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高頻度振動換気法、成人ARDS患者の30日死亡率を改善せず:OSCAR試験/NEJM

 急性呼吸促迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)の治療において、高頻度振動換気法(high-frequency oscillation ventilation:HFOV)は従来の機械的換気法と30日死亡率が同等で、改善効果はないことが、英国・オックスフォード大学のDuncan Young氏らの検討で示された。ARDS患者は動脈血の酸素化を維持するために機械的人工換気を要するが、この治療法は2次的に肺傷害を引き起こすことがある。HFOVは、肺傷害のリスクの回避に有用な可能性があるという。NEJM誌オンライン版2013年1月22日号掲載の報告。HFOVの有用性を従来の人工換気法と比較 OSCAR(Oscillation in ARDS)試験は、ARDS患者に対するHFOVの有用性を従来の人工換気法と比較する無作為化対照比較試験。 対象は、年齢16歳以上、呼気終末陽圧(PEEP)≧5cm水柱の動脈血酸素分圧(PaO2)/吸気酸素分画(FIO2)≦200mmHg(26.7kPa)で、最低2日以上の機械的人工換気を要すると予測される症例とした。これらの患者が、HFOVを施行する群または通常の人工換気を行う群(参加施設の通常の換気法)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、割り付けから30日までの全死因死亡。30日全死因死亡率:41.7%vs 41.1%(p=0.85) 2007年12月~2012年7月までに、イングランド、ウェールズ、スコットランドの29施設から795例が登録され、HFOV群に398例(平均年齢54.9歳、男性64.3%、平均APACHE IIスコア21.8、平均PaO2/FIO2 113mmHg)が、通常介入群には397例(同:55.9歳、60.2%、21.7、113mmHg)が割り付けられた。 30日全死因死亡率は、HFOV群が41.7%(166/398例)、通常介入群は41.1%(163/397例)であり、両群間に有意な差は認めなかった(p=0.85)。施設、性別、APACHE IIスコア、PaO2/FIO2で調整後の通常介入群のオッズ比は1.03(95%信頼区間:0.75~1.40、p=0.87)であった。 初回ICU退院時死亡率はHFOV群44.1%、通常介入群42.1%(p=0.57)、初回病院退院時死亡率はそれぞれ50.1%、48.4%(p=0.62)で、いずれも有意差はみられなかった。平均ICU入院期間はHFOV群17.6日、通常介入群16.1日(p=0.18)、平均病院入院期間はそれぞれ33.9日、33.1日(p=0.79)だった。 抗菌薬の平均投与期間はHFOV群12.8日、通常介入群12.4日(p=0.56)、そのうち肺感染症に対する投薬率はそれぞれ64.4%、67.5%であった。 著者は、「ARDSの治療において、HFOVは従来の機械的換気法に比べ30日死亡率を改善しなかった」と結論し、「本試験ではHFOVの有用性および有害性はともに示されなかった。HFOVはルーチンの治療には使用しないよう推奨する」としている。

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難治性の慢性特発性蕁麻疹患者、ピロリ菌除菌療法で約3割が症状消失

 抗ヒスタミン薬が無効の慢性特発性蕁麻疹(CU)患者について、ヘリコバクター・ピロリ(H.pylori、以下 ピロリ菌)感染症の除菌療法がベネフィットをもたらす可能性が、イスラエルのネゲヴ・ベン=グリオン大学のE. Magen氏らによる検討の結果、報告された。British Journal of Dermatology誌オンライン版2013年1月21日号の掲載報告。一部のCU患者では抗ヒスタミン薬の常用量投与に耐性を示す。一方、最近の研究報告で、慢性特発性蕁麻疹とピロリ菌感染症との関連が報告されていた。 研究グループは、ピロリ菌感染症の根治がCU患者の抗ヒスタミン薬耐性状況を改善可能かについて調べた。 CU患者の症例を後ろ向きにレビューし、蕁麻疹活性スコア(UAS)の記録と、ピロリ菌感染症について13C-urea breath test(13C-UBT)を行った。 初回投与量の4倍の抗ヒスタミン薬での8週治療にもかかわらずCU改善がみられない患者は難治性CU群とし、反応がみられた患者は反応CU群とした。 難治性CUで13C-UBT陽性の患者に対し、アモキシシリン1g・クラリスロマイシン500mg・オメプラゾール20mgを1日2回、14日間投与した。 CUにおけるピロリ菌除菌の効果は、UASにて評価した(3剤投与開始後のベースライン、8、16、28週時点で評価)。 主な結果は以下のとおり。・難治性CU患者46例のうち、29例(63%)が13C-UBT陽性であった。・29例のうち、18例がピロリ菌感染症の除菌を受けた(サブグループA)。11例は3剤併用療法を辞退した(サブグループB)。なお46例のうち17例は13C-UBT陰性であった(サブグループC)。・サブグループAにおいて、UASはベースラインの5.29±0.94から、8週時点3.62~0.96(p=0.03)、16週時点1.43±0.41(p

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エキスパートに聞く!「COPD」Q&A

認知症や寝たきり患者さんのCOPD診断の方法は?この場合、呼吸機能検査や胸部所見もとれませんので厳しい状態ではありますが、換気不全については呼気CO2アナライザーを用いて確認可能です。換気不全があると呼気中CO2濃度は上昇します。間質性肺疾患など拘束性換気障害ではこのような現象はみられませんので、呼気中CO2濃度の上昇は閉塞性障害がベースにあるという根拠になります。長い喫煙歴がありCOPDの肺所見もあるが、スパイロメトリーは正常な患者に対する対応法は?横隔膜の平低化などの画像所見がある方で、スパイロメトリーが正常だということはまずなく、何か異常があるものです。しかし、閉塞性換気障害が確認できない場合でも、咳や痰などの症状がある場合、旧分類ではステージ0とされ、将来COPDになる可能性が高いため、禁煙が推奨されています。また、こういった方たちの進行をいかにして防ぐかというのは今後の課題でもあります。呼吸器・循環器疾患の既往がなく非喫煙者であるものの、スパイロメトリーが異常な患者に対する対応法は?このケースではさまざまな要素が考えられます。閉塞性換気障害があることを想定すると、まず喘息の鑑別が必要です。また、非喫煙者であっても受動性喫煙についての情報をとることも重要です。さらに、胸郭の変形の確認や、日本人にはほとんどいませんがαアンチトリプシン欠損の除外も必要です。それから、もう1つ重要なことは、再検査によるデータの確認です。患者さんの努力依存性の検査ですから、適切に測定されて得られる結果かどうかの確認はぜひとも必要です。COPDと心不全合併症例における治療方針は?原則としてCOPDについてはCOPDの治療を行いますが、薬物療法とともに低酸素血症への酸素投与が重要です。COPDにより誘導される心不全は、基本的には右心不全であり、利尿薬が選択されます。拡張性心不全に準じて、利尿薬とともに利尿薬によるレニン-アンジオテンシン系の刺激作用を抑制するためにACE阻害薬やARBの併用が勧められています。不整脈などの症状が出たら、それに合わせた対応が必要となります。吸入ステロイドを導入するケースは?吸入ステロイド(以下:ICS)はCOPDそのものに対する有効性はあまり認められていません。しかし、急性増悪の頻度を減らすことが認められています。そのため、ICSは増悪を繰り返す際に安定を得るために投与するのが良いと考えられます。また、現在は長時間作用性β2刺激薬(以下:LABA)との配合剤もあり、選択肢が広がっています。LAMA、LABA/ LAMA配合薬、ICS/LABA配合薬の使い分けについて教えてくださいLAMAおよびLABA/LAMAについては、さまざまな有効性が証明されており、COPDの薬物療法のベースとして考えていただくべきだと思います。ICS/LABA配合薬 については、上記ICSの適応症例に準じて、適用を判断していくべきだと思います。また、テオフィリンのアドオンも良好な効果を示し、ガイドラインで推奨されているオーソドックスな方法であることを忘れてはいけないと思います。*ICS:吸入ステロイド、LABA:長時間作用性β2刺激薬、LAMA:長時間作用性抗コリン薬

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新規結核ワクチンの有効性示せず:MVA85A 020 Trial Study/Lancet

 開発中の新規結核ワクチンMVA85Aは、BCG接種歴のある幼児において良好な安全性を示したものの、予想に反して結核の予防効果はほとんどないことが、南アフリカ共和国・ケープタウン大学のMichele D Tameris氏の検討で示された。2011年の世界の結核患者数は約870万人で、約140万人が結核が原因で死亡している。南アフリカのような流行地では、BCGが広く普及しているにもかかわらず、幼児、小児の結核発症率がきわめて高く、ワクチンの改良が喫緊の課題とされる。MVA85AはBCGの予防効果を増強するようデザインされ、結核の予防に重要と考えられる抗体特異的Th1細胞およびTh17細胞を誘導することが確認されているという。Lancet誌オンライン版2013年2月4日号掲載の報告。安全性、有効性を無作為化第IIb相試験で評価 MVA85A 020 Trial Studyは、幼児における結核およびMycobacterium tuberculosis感染に対するMVA85Aの安全性、免疫原性、有効性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第IIb相試験。 BCGワクチン接種歴があり、HIVに感染していない健康な幼児(生後4~6ヵ月)を対象とした。これらの幼児を、MVA85Aを皮内接種する群またはプラセボ群に無作為に割り付けた。3ヵ月ごとに最長37ヵ月のフォローアップを行った。 主要評価項目は安全性(有害事象および重篤な有害事象の発現)とし、ワクチン接種群の有効率の評価も行った。有効性の評価項目として、微生物学的、X線画像上、臨床的な判定基準に基づく結核の発症率およびM tuberculosis感染(抗体陽性化)の検討を行った。結核発症に対する有効率17.3%、感染に対する有効率-3.8% 2009年7月15日~2011年5月4日までに2,797人が登録され、MVA85Aワクチン接種群に1,399人が、プラセボ群には1,398人(2人が接種を受けなかった)が割り付けられた。per-protocol集団のフォローアップ期間中央値は24.6ヵ月で、両群間に有意な差はなかった。ワクチン接種群の1,399人(生後146.6日、男児51%)、プラセボ群の1,395人(同:145.7日、51%)が解析の対象となった。 局所的有害事象の発生率はワクチン群で多かった[89%(1,251/1,399人)vs 45%(628/1,396人)]が、全身性の有害事象[80%(1,120/1,399人)vs 76%(1,059/1,396人)]や重篤な有害事象の発生率に差は認めなかった[18%(257/1,399人)vs 18%(258/1,396人)]。これら515人の幼児にみられた648件の重篤な有害事象はMVA85Aワクチンとは無関係だった。 ワクチン群の結核の発症率は2%(32/1,399人)で、これは100人年当たり1.15〔95%信頼区間(CI):0.79~1.62〕に相当した。M tuberculosis感染率は13%(178/1,398人、95%CI:11.0~14.6)であった。 これに対し、対照群の結核発症率は3%(39/1,395人)で、100人年当たり1.39(95%CI:1.00~1.91)、感染率は12%(171/1,394人、同:10.6~14.1)だった。 結核の発症に対するワクチン接種の有効率は17.3%(95%CI:-31.9~48.2)、M tuberculosis感染に対する有効率は-3.8%(同:-28.1~15.9)であった。 著者は、「MVA85Aワクチンは良好な忍容性を示し、細胞性免疫反応も誘導したが、結核の発症およびM tuberculosis感染の抑制効果はほとんどなかった」と結論し、「現行の結核ワクチンの候補選定のパラメータは不適切な可能性があり、試験のデザインや遂行の仕方をも含め、本試験の教訓は今後のワクチン開発にとって重要である」と指摘している。

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Dr.岩田の感染症アップグレードBEYOND

第1回「抗菌薬の危うい未来」第2回「感染臓器と原因微生物、そして?」第3回「薬理学を武器にせよ」第4回「市中肺炎に潜む罠」 第1回「抗菌薬の危うい未来」前シリーズ「感染症アップグレード」では、抗菌薬の多くの間違った使い方を指摘してきました。あれから数年、日本の感染症診療は大きくレベルアップしました。にも関わらず未だに見当違いの診断、不適切な抗菌薬使用は後を絶ちません。日常臨床で毎日のように処方される抗菌薬のことを、私たちは思いの外何も知らないのです。今回は、そもそも抗菌薬は何か、その目的とリスクはどのこにあるのか、そして、抗菌薬を取り巻く現状と問題点を詳しく解説し、これからの感染症診療への道筋をしめします。第2回「感染臓器と原因微生物、そして?」感染症の患者さんについてよく指導医が尋ねる「体温は?」「CRPは?」「白血球は?」といった質問。日本の感染症診療の現場では伝統的にこれらのパラメータが重要視されてきたのです。しかし感染症診療において、本当に必要な情報は、体温でもCRPでも白血球数でも知ることが出来ません。それではいったいどうすればいいのでしょうか?基礎中の基礎でありながら無下にされてきた感染症診療の考え方を再確認しましょう。第3回「薬理学を武器にせよ」抗菌薬を使う上で、「薬理学なんて役に立たないよ」と思っているあなた。それは、役に立たないではなく、役に立てていないのです。抗菌薬を選ぶときに、PKの知識がないと失敗します。投与量や投与回数を考える上で、PDを無視しては確実な治療効果を得ることはできません。そしてなにより、現実の臨床で出会う様々な病態、例えば、第1選択薬はアレルギーがあって使えない、第2選択薬は腎不全で使えない、そんな複雑な状況に立ち向かうためにも、薬理学は大きな武器になるのです。一味違う抗菌薬の使い方を是非身につけてください。第4回「市中肺炎に潜む罠」普段、院内でよく見る肺炎、特に市中肺炎をしっかりマネジメントできるようになれば、他の全ての感染症マネジメントに応用が利きます。まずはこの市中肺炎をしっかり押さえましょう。とはいえその診断は一筋縄では行きません。典型的な症状がないもの、肺炎に見えて肺炎でないものなど、ピットフォールは多く、これらに注意することが大切です。また、原因微生物の考え方と、抗菌薬の選択も重要です。今回はそれらを解説するとともに、肺炎球菌性肺炎に第一選択薬となるペニシリン、日本では誤用が甚だしいマクロライドについても詳説します。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(51)〕 ピロリ菌除菌―4剤逐次療法が標準的3剤併用除菌療法より良好!

日本ヘリコバクター学会によるガイドラインでは、H. pylori(ピロリ菌)感染が関与する疾患を『ピロリ感染症』と称してすべての疾患に対する除菌治療が推奨されていたが、今回、ピロリ菌感染胃炎に対する除菌治療が承認され、わが国でも除菌治療の保険適用患者が大幅に増加することとなった。ピロリ菌に対する標準的1次除菌治療としてプロトンポンプ阻害薬(PPI)にアモキシシリンAMPC)とクラリスロマイシン(CAM)を併用する3剤併用療法(PAC療法)が推奨されているが、わが国でもCAM耐性率が20%を超え、PAC療法の除菌率が70%台に低下し、新たな1次レジメンが必要となりつつある。 今回の台湾からの報告では、標準的なPAC療法(14日間)と14日もしくは10日間の4剤逐次療法(前半にPPI+AMPCの2剤、後半にPPI+CAM+メトロニダゾール(MNZ)の3剤を投与)の有用性を多施設共同非盲検無作為化試験で比較検討した結果、従来のPAC療法に比べて逐次療法の除菌率が有意に高いことが示されている。さらに3群の除菌失敗例に対してレボフロキサシン(LVFX)を含む逐次療法を追加した結果、すべての群で最終的には95%以上が除菌されていた。 海外におけるレジメンは、CAMを含む3剤併用から4剤を用いた逐次療法へと移行しつつあり、中でもLVFXを含むレジメンの高い除菌率が報告されている。しかし、LVFXは世界中で最も汎用されている抗菌薬であるとともに、耐性を獲得しやすいことでも知られている。したがって、LVFXを含むレジメンを標準治療とする際には慎重であるべきと思われる。 わが国の保険診療では、2次治療に限定した公知申請で承認されたPAM療法(CAMをMNZに変更したレジメン)の除菌率は90%以上に保たれており、現時点では診療現場で3次治療を必要とする対象は多くはないが、今後、新たなレジメンの開発を考慮すべき時代になっている。

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クロストリジウム・ディフィシル感染症再発に健康なドナー便の注入が有効/NEJM

 クロストリジウム・ディフィシル(C.ディフィシル)感染症再発後の治療について、ドナー便の十二指腸注入が、バンコマイシン治療よりも有意に効果が高いことが示された。オランダ・アムステルダム大学のEls van Nood氏らが、C.ディフィシル感染症の再発患者について行った無作為化試験の結果で、初回便注入による下痢症状消失の割合は8割以上であったという。C.ディフィシル感染症再発の治療は困難で、抗菌薬治療の失敗率が高い。NEJM誌2013年1月31日号(オンライン版2013年1月16日号)掲載報告より。ドナー便注入群、抗菌薬単独治療群、抗菌薬治療+腸洗浄群の3群を比較 研究グループは、抗菌薬治療完了後にC.ディフィシル感染症の再発が認められた43人を無作為に、(1)バンコマイシンの短期投与(500mg経口投与、1日4回、4日間)に続き、腸洗浄の後、健康なドナー便を経鼻十二指腸管注入する群(17人)、(2)標準的バンコマイシン投与群(13人、500mg経口投与、1日4回、14日間)、(3)標準的バンコマイシン投与と腸洗浄を行う群(13人)に割り付け検討した。 主要エンドポイントは、10週間後の下痢症状の消失(C.ディフィシル感染症の再発が認められない)とした。16人中13人が、ドナー便初回注入後に下痢症状消失 試験を終了したのは、41人だった。 便注入群16人のうち13人(81%)で、初回注入後にC.ディフィシル感染症関連の下痢症状が消失した。同群残り3人のうち2人は、2回目の便注入(別のドナー便)後に同症状が消失した。 バンコマイシン投与群では単独投与群13人のうち4人(31%)と、バンコマイシン+腸洗浄群13人中3人(23%)だった(いずれも便注入群との比較でp<0.001)。 有害事象発生率については、ドナー便注入群で注入を行った当日に、軽度下痢症状と腹部痙攣が認められたが、その他についてはいずれの群とも同程度だった。 ドナー便注入群の注入後の便は、細菌が多様となり、健康なドナーと同程度となっていた。クテロイデス種とクロストリジウムクラスターIV、XIVaが増加し、プロテオバクテリア種が減少していた。

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毎日のクロルヘキシジン清拭で院内感染が有意に減少/NEJM

 単施設の観察研究から、毎日のクロルヘキシジン清拭により院内血流感染と多剤耐性微生物の発現を防ぐ可能性が示唆されている。今回、米国のMichael W Climo氏らは、多施設共同集団無作為化非盲検クロスオーバー試験を行い、毎日のクロルヘキシジン含浸手拭いでの清拭により多剤耐性微生物の発現および院内血流感染発症のリスクを有意に減少させたことを報告した。NEJM誌2013年2月7日号に掲載。 本研究では、6病院の9つの集中治療部と骨髄移植部をランダムに2群に割り付け、一方の群では患者を2%クロルヘキシジン含浸手拭いで、もう一方の群では抗微生物薬を含まない手拭いで6ヵ月間清拭し、次の6ヵ月間は手拭いを入れ替え清拭した。多剤耐性微生物の発現率と院内血流感染率は、2つの期間の間でポアソン回帰分析により比較した。 主な結果は以下のとおり。・試験には7,727例の患者が登録された。・多剤耐性微生物の発現率は、抗微生物薬なしの手拭いが1,000患者・日当たり6.60例に対し、クロルヘキシジン含浸手拭いが5.10例で(p = 0.03)、クロルヘキシジン含浸手拭いで23%低かった。・院内血流感染率は、抗微生物薬なしの手拭いが1,000患者・日当たり6.60例に対し、クロルヘキシジン含浸手拭いが4.78例で(p= 0.007)、クロルヘキシジン含浸手拭いで28%低かった。・重篤な皮膚反応は、いずれの試験期間中にも認められなかった。

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エンテロウイルス71ワクチン、第2相試験で免疫原性、安全性を確認/Lancet

 エンテロウイルス71(EV71)ワクチンについて、第2相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、乳幼児に対する免疫原性と安全性を確認したことを中国・江蘇省疾病管理予防センターのFeng-Cai Zhu氏らが報告した。EV71は1969年に米国カリフォルニアで初めて報告された腸管ウイルスで、その後14ヵ国以上(日本も含む)から報告が寄せられている。とくに中国では過去に3度重大流行が発生し2009年には255人超が死亡したという。今回検討されたワクチンは、中国Beijing Vigoo Biologicalが開発したアラムアジュバンドワクチン製剤で、第1相試験で臨床的に認容性のある安全性プロファイルと免疫原性が示唆されたことを受けて本試験が行われた。Lancet誌オンライン版2013年1月24日号掲載報告より。生後6~36ヵ月の乳幼児を対象に無作為化二重盲検プラセボ対照試験 EV71ワクチンの第2相試験は、江蘇省東海県の1施設で、生後6~36ヵ月の健康な男女児を適格被験者として行われた。 被験児を無作為に5群[アラムアジュバントEV71ワクチン160U、320U、640U群と、非アジュバントワクチン群、プラセボ(アラムアジュバントのみ含有)群]に、SAS9.1ブロックランダムリストを用いて割り付けた。無作為化情報は、被験児および試験担当者には知らされなかった。 主要エンドポイントは、56日時点での幾何平均抗体価(GMTs)で、プロトコルに基づき解析が行われた。320Uアラムアジュバント製剤が最適 無作為化された被験児は1,200例で、各接種群には240例ずつ(乳児:6~11ヵ月齢児120例、幼児:12~36ヵ月齢児120例)が割り付けられた。そのうち試験を完了したのは1,106例であった。被験児のドロップアウトは、同意が得られなかったことと血液サンプル提供の拒否が主な理由であった。 解析の結果、乳児640U接種群が56日時点のGMTsが最も高値であった(742.2、95%CI:577.3~954.3)。次いで乳児320U接種群が続いた(497.9、383.1~647.0)。 幼児では320U接種群が最も高値であった(1,383.2、1,037.3~1,844.5)。 全体では、ワクチン接種群が非接種群よりもGMTs値が有意に高値であった(p<0.0001)。 ベースラインで血清陰性であった被験児のサブグループについて、640U接種を受けた乳児および幼児の両群が56日時点のGMTsが最も高値であった(乳児:522.8、403.9~676.6、幼児:708.4、524.1~957.6)。次いで320U接種群であった(乳児:358.2、280.5~457.5、幼児:498.0、383.4~646.9)。 安全性について、1,200例のうち549例(45.8%)が1つ以上の注射部位あるいは全身性の副反応を報告したが、副反応発生率は接種群間で有意な差はみられなかった(p=0.36)。ただし硬結発生率について、640Uアジュバントワクチン接種群が非アジュバントと比較して有意に高率であった(p=0.001)。 以上を踏まえて著者は、「EV71ワクチンの免疫原性、安全性、製剤の生産性が確認された。おそらく第3相試験には320Uアラムアジュバント製剤が最も適しているであろう」と結論している。

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妊娠中のH1N1インフルエンザワクチン接種、発症リスクを7割減/NEJM

 妊娠中の2009インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染症パンデミックの罹患は、胎児死亡リスクを約2倍増大する一方、妊娠中に同ワクチンを投与した人では、インフルエンザを発症した人の割合は約7割少なかったことが報告された。ノルウェーのNorwegian Institute of Public HealthのSiri E. Haberg氏らが、H1N1ウイルスが流行した2009~2010年に妊娠中だった女性12万人弱について行った試験で明らかにしたもので、NEJM誌2013年1月24日号(オンライン版2013年1月16日号)で発表した。2009パンデミックでは、ワクチン接種後に胎児死亡が散発的に報告されたことで、妊婦へのワクチン接種の安全性について懸念が持ち上がっていた。胎児死亡率は1,000児中4.9児 研究グループは、ノルウェーの全国登録名簿などを用いて、2009~2010年に妊娠中だった11万7,347例について調査を行った。被験者のインフルエンザワクチン接種の有無、出産アウトカム、パンデミック前後や期間中の状況などについて調べ、Cox回帰モデルを用いて、H1N1ウイルス感染やワクチン接種と胎児死亡率についての関連を分析した。 その結果、胎児の死亡は570例で、胎児死亡率は1,000例中4.9だった。被験者のうち単胎妊娠は11万3,331人で、そのうち胎児の死亡は492例(1,000例中4.3)だった。妊婦のワクチン投与で発症リスクは7割減、胎児死亡リスク減少では有意差みられず パンデミック期間中に妊娠第2・第3期だった妊婦は4万6,491例で、そのうちインフルエンザワクチン接種を受けた人の割合は54%だった。 妊娠中のインフルエンザワクチン投与は、インフルエンザ発症率を約7割減少した(補正後ハザード比:0.30、95%信頼区間:0.25~0.34)。 妊婦のうちインフルエンザの臨床的診断を受けた人では、胎児死亡率は約2倍に増大した(補正後ハザード比:1.91、同:1.07~3.41)。 妊娠中のワクチン投与によって、胎児死亡リスクは減少する傾向が認められたものの、有意差は認めらなかった(補正後ハザード比:0.88、同:0.66~1.17)。 これらの結果を踏まえて著者は、「ワクチン接種自体は胎児死亡とは関係がない。むしろパンデミック期間中のインフルエンザ関連の胎児死亡リスクを低減する可能性がある」と結論した。

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間欠自己導尿カテーテル、タイプ別に比較した尿路感染症リスクの発生/BMJ

 在宅患者にとって、間欠自己導尿カテーテルのタイプは、親水性、ゲルリザーバー、非コートタイプのいずれでも、症候性のカテーテル関連尿路感染症のリスクはほとんど差がないことを、英国・National Clinical Guideline CentreのSarah L Bermingham氏らがシステマティックレビューによるメタ解析を行い報告した。尿道カテーテルを利用している人の罹病状態や死亡の原因の先頭に立つのがカテーテル関連尿路感染症である。感染リスクは留置カテーテル処置患者で最も高く、膀胱管理には間欠導尿が好ましいオプション処置とされているが、これまで、その材質や方法論について、有効性と費用対効果の系統的比較は行われていなかった。BMJ誌2013年1月13日号(オンライン版2013年1月8日号)の掲載報告。親水性、ゲルリザーバー、非コートで比較 本検討は、在宅で間欠自己導尿を行っている患者にとって、最も有効で費用対効果に優れるカテーテルタイプを明らかにすることを目的とした。 システマティックレビューとメタ解析にて検討し、結果は確率的なマルコフ・モデルに組み込まれ、生涯コストとQALY(生活の質で調整した生存年)を比較した。 Medline、Embase、Cochrane、Cinahlのデータベースで2002年~2011年4月18日の間に、間欠自己導尿カテーテルについて親水性タイプ、ゲルリザーバータイプ、非コートタイプを比較している文献を検索した。また、2002年以前の論文の特定にはガイドラインを利用した。清潔(1日1回交換または週に1回交換)vs. 無菌性(使い捨て)非コートカテーテルの比較を行っている試験については、各データベースのサービス開始時点から2011年4月18日の間で検索を行った。 主要評価項目は、症候性尿路感染症、菌血症、死亡、患者の好みまたは快適性、使用したカテーテル数などが含まれた。経済的評価モデルには、尿道炎を含む尿路感染症と費用対効果が含まれ、QALY獲得のために増大するコストを算出して検討した。ほとんど差がないが、費用対効果も考慮し親水性かゲルリザーバーを選択肢とすべき システマティックレビューには8試験が組み込まれた。 間欠自己導尿法の利用は脊髄損傷患者が最も多く、大半は男性患者であった。 無菌性非コート群と比べて、ゲルリザーバー群と親水性群は、1回以上の尿路感染症(UTI)の報告例が有意に少ない傾向がみられた(いずれもp=0.04)。 しかし、親水性群と無菌性非コート群との差は、アウトカムを1ヵ月平均UTIで測定した場合(p=0.84)、または1年時点での総UTIで測定した場合(p=0.60)は有意ではなかった。 清潔非コートタイプと無菌性非コートタイプの比較では、1回以上のUTI報告に差はほとんどなかった(p=0.86)。 最も有効であったのはゲルリザーバータイプであったが、QALY獲得コストが>5万4,350ポンドで、清潔非コートタイプと比べて費用対効果では劣った。 以上の結果を踏まえて著者は、「間欠自己カテーテル法で利用されるカテーテルタイプは、症候性尿路感染症リスクについてはほとんど差がないようである。材質による大きな違いとしては、清潔非コートタイプが最も費用対効果に優れている。しかし、エビデンスベースおよび非コートタイプの呼称についての限界とギャップがあり、予防的観点から患者に与えられるべき選択肢は親水性およびゲルリザーバーとすべきことを推奨する」と結論した。その上で、現場の使用の流れが変わる前に、さらなるデータ(感染症、尿道合併症の発生、患者コンプライアンス、清潔カテーテルの扱い方、QOLなど)の積み上げが必要だと指摘している。

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HIV初感染への48週間抗レトロウイルス療法の効果は?/NEJM

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)初感染(primary HIV infection)に対し、48週間の抗レトロウイルス療法(ART)は、従前より示唆されていたように疾患進行を遅らせることが明らかにされた。英国・Imperial College LondonのSarah Fidler氏らが、約370人の患者について行った無作為化試験「Short Pulse Anti-Retroviral Therapy at Seroconversion」(SPARTAC)の結果、報告した。これまで、HIV初感染に対する短期ART療法について疾患進行を遅延しうる可能性が言われていたが、十分な評価は行われていなかった。NEJM誌2013年1月17日号掲載より。HIV初感染初期の366人を平均4.2年追跡 SPARTAC研究グループは、HIV初感染の患者366人を無作為に3群に分け比較検討した。一群にはARTを48週間、別の群にはARTを12週間、もう一つの群には通常の治療を、いずれもセロコンバージョン後6ヵ月以内に開始した。 主要エンドポイントは、CD4+細胞数の350/mm3未満への低下、または長期ART療法の開始とした。 被験者の年齢中央値は31~33歳、男性は60%だった。48週間ART群は123人、12週間ART群は120人、通常治療群は123人だった。平均追跡期間は4.2年だった。48週間ART群、主要エンドポイント発生リスクは通常治療群の4割減 その結果、主要エンドポイントのイベント発生率は、12週間ART群と通常治療群ではそれぞれ61%だったのに対し、48週間ART群では50%と低率だった。48週間ART群の通常治療群に対する主要エンドポイントのイベント発生に関する平均ハザード比は、0.63(95%信頼区間:0.45~0.90、p=0.01)だった。一方、12週間ART群の同値は、0.93(同:0.67~1.29、p=0.67)と、有意差は認められなかった。 また、CD4+細胞数350/mm3未満に低下した人の割合は、12週間ART群と通常治療群は40%だったのに対し、48週間ART群では28%と低率だった。 主要エンドポイント発生までの期間中央値は、48週間ART群は通常治療群と比べ65週間(同:17~114)長かった。 事後解析により、ART開始と主要エンドポイントとの期間は、ART開始がセロコンバージョン時期に近いほど長期となる傾向があることが確認された。また、48週間ARTは、短期療法完了後36週時点のHIV RNA量を、0.44 log10コピー/mL(同:0.25~0.64)減少した。 なお、エイズ、死亡、重度有害イベントの発生率については、すべての群で同等だった。 結果を踏まえて著者は、「HIV初感染の患者に対する48週間ARTは、疾患の進行を遅らせることを発見した。しかしその期間は、治療期間の48週よりも有意に長くはなかった。またART中断が臨床転帰に有害な影響を及ぼす証拠は認められなかった」と結論している。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(48)〕 IL-1阻害薬は活動性全身型若年性特発性関節炎に有効である

IL-1阻害薬は、IL-1レセプターアンタゴニスト(IL-Ra)であるアナキンラ(国内未承認)が関節リウマチの治療薬として欧米で承認されているが、 TNF阻害薬ほどの有効性は認められない。IL-1の過剰産生が病態の中心であることが判明したマックル・ウェルズ症候群などの自己免疫性症候群に対しては、IL-1レセプターとイムノグロブリンの融合蛋白であるリロナセプト(国内未承認)とヒト化抗IL-1抗体であるカナキヌマブ(商品名:イラリス)が承認されている。 若年性特発性関節炎(JIA)の全身型は発熱、関節炎、リンパ節腫脹、肝脾腫、漿膜炎、炎症反応高値などの臨床症状を示し、ステロイド療法やメトトレキサートなどの免疫抑制剤が治療の中心であったが、近年IL-1やIL-6が病態の中心にあることが報告されてきた。 今回70%弱がアナキンラやIL-6阻害薬、TNF阻害薬などの生物学的製剤の投与歴がある難治性の活動性JIA患者190人に対するカナキヌマブに関する2つの第3相臨床試験の結果が報告された。Trial 1で主要アウトカムである15日目のJIA・ACR30(JIAコアセット6つのうち3つ以上で改善率30%以上、1つ未満クライテリアでの30%超の悪化、発熱がない)の基準を満たした患者の頻度は、カナキヌマブ投与群(43例)でプラセボ群(41例)と比較して有意に高かった(84% vs. 10%)。Trial 2はオープンラベル試験で175人が中央値で113日観察され、73%がJIA・ACR50を達成し、JIA・ACR30を達成した100人がカナキヌマブ継続とプラセボ投与の2群に割り付けられた。カプラン・マイヤー法で両群の非再発率を検討するとカナキヌマブ投与群で有意に高かった(74% vs 25%)。グルココルチコイドはベースラインで 128人に投与され、平均0.34 mg/kgから0.05 mg/kgまで減量され33%が中止できた。マクロファージ活性化症候群が7例に出現し、プラセボ群よりカナキヌマブ群で感染症の合併率は高かった。 抗IL-1β抗体のJIA全身型への有効性が確認され、今後本邦でも抗IL-1β抗体の使用が可能となることが期待される。

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新型インフルエンザワクチン、てんかん発作のリスクを増大しない/BMJ

 パンデミックA/H1N1インフルエンザ、いわゆる新型インフルエンザのワクチンについて、てんかん発作のリスクを増大するエビデンスはみられなかったことが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のLisen Arnheim-Dahlstrom氏らによる検証の結果、報告された。同ワクチンについては先行研究で、ギラン・バレー症候群など神経学的イベントのリスク増大およびナルコレプシーのリスク増大の可能性が報告されていた。また、百日咳ワクチンの接種後のてんかん発作が報告されており、研究グループは、新型インフルエンザワクチンのてんかん発作リスクの増大について調査した。BMJ誌2013年1月5日号(オンライン版2012年12月18日号)掲載より。てんかんあり・なし含む接種者37万人超について調査 研究グループは自己対照ケースシリーズ研究にて、新型インフルエンザの単価AS03アジュバンドワクチン(商品名:パンデムリックス〔国内未承認〕)のてんかん発作リスクを評価した。 評価の対象は、スウェーデンの3つの州(人口約75万人)で2009年10月~2010年5月にワクチン接種を受けた、てんかんの有無を問わない37万3,398人(0~106歳、年齢中央値41.2歳)だった。 それらのうち、接種前90日間および接種後90日間に、入院患者あるいは外来患者としててんかん発作を診断された人を調べた。エンドポイントは、てんかん発作を主病として入院または外来治療を受けたこととした。 評価は、ワクチン接種後のてんかん発作の発生率とワクチン接種前後の2つの期間におけるてんかん発作の発生とを比較して算出した推定エフェクト相対発生率にて行った。てんかん既往者のリスクも、増大はみられず 試験期間中にてんかん発作を認めた人は859人だった。 1~7日のリスク期間中(1日目がワクチン接種日)において、てんかん既往者の発作のリスク増大は認められなかった(相対発生率:1.01、95%信頼区間:0.74~1.39)。 また、非既往者の発作リスクの有意な低下は認められなかった(同:0.67、0.27~1.65)。 8~30日のリスク期間においては、非既往の人の発作リスクの有意な増大はみられず(同:1.11、0.73~1.70)、既往者のリスクは増大しなかった(同:1.00、0.83~1.21)。

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検証!抗てんかん薬の免疫グロブリン濃度に及ぼす影響

 抗てんかん薬は免疫グロブリンに影響を与えると言われている。ノルウェー・オスロ大学病院のS. Svalheim氏らは、レベチラセタム、カルバマゼピン、ラモトリギンなどの抗てんかん薬がてんかん患者の免疫グロブリン濃度に及ぼす影響を検討した。Acta neurologica Scandinavica誌2013年1月号の掲載報告。 被験者は、てんかん患者211例および対照80例(18~45歳の男女)であった。てんかん患者は抗てんかん薬単独による治療を最低6ヵ月施行されていた。治療薬の内訳はレベチラセタムが47例、カルバマゼピンが90例、ラモトリギンが74例であった。免疫グロブリンG (IgG)、IgG サブクラス(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、免疫グロブリンA(IgA)および免疫グロブリンM(IgM)の総濃度を測定し、患者群と対照群で比較した。なお、患者背景として喫煙、飲酒習慣、身体活動性の記録とともに、BMIを算出した。 主な結果は以下のとおり。・ラモトリギンの治療を受けている男女、カルバマゼピンの治療を受けている男性において、IgG濃度およびIgG1濃度は有意に低値であった。・ラモトリギンの治療を受けている女性において、IgG2濃度およびIgG4濃度はより低値であった。・ラモトリギンの治療を受けている男性において、IgA濃度およびIgM濃度はより低値であった。・レベチラセタムの治療を受けている患者では、対照群との間で免疫グロブリン濃度に差はみられなかった。・以上の結果から、ラモトリギンおよびカルバマゼピンはてんかん患者の免疫グロブリン濃度を低下させることが示された。・本検討における対象患者が健康若年成人でなかったことを考えると、たとえば免疫不全症例などの特定の患者集団においては、抗てんかん薬が免疫グロブリン濃度に影響を及ぼしうることを特に認識しておく必要がある。そして、ラモトリギンやカルバマゼピンを服用中で感染症を繰り返しているような患者については、免疫グロブリン濃度を測定し、薬剤の変更を考慮すべきである。関連医療ニュース ・神経ステロイド減量が双極性障害患者の気分安定化につながる? ・側頭葉てんかんでの海馬内メカニズムの一端が明らかに ・レベチラセタムは末梢性の鎮痛・抗浮腫作用を示す

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インターフェロン治療SVR達成の慢性C型肝炎患者は全死因死亡が有意に低下/JAMA

 慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染症・進行性肝線維症患者の全死因死亡率について、インターフェロン治療により持続的ウイルス学的著効(SVR)がみられる人では有意な低下がみられたことが、オランダ・エラスムス大学のAdriaan J. van der Meer氏らによる評価の結果、明らかにされた。JAMA誌2012年12月26日号掲載より。530例を中央値8.4年追跡、全死因死亡率などを評価 研究グループは、慢性HCV・進行性肝線維症患者におけるSVRと全死因死亡率との関連を評価することを目的に、国際多施設長期フォローアップ研究を行った。 被験者は、ヨーロッパおよびカナダの5つの病院から登録された慢性HCV患者530例で、1990~2003年の間にインターフェロンをベースとした治療を開始し、肝線維症または肝硬変症の進行(Ishakスコア4~6)について組織学的検査に基づき追跡された。 フォローアップは、2010年1月~2011年10月にわたって行われ、全死因死亡率を主要評価項目に、また肝不全、肝細胞がん(HCC)、肝臓関連の死亡または肝移植を副次評価項目として評価が行われた。 530例の被験者の追跡期間中央値は8.4年(IQR:6.4~11.4)だった。ベースラインでの年齢中央値は48歳(同:42~56)で、369例(70%)が男性だった。 肝線維症のIshakスコアは、143例(27%)が4、101例(19%)が5、6は286例(54%)だった。SVR達成・非達成で、10年累積全死因死亡、肝細胞がん、移植などに有意な差 SVRを達成したのは192例(36%)だった。 死亡したのは、SVR患者13例、非SVR患者100例で、10年累積全死因死亡率はSVR患者8.9%[95%信頼区間(CI):3.3~14.5]、非SVR患者26.0%(同:20.2~28.4)で有意な差がみられた(p<0.001)。 時間依存的多変量Cox回帰分析の結果、SVRと全死因死亡低下との有意な関連が認められた[ハザード比(HR):0.26、95%CI:0.14~0.49、p<0.001]。また、肝関連死亡または肝移植の有意な低下(SVR患者3例、非SVR患者103例)も認められた(HR:0.06、95%CI:0.02~0.19、p<0.001)。10年累積肝関連死亡-肝移植発生率は、SVR患者1.9%(95%CI:0.0~4.1)、非SVR患者27.4%(同:22.0~32.8)だった(p<0.001)。 HCCを発症したのはSVR患者7例、非SVR患者76例だった。10年累積発生率はSVR患者5.1%(95%CI:1.3~8.9)、非SVR患者21.8%(同:16.6~27.0)で有意な差が認められた(p<0.001)。 肝不全の発症は、SVR患者4例、非SVR患者111例だった。10年累積発生率はSVR患者2.1%(95%CI:0.0~4.5)、非SVR患者29.9%(同:24.3~35.5)で有意な差が認められた(p<0.001)。

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イヌの嗅覚を活かしたC difficile感染症の病棟スクリーニングの可能性/BMJ

 オランダ・VU University Medical CentreのMarije K Bomers氏らは、イヌの優れた嗅覚を、便検体および入院患者のクロストリジウム・ディフィシル(C difficile)感染症の検出に活用できることを実証するための試験(principle study)を行った。その結果、感度・特異度ともに高く(便検体では100%)、検出が可能であることが示されたという。BMJ誌2012年12月22日号(オンライン版2012年12月13日号)掲載「クリスマス特集」より。イヌに嗅ぎ分けを訓練し、便検体および300人の患者で検証 研究は、ケースコントロール研究デザインの手法を用いて、オランダの2つの教育病院で行われた。 2歳のビーグル犬にC difficileを嗅ぎ分ける訓練を2ヵ月間行った後、2つの診断精度を検証する試験を行った。 1つは便検体を嗅ぎ分ける試験で、陽性検体50例と陰性検体50例を用いて行われた。C difficileの匂いを正確に嗅ぎ分けられるかを調べるため、それぞれの検体は異なる材質に貼付し環境や濃度を変えて繰り返し(10回)ビーグル犬に提示された。 もう1つは、300人の患者を嗅ぎ分ける試験だった。患者は30人がC difficile感染症群、270人が対照群で、トレーナー(患者の感染状態を知らされていない)がビーグル犬を病室に導いて行われた。各病室には、10人の患者(1人が感染症者、9人が対照群)がおり、ビーグル犬は、感染者を見つけたらその場に座るか伏せをするように訓練されていた。 主要評価項目は、便検体および患者対象の試験におけるC difficile検出の感度と特異度であった。検出の感度と特異度、便検体は100%・100%、患者は83%・98% 結果、便検体の試験では、感度、特異度ともに100%(95%信頼区間:91~100)であった。 患者検出試験では、感染者については30人中25人(感度83%、95%信頼区間:65~94)を正しく嗅ぎ分け、対照群については270人中265人(特異度98%、95%信頼区間:95~99)を正しく嗅ぎ分けた。 C difficile感染症は、早期かつ迅速に同定し十分な隔離と治療を開始することが感染の拡大を防ぐために重要となる。しかし先行研究によると、症状発現から治療開始までに平均3~8日を要していると報告されていた。本研究の結果を受けて著者は、「イヌがC difficile感染症を検出できるよう訓練することは可能であり、病棟スクリーニングに活用できる可能性がある。そのようなスクリーニングは、よくある診断の遅れを回避し、C difficile感染症のコントロールおよび拡大防止に役立つ可能性がある」とまとめている。

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活動性全身型JIAへのカナキヌマブ投与、症状改善などに効果/NEJM

 活動性の全身型若年性特発性関節炎(JIA)へのカナキヌマブ(商品名:イラリス)投与は、症状改善効果と、再び症状が悪化する再燃リスクを減少する効果があることが明らかにされた。イタリア・Istituto Giannina GasliniのNicolino Ruperto氏らが、190人の全身型JIA患者について行った、カナキヌマブに関する2つの第3相臨床試験の結果、報告した。NEJM誌2012年12月20日号掲載より。試験1では症状の改善、試験2では改善した症状の悪化について調査 Ruperto氏らは2009~2010年にかけて63ヵ所の医療機関を通じ、2~19歳のJIAで活動性の全身症状が認められる患者190人を対象とする2つの試験を行った。 研究グループはまず被験者を無作為に2群に分け、1群にはカナキヌマブ単回皮下投与(4mg/kg)を、もう1群にはプラセボ投与を行い29日間追跡した(試験1)。主要アウトカムは、15日目のJIA・ACR30(JIAコアセット6つのうち3つ以上で改善率30%以上、1つ未満クライテリアでの30%超の悪化、発熱がない)だった。 試験2では、オープンラベルでカナキヌマブ投与(毎4週)を12~32週間受けた後、治療に反応した患者については、グルココルチコイドのテーパリング後、無作為に2群に分け、1群にはカナキヌマブ投与を継続、もう1群にはプラセボを投与した。主要アウトカムは、全身性JIA症状再燃までの時間とした。カナキヌマブ群の8割以上でJIA・ACR30を達成 その結果、試験1では、JIA・ACR30が認められた人の割合は、プラセボ群が41人中4人(10%)だったのに対し、カナキヌマブ群では43人中36人(84%)と、大幅に高率だった(p<0.001)。 試験2では、被験者のうち無作為化の対象となったのは100人だった。全身性JIAを再燃しなかった人の割合は、プラセボに切り替えた群が25%だったのに対し、カナキヌマブ群では74%と大幅に高率だった(ハザード比:0.36、p=0.003)。 試験開始時点では、グルココルチコイドを服用していたのは128人だったが、うち33%の42人が、服用中止を達成した。 有害事象については、マクロファージ活性化症候群が7例に出現した(試験1で各群1例、試験2のオープンラベルで4例、切り替え後プラセボ群で1例)。またカナキヌマブ群のほうがプラセボ群よりも感染症の頻度が高かった。

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