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23%が以前の生活に戻れないと回答/アイスタット

 新型コロナウイルス感染症の拡大について、一般市民の意識変遷の実態を知る目的に、株式会社アイスタット(代表取締役社長 志賀保夫)は、5月20日に3回目の「新型コロナウイルスに関するアンケート調査」を行った。 アンケートは、業界最大規模のモニター数を誇るセルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の会員で20~79歳の300人を対象に調査を実施したもの。 同社では今後も毎月定期的に定点調査を行い、その結果を報告するとしている。調査概要 形式:WEBアンケート方式 期日:2020年5月20日 対象:セルフ型アンケートツール“freeasy”の登録者300人(20歳以上)アンケート結果の概要・新型コロナウイルス拡大について、緊急事態宣言一部解除後も約8割の人が「怖い」と思っている!(前回より11%減少)・新型コロナウイルス感染症の予防対策実施は83.0%。「きちんと対策を実施」では今回が最多!・新型コロナウイルスに感染しない自信はあるかは、「ない」32.0%が「ある」21.7%を上回る!・緊急事態宣言のときのステイホーム遵守度は81.7%!・緊急事態宣言中に生活で困ったことの1位「マスクなど衛生用品の入手」、2位「趣味や外出の制限」・新型コロナウイルスの拡大は、収入面に不安を与えているが53%!(前回より4%減少)・いつ落ち着いた生活に戻れるかは、「12月以降」が25.3%で最多。次に「もう戻れない」の23.3%!アンケート結果の詳細 質問1の「新型コロナウイルス拡大について、どう思いますか」では、「怖い」(81.0%)、「それ以外」(19.0%)の回答結果であり、前回よりも約11%「怖い」が減少した。 質問2の「新型コロナウイルス予防対策を実施してますか」では、「実施している」(83.0%)、「どちらでもない」(9.3%)、「実施していない」(7.6%)の回答結果だった。前回と比べてほぼ横ばいであり、予防意識の継続性がうかがわれた。 質問3の「新型コロナウイルス感染症予防策として行っていることはなんですか(複数回答)」では、「手洗い」(89.0%)、「マスク着用」(85.3%)、「不要な外出を控える」(66.7%)の順だった。5%以上伸長した対策では「アルコール・エタノール消毒の利用」(60.3%)、「室内の換気」(56.7%)、「テレワークの実施」(18.7%)があり、新しい環境整備も進められていた。 質問4の「新型コロナウイルス感染症に感染しない自信はありますか」では、「自信がある」(21.7%)、「どちらでもない」(46.0)%、「自信がない」(32.0%)の回答だった。前回と比べ「自信がある」と回答した人が増え、社会的な感染対策の効果が出ていることをうかがわせた。 質問5の「緊急事態宣言のとき、あなたのステイホーム遵守度」では、「守れた」(81.7%)、「どちらでもない」(13.7%)、「まったく/あまり守れなかった」(4.6%)だった。働き盛りの40代・男性で否定的な回答が多く、今後の課題となる結果だった。 質問6の「緊急事態宣言の時、あなた自身が生活で困ったこと(複数回答)」では、「マスクなどの衛生用品の入手」(41.3%)、「趣味や外出の制限」(34.0%)、「ストレス」(32.3%)の順で多かった。20・30代では男女ともに約20%が「特になし」と回答し、生活困窮度が低かった。 質問7の「新型コロナウイルス感染症の拡大は、あなた自身の収入面に不安を与えたか」では、「不安である」(53.0%)、「どちらとも言えない」(24.3%)、「不安でない」(22.7%)の回答で、前回と比較し「不安である」の回答は約4%減少した。政府の給付金など追加の施策が望まれる結果となった。 質問8の「新型コロナウイルス拡大前の生活(あなた自身が落ち着いた生活)に、いつぐらいに戻れるか」では、「12月以降」(25.3%)、「もう戻れないと思う」(23.3%)、「7月」(17.3%)の順で多く、ネガティブな回答が多かった。

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COVID-19の入院リスク、RAAS阻害薬 vs.他の降圧薬/Lancet

 スペイン・University Hospital Principe de AsturiasのFrancisco J de Abajo氏らは、マドリード市内の7つの病院で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者の調査「MED-ACE2-COVID19研究」を行い、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)阻害薬は他の降圧薬に比べ、致死的な患者や集中治療室(ICU)入室を含む入院を要する患者を増加させていないことを明らかにした。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年5月14日号に掲載された。RAAS阻害薬が、COVID-19を重症化する可能性が懸念されているが、疫学的なエビデンスは示されていなかった。重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は、そのスパイクタンパク質の受容体としてアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を利用して細胞内に侵入し、複製する。RAAS阻害薬はACE2の発現を増加させるとする動物実験の報告があり、COVID-19の重症化を招く可能性が示唆されている。一方で、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)は、アンジオテンシンIIによる肺損傷を抑制する可能性があるため、予防手段または治療薬としての使用を提唱する研究者もいる。また、RAAS阻害薬は、高血圧や心不全、糖尿病の腎合併症などに広く使用されており、中止すると有害な影響をもたらす可能性があるため、学会や医薬品規制当局は、確実なエビデンスが得られるまでは中止しないよう勧告している。他の降圧薬と入院リスクを比較する症例集団研究 研究グループは、COVID-19患者において、RAAS阻害薬と他の降圧薬による入院リスクを比較する目的で、薬剤疫学的な症例集団研究を実施した(スペイン・Instituto de Salud Carlos IIIの助成による)。 2020年3月1日~24日の期間に、マドリード市内の7つの病院から、PCR検査でCOVID-19と確定診断され、入院を要すると判定された18歳以上の患者を連続的に抽出し、症例群とした。対照群として、スペインの医療データベースであるBase de datos para la Investigacion Farmacoepidemiologica en Atencion Primaria(BIFAP)から、症例群と年齢、性別、地域(マドリード市)、インデックス入院の月日をマッチさせて、1例につき10例の患者を無作為に抽出した。 RAAS阻害薬には、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、ARB、アルドステロン拮抗薬、レニン阻害薬が含まれた(単剤、他剤との併用)。他の降圧薬は、カルシウム拮抗薬、利尿薬、β遮断薬、α遮断薬であった(単剤、RAAS阻害薬以外の他剤との併用)。 症例群と対照群の電子カルテから、インデックス入院日の前月までの併存疾患と処方薬に関する情報を収集した。主要アウトカムは、COVID-19患者の入院とした。重症度にかかわらず、入院リスクに影響はない 症例群1,139例と、マッチさせた対照群1万1,390例のデータを収集した。年齢(両群とも、平均年齢69.1[SD 15.4]歳)と性別(両群とも、女性39.0%)はマッチしていたが、心血管疾患(虚血性心疾患、脳血管障害、心不全、心房細動、血栓塞栓性疾患)の既往(オッズ比[OR]:1.98、95%信頼区間[CI]:1.62~2.41)と、心血管リスク因子(高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎不全)(1.46、1.23~1.73)を有する患者の割合が、対照群に比べ症例群で有意に高かった。 RAAS阻害薬の使用者では、他の降圧薬の使用者と比較して、入院を要するCOVID-19のリスクに有意な差は認められなかった(補正後OR:0.94、95%CI:0.77~1.15)。また、ACE阻害薬(0.80、0.64~1.00)およびARB(1.10、0.88~1.37)のいずれでも、他の降圧薬に比べ、入院を要するCOVID-19の有意な増加はみられなかった。これらの薬剤は、単剤および他剤との併用でも、入院リスクに有意な影響はなかった。 性別、年齢別(<70歳vs.≧70歳)、高血圧の有無、心血管疾患の既往、心血管リスク因子に関しては、他の降圧薬と比較して、RAAS阻害薬の使用による入院を要するCOVID-19のリスクに有意な交互作用は確認されなかった。一方、RAAS阻害薬を使用している糖尿病患者では、入院を要するCOVID-19患者が少なかった(補正後OR:0.53、95%CI:0.34~0.80、交互作用検定のp=0.004)。 COVID-19の重症度を最重症(死亡、ICU入室)と、低重症(最重症以外のすべての入院患者)に分けた。いずれの重症度でも、RAAS阻害薬、ACE阻害薬、ARBは、他の降圧薬と比較して、入院を要するCOVID-19のリスクに有意な差はなかった。 これらの結果を踏まえて著者は、「RAAS阻害薬は安全であり、COVID-19の重症化を予防する目的で投与を中止すべきではない」と指摘している。

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第8回 コロナ修行と化した「新しい生活様式」を導入してみたら

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックに伴い、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づいて発令された緊急事態宣言が5月25日、5都道県で解除された。これにより緊急事態宣言は、一旦は全国で解除となった。もっともこれですべて元通りの生活に戻るわけではない。現時点で決定打となる治療薬やワクチンもない以上、当面は第2波流行を常に気にしながら、程度の差はあっても恐る恐る生活を続けていくということになるだろう。実際、東京都は「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」を公表し、7つのモニタリング指標を軸に段階的に外出・営業自粛を緩和していく方針だ。ロードマップに従うと、首都東京で限りなく以前に近い生活に戻せるのは最短でも7月半ば以降となる。また、政府は既に5月4日、新型コロナウイルス感染症専門家会議からの提言を踏まえ、新型コロナウイルス感染を想定した「新しい生活様式」の実践例を公開した。その中身を見て、娯楽、スポーツ等の項目では「歌や応援は、十分な距離かオンライン」、食事の項目では「料理に集中、おしゃべりは控えめに」などとまで記述されており、「大きなお世話だろう!」と怒鳴りたくなるような内容である。国を代表する「専門家」が参集してこんな細かい議論をやっていたのかとびっくりするのだが、ある専門家会議のメンバーによると「そもそも専門家会議も当初はあそこまで示すつもりはなかった。しかし、外部から『もっと具体例を示すべき』というプレッシャーが強く、あのような形になった」とのこと。専門家の皆さんもなかなか気苦労が絶えないらしい。そしてこの「新しい生活様式」を実践した飲み会を開いたという記事も登場した。まあ、有志で試しにやってみたという程度だが、写真を見ると何とも言い難い。記事には「飲食を楽しんだ」と書いてあるが、私がデスクだったらこの紋切り型表現はボツである。決して楽しそうには見えない、むしろ「新型コロナ真理教」かなんかの苦行にしか見えないからだ。しかも、これだけならまだしも、現実にはいたるところでトンチンカンな「対策」もどきが散見される。たとえば「新しい生活様式」を考慮し、感染予防対策を施した居酒屋、さらにはタクシーなど。これらはいずれも次亜塩素酸水を噴霧し、空間消毒を行うというもの。しかし、次亜塩素酸水に関しては認可を受けたものが手指消毒に使える程度で、厚生労働省が出した事務連絡では、次亜塩素酸を含む消毒薬の噴霧は吸入した場合は有害であると明記している。これほどひどいものではないにしても、福岡県の粕屋町は公立の小中学校の授業再開に当たって全生徒にフェイスシールドを配布し、体育の授業と給食以外のシーンではマスクとともに着用すると報じられている。これから気温が上昇していく中でマスクの着用ですら苦痛なはずなのにさらにフェイスシールドとなると、子供たちの苦痛はどれほどかと気の毒に感じてしまう。だが、そもそもこれまで専門家が提唱している感染予防対策は、手洗い励行、「3密」の回避、これに加えてマスクぐらい。多くの方がご存じのようにマスクの感染予防効果はまだまだコントラバーシャルである。今回、やや珍奇な対策が報じられた(報じている側がチンキと思っていないことも問題なのだが)ケースはいずれも「3密」が回避しにくいための追加の措置とも言えなくもないが、それでもやり過ぎ感が否めないと感じるのは私だけだろうか?その意味でここから本格的な出番となる人たちがいる。まずは感染制御の専門家たちである。テレビや新聞にコメンテーターとして登場している「専門家」の中には、ややトンデモな人が混じっているのは本連載第3回でも触れたこと。いわば真の感染制御の専門家ほど現在日常的に忙しいのは承知しているが、少しでもメディアからオファーがかかったら、今こそ難しい時間のやりくりをして登場して欲しいと切に思う。報道に身を置く立場から言うとやや横柄に聞こえるかもしれないが、やはり報道の拡散能力は絶大だからだ。もっとも1回の報道で何かが確実に伝わることが稀なのは、やはり報道側として常に感じている。たとえば、私ごときの存在は報道界の中でも「蟷螂之斧(とうろうのおの)」といってもいい存在だが、それでも感染症におけるマスクの存在について「あくまで感染が疑われる人が他人に感染させないためが第一義。まずは手洗いを」と繰り返し記事に書いている。1回1回はほぼ無力と分かっても、過去の経験上、報道のリフレイン効果は実感しているからだ。COVID-19騒動では、このリフレイン効果の実例がある。ずばり「PCR検査」という単語だ。PCRが何の略かは分からない人がほとんどだろうが、今やこの単語を耳にしたことがないという人はいないはず。だが、この単語を知ることで「それって何?」と理解を深めようとする人のすそ野は確実に増えてくる。繰り返し同じことを訴えるというのは確実に一般生活者での情報リテラシー向上に資するのである。また、今回感染制御の専門家とともに出番となると思われるのが、「学校薬剤師」である。ちなみに医療関係者の間でも「学校薬剤師」の存在はあまり知られていないこともあるようだが、これは学校保健安全法で大学以外の学校では設置が義務付けられている。学校医や学校歯科医と同じ存在である。これは1930年、北海道小樽市の小学校で風邪をひいた女児にアスピリンと間違って塩化第二水銀を服用させ、死亡した事件をきっかけに、同市が学校薬剤師を委嘱し、これが全国に広がって後の学校保健安全法の制定時に制度化されたものだ。では、この学校薬剤師は何をしているかといえば、学校環境衛生の維持管理に関する指導・助言などであり、具体的には換気の指導やプール開きの際の塩素濃度チェックなどだ。まさに感染を防ぐための環境整備にも資する役割である。そもそも薬剤師は、現状では一般人はもちろんのこと医療従事者の間ですら存在感が薄い。このような表現をすると腹が立つ人もいるかもしれないが、「白衣を着て調剤室にこもって袋詰めをしている根暗な人たち」が一般人のイメージといってもいいが、学校薬剤師の経験を持つ人は少なからず存在し、消毒薬などについての知識も有している。しかも、医師と比べ、一般人にとってはやや距離が近い存在である。やや過激な言い方になるかもしれないが、劇作家・寺山修司の言葉を借りれば、今こそ「処方箋を捨てよ、町へ出よう」である。同時にすべての医療従事者に伝えたいのは、「腐らず繰り返し伝えよう」ということ。「お前らメディアが悪い」と言われがちではあるが、目を皿にしてみてもらえば、腐らず地味な情報を繰り返し伝えているメディアも数多くある。実際のところ私たちメディア人も同じ方向を向いていることを知っていただけたら幸いである。

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ICI有害事象、正しく理解し・正しく恐れ・正しく対処しよう【そこからですか!?のがん免疫講座】第5回

はじめに今までは、主に免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果に焦点を当てて解説してきましたが、今回は少し趣を変えて有害事象、とくにICI特有の免疫関連有害事象に焦点を当て、それがどのようなメカニズムで起きるのかを話題にしたいと思います。抗がん剤の有害事象のいろいろ抗がん剤の有害事象といえば、やはり悪心・嘔吐、脱毛、血球減少などをイメージするかと思います。これらはいずれも、細胞傷害性抗がん剤といって、シスプラチンなどの従来の抗がん剤でよく出現した有害事象です。がん細胞だけでなく、さまざまな正常細胞を傷害してしまい、傷害を受けやすい細胞がダメージを受けて有害事象につながります。とくに血球減少はそれに伴う感染症で命にも関わるので、皆さん非常に気を使っているかと思います。その後、ゲフィチニブなどの分子標的薬が登場して、標的に応じた特有の有害事象が出現するようになりました。たとえば、ゲフィチニブは上皮成長因子受容体(EGFR)を阻害しますので、上皮が傷害される結果起きる有害事象の報告が多くなります。皮膚であれば皮疹、腸管上皮であれば下痢、といったような感じです。血管新生阻害薬であれば血管内皮細胞増殖因子(VEGF)という分子を阻害するため、特有の高血圧など血管に関わる有害事象が起きやすくなります。では、あらためてICIについて考えてみましょう。ICIは免疫、とくにT細胞を活性化させる薬剤ですので当然といえば当然ですが、免疫に関連した特有の有害事象を起こします。前回までに免疫が自己を攻撃すると「自己免疫性疾患」になる、という話をしましたが、まさに「自己免疫性疾患」のような有害事象が出現し、それらをまとめて免疫関連有害事象と呼んでいます。ICIにより活性化したT細胞はさまざまな臓器を攻撃し、臓器によって非常に多彩な有害事象が報告されています1)。たとえば、甲状腺を攻撃すれば甲状腺機能異常、肺を攻撃すれば肺臓炎、消化管を攻撃すれば腸炎、膵臓のインスリン産生細胞を攻撃すれば糖尿病、といった具合です1)。従来の抗がん剤治療ではあまり見ない有害事象が多く、まれながら命に関わるものも報告されています。適切に対処するためには、まれでも「起きうる」と認識することが重要です。有害事象が発生するメカニズム「ICIが免疫を活性化するから有害事象が発生する」だけでは、本稿は終了になってしまいますので、もう少し詳しく説明したいと思います。自己抗原に反応して攻撃するT細胞は発生の過程で選択を受けるので、われわれの身体の中にはあまり残っていないはずです。しかし、一部は除去されずに残っているものがあるとされ、そういったT細胞が自己を攻撃すると「自己免疫性疾患」になってしまいます。こうしたT細胞が自己を攻撃しないようにするシステムがわれわれの身体には元々備わっており、そのシステムが正常に働いていれば問題は起きません。そして、そのシステムの1つが、免疫チェックポイント分子なのです。PD-1やCTLA-4も決してがん細胞を攻撃するT細胞“だけ”を抑制している分子ではなく、むしろ、本来こうした「自己を攻撃しないために備わっている分子」なのです。したがって、ICIの使用によってがん細胞を攻撃するT細胞だけでなく、自己を攻撃するT細胞も活性化されることで、自己免疫性疾患のような有害事象が出てしまうのです(図1)。画像を拡大する免疫関連有害事象を「正しく」恐れる前回、「抗原には階層性がある」という話をしました。「強い免疫応答を起こせる抗原はがんのネオ抗原で、自己抗原は強い免疫応答を起こさない」はずでしたね(図2)。画像を拡大する実は、弱い抗原によって活性化されたT細胞であれば、ステロイドなどのT細胞を抑制する薬剤によって比較的抑えられやすく、逆に強い抗原によって活性化されたT細胞は、ステロイドでは抑えにくい、という実験結果があります(図3)2)。画像を拡大する実はこのことはICIにとって非常に都合がよいことです。「(強い免疫応答を起こさない抗原である)自己抗原を認識するT細胞の活性化はステロイドによって抑制されやすい」、すなわち、「(自己を攻撃するT細胞の活性化によって起きる)免疫関連有害事象はステロイドなどの適切な治療によって抑えることができる」からです(図3)。逆に、「(強い免疫応答を起こす)ネオ抗原を認識するT細胞の活性化にステロイドはあまり影響を与えない」、つまりは「ステロイドは効果にあまり影響しない」といえます(図3)。大規模な臨床で証明された確定的なものではなく、あくまで可能性での話になりますが、以上のことから、ステロイドはICIの効果にあまり影響を与えることなく、免疫関連有害事象を抑えられるかもしれません(図3)2)。実際、有害事象にはステロイド使用などの適切な対処で対応できる場合が多く、有害事象でステロイドを使用したうえでICI投与を中止しても、薬剤の効果が続いたケースも報告されています。効果と関係があるってホント?個々の患者でICIによる免疫の活性化度合いは異なります。ここでまた抗原の階層性の話になりますが、強い免疫応答を起こすネオ抗原を認識するT細胞だけを運よくICIが活性化できれば、効果だけが出て、免疫関連有害事象は起きません(図4:A)。一方、弱い免疫応答を起こす自己抗原を認識するT細胞まで活性化させる反応がICIで起きた場合を想定してください。もちろん、自己を攻撃する免疫関連有害事象は起きますが、それほど強い免疫の活性化であれば、強い反応を起こすネオ抗原を認識するT細胞も活性化しているはずなので、効果も出るはずです(図4:B)。こういった患者さんが一定割合で存在するため、効果と有害事象はある程度の相関性があるはずです3)。画像を拡大するもちろん、ICIで免疫応答がまったく起きない人には有害事象も効果も出ません(図4:C)。では、有害事象だけが出て効果がない人では何が起きているのか?と疑問も湧くかと思いますが、1つの理由を抗原の観点で論じるならば、どんなに免疫を活性化させても、元のがん細胞にネオ抗原のような標的になるがん抗原が少ない場合にはやはり無効なのだろう、と思われます(図4:D)。それだけがん抗原は重要な要素なのです。免疫関連有害事象を正しく理解し・正しく恐れ・正しく対処すれば、ICIは効果がある患者さんにとっては大きなメリットのある薬剤です。当初の連載予定回数をオーバーしてしまいましたが、次回は追加で細胞療法の話をしたいと思います。1)Michot JM, et al. Eur J Cancer. 2016;54:139-148.2)Tokunaga A, et al. J Exp Med. 2019;216:2701-2713.3)Haratani K, et al. JAMA Oncol. 2018;4:374-378.

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COVID-19、医療従事者の感染リスクは?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療にあたる医療従事者の感染リスクと臨床的特徴について、中国・華中科技大学のXiaoquan Lai氏らが武漢の3次医療機関における約1万人の医療従事者を調査した。その結果、医療従事者の感染のほとんどがアウトブレークの初期に発生していた。また、これまでのウイルス感染症の流行時とは異なり、発熱外来や発熱病棟などで勤務する医療従事者に比べ、それ以外で勤務する医療従事者の感染率が高かった。著者らは、感染した可能性がある医療従事者を迅速に特定し、無症状者に対する定期的なスクリーニングを行うことで医療従事者を守ることができるとしている。JAMA Network Open誌2020年5月21日号に掲載。医療従事者の感染率は発熱外来/発熱病棟で0.5%、それ以外は1.4% 本研究では、武漢のTongji Hospitalに勤務する医療従事者9,684人について、2020年1月1日~2月9日のCOVID-19発症者のデータを収集した。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の曝露・疫学・人口統計に関する情報はアンケートから、臨床・検査・放射線学的な情報は電子記録から収集した。また、335人の医療従事者を無作為に抽出し、高リスクで無症状者における感染率を推定した。環境表面のサンプルも収集した。 医療従事者の感染リスクについて調査した主な結果は以下のとおり。・9,684人の医療従事者のうち110人がSARS-CoV-2陽性で、感染率は1.1%であった。そのうち女性が70人(71.8%)、年齢中央値は36.5歳(四分位範囲:30.0〜47.0歳)、職種は看護師62人(56.4%)、医師26人(23.6%)、医療助手22人(20.0%)であった。・発熱外来/発熱病棟で勤務する医療従事者の感染率は0.5%(3,110人中17人)、それ以外で勤務する医療従事者では1.4%(6,574人中93人)であった。・発熱外来/発熱病棟以外で勤務する45歳未満の看護師は、45歳以上の発熱外来/発熱病棟で勤務する医師より感染率が高かった(感染率比:16.1、95%CI:7.1~36.3、p<0.001)。・無症状者における感染率は、発熱外来/発熱病棟で勤務する医療従事者において0.74%(135人中1人)、それ以外で勤務する医療従事者で1.0%(200人中2人)であった。・環境表面における90検体はすべて陰性であった。・110人中93人(84.5%)の医療従事者が軽症~中等症で、1人(0.9%)が死亡した。・主な症状は、発熱(60.9%)、筋肉痛/倦怠感(60.0%)、咳嗽(56.4%)、咽頭痛(50.0%)、筋肉痛(45.5%)であった。・医療従事者の主な感染経路は、患者(59.1%)、同僚(10.9%)、家族や友人(12.7%)であった。

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COVID-19、ヒドロキシクロロキンの使用は支持されない/BMJ

 ヒドロキシクロロキンは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する有効な治療薬として期待され世界的に注目されていたが、リアルワールドで収集した観察データを用いた臨床研究の結果、酸素投与を要するCOVID-19肺炎入院患者へのヒドロキシクロロキン使用は、支持されないことを、フランス・パリ・エスト・クレテイユ大学のMatthieu Mahevas氏らが報告した。COVID-19による呼吸不全や死亡を予防する治療が緊急に必要とされる中、ヒドロキシクロロキンは、in vitroでCOVID-19の原因である新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抑制効果が報告され、小規模な臨床試験でも有効性が示唆されていた。BMJ誌2020年5月14日号掲載の報告。フランスの4施設におけるCOVID-19肺炎入院患者におけるヒドロキシクロロキンの有効性を後ろ向きに解析 研究グループは、2020年3月12日~31日の期間に、フランスの3次医療施設4施設に入院したCOVID-19肺炎患者全例について電子カルテをスクリーニングし、18~80歳で酸素投与を必要とするが集中治療室(ICU)への入室は必要としないSARS-CoV-2感染が確認された肺炎患者を適格症例として、入院48時間以内にヒドロキシクロロキン600mg/日の投与を開始した患者(治療群)と、ヒドロキシクロロキンを投与せず標準治療を行った患者(対照群)に分け比較した。 主要評価項目は21日時点でのICU入室を伴わない生存率、副次評価項目は全生存期間、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を伴わない生存率、酸素投与からの離脱、自宅退院またはリハビリテーション施設への転院である(すべて21日時点)。解析は、逆確率重み付け法により交絡因子を調整した。ヒドロキシクロロキン治療群と対照群とで生存率に有意差なし 主要解析の対象集団は全体で181例、治療群が84例、対照群が89例であり、入院後48時間以降にヒドロキシクロロキンの投与を開始した8例も追加された。 主要評価項目である21日時のICU入室を伴わない生存率は、治療群76%、対照群75%であった(加重ハザード比[HR]:0.9、95%信頼区間[CI]:0.4~2.1)。また、21日時点の全生存率は治療群89%、対照群91%(加重HR:1.2、95%CI:0.4~3.3)、ARDSを伴わない生存率はそれぞれ69%、74%(加重HR:1.3、95%CI:0.7~2.6)、酸素投与から離脱した患者の割合は82%、76%(加重リスク比:1.1、95%CI:0.9~1.3)であった。 治療群の8例(10%)に、治療の中止を要する心電図異常が認められた。

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第8回 新型コロナ予防・治療・メンタルヘルスへの活用が期待される漢方薬の可能性

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する既存薬の活用が期待される一方、新型コロナの感染予防・軽傷者の重症化予防やメンタルヘルスに対する漢方薬の活用が注目されている。日本東洋医学会では、漢方薬などによる対症療法とその後の重症化の有無との関連を調べるため、医療機関に症例の報告を呼び掛けている1)。また、薬局・薬店からなる日本中医薬研究会は新型コロナ治療の予防・治療に対し、中国漢方である中医薬(中国伝統医薬)の有効性を探るため、日中の医師や薬剤師らによるウェブ交流会を4月に行った。振り返ると、2009年の新型インフルエンザ流行時には、麻黄湯や銀翹散、小柴胡湯などの漢方薬に抗ウイルス作用が確認されている。タミフルやリレンザといった抗インフルエンザ治療薬に麻黄湯などの漢方薬を合わせて使うと一定の効果が見られたという。COVID-19に関連し、中国は3月、顕著な治療効果が見られたという「三薬三方(三つの処方と薬)」を選出し、清肺排毒湯、化湿敗毒方、宣肺敗毒方という3つの中医薬を推奨している。このうち、COVID-19用に創薬され、軽症から重症までカバーするという清肺排毒湯には麻黄湯と小柴胡湯が構成生薬の一部として使われている。新型コロナの感染確認者の91.5%が中医薬を使い、臨床治療の効果観察では、中医薬の総有効率は90%超に上っているという。日本国内においても、清肺排毒湯を日本で処方可能なエキス剤で作り、軽症者の重症者化予防に処方している医療機関がある。無症状者を含めた予防には、免疫力を高める効果が報告されている補中益気湯や十全大補湯などがある。メンタルヘルスに関しては、新型コロナによる自粛生活で、高齢者を中心に運動不足による持病悪化や、ストレスや経済的不安によるうつ病症状を訴える人が増えている。また、経済の悪化に伴う失業者の増加により、累計自殺者数が27万人増との試算もある。「コロナうつ」への対応も重要な課題だが、精神科や心療内科の受診をためらう人は少なからずいる。それに比べると、漢方薬はハードルがいくぶん低くなるようだ。ストレス緩和効果が得られる漢方薬には、加味逍遙散や柴胡加竜骨牡蛎湯、酸棗仁湯などがある。ただ、漢方薬は西洋薬の処方のようにはいかないのはご存じの通り。漢方薬は病名ではなく、患者個々人の体質と症状に対する処方が原則だ。漢方薬においても、現段階でCOVID-19への特効薬がない以上、予防段階では体力を付けて免疫力を上げる、感染したら発熱しないようにする、発熱したら早く治るようにするというように、段階によって使う漢方薬が異なり、患者ごとに症状を見ながら処方を判断しなければならない。ただ、新型コロナウイルスは変異の速いRNAウイルスの一種で、現在効いている新薬がいつ効かなくなるかわからない懸念がある。漢方薬を扱っている医療従事者は「免疫力の強化を本来重視する漢方薬は、変異に対してもある程度有効なのでは」と期待している。1)COVID-19一般治療に関する観察研究ご協力のお願い(日本東洋医学会)

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COVID-19、NY重症患者の死亡リスク増加因子が明らかに/Lancet

 検査で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が確認され、米国・ニューヨーク市内2ヵ所の病院に入院した重症患者257例について前向きコホート試験を行った結果、高年齢、慢性肺疾患、慢性心臓病などが入院死亡リスク増加の独立リスク因子であることが確認された。米国・コロンビア大学アービング医療センターのMatthew J. Cummings氏らが行った試験の結果で、年齢の因子では10歳増加ごとに死亡リスクは1.31倍に、慢性肺疾患は死亡リスクを2.94倍に増加することが示されたという。また、侵襲的機械換気の実施率は重症患者の79%に上っていた。2020年4月28日現在、ニューヨーク市におけるCOVID-19入院患者は4万人を超えている。現況下でのCOVID-19患者の疫学、臨床経過、および重症転帰のデータの必要性から本検討は行われた。Lancet誌オンライン版2020年5月19日号掲載の報告。臨床的リスク因子やバイオマーカーと、院内死亡率の関連を検証 研究グループは2020年3月2日~4月1日に、検査でCOVID-19が確認され、2ヵ所のニューヨーク・プレスビテリアン病院(マンハッタン区北部、コロンビア大学アービング医療センターの関連病院)に入院し、急性低酸素呼吸不全が認められた18歳以上の重症患者を対象に前向き観察試験を行った。被験者について、臨床情報やバイオマーカー、治療データを集め、死亡リスクとの関連を分析した。 主要アウトカムは、入院死亡率だった。副次アウトカムは、侵襲的機械換気の実施率と期間、昇圧薬の使用や腎代替療法の頻度、入院後の院内臨床的増悪までの期間などだった。 Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、臨床的リスク因子やバイオマーカーと、院内死亡率との関連を検証した。追跡期間は全被験者28日以上で、4月28日で追跡を打ち切った。慢性心臓病で死亡リスク1.76倍、高IL-6・高D-dimer値もリスク因子 試験対象期間中に、COVID-19が確認され2ヵ所の病院に入院した成人は1,150例で、うち重症患者は257例(22%)だった。被験者の年齢中央値は62歳(IQR:51~72)で、うち男性は67%(171例)だった。重症患者のうち82%(212例)に1つ以上の慢性疾患があり、最も多くみられたのは高血圧症(63%、162例)、次いで糖尿病(36%、92例)だった。また、46%(119例)が肥満だった。 4月28日時点で、死亡は39%(101例)、入院継続は37%(94例)だった。侵襲的機械換気を実施したのは79%(203例)で、その期間中央値は18日(IQR:9~28)、昇圧薬を使用したのは66%(170例)、腎代替療法の実施は31%(79例)だった。入院後の院内臨床的増悪までの期間中央値は、3日(IQR:1~6)だった。 多変量Coxモデル解析の結果、入院死亡に関連した独立リスク因子は、高年齢(10歳増加ごとの補正後ハザード比[HR]:1.31、95%信頼区間[CI]:1.09~1.57)、慢性心臓病(補正後HR:1.76、95%CI:1.08~2.86)、慢性肺疾患(同:2.94、1.48~5.84)、高IL-6値(十分位増加ごとの補正後HR:1.11、95%CI:1.02~1.20)、高D-dimer値(同:1.10、1.01~1.19)だった。

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第8回 「つぶれる前に助けてくれ!」 医療機関の叫びをどうとらえるか(前編)

病院の医業収入、前年比10%減!こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。5月25日、首都圏と北海道の緊急事態宣言が解除されました。その前の週末あたりから飲食店や飲み屋はほぼ平常運転に戻りつつありましたが、私自身はまだ街の飲み屋には行っていません。あまりにも退屈なので、話題の特別定額給付金のオンライン申請に挑戦してみました。使用したのはパソコンではなくiPhone。スマホからであればパソコン申請で必要なカードリーダーが要らずに比較的簡単にできる、と聞いたからです。実際のところはどうだったか。マイナンバーカードの読み取りエラーやSafari(iPhoneのウェブブラウザ)の設定変更など、いろいろなトラブルが重なり、やり直すこと十数回…。結局、申請完了まで2時間ほどかかってしまいました。私自身のITリテラシーの問題もありますが、マイナンバーカードのシステム全体の使い勝手の悪さは相当なものです。申請は受理されたようですが、給付金がスムーズに受け取れるのかが心配です。さて、今回気になったのは、個別の事件ではなく、新型コロナウイルス感染症の影響で医療機関の経営が苦境に陥っていると伝える、さまざまなメディアの報道です。3月末から5月にかけて、外来・入院・救急患者等が減り続け、医療機関の経営が大変だということは、折々に多くのメディアが報道してきました。ここに来て、医療関係団体の調査結果なども公表され、その厳しさを訴える声が日に日に高まっています。日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会の「病院経営状況緊急調査(速報)」によると、20年4月の医業収入は前年同月比で10.5%減(有効回答病院の平均)。新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた病院はさらに深刻で12.7%減でした。一時的に病棟を閉鎖した病院も14.9%減と大幅に落ち込みました。医業利益率もそれぞれ9.0%、11.8%、16.0%の減少です。4月分の診療報酬が基金から支払われるのは6月なので、実際に資金がショートしたり、倒産したりするケースが出るとすれば夏以降だと思われますが、その前に医療関係団体が「つぶれる前に助けてくれ!」とSOSを発した、というわけです。日医は第二次補正予算に向けて医療機関への支援を要望大学病院や診療所の経営も大変なようです。全国医学部長病院長会議によると、大学病院の経営状況も深刻で、会員大学の4月の診療報酬請求額は前年同月比で外来が7.35%、入院が10.61%減でした。入院では手術件数が1万2,780件と大きく減少したことが響いています。一方、日本医師会が4月20日の会見で公表した「新型コロナウイルス対応下での医業経営状況等アンケート調査」によると、診療所の3月の診療報酬額は前年同月比で総件数10.9%、総日数10.7%、総点数9.4%減と、各約1割の減少でした。さらに、88.0%の診療所の診療報酬が対前年比でマイナスとなり、総点数で30%減以下の診療所が7.5%ありました。こうした状況を受け、日本医師会の横倉 義武会長は5月18日、全国医学部長病院長会議の山下 英俊会長らとともに、安倍 晋三首相、萩生田 光一文科大臣、加藤 勝信厚生労働大臣らと面会、第二次補正予算に向けて新型コロナウイルス感染症対応に当たる医療機関への支援を要望しました。空床発生等に伴う支援や危険手当、PCR検査の拡充等の5本柱、総額約7兆5,213億円の要望です。診療報酬も見直しの方向だがそうした中、5月27日にも閣議決定される予定の第2次補正予算案では、新型コロナウイルスの感染長期化や第2波に備え、医療・介護の現場への支援を手厚くする方針が示されています。医療・介護の現場支援は都道府県向け交付金の拡充で対応。地域の重点病院において専用病棟を多く設置できるようにするほか、新型コロナ患者を受け入れる医療機関や介護事業所の従事者に対する最大20万円の一時手当の給付も行われる予定です。診療報酬そのものも、見直しが検討されています。日本経済新聞は5月22日付け朝刊で「厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症の重症患者を受け入れる病院が受け取る診療報酬を引き上げる検討に入った」と報じました。報道では、「本来の入院料から3倍に引き上げる案が軸だ。(中略)来週にも中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)の総会を開いて了承を得る考え。(中略)例えば集中治療室(ICU)の入院料は本来1日8万~14万円程度で、これを3倍にするといった検討を進めている」としています。なお、診療報酬については、自民党の「国民医療を守る議員の会」が5月19日、加藤勝信厚労大臣に手渡した新型コロナウイルス感染症対策に向けた2次補正予算案についての緊急提言書の中で、同感染症患者以外を診療する地域医療の確保に向けて、院内感染防止対策のために基本診療料の2割引き上げを要請しています。一律の“営業保証”に疑問新型コロナウイルス感染症に懸命に対応した医療機関への資金援助は納得できます。病床を閉鎖したり、他科のスタッフを感染症対策に振り向けたりした結果としての患者減の対応も納得できます。しかし、新型コロナウイルス感染症の患者を直接診療することもなく、ただ診療所を閉めていただけのところにも、“営業保証”をするかのような基本診療料引き上げの施策はいかがなものでしょうか。診療報酬は、税金と国民一人ひとりが支払う保険料で賄われています。今回のコロナ禍による医療機関の減収分を安易に一律に補填しようとするやり方は、同じ収入減に困っている国民の納得を得られるものではないでしょう。今回はちょっと長くなり過ぎましたので、この問題については来週もう少し考えてみたいと思います。(この項続く)

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第21回 アフターコロナも患者は戻ってこない【噂の狭研ラヂオ】

動画解説新型コロナウイルス感染症によって患者さんが病院と薬局を避ける事態になりました。今後も患者さんの受療行動がビフォーコロナのそのままの形で戻ってくることはないでしょう。例年のインフルエンザ流行も今年はありませんでした。感染症流行の特需・恐慌に揺るがない、アフターコロナを生き抜くために薬局が今やるべきこととは?

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COVID-19と関連?流行期に川崎病類似疾患の集団発生/Lancet

 イタリア・ロンバルディア州・ベルガモ県は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の流行の影響を広範囲に受けており、小児では川崎病類似疾患の集団発生が確認されている。同国パパ・ジョバンニ23世病院のLucio Verdoni氏らは、COVID-19流行期に診断を受けた川崎病類似疾患患者の発生状況と臨床的特徴を調査した。その結果、過去5年間と比較して、COVID-19流行期の2ヵ月間で月間発生率が30倍以上に増えており、患児は比較的年齢が高く、心臓の障害が多く、マクロファージ活性化症候群(MAS)の特徴を呈する患者が多く、重症川崎病の発生率が高いことが示された。川崎病は、急性の中型血管炎で、ほぼ小児のみが罹患する。急性期の患児は血行動態が不安定となる可能性があり、これは重症の病型である川崎病ショック症候群(Kawasaki disease shock syndrome:KDSS)として知られる。また、MASの判定基準を満たす場合があり、2次性の血球貪食性リンパ組織球症に類似の症状を呈する。原因は不明だが、感染性の病原体が、本症を引き起こすカスケードの引き金となることが示唆されている。Lancet誌オンライン版2020年5月13日号掲載の報告。流行の前後で発生状況を比較 研究グループは、COVID-19流行期の川崎病類似疾患の発生状況を評価する目的で後ろ向きコホート研究を行った(特定の研究助成は受けていない)。 過去5年間に、ベルガモ市のパパ・ジョバンニ23世病院の一般小児科で川崎病類似疾患と診断された患児を、COVID-19流行の開始前(I群)と後(II群)に分けて解析した。 川崎病類似症状を呈した患児は、米国心臓協会(AHA)の適応症に準じて川崎病として管理された。KDSSは、収縮期動脈低血圧、基礎収縮期血圧の20%以上の低下、または末梢循環不全の徴候を伴う川崎病と定義された。MASの診断は、小児リウマチ国際試験機関(PRINTO)の判定基準に準拠した。 鼻咽頭および口咽頭ぬぐい液を用いた定量的な逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)と、SARS-CoV-2のIgMとIgGを検出する血清学的定性検査により、現在と過去の感染の有無を調べた。 II群の患児は、全例が免疫グロブリン療法(2g/kg)を受け、RAISE試験(Kobayashiスコア)のリスク層別化に基づく治療を受けた。PCR陽性は2例のみ、IgG陽性8例、IgM陽性3例 2015年1月1日~2020年2月17日の期間に、川崎病類似疾患と診断されたI群の患者は19例(男児7例、女児12例、平均年齢3.0[SD 2.5]歳)であった。発熱から入院までの平均期間は6日(範囲4~11日)で、定型が13例(68%)、不全型川崎病が6例(31%)であった。低血圧や低灌流の徴候などはみられず、MASと診断された患児もいなかった。全例が、冠動脈瘤の残存もなく完全に回復した。 一方、2020年2月18日~4月20日の期間に診断されたII群の患児は10例(男児7例、女児3例、平均年齢7.5[SD 3.5]歳)であった。このうちPCR検査陽性は2例で、8例がIgG陽性、3例はIgMも陽性だった(血清学的検査が陰性の2例のうち1例は、大量免疫グロブリン療法後に検査を受けた)。 II群の10例の発熱から入院までの平均期間は6日(範囲4~8日)であった。5例(50%)は定型、残りの5例(50%)は不全型の川崎病であった。胸部X線検査は全例で行われ、5例(50%)で肺炎が認められた。このうち胸部CT検査を受けた2例では、両肺底部の肥厚が確認された。 II群の5例(50%)には、低血圧と低灌流の臨床徴候が認められ、KDSSの判定基準を満たした。また、5例(50%)がMASと診断された。II群の患者は全例が退院し、アスピリン治療を継続している。他の流行国でも、同様の集団発生が予測される I群に比べII群では、川崎病の月間発生率が30倍以上高かった(I群0.3例/月vs.II群10例/月、p<0.0001)。また、II群は、発症時の平均年齢が高く(3.0[SD 2.5]歳vs.7.5[3.5]歳、p=0.0003)、平均BMIも高値を示した(15.93[SD 1.72])vs.19.11[3.21]、p=0.0016)。II群の10例中5例(50%)に、COVID-19確定例との接触が認められた。 I群に比べII群は、白血球数(19.4[SD 6.4]×109/L vs.10.8[6.1]×109/L、p=0.0017)、リンパ球数(3.0[SD 1.8]×109/L vs.0.86[0.4]×109/L、p=0.0012)および血小板数(457[SD 96]×109/L vs.130[32]×109/L、p<0.00001)の値が低かった。 また、II群は、心エコー図の異常(2/19例[10%]6/10例[60%]、p=0.0089)の割合が高く、KDSS(0/19例[0%]vs.5/10例[50%]、p=0.021)およびMAS(0/19例[0%]vs.5/10例[50%]、p=0.021)の頻度が高かった。 Kobayashiスコア≧5点の患児(2/19例[10%]vs.7/10例[70%]、p=0.0021)の割合はII群で高く、ステロイドによる補助治療の必要性(3/19例[16%]vs.8/10例[80%]、p=0.0045)も、II群の患児で高かった。 著者は、「SARS-CoV-2流行国では、同様の川崎病または類似症候群の集団発生が予測される」としている。

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イソ吉草酸血症〔IVA:isovaleric aciduria〕

1 疾患概要■ 概念・定義イソ吉草酸血症(isovaleric aciduria:IVA)は、ミトコンドリアマトリックスに存在するロイシンの中間代謝過程におけるイソバレリルCoA脱水素酵素(IVDH)の障害によって生じる有機酸代謝異常症であり、常染色体劣性の遺伝性疾患である。■ 疫学わが国における罹患頻度は約65万出生に1人と推定されている。非常にまれだと思われていたが、新生児マススクリーニング(タンデムマススクリーニング)が開始されてから無症状の患児や母体が見つかっている。欧米では新生児スクリーニングで診断された患者の約2/3でc.932C>T(p.A282V)変異を認めており、この変異とのホモ接合体もしくは複合へテロ接合体を持つ場合、無症候性が多い。■ 病因遺伝性疾患であり原因遺伝子はIVD(isovaleryl-CoA dehydrogenase)であり、15q14-15にコードされている。この変異によってIVDH活性が低下することに起因する。IVDHはイソバレリルCoAから3-メチルクロトニルCoAが生成する反応を触媒している。この代謝経路は、飢餓やストレスによりエネルギー需要が高まるとロイシン異化によりクエン酸回路へアセチルCoAを供給してエネルギー産生を行うが、本症ではIVDH活性が低下しているためイソ吉草酸などの急激な蓄積とエネルギー産生低下を来し、尿素サイクル機能不全による高アンモニア血症や骨髄抑制を伴う代謝性アシドーシスを引き起こす。■ 症状1)特有の臭い急性期に「足が蒸れた」とか「汗臭い」と表現される強烈な体臭がある。2)呼吸障害急性期に見られ多呼吸や努力性呼吸、無呼吸を呈する。3)中枢神経症状意識障害、無呼吸、筋緊張低下、けいれんなどで発症する。急性期以降、もしくは慢性進行性に発達遅滞を認めることがある。4)消化器症状、食癖哺乳不良や嘔吐を急性期に呈することは多い。また、しばしば高タンパク食品を嫌う傾向がある。5)骨髄抑制汎血球減少、好中球減少、血小板減少がしばしばみられる。6)その他急性膵炎や不整脈の報告がある。■ 分類臨床病型は主に3つ(発症前型、急性発症型、慢性進行型)に分かれる。1)発症前型新生児マススクリーニングや、家族内に発症者がいる場合の家族検索などで発見される無症状例を指す。発作の重症度はさまざまである。2)急性発症型出生後、通常2週間以内に嘔吐や哺乳不良、意識障害、けいれん、低体温などで発症し、代謝性アシドーシス、ケトーシス、高アンモニア血症、低血糖、高乳酸血症などの検査異常を呈する。有症状例の約3/4を占めたとする報告がある。また、生後1年以内に感染やタンパクの過剰摂取などを契機に発症する症例もある。3)慢性進行型発達遅滞や体重増加不良を契機に診断される症例を指す。経過中に急性発症型の症状を呈することもある。■ 予後新生児・乳児の高アンモニア血症、代謝性アシドーシスをうまく予防・治療できればその後の神経学的予後は良好である。本症発症の女性の出産例も知られている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 一般検査急性発症時にはアニオンギャップの開大する代謝性アシドーシス、高アンモニア血症、高血糖、低血糖、低カルシウム血症を認める。高アンモニア血症の程度で他の有機酸血症や尿素サイクル異常症と区別をすることはできない。汎血球減少、好中球減少、血小板減少もしばしば見られる。高アンモニア血症は、細胞内のアセチル-CoAの減少によりN-アセチルグルタミン酸合成酵素活性が阻害され、尿素サイクルを障害するためと考えられている。■ 血中アシルカルニチン分析(タンデムマス法)イソバレリルカルニチン(C5)の上昇が特徴的である。■ 尿中有機酸分析イソバレリルグリシン、3-ヒドロキシイソ吉草酸の著明な排泄増加が見られる。■ 酵素活性末梢血リンパ球や皮膚線維芽細胞などを用いた酵素活性測定による診断が可能であるが、国内で実際に施行できる施設はほぼない。■ 遺伝子解析原因遺伝子のIVDの解析を行う。日本人患者8例のIVD解析では15アレルに点変異、1アレルにスプライス変異が同定されているが、同一変異はない。欧米におけるp.A282Vのような高頻度変異は報告されていない。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 急性期の治療診断を行いつつ、下記の治療を進め代謝クライシスを脱する。1)状態の安定化(1)気管挿管を含めた呼吸管理、(2)血液浄化療法を見据えた静脈ルート確保、(3)血圧の維持(昇圧剤の使用)、(4)生食などボリュームの確保2)タンパク摂取の中止最初の24時間はすべてのタンパク摂取を中止する。24~48時間以内にタンパク摂取を開始。3)異化亢進の抑制十分なカロリーを投与する(80kcal/kg/日)。糖利用を進めるためにインスリンを使用することもある。脂肪製剤の投与も行う(2.0g/kg/日まで可)。4)L-カルニチンの投与有機酸の排泄を図る。100mg/kgをボーラスで投与後、維持量として100~200mg/kg/日で投与。5)グリシンの投与イソ吉草酸とグリシン抱合させ、排泄を促す。150~250mg/kg/日分3。6)高アンモニア血症の治療迷わずカルグルミン酸(商品名:カーバグル)の投与を開始する(100mg/kgを初回投与し、その後100~250mg/kg/日で維持。経口、分2-4)。フェニル酪酸Naや安息香酸Naを100~250mg/kg/日で使用しても良い。7)代謝性アシドーシスの補正炭酸水素ナトリウム(同:メイロン)で行い、改善しない場合は血液浄化療法も行う。8)血液浄化療法上記治療を数時間行っても代謝性アシドーシスや高アンモニア血症が改善しない場合は躊躇なく行う。■ 未発症期・慢性期の治療ロイシンを制限することでイソバレリルCoAの蓄積を防ぐことを目的とするが、食事制限の効果は不定である。1)自然タンパクの制限:1.0~2.0g/kg/日程度にする。2)L-カルニチン内服:100~200mg/kg/日分3で投与。3)グリシンの投与:150~250mg/kg/日分3で投与。4)シック・デイの対応:感染症などの際に早めに医療機関を受診させ、ブドウ糖などの投与を行い異化の亢進を抑制させる。本疾患は急性期に適切な診断・治療がなされれば、比較的予後は良好であり思春期以降に代謝クライシスを起こすことは非常にまれである。急性期を乗り切った後(または未発症期)に、本疾患児をフォローしていく際は、一般に精神運動発達の評価と成長の評価が中心となる。■ 成人期の課題1)食事療法一般に小児期よりはタンパク制限の必要性は低いと思われるが、十分なエビデンスがない。2)飲酒・運動体調悪化の誘因となり得るため、アルコール摂取や過度な運動は避けた方が良い。3)妊娠・出産ほとんどエビデンスがない。今後の症例の積み重ねが必要である。4)医療費の問題カルニチンの内服は続けていく必要がある。2015年から指定難病の対象疾患となり、公的助成を受けられるようになった。4 今後の展望本症はタンデムマススクリーニングの対象疾患に入っている。一例一例を確実に積み重ねることにより、今後わが国での臨床型や重症度と遺伝子型などの関連が明らかになってくると思われる。5 主たる診療科代謝科、新生児科、小児科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本先天代謝異常学会ホームページ(新生児マススクリーニング診療ガイドラインは有用)公開履歴初回2020年05月26日

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コロナ患者への薬の配達費補助 宅配便なら全額でスタッフ持参だと300円の違和感【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第47回

緊急事態宣言が一部地域で解除され、新型コロナウイルス感染症の国内での流行は収束に向かいつつありますが、今もなお医療現場は大変な状況です。特例的ではあってもオンライン診療・服薬指導が進むことはありがたいのですが、緊急事態宣言前の3月あたりから患者さんの来局が減って処方箋単価も下がっている実感がある中で、この状況が続くと薬剤の配送費や手間がばかにならない…と思っている薬局経営者の方も少なくないのではないでしょうか。そんな薬局経営者の声が届いたのでしょうか。4月30日に国会で成立した新型コロナウイルス感染症に関する緊急経済対策の補正予算の中に、「薬局における薬剤交付支援事業」という項目があり、新型コロナウイルス感染症患者やオンライン服薬指導を受けた患者への薬剤配送料や薬局スタッフが薬剤を届けた場合の交通費および人件費が補助されるようになりました。予算成立と同日に、厚生労働省より「電話や情報通信機器を用いた服薬指導等の実施に伴う薬局における 薬剤交付支援事業について」という事務連絡が発出され、5月8日には日本薬剤師会から「薬局における薬剤交付支援事業の実施に当たっての留意点」が発出されました。厚生労働省からの事務連絡の内容は以下のとおりです。支援事業の実施団体は都道府県薬剤師会である。支援の対象は、4月30日以降に行った処方薬の配送料、配送に係る費用。薬局スタッフが直接届けることを基本とし、それが困難な場合に配送業者の利用を検討する。支援の申請時には、患者に配送料を請求していない分も含めてオンライン服薬指導を実施した内容を報告する。日本薬剤師会からの文書には、より具体的に薬局が行う対応が記されています。対象処方箋は、「CoV宿泊」「CoV自宅」のグループと「0410対応」の2種類に分けられる。処方箋の備考欄に「CoV宿泊」または「CoV自宅」と記載されている場合:薬局スタッフが宿泊施設や患者宅に届けた場合は、距離を問わず1件につき300円を薬剤師会に請求することができる。1施設で複数人分を届けた場合も1件のカウントとする。配送業者によって配送を行った場合は、配送料全額を請求できる。いずれの場合も患者負担はない。処方箋の備考欄に「0410対応」と記載されている場合:患者負担として200円を患者から徴収する。薬局スタッフが患者宅に届けた場合は100円を薬剤師会に請求でき、配送業者による配送を行った場合は患者負担の200円を差し引いた全額を請求できる。請求の手続きは、各都道府県の薬剤師会に従って、翌月15日までにデータを送信する。処方箋の写しや配送料の金額がわかる伝票などの資料は薬局に保存する。処方箋に「0410対応」と記載されていても、患者が来局して受け取った場合には請求できない。予算の上限に達した場合は、その時点で終了する。この対応で私が気になった点は、処方箋の備考欄に「CoV宿泊」または「CoV自宅」とあり、薬局スタッフがその施設や自宅まで薬を届けた場合は、距離に関係なく300円しか請求できない、という点です。もし、患者さんがコロナ陽性となりホテルで療養されている場合はかかりつけの薬剤師がオンライン服薬指導を行い、自ら足を運んで届けることも考えられますが、その場合でも一律300円です。配送業者に頼んだ場合は費用の全額を請求できるのに…と少し違和感を覚えますが、これらの対応によって、患者さんの負担が明確になり、薬局の運営でも助かる部分があると思います。なお、東京都薬剤師会からの通知には、予算利用上限金額は1薬局5,000円程度と記載されており、このほかにも地域の取り決めがある可能性がありますので、ぜひ各都道府県薬剤師会のホームページなどで詳細をご確認ください。オンライン服薬指導では薬をお届けする方法など確認することが多くて煩雑ですが、患者さんも慣れない状況や方法で大変だと思います。感染拡大を防止するためにオンライン診療を使用した意識の高さを褒めてみてはどうでしょうか。実際、私は電話で診察してもらった医師に「今後どうなるかわからないので、いつもより多く薬を出してほしい」と伝えたところ、危機管理の意識が高いと褒められてちょっとうれしくなりました。初診も可能となったオンライン診療の特例はもうしばらく続くと思いますので、患者さんのモチベーションを上げながら一緒にこのコロナ禍を乗り切りましょう。

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COVID-19関連の超過死亡算出するオンラインツール開発/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行の医学的、社会的、経済的な影響は、総人口死亡率に未知の作用を及ぼしているといわれる。これまでの死亡率モデルは、高リスクの基礎疾患や、それらのより長期のベースライン(COVID-19流行以前)の死亡率は考慮されていないが、英国・University College LondonのAmitava Banerjee氏らは、さまざまな感染抑制レベルに基づくCOVID-19発生のシナリオと、基礎疾患の相対リスクに基づく死亡率の影響を考慮して、COVID-19の世界的流行から1年間の超過死亡者数を、年齢、性、基礎疾患別に推定するモデルを確立するとともに、これを算出するオンラインツールを開発し、プロトタイプを公開した(オンラインリスク計算機のプロトタイプ)。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年5月12日号に掲載された。電子健康記録データを用いて超過死亡を推定するコホート研究 研究グループは、英国のプライマリケアおよびセカンダリケアの電子健康記録(Health Data Research UKのCALIBER)にリンクされたデータを用いて人口ベースのコホート研究を行った(英国国立衛生研究所[NIHR]University College London病院バイオメディカル研究センターなどの助成による)。  1997~2017年の期間に、医療機関に登録された30歳以上の個人を対象に、Public Health Englandのガイドラインで定義された基礎疾患の有病率(2020年3月16日以降)を調査した。  COVID-19の世界的流行の相対的影響を、COVID-19流行前のバックグラウンド死亡率と比較した相対リスク(RR)とし、RRを1.5、2.0、3.0と仮定した場合に、完全抑制(0.001%)、部分抑制(1%)、軽減(10%)、何も対策をしない(80%)などの異なる感染率のシナリオで、COVID-19関連の超過死亡の簡略なモデルと計算ツールを開発し、各疾患の1年間の死亡率を推定した。 また、超過死亡を推算するためのオンライン公開用のプロトタイプのリスク計算機を開発した。超過死亡に直接・間接に及ぼす全体の影響の評価が必要 386万2,012人(女性195万7,935人[50.7%]、男性190万4,077人[49.3%])を対象とした。対象の20%以上が高リスクであり、そのうち13.7%が70歳以上の高齢者で、6.3%は1つ以上の基礎疾患を有する70歳以下の高齢者と推定された。 高リスク集団の1年死亡率は4.46%(95%信頼区間[CI]:4.41~4.51)と推定された。年齢と基礎疾患が複合的にバックグラウンドリスクに影響を及ぼし、疾患によって死亡率に顕著なばらつきが認められた。 英国の集団における完全抑制のシナリオでは、超過死亡者数(COVID-19流行前のベースラインの死亡との比較)は、RRが1.5の場合は2人、RRが2.0で4人、RRが3.0では7人と推定された。 また、軽減シナリオでは、RRが1.5の超過死亡者数は1万8,374人、2.0で3万6,749人、3.0では7万3,498人と推定された。何も対策をしないシナリオの超過死亡者数は、RRが1.5の場合は14万6,996人、2.0で29万3,991人、3.0では58万7,982人であった。 著者は、「これらの結果は、持続的で厳格な抑制対策とともに、基礎疾患があるため最もリスクが高い集団を対象に、さまざまな予防介入による継続的な取り組みを行う必要性を示唆する。各国は、COVID-19の世界的流行が超過死亡に直接・間接に及ぼす全体的な影響を評価する必要がある」と指摘している。

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第8回 初診のオンライン診療、継続的実施の検討へ

<先週の動き>1.初診のオンライン診療、継続的実施の検討へ2.病院の医業収入は前年比10.5%減、コロナ受け入れ病院では12.7%減も3.コロナの影響で先延ばしされた新たな社会保障制度改革4.新型コロナウイルスに対するワクチンや治療薬の開発が待たれる1.初診のオンライン診療、継続的実施の検討へ19日に開催された国家戦略特区諮問会議において、新型コロナウイルスの影響により、全国で時限的・特例的措置として可能になっている「初診患者のオンライン診療」について議論された。そこでは、安倍 晋三首相より、コロナ収束後も初診のオンライン診療が引き続き活用できるよう、継続的実施に向けて規制や制度の改革を進める方針を表明した。厚生労働省によると、5月14日現在、オンライン診療などを実施しているのは全国で約1万4,500施設、うち初診からの実施は約6,000施設。今後、利点や課題を洗い出した上で、全国的に認めるのかどうかも含めて検討され、年内に取りまとめを急ぐ。(参考)第44回 国家戦略特別区域諮問会議 配布資料2.病院の医業収入は前年比10.5%減、コロナ受け入れ病院では12.7%減も21日、自民党の岸田 文雄政調会長が「令和2年度第2次補正予算の編成に向けて」の提言を安倍首相に提出した。新型コロナの影響で、受診控えなどにより収入が大きく減少し、経営危機に直面している医療機関や薬局が経営破綻しないように求めている。最近、医療機関における経営状態の悪化についてたびたび報道されているが、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の病院経営状況緊急調査(速報)によれば、前年の2019年4月と今年4月を比較した医業収入は、回答した病院で10.5%減少しており、コロナ患者入院受入病院では12.7%減となっている。日本医師会は、半年間で7兆5,000億円の予算措置などにより、医療機関や薬局などの経営支援を行うことを求めている。取り急ぎ、厚労省は5月分の診療報酬支払いについて、本来より1ヵ月繰り上げた6月に概算で給付する案を検討しており、医療従事者に支払うボーナスなどの原資を確保できるように動く見込み。(参考)第2次補正予算に向けた提言概要(自由民主党政務調査会)新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況緊急調査(速報)(日本病院会)3.コロナの影響で先延ばしされた新たな社会保障制度改革22日に開催された第7回全世代型社会保障検討会議において、安倍首相が今夏に取りまとめる予定だった最終報告を半年ほど遅らせることを表明した。新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ、社会保障の新たな課題を取り上げたことなどによる影響。ウイルス感染リスクがある中、医療・介護に従事する労働者が安全に就労できるよう、マスクや消毒液などの衛生用品の確保などの支援や、感染リスクを恐れて受診抑制や介護サービス利用控えなどの動きに対して、オンライン診療や非接触サービスの活用についての言論を求めている。これを受け、75歳以上の患者の窓口負担を1割から2割に引き上げる法案の国会提出が2021年に先送りになるなど、今後の医療改革や健康保険財政などに影響が出る可能性もある。(参考)全世代型社会保障検討会議(第7回)配布資料(首相官邸)新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえた社会保障の新たな課題に関する基礎資料4.新型コロナウイルスに対するワクチンや治療薬の開発が待たれるコロナ治療薬開発の進捗状況について、日々報道がなされているが、民間の医療機関が手にする段階は、現時点ではまだ先になりそうである。7日に承認された、新型コロナウイルス感染症に対する国内初の治療薬レムデシビル(商品名:ベクルリー)は、重症患者が対象とされ、一般の患者に用いることは難しいと考えられる。今後、中等症患者を対象とした2本目の第III相試験の結果など、5月下旬に初期のデータが公表される見込み。また、政府が早期承認するとしていたファビピラビル(同:アビガン)については、動物実験で催奇形性(外表異常、内臓異常、骨格異常、骨格変異)が認められており、精液への移行もあるなど、内服投与に当たっては細心の管理が必要である。その上、17日に日本医師会の「COVID-19有識者会議」が発表した「新型コロナウイルス感染パンデミック時における治療薬開発についての緊急提言」によれば、承認を早める事務手続きの特例処置は理解できるとしているが、科学的根拠の不十分な候補薬を治療薬として承認すべきでないとしており、今後の治験結果の公表や承認申請を待つことになる。ワクチン製造を手掛ける大手製薬企業を中心として、開発治験が進んでいると発表されているが、安全性・有効性の確認中であり、正式な承認申請はまだである。第二波の襲来に備えるために、各国と協調体制を取りながら、迅速な開発、供給態勢の整備が進むことが待たれる。(参考)新型コロナウイルス感染パンデミック時における治療薬開発についての緊急提言(日本医師会COVID-19有識者会議)新型コロナウイルス 治療薬・ワクチンの開発動向まとめ【COVID-19】(Answers News)

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新型コロナのピーク超えたニューヨーク、市内の状況と懸念される小児疾患【臨床留学通信 from NY】番外編4

新型コロナのピーク超えたニューヨーク、市内の状況と懸念される小児疾患こちらCOVID-19の激震地となったニューヨークでは、ピークを4月中旬に超え、私の勤めるMount Sinai Beth Israel病院の内科には、一時期は病床数(最大120)を上回る200人近くが入院していましたが、日々減少傾向にあり、5月15日現在では40人前後まで減りました。ICU患者も一時期は病床数の5倍にまで膨れ上がりましたが、現在は通常の2倍程度まで落ち着きました。これまでに感染者はトータルで30万人超、死者は2万人を超えました。ニューヨーク市内では依然、待機的手術や外来診療は禁止されていますが、ほかの郡においては徐々に再開が認められつつあります。外出禁止令(散歩やランニングは可能、レストランなどは営業停止)は今もなお続き、休校も継続中ですが、職種ごとに段階的に再開していく形になっています(建設業などは優先、レストラン、ホテルは後、娯楽系は最後)。5月11日現在における経済再開の基準は、下記のようになっています。<患者数・死者数>(1)総入院患者数が少なくとも14日間連続減少しているか、1日の新たな入院患者の数が15人以下であること(CDC基準)。(2)1日の死者数が少なくとも14日間連続減少しているか、1日の死者数が5人以下であること。(3)新たな入院患者数が10万人当たり2人未満であること。<病院のキャパシティ>(4)全ベッドのうち、少なくとも30%が常に利用可能なこと。(5)ICUベッドのうち、少なくとも30%が常に利用可能なこと。<検査と追跡>(6)1ヵ月で人口1,000人当たり30人が検査を受けていること。(7)10万人当たり30人以上の追跡要員を有していること。これらの基準の狙いは、患者数のピークおよび病院のキャパシティを政策でコントロールすることにあり、それが死亡率軽減につながるというエビデンスに基づいています1)。また検査体制、追跡体制を重視しており、第2波に備える形になっています。さらに、経済再開を準備する段階で感染者を推定するため、1万5,000人ほどの大規模な抗体検査を行っており、ニューヨーク市民の平均抗体陽性率はおよそ20%でした。一方、医療従事者は12.2%と低めに抑えられており(5月2日現在)、PPEは有効であったことが示唆されます。また、死亡者の人種別内訳も公表されており、マイノリティの被害が強く、アジア人は比較的低めではあります。ニューヨーク市における内訳は、ヒスパニック:34%(人口比29%)、黒人:28%(同22%)、白人: 27%(同32%)、アジア系:7%(同14%)でした。 抗体陽性率は、アジア系は11.1%で、ヒスパニック25.4%、黒人17.7%と比べて低めとなっています。なお、白人は7%でした。ニューヨーク市内において現在注意を呼びかけているのは、子供の川崎病に類似した多臓器系炎症性疾患(Pediatric Multi-System Inflammatory Syndrome)であり、市内で110件(うち死亡は3例)とのことです(5月16日現在)。年齢別割合は0~4歳:35%、5~9歳:25%、10~14歳:24%、15~21歳:16%となっており、性別では、男性が57%、女性が43%となっており、年齢については川崎病の好発年齢とは類似していないと考えられます。これら小児の54%において、PCR検査陽性もしくは抗体が陽性になっており、注意が呼びかけられています。1)https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/208354

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アルナイラム社とVir社、COVID-19 治療薬候補(VIR-2703)を特定

 Vir Biotechnology社およびアルナイラム社は、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2ゲノムを標的とするRNAi治療薬研究の開発候補として、VIR-2703を選定したと発表した。両社は、近日中にFDAおよび他の規制当局と面会し、2020年末を目処にヒトにおける臨床試験を開始する見込みだとしている。 アルナイラム社は、SARS-CoV-2ゲノムの高度に保存された領域を標的とするRNAiを媒介するsiRNAを350種以上合成し、ウイルス複製を1/1000以下まで低減した有力なsiRNAを複数特定した。なかでも、VIR-2703は、SARS-CoV-2のウイルスモデルを使って感染性ビリオン(感染性を有するウイルス粒子)産生の抑制を測定する用量反応試験で、50%阻害濃度(EC50)が100ピコモル未満、EC95が1ナノモル未満であることを示した。さらに、VIR-2703は、4,300以上のSARS-CoV-2ゲノムのうち、99.9%以上に対して反応し、2003年のSARSアウトブレイクから発生したSARS-CoVゲノムに対しても反応すると予測されている。この結果を受け、両社は、VIR2703を開発候補薬に選定し、臨床試験に進めることとした。

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COVID-19へのヒドロキシクロロキン、気管挿管・死亡リスク抑制せず/NEJM

 米国では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として、ヒドロキシクロロキンが広く投与されているが、その使用を支持する頑健なエビデンスはなかったという。同国コロンビア大学のJoshua Geleris氏らは、ニューヨーク市の大規模医療センターでCOVID-19入院患者の調査を行い、本薬はこれらの患者において気管挿管や死亡のリスクを抑制しないと報告した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年5月7日号に掲載された。ヒドロキシクロロキンは、マラリアやリウマチ性疾患の治療に広く使用されており、抗炎症作用と抗ウイルス作用を持つことから、COVID-19に有効な可能性が示唆されている。米国では、2020年3月30日、食品医薬品局(FDA)が緊急時使用許可(Emergency Use Authorization)を発出し、臨床試験に登録されていないCOVID-19患者への使用が認可された。ガイドラインでは、肺炎のエビデンスがある入院患者に本薬の投与が推奨されており、世界中の数千例の急性期COVID-19患者に使用されているという。米国の単施設のコホート研究 研究グループは、COVID-19患者におけるヒドロキシクロロキンの使用は、気管挿管および死亡のリスクを抑制するとの仮説を立て、これを検証する目的でコホート研究を行った(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。 対象は、2020年3月7日~4月8日の期間に、ニューヨーク市のマンハッタン区北部に位置する急性期病院であるニューヨーク・プレスビテリアン病院(NYP)-コロンビア大学アービング医療センター(CUIMC)に入院し、鼻咽頭または口咽頭拭い液を検体として用いた検査でSARS-CoV-2陽性の成人患者であった。 救急診療部受診から24時間以内に、気管挿管、死亡、他の施設へ転送となった患者は除外された。フォローアップは4月25日まで継続した。ヒドロキシクロロキンは、1日目に負荷投与量600mgを2回投与後、400mgを1日1回、4日間投与するレジメンが推奨された。 主要エンドポイントは気管挿管および死亡の複合としtime-to-event解析を行った。傾向スコアによる逆確率重み付けを用いた多変量Coxモデルを使用して、ヒドロキシクロロキンの投与を受けた患者と非投与患者を比較した。有益性、有害性とも排除されない、推奨はすでに削除 1,376例が解析の対象となった。フォローアップ期間中央値22.5日の時点で、346例(25.1%)に主要エンドポイントのイベントが発生した(挿管されずに死亡166例、挿管180例)。データのカットオフ時(4月25日)には、232例が死亡(66例は挿管後)し、1,025例が生存退院しており、119例は入院中(挿管なしは24例のみ)だった。 1,376例中811例(58.9%)にヒドロキシクロロキンが投与され(投与期間中央値5日)、565例(45.7%)には投与されなかった。投与群の45.8%は救急診療部受診後24時間以内に、85.9%は48時間以内に投与が開始された。 傾向スコアでマッチさせていない患者では、ヒドロキシクロロキン投与量は、年齢層や性別、人種/民族、BMI、保険の有無、喫煙状況、他の薬剤の使用状況の違いで異なっていた。また、ベースラインの重症度は、投与群が非投与群に比べて高く、動脈血酸素分圧(PaO2)/吸入気酸素濃度(FIO2)比中央値は投与群が223、非投与群は360であった。 傾向スコアでマッチさせた患者は、投与群が811例、非投与群は274例だった。 未補正の粗解析では、ヒドロキシクロロキン投与群は非投与群に比べ、主要エンドポイントのイベント発生率が高かった(32.3%[262/811例]vs.14.9%[84/565例]、ハザード比[HR]:2.37、95%信頼区間[CI]:1.84~3.02)。 一方、傾向スコアによる逆確率重み付けを用いた多変量解析では、ヒドロキシクロロキンとイベント発生率に有意な関連は認められなかった(HR:1.04、95%CI:0.82~1.32)。 著者は、「この観察研究の結果は、デザインと95%CI値を考慮すると、ヒドロキシクロロキン治療の有益性と有害性のいずれをも排除しないが、現時点では、有効性を検証する無作為化臨床試験以外では、その使用を支持しない」としている。なお、NYP-CUIMCでは、すでにガイダンスを改訂し、COVID-19患者におけるヒドロキシクロロキン治療の推奨は削除されたという。

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