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映画「かがみの孤城」(その3)【この城が答えだったんだ!(不登校への学校改革「かがみの孤城プロジェクト」)】Part 3

(3)教え合うという役割を与える―自尊心3つ目の機能は、教え合うという役割を与えることです。その1でも説明したとおり、小学校までは不特定多数の友達づくりの心理から、教室にただ一緒にいるだけで居場所になりました。しかし、中学校からは、特定少数の親友づくり(グループ形成)の心理が高まることから、ただ一緒にいるだけでは仲間外れが起こり、居場所になるとは限りません。よって、学校側が一緒にいる理由(役割)を枠組みとしてつくる必要があります。これは、自尊心を育みます。具体的な取り組みを主に3つ挙げてみましょう。a.グループワークをメインにする1つ目の取り組みは、授業はグループワークをメインにすることです。少人数グループに分けて、一人ひとりが学んだことを発表し合い、お互いに教え合います。教師は、教え合うテーマを出して、簡単なガイダンスをすることはあっても、一方的に教えるのを控え、サポートに徹します。これは、まさに映画に登場する案内人の女の子の立ち位置です。逆に言えば、ただ教室に座っているだけの生徒は評価されないことになります。教室で発言しようとする態度とその発言内容が評価されます。生徒たちもお互いにどれだけ学んでいるかがわかり、評価もオープンなものになります。すると、授業中に寝る生徒はいなくなるでしょう。寝るなら、評価されないだけだからです。これは、わざわざ寝ている生徒を起こす必要がなくなり、教師にとっても楽になります。なお、教え合うにはやはり達成度が同じレベルであることが必要になります。同じでなければ、教え合ってもわかり合えないという事態が起きるからです。この取り組みは、アクティブ・ラーニングとも呼ばれています。この詳細は、関連記事2のページの最後をご覧ください。b.オンラインによる個別学習にする2つ目の取り組みは、オンラインによる個別学習です。これは、グループワークの前に自習時間を設け、各自で予習をすることです。教えるためには、やはりまず教わる必要があります。ただし、教わる場所や教師は、同じである必要はありません。場所は、図書室、空き教室、自宅などで自由とします。その内容は、すでに収録された授業をストリーミング動画でいつでも視聴できるようにします。また、教える先生は、グループワークと同じ先生ではなく、別の学校の先生でも、学習塾の先生でも可能とします。どの先生にするか、生徒に選ぶ自由(選択権)を与えるのです。これも、大人扱いです。そもそも、現代の情報化社会でICTが高度に発展しているなか、大人数が教室という1ヵ所に集まって、決まった教師が話すことを一方的に聞いて、黒板を静かに書き写す作業を1日中続けることは、何の合理性もないです。これは、海外の教育学者から「工場型一斉授業」と指摘されています2)。まさに、商品がベルトコンベヤーに並べられて自動的に作り込まれていくのと同じように、生徒たちが教室に並べられて有無を言わさずに一方的に知識を詰め込まれるイメージです。オンライン個別学習によって、1人の教師の授業動画を数百万人の生徒に共有できるようにすれば、残りのほとんどの教師はグループワークの授業だけになり、時間と労力が相当数浮きます。その分、グループワークの授業に専念できますし、グループワークに複数の教師を配置することもできます。そして、もともとの教師不足という社会問題の打開策にもなります。また、科目別・達成度別のクラスを複数維持するためには、選択したいクラスがバッティングしないように予備の時間(自習時間)を増やす必要があります。その時間にオンライン個別学習を当てれば、この問題は解消されます。なお、オンライン学習(学習インプット)+グループワーク(学習アウトプット)は、ブレンディッド・ラーニングと呼ばれ、すでに米国で広がりつつあります2)。ちなみに、オンライン個別学習だけで、すでにホームスクーリング(家庭学習)の役割を果たしていることにもなります。ちなみに、テストも個別学習と同じように、オンライン化していつでもどこでも受けられるようにします。生成AIを導入すれば、オンラインで面接テストも可能です。成績表(評価)を自動算定できるようにします。これらの取り組みは、生徒だけでなく、教師の労力も大幅に減らすことができます。もはや、教室という空間は、生徒たちが静かに座っている場ではなく、生徒たちが活発に話し合って動き回って相互作用する場にしかしないようにするのです。この取り組みも、自習時間がクラスの人間関係から解放される時間になり、逆に「ぼっち」がありふれたものになるため、もはや「ぼっち」というレッテルを貼るいじめはなくなるでしょう。c.校則を生徒たちの投票によって決める3つ目の取り組みは、校則を生徒たちの投票によって決めることです。これは、かがみの孤城で7人が話し合いによってルールを決めていたように、自分たちの学校生活のルールを話し合い、投票によって決めるのです。そのためには、生徒会が真の役割を発揮するでしょう。これは、民主主義の基本を学ぶことにもなります。条例が法律に則っていれば有効であるのと同じように、校則も法律や条例に則っていれば有効です。すると、制服や髪型の規制をはじめとする不合理な「ブラック校則」はすぐになくなるでしょう。これは、その2でご紹介した家庭のルールづくりの交渉制に通じます。この取り組みは、生徒一人ひとりに票があるという点で、自尊心を育みます。また、選ぶという行為によって、自我が高まります。かがみの孤城プロジェクト」をスムーズに進めるには?こころたち7人の共通点は、不登校でした。当初、だから城に集められたと私たちは思い込んでいました。ネタバレになるため詳細は避けますが、彼らが城に集められたのは、ある別の目的によって不登校であることが都合良かったからなのでした。この映画の設定と同じようにすれば、「かがみの孤城プロジェクト」を実験的にスムーズに進めることができます。ここから、3つの段階に分けてご提案します。(1)第1段階第1段階は、すでに不登校になっている中学生を全国から募り、個別学習だけでなくグループワークもオンラインにすることです。まさに、パソコンやスマホの画面という「かがみ」を通して、グループワークという「孤城」に参加するのです。こころたちと同じように、新しい人間関係になるため、もともとのクラスに戻るよりも引け目がない分、ずっと参加しやすいでしょう。そもそも、彼らは、たいてい昼に家にいます。そして、不登校であるため、学習指導要領に縛られるという問題は起きません。つまり、不登校に対して規制がないことを逆手に取るのです。これは、不登校の生徒たちだからこそ実現できる学校改革です。そして、これがこのプロジェクトをスムーズに進めるための第一歩です。これだと、戸惑いや抵抗を感じる関係者の方々は少ないでしょう。すでに、「不登校特例校」でオンライン授業を2025年から開始する構想があります。この構想にこのプロジェクトが結びつくことが理想でしょう。(2)第2段階第1段階で枠組みが整えば、第2段階は、募集対象を不登校になりそうな子供、希望する子供まで広げることです。また、地域のフリースクールや学習塾と連携することです。そうすれば、オンラインから、オフライン、つまり実際のこれらの教室でもグループワークに段階的に参加する頻度を増やすことができるでしょう。グループワークで重要なのは、オンラインはあくまで橋渡しの位置づけで、最終的には生身の人間関係にも慣れていく必要があることです。なぜなら、在宅ワークが増えたとはいえ、やはり社会の仕組みが対面の人間関係に重きを置いているからです。そして、これが私たちの本来の姿(社会脳)だからです。(3)最終段階第2段階で規模が大きくなっていけば、最終段階は、すべての生徒たちに、いままでどおり学校に行くか、それともプロジェクトに参加するかを選ばせることです。また、プロジェクトに参加してグループワークの授業をする教師を学校の教師からも募集することです。プロジェクト参加を希望する生徒や教師がどんどん増えれば、必然的に学校からどんどん生徒や教師が減っていきます。すると、学習指導要領をはじめとする学校の仕組み自体を大きく見直す必要に迫られるでしょう。これが、学校改革のタイミングです。そして、学校が「かがみの孤城プロジェクト」そのものになる日が来るでしょう。その時、問題なのは、不登校の生徒ではなく、不登校を招く学校のあり方であったことに気付くでしょう。なお、このプロジェクトは、中学校の科目全般で進めるだけでなく、小学校の英語教育でも進めることができます。この詳細については、関連記事3をご覧ください。1)「教育は何を評価してきたのか」P49:本田由紀、岩波新書、20202)「ブレンディッド・ラーニングの衝撃」P14、P37:マイケル・B・ホーンほか、教育開発研究所、2017<< 前のページへ■関連記事マザーゲーム(前編)【ママ友付き合い、なんで息苦しいの?(「女心」の二面性)】Part 1クレヨンしんちゃん【ユーモアのセンス】Part 2NHKラジオ「小学生の基礎英語」【和製英語教育」から抜け出せる?日本人がバイリンガルになった未来とは?(言語政策)】Part 1

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日本における頭痛に対する処方パターンと特徴

 長野県・諏訪赤十字病院の勝木 将人氏らは、メディカルビッグデータであるREZULTを用いて、日本の成人頭痛患者(17歳以上)に対する処方パターンの調査を行った。Cephalalgia誌2024年1月号の報告。 Study1では、2020年に頭痛と診断された患者における急性期治療薬の過剰処方の割合を横断的に調査した。過剰処方は、トリプタンとNSAIDs(30錠/90日以上)、NSAIDs単剤(45錠/90日以上)と定義した。Study2では、最初の頭痛診断から2年超の処方パターンを縦断的に調査した。処方薬剤数は、90日ごとにカウントした。 主な結果は以下のとおり。・Study1では、363万8,125例中20万55例(5.5%)が頭痛と診断されており、そのうち1万3,651例(6.8%)に対し急性期治療薬が処方されていた。・NSAIDs単独処方は、1万2,297例(90.1%)でみられ、トリプタンは1,710例(12.5%)に処方されていた。・過剰処方は、2,262例(16.6%)でみられ、1,200例(8.8%)には頭痛の予防治療薬が処方されていた。・Study2では、684万618例中40万8,183例(6.0%)は、頭痛と診断され、その後2年以上継続していた。・時間の経過とともに、急性期治療薬の過剰処方の割合が増加していた。・2年間で急性期治療薬が過剰処方を経験した患者は3万7,617例(9.2%)、2万9,313例(7.2%)において、予防治療薬の処方経験が認められた。 著者らは「実臨床データより、予防治療薬の処方が依然として不十分であることが示唆されており、頭痛に対する急性期治療薬および予防治療薬の処方の割合は、いずれも時間の経過とともに増加している」とまとめている。

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ブレクスピプラゾール切り替え後の治療継続率

 国立精神・神経医療研究センターの中込 和幸氏らは、統合失調症または統合失調感情障害患者において、これまで投与されていた抗精神病薬から、新規ドパミンD2受容体パーシャルアゴニストであるブレクスピプラゾールに切り替えた場合の治療継続率について、検討を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2024年1月22日号の報告。 多施設共同単一群非盲検の24週間介入研究として実施された。介入期間は、2つの連続する12週間の期間(切り替え期、継続期)で構成した。これまで投与されていた抗精神病薬には、オランザピン、リスペリドン、パリペリドンが含まれた。主要アウトカムは、最初の12週間における治療継続率とした。副次的アウトカムは、社会機能的転帰評価尺度(SLOF)、抗精神病薬治療下での主観的ウェルビーイング評価尺度短縮版(SWNS)、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)のベースラインからの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・ブレクスピプラゾールを投与した対象患者は79例。・12週間後の治療継続率は78.5%で、事前に定義した閾値である65%よりも有意に高かった。・これまで投与されていた抗精神病薬別での12週間後の治療継続率は、オランザピンで84.6%、リスペリドンまたはパリペリドンで72.5%であった。・SLOF、SWNS、PANSSスコアは、ベースラインからの有意な改善が認められた。・懸念される有害事象はみられなかった。 著者らは「ブレクスピプラゾールは、オランザピン、リスペリドン、パリペリドンからの切り替えを行ううえで、適正な抗精神病薬であると考えられる」としている。

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強迫症患者に多い/少ない死因は?/BMJ

 強迫症(OCD)患者はOCD非罹患者と比較して、さまざまな自然死因による死亡のリスクが上昇しており、その多くは非伝染性で予防可能なものである一方で、自殺や事故といった外因死の寄与が大きく、新生物による死亡リスクはむしろ低いことが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のLorena Fernandez de la Cruz氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年1月17日号で報告された。スウェーデンの2つのコホートで、罹患者と非罹患者を比較 研究グループは、スウェーデンのOCD患者における全死因死亡と原因別死亡のリスクの評価を目的に、2つのコホートでOCD罹患者と非罹患者の比較を行った(Swedish Research Council for Healthなどの助成を受けた)。 住民ベースのコホートには、1対10の割合で、性別、出生年、居住地でマッチさせたOCD患者6万1,378人と非罹患者61万3,780人を含めた。また、同胞コホートは、OCD患者3万4,085人とその非罹患同胞4万7,874人であった。これらのコホートを、1973年1月1日~2020年12月31日に、中央値8.1年間追跡した。全死因、自然死因、非自然死因による死亡ともに高リスク 住民ベースのコホートでは、研究期間中にOCD患者のうち4,787人(粗死亡率8.1人/1,000人年)と非罹患者のうち3万619人(粗死亡率5.1人/1,000人年)が死亡した。 出生年、性別、居住地、移住者か否か(スウェーデン生まれか外国生まれか)、社会人口統計学的変数(最新の学歴、婚姻状況、世帯収入)で補正した層別化Cox比例ハザードモデルによる解析では、非罹患者と比較してOCD患者は全死因死亡(ハザード比[HR]:1.82、95%信頼区間[CI]:1.76~1.89)、自然死因による死亡(1.31、1.27~1.37)、非自然死因による死亡(3.30、3.05~3.57)のリスクが高かった。同胞コホートでも同様の結果 自然死因のうち、内分泌・栄養・代謝疾患(HR:1.54、95%CI:1.28~1.86)、精神・行動障害(1.63、1.42~1.87)、神経系(1.20、1.01~1.43)、循環器系(1.36、1.28~1.43)、呼吸器系(1.69、1.51~1.90)、消化器系(1.20、1.01~1.43)、泌尿生殖器系(1.52、1.15~2.02)の疾患などによる死亡リスクが、OCD患者で高かった。 一方、新生物による死亡リスクは、非罹患者に比べOCD患者で低かった(HR:0.87、95%CI:0.80~0.94)。また、非自然死因死亡では、OCD患者は自殺(4.90、4.40~5.46)のリスクが最も高く、次いで事故(1.92、1.68~2.19)の順であった。これらの結果は、精神疾患の併存や家族関連の交絡因子で補正しても強固に維持されていた。 同胞コホートの解析では、全死因死亡(HR:1.85、95%CI:1.67~2.03)、自然死因死亡(1.51、1.35~1.68)、非自然死因死亡(3.10、2.52~3.80)のリスクは、いずれもOCD患者で高く、住民ベースコホートの結果と類似していた。 著者は、「OCD患者における致死的なアウトカムのリスクを低減するには、より優れたサーベイランスや予防策、早期介入戦略を実施する必要がある」としている。

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双極性障害に対するリチウムの国際的な使用傾向と臨床的相関

 双極性障害治療において、リチウムによる治療は依然として重要な治療選択肢の1つである。シンガポール・Nanyang Technological UniversityのYao Kang Shuy氏らは、国際的なリチウム使用の薬理学的疫学的パターンを経時的に特徴づけ、双極性障害に関連する臨床的相関を解明するため、スコーピングレビューを実施した。Brain Sciences誌2024年1月20日号の報告。 Arksey and O'Malley(2005)による方法論的枠組みを用いて、スコーピングレビューを実施した。2023年12月までに報告された双極性障害に対するリチウム使用と臨床的相関を調査した研究を、各種データベースより収集した。 主な結果は以下のとおり。・1967~2023年に報告された55件の研究をレビューに含めた(北米:24件[43.6%]、欧州:20件[36.4%]、アジア:11件[20.0%])。・全体でのリチウム使用率は、3.3~84%(中央値:33.4%[カットオフ前]、30.6%[カットオフ後])の範囲であった。・時間の経過とともに、北米、欧州のリチウム使用が減少、アジアでは緩やかな増加が認められた。【北米】2010年以前:27.7%→2010年以降:17.1%【欧州】2003年以前:36.7%→2003年以降:35.7%【アジア】2003年以前:25.0%→2003年以降:26.2%・リチウム使用は、特定の人口統計学的因子(たとえば、年齢、男性)や臨床的因子(たとえば、自殺リスクの低下)と関連が認められた。 著者らは「リチウム使用は、欧米で減少している傾向が確認された。特定の臨床的相関は、リチウム使用の継続に関する臨床上の意思決定をサポートするうえで有用であろう」とまとめている。

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メンタル不調者に対する、「復職面談」のコツ【実践!産業医のしごと】

産業医に求められる業務の1つに、メンタル不調者の復職面談があります。メンタル不調者への対応は、企業の求める必須のスキルであり、産業医として適切に復職面談ができるようになっておく必要があるでしょう。復職面談で確認したい点は、「復職しようとする従業員が働けるかどうか」です。少し解像度を上げると、「労働契約で定められた従前の業務を前提とし、以前と同程度に業務に従事したとしても症状が悪化せず安定している」ことが確認できればよいわけです。しかし、産業医が事前に得られる情報には限りがあり、また限られた面談時間内で判断しなければなりません。そのような状況において、復職面談はどのような点に留意して行うのがよいのでしょうか。復職面談で産業医が確認すべき項目を表にまとめました。各項目について解説していきましょう。復職面談で産業医が確認すべき項目画像を拡大する柊木野一紀編著. 佐々木規夫ほか共著. メンタルヘルス不調による休職・復職の実務と規程. 日本法令;2022.より一部改変1)生活習慣は、復職の際に最も基本となる項目です。規則正しく起床し、規則正しく食事や睡眠が取れているか、また基礎的な体力や意欲が回復して日中活動できているかなど、回復の程度を確認します。とくに睡眠の問題が残っていると復職後の再休職のリスクを有意に高めるとされており、安定した睡眠が取れていることはとても重要な要素です。できることなら、生活記録表を記載してもらい、その内容とも照らし合わせながら評価するとよいでしょう。2)体調管理は、精神症状や身体症状の回復の程度を確認します。すでに主治医からの復職可能の診断書の提出があることから、心身の症状が一定程度に回復していると考えられます。しかし、時には焦って復職を急いでいる場合や、復職を前にして症状が再燃している場合など、疾病の回復が不十分と判断せざるを得ないこともあります。勤務ができる状態ではないと疑うときは、再度主治医に病状の確認を取ります。3)業務遂行能力とは、業務に必要な判断力や集中力、合理的思考などが該当します。これらが病前に近い程度まで回復していることが、職場復帰を成功させる大きな要素となります。リワークや試し勤務の制度などがあれば、積極的に活用するのも1つの手でしょう。業務に関連したPC作業、または業務に関連する本や新聞の記事を読むなど、集中力や判断力を必要とする行動が一定時間続けられることは、復職後の業務遂行能力を評価するうえでの重要な情報となります。しかし、そのような復職準備性を評価することが制度上は困難な場合は、これらの回復の程度を産業医面談だけで正確に評価するのはきわめて困難です。4)コミュニケーションの点についてです。程度の差はあれ、業務を円滑に遂行するうえで他者とのコミュニケーションは必要不可欠です。産業医は、本人のみならず管理監督者からも従前の状況や業務遂行上必要とされる程度を確認できる立場にあります。精神症状が回復していても、コミュニケーション上で同僚や顧客との良好な関係が構築できなければ、職務への影響が発生し、ひいては病状の再発リスクが高まります。職場での受け入れや支援の程度によっては、異動等を含めた環境調整を必要とすることもあります。5)健康管理では、本人が通院や服薬などの治療継続の重要性を十分に理解できているか、薬の副作用を理解しているか、主治医と復帰後の治療計画がきちんと話し合われているかどうかなどを確認します。心身の症状が残存する場合はその対処方法を確認し、症状を自分なりに取り扱うことができていることも重要です。一方、治療や通院の継続には職場の協力も不可欠であり、復職後に通院等を継続できるよう職場にも調整を依頼します。6)再発防止は、職場復帰後に安定して就労継続するために重要となる項目です。再発予防のためには本人が病気について理解し、不調になる初期サインに気付き、その際の対処法を整理できることが重要です。また、体調不良の引き金となった状況を振り返り、再度同じようなことが起きた際には、どのように対処するのか、自らの中で整理できていることが望ましいでしょう。本人が十分に整理できていない場合は、産業保健スタッフが関与し、一緒に整理する時間を取るのがよいでしょう。以上、メンタル不調者の復職面談で確認すべき点についてまとめました。復職面談を実施し、産業医として「復職可能」と意見しても、未来を予測することは困難であり、時に再休職となるケースもあります。しかし、失敗はあっても状況をできるだけ正確に把握し、復職判断の精度を上げるように努めることが、産業医として求められる姿勢です。また、復職面談では、産業医が適切な面談を実施することに加えて、職場関係者(産業医、人事労務担当者、管理監督者など)の合議によって復帰可否を判断する場を用意することも重要です。関係者が連携して、状況を適切に情報共有し、就業に関する判断や復職後の受け入れ態勢を調整する。私は、こうした丁寧なプロセスが復職を成功させるのだと考えています。参考文献・参考サイト柊木野一紀編著. 佐々木規夫ほか共著. メンタルヘルス不調による休職・復職の実務と規程. 日本法令;2022. p.102-106.

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統合失調症入院患者に対する長時間作用型注射剤や新規抗精神病薬治療が臨床アウトカムに及ぼす影響

 統合失調症治療に従事している医療関係者にとって、抗精神病薬のアドヒアランスや治療の中断は、依然として大きな課題となっている。米国・Johnson & Johnson Innovative MedicineのCharmi Patel氏らは、長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬治療を開始、または入院後に新規経口抗精神病薬に切り替えた統合失調症患者を対象に、臨床的質の尺度を用いて評価を行った。Drugs - Real World Outcomes誌オンライン版2023年12月21日号の報告。 本研究は、PINC AITM Healthcare Databaseを用いたレトロスペクティブコホート研究であり、統合失調症患者を対象とした2つのコホートから、入院後の臨床的質と治療継続のエンドポイントの評価を行った。対象患者は、all-payer databaseを用いて、米国の病院を拠点とするリアルワールドデータベースより抽出した。2017年4月~2020年4月、初回入院時にLAI抗精神病薬を開始した統合失調症患者7,292例または新規経口抗精神病薬に切り替えた統合失調症患者3万1,956例を分析対象に含めた。傾向スコアの重みづけは、2つのコホート間の患者、病院、臨床的特性の違いにより対応した。 主な結果は以下のとおり。・LAI抗精神病薬による治療は、新規経口抗精神病薬への切り替えと比較し、以下の点で有意な差が認められた(いずれも、p<0.001)。 ●30日間の抗精神病薬治療継続期間の延長 ●30日間の外来フォローアップ治療率の増加 ●治療中止までの平均期間の延長 ●治療中止リスクの低下・30日間の抗精神病薬治療継続率は、患者、臨床、病院の特徴で調整した後でも、LAI抗精神病薬治療患者において、新規経口抗精神病薬治療患者よりも、有意に高かった(調整オッズ比:1.2、95%信頼区間:1.1~1.3、p<0.001)。 著者らは「入院中にLAI抗精神病薬による治療を開始した統合失調症患者は、新規経口抗精神病薬に切り替えた患者よりも、より良い臨床的質と治療継続が得られる可能性がある。本知見は、統合失調症患者の退院後の薬物治療マネジメントの質の向上を目指すうえで、解決策の特定に役立つであろう」とまとめている。

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アルツハイマー病治療薬aducanumabの開発・販売を終了/バイオジェン

 米国・バイオジェンは2024年1月31日付のプレスリリースにて、同社とエーザイが共同開発したアルツハイマー型認知症治療薬aducanumabの開発および販売を終了することを発表した。本剤は、米国食品医薬品局(FDA)から2021年6月8日に迅速承認を受けていた。迅速承認の条件として第IV相市販後検証試験であるENVISION試験を実施していたが、本試験を終了する。本剤は、日本では2020年12月に承認申請されていたが、翌21年12月の審議で明確な有効性を示すデータが不十分と判断され、承認が見送られ継続審議となっていた。 バイオジェンは今後のアルツハイマー病領域について、米国でフル承認を取得したレカネマブや、新規作用機序を有する治療薬候補でASOタウを標的とした「BIIB080」、経口のタウ凝集を阻害する低分子薬「BIIB113」の開発に優先的にリソースを配分する方針を示した。 また、同社はaducanumabの終了に伴う費用として、2023年第4四半期に約6,000万ドルの特別損失を計上し、Neurimmune社(スイス)から受けていたaducanumabのライセンス契約を終了したことも明らかにした。

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強迫症と双極性障害を合併した患者の臨床的特徴~レビューとメタ解析

 強迫症は、さまざまな精神疾患を併発することが多く、双極性障害と診断された患者の約20%に影響を及ぼす可能性がある。強迫症と双極性障害の合併に関するエビデンスは増加しているが、併発を定義する強迫症状の明確な特徴に関する包括的なデータは、著しく不足している。このようなギャップを埋めるため、スペイン・バルセロナ大学のMichele De Prisco氏らは、強迫症と双極性障害の合併に関するシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。European Neuropsychopharmacology誌2024年3月号の報告。 2023年8月7日までに公表された文献をPubMed、MEDLINE、Scopus、EMBASE、PsycINFOよりシステマティックに検索した。強迫症の症状、強迫観念、特定のカテゴリの観点から、強迫症と双極性障害を合併した患者と強迫症患者を比較するため、ランダム効果メタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・最初にスクリーニングされた1万393件の研究のうち、定性評価に組み込まれた研究は17件、定量調査に組み込まれた研究は15件であった。・強迫症と双極性障害を合併した患者は、双極性障害を合併していない強迫症患者と比較し、生涯にわたる汚染への強迫観念が少なく(オッズ比[OR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.53~0.95、p=0.021)、性的強迫観念の増加が認められた(OR:1.77、95%CI:1.03~3.04、p=0.04)。・メタ回帰分析では、双極性障害のタイプが影響を及ぼしている可能性があるものの、他の強迫観念や強迫行為、強迫症症状の重症度については、有意な差が認められなかった。 著者らは「双極性障害患者の強迫症の合併を評価する際、詳細な問診による性的または汚染に対する強迫観念の評価が臨床上の焦点となりうる可能性がある」とし「適切な治療アプローチを選択する際、併存する精神疾患の複雑な臨床症状を解析することは、より多くの情報に基づいた意思決定を行ううえで役立つであろう」とまとめている。

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脳卒中による認知症を防ぐために!治療可能なリスク因子は

 脳卒中後の認知機能障害および認知症の確立したリスク因子として、高齢や重度の脳卒中が報告されているほか、心房細動や糖尿病の既往歴なども示唆されている。今回、治療可能なリスク因子に焦点を当て、それらの関連の強さを、ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのJule Filler氏らがシステマティックレビューおよびメタ解析で明らかにした。Lancet Healthy Longevity誌2024年1月号掲載の報告。 脳卒中後の認知機能障害は脳卒中後4年の時点で最大80%1)に、脳卒中後の認知症は脳卒中後1年の時点で最大40%2)に認められ、患者・介護者・医療制度に大きな負担をもたらしている。研究グループは、システマティックレビューおよびメタ解析を行い、年齢や脳卒中の重症度以外のリスク因子、とくに治療可能なリスク因子に焦点を当てて評価を行った。 研究グループは、MEDLINEとCochraneをデータベースの開設から2023年9月15日まで検索した。急性期脳卒中(虚血性/出血性脳卒中、一過性脳虚血発作)患者を対象とした前向きおよび後向きコホート研究、無作為化対照試験の事後解析、ネステッドケースコントロール研究を解析し、ベースライン時のリスク因子と少なくとも3ヵ月の追跡期間における脳卒中後の認知機能障害および認知症との関連を検討した。ランダム効果メタ解析を用いてプールされた相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・システマティックレビューの対象となった論文は162報で、このうち113報(89研究、16万783例)がメタ解析の対象となった。・ベースライン時の認知機能障害は、脳卒中後の認知機能障害(RR:2.00、95%CI:1.66~2.40)および脳卒中後の認知症(3.10、2.77~3.47)の最も強いリスク因子であった。・脳卒中後の認知機能障害の治療可能なリスク因子として、糖尿病(RR:1.29、95%CI:1.14~1.45)、心房細動の合併/既往(1.29、1.04~1.60)、中等度または重度の大脳白質病変(1.51、1.20~1.91)、大脳白質病変の重症度(1.30、1.10~1.55[1SD増加当たり])を年齢や脳卒中の重症度とは別に同定した。・脳卒中後の認知症の治療可能なリスク因子は、糖尿病(RR:1.38、95%CI:1.10~1.72)、中等度または重度の大脳白質病変(1.55、1.01~2.38)、大脳白質病変の重症度(1.61、1.20~2.14[1SD増加当たり])であった。・そのほかのリスク因子として、低学歴、脳卒中の既往、左半球の脳卒中、3つ以上の閉塞、脳萎縮、ベースライン時の認知機能の低さなどがあった。・リスク因子と脳卒中後の認知症との関連は、近年に実施・発表された研究では弱かった。 これらの結果より、研究グループは「今後の臨床試験では、脳卒中後の認知機能障害および認知症の予防のための潜在的標的として、これらのリスク因子を検討すべきである」とまとめた。

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せん妄マネジメントに対する抗精神病薬のQT延長リスク

 集中治療室でせん妄に関連した重度の興奮や知覚障害を認める患者では、抗精神病薬による短期治療が有用である可能性がある。しかし、一部の抗精神病薬は、QTc間隔を延長する可能性があり、致死的な心室性不整脈のリスク増加が懸念される。米国・マサチューセッツ総合病院のMonika Sadlonova氏らは、抗精神病薬とQTc延長に関するエビデンスをレビューし、QTc間隔のモニタリングにより不整脈リスクを軽減するための実践的な方法について検討を行った。Journal of Intensive Care Medicine誌オンライン版2023年12月21日号の報告。 2023年2月までに公表された抗精神病薬とQTc延長、または不整脈との関連を調査した研究をPubMed、Cochrane Libraryより検索した。 主な結果は以下のとおり。・せん妄のマネジメントに一般的に用いられるほとんどの抗精神病薬(ハロペリドール静脈内投与、オランザピン、クエチアピンなど)は、中程度のQTc延長を引き起こす可能性が示唆された。・他の抗精神病薬のうち、QTc延長リスクの最も高い薬剤はiloperidone、ziprasidoneであり、リスクが最も低い薬剤はアリピプラゾール、ルラシドンであると考えられる。・遺伝的脆弱性、女性、高齢、心血管疾患の既往、電解質異常、非精神科薬は、QTc延長リスクを高める可能性がある。・QTc延長リスクのある患者では、QTc間隔を正確かつ継続して測定し、必要に応じて薬物療法の調整を検討する必要がある。・抗精神病薬は、QTc延長に対する多くのリスク因子の1つである。・せん妄に関連する興奮をマネジメントする際、個々の患者のQTc延長リスクを評価し、リスクを鑑みた投薬およびモニタリング戦略を選択する必要がある。・集中治療の環境下では、線形回帰式を用いて心拍数を補正する定期的なECGモニタリングが推奨される。・重大なQTc延長(QTc 500msec超)が認められる場合には、薬理学的治療の変更も考慮すべきであると考えられるが、治療中止リスク(極度の興奮、侵襲的なモニタリング機器の取り外し)が不整脈リスクを上回る場合には、特定の薬剤の使用を検討することも重要である。

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早期アルツハイマー病患者の記憶定着と睡眠依存性

 空間ナビゲーションは、アルツハイマー病において早期に影響を受ける海馬-嗅内皮質回路機能の重要な基盤となっている。アルツハイマー病の病態生理は、睡眠/覚醒サイクルと動的に相互作用し海馬の記憶を損なうというエビデンスの報告が増えている。ドイツ・University Hospital of Schleswig HolsteinのAnnika Hanert氏らは、早期アルツハイマー病患者の記憶定着と睡眠依存性との関連を評価した。Neurobiology of Disease誌2024年1月号の報告。 症候性アルツハイマー病コホート(12例、平均年齢:71.25±2.16歳)における睡眠依存性の影響を解明するため、夜間睡眠の前後における、仮想現実タスクによる海馬の場所記憶および単語ペア連想タスクによる言語記憶を評価した。 主な結果は以下のとおり。・アルツハイマー病患者では健康な対照群と比較し、言語タスクにおいて夜間の記憶保持が損なわれているとともに、睡眠紡錘波の活動の減少(速い睡眠紡錘波の振幅低下、p=0.016)および遅い振幅(slow oscillation)の持続時間増加(p=0.019)との有意な関連が認められた。・紡錘波の密度の高さ、遅い振幅の下方から上方への移行速度の速さ、遅い振幅とネストされた紡錘波の間の時間遅延は、対照群では記憶機能の向上を予測したが、アルツハイマー病患者では予測しなかった。 著者らは、「アルツハイマー病における記憶処理および記憶定着は、ノンレム睡眠中の振幅ダイナミクスの機能不全および紡錘波の遅い振幅との結合を反映して、わずかに損なわれていることが示唆された」としている。

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疲労と日中の過度な眠気、どちらがよりうつ病と関連しているか

 一般集団における疲労と日中の過度な眠気のどちらが、うつ病とより密接に関連しているかを明らかにするため、韓国・蔚山大学校のSoo Hwan Yim氏らは、調査を行った。Sleep & Breathing誌オンライン版2023年12月14日号の報告。 韓国の15の地区で本調査を実施した。日中の過度な眠気、疲労、うつ病の評価には、それぞれエプワース眠気尺度(ESS)、疲労症状の評価尺度(FSS)、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いた。うつ病はPHQ-9スコア10以上と定義し、疲労ありはFSSスコア36以上、日中の過度な眠気ありはESSスコア11以上とした。日中の過度な眠気と疲労との組み合わせにより、4群に分類した。 主な結果は以下のとおり。・調査参加者は2,493人(女性の人数:1,257人)、平均年齢は47.9±0.3歳であった。・うつ病、疲労、日中の過度な眠気の割合は、それぞれ8.4%(210人)、30.8%(767人)、15.3%(382人)であった。・各群におけるうつ病の有病率は、対照群と比較し、以下のとおりであった。【疲労あり、日中の過度な眠気あり】67人、31.9% vs. 7.3%(p<0.001)【疲労あり、日中の過度な眠気なし】71人、33.8% vs. 20.3%(p<0.001)【疲労なし、日中の過度な眠気あり】16人、7.6% vs. 5.8%(p=0.294)【疲労なし、日中の過度な眠気なし】56人、26.7% vs. 66.6%(p<0.001)・共変量で調整した後、疲労なし、日中の過度な眠気なし群を参照としたうつ病のオッズ比は、それぞれ以下のとおりであった。【疲労あり、日中の過度な眠気あり】8.804(95%信頼区間[CI]:5.818~13.132)【疲労あり、日中の過度な眠気なし】3.942(95%CI:2.704~5.747)【疲労なし、日中の過度な眠気あり】2.812(95%CI:1.542~5.131)・2群におけるロジスティック回帰分析では、疲労なし、日中の過度な眠気あり群(参照)と疲労あり、日中の過度な眠気なし群との間におけるうつ病との関連に有意な差は認められなかった(OR:1.399、95%CI:0.760~2.575)。 著者らは「疲労と日中の過度な眠気は、どちらがよりうつ病と密接に関連しているかは不明であったものの、それぞれが独立してうつ病と関連していることが示唆された」としている。

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進行慢性疾患の高齢入院患者、緩和ケア相談は有益か?/JAMA

 進行した慢性疾患を有する高齢患者の入院時に、緩和ケア相談がデフォルトでオーダーされていても在院日数を短縮しなかったが、緩和ケア提供の増加や迅速化ならびに終末期ケアの一部のプロセスは改善した。米国・ペンシルベニア大学のKatherine R. Courtright氏らによる、プラグマティックなステップウェッジクラスター無作為化試験の結果が報告された。入院患者への緩和ケア提供の増加が優先課題となっているが、その有効性に関する大規模で実験的なエビデンスは不足していた。JAMA誌2024年1月16日号掲載の報告。入院当日(デフォルト設定)vs.医師選択実施で在院日数を評価 研究グループは、2016年3月21日~2018年11月14日に、米国の非営利医療システム「アセンション(Ascension)」の地域病院で緩和ケアプログラムが確立されている11施設において、65歳以上の進行した慢性閉塞性肺疾患患者(過去1年以内に2回以上の入院歴または長期酸素療法患者)、腎不全患者(長期透析患者)または認知症患者(胃瘻・空腸瘻栄養、または過去1年以内に2回以上の入院歴)を入院時に登録し、無作為に決定された順で介入または通常ケアを行った。 介入群では最初の入院日(full hospital day)の午後3時に緩和ケア相談がデフォルトでオーダーされ(医師がキャンセルすることは可能)、通常ケア群では医師がいつでも緩和ケア相談をオーダーすることができた。 主要アウトカムは在院日数、副次アウトカムは緩和ケア相談受診率、蘇生処置拒否指示、ホスピスへの退院、院内死亡率等とした。アウトカムデータの収集終了は2019年1月31日。在院日数に差はないが、緩和ケア相談受診率は44% vs.17% 合計3万4,239例が登録され、このうち入院期間が72時間以上であった2万4,065例(女性1万3,338例[55.4%]、平均年齢77.9歳)を主要解析対象集団とした(介入群1万313例vs.通常ケア群1万3,752例)。 介入群では通常ケア群と比較して、緩和ケア相談を受けた患者の割合が高く(43.9% vs.16.6%、補正後オッズ比[aOR]:5.17、95%信頼区間[CI]:4.59~5.81)、緩和ケア相談までの時間が26.7%短かったが(入院後の平均[±SD]日数:3.4±2.6日vs.4.6±4.8日、p<0.001)、在院日数は両群で差がなかった(4.9日vs.5.0日、在院日数中央値の変化量[%]の差:-0.53%[95%CI:-3.51~2.53])。 また、介入群は通常ケア群と比較して、退院時の蘇生処置拒否指示(aOR:1.40[95%CI:1.21~1.63])およびホスピスへの退院(1.30、1.07~1.57)の割合が高かったが、院内死亡率は同程度であった(4.7% vs.4.2%、aOR:0.86[95%CI:0.68~1.08])。

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統合失調症の遺伝的リスクが摂食障害の臨床症状に及ぼす影響

 統合失調症と摂食障害との関連についての報告は増加しており、統合失調症の家族歴が神経性やせ症患者の臨床アウトカムに及ぼす影響が示唆されている。摂食障害患者における統合失調症の遺伝的要因の影響を調査するため、スウェーデン・カロリンスカ研究所のRuyue Zhang氏らは、統合失調症の多遺伝子リスクスコア(PRS)と摂食障害患者の臨床症状(全体的な健康状態および摂食障害関連症状を含む)との関連を評価した。Translational Psychiatry誌2023年11月29日号の報告。 研究には、スウェーデン国立患者レジストリに登録されている1973年以降に生まれた神経性やせ症(Anorexia Nervosa Genetics Initiative[ANGI])患者3,573例、および過食症(Binge Eating Genetics Initiative[BEGIN])患者696例を含む摂食障害の遺伝子関連研究2件のデータを用いた。統合失調症のPRSと摂食障害の臨床的特徴、精神医学的併存疾患、身体的および精神的健康への影響を検討した。 主な結果は以下のとおり。・ANGI患者では、複数の検査値で補正した後、統合失調症のPRSの高さとうつ病リスク(ハザード比[HR]:1.07、95%信頼区間[CI]:1.02~1.13)および物質使用障害リスク(HR:1.14、95%CI:1.03~1.25)の高さとの間に、統計学的に有意な関連が認められた。・また、統合失調症のPRSの高さは、臨床障害評価スコアの低下と関連が認められた(-0.56、95%CI:-1.04~-0.08、p<0.05)。・BEGIN患者では、統合失調症のPRSの高さは、初回摂食障害症状の発現年齢の低さ(-0.35歳、95%CI:-0.64~-0.06)、摂食障害症状スコアの高さ(0.16、95%CI:0.04~0.29)、うつ病リスクの高さ(HR:1.18、95%CI:1.04~1.34)、物質使用障害リスクの高さ(HR:1.36、95%CI:1.07~1.73)と有意な関連が認められた。・神経性やせ症のみおよび摂食障害患者のサブグループにおいて、弱い同様のパターンが認められた。 著者らは「本結果は、精神医学的併存疾患の観点から、神経性やせ症および摂食障害患者における統合失調症のPRSの影響は類似しており、摂食障害関連の臨床的特徴の観点では、異なることを示唆している」とし「統合失調症のPRSが神経性やせ症や摂食障害に及ぼす影響の違いについては、さらなる研究が必要である」とまとめている。

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小児双極性障害患者の診断ミスに関するシステマティックレビュー

 双極性障害は、複雑な症状を呈する精神疾患の1つである。カナダ・Brock UniversityのTabeer Afzal氏らは、DSM-IVおよびDSM-V基準を用いた小児双極性障害の診断ミスに関するエビデンスを要約し、未治療の双極性障害患者の生命アウトカムに及ぼす影響を検討した。さらに、小児双極性障害の診断精度向上につながる可能性のある推奨事項の概要および要約も試みた。Research on Child and Adolescent Psychopathology誌オンライン版2023年12月18日号の報告。 2023年3月21日までに公表された文献を、Scholars Portal Journal、PsychINFO、MEDLINEデータベースより検索した。レビュー対象基準に従い、18歳未満の小児サンプルを用い、1995~2022年に出版された文献に限定した。除外基準は、自己申告による診断を伴うサンプルを含む文献とした。 主な結果は以下のとおり。・本レビューには、15件の文献を含めた。・研究結果は、ナラティブサマリーを用いて合成した。・小児双極性障害は、注意欠如多動症(ADHD)、統合失調症、うつ病と診断されることが最も多かった。・診断ミスは、不適切な治療計画や適切な治療の遅れにつながる可能性があり、社会的、職業的、経済的な課題により、小児双極性障害患者のQOLに悪影響を及ぼす可能性が示唆された。

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止まらない咳、でもどの検査にも異常がない!?【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】第16回

止まらない咳、でもどの検査にも異常がない!?講師獨協医科大学医学部 小児科学 助教 高柳 文貴 氏獨協医科大学医学部 小児科学 教授 吉原 重美 氏【今回の症例】14歳女子。長引く咳嗽を主訴に受診した。咳嗽は昼間に多く、夜間の睡眠中は咳嗽を認めない。胸部、副鼻腔レントゲン検査は異常なし。血液検査ではWBC、CRP、IgEの上昇は認めない。FeNO測定は10ppb。スパイログラム(呼吸機能検査)で肺活量、一秒率の低下は認めなかった。今までに、吸入ステロイド薬(ICS)の定期吸入、ロイコトリエン受容体拮抗薬、抗ヒスタミン薬の定期内服などを行ったが効果はなし。同居の祖母との折り合いが悪いとの訴えあり。

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うつ病や不安症などの診療におけるライブ双方向ビデオ治療~24週間のランダム化対照試験

 スマートフォンやその他のデバイスを用いて自宅から簡単にアクセス可能な双方向ライブビデオは、精神科治療における新たな医療アクセスになりつつある。しかし、実臨床現場では、その有効性を示すエビデンスが限られており、一部の国において保険診療による承認の妨げとなっている。慶應義塾大学の岸本 泰士郎氏らは、現在の主な通信手段となっているスマートフォンおよびその他のデバイスを用いた双方向ビデオのさまざまな精神疾患に対する長期治療の有効性を評価するため、実用的な大規模ランダム化比較試験を初めて実施した。その結果から、スマートフォンやその他のデバイスを用いた双方向ビデオによる治療は、実臨床における対面治療と比較し、劣っていないことが明らかとなった。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2023年12月15日号の報告。 亜急性期およびまたは維持期のうつ病、不安症、強迫症患者を対象に、双方向ビデを用いた治療と対面治療の有効性を比較するために24週間のランダム化対照試験を実施した。対象患者は、双方向ビデオ群(50%以上のビデオセッション)または対面群(100%対面セッション)にランダムに割り付けられ、公的医療保険が適用となる標準治療を実施した。主要アウトカムは、健康関連QOL尺度36-Item Short-Form Health Survey Mental Component Summa(SF-36 MCS)スコアとした。副次的アウトカムは、すべての原因による中止、作業同盟、有害事象、各疾患の重症度評価スケールを含めた。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は199例。・双方向ビデオ群105例(うつ病:53例、不安症:34例、強迫症:18例)、対面群94例(うつ病:45例、不安症:32例、強迫症:17例)にランダムに割り付けられた。・24週間の治療後、双方向ビデオ群のSF-36 MCSスコアは、対面群と比較し、劣っていなかった(48.50 vs. 46.68、p<0.001)。・すべての原因による中止、治療効果、満足度など、ほとんどの副次的アウトカムにおいて、両群間に有意な差は認められなかった。 結果を踏まえ、著者らは「自宅から簡単にアクセス可能な最新の遠隔医療は、ヘルスケア診療の1つの手段として利用可能であろう」としている。

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早期アルツハイマー病における多剤併用と身体能力との関係

 トルコ・University of Health SciencesのAysegul Akkan Suzan氏らは、早期アルツハイマー病患者の歩行を評価するために用いられる特定の身体能力測定と、多剤併用との関連を評価する目的で本研究を実施した。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2023年12月11日号の報告。 3次医療センターの認知症外来クリニックで横断的研究を実施した。1日当たり5剤以上の薬物治療を多剤併用の定義とし、対象患者から中等度~重度の認知症患者は除外した。身体的パフォーマンスステータスの評価には、通常歩行速度(UGS)、Timed Up & Go(TUG)テスト、椅子立ち上がりテスト(CSST)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象患者134例(女性の割合:67.9%、平均年齢:80.2±7.9歳)のうち、75例(56%)が多剤併用患者であった。・多剤併用患者はそうでない患者と比較し、身体的パフォーマンスが不良であった(UGS:p=0.005、TUG:p<0.001、CSST:p<0.001)。・多剤併用患者では、次のパラメーターが有意に高かった。 BMI(p=0.026) 高血圧(p=0.013) 糖尿病(p=0.018) 虚血性心疾患(p<0.001) 心房細動(p=0.030) うつ病(p=0.012) 甲状腺機能低下症(p=0.007)・多変量解析では、多剤併用と独立して関連していた因子は次のとおりであった。 UGSの遅さ(オッズ比[OR]:1.248、95%信頼区間[CI]:1.145~1.523、p=0.007) TUGの長さ(OR:1.410、95%CI:1.146~1.736、p=0.001) CSSTの長さ(OR:1.892、95%CI:1.389~2.578、p<0.001) 著者らは、「早期アルツハイマー病患者において、多剤併用と身体的パフォーマンス低下との関連が示唆された。高齢のアルツハイマー病患者における多剤併用および薬剤サブグループと身体的パフォーマンスとの関係を調査する、長期プロスペクティブ研究の実施が望まれる」としている。

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