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主任教授 森田峰人先生の答え

子宮内膜症と低用量ピルについて子宮内膜症の治療で低用量ピルを使用することもあるかと思いますが、副作用の発現はどうでしょうか?私自身は内膜症を診るわけではないのですが、患者さんから相談を受けることがあるので、症例数が多いであろう大学病院臨床現場での状況を知りたいです。宜しくお願いします。OC(ピル)はエストロゲン+プロゲストーゲンの配合剤であることはご存じと思います。これらのホルモン依存性に副作用が発生すると考えられます。一般的にエストロゲンとしてエチニルエストラジオールが、プロゲストーゲンとしてノルエチステロン、デソゲストレル、レボノルゲストレルがあり、OCの種類によってこれらの組み合わせや1相性、2相性、3相性が存在します。一般的にエストロゲン依存性の副作用としては、悪心・嘔吐、頭痛、水分貯留、帯下増加などが、プロゲストーゲン依存性の副作用としては、倦怠感、抑うつ感、乳房緊満感などが、アンドロゲン依存性(プロゲストーゲンには男性ホルモン活性があります)の副作用として、体重増加、ニキビ、食欲亢進、性欲亢進、男性化兆候などがあります。これらの副作用発現率は各種プロゲストーゲンの種類により異なるとは思いますが、全体的な副作用発現率として、悪心・嘔吐は1.2~29.2%、頭痛は3.4~15.7%、体重増加は0.8~2.2%、乳房緊満感は0.1~20%等となっており、これらのマイナートラブルは、通常、3か月以内で消失するともいわれています。子宮内膜症患者さんの月経痛改善のための効果ですが、ほとんどの場合効果はあると感じています。しかしながら、OCの各種副作用の発現により、継続しての服用が困難になる場合もあります。そのような場合には、OCの種類を変更することで継続服用が可能になる場合が多々あり、1種類のOCがダメであってもあきらめる必要はありません。子宮頸がんワクチンの効果・副反応について最近、子宮頸がんワクチン接種に関して助成金が出るとか出さないとか、何かと話題になっていますが、そもそもこのワクチン、実際の効果は如何なものなのでしょうか?「日本人には合わない」などおっしゃっている先生もいるようです。また、副反応についても現場の見解を知りたいと思っています。差し支えない範囲で結構ですのでご教授お願いします。現在使われているワクチンはHPVの遺伝子型が16と18に対するものです。日本人の子宮頸がんに関連するHPV遺伝子型が16と18であるものは58.8%(16型44.8%+18型14.0%)と報告されています。海外の報告では16/18が70.7%(16型53.5%+18型17.2%)で、その他31,33,35,51,52,53,56,58,59,68の10の型が31.2%に検出され、その他の型が9.0%であったとなっています。日本人の統計で、このワクチンでHPV16/18型の感染による子宮頸がんの発生を予防できる全体に占める割合は60%弱ということになります。よって、16/18による子宮頸がん発生を100%抑制できるとして、ハイリスクHPV感染者の0.15%ががんになるのを防げる場合の、費用対効果がどうなるのかは現在のところはっきりしていません。さらに大切な事として、日本における子宮頸がん検診率は23%程度であり、この健診率を先進国並みの60~82%に持って行く方法を考える必要があると思います。副反応に関しましては、全てのワクチンに言えることですが、何らかの重篤な合併症が引き起こされる可能性は否定できません。一般的な副反応として、局所の疼痛や発赤は90%程度に認められておりますが、当院での接種に際しては、幸いなことに重篤な副反応には遭遇しておりません。今後、これらの副反応に関しましても日本におけるデータが集積されてくるものと思います。研修について産婦人科医を目指している医学生です。産婦人科医になるにあたり、小児科(NICU)を経験した方が良いと聞きます。また、病院によっては一定期間NICUへ行かせてくれるところもあると聞きます。大森病院さんでも、このように小児科(NICU)のことを勉強したり、経験したりする機会はあるのでしょうか?ホームページを拝見しましたが、その辺の情報がなかったので教えて頂ければと思います。東邦大学医療センター大森病院でも小児科(NICU)のことを勉強したり、経験したりすることになります。産婦人科のホームページで「入局希望の方へ」を見て頂くと「後期研修プログラム」として1年目に「産科・周産期」と記載してありますが、この期間に3か月間、新生児科(NICU/GCU)の研修を行うことになります。また、後期研修期間中に、「腫瘍」「生殖内分泌」を専門医レベルまで習得してもらうために、2年目「腫瘍」、3年目「生殖内分泌」を主な研修期間としてトータルで3年間での研修計画をたてています。その後に、さらに新生児科での研修を希望される場合には、適時相談により、更に高度な新生児科での研修を行うことも可能です。産科婦人科の専門領域について初期研修中の者です。最近、産婦人科医に興味を持つようになりました。産婦人科の専門領域を大きく分けると、周産期、婦人科腫瘍、生殖医学の3つと教わりましたが、どれを専門にするのか?を決めるのは、通常どの位のタイミングなのでしょうか?また、森田先生はいつ頃、どんな理由で今の専門(婦人科腫瘍でしょうか?)に決めたのでしょうか?場違いな質問でしたら申し訳ありません。宜しくお願いします。後期研修として産婦人科に進んだ場合、まず目指していただくのは産婦人科専門医です。当院でもまずはそれを第1目標にしています。通常、後期研修3年間(初期研修2年とあわせて卒後5年)が終了した時点で専門医の受験資格ができます。それまでは、「周産期」「腫瘍」「生殖内分泌」の3本の柱をしっかりと研修し、専門医取得を目指します。通常は、その後に専門性のあるサブスペシャリティの各種指導医や認定医取得、および研究などを行うことになります。自分自身の場合は、卒業が27年前ですので、現在のような初期研修、後期研修制度はなく、卒業して直ちに医局に入局し、2年間の研修医、その後2年間の関連病院での研修の後に、卒後5年目に大学に帰局して研究を始めるとともに、当時、黎明期であった婦人科内視鏡に興味を持ち、臨床では生殖医療や関連する子宮内膜症、子宮筋腫などの診療に携わってきました。自身のおかれている環境によっても、これら専門領域選択に適切な時期や場所が大きく異なる可能性もあります。まずは、興味を持ち、かつ、その領域にすすむ事ができる環境にあるかどうかの見極めは大切なことでないかと思います。また、産婦人科としてのジェネラリストを目指すという道もあります。妊娠糖尿病患者を診るときに気をつけること妊娠糖尿病患者を診るときに気をつけていることがありましたらご教授下さい。特に糖尿病専門医との連携方法で気をつけていることや、こうすると上手く行く!といったノウハウをお聞きしたいと思っております。私の病院には糖尿を診れる医師はいないため、いつも他院の先生方との連携になってしまいます。どのように連携するのが良いのか毎日模索している日々です。ご教授お願いします。ご質問いただきました内容に関して、的確にお応えできる回答を持ち合わせておりませんが、他院の先生と連携をとって妊娠糖尿病患者を診ておられるご苦労は大変かと思います。ご存じの対応であるとは思いますが、妊娠糖尿病患者に対しては、食事指導、運動療法からはじまり、妊娠中の運動療法は比較的制限を受けることから、食事療法のみで血糖コントロールが目標に到達しない場合には、迷うことなくインスリン療法を開始する、ということに尽きると思います。男性産婦人科医が気をつけること産婦人科は、女性医師と違って男性医師は色々と気を遣わないといけない科だと思います。先生が男性産婦人科医として気をつけている点を教えてください。産婦人科の診察対象は女性生殖器であることから、最近は、女性医師の診察を希望する患者さんも増加しています。まず、大切なことは、不安を抱いている患者さんに対して、出来るだけその不安を取り除き、適切な診療ができる環境を作り出すことにあります。一言で言い表すのは難しいですが、常に、そのような気持ちで患者さんと接するよう心がけています。また、男性医師は、診察の場面では必ず女性の看護師を同席させることも忘れてはならない事です。日本の産婦人科領域の臨床研究レベルについて海外に比べた時、日本の産婦人科領域の臨床研究はどの位の位置にいるのでしょうか?また、海外への留学は必要なのでしょうか?僕はまだ医学生なのですが、将来は先生のように研究も臨床もでき、多くの患者さんのライフスタイルにあった治療提案ができるドクターになりたいと思っています。日本の産婦人科領域の臨床研究レベルは決して諸外国に劣っているとは思いません。しかし、日本人であるが故の不利な点があります。世界で研究に対する評価を得るためには英文論文の執筆は不可欠です。しかしながら、日本ではやはり主に日本語による論文執筆が先になり、英文は後回しになる傾向があるように思えます。もちろん、英文の論文を多数輩出している優れた日本人研究者もたくさんいらっしゃいますが、大変な努力が必要であることは事実です。海外への留学に関する事ですが、この留学は研究留学のことと理解してコメントします。留学には、研究留学と臨床留学がありますが、現在、大多数を占めるのは大学医局からの研究留学です。しかし、研究留学は目的意識を高く持たないと得るものは少ないと思われます。必ずしも留学が必要である理由は存在しないと思います。臨床遺伝について大森病院さんのホームページで、臨床遺伝についての記載がありますがもう少し教えて頂けないでしょうか?今大学病院では、具体的にどんな研究や取り組みが行われているのか?どのような成果を上げているのか興味あります。是非宜しくお願いします。近年、疾患に限らず生命現象ほとんどが遺伝子によって制御されていることが解明され、注目を浴びています。臨床遺伝学は、基礎遺伝学(いわゆる遺伝学)と臨床をつなぐ重要な分野として発展してきています。さらに最近では、生活習慣病などの多因子疾患も、遺伝子が関与している事が判明しています。しかし、遺伝学的検査を行うときに、十分な説明がなされず、施行されたり、結果を適切に判断することが出来ず、誤った説明などがなされ、時に、患者、その家族に誤解を招く場合があります。大森病院には、日本人類遺伝学会、遺伝カウンセリング学会認定の、臨床遺伝専門医が2名(いすれも産婦人科医)がおり、専門医研修施設に認定されています。産婦人科領域、生殖遺伝(挙児希望、習慣流産など)、周産期遺伝(出生前診断、高齢妊娠など)を中心に、火曜日午後、遺伝相談外来として対応しています。また、内科、外科など他科の担当医と協力し、横断的に、遺伝学的検査施行時、結果説明時など患者、その家族と話し合う機会を設けています。窓口は、産婦人科外来となっており、電話にて担当医と受診の予約についてお話しいただけます。妊娠を控えている慢性腎臓病実臨床にて妊娠を控えている慢性腎臓病の患者に対してどのような降圧剤を選択するのがベストか、臨床研究などの結果があれば教えていただければ幸いです.まず、慢性腎臓病合併妊婦では早期に妊娠高血圧症候群をおこして、母児共に予後が悪い事はよく知られております。したがいまして、妊娠前に十分に腎機能検査を行い、GFR 50ml/分以下、血清クレアチニン1.5mg/dl以上、血清尿酸値6.0ng/ml以上、降圧剤投与での血圧160/110mmHg以上、あるいは腎生検にて活動性病変のある者には妊娠を許可すべきではありません。これらの条件をクリアして、血圧の管理を行い、拡張期血圧を90~100mmHgの範囲に、収縮期血圧155~160mmHgを超えない事を目標に、妊娠が成立しても継続して投与が可能な薬剤を選択する事が望まれます。第1選択はヒドララジンもしくはメチルドパになります。また、妊婦に対してはACE阻害剤、アンギオテンシン受容体拮抗薬は禁忌であり、妊娠前にこれらの薬剤によりコントロールされている場合には薬剤の変更が必要になります。したがいまして、妊娠を目指して降圧剤を使用する場合にはヒドララジンもしくはメチルドパによる良好なコントロールがその後の管理が行いやすい状況にすると思われます。月経か否か性器出血が主訴の患者さんで性成熟期で子宮がある場合、どれが月経なのか不正性器出血なのか分からないと言われます。まず頚部・内膜の細胞診はとり、経膣エコーを見るかと思いますが、産婦人科として出血が月経かどうかを判断する術はあるでしょうか。産後の不正出血などでも(明らかな遺残ではなく)それが月経なのか何なのか判断に迷うことがあります。お教えいただけないでしょうか。 性器出血の様子だけから判断することは困難です。出血の様子に加え経腟超音波所見は重要で、特に子宮内膜の状態は評価に大きく役立ちます。患者さんのもともとの月経周期や体型なども判断材料になる機会は少なくありません。総合的に評価することとなります。総括たくさんの、また様々な内容のご質問をいただきありがとうございました。産婦人科の3本柱は、「周産期」「腫瘍」「生殖内分泌」であり、まだまだ伝えきれないほどの魅力ある診療および研究分野がたくさんあります。少しでも興味を持って、産婦人科の世界に入ってきてくれる人たちが増えてくれることを願っています。主任教授 森田峰人先生「産科婦人科最先端治療は患者個々への対応が決め手」

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ACE阻害薬+Ca拮抗薬、高リスク高血圧におけるCKD抑制効果が明らかに:ACCOMPLISH試験2次解析

 ACE阻害薬ベナゼプリル(商品名:チバセンなど)とCa拮抗薬アムロジピン(同:ノルバスク、アムロジンなど)の併用は、心血管疾患のリスクが高い高血圧患者において慢性腎臓病(CKD)の進行の抑制効果が高いことが、アメリカChicago 大学Pritzker医学校のGeorge L Bakris氏らが実施したACCOMPLISH試験の2次解析で明らかとなった。本試験は、主解析でベナゼプリルとアムロジピンの併用が、ベナゼプリルと利尿薬ヒドロクロロチアジド(同:ニュートライドなど)の併用よりも心血管疾患罹患率および死亡率の改善効果が優れることが示されたため、平均フォローアップ期間2.9年の時点で早期中止となっている。進行期腎症ではRA系抑制薬と利尿薬の併用で降圧効果が得られることが多くの試験で示されているが、CKDの進行に対する固定用量による降圧薬併用の効果を検討した試験はないという。Lancet誌2010年4月3日号(オンライン版2010年2月18日号)掲載の報告。CKDの進行を評価する事前に規定された2次解析 ACCOMPLISH試験は高リスク高血圧患者を対象としたプロスペクティブな二重盲検無作為化試験。今回、研究グループは、本試験の事前に規定された2次解析として固定用量のベナゼプリル+アムロジピンとベナゼプリル+ヒドロクロロチアジドのCKD抑制効果について評価した。 2003年10月~2005年5月までに、5ヵ国(アメリカ、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド)から心血管イベントのリスクが高い55歳以上の高血圧患者11,506例が登録された。これらの患者が、ベナゼプリル(20mg/日)+アムロジピン群(5mg/日)群(5,744例)あるいはベナゼプリル(20mg/日)+ヒドロクロロチアジド(12.5mg/日)群(5,762例)に無作為に割り付けられた。 用量は、推奨目標血圧を達成するように、無作為割り付け後1ヵ月が経過して以降は個々の患者の病態に応じて漸増した。事前に規定されたエンドポイントであるCKDの進行は、血清クレアチニン値の2倍化あるいは末期腎不全の発症(推定糸球体濾過率<15mL/分/1.73m2あるいは要透析の診断)と定義した。ACE阻害薬+Ca拮抗薬でCKDの進行が48%抑制 試験終了時点で、143例(1%)のフォローアップが完遂できなかった(ベナゼプリル+アムロジピン群70例、ベナゼプリル+ヒドロクロロチアジド群73例)。無作為割り付けされたすべての症例がintention-to-treat解析の対象となった。 CKDの進行がみられたのは、ベナゼプリル+アムロジピン群が113例(2.0%)と、ベナゼプリル+ヒドロクロロチアジド群の215例(3.7%)に比べ有意に低下した(ハザード比:0.52、p<0.0001)。 CKD患者で最も高頻度にみられた有害事象は、末梢浮腫[ベナゼプリル+アムロジピン群33.7%(189/561例)、ベナゼプリル+ヒドロクロロチアジド群16.0%(85/532例)、p<0.0001]であった。CKD患者における血管浮腫の頻度は、ベナゼプリル+アムロジピン群の方が高かった(1.6% vs. 0.4%、p=0.04)。 非CKD患者では、ベナゼプリル+ヒドロクロロチアジド群でめまい(20.3% vs. 25.5%、p<0.0001)、低カリウム血症(0.1% vs. 0.3%、p=0.003)、低血圧(2.3% vs. 3.4%、p=0.0005)の頻度が高かった。 著者は、「ベナゼプリル+アムロジピン併用療法は、腎症の進行をより遅らせるため、ベナゼプリル+ヒドロクロロチアジド併用療法よりも優先的に考慮すべきである」と結論し、「これらの併用降圧治療のCKD抑制効果の優劣を確立するには、さらに進行した腎症を対象としたプロスペクティブ試験を行う必要がある」としている。

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利尿薬ベースの降圧療法、セカンドライン選択は?:住民ベースの症例対照研究

米国ワシントン大学心血管ヘルス研究ユニットのInbal Boger-Megiddo氏らは、利尿薬を第一選択薬とし降圧療法を受けている高血圧患者の、併用療法移行時の選択薬は、β遮断薬、Ca拮抗薬、RA系阻害薬いずれが至適かを明らかにするため、心筋梗塞および脳卒中の発生率を主要評価項目に、住民ベースの症例対照研究を行った。結果、Ca拮抗薬追加群の心筋梗塞発生リスクが、他の2群よりも高いことが明らかになったという。BMJ誌2010年2月6日号(オンライン版2010年1月25日号)より。症例群353例、対照群952例で検討研究グループは本研究を実施した背景について、「ALLHAT試験で、低用量利尿薬が第一選択薬としてCa拮抗薬やRA系阻害薬よりも優れていることが示唆され、そのエビデンスを踏まえたガイドラインが米英で作成されている。一方で、降圧療法を受ける高血圧患者の半数は併用療法を要する。だが利尿薬ベースの患者の心血管疾患予防を見据えたセカンドラインの選択薬はどれが至適か明らかになっておらず、米国NHLBI(National Heart, Lung, and Blood Institute)は、試験実施の勧告を出しているが、いまだ実施されていない」と述べている。試験は、ワシントン州シアトル市に拠点を置くヘルスケアシステム「Group Health Cooperative」の加入者データから、症例群353例、対照群952例の被験者を選定し行われた。症例群は、30~79歳の降圧療法を受けていた高血圧患者で、1989~2005年に致死性または非致死性の初回の心筋梗塞か脳卒中を発症したと診断記録があった人だった。対照群は、降圧療法を受けていた高血圧患者が無作為にGroup Health Cooperative加入者から選ばれた。なお、心不全、冠動脈疾患、糖尿病、慢性腎不全患者は除外された。+Ca拮抗薬は心筋梗塞リスクを増大する結果、心筋梗塞リスクについて、利尿薬+Ca拮抗薬群が、+RA系阻害薬群、+β遮断薬群よりも高いことが認められた。+β遮断薬群を基準とした、+Ca拮抗薬群の心筋梗塞リスクの補正後(年齢、性、服薬期間、喫煙、飲酒)オッズ比は、1.98(95%信頼区間:1.37~2.87)だった。脳卒中リスクについては、増大は認められず、オッズ比は1.02(同:0.63~1.64)だった。一方、+RA系阻害薬群の心筋梗塞および脳卒中リスクは、ともに有意ではなかったものの低く、心筋梗塞リスクの同オッズ比は0.76(同:0.52~1.11)、脳卒中は0.71(同:0.46~1.10)だった。研究グループは結果を踏まえ、「低リスクの高血圧患者を対象とした本試験で、セカンドラインにCa拮抗薬を選択することは、他の薬剤を選択するよりも心筋梗塞リスクが高いことが明らかになった。この結果はNIHCE(National Institute for Health and Clinical Excellence)ガイドラインを支持するもので、米国NHLBIが勧告する大規模試験を行うべきであろう」とまとめている。

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急性心筋梗塞後の抗血栓薬の併用数が多いと出血リスクが高まる

 初回心筋梗塞患者では、使用された抗血栓薬の数が多くなるに従って出血による入院のリスクが増大することが、デンマークCopenhagen大学Gentofte病院循環器科のRikke Sorensen氏らによる調査で明らかとなった。急性心筋梗塞の発症後は、虚血イベントの低減を目的にアスピリン(商品名:アスピリンなど)とクロピドグレル(同:プラビックス)の併用投与が推奨されているが、さらにビタミンK拮抗薬(同:ワーファリンなど)の追加が適応となる場合もある。一方で、抗血栓薬の多剤併用療法は出血リスクを高めるというジレンマがあるが、これまでに実施された臨床試験では主に効果に焦点が当てられ、安全性に関する検討は乏しいという。Lancet誌2009年12月12日号掲載の報告。初回心筋梗塞患者4万例を後ろ向きに解析 研究グループは、急性心筋梗塞に対する抗血栓療法に関連した出血による入院のリスクを検討するために、デンマークの全国的な登録データを基にレトロスペクティブな解析を行った。 2000~2005年までに初回心筋梗塞で入院した30歳以上の患者40,812例が解析の対象となった。退院時に処方されたレジメンによって、アスピリン、クロピドグレル、ビタミンK拮抗薬の単剤療法、アスピリン+クロピドグレル、アスピリン+ビタミンK拮抗薬、クロピドグレル+ビタミンK拮抗薬の2剤併用療法、これら3剤の併用療法に分類した。 薬剤曝露を時変的共変量とするCox比例ハザードモデルを用いて、出血による入院、心筋梗塞の再発、死亡について評価した。出血リスクは、アスピリン単剤が最も低く、クロピドグレル+ビタミンK拮抗薬併用群と3剤併用で実質的に高い 平均フォローアップ期間476.5日における出血による入院率は4.6%(1,891/40,812例)であった。 年間出血発生率(/人・年)は、アスピリン単剤群が2.6%と最も低く、クロピドグレル単剤群は4.6%、ビタミンK拮抗薬単剤群は4.3%、アスピリン+クロピドグレル併用群は3.7%、アスピリン+ビタミンK拮抗薬併用群は5.1%、クロピドグレル+ビタミンK拮抗薬併用群は12.3%であり、3剤併用群は12.0%であった。クロピドグレル+ビタミンK拮抗薬併用群と3剤併用群は実質的に発生率が高かった。 アスピリン単剤群をreferenceとすると、出血の補正ハザード比はクロピドグレル単剤群が1.33、ビタミンK拮抗薬単剤群が1.23、アスピリン+クロピドグレル併用群が1.47、アスピリン+ビタミンK拮抗薬併用群が1.84、クロピドグレル+ビタミンK拮抗薬併用群が3.52、3剤併用群は4.05であった。ビタミンK拮抗薬単剤群を除き、アスピリン単剤群よりも有意に出血リスクが高かった。 1年に1例の出血が発現するのに要する抗血栓療法施行例数は、アスピリン+クロピドグレル併用群が81.2例、アスピリン+ビタミンK拮抗薬併用群が45.4例、クロピドグレル+ビタミンK拮抗薬併用群が15.2例、3剤併用群は12.5例であり、クロピドグレル+ビタミンK拮抗薬併用群と3剤併用は実質的に出血リスクが高かった。 試験期間中に心筋梗塞を再発あるいは死亡した症例の割合は、非致死的出血が見られなかった群の18.4%(7,178/38,960例)に対し、非致死的な出血をきたした群は37.9%(702/1,852例)と有意に高かった(ハザード比:3.00、p<0.0001)。 著者は、「心筋梗塞患者では、使用された抗血栓薬の数が多くなるにしたがって出血による入院のリスクが増大した」と結論したうえで、「3剤の併用やクロピドグレルとビタミンK拮抗薬の併用療法は、個々の患者のリスクを徹底的に評価し、リスク/ベネフィット比を注意深く考慮したうえでなければ処方すべきでない」と指摘する。

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高用量ARBが、ACE阻害薬に不耐容の心不全患者の臨床転帰を改善:HEAAL試験

 高用量のロサルタン(商品名:ニューロタン)は低用量に比べ、ACE阻害薬に不耐容の心不全患者において心不全による入院率および死亡率を有意に低減させることが、アメリカTufts大学医学部Tufts医療センターのMarvin A Konstam氏らが実施した無作為化試験(HEAAL試験)により明らかとなった。アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)は、ACE阻害薬併用の有無にかかわらず心不全患者の合併症発生率や死亡率を低減し、左室駆出率(LVEF)を改善することが示されているが、これらの臨床試験は1種類の用量の評価にすぎないため、種々の用量のレジメンのうちの至適用量や相対的なリスク/ベネフィットのプロフィールの指針とはならないという。心不全患者に対するARB治療では、高血圧治療に使用される通常用量よりも高用量のほうが臨床転帰は改善される可能性が指摘されていた。Lancet誌2009年11月28日号(オンライン版2009年11月17日号)掲載の報告。ロサルタンの高用量と低用量を比較する二重盲検試験 HEAAL試験の研究グループは、ARBの一つであるロサルタンを用い、心不全患者の臨床転帰の改善効果は高用量と低用量のいずれが優れるかを検討する二重盲検無作為化試験を実施した。 2001年11月~2005年3月までに、30ヵ国255施設からNYHAクラスII~IV、LVEF<40%で、ACE阻害薬に不耐容の心不全患者3,846例が登録された。これらの患者が、ロサルタン150mg/日を投与する群(1,927例)あるいは50mg/日を投与する群(1,919例)に無作為に割り付けられた。 無作為割り付けの際に、施設およびβ遮断薬の併用の有無で層別化が行われ、患者、医師ともに割り付け情報は知らされなかった。主要評価項目は死亡および心不全による入院の複合エンドポイントとした。高用量群で死亡および心不全による入院が有意に低減、ARB漸増法は有用 両群とも、データの質の不良により6例ずつが除外された。フォローアップ期間中央値4.7年の時点で、死亡および心不全による入院の割合は50mg群の46%(889/1,913例)に対し、150mg群は43%(828/1,921例)と有意に低減した(ハザード比:0.90、p=0.027)。 主要評価項目の2つの構成因子のうち、死亡については有意な差はなかった[150mg群:33%(635/1,921例) vs. 35%(665/1,913例)、ハザード比:0.94、p=0.24]が、心不全による入院は高用量群が低用量群よりも有意に優れた[150mg群:23%(450/1,921例) vs. 26%(503/1,913例)、ハザード比:0.87、p=0.025]。 Kaplan-Meier法による主要評価項目の累積発現率は、150mg群では1年後11.7%、2年後21.4%、3年後28.9%、4年後35.7%であり、50mg群はそれぞれ13.3%、24.4%、31.5%、38.9%と推移した(ハザード比:0.90、p=0.027)。サブグループ解析では、高血圧の既往歴のない心不全患者では、高用量群が低用量群よりも有意に臨床転帰が優れた(p=0.01)。 高用量群で、腎不全(150mg群:454例 vs. 50mg群:317例)、低血圧(203例 vs. 145例)、高カリウム血症(195例 vs. 131例)が多く見られたが、これらの有害事象によって高用量群の治療中止例が有意に増加することはなかった。 著者は、「ロサルタン150mg/日は、50mg/日に比べACE阻害薬不耐容の心不全患者の死亡および心不全による入院の割合を有意に低減した」と結論し、「これらの知見は、臨床的ベネフィットがもたらされるまでARBを漸増する方法の有用性を示す」と指摘している。

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アンジオテンシンII受容体拮抗薬ミカルディス欧州委員会より追加適応の承認を取得

ドイツ・ベーリンガーインゲルハイム社は27日(現地時間)、欧州委員会より、アンジオテンシンII受容体拮抗薬ミカルディス(一般名:テルミサルタン)が、「I.アテローム性動脈硬化性疾患(冠動脈心疾患、脳卒中、閉塞性動脈硬化症)または II.臓器障害を合併する2型糖尿病 を有する患者での心血管疾患発現リスクの減少」の追加適応を承認されたと発表した。今回の承認は、臨床試験ONTARGETを中心とした臨床データに基づいたもの。この試験では、心血管イベント高リスク患者25,620例を対象に、ミカルディスについて、心血管イベントの抑制効果を有するARBの中で唯一の治療選択肢として検証が行われた。また従来ゴールデンスタンダード(標準治療薬)であったラミプリルと比べて忍容性が高く、優れたアドヒアランスも示されたとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.boehringer-ingelheim.co.jp/com/Home/Newscentre/pressrelease/news_detail.jsp?paramOid=9872

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高血圧症治療薬「COZAAR」の高用量投与により総死亡および心不全による入院リスクが減少する

米国メルク社は、11月にオーランドで開催された第82回米国心臓協会(AHA: American Heart Association)学術集会において、高血圧症治療薬「COZAAR(一般名:ロサルタンカリウム錠)」の高用量投与による試験「HEAAL(Heart failure Endpoint evaluation of the A-II-Antagonist Losartan)」の結果を発表した。日本法人である万有製薬株式会社が2日に公表した。HEAAL試験の結果は11月17日(現地時間)、第82回米国心臓協会学術集会のレイトブレイキングセッションで発表された。HEAAL試験は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬に忍容性のない心不全患者を対象に、COZAAR(日本販売名:ニューロタン錠/一般名:ロサルタンカリウム)の2種類の用量(50mg、150mg)における安全性および有効性について、30ヵ国255施設で実施されたもの。この試験の結果、150mgの1日1回投与は、同錠50mgを1日1回投与した場合に比べ、総死亡または心不全による入院リスクを有意に減少させたという。COZAARは、米国では慢性心不全患者の治療に適応を有していない。HEAAL試験で用いられた150mgの服用はいかなる適応に対しても承認されていないが、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(AIIA)、心血管系治療薬として、「高血圧症の単剤治療または利尿薬を含む他の降圧剤との併用治療」「左室肥大を伴う高血圧患者の脳卒中リスク低減。但しこの効果は黒人患者に対しては適用されない」「2型糖尿病および高血圧患者における血清クレアチニンの上昇及び蛋白尿(尿中アルブミン/クレアチニン比300mg/g以上)を伴う糖尿病性腎症の治療。この治療において、COZAARは、血清クレアチニン値倍増または末期腎不全(透析あるいは腎移植の必要性)をエンドポイントとして、腎機能低下率を低減させる」3つの適応が承認されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2009/merck_1202.html

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新規経口抗血小板PAR-1阻害剤SCH 530348の第III相試験TRA-2゜P-TIMI 50への被験者登録完了

2009年11月13日(米国東部時間)、Merck & Co,Inc, Whitehouse Station, N.J, U.S.Aは、検討が進められている抗血小板プロテアーゼ活性化受容体1(PAR-1)阻害剤SCH 530348の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照国際試験であるTRA-2゜P-TIMI 50試験への被験者登録が完了したことを発表した。この試験は、Thrombolysis in Myocardial Infarction(TIMI)研究グループにより実施されていて、目標症例数である26,000名以上に達したとのこと。27日、統合会社のシェリング・プラウ株式会社が報告した。この試験では、心筋梗塞または脳卒中の既往がある患者または現在末梢動脈疾患がある患者に、現行の抗血小板薬(アスピリンまたはアスピリン+ADP 阻害剤)に加えてトロンビン受容体拮抗薬、PAR-1阻害剤であるSCH 530348を投与した場合の主要な心血管イベント発生の予防効果について評価する。SCH 530348は、Duke Clinical Research Instituteにより現在実施している急性冠動脈症候群(ACS)における臨床イベント減少を検討するトロンビン受容体拮抗薬試験(TRA- CER)において、急性冠動脈症候群の患者への投与についても検討が行われているという。詳細はプレスリリースへhttp://www.schering-plough.co.jp/press/index.html

509.

新規の血管拡張薬darusentan、治療抵抗性高血圧における降圧効果を確認

新規の選択的エンドセリンA受容体拮抗薬darusentanは、3剤以上の降圧薬を用いても降圧目標を達成できない治療抵抗性の高血圧患者にさらなる降圧をもたらすことが、アメリカNew York州立大学のMichael A Weber氏らが実施した無作為化試験で示された。治療抵抗性高血圧とは、利尿薬を含む3剤以上を推奨用量の上限または患者が耐用可能な最大用量まで使用しても降圧目標に到達しない場合と定義される。高血圧や糖尿病の患者の循環血中ではエンドセリン1が増加しており、その受容体を遮断するアプローチは治療抵抗性高血圧に有効な可能性があるという。Lancet誌2009年10月24日号(オンライン版2009年9月14日号)掲載の報告。117施設から登録された379例を3種の用量とプラセボに割り付け研究グループは、治療抵抗性高血圧患者における新たな血管拡張薬darusentanの降圧作用の評価を目的に、二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行った。北米、南米、ヨーロッパ、ニュージーランド、オーストラリアの117施設から、利尿薬を含む3剤以上を上限量または最大耐用量まで投与しても収縮期血圧が≧140mmHg[糖尿病あるいは慢性腎臓病(CKD)がある場合は≧130mmHg]の患者379例が登録された。これらの患者が、darusentan 50mg(81例)、100mg(81例)、300mmHg(85例)、プラセボ(132例)をそれぞれ1日1回、14週間投与する群に無作為に割り付けられた。患者とすべての研究者には治療割り付け情報は知らされなかった。主要評価項目は、坐位の血圧(収縮期/拡張期)の変化とした。利尿薬との併用療法が新たな有効な治療戦略となる可能性も無作為割り付けされた全例が解析の対象となった。治療前後における診察室血圧の低下の平均値は、darusentan 50mg群が17/10、100mg群が18/10、300mg群が18/11、プラセボ群は9/5mmHgであり、プラセボに比べdarusentanの有意な降圧効果が認められた(p<0.0001)。主な有害事象は体液貯留に関連するもので、浮腫あるいは体液うっ滞の発現率がプラセボ群の14%に比べdarusentanは27%と高頻度であった。プラセボ群の1例が心突然死をきたし、3つのdarusentan群を合わせて5例に心臓関連の重篤な有害事象が見られた。著者は、「3剤以上の降圧薬を用いても目標血圧に至らない患者において、darusentanはさらなる降圧をもたらす」と結論し、「darusentanに、体液貯留対策を兼ねて有効な利尿薬を併用するアプローチは、治療抵抗性高血圧に対する新たな治療戦略として有効な可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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ペメトレキセドによる維持療法、進行非小細胞肺がんに対する有用性を確認

進行非小細胞肺がんに対するペメトレキセド(商品名:アリムタ)による維持療法は良好な耐用性を示し、プラセボに比べ無進行生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に改善することが、ルーマニアIon Chiricutaがん研究所のTudor Ciuleanu氏らが実施した無作為化第III相試験で明らかとなった。ペメトレキセドは葉酸代謝拮抗薬であり、欧米ではシスプラチンとの併用で悪性胸膜中皮腫の1次治療として、単剤で非扁平上皮型の進行非小細胞肺がんの2次治療として、またシスプラチンとの併用で非扁平上皮型の進行非小細胞肺がんの1次治療として承認されている。本試験は2009年米国臨床腫瘍学会(ASCO)で最終報告が行われ、注目を集めた。Lancet誌2009年10月24日号(オンライン版2009年9月20日号)掲載の報告。20ヵ国83施設が参加した二重盲検無作為化第III相試験研究グループは、進行非小細胞肺がんに対するペメトレキセドを用いた維持療法の有効性および安全性を評価する二重盲検無作為化第III相試験を行った。20ヵ国83施設から、1次治療としてプラチナ製剤ベースの2剤併用療法を4コース施行後に増悪が見られなかったIIIB/IV期病変を有する663例が登録された。これらの患者が、21日を1コースとしてペメトレキセド500mg/m2(第1日)+対症療法(BSC)を施行する群(441例)あるいはプラセボ+BSCを施行する群(222例)に無作為に割り付けられた。治療は病勢が進行する(PD)まで継続することとした。患者と研究者には治療の割り付け情報は知らされなかった。全例にビタミンB12、葉酸、デキサメタゾンが投与された。主要評価項目はPFS、副次評価項目はOSとし、intention-to-treat解析を行った。PFSが1.7ヵ月、OSは2.8ヵ月延長、特に非扁平上皮がんで優れる無作為割り付けされた全例が解析の対象となった。PFSは、ペメトレキセド群が4.3ヵ月と、プラセボ群の2.6ヵ月に比べ有意に優れた(ハザード比:0.50、p<0.0001)。OSはそれぞれ13.4ヵ月、10.6ヵ月であり、ペメトレキセド群で有意に延長した(ハザード比:0.79、p=0.012)。薬剤関連毒性による治療中止率は、ペメトレキセド群が5%(21/441例)と、プラセボ群の1%(3/222例)に比べ多かった。薬剤関連のgrade 3以上の毒性は、それぞれ16%(70/441例)、4%(9/222例)であり、ペメトレキセド群で有意に頻度が高かった(p<0.0001)。特に、ペメトレキセド群で疲労感[5%(22/441例) vs. 1%(1/222)、p=0.001]と好中球減少[3%(13/441例) vs. 0%、p=0.006]が有意に高頻度に見られた。ペメトレキセドによる治療関連死は認めなかった。治療中止後の後治療としての全身療法の施行率は、ペメトレキセド群が51%(227/441例)と、プラセボ群の67%(149/222例)に比べ有意に低かった(p=0.0001)。著者は、「進行非小細胞肺がんに対するペメトレキセドによる維持療法は良好な耐用性を示し、プラセボに比べPFS、OSを有意に改善した」と結論している。また、組織型によるサブ解析では扁平上皮がんに比べ非扁平上皮がん(特に腺がん)でPFS、OSが有意に優れたことをふまえ、「本療法は、初回導入療法後に病勢が進行しなかった非扁平上皮型の進行非小細胞肺がんに対する新たな治療選択肢となるだろう」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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心不全患者へのアルドステロン拮抗薬処方、適応患者の3分の1:米国調査結果

アルドステロン拮抗薬(商品名:セララ)が適応となる心不全患者のうち、退院時に同薬の処方を受けていたのは、3分の1にも満たないことが明らかになった。病院間での処方率の格差も大きかった。米国Cleveland ClinicのNancy M. Albert氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2009年10月21日号で発表されている。これまでの研究から、アルドステロン拮抗薬は、中等度から重度の心不全患者に対して有効であることが明らかになっている。そのため米国心臓協会(AHA)などの臨床ガイドラインでも、投与が勧告されている。アルドステロン拮抗薬処方は適応患者の32.5%、調査期間中やや増加の傾向同研究グループは、臨床ガイドラインに沿った診療の推進を目的とした全米プログラム、「Get With The Guidelines–HF」に参加する、241の病院で観察研究を行った。試験期間は2005年1月~2007年12月で、期間中に心不全で入・退院した人は合わせて4万3,625人に上った。そのうち、アルドステロン拮抗薬が適応だった1万2,565人中、退院時に同薬の処方を受けていたのは、4,087人(32.5%)に留まった。同割合は試験期間中、28%から34%へとわずかに増加傾向は見られてはいる。一方、同割合の病院間格差は、0~90.6%と大きかった。不適切処方は期間を通じて低率アルドステロン拮抗薬の処方増の要因は、アフリカ系アメリカ人(補正後オッズ比:1.17)への処方増加、植え込み型除細動器の病歴のある人(同:1.51)、うつ病(同:1.15)、アルコール摂取(同:1.23)、ペースメーカー挿入(同:1.21)が挙げられた。一方、減少要因は、年齢が若い(同:0.85)、低収縮期血圧(同:0.94)、腎機能不全歴なし(同:0.85)だった。また、血清クレアチン値とカリウム値を基準に用いた場合、アルドステロン拮抗薬の不適切処方の割合は、試験期間中を通じて低く抑えられていた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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「ミカルディス」にCHMPが追加適応を推奨

ドイツベーリンガーインゲルハイム社は23日(現地時間)、欧州医薬品審査庁(EMEA)の諮問機関、欧州医薬品評価委員会(CHMP)が、同社のアンジオテンシンII受容体拮抗薬ミカルディス(一般名:テルミサルタン)について「I.アテローム性動脈硬化性疾患(冠動脈心疾患、脳卒中、閉塞性動脈硬化症)または、II.臓器障害を合併する糖尿病 を有する患者での心血管死の減少」との追加適応を推奨したことを発表した。CHMPの承認推奨は、心血管イベント高リスク患者25,620例を対象に、ミカルディス(一般名:テルミサルタン)について心血管イベントの抑制効果を検証した大規模臨床試験ONTARGETを中心とした臨床データに基づく。ミカルディスは心血管イベントの高リスク患者に対して心血管イベントの抑制効果を実証した、アンジオテンシンII受容体拮抗薬の中で唯一の薬剤。従来ゴールデンスタンダード(標準治療薬)であったラミプリルと比べて忍容性が高く、優れたアドヒアランスが示された試験でもある。ミカルディスは、米国では19日に米国食品医薬品局(FDA)から「55歳以上の心血管イベントの高リスク患者における心筋梗塞、脳卒中、心血管死のリスク減少」の追加適応を取得している。詳細はプレスリリースへhttp://www.boehringer-ingelheim.co.jp/com/Home/Newscentre/pressrelease/news_detail.jsp?paramOid=9805

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「テルミサルタン」と「アムロジピン」の新規配合錠をFDAが承認

 ドイツ・ベーリンガーインゲルハイム社は19日、同社の開発したテルミサルタン(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)とアムロジピン(カルシウム拮抗薬)の新規配合錠が、米国食品医薬品局(FDA)から承認されたと発表した。米国での製品名は、TWYNSTA。高血圧治療を適応として、単独あるいは他の降圧剤との併用にて、目標血圧を達成するための初期治療として用いられる。 新たな配合錠のベネフィットは、アンジオテンシンII受容体およびカルシウムチャネルの長時間の拮抗・遮断という作用機序を相補的に発揮することにあるという。24時間にわたる降圧および血圧コントロールにきわめて有効で、テルミサルタンとアムロジピンでそれぞれ既に実証されている心血管保護での有用性を併せ持つという。テルミサルタンは降圧効果に加え、心血管イベント高リスク患者での心筋梗塞、脳卒中、心血管死のリスク減少の有用性が実証された唯一のアンジオテンシンII受容体拮抗薬となり、米国で19日、ACE阻害薬を服用することができない高リスク患者での心血管イベント減少を適応として承認を受けた。 テルミサルタンとアムロジピンの配合錠は、現在日本と欧州で承認申請されており、引き続きその他の国々でも申請される予定。詳細はプレスリリースへhttp://www.boehringer-ingelheim.co.jp/com/Home/Newscentre/pressrelease/news_detail.jsp?paramOid=9804

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ノルバスクの新OD錠 今月下旬より出荷開始

ファイザー株式会社は20日、持続性カルシウム拮抗薬「ノルバスクROD錠 2.5mg/5mg」(一般名:アムロジピンベシル酸塩口腔内崩壊錠)について、8月に製造販売承認事項の一部変更の承認を取得し、10月下旬より新OD錠の出荷を順次開始すると発表した。新OD錠は、錠剤の苦昧の軽減および安定性向上のため、錠剤の処方(添加物)を変更。また、OD錠の長期保存試験結果(36カ月間)に基づき使用期限を2年から3年に延長したという。今回改良された「ノルバスクOD錠 2.5mg/5mg」は、嚥下機能低下など特定の患者に便利な「バリアフリー製剤」ではなく、あらゆる患者に便利な「ユニバーサルデザイン製剤」を目指して開発された製剤技術を用いているとのこと。口腔内での速やかな崩壊性と高い硬度を両立させた製剤設計に加えて、有効成分をコーティングしたことにより口腔内で崩壊した際のざらつきと苦味を軽減しているという。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2009/2009_10_20.html

515.

アンジオテンシンII受容体拮抗薬「ミカルディス」FDAより適応追加を取得

ドイツ・ベーリンガーインゲルハイムは20日(現地時間)、米国食品医薬品局(FDA)より、同社のアンジオテンシンII受容体拮抗薬ミカルディス(一般名:テルミサルタン)について、「55歳以上の心血管イベント高リスク患者における心筋梗塞、脳卒中、心血管死のリスク減少」の適応追加の承認を取得したと発表した。今回の適応追加は、ミカルディス(テルミサルタン)について脳・心血管イベント抑制効果を検討するために患者25,620例を対象に最長6年にわたり実施された大規模臨床試験ONTARGETのデータに基づいたもの。この試験によりミカルディス(テルミサルタン)は、ARBとして唯一、心血管イベントの高リスク患者において心血管イベント減少効果を示すことが確認されている。今回、ONTARGETで実証された有用性が評価されたことは、今後の高血圧治療におけるテルミサルタン(ミカルディス)の存在意義を、従来より高めたと考えられるという。詳細はプレスリリースへ http://www.boehringer-ingelheim.co.jp/com/Home/Newscentre/pressrelease/news_detail.jsp?paramOid=9802

516.

導出品 QVA149 第II相臨床試験結果を発表

そーせいグループ株式会社は16日、同社およびベクチュラ・グループ・ピーエルシー(英国)の共同開発・導出品QVA149(適応:慢性閉塞性肺疾患、以下「COPD」)について、有効性評価試験、安全性および忍容性試験の2つの第II相臨床試験の結果を、ウィーン(オーストリア)で開催中の欧州呼吸器学会(EuropeanRespiratory Society)において発表したと報告した。QVA149は、同社とベクチュラ社が共同開発しノバルティスに導出したNVA237(臭化グリコピロニウム、長時間作用型ムスカリン拮抗薬:LAMA)と、ノバルティスが独自に開発したQAB149(インダカテロール、長時間作用型β2刺激薬:LABA)とを配合した、1日1回吸入による新規の気管支拡張薬で、COPD治療薬としてノバルティスにより開発されている。同臨床試験での結果は、2つの強力な気管支拡張薬を併用し、利便性の高い1日1回投与とすることの利点を、有効性と安全性の両観点から支持しているという。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.sosei.com/jp/press/pdf/090916-j_press.pdf

517.

アムロジン新OD錠が発売

大日本住友製薬株式会社は11日、持続性カルシウム拮抗薬「アムロジンOD錠2.5mg/OD錠5mg」(一般名:アムロジピンベシル酸塩)について、3月に製法等にかかわる製造販売承認事項の一部変更の承認を取得した新OD錠の出荷を、すべての包装において開始したことを発表した。アムロジンOD錠は、高齢者を始め嚥下機能の低下した患者の服薬アドヒアランスの向上を目指し、2006年7月にカルシウム拮抗薬としては国内で初めて発売された口腔内崩壊錠。新OD錠は、有効成分を微粒子コーティングし、口腔内で崩壊したときのざらつきと苦味が軽減され、使用期間の延長に伴い、開封後(一包化後・無包装状態)の安定性も向上されている。また、速やかな崩壊性と高い硬度を兼ね備えた製剤設計により、取り扱いやすくなっているという。新製剤は、あらゆる患者に適用できるようにと同社が開発した「SUITAB-NEX」という製剤技術が使われている。速やかな崩壊性を保ちながら、OD錠の硬度をさらに向上し、有効成分の苦味の軽減や安定性もあるという。錠剤の色調や形状には、変更はない。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.ds-pharma.co.jp/news/pdf/ne20090911.pdf

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ファイザーとアステラス製薬「カデュエット配合錠」のコ・プロモーション契約締結

ファイザー株式会社とアステラス製薬株式会社は26日、持続性Ca拮抗薬/HMG-CoA還元酵素阻害剤「カデュエット配合錠」(一般名:アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチンカルシウム水和物配合剤)に関し、日本国内におけるコ・プロモーション(共同販促)契約を締結したと発表した。カデュエット配合錠は、ファイザーが販売する高血圧症・狭心症治療薬「ノルバスク錠」(一般名:アムロジピンベシル酸塩)とファイザーとアステラス製薬で共同販促する高コレステロール血症治療剤「リピトール錠」(一般名:アトルバスタチンカルシウム水和物)の有効成分を配合した経口治療剤。現在、70以上の国と地域で承認され、日本ではファイザーが2009年7月7日に製造販売承認を取得した。本契約に基づき、ファイザーはカデュエット配合錠の製造と販売を行い、アステラス製薬と共にプロモーション活動を実施する。なお、カデュエット配合錠は、薬価収載後に発売する予定とのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2009/2009_08_26.html(ファイザー)http://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/post-63.html(アステラス製薬)

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ファモチジンが、低用量アスピリン潰瘍の新たな予防治療に

低用量アスピリン使用中の患者にみられる消化管潰瘍の予防に、ファモチジン(商品名:ガスター、など)が高い効果を示すことが、イギリスGlasgow大学Crosshouse病院のAli S Taha氏らが行った第III相試験(FAMOUS試験)で明らかとなった。低用量アスピリンは世界的に最も広範に使用されている薬剤のひとつであり、心血管疾患、脳血管疾患、糖尿病に対する抗血栓療法のOTC薬および処方箋薬として使用量が増大しているという。一方、消化性潰瘍による出血、穿孔などの上部消化管合併症やときに死亡例もみられるなどの問題をかかえており、有効な予防治療の確立が切望されている。Lancet誌2009年7月11日号(オンライン版2009年7月6日号)掲載の報告。3か月後の新規の胃・十二指腸潰瘍、びらん性食道炎の発症状況を評価ファモチジンは耐用性に優れるとされるヒスタミンH2受容体拮抗薬。FAMOUS(Famotidine for the Prevention of Peptic Ulcers in Users of Low-dose Aspirin)試験の研究グループは、血管保護の目的で低用量アスピリンを使用中の患者において、消化性潰瘍およびびらん性食道炎の予防治療としてのファモチジンの効果を評価するために二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験を実施した。Crosshouse病院(Kilmarnock)の心血管・脳血管・糖尿病クリニックから、他の心保護薬の使用の有無にかかわらず低用量アスピリン(75~325mg/日)投薬中の成人患者(18歳以上)が登録された。ベースライン時の内視鏡検査にて潰瘍あるいはびらん性食道炎の存在が否定された患者が、ファモチジン20mg×2回/日を投与する群(204例)あるいはプラセボ群(200例)に無作為に割り付けられた。無作為割り付け後12週目に最終的な内視鏡検査が行われた。1次エンドポイントは、12週目における新規の胃・十二指腸潰瘍あるいはびらん性食道炎の発症とした。両群とも、少なくとも1回の投与を受けた全症例が解析の対象となった。消化管障害が80~95%も低下、上部消化管出血は認めずすべての割り付け例が1回以上の投与を受けITT解析の対象となった。82例(ファモチジン群:33例、プラセボ群:49例)が最終の内視鏡検査を受けなかったが、正常所見として解析された。投与中止のおもな理由は患者による継続拒否であった。12週目における胃潰瘍の発症率は、ファモチジン群が3.4%(7/204例)と、プラセボ群の15.0%(30/200例)に比べ有意に低下した(オッズ比:0.20、95%信頼区間:0.09~0.47、p=0.0002)。十二指腸潰瘍は、ファモチジン群0.5%(1/204例)、プラセボ群8.5%(17/200例)(オッズ比:0.05、95%信頼区間:0.01~0.40、p=0.0045)、びらん性食道炎はそれぞれ4.4%(9/204例)、19.0%(38/200例)(オッズ比:0.20、95%信頼区間:0.09~0.42、p<0.0001)と、いずれもファモチジン群で有意な低減効果を認めた。有害事象の発現例数も、ファモチジン群(9例)がプラセボ群(15例)よりも少なかった。入院を要する上部消化管出血は、プラセボ群で4例に認めたが、ファモチジン群では見られなかった。狭心症がファモチジン群で2例に、プラセボ群では4例に認められた。著者は、「ファモチジンは、低用量アスピリン使用中の患者における胃・十二指腸潰瘍およびびらん性食道炎の予防治療として有効である」と結論したうえで、「ファモチジンは、血管保護を要する患者における消化管障害の予防治療の新たな選択肢である。過剰処方や使用期間の長さが指摘されるプロトンポンプ阻害薬に代わる可能性もある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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テルミサルタン+アムロジピンの併用治療が24時間にわたる血圧コントロールに有効

 テルミサルタン(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)とアムロジピン(カルシウム拮抗薬)の併用治療により、24時間にわたり持続的かつ確実な降圧効果が得られたことを示した試験の成績が、第19回欧州高血圧学会学術集会で発表された。試験成績は、2型糖尿病患者、肥満患者、高齢者、黒人、およびアムロジピン単剤では十分な血圧コントロールが得られない患者を含む、心血管イベントのリスクを抱える幅広いプロファイルの高血圧患者でテルミサルタンとアムロジピンの併用治療の忍容性が良好であることを示したという。独ベーリンガーインゲルハイム社が報告した。テルミサルタンとアムロジピンの併用治療を16の投与群に無作為に割り付け 試験は、テルミサルタンとアムロジピンの併用治療を、高血圧患者1461例を対象とした二重盲検試験で評価された。患者は、テルミサルタン0、20、40または80mgとアムロジピン0、2.5、5または10mgの組み合わせで構成される16の投与群に無作為に割り付けられ、8週間の投与を受けた。 血管イベントのリスクを抱える幅広いプロファイルの高血圧患者(2型糖尿病、肥満、高齢)で、テルミサルタン40~80mgとアムロジピン5~10mgの併用治療により、投薬間隔の最後の6時間(トラフの時間帯)および、心血管イベントのリスクが最も高まる早朝の時間帯を含む、24時間にわたる持続的な降圧効果を示し、アムロジピン10mg単剤と比べて末梢性浮腫発現率が低く(テルミサルタン40~80mgとアムロジピン5~10mgの併用:5.2%、アムロジピン10mg単剤:17.8%)忍容性は良好であったという。また、アムロジピン5~10mg単剤では十分な血圧コントロールが得られない患者に対して、有効な降圧と血圧コントロール(

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