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手洗いの具体的な効果

手洗いは自分が病気になったり、ほかの人に病気を広げるのを防ぐ簡単で効果的な方法です!こまめな手洗いで手を清潔に保ちましょう石けんを使った手洗い、どんな効果が報告されている?・下痢になる人の数を23~40%削減・免疫力が低下している人が下痢になる可能性を58%削減・風邪などの呼吸器系の病気を16~21%削減・お腹(胃腸)の病気による子どもたちの学校の欠席を29~57%削減・下痢になる幼児の3人に1人、肺炎などの呼吸器感染症にかかる幼児の5人に1人を病気から守ります手や指に付着しているウイルスの数は、石けんやハンドソープで10秒もみ洗いし、流水で15秒すすぐと1万分の1に減らせます出典:米国疾病予防管理センター(CDC)「Show Me the Science – Why Wash Your Hands?」森功次ほか.感染症学雑誌.2006;80:496-500.Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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12月1日 世界エイズ・デー【今日は何の日?】

【12月1日 世界エイズ・デー】〔由来〕世界レベルのエイズのまん延防止と患者・感染者に対する差別・偏見の解消を目的に、WHO(世界保健機関)が1988年に制定。毎年12月1日を中心に、世界各国でエイズに関する啓発活動を実施。関連コンテンツYahoo!の見出しで勘違い続出?「HIV感染報告、過去20年で最少に」【バズった金曜日】ヒト免疫不全ウイルス検査ってなあに?【患者説明用スライド】HIVの流行終結を目指す取り組みとはHIV陽性者の結核性髄膜炎、デキサメタゾン追加は有用か/NEJM米国・HIV感染者へのART、人種・民族差は?/JAMA

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医師数が少なく検査機器数が多い日本の医療/OECD

 経済協力開発機構(OECD/本部:フランス・パリ)から加盟38ヵ国に関する医療レポートが、11月7日に公表された。レポートでは、新型コロナ感染症(COVID-19)が与えた各国への影響のほか、医療費、医療の質などに関する内容が記載されている。わが国は、平均寿命はOECDの中で84.5歳と1番長いが、受診率の多さ、医師数、電子化の遅れなど他の国との差もあり、今後の課題も提示されている。 以下に概要を示す。【COVID-19禍での国民の健康状態について】・2020~22年のCOVID-19での10万人当たり死亡率は、ノルウェー、インドが同順で38人、ニュージーランドが45人、わが国が46人と4番目に低かった。・2020年は平均余命が伸びた半面、21年は0.1歳短くなった。・COVID-19初期(2020年)には17%の人がうつの症状を訴えていた。・自殺者は2020年に10万人当たり15.4人だった(参考:2019年14.6人)。【医療支出の現状と今後について】・2022年または直近年のGDPに占める医療支出の割合は、アメリカの16.6%、ドイツの12.7%、フランスの12.1%に次いで、わが国は11.5%と4番目に多かった。・2021年の政府支出に占める公的医療費支出の割合は、わが国が22%と1番高く、アメリカ、イギリス、アイルランドが21%と続いた。・2021年の受診回数は、韓国15.7回が1番多く、わが国は11.1回と2番目に多く、スロバキアが11.0回と続いた。OECDの平均受診回数は6.0回だった。・2021年の高齢化率は、65歳以上の人口割合で、わが国は28.9%と1番高く、次いでイタリアの23.6%、ギリシャの22.8%と続いた。OECDの高齢者割合の平均は18.0%だった。【医療資源の活用について】・2021年の1,000人当たりの病床数は、韓国の12.8床が1番多く、次いでわが国の12.6床、ブルガリアの7.9床と続いた。OECDの平均病床数は4.3床だった。・2021年の病院支出における内訳では、OECDの平均では入院が64%、日帰りが6%、外来が24%、介護が3%、その他が3%だった。これに対しわが国は、入院が63%、日帰りが1%、外来が23%、介護が10%、その他が3%と介護の割合が高かった。・2021年の平均在院日数は、韓国が18.5日と1番多く、次いでわが国が16.0日、ハンガリーが9.7日と続いた。OECDの平均在院日数は7.7日だった。・2019年または直近年の人口100万人当たりのCT、MRIなどの医療機器数は、わが国が1番多く178台、次いでオーストラリアが88台、アメリカが86台と続いた。OECDの平均医療機器台数は48台だった。・2021年の医師数は、1,000人当たりでギリシャが1番多く6.3人、次いでポルトガルの5.6人、オーストリアが5.4人と続いた。わが国は5番目に少なく2.6人だった。また、OECDの平均医師数は3.7人だった。【予防医療について】・2021年または直近年の喫煙率を男女合わせた数字でみると、インドネシアが1番多く33%、次いでブルガリアが29%、トルコが28%と続いた。わが国は男性27%、女性8%で、OECDの平均喫煙率は、男性20%、女性12%だった。・2021年または直近年の乳がん検診率(50~69歳女性)は、デンマークが1番多く83%、次いでフィンランドとポルトガルが82%と続き、わが国は45%だった。OECDの平均受診率は54%だった。【医療へのアクセスとデジタル化について】・2021年または直近年の医療での自己負担額割合は、トルコとクロアチアが1番低く1.4%、次いでコロンビアが1.7%と続き、わが国は2.4%だった。OECDの平均の医療での自己負担額割合は3.3%だった。・2021年の開業クリニックにおける電子カルテ利用率は、クロアチアが1番低く3%、次いでポーランドとスイスが30%と続き、わが国は42%と5番目に低かった。OECDの平均開業クリニックにおける電子カルテ利用率は93%で、欧米、とくに北欧の利用率はほぼ100%だった。

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世界初のsa-mRNAコロナワクチンが国内承認/CSL・Meiji Seika

 CSL Seqirus社(オーストラリア、メルボルン)とMeiji Seika ファルマは、2023年11月28日に、自己増幅型メッセンジャーRNAワクチン(sa-mRNA、レプリコンワクチンとも呼ばれる)である「コスタイベ筋注用」(ARCT-154)について、「SARS-CoV-2による感染症の予防」を適応とした成人の初回免疫および追加免疫における国内製造承認を取得した。CSL Seqirus社のファミリー企業のCSLベーリングが11月29日付のプレスリリースで発表した。本ワクチンは、世界で初めて承認を受けたsa-mRNAワクチンとなる。この次世代ワクチンは、日本ではMeiji Seika ファルマが商業化を行う。なお、今回承認を取得したのは新型コロナウイルスの従来株対応1価ワクチンで、現在の流行株とは異なるため供給されない。 標準的なmRNAワクチンは、免疫システムがCOVID-19を認識し、体内の細胞に特定のタンパク質を産生するよう指示し、免疫応答を刺激して、将来の感染を認識してこれと闘うための設計図を残すことによって感染症を予防するものだ。一方、本ワクチンで初めて用いられたsa-mRNAの特徴は、体内でmRNAのコピーを作ることにより、ワクチンに含まれるmRNAの相当量よりも多くのタンパク質を産生できることにある。この技術には、mRNAの量を大幅に抑えながら、細胞性免疫応答を増強して保護期間を延ばすことができる可能性があるという。 今回の承認は、ベトナムで被験者1万6千例を対象に実施した有効性試験やMeiji Seika ファルマが日本で実施した追加免疫試験を含め、ARCT-154を用いた複数の試験で有望な臨床データが得られたことに基づいている。18歳以上の被験者を対象に「コスタイベ筋注用」を評価した追加免疫試験では、既存のワクチンと比較して、sa-mRNAワクチンが起源株およびオミクロンBA.4/5変異株に対して強い免疫応答を起こすことが示された。また、「コスタイベ筋注用」では必要な用量は5μgで、既存のワクチンと比較して大幅に少なくなっている。 「コスタイベ筋注用」は、Arcturus Therapeutics社のワクチンプラットフォーム「LUNAR」を使用している。CSL Seqirus社は、インフルエンザおよびCOVID-19等の呼吸器ウイルス疾患に対する新規mRNAワクチンや、パンデミック対策の開発におけるArcturus Therapeutic社の独占的グローバルパートナー。 Meiji Seika ファルマとCSLはARCALIS, Inc.と協力し、福島県南相馬市の製造施設で、日本におけるsa-mRNAワクチンを一貫して製造できる体制を構築している。

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プール熱(咽頭結膜熱)ってどんな病気?

プール熱(咽頭結膜熱)ってどんな病気?• アデノウイルスというウイルスへの感染が原因となり、プールで感染が広がるケースがあることから「プール熱」と呼ばれます• 発熱(38~39度)、のどの痛み、結膜炎(目の充血・目やになど)といった症状が多く、リンパ節の腫れ、下痢や吐き気、頭痛、せきなどがみられることもあります• 症状は多くが1~2週間でおさまります• 小児を中心に主に夏に流行しますが、最近の傾向として冬にも流行がみられます治療法は?他の人にうつさないようにするには?•特別な治療法はなく、症状に合わせた対症療法が行われます•アルコール消毒は効きにくいため、石けんと流水でこまめな手洗いをしましょう•高熱が続く、ぐったりしている、吐き気や頭痛の強いとき、せきが激しいときは早めに医療機関に相談しましょう•むやみに目や口に触れたり、こすったりしないようにしましょう•タオルの共用はしないようにしましょう•症状がなくなった後も約1ヵ月は尿・便からウイルスが排泄されるので、排泄後の念入りな手洗い、排せつ物の処理に注意しましょう•目の症状が強い場合は、眼科を受診しましょう出典:東京都保険医療局「咽頭結膜熱(プール熱)が流行しています!」厚生労働省「咽頭結膜熱について」Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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第189回 エクソソーム療法で死亡事故?日本再生医療学会が規制を求める中、真偽不明の“噂”が拡散し再生医療業界混乱中

生成AIを活用して作った 「ブラック・ジャック」の新作が発表こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。先週(11月23日)発売の週刊少年チャンピオンに、「ブラック・ジャック」の新作が発表されました。手塚治虫の漫画、「ブラック・ジャック」については、1ヵ月前、本連載の「第185回 六本木で開催中の『ブラック・ジャック展』で考えた、“黒い医者”たちと医療・医師の普遍性」でも取り上げました。この時、OpenAIの「GPT-4」やStability AIの「Stable Diffusion」などの生成AIを活用して「ブラック・ジャック」の新作を制作する試みが進行中だと書いたのですが、その新作がいよいよ発表されたのです。ということで、週刊少年チャンピオンを買おうと近所の書店に出掛けたのですが、どこにもありません。近所のコンビニも数軒覗いたのですが、やはり在庫がありません。書店もコンビニも、少年誌で置いてあったのは少年ジャンプと少年マガジンばかり。発行部数・流通量が少ない雑誌はこうまで手に入りにくいものかと驚いた次第です。ちなみに漫画雑誌の新刊はアマゾンでは冊子版は流通しておらず、電子版(Kindle)でしか読めないようです。半ば諦めていたところ、たまたま出先のコンビニに飲み物を買いに入ったところ、1冊だけ週刊少年チャンピオンが残っており、なんとか現物を入手することができました。「ブラック・ジャック」掲載を見越して発行部数や流通量にもAIを活用してほしかった…、と思いました。手塚 治虫氏の長男、手塚 眞氏が中心となった「TEZUKA2023プロジェクト」による「ブラック・ジャック」の新作、「機械の心臓-Heartbeat Mark II」(33ページの読み切り)ですが、大学のAI研究者や有名映画監督も入った大プロジェクトの割に、作品はこの程度かと少々肩透かしをくらった、というのが正直な感想です。AIといえども、やはり“神様”には勝てないのだな、と思った次第です。エクソソーム療法、「将来的には何らかの規制下に置かれることが望ましい」と日本再生医療学会が提言さて、今回は、一部で話題となっている「エクソソーム療法」について書いてみたいと思います。11月10日の厚生労働省の再生医療等評価部会で、日本再生医療学会はエクソソーム療法が美容クリニックなどの自由診療で広がっている現状を踏まえ、「将来的には何らかの規制下に置かれることが望ましい」と提言しました。「エクソソーム療法で死亡例が出ている」といった情報も一部に流れているようです。この情報はデマの可能性もあり、業界は混乱に陥っています。美容やアンチエイジングを目的に他家細胞由来の細胞培養上清液やエクソソームを自由診療で投与エクソソームは、直径100nm程度の細胞外小胞(EVs:Extracellular Vesicles)と呼ばれるものの1種です。EVsは細胞が分泌する物質で、組織の再生を促す成長因子や細胞間の情報伝達物質を含んだエクソソームなどからなっており、医療分野での活用が期待されています。国内でも、美容やアンチエイジングを目的に、他家細胞由来の細胞培養上清液や、上清液から抽出したとされるエクソソームを自由診療で投与する医療機関が増えています。これらを通称「エクソソーム療法」と呼んでいます。もっとも、有効性や安全性が確認され、治療法として承認されているものはまだありません。インターネットで「エクソソーム療法」を検索すると、数多くの自由診療クリニックがヒットします。それらのクリニックでは、エクソソームを含んだ幹細胞由来の細胞培養上清液やエクソソームについて、皮膚の再生、創傷治癒の促進、老化防止、疲労回復、ED(勃起不全)改善などに効果ありと、まるで万能の不老薬のように宣伝しています。再生医療等安全性確保法の対象外のため提供計画の提出、副作用などの報告の義務なし11月10日の厚生労働省の再生医療評価部会で、日本再生医療学会の岡野 栄之理事長(慶應義塾大学医学部 生理学教室 教授)は、「再生医療という名目で、多くのクリニック等で自由診療として行われている現状や、感染症のリスク等を鑑み、製造過程等を含めて、将来的には何らかの規制下に置かれることが望ましい」と主張しました。同学会は、2023年10月27日、「再生医療等のリスク分類・法の適用除外範囲の見直しに関する提言」を行い、エクソソームを含むEVsを再生医療新法の対象とするよう提言していますが、それを改めて再生医療評価部会の場ででも訴えたわけです。背景には、老化防止をうたう美容クリニックなどにおいて自由診療によるエクソソーム療法が急拡大していることがあります。現状、日本では細胞培養上清液やエクソソームは細胞断片であり、細胞には当たらないと整理されており、再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療等安全性確保法)の対象外となっています。同法が施行されたのは2014年、主に自由診療でがん免疫療法(自家の免疫細胞を培養し投与)を行っていた医療機関における安全性確保のためでした。この時はEVsによる治療自体がまだ認知されておらず、規制対象にはなりませんでした。そのため、現在、細胞培養上清液やエクソソームを医療機関で投与する際、同法で定められた認定再生医療等委員会の審査や再生医療等提供計画の提出、副作用の報告といった煩雑な手続きは課せられません。これがエクソソーム療法の急拡大につながっているわけです。「交差汚染管理が不十分な場合などに敗血症等重篤な事故を引き起こす可能性がある」しかし、EVsは、「主に細胞から調製されるという点において細胞加工物と類似のリスクを有しており、交差汚染管理が不十分な場合などに敗血症等重篤な事故を引き起こす可能性がある」(再生医療等評価部会・岡野氏資料より)ことから、日本再生医療学会は「科学的根拠に基づき、グローバルスタンダードに則ったEVs治療の開発を進めるために、産学官の協力が必要である。EVsの定義、効能、品質管理に基づいた安心、安全なEVsの治療応用のガイドライン作成は急務であり、その為に、何らかの班研究あるいはワーキング・グループ等を構築し、問題点の精査が必要」と提言したわけです。再生医療抗加齢学会が「幹細胞培養上清液を使用した治療に関し、患者が死亡するという事象が発生したという情報に接しております」と公表ところで、日本再生医療学会がエクソソーム療法の規制の必要性を求める2週間ほど前、「エクソソーム投与後に死亡」との情報が一部に流れ、関係者が色めき立ちました。情報の出どころは再生医療抗加齢学会。10月11日、同学会の森下 竜一理事長(大阪大学大学院 医学系研究科臨床遺伝子治療学寄付講座 教授)が、同学会のウェブサイトで「幹細胞培養上清液に関する死亡事例の発生について」というタイトルで声明を出したのです。声明は、「当学会では、幹細胞培養上清液を使用した治療に関し、患者が死亡するという事象が発生したという情報に接しております」として、「幹細胞培養上清液及びエクソソームの静脈投与につきましては、医療水準として未確立の療法であり、その有効性・安全性について、エビデンスに基づく十分な検討をお願いいたします」と注意喚起をしました。前述したように、エクソソーム療法は再生医療等安全性確保法の対象外のため、仮に死亡事例が発生しても医療機関は同法に則って報告する義務はありません。ということは、そうした事例を国が把握することもできません。ということで、関連学会が注意喚起することはそれなりに意味のあることです。11月9日付のリスファクスも再生医療抗加齢学会の死亡事案の声明を受け、「エクソソーム創薬、死亡事案で規制急務」というニュースを掲載しています。ただ、その記事では、「学会は本紙に『事案』は会員外の施設と回答し、詳細や施設名は開示していない」としています。「死亡例」は本当にあったのか?噂になった医療機関、学会、厚労省も否定学会が「死亡するという事象が発生したという情報に接しております」と公表したにもかかわらず、どこの施設での事象かわからないという状況は、再生医療やエクソソーム療法に携わる関係者に少なからぬ混乱を巻き起こしているようです。「死亡はデマではないか?」という声も聞こえてきます。11月15日付の日経バイオテクは「『エクソソームの投与後に死亡』の噂を追う」と記事を掲載しています。同記事は、「同学会(再生医療抗加齢学会)によれば、学会の会員や会員企業は死亡事例に関係しておらず、外部から寄せられた情報だと言います。噂で名前が挙がっている自由診療の医療機関や、自由診療でエクソソームの投与を手掛ける医師などにも当たってみましたが、『そうした事例は無い』『全く知らない』と否定されました。(中略)。さらに、日本再生医療学会も、本誌に対して『死亡事故があったとは考えていない』とコメント。厚生労働省の関係者も『正直、分からないというのが本音だ。情報の出所が把握できていない』と話していました」と書き、取材時点で死亡事例の情報は確認できなかったとしています。学会同士の対立説、関連企業に対する牽制説も仮に「死亡」がガセ情報だとしたら、一体背後で何が起こっているのでしょうか。真偽のほどはわかりませんが、日本再生医療学会の関係者と再生医療抗加齢学会の関係者の対立説や、幹細胞培養上清液やエクソソームを製造する企業(学会幹部が株を保有している企業もあると聞きます)への牽制説も流れているようです。エクソソーム療法の規制や注意喚起が必要だ、という点は理解できます。しかし、仮にも学会という組織が情報の裏も取らないで「死亡するという事象が発生したという情報に接しております」と公表することは、無責任過ぎるのではないでしょうか。無用な混乱は、再生医療に携わる医療機関や企業の信頼性にも影響します。再生医療抗加齢学会は早急に「死亡情報」の“エビデンス”を開示するべきです。もし虚偽情報だったなら、早急に訂正を出すべきではないでしょうか。

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石灰化大動脈弁狭窄症に、非侵襲的超音波療法は可能か/Lancet

 石灰化大動脈弁狭窄症は、一般に外科的または経カテーテル的な大動脈弁置換術(AVR)による治療が行われているが、重度の合併症や限られた余命のために適応とならない患者が多く、代替治療として非侵襲的治療法の可能性が示唆されている。フランス・パリ・シテ大学のEmmanuel Messas氏らは、大動脈弁の弁尖を修復する超音波パルスを照射する革新的な技術である非侵襲的超音波療法(NIUT)の評価を行い、安全かつ実行可能であることを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年11月13日号で報告された。欧州3施設の前向きコホート研究の6ヵ月データ 研究グループは、経胸壁的にNIUTを行う装置(Valvosoft device、Cardiawave製)の安全性と、石灰化した弁組織を軟化させることによる弁機能の改善効果を評価する目的で、前向き単群コホート研究を行った(Cardiawaveの助成を受けた)。 3ヵ国(フランス、オランダ、セルビア)の3つの施設で、新型コロナウイルス感染症の流行による中断を挟んだ2019年3月13日~2022年5月8日の期間に、高リスクの40例を登録した。 対象は、重度の症候性大動脈弁狭窄症(二尖弁を含む)を有し、外科的大動脈弁置換術(SAVR)および経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVR)の適応とならない成人患者であった。 主要エンドポイントは、30日以内の治療に関連した死亡および弁機能の改善とした。今回は6ヵ月後のデータの解析結果を報告した。 対象となった40例(平均年齢83.5[SD 8.4]歳、女性50%)のSociety of Thoracic Surgeons(STS)の平均スコアは5.6(SD 4.4)%であり、重度の合併症(冠動脈疾患45%、頸動脈疾患28%、うっ血性心不全30%、慢性腎臓病40%、不整脈55%)を伴っていた。2例で二尖弁を認めた。30日以内の治療関連死亡はない、弁機能も有意に改善 30日以内の治療に関連した死亡は発現しなかった。3例で、それぞれ1週間後、3.5ヵ月後、5.5ヵ月後に、Valvosoftを用いて追加のNIUTを施行したが、これらの患者は6ヵ月後の時点でも生存していた。また、生命を脅かすイベントおよび脳血管イベントの報告はなかった。 6ヵ月(180日)時点での全生存率は72.5%(95%信頼区間[CI]:56.0~83.7)であった。1例の死亡が188日目に追加で報告された。ミニメンタルステート検査(MMSE)で認知機能障害を検出した患者はいなかった(平均MMSEスコア:ベースライン24.2点、退院時24.5点、30日時26.0点)。188日目に、1例で非ST上昇型心筋梗塞を認めた。 弁機能の改善は6ヵ月間を通じて確認され、平均大動脈弁口面積(AVA)はベースラインの0.58(SD 0.19)cm2から追跡時には0.64(SD 0.21)cm2へと10%増加し(p=0.0088)、平均圧較差は41.9(SD 20.1)mmHgから38.8(17.2)mmHgへと7%低下した(p=0.024)。 6ヵ月時に、NYHA心機能分類クラスが25例中17例(68%)で改善し、7例(28%)で安定化していた。また、これらの患者ではカンザスシティ心筋症質問票(KCCQ)スコアが48.5(SD 22.6)点から64.5(SD 21.0)点へと33%改善した(有意差なし)。 1例で重篤な治療関連有害事象を認めた。この患者は97歳で、不快感を和らげるためにモルヒネ(1mg)を静脈内投与したところ、徐呼吸の結果として末梢酸素飽和度(SpO2)が一過性に89%に低下した(処置により迅速に回復し、6ヵ月の時点で生存)。非重篤な有害事象として、痛み、治療中の不快感、一過性の不整脈などがみられた。 著者は、「今回の初期結果は有望であり、より大規模の臨床試験で確認する必要がある」とし、「このNIUTの方法は、さらに最適化を進める必要があり、より多くの患者で安全性を確認した後、たとえば(1)中等度または無症候性の石灰化大動脈弁狭窄症でSAVRまたはTAVRを延期するため、(2)重度に石灰化した弁に対するTAVRの前処置として、評価される可能性がある」と指摘している。

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第一三共のXBB.1.5対応mRNAコロナワクチン、一変承認取得

 第一三共は11月28日付のプレスリリースにて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するオミクロン株XBB.1.5対応1価mRNAワクチン「ダイチロナ筋注」(DS-5670)について、追加免疫における製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。本ワクチンが特例臨時接種に使用されるワクチンとして位置付けられ次第、厚生労働省との供給合意に基づき、国産初のmRNAワクチンとして供給を開始し、2023年度中に140万回分を供給する予定。 厚労省が11月27日に公表した資料(一変承認前の情報)によると、本ワクチンは、既SARS-CoV-2ワクチンの初回免疫完了者(12歳以上)に対する、「追加免疫」として使用することができる。季節性インフルエンザワクチンの取扱いと同様に、冷蔵(2~8℃)での流通・保管が可能となるため、医療現場での利便性の向上が期待される。外箱開封後は遮光して保存し、有効期間は7ヵ月となっている。 ダイチロナ筋注は、同社が開発した新規核酸送達技術を活用し、新型コロナウイルススパイク蛋白質の受容体結合領域(RBD)を標的としたCOVID-19に対するmRNAワクチンだ。本ワクチンの研究開発および生産体制整備は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「ワクチン開発推進事業」および厚生労働省の「ワクチン生産体制等緊急整備事業」の支援を受けて実施している。

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コロナワクチン、2024年度より65歳以上に年1回の定期接種へ/厚労省

 国内の新型コロナウイルスワクチン接種について、厚生労働省は11月22日に厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会と同分科会予防接種基本方針部会を開催し、2023年度末に「特例臨時接種」を終了し、2024年度以降は、65歳以上の高齢者を対象に「定期接種」として実施する方針を了承した。基礎疾患を有する60~64歳については重症化リスクも考慮し、重症化予防を目的とした接種を行う。65歳以上のコロナワクチン定期接種スケジュールは秋冬に毎年1回 2024年度以降の新型コロナワクチン接種については、個人の重症化予防により重症者を減らすことを目的とし、インフルエンザと同様の予防接種法のB類疾病に位置付けたうえで、法に基づく定期接種として65歳以上の高齢者等を対象に実施する。 65歳以上の高齢者を対象にした新型コロナワクチン定期接種のスケジュールは、秋冬に毎年1回となる。ワクチンに含むウイルス株は、流行の主流であるウイルスの状況やワクチンの有効性に関する科学的知見を踏まえて選択し、当面の間、毎年見直される。 なお、2024年度以降は、新型コロナワクチンはほかのワクチンと同様に一般流通が行われる見込みであり、65歳以上の定期接種の対象者以外であっても、任意接種として接種の機会を得ることができる。ワクチン価格は現時点で決まっていない。 本方針について分科会の委員らからは、特例臨時接種が終了し、自己負担が生じることについて、ワクチン価格がインフルエンザワクチンよりも高額になることが予想され、経済的負担を理由に接種できず、感染した際に重症化することを懸念する意見が上がった。接種を希望する者が安心して接種できるよう、国費等の支援による接種費用の負担軽減を訴えた。

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第172回 働き方改革で救急医療は医師不足に、厚生労働省に提言/救急医学会

<先週の動き>1.働き方改革で救急医療は医師不足に、厚生労働省に提言/救急医学会2.賃上げか負担軽減か、診療報酬改定を巡って議論が白熱/中医協3.医療機能情報提供制度の見直し、スマホ対応と多言語サポート/厚労省4.健康リスクに配慮した「飲酒ガイドライン案」を発表/厚労省5.薬のネット販売全面解禁へ、2025年から規制緩和/厚労省6.医師確保プログラム「842万円の違約金は違法」とNPOが提訴/山梨県1.働き方改革で救急医療は医師不足に、厚生労働省に提言/救急医学会日本救急医学会は、医師の働き方改革に伴う救急医療の人材不足とその対策に関する要望書を厚生労働大臣に提出した。来年度から始まる「働き方改革」では、勤務医に対して労働基準法に基づく休日や時間外労働の上限規定が適用されることになっており、救急医療に従事する医師が不足し、医療体制の維持が困難になる恐れがあると指摘している。同学会は、日本の救急医療が医療者の自己犠牲により支えられてきたと述べ、働き方改革による医師不足を解消するためには、診療報酬の改定などの支援が必要だと訴えている。また、地元の医師会との連携を強化し、救急の専門医を地域の拠点病院に集約することで、効率的な救急医療体制の構築を求めている。一方、NPO法人「EMアライアンス」による調査では、救急医の約1割が深刻な燃え尽き症候群に陥っていることが明らかになった。この調査結果では、救急医療の心理的ストレスの高さと、医師の健康問題に注目が集まった。とくに若手医師や睡眠不足を抱える医師にとって、救命救急センターでの勤務が、燃え尽き症候群と高い関連性を持つことが指摘されている。救急医療の質と持続可能性を確保するためには、医師の働き方改革を通して医師の健康にも配慮する必要がある。提言では、救急医療の現場で働く医師の声を反映した、包括的な対策が必要であると指摘している。参考1)地域救急医療への影響を鑑みた医師の働き方改革に関する提言(日本救急医学会)2)医師の働き方改革 日本救急医学会が支援求める要望書提出(NHK)3)救急医の1割、深刻な燃え尽き症候群か 睡眠不足も関連?NPO調査(朝日新聞)4)1割が深刻な燃え尽き症候群とのデータも 救急医の激務、解決策は?(同)2.賃上げか負担軽減か、診療報酬改定を巡って議論が白熱/中医協厚生労働省は、11月24日に開いた中央社会保険医療協議会(中医協)の総会において、昨年度の医療経済実態調査の結果を明らかにした。その結果、病床数が20床以上の一般病院は、物価高騰の影響で経営が悪化していたが、新型コロナ患者の受け入れに対する国の補助金を含めると、収支は黒字に転じていた。具体的には、一般病院の収支は平均で2億2,424万円の赤字であったが、補助金を含めると4,760万円の黒字となっていた。国公立病院は、平均で7億8,135万円の赤字で、補助金を含めても赤字だが、医療法人が経営する民間病院は補助金を含めると6,399万円の黒字に転じていた。一方、病床が19床以下の一般診療所は、補助金を除いても医療法人が経営する診療所で1,578万円、個人経営の診療所では3,070万円と、いずれも黒字。厚労省は、とくに一般病院の収益が厳しい結果となったことを指摘し、今年度はさらに利益率が悪化している可能性を述べている。日本医師会などは、医療職や介護職員の賃上げが必要だとして「本体」部分の引き上げを求めているが、財務省は保険料負担の軽減を目指し、逆に引き下げを主張している。武見 敬三厚生労働大臣は、新型コロナが「5類」に分類され、補助金や診療報酬の加算措置が大きく見直されていることに言及し、年末に向けて医療機関の経営状況を踏まえ、賃上げや物価高騰、感染症対策などの新たな課題に対応できる診療報酬改定に努力する意向を示している。参考1)第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告(厚労省)2)来年度の診療報酬改定 年内決定に向け 議論活発化へ(NHK)3)「一般病院」昨年度収支 黒字 コロナ患者受け入れ補助金含めて(同)4)一般病院・診療所、コロナ補助で黒字 22年度厚労省調査(日経新聞)3.医療機能情報提供制度の見直し、スマホ対応と多言語サポート/厚労省厚生労働省は、患者が適切な医療機関を選択できるよう支援する「医療機能情報提供制度」を見直すため、11月20日に「医療機能情報提供制度・医療広告等に関する分科会」を開催した。現在、各都道府県ごとに情報提供されている医療情報ネットが刷新され、2024年4月からは全国統一システムの運用を開始されることが明らかとなった。また、かかりつけ医機能を含め、国民・患者の医療機関の適切な選択を支援するよう、スマートフォン対応も予定されている。新しいシステムでは、医療機関の基本情報や医療サービス内容、治療結果のほか、高齢者や障害者向けの情報も提供される。さらに、英語・中国語・韓国語での情報提供も行われ、用語解説も整備される予定。医療機関は、毎年1~3月に定期報告を行い、基本情報に変更があった場合は都道府県に報告することが求められる。また、「かかりつけ医機能」の情報も提供され、患者は自宅近くの医療機関を選択しやすくなる。全国統一システムへの移行により、情報提供の内容も新しくなり、利用者がより使いやすい仕組みが提供されることが期待されているほか、2025(令和7)年度から発足するかかりつけ医機能が発揮される制度の施行に向けて、今後も情報提供項目改修が行われていく見込み。参考1)医療機能情報提供制度(医療情報ネット)について(厚労省)2)国民・患者に対するかかりつけ医機能をはじめとする医療情報の提供等に関する検討について(同)3)医療情報ネット、来年1月から新たな報告に 全国統一の情報提供4月開始、スマホ対応(CB News)4)医療情報ネットを「より使いやすい仕組み」に2024年度リニューアル、今後「かかりつけ医機能」情報も充実-医療機能情報提供制度等分科会(Gem Med)4.健康リスクに配慮した「飲酒ガイドライン案」を発表/厚労省11月22日に厚生労働省は、アルコール健康障害対策基本法に基づいて、検討を重ねてきた「飲酒ガイドライン案」を発表し、飲酒に伴うリスクに関する知識の普及と健康障害の防止を目指すことを明らかにした。指針は、年齢や体質に応じた飲酒量の留意点を提案し、純アルコール量での飲酒管理を重視している。とくに高齢者や若年層、アルコール分解能力が低い人々には、飲酒による健康リスクが高いと警告している。ガイドライン案では、純アルコール量の計算方法が示され、疾患ごとのリスクに応じて、少量の飲酒でも注意が必要としている。政府の「健康日本21(第3次)」計画では、1日の純アルコール摂取量を男性40g、女性20g以上と定め、60g以上の過度な飲酒や、不安・不眠解消のための飲酒、他人への強要を避けるよう勧めている。また、健康への配慮として、飲酒量の事前設定、飲酒時の食事摂取、水分補給、週に無酒日を設けることなどが推奨されている。そのほか、最近では、アルコール摂取量の自己管理を促進するため、スマートフォンアプリを利用した記録方法も普及している。ガイドラインに対する反応はさまざまで、個々の許容量に基づく飲酒量の調整を提案する声や、健康意識の高い人々にとって有益だとする意見があり、専門家は、多量飲酒時の水分摂取の重要性を強調し、飲み方の工夫を勧めている。参考1)健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(案)(厚労省)2)国内初の飲酒ガイドライン案「男性40g、女性20g以上はリスク」(毎日新聞)3)国として初の飲酒ガイドライン案 ビール1杯で高まる大腸がんリスク(朝日新聞)4)飲酒リスク、初指針で周知 年齢や体質に応じ留意点(日経新聞)5)お酒の望ましい量は?「飲酒ガイドライン」厚労省が案まとめる(NHK)5.薬のネット販売全面解禁へ、2025年から規制緩和/厚労省厚生労働省は、薬のネット販売に関する規制を大幅に緩和する方針を固めた。これにより、ほぼすべての薬がインターネットで購入可能になる見込み。とくに「要指導医薬品」について、これまでは対面販売が義務付けられていたが、ビデオ通話による服薬指導を条件に非対面での購入が認められるようになる。この変更は2025年以降に実施される予定。市販薬のネット販売は、2014年から一部が販売可能になり、新型コロナウイルス感染症の流行を受け、さらに拡大されていた。今回の規制緩和により、市販薬のほぼすべてがネットでの購入が可能となり、患者の利便性が大幅に向上すると期待されている。ただし、緊急避妊薬など対面での情報提供が必要な薬や乱用のリスクがある薬については、20歳未満の大量購入を禁止するなどの規制が維持される。厚労省は、この方針について専門家の会議で議論し、医薬品医療機器法の改正を目指している。現在、オンライン服薬指導による安全性の確保と利便性の向上を両立させるための仕組み作りが進められている。参考1)対面販売必要な薬 薬剤師のビデオ通話でネット販売検討 厚労省(NHK)2)市販薬ネット販売、全面解禁へ ビデオ通話での指導条件(日経新聞)3)薬のネット販売全面解禁へ、利点や注意点は?(同)6.医師確保プログラム「842万円の違約金は違法」とNPOが提訴/山梨県東京のNPO法人「消費者機構日本」は、山梨県が医師不足対策として2019年に開始した医師確保プログラムについて消費者契約法に違反するとして山梨県を11月21日に提訴した。このプログラムは、医学部学生が県内の医療機関で9年間勤務することを条件に、学費の返済を免除する内容。しかし、2021年に導入された新条項では、勤務期間を満たさない場合に最大842万円の違約金を課すことになり、この違約金条項が消費者契約法に違反するとして山梨県を提訴した。NPO法人側は、学費返済だけで十分であり、違約金は不当に高額だと主張している。一方、山梨県は、違約金が必要な措置であると反論し、プログラムの早期離脱が県に追加コストをもたらすとして長崎 幸太郎山梨県知事は争う姿勢を示した。この訴訟は、地域医療の充実を目指す県側の政策と、その実施方法の法的・倫理的妥当性を巡って議論を提起しており、違約金条項導入後、山梨大学や北里大学などから約115人の学生がプログラムに参加しており、今後の訴訟の動向が注目されている。参考1)山梨県の医学部学費貸与、「違約金840万円は違法」 NPOが提訴(朝日新聞)2)医師不足解消を図る山梨県の制度 “違約金は違法”と提訴(NHK)3)山梨県の医師確保プログラム、9年間勤務できなければ最大842万円の違約金…適格消費者団体が差し止め求め提訴(読売新聞)4)医師確保事業巡り 都内の消費者団体が県を提訴 長崎知事は争う姿勢示す 山梨県(山梨放送)

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インフルエンザワクチン(2)ワクチンの種類【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q94

インフルエンザワクチン(2)ワクチンの種類Q94前回に続き、インフルエンザワクチンの話題をもう1つ本邦で認可されているインフルエンザワクチンは、不活化ワクチンのみである。○か×か

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コロナ入院患者へのビタミンC投与、有効性認められず/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者へのビタミンC投与は、心肺支持療法離脱日数や生存退院を改善する可能性は低い。カナダ・Sunnybrook Health Sciences CentreのNeill K. J. Adhikari氏らの研究グループ「The LOVIT-COVID Investigators」が、2件の前向き調和型無作為化比較試験の結果を報告した。JAMA誌2023年11月14日号掲載の報告。ビタミンCを6時間ごとに静脈投与 ビタミンCがCOVD-19患者のアウトカムを改善するかどうかを評価した2件の試験は、2020年7月23日~2022年7月15日に、世界4大陸で、集中治療室(ICU)で心肺支持療法を受けている重症患者(90ヵ所で登録)と非重症患者(40ヵ所で登録)を対象に行われた。被験者は無作為に2群に割り付けられ、一方にはビタミンCを、もう一方にはプラセボを6時間ごとに96時間(最大16回)静脈投与した。 主要アウトカムは、心肺支持療法離脱日数(ICUで最長21日間心肺支持療法離脱で生存と定義)と生存退院の複合とした。同アウトカムの範囲は、院内死亡(-1)~心肺支持療法離脱で生存(22)で評価した。 主要解析は、ベイジアン累積ロジスティックモデルを用いて行った。オッズ比(OR)1超の場合は有効性(生存の改善、心肺支持療法離脱日数の増加、またはその両方)を、1未満の場合は有害性を、1.2未満では無益性を示すものとした。有害性・無益性の統計学的基準を満たし、試験中止に 本試験は、有害性と無益性が統計学的基準を満たした時点で、登録が打ち切られた。 主要アウトカムが得られたのは、重症患者1,568例(ビタミンC群1,037例、対照群531例、年齢中央値60歳[四分位範囲[IQR]:50~70]、女性35.9%)、非重症患者1,022例(456例、566例、62歳[51~72]、39.6%)だった。 重症患者において、心肺支持療法離脱日数中央値はビタミンC群7日(IQR:-1~17)、対照群10日(-1~17)で(補正後比例OR:0.88、95%信用区間[CrI]:0.73~1.06)、事後確率は8.6%(有効性)、91.4%(有害性)、99.9%(無益性)だった。 非重症患者においても、心肺支持療法離脱日数中央値はビタミンC群22日(IQR:18~22)、対照群は22日(21~22)で(補正後比例OR:0.80、95%CrI:0.60~1.01)、事後確率は2.9%(有効性)、97.1%(有害性)、99.9%超(無益性)だった。 重症患者の生存退院率についても、ビタミンC群61.9%、対照群64.6%で(補正後OR:0.92[95%CrI:0.73~1.17])、有効性の事後確率は24.0%だった。非重症患者の生存退院率も、それぞれ85.1%、86.6%で(0.86[0.61~1.17])、有効性の事後確率は17.8%だった。

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インフルエンザワクチン、鶏卵アレルギー患者は打っていい?【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】第13回

インフルエンザワクチン、鶏卵アレルギー患者は打っていい?講師国立病院機構 三重病院 長尾 みづほ 氏【今回の症例】3歳男児。重度の鶏卵アレルギーがあり、これまでインフルエンザワクチンを接種したことがない。今回、インフルエンザワクチンの接種について相談するために来院した。

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小児感染症に対する抗菌薬、多くはもはや効果を見込めず

 薬剤耐性菌の増加に伴い、一般的な小児感染症の治療において長らく使用されてきた抗菌薬の多くがもはや効果を失っていることが、新たな研究で明らかにされた。論文の筆頭著者であるシドニー大学(オーストラリア)感染症研究所のPhoebe Williams氏は、「抗菌薬の使用に関する世界的なガイドラインにこの結果を反映させる必要がある」と述べるとともに、乳幼児や小児用の新しい抗菌薬の開発に重点を置くべきだと呼び掛けている。この研究結果は、「The Lancet Regional Health - Southeast Asia」に10月31日掲載された。 世界保健機関(WHO)は、薬剤耐性菌の増加を世界的な公衆衛生上の脅威のトップ10に位置付けている。世界全体では、毎年約300万人の新生児が敗血症を発症し、57万人が死亡しているが、その原因の多くは薬剤耐性菌に有効な抗菌薬がないことである。 Williams氏は、「薬剤耐性菌の問題は他人事ではなく、すぐそこに差し迫っている脅威だ。薬剤耐性菌は、われわれが考えている以上のスピードで増加している。多剤耐性の侵襲性感染症や年に何千人もの子どもの死亡を食い止めるためには、新しい解決策が早急に必要だ」と主張する。 Williams氏らの今回の研究は、東南アジアおよび太平洋地域の低・中所得世帯の子どもに処方された、経験に基づく抗菌薬治療がどの程度有効であるのかを検討したもの。研究グループは、システマティックレビューにより抽出した、11カ国で収集された6,648の細菌分離株の感受性データを使用してパラメーター化した、WISCA(weighted incidence syndromic combination antibiogram)と呼ばれる薬剤感受性のデータベースを構築。これにより、新生児と小児の敗血症や髄膜炎に対する治療において、WHOが推奨する特定の抗菌薬(アミノペニシリン、ゲンタマイシン、第3世代セファロスポリン、カルバペネム)がどの程度有効であるか(coverage)を推定した。 その結果、新生児の敗血症/髄膜炎に対して、アミノペニシリンは26%、ゲンタマイシンは45%、第3世代セファロスポリンは29%、カルバペネムは81%有効であることが示された。一方、小児の敗血症と髄膜炎に対しては、アミノペニシリンはそれぞれ37%と62%、ゲンタマイシンは39%と21%、第3世代セファロスポリンは51%と65%、カルバペネムは83%と79%有効であった。 こうした結果を受けてWilliams氏は、「小児や新生児に対する新たな抗菌薬による治療法の研究に、資金を優先的に投入する必要がある」との見解を示す。「抗菌薬に関する臨床研究は成人に焦点が当てられることが多く、小児や新生児は置き去りにされている。そのため、小児や新生児に対する治療法の選択肢は少なく、新しい治療法に関するデータも極めて限定的だ」と指摘する。 論文の上席著者で、アンコール小児病院(カンボジア)のカンボジア・オックスフォード・メディカルリサーチユニットのディレクターを務めているPaul Turner氏は、「この研究により、小児の重篤な感染症治療に有効な抗菌薬について、その利用可能性に関する重要な問題が浮き彫りになった。また、薬剤耐性菌の拡大状況をモニタリングするために、質の高い検査データが必要であることも明示した」と述べている。

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第72回 中国依存型から脱して、「ペニシリン危機」を乗り越えろ!

中国への原薬依存Unsplashより使用2018年に突如セフェム系抗菌薬の供給が危ぶまれる状況になったことを覚えているでしょうか。また、呼吸器内科では、とくにカルバペネム系抗菌薬の不足が一部の抗酸菌感染症で「標準治療ができない」という事態を引き起こしました。当時、ほとんどが中国に原薬の製造を依存してしまっており、何らかのトラブルで流通が懸念されると、日本のβラクタム系抗菌薬が壊滅的な事態に陥ってしまうのです。原薬に使われている化学物質は、2000年頃までは国内の供給だったのですが、コスト削減のため安価な中国製にスイッチされています。しかし、中国における原薬価格のダンピングによって、国内の原薬工場はほとんど閉鎖となりました。2015年1月に施行された環境保護法の全面改正により、原薬の値段がこの数年間で2倍以上に高騰しています。さらに、ジェネリック医薬品の台頭や医療費抑制もあって、抗菌薬の薬価は全体的に値下げが進んでいます。そのため、現在抗菌薬は製薬会社にとって儲からない製品になりつつあるわけです。2019年に、関連4学会が政府に要望書を提出し、とくに欠かせない薬剤の安定供給を要請しています。そして、2022年12月に、国民の医療において重要な抗菌薬としてペニシリン系抗菌薬およびセフェム系抗菌薬の原薬が国産化される方向になりました1)。ようやく、といったところです。公益財団法人日本感染症医薬品協会に「βラクタム系抗菌薬原薬国産化委員会」も設置されました。これによって原薬を国内で作っていこうという方向に舵が切られました。製造可能なメーカーは限られているペニシリン系では6-APAという原薬がカギを握っていますが、この生産には、菌株、大型培養設備、大量の水、廃水処理設備が必要になります。これが可能な医薬品メーカーは限られています。また、早くても2025年くらいから6-APAの製造が本格的に稼働することになりますので、原薬が日本で恒常的に流通するのはもっと先になるかもしれません。こういった施策が可能な大きな母体のメーカーは限られていますが、日本の感染症の未来のために、今こそ中国依存型を脱するときです。参考文献・参考サイト1)厚生労働省:経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律に基づく抗菌性物質製剤に係る安定供給確保について

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パクスロビドのCOVID-19罹患後症状の予防効果に疑問符

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として知られるパクスロビド(一般名ニルマトレルビル・リトナビル、日本での商品名パキロビッドパック)のCOVID-19の罹患後症状(post-COVID-19 conditions;PCC)に対する効果に疑問を投げかける研究結果が報告された。COVID-19の重症化リスクや死亡リスクが高い患者に処方されることが多い抗ウイルス薬のパクスロビドを投与された患者と投与されなかった患者の間で31種類のPCCについて比較したところ、肺塞栓症・静脈血栓塞栓症以外はリスクが同等であることが示されたのだ。米Veterans Affairs Puget Sound Health Care Systemおよび米ワシントン大学消化器学分野のGeorge Ioannou氏らによるこの研究の詳細は、「Annals of Internal Medicine」に10月31日掲載された。 Ioannou氏らは、米国退役軍人健康管理局の記録から、COVID-19罹患に対してパクスロビドによる治療を受けた9,593人の退役軍人(年齢中央値66歳、ワクチン未接種率17.2%)を特定した。これらの退役軍人は、2022年1月1日から同年の7月31日までの間にCOVID-19の診断を受け、重症化リスクは高いが入院には至っていなかった。さらに、COVID-19に罹患したがパクスロビドによる治療は受けていない9,593人を対照として選出し、両群で、治療開始またはそれに相当する日から31日後と180日後時点におけるPCCの累積発生率を比較した。PCCは、心臓、肺、腎臓、消化器系、脳、筋肉に生じる問題、抑うつや不安神経症のような気分障害、倦怠感や勃起不全のような一般的な問題など31種類が対象とされた。 その結果、ほとんどのPCCのリスクについて、PCC別に検討しても、臓器系で分類して検討しても、パクスロビド群と対照群との間に有意な差は認められないことが明らかになった。ただし、肺塞栓症・静脈血栓塞栓症については、パクスロビド群の方が対照群よりもリスクが有意に低いことが示された(サブハザード比0.65、95%信頼区間0.44〜0.97)。この結果についてIoannou氏は、「肺塞栓症と静脈血栓塞栓症は、PCCのことが知られていなかったパンデミック初期においてさえも、COVID-19罹患後に認められる症状として、常に新型コロナウイルスと関連付けられてきたものだ」と説明している。 Ioannou氏は、「COVID-19に罹患したが基本的には健康な人が、長期的な症状を予防する目的でパクスロビドを服用しても無駄な可能性が示唆された。このような目的でパクスロビドを服用している人は、服用を考え直した方が良いだろう」と述べている。 本研究には関与していない、米マウントサイナイ病院の内科医であるFernando Carnavali氏は、「これらの結果から、PCCが必ずしもCOVID-19の重症度と関係しているわけではなく、感染による微妙な影響によって引き起こされていることがうかがわれる」と話す。同氏は、「Cell」10月26日号に掲載された米ペンシルベニア大学の研究報告において、ブレインフォグなどの神経や認知機能に関わるPCCがセロトニンレベルの低下と関連し、セロトニンレベルの低下は感染後に腸内に残存する新型コロナウイルスに起因する可能性が示唆されたことを指摘し、「もし、PCCが腸内の残存ウイルス粒子により引き起こされているのであれば、パクスロビドのような抗ウイルス薬の効果には疑問符が付く」と述べている。 Carnavali氏は、PCCに関する相反するデータに混乱を覚える人は、主治医や専門医に相談することを勧めている。「PCCに関する研究と治療はいまだ初期段階にある。それゆえ、相反する情報が報告されるのは当然のことだし、この状況は、今後もしばらく続くだろう。必要なのは、自分のために情報を整理してくれる人だ」と述べている。

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第188回 診療報酬改定シリーズ本格化(後編) 「財務省による医療界を分断するような動きがある」と日医・松本会長、「私たちは、財務省の奴隷なのでしょうか」と都医・尾崎会長。その財務省は地域別診療報酬を提案

「診療報酬本体マイナス改定が適当」と主張する財務省への反発強まるこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。MLBの今シーズンの最優秀選手(MVP)が11月16日(現地時間)に発表され、アメリカン・リーグではロサンゼルス・エンジェルスの大谷 翔平選手が2021年に続く2回目の受賞となりました。NHKのBSでもMLBネットワークの番組を生で放送していましたが、犬、可愛かったですね。この受賞番組で個人的に興味深かったのは、ナショナル・リーグのほうでした。候補のロナルド・アクーニャJr.選手(アトランタ・ブレーブス)、ムーキー・ベッツ選手(ロサンゼルス・ドジャース)、フレディ・フリーマン選手(ロサンゼルス・ドジャース)の3人がネットで同時に生出演をしていたのですが、なんとベッツ選手は「娘を迎えに行く途中」とのことで、車の運転席からスマホで出演していました。MLBのスター選手が大事なMVPの発表時に子供のお迎え……、そのシュールな状況にドジャース同僚のフリーマン選手も大爆笑で、こうしたチームの雰囲気なら大谷選手も力を発揮しやすいのでは、と思った次第です。なお、MVPは打率.337、41本塁打、106打点、73盗塁を記録したアクーニャJr.選手でした。さて、前回(「第187回 診療報酬改定シリーズ本格化(前編)『コロナで儲かったから診療報酬本体はマイナス改定』と財務省、『剰余金を取り崩せという姿勢は理不尽、医療提供体制の弱体化を招く』と日医・松本会長」)書いた、2023年11月1日に財務省の財政制度等審議会・財政制度分科会において財務省が主張した、「2024年度改定においては、診療所の極めて良好な経営状況等を踏まえ、診療所の報酬単価を引き下げること等により、現場従事者の処遇改善等の課題に対応しつつ診療報酬本体をマイナス改定とすることが適当」との考えに対する医療関係団体の反発が強まっています。一方、財務省の財政制度等審議会・財政制度分科会は、反発どこ吹く風と11月20日に2024年度の予算編成に向けた意見書(令和6年度予算の編成等に関する建議、通称「秋の建議」)をとりまとめ、鈴木 俊一財務相に提出しました。その中で診療報酬の改定については、11月1日の主張と同様「本体マイナス改定」が適当だとし、とくに診療所に入る報酬の単価を5.5%程度引き下げるよう求めました。三師会の会長、岸田首相、武見厚労相に適切な財源確保を直訴「秋の建議」に先立って、日本医師会の松本 吉郎会長、日本歯科医師会の高橋 英登会長、日本薬剤師会の山本 信夫会長は11月14日、医療機関や薬局が医療従事者の賃上げや物価高騰などに対応するための適切な財源を2024年度の診療報酬改定に向けて確保するよう求める要望書を、武見 敬三厚生労働相に面会し直接手渡しました。三師会の会長は翌15日には岸田 文雄首相とも面会、同内容の要望書を手渡し、賃上げ原資の確保のために「大幅な(報酬の)引き上げが必要」と直訴したとのことです1)。NHKなどの報道によれば、岸田首相はこれに対し「賃上げは非常に重要だ。要望を重く受け止め、しっかり検討したい」と応じたとのことです。またこの日、日本医師会と四病院団体協議会(四病協)は合同で声明を出し、類を見ない物価高騰の下では「緊急避難的な対応だけではなく、恒常的な対応が必要」だとし、2024年度診療報酬改定での大幅な引き上げを強く求めています2)。四病院団体の幹部とともに合同記者会見に臨んだ松本会長は、「財務省による医療界を分断するような動きがある中で、診療報酬改定の大きな方向性において、医療界が一体・一丸となって声を一つに歩んでいくべきとの強い思いがあったからだ」と述べたとのことです。「皆、とても悲しくなりました。私たちは、財務省の奴隷なのでしょうか」と心情吐露した都医・尾崎会長また、東京都医師会の尾崎 治夫会長は11月14日に定例記者会見を開き、財務省が財政制度等審議会・財政制度分科会で診療所の報酬単価引き下げを主張したことについて「皆、とても悲しくなりました。私たちは、財務省の奴隷なのでしょうか」とその思いを吐露しました。記者会見で尾崎会長は東京都医師会が医師会員に意見を聞いてまとめた「会員や働いているスタッフの気持ち」と題された文書を紹介、「当時、国は、わたしたちの努力に報いたいとの思いがあって、補助金をいただけたものと… 頂いた補助金は、さらなる感染症対策と、必要とされるスタッフの増員などで、増えた収入はすぐなくなり、翌年には税金も上乗せされ、ほぼ収支は元に戻ってしまいました。それなのに、コロナで十分儲けたはずだから、物価高に伴う従業員の給料上乗せはそこから出せる筈、よって診療所の診療報酬はあげる必要なく、むしろ下げるべき。怒りを通り越して、皆、とても悲しくなりました。私たちは、財務省の奴隷なのでしょうか」と語りました。その文書の末尾は、山本 五十六の名言とされる「やってみせ 言って聞かせて させてみせ ほめてやらねば 人は動かじ」で締められていました3)。少々大時代的なパフォーマンスにも見えますが、「医療人も褒めてやらないと動かないのだよ」と尾崎会長は訴えたかったようです。ちなみに、尾崎会長は武見厚労相の後援会会長を務めています。診療所不足地域と診療所過剰地域で異なる1点当たり単価を設定して不足地域への医療資源シフトを促すこのように、次期改定に向けてさまざまな波紋を投げかけている財務省の「本体マイナス改定」の主張ですが、11月1日の財政制度等審議会・財政制度分科会の資料にはもう1点、気になる内容が盛り込まれています。かねてから財務省が主張してきた地域別の診療報酬の導入の検討です。「診療所の偏在是正のための地域別単価の導入について」と題された資料では、「診療報酬の仕組みは、報酬点数×1点当たり単価(10円)となっているが、診療所の偏在は診療コストの違いも影響していると考えられる」として、「診療所不足地域と診療所過剰地域で異なる1点当たり単価を設定し、報酬面からも診療所過剰地域から診療所不足地域への医療資源のシフトを促すことを検討する必要」を提案しています。全国一律となっている1点単価を見直し、診療所不足地域の単価を上げて診療所を呼び込もう、というわけです。「秋の建議」にも、この地域別の診療報酬導入はそのまま盛り込まれました。さらに建議の本文では、「将来的に地域別の報酬体系への移行を視野に入れつつ、当面の措置として、診療所過剰地域における1点当たり単価の引下げを先行させ、それによる公費節減等の効果を活用して医師不足地域における対策を別途強化すべき」と、過剰地域で点数引き下げを先行させる考えも示されています。首相秘書官の一松 旬氏が奈良県出向時代に提案したスキーム財務省が最初に地域別の診療報酬について公の場で提言したのは、5年前、2018年4月の財政制度等審議会・財政制度分科会でした。この時財務省は「医療費適正化に向けた、地域別の診療報酬の具体的な活用可能なメニューを国としても示し、医療費適正化計画の達成に活用できるようにしていくべきだ。活用を検討する都道府県も現れている」として、地域別の診療報酬の導入可能性について言及しました。「活用を検討している」とされたのは奈良県で、そのスキームを考えたのが当時、財務省から出向し奈良県副知事を務めていた一松 旬氏、現在の首相秘書官です(「第179回 驚きの新閣僚人事、武見厚労相は日医には大きな誤算?“ケンカ太郎”の息子が日医とケンカをする日」参照)。地域別の診療報酬は、法律的には今でも実現可能です。「高齢者医療確保法(高齢者の医療の確保に関する法律)」の14条に規定があり、厚生労働大臣が都道府県知事と協議した上で都道府県別の診療報酬の単価を設定することができる、となっているからです。しかし、これまでに活用されたことはありません。2018年に財務省が提案したときは日医の猛反対もあり、議論は広がりませんでした。一松氏が首相秘書官となり、総理のブレーンとなった今年、財務省が「医療費適正化」のためではなく、今度は「診療所の偏在是正」のツールとして地域別の診療報酬を再度持ち出してきた真意はどこにあるのでしょうか。今回も単なる“打ち上げ花火”と見る向きもありますが、5年を経ても地域別の診療報酬を諦めず「秋の建議」に盛り込んできた財務省に、ある種の執念を感じます。武見厚労相は「慎重に考える必要がある」とコメントところで、メディファクス等の報道によれば、武見厚労相は地域別の診療報酬導入について11月7日の閣議決定後にコメント、被保険者間の公平性の観点から、現状診療報酬は全国一律の点数に設定しているとし、「慎重に考える必要がある」と語ったとのことです。日医寄りと見られる武見厚労相らしい発言とも言えますが、就任会見で「医療関係団体の代弁者ではない」と大見得を切った割には、医療関係団体への配慮が滲んでいる点が気になります。岸田内閣の支持率低下に歯止めがかからず、一部には「レームダック状態」「財務省も見限った」という報道もみられます。というわけで、武見厚労相の任期もいつまでかわからない状況です。例年と比べても勘案すべき要素が多過ぎることに加えて、政権が弱体化していることも診療報酬の改定率の予測を難しくしています。残すところあと1ヵ月余り、診療報酬改定シリーズから目が離せません。参考1)令和6年度診療報酬改定に向けて/日本医師会2)令和6年度診療報酬改定に向けた日本医師会・四病院団体協議会合同声明3)会員や働いているスタッフの気持ち/東京都医師会

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米FDAが全身型重症筋無力症治療薬のジルビスクを承認

 米食品医薬品局(FDA)は10月17日、抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性の全身型重症筋無力症の成人患者に対する治療薬として、補体5(C5)阻害作用を有する自己投与型の皮下注ペプチド製剤ジルビスク(一般名ジルコプラン)を承認した。 全身型重症筋無力症はまれな自己免疫疾患で、神経筋接合部における機能障害と損傷を特徴とする。全身型重症筋無力症の病態は、補体カスケードの活性化や免疫細胞の過剰反応、病原性のIgG(免疫グロブリンG)自己抗体の作用など複数の要因によって引き起こされると考えられている。 ジルビスクは、C5による神経筋接合部の損傷を防ぐ薬剤で、1日1回の自己投与が可能である。静脈内投与による治療に比べた自己投与による治療の利点は、通院頻度が減少し、仕事への影響も軽減し、より自立した生活が送れる点にある。モノクローナル抗体C5阻害薬とは異なり、ペプチド製剤であるジルビスクは、経静脈的免疫グロブリン療法や血漿交換など他の治療法と併用することも可能で、追加投与の必要もない。 ジルビスクの承認は、第3相RAISE試験の結果に基づいている。この試験では、対象患者を、12週間にわたって0.3mg/kgのジルビスクを1日1回皮下注射する群とプラセボを投与する群に1対1の割合でランダムに割り付けた。その結果、ジルビスク群では、主要評価項目とされた重症筋無力症の症状および日常生活動作(ADL)の改善について、12週目に有意な効果が認められた。ジルビスク群の10%以上に生じた主な副作用は、注射部位反応、上気道感染症、下痢であった。 FDAよりジルビスクの製造販売承認を付与されたUCB社のチーフメディカルオフィサーであるIris Loew-Friedrich氏は、「これまで、全身型重症筋無力症の患者には、C5療法を静脈内投与で受けるよりほか選択肢がなく、不便で多大な時間もかかっていた。今回の承認を受け、われわれは、AChR抗体陽性で軽症から重症までの成人全身型重症筋無力症患者が、より自立した生活を送れるようになることを願っている」と述べている。

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3日間のアミカシン吸入、長期挿管患者の人工呼吸器関連肺炎発生を軽減(解説:栗原宏氏)

Strong point ・多施設二重盲検ランダム比較試験で結果の信ぴょう性が高い・手技が簡便かつ重篤な副作用の発症が少ない・治療効果が臨床的に有意義研究デザイン上の限界・ICU、入院期間全体を短縮するかの評価は試されていない 人工呼吸器関連肺炎(VAP)は、気管挿管後48~72時間以上経過して発生する肺炎を指す。報告によって幅があるが全挿管患者の5~40%に発生するとされ、ICUでしばしばみられる感染性合併症である。死亡率は約10~30%と院内肺炎の中でもかなり高い。 気管チューブから侵入した細菌が気管チューブ、気管支肺胞系、肺実質で増殖することがVAPの原因となる。抗菌薬吸入療法はこれらの部位に直接高濃度の抗菌薬投与が可能であり、小規模試験のメタ解析によればVAP予防に有効であることが示されている。これを踏まえて、著者らは人工呼吸器導入後3日目以降に、1日1回3日間、理想体重1kg当たり20mgのアミカシン吸入療法を行い、VAPの発生率が減少するかを検討した。 VAPの発症は肺検体の定量的細菌培養で陽性、および白血球増多、白血球減少、発熱、胸部X線撮影で新たな浸潤影を伴う化膿性分泌物のうち、少なくとも2つを満たすと定義され、期間も28日間と実臨床に即した判定法といえる。 主要アウトカムは以下のとおりで、臨床的にも意義があると考えられる。・VAP発症:アミカシン群62例(15%) vsプラセボ群95例(22%)・VAP発症までの境界内平均生存期間(RMST)の群間差:1.5日(95%信頼区間[CI]:0.6~2.5、p=0.004)・侵襲的人工呼吸管理1,000日当たりのVAP初回エピソード発生頻度:アミカシン群16 vsプラセボ群23(発生率比:0.68、95%CI:0.49~0.94) ※RMSTは、「境界時間内のイベント発現までの時間に対する平均値」と定義され、短い観察期間でも生存曲線の要約情報を得ることができる。従来用いられていたCox比例ハザードモデルが厳密には適用できない場合があるため、新たな生存時間解析の指標として広まりつつある。 治療に起因する重篤な副作用(気管チューブの閉塞、気管支痙攣、呼気リンパフィルターの抵抗増加)はみられたが、1.7%(417例中7例)程度かつプラセボ群との有意差もなく、治療自体のリスクは低いと考えらえる。 本調査のアミカシン吸入療法によってVAP発症率を改善することが示されたが、デザイン上、28日間でのVAP発症の有無自体をエンドポイントとしており、ICU、入院期間全体の短縮に寄与するかは不明である。この点に関して今後の調査が期待される。 VAPの高い死亡率、治療の簡便さ、治療自体の危険性を総合的に考えると、長期の挿管が予想される患者に対して予防的なアミカシン吸入療法の実施は検討に値すると思われる。

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第190回 コロナ経口薬投与患者の5人に1人がリバウンド

コロナ経口薬投与患者の5人に1人がリバウンドファイザーのコロナウイルス感染症(COVID-19)の経口薬ニルマトレルビル・リトナビル(日本での商品名:パキロビッドパック)は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のメインプロテアーゼ(Mpro)を阻害してSARS-CoV-2の複製を食い止めます。軽~中等度のCOVID-19患者の入院や死亡が同剤で減ることが無作為化試験や観察試験で確認されており、今年5月に米国FDAは重症化リスクが高い軽~中等度COVID-19成人患者の治療に同剤を使うことを本承認しました1)。ニルマトレルビル・リトナビルは2年ほど前の2021年12月に本承認に先立って取り急ぎ認可されており、今では広く使われるようになっています。その普及に伴い、当初に比べてニルマトレルビル・リトナビルは感染再発(リバウンド)をより生じやすいことを示唆する報告が増えています。しかしこれまでの試験での検査や症状の把握は回数が少なくて期間も短く、それにウイルス培養のデータもなく、ニルマトレルビル・リトナビル使用に伴うリバウンドの正確な推定には至っていません2)。そこでMass General Brighamのチームはより正確な結果を得るべく、昨年2022年3月から今年2023年5月の外来のCOVID-19患者127例を繰り返し検査してリバウンド状況を詳しく調べました。それら127例のうち72例にニルマトレルビル・リトナビルが5日間投与されました。残り55例は非投与です。リバウンドはSARS-CoV-2がひとまず検出されなくなった後に培養でSARS-CoV-2が再び検出されること、またはSARS-CoV-2が基準(4.0 log10 copies/mL)未満にいったん減った後に増えた状態をしばらく維持することとみなされました。そのリバウンドがニルマトレルビル・リトナビル投与患者72例のうち15例(20.8%)に認められました3)。それら15例のうち13例は何らかの症状を伴い、7例はより明確に発症し(点数が大きいほど負担が大きいことを意味する下限0で上限30の症状検査値が3点以上上昇)、2例はまったくの無症状でした。ニルマトレルビル・リトナビル非投与55例でのリバウンドは少なくわずか1例(1.8%)のみでした。リバウンドはもっぱら高齢患者や免疫抑制患者に生じました。それは合点がいくことですが、奇妙なことにワクチン接種回数が多い人がリバウンドをより被っていました。つまりワクチンのリバウンド予防効果は認められませんでした。また、興味深いことにニルマトレルビル・リトナビル投与を遅くに始めた患者に比べてより早くに開始した患者にリバウンドがより多く認められました。著者が自覚しているとおり試験は被験者数が少ないという欠点があります。また、ニルマトレルビル・リトナビルが投与されなかった患者は悪化のリスクが低く、そもそもがリバウンドを生じ難かったのかもしれないという試験の設計上不可避な偏りが生じていたかもしれません2)。ニルマトレルビル・リトナビルはリバウンドをどうやら生じやすくするかもしれませんが、先行きが心配な患者の命を救い、入院や死亡を防ぐ効果的な薬であることに変わりはないと著者は言っています4)。著者がそう言うように同剤は軽~中等度COVID-19の治療手段として不可欠なだけにリバウンドを封じる手段を見つけることは大きな意義があります。そのためにはニルマトレルビル・リトナビルとリバウンドを関連付ける仕組みの解明が必要です。さしあたりかなり確からしい説明として、5日間の投与期間が実は不十分でリバウンドを招いているのではないかとの指摘があります2)。より長期間の投与の検討は始まっており、たとえばフランスの研究所ANRS Emerging Infectious Diseasesは免疫抑制患者へのニルマトレルビル・リトナビル10日間投与と5日間投与の比較試験を実施しています5)。また、リバウンド患者へのニルマトレルビル・リトナビル再投与の試験も進行中です6)。日本で承認済みの塩野義製薬の経口薬エンシトレルビル(商品名:ゾコーバ)は今のところリバウンドが少なくて済んでいるようです。欧州の学会で最近発表された試験解析によると、半減期が長い同剤治療患者のPCR検査で認められたウイルスRNAリバウンド率は7.8%、プラセボ群では4.7%でした7)。参考1)Pfizer’s PAXLOVID Receives FDA Approval for Adult Patients at High Risk of Progression to Severe COVID-19 / BUSINESS WIRE2)Cohen MS, et al. Ann Intern Med. 2023 Nov 14. [Epub ahead of print]3)Edelstein GE, et al. Ann Intern Med. 2023 Nov 14. [Epub ahead of print] 4)One in five patients experience rebound COVID after taking Paxlovid, new study finds5)OPTICOV試験(ClinicalTrials.gov)6)NCT05567952(ClinicalTrials.gov)7)ECCMID 2023: Shionogi to Present Data Showing COVID-19 Symptom Recurrence is Not Associated with Ensitrelvir Treatment / BUSINESS WIRE

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