣き落とし」前回から続いて、ドイツでの双子が生まれた経験から知ることができた、ドイツの医療について書いていきます。妻が双子を妊娠していることがわかり、まずはかかりつけの産婦人科医を決めました。Greifswaldは大学を中心にできている街で、若い人が多かったこともあり、産婦人科の予約を取ることはかなり大変でした。予約が3ヵ月後とか平気で言われたのですが…なんとか受付へ直接乗り込んで、泣き落とすことで割り込み予約をさせてもらいました。(ドイツはお堅いイメージがあるかも知れませんが、経験上、泣き落としはかなり有効です。役所で、試験会場で、何度も何度も泣き落としで窮地を乗り切ってきました)かかりつけの産婦人科医をみつけ、次は定期検診をしてくれるエコー専門医を紹介してもらいました。初期の段階から双胎間輸血症候群が疑われたため、1~2週間に1度の頻度でエコーをしてもらいに通い続けました。毎回1時間以上かけて、丁寧に丁寧に診てくれる先生でした。そして「何かあったら、すぐに大学病院へいけ」と指示されました。病院のご飯の評判は大学の街であるGreifswaldの医療はすべて大学病院を中心として展開されています。お互いの連携も密に取られている印象でした。大学の先生たちは開業医の先生方の性格や診療のクセなどもよく理解していて、いつ受診してもサクサク話が進んでいきました。Greifswald大学病院です。みえている建物全部が病院で、この奥にもさらに病棟が広がっています。デカくて最新の設備が整っていて機能的ですが、建物内は無機質で愛想がありません。大学ではナースもドクターもとても親切でした。しかし、ご飯がちょっと…な感じでした。妻が切迫早産で1週間ほど緊急入院となったことがありました。その際、調理された料理が出るのは昼だけで、朝夕は病棟の片隅にあるビュッフェ(?)のようなコーナーにある、チーズとパンを自由に取ってきて食べるだけでした。ドイツ語が話せないにもかかわらず、妊娠ライフを淡々と過ごしていた妻だったのですが、このときばかりは「ご飯が美味しくないなんて酷すぎる」といって泣いていました…。やむなく、私が毎日米を炊いて、病院に持っていきました。朝5時に起きて米をタッパーに詰めて、お味噌汁を水筒に入れて、毎日勤務前に届けました。帰宅時も病院に寄って、タッパーを回収して、もう一度米を炊いて持っていきました。時にインスタントラーメンを買って届けたりもしました。毎日ヘロヘロになりながら過ごしていました。今にして思えばいい思い出ですけど。次回は出産後のドイツの育児システムについて、書きたいと思います。

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ドイツで産んでみた(1) ドイツの産婆システム【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第6回

私事ですが、ドイツで産まれた双子の娘達が、9月に満2歳の誕生日を迎えます。娘たちはドイツ産まれですが、妻がドイツ語に不自由だったために、本当に大変な出産となりました。しかし、移民国家であるドイツでは「ドイツ語の話せない患者」は珍しくないので、みんなに親切にしてもらいながら無事に出産にたどり着くことができました。私は、沢山の人に質問して、ネットで調べて、役所に何度も足を運んで制度を教えてもらって…と、今から思い返しても非常にタフな出来事でした。ドイツの産婆さん“Hebamme”妊娠がわかって、一番力になってくれたのが“Hebamme(ヘバメ)”と言われる職種の方です。いわゆる産婆さんです。ドイツでは産婆さんにかかる費用も保険で賄うことができます。このHebammeさんは、出産前から定期的に家に来てくれて、妊婦の診察をしてくれます。それに加えて、出産前に何を準備すべきなのか、などの指導をしてくれます。ただ、Hebammeさんは保育園並みに競争率が高いです。何ヵ所にも電話をかけて、ようやく見つかって来てくれたのは2児のママで30代前半の若いHebammeさんでした。いつもチャリンコで汗かきながらやってきて、ずっと笑顔で前向きな発言しかしない、明るい人でした。筆者の家族を担当してくれた明るいHebammeさん私の家族を担当してくれたHebammeさんは、出産前後の指導だけでなく、普段の生活のことでも全力でサポートしてくれる、熱い人でした。たとえば、注文したソファに不具合があったときも、代わりに電話で抗議してくれて、あっという間に新品に取り替えてもらったこともありました。妻が、切迫早産で3回、大学病院に緊急入院になったときも、毎回顔を出しに来てくれて、病棟の看護師さん達に「くれぐれも優しく対応してほしい」と言い続けてくれました。また、夜中に緊急で帝王切開になったときも駆けつけてくれたし、本当に力強い味方になってくれました。出産後も、赤ちゃんの洗い方からオシメの替え方まで、つきっきりで指導してくれました。彼女のおかげでドイツでの出産のストレスがどれだけ軽減できたかわかりません。核家族化の進むドイツでは、Hebamme制度は必須のシステムといえます。Hebammeさんには、「何がなんでも妊婦の味方になるんだ」という熱い人が多いそうです。その他、ドイツのシステムに助けられたことが多々ありましたので、次回も思い出しながら書いていきたいと思います。

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向精神薬が膀胱機能に及ぼす影響~メタ解析

 イタリア・パルマ大学のMargherita Trinchieri氏らは、向精神薬が膀胱機能に及ぼす影響を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Neurourology and Urodynamics誌オンライン版2021年5月18日号の報告。 向精神薬で治療された患者における治療誘発性尿路障害に関するランダム化比較試験を、PubMedおよびEmbaseより検索し、システマティックレビューを実施した。 主な結果は以下のとおり。・52件の研究が抽出された。・抗うつ薬治療では、畜尿症状ではなく、膀胱排尿症状の出現がより頻繁に認められた。・プール分析では、プラセボと比較し、排尿症状のオッズ比(OR)が高かった(OR:3.30、信頼区間[CI]:1.90~5.72、7,856例、p<0.001)。・排尿機能障害の割合は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と比較し、三環系抗うつ薬、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)のほうが高かった。・抗精神病薬治療では、排尿、畜尿障害を含む不均一な尿障害との関連が認められた。・抗精神病薬治療中の認知症患者の尿失禁のORは、プラセボよりも高く(OR:4.09、CI:1.71~9.79、p=0.002)、抗精神病薬間での差は認められなかった。・排尿障害の割合は、定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬との間に差は認められなかったが(OR:1.64、CI:0.79~3.39、p=0.19)、クエチアピンは、他の非定型抗精神病薬よりも排尿機能障害を起こす可能性が高かった(OR:2.14、CI:1.41~3.26、p>0.001)。 著者らは「三環系抗うつ薬またはSNRIで治療中の患者でみられる膀胱排尿障害は、泌尿器系疾患の症状ではなく、向精神薬治療による副作用の可能性がある。これらの薬剤で治療を行った患者では、尿症状の出現を積極的にモニタリングする必要がある。また、抗精神病薬治療による尿関連副作用では、状況に応じた対処が求められる」としている。

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事例029 ベシケアOD錠の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説神経因性膀胱にて当診療所に通院する患者に、抗コリン剤のベシケアOD錠(一般名:コハク酸ソリフェナシン)を処方したところ、主に病名不足を理由とされるA事由(医学的に適応と認められないもの)にて査定となりました。査定理由を調べるためにカルテを参照したところ、神経因性膀胱に伴う頻尿に対し、初診翌月に薬剤の処方変更を実施されたことが記載されていました。抗コリン剤は「神経因性膀胱に伴う頻尿に適応があるはず」と添付文書を確認してみました。効能または効果には「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿および切迫性尿失禁」と記載されています。しかし、「神経因性膀胱」の文字はありませんでした。神経因性膀胱に伴う症状としての過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿および切迫性尿失禁に対して適用となることが読み取れます。したがって、神経因性膀胱のみでは、薬剤投与の説明に不十分と判断されてA事由にて査定となったことが推測できます。この診療所では、過去に「余分な病名を付けてレセプト請求はしない」との指導があったために、「神経因性膀胱」のみの病名でレセプト提出をしていました。症状を補記して再審査をしましたが原審通りとなりました。限定された症状に対する薬剤を投与する場合には、添付文書に記載された適応となる症状が説明できる病名や症状詳記が必要とされたようです。医療安全を考え、医師に対しては、投薬後のチェックではなく同剤処方時に留意されるようにご理解をいただき、処方時に適用とされる症状にそった病名が入力されていない場合にはアラートが表示されるように薬剤処方システムに登録し、レセプトチェックシステムにも同様の注意が表示されるように改修して査定対策としました。

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認知症患者におけるAChEI治療と抗ムスカリン薬処方カスケード

 アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)による治療では、過活動膀胱(OAB)の治療のために抗ムスカリン薬による治療を開始しなければならないリスクが増加することが知られている。米国・ヒューストン大学のPrajakta P. Masurkar氏らは、認知症高齢者におけるAChEI治療と抗ムスカリン薬処方カスケードとの関連を調査した。Drugs & Aging誌オンライン版2021年5月24日号の報告。 対象は、AChEI(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)治療を行った65歳以上の認知症高齢者。2005~18年の米国TriNetXレセプトデータベースを用いて、レトロスペクティブコホートを実施した。2006年1月~2018年6月に各AChEIを使用開始した患者を確認した(ウォッシュアウト期間:1年間)。AChEI使用開始前1年に抗ムスカリン薬の使用またはOAB診断を受けた患者は除外した。主要アウトカムは、AChEI使用開始6ヵ月以内の抗ムスカリン薬の使用とした。AChEI治療と抗ムスカリン薬処方カスケードとの関連の評価には、いくつかの共変量でコントロールした後、Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は、4万7,059例。・薬剤別のAChEI使用率は、ドネペジル83.1%、リバスチグミン12.3%、ガランタミン4.6%であった。・抗ムスカリン薬の使用またはOAB診断を受けた患者は、全体で8.16%であった。・AChEI使用開始6ヵ月以内に抗ムスカリン薬を使用した患者は、1,725例(3.7%)であった。薬剤別では、ドネペジル3.9%、リバスチグミン2.6%、ガランタミン2.9%であった。・Cox比例ハザード分析では、ドネペジル使用患者は、リバスチグミン使用患者と比較し、抗ムスカリン薬使用リスクが高かった(調整ハザード比:1.55、95%CI:1.31~1.83)。・調査結果は、感度分析において一貫していた。 著者らは「ドネペジルは、リバスチグミンと比較し、抗ムスカリンカスケードを起こすリスクが高いことが示唆された。認知症における抗ムスカリンカスケードの潜在的な影響を明らかにするためには、今後の研究が必要とされる」としている。

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「シグマート」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第54回

第54回 「シグマート」の名称の由来は?販売名シグマート®錠2.5mgシグマート®錠5mg※シグマート注は錠剤のインタビューフォームと異なるため、今回は情報を割愛しています。ご了承ください一般名(和名[命名法])ニコランジル(JAN)効能又は効果狭心症用法及び用量ニコランジルとして、通常、成人1日量15mgを3回に分割経口投与する。なお、症状により適宜増減する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)(次の患者には投与しないこと)ホスホジエステラーゼ 5 阻害作用を有する薬剤(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)又はグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤(リオシグアト)を投与中の患者※本内容は2021年6月2日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2020年2月改訂(第11版)医薬品インタビューフォーム「シグマート®錠2.5mg・5mg」2)PLUS CHUGAI:製品・安全性

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直腸と膀胱を貫通させた、ある行為【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第187回

直腸と膀胱を貫通させた、ある行為Photo-acより使用おどろき医学論文の連載も200回近くになってきました。ここまで来ると、膀胱や直腸の異物ごときでは驚かなくなります。ただ、その両方の臓器がやられてしまった、となると話は別ッ!Hosni A, et al.A rectal foreign body: An unexpected cause of a rectovesical fistula with hematuriaUrol Case Rep . 2021 Feb 4;36:101596.50歳の男性が、尿閉を訴えて救急外来を受診しました。排尿障害の病歴はなく、とくにこれといった既往歴もなさそうです。とりあえず導尿をしてから、泌尿器科へコンサルトされました。尿閉どころか、肉眼的血尿が出てくるようになり、これはいよいよおかしいぞということで造影剤を用いてCT尿路検査が行われました。おや……おやや!ぞ、造影剤が、膀胱から直腸に流れているぞ……?――こ、これは「膀胱直腸瘻」だっ!患者に直腸出血の可能性はないかと尋ねましたが、答えはNOでした。また、骨盤内手術や結核などの慢性炎症の既往もありませんでした。直腸診でも、これといった異常もありませんでした。いや、なぜ直腸と膀胱に穴が開いているんだ。頼むから、隠していることを言ってくれ。そうお願いしたのでしょうか、再び患者に詳しい問診と検査を開始し始めたとき、こんな回答が返ってきました。「便秘の自己治療のために、長いブラシを肛門に突っ込んで使っていた」おかしな性癖があって異物を入れる症例は、過去何度も紹介してきましたが、便秘治療でブラシを突っ込んで膀胱直腸瘻をつくるって、あーた、どんなに強く入れたの!しかも、普通のブラシではなく、排水管の詰まりを取るような、長いアレです。あれを膀胱が貫通するほど突っ込んでいたということになります。膿瘍化したり重症化したりせずにこの症例は治癒に至りましたが、便秘のときに摘便するがごとくブラシを突っ込んでしまう事態、高齢者では起こる可能性があるため、注意が必要です。

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服薬・介護負担軽減のための課題抽出と用法の調整【うまくいく!処方提案プラクティス】第36回

 今回は、服用が複数回で服薬・介護負担が多いケースで、どのように改善策を立てて実行したのかを紹介します。単純に回数を減らすのではなく、現場における問題点から最善策を考え、薬剤師ならではの目線で医師に提案しましょう。患者情報80歳、女性(施設入居)基礎疾患混合型認知症、高血圧症、心房細動、慢性便秘症介護度要介護3服薬管理施設職員が管理障害自立度B-2、認知症自立度:IIIa処方内容 ※嚥下困難のため粉砕指示あり。1.ボノプラザン錠10mg 1錠 分1 昼食後2.アムロジピン錠5mg 1錠 分1 昼食後3.エドキサバン錠30mg 1錠 分1 昼食後4.エスゾピクロン錠2mg 1錠 分1 就寝前5.酸化マグネシウム錠500mg 2錠 分2 朝夕食後6.ガランタミン錠8mg 2錠 分2 朝夕食後7.ウラピジル徐放カプセル 1カプセル 分1 朝食後(本剤のみそのまま服用)本症例のポイントこの患者さんは、施設に入居する前から現在に至るまで上記の薬剤を服用しており、便秘症やBPSDの悪化などもなく経過は安定していました。しかし、1日の服用回数が4回と多いため、服薬管理上の問題が3点ありました。(1)この患者さんには嚥下困難があり、服薬をストレスに感じている。(2)食事と服薬に時間がかかるため、服薬介助の負担が大きい。(3)ほかの施設入居患者さんの薬のセットも増加しているため、服用当日の用法ごとに薬をセットする手間が増加している。そこで、患者さんの服薬負担や看護師の介護負担を減らすために服薬のタイミングをまとめる提案をすることにしました。また、その際に、現在服用している薬の投与継続の妥当性についても評価することにしました。【提案前の整理内容】(a)用法の調整介助の負担が集中する昼食後の薬と夕食後の薬のセットを減らしたいという話を看護師から聴取したため、昼食後の薬剤を朝食後に、夕食後の薬剤を就寝前に変更することを提案することにしました。(b)ボノプラザンの中止消化性潰瘍や逆流性食道炎の既往もないことから、投与継続の必要性は低く、むしろ胃酸分泌低下による腸管感染症、高ガストリン血症、吸収障害などが懸念されるため中止を提案することにしました。(c)低用量ウラピジル徐放カプセルの中止現在の排尿障害などの評価から中止が可能か検討しようと思いましたが、看護師との話し合いの中で、中止に伴う症状再燃などからの不穏の懸念があるため、中止提案はしないことにしました。処方提案と経過回診前のカンファレンスで医師に上記(a)と(b)の提案を伝えたところ、(a)の用法調整の件はその場で承認を得ることができました。(b)のボノプラザンの中止については、医師とカルテ情報を閲覧し、抗凝固薬服用に伴う消化管出血予防が目的だと推察しました。しかし、過去に消化性潰瘍や逆流性食道炎はなく、医師の見解としてエドキサバンはアスピリンなどと比較して潰瘍リスクは低いため、食事摂取や生活への悪影響を考慮して中止となりました。その後、施設看護師の服薬管理の負担が軽減し、患者さんも服用の回数が減ったことで心理的な負担が減って楽になったと聞き取りました。また、ボノプラザン中止後の胃部不快感や胃痛などの症状もなく経過しています。

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