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歯の数は日本人の平均余命にどの程度影響するか?

 これまでの研究において、歯の喪失が認知症リスクの増加と関連していることが報告されている。しかし、歯の数と認知症のない平均余命や認知症の有無によらない平均余命との関連を調査した研究は、これまでほとんどなかった。東北大学の木内 桜氏らは、日本人高齢者の歯の数と認知症のない平均余命や認知症の有無によらない平均余命との関連を調査するため、プロスペクティブコホート研究を実施した。Journal of the American Medical Directors Association誌2024年11月号の報告。 2010〜20年の10年間フォローアップ調査を行った。対象は、日本の9つの自治体に在住する、機能的に自立した65歳以上の高齢者。歯の数は、20本以上、10〜19本、1〜9本、0本に分類した。アウトカムとして、10年間のフォローアップ期間中における認知症の発症および死亡率を収集した。歯の数に応じ、認知症のない平均余命や認知症の有無によらない平均余命を推定するため、multistate modelingを用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象は、4万4,083人(男性の割合:46.8%)。・平均年齢は73.7±6.0歳。・フォローアップ期間中に、認知症を発症した割合は17.3%、死亡率は21.4%であった。・歯の数が少ないことは、20本以上の歯を持つ場合と比較し、認知症リスク増加と関連していた。【10〜19本】ハザード比(HR):1.14、95%信頼区間(CI):1.07〜1.22【1〜9本】HR:1.15、95%CI:1.08〜1.22【0本】HR:1.13、95%CI:1.05〜1.21・歯の数が少ないことは、20本以上の歯を持つ場合と比較し、死亡率増加とも関連が認められた。【10〜19本】HR:1.13、95%CI:1.05〜1.22【1〜9本】HR:1.27、95%CI:1.19〜1.37【0本】HR:1.47、95%CI:1.36〜1.59・65歳時点での認知症のない平均余命は、歯が20本以上の人のほうが、0本の人と比較し、長かった。【男性】20本以上:16.43年、0本:14.40年【女性】20本以上:18.88年、0本:17.12年・65歳時点での認知症の有無に関わらない平均余命においても、同様であった。【男性】20本以上:17.84年、0本:15.42年【女性】20本以上:22.03年、0本:19.79年 著者らは「歯の数が多いと、認知症のない平均余命および認知症の有無に関わらない平均余命が長くなることが示唆された」と結論付けている。

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セラピー犬は医療従事者の気分を改善する

 セラピー犬は、病院の患者の気分を明るくするのと同じように、医療従事者の気分を高めるのにも役立つことが、新たな研究で明らかになった。この研究では、セラピー犬セッションにより、米国中西部の外科病棟と集中治療室で働く少数の医療従事者の気分の改善したことが確認されたという。詳細は、「International Journal of Complementary & Alternative Medicine」に7月26日掲載された。 論文の筆頭著者である、米オハイオ州立大学統合健康センターのBeth Steinberg氏は、「病院のスタッフが、われわれが連れて行った犬と一緒に座り、その日の出来事を話しながら涙を流すのを何度も目撃した」と振り返る。同氏はさらに、「たいていの人は、傍に座ってじっと話を聞いてくれる、偏見のない、毛むくじゃらのやさしい動物に親しみを感じるものだ。犬は、あなたの容貌やその日の気分など気にしない。ただ、あなたが自分を必要としていることを感じ取り、寄り添ってくれるのだ」と述べている。 Steinberg氏は、オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターのスタッフの精神的・情緒的健康の改善を目的に考案されたセラピー犬プログラム「Buckeye Paws」の共同創設者だ。Buckeye Pawsは、パンデミックが過重労働の医療従事者に打撃を与え始める直前の2020年3月に設立された。 このプログラムが実際に効果を上げているのかどうかを調べるため、研究グループは64人の医療従事者を対象にセラピー犬セッションを実施した。参加者には、医師、看護師、ナースプラクティショナー、呼吸療法士、リハビリテーション療法士、患者ケア担当者、病棟事務員が含まれていた。 Steinberg氏は、「この研究への参加者は信じられないほど簡単に集まった。『セラピー犬との交流の効果を調べる研究を実施する』と言うと、すぐに多くの人が『参加します』と答えたからだ」と振り返る。同氏は、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が病院に大きな打撃を与える以前でさえ、スタッフはすでにストレスやバーンアウト(燃え尽き症候群)、仕事への意欲の欠如に悩まされていた」と話す。 ほとんどが病院のスタッフのボランティアで構成されたBuckeye Pawsのハンドラーは、2021年10月から2022年3月までの間に、8週間にわたり週3回、認定セラピー犬7頭を連れてきて、試験参加者と交流させた。参加者は、犬と好きなだけ交流できたが、犬との交流の前後に、ストレス、バーンアウト、ワークエンゲージメントを測定する評価尺度に回答するとともに、気分について自己申告することが求められた。介入の効果はセッション待機者を対照群として検討された。 医療従事者とセラピー犬とのやり取りのほとんどは、臨床ワークステーションやチームルーム、休憩室でのほんの数分間程度のものだったが、結果として、短時間のセッションでも医療従事者に大きな影響を与えることが示された。ストレス、バーンアウト、ワークエンゲージメントについては介入による有意な改善は認められなかったものの、セラピー犬とのセッションを受けた人では、対照群と比べて自己報告による気分が有意に向上していた。 研究グループは、「われわれの研究結果は、入院患者の治療を行う慌ただしい臨床の現場で、動物を用いた介入が医療従事者の気分の改善を通じて即時のベネフィットをもたらす可能性があることを示唆している」と述べている。 Buckeye Pawsは2022年3月に拡大し、現在はオハイオ州立大学の学生と教職員に、セラピー犬による支援を提供している。研究グループによると、現在、このプログラムには29チームの犬ハンドラーチームが参加しており、さらに11チームがトレーニング中、8チームがそのプロセスを開始しているという。

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日本におけるうつ病に対するベンゾジアゼピン長期使用の分析

 うつ病および不眠症を合併している患者では、持続的な不眠症のマネジメントのために抗うつ薬と併用してベンゾジアゼピン薬(BZD)やZ薬などの睡眠薬がよく使用される。しかし、うつ病患者に対する睡眠薬の長期使用に関連する要因は、あまりよくわかっていない。久留米大学の土生川 光成氏らは、不眠症を合併したうつ病患者に対する睡眠薬併用の長期的な状況を分析した。Journal of Psychiatric Research誌2024年10月号の報告。 抗うつ薬と睡眠薬(BZD /Z薬)を開始したうつ病患者351例のデータをレトロスペクティブに分析し、12ヵ月時点での睡眠薬の長期使用率と関連する要因を調査した。長期使用についてロジスティック回帰分析を用いて、不眠症重症度を縦断的に評価した32例の患者において、睡眠薬継続群と中止群の間で不眠症重症度を比較した。 主な結果は以下のとおり。・12ヵ月間睡眠薬を使用した患者の割合は、66.1%であった。・多重ロジスティック回帰分析では、睡眠薬の長期使用と関連していた因子は、併用治療開始時の睡眠薬のジアゼパム換算量5mg超、うつ病診断前の慢性不眠症、入院であった(各々、p<0.01)。・不眠症重症度の不十分な改善と睡眠薬長期使用との関連も示唆された。・これらの結果の信頼性は、睡眠薬への依存、睡眠薬使用に対する患者の態度、鎮静性抗うつ薬や抗精神病薬など他剤で治療されている患者の除外など、さまざまな因子により弱められた。 著者らは「本結果は、不眠症を合併したうつ病患者の治療戦略に役立つ可能性がある。睡眠薬の長期使用を避けるには、併用治療開始時の投与量(5mg以下)を適切に維持する必要があり、難治性不眠症にはBZD/Z薬の代替治療を行う必要がある」と結論付けている。

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金融詐欺に遭うのはアルツハイマー病の初期兆候?

 金融詐欺に引っかかりやすくなっている高齢者では、アルツハイマー病発症の高リスクと関連付けられている脳領域に変化が生じている可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。論文の上席著者である、米南カリフォルニア大学心理学および家庭医学教授のDuke Han氏は、「高齢者の金銭的搾取に対する脆弱性を評価することは、軽度認知障害やアルツハイマー病などの認知症の初期段階にある人の特定に役立つ可能性がある」と述べている。この研究の詳細は、「Cerebral Cortex」9月号に掲載された。 米国のアルツハイマー病の患者数は700万人近くに上り、アルツハイマー病は65歳以上の成人における死因としては5番目に多い。米アルツハイマー病協会によると、2024年だけでアルツハイマー病にかかる医療費は3600億ドル(1ドル140円換算で50兆4000億円)に達すると推定されている。 Han氏らは今回、高性能MRIを用いて、認知障害の明らかな兆候は認められない52〜83歳の試験参加者97人の脳を調査し、初期のアルツハイマー病と金銭的搾取に対する脆弱性の関連を検討した。MRIでは、脳の「嗅内皮質」に焦点が当てられた。嗅内皮質は、学習や記憶を司る海馬と、感情や動機付けなどの認知機能を調整する内側前頭前皮質の間の中継点として機能する脳領域であるが、アルツハイマー病において最初に変化が現れる部分でもあり、通常、病気の進行とともに菲薄化していくことが知られている。さらに、「Perceived Financial Exploitation Vulnerability Scale(PFVS)」と呼ばれる標準化されたツールを用いて、参加者の金銭的な認識力や金銭に関わる不適切な判断に対する脆弱性(財務的搾取脆弱性〔financial exploitation vulnerability;FEV〕)を評価した。 Han氏らが、FEVと嗅内皮質の厚さを比較した結果、金融詐欺に遭いやすい人ほど、嗅内皮質の薄いことが明らかになった。この結果は、特に70歳以上の人で顕著だった。 過去の研究では、FEVは軽度認知障害、認知症およびアルツハイマー病と関連する脳内の分子レベルの変化と関連付けられている。Han氏は、「過去の研究結果を踏まえて実施された本研究結果は、FEVが、高齢者の認知機能の変化を見つけ出すための新たな臨床ツールになり得るという考えを支持する重要なエビデンスとなるものだ」との見方を示している。さらに同氏は、「金銭的搾取に対する脆弱性だけが、アルツハイマー病やその他の認知機能低下の決定的な指標となるわけではない。しかし、FEVの評価は、さまざまなリスクプロファイルの一部となり得る」と付け加えている。 その一方でHan氏は、本研究は嗅内皮質の厚さとFEVとの関連を示したが、因果関係を証明するものではない点も強調している。同氏は、より多様な人を対象に、より長期的に追跡する研究を実施して、FEVが認知機能の評価において信用できるツールとなり得るかを検討する必要があるとしている。

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自分の機嫌を取る方法【Dr. 中島の 新・徒然草】(550)

五百五十の段 自分の機嫌を取る方法10月になると急に肌寒くなってきました。皆さまいかがお過ごしでしょうか?さて、読者の皆さまも、時には腹が立って仕方がないとか、イライラが止まらない、ということがあるのではないでしょうか。今回は脳外科外来の通院患者さんから聞いた、イライラ対処法を紹介したいと思います。この方は、交通事故による頭部外傷で、高次脳機能障害になってしまいました。とはいえ、物忘れがひどいとか計算が遅くなったとか、そういうことは目立ちません。それよりも、喜怒哀楽が激しくなってしまったのです。とくに「怒」の部分が問題。職場でも家でも怒ってばかり。それで何かと差し支えが目立つようになってきました。このままではイカン!ということで、この患者さんはいろいろと怒らない工夫をしました。その1つが音楽です。患者「イヤホンで音楽を聴きながら、秋の大阪城公園を1周すると、いつの間にかイライラが消えているんです」この患者さんは「自分で自分の機嫌を取る方法」と名付けていました。言われてみれば、この方法は有効かもしれません。というのも、私も職場でいろいろあった時には、無意識のうちに帰りの車の中で音楽を聴いているからです。多くの場合、家に到着する頃にはすっかり気分も良くなっていることが多い気がします。この患者さんも、試行錯誤の結果、同じような結論に行きついたのでしょう。ほかにいろいろ調べてみると「自分の機嫌を取る方法」には以下のものがありました。感情的になりそうな時は5秒数える自分を俯瞰する、客観的に見るなるべく非利き手を使う腹の立ったことを片っ端から紙に書く怒りの原因をとことん分析する人と話す、愚痴をこぼす怒りをギャグに変えるこの中で「怒りをギャグに変える」というのは大変効果的ですが、大阪の人間にとっても非常に高度な技と言えましょう。1例を挙げましょう。女房「先に帰ったら米を炊いといてって言ったじゃない!」(怒)中島「コメなさい」瞬間的に場を和ませることができるので、きわめて効果的です。機会があったら皆さまどうぞお使いください。ところで、怒りへの対処法で最も驚かされたのは「ブラジリアン柔術の稽古をする」というものです。ブラジリアン柔術は1993年にUFC(Ultimate Fighting Championship)という格闘技大会で優勝したブラジル出身のホイス・グレイシーによって一躍有名になりました。イメージとしては寝技だけの柔道みたいな感じですね。で、先日、YouTubeを見ていたら、東京にあるブラジリアン柔術の道場の1つが紹介されていました。何がいいのかと尋ねられて、ある中年道場生は「夫婦喧嘩が増えた時に、柔術にはまったんですよ。目の前の相手のことしか考えないんで、終わったら疲れてしまって、ほかのことをまったく考えなくなるんです」と。別の中年道場生も「スパーリングやっている時は、完全にほかのことを忘れて目の前に集中できるんで、めちゃめちゃいいリフレッシュなんですよね」と言っていました。何事によらず身体を動かして極端に疲れると、腹が立つとか何とかという邪念が、頭の中から全部吹っ飛んでしまうのかもしれません。今度、あの患者さんが来たら「ブラジリアン柔術もいいらしいですよ」と勧めてみましょうかね?最後に1句腹立てど 自分の機嫌 とる秋ぞ

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10月10日 世界精神保健デー【今日は何の日?】

【10月10日 世界精神保健デー】〔由来〕世界精神保健連盟が、メンタルヘルス問題に関する世間の意識を高め、偏見をなくし、正しい知識を普及することを目的として1992年に制定。世界保健機関(WHO)も協賛し、国際記念日とされて、「シルバーリボン運動」として全世界でイベントが開催されている。関連コンテンツ不安や恐怖心が強いときの症状チェック【患者説明用スライド】炭水化物カロリー比が高いとうつ病リスク上昇うつ病や双極症、季節性と日光曝露は初回使用の診断や薬剤使用量に影響するのか成人のうつ病や不安症と関連する幼少期の要因とは境界性パーソナリティ障害、思春期?成人期の経過

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誤嚥性肺炎に関連する抗コリン薬~日本医薬品副作用データ

 日本の超高齢化社会は、とくに高齢者の誤嚥性肺炎のマネジメントに関して、大きな課題を呈している。大阪・藤立病院の上田 章人氏らは、主に日本医薬品副作用(JADER)データベースを用いて、抗コリン薬使用と誤嚥性肺炎の発生率との関連を調査した。Respiratory Investigation誌2024年11月号の報告。 2004年第1四半期〜2023年第3四半期のJADERデータベースより抽出した、60歳以上の誤嚥性肺炎2,367例のデータを分析に用いた。シグナル検出による報告オッズ比を用いて、誤嚥性肺炎と抗コリンリスクスケールに記載されている49の薬剤との関連を評価した。これらの関連性を検証するため、MEDLINEとコクランライブラリーの調査結果を組み込んだスコープレビューが実施された。 主な結果は以下のとおり。・一次解析では、クロザピン、ハロペリドール、リスペリドン、クエチアピン、オランザピンなど特定の薬剤に関連する誤嚥性肺炎リスクの増加が認められた。・20の薬剤が、誤嚥性肺炎リスク増加と有意に関連していた。・とくに高齢者などの高リスク集団や統合失調症、パーキンソン病などの患者において、これらの薬剤のドーパミンブロック作用を考慮することの重要性が示唆された。 著者らは「誤嚥性肺炎リスクを軽減するためには、クロザピン、ハロペリドール、リスペリドン、クエチアピン、オランザピンなどの強力なドーパミンブロック作用を有する抗コリン薬を注意深くモニタリングする必要がある。これらの関連をさらに調査するためにも、今後の観察研究や介入研究が求められる」と結論付けている。

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ビタミンC摂取と片頭痛との関係

 これまでの研究で、ビタミンCが片頭痛の発症や重症度の低下と関連している可能性が示唆されているが、サンプル数が少なく、このエビデンスは限られている。中国・Sichuan Mental Health CenterのDehua Zhao氏らは、一般集団における食事中のビタミンC摂取と片頭痛との関連を明らかにするため、横断的研究を実施した。Journal of Human Nutrition and Dietetics誌オンライン版2024年9月10日号の報告。 1999〜2004年の国民健康栄養調査(NHANES)データを用いた。過去3ヵ月以内に重度の頭痛または片頭痛を経験した患者を、片頭痛患者として分類した。食事中のビタミンC摂取量は、24時間食事想起システムを用いて評価した。食事中のビタミンC摂取量と片頭痛との関連を評価するため、ロジスティック回帰モデル、制限付き3次スプライン(RCS)回帰、層別分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・本研究の参加者4,101例中、片頭痛患者は702例(17.12%)であった。・人口統計学的共変量、ライフスタイル共変量、臨床検査値、身体検査、身体活動、食事共変量、合併症で調整した後、食事中のビタミンC摂取と片頭痛との間に逆相関があることが明らかとなった(オッズ比[OR]:0.89、95%信頼区間[CI]:0.83〜0.96、p=0.002)。・ビタミンC摂取量で分類すると、ビタミンC摂取量が最も多い(Q4)場合、最も少ない場合(Q1)と比較し、片頭痛の調整済みORは0.64(95%CI:0.49〜0.84)であった(p=0.001)。・RCS回帰分析では、食事中のビタミンC摂取量と片頭痛との間に、直線的な逆相関が認められた(Pnon-linearity=0.449)。・結果には一貫性が認められ、異なるグループ間で有意な相互作用が認められなかった。 著者らは「食事中のビタミンC摂取量と片頭痛との逆相関が認められ、その関連性は、直線的な負の相関であることが明らかとなった」と結論付けている。

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レジリエンスの高さは長寿と関連

 困難に対処する能力の高い人ほど長生きする可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。50歳以上の1万人以上を対象にしたこの研究では、レジリエンス(精神的回復力)のレベルが最も高い人は最も低い人に比べて、今後10年以内に死亡するリスクが53%低いことが示されたという。中山大学公共衛生学院(中国)疫学分野のYiqiang Zhan氏らによるこの研究は、「BMJ Mental Health」に9月3日掲載された。 レジリエンスは、性別やホルモン、身体のストレス反応を制御する遺伝子など、さまざまな要因の影響を受ける動的で活発なプロセスであることが示唆されている。また、レジリエンスはライフサイクルのさまざまな時期にわたって進化し、変化すると考えられている。Zhan氏らは、「保護要因の観点からレジリエンスが議論されることが多いように、レジリエンスが備わっている人では、大きな混乱を引き起こす出来事に直面しても、相対的な安定を維持することができる」と説明する。 高齢者では、適切なコーピングスキル(ストレスに対処する能力)が、長期的な健康問題やそれに伴う障害の影響を軽減する助けになることがある。また、病気や外傷から身体的に回復する能力は、老化の遅延や死亡リスクの低下に関連していることが知られている。しかし、レジリエンスにも同様の効果があるのかどうかは明らかになっていない。 そこでZhan氏らは、50歳以上の人を対象とした米国の「健康と退職に関する研究(Health and Retirement Study;HRS)」のデータを用いて、レジリエンスとあらゆる原因による死亡(全死亡)との関連を検討した。HRSは1992年に開始された研究だが、本研究では、調査内容にレジリエンスが含められた2006年以降の2回分(2006〜2008年)の調査データが用いられた。調査参加者は、忍耐力、冷静さ、目的意識、自立心などの資質を測定する尺度により評価されたレジリエンスのスコアに応じて、最も低いQ1群から最も高いQ4群の4群に分類された。解析は、調査データが全てそろった1万569人(平均年齢66.95歳、女性59.84%)を対象に行われた。対象者の死亡については、2021年5月まで追跡された。 追跡期間中に確認された全死亡件数は3,489件だった。解析の結果、レジリエンスと全死亡はほぼ線形関係にあることが明らかになった。10年間の生存率は、Q1群で61.0%、Q2群で71.9%、Q3群で77.7%、Q4群で83.9%であった。到達年齢、性別、人種、BMIを調整した解析からは、Q4群ではQ1群に比べて全死亡リスクが53%有意に低いことが示された(ハザード比0.473、95%信頼区間0.428〜0.524、P<0.0001)。交絡因子に糖尿病や心臓病、がん、高血圧などの基礎疾患を含めて解析すると、この関連は弱まって46%の低下に、さらに喫煙状況や運動習慣、婚姻状況も含めた場合には38%の低下となった。 研究グループは、「この研究は、交絡因子を考慮した後でも、高齢者や退職者のレジリエンスと全死亡リスクとの間に統計学的に有意な関連を認めた点でユニークだ」と述べている。また、「得られた結果は、死亡リスクを軽減するためのレジリエンスの促進を目的とした介入の潜在的な有効性を明示するものだ」との見方を示している。

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患者の望む抗精神病薬の特性とは

 統合失調症や双極症I型に対し抗精神病薬は有効な治療薬であるが、異なる治療オプションの中で、症状改善と副作用とのバランスをみながら、選択する必要がある。新たな治療オプションが利用可能になると、評価される抗精神病薬の特性と治療選択時の患者の希望を考慮することは重要である。米国・AlkermesのMichael J. Doane氏らは、統合失調症または双極症I型患者における経口抗精神病薬の好みを明らかにするため、本研究を実施した。BMC Psychiatry誌2024年9月10日号の報告。 経口抗精神病薬の5つの特性(症状重症度改善度などの治療効果、6ヵ月間の体重増加、性機能障害、過鎮静、アカシジア)に関する、患者の好みを明らかにするため、離散選択実験をオンラインで実施した。対象は、統合失調症または双極症I型と診断された18〜64歳の患者。 主な結果は以下のとおり。・対象患者数は、統合失調症患者144例、双極症I型患者152例。・統合失調症患者は、女性の割合50%、白人の割合69.4%、平均年齢41.0±10.1歳であった。・双極症I型患者は、女性の割合69.7%、白人の割合77.6%、平均年齢40.0±10.7歳であった。・いずれのコホートにおいても、患者は、より有効性が高く、体重増加が少なく、性機能障害やアカシジアがなく、過鎮静リスクの低い経口抗精神病薬を好んだ。・治療の有効性は、最も重要であり、conditional relative importance(CRI)は、統合失調症患者で31.4%、双極症I型で31.0%であった。・患者の最も避けたい副作用は、体重増加(統合失調症患者CRI:21.3%、双極症I型CRI:23.1%)と性機能障害(統合失調症患者CRI:23.4%、双極症I型CRI:19.2%)であった。・統合失調症患者では、症状改善のためであれば、9.8ポンドの体重増加または過鎮静リスク25%超を受け入れると回答し、双極症I型患者では、8.5ポンドの体重増加または過鎮静リスク25%超を受け入れると回答した。 著者らは「統合失調症患者および双極症I型患者は、抗精神病薬の最も重要な特性として、治療効果を挙げた。体重増加および性機能障害は、最も避けたい副作用であったが、より良い効果のためであれば、ある程度の体重増加や過鎮静を受け入れ可能であった」とし、「これらの結果は、患者が抗精神病薬に求める特徴と治療選択を行う際のリスクとベネフィットのバランスを考えるうえで、役立つであろう」と結論付けている。

951.

がん治療薬がアルツハイマー病の進行抑制に有用?

 新しいタイプのがん治療薬が、アルツハイマー病などの神経変性疾患の治療にも有用である可能性のあることが、米スタンフォード大学医学部神経学・神経科学教授のKatrin Andreasson氏らによるマウスを用いた研究で示された。詳細は、「Science」に8月23日掲載された。 このがん治療薬は、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO1)と呼ばれる酵素を阻害する作用を持つ。IDO1は、アストロサイトと呼ばれるグリア細胞で発現し、アミノ酸の一種であるトリプトファンを分解してキヌレニンという化合物に変換する役割を担っている。キヌレニンは、芳香族炭化水素受容体(AhR)との相互作用を通じて免疫抑制に重要な役割を果たしている。そのため、メラノーマや白血病、乳がんなどの複数のがんでは、この酵素を標的とする治療薬(IDO1阻害薬)の開発が進められている。最近の研究では、IDO1がアルツハイマー病を含む複数の神経変性疾患に関与していることが示唆されている。一方、アストロサイトは、ニューロン(神経細胞)に栄養を与え、シナプスの機能を維持する役割を担うエネルギー分子である乳酸を生成する。 Andreasson氏らは今回、脳内にアミロイドβやタウタンパク質が蓄積するとIDO1やキヌレニンのレベルが上昇してアストロサイトでの乳酸の生成が抑制され、それにより脳の代謝が乱れて認知機能の低下が引き起こされるのではないかとの仮説を立て、マウスを用いた実験でこの仮説を検証した。 その結果、アミロイドβおよびタウオリゴマー(タウタンパク質が凝集して折り畳まれた構造体)によりアストロサイトのIDO1が活性化され、それによりキヌレニンレベルが上昇して乳酸の生成が抑制されることが確認された。しかし、アミロイド病理とタウ病理を再現したモデルマウスにおいて、IDO1を抑制してキヌレニンの生成を抑えると、マウスのシナプスへのエネルギー供給量が増加し、脳機能が適切な状態に回復することが示された。 Andreasson氏はスタンフォード大学のニュースリリースの中で、「キヌレニン経路(トリプトファンからキヌレニンやその代謝産物が生成される代謝経路)を阻害する薬剤の投与により、マウスの認知機能や記憶力の検査結果が改善した。このような代謝の改善が、健全なシナプスの維持だけでなく、実際にマウスの行動を回復させるのにも極めて効果的であったことに驚いた」と語っている。 また同氏は、IDO1阻害薬がアミロイドβとタウタンパク質の蓄積がもたらす有害な影響の軽減に有効であったことは、特に重要だと強調する。同氏は、「アミロイド病理とタウ病理を再現したモデルマウスで脳の可塑性に改善が認められたことも見逃せない。これらは全く異なる病態であるが、この薬剤はその両方に効くようだ。これは、われわれにとって極めて興味深いことだった」と言う。 さらにAndreasson氏は、「IDO1を阻害すること、特に、がんの臨床試験でヒトを対象に検討されたことのある化合物を使って阻害することは、老化や神経変性によるダメージから脳を守る方法の発見に向けて大きな前進となる可能性がある」と述べている。 次のステップとして研究グループは、アルツハイマー病患者を対象にIDO1阻害薬の有効性を検討する臨床試験を計画しており、近い将来、開始する可能性があるという。Andreasson氏は、「われわれは、がん治療のために開発されたIDO1阻害薬が、アルツハイマー病の治療を目的とした治療薬としても使用できる可能性に期待を抱いている」と話している。

952.

毎日のナッツ摂取が認知症リスク低下と関連〜前向きコホート研究

 英国バイオバンクコホートのデータによる5万例以上の大規模コホート研究で、毎日のナッツ摂取と認知症リスク低下の関連が示された。スペイン・Universidad de Castilla-La ManchaのBruno Bizzozero-Peroni氏らは、成人におけるナッツ摂取と認知症リスクとの関係を分析した地域ベースのコホート研究結果を、GeroScience誌オンライン版2024年9月30日号に報告した。 本研究では、2007~12年(ベースライン)と2013~23年(フォローアップ)の英国バイオバンクコホートの参加者データが解析された。ナッツ摂取に関するベースライン情報は、Oxford WebQ24時間アンケートを使用して取得され、すべての原因による認知症(アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、血管性認知症など)の発症は、ベースライン時およびフォローアップ時に、自己申告による医学的診断、入院、または死亡記録を通じて評価された。なお、ベースライン時点で認知症を発症していた参加者は除外された。 ハザード回帰モデルを使用して、ナッツの摂取とすべての原因による認知症の発症リスクとの関連性を推定し、社会人口統計学的特徴、ライフスタイル、聴覚障害、自己評価による健康状態、慢性疾患の数により調整された。 主な結果は以下のとおり。・5万386人の参加者(平均年齢:56.5±7.7歳、女性:49.2%)が前向き解析に含まれ、すべての原因による認知症の発症率は2.8%(1,422件)であった。・平均7.1年の追跡調査後、ナッツをまったく摂取しなかった場合と比較して、毎日のナッツ摂取(>0~3つかみ以上)は、潜在的な交絡因子に関係なく、すべての原因による認知症リスクの12%低下と有意に関連していた(ハザード比:0.88、95%信頼区間:0.77~0.99)。・ナッツの摂取とハザード回帰モデルに含まれた共変量との間には、統計学的に有意な相互作用は観察されなかった。・層別分析では、1日当たり最大1つかみ(30g)のナッツの摂取と無塩ナッツの摂取が最も大きな保護効果と関連していた。

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アルツハイマー病における妄想観念と抑うつ症状との関連性

 妄想性思考は、精神神経症状の1つであり、アルツハイマー病の長期的な進行において頻繁にみられ、うつ病や興奮など他の精神神経症状と併発する。妄想性思考には、さまざまなタイプがあり、それぞれの妄想性思考と抑うつ症状の併発については、あまりよくわかっていない。東京慈恵会医科大学の永田 智行氏らは、アルツハイマー病における妄想性思考と抑うつ症状の併発パターンの仮説的メカニズムを検証するため、横断的研究を実施した。Journal of Alzheimer's Disease誌2024年号の報告。 アルツハイマー病患者421例を対象に、アルツハイマー病に対する臨床的抗精神病薬治療介入効果試験のデータを分析し、年齢、性別、人種、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコア、Neuropsychiatric Inventory(NPI)うつ病スコアを妄想性思考サブタイプの有無で比較した。妄想性思考には、被害妄想、物盗られ妄想、嫉妬妄想、見捨てられ妄想、幻の同居人妄想、カプグラ症候群、場所誤認妄想、テレビサイン妄想を含めた。次に、MMSEスコア15ポイント未満または15ポイント以上で層別化し、一次分析で有意差が認められた妄想性思考と抑うつ症状との関連性をさらに調査した。 主な結果は以下のとおり。・8つの妄想性思考のサブタイプのうち、被害妄想とカプグラ症候群は、うつ病スコアが高かった。・カプグラ症候群は、抑うつ症状に加え、全体的に認知機能低下の状態がより重度である可能性が示唆された。 著者らは「異なる妄想性思考における病因の違いを考慮し、アルツハイマー病患者に対する治療戦略の選択に役立てることが重要である」と結論付けている。

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SGLT2阻害薬は認知症の発症をも予防できるのか?(解説:住谷哲氏)

 SGLT2阻害薬の慢性腎臓病や心不全合併2型糖尿病患者における臓器保護作用は確立している。また、最近ではSGLT2阻害薬が肝臓がんの発症を抑制するとの報告もなされている1)。がんと並んで高齢者糖尿病患者で問題になるのが認知症である。本論文では韓国の住民コホートデータベースを用いて、DPP-4阻害薬と比較してSGLT2阻害薬の投与が2型糖尿病患者の認知症発症を抑制するかどうかが検討された。 本研究は無作為化試験ではなく観察研究なので、残余交絡residual confoundingをいかに最小化するかが重要となる。筆者らはそのために、種々の統計学的手法(active comparator new user design、extensive propensity score matching、target trial emulationなど)を駆使して、現時点で可能な限りの補正を実施している。さらに陽性コントロールとして性器感染症、陰性コントロールとして白内障と変形性膝関節症とを用いて、結果の内的妥当性internal validityを担保している。 以上のように可能な限りの統計学的処理を実施した結果であるが、やはり残余交絡をゼロにできたわけではない。たとえば、コホートに組み入れられた時点での糖尿病罹病期間は不明である。糖尿病網膜症の有無を罹病期間のproxyとして代用しているようであるが、それで十分に調整されたとはいえない。次に、観察期間中の血糖管理状態についても不明である。3つ目に、それぞれの患者のフレイルについての情報が不明である。読者の先生方も日常臨床で経験されることが多いと思うが、筆者はフレイルが懸念される患者にはSGLT2阻害薬ではなくDPP-4阻害薬を投与することが多い。これは筆者に限ったことではなく、大規模な横断研究からも同様の処方傾向が報告されている2)。これが適応による交絡confounding by indicationである。つまり、それぞれの薬剤が選択投与された患者は最初から異なったpopulationであり、当然ながら予後も異なることになる。この交絡を回避する方法は無作為化しかない。 したがって非常に有望な結果ではあるが、認知症の発症予防目的でDPP-4阻害薬ではなくSGLT2阻害薬を積極的に投与するエビデンスとはならないだろう。やはり認知症の発症を主要評価項目としたRCTの実施が待たれる。現時点ではSGLT2阻害薬の投与が積極的に推奨される患者にSGLT2阻害薬を投与して、それによって認知症発症の抑制をも期待するのが妥当だろう。

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統合失調症における抗精神病薬使用と心臓突然死との関連

 台湾・高雄医学大学のKun-Pin Hsieh氏らは、抗精神病薬使用と心臓突然死リスクとの関連を明らかにするため、人口ベースのケースコントロール研究を実施した。Psychiatry Research誌オンライン版2024年9月2日号の報告。 2011〜20年の国民健康保険研究データベースおよび台湾の複数死因データを用いて、本研究を実施した。対象は、2020年までに心臓突然死が発生した初発統合失調症患者。症例と対照は、年齢、性別、統合失調症診断年により1:4でマッチングした。抗精神病薬には、経口抗精神病薬(OAP)の連日投与、長時間作用型注射剤抗精神病薬(LAI)、OAPとLAIの併用を含めた。 主な結果は以下のとおり。・OAP単独療法と比較し、OAPとLAIの併用(OR:1.91)およびLAI単独療法(OR:1.45)は、心臓突然死リスク増加と関連が認められた。・心臓突然死の重要なリスク因子として、心血管合併症が特定された(調整OR:11.15)。・抗精神病薬関連の心臓突然死リスクは、抗精神病薬未使用、OAP単独療法、LAI単独療法、OAPとLAIの併用の順で高まることが明らかとなった。 著者らは「統合失調症患者にLAIを使用する際には、事前に心血管疾患の病歴を評価することは重要であり、LAI使用に当たっては、他の抗精神病薬を併用しないよう努めるべきであろう」としている。

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慢性不眠症の長期寛解のために最初に選ぶべき治療選択は

 東京大学の古川 由己氏らは、慢性不眠症の成人を対象に、不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)、薬物療法、CBT-Iと薬物療法の併用療法の長期的および短期的な有効性、安全性を比較することを目的に、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2024年8月26日号の報告。 2023年12月27日までに公表された研究を、複数のデータベースより検索した。未治療の慢性不眠症患者を対象に、CBT-I、薬物療法、CBT-Iと薬物療法の併用療法の少なくとも2つを比較した試験を対象に含めた。エビデンスの信頼性の評価には、CINeMAを用いた。主要アウトカムは、長期寛解とした。副次的アウトカムは、長期または短期間のすべての原因による脱落、自己報告による睡眠継続性とした。頻度論的(frequentist)ランダム効果モデルネットワークメタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・13試験、ランダム化された参加者823例(平均年齢:47.8歳、女性の割合:60%)が特定された。・CBT-Iは、薬物療法よりも、長期にわたる有用性が認められた(期間中央値:24週間[範囲:12〜48]、寛解オッズ比[OR]:1.82、95%信頼区間[CI]:1.15〜2.87、エビデンスの確実性:高)。・併用療法が薬物療法よりも有益であることを示すエビデンスは弱く(OR:1.71、95%CI:0.88〜3.30、エビデンスの確実性:中程度)、CBT-Iと併用療法との間に明確な違いは認められなかった(OR:1.07、95%CI:0.63〜1.80、エビデンスの確実性:中程度)。・CBT-Iは、薬物療法よりも、脱落率の低さと関連が認められた。・短期的アウトカムは、総睡眠時間を除き、薬物療法よりもCBT-Iのほうが良好であった。・平均長期寛解率は、薬物療法患者28%であったのに対し、CBT-Iは41%(95%CI:31〜53)、併用療法は40%(95%CI:25〜56)であった。 著者らは「慢性不眠症に対しCBT-Iから治療を開始することで、薬物療法よりもより良いアウトカムが得られる可能性が示唆された。併用療法は、薬物療法単独よりも有効である可能性が示されたが、CBT-I単独よりも負担が増加するわりに、大きなメリットが得られないと考えられる」としている。

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日本人女性におけるチーズの摂取と認知機能との関連

 多くの研究で、認知機能低下と食習慣との関連が報告されているが、チーズの摂取との関連は、これまであまり注目されていなかった。国立長寿医療研究センターの鈴木 隆雄氏らは、65歳以上の地域在住の日本人女性1,035人を対象に、チーズの摂取量や種類と認知機能との関連を調査するため、疫学研究を実施した。Nutrients誌2024年8月22日号の報告。 身体測定、機能的能力、チーズを含む食品の摂取頻度を評価した。認知機能の評価には、ミニメンタルステート検査(MMSE)を用い、スコアが20〜26の場合、軽度認知機能低下と定義した。 主な結果は以下のとおり。・MMSEスコアの統計学的に有意な差は、チーズ摂取の有無およびカマンベールチーズ摂取の有無において、認められた。●チーズの摂取:28.4±1.9 vs.チーズ以外の摂取:27.6±2.4●カマンベールチーズの摂取:28.7±1.4 vs.その他:28.3±2.0・交絡因子で調整した後、多重ロジスティック回帰分析では、軽度認知機能低下と有意に関連する次の4つの独立変数が特定された。●カマンベールチーズの摂取(オッズ比:0.448、95%信頼区間:0.214〜0.936)●年齢●通常時の歩行速度●機能的嚥下障害スクリーニングテストスコア 著者らは「日本の地域在住の高齢女性の横断的なデータに基づくものではあるが、カマンベールチーズの摂取と軽度認知機能低下との間に有意な逆相関が認められることが明らかとなった」としている。

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第234回 これまでにない作用の統合失調症治療薬を米国が承認

これまでにない作用の統合失調症治療薬を米国が承認ここ数十年なかった新しい作用機序の統合失調症治療薬Cobenfyが米国で先月末26日に承認されました1,2)。その承認により、統合失調症患者にこれまで処方されてきた薬剤とは一味違う抗精神病薬の使用が同国で可能になります。Cobenfyは神経伝達に携わるコリン作動性受容体の1つであるムスカリン受容体を標的とします3)。それらの受容体を活性化することは幻覚や妄想などの統合失調症を特徴づける症状の源である神経伝達物質ドーパミン放出に影響することが知られています。ムスカリン伝達は認知や感情の処理に携わる脳回路を調節することも知られています。ムスカリン伝達を手入れするCobenfyはそれゆえドーパミン活性の抑制を主とする他の統合失調症治療薬に比べてよりあまねく効果があるようです。Cobenfyの道のりCobenfyの歴史は古く、その始まりは米国の製薬会社Eli Lillyが1990年代の初めにキサノメリン(xanomeline)という化合物の開発を始めたことに端を発します3)。キサノメリンはムスカリン受容体の作動薬です。もっぱらアルツハイマー病患者の記憶の改善を目指して開発が始まりましたが、統合失調症の治療の可能性も検討されていました。幸いキサノメリンはアルツハイマー病患者や統合失調症患者を募った試験で認知機能や精神症状の改善効果を示しました4,5)。しかし、どうやら消化管のムスカリン受容体活性化のせいで、キサノメリン投与群には悪心や嘔吐などの胃腸有害事象が多く生じました。たとえばアルツハイマー病患者342例が参加した試験ではキサノメリン高用量投与群の半数強(52%)が有害事象で脱落しており4)、用量依存的な有害事象はもっぱら胃腸系でした。Lillyは最終的にキサノメリンの開発から手を引くことになります。Lillyが手を引いてからしばらくしてキサノメリンの復活を図る取り組みが始まります。2009年に米国のボストンにバイオテクノロジー企業Karuna Therapeuticsを設立したAndrew Miller氏は、ムスカリン受容体作動薬と脳の外でのその働きを打ち消す化合物を組み合わせた薬なら大した胃腸障害を生じることなく認知や精神症状への有益効果を保てるのではないかと思いつきました。そこでKarunaはLillyから権利を手に入れたキサノメリンと血液脳関門(BBB)を通過しないムスカリン受容体拮抗薬であるトロスピウム(trospium)を組み合わせた薬を作りました。それがCobenfyです。Cobenfyはキサノメリンが胃腸に手出しするのをトロスピウムによって防ぎ、脳に限って作用するようにすることを目指します。その後の臨床試験は順調に進み、最終的に2つの第III相試験(EMERGENT-2とEMERGENT-3)でCobenfyの統合失調症症状改善効果がプラセボを有意に上回りました。陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の合計点がCobenfy投与群5週時点ではベースラインに比べて21点ほど低く、プラセボ群の約12点低下を10点弱ほど上回りました6)。胃腸の有害事象はプラセボに比べてどうしても多かったものの、たいていは1週間か2週間で解消しました3)。Cobenfyとプラセボ群の有害事象での脱落率は似たりよったりでどちらも5%ほどです(それぞれ6%と4%)6)。Cobenfyで心配なことCobenfyはいくつか悩ましいことがあります。いまや抗精神病薬の多くは年に数回の注射で事足りる持効性製剤をそろえていますが、Cobenfyは1日2回の服用が必要です。頻繁な投与を要する薬は続けることが困難であり、中止してしまう統合失調症患者が多いようです7)。また、Cobenfyはご多分にもれずいい値段で、1ヵ月あたりの定価は1,850ドル、1年間では2万ドル強かかります。医療経済の専門家は他の薬剤に比べてその価格が効果に見合ったものかどうかを心配しています3)。そんな心配をよそに製薬業界のアナリストのほとんどはCobenfyの需要は大きいとみており、やがて数十億ドルの年間売り上げに達すると予想しています。そういう期待を背景にしてBristol Myers Squibb(BMS)は140億ドルも払ってKaruna Therapeuticsを今春3月に手中に収めました8)。BMSは米国の患者が今月遅くにCobenfyを入手できるようにするつもりです。長期効果は有望Cobenfyの長期使用の成績は有望で、この4月に発表された52週間のEMERGENT-4試験では同剤投与患者のPANSS合計点がベースラインと比べて約33点低下しました9)。EMERGENT-4試験は上述した5週間の二重盲検第III相試験2つのいずれかを完了した患者を募って実施されています。参考1)FDA Approves Drug with New Mechanism of Action for Treatment of Schizophrenia / PRNewswire2)U.S. Food and Drug Administration Approves Bristol Myers Squibb’s COBENFY? (xanomeline and trospium chloride), a First-In-Class Muscarinic Agonist for the Treatment of Schizophrenia in Adults / BUSINESS WIRE3)Revolutionary drug for schizophrenia wins US approval / Nature 4)Bodick NC, et al. Arch Neurol. 1997;54:465-473.5)Shekhar A, et al. Am J Psychiatry. 2008;165:1033-1039.6)OBENFY U.S.:Prescribing Information7)Zacker C, et al. Clinicoecon Outcomes Res. 2024;16:567-579.8)Bristol Myers Squibb Completes Acquisition of PureTech's Founded Entity Karuna Therapeutics for $14 Billion / BUSINESS WIRE9)Bristol Myers Squibb Presents New Interim Long-Term Efficacy Data from the EMERGENT-4 Trial Evaluating KarXT in Schizophrenia at the 2024 Annual Congress of the Schizophrenia International Research Society / BUSINESS WIRE

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レキサルティ、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションに対して承認/大塚

 大塚製薬は9月24日付のプレスリリースにて、同社の抗精神病薬レキサルティ(一般名:ブレクスピプラゾール)について、国内初となる「アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動」の効能効果の承認を取得したことを発表した。本剤の国内における効能は、「統合失調症」、「うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)」に加えて、3つ目となる。レキサルティ、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションを効能としてFDAに続き承認 今回日本で承認取得したレキサルティの効能は、米国で2023年5月に「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」の治療における効能として米国食品医薬品局(FDA)に承認され、その後、カナダ、フィリピン、台湾でも承認されている。国際老年精神医学会において、認知症に伴うアジテーションは、情動的な苦痛を背景要因とする攻撃的な症状と非攻撃的な症状を含み、同じ動作の反復などの活動亢進、攻撃的発言または攻撃的行動のうち、少なくとも1つ以上の症状からなり、患者の日常生活、社会生活、人間関係のいずれかに支障を来した状態とされている。 アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションの症状として、悪態をつく、言葉による攻撃、たたく(自分をたたく場合も含む)、何度も同じ行為を繰り返す、全般的な落ち着きのなさ、不満を訴える、拒絶する、唾を吐く(食事中を含む)、蹴る、人や物につかみかかる、押す、物を投げる、叫ぶ、噛む、ひっかく、自分や他人を傷つける、物を壊す・割る、徘徊する、目的なく歩き回る、不適切な着衣・脱衣、別の場所に行こうとする(室外や屋外へ出ようとする)、物を不適切に取り扱う、注目や助けを不当なほど要求し続ける、文章や質問の繰り返し、などが挙げられる。 これらアジテーションの症状は、アルツハイマー型認知症の約半数で認められ、介護者の負担を重くし、認知症患者や家族、介護者の生活の質を低下させるとともに家族と同居できず介護施設へ入居せざるを得ない要因の1つとなっている。 本剤の国内フェーズ3試験では、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションを有する55~90歳の410例を対象に、ブレクスピプラゾール(1mgまたは2mgを1日1回)を10週間投与し、有効性と安全性を評価した。ブレクスピプラゾールの1mg群および2mg群は、プラセボ群と比較し、いずれも主要評価項目であるCMAI合計スコアにおいて、統計学的な有意差をもって有効性が示された。また、臨床全般印象・重症度スコア(CGI-S)など、副次評価項目においても、プラセボ群と比較してブレクスピプラゾールの1mg群および2mg群で改善が認められた。本試験において、ブレクスピプラゾールは全般的に良好な忍容性を示し、新たな安全性の懸念は認められなかった。【アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動に対する本剤の用法及び用量】 通常、成人にはブレクスピプラゾールとして1日1回0.5mgから投与を開始した後、1週間以上の間隔をあけて増量し、1日1回1mgを経口投与する。なお、忍容性に問題がなく、十分な効果が認められない場合に限り、1日1回2mgに増量することができるが、増量は1週間以上の間隔をあけて行うこと。

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COVID-19パンデミック前後の摂食障害患者における発達障害や性同一性障害の併発

 自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如多動症(ADHD)、性同一性障害の発生率は、とくに摂食障害の小児および青年、若年成人において上昇している。COVID-19パンデミック中に摂食障害の有病率は上昇したといわれているが、ASD、ADHD、性同一性障害の併発傾向は、これまで詳細に調査されていなかった。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のTashalee R. Brown氏らは、COVID-19パンデミック前の数年間とパンデミック中における、摂食障害の小児および青年、若年成人のASD、ADHD、性同一性障害の併発率の傾向を調査した。Frontiers in Psychiatry誌2024年8月20日号の報告。 2017〜22年に2回以上摂食障害と診断された5〜26歳の患者4万8,558例を、個人名を匿名化した多国籍電子医療記録データベース(TriNetX)より抽出した。主な予測変数は、各患者の最初の摂食障害診断年とし、2017〜19年と2020〜22年で分類した。主要アウトカム変数は、各患者の最初の摂食障害診断年の翌年におけるASD、ADHD、性同一性障害の併発を認める新規精神医学的診断の割合とした。2017〜19年と2020〜22年の主要アウトカムの比較には、傾向スコアマッチング多変量ロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象患者数は、2017〜19年の摂食障害診断患者1万7,445例(ASD:8%、ADHD:13.5%、性同一性障害:1.9%)、2020〜22年の摂食障害診断患者3万1,113例(ASD:8%、ADHD:14.6%、性同一性障害:3.2%)。・1:1の傾向スコアマッチング後、2017〜19年の摂食障害診断患者1万7,202例が、2020〜22年の患者とマッチされた。・2020〜22年の摂食障害診断患者は、2017〜19年の患者と比較し、最初の摂食障害診断後365日以内に、ASD、ADHD、性同一性障害の診断オッズ比の増加が認められた。【ASD】19%増加(aOR:1.19、95%信頼区間[CI]:1.07〜1.33)【ADHD】25%増加(aOR:1.25、95%CI:1.04〜1.49)【性同一性障害】36%増加(aOR:1.36、95%CI:1.07〜1.74) 著者らは「COVID-19パンデミック後、摂食障害患者のASD、ADHD、性同一性障害の併発率は、精神疾患の併発のベースラインレベルを調整した後でも、有意に高いことが示唆された。本結果は、COVID-19が小児から若年成人までにおける摂食障害患者のASD、ADHD、性同一性障害の発症や臨床経過に影響を及ぼした可能性を示しており、現在の理解と大きなギャップがあることが明らかとなった」としている。

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